説明

半導体装置の製造方法

【課題】より簡便に樹脂突起に形成された凹部の深さ(樹脂の除去量)を検査することができる半導体基板の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る半導体装置の製造方法は、第1の面を有する半導体基板と、前記第1の面に位置する第1電極及び第2電極と、前記第1の面に位置する第1樹脂突起及び第2樹脂突起と、前記第1樹脂突起の第1の部分を覆い、前記第1電極に接続された第1配線と、前記第1樹脂突起の第2の部分を覆い、前記第2電極に接続された第2配線と、を有する構造体を用意する第1工程と、前記第1樹脂突起の前記第1の部分と前記第2の部分の間の第3の部分の一部と、前記第2樹脂突起の少なくとも一部と、を同時にエッチングする第2工程と、前記第2工程後の前記第2樹脂突起の形状から、前記第2工程のエッチングにおける前記第3の部分の除去量が適正であるかを判断する第3工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶表示装置等の電子部品では、配線基板となるガラス基板に、集積回路が搭載された半導体基板が接続(COG実装)される。このように配線基板に実装される半導体基板であって、樹脂突起と、その上に形成された複数の配線から構成された外部端子を有する半導体基板が知られている(特許文献1)。このような半導体基板を用いることで、接着剤を介して外部端子を配線基板に押し当てて、外部端子を配線基板と電気的に接続する押圧工程において、外部端子の樹脂突起の弾性力でもって物理的ダメージを回避しながら半導体基板を配線基板に電気的に接続することができる。
【0003】
しかしながら、このような押圧工程では、接着剤が排出される経路を形成することで一定の排出性を担保し、半導体基板と配線基板との間に残留する接着層の量を適量とする必要がある。仮に、押圧工程における接着剤の排出量が十分でなく、必要以上の接着剤が半導体基板と配線基板間に残留した場合、接着剤から発生する応力により半導体基板と配線基板の剥離が発生する可能性があり、電子部品の信頼性に影響を与える恐れがある。
【0004】
これに対し、接着剤の排出性を向上させるため、複数の配線間の樹脂突起に凹部を形成することで、接着剤の排出経路を担保することが知られている(特許文献1)。上記不具合防止の観点から、半導体装置の製造工程においては、当該凹部が十分な深さでもって形成されているか否かを判断するために検査工程を設ける必要がある。例えば、このような凹部の深さ(若しくは凹部底面の半導体基板からの高さ)を検査するために、三次元方向の深さを測定することができるレーザー顕微鏡等を用いた検査手法を適用することができる。
【0005】
しかしながら、このような検査手法は、高価な測定機器の導入コストが必要な上、ポイント毎の各測定において相当の計測時間が必要となる。半導体装置を商業的に生産する製造方法では、半導体装置となるチップ領域が複数形成されたウェハーを、製造ライン上で連続して処理する必要がある。したがって、このような検査手法は、製造ラインのスループットを著しく低下させ、検査工程のコストを上昇させる可能性がある。
【0006】
また、屈折率を利用するATR法などの光学的測定法を用いた検査手法により、凹部の深さを測定することも考えられるが、レーザー顕微鏡等の測定装置を用いた場合と同様に、商業的生産性を低下させる可能性がある。また、凹部表面からの反射光を利用する場合、凹部の表面状態によって、測定結果が影響されるため、検査結果に信頼性を担保することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−100505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の事情を鑑み、より簡便に樹脂突起に形成された凹部の深さ(樹脂の除去量)を検査することができる半導体基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、第1の面を有する半導体基板と、前記第1の面に位置する第1電極及び第2電極と、前記第1の面に位置する第1樹脂突起及び第2樹脂突起と、前記第1樹脂突起の第1の部分を覆い、前記第1電極に接続された第1配線と、前記第1樹脂突起の第2の部分を覆い、前記第2電極に接続された第2配線と、を有する構造体を用意する第1工程と、前記第1樹脂突起の前記第1の部分と前記第2の部分の間の第3の部分の一部と、前記第2樹脂突起の少なくとも一部と、を同時にエッチングする第2工程と、前記第2工程後の前記第2樹脂突起の形状から、前記第2工程のエッチングにおける前記第3の部分の除去量が適正であるかを判断する第3工程と、を含む。
【0010】
本発明によれば、より簡便に樹脂突起に形成された凹部の深さを検査することができる半導体基板の製造方法を提供することができる。
【0011】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記第2工程前の、前記第1樹脂突起の前記第3の部分の前記第1の面からの高さと、前記第2樹脂突起の前記第1の面からの高さは同じであってもよい。
【0012】
これによれば、より簡便に樹脂突起に形成された凹部の深さを検査することができる。
【0013】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記第2工程前の、前記第2樹脂突起は半球状であってもよい。
【0014】
これによれば、より簡便に樹脂突起に形成された凹部の深さを検査することができる。
【0015】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記構造体は、複数の前記第2樹脂突起を有していてもよい。
【0016】
これによれば、より簡便に樹脂突起に形成された凹部の深さを検査することができる。
