説明

半導体装置及びその実装方法

【課題】低コストで、かつ、実装面積を増大させずに、半導体の実装基板にチップを実装する半導体装置の実装方法を提供する。
【解決手段】先ず、実装基板210を用意し、さらに、2以上の素子が形成された半導体チップとして高誘電体キャパシタが形成されたコンデンサチップ200を用意する。次に、実装基板上に半導体チップを積層する。次に、半導体チップに形成された導電端子90と、実装基板とをワイヤボンディングで接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置及びその実装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の電子機器の小型化に伴い、電子部品の小型化と高機能化が進み、限られた面積に多くの部品を実装する必要性が高まっている。現在は、表面実装技術を用いて部品を実装しているが、平面にしか部品を配置することができないため、小型化には限界が生じている。この解決策として、基板内に部品を埋め込むことなどが検討されている。
【0003】
このような部品の実装方法として、薄いチップ上に形成された部品(以下、単にチップと称することもある。)をビルドアップ層に埋め込むビルドアップ法(例えば、非特許文献1参照。)や、基板上にチップを半田接合で固定する半田バンプ法(例えば、非特許文献2参照。)がある。
【非特許文献1】春原昌宏、村山啓、東光敏著「部品内臓基板の開発」マイクロファブリケーション研究会 第4回研究成果報告会資料 85−88ページ
【非特許文献2】郡利明、倉澤千春、田中秀一、伊東春樹著「鉛フリー対応WaferLevelCSPの二次実装信頼性考察」マイクロファブリケーション研究会 第4回研究成果報告会資料 101−104ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1のビルドアップ法では、チップをビルドアップ層に埋め込んだ後に、チップとの電気的接続を取るための工程を行うために、コストが高くなる。
【0005】
また、非特許文献2の半田バンプ法では、半田の接着強度の点から半田バンプの径が50μm程度必要になり、実装後の半導体装置が全体的に厚くなってしまう。
【0006】
この発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、この発明の目的は、低コストで、かつ、実装面積を増大させずに、半導体の実装基板にチップを実装する半導体装置の実装方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、この発明の半導体チップを半導体基板上に実装する半導体装置の実装方法は、以下の過程を含んでいる。先ず、実装基板を用意し、さらに、2以上の素子が形成された半導体チップを用意する。次に、実装基板上に半導体チップを積層する。次に、半導体チップに形成された導電端子と、実装基板とをワイヤボンディングで接続する。
【発明の効果】
【0008】
この発明の半導体チップの実装方法によれば、半導体チップを実装基板上に形成するので、実装面積の増大を抑えることができる。また、複数の素子を1つの半導体チップに形成するので、実装コストを低く抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、構成および配置関係についてはこの発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、各構成の組成(材質)および数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されない。
【0010】
(第1実施形態)
図1〜3を参照して、半導体チップの一例として高誘電体キャパシタを形成したコンデンサチップの製造方法について説明する。図1〜3は、コンデンサチップの製造方法を説明するための工程図である。
【0011】
先ず、シリコン基板10に対してダイシング用マークをマーキングした後、950℃のウェット酸化を行うことにより、100nm厚のプロテクト酸化膜20を形成する(図1(A))。
【0012】
次に、プロテクト酸化膜20の表面20a上に、密着層32を、例えば、反応性スパッタリングにより、酸化タンタル(TaOx)で50nmの厚さに形成する。この密着層32は、プロテクト酸化膜20と後述する高誘電体キャパシタの下部電極とを密着させるために形成される層である。下部電極に白金を用いた場合、白金は反応性が低いので密着層32がないと、後の工程で剥離する可能性がある。密着層32上に第1導電体層34を、例えば、スパッタリングにより白金(Pt)で150nmの厚さに形成する。さらに、第1導電体層34上に、高誘電体層36を、スピンコートによる塗布及び熱処理により、100nmの厚さに形成する。
