説明

半導体装置の配線曲がりを削減または解消するためのシステム及び方法

半導体装置をパッケージングする方法であって、半導体装置内の素子間を相互接続する複数の導線の少なくとも2本の部分のみと交差するように絶縁材を塗布することを含む。また、この方法は、前記導線と素子を封入して半導体装置をパッケージングすることを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置のパッケージングに関し、特に、パッケージ型半導体装置における配線の曲がりと動揺を低減又は解消する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製作では、半導体装置の素子間を相互接続するために、導線(例えば、ボンディングワイヤ)が使用されることがよくある。例えば、図1は従来の半導体装置100の要部を示す。半導体装置100はリードフレーム102とリードフレーム接触子102aを有する。半導体素子(例えば、ダイ)104がリードフレーム102上に設置される。ボンディングワイヤ106が、半導体素子104とリードフレーム接触子102aとの間を相互接続している。オーバーモールド(overmold)108(例えば、モールド・コンパウンド)が、ボンディングワイヤ106と半導体素子104とリードフレーム接触子102aを覆うように設けられる。図1に示す構成では、複数のボンディングワイヤ106を半導体装置100に設けることで、半導体素子104上の複数の接続点と対応する複数のリードフレーム接触子102aとの間を相互接続してもよい。
【0003】
半導体装置100の製造工程中において、隣接するボンディングワイヤ106間で短絡の発生、または1つ以上のボンディングワイヤ106に関連する断線が発生することがあり得る。例えば、製造工程中において、ボンディングワイヤ106の(揺れ、曲がり等の)動揺があると、隣接するボンディングワイヤ106間で短絡を引き起こすことになる。
【0004】
図2は、ボンディングワイヤ106を覆う封入材110を有する従来の半導体装置200を示す。また、封入材110は、ボンディングワイヤ106と各半導体素子104とリードフレーム接触子102aとの間の接続点を被覆している。その他の点に関しては、図2に示す素子は、図1で図示し説明した素子と非常に類似した構成である。
【0005】
図3は従来の半導体装置100の斜視図であり、図1に示す装置と同様である。半導体素子104がリードフレーム102上に設けられている。複数のボンディングワイヤ106が設けられ、半導体素子104と対応するリードフレーム接触子102aとの間を相互接続している。オーバーモールド108(特に、図3では一部切り欠き図として示す)が、半導体素子104とボンディングワイヤ106を覆うように設けられる。
【0006】
図4は、従来の半導体装置400の切断側面図を示す。図1−3に示す場合と同様に、半導体素子104がリードフレーム102上に設置され、ボンディングワイヤ106が、半導体素子104とリードフレーム接触子102aとの間を相互接続している。封入材410は、各半導体素子104とボンディングワイヤ106を被覆するように設けられている。図4の構成では、オーバーモールド108が、半導体素子104の上部と下部に設けられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図1−4に示す上記従来の半導体装置の構成においては様々な問題点が見出される。上述のように、半導体装置の製作及び移動中において、ボンディングワイヤ106は接続点の1つ(即ち、半導体素子104又はリードフレーム接触子102a)において遊離(即ち、断線)することがある。更に、隣接するボンディングワイヤ106が(例えば、曲がりにより)互いに接近し、半導体装置内で短絡を発生することがある。これらの課題は、半導体装置のサイズを削減する要望(及びそれに対応して半導体装置の導線密度を高める要望)の観点から、特に問題となっている。これらの製造上の問題点は半導体ロット内の不完全な構成部品をもたらし、その結果、さらに製造コストを引き上げるとともに、信頼性の低下を招くことになる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来技術の課題を解消するために、本発明の一実施の形態において、半導体装置をパッケージングする方法が提供される。この方法は、半導体装置の素子間を相互接続する複数の導線の少なくとも2本の部分のみと交差するように絶縁材を塗布することを含む。また、この方法は、前記導線と素子を封入して半導体装置をパッケージングすることを含んでいる。