【0017】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記構造体は、前記第1の面に位置し、前記第2樹脂突起と同じ形状を有する第3樹脂突起と、前記第3樹脂突起を覆う金属層と、を更に有し、前記第3工程は、前記第3樹脂突起の形状と、前記第2工程後の前記第2樹脂突起の形状を比較することで、前記第3の部分の除去量が適正か判断してもよい。
【0018】
これによれば、より簡便に樹脂突起に形成された凹部の深さを検査することができる。
【0019】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記構造体は、前記第1の面に位置し、前記第1の面からの高さが前記第2樹脂突起よりも低い第4樹脂突起を更に有し、前記第3工程では、前記第2工程後の前記第4樹脂突起の存否と前記第2樹脂突起の形状から、前記第3の部分の除去量が適正か判断してもよい。
【0020】
これによれば、より簡便に樹脂突起に形成された凹部の深さを検査することができる。
【0021】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記第3の部分の除去量が適正であった場合の前記第2工程における前記第2樹脂突起の形状の変化量を事前に測定し、前記第3工程において、前記変化量を前記判断の基準に用いてもよい。
【0022】
これによれば、より簡便に樹脂突起に形成された凹部の深さを検査することができる。
【0023】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記第2工程は、ドライエッチング装置を用いてもよい。
【0024】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、前記構造体は、複数のチップ領域を有する基板の前記チップ領域にそれぞれ設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態に係る半導体装置の製造方法のフローチャート。
【図2】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的に説明する図。
【図3】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的に説明する図。
【図4】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的に説明する図。
【図5】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を適用した半導体装置を有する電子部品の製造方法を模式的に説明する図。
【図6】本実施形態に係る半導体装置の製造方法を適用した半導体装置を有する電子部品の一例を模式的に示す斜視図。
【図7】第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的に説明する図。
【図8】第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的に説明する図。
【図9】第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的に説明する図。
【図10】第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を模式的に説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明を適用した実施形態の一例について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施形態のみに限定されるものではない。本発明は、以下の実施形態及びその変形例を自由に組み合わせたものを含むものとする。
【0027】
1. 第1実施形態
以下、図面を参照して、本実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
【0028】
図1は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法のフローチャートであり、図2(A)〜図4(C)は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を模式的に説明する要部の平面図及び断面図である。
【0029】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、図1に示すように、構造体を用意する第1工程(S1)と、第1樹脂突起及び第2樹脂突起をエッチングする第2工程(S2)と、第1樹脂突起の除去量が適正であるかを判断する第3工程(S3)と、を有する。
【0030】
[構造体を用意する第1工程(S1)]
まず、図2(A)〜図3(D)に示すように、構造体50を用意する。構造体50を用意する第1工程(S1)は、図2(A)〜図2(D)に示される構造体50を用意することができる限り、特に限定されない。以下において、構造体50の構成を説明した後、その製造方法の一例を説明するが、本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、下記の製造方法に限定されるものではない。
【0031】
図2(A)は、用意される構造体50を模式的に説明する平面図であり、図2(B)は、図2(A)のIIB−IIB線における断面図であり、図2(C)は、図2(A)のIIC−IIC線における断面図であり、図2(D)は、図2(A)のIID−IID線における断面図である。図3(A)〜図3(D)は、図2(A)〜図2(D)に示す構造体50を用意する工程(製造する工程)の一例を模式的に説明する断面図であり、図2(B)に対応する。
【0032】
本工程において用意される構造体50は、図2(A)〜図2(C)に示すように、第1の面11を有する半導体基板10と、第1の面11に位置する第1電極14a及び第2電極14bと、第1の面11に位置する第1樹脂突起20及び第2樹脂突起41と、第1樹脂突起20の第1の部分21を覆い、第1電極14aに接続された第1配線30aと、第1樹脂突起20の第2の部分22を覆い、第2電極14bに接続された第2配線30bと、を有する。
