半導体装置及びワイヤボンディング方法
【課題】半導体装置において、ボンディングする際の超音波加振により他のボンディング済みワイヤに損傷が発生することを抑制する。
【解決手段】ワイヤ21を半導体チップ11表面のパッド13の上にボンディングした後、ワイヤ21を繰り出しながらキャピラリ41をリード17の方向及びリード17と反対の方向に移動させて、ワイヤ21をリード17と反対の方向に凸の第1キンク35とリード17の方向に凸の第2キンク37と第2キンク37に続くストレート部38とを形成した後、キャピラリ41をルーピングしてワイヤ21をリード17にボンディングし、ボンディングの際にストレート部38をリード17の表面に沿った方向の直線部31として成形すると共に、直線部31をリード17の表面に押し付ける。
【解決手段】ワイヤ21を半導体チップ11表面のパッド13の上にボンディングした後、ワイヤ21を繰り出しながらキャピラリ41をリード17の方向及びリード17と反対の方向に移動させて、ワイヤ21をリード17と反対の方向に凸の第1キンク35とリード17の方向に凸の第2キンク37と第2キンク37に続くストレート部38とを形成した後、キャピラリ41をルーピングしてワイヤ21をリード17にボンディングし、ボンディングの際にストレート部38をリード17の表面に沿った方向の直線部31として成形すると共に、直線部31をリード17の表面に押し付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の構造及び半導体装置のワイヤのボンディング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICなどの半導体装置の組立工程には半導体のチップとリードフレームとの間をワイヤで接続するワイヤボンディング工程がある。ワイヤボンディング工程は、ワイヤが挿通されたキャピラリを用い、トーチ電極からの放電によりキャピラリから突出したワイヤの先端にボールを形成し、キャピラリを半導体チップのパッド上に位置させ1次ボンディングを行った後、キャピラリをリードフレームのリード上に移動させ2次ボンディングを行うことにより、半導体チップとリードフレームとの間をワイヤによって接続する方法が一般的に用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記のようなワイヤボンディング方法においては、2次ボンディングのワイヤとリードとの接合面積は、キャピラリのフェイス部とリードとの間に挟まれたワイヤの面積であり、ボールボンディングによって接合される1次ボンディングのワイヤとパッドとの接合面積よりも小さく、その接合強度が低く、ボンディングの信頼性が低くなることがある。
【0004】
そこで、このような2次ボンディングのボンディング部の強度を向上させてボンディングの信頼性を高める方法として、特許文献1には、一旦リードに2次ボンディングを行った後、ワイヤを折り返して再度リードにボンディングする方法が提案されている。また、特許文献2には、ワイヤをリードに接続させながらキャピラリを移動させ、2次ボンディングのボンディング部を帯状に形成して接合面積を増加させ、2次ボンディングのボンディング部の強度の向上を図る方法が提案されている。
【0005】
一方、半導体装置は半導体チップとリードとの間をワイヤで接合した後、全体を樹脂で封止して半導体パッケージとする方法が多用されている。しかし、半導体パッケージの実装工程において、樹脂封止された半導体パッケージの温度が上昇すると樹脂の熱膨張によってワイヤに応力がかかる場合がある。この場合、2次ボンディングのボンディング部はリードとの接合部の厚さが薄くなっており、熱膨張による応力が集中して接合部にクラックが入る場合がある。このため、特許文献3では、ワイヤ接続用のボンディング部よりも厚みの厚いボンド部を2次ボンディングのボンディング部の半導体チップ側に隣接して設け、樹脂の熱膨張によるクラックの発生を低減する方法が提案されている。更に、特許文献4では、リードとワイヤとの間に樹脂が入り込まないように、2次ボンディングの際にキャピラリをリード端部からリード面に平行に移動させてワイヤをリードに密着させる方法が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特公平3−63814号公報
【特許文献2】特開昭52−67262号公報
【特許文献3】特開平2−30153号公報
【特許文献4】特開平8−293512号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年の半導体装置の製造においては、各半導体チップを個別に樹脂封止する個別封止法に代わって、複数の半導体チップを一括して樹脂封止する一括封止法が多く用いられるようになってきている。この一括封止法を用いる場合には、半導体チップの取り付けられる複数のアイランドとそれに対応する複数のリードとを密集させて1つのブロックとして配置し、裏側に封止剤の漏れ防止用のテープが貼り付けられたリードフレームが用いられる。このようなリードフレームをボンディングのためにボンディングステージに固定する場合、裏面のテープを介してボンディングステージに真空吸着されることと、複数の半導体チップが密集したブロックの周辺でリードフレームを上から押さえることから、リードフレームのボンディングステージへの固定状態があまりよくないので、ワイヤボンディングの際にワイヤが振動を起こすという問題があった。
【0008】
特に、あるワイヤをボンディングする際にそのワイヤへの超音波加振によって既にボンディングが終了している他のワイヤのリードとのボンディング部或いはパッド側のボールネックにクラックがはいり、断線の原因となるという問題があった。
【0009】
しかし、特許文献1から4には、このようなボンディングする際の超音波加振により他のボンディング済みワイヤに損傷が発生するということについては記載が無く、特許文献1〜4に記載の従来技術では、このような問題は解決されていなかった。
【0010】
本発明は、ボンディングする際の超音波加振により他のボンディング済みワイヤに損傷が発生することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の半導体装置は、半導体チップ表面のパッドとリードとをワイヤで接続し、リードフレームの半導体チップ取り付け面と反対側の面にテープを貼り付けて製造する半導体装置であって、キャピラリに挿通され、その下端より突出させたワイヤの先端に形成したイニィシャルボールをパッドにボンディングしたボールボンディング部と、ボールボンディング部からリードに伸びて、リードにボンディングされるワイヤと、を含み、ワイヤは、ボールボンディング後のワイヤ繰り出し工程でリードと反対の方向に凸の第1キンクとリードの方向に凸の第2キンクとが設けられ、その後ルーピングされてリードにボンディングされ、パッドからリードに向かって伸びて半導体チップの厚さ方向に屈曲する第1の屈曲部と、第1の屈曲部と反対方向に屈曲する第2の屈曲部と、第2の屈曲部からリードに向かってリード表面に沿った方向に伸びる直線部と、リードにボンディングされる直線部側端部とが形成され、直線部のリード側面がリード表面に向かって押しつけられていること、を特徴とする。
【0012】
本発明の半導体装置は、半導体チップ表面のパッドとリードとをワイヤで接続し、リードフレームの半導体チップ取り付け面と反対側の面にテープを貼り付けて製造する半導体装置であって、キャピラリに挿通され、その下端より突出させたワイヤの先端に形成したイニィシャルボールをパッドにボンディングしたボールボンディング部の上に形成されたボールネックを押し潰し、押し潰したボールネック上に折り返したワイヤの側面を押し付けて形成した押し付け部と、押し付け部からリードに伸びてリードにボンディングされるワイヤと、を含み、ワイヤは、押し付け部形成後のワイヤ繰り出し工程でリードと反対の方向に凸の第1キンクとリードの方向に凸の第2キンクとが設けられ、その後ルーピングされてリードにボンディングされ、押し付け部からリードに向かって伸びて半導体チップの厚さ方向に屈曲する第1の屈曲部と第1の屈曲部と反対方向に屈曲する第2の屈曲部と、第2の屈曲部からリードに向かってリード表面に沿った方向に伸びる直線部と、リードにボンディングされる直線部側端部とが形成され、直線部のリード側面がリード表面に向かって押しつけられていること、を特徴とする。
【0013】
