説明

半導体装置の製造方法

【課題】この発明は、ベース板(放熱板)、絶縁基板および端子台を、それらの構造の複雑化を回避しつつ位置決めすることができる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ベース板(放熱板)、絶縁基板および端子台が重なる方向に向かって積み重ねることができる第1治具10、第2治具20、第3治具30を準備する。第1治具10は、ベース板2の面方向の移動を阻止する。第2治具20は、開口24により絶縁基板6を囲い、絶縁基板6の面方向の移動を阻止する。第3治具30は、開口34に端子台40をはめ込むことができるように形成されており、絶縁基板6上での端子台40の位置決めを行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、下記の特許文献1に開示されているように、ベース板(放熱板)、絶縁基板および端子台の位置決めを精度良く行うための技術が知られている。この従来の技術では、絶縁基板の位置決めを行うために、端子台の下方に延びる主端子の構造を工夫したり、絶縁基板自体に位置決め用突起を設けたりしている(特許文献1の図10参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−15444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術のように半導体装置側の構成に位置決めの機能を持たせる場合、半導体装置自体の構成が複雑化してしまうおそれがある。また、これに伴い、組立てを注意深く行うことが求められ、工程の煩雑化やコストアップを招くおそれもある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ベース板(放熱板)、絶縁基板および端子台を、それらの構造の複雑化を回避しつつ位置決めすることができる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するため、半導体装置製造用治具を用いて半導体装置を製造する製造方法であって、
前記半導体装置製造用治具は、
平面体を載せることができる載置部と、該載置部の外周を連続的または離間的に囲うように設けられた凸部とを備え、当該凸部により半導体装置のベース板を位置決めする第1治具と、
前記第1治具に重なるように位置した状態で固定可能とされ、第1の大きさを有し該第1治具に重なるように位置したときに前記凸部が囲う領域を露出させる開口を備え、当該開口により前記半導体装置の絶縁基板を位置決めする第2治具と、
前記第1、2治具にさらに重なるように位置した状態で固定可能とされ、前記第1の大きさ以下の第2の大きさを有し該第1、2治具に重なるように位置したときに該第2治具の前記開口を介して前記凸部が囲う前記領域をさらに露出させる開口を備え、当該開口により前記半導体装置の端子台を位置決めする第3治具と、
を備え、
前記第1治具は、前記載置部側の面に設けられた窪み、または、該第1、2、3治具が重なる方向に向かって貫通する第1貫通穴を備え、
前記第2治具は、前記第1、2、3治具が重なる方向に向かって貫通し、該第1、2、3治具が重なって位置したときに該第1、2、3治具が重なる方向に見た位置が前記窪みまたは前記第1貫通穴と一致する第2貫通穴を備え、
前記第3治具は、前記第1、2、3治具が重なる方向に向かって貫通し、該第1、2、3治具が重なって位置したときに該第1、2、3治具が重なる方向に見た位置が前記窪みまたは前記第1貫通穴、および前記第2貫通穴と一致する第3貫通穴を備え、
前記第1、2、3治具が重なって位置した時に、前記窪みまたは前記第1貫通穴、および前記第2、3貫通穴に共通に挿入されるピンを備え、
前記第2治具は、前記第1治具に重なる方向に対して垂直な面と略平行に固定可能な第1の平面体であり、
前記第3治具は、前記第1、2治具が重なる方向に対して垂直な面と略平行に固定可能な第2の平面体であり、
前記端子台は、前記絶縁基板上に接続すべき端子を備え、
前記端子は、前記端子台と前記絶縁基板とがリフローを経て一体化されたとき前記端子台と前記絶縁基板とが所定距離だけ離間された状態でそれらの間に挟まれるものであり、 前記第2、3治具により前記端子台が前記絶縁基板上に前記端子を挟んで位置決めされたときに、当該端子台と当該絶縁基板との間の距離に応じた隙間を形成するように前記第2、3治具はそれらが重なる方向に互いに離間して固定されかつ前記第2、3治具の間の隙間が前記第1、2の平面体の平面方向に開放されるものであり、
前記半導体装置の製造方法は、
前記半導体装置製造用治具を準備する準備工程と、
前記凸部により前記載置部上での摺動が阻止されるように前記第1治具の該載置部にベース板を載せるベース板位置決め工程と、
前記ベース板位置決め工程で前記載置部に載せられた前記ベース板に、前記第2治具の前記開口が該ベース板上の絶縁基板の外周を囲うように該第2治具を重ねる基板位置決め工程と、
前記基板位置決め工程で前記ベース板に重ねられた前記第2治具に前記第3治具をさらに重ねた状態で該第3治具の前記開口に端子台を挿入し、該端子台の端子を介して該端子台を前記絶縁基板に載せる端子台位置決め工程と、
前記ベース板位置決め工程、前記基板位置決め工程、前記端子台位置決め工程により重ねられていく前記第1、2、3治具のそれぞれを各位置に固定する治具固定工程と、
前記治具固定工程の後、前記第1、2、3治具が固定されている状態で、該第1、2、3治具により位置決めされている前記ベース板、前記絶縁基板および前記端子台を一体化する一体化工程と、