【0013】
ここでは、高誘電体層36の形成にBaxSr1-xTiO3(x=0.6)形成用ゾル−ゲル塗布液(以下、単に塗布液と称することもある。)を用いる。任意好適な公知のスピンコータを用いて、第1導電体層34上に、1分当たり500回転の回転速度で1秒間、塗布液を回転塗布し、その後、1分当たり2000回転の回転速度で30秒間、塗布液を回転塗布する。次いで、600℃の温度で30分間仮焼成を行う。上述の塗布液の塗布から仮焼成までの工程を3回繰り返した後、高誘電体層36の結晶性を上げるために750℃の酸素雰囲気中で60分間熱処理を行う。なお、BaxSr1-xTiO3(x=0.6)形成用ゾル−ゲル塗布液の合成方法については公知であり、ここでは説明を省略する。
【0014】
続いて、この高誘電体層36上に、第2導電体層38を、第1導電体層34と同様に、例えば、スパッタリングにより白金(Pt)で200nmの厚さに形成する(図1(B))。
【0015】
次に、任意好適な公知のフォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、第2導電体層38を加工して、上部電極48を形成する。上部電極48の形成後、ドライエッチング用マスクとして形成され、ドライエッチング後に残存するフォトレジストをアッシングにより除去する(図1(C))。
【0016】
さらに、任意好適な公知のフォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、高誘電体層36及び第1導電体層34を順次に加工して、高誘電体薄膜46及び下部電極44をそれぞれ予め設定したキャパシタ領域40の形状に合わせて形成する。この加工は、同一のエッチング処理で行う。従って、下部電極44は、高誘電体薄膜46をマスクとして自己整合的に形成される。このようにして、上部電極48、高誘電体薄膜46及び下部電極44で構成される高誘電体キャパシタ49を得る。その後、ドライエッチング用マスクとして形成され、ドライエッチング後に残存するフォトレジストをアッシングにより除去する(図1(D))。
【0017】
次に、任意好適な公知のフォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、高誘電体開口部50を形成する。この高誘電体開口部50は、上部電極48から外れた領域に形成される。ドライエッチング用マスクとして形成され、ドライエッチング後に残存するフォトレジストをアッシングにより除去した後、高誘電体キャパシタのエッチングによるダメージを回復するために、750℃の酸素雰囲気中で30分間のアニールを行う(図2(A))。尚、図2(A)中、シリコン基板10の上側に、プロテクト酸化膜20と、密着層32と、高誘電体キャパシタ49とを有している構造体を第1構造体100として示す。
【0018】
図2(A)に示すように、高誘電体キャパシタ49は、上部電極48の面積が、下部電極44及び高誘電体薄膜46の面積よりも小さくなるように形成されている。高誘電体薄膜46の露出している面の付近は、エッチングによりダメージを受けている。従って、上部電極48を下部電極44及び高誘電体薄膜46よりも小さくすることにより、ダメージを受けている部分をキャパシタとして使用しないこととして、キャパシタの信頼性を高める。
【0019】
次に、高誘電体キャパシタ49を埋め込むように、第1構造体100上に、第1層間絶縁膜60を形成する。この第1層間絶縁膜60は、例えば、TEOS(tetraethylorthosilicate)を用いたプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、シリコン酸化膜で300nmの厚さに形成される(図2(B))。
【0020】
次に、高誘電体キャパシタ49の上部電極48及び下部電極44とコンデンサチップの外部回路とを電気的に接続するために、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、第1層間絶縁膜60にコンタクト用のコンタクト用開口部52をそれぞれ設ける。その後、ドライエッチング用マスクとして形成され、ドライエッチング後に残存するフォトレジストをアッシングにより取り除く(図2(C))。
【0021】
次に、この高誘電体薄膜46に対して700℃の酸素雰囲気中で30分間の回復アニールを行って、第1層間絶縁膜60及びコンタクト用開口部52の形成時に与えられたダメージを回復させる。
【0022】