本発明のワイヤボンディング方法は、半導体チップ表面のパッドとリードとをワイヤで接続し、キャピラリに挿通され、その下端より突出させたワイヤの先端に形成したイニィシャルボールをパッドにボンディングしたボールボンディング部からリードに向かって伸び、半導体チップの厚さ方向に屈曲する第1の屈曲部と、第1の屈曲部と反対方向に屈曲する第2の屈曲部と、第2の屈曲部からリードに向かってリード表面に沿った方向に伸びる直線部と、リードにボンディングされる直線部側端部とを有し、直線部のリード側面がリード表面に向かって押しつけられ、リードフレームの半導体チップ取り付け面と反対側の面にテープを貼り付けて製造する半導体装置のワイヤボンディング方法であって、キャピラリに挿通され、その下端より突出させたワイヤの先端に形成したイニィシャルボールをパッドに押し付けてボンディングする第1ボンディング工程と、ワイヤを繰り出しながらキャピラリを上昇させた後、キャピラリをリードと反対の方向に移動させるリバース工程と、リバース工程よりも長くワイヤを繰り出しながらキャピラリを上昇させた後、キャピラリをリードの方向にパッド上のボンディング中心を越える位置まで移動させ、ワイヤにリードと反対の方向に凸の第1キンクを形成する第1キンク形成工程と、ワイヤを繰り出しながらキャピラリを上昇させた後、キャピラリをリードと反対の方向にパッド上のボンディング中心位置まで移動させ、リードの方向に凸の第2キンクと第2キンクに続くストレート部とを形成する第2キンク形成工程と、キャピラリをリードに向かってルーピングさせ、キャピラリをリードに押し付けてワイヤをリードにボンディングする第2ボンディング工程と、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明のワイヤボンディング方法は、半導体チップ表面のパッドとリードとをワイヤで接続し、キャピラリに挿通され、その下端より突出させたワイヤの先端に形成したイニィシャルボールをパッドにボンディングしたボールボンディング部の上に形成されたボールネックを押し潰し、押し潰したボールネック上に折り返したワイヤの側面を押し付けて形成した押し付け部と、押し付け部からリードに向かって伸びて半導体チップの厚さ方向に屈曲する第1の屈曲部と、第1の屈曲部と反対方向に屈曲する第2の屈曲部と、第2の屈曲部からリードに向かってリード表面に沿った方向に伸びる直線部と、リードにボンディングされる直線部側端部とを有し、直線部のリード側面がリード表面に向かって押しつけられ、リードフレームの半導体チップ取り付け面と反対側の面にテープを貼り付けて製造する半導体装置のワイヤボンディング方法であって、キャピラリに挿通され、その下端より突出させたワイヤの先端に形成したイニィシャルボールをパッドに押し付けてボンディングする第1ボンディング工程と、
ワイヤを繰り出すと共にキャピラリを上昇させながらリードと反対方向に移動させた後、キャピラリを下降させてキャピラリのフェイス部でボールネックを押し潰し、再度ワイヤを繰り出すと共にキャピラリを上昇させながらリードの方向に移動させた後、再度キャピラリを下降させて押し潰されたボールネックの上にワイヤ側面を押し付けて押し付け部を形成する押し付け部形成工程と、ワイヤを繰り出しながらキャピラリを上昇させた後、キャピラリをリードと反対の方向にパッド上のボンディング中心を越える位置まで移動させるリバース工程と、リバース工程よりも長くワイヤを繰り出しながらキャピラリを上昇させた後、キャピラリをリード方向にパッド上のボンディング中心を越える位置まで移動させ、ワイヤにリードと反対方向に凸の第1キンクを形成する第1キンク形成工程と、ワイヤを繰り出しながらキャピラリを上昇させた後、キャピラリをリードと反対の方向にパッド上のボンディング中心位置まで移動させ、リードの方向に凸の第2キンクと第2キンクに続くストレート部とを形成する第2キンク形成工程と、キャピラリをリードに向かってルーピングさせ、キャピラリをリードに押し付けてワイヤをリードにボンディングする第2ボンディング工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、ボンディングする際の超音波加振により他のボンディング済みワイヤに損傷が発生することを抑制することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の半導体装置の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に示すように、樹脂一括封止法によって半導体装置を製造する場合のリードフレーム12は、半導体チップが取り付けられるアイランド15とアイランド15に取り付けられる半導体チップ表面のパッドに対応するリード17とが複数設けられている。各アイランド15と各アイランド15に対応するリードの一組は1つのセグメント50を構成する。各セグメント50は、半導体チップの取り付け、ワイヤボンディング、樹脂封止の後、その間に設けられた切断領域60を切断することによって、それぞれが1つの半導体装置となる区域をいう。セグメント50はリードフレーム12に密集して設けられ、複数のセグメント50によって1つのブロック70が構成される。ブロック70は、樹脂封止の際に一括して封止される範囲である。また、ワイヤボンディングの際にブロック70の外周を押さえフレーム71によって上から押さえて固定することができるよう、各ブロックの周囲にはスペースが設けられている。
【0017】
図2に示すように、リードフレーム12の裏面には、封止用の樹脂がアイランド15とリード17との間から漏れないように再剥離可能なテープ16が貼り付けられている。このようなリードフレーム12は、アイランド15の上に半導体チップ11が取り付けられた後、ボンディングステージ53の上に搬送され、ボンディングステージ53の真空吸着孔55によってテープ16を介してボンディングステージ53に真空吸着されると共に、押さえフレーム71によって各ブロック70の周囲を上から押さえられてボンディングステージ53に固定される。そして、各半導体チップ11の各リード17との間がワイヤ21によって接続される。
【0018】
リードフレーム12がボンディングステージ53の上に固定されると、図3に示すように、各アイランド15に取り付けられた各半導体チップ11の表面の各パッド13とそれに対応する各リード17との間が順次ワイヤ21によって接続されていく。したがって、ワイヤボンディング工程においては、ボンディング済みのワイヤ21に隣接した位置で次のパッド13またはリード17へのボンディングが行われる。そして、リードフレーム12にある全ての半導体チップ11のパッド13と対応するリード17との間の接続が終了すると、次の工程でリードフレーム12はブロック70ごとに樹脂によって一括封止され、その後切断領域60を切断して各半導体装置10が製造される。
【0019】
このような半導体装置は樹脂封止したパッケージから外部接続電極が突出せず、パッケージ裏面に外部接続電極が形成されているもので、QFN(Quad Flat Non−leaded Package)と呼ばれている。
【0020】
図4に示すように、半導体装置10は裏面にテープ16が貼り付けられたリードフレーム12のアイランド15に取り付けられた半導体チップ11の表面にあるパッド13と、リードフレーム12のリード17との間をワイヤ21によって接続されている。ワイヤ21は、半導体チップ11の表面にあるパッド13の上に接合された圧着ボール23と、圧着ボール23からワイヤ21に向かって断面積が変化するボールネック25と、ボールネック25から半導体チップ11の厚さ方向に立ち上がり、リード17に向かって伸びて半導体チップ11の厚さ方向に沿って下向きに屈曲する第1の屈曲部27と、第1の屈曲部27と反対方向の上方向に屈曲する第2の屈曲部29と、第2の屈曲部29からリード17に向かってリード17表面に沿った方向に伸びる直線部31と、リード17にボンディングされる直線部側端部33と、が形成されている。
【0021】
図5に示すように、ワイヤ21の直線部側端部33はボンディングの際にキャピラリによってリード17に超音波加振されながら押し付けられ、リード17に接合されている。直線部側端部33はボンディングの際にキャピラリの先端の形状に沿った形状に変形しており、棒状の直線部31から直線部側端部33に向かって次第にその厚さが薄くなるような形状となっている。
【0022】
ワイヤ21は、パッド側の圧着ボール23とリード側の直線部側端部33の2点によって両側を固定されて、直線部31のリード側面がリード17表面に向かって押しつけられるように構成されている。この押し付け力は図6に示すようなボンディング工程によってワイヤ21をボンディングすることによってもたらされる。
【0023】
図6(a)に示すように、キャピラリ41によってワイヤ21の先端部に形成された図示しないイニシャルボールをパッド13の上に超音波加振しながら共に押し付けて接合すると共に、パッド13の上に圧着ボール23とボールネック25とを形成する第1ボンディング工程の後、ワイヤ21をキャピラリ41の先端から繰り出しながらキャピラリ41を上昇させた後、リード17と反対の方向に移動させるリバース工程を行う。このリバース工程によってキャピラリ41の位置はパッド13上のボンディング中心線28よりもリード17と反対の方向に寄った位置となっている。リバース工程の終了した状態では、ワイヤ21はパッド13からリード17と反対の方向に傾斜している。一方、キャピラリ41によってワイヤ21はパッド13の面に略垂直な方向に保持されていることから、リバース工程が終了した状態のキャピラリ41の先端付近のワイヤ21には、リード17と反対の方向に凸となるような曲がり癖がついている。
【0024】
リバース工程に続いて第1キンク形成工程が行われる。図6(b)に示すように、ワイヤ21を繰り出しながらキャピラリ41を上昇させると、ワイヤ21には先のリバース工程でリード17と反対の方向に凸の癖がついているので、キャピラリ41の上昇によって曲がり部34が形成される。キャピラリ41の上昇により繰り出されるワイヤ21の長さは先のリバース工程の際のワイヤ繰り出し長さよりも長くなっている。そして、図6(c)に示すように、キャピラリ41をパッド13上のボンディング中心線28を越えてリード17の方向に移動させると、曲がり部34は更に大きく屈曲し、リード17と反対の方向に凸の第1キンク35が形成される。キャピラリ41はパッド13上のボンディング中心線28よりもリード17の側に寄っており、第1キンク35はパッド13上のボンディング中心線28よりもリード17と反対側に形成されているので、ワイヤ21は第1キンク35とキャピラリ41との間で、リード17と反対の方向からリード17の方向に向いて傾斜した状態となっている。一方、キャピラリ41によってワイヤ21はパッド13の面に略垂直な方向に保持されていることから、第1キンク形成工程が終了した状態のキャピラリ41の先端付近のワイヤ21には、リード17の方向に凸となるような曲がり癖がついている。
【0025】