【0009】
本発明の他の実施の形態では、半導体装置が提供される。この半導体装置は、複数の半導体素子と、複数の半導体素子間を相互接続する複数の導線を備える。また、半導体装置は、前記複数の導線の少なくとも2本の部分のみと交差するように塗布された絶縁材を備える。また、半導体装置は、前記導線と半導体素子を封入して半導体装置をパッケージングするための封入層を備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の選択された実施の形態の好ましい特徴について、添付の図面を参照して以下に説明する。ただし、本発明の精神と範囲は、図示のために選択された実施の形態に限定されるべきではない。また、図面は特定の縮尺またはサイズ割合を示すものではない。以下に説明する構成及び材料は、本発明の範囲内で任意に変更可能であるものとする。
【0011】
ここで使用する半導体装置という用語は、集積回路、メモリ装置、DSP(デジタル信号プロセッサ)、QFP(クワッドフラットパッケージ)、PBGA(プラスチックボールグリッドアレー)、BOC(ボードオンチップ)、COB(チップオンボード)、CABGA(チップアレーボールグリッドアレー)、及び離散的装置(即ち、1つの基板上に1つ以上設けられた非パッケージ型装置)等のパッケージ型半導体装置を含む装置の基板範疇に関する用語として使用している。更に、半導体素子という用語は、基板、ダイ、チップ、リードフレーム、リードフレーム接触子等を含む半導体装置の任意の要素について言及するものである。
【0012】
概して、本発明は、半導体装置内の種々の半導体素子間を相互接続する複数の接続導線(例えば、ボンディングワイヤ)に交差するように(例えば、ポリマービーズ形状、細長い形状、または予め形成された形状の)絶縁材を配置する技術に関する。
【0013】
絶縁材(例えば、ポリマーブリッジ)は、導線が(例えば、トランスファー成型等の)更なる処理中に絶縁分離される(即ち、短絡しない)ように、導線に更に安定性を付与する格子形状(即ち、格子ブリッジ)または構造を形成する。また、絶縁材が少なくとも一部が流体として付与される場合、絶縁材は、その流体力により、半導体装置の成型中に相互接続導線の回路網全体に渡って分布することができる。この絶縁分離と加えられた力の移行により、配線の曲がりと動揺が低減され、また、オーバーモールディング(全体被覆成型)により短絡の発生を削減または解消している。
【0014】
(例えば、エポキシ樹脂等のポリマー材)の絶縁材を塗布した後で、加熱または紫外線エネルギーの少なくとも1つを用いて上記樹脂を硬化させる。次いで、オーバーモールド(全体被覆成型)が施され、配線が互いに近接する方向に動揺または「曲がる」ことのないパッケージ型半導体装置を提供することができる。
【0015】
本発明のある実施形態によれば、ここで開示の方法及び装置は、特に、収縮及び集積装置の製造者により作成されたボンディングワイヤ構成の半導体装置の組立部品に好適である。本発明のある実施形態は、特に、長い導線/ボンディングワイヤを有するか又は複合ボンディングワイヤ構造(例えば、QFP、積み重ねダイデバイス、BGA等)を有する半導体装置に関して有用である。
【0016】
従来の製造方法と対比して、本発明の種々の実施形態は、半導体装置に含まれる半導体素子の周囲または近傍に、リング状、矩形、及び・又は任意の好適な形状のごく僅かの絶縁材(例えば、ポリマー材)しか使用していない。
【0017】
ここで説明するように、本発明のある実施形態によれば、従来の製造技術にはない更なる利点として、製造工程において更なる弾力性、導線の安定化用に使用される高価なポリマーの最小化、及び普遍的な半導体装置の応用等の利点が得られる。本発明の実施の形態によれば、複合半導体装置形体(例えば、積み重ね型ダイデバイス)における曲がりを低減し、例えばQFP及びBGAにおける導線の長さを延長することを可能とする。
【0018】