次に、TiN膜(図示を省略する。)をスパッタリング法でそれぞれ75nmの厚さを有する2つの層で形成する。続いて、スパッタリング法でアルミニウム膜(図示を省略する。)を500nmの厚さで形成する。その後、フォトリソグラフィ及びドライエッチングによりアルミニウム膜及びTiN膜を加工して、アルミニウム(Al)電極70及びTiNバリア膜65を形成する。Al電極70を形成するアルミニウムと、上部電極48、及び下部電極44を形成する白金とは、熱処理で反応するので、その反応を防ぐためにTiNバリア膜65を設けている(図3(A))。
【0023】
次に、第1層間絶縁膜60上に、バリア膜75を、例えば、反応性スパッタリングにより、酸化タンタル(TaOx)で50nmの厚さに形成する。このバリア膜75は、水素等の還元性ガスが高誘電体キャパシタ49にダメージを与えるのを防ぐために設けられる膜である。その後、バリア膜75の上にパッシベーション膜80を形成する。パッシベーション膜80は任意好適な公知のCVD法によりシリコン窒化膜を850nm堆積する。その後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法などで、平坦化しても良い。その後、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、端子用開口部85を設けて、Al電極70を露出させる(図3(B))。
【0024】
次に、端子用開口部85の底部及び側壁部にTiNバリア膜87を反応性スパッタリングにより形成する。続いて、端子用開口部内に導電端子90として、Ni−P層91及びAu層93を順に形成する。Ni−P層91及びAu層93の形成は、例えば無電解めっき法により行うことができる(図3(C))。
【0025】
その後、シリコン基板10に対して任意好適な公知の機械研磨を行うことにより、全体の厚さを100μm厚程度に薄化する。
【0026】
図4を参照して、半導体チップを実装基板上に実装する半導体装置の実装方法について説明する。図4(A)は、半導体チップとして、コンデンサチップを説明するための概略的平面図である。図4(B)は、コンデンサチップを実装基板に実装した状態を説明するための側面図である。
【0027】
先ず、実装基板210を用意し、さらに、2以上の素子が形成された半導体チップを用意する。ここでは、半導体チップとして、コンデンサチップ200を用いる。コンデンサチップ200は、図1〜3を参照して説明した工程で製造された、シリコン基板上に高誘電体キャパシタが形成された構造体を、ダイシングにより個片化することで得られる(図4(A))。高誘電体キャパシタ49は、キャパシタ領域40と同じ形状に形成されるものとする。図4(A)は、コンデンサチップ200に、8つの高誘電体キャパシタ49を形成した例を示している。各高誘電体キャパシタ49は、それぞれ2個の導電端子90を備えている。また、1つのコンデンサチップに形成する高誘電体キャパシタの個数は、この例に限定されるものではなく、1又は2以上の設定に応じた任意の個数とすることができる。
【0028】
次に、コンデンサチップ200を、実装基板210の実装面211上にダイスボンドすることで積層する。コンデンサチップ200が端子面201に備える各高誘電体キャパシタの導電端子90と、実装基板210に形成された金属配線又は接続端子などとは、金属ワイヤ220によるワイヤボンディングにより接続される。
【0029】
なお、ここでは、コンデンサチップ200を実装基板210上に実装する例について説明したが、実装基板に他の半導体チップを実装した後、当該他の半導体チップ上にコンデンサチップを実装する構成としても良い。
【0030】
コンデンサチップを実装基板又は他の半導体チップ上に実装するので、コンデンサチップを実装することによる実装面積の増加を防ぐことができる。また、複数のキャパシタを1つのコンデンサチップに搭載する構成とすれば、1つのコンデンサチップを実装するだけで複数のキャパシタを搭載することになり、実質的に実装コストを低く抑えることができる。
【0031】
(第2実施形態)
図5を参照して、第2実施形態の、半導体チップの実装基板への実装について説明する。図5(A)は、第2実施形態のコンデンサチップを説明するための概略的平面図である。図5(B)は、第2実施形態のコンデンサチップを実装基板に実装し、さらにコンデンサチップ上に他の半導体チップを実装した状態を説明するための側面図である。
【0032】
第2実施形態のコンデンサチップ200aは、導電端子90が、Al電極72によりコンデンサチップ200aの周辺領域202に形成されていて、中央領域203に導電端子を備えない点が第1実施形態のコンデンサチップと異なる(図5(A))。従って、実装基板210上に実装された当該コンデンサチップ200aの端子面201a上に、中央領域203の面積より小さいチップサイズを有する他の半導体チップ230を、さらに実装することが可能となる(図5(B))。