第1キンク形成工程に続いて、第2キンク形成工程が行われる。図6(d)に示すように、ワイヤ21を繰り出しながらキャピラリ41を上昇させた後、キャピラリ41の中心位置がパッド13上のボンディング中心線28の位置となるように、キャピラリ41をリード17と反対の方向に移動させる。ワイヤ21には先の第1キンク形成工程において、リード17の方向に凸の曲がり癖が付けられているので、キャピラリ41の上昇とリード17と反対側への移動によって、リード17の方向に凸の第2キンク37が形成される。また、第2キンク37とキャピラリ41との間には直線状にワイヤ21が伸びたストレート部38が形成される。
【0026】
第2キンク37の形成工程に続いて、第2ボンディング工程が行われる。図6(e)に示すように、第2キンク形成工程の後、キャピラリ41をパッド13上のボンディング中心線28からリード17に向けてルーピングする。このルーピングによって、第1キンク35は更に屈曲し、ボールネック25から半導体チップ11の厚さ方向に立ち上がり、リード17に向かって伸びて半導体チップ11の厚さ方向に沿って下向きに屈曲する第1の屈曲部27となる。また、第2キンク37は、第1の屈曲部27と反対方向の上方向に屈曲する第2の屈曲部29となる。そして、第2キンク形成工程で第2キンク37とキャピラリ41との間に形成されたストレート部38は、第2の屈曲部29からリード17の表面に沿って伸びる直線部31となる。直線部31の端部はリード17にボンディングされる直線部側端部33となる。
【0027】
以上述べたように、本実施形態は、ワイヤ21を半導体チップ11表面のパッド13の上にボンディングした後、ワイヤ21を繰り出しながらキャピラリ41をリード17の方向及びリード17と反対の方向に移動させて、ワイヤ21をリードと反対の方向に凸の第1キンク35とリード17の方向に凸の第2キンク37と第2キンク37に続くストレート部38とを形成した後、キャピラリ41をルーピングしてワイヤ21をリード17にボンディングするので、ボンディンクの際にストレート部38をリード17の表面に沿った方向の直線部31に成形すると共に、直線部31をリード17の表面に押し付けた状態でワイヤ21を接合することができる。
【0028】
以上述べたような方法でボンディングされたワイヤ21は、直線部31がリード17によって半導体チップ11の厚さ方向にサポートされた状態となっている。このため、他のワイヤ21のボンディングの際に超音波加振を行っても、ボンディング済みのワイヤ21の直線部31がワイヤ21の半導体チップ11の厚さ方向あるいはリード17の表面に対して垂直な方向の振動を抑制することができるので、ボンディング済みのワイヤ21が他のワイヤ21の超音波加振により損傷することを抑制することができるという効果を奏する。
【0029】
また、直線部31はリード17に押し付けられていることから、ボンディング済みのワイヤ21が他のワイヤ21のボンディングの際の超音波加振によってリード17の表面に沿った方向に振動を起こした場合でも、その振動エネルギーを直線部31とリード17との間の摩擦として消費することができ、リード17の表面に沿った方向の振動を抑制し、ワイヤ21の損傷を抑制することができるという効果を奏する。
【0030】
このように、ワイヤ21は、直線部31がリード17に押し付けられていることから、リード17の表面に垂直な方向及びリード17の表面に沿った方向の両方向の振動を同時に抑制することができるという効果を奏する。
【0031】
本実施形態は、図1から図3で説明したような一括封止法によって半導体装置10を製造するような場合のように、リードフレーム12がテープ16を介してボンディングステージ53に吸着され、各ブロック70の外周で上から押さえられているようなリードフレーム12の固定状態があまりよくない場合でも、直線部31のサポート及び摩擦力による振動低減によってボンディング済みのワイヤ21のリード17へのボンディング部が他のワイヤ21の超音波加振により損傷することを低減することができるという効果を奏する。
【0032】
図7から図10を参照しながら、他の実施形態について説明する。なお、先に説明した実施形態と同様の部分には同様の符号を付して説明は省略する。図7に示すように、半導体装置10は裏面にテープ16が貼り付けられたリードフレーム12のアイランド15に取り付けられた半導体チップ11の表面にあるパッド13と、リードフレーム12のリード17との間をワイヤ21によって接続されている。ワイヤ21は半導体チップ11の表面にあるパッド13の上にボンディングによって接合された圧着ボール23と、圧着ボール23からワイヤ21に向かって断面積が変化するボールネック25を押し潰し、押し潰したボールネック25上に折り返したワイヤ21の側面を押し付けて形成した押し付け部26と、押し付け部26からリード17に向かって伸びて半導体チップ11の厚さ方向に沿って下向きに屈曲する第1の屈曲部27と、第1の屈曲部27と反対方向の上方向に屈曲する第2の屈曲部29と、第2の屈曲部29からリード17に向かってリード17表面に沿った方向に伸びる直線部31と、リード17にボンディングされる直線部側端部33と、が形成されている。
【0033】
図8に示すように、半導体チップ11表面のパッド13の上に形成された押し付け部26は、パッド13の上の圧着ボール23の上にボールネック25が押し潰されてその上面が平面状に成形された押し潰し部25aと、この押し潰し部25aからリード17と反対側に凸となるようにワイヤ21が折り返された折り返し部26aと、折り返し部26aに続くワイヤ21側面が押し潰し部25aに向かって押し付けられ、上側の面が押し付けの際にキャピラリによって平面状に形成された平面部26bが形成されている。この平面部26bのパッド13側の面は押し潰し部25aの上側の面に押し付けられている。また、ワイヤ21の直線部31と直線部側端部33は図5を参照して説明した先の実施形態と同様の構成となっている。
【0034】
ワイヤ21は、パッド側の圧着ボール23とリード17側の直線部側端部33の2点によって両側を固定されて、押し付け部26のパッド13側面が押し潰し部25aに押し付けられ、直線部31のリード側面がリード17表面に向かって押しつけられるように構成されている。この押し付け力は図9及び図10に示すようなボンディング工程によってワイヤ21をボンディングすることによってもたらされる。
【0035】
先に説明した実施形態と同様に、キャピラリ41によってワイヤ21の先端部に形成された図示しないイニシャルボールをパッド13の上に超音波加振すると共に押し付けて接合すると共に、パッド13の上に圧着ボール23とボールネック25とを形成する第1ボンディング工程を行う。
【0036】
第1ボンディング工程の後、図9(a)から図9(f)に示すような押し付け部形成工程が行われる。なお、図9(a)から図9(f)においてはリード17の記載が省略されているが、図中の右側がリード17側である。押し付け部形成工程では、図9(a)に示すように、ワイヤ21を繰り出すと共にキャピラリ41を上昇させた後、図9(b)に示すようにキャピラリ41のリード17側のフェイス部43がボールネック25の上部に来るまでリード17と反対方向にキャピラリ41を移動させる。この際ワイヤ21はボールネック25からリード17と反対の方向に傾斜した状態となっている。そして、図9(c)に示すように、キャピラリ41を下降させてキャピラリ41のフェイス部43でボールネック25を押し潰し、圧着ボール23の上に押し潰し部25aを形成する。押し潰し部25aの上面は、キャピラリ41のフェイス部43によって押し潰されているのでフェイス部43の形状に沿った平面状となっている。また、ワイヤ21は押し潰し部25aのリード17と反対側に折れ曲がると共に、キャピラリ41のストレート孔47のリード17と反対側の内面に沿ってパッド13の垂直方向に向かって伸びた状態となっている。
【0037】
そして、図9(d)に示すように、再度ワイヤ21を繰り出すと共にキャピラリ41を上昇させる。すると、ワイヤ21はキャピラリ41のストレート孔47に沿って直線上に繰り出される。そして、図9(e)に示すように、キャピラリ41をリード17の方向に移動させる。するとキャピラリ41のインナチャンファ部45によってワイヤ21はリード17の方向に向かって押され、押し潰し部25aに続く曲がり部25bで折り曲げられる。そして、キャピラリ41のリード17と反対側にあるフェイス部43が圧着ボール23の上に来る位置まで、キャピラリ41をリード17の方向に移動させる。そして、図9(f)に示すように、キャピラリ41を下降させ、ボールネック25を押し潰して形成された押し潰し部25aの上にワイヤ21の側面を押し付ける。このワイヤ21の押し付けによって、ワイヤ21の折れ曲がり部分は押し潰し部25aの方向に向かって折り返され、折り返し部26aが形成される。ワイヤ21の押し付け部26のパッド13側は、押し付けによって押し潰し部25aの上面に押し付けられ、押し付け部26の上面はキャピラリ41のフェイス部43によって平面が形成される。押し付け部形成工程が終了した状態では、キャピラリ41はパッド13のボンディング中心線28よりもリード17の側に寄った位置となっている。
【0038】
以上述べたようなボンディング方法によって、パッド13の表面にワイヤ21が折り返されて押し付けられている押し付け部26が形成される。この押し付け部26は、その下面がパッド13の圧着ボール23の上に形成された押し潰し部25aへ押し付けられて、半導体チップ11の厚さ方向あるいはパッド13に対して垂直な方向にサポートされていると共に、押し付け力によって押し潰し部25aへ押し付けられている。
【0039】
