説明

半導体装置加工装置および半導体装置製造方法

【課題】摺動不良をより確実に、より長期的に防止すること。
【解決手段】開口部が形成されるガイドブッシュと、その開口部に挿入されるガイドポストとを備えている。その開口部のうちのそのガイドポストに摺動するブッシュ摺動面22は、そのガイドブッシュが移動方向17に移動するときに、複数の分岐溝27−1〜27−nに貯留されている潤滑剤が傾斜溝26−1を介して環状溝25に供給されるように、そのガイドブッシュが移動方向17の反対方向に移動するときに、環状溝25に貯留されている潤滑剤が傾斜溝26−1を介して複数の分岐溝27−1〜27−nに貯留されるように、環状溝25と傾斜溝26−1と複数の分岐溝27−1〜27−nとが形成されている。このため、潤滑剤は、傾斜溝26−1を流れることにより、そのガイドポストに対してそのガイドブッシュが回転しなくても、より均一にブッシュ摺動面22に塗布される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置加工装置および半導体装置製造方法に関し、特に、潤滑剤を用いて工具を所定の位置に案内する機械要素を利用する半導体装置加工装置および半導体装置製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モールド成型済みリードフレームをフレームと半導体装置パッケージとに切り離す半導体装置加工装置が知られている。その半導体装置加工装置は、上金型と下金型と金型ガイドとを備えている。その金型ガイドは、その上金型に対して上金型を所定の位置に案内し、その上金型と下金型とを合致させることにより、モールド成型済みリードフレームをフレームと半導体装置パッケージとに切り離す。その半導体装置製造用のプレス金型は、生産能力向上が望まれ、プレス加工動作高速化に伴い、摺動時の潤滑は非常に重要な要素となる。
【0003】
特開2004−36757号公報には、潤滑性により優れた軸受装置が開示されている。その軸受装置は、軸に対して隙間嵌めで嵌合する内輪と、外輪と、その内輪とその外輪との間に配置された転動体とからなる軸受装置において、その内輪の内周面には、2本以上の螺旋溝が形成されていることを特徴としている。
【0004】
特開2002−139026号公報には、薄型モータ用流体軸受の信頼性を向上するため、潤滑剤の蒸発と漏れを充分に防止することのできる流体軸受装置が開示されている。その流体軸受装置は、シャフトと、そのシャフトを回転自在に支持するスリーブと、そのスリーブの下面に固定されそのシャフトのスラスト方向を支持して所定の潤滑剤を密閉するスラスト受けとを具備している。そのスリーブのスラスト方向の所定箇所の内周壁面にはヘリングボーン溝が形成されている。そのスリーブには、そのヘリングボーン溝よりも溝幅が狭く深さも浅い、そのシャフトの回転方向でそのスラスト受け方向へ向かう第1の螺旋状溝が、スリーブ内周壁面に形成されていることを特徴としている。
【0005】
実開平02−9328号公報には、潤滑油の流れを良くしたガイドブッシュが開示されている。そのガイドブッシュは、摺動軸との接触面に、潤滑油の流通する螺旋状の油溝を設け、かつ、耐摩耗性金属層を被着してなることを特徴としている。
【0006】
実開平03−65005号公報には、摺動部への潤滑油給油、そして迅速かつ完全な密着面からの潤滑油排除を可能とする摩擦クランプ装置の潤滑用油溝が開示されている。その摩擦クランプ装置の潤滑用油溝は、ロッドにスリーブを摺動可能に外挿し、そのスリーブ外周とハウジング内周の間に構成された油室に油圧力を作用させて、そのロッドとそのスリーブとの摺動面の摩擦力を増減することにより、締結および解放を繰り返す。その摩擦クランプ装置の潤滑用油溝は、そのスリーブ内周に、ラセン状油溝と、そのラセン状油溝間を連作する短絡油溝を1本または複数本設けたことを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−36757号公報
【特許文献2】特開2002−139026号公報
【特許文献3】実開平02−9328号公報
【特許文献4】実開平03−65005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
その金型ガイドは、その上金型に対して上金型を上下に移動可能に支持するための、ガイドポストとガイドブッシュから形成されている。その半導体装置加工装置は、その上金型と下金型の相対位置を高精度に位置決めする必要があるときに、そのガイドポストとガイドブッシュとの間のクリアランスが極狭設定され、その間に塗布される潤滑剤が必然的に薄膜化する。そのため、摺動摩擦熱等により潤滑剤が蒸発しやすくなり、結果、摺動不良を起こしたり、また、潤滑剤の貯留機能低下により、金型ガイド下方へ流れ出し、漏れて溜まった潤滑剤が、周辺に飛散したりする等の問題を生じる。
【0009】
本発明の課題は、加工対象をより長期に安定して加工する半導体装置加工装置および半導体装置製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下に、発明を実施するための形態・実施例で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態・実施例の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0011】
本発明による半導体装置加工装置は、開口部(21)が形成されるガイドブッシュ(15)と、開口部(21)に挿入されるガイドポスト(14)とを備えている。ガイドブッシュ(15)は、ガイドポスト(14)が開口部(21)に挿入されているときに、ガイドポスト(14)に対してガイドブッシュ(15)が移動方向(17)に平行に移動することによりガイドポスト(14)に摺動するブッシュ摺動面(22)(42)(52)(62)が開口部(21)に形成されている。ブッシュ摺動面(22)(42)(52)(62)は、ガイドポスト(14)を囲む環状溝(25)(45)(55)(65)と、第1端が環状溝(25)(45)(55)(65)に接続され、その第1端の反対側の第2端がブッシュ摺動面(22)(42)(52)(62)の端(24)(44)(54)(64)に接続される傾斜溝(26−1)(46−1)(56)(66−1)と、複数の分岐溝(27−1〜27−n)(47−1〜47−n)(57−1〜57−n)(67−1〜67−n)とが形成されている。傾斜溝(26−1)(46−1)(56)(66−1)は、傾斜溝(26−1)(46−1)(56)(66−1)をその第2端からその第1端に辿る点が環状溝(25)(45)(55)(65)に単調に接近するように、かつ、傾斜溝(26−1)(46−1)(56)(66−1)をその第2端からその第1端に辿る点が移動方向(17)と異なる方向に移動する部分を含んでいるように、形成されている。複数の分岐溝(27−1〜27−n)(47−1〜47−n)(57−1〜57−n)(67−1〜67−n)のうちの任意の分岐溝は、第3端(48)が環状溝(25)(45)(55)(65)に接続され、移動方向(17)に平行である直線(40)が第3端(48)の反対側の第4端(49)を通るときに、直線(40)が傾斜溝(26−1)(46−1)(56)(66−1)と交差する点(50)より環状溝(25)(45)(55)(65)から遠い位置に第4端(49)が配置されるように、かつ、第3端(48)が直線(40)に正射影された点(51)より環状溝(25)(45)(55)(65)から遠い位置に第4端(49)が配置されるように、形成されている。ガイドブッシュ(15)に固定される第1工具(12)は、ガイドポスト(14)に固定される第2工具(7)に噛み合うことにより加工対象(8)を加工する。