前記一体化工程の後、前記第1、2、3治具を、前記一体化された前記ベース板、前記絶縁基板および前記端子台から取り外す取り外し工程と、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、次に述べるようにして、ベース板、絶縁基板および端子台を位置決めすることができる。先ず、第1治具の載置部に、凸部によりその面方向の移動が阻止されるようにベース板を載せる。ベース板には、絶縁基板を固定しておく。次に、第2治具の開口からベース板上の絶縁基板が露出するように第1治具に第2治具を重ねて位置させて、第2治具を固定する。これにより、第2治具の開口が絶縁基板の周囲を囲って、この絶縁基板の面方向の移動を制限する。続いて、第2治具の開口から露出している絶縁基板が第3治具の開口から更に露出されるように第1、2治具にさらに第3治具を重ねて位置させて、第3治具を固定する。この第3治具の開口に端子台を挿入することにより、端子台の端子と絶縁基板とを接触させた状態で端子台の移動を阻止することができる。このように第1、2、3治具が機能することにより、ベース板、絶縁基板、端子台に複雑な位置決め構造を設けることなく、それらの部品を高精度に位置決めすることができる。さらに、本発明は、冷却工程における冷却効率が高く、リフロー後の冷却時間を短縮できるという利点もある。この半導体装置製造用治具を用いて、ベース板、絶縁基板、端子台の位置決めを、それらの部品の構造の複雑化を回避しつつ行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1の半導体装置製造用治具の構成を示す斜視図である。
【図2】実施の形態1の半導体装置製造用治具をその積層方向に切断した断面図である。
【図3】実施の形態1の半導体装置製造用治具が組み上がった状態を、その積層方向に切断した断面図である。
【図4】実施の形態1の変形例の構成を示す斜視図である。
【図5】実施の形態2の半導体装置製造用治具の構成を説明する図である。
【図6】実施の形態2の半導体装置製造用治具における第2治具の構成を示す図である。
【図7】実施の形態2の変形例の構成を示す平面図である。
【図8】実施の形態1に対する比較例としての半導体装置製造用治具のイメージ図である。
【図9】実施の形態1に対する他の比較例としての半導体装置製造用治具のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
[実施の形態1にかかる半導体装置製造用治具]
図1は、実施の形態1の半導体装置製造用治具の斜視図である。実施の形態1の半導体装置製造用治具は、第1治具10、第2治具20、第3治具30を備えている。また、図1には、治具による固定の様子を説明するために、放熱板であるベース板2も示されている。ベース板2は、その表面に絶縁基板6が予め固定され、その四隅に1つずつ貫通穴4を有している。以下の説明では、第1治具10、第2治具20、第3治具30のそれぞれの構成を、ベース板2との関係も踏まえつつ説明する。
【0010】
図1に示すように、実施の形態1は、第1治具10を備えている。第1治具10は、その中央に、第1治具10のほぼ全面に渡る大きさの矩形の凹部を備えている。この凹部は、底面14と、この底面14を連続的に囲うように設けられた凸部16とから構成されている。底面14はベース板2を置くための面であり、凸部16の側面は凹部の壁面として機能している。
【0011】
凹部の外形寸法は、ベース板2の外形寸法に合わせて形成されている。このため、凹部内に収まるようにベース板2を置くことにより、凸部16がベース板2の外周を連続的に囲むことになる。その結果、ベース板2の面方向の移動が阻止され、ベース板2の位置決めが達成される。なお、図1では図示していないが、底面14の四隅には、1つずつ、円筒形状の窪み(後述する窪み12)が設けられている。この窪み12は、ベース板2が凹部内に収められたとき、ベース板2の貫通穴4と連通する。
【0012】
図1に示すように、実施の形態1は、第2治具20を備えている。第2治具20は、図1に示すように、平らな矩形の板に2つの開口24が形成されたものである。2つの開口24は、ベース板2上の2つの絶縁基板6にそれぞれ対応する形状とされている。具体的には、本実施形態では、開口24の位置、形状および大きさは、第2治具20が第1治具10に重なったとき、開口24の外周が絶縁基板6の外縁を囲ってちょうど絶縁基板6を露出させるように定められている。
【0013】
その結果、第1治具10の凹部にベース板2が収められた状態でこの上に第2治具20が重なることにより、絶縁基板6の面方向の移動を開口24の側面で阻止することができる。
【0014】
ところで、本実施形態では、既述したように、絶縁基板6は予めベース板2に固定(半田付け)されている。この点だけ見れば、絶縁基板6の位置決めは本来必要が無いようにも思える。しかしながら、本実施形態では、後述するように、絶縁基板6と端子台とを半田付けすべく、治具による位置決めの後、加熱処理工程(リフロー工程)を行う。加熱処理により、端子台を接続するための半田が溶けるのと時を同じくして、絶縁基板6をベース板2に固定している半田も溶けてしまう可能性がある。このような状況下でも絶縁基板6を本来の搭載位置に確実に保持することが可能となる点に、第2治具20の意義がある。
【0015】
