説明

半導体装置の製造方法

【課題】 金属細線を用い、頂部を低くした薄型の半導体装置を提供する事である。
【解決手段】 1stボンドから湾曲部57をえがき、端部の第1の曲折部59を介して垂直に第2の延在部60を設ける。そして第2の曲折部61は、頂部58よりも下方に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属細線を採用した半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、PDA、DVC、DSCといったポータブルエレクトロニクス機器の高機能化が加速するなか、こうした製品が市場で受け入れられるためには小型・軽量化が必須となっている。しかも地球温暖化の中、できる限り資源の使用を削減し、環境負荷を与えないものが求められている。当然、半導体装置も軽薄短小で更に材料の削減が求められている。
【0003】
一方、半導体装置は、薄型が求められる事から金属細線の採用を否定し、フリップチップ実装、金属細線の代わりに導電板を用いる場合がある。しかし金属細線のボンディング技術は、長い歴史に培われ、信頼性の高い技術であることから、未だに採用し続けられている。
【0004】
例えば、図8は、典型的な半導体装置100の断面図であり、アイランド101の上に固着された半導体チップ102と、アイランド101の周囲に一端が近接して配置されたリード103と、半導体チップ102のボンディングパッドと前記リード103とを電気的に接続する金属細線104と、前記アイランド101、半導体チップ102、リード103、金属細線104を封止する樹脂105とにより構成されている。
【0005】
ここで金属細線104は、二種類示してあり、点線で示すものは、古くから採用されている三角ループの金属細線104Aで、実線で示すM型のループの金属細線104Bである。
【0006】
前者の三角ループ104Aは、頂部106までかなり高い。そのため、薄型パッケージに対応すれば、その頂部までの高さを低くしようとする。しかし低くしようとすると、頂部から斜めに延在される金属細線104Aは、半導体チップ102とショートする可能性があった。
そのため、ワイヤループの高さを低くし、しかも半導体チップ102と短絡しないような形状が発明されている。これがMループと呼ばれるもので、例えば、特許第3276899号公報に記載されている。
【0007】
図7Aは、キャピラリ150の軌跡を描き、図7B〜図7Hは、前記軌跡によって、金属細線がどの様な形状を描いていくかを説明している。また図7Bのキャピラリに配置された矢印は、図7A符号および矢印の向きを示している。例えば、図7Bの矢印57は、図7Aの3番目の矢印で、そこにも同じ符号を付した。つまりここの上昇の過程を描いているわけである。
【0008】
1.キャピラリ150は、例えば半導体チップのボンディングパッド151に1stボンドした後、矢印155、156、157の様に移動する。
それにより図7Bに示す様に、金属細線は、右斜めに延在した後、上昇する金属細線を形作る。
【0009】
2.図7Aに示す矢印158の様に右側に移動させる。
図7Cに示す様に、金属細線は、左に凸の放物線を形作る。
【0010】
3.図7Aの矢印159の様に一定の高さまで上昇さ、その後に矢印160の様に水平方向に移動し、更に矢印161の様に垂直方向で下降させる。
【0011】
これにより図7Fの如く、Mループの真ん中の溝165が形成される。
【0012】
4.図7Aに矢印162の如く垂直方向に上昇し、キャピラリ150と一緒に備えられているクランパで金属細線を保持し、矢印163の様に、ループを描いてセカンドボンドする。
【0013】
これにより、図7Hの様に、Mループを形作ることが可能となる。
【特許文献1】特許第3276899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前述した従来技術であれば、図7Hの曲折部66がチップ端110の外側に位置されるように形成され、金属細線の高さを低くできると同時に、チップ端110と金属細線104Bとの離間距離を保つことができる。
【0015】
つまりパッケージの厚みを薄くできると同時に金属細線の短絡を防止できるものである。
【0016】
しかしながら、携帯機器の進歩により、より以上の軽薄短小が求められ、このループ高さより更に低い接続方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、前述した問題点を解決するものであり、