【0012】
このような半導体装置加工装置は、ガイドブッシュ(15)が移動方向(17)に移動するときに、複数の分岐溝(27−1〜27−n)(47−1〜47−n)(57−1〜57−n)(67−1〜67−n)に貯留されている潤滑剤が傾斜溝(26−1)(46−1)(56)(66−1)を介して環状溝(25)(45)(55)(65)に供給されたり、環状溝(25)(45)(55)(65)に貯留されている潤滑剤が傾斜溝(26−1)(46−1)(56)(66−1)を介して複数の分岐溝(27−1〜27−n)(47−1〜47−n)(57−1〜57−n)(67−1〜67−n)に貯留されたりする。このため、潤滑剤は、ガイドポスト(14)に対してガイドブッシュ(15)が摺動するときに、傾斜溝(26−1)(46−1)(56)(66−1)を流れることにより、移動方向(17)と異なる周方向によく流れ、ガイドポスト(14)に対してガイドブッシュ(15)が回転しなくても、より均一にブッシュ摺動面(22)(42)(52)(62)に塗布される。
【0013】
本発明による半導体装置製造方法は、吊りピンを介して半導体装置パッケージがフレームに支持されているモールド成型済みリードフレーム(8)を作製するステップと、半導体装置加工装置を利用して、その吊りピンを切断する。その半導体装置加工装置は、開口部(21)が形成されるガイドブッシュ(15)と、開口部(21)に挿入されるガイドポスト(14)とを備えている。ガイドブッシュ(15)は、ガイドポスト(14)が開口部(21)に挿入されているときに、ガイドポスト(14)に対してガイドブッシュ(15)が移動方向(17)に平行に移動することによりガイドポスト(14)に摺動するブッシュ摺動面(22)(42)(52)(62)が開口部(21)に形成されている。ブッシュ摺動面(22)(42)(52)(62)は、ガイドポスト(14)を囲む環状溝(25)(45)(55)(65)と、第1端が環状溝(25)(45)(55)(65)に接続され、その第1端の反対側の第2端がブッシュ摺動面(22)(42)(52)(62)の端(24)(44)(54)(64)に接続される傾斜溝(26−1)(46−1)(56)(66−1)と、複数の分岐溝(27−1〜27−n)(47−1〜47−n)(57−1〜57−n)(67−1〜67−n)とが形成されている。傾斜溝(26−1)(46−1)(56)(66−1)は、傾斜溝(26−1)(46−1)(56)(66−1)をその第2端からその第1端に辿る点が環状溝(25)(45)(55)(65)に単調に接近するように、かつ、傾斜溝(26−1)(46−1)(56)(66−1)をその第2端からその第1端に辿る点が移動方向(17)と異なる方向に移動する部分を含んでいるように、形成されている。複数の分岐溝(27−1〜27−n)(47−1〜47−n)(57−1〜57−n)(67−1〜67−n)のうちの任意の分岐溝は、第3端(48)が環状溝(25)(45)(55)(65)に接続され、移動方向(17)に平行である直線(40)が第3端(48)の反対側の第4端(49)を通るときに、直線(40)が傾斜溝(26−1)(46−1)(56)(66−1)と交差する点(50)より環状溝(25)(45)(55)(65)から遠い位置に第4端(49)が配置されるように、かつ、第3端(48)が直線(40)に正射影された点(51)より環状溝(25)(45)(55)(65)から遠い位置に第4端(49)が配置されるように、形成されている。ガイドブッシュ(15)に固定される第1工具(12)は、ガイドポスト(14)に固定される第2工具(7)に噛み合うことによりその吊りピンを切断する。
【0014】
本発明によるガイドブッシュ(15)は、開口部(21)が形成される内側部分と、支持対象に固定される外側部分とを備えている。その内側部分は、移動方向(17)に平行である直線(40)から形成される柱面に沿うブッシュ摺動面(22)(42)(52)(62)が開口部(21)に形成されている。ブッシュ摺動面(22)(42)(52)(62)は、閉曲線に沿って形成される環状溝(25)(45)(55)(65)と、第1端が環状溝(25)(45)(55)(65)に接続され、その第1端の反対側の第2端がブッシュ摺動面(22)(42)(52)(62)の端(24)(44)(54)(64)に接続される傾斜溝(26−1)(46−1)(56)(66−1)と、複数の分岐溝(27−1〜27−n)(47−1〜47−n)(57−1〜57−n)(67−1〜67−n)とが形成されている。傾斜溝(26−1)(46−1)(56)(66−1)は、傾斜溝(26−1)(46−1)(56)(66−1)をその第2端からその第1端に辿る点が環状溝(25)(45)(55)(65)に単調に接近するように、かつ、傾斜溝(26−1)(46−1)(56)(66−1)をその第2端からその第1端に辿る点が移動方向(17)と異なる方向に移動する部分を含んでいるように、形成されている。複数の分岐溝(27−1〜27−n)(47−1〜47−n)(57−1〜57−n)(67−1〜67−n)のうちの任意の分岐溝は、第3端(48)が環状溝(25)(45)(55)(65)に接続され、移動方向(17)に平行である直線(40)が第3端(48)の反対側の第4端(49)を通るときに、直線(40)が傾斜溝(26−1)(46−1)(56)(66−1)と交差する点(50)より環状溝(25)(45)(55)(65)から遠い位置に第4端(49)が配置されるように、かつ、第3端(48)が直線(40)に正射影された点(51)より環状溝(25)(45)(55)(65)から遠い位置に第4端(49)が配置されるように、形成されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明による半導体装置加工装置および半導体装置製造方法によれば、ブッシュ摺動面とポスト摺動面との間に供給された潤滑剤は、ブッシュ摺動面とポスト摺動面とが摺動するときに、その傾斜溝を流れることにより、より均一にブッシュ摺動面に塗布される。その結果、本発明による半導体装置加工装置および半導体装置製造方法は、摺動不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明による半導体装置加工装置を示す半断面図である。
【図2】図2は、ガイドブッシュを示す斜視図である。
【図3】図3は、摺動面を示す展開図である。
【図4】図4は、案内溝を示す図である。
【図5】図5は、ガイドブッシュが1ピッチだけ移動するときの潤滑剤の流れを示す図である。
【図6】図6は、ガイドブッシュが下降するときの潤滑剤の流れを示す図である。
【図7】図7は、ガイドブッシュが上昇するときの潤滑剤の流れを示す図である。
【図8】図8は、他の摺動面を示す展開図である。
【図9】図9は、さらに他の摺動面を示す展開図である。
【図10】図10は、さらに他の摺動面を示す展開図である。