【0033】
図2(A)に示すように、用意される半導体基板10は、後述される電極14等が設けられる第1の面11を有する。第1の面11は、例えば、長手方向の2つの長辺10aと短手方向の2つの短辺10b(長手方向の辺よりも短い辺)とを有してもよい。第1の面11は、長辺10aと短辺10bとが形成する4つの角部10cを有する矩形であってもよい。半導体基板10はチップ状をなしてもよい。
【0034】
半導体基板10の材質は、特に限定されず、シリコン基板、ガラス基板、セラミックス基板、プラスチック基板等を挙げることができる。また、半導体基板10は、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる基板又はフィルムであってもよい。あるいは、半導体基板10は、ポリイミド樹脂からなるフレキシブル基板を使用してもよい。半導体基板10に、フレキシブル基板としてFPC(Flexible Printed Circuit)や、TAB(Tape Automated Bonding)技術で使用されるテープ基板を使用してもよい。
【0035】
図2(A)に示すように、半導体基板10には、集積回路1が形成されていてもよい。集積回路1の構成は特に限定されないが、例えば、トランジスター等の能動素子や、抵抗、コイル、コンデンサー等の受動素子を含んでもよい。あるいは、半導体基板10は、複数の半導体基板10からなる半導体ウエハーであってもよい。
【0036】
図2(A)に示すように、用意される半導体基板10の第1の面11には、検査領域40が設けられる。検査領域40は、その上方に後述される第2樹脂突起41が位置する領域であって、検査工程(S3)において、視覚的な検査を行うために設計上で設けられる仮想領域である。
【0037】
検査領域40が設けられる領域は、特に限定されない。例えば、第1の面11には、1つの検査領域40が設けられてもよい(図示せず)。また、例えば、図2(A)に示すように、第1の面11には、複数の検査領域40が設けられてもよい。例えば、検査領域40は、半導体基板10の角部10cにそれぞれ設けられてもよい。また、例えば、検査領域40は、第1の面11の中央領域(集積回路1の上方)に配置されてもよい(図示せず)。また、例えば、図2(A)に示すように、検査領域40は、第1の面11の辺(例えば、長辺10a)と後述される第1樹脂突起20との間に設けられてもよい。
【0038】
図2(A)及び図2(B)に示すように、半導体基板10は、第1の面11上に複数の電極14が位置する。電極14は、半導体基板10の内部に形成された集積回路1と内部配線(図示せず)によって電気的に接続されてもよい。電極14は、半導体基板10の内部配線の一部であってもよい。複数の電極14は、図2(A)半導体基板10の周縁部(例えば、長辺10a)に沿って設けられてもよい。ここで、図2(A)に示すように、第1電極14a及び第2電極14bは、複数の電極14のうち、隣り合う2つの電極である。電極14の材質は、導電性を有する限り、特に限定されない。例えば、電極14は、アルミニウム(Al)又は銅(Cu)等の金属で形成されてもよい。電極14は、単層の導電層であってもよいし、アルミニウム等の金属拡散を防止するバリア層を含む、複数の導電層の積層体であってもよい。
【0039】
図2(B)に示すように、半導体基板10の第1の面11の上に絶縁膜16が設けられてもよい。絶縁膜16はパッシベーション膜であってもよい。絶縁膜16は、半導体基板10の第1の面11側の面とは反対側の上面16bを有する。絶縁膜16は、電極14の少なくとも一部を、それぞれ露出させるように形成される。つまりは、絶縁膜16は、電極14とオーバーラップする位置に開口部16aを有する。絶縁膜16は、電気的絶縁性を有する膜であれば、特に限定されない。例えば、絶縁膜16は、SiOやSiN等の無機絶縁膜であってもよい。あるいは、絶縁膜16は、ポリイミド樹脂等の有機絶縁膜であってもよい。
【0040】
構造体50を用意する第1工程(S1)は、例えば図3(A)〜図3(D)に示すように、第1の面11の上方(上面16b)に、第1樹脂突起20及び第2樹脂突起41を形成する工程を含む。この工程は、電極14が露出した絶縁膜16の上面16bに、樹脂前駆体組成物からなる樹脂材質膜26を形成する工程(図3(A)及び図3(B)参照)と、樹脂材質膜26をパターニングする工程(図3(C)参照)と、パターニング後、熱処理する工程(図3(D)参照)と、を含む。
【0041】
図3(B)に示すように、電極14及び絶縁膜16の上に、樹脂前駆体組成物からなる樹脂材質膜26が形成する。樹脂材質膜26は、熱硬化性を有した熱硬化性樹脂組成物であってもよいし、感光性を有した感光性樹脂組成物であってもよい。以下の本実施形態では、感光性を有した樹脂材質膜26を用いた場合の製造方法の一例について説明する。
【0042】
樹脂材質膜26は、半導体装置10の第1の面11の上方において全面に塗布されて形成されてもよい。また、樹脂材質膜26は、塗布された後、プリベークされてもよい。また、樹脂材質膜26は、例えばシート状物であってもよい。樹脂材質膜26は、ポリイミド樹脂、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、ベンゾシクロブテン(BCB;benzocyclobutene)、ポリベンゾオキサゾール(PBO;polybenzoxazole)、フェノール樹脂、アクリル樹脂等の樹脂であってもよい。
【0043】
次に、パターニング工程においては、図3(C)に示すように、樹脂材質膜26の樹脂突起を形成する領域の上に所望の形状を有したマスク層(図示せず)を形成し、露光装置(図示せず)によって露光した後、現像液によって現像し、パターニングを行って、第1樹脂層27及び第2樹脂層45を形成する。第1樹脂層27は、キュアリングの後に第1樹脂突起20となる樹脂層であり、第2樹脂層45は、キュアリングの後に第2樹脂突起41となる樹脂層である。第1樹脂層27は、電極14と隣り合うように形成される。図示はされないが、第1樹脂層27は、例えば、第1の面11の長辺に沿って延びるように形成されてもよい。また、第2樹脂層45は、第1の面11の検査領域40に形成される。このパターニング工程では、図3(C)に示すように、第1樹脂層27の幅W(例えば、第1樹脂層27が延びる方向における幅)と第2樹脂層45の幅Wが同じとなるようにパターニングを行ってもよい。