スパーク手段で前記キャピラリの端部に金属ボールを形成する際、前記スパーク手段に流れる電流の時間を制御する事で、前記金属ボールから延在される金属細線の再結晶部分から成る硬質部の長さを制御し、
前記金属ボールを前記半導体チップのボンディングパッドに接続し、
前記金属ボールと一体の金属細線は、頂部が上に配置された湾曲した軌跡を描いた湾曲部を有する第1の延在部と、前記第1の延在部の終端部に曲折部が設けられた後に、前記電極に向かって実質直線状に延在される第2の延在部とを有し、前記硬質部の終端領域が前記曲折部、または前記曲折部の前後に位置するように、前記キャピラリを使って前記金属細線を延在させる事で解決するものである。
【発明の効果】
【0018】
半導体チップのボンディングパッドと電極との間の金属細線に於いて、1stボンド及びその近傍で、実質的に円を切った形状または半楕円(楕円を途中で切った上半分)の軌跡が設けられた湾曲部を形付けると、湾曲部の端に曲折部を形付けられる。
【0019】
このことから、曲折部より2ndボンド側に、水平でしかも頂部よりも低い水平部を延在できるため、金属細線のループ高さを低くでき、結局は、半導体装置の厚みを薄くする事ができる。
【0020】
これは、過去からの歴史に積まれた信頼性の高いワイヤボンディング法で実現できるため、薄型パッケージであっても信頼の高いパッケージを実現できる。
【0021】
またこの曲折部は、ボンディグ装置の金属ボールを形成するスパーク手段により調整が可能である。つまりこのスパーク手段により、再結晶部分の硬質部を長くも短くもでき、短くすれば湾曲部の高さを低く抑えられ、しかも硬質部とこれより軟らかな軟質部の境界およびその近傍は、曲折部の形成が容易であることから、図1、図2の金属細線の形状が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
一般に金属細線を使ったワイヤのループは、図8の点線で示され、三角ループを描く。これは、1stボンド200の部分でボールボンドした後、金属細線を上方に延在させ、その後、頂部106において曲折部を設け、その後で、斜め下方に延在させているため、一般には三角ループを描く。
【0023】
また図8の実線も同様である。簡単に考えれば、三角ループ104Aの頂部を上から押し下げれば、頭部をM字形状にすることができる。しかし曲折部202から2ndボンドに到る金属細線104Bの軌跡は、三角ループ104Aと同様に、斜め下に実質直線状の軌跡(以下直線状の延在部と呼ぶ)を描く。そのため、三角ループ、Mループにおいて、直線状の延在部、具体的には符号104A、104Bの引出し線が指している部分は、程度の差はあるだろうが、チップのコーナーと接触する可能性がある。
【0024】
しかしこの直線状の延在部104A、104Bの途中で水平に延在されたら、どうであろう。例えば、金属細線104Aでは、黒丸A、金属細線104Bでは、黒丸Bの部分で水平に延在されれば、チップの周囲、つまりチップのコーナーでのショートは、抑止できる。
【0025】
本発明は、この点が考慮され、しかも頂部の低いワイヤループが形成される。
図1および図3は、本発明を適用した半導体装置の構造を示し、図2、図4〜図6は、その具体的構造またはその製造方法について説明するものである。
まず金属細線51の形状について図2を参照して説明する。ここで、金属細線51と電気的に接続される電極は、リードフレームのインナーリード、実装基板52に設けられた電極等が考えられるが、図面では、実装基板を採用した。
実装基板52としては、プリント基板やフレキシブルシート等から成る樹脂基板、セラミック基板、ガラス基板、金属基板およびSi基板等が考えられる。樹脂基板としては、主にエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等が採用されるが、この限りではない。またセラミック基板としては、アルミナ焼結体が主として採用されるが、絶縁材料であれば、材料に限定されない。更に金属基板は、アルミニウム基板、またはCu基板が採用され、導電パターンとの絶縁が考慮されて、基板の表面には絶縁膜が施されている。更にSi基板は、一般にはSiインターポーザと呼ばれ、載置される半導体チップとの熱膨張係数を一致させるために、基板自体がSiである。またSiは、半導体材料であることから、一般には、Si酸化膜等が熱酸化、CVD、スパッタリング等で形成されている。
【0026】
また全ての実装基板において、スルーホールが多用された導電パターンが多層に形成されても良い。この場合、図で示す電極53A、53Bは、Cuを主材料とし最上層に形成されたものと考えればよい。