【図11】図11は、ガイドブッシュが1ピッチだけ移動するときに、図10に示される摺動面に貯留される潤滑剤の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を参照して、本発明による半導体装置加工装置の実施の形態を記載する。その半導体装置加工装置は、図1に示されているように、下金型1と上金型2と金型ガイド3とを備えている。上金型2は、金型ガイド3を介して下金型1に平行移動可能に支持されている。すなわち、下金型1は、下型ホルダ5とダイプレート6とダイ7とを備えている。下型ホルダ5は、金属から形成され、板状に形成されている。下型ホルダ5は、ボルスタに形成されるボルスタ面に取り付けられ、そのボルスタに固定されている。そのボルスタ面は、水平面に平行である。ダイプレート6は、下型ホルダ5の鉛直上側に配置され、下型ホルダ5に固定されている。ダイプレート6は、ダイ7がダイプレート6の鉛直上側に配置されるように、ダイプレート6にダイ7を固定している。ダイ7は、金属から形成されている。ダイ7は、加工対象であるモールド成型済みリードフレーム8を保持する。
【0018】
モールド成型済みリードフレーム8は、図示されていないリードフレームと半導体装置パッケージ部分とを備えている。その半導体装置パッケージ部分は、複数の回路素子が集積された集積回路が樹脂により封止されている。そのリードフレームは、一枚の金属板から形成されている。その金属は、ダイ7を形成している材料より硬い。そのリードフレームは、ダイパッドと複数のリードとフレームと吊りピンとが形成されている。そのダイパッドは、その集積回路がマウントされ、その集積回路とともにその半導体装置パッケージ部分の内部にその樹脂により封止されている。その複数のリードは、それぞれ、棒状に形成され、その半導体装置パッケージ部分の外周に配置されている。その複数のリードは、それぞれ、一部がその樹脂により封止されることにより、その半導体装置パッケージ部分に支持されている。その複数のリードの各々は、その複数の回路素子のうちのいずれかの回路素子の端子に電気的に接続されている。そのフレームは、その樹脂に被覆されないで、その半導体装置パッケージ部分の周りに配置されている。その吊りピンは、棒状に形成され、一端がそのダイパッドに接合され、他端がそのフレームに接合され、その樹脂により封止されている。すなわち、その半導体装置パッケージ部分は、その吊りピンを介してそのフレームに支持されている。
【0019】
上金型2は、上型ホルダ10とパンチプレート11とパンチ12とを備えている。上型ホルダ10は、金属から形成され、板状に形成されている。上型ホルダ10は、金型ガイド3を介して平行移動可能に支持されている。パンチプレート11は、上型ホルダ10の鉛直下側に配置され、上型ホルダ10に固定されている。パンチ12がパンチプレート11の鉛直下側に配置されるように、パンチプレート11にパンチ12を固定している。パンチ12は、そのリードフレームを形成する金属より硬い金属から形成され、板状に形成されている。
【0020】
金型ガイド3は、複数のガイドポスト14と複数のガイドブッシュ15とを備えている。複数のガイドポスト14は、それぞれ、金属から形成され、円柱に形成されている。複数のガイドポスト14は、それぞれ、その円柱の側面に摺動面16が形成されている。複数のガイドポスト14は、それぞれ、その柱面の母線が移動方向17に平行になるように配置され、下型ホルダ5に固定されている。移動方向17は、鉛直方向に平行である。複数のガイドブッシュ15は、複数のガイドポスト14に対応づけられている。複数のガイドブッシュ15は、それぞれ、金属から形成され、円筒状に形成されている。複数のガイドブッシュ15のうちのあるガイドブッシュは、複数のガイドポスト14のうちのそのガイドブッシュに対応するガイドポストに移動方向17に平行に平行移動可能に支持されている。複数のガイドブッシュ15は、それぞれ、上型ホルダ10に固定されている。
【0021】
その半導体装置加工装置は、さらに、図示されていないクランプとアクチュエータとを備えている。そのクランプは、ユーザにより操作されることにより、モールド成型済みリードフレーム8がダイ7の所定の位置に保持されるように、モールド成型済みリードフレーム8をダイ7に固定する。そのアクチュエータは、ユーザにより操作されることにより、パンチ12を移動方向17に平行に平行移動させる。
【0022】
その半導体装置加工装置は、そのアクチュエータが移動方向17に平行に上死点から下死点までパンチ12を往復運動させ、その下死点に配置されたときにパンチ12がダイ7に噛み合わさる。その半導体装置加工装置は、モールド成型済みリードフレーム8がダイ7の所定の位置に保持されているときに、パンチ12がダイ7に噛み合うことにより、モールド成型済みリードフレーム8の吊りピンを切断し、モールド成型済みリードフレーム8を半導体装置パッケージとフレームとに分離する。
【0023】
図2は、ガイドブッシュ15を示している。ガイドブッシュ15は、円筒形に形成され、外側部分と内側部分とを備えている。その外側部分は、上型ホルダ10に固定され、すなわち、パンチ12に間接的に固定されている。その内側部分は、開口部21が形成されている。ガイドブッシュ15は、開口部21にガイドポスト14が挿入されることにより、移動方向17に平行移動可能に支持される。開口部21は、円柱の側面に沿う摺動面22を形成している。ガイドブッシュ15は、全長Lがその上死点から下死点までの摺動ストロークSに対して十分に短くなるように、形成されている。ガイドブッシュ15は、開口部21の直径が内径Dとなるように、形成されている。内径Dは、ガイドポスト14の直径に概ね等しく、または、ガイドポスト14の直径より少し大きい。内径Dとしては、10mm〜60mm程度の寸法が例示される。このとき、ガイドポスト14とガイドブッシュ15とは、次式:
L/D>0.8
が満足するように、形成されている。摺動面22は、開口部21にガイドポスト14が挿入され、移動方向17に平行にガイドブッシュ15が平行移動するときに、ガイドブッシュ15の摺動面16に摺動する。
【0024】
摺動面22は、上方端23と下方端24とを有している。上方端23は、ガイドブッシュ15の開口部21にガイドポスト14が挿入されたときに、摺動面22の端のうちの下型ホルダ5に遠い側に配置される端を示している。下方端24は、ガイドブッシュ15の開口部21にガイドポスト14が挿入されたときに、摺動面22の端のうちの下型ホルダ5に近い側に配置される端を示している。上方端23と下方端24とは、ガイドブッシュ15の開口部21にガイドポスト14が挿入されているときに、それぞれ、移動方向17に垂直である平面に含まれるように、形成されている。摺動面22は、さらに、上方端23から下方端24までの距離がガイドブッシュ15の全長Lに等しくなるように、形成されている。
【0025】
図3は、摺動面22を示している。摺動面22は、環状溝25と2つの傾斜溝26−1〜26−2とが形成されている。環状溝25は、ガイドブッシュ15の開口部21にガイドポスト14が挿入されているときに、ガイドポスト14を囲むように配置されている。すなわち、環状溝25は、摺動面22に描かれる閉曲線に沿って形成されている。その閉曲線は、摺動面22をその閉曲線で2つの領域に分割したときに、その2つの領域のうちの一方に上方端23が配置され、その2つの領域のうちの他方に下方端24が配置されるように、形成されている。その閉曲線は、さらに、ガイドブッシュ15の開口部21にガイドポスト14が挿入されているときに、移動方向17に垂直である平面に含まれるように、形成されている。その閉曲線は、さらに、下方端24から有効長Lmだけ離れるように、形成されている。
【0026】