【0044】
本工程における露光現像処理は、公知のフォトリソグラフィー技術を用いることができる。例えば、樹脂材質膜26がポジ型のレジストである場合、マスク層(図示せず)は、樹脂突起20が形成される領域において、樹脂材質膜26が露光処理されるように配置される。また、樹脂材質膜26がネガ型のレジストである場合は、樹脂突起20が形成される領域においてマスク層が配置されてもよい。
【0045】
次に、熱処理する工程においては、図3(D)に示すように、第1樹脂層27及び第2樹脂層45を加熱する熱処理(キュアリング)をすることによって、変形させる工程をさらに含む。加熱する手段は特に限定されず、図示しない熱源から赤外線を照射することによって加熱してもよい。第1樹脂層27及び第2樹脂層45は、加熱されることによって粘性が低下し、それぞれの自重と表面張力の作用によって、形状を変形することができる。その結果、図3(D)に示すように、上面形状が滑らかな曲線を有する半球状となり、その断面形状が略半円形状である第1樹脂突起20及び第2樹脂突起41が形成される。
【0046】
ここで、先のパターニング工程において、第1樹脂層27の幅W(例えば、第1樹脂層27が延びる方向における幅)と第2樹脂層45の幅Wが同じとなるようにパターニングが行われてもよい。これにより、図2(B)〜図2(D)、及び図3(D)に示すように、第1樹脂突起20の第1の面11(または、絶縁層16の上面16b)からの高さh1(最も厚みを有する部分の厚さ)と、第2樹脂突起41の第1の面11(または、絶縁層16の上面16b)からの高さh1が実質的に同じとなるように形成してもよい。
【0047】
第1の面11に複数の検査領域40が設けられる場合、図2(A)に示すように、第2樹脂突起41は、各検査領域40にそれぞれ設けられる。
【0048】
次に、図2(A)〜図2(C)に示すように、第1樹脂突起20は、後述される配線30(第1配線30a、第2配線30b)に覆われる第1の部分21及び第2の部分22と、配線30が形成されない第3の部分23を有してもよい。ここで、配線30が形成されない第3の部分23には、後述される接着剤90の排出性を向上させるため、上面が削られて凹部24が形成される(図4(A)参照)。ここで、図2(A)に示すように、検査領域40が、第1の面11の辺(例えば、長辺10a)と第1樹脂突起20との間に設けられる場合、第2樹脂突起41は、第1の面11の辺と第1樹脂突起20の配線30に覆われた部分との間に配置される。言い換えれば、第2樹脂突起41は、第1の面11の辺と第1樹脂突起20の第3の部分23との間の領域は避けて配置される。これによれば、第2樹脂突起41によって、接着剤の排出性が阻害されないため、電子部品の信頼性を向上させることができる。
【0049】
次に、構造体50を用意する第1工程(S1)は、図2(A)〜図2(C)に示すように、絶縁膜16の上面16bに、電極14と接続し、第1樹脂突起20の少なくとも一部を覆う配線30を形成する工程を含む。配線30の形状は特に限定されない。例えば、図2(A)に示すように、第1樹脂突起20が延びる方向と直交する方向に延びるように形成されてもよい。
【0050】
ここで、図2(B)に示すように、配線30は、複数の導電層の積層体であってもよい。したがって、配線30を形成する工程は、第1の導電層31と第2の導電層32を積層して成膜し、所望の形状にパターニングする工程を含んでもよい。また、図示はされないが、配線30は単層であってもよいし、図示されない第3の導電層を含んでもよい。
【0051】
第1の導電層31及び第2の導電層32の成膜方法は特に限定されず、公知の成膜技術を用いることができる。例えば、第1の導電層31及び第2の導電層32は、スパッタ法にて形成してもよい。また、パターニングする方法は特に限定されず、所望のレジストを形成し、公知のフォトリソグラフィー技術によりパターニングしてもよい。
【0052】
第1の導電層31の材質は、例えば、絶縁膜16の材質と密着性の高い導電性の材質から選択され、第2の導電層32の材質は、第1の導電層31よりも良好な導電性を有する材質から選択されてもよい。具体的には、第1の導電層31は、チタンタングステン(TiW)、チタン(Ti)及びニッケルクロム合金(Ni−Cr)などの少なくとも1つを含む層であってもよい。第2の導電層32は、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)及び銅(Cu)などの少なくとも1つを含む層であってもよい。
【0053】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、上述のように複数の電極14のうち隣り合う2つの電極14を第1電極14a及び第2電極14bとした。ここで、図2(B)に示すように、第1電極14aに接続された配線30を第1配線30aとし、第2電極14bに接続された配線30を第2配線30bとする。また、図2(C)に示すように、第1樹脂突起20の第1配線30aに覆われた部分を第1の部分21とし、第1樹脂突起20の第2配線30bに覆われた部分を第2の部分22とし、第1樹脂突起20の第1の部分21と第2の部分22の間の部分を第3の部分23とする。
【0054】
以上から、図2(A)〜図2(D)に示す構造体50を用意することができる。
【0055】
[第1樹脂突起及び第2樹脂突起をエッチングする第2工程(S2)]
次に、図4(A)及び図4(B)に示すように、第1樹脂突起20及び第2樹脂突起41をエッチングする。第2工程では、第1樹脂突起20の第1の部分21と第2の部分22の間の第3の部分23の一部と、第2樹脂突起の少なくとも一部と、を同時にエッチングする。
【0056】