第2治具20は、その四隅に1つずつ、貫通穴22を備えている。貫通穴22の位置、形状および大きさは、第2治具20がベース板2に重なって位置したときに貫通穴22のそれぞれがベース板2の貫通穴4のそれぞれと連通するように定められている。
【0016】
図1に示すように、実施の形態1は、第3治具30をさらに備えている。第3治具30は、第2治具20と同様に、平らな矩形の板に2つの開口34を形成したものである。この2つの開口34は、後述する端子台の外形に応じた形状とされている。具体的には、開口34の位置、形状および大きさは、絶縁基板6と接続すべき端子台を開口34に紙面上方から下方に向かって挿入可能となるように定められている。開口34の側面によって端子台の位置決めを行うためである。
【0017】
また、開口34は、第2治具20の開口24よりも小さく形成されている。これは、端子台と絶縁基板6とが機械的に接続された後、図1の紙面上方へと第2治具20を取り外すことができるようにするためである。つまり、もし開口34が開口24よりも大きく形成されていて、この開口34に応じた大きさの端子台を絶縁基板6に半田付けしたとすると、その後第2治具20を紙面上方へと引き上げようとしても開口24のふちが端子台に引っ掛かってしまう。その結果、第2治具20の取り外しができなくなってしまう。このような理由から、開口34は開口24よりも小さく形成される。
【0018】
第3治具30は、その四隅に1つづつ、貫通穴を有している。この貫通穴には、1つずつ、ピン32が固定されている。図1に示すように、ピン32は、第1治具10、第2治具20、第3治具30が重なる方向に沿って伸びている。それぞれのピン32の位置、形状及び大きさは、第1治具10、ベース板2、第2治具20および第3治具30がこの順に重なったときに、窪み12、貫通穴4、22に挿入可能となるように定められている(図1の矢印)。
【0019】
ピン32が窪み12、貫通穴4、22に挿入されることにより、ベース板2の平面方向における第1治具10、ベース板2、第2治具20および第3治具30の移動がピン32によって一括して阻止される。換言すれば、ピン32は、第1治具10、ベース板2、第2治具20および第3治具30に対する共通の位置決め部材として機能する。また、本実施形態では、第2治具20と第3治具30とがともに平面体であり、ピン32によってそれらが離間されつつ固定される。
【0020】
第1治具10、第2治具20および第3治具30は、いずれも、リフロー(加熱処理)の際の温度(半田使用時には半田が溶ける程度の温度であり、例えば、250℃程度)に耐えうる材料(例えば金属材料)で形成されている。具体的には、本実施形態では、取り扱いが比較的容易であるアルミニウムを用いて各治具を形成する。但し、アルミニウム以外の金属でも良い。
【0021】
上記各治具を金属材料などの熱膨張を起こす材料を用いて形成する場合、加熱処理工程においてそれらの治具が膨張する。この熱膨張の程度によっては、嵌合しているピン32および各治具に過大な力が加わり、その後の工程で治具を取り外すのが困難になってしまうおそれがある。この点を考慮して、ピン32の直径と、窪み12、貫通穴4、22の直径とを定める際には、それらの間にある程度のクリアランスを設けておき、熱膨張時の変形を考えて逃がしをつけておくことが好ましい。
【0022】
具体的には、このクリアランスは、少なくとも、加熱処理工程において第1、2、3治具10、20、30及びピン32が熱膨張したときにそれらの変形が許容範囲内に収まる程度に、大きな値とされる。熱膨張時における変形の許容範囲とは、加熱処理工程の後、常温程度まで冷却されて第1、2、3治具10、20、30およびピン32が収縮した後にピン32を引き抜くことができる程度の、第1、2、3治具10、20、30及びピン32の変形の範囲を意味している。
【0023】
図2は、上記説明した図1の各構成をその積層方向に沿って切断した断面の図に相当している。説明の便宜上図1には示していない、絶縁基板6上のパワー素子8や、端子台40も図示している。図2に示すように、第1治具10、ベース板2、第2治具20、第3治具30が重なったとき、窪み12、貫通穴4、22、ピン32の位置が一致する。図2の破線矢印のように、ピン32を窪み12、貫通穴4、22に挿入することで、各構成部品の位置決めを行うことができる。また、ピン32は、図2に示すように、相対的に太い第1の部位と、相対的に細い第2の部位とを備えている。第2の部位が貫通穴22、4および窪み12に通じ、第1、2の部位の段差が第2治具20を紙面下方に押圧固定する。
【0024】
端子台40は、図2の紙面下方に延びる端子42を備えている。この端子42は、端子台40が第3治具30の開口34にはめ込まれたとき、絶縁基板6の所定の位置(配線パターン上)に載る。なお、絶縁基板6の当該所定の位置には、端子42との接続用の半田が塗布されている。
【0025】
図3は、図2に示した第1治具10、第2治具20、第3治具30およびベース板2、端子台40を重ねて、各治具がベース板2および端子台40を位置決めしている状態を示す図である。ベース板2が第1治具10の凹部に収納され、紙面横方向(つまりは、ベース板2の面方向)についての移動が阻止されている。また、第2治具20の開口24の側壁が絶縁基板6の周囲に位置し、絶縁基板6の搭載位置を保持する役割を果たしている。また、第3治具30の開口34の側壁が、端子台40を位置決めしている。
【0026】