このため、他のワイヤ21のボンディングの際に超音波加振を行っても、ボンディング済みのワイヤ21の押し付け部26がワイヤ21の半導体チップ11の厚さ方向あるいはパッド13の表面に対して垂直の方向の振動を抑制することができるので、ボンディング済みのワイヤ21が他のワイヤ21の超音波加振により損傷することを抑制することができるという効果を奏する。
【0040】
また、押し付け部26はパッド13の上に形成された押し潰し部25aの上面に押し付けられていることから、ボンディング済みのワイヤ21が他のワイヤ21のボンディングの際の超音波加振によってパッド13の表面に沿った方向に振動を起こした場合でも、その振動エネルギーを押し付け部26の下面と押し潰し部25aの上面との間の摩擦として消費することができ、パッド13の表面に沿った方向の振動を抑制し、ワイヤ21の損傷を抑制することができるという効果を奏する。
【0041】
このように、ワイヤ21は、押し付け部26がパッド13の上に形成された押し潰し部25aに押し付けられていることから、パッド13の表面に垂直な方向及びパッド13の表面に沿った方向の両方向の振動を同時に抑制することができるという効果を奏する。
【0042】
以上のような工程によってパッド13の上にワイヤ21を折り返した押し付け部26を形成した後、ワイヤ21成形、ルーピングしてリード17にボンディングする工程について説明する。
【0043】
図10(a)に示すように、図9を参照して説明した押し付け部形成工程の後、ワイヤ21をキャピラリ41の先端から繰り出しながらキャピラリ41を上昇させた後、先の押し付け部形成工程の終了の際にパッド13のボンディング中心線28よりもリード17側に寄っているキャピラリ41をリード17と反対の方向に移動させるリバース工程を行う。このリバース工程によって、パッド13のリード17側から立ち上がっているワイヤ21はリード17と反対方向に向かって曲がりながら傾斜した形状となる。一方、キャピラリ41内のワイヤ21はパッド13の面に略垂直な方向に保持されていることから、リバース工程が終了した状態のキャピラリ41の先端付近のワイヤ21には、リード17と反対の方向に凸となるような曲がり癖がついている。
【0044】
図10(b)から図10(d)に示すように、リバース工程に続いて先の実施形態と同様に、第1キンク形成工程と、第2キンク形成工程とが行われる。そして、第2キンク形成工程に続いて、図10(e)に示すように第2ボンディング工程が行われる。図10(e)に示すように、第2キンク形成工程の後、キャピラリ41をパッド13上のボンディング中心線28からリード17に向けてルーピングする。このルーピングによって、第1キンク35は第1の屈曲部27に、第2キンク37は第2の屈曲部29に、ストレート部38は第2の屈曲部29からリード17の表面に沿って伸びる直線部31となり、直線部31の端部はリード17にボンディングされる直線部側端部33となる。
【0045】
以上述べたように、本実施形態は、ワイヤ21を半導体チップ11表面のパッド13の上にボンディングした後、ワイヤ21を折り返してボールネック25の押し潰し部25aに押し付ける押し付け部26を形成し、ワイヤ21を繰り出しながらキャピラリ41をリード17の方向及びリード17と反対の方向に移動させて、ワイヤ21をリード17と反対の方向に凸の第1キンク35とリード17の方向に凸の第2キンク37と第2キンク37に続くストレート部38とを形成した後、キャピラリ41をルーピングしてワイヤ21をリード17にボンディングするのでボンディンクの際にストレート部38をリード17の表面に沿った方向の直線部31に成形すると共に、直線部31に続く直線部側端部33をリード17の表面に押し付けた状態として接合することができる。以上述べたような方法でボンディングされたワイヤ21は、直線部31がリード17によって半導体チップ11の厚さ方向にサポートされた状態となる。
【0046】
本実施形態は、この押し付け部26がその下面がパッド13の圧着ボール23の上に形成された押し潰し部25aに押し付けられて、半導体チップ11の厚さ方向あるいはパッド13に対して垂直な方向にサポートされていると共に、押し付け力によってパッド13の面に沿った方向の振動エネルギーを消費させることができるので、ワイヤ21のパッド13側においてワイヤ21の振動を抑制することができる。更に、先の実施形態と同様にワイヤ21の直線部31がワイヤ21の半導体チップ11の厚さ方向あるいはリード17の表面に対して垂直な方向にサポートされると共に、リード17に押し付けられて振動エネルギーを直線部31とリード17との間の摩擦として消費することができるので、ワイヤ21のリード17側においてもワイヤ21の振動を抑制することができる。このため、先の実施形態よりもワイヤ21全体としてより大きな振動の抑制を行うことができ、ボンディング済みのワイヤ21のパッド13及びリード17へのボンディング部が他のワイヤ21の超音波加振により損傷することをより効果的に低減することができるという効果を奏する。
【0047】
本実施形態は、先に説明した実施形態と同様、図1から図3で説明したような一括封止法によって半導体装置10を製造するような場合のように、リードフレーム12がテープ16を介してボンディングステージ53に吸着され、各ブロック70の外周で上から押さえられているようなリードフレーム12の固定状態があまりよくない場合でも、押し付け部26及び直線部31のサポート及び摩擦力による振動低減によってボンディング済みのワイヤ21のパッド13との接合部及びワイヤ21とリード17との接合部が他のワイヤ21の超音波加振により損傷することをより効果的に低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】一括封止法に用いられるリードフレームの平面図である。
【図2】一括封止法に用いられるリードフレームがボンディングステージに固定された状態を示す断面図である。
【図3】一括封止法に用いられるリードフレームにワイヤボンディングをした状態を示す部分平面図である。
【図4】本発明の実施形態における半導体装置の半導体チップとリードとを接続するワイヤを示す図である。
【図5】本発明の実施形態における半導体装置のリード側のワイヤを示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態における半導体装置のワイヤボンディング工程を示す説明図である。
【図7】本発明の他の実施形態における半導体装置の半導体チップとリードとを接続するワイヤを示す図である。
【図8】本発明の他の実施形態における半導体装置のパッド側の押し付け部を示す斜視図である。
【図9】本発明の他の実施形態における半導体装置の押し付け部形成のためのワイヤボンディング工程を示す説明図である。
【図10】本発明の他の実施形態における半導体装置の押し付け部形成後のワイヤボンディング工程を示す説明図である。
【符号の説明】
【0049】
10 半導体装置、11 半導体チップ、12 リードフレーム、13 パッド、15 アイランド、16 テープ、17 リード、21 ワイヤ、23 圧着ボール、25 ボールネック、25a 押し潰し部、25b 曲がり部、26 押し付け部、26a 折り返し部、26b 平面部、27 第1の屈曲部、28 ボンディング中心線、29 第2の屈曲部、31 直線部、33 直線部側端部、34 曲がり部、35 第1キンク、37 第2キンク、38 ストレート部、41 キャピラリ、43 フェイス部、45 インナチャンファ部、47 ストレート孔、50 セグメント、53 ボンディングステージ、55 真空吸着孔、60 切断領域、70 ブロック、71 押さえフレーム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の構造及び半導体装置のワイヤのボンディング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICなどの半導体装置の組立工程には半導体のチップとリードフレームとの間をワイヤで接続するワイヤボンディング工程がある。ワイヤボンディング工程は、ワイヤが挿通されたキャピラリを用い、トーチ電極からの放電によりキャピラリから突出したワイヤの先端にボールを形成し、キャピラリを半導体チップのパッド上に位置させ1次ボンディングを行った後、キャピラリをリードフレームのリード上に移動させ2次ボンディングを行うことにより、半導体チップとリードフレームとの間をワイヤによって接続する方法が一般的に用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記のようなワイヤボンディング方法においては、2次ボンディングのワイヤとリードとの接合面積は、キャピラリのフェイス部とリードとの間に挟まれたワイヤの面積であり、ボールボンディングによって接合される1次ボンディングのワイヤとパッドとの接合面積よりも小さく、その接合強度が低く、ボンディングの信頼性が低くなることがある。
【0004】
そこで、このような2次ボンディングのボンディング部の強度を向上させてボンディングの信頼性を高める方法として、特許文献1には、一旦リードに2次ボンディングを行った後、ワイヤを折り返して再度リードにボンディングする方法が提案されている。また、特許文献2には、ワイヤをリードに接続させながらキャピラリを移動させ、2次ボンディングのボンディング部を帯状に形成して接合面積を増加させ、2次ボンディングのボンディング部の強度の向上を図る方法が提案されている。
【0005】