本工程においては、配線30をマスクとして利用する。したがって、図4(A)に示すように、配線30(第1配線30a及び第2配線30b)に覆われている第1樹脂突起20(第1の部分21及び第2の部分22)はエッチング(樹脂が除去)されず、配線30に覆われていない第1樹脂突起20(第3の部分23)に凹部24を形成することができる。エッチングは、公知のエッチング技術を適用することができる。例えば、Oプラズマのドライエッチング装置を用いてもよい。ドライエッチング装置は、複数の半導体装置を含む、半導体ウエハーを同時に処理することに適しており、半導体装置を商業的に生産することができる。
【0057】
ここで、第1樹脂突起20の第3の部分23に形成される凹部24の深さDは、図4(A)に示すように、第3の部分23の高さをh2としたとき、h1−h2から求めることができる。したがって、本工程において第3の部分の除去量が適正であるとは、第3の部分23に形成される凹部24の深さD(h1−h2)が所望の深さとなるまでエッチングされていることと同義である。図4(A)に示すように、第3の部分23の第1樹脂突起20を完全に除去せず、凹部24を形成することで、半導体基板10を保護しつつ、後述される接着剤90の排出性を確保することができる。
【0058】
また、本工程においては、図4(B)に示すように、第2樹脂突起41も同時にエッチングされる。第2樹脂突起41は、半球状の形状を有し、配線30に覆われていないため、エッチングが行われ、形状が等方的に縮小した第2樹脂突起41aを形成することができる。ここで、第1樹脂突起40と第2樹脂突起41を同じ高さh1となるように形成していた場合、本工程後の第2樹脂突起41aの第1の面11(または、絶縁層16の上面16b)からの高さが、第3の部分23の高さと実質的に等しい高さh2となる。
【0059】
[第1樹脂突起の除去量が適正であるかを判断する第3工程(S3)]
本工程では、第2工程(S2)後の第2樹脂突起41aの形状から、第2工程のエッチングにおける第3の部分23の除去量(第3の部分23に形成される凹部24の深さD)が適正であるかを判断する。
【0060】
図4(C)は、本工程後の第2樹脂突起41aを第1の面11の法線方向から見た平面図である。図4(C)に示すように、第2樹脂突起41aの幅W1(第2樹脂突起41が半休状である場合は、直径)を視覚的に測定することができる。本工程前の第2樹脂突起41の幅W2は、本工程前に測定しておいてもよいし、設計上、既知な値であってもよい。ここで、第2樹脂突起41は半球状に形成されているため、W1とW2の差は、エッチング後の第2樹脂突起41aの高さh2と実質的に同じであることができる。
【0061】
本工程における測定手段は、平面形状を測定する2次元測定である限り特に限定されない。例えば、CCDカメラ等の光学検査装置を適用してもよいし、第2樹脂突起41aの2次元形状を測定する光学センサーを適用し、第2樹脂突起41aの幅W1の絶対値を測定してもよい。また、適正なW1の幅と等しいスケールを用いて相対的に第2樹脂突起41aの幅W1を測定してもよい。
【0062】
第2工程のエッチングにおける第3の部分23の除去量(第3の部分23に形成される凹部24の深さD)が適正であるかを判断する基準としては、十分な排出性を確保できる凹部24の深さDの適正範囲を事前に設定することで、その適正範囲内における第2樹脂突起41aの幅W1の適正範囲を設定することができる。本工程では、第2樹脂突起41aの幅W1を測定した場合に、測定された第2樹脂突起41aの幅W1が適正範囲内であるか否かを判断することで、第2樹脂突起41a周辺における第3の部分23の除去量(第3の部分23に形成される凹部24の深さD)が適正であるかを簡便に判断することができる。
【0063】
また、第3の部分23の除去量が適正であった場合の第2工程(S2)における第2樹脂突起41の形状の変化量を事前に測定し、第3工程(S3)において、変化量を判断の基準に用いてもよい。この場合、第2樹脂突起41の第1の面11からの高さは、第1樹脂突起20の第1の面11からの高さと異なっていてもよい。既知の所定の高さ及び幅を有する第2樹脂突起41を形成し、第3の部分23の除去量が適正であった場合の第2工程後の第2樹脂突起41aの幅を測定することで、第2樹脂突起41の形状の変化量の適正範囲を経験的に算出することができる。したがって、この第2樹脂突起41の形状の変化量を基準としても、第3の部分23の除去量(第3の部分23に形成される凹部24の深さD)が適正であるかを簡便に判断することができる。
【0064】
以上の工程(第1工程S1〜第3工程S3)を経た構造体50を、半導体装置50を称してもよい。
【0065】
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、例えば、以下の特徴を有する。
【0066】
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法よれば、第2樹脂突起41aの形状を2次元的(平面的)に測定することで、第3の部分23の除去量(第3の部分23に形成される凹部24の深さD)が適正であるかを判断することができる。したがって、深さ方向(半導体基板10の厚み方向)における3次元的測定を行う必要がないため、1ポイントの計測を簡易な装置でもって比較的短時間で行うことができる。また、その計測においては、被検査体の表面形状等の諸条件による測定誤差の影響を受けることがなく、より高い信頼性を有する検査を行うことができる。
【0067】
また、検査領域40(第2樹脂突起41)は、構造体50において複数設けられてもよい。これによれば、商業的生産ラインの品質管理を簡便に行うことも可能となる。例えば、半導体基板10の複数の角部10cにそれぞれ検査領域40を設けてもよい。商業的生産においては、例えばOプラズマなどのドライエッチング装置を用いる場合、該ドライエッチング装置内において複数の半導体装置が形成された複数枚の半導体ウエハーを同時に処理する。ドライエッチング装置内のOプラズマの分布が均一でない場合、その半導体装置の配置により、エッチング量(第1樹脂突起20の除去量)に個体差が発生する可能性がある。本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、半導体装置の様々なポイントにおいて、エッチング量(第1樹脂突起20の除去量)を比較的短時間で検査することが可能となる。よって、製造ラインのエッチング品質の管理及び装置管理をより簡便に行うことができる。