図5は、本発明の実施の形態による半導体装置500の切断側面図を示す。半導体装置500は、リードフレーム502上に設けられた半導体素子504(例えば、ダイ)を有する。例えば、半導体素子504は接着剤を用いてリードフレーム502に装着できる。ボンディングワイヤ506は、半導体素子504とリードフレーム接触子502aとの間を相互接続している。オーバーモールド(全体被覆成型)508が装置に施される前に、絶縁材512がボンディングワイヤ506の一部分に導入される。例えば、絶縁材512は、矩形、リング形状及び・又は任意の好適な形状で、半導体素子504の周囲または近傍に導入してもよい。更に、絶縁材512は、(リードフレーム接触子502aと反対側で)半導体素子504にさらに近接した位置に配置してもよい。その理由は、ボンディングワイヤ506は、リードフレーム接触子502aの位置においてよりも半導体素子504の位置においてさらに近接した間隔を有する(即ち、隣接するボンディングワイヤ506が更に接近している)ことによる。また、代替例としては、絶縁材512を半導体素子504とリードフレーム接触子502a間の中央位置に配置してもよい。または、絶縁材512を、既存の装置において、所望に応じて、半導体素子504とリードフレーム接触子502a間の任意の複数位置に配置してもよい。
【0019】
絶縁材512を複数のボンディングワイヤ506と交差するように設けることにより、ボンディングワイヤ506の相互間の位置が安定化する。絶縁材512を用いてボンディングワイヤ506の相互間の位置を安定化させることにより、オーバーモールド(全体被覆成型)508を形成中に隣接するボンディングワイヤ506が短絡する危険性が、完全には無くならないまでも、充分に低減される。また、ボンディングワイヤ506の位置を安定化させることにより、製造工程中のボンディングワイヤ506の断線も、充分に低減させることができる。
【0020】
絶縁材512は、例えば、エポキシ樹脂等のポリマー材であってもよい。更に、絶縁材512は、ボンディングワイヤ506に絶縁材512を導入中に、ボンディングワイヤ506間に分布する絶縁粒子又はビーズを含んでもよい。このような絶縁ビーズは、ボンディングワイヤ506の相互の配置関係を更に安定化させる。本発明の実施の形体によれば、絶縁材内に分布する絶縁ビーズは、平均粒子径が略4.1μm、中間粒子径が4.5μm、最大粒子径が20μmである。これら絶縁ビーズは、例えば、球形のシリカ粒子であってもよい。
【0021】
図6は半導体装置600の切断側面図を示し、この半導体装置600は図5に示す半導体装置500と同様である。図5に示す本発明の実施の形態と同様に、図6はボンディングワイヤ506の一部と交差するように設けられた絶縁材512を示す。ただし、絶縁材512に加えて、図6は、ボンディングワイヤ506の他の部分と交差するように設けられた絶縁材514も示す。絶縁材514は絶縁材512と同様の形状(例えば、矩形、リング形状及び・又は任意の好適な形状で、半導体素子504の周囲または近傍)に設けることもできる。更に、絶縁材514は、エポキシ樹脂などのポリマー材であってもよく、図5で説明したように絶縁ビーズを含んでもよい。
【0022】
図7は、リードフレーム702上に設けられた半導体素子704を備えた半導体装置700を示す。ボンディングワイヤ706は、半導体素子704とリードフレーム接触子702aとの間を相互接続している。絶縁材712がボンディングワイヤ706の一部と交差するように設けられ、ボンディングワイヤ706の相互間の配置を安定化している。図7に示す本発明の実施の形態では、ボンディングワイヤ706は略リング形状(及び・又は任意の好適な形状)で、半導体素子704の周囲又は近傍に設けられる。絶縁材712をボンディングワイヤ706の一部と交差するように設けたことにより、オーバーモールド708を形成する前及び形成中において、ボンディングワイヤ706の断線または短絡を充分に低減することができる。
【0023】
図8は半導体装置800の斜視図を示し、この半導体装置800は図7に示す半導体装置と同様の構成である。ただし、図7に示すリング形状の絶縁材712に追加して、図8では絶縁材814がボンディングワイヤ706の一部と交差するように設けられている。絶縁材712に追加して絶縁材814を更に設けたことにより、ボンディングワイヤ706の相互間の配置を更に安定化させている。
【0024】
図7では半導体装置700は絶縁材リング712を1つだけ備え、図8では半導体装置800は絶縁材リング712と絶縁材リング814とを備えているが、更にリング(又は他の形状部)の絶縁材を設けることもできる。このように、1つ、2つ、3つ又は任意の個数の絶縁材リング/ビーズを、希望に応じて、既存の半導体装置に対して設けることもできる。