以上説明したように、実施の形態1の半導体装置製造用治具によれば、ベース板2、絶縁基板6、端子台40および端子42の位置決めを、それらに複雑な構造を要求することなく行うことができる。そして、本実施形態では、第2治具20は開口24により絶縁基板6を、第3治具30は開口34によって端子台40を、それぞれ固定している。このように、治具に開口を設けてこの開口内に各構成部品を位置させて位置決めを行う手法によれば、各構成部品の位置決めを容易かつ確実に行うことができる。
【0027】
また、本実施形態では、縦方向に沿って3層に分割された第1治具10、第2治具20および第3治具30のそれぞれが、ベース板2、絶縁基板6および端子台40の各々を個別に固定している。このような構成によれば、組立て時、ベース板2側から端子台40まで積みあがる各々の部品が所望の位置に十分な精度で配置されているかを確認しながら、製造を進めることができる。また、各治具を順次重ねていくことで位置決めを行うことができ、組立ての工程が簡便になる。また、取り外しの際には各治具を積層方向に分離するだけでよい。
【0028】
また、ベース板、絶縁基板、端子台の仕様に応じて、多品種生産を行いたい場合にも、本実施形態の半導体装置製造用治具は優れている。例えば、絶縁基板の形状のみが異なる他の仕様の半導体装置を製造したい場合には、開口24の位置、形状、大きさを異ならしめた他の第2治具を準備しておくことで対応可能だからである。このように、本実施形態の治具を用いることで、工程が簡便になるとともに多品種生産も効率よく行うことができ、生産性が著しく向上する。
【0029】
また、本実施形態によれば、ピン32が、各治具に対する共通の位置決め部材として機能する。このような手法によればピン32の位置を基準として各治具を固定することができるため、複数の治具を単に積み上げたりする手法に比して相乗的な誤差を小さく抑えることができ、結果的に位置決め精度が向上する。また、本実施形態のようにピン32を挿入して位置決めを実現できるという構成は、作業性という面でも優れている。
【0030】
また、本実施形態では、第2治具20や第3治具30を、平面体としている。記述したように、本実施形態に係る半導体装置製造用治具は金属材料により形成されている。このため、各治具が高温環境下(例えば半田の融点程度)におかれたとき、熱膨張により各治具がどのように膨張、変形するのかを把握しておくことが望ましい。この点、本実施形態は、第2治具20、第3治具30をシンプルな平面体構造としているので、多数の突起や段差、曲面などを備えるような複雑な形状の治具を用いる場合に比して、治具が熱膨張によりどの様に膨張、変形するかを比較的容易かつ正確に把握することができる。
【0031】
尚、上述した実施の形態1では、第1治具10が、課題を解決するための手段の欄に記載した本発明(以下、「前記本発明」と称す)における「第1治具」に、第2治具20が、前記本発明における「第2治具」に、第3治具30が、前記本発明における「第3治具」に、それぞれ相当している。また、底面14が、前記本発明における第1治具が備える「載置部」に、凸部16が、前記本発明における第1治具が備える「凸部」に、それぞれ相当している。また、開口24が、前記本発明における第2治具が備える「開口」に、ベース板2が無い状態で第2治具20を第1治具10と重ねて配置したときに開口24から見える底面14の一部が、前記本発明における第2治具の開口が露出させる「凸部が囲う領域」に、それぞれ相当している。また、開口34が、前記本発明における第3治具が備える「開口」に相当している。
【0032】
[実施の形態1にかかる半導体装置の製造方法]
次に、上記述べた実施の形態1の半導体装置製造用治具を用いた、半導体装置の製造方法について説明する。
【0033】
(準備工程)
先ず、既述した、第1治具10、第2治具20および第3治具30を準備する。凹部や開口24、34などは、製造の対象となる半導体装置の仕様に応じた形状で形成しておく。
【0034】
(ベース板位置決め工程)
次に、第1治具10の凹部内に収まるように、ベース板2を底面14に載せる。これにより、凸部16が底面14上でのベース板2の摺動を阻止し、ベース板2が位置決めされる。
【0035】
(基板位置決め工程)
続いて、ベース板位置決め工程で底面14に載せられたベース板2に、第2治具20を重ねる。準備工程で述べたように、開口24は絶縁基板6に応じた形状、大きさとされている。このため、開口24によって絶縁基板6の外周が囲まれ、ちょうど絶縁基板6だけが開口24から露出することになる。
【0036】
(端子台位置決め工程)
次に、基板位置決め工程でベース板2に重ねられた第2治具20に、第3治具30をさらに重ねる。具体的には、第3治具30に一体化されているピン32の各々を、第2治具20の貫通穴22の各々に挿入する。ピン32は、貫通穴22の下層に位置するベース板2の貫通穴4を通過し、第1治具10の窪み12に入って第1治具10に当接する。この状態で、第3治具30の開口34に端子台40を挿入する。端子台40下方に伸びる端子42を、絶縁基板6上の所定位置に載せる。絶縁基板6上の端子42載置位置には、半田を塗布しておく。
【0037】
(治具固定工程)
なお、上記の端子台位置決め工程では、ピン32の挿入により、第1治具10、第2治具20、第3治具30の固定(積層面方向の固定)が一括して行われている。
【0038】
(加熱工程)