【0068】
以下においては、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を適用した半導体装置50を有する子部品の製造方法を説明する。
【0069】
図5(A)は、半導体装置50が実装される配線基板80の一部を模式的に示す断面図である。用意される配線基板80は、図5(A)に示すように、光透過性の材質からなり、第2の面61を有する基板60と、第2の面61の上方に位置した電気的接続部71と、を含む。
【0070】
基板60は、光透過性を有する材質からなる基板であれば特に限定されない。例えば、基板60の材質は、無機系の材質であることができる。このとき、基板60は、ガラス基板やセラミックス基板であってもよい。あるいは、基板60は、有機系の材質であってもよく、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる基板又はフィルムであってもよい。あるいは、基板60としてポリイミド樹脂からなるフレキシブル基板を使用してもよい。フレキシブル基板としてFPC(Flexible Printed Circuit)や、TAB(Tape Automated Bonding)技術で使用されるテープを使用してもよい。基板60は、電気光学パネル(液晶パネル・エレクトロルミネッセンスパネル等)の一部であってもよい。つまりは、基板60は配線基板であってもよい。
【0071】
電気的接続部71は、基板60の第2の面61の上に位置した配線パターン70の一部である。配線パターン70は、例えば、液晶を駆動する電極(走査電極、信号電極、対向電極等)に電気的に接続されてもよい。配線パターン70は、ITO(Indium Tin Oxide)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、チタンタングステン(Ti−W)等の金属膜、金属化合物膜、又は、それらの複合膜によって形成されてもよい。また、配線パターン70は、その一部が基板60の内側を通るように形成されてもよい。
【0072】
以上から、配線基板80が用意される。
【0073】
半導体基板50及び配線基板80の接続工程は、図5(A)及び図5(B)に示すように、第1の面11と第2の面61とが対向するように、半導体基板50及び配線基板80を配置する工程(図5(A)参照)と、第1樹脂突起20上の配線30と電気的接続部71を押圧力によって接続する工程(図5(B)参照)を含む。本工程によって、半導体基板10が、配線基板80に電気的に接続される。
【0074】
本工程は、外部端子である第1樹脂突起20の上の配線30を、配線基板80の電気的接続部71に押し当てることができる限り、特に限定されない。以下に半導体基板50を配線基板80に搭載する方法の一例を説明する。
【0075】
図5(A)に示すように、半導体基板50及び配線基板80を配置する工程においては、第1の面11と第2の面61とが対向するように、半導体基板50を配線基板80上方に配置する。ここで、半導体基板50の第1樹脂突起20の上に形成された配線30と、配線基板80の配線パターン70(電気的接続部71)とが対向するように位置合わせをする。
【0076】
図5(A)に示すように、半導体基板50の第1の面11と、配線基板80との間に接着剤90を設ける。本工程では、予め、配線基板80側に接着剤90を設けてもよいが、特に限定されるものではなく、半導体基板50側に設けられてもよい。接着剤90は、例えば、フィルム状の接着剤を利用してもよい。接着剤90は、絶縁性の接着剤であってもよい。接着剤90は、公知のNCF(Non−conductive Film)接着剤であってもよい。
【0077】
次に、図5(B)に示すように、半導体基板50と配線基板80との間に押圧力を加えることで押圧して、樹脂突起20上の配線30と配線パターン70(電気的接続部71)とをそれぞれ接触させる。これによれば、押圧力によって、配線30と、第1樹脂突起20を弾性変形させることができる。このとき、第1樹脂突起20の弾性力によって、発生する応力を緩和しつつ、配線30と電気的接続部71(配線パターン70)とを押し付けることができるため、半導体装置の信頼性を低下させることなく、電気的な接続信頼性の高い電子部品を提供することができる。
【0078】
図5(B)に示すように、半導体基板50を配線基板80に押圧する工程において、凹部24が十分な深さDを有することで、過剰な接着剤が排出(破線矢印A参照)され、配線30と電気的接続部71との接触部分以外において、適量の接着剤90が充填された構造となる。
【0079】
次に、半導体基板50を配線基板80に搭載する工程の後に、接着剤90を硬化させて、接着層を形成してもよい(図示せず)。接着層によって、半導体基板50と配線基板80との間隔を維持してもよい。すなわち、接着層によって、第1樹脂突起20が弾性変形した状態を維持してもよい。また、図示はされないが、さらに切り出し工程等を経て、本実施の形態に係る電子部品1000を製造してもよい。
【0080】
以上の工程により、図5(B)に示すように、適量の接着剤90が硬化した電子部品1000を形成することができる。
【0081】
図6には、電子部品1000の一例として、表示デバイスである場合の電子部品1000を示す。表示デバイスは、例えば液晶表示デバイスやEL(Electrical Luminescence)表示デバイスであってもよい。そして、半導体装置50は、表示デバイス1000を制御するドライバーICであってもよい。
【0082】
2. 第2実施形態
以下、図面を参照して、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