2つの傾斜溝26−1〜26−2は、摺動面22に描かれる複数の螺旋にそれぞれ沿って形成されている。すなわち、2つの傾斜溝26−1〜26−2は、摺動面22が伸縮することなしに摺動面22を平面に展開したときに、それぞれ、互いに平行である複数の直線に沿って配置される。このとき、2つの傾斜溝26−1〜26−2は、さらに、その複数の直線と下方端24とがなす角であるリード角Θが30度〜60度の範囲に含まれるように、形成されている。2つの傾斜溝26−1〜26−2は、さらに、ピッチPだけ離れるように、すなわち、移動方向17に平行である摺動面22上の直線が傾斜溝26−1と交差する点からその直線が傾斜溝26−2と交差する点までの距離がピッチPであるように、形成されている。2つの傾斜溝26−1〜26−2は、さらに、ピッチPが有効長Lmと等しくなるように、形成されている。すなわち、移動方向17に平行である摺動面22上の任意の直線は、2つの傾斜溝26−1〜26−2の一方にのみ交差している。2つの傾斜溝26−1〜26−2は、さらに、それぞれ、一端が環状溝25に接続されるように、かつ、他端が下方端24に配置されるように、形成されている。
【0027】
なお、その螺旋は、ガイドブッシュ15の上方より下方に見た場合に、時計回り方向、反時計回り方向のいずれも採用されることができる。
【0028】
摺動面22は、さらに、2つの傾斜溝26−1〜26−2毎に複数の分岐溝27−1〜27−nが形成されている。複数の分岐溝27−1〜27−nの各分岐溝27−j(j=1,2,3,…,n)は、移動方向17に平行である摺動面22上の直線に沿って形成されている。分岐溝27−jは、さらに、一端が2つの傾斜溝26−1〜26−2のいずれかの傾斜溝26−i(i=1,2)に接続されるように、かつ、他端がその一端より下方端24に近くなるように、形成されている。分岐溝27−jは、さらに、その他端が摺動面22の内部に配置されるように、すなわち、摺動面22の外側または摺動面22に形成される他の溝に接続されないように、形成されている。さらに、分岐溝27−jが傾斜溝26−iに接続されている位置は、分岐溝27−(j+1)が傾斜溝26−iに接続されている位置より環状溝25に近い。
【0029】
環状溝25と2つの傾斜溝26−1〜26−2と複数の分岐溝27−1〜27−nの溝幅は、潤滑剤の特性に基づいて設定され、たとえば、1mm〜5mmが例示される。
【0030】
摺動面22は、図4に示されているように、さらに、案内溝28が形成されている。案内溝28は、傾斜溝26−iの下方端24に接続する位置に形成されている。案内溝28は、傾斜溝26−iの下方端24に接続する口を拡大するように、形成されている。
【0031】
本発明による半導体装置製造方法の実施の形態は、モールド成型済みリードフレームを作製する動作と、モールド成型済みリードフレームから半導体装置パッケージを切り離す動作とを備えている。
【0032】
そのモールド成型済みリードフレームを作製する動作では、モールド成型済みリードフレーム8が作製される。すなわち、複数の回路素子が集積された集積回路が作製され、一枚の金属板からリードフレームが作製される。そのリードフレームは、ダイパッドと複数のリードとフレームと吊りピンとが形成されている。その集積回路は、そのダイパッドにマウントされる。その集積回路は、そのダイパッドにマウントされた後に、その複数のリードの各々がその複数の回路素子のうちのいずれかの回路素子の端子に電気的に接続されるように、ワイヤボンディングされる。そのワイヤボンディングされたボンディング済みリードフレームは、成型金型の内部に配置され、その成型金型の内部に樹脂が充填されることにより、その複数のリードのうちのワイヤボンディングされた部分と一部とその吊りピンとともにその樹脂により樹脂封止される。その樹脂封止されたモールド成型済みリードフレームは、そのリードフレームのうちの樹脂に被覆されていない表面がはんだめっきされることにより、モールド成型済みリードフレーム8に形成される。
【0033】
そのモールド成型済みリードフレームから半導体装置パッケージを切り離す動作は、本発明による半導体装置加工装置を用いて実行される。ユーザは、まず、ガイドポスト14の摺動面16に潤滑剤を塗布し、または、ガイドブッシュ15の摺動面22に潤滑剤を塗布する。ユーザは、その潤滑剤が塗布された後に、ガイドブッシュ15の開口部21にガイドポスト14を挿入する。金型ガイド3は、このような挿入により、下金型1に対して上金型2を移動方向17に平行に平行移動可能に支持する。ユーザは、上金型2が平行移動可能に支持された後に、パンチ12が移動方向17に移動することによりパンチ12がダイ7に合致するように、下型ホルダ5に対するダイ7の位置を調整し、または、上型ホルダ10に対するパンチ12の位置を調整する。ユーザは、下金型1に対して上金型2が平行移動可能に支持された後に、所定の動作を繰り返して実行する。
【0034】
その所定の動作では、ユーザは、パンチ12がその上死点に配置されているときに、まず、その半導体装置加工装置のクランプを操作することにより、モールド成型済みリードフレーム8をダイ7に固定する。ユーザは、さらに、その半導体装置加工装置のアクチュエータを操作することにより、パンチ12を移動方向17に摺動ストロークSだけ平行移動させ、パンチ12をその下死点に配置する。パンチ12は、その下死点に配置されることにより、ダイ7に合致する。モールド成型済みリードフレーム8は、パンチ12がダイ7に合致することにより、その吊りピンが切断され、半導体装置パッケージとフレームとに分離する。ユーザは、モールド成型済みリードフレーム8からその半導体装置パッケージが切り離された後に、そのアクチュエータを操作することにより、パンチ12を移動方向17の反対方向に摺動ストロークSだけ平行移動させ、パンチ12をその上死点に配置する。ユーザは、パンチ12がその上死点に配置されているときに、そのクランプを操作することにより、その半導体装置加工装置からその半導体装置パッケージとフレームとを取り出す。
【0035】
ガイドブッシュ15の摺動面16とガイドブッシュ15の摺動面22とは、その所定の動作が繰り返して実行されるときに、移動方向17に平行に摺動する。このとき、環状溝25に貯留されている潤滑剤は、ガイドポスト14に対してガイドブッシュ15が移動方向17の反対方向に平行移動することにより、図5に示されているように、一部36が摺動面16と摺動面22との間に供給され、他の一部37が2つの傾斜溝26−1〜26−2に供給される。傾斜溝26−iに貯留されている潤滑剤は、ガイドポスト14に対してガイドブッシュ15が移動方向17の反対方向に平行移動することにより、一部が摺動面16と摺動面22との間に供給される。傾斜溝26−iのうちの分岐溝27−jより環状溝25に近い部分に貯留している潤滑剤は、ガイドポスト14に対してガイドブッシュ15が移動方向17の反対方向に平行移動することにより、一部38が分岐溝27−jに供給される。傾斜溝26−iのうちの分岐溝27−jより環状溝25に近い部分に貯留している潤滑剤は、分岐溝27−jが潤滑剤で満たされたときに、ガイドポスト14に対してガイドブッシュ15が移動方向17の反対方向に平行移動することにより、他の一部39が傾斜溝26−iのうちの分岐溝27−jより環状溝25から遠い部分に供給される。傾斜溝26−iのうちの分岐溝27−nより環状溝25から遠い部分に貯留している潤滑剤は、ガイドポスト14に対してガイドブッシュ15が移動方向17の反対方向に平行移動することにより、下方端24からガイドポスト14の摺動面16に流れ出る。
【0036】