次に、上記の工程を経て組み立てられた治具および部品をリフローする。具体的には、例えば、第1治具10をホットプレートに載せ、第1治具10の裏面側から熱を加える。絶縁基板6と端子42との間に介在する半田を溶かすためである。このとき、第2治具20が絶縁基板6を位置決めしているので、ベース板2と絶縁基板6とを接続する半田も溶けてしまった場合でも絶縁基板6がずれるのを抑制できる。
【0039】
ところで、リフロー中に、絶縁基板6上に存在する半田が周囲に飛散してしまうことがある。飛散した半田(半田ボールとも称される)がベース板2に付着すると、製造工程に好ましくない影響を及ぼすおそれがある。
【0040】
この点、本実施形態では、開口24の外周形状と絶縁基板6の外周形状とが対応して、ちょうど絶縁基板6のみを露出させている。つまり、ベース板2上の絶縁基板6以外の部位は、第2治具20の表面によって覆われている。従って、第2治具20を、ベース板2の保護カバー(マスク)として機能させることができる。
【0041】
(冷却工程)
リフロー後は、組み立てた治具を取り外さずに冷却工程を行う。これにより、ベース板2、絶縁基板6、端子台40の半田付けが完成し、それらの部品が一体化される。本実施形態では、第2治具20と第3治具30との間が離間されており、これらの治具の隙間を通って熱が逃げやすくなっている。しかも、第2治具20と第3治具30がともに平面体であるため、治具間の隙間が四方に向かって開いている。このような構成により、本実施形態は、冷却工程における冷却効率が高く、冷却時間を短縮できるという利点もある。
【0042】
(取り外し工程)
冷却工程の後は、第3治具30、第2治具20を上方に取り外す。これにより、半田付けにより一体化されたベース板2、絶縁基板6および端子台40を、治具から簡単に取り外すことができる。なお、その後の工程では、一体化されたベース板2、絶縁基板6および端子台40へのケースの取り付けなどが行われる。
【0043】
以上説明したように、実施の形態1の製造方法によれば、実施の形態1の半導体装置製造用治具を用いて、ベース板、絶縁基板、端子台の位置決めを、それらの部品の構造の複雑化を回避しつつ行うことができる。
【0044】
[実施の形態1に対する比較例]
以下、比較例を用いて、実施の形態1の利点を更に説明する。図8および図9は、実施の形態1に対する比較例を説明するための図である。この比較例は、ベース板、絶縁基板、端子台を含む半導体装置を製造するための技術である点は、実施の形態1と同様である。しかしながら、この比較例は、ベース板、絶縁基板、端子台を積み重ねそれらの側面を挟み込むようにして位置決めを行う点で、実施の形態1と技術的思想が相違している。
【0045】
図8は、第1比較例を示す図である。図8(a)は、第1比較例の半導体製造用治具を模式的に示す斜視図である。比較例では、ベース板102上の絶縁基板106を横方向から挟みこむように2つの治具120が位置している。絶縁基板上に端子台が載せられたとき、この2つの治具120がこの端子台を挟み込む。図8(b)は、第1比較例の半導体製造用治具の断面図である(なお、イメージ図のため、図8(a)と厳密に対応させてはいない)。ベース板102上の絶縁基板106と、その上に位置する端子台とが、2つの治具120によって挟み込まれている。
【0046】
図9を用いて、比較例の思想について更に詳しく説明する。図9は、第1比較例と同様の思想に基づいて構成された第2比較例を示す図である。図9には、ベース板102、表面にパワー素子108が固定された絶縁基板106、端子142を備える端子台140が図示されている。治具110と、治具120は、ピン132で連結されている。
【0047】
図9と図3とを比較してみることにより、比較例と実施の形態1との相違が明確となる。既述したように、実施の形態1の半導体装置製造用治具は、半導体装置の構成部品(ベース板2、絶縁基板6、端子台40)の積層方向(つまり、図3の紙面縦方向)に、3つの治具(第1治具10、第2治具20、第3治具30)が重なって位置するという構成である。これに対して、第2比較例は、ベース板102、絶縁基板106および端子台140に対して、図9に示すように、治具120が紙面左右方向からそれらの構成部品を挟み込むという構成になっている。
【0048】
このような第2比較例の構成だと、2つの治具120が、それぞれ、ピン132を支点として紙面左右方向にぐらついてしまうおそれがある。これに起因して、2つの治具120が紙面左右方向に扇形に開いてしまうと、端子台140を挟み込む機能が弱まり、位置決め精度が低下してしまう恐れがある。この点、実施の形態1は、縦方向に積み重なる複数の治具を用いて位置決めを行うという思想に基づいているので、治具が横方向に開いてしまうという問題を回避できる。
【0049】
また、治具120は、絶縁基板106と端子台140の両方を一括して挟み込めるように設計される必要がある。従って、絶縁基板を変更したいという要求があったときには、同じ端子台140を用いる場合であっても治具120全体を作り直さざるをえない。この点、実施の形態1では構成部品ごとに治具が独立しているので、絶縁基板だけを変更するという場合には第2治具20のみを変更すれば足りる。
【0050】
[実施の形態1の変形例]
(第1変形例)
実施の形態1では、ピン32により、第1治具10、第2治具20、第3治具30の固定を行った。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。第1、2、3治具のそれぞれが、個別に固定機能を備えるようにしてもよい。
【0051】