ここで、53Aは、半導体チップ54が実装されていることから、ここではアイランドとして機能している。しかしながら、接着剤であっても、導電ペーストでも良い。半導体チップ54裏面が所定の電圧に固定されるのであれば、53Aは、導電材料からなり、IC等では、裏面がフローティングの場合があり、この場合、絶縁性の接着剤で良い。53Bは、例えばCuから成る電極で、2ndボンド対応のために、表面には、例えばNi、その上にAuが被覆されている。
【0027】
また半導体チップ54は、ディスクリート、IC等でよく、最表面には、ボンディングパッド55が露出している。この金属細線のボンディングパッドが1stボンド56Aで、金属細線51の一端がボールボンドで接続されている。一方、金属細線51の他端は、2ndボンド56Bに接続され、スティッチボンドされている。
この一端がボールボンドされた部分の付け根から、実質的に湾曲部57を描き、その頂部58を含めて上に凸で形成される。ワイヤの軌跡形状としては、実質的に、円を途中で切った形状または楕円を途中で切った形状である。つまり1stボンドから前記湾曲部57の一端が始まり、湾曲部の他端59で第1の延在部が形成される。ここでこの湾曲部は、三角でも良い。
【0028】
この湾曲部の他端59が、金属細線51の曲折部でもあり、そこから第2の延在部として水平に延在されている。具体的には、電極53Bの高さが、第2の延在部60の位置よりも下方に位置しているため、第2の延在部の他端61は、ここで第2の曲折部61が形成され、ここから電極53Bへと下降し、2ndボンドされている。
ここで金属ボールから第1の曲折部59までの線に沿った長さは、約100μm±10μm、ボンディングパッド55の表面から湾曲部の頂部58までの高さは、約60μm〜70μmである。具体的に説明すれば、湾曲部の矢印ラインCが100±10で、矢印Dライン(頂部からパッド表面までの高さ)が60〜70μmであるため、完全な円ではなく、どちらかと言えば楕円である。また円や楕円の頭の部分を切った様にも見える。
【0029】
本発明は、この湾曲部57を形成することに意味がある。つまりこの湾曲部の他端59に金属の癖をつける事が可能となり、そこから水平、または直線状に第2の延在部60が設けられる事に意味がある。この第2の延在部60は、例えば、頂部58の高さを超えるまで延在されることなく、2ndボンドされれば、この一連のワイヤループは、頂部58で決定付けられる。
例えば図1の左側の金属細線70を参照して欲しい。右側の金属細線71と同一ワイヤを採用しているが、位置関係を説明するため、細線で示している。点線の細線72は、第2の延在部60が実質直線状に延在されている事を説明し、第3の延在部62は、どちらにしても下降するため、この境界である第2の曲折部61が頂部58の高さよりも低く設定されれば、金属細線の高さは、頂部58で決定付けられる。この様に、第2の曲折部61の位置が湾曲部57の頂部58よりも下方に位置する範囲内でよく、直線状の第2の延在部60は、やや斜め上に延在されても良い。当然であるが、水平または下降されても良い。
【0030】
そして必要によってであるが、本半導体装置として樹脂封止が必要であれば、基板52全体が絶縁樹脂で封止される。これは、ポッディング、トランスファーモールド、インジェクションモールド等で実現される。またケースで封止する場合は、その中が中空であったりする。よって基板の表面に樹脂が設けられない場合もある。
前述した様に、図1は、図2の変形例である。1stボンドの位置よりも2ndボンドの高さを高くしている。これは、電極53Bの厚みを、ボンディングパッドの高さよりも高くして、第1の曲折部59を半導体チップ54、または半導体チップのコーナーから遠ざけている。これは、前述した様に、湾曲部57、第1の曲折部59、斜め上ではあるが直線状の第2の延在部、更には第2の曲折部、第3の延在部が設けられている。
【0031】
そして第2の曲折部61が頂部58よりも下に位置するように設けられて、そこから2ndボンドへと下降している。よって全体のパッケージの厚みは、この湾曲部のサイズにより決定付けられる。
続いて、この湾曲部のサイズの決定方法について説明する。図4は、その決定方法について説明するものである。図4A、図4Bは、ワイヤボンディング装置70に金属細線71が取り付けられた構図を示すものである。キャピラリ72は、ボンディングするためのヘッドであり、クランパ73は、金属細線71を切断する際、金属細線を保持するものである。更に金属細線の端部に位置する符号74は、スパーク手段である。これら3つの手段は、一般にはボンディング装置に一体で取り付けられている。