【0025】
図9はボンディングワイヤ906a,906b,906cの断面図である。例えば、ボンディングワイヤ906a,906b,906cは、半導体装置内において半導体素子(図9では図示せず)とリードフレーム接触子(図9では図示せず)との間を相互接続している。絶縁材912がボンディングワイヤ906a,906b,906cの一部と交差するように設けられる。図9に示す本発明の実施の形態では、絶縁材912は絶縁ビーズを含む。絶縁ビーズは種々の異なる大きさであってもよく、絶縁ビーズは隣接するボンディングワイヤ間(例えば、ボンディングワイヤ906aと906b間)の距離よりも小さいので、絶縁ビーズは隣接するボンディングワイヤ間の位置に拡散することで、隣接するボンディングワイヤ間の安定性と絶縁性を強化している。
【0026】
図9は、ボンディングワイヤ906aと906bの中心間の距離(即ち、ピッチ)d1を示す。また、図9は、ボンディングワイヤ906aと906b間の離間距離d2を示す。本発明の実施の形態では、絶縁材は超微細ピッチのボンディングワイヤ構成の半導体装置に適用できる。例えば、このような微細構成の装置では距離d1は略35μm以下であり、このような装置では距離d2は略15μm以下とすることができる。(例えば、内部に拡散された絶縁ビーズを有する)絶縁材をボンディングワイヤの一部と交差するように設けることにより、本発明のボンディングワイヤの安定性の向上は、距離d1とd2が小さい値の超微細ピッチのボンディングワイヤ構成の半導体装置にも適用される。
【0027】
ここで記載の方法により半導体装置を製作することで、半導体装置内の導線密度を高めることができ、望ましくは、半導体装置のサイズを低減することが可能となる。
【0028】
本発明による半導体装置を製作することの更なる利点は、絶縁材をボンディングワイヤの一部と交差するように設けたことにより、ボンディングワイヤを安定させるために必ずしも封入材を必要としないため、装置を封入処理するのに使用されるオーバーモールド/封入材料は、更に安価な材料と工程(例えば、「小滴の上塗り(glob-topping)」に対向するようなモールド型封入等)により構成することができることである。
【0029】
本発明の種々の実施の形態に係る使用絶縁材に含まれるビーズは、任意の複数種類の絶縁ビーズであってもよい。例えば、ビーズはシリカ充填材で構成可能である。更に、絶縁ビーズは、サイズと形状が種々の変化型のものでもよい。
【0030】
本発明の絶縁材は、高粘度の紫外線硬化シリカを含むことができる。例えば、絶縁材は、重量パーセントが50−85%のシリカで充填してもよい。
【0031】
図10は、本発明の実施の形態に係る絶縁材に使用される2種の異なるシリカ充填材(例えばSiO等)の例示の粒子サイズ(例えば、粒子の径)の分布を示す棒グラフである。図10に示す分布例では、シリカ2のビーズ粒子サイズは略0.05ミクロンから略0.5ミクロンの範囲である。また、シリカ1のビーズ粒子サイズの分布は略0.5ミクロンから略20ミクロンの範囲である。ここで、図10の棒グラフのy軸はシリカ1とシリカ2の粒子の各々の各サイズのパーセンテージを示す。
【0032】
図10に示すシリカ充填材は、本発明のある実施形態による絶縁材(例えば、エポキシ樹脂)内で分散されたときに特に有用であることが判明した。シリカ1で示す球形のシリカの径サイズの個々の分布は、24ミクロンより大のものは0%、24ミクロンより小でかつ16ミクロンより大のものは1.1%、16ミクロンより小でかつ12ミクロンより大のものは4.0%、12ミクロンより小でかつ8ミクロンより大のものは11.5%、8ミクロンより小でかつ6ミクロンより大のものは12.8%、6ミクロンより小でかつ3ミクロンより大のものは35.8%、3ミクロンより小でかつ2ミクロンより大のものは13.3%、2ミクロンより小でかつ1ミクロンより大のものは12.5%、1ミクロンより小でかつ0.5ミクロンより大のものは7.0%、0.5ミクロンより小でかつ0ミクロンより大のものは2.0%である。