図4は、実施の形態1の第1変形例を示す斜視図である。第1変形例では、第3治具55が、四隅に1つずつ、裏面側(第2治具側)に向かって伸びる足部56を備えている。そして、第2治具52も、同様に、四隅に1つずつ、裏面側に向かって伸びる足部53を備えている。第2治具52の表面側(第3治具55側)には、四隅に1つずつ、窪み54が備えられている。このように、第2治具52および第3治具55がそれぞれ裏面側に伸びる足を備える構成としてもよい。なお、図4では省略しているが、第1変形例でも、ベース板2のさらに下側に第1治具10を置いてベース板2の位置決めを行うことができる。
【0052】
なお、図4の変形例のような構造の場合、実施の形態1とは異なり、第1、2、3治具を組み立てていくのに並行して、第1、2、3治具の面方向の固定(治具固定工程)も進んでいくことになる。このように、図4の変形例のような各層の治具が個別に固定機構を備える場合には、実施の形態1でピン32を挿入して第1、2、3治具の固定が完成する場合とは異なり、位置決め工程と治具固定工程とが並行して行われることになる。
【0053】
(第2変形例)
実施の形態1では、第1治具10の凸部16により、ベース板2の面方向の移動を阻止した。しかしながら、これ以外の手法を用いて、ベース板2の面方向の移動を阻止しても良い。例えば、底面14とベース板2の裏面との間に凹凸を設けてそれらを嵌合させることにより、ベース板2の摺動を規制してもよい。また、第1治具10のように底面14の周囲を凸部16が連続的に囲う手法に限らず、例えば、底面14の周囲に所定間隔をおきながら複数個のピンを凸部として並べたり、底面14の四隅だけにくの字型の凸部を設けるなどの手法を採用してもよい。
【0054】
(第3変形例)
実施の形態1では、予め絶縁基板6が固定された状態のベース板2を第1治具10に載せ、絶縁基板6を露出させるように第2治具20を重ねた。しかしながら、本発明にかかる半導体装置製造用治具の使い方は、これに限られるものではない。絶縁基板6が予め固定されていない場合には、第2治具20を重ねた結果ベース板2表面のうち絶縁基板6を搭載すべき領域が開口24から露出する。従って、この領域に絶縁基板6を事後的に載せるという製造手法を採用することもできる。
【0055】
(第4変形例)
実施の形態1では、開口24、34の貫通方向に見た外形が、絶縁基板6や端子台40の外形に応じた四角形とされている。しかしながら、開口24、34の形状は、これに限定されるものではない。例えば、開口24が果たすべき機能は、少なくとも、絶縁基板6を露出させ、かつ絶縁基板6の面方向の移動および回転を阻止するということである。つまり、これらの機能を満たす形状であれば、必ずしも絶縁基板6の外形と開口24の外形とが相似である必要はない。但し、絶縁基板6の回転を防止するという観点からは、開口24の輪郭は非円形形状とすることが好ましい。この点は、第3治具30の開口34の外形と、端子台40の外形との関係についても同様にあてはまる。
【0056】
なお、本実施形態では、取り扱いが比較的容易であるアルミニウムを用いて各治具を形成した。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。アルミニウム以外の金属材料や、その他の種々の耐熱性の材料を用いることができる。
【0057】
実施の形態2.
[実施の形態2にかかる半導体装置製造用治具]
実施の形態2は、実施の形態1と同様に、複数の治具を縦方向に重ねるという思想に基づくものである。しかしながら、実施の形態2は、主に、第2治具の構成について、実施の形態1と相違する。以下、図5および6を用いて、実施の形態2の半導体装置製造用治具の構成について説明する。
【0058】
図5は、実施の形態2の半導体装置製造用治具の構成を示す斜視図である。図5に示されている構成は、第2治具20が第2治具60に、第3治具30が第3治具80に、それぞれ置換されている点、および、絶縁基板6のサイズが異なっている点を除き、実施の形態1の図1と同様の構成である。第2治具60は、第1部材61と、ハッチングを付した第2部材66とから構成されている。第3治具80は、1つの開口84を備えている。
【0059】
図6(a)、(b)は、実施の形態2の第2治具60の平面図である。図6(c)は、図6(b)を紙面右側から見た図である。図6(a)に示すように、第1部材61はコの字型の外形を有している。第2部材66は、図中矢印のように、第1部材61のコの字の内側に向かって抜き差し可能とされている。第2部材66が差し込まれたときに、第1部材61および第2部材66により、2つの開口64が形成される。つまり、第2部材66を第1部材61に装着または取り外すことにより、第2治具60における絶縁基板6の位置決め用の開口の大きさや形状を変化させることができる。
【0060】
ところで、実施の形態1では、第3治具30の開口34が第2治具20の開口24よりも小さく形成されている。つまり、絶縁基板の外形よりも端子台の外形のほうが小さいような仕様の半導体装置を前提として、治具が構成されている。これは、端子台40を絶縁基板6に固定した後の工程で、第2治具20の取り外しができなくなってしまうのを防ぐためである。製造対象の半導体装置の仕様が、常に、端子台の外形が絶縁基板の外形以下という条件を満たしていれば、このような制約は問題ない。しかしながら、半導体装置の仕様によっては、端子台の外形が絶縁基板の外形よりも大きくなる場合もありうる。
【0061】