【0083】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、構造体50の検査領域40において、金属層36に覆われた第3樹脂突起42がさらに形成される点で、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と異なる。したがって、第1実施形態に係る半導体装置と同一の構成は、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0084】
図7(A)は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法における構造体200を模式的に示す平面図であり、図7(B)は、図7(A)に示す構造体200のVIIB−VIIB線断面図である。図8(A)及び図8(B)は本実施形態に係る第2工程(S2)及び第3工程(S3)を模式的に説明する断面図及び平面図である。
【0085】
[構造体を用意する第1工程(S1)]
本実施の形態で用意される構造体200は、検査領域40において、第1の面11に位置し、第2樹脂突起41と同じ形状を有する第3樹脂突起42と、第3樹脂突起42を覆う金属層36と、を更に有する。
【0086】
第3樹脂突起42は、図7(B)に示すように、検査領域40において、第2樹脂突起41と隣り合うように設けられてもよい。また、第3樹脂突起42は、第2樹脂突起41と同じ半球状の形状を有し、その第1の面11からの高さは、第2樹脂突起41の高さh1と同じである。第3樹脂突起42は、第1樹脂突起20、及び第2樹脂突起41を形成する工程において同時に形成することができる。
【0087】
次に、第3樹脂突起42を覆う金属層36は、第2工程(S2)においてマスクとして機能することができる金属層である限り、材料及び構造は特に限定されない。例えば、金属層36は、配線30と同じ材質及び構造であってもよい。金属層36は、配線30を形成する工程において同時に形成することができる。
【0088】
[第1樹脂突起及び第2樹脂突起をエッチングする第2工程(S2)]
次に、第2工程(S2)において、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様に、第1樹脂突起20(第3の部分23)と第2樹脂突起41をエッチングする。ここで、図8(A)に示すように、本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、第3樹脂突起42は金属層36に覆われているため、エッチングされることなく、形状を維持することができる。
【0089】
[第1樹脂突起の除去量が適正であるかを判断する第3工程(S3)]
第3工程(S3)では、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様に、第2樹脂突起41aの形状を用いて第1樹脂突起20の第3の部分23の除去量が適正であるかを判断する。しかしながら、本実施形態に係る第3工程(S3)は、第3樹脂突起42の形状と、第2工程後の第2樹脂突起41aの形状を比較することで、第3の部分23の除去量を検査する。
【0090】
本実施形態においては、検査領域40において、第2工程(S2)前の第2樹脂突起41と同じ幅W2を有する第3樹脂突起42が形成されている。したがって、第2樹脂突起41の形状の第2工程における変化量を測定する際、第3樹脂突起42を測定基準として用いることができるため、第3工程をより簡便化することができる。
【0091】
以上から、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法よれば、第1実施形態の特徴に加えて、より簡便に樹脂突起20の第3の部分23に形成された凹部24の深さを検査することができる。
【0092】
3. 第3実施形態
以下、図面を参照して、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
【0093】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、構造体50の検査領域40において、第1の面11からの高さが第2樹脂突起41よりも低い第4樹脂突起43を更に有する点で、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と異なる。したがって、第1実施形態に係る半導体装置と同一の構成は、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0094】
図9(A)は、本実施形態において用意される構造体300を模式的に示す平面図であり、図9(B)は、図9(A)に示す構造体300のIXB−IXB線断面図である。図10(A)、図10(B)及び図10(C)は本実施形態に係る第2工程(S2)及び第3工程(S3)を模式的に説明する断面図及び平面図である。
【0095】
[構造体を用意する第1工程(S1)]
本実施の形態で用意される構造体300は、検査領域40において、第1の面11に位置し、第1の面11からの高さが第2樹脂突起41よりも低い第4樹脂突起43をさらに有する。
【0096】
第4樹脂突起43は、図9(B)に示すように、検査領域40において、第2樹脂突起41と隣り合うように設けられてもよい。また、第4樹脂突起43は、第2樹脂突起41と同じ半球状の形状を有し、その第1の面11からの高さは、第2樹脂突起41の高さh1よりも低いh3を有する。第3樹脂突起42は、第1樹脂突起20、及び第2樹脂突起41を形成する工程において同時に形成することができる。
【0097】
ここで、第4樹脂突起43は、後述される第2工程(S2)のエッチングにおいて、最低限必要な量の第1樹脂突起20(第3の部分23)が除去された時に、すべて除去されるような寸法となるように形成される。
【0098】
[第1樹脂突起及び第2樹脂突起をエッチングする第2工程(S2)]