ガイドポスト14の摺動面16に付着している潤滑剤は、ガイドポスト14に対してガイドブッシュ15が移動方向17に平行移動することにより、一部が案内溝28を介して2つの傾斜溝26−1〜26−2に供給される。傾斜溝26−iに接続されている分岐溝27−jに貯留されている潤滑剤は、ガイドポスト14に対してガイドブッシュ15が移動方向17に平行移動することにより、図6に示されているように、一部31が傾斜溝26−iに供給される。傾斜溝26−iに貯留されている潤滑剤は、ガイドポスト14に対してガイドブッシュ15が移動方向17に平行移動することにより、傾斜溝26−iを環状溝25に向かって流れ、一部32が環状溝25に供給される。環状溝25に貯留されている潤滑剤は、ガイドポスト14に対してガイドブッシュ15が移動方向17に平行移動したときに、一部が摺動面16と摺動面22との間に供給され、傾斜溝26−iから環状溝25に供給される潤滑剤に押されることにより、他の一部33、34が環状溝25を周方向に流れる。
【0037】
すなわち、摺動面16と摺動面22との間に貯留されている潤滑剤30は、ガイドポスト14に対してガイドブッシュ15が回転しなくても、ガイドポスト14に対してガイドブッシュ15が移動方向17と平行に移動することにより、図7に示されているように、摺動面16と摺動面22との間を周方向に流れる。
【0038】
ガイドポスト14の摺動面16とガイドブッシュ15の摺動面22との隙間は、潤滑剤がこのような挙動を示すことにより、摺動面22の周方向に潤滑剤がより一様に塗布され、摺動面22に潤滑剤がより均一に塗布される。ガイドポスト14とガイドブッシュ15とは、潤滑剤の膜厚均一化により、摺動不良を起こすことが防止される。このような半導体装置加工装置は、潤滑剤の膜厚均一化により、さらに、クリアランスが均一化し、ガイドポスト14の調芯効果も得られる。その結果、本発明による半導体装置加工装置は、パンチ12をより高精度に所定の位置に案内することができる。
【0039】
このような半導体装置加工装置は、ガイドポスト14に対してガイドブッシュ15が移動方向17の反対方向に平行移動したときに、摺動面16と摺動面22との隙間に貯留された潤滑剤が複数の分岐溝27−1〜27−nに貯留されることにより、下方端24から流れ出る潤滑剤の量を低減することができる。このため、このような半導体装置加工装置は、ガイドポスト14とガイドブッシュ15とが摺動不良を起こすことを防止することができる期間を延長することができる。このような半導体装置加工装置は、さらに、その潤滑剤が本半導体装置加工装置の周辺に飛散することを防止し、本半導体装置加工装置の周辺に配置される機器がその潤滑剤で汚染されることを防止することができる。
【0040】
このため、本発明による半導体装置製造方法は、このような半導体装置加工装置を利用することにより、モールド成型済みリードフレーム8の吊りピンの所定の位置をより高精度に切断することができ、半導体装置パッケージをより適切に作製することができる。本発明による半導体装置製造方法は、このような半導体装置加工装置を利用することにより、さらに、モールド成型済みリードフレーム8の吊りピンをより長期にわたって切断することができ、半導体装置パッケージをより効率よく作製することができる。
【0041】
環状溝25は、ガイドブッシュ15の上方端23に近い位置が望ましい。これは、摺動面22のうちの2つの傾斜溝26−1〜26−2が配置される領域の有効長Lmをできるだけ長く取り、2つの傾斜溝26−1〜26−2による潤滑効果をより高めることを目的とするものである。
【0042】
なお、ガイドブッシュ15は、下方端24から漏れ出る潤滑剤の量が十分に少ないときに、案内溝28を省略することもできる。このようなガイドブッシュが適用された半導体装置加工装置は、既述の実施の形態における半導体装置加工装置と同様にして、ガイドポスト14とガイドブッシュ15との摺動不良をより確実に、より長期的に防止することができる。
【0043】
なお、ガイドブッシュ15は、傾斜溝26−iと環状溝25とが接続されている部分に他の案内溝をさらに形成されることもできる。その案内溝は、傾斜溝26−iと環状溝25とが接続されている部分に形成される角がなだらかな曲線を描くように、形成されている。ガイドブッシュ15は、さらに、傾斜溝26−iと分岐溝27−jとが接続されている部分にさらに他の案内溝をさらに形成されることもできる。その案内溝は、傾斜溝26−iと分岐溝27−jとが接続されている部分に形成される角がなだらかな曲線を描くように、形成されている。このような案内溝が適用された半導体装置加工装置は、既述の実施の形態における半導体装置加工装置と同様にして、ガイドポスト14とガイドブッシュ15との摺動不良をより確実に、より長期的に防止することができる。
【0044】
本発明による半導体装置加工装置の実施の他の形態は、既述の実施の形態における摺動面22と異なる他の摺動面が形成されるガイドブッシュを備えている。その摺動面42は、図8に示されているように、上方端43と下方端44とを有している。上方端43は、摺動面42の端のうちの下型ホルダ5に遠い側に配置される端を示している。下方端44は、摺動面42の端のうちの下型ホルダ5に近い側に配置される端を示している。上方端43と下方端44とは、そのガイドブッシュの開口部にガイドポスト14が挿入されているときに、それぞれ、移動方向17に垂直である平面に含まれるように、形成されている。上方端43から下方端44までの距離は、そのガイドブッシュの全長Lに等しく、モールド成型済みリードフレーム8と半導体装置パッケージとフレームとに分離するときにパンチ12が移動する摺動ストロークSに対して十分に短い。
【0045】
摺動面42は、環状溝45と複数の傾斜溝46−1〜46−2とが形成されている。環状溝45は、既述の実施の形態における環状溝25と同様にして、形成されている。すなわち、環状溝45は、移動方向17に垂直である平面上に配置されるように、形成されている。複数の傾斜溝46−1〜46−2は、既述の実施の形態における2つの傾斜溝26−1〜26−2と同様にして、形成されている。すなわち、複数の傾斜溝46−1〜46−2は、摺動面42に描かれる複数の螺旋にそれぞれ沿って形成され、互いにピッチPだけ離れるように形成されている。複数の傾斜溝46−1〜46−2は、さらに、ピッチPが有効長Lmと等しくなるように、形成されている。複数の傾斜溝46−1〜46−2は、さらに、それぞれ、一端が環状溝45に接続されるように、かつ、他端が下方端44に配置されるように、形成されている。
【0046】
摺動面42は、さらに、複数の傾斜溝46−1〜46−2毎に複数の分岐溝47−1〜47−nが形成されている。複数の分岐溝47−1〜47−nの各分岐溝47−jは、概ね直線状に形成され、接続端48と非接続端49とを有している。分岐溝47−jは、接続端48が複数の傾斜溝46−1〜46−2のいずれかの傾斜溝46−iに接続されている。分岐溝47−jは、非接続端49が接続端48より環状溝45から遠い側に配置されるように、かつ、非接続端49が傾斜溝46−iより環状溝45から遠い側に配置されるように、形成されている。すなわち、非接続端49を通る直線40は、移動方向17に平行であるときに、傾斜溝46−iに点50で交差する。このとき、分岐溝47−iは、点50に比較して、非接続端49が環状溝45から遠い側に配置されるように、形成されている。分岐溝47−iは、さらに、接続端48が直線40に正射影した点51に比較して、非接続端49が環状溝45から遠い側に配置されるように、形成されている。さらに、複数の分岐溝47−1〜47−nは、分岐溝47−jの接続端48が分岐溝47−(j+1)の接続端48より環状溝45に近くなるように、形成されている。