一方、半導体装置は半導体チップとリードとの間をワイヤで接合した後、全体を樹脂で封止して半導体パッケージとする方法が多用されている。しかし、半導体パッケージの実装工程において、樹脂封止された半導体パッケージの温度が上昇すると樹脂の熱膨張によってワイヤに応力がかかる場合がある。この場合、2次ボンディングのボンディング部はリードとの接合部の厚さが薄くなっており、熱膨張による応力が集中して接合部にクラックが入る場合がある。このため、特許文献3では、ワイヤ接続用のボンディング部よりも厚みの厚いボンド部を2次ボンディングのボンディング部の半導体チップ側に隣接して設け、樹脂の熱膨張によるクラックの発生を低減する方法が提案されている。更に、特許文献4では、リードとワイヤとの間に樹脂が入り込まないように、2次ボンディングの際にキャピラリをリード端部からリード面に平行に移動させてワイヤをリードに密着させる方法が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特公平3−63814号公報
【特許文献2】特開昭52−67262号公報
【特許文献3】特開平2−30153号公報
【特許文献4】特開平8−293512号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年の半導体装置の製造においては、各半導体チップを個別に樹脂封止する個別封止法に代わって、複数の半導体チップを一括して樹脂封止する一括封止法が多く用いられるようになってきている。この一括封止法を用いる場合には、半導体チップの取り付けられる複数のアイランドとそれに対応する複数のリードとを密集させて1つのブロックとして配置し、裏側に封止剤の漏れ防止用のテープが貼り付けられたリードフレームが用いられる。このようなリードフレームをボンディングのためにボンディングステージに固定する場合、裏面のテープを介してボンディングステージに真空吸着されることと、複数の半導体チップが密集したブロックの周辺でリードフレームを上から押さえることから、リードフレームのボンディングステージへの固定状態があまりよくないので、ワイヤボンディングの際にワイヤが振動を起こすという問題があった。
【0008】
特に、あるワイヤをボンディングする際にそのワイヤへの超音波加振によって既にボンディングが終了している他のワイヤのリードとのボンディング部或いはパッド側のボールネックにクラックがはいり、断線の原因となるという問題があった。
【0009】
しかし、特許文献1から4には、このようなボンディングする際の超音波加振により他のボンディング済みワイヤに損傷が発生するということについては記載が無く、特許文献1〜4に記載の従来技術では、このような問題は解決されていなかった。
【0010】
本発明は、ボンディングする際の超音波加振により他のボンディング済みワイヤに損傷が発生することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の半導体装置は、半導体チップ表面のパッドとリードとをワイヤで接続し、リードフレームの半導体チップ取り付け面と反対側の面にテープを貼り付けて製造する半導体装置であって、キャピラリに挿通され、その下端より突出させたワイヤの先端に形成したイニィシャルボールをパッドにボンディングしたボールボンディング部と、ボールボンディング部からリードに伸びて、リードにボンディングされるワイヤと、を含み、ワイヤは、ボールボンディング後のワイヤ繰り出し工程でリードと反対の方向に凸の第1キンクとリードの方向に凸の第2キンクとが設けられ、その後ルーピングされてリードにボンディングされ、パッドからリードに向かって伸びて半導体チップの厚さ方向に屈曲する第1の屈曲部と、第1の屈曲部と反対方向に屈曲する第2の屈曲部と、第2の屈曲部からリードに向かってリード表面に沿った方向に伸びる直線部と、リードにボンディングされる直線部側端部とが形成され、直線部のリード側面がリード表面に向かって押しつけられていること、を特徴とする。
【0012】
本発明の半導体装置は、半導体チップ表面のパッドとリードとをワイヤで接続し、リードフレームの半導体チップ取り付け面と反対側の面にテープを貼り付けて製造する半導体装置であって、キャピラリに挿通され、その下端より突出させたワイヤの先端に形成したイニィシャルボールをパッドにボンディングしたボールボンディング部の上に形成されたボールネックを押し潰し、押し潰したボールネック上に折り返したワイヤの側面を押し付けて形成した押し付け部と、押し付け部からリードに伸びてリードにボンディングされるワイヤと、を含み、ワイヤは、押し付け部形成後のワイヤ繰り出し工程でリードと反対の方向に凸の第1キンクとリードの方向に凸の第2キンクとが設けられ、その後ルーピングされてリードにボンディングされ、押し付け部からリードに向かって伸びて半導体チップの厚さ方向に屈曲する第1の屈曲部と第1の屈曲部と反対方向に屈曲する第2の屈曲部と、第2の屈曲部からリードに向かってリード表面に沿った方向に伸びる直線部と、リードにボンディングされる直線部側端部とが形成され、直線部のリード側面がリード表面に向かって押しつけられていること、を特徴とする。
【0013】
本発明のワイヤボンディング方法は、半導体チップ表面のパッドとリードとをワイヤで接続し、キャピラリに挿通され、その下端より突出させたワイヤの先端に形成したイニィシャルボールをパッドにボンディングしたボールボンディング部からリードに向かって伸び、半導体チップの厚さ方向に屈曲する第1の屈曲部と、第1の屈曲部と反対方向に屈曲する第2の屈曲部と、第2の屈曲部からリードに向かってリード表面に沿った方向に伸びる直線部と、リードにボンディングされる直線部側端部とを有し、直線部のリード側面がリード表面に向かって押しつけられ、リードフレームの半導体チップ取り付け面と反対側の面にテープを貼り付けて製造する半導体装置のワイヤボンディング方法であって、キャピラリに挿通され、その下端より突出させたワイヤの先端に形成したイニィシャルボールをパッドに押し付けてボンディングする第1ボンディング工程と、ワイヤを繰り出しながらキャピラリを上昇させた後、キャピラリをリードと反対の方向に移動させるリバース工程と、リバース工程よりも長くワイヤを繰り出しながらキャピラリを上昇させた後、キャピラリをリードの方向にパッド上のボンディング中心を越える位置まで移動させ、ワイヤにリードと反対の方向に凸の第1キンクを形成する第1キンク形成工程と、ワイヤを繰り出しながらキャピラリを上昇させた後、キャピラリをリードと反対の方向にパッド上のボンディング中心位置まで移動させ、リードの方向に凸の第2キンクと第2キンクに続くストレート部とを形成する第2キンク形成工程と、キャピラリをリードに向かってルーピングさせ、キャピラリをリードに押し付けてワイヤをリードにボンディングする第2ボンディング工程と、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明のワイヤボンディング方法は、半導体チップ表面のパッドとリードとをワイヤで接続し、キャピラリに挿通され、その下端より突出させたワイヤの先端に形成したイニィシャルボールをパッドにボンディングしたボールボンディング部の上に形成されたボールネックを押し潰し、押し潰したボールネック上に折り返したワイヤの側面を押し付けて形成した押し付け部と、押し付け部からリードに向かって伸びて半導体チップの厚さ方向に屈曲する第1の屈曲部と、第1の屈曲部と反対方向に屈曲する第2の屈曲部と、第2の屈曲部からリードに向かってリード表面に沿った方向に伸びる直線部と、リードにボンディングされる直線部側端部とを有し、直線部のリード側面がリード表面に向かって押しつけられ、リードフレームの半導体チップ取り付け面と反対側の面にテープを貼り付けて製造する半導体装置のワイヤボンディング方法であって、キャピラリに挿通され、その下端より突出させたワイヤの先端に形成したイニィシャルボールをパッドに押し付けてボンディングする第1ボンディング工程と、
ワイヤを繰り出すと共にキャピラリを上昇させながらリードと反対方向に移動させた後、キャピラリを下降させてキャピラリのフェイス部でボールネックを押し潰し、再度ワイヤを繰り出すと共にキャピラリを上昇させながらリードの方向に移動させた後、再度キャピラリを下降させて押し潰されたボールネックの上にワイヤ側面を押し付けて押し付け部を形成する押し付け部形成工程と、ワイヤを繰り出しながらキャピラリを上昇させた後、キャピラリをリードと反対の方向にパッド上のボンディング中心を越える位置まで移動させるリバース工程と、リバース工程よりも長くワイヤを繰り出しながらキャピラリを上昇させた後、キャピラリをリード方向にパッド上のボンディング中心を越える位置まで移動させ、ワイヤにリードと反対方向に凸の第1キンクを形成する第1キンク形成工程と、ワイヤを繰り出しながらキャピラリを上昇させた後、キャピラリをリードと反対の方向にパッド上のボンディング中心位置まで移動させ、リードの方向に凸の第2キンクと第2キンクに続くストレート部とを形成する第2キンク形成工程と、キャピラリをリードに向かってルーピングさせ、キャピラリをリードに押し付けてワイヤをリードにボンディングする第2ボンディング工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、ボンディングする際の超音波加振により他のボンディング済みワイヤに損傷が発生することを抑制することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の半導体装置の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に示すように、樹脂一括封止法によって半導体装置を製造する場合のリードフレーム12は、半導体チップが取り付けられるアイランド15とアイランド15に取り付けられる半導体チップ表面のパッドに対応するリード17とが複数設けられている。各アイランド15と各アイランド15に対応するリードの一組は1つのセグメント50を構成する。各セグメント50は、半導体チップの取り付け、ワイヤボンディング、樹脂封止の後、その間に設けられた切断領域60を切断することによって、それぞれが1つの半導体装置となる区域をいう。セグメント50はリードフレーム12に密集して設けられ、複数のセグメント50によって1つのブロック70が構成される。ブロック70は、樹脂封止の際に一括して封止される範囲である。また、ワイヤボンディングの際にブロック70の外周を押さえフレーム71によって上から押さえて固定することができるよう、各ブロックの周囲にはスペースが設けられている。