一方、シリカ2で示す球形のシリカの径サイズの個々の分布は、0.6ミクロンより大のものは0%、0.6ミクロンより小でかつ0.5ミクロンより大のものは0.5%、0.5ミクロンより小でかつ0.45ミクロンより大のものは7.03%、0.45ミクロンより小でかつ0.4ミクロンより大のものは9.13%、0.4ミクロンより小でかつ0.35ミクロンより大のものは12.83%、0.35ミクロンより小でかつ0.3ミクロンより大のものは13.43%、0.35ミクロンより小でかつ0.3ミクロンより大のものは13.33%、0.3ミクロンより小でかつ0.25ミクロンより大のものは9.33%、0.25ミクロンより小でかつ0.2ミクロンより大のものは5.83%、0.2ミクロンより小でかつ0.15ミクロンより大のものは4.33%、0.15ミクロンより小でかつ0.1ミクロンより大のものは5.83%、0.1ミクロンより小でかつ0.09ミクロンより大のものは5.93%、0.09ミクロンより小でかつ0.08ミクロンより大のものは5.53%、0.08ミクロンより小でかつ0.07ミクロンより大のものは4.93%、0.07ミクロンより小でかつ0.06ミクロンより大のものは1.73%、0.06ミクロンより小さいものは0.31%である。
【0033】
上述のように、絶縁ビーズ(例えば、シリカ粒子)または種々変化する形状及びサイズは、本発明のある実施の形態による絶縁材において混合してもよい。例えば、シリカ1の粒子分布とシリカ2の粒子分布とを混合することが可能である。一実施の形態では、シリカ1の粒子分布の10個の部分はシリカ2の粒子分布の3個の部分と混合される。このような混合が行われた場合のSiOの粒子サイズ分布の棒グラフを図11に示す。
【0034】
図11に示す球形シリカの混合物の径サイズの個々の分布は、24ミクロンより大のものは0%、24ミクロンより小でかつ16ミクロンより大のものは0/85%、16ミクロンより小でかつ12ミクロンより大のものは3.08%、12ミクロンより小でかつ8ミクロンより大のものは8.85%、8ミクロンより小でかつ6ミクロンより大のものは9.85%、6ミクロンより小でかつ3ミクロンより大のものは27.54%、3ミクロンより小でかつ2ミクロンより大のものは10.23%、2ミクロンより小でかつ1ミクロンより大のものは9.62%、1ミクロンより小でかつ0.6ミクロンより大のものは5.5%、0.6ミクロンより小でかつ0.5ミクロンより大のものは3.16%、0.5ミクロンより小でかつ0.45ミクロンより大のものは2.11%、0.45ミクロンより小でかつ0.4ミクロンより大のものは2.96%、0.4ミクロンより小でかつ0.35ミクロンより大のものは3.1%、0.35ミクロンより小でかつ0.3ミクロンより大のものは3.08%、0.3ミクロンより小でかつ0.25ミクロンより大のものは2.15%、0.25ミクロンより小でかつ0.2ミクロンより大のものは1.35%、0.2ミクロンより小でかつ0.15ミクロンより大のものは1.0%、0.15ミクロンより小でかつ0.1ミクロンより大のものは1.35%、0.1ミクロンより小でかつ0.09ミクロンより大のものは1.37%、0.09ミクロンより小でかつ0.08ミクロンより大のものは1.28%、0.08ミクロンより小でかつ0.07ミクロンより大のものは1.14%、0.07ミクロンより小でかつ0.06ミクロンより大のものは0.4%、0.6ミクロンより小でかつ0.5ミクロンより大のものは0.07%、0.05ミクロンより小のものは0%である。
【0035】
図12は半導体装置のパッケージング方法を示すフローチャートである。ステップ1202では、絶縁材が、半導体装置の素子間を相互接続している複数の導線の少なくとも2本の部分のみと交差するように塗布される。ステップ1204では、導線と半導体素子が封入され、半導体装置をパッケージングする。任意のステップ1206では、塗布工程後において絶縁材が硬化される。
【0036】
本発明は、基本的には、半導体装置に含まれる半導体素子の周囲又は近傍に設けられたリング状または矩形状の絶縁材について記載しているが、このような形状の絶縁材に限定されるものではない。絶縁材は、導線が安定化されて配線曲がりが低減される限り、(例えば、直線上ブリッジ形状等の)種々の形状で設けることもできる。
【0037】
また、絶縁性複合物を半導体装置の内部素子の周囲に実質環状に塗布してもよい。この環状形体は、リング状、円形、長円形、球形または矩形等の任意の複数の幾何学形状であってもよい。更に、幾何学形状は実質環状であるので、半導体装置の内部素子を完全に囲む必要はない。
【0038】