キャピラリ72の中心にある中空部は金属細線71が通過しており、キャピラリの端部から所定の長さが繰り出されてある。そして、スパーク手段は、溶融手段で、金属細線の端部を図4Bの如く、ボールに形成している。
ポイントは、スパーク電流の値、通電時間により、金属ボールが形成される点である。この溶融した部分は、高温になった後に、冷やされる。よって図4Bの如く、点でハッチングされている様に多結晶状態の再結晶部が形成される。この部分は、一般に加熱して冷却させるため、焼入れに相当する部分である。例えば田中電子工業株式会社の製品カタログでは、Heat Affected Zone(熱影響部)とよび、頭文字をとりHAZと呼んでおり、通常のボンディング装置であれば、必ず発生するものである。
図4Cに示す様に、以下に示す材料、GLF、GMGのAu線で以下の実験をしてみた。スパーク電流の値を27.5mA、通電時間を0.5msecと一定にして、HAZの長さを調べてみた。材料は、線径は、23μmである。加熱・冷却条件は、装置が同じため、同一条件であるとみなした。
【0032】
その結果、GLFの場合、110〜130μm、GMGの場合、150〜170μmとなり、そのループ高さは、62μm、70μmと成った。
ここでAu線等の金属細線は、色々なタイプに分けられ、カタログでは、例えば以下のようなタイプにより分けられている。簡単にそのカタログに沿って説明すれば、GMG、GMHは、高強度Au線、GLFは、超低ループ用Au線、GFC、GFDは、ファインピッチ用Au線と色々なタイプに分けられる。
【0033】
これは、GMGは、高硬度であり、GLFよりも硬質であることから、結晶構造も密で熱伝導率が高いのではないかと推察される。
またこのHAZは、通電時間を一定にし、スパーク電流を変えたり、スパーク電流を一定にして、通電時間を変えたり、両者を変えることにより変えることも可能である、さらには、キャピラリの放熱性を変えるために、材料の選択をしたり、冷却または保温性能を別途機械的なものに頼ってみても良い。これは、溶かすときのエネルギーの量、その後の冷却スピードで調整できる。
図4Cの様に、HAZが短ければ、ループ高さも短くなることがわかる。これは、一概には言えないが、以下のことも説明できる。つまり同一材料で、HAZの長さが異なるものを用意したら、HAZの長い方が、ループ高さは高くなると考えられる。つまり硬いと加工癖が付けにくく、その分高さが高くなってしまうことが一因として考えられる。
【0034】
ここで硬質部である再結晶部と、前記再結晶部よりも軟質の非再結晶部の二領域に分けられるため、境界をZとして説明する。極端であるが、繊維から成る綴り紐を20cmだけ用意し、右端から5cmだけ、接着剤を含浸させたとする。つまり右側5cmは、硬く、左15cmは、軟らかい状態の紐が用意され、軟らかな部分の紐を持ち上げたなら、その境界Zで折れ曲がるだろう。また金属細線であるため、塑性変形が可能であることから、Zと近接しているがその近傍で折り曲げやすい。
実際にこのZの部分がどこに位置するのか、その位置を見てみると、図2に示した矢印に成る。つまり矢印Aの部分が、再結晶部であり、Zの位置は、太線CR1までだったり、CR2であったりする。これは、後述するキャピラリにより第1の曲折部が形付けられるため、境界Zよりも若干2ndボンド側にずれている。
【0035】
この様に、境界よりも2ndボンド側にずれた柔らかな部分で、第1の曲折部を設ければ、この加工に使われる外力(応力)が少なくてすみ、1stボンドへの応力が少なくてすみ、信頼性が向上する。
どちらにしても硬質である再結晶部で湾曲部57を形成し、この湾曲部の他端で曲折部59を形成する事で、第2の延在部、第3の延在部は、頂部58よりも下方に位置させることができる。
【0036】
図5は、キャピラリ150の軌跡を示し、その結果、形成される金属細線の形状を図6に示した。
【0037】
1.図5に示す様に、キャピラリ150は、例えば半導体チップのボンディングパッドに1stボンドした後、斜め右上に延在された後、曲折部80を介して、ある角度を持って斜め左上に移動する。
それにより図6Aに示す様に、金属細線は、右にと凸の放物線を形作る。
【0038】
2.図5に示す様に、曲折部81を介して斜め右上に移動した後、曲折部82を介して下方に移動し、更に、曲折部82‘を介して左斜め上に移動させる。ここで曲折部82、82’の間隔は、非常に短くしてある。
図6Bに示す様に、金属細線は、湾曲部の他端で曲折部82を介して直線の第2の延在部を描き、まるで釣り針の如き形状を呈する。
【0039】