そこで、実施の形態2では、そのような状況に対応すべく、第2治具を、第1部材61と第2部材66の2部品からなる構成としている。そして、これら二つの部材により開口64の大きさ、形状を変更できるようにしている。このような構成によれば、先ず、基板位置決め時には第2部材66を第1部材61に挿入して、開口64を用いた位置決めを行うことができる。そして、端子台と絶縁基板とを半田付けしたあとの取り外し工程の際には、第3治具80およびピン32を紙面上方に引き抜いたあと、第1部材61と第2部材66とを、面方向に沿って分離することができる。
【0062】
以上のように、実施の形態2によれば、図5のように第3治具80が1つの大きな開口84を備えていて、第2治具60の上に2つの開口64を跨ぐように1つの端子台が取り付けられたとしても、第2部材66を引き抜いて第1部材61を取り外すことにより、問題なく第2治具60の取り外しが可能となる。
【0063】
なお、第1、2部材の設計時点で、第1部材61のコの字型の部位を、端子台に引っ掛らない程度に十分に余裕を持たせて設計しておくこともできる。換言すれば、第3治具80の開口84が第1部材61のコの字型の内側に収まるように、第1部材61の形状を定めておくことができる。これにより、端子台と絶縁基板とが半田付けされている状況下でも、第2部材66を取り外せば第1部材61を図5の紙面上方に向かって取り外すことができる。その結果、例えば実施の形態1の第1変形例のような固定機構を用いる場合に、第1部材61を図5の紙面上方に向かって取り外したいという状況下でも、第2治具60が端子台に引っ掛って抜けなくなるという事態を回避することができる。
【0064】
[実施の形態2にかかる半導体装置の製造方法]
次に、上記述べた実施の形態2の半導体装置製造用治具を用いた、半導体装置の製造方法について説明する。なお、実施の形態2においても、実施の形態1における準備工程、ベース板位置決め工程、端子台位置決め工程、治具固定工程、加熱工程、冷却工程を、適用することができる。このため、以下の説明では、実施の形態1と主に相違する基板位置決め工程、取り外し工程についてのみ説明する。なお、製造時の工程の順番についても実施の形態1と同様とすることができる。
【0065】
(基板位置決め工程)
ベース板位置決め工程で底面14に載せられたベース板2に、第1部材61と第2部材66とを合体した状態(図6(b))の第2治具60を重ねる。開口64は、絶縁基板に応じた形状、大きさとされている。このため、開口64によって絶縁基板の外周が囲まれ、ちょうど絶縁基板だけが開口64から露出することになる。これにより、実施の形態1でのべた半田飛散に対するカバーの効果も得られる。
【0066】
(取り外し工程)
冷却工程の後、治具の取り外しの段階となったら、先ず、第3治具80を図5の紙面上方へ抜く。また、第2部材66を第1部材61から抜く。これにより、絶縁基板の位置決め時には存在した、2つの開口64の間にある斜線部分が取り外され、ベース板2上には第1部材61のみが存在することになる。第1部材61を面方向に沿って(図5の紙面左方側へ)引き抜くことにより、第2治具60の取り外しが完了する。
【0067】
以上説明したように、実施の形態2の製造方法によれば、実施の形態2の半導体装置製造用治具を用いて、ベース板、絶縁基板、端子台の位置決めを、それらの部品の構造の複雑化を回避しつつ行うことができる。
【0068】
なお、第2部材66の形状を、絶縁基板の配置位置や大きさに合わせて複数種類用意しておくこともできる。これにより、すくなくとも第1部材61を流用しながら、多品種生産が可能となる。図7に、実施の形態2の変形例として、第2治具70を示す。図7のように、第1部材71と、この第1部材71のコの字型形状の内側の領域を十字型に分割するような第2部材76とから、第2治具70を構成してもよい。これにより、開口74を用いて、更に小さな絶縁基板を搭載するような他の仕様の半導体装置も製造可能となる。
【0069】
なお、実施の形態2についても実施の形態1の変形例の思想を適用することができることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0070】
2 ベース板
4 貫通穴
6 絶縁基板
8 パワー素子
10 第1治具
12 窪み
14 底面
16 凸部
20、52、60、70 第2治具
22 貫通穴
24、34、64、84 開口
30、55、80 第3治具
32 ピン
40 端子台
42 端子
53、56 足部
54 窪み
61、71 第1部材
66、76 第2部材
102 ベース板
106 絶縁基板
108 パワー素子
110 治具
120 治具
132 ピン
140 端子台
142 端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置製造用治具を用いて半導体装置を製造する製造方法であって、
前記半導体装置製造用治具は、
平面体を載せることができる載置部と、該載置部の外周を連続的または離間的に囲うように設けられた凸部とを備え、当該凸部により半導体装置のベース板を位置決めする第1治具と、
前記第1治具に重なるように位置した状態で固定可能とされ、第1の大きさを有し該第1治具に重なるように位置したときに前記凸部が囲う領域を露出させる開口を備え、当該開口により前記半導体装置の絶縁基板を位置決めする第2治具と、
前記第1、2治具にさらに重なるように位置した状態で固定可能とされ、前記第1の大きさ以下の第2の大きさを有し該第1、2治具に重なるように位置したときに該第2治具の前記開口を介して前記凸部が囲う前記領域をさらに露出させる開口を備え、当該開口により前記半導体装置の端子台を位置決めする第3治具と、