【0017】
図2に示すように、リードフレーム12の裏面には、封止用の樹脂がアイランド15とリード17との間から漏れないように再剥離可能なテープ16が貼り付けられている。このようなリードフレーム12は、アイランド15の上に半導体チップ11が取り付けられた後、ボンディングステージ53の上に搬送され、ボンディングステージ53の真空吸着孔55によってテープ16を介してボンディングステージ53に真空吸着されると共に、押さえフレーム71によって各ブロック70の周囲を上から押さえられてボンディングステージ53に固定される。そして、各半導体チップ11の各リード17との間がワイヤ21によって接続される。
【0018】
リードフレーム12がボンディングステージ53の上に固定されると、図3に示すように、各アイランド15に取り付けられた各半導体チップ11の表面の各パッド13とそれに対応する各リード17との間が順次ワイヤ21によって接続されていく。したがって、ワイヤボンディング工程においては、ボンディング済みのワイヤ21に隣接した位置で次のパッド13またはリード17へのボンディングが行われる。そして、リードフレーム12にある全ての半導体チップ11のパッド13と対応するリード17との間の接続が終了すると、次の工程でリードフレーム12はブロック70ごとに樹脂によって一括封止され、その後切断領域60を切断して各半導体装置10が製造される。
【0019】
このような半導体装置は樹脂封止したパッケージから外部接続電極が突出せず、パッケージ裏面に外部接続電極が形成されているもので、QFN(Quad Flat Non−leaded Package)と呼ばれている。
【0020】
図4に示すように、半導体装置10は裏面にテープ16が貼り付けられたリードフレーム12のアイランド15に取り付けられた半導体チップ11の表面にあるパッド13と、リードフレーム12のリード17との間をワイヤ21によって接続されている。ワイヤ21は、半導体チップ11の表面にあるパッド13の上に接合された圧着ボール23と、圧着ボール23からワイヤ21に向かって断面積が変化するボールネック25と、ボールネック25から半導体チップ11の厚さ方向に立ち上がり、リード17に向かって伸びて半導体チップ11の厚さ方向に沿って下向きに屈曲する第1の屈曲部27と、第1の屈曲部27と反対方向の上方向に屈曲する第2の屈曲部29と、第2の屈曲部29からリード17に向かってリード17表面に沿った方向に伸びる直線部31と、リード17にボンディングされる直線部側端部33と、が形成されている。
【0021】
図5に示すように、ワイヤ21の直線部側端部33はボンディングの際にキャピラリによってリード17に超音波加振されながら押し付けられ、リード17に接合されている。直線部側端部33はボンディングの際にキャピラリの先端の形状に沿った形状に変形しており、棒状の直線部31から直線部側端部33に向かって次第にその厚さが薄くなるような形状となっている。
【0022】
ワイヤ21は、パッド側の圧着ボール23とリード側の直線部側端部33の2点によって両側を固定されて、直線部31のリード側面がリード17表面に向かって押しつけられるように構成されている。この押し付け力は図6に示すようなボンディング工程によってワイヤ21をボンディングすることによってもたらされる。
【0023】
図6(a)に示すように、キャピラリ41によってワイヤ21の先端部に形成された図示しないイニシャルボールをパッド13の上に超音波加振しながら共に押し付けて接合すると共に、パッド13の上に圧着ボール23とボールネック25とを形成する第1ボンディング工程の後、ワイヤ21をキャピラリ41の先端から繰り出しながらキャピラリ41を上昇させた後、リード17と反対の方向に移動させるリバース工程を行う。このリバース工程によってキャピラリ41の位置はパッド13上のボンディング中心線28よりもリード17と反対の方向に寄った位置となっている。リバース工程の終了した状態では、ワイヤ21はパッド13からリード17と反対の方向に傾斜している。一方、キャピラリ41によってワイヤ21はパッド13の面に略垂直な方向に保持されていることから、リバース工程が終了した状態のキャピラリ41の先端付近のワイヤ21には、リード17と反対の方向に凸となるような曲がり癖がついている。
【0024】
リバース工程に続いて第1キンク形成工程が行われる。図6(b)に示すように、ワイヤ21を繰り出しながらキャピラリ41を上昇させると、ワイヤ21には先のリバース工程でリード17と反対の方向に凸の癖がついているので、キャピラリ41の上昇によって曲がり部34が形成される。キャピラリ41の上昇により繰り出されるワイヤ21の長さは先のリバース工程の際のワイヤ繰り出し長さよりも長くなっている。そして、図6(c)に示すように、キャピラリ41をパッド13上のボンディング中心線28を越えてリード17の方向に移動させると、曲がり部34は更に大きく屈曲し、リード17と反対の方向に凸の第1キンク35が形成される。キャピラリ41はパッド13上のボンディング中心線28よりもリード17の側に寄っており、第1キンク35はパッド13上のボンディング中心線28よりもリード17と反対側に形成されているので、ワイヤ21は第1キンク35とキャピラリ41との間で、リード17と反対の方向からリード17の方向に向いて傾斜した状態となっている。一方、キャピラリ41によってワイヤ21はパッド13の面に略垂直な方向に保持されていることから、第1キンク形成工程が終了した状態のキャピラリ41の先端付近のワイヤ21には、リード17の方向に凸となるような曲がり癖がついている。
【0025】
第1キンク形成工程に続いて、第2キンク形成工程が行われる。図6(d)に示すように、ワイヤ21を繰り出しながらキャピラリ41を上昇させた後、キャピラリ41の中心位置がパッド13上のボンディング中心線28の位置となるように、キャピラリ41をリード17と反対の方向に移動させる。ワイヤ21には先の第1キンク形成工程において、リード17の方向に凸の曲がり癖が付けられているので、キャピラリ41の上昇とリード17と反対側への移動によって、リード17の方向に凸の第2キンク37が形成される。また、第2キンク37とキャピラリ41との間には直線状にワイヤ21が伸びたストレート部38が形成される。
【0026】
第2キンク37の形成工程に続いて、第2ボンディング工程が行われる。図6(e)に示すように、第2キンク形成工程の後、キャピラリ41をパッド13上のボンディング中心線28からリード17に向けてルーピングする。このルーピングによって、第1キンク35は更に屈曲し、ボールネック25から半導体チップ11の厚さ方向に立ち上がり、リード17に向かって伸びて半導体チップ11の厚さ方向に沿って下向きに屈曲する第1の屈曲部27となる。また、第2キンク37は、第1の屈曲部27と反対方向の上方向に屈曲する第2の屈曲部29となる。そして、第2キンク形成工程で第2キンク37とキャピラリ41との間に形成されたストレート部38は、第2の屈曲部29からリード17の表面に沿って伸びる直線部31となる。直線部31の端部はリード17にボンディングされる直線部側端部33となる。
【0027】
以上述べたように、本実施形態は、ワイヤ21を半導体チップ11表面のパッド13の上にボンディングした後、ワイヤ21を繰り出しながらキャピラリ41をリード17の方向及びリード17と反対の方向に移動させて、ワイヤ21をリードと反対の方向に凸の第1キンク35とリード17の方向に凸の第2キンク37と第2キンク37に続くストレート部38とを形成した後、キャピラリ41をルーピングしてワイヤ21をリード17にボンディングするので、ボンディンクの際にストレート部38をリード17の表面に沿った方向の直線部31に成形すると共に、直線部31をリード17の表面に押し付けた状態でワイヤ21を接合することができる。
【0028】
以上述べたような方法でボンディングされたワイヤ21は、直線部31がリード17によって半導体チップ11の厚さ方向にサポートされた状態となっている。このため、他のワイヤ21のボンディングの際に超音波加振を行っても、ボンディング済みのワイヤ21の直線部31がワイヤ21の半導体チップ11の厚さ方向あるいはリード17の表面に対して垂直な方向の振動を抑制することができるので、ボンディング済みのワイヤ21が他のワイヤ21の超音波加振により損傷することを抑制することができるという効果を奏する。
【0029】
また、直線部31はリード17に押し付けられていることから、ボンディング済みのワイヤ21が他のワイヤ21のボンディングの際の超音波加振によってリード17の表面に沿った方向に振動を起こした場合でも、その振動エネルギーを直線部31とリード17との間の摩擦として消費することができ、リード17の表面に沿った方向の振動を抑制し、ワイヤ21の損傷を抑制することができるという効果を奏する。
【0030】
このように、ワイヤ21は、直線部31がリード17に押し付けられていることから、リード17の表面に垂直な方向及びリード17の表面に沿った方向の両方向の振動を同時に抑制することができるという効果を奏する。
【0031】