3.図5の様に直線部分の長さを長くした状態で、矢印83の如く下降させる。
【0040】
これにより図6Cの如く、斜め左上に持ち上がっていた端部が、下降し図2の如き、形状ができる。
【0041】
以上説明した如く、釣り針の如き湾曲部と直線状の延在部が設けられることで、頂部が湾曲部で決定つけられる。よってこの湾曲部をできるだけ小さくすれば、頂部を更に低くできる。
図3は、この釣り針形状のワイヤループをリードフレームを採用したパッケージに適用したものである。アイランド31の上には、半導体チップ32が固着され、アイランド31の近傍には、一端が近接配置されたインナーリード33が配置されている。そして半導体チップ32のボンディングパッド34を1stボンド、インナーリード33を2ndボンドされる金属細線35が形成される。そしてアイランド表面、半導体チップ、金属細線およびインナーリードを封止する樹脂36が設けられている。
金属細線は、図2の形状でなり、ワイヤループの高さを低く設定できるため、パッケージ厚みを薄くする事ができる。
【0042】
図4は、同様にこの釣り針形状のワイヤループをセラミック基板に適用したものである。
アルミナから成るセラミック基板40、41が積層されている。下方のセラミック基板40の中央は、半導体チップ42の配置領域となるように、上方のセラミック基板41は、設けられていない。この配置領域には、絶縁性または導電性の接着剤が設けられて、半導体チップ42が固着されている。また半導体チップの配置領域の周囲には、上方のセラミック基板41が位置し、電極43が設けられている。ここでは、下からNi、Auが焼結されている。またこの電極43の下方には、スルーホール44が設けられ、ここにはWが埋め込まれている。下方のセラミック基板40の端部には、このWが露出しており、Wの裏面と側部を覆うようにAuからなる電極45が形成されている。
【0043】
また半導体チップ42のボンディングパッドと前記電極43は、本発明の金属細線が接続されている。これも金属細線は、図2の形状でなり、ワイヤループの高さを低く設定できるため、パッケージ厚みを薄くする事ができる。
ここで2枚の積層されたセラミック基板は、若干上に凸で反るため、半導体チップ表面は、電極43よりも下方に設定されている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の半導体装置を説明する図である。
【図2】本発明に採用される金属細線のワイヤループを説明する図である。
【図3】本発明の半導体装置を説明する図である。
【図4】本発明の製造方法を説明する図である。
【図5】本発明の製造方法を説明する図である。
【図6】本発明の製造方法を説明する図である。
【図7】従来のワイヤループを説明する図である。
【図8】従来の半導体装置を説明する図である。
【符号の説明】
【0045】
51:金属細線
52:実装基板
53:電極
54:半導体チップ
55:ボンディングパッド
56A:1st ボンド
56B:2nd ボンド
57:湾曲部
58:頂部
59:第1の曲折部
60:第2の延在部
61:第2の曲折部
62:第3の延在部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャピラリ、前記キャピラリの端部近傍に位置するスパーク手段およびクランパを少なくとも有するボンディング装置を使い、半導体チップと前記半導体チップの周囲に配置される電極とを金属細線を使って電気的に接続する半導体装置の製造方法に於いて、
前記スパーク手段で前記キャピラリの端部に金属ボールを形成する際、前記スパーク手段に流れる電流の時間を制御する事で、前記金属ボールから延在される金属細線の再結晶部分から成る硬質部の長さを制御し、
前記金属ボールを前記半導体チップのボンディングパッドに接続し、
前記金属ボールと一体の金属細線は、頂部が上に配置された湾曲した軌跡を描いた湾曲部を有する第1の延在部と、前記第1の延在部の終端部に曲折部が設けられた後に、前記電極に向かって実質直線状に延在される第2の延在部とを有し、前記硬質部の終端領域が前記曲折部、または前記曲折部の前後に位置するように、前記キャピラリを使って前記金属細線を延在させる事を特徴とした半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記硬質部の長さは、およそ100μm〜200μmである請求項1に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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