本発明は、基本的には、エポキシ樹脂等のポリマー材の絶縁材について記載しているが、このような材料の絶縁材に限定されるものではない。半導体装置の素子間を相互接続している導線に安定性をもたらす限り、種々の他の絶縁材を使用してもよい。例えば、裏面粘着性を有する固体または実質固体の絶縁体をボンディングワイヤの一部に塗布することで、ボンディングワイヤを安定化させるとともに、隣接するボンディングワイヤ間の短絡の可能性を充分に低減することができる。または、絶縁テープをボンディングワイヤの一部に塗布することで、ボンディングワイヤを安定化させるとともに、隣接するボンディングワイヤ間の短絡の可能性を充分に低減することができる。
【0039】
絶縁材に絶縁粒子を含む本発明の実施形態では、粒子としては基本的にはシリカ粒子について説明したが、粒子はシリカ粒子に限定されるものではない。粒子が半導体装置の素子間を相互接続している隣接導線間に分散する限り、他の種々の粒子又はビーズを絶縁材に使用することができる。
【0040】
ここで記載した本発明の形態は単に例示として説明したものであり、その変形および追加の形態も請求範囲で規定する発明から外れることのない範囲で可能であることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】従来の半導体装置における半導体素子間の相互接続を示す切断側面図である。
【図2】従来の半導体装置における封入された半導体素子間の相互接続を示す切断側面図である。
【図3】従来の半導体装置における半導体素子間の複数の相互接続を示す斜視図である。
【図4】従来の半導体装置における封入された半導体素子間の相互接続を示す切断側面図である。
【図5】本発明の一実施形態による半導体装置における半導体素子間の相互接続を示す切断側面図である。
【図6】本発明の他の実施形態による半導体装置における半導体素子間の相互接続を示す切断側面図である。
【図7】本発明の一実施形態による半導体装置における半導体素子間の相互接続を示す斜視図である。
【図8】本発明の他の実施形態による半導体装置における半導体素子間の相互接続を示す斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態による絶縁材によって分離された導線の断面図である。
【図10】本発明の一実施形態による絶縁材に含まれるシリカ粒子サイズの分布を示すグラフ図である。
【図11】本発明の一実施形態による絶縁材に含まれるシリカ粒子サイズの分布を示す他のグラフ図である。
【図12】本発明の一実施形態による半導体装置のパッケージング方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0042】
500,700,800 半導体装置、 502,702 リードフレーム、 502a,702a 接触子、 504,704 半導体素子、 506,706 ボンディングワイヤ、 508,708 オーバーモールド、 512,712,814 絶縁材、 906a,906b,906c ボンディングワイヤ、 912 絶縁材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置の素子間を相互接続する複数の導線の少なくとも2本の部分のみと交差するように絶縁材を塗布する工程と、
前記導線と前記素子を封入して前記半導体装置をパッケージングする工程と、
を備えたことを特徴とする半導体装置のパッケージング方法。
【請求項2】
前記塗布工程後に、前記絶縁材を硬化する工程を更に有する請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記硬化する工程は、前記絶縁材を加熱することと前記絶縁材に紫外線照射を施すことの少なくとも1つを含む請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記塗布工程は、球形シリカ粒子を有する絶縁混合物を前記複数の導線の部分に塗布することを含む請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記絶縁混合物が前記半導体装置の内部素子の周囲に実質環状に塗布される請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記絶縁混合物は少なくとも2つの幾何学形状の構造で塗布され、各幾何学形状の構造が前記半導体装置の内部素子の周囲を環状に略囲むことを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項7】