【0033】
図6を参照して、第2実施形態のコンデンサチップの製造方法を説明する。図6は、第2実施形態のコンデンサチップの製造方法を説明するための工程図である。
【0034】
高誘電体キャパシタ49を埋め込むように、第1構造体100上に、第1層間絶縁膜60を形成し、第1層間絶縁膜60にコンタクト用のコンタクト用開口部52をそれぞれ設けるまでの工程は、図1及び図2を参照して説明した第1実施形態と同様なので説明を省略する。
【0035】
700℃の酸素雰囲気中で30分間の回復アニールを行って、第1層間絶縁膜60及びコンタクト用開口部52の形成時に与えられたダメージを回復させた後、TiN膜(図示を省略する。)をスパッタリング法でそれぞれ75nmの厚さを有する2つの層で形成する。続いて、スパッタリング法でアルミニウム膜(図示を省略する。)を500nmの厚さで形成する。その後、フォトリソグラフィ及びドライエッチングによりアルミニウム膜を加工して、アルミニウム(Al)電極72及びTiNバリア膜66を形成する。Al電極72を形成するアルミニウムと、上部電極48及び下部電極44を形成する白金とは、熱処理で反応するので、その反応を防ぐためにTiNバリア膜66を設けている(図6(A))。第1実施形態のAl電極は、コンタクト用開口部(図2(C)では符号52で示した部分)内及びコンタクト用開口部上に形成されているのに対し、第2実施形態のAl電極72はコンタクト用開口部から、キャパシタ領域40の領域外に亘って形成されている。
【0036】
次に、第1層間絶縁膜60上に、バリア膜76を、例えば、反応性スパッタリングにより、酸化タンタル(TaOx)で50nmの厚さに形成する。このバリア膜76は、水素等の還元性ガスが高誘電体キャパシタ49にダメージを与えるのを防ぐために設けられる膜である。その後、バリア膜76の上にパッシベーション膜80を形成する。パッシベーション膜80は任意好適な公知のCVD法によりシリコン窒化膜を850nm堆積する。その後、CMP法などで、平坦化しても良い。その後、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、端子用開口部86を設けて、Al電極72を露出させる(図6(B))。
【0037】
次に、端子用開口部86の底部及び側壁部にTiNバリア膜87を反応性スパッタリングにより形成する。続いて、端子用開口部内に導電端子90として、Ni−P層91及びAu層93を順に形成する。Ni−P層91及びAu層93の形成は、例えば無電解めっき法により行うことができる(図6(C))。ここで、導電端子90は、キャパシタ領域40を含む領域(図5では、符号203で示す中央領域)から外れた領域部分、すなわち、コンデンサチップ200aの周辺領域202(図5(A)参照)に対応する領域部分に形成されている。
【0038】
上述したように導電端子90をキャパシタ領域40から外れた領域部分に形成することで、図5(A)に示したように、導電端子90をコンデンサチップ200aの周辺領域202に形成することができる。従って、導電端子90が形成されている周辺領域202で囲まれる中央領域203と同じ面積か、または中央領域203よりも小さい面積の他のチップをコンデンサチップ200a上に実装できる。
【0039】
このように、コンデンサチップ200aは、実装基板の上に単体で実装するだけでなく、他の半導体チップの上や、他の半導体チップの下にも実装できるので、実装面積を増大させることなく、さらに多数の素子の実装が可能となる。
【0040】
また、導電端子を、コンデンサチップ上の設定に応じた任意好適な場所に形成できるので、コンデンサチップに形成されるキャパシタの大きさの制限が小さくなる。従って、キャパシタの大容量化や、1つのコンデンサチップに搭載されるキャパシタの数を増やすことが可能となる。
【0041】
(第3実施形態)
図7〜9を参照して、半導体チップの一例として抵抗体を形成した抵抗体チップの製造方法について説明する。図7及び図8は、抵抗体チップの製造方法を説明するための工程図である。
【0042】
先ず、シリコン基板10に対してダイシング用マークをマーキングした後、950℃のウェット酸化を行うことにより、100nm厚のプロテクト酸化膜20を形成する(図7(A))。
【0043】
次に、プロテクト酸化膜20の表面20a上に、ポリシリコン層130を形成する。このポリシリコン層130は、原料ガスとしてモノシラン(SiH4)ガスを用いたCVD法により、150〜200nmの厚さに形成される(図7(B))。さらに、このポリシリコン層130に、リン(P)又はホウ素(B)などをイオン注入することで、電気伝導性を与える。