本実施形態は、図1から図3で説明したような一括封止法によって半導体装置10を製造するような場合のように、リードフレーム12がテープ16を介してボンディングステージ53に吸着され、各ブロック70の外周で上から押さえられているようなリードフレーム12の固定状態があまりよくない場合でも、直線部31のサポート及び摩擦力による振動低減によってボンディング済みのワイヤ21のリード17へのボンディング部が他のワイヤ21の超音波加振により損傷することを低減することができるという効果を奏する。
【0032】
図7から図10を参照しながら、他の実施形態について説明する。なお、先に説明した実施形態と同様の部分には同様の符号を付して説明は省略する。図7に示すように、半導体装置10は裏面にテープ16が貼り付けられたリードフレーム12のアイランド15に取り付けられた半導体チップ11の表面にあるパッド13と、リードフレーム12のリード17との間をワイヤ21によって接続されている。ワイヤ21は半導体チップ11の表面にあるパッド13の上にボンディングによって接合された圧着ボール23と、圧着ボール23からワイヤ21に向かって断面積が変化するボールネック25を押し潰し、押し潰したボールネック25上に折り返したワイヤ21の側面を押し付けて形成した押し付け部26と、押し付け部26からリード17に向かって伸びて半導体チップ11の厚さ方向に沿って下向きに屈曲する第1の屈曲部27と、第1の屈曲部27と反対方向の上方向に屈曲する第2の屈曲部29と、第2の屈曲部29からリード17に向かってリード17表面に沿った方向に伸びる直線部31と、リード17にボンディングされる直線部側端部33と、が形成されている。
【0033】
図8に示すように、半導体チップ11表面のパッド13の上に形成された押し付け部26は、パッド13の上の圧着ボール23の上にボールネック25が押し潰されてその上面が平面状に成形された押し潰し部25aと、この押し潰し部25aからリード17と反対側に凸となるようにワイヤ21が折り返された折り返し部26aと、折り返し部26aに続くワイヤ21側面が押し潰し部25aに向かって押し付けられ、上側の面が押し付けの際にキャピラリによって平面状に形成された平面部26bが形成されている。この平面部26bのパッド13側の面は押し潰し部25aの上側の面に押し付けられている。また、ワイヤ21の直線部31と直線部側端部33は図5を参照して説明した先の実施形態と同様の構成となっている。
【0034】
ワイヤ21は、パッド側の圧着ボール23とリード17側の直線部側端部33の2点によって両側を固定されて、押し付け部26のパッド13側面が押し潰し部25aに押し付けられ、直線部31のリード側面がリード17表面に向かって押しつけられるように構成されている。この押し付け力は図9及び図10に示すようなボンディング工程によってワイヤ21をボンディングすることによってもたらされる。
【0035】
先に説明した実施形態と同様に、キャピラリ41によってワイヤ21の先端部に形成された図示しないイニシャルボールをパッド13の上に超音波加振すると共に押し付けて接合すると共に、パッド13の上に圧着ボール23とボールネック25とを形成する第1ボンディング工程を行う。
【0036】
第1ボンディング工程の後、図9(a)から図9(f)に示すような押し付け部形成工程が行われる。なお、図9(a)から図9(f)においてはリード17の記載が省略されているが、図中の右側がリード17側である。押し付け部形成工程では、図9(a)に示すように、ワイヤ21を繰り出すと共にキャピラリ41を上昇させた後、図9(b)に示すようにキャピラリ41のリード17側のフェイス部43がボールネック25の上部に来るまでリード17と反対方向にキャピラリ41を移動させる。この際ワイヤ21はボールネック25からリード17と反対の方向に傾斜した状態となっている。そして、図9(c)に示すように、キャピラリ41を下降させてキャピラリ41のフェイス部43でボールネック25を押し潰し、圧着ボール23の上に押し潰し部25aを形成する。押し潰し部25aの上面は、キャピラリ41のフェイス部43によって押し潰されているのでフェイス部43の形状に沿った平面状となっている。また、ワイヤ21は押し潰し部25aのリード17と反対側に折れ曲がると共に、キャピラリ41のストレート孔47のリード17と反対側の内面に沿ってパッド13の垂直方向に向かって伸びた状態となっている。
【0037】
そして、図9(d)に示すように、再度ワイヤ21を繰り出すと共にキャピラリ41を上昇させる。すると、ワイヤ21はキャピラリ41のストレート孔47に沿って直線上に繰り出される。そして、図9(e)に示すように、キャピラリ41をリード17の方向に移動させる。するとキャピラリ41のインナチャンファ部45によってワイヤ21はリード17の方向に向かって押され、押し潰し部25aに続く曲がり部25bで折り曲げられる。そして、キャピラリ41のリード17と反対側にあるフェイス部43が圧着ボール23の上に来る位置まで、キャピラリ41をリード17の方向に移動させる。そして、図9(f)に示すように、キャピラリ41を下降させ、ボールネック25を押し潰して形成された押し潰し部25aの上にワイヤ21の側面を押し付ける。このワイヤ21の押し付けによって、ワイヤ21の折れ曲がり部分は押し潰し部25aの方向に向かって折り返され、折り返し部26aが形成される。ワイヤ21の押し付け部26のパッド13側は、押し付けによって押し潰し部25aの上面に押し付けられ、押し付け部26の上面はキャピラリ41のフェイス部43によって平面が形成される。押し付け部形成工程が終了した状態では、キャピラリ41はパッド13のボンディング中心線28よりもリード17の側に寄った位置となっている。
【0038】
以上述べたようなボンディング方法によって、パッド13の表面にワイヤ21が折り返されて押し付けられている押し付け部26が形成される。この押し付け部26は、その下面がパッド13の圧着ボール23の上に形成された押し潰し部25aへ押し付けられて、半導体チップ11の厚さ方向あるいはパッド13に対して垂直な方向にサポートされていると共に、押し付け力によって押し潰し部25aへ押し付けられている。
【0039】
このため、他のワイヤ21のボンディングの際に超音波加振を行っても、ボンディング済みのワイヤ21の押し付け部26がワイヤ21の半導体チップ11の厚さ方向あるいはパッド13の表面に対して垂直の方向の振動を抑制することができるので、ボンディング済みのワイヤ21が他のワイヤ21の超音波加振により損傷することを抑制することができるという効果を奏する。
【0040】
また、押し付け部26はパッド13の上に形成された押し潰し部25aの上面に押し付けられていることから、ボンディング済みのワイヤ21が他のワイヤ21のボンディングの際の超音波加振によってパッド13の表面に沿った方向に振動を起こした場合でも、その振動エネルギーを押し付け部26の下面と押し潰し部25aの上面との間の摩擦として消費することができ、パッド13の表面に沿った方向の振動を抑制し、ワイヤ21の損傷を抑制することができるという効果を奏する。
【0041】
このように、ワイヤ21は、押し付け部26がパッド13の上に形成された押し潰し部25aに押し付けられていることから、パッド13の表面に垂直な方向及びパッド13の表面に沿った方向の両方向の振動を同時に抑制することができるという効果を奏する。
【0042】
以上のような工程によってパッド13の上にワイヤ21を折り返した押し付け部26を形成した後、ワイヤ21成形、ルーピングしてリード17にボンディングする工程について説明する。
【0043】
図10(a)に示すように、図9を参照して説明した押し付け部形成工程の後、ワイヤ21をキャピラリ41の先端から繰り出しながらキャピラリ41を上昇させた後、先の押し付け部形成工程の終了の際にパッド13のボンディング中心線28よりもリード17側に寄っているキャピラリ41をリード17と反対の方向に移動させるリバース工程を行う。このリバース工程によって、パッド13のリード17側から立ち上がっているワイヤ21はリード17と反対方向に向かって曲がりながら傾斜した形状となる。一方、キャピラリ41内のワイヤ21はパッド13の面に略垂直な方向に保持されていることから、リバース工程が終了した状態のキャピラリ41の先端付近のワイヤ21には、リード17と反対の方向に凸となるような曲がり癖がついている。
【0044】
図10(b)から図10(d)に示すように、リバース工程に続いて先の実施形態と同様に、第1キンク形成工程と、第2キンク形成工程とが行われる。そして、第2キンク形成工程に続いて、図10(e)に示すように第2ボンディング工程が行われる。図10(e)に示すように、第2キンク形成工程の後、キャピラリ41をパッド13上のボンディング中心線28からリード17に向けてルーピングする。このルーピングによって、第1キンク35は第1の屈曲部27に、第2キンク37は第2の屈曲部29に、ストレート部38は第2の屈曲部29からリード17の表面に沿って伸びる直線部31となり、直線部31の端部はリード17にボンディングされる直線部側端部33となる。
【0045】
以上述べたように、本実施形態は、ワイヤ21を半導体チップ11表面のパッド13の上にボンディングした後、ワイヤ21を折り返してボールネック25の押し潰し部25aに押し付ける押し付け部26を形成し、ワイヤ21を繰り出しながらキャピラリ41をリード17の方向及びリード17と反対の方向に移動させて、ワイヤ21をリード17と反対の方向に凸の第1キンク35とリード17の方向に凸の第2キンク37と第2キンク37に続くストレート部38とを形成した後、キャピラリ41をルーピングしてワイヤ21をリード17にボンディングするのでボンディンクの際にストレート部38をリード17の表面に沿った方向の直線部31に成形すると共に、直線部31に続く直線部側端部33をリード17の表面に押し付けた状態として接合することができる。以上述べたような方法でボンディングされたワイヤ21は、直線部31がリード17によって半導体チップ11の厚さ方向にサポートされた状態となる。