【0047】
摺動面42が適用されている半導体装置加工装置は、既述の実施の形態における半導体装置加工装置と同様にして、摺動不良を起こすことがより確実に防止され、摺動不良を起こすことを防止することができる期間を延長することができ、さらに、ガイドポスト14の調芯効果が得られる。摺動面42が適用されている半導体装置加工装置は、既述の実施の形態における半導体装置加工装置と同様にして、本発明による半導体装置製造方法に適用されることができる。このような半導体装置加工装置が利用された半導体装置製造方法は、既述の実施の形態における半導体装置製造方法と同様にして、半導体装置パッケージをより適切に、より効率よく作製することができる。
【0048】
なお、分岐溝47−jは、非接続端49が点50より環状溝45から遠い側に配置されるように、かつ、非接続端49が点51より環状溝45から遠い側に配置されるように、形成されていればよく、接続端48が点50より環状溝45から遠い側に配置されていてもかまわない。このような分岐溝が適用された半導体装置加工装置は、既述の実施の形態における半導体装置加工装置と同様にして、摺動不良をより確実に、より長期間にわたって防止することができ、パンチ12をより高精度に所定の位置に案内することができる。
【0049】
本発明による半導体装置加工装置の実施のさらに他の形態は、既述の実施の形態における摺動面22と異なる他の摺動面が形成されるガイドブッシュを備えている。その摺動面42は、図9に示されるように、上方端53と下方端54とを有している。上方端53は、摺動面52の端のうちの下型ホルダ5に遠い側に配置される端を示している。下方端54は、摺動面52の端のうちの下型ホルダ5に近い側に配置される端を示している。上方端53と下方端54とは、そのガイドブッシュの開口部にガイドポスト14が挿入されているときに、それぞれ、移動方向17に垂直である平面に含まれるように、形成されている。上方端53から下方端54までの距離は、そのガイドブッシュの全長Lに等しく、モールド成型済みリードフレーム8と半導体装置パッケージとフレームとに分離するときにパンチ12が移動する摺動ストロークSに対して十分に短い。
【0050】
摺動面52は、環状溝55と傾斜溝56と複数の分岐溝57−1〜57−nとが形成されている。環状溝55は、既述の実施の形態における環状溝25と同様にして、形成されている。すなわち、環状溝55は、移動方向17に垂直である平面上に配置されるように、形成されている。傾斜溝56は、既述の実施の形態における2つの傾斜溝26−1〜26−2と同様にして、形成されている。すなわち、傾斜溝56は、摺動面52に描かれる螺旋に沿って形成されている。傾斜溝56は、さらに、一端が環状溝55に接続されるように、かつ、他端が下方端34に配置されるように、形成されている。
【0051】
複数の分岐溝57−1〜57−nの各分岐溝57−jは、直線状に形成され、移動方向17に平行になるように、形成されている。分岐溝57−jは、さらに、一端が傾斜溝56に接続されるように、かつ、他端がその一端より下方端54に近くなるように、形成されている。分岐溝57−jは、さらに、その他端が摺動面52の内部に配置されるように、すなわち、摺動面52の外側または摺動面52に形成される他の溝に接続されないように、形成されている。さらに、分岐溝57−jが傾斜溝56に接続されている位置は、分岐溝57−(j+1)が傾斜溝56に接続されている位置より環状溝55に近い。
【0052】
摺動面52が適用されている半導体装置加工装置は、既述の実施の形態における半導体装置加工装置と同様にして、摺動不良をより確実に、より長期間にわたって防止することができ、パンチ12をより高精度に所定の位置に案内することができる。摺動面52が適用されている半導体装置加工装置は、既述の実施の形態における半導体装置加工装置と同様にして、本発明による半導体装置製造方法に適用されることができる。このような半導体装置加工装置が利用された半導体装置製造方法は、既述の実施の形態における半導体装置製造方法と同様にして、半導体装置パッケージをより適切に、より効率よく作製することができる。
【0053】
本発明による半導体装置加工装置の実施のさらに他の形態は、既述の実施の形態における摺動面22と異なる他の摺動面が形成されるガイドブッシュを備えている。その摺動面62は、図10に示されているように、上方端63と下方端64とを有している。上方端63は、摺動面62の端のうちの下型ホルダ5に遠い側に配置される端を示している。下方端64は、摺動面62の端のうちの下型ホルダ5に近い側に配置される端を示している。上方端63と下方端64とは、そのガイドブッシュの開口部にガイドポスト14が挿入されているときに、それぞれ、移動方向17に垂直である平面に含まれるように、形成されている。上方端63から下方端64までの距離は、そのガイドブッシュの全長Lに等しく、モールド成型済みリードフレーム8と半導体装置パッケージとフレームとに分離するときにパンチ12が移動する摺動ストロークSに対して十分に短い。
【0054】
摺動面62は、環状溝65と複数の傾斜溝66−1〜66−m(m=3,4,5,…)とが形成されている。環状溝65は、既述の実施の形態における環状溝25と同様にして、形成されている。すなわち、環状溝65は、移動方向17に垂直である平面上に配置されるように、形成されている。複数の傾斜溝66−1〜66−mの各々は、既述の実施の形態における傾斜溝46−iと同様にして、形成されている。すなわち、複数の傾斜溝66−1〜66−mは、摺動面62に描かれる複数の螺旋にそれぞれ沿って形成され、互いにピッチPだけ離れるように形成されている。複数の傾斜溝66−1〜66−mは、さらに、ピッチPが有効長Lmと等しくなるように、形成されている。複数の傾斜溝66−1〜66−mのうちの任意の傾斜項66−k(k=1,2,3,…,m)は、一端が環状溝65に接続されるように、かつ、他端が下方端64に配置されるように、形成されている。
【0055】
摺動面62は、さらに、複数の傾斜溝66−1〜66−m毎に複数の分岐溝67−1〜67−nが形成されている。複数の分岐溝67−1〜67−nの各分岐溝67−jは、既述の実施の形態における分岐溝27−jと同様にして、形成されている。すなわち、分岐溝67−jは、移動方向17に平行である摺動面62上の直線に沿って形成されている。分岐溝67−jは、さらに、一端が複数の傾斜溝66−1〜66−mのいずれかの傾斜溝26−jに接続されるように、かつ、他端がその一端より下方端24に近くなるように、形成されている。分岐溝67−jは、さらに、その他端が摺動面62の内部に配置されるように、すなわち、摺動面62の外側または摺動面62に形成される他の溝に接続されないように、形成されている。さらに、分岐溝67−jが傾斜溝26−iに接続されている位置は、分岐溝67−(j+1)が傾斜溝26−iに接続されている位置より環状溝25に近い。
【0056】
すなわち、摺動面16と摺動面62との間に貯留されている潤滑剤69は、ガイドポスト14に対してガイドブッシュ15が移動方向17の反対方向に平行移動することにより、図11に示されているように、摺動面16と摺動面62との間を周方向に流れる。
【0057】