【0044】
なお、原料ガスとしてSiH4ガスとホスフィン(PH3)ガスの混合ガスを用いたCVD法により、ポリシリコン層130として不純物としてリンがドープされたポリシリコンを成膜しても良い。この場合、上述のイオン注入の過程は不要となる。
【0045】
次に、このポリシリコン層130を、任意好適な公知のフォトリソグラフィ及びドライエッチングにより加工して、抵抗体132を形成する(図7(C))。
【0046】
図9は、図7(C)を参照して説明した、プロテクト酸化膜20の表面20a上に抵抗体132が形成された状態を示す平面図である。図9は、長方形状に4つの抵抗体132を備える構成を示している。1つの抵抗体チップに形成する抵抗体の個数は、この例に限定されるものではなく、1又は2以上の設定に応じた任意の個数とすることができる。また、抵抗体132の形状は、長方形状に限られず、設定に応じた任意好適な形状とすることができる。
【0047】
次に、抵抗体132を埋め込むように、抵抗体132及びプロテクト酸化膜20上に、第1層間絶縁膜61を形成する。この第1層間絶縁膜61は、例えば、TEOSを用いたプラズマCVD法により、シリコン酸化膜で300nmの厚さに形成される(図7(D))。
【0048】
次に、抵抗体132と抵抗体チップの外部回路とを電気的に接続するために、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、第1層間絶縁膜61にコンタクト用開口部53を設ける。その後、ドライエッチング用マスクとして形成され、ドライエッチング後に残存するフォトレジストをアッシングにより取り除く(図7(E))。
【0049】
次に、スパッタリング法でアルミニウム膜(図示を省略する。)を500nmの厚さで形成する。その後、フォトリソグラフィ及びドライエッチングによりアルミニウム膜を加工して、アルミニウム(Al)電極71を形成する(図8(A))。
【0050】
次に、第1層間絶縁膜61及びAl電極71上に、パッシベーション膜81を形成する。パッシベーション膜81は任意好適な公知のCVD法によりシリコン窒化膜を850nm堆積する。その後、CMP法などで、平坦化しても良い。その後、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、端子用開口部85aを設けて、Al電極71を露出させる(図8(B))。
【0051】
次に、端子用開口部85aの底部及び側壁部にTiNバリア膜88を反応性スパッタリングにより形成する。続いて、端子用開口部内に導電端子90aとして、Ni−P層92a及びAu層94aを順に形成する。Ni−P層92a及びAu層94aの形成は、例えば無電解めっき法により行うことができる(図8(C))。
【0052】
その後、シリコン基板10に対して任意好適な公知の機械研磨を行うことにより、全体の厚さを100μm厚程度に薄化する。
【0053】
図10を参照して、抵抗体チップを実装基板上に実装する半導体装置の実装方法について説明する。図10(A)は、半導体チップとして、抵抗体チップを説明するための概略的平面図である。図10(B)は、抵抗体チップを実装基板に実装した状態を説明するための側面図である。
【0054】
先ず、実装基板210を用意し、さらに、2以上の素子が形成された半導体チップを用意する。ここでは、半導体チップとして、抵抗体チップ240を用いる。抵抗体チップ240は、図7〜9を参照して説明した工程で製造された、シリコン基板上に抵抗体132が形成された構造体を、ダイシングにより個片化することで得られる(図10(A))。図10(A)は、抵抗体チップ240に、4つの抵抗体132を形成した例を示している。各抵抗体132は、それぞれ2個の導電端子90aを備えている。
【0055】
次に、抵抗体チップ240を、実装基板210の実装面211上にダイスボンドすることで積層する。抵抗体チップ240が端子面241に備える各抵抗体の導電端子90aと、実装基板210に形成された金属配線又は接続端子などとは、金属ワイヤ220によるワイヤボンディングにより接続される。
【0056】
なお、ここでは、抵抗体チップ240を実装基板210上に実装する例について説明したが、実装基板に他の半導体チップを実装した後、当該他の半導体チップ上に抵抗体チップを実装する構成としても良い。
【0057】
抵抗体チップを実装基板又は他の半導体チップ上に実装するので、抵抗体チップを実装することによる実装面積の増加を防ぐことができる。また、複数の抵抗体を1つの抵抗体チップに搭載する構成とすれば、1つの抵抗体チップを実装するだけで複数の抵抗体を搭載することになり、実質的に実装コストを低く抑えることができる。
【0058】