【0046】
本実施形態は、この押し付け部26がその下面がパッド13の圧着ボール23の上に形成された押し潰し部25aに押し付けられて、半導体チップ11の厚さ方向あるいはパッド13に対して垂直な方向にサポートされていると共に、押し付け力によってパッド13の面に沿った方向の振動エネルギーを消費させることができるので、ワイヤ21のパッド13側においてワイヤ21の振動を抑制することができる。更に、先の実施形態と同様にワイヤ21の直線部31がワイヤ21の半導体チップ11の厚さ方向あるいはリード17の表面に対して垂直な方向にサポートされると共に、リード17に押し付けられて振動エネルギーを直線部31とリード17との間の摩擦として消費することができるので、ワイヤ21のリード17側においてもワイヤ21の振動を抑制することができる。このため、先の実施形態よりもワイヤ21全体としてより大きな振動の抑制を行うことができ、ボンディング済みのワイヤ21のパッド13及びリード17へのボンディング部が他のワイヤ21の超音波加振により損傷することをより効果的に低減することができるという効果を奏する。
【0047】
本実施形態は、先に説明した実施形態と同様、図1から図3で説明したような一括封止法によって半導体装置10を製造するような場合のように、リードフレーム12がテープ16を介してボンディングステージ53に吸着され、各ブロック70の外周で上から押さえられているようなリードフレーム12の固定状態があまりよくない場合でも、押し付け部26及び直線部31のサポート及び摩擦力による振動低減によってボンディング済みのワイヤ21のパッド13との接合部及びワイヤ21とリード17との接合部が他のワイヤ21の超音波加振により損傷することをより効果的に低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】一括封止法に用いられるリードフレームの平面図である。
【図2】一括封止法に用いられるリードフレームがボンディングステージに固定された状態を示す断面図である。
【図3】一括封止法に用いられるリードフレームにワイヤボンディングをした状態を示す部分平面図である。
【図4】本発明の実施形態における半導体装置の半導体チップとリードとを接続するワイヤを示す図である。
【図5】本発明の実施形態における半導体装置のリード側のワイヤを示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態における半導体装置のワイヤボンディング工程を示す説明図である。
【図7】本発明の他の実施形態における半導体装置の半導体チップとリードとを接続するワイヤを示す図である。
【図8】本発明の他の実施形態における半導体装置のパッド側の押し付け部を示す斜視図である。
【図9】本発明の他の実施形態における半導体装置の押し付け部形成のためのワイヤボンディング工程を示す説明図である。
【図10】本発明の他の実施形態における半導体装置の押し付け部形成後のワイヤボンディング工程を示す説明図である。
【符号の説明】
【0049】
10 半導体装置、11 半導体チップ、12 リードフレーム、13 パッド、15 アイランド、16 テープ、17 リード、21 ワイヤ、23 圧着ボール、25 ボールネック、25a 押し潰し部、25b 曲がり部、26 押し付け部、26a 折り返し部、26b 平面部、27 第1の屈曲部、28 ボンディング中心線、29 第2の屈曲部、31 直線部、33 直線部側端部、34 曲がり部、35 第1キンク、37 第2キンク、38 ストレート部、41 キャピラリ、43 フェイス部、45 インナチャンファ部、47 ストレート孔、50 セグメント、53 ボンディングステージ、55 真空吸着孔、60 切断領域、70 ブロック、71 押さえフレーム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップ表面のパッドとリードとをワイヤで接続し、リードフレームの半導体チップ取り付け面と反対側の面にテープを貼り付けて製造する半導体装置であって、
キャピラリに挿通され、その下端より突出させたワイヤの先端に形成したイニィシャルボールをパッドにボンディングしたボールボンディング部と、
ボールボンディング部からリードに伸びて、リードにボンディングされるワイヤと、を含み、
ワイヤは、
ボールボンディング後のワイヤ繰り出し工程でリードと反対の方向に凸の第1キンクとリードの方向に凸の第2キンクとが設けられ、その後ルーピングされてリードにボンディングされ、
パッドからリードに向かって伸びて半導体チップの厚さ方向に屈曲する第1の屈曲部と、第1の屈曲部と反対方向に屈曲する第2の屈曲部と、第2の屈曲部からリードに向かってリード表面に沿った方向に伸びる直線部と、リードにボンディングされる直線部側端部とが形成され、
直線部のリード側面がリード表面に向かって押しつけられていること、
を特徴とする半導体装置。
【請求項2】
半導体チップ表面のパッドとリードとをワイヤで接続し、リードフレームの半導体チップ取り付け面と反対側の面にテープを貼り付けて製造する半導体装置であって、
キャピラリに挿通され、その下端より突出させたワイヤの先端に形成したイニィシャルボールをパッドにボンディングしたボールボンディング部の上に形成されたボールネックを押し潰し、押し潰したボールネック上に折り返したワイヤの側面を押し付けて形成した押し付け部と、
押し付け部からリードに伸びてリードにボンディングされるワイヤと、を含み、
ワイヤは、
押し付け部形成後のワイヤ繰り出し工程でリードと反対の方向に凸の第1キンクとリードの方向に凸の第2キンクとが設けられ、その後ルーピングされてリードにボンディングされ、
押し付け部からリードに向かって伸びて半導体チップの厚さ方向に屈曲する第1の屈曲部と第1の屈曲部と反対方向に屈曲する第2の屈曲部と、第2の屈曲部からリードに向かってリード表面に沿った方向に伸びる直線部と、リードにボンディングされる直線部側端部とが形成され、
直線部のリード側面がリード表面に向かって押しつけられていること、
を特徴とする半導体装置。
【請求項3】
半導体チップ表面のパッドとリードとをワイヤで接続し、
キャピラリに挿通され、その下端より突出させたワイヤの先端に形成したイニィシャルボールをパッドにボンディングしたボールボンディング部からリードに向かって伸び、半導体チップの厚さ方向に屈曲する第1の屈曲部と、第1の屈曲部と反対方向に屈曲する第2の屈曲部と、第2の屈曲部からリードに向かってリード表面に沿った方向に伸びる直線部と、リードにボンディングされる直線部側端部とを有し、直線部のリード側面がリード表面に向かって押しつけられ、リードフレームの半導体チップ取り付け面と反対側の面にテープを貼り付けて製造する半導体装置のワイヤボンディング方法であって、
キャピラリに挿通され、その下端より突出させたワイヤの先端に形成したイニィシャルボールをパッドに押し付けてボンディングする第1ボンディング工程と、
ワイヤを繰り出しながらキャピラリを上昇させた後、キャピラリをリードと反対の方向に移動させるリバース工程と、
リバース工程よりも長くワイヤを繰り出しながらキャピラリを上昇させた後、キャピラリをリードの方向にパッド上のボンディング中心を越える位置まで移動させ、ワイヤにリードと反対の方向に凸の第1キンクを形成する第1キンク形成工程と、
ワイヤを繰り出しながらキャピラリを上昇させた後、キャピラリをリードと反対の方向にパッド上のボンディング中心位置まで移動させ、リードの方向に凸の第2キンクと第2キンクに続くストレート部とを形成する第2キンク形成工程と、
キャピラリをリードに向かってルーピングさせ、キャピラリをリードに押し付けてワイヤをリードにボンディングする第2ボンディング工程と、
を有することを特徴とするワイヤボンディング方法。
【請求項4】
半導体チップ表面のパッドとリードとをワイヤで接続し、
キャピラリに挿通され、その下端より突出させたワイヤの先端に形成したイニィシャルボールをパッドにボンディングしたボールボンディング部の上に形成されたボールネックを押し潰し、押し潰したボールネック上に折り返したワイヤの側面を押し付けて形成した押し付け部と、押し付け部からリードに向かって伸びて半導体チップの厚さ方向に屈曲する第1の屈曲部と、第1の屈曲部と反対方向に屈曲する第2の屈曲部と、第2の屈曲部からリードに向かってリード表面に沿った方向に伸びる直線部と、リードにボンディングされる直線部側端部とを有し、直線部のリード側面がリード表面に向かって押しつけられ、リードフレームの半導体チップ取り付け面と反対側の面にテープを貼り付けて製造する半導体装置のワイヤボンディング方法であって、
キャピラリに挿通され、その下端より突出させたワイヤの先端に形成したイニィシャルボールをパッドに押し付けてボンディングする第1ボンディング工程と、
ワイヤを繰り出すと共にキャピラリを上昇させながらリードと反対方向に移動させた後、キャピラリを下降させてキャピラリのフェイス部でボールネックを押し潰し、再度ワイヤを繰り出すと共にキャピラリを上昇させながらリードの方向に移動させた後、再度キャピラリを下降させて押し潰されたボールネックの上にワイヤ側面を押し付けて押し付け部を形成する押し付け部形成工程と、
ワイヤを繰り出しながらキャピラリを上昇させた後、キャピラリをリードと反対の方向にパッド上のボンディング中心を越える位置まで移動させるリバース工程と、
リバース工程よりも長くワイヤを繰り出しながらキャピラリを上昇させた後、キャピラリをリード方向にパッド上のボンディング中心を越える位置まで移動させ、ワイヤにリードと