を備え、
前記第1治具は、前記載置部側の面に設けられた窪み、または、該第1、2、3治具が重なる方向に向かって貫通する第1貫通穴を備え、
前記第2治具は、前記第1、2、3治具が重なる方向に向かって貫通し、該第1、2、3治具が重なって位置したときに該第1、2、3治具が重なる方向に見た位置が前記窪みまたは前記第1貫通穴と一致する第2貫通穴を備え、
前記第3治具は、前記第1、2、3治具が重なる方向に向かって貫通し、該第1、2、3治具が重なって位置したときに該第1、2、3治具が重なる方向に見た位置が前記窪みまたは前記第1貫通穴、および前記第2貫通穴と一致する第3貫通穴を備え、
前記第1、2、3治具が重なって位置した時に、前記窪みまたは前記第1貫通穴、および前記第2、3貫通穴に共通に挿入されるピンを備え、
前記第2治具は、前記第1治具に重なる方向に対して垂直な面と略平行に固定可能な第1の平面体であり、
前記第3治具は、前記第1、2治具が重なる方向に対して垂直な面と略平行に固定可能な第2の平面体であり、
前記端子台は、前記絶縁基板上に接続すべき端子を備え、
前記端子は、前記端子台と前記絶縁基板とがリフローを経て一体化されたとき前記端子台と前記絶縁基板とが所定距離だけ離間された状態でそれらの間に挟まれるものであり、 前記第2、3治具により前記端子台が前記絶縁基板上に前記端子を挟んで位置決めされたときに、当該端子台と当該絶縁基板との間の距離に応じた隙間を形成するように前記第2、3治具はそれらが重なる方向に互いに離間して固定されかつ前記第2、3治具の間の隙間が前記第1、2の平面体の平面方向に開放されるものであり、
前記半導体装置の製造方法は、
前記半導体装置製造用治具を準備する準備工程と、
前記凸部により前記載置部上での摺動が阻止されるように前記第1治具の該載置部にベース板を載せるベース板位置決め工程と、
前記ベース板位置決め工程で前記載置部に載せられた前記ベース板に、前記第2治具の前記開口が該ベース板上の絶縁基板の外周を囲うように該第2治具を重ねる基板位置決め工程と、
前記基板位置決め工程で前記ベース板に重ねられた前記第2治具に前記第3治具をさらに重ねた状態で該第3治具の前記開口に端子台を挿入し、該端子台の端子を介して該端子台を前記絶縁基板に載せる端子台位置決め工程と、
前記ベース板位置決め工程、前記基板位置決め工程、前記端子台位置決め工程により重ねられていく前記第1、2、3治具のそれぞれを各位置に固定する治具固定工程と、
前記治具固定工程の後、前記第1、2、3治具が固定されている状態で、該第1、2、3治具により位置決めされている前記ベース板、前記絶縁基板および前記端子台を一体化する一体化工程と、
前記一体化工程の後、前記第1、2、3治具を、前記一体化された前記ベース板、前記絶縁基板および前記端子台から取り外す取り外し工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第2治具は前記ベース板と同程度の大きさの外形を有しており、かつ、該第2治具の前記開口は、貫通方向に見た外形が前記絶縁基板の外形と略同一形状に形成されていて、
前記基板位置決め工程は、前記第2治具の前記開口が前記絶縁基板の外形を囲いながら該絶縁基板を露出させ、かつ、該第2治具が前記ベース板の表面を覆うように、該第2治具を前記第1治具に重ねる工程であり、
前記端子台位置決め工程は、前記端子台の前記端子を半田を介して前記絶縁基板に載せる工程であり、
前記一体化工程は、前記治具固定工程で前記第1、2、3治具が固定されている状態で、前記絶縁基板と前記端子台との間に介在する前記半田を溶かすように熱を加える加熱工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第2、3治具は、それらが重なる方向に離間した状態に固定可能とされていて、
前記端子台位置決め工程は、前記端子台の前記端子を、半田を介して前記絶縁基板に載せる工程であり、
前記一体化工程は、前記治具固定工程の後に前記第1、2、3治具が固定されている状態で、前記絶縁基板と前記端子台との間に介在する前記半田を溶かすように熱を加える加熱工程を含み、
前記加熱工程の後で、かつ、前記取り外し工程の前に、前記第1、2、3治具が固定されている状態で、該加熱工程で溶かされた前記半田を冷やす冷却工程が介在することを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1、2、3治具及び前記ピンはいずれも熱膨張する材料で形成されており、
前記窪みまたは前記第1貫通穴の寸法、前記第2、3貫通穴の寸法および前記ピンの外
形寸法は、該窪みまたは前記第1貫通穴、該第2、3貫通穴に該ピンが共通に挿入された
状態で、該ピンと、該窪みまたは前記第1貫通穴、該第2、3貫通穴との間に、隙間が生
ずるように定められていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−142640(P2012−142640A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−104693(P2012−104693)
【出願日】平成24年5月1日(2012.5.1)
【分割の表示】特願2007−252215(P2007−252215)の分割
【原出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】