次に、第2工程(S2)において、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様に、第1樹脂突起20(第3の部分23)、第2樹脂突起41、及び第4樹脂突起43をエッチングする。ここで、図10(A)に示すように、本実施形態に係る半導体装置の製造方法では、第4樹脂突起43は、最低限必要な量の第1樹脂突起20(第3の部分23)が除去された時にすべて除去される。
【0099】
[第1樹脂突起の除去量が適正であるかを判断する第3工程(S3)]
第3工程(S3)では、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様に、第2樹脂突起41aの形状を用いて第1樹脂突起20の除去量が適正であるかを判断する。また、本実施形態に係る第3工程(S3)では、第2工程(S2)後の第4樹脂突起43の存否も確認を行う。
【0100】
例えば、図10(B)に示されるように、すべての第4樹脂突起43が除去されており、第4樹脂突起43が存在しないことが確認できた場合、第1樹脂突起20の第3の部分23において、十分な排出性を確保するための必要最低限の樹脂が除去されたことと判断することができる。換言すれば、十分な深さDを有する凹部24が形成されたと判断することができる。また、例えば、図10(C)に示されるように、すべての第4樹脂突起43が除去されておらず、第4樹脂突起43の一部43aが残留していた場合、第1樹脂突起20の第3の部分23において、十分な排出性を確保するための必要最低限の樹脂が除去されていないと判断することができる。換言すれば、凹部24の深さDが十分でなく、排出性が十分でない半導体装置であると判断することができる。
【0101】
以上から、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法よれば、第1実施形態の特徴に加えて、より簡便に樹脂突起20の第3の部分23に形成された凹部24の深さを検査することができる。
【0102】
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、複数を適宜組み合わせることが可能である。
【0103】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0104】
1 集積回路、10 第1基板、11 第1の面、14 電極、14a 第1電極、
14b 第2電極、16 絶縁膜、16a 開口部、16b 上面、
20 第1樹脂突起、21 第1の部分、22 第2の部分、23 第3の部分、
24 凹部、26 樹脂材質膜、27 第1樹脂層、30 配線、30a 第1配線、
30b 第2配線、31 第1の導電層、32 第2の導電層、40 検査領域、
41、41a 第2樹脂突起、42、42a 第3樹脂突起、
43、43a 第4樹脂突起、50(200、300) 構造体、60 基板、
61 第2の面、70 配線パターン、71 電気的接続部、80 配線基板、
90 接着剤、1000 電子部品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面を有する半導体基板と、前記第1の面に位置する第1電極及び第2電極と、前記第1の面に位置する第1樹脂突起及び第2樹脂突起と、前記第1樹脂突起の第1の部分を覆い、前記第1電極に接続された第1配線と、前記第1樹脂突起の第2の部分を覆い、前記第2電極に接続された第2配線と、を有する構造体を用意する第1工程と、
前記第1樹脂突起の前記第1の部分と前記第2の部分の間の第3の部分の一部と、前記第2樹脂突起の少なくとも一部と、を同時にエッチングする第2工程と、
前記第2工程後の前記第2樹脂突起の形状から、前記第2工程のエッチングにおける前記第3の部分の除去量が適正であるかを判断する第3工程と、
を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2工程前の、前記第1樹脂突起の前記第3の部分の前記第1の面からの高さと、前記第2樹脂突起の前記第1の面からの高さは同じである、半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第2工程前の、前記第2樹脂突起は半球状である、半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項において、
前記構造体は、複数の前記第2樹脂突起を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項において、
前記構造体は、前記第1の面に位置し、前記第2樹脂突起と同じ形状を有する第3樹脂突起と、前記第3樹脂突起を覆う金属層と、を更に有し、
前記第3工程は、前記第3樹脂突起の形状と、前記第2工程後の前記第2樹脂突起の形状を比較することで、前記第3の部分の除去量が適正か判断する、半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項において、
前記構造体は、前記第1の面に位置し、前記第1の面からの高さが前記第2樹脂突起よりも低い第4樹脂突起を更に有し、
前記第3工程では、前記第2工程後の前記第4樹脂突起の存否と前記第2樹脂突起の形状から、前記第3の部分の除去量が適正か判断する、半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項において、
前記第3の部分の除去量が適正であった場合の前記第2工程における前記第2樹脂突起の形状の変化量を事前に測定し、前記第3工程において、前記変化量を前記判断の基準に用いる、半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項において、
前記第2工程は、ドライエッチング装置を用いる、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項において、
前記構造体は、複数のチップ領域を有する基板の前記チップ領域にそれぞれ設けられている、半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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