また、図5を参照して説明した第2実施形態のコンデンサチップと同様に、導電端子90aを周辺領域に形成することで、抵抗体チップの上にさらに、他の半導体チップを実装することが可能となる。この場合、抵抗体チップは、実装基板の上に単体で実装するだけでなく、他の半導体チップの上や、他の半導体チップの下にも実装できるので、実装面積を増大させることなく、さらに多数の素子の実装が可能となる。
【0059】
(第4実施形態)
図11を参照して、半導体チップの一例としてインダクタを形成したインダクタチップの製造方法について説明する。図11は、インダクタチップの製造方法を説明するための工程図である。
【0060】
先ず、シリコン基板10に対してダイシング用マークをマーキングした後、950℃のウェット酸化を行うことにより、100nm厚のプロテクト酸化膜20を形成する(図11(A))。
【0061】
次に、プロテクト酸化膜20の表面20a上に、アルミニウム層140を形成する。このアルミニウム層140は、例えばスパッタリング法により、500nmの厚さに形成される(図11(B))。
【0062】
次に、アルミニウム層140を、任意好適な公知のフォトリソグラフィ及びドライエッチングにより加工して、インダクタ142を形成する(図11(C))。
【0063】
図12は、図11(C)を参照して説明した、プロテクト酸化膜20の表面20a上にインダクタ142が形成された状態を示す平面図である。図12は、渦巻き螺旋状のスパイラル電極により構成される2つのインダクタ142を備える構成を示している。1つのインダクタチップに形成するインダクタの個数は、この例に限定されるものではなく、1又は2以上の設定に応じた任意の個数とすることができる。
【0064】
インダクタ142を形成した後の工程は、図7(D)及び(E)、並びに図8(A)〜(C)の各図を参照して、第3実施形態として説明した、抵抗体チップを製造する方法と同様なので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0065】
インダクタ142を埋め込むように、インダクタ142及びプロテクト酸化膜20上に、第1層間絶縁膜61を形成した後、インダクタ142と外部回路とを電気的に接続するために、第1層間絶縁膜61にコンタクト用開口部を設ける。次に、スパッタリング法でアルミニウム膜を500nmの厚さで形成した後、アルミニウム膜を加工して、アルミニウム(Al)電極71を形成する。次に、第1層間絶縁膜61及びAl電極71上に、パッシベーション膜81を、例えば、CVD法によりシリコン窒化膜を850nm堆積する。その後、CMP法で平坦化しても良い。その後、端子用開口部を設けて、Al電極71を露出させる。次に、端子用開口部85aの底部及び側壁部にTiNバリア膜88を反応性スパッタリングにより形成する。続いて、端子用開口部内に導電端子90bとして、Ni−P層92b及びAu層94bを順に形成する(図11(D))。
【0066】
その後、シリコン基板10に対して任意好適な公知の機械研磨を行うことにより、全体の厚さを100μm厚程度に薄化する。
【0067】
図13を参照して、インダクタチップを実装基板上に実装する半導体装置の実装方法について説明する。図13(A)は、半導体チップとして、インダクタチップを説明するための概略的平面図である。図13(B)は、インダクタチップを実装基板に実装した状態を説明するための側面図である。
【0068】
先ず、実装基板210を用意し、さらに、2以上の素子が形成された半導体チップを用意する。ここでは、半導体チップとして、インダクタチップ250を用いる。インダクタチップ250は、図9を参照して説明した工程で製造された、シリコン基板上にインダクタ142が形成された構造体を、ダイシングにより個片化することで得られる(図13(A))。図13(A)は、インダクタチップ250に、2つのインダクタ142を形成した例を示している。各インダクタ142は、それぞれ2個の導電端子90bを備えている。また、1つのインダクタチップに形成するインダクタの個数は、この例に限定されるものではなく、1又は2以上の設定に応じた任意の個数とすることができる。
【0069】
次に、インダクタチップ250を、実装基板210の実装面211上にダイスボンドすることで積層する。インダクタチップ250が端子面251に備える各インダクタの導電端子90bと、実装基板210に形成された金属配線又は接続端子などとは、金属ワイヤ220によるワイヤボンディングにより接続される(図13(B))。
【0070】
なお、ここでは、インダクタチップ250を実装基板210上に実装する例について説明したが、実装基板に他の半導体チップを実装した後、当該他の半導体チップ上に抵抗体チップを実装する構成としても良い。