摺動面62が適用されている半導体装置加工装置は、既述の実施の形態における半導体装置加工装置と同様にして、摺動不良をより確実に、より長期間にわたって防止することができ、パンチ12をより高精度に所定の位置に案内することができる。摺動面62が適用されている半導体装置加工装置は、既述の実施の形態における半導体装置加工装置と同様にして、本発明による半導体装置製造方法に適用されることができる。このような半導体装置加工装置が利用された半導体装置製造方法は、既述の実施の形態における半導体装置製造方法と同様にして、半導体装置パッケージをより適切に、より効率よく作製することができる。
【0058】
以下、説明の便宜上、多条ねじに用いられる表現を使い、説明する。傾斜溝の角度をリード角Θ、傾斜溝部を多条ねじとみなすと、この多条ねじが、1回転当たりに回転軸方向に進む距離であるリードAは、次式:
A=n×P
で求められる。ここで、上述の多条ねじが1回転当たりに回転軸方向に進む距離であるリードAは、ガイドブッシュが1ピッチ分摺動する際に、傾斜溝内を潤滑剤が流動し進む距離に相当する。よって、例えば、図9に示される傾斜溝56において1ピッチ当たりに潤滑剤が回転軸方向に進む距離は、
1×1
であるのに対し、図10に示される複数の傾斜溝66−1〜66−mにおいて1ピッチ当たりに潤滑剤が回転軸方向に進む距離は、
m×1
となり、1条ねじの傾斜溝56に比べ、回転軸方向にm倍の距離を進むことになる。よって、傾斜溝が多くなると傾斜溝の中を流動する潤滑剤の移動距離が長くなり、潤滑効率が大きく改善されることになる。さらに、ガイドブッシュが1ピッチ分摺動した場合でも、図11に示されているように、潤滑剤が傾斜溝を周方向に2π/mだけ回転するように流れ、リード角Θが大きいため、比較的スムーズに傾斜溝の中を潤滑剤が流動することができる。
【0059】
なお、傾斜溝66−1〜66−m(傾斜溝26−1〜26−2、46−1〜46−2、56を含む。)は、ピッチPが有効長Lmと異なるように、形成されることができる。このとき、その傾斜溝は、ピッチPが有効長Lmより小さくなるように、かつ、ピッチPが全長Lの1/2より大きくなるように、形成されている。なお、傾斜溝66−1〜66−m(傾斜溝26−1〜26−2、46−1〜46−2、56を含む。)は、さらに、螺旋と異なる曲線に沿って形成されることもできる。このとき、傾斜溝66−kは、傾斜溝66−kを下方端64から環状溝65に辿る点が環状溝65に単調に接近するように、かつ、傾斜溝66−kを下方端64から環状溝65に辿る点が移動方向17と異なる方向に移動する部分を含むように、形成されている。複数の傾斜溝66−1〜66−m(傾斜溝26−1〜26−2、46−1〜46−2を含む。)は、さらに、不等ピッチで形成されることができる。このような傾斜溝が適用された半導体装置加工装置は、既述の実施の形態と同様にして、摺動不良をより確実に、より長期間にわたって防止することができ、パンチ12をより高精度に所定の位置に案内することができる。
【0060】
なお、移動方向17は、鉛直下側方向と異なる他の方向に設定されることもできる。その方向としては、水平方向、鉛直上側方向が例示される。このような移動方向が適用された半導体装置加工装置は、既述の実施の形態と同様にして、摺動不良をより確実に、より長期間にわたって防止することができ、パンチ12をより高精度に所定の位置に案内することができる。
【0061】
なお、摺動面62(摺動面22、42、52を含む。)は、円柱と異なる他の柱体の側面に沿って形成されることもできる。その柱体としては、楕円柱が例示される。ガイドブッシュ15は、ガイドポスト14がその柱体に形成されたときに、既述の実施の形態と同様にして、摺動不良をより確実に、より長期間にわたって防止することができ、パンチ12をより高精度に所定の位置に案内することができる。
【0062】
なお、本発明による半導体装置加工装置は、ガイドポスト14がパンチ12に固定され、ガイドブッシュ15がダイ7に固定されることもできる。このような半導体装置加工装置も、既述の実施の形態と同様にして、摺動不良をより確実に、より長期間にわたって防止することができ、パンチ12をより高精度に所定の位置に案内することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 :下金型
2 :上金型
3 :金型ガイド
5 :下型ホルダ
6 :ダイプレート
7 :ダイ
8 :モールド成型済みリードフレーム
10:上型ホルダ
11:パンチプレート
12:パンチ
14:ガイドポスト
15:ガイドブッシュ
16:摺動面
17:移動方向
21:開口部
22:摺動面
23:上方端
24:下方端
25:環状溝
26−1〜26−2:2つの傾斜溝
27−1〜27−n:複数の分岐溝
28:案内溝
40:直線
42:摺動面
43:上方端
44:下方端
45:環状溝
46−1〜46−2:複数の傾斜溝
47−1〜47−n:複数の分岐溝
48:接続端
49:非接続端
50:点
51:点
52:摺動面
53:上方端
54:下方端
55:環状溝
56:傾斜溝
57−1〜57−n:複数の分岐溝
62:摺動面
63:上方端
64:下方端
65:環状溝
66−1〜66−m:複数の傾斜溝
67−1〜67−n:複数の分岐溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が形成されるガイドブッシュと、
前記開口部に挿入されるガイドポストとを具備し、
前記ガイドブッシュは、前記ガイドポストが前記開口部に挿入されているときに、前記ガイドポストに対して前記ガイドブッシュが移動方向に平行に移動することにより前記ガイドポストに摺動するブッシュ摺動面が前記開口部に形成され、
前記ブッシュ摺動面は、
前記ガイドポストを囲む環状溝と、
第1端が前記環状溝に接続され、前記第1端の反対側の第2端が前記ブッシュ摺動面の端に接続される傾斜溝と、
複数の分岐溝とが形成され、
前記傾斜溝は、前記傾斜溝を前記第2端から前記第1端に辿る点が前記環状溝に単調に接近するように、かつ、前記傾斜溝を前記第2端から前記第1端に辿る点が前記移動方向と異なる方向に移動する部分を含むように、形成され、
前記複数の分岐溝のうちの任意の分岐溝は、第3端が前記環状溝に接続され、前記移動方向に平行である直線が前記第3端の反対側の第4端を通るときに、前記直線が前記傾斜溝と交差する点より前記環状溝から遠い位置に前記第4端が配置されるように、かつ、前記第3端が前記直線に正射影された点より前記環状溝から遠い位置に前記第4端が配置されるように、形成され、
前記ガイドブッシュに固定される第1工具は、前記ガイドポストに固定される第2工具に噛み合うことにより加工対象を加工する
半導体装置加工装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記ブッシュ摺動面は、
第5端が前記環状溝に接続され、前記第5端の反対側の第6端が前記ブッシュ摺動面の端に接続される他の傾斜溝と、
他の複数の分岐溝とがさらに形成され、
前記他の傾斜溝は、前記他の傾斜溝を前記第6端から前記第5端に辿る点が前記環状溝に単調に接近するように、かつ、前記他の傾斜溝を前記第6端から前記第5端に辿る点が前記移動方向と異なる方向に移動する部分を含むように、形成され、
前記他の複数の分岐溝のうちの任意の分岐溝は、第7端が前記環状溝に接続され、前記移動方向に平行である他の直線が前記第7端の反対側の第8端を通るときに、前記他の直線が前記傾斜溝と交差する点より前記環状溝から遠い位置に前記第8端が配置されるように、かつ、前記第7端が前記他の直線に正射影された点より前記環状溝から遠い位置に前記第8端が配置されるように、形成されている