前記塗布工程は、裏面粘着性を有する固体の絶縁体を前記複数の導線の部分に塗布し、前記絶縁体の裏面粘着部が前記複数の導線の部分と接触する請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記塗布工程は、絶縁テープを前記複数の導線の部分に塗布する請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記塗布工程は、連続的なビーズの絶縁材を、前記半導体装置の素子間を相互接続している複数の導線の少なくとも2本の部分のみと交差するように塗布することを含む請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記塗布工程は、前記絶縁材を前記半導体装置の内部素子の周辺部の周囲に塗布する請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記塗布工程は、前記絶縁材を、前記半導体装置の内部素子の周辺部の周囲に、少なくとも2つの区別される構造で塗布することを含み、前記2つの構造は互いに接触しない請求項1記載の方法。
【請求項12】
複数の半導体素子と、
前記複数の半導体素子間を相互接続する複数の導線と、
前記複数の導線の少なくとも2本の部分のみと交差するように塗布された絶縁材と、を備えたことを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
前記導線と素子を封入して前記半導体装置をパッケージングするための封入層を更に備えた請求項12記載の半導体装置。
【請求項14】
前記複数の半導体素子は、複数の第1の接触部を有する少なくとも1つの半導体ダイと、複数の第2の接触部を有するリードフレームとを備え、前記複数の導線は、前記複数の第1の接触部と前記複数の第2の接触部との間を相互接続する請求項12記載の半導体装置。
【請求項15】
前記絶縁材が、前記半導体ダイに隣接した前記複数の導線の前記少なくとも2本の前記部分と交差するように配置された請求項14記載の半導体装置。
【請求項16】
前記絶縁材が、前記半導体ダイと前記リードフレーム間の略中央位置で前記複数の導線の前記少なくとも2本の前記部分と交差するように配置された請求項14記載の半導体装置。
【請求項17】
前記絶縁材は硬化可能な絶縁材である請求項12記載の半導体装置。
【請求項18】
前記絶縁材は、加熱により硬化可能な絶縁材と紫外線照射により硬化可能な絶縁材の少なくとも1つである請求項12記載の半導体装置。
【請求項19】
前記絶縁材は複数の球形シリカ粒子を有する請求項12記載の半導体装置。
【請求項20】
前記絶縁材が前記半導体装置の内部素子の周辺部の周囲に塗布される請求項12記載の半導体装置。
【請求項21】
前記絶縁材は、前記半導体装置の内部素子の周辺部の周囲に、少なくとも2つの区別される構造で塗布され、前記2つの構造は互いに接触しない請求項12記載の半導体装置。
【請求項22】
前記絶縁材は、前記複数の導線の前記少なくとも2本の前記部分と接触する接着成分を含む実質固体の絶縁体を備えた請求項12記載の半導体装置。
【請求項23】
前記絶縁材は絶縁テープである請求項12記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2007−509491(P2007−509491A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535324(P2006−535324)
【出願日】平成16年6月7日(2004.6.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/017981
【国際公開番号】WO2005/041298
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(503274579)キューリック・アンド・ソファ・インベストメンツ・インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】KULICKE & SOFFA INVESTMENTS, INC.
【Fターム(参考)】