【0071】
インダクタチップを実装基板又は他の半導体チップ上に実装するので、インダクタチップを実装することによる実装面積の増加を防ぐことができる。また、複数のインダクタを1つのインダクタチップに搭載する構成とすれば、1つのインダクタチップを実装するだけで複数のインダクタを搭載することになり、実質的に実装コストを低く抑えることができる。
【0072】
また、図5を参照して説明した第2実施形態のコンデンサチップと同様に、導電端子90bを周辺領域に形成することで、インダクタチップの上にさらに、他の半導体チップを実装することが可能となる。この場合、インダクタチップは、実装基板の上に単体で実装するだけでなく、他の半導体チップの上や、他の半導体チップの下にも実装できるので、実装面積を増大させることなく、さらに多数の素子の実装が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】第1実施形態のコンデンサチップの製造方法を説明するための工程図(その1)である。
【図2】第1実施形態のコンデンサチップの製造方法を説明するための工程図(その2)である。
【図3】第1実施形態のコンデンサチップの製造方法を説明するための工程図(その3)である。
【図4】第1実施形態のコンデンサチップの実装方法を説明するための図である。
【図5】第2実施形態のコンデンサチップの実装方法を説明するための図である。
【図6】第2実施形態のコンデンサチップの製造方法を説明するための工程図である。
【図7】抵抗体チップの製造方法を説明するための工程図(その1)である。
【図8】抵抗体チップの製造方法を説明するための工程図(その2)である。
【図9】抵抗体チップの製造方法を説明するための概略的平面図である。
【図10】抵抗体チップの実装方法を説明するための図である。
【図11】インダクタチップの製造方法を説明するための工程図である。
【図12】インダクタチップの製造方法を説明するための概略的平面図である。
【図13】インダクタチップの実装方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0074】
10 シリコン基板
20 プロテクト酸化膜
20a プロテクト酸化膜の表面
32 密着層
34 第1導電体層
36 高誘電体層
38 第2導電体層
40 キャパシタ領域
44 下部電極
46 高誘電体薄膜
48 上部電極
49 高誘電体キャパシタ
50 高誘電体開口部
52 コンタクト用開口部
60 第1層間絶縁膜
65、87 TiNバリア膜
70、72 Al電極
75 バリア膜
80 パッシベーション膜
85、86 端子用開口部
90 導電端子
91 Ni−P層
93 Au層
100 第1構造体
130 ポリシリコン層
132 抵抗体
140 アルミニウム層
142 インダクタ
200、200a コンデンサチップ
201 コンデンサチップの端子面
202 周辺領域
203 中央領域
210 実装基板
211 実装面
220 金属ワイヤ
240 抵抗体チップ
241 抵抗体チップの端子面
250 インダクタチップ
251 インダクタチップの端子面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装基板を用意する過程と、
2以上の素子が形成された半導体チップを用意する過程と、
前記実装基板上に前記半導体チップを積層する過程と、
前記半導体チップに形成された導電端子と、前記実装基板とをワイヤボンディングで接続する過程と
を備えることを特徴とする半導体装置の実装方法。
【請求項2】
実装基板と、該実装基板上に積層された半導体チップとを備える半導体装置であって、
前記半導体チップは、当該半導体チップに2以上の素子が形成されていて、
前記半導体チップに形成された導電端子と、前記実装基板とはワイヤボンディングで接続されている
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記導電端子は、前記半導体チップの周辺部に形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−93419(P2006−93419A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−277282(P2004−277282)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(596091004)株式会社マルチ (18)
【出願人】(899000068)学校法人早稲田大学 (602)
【出願人】(502273096)株式会社関東学院大学表面工学研究所 (52)
【Fターム(参考)】