半導体装置加工装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記傾斜溝と前記他の傾斜溝とは、前記移動方向と平行である直線が前記傾斜溝と前記他の傾斜溝とにそれぞれ交差する2点の間の距離が前記環状溝から前記端までの距離と等しくなるように、形成されている
半導体装置加工装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかにおいて、
前記ブッシュ摺動面は、前記第2端の幅を拡大する案内溝がさらに形成されている
半導体装置加工装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかにおいて、
前記複数の分岐溝は、それぞれ、前記移動方向に平行である直線に沿って形成される
半導体装置加工装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかにおいて、
前記傾斜溝は、前記環状溝の鉛直下側に配置される
半導体装置加工装置。
【請求項7】
吊りピンを介して半導体装置パッケージがフレームに支持されているモールド成型済みリードフレームを作製するステップと、
半導体装置加工装置を利用して、前記吊りピンを切断することにより、前記フレームから前記半導体装置パッケージを切り離すステップとを具備し、
前記半導体装置加工装置は、
開口部が形成されるガイドブッシュと、
前記開口部に挿入されるガイドポストとを備え、
前記ガイドブッシュは、前記ガイドポストが前記開口部に挿入されているときに、前記ガイドポストに対して前記ガイドブッシュが移動方向に平行に移動することにより前記ガイドポストに摺動するブッシュ摺動面が前記開口部に形成され、
前記ブッシュ摺動面は、
前記ガイドポストを囲む環状溝と、
第1端が前記環状溝に接続され、前記第1端の反対側の第2端が前記ブッシュ摺動面の端に接続される傾斜溝と、
複数の分岐溝とが形成され、
前記傾斜溝は、前記傾斜溝を前記第2端から前記第1端に辿る点が前記環状溝に単調に接近するように、かつ、前記傾斜溝を前記第2端から前記第1端に辿る点が前記移動方向と異なる方向に移動する部分を含むように、形成され、
前記複数の分岐溝のうちの任意の分岐溝は、第3端が前記環状溝に接続され、前記移動方向に平行である直線が前記第3端の反対側の第4端を通るときに、前記直線が前記傾斜溝と交差する点より前記環状溝から遠い位置に前記第4端が配置されるように、かつ、前記第3端が前記直線に正射影された点より前記環状溝から遠い位置に前記第4端が配置されるように、形成され、
前記ガイドブッシュに固定される第1工具は、前記ガイドポストに固定される第2工具に噛み合うことにより前記吊りピンを切断する
半導体装置製造方法。
【請求項8】
請求項7において、
前記ブッシュ摺動面は、
第5端が前記環状溝に接続され、前記第5端の反対側の第6端が前記ブッシュ摺動面の端に接続される他の傾斜溝と、
他の複数の分岐溝とがさらに形成され、
前記他の傾斜溝は、前記他の傾斜溝を前記第6端から前記第5端に辿る点が前記環状溝に単調に接近するように、かつ、前記他の傾斜溝を前記第6端から前記第5端に辿る点が前記移動方向と異なる方向に移動する部分を含むように、形成され、
前記他の複数の分岐溝のうちの任意の分岐溝は、第7端が前記環状溝に接続され、前記移動方向に平行である他の直線が前記第7端の反対側の第8端を通るときに、前記他の直線が前記傾斜溝と交差する点より前記環状溝から遠い位置に前記第8端が配置されるように、かつ、前記第7端が前記他の直線に正射影された点より前記環状溝から遠い位置に前記第8端が配置されるように、形成されている
半導体装置製造方法。
【請求項9】
請求項8において、
前記傾斜溝と前記他の傾斜溝とは、前記移動方向と平行である直線が前記傾斜溝と前記他の傾斜溝とにそれぞれ交差する2点の間の距離が前記環状溝から前記端までの距離と等しくなるように、形成されている
半導体装置製造方法。
【請求項10】
請求項7〜請求項9のいずれかにおいて、
前記ブッシュ摺動面は、前記第2端の幅を拡大する案内溝がさらに形成されている
半導体装置製造方法。
【請求項11】
請求項7〜請求項10のいずれかにおいて、
前記複数の分岐溝は、それぞれ、前記移動方向に平行である直線に沿って形成される
半導体装置製造方法。
【請求項12】
請求項7〜請求項11のいずれかにおいて、
前記傾斜溝は、前記環状溝の鉛直下側に配置される
半導体装置製造方法。
【請求項13】
開口部が形成される内側部分と、
支持対象に固定される外側部分とを具備し、
前記内側部分は、移動方向に平行である直線から形成される柱面に沿うブッシュ摺動面が前記開口部に形成され、
前記ブッシュ摺動面は、
閉曲線に沿って形成される環状溝と、
第1端が前記環状溝に接続され、前記第1端の反対側の第2端が前記ブッシュ摺動面の端に接続される傾斜溝と、
複数の分岐溝とが形成され、
前記傾斜溝は、前記傾斜溝を前記第2端から前記第1端に辿る点が前記環状溝に単調に接近するように、かつ、前記傾斜溝を前記第2端から前記第1端に辿る点が前記移動方向と異なる方向に移動する部分を含むように、形成され、
前記複数の分岐溝のうちの任意の分岐溝は、第3端が前記環状溝に接続され、前記移動方向に平行である直線が前記第3端の反対側の第4端を通るときに、前記直線が前記傾斜溝と交差する点より前記環状溝から遠い位置に前記第4端が配置されるように、かつ、前記第3端が前記直線に正射影された点より前記環状溝から遠い位置に前記第4端が配置されるように、形成される
ガイドブッシュ。
【請求項14】
請求項13において、
前記ブッシュ摺動面は、
第5端が前記環状溝に接続され、前記第5端の反対側の第6端が前記ブッシュ摺動面の端に接続される他の傾斜溝と、
他の複数の分岐溝とがさらに形成され、
前記他の傾斜溝は、前記他の傾斜溝を前記第6端から前記第5端に辿る点が前記環状溝に単調に接近するように、かつ、前記他の傾斜溝を前記第6端から前記第5端に辿る点が前記移動方向と異なる方向に移動する部分を含むように、形成され、
前記他の複数の分岐溝のうちの任意の分岐溝は、第7端が前記環状溝に接続され、前記移動方向に平行である他の直線が前記第7端の反対側の第8端を通るときに、前記他の直線が前記傾斜溝と交差する点より前記環状溝から遠い位置に前記第8端が配置されるように、かつ、前記第7端が前記他の直線に正射影された点より前記環状溝から遠い位置に前記第8端が配置されるように、形成されている
ガイドブッシュ。
【請求項15】
請求項14において、
前記傾斜溝と前記他の傾斜溝とは、前記移動方向と平行である直線が前記傾斜溝と前記他の傾斜溝とにそれぞれ交差する2点の間の距離が前記環状溝から前記端までの距離と等しくなるように、形成されている
ガイドブッシュ。
【請求項16】
請求項13〜請求項15のいずれかにおいて、
前記ブッシュ摺動面は、前記第2端の幅を拡大する案内溝がさらに形成されている
ガイドブッシュ。
【請求項17】
請求項13〜請求項16のいずれかにおいて、
前記複数の分岐溝は、それぞれ、前記移動方向に平行である直線に沿って形成される
ガイドブッシュ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−219954(P2012−219954A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88222(P2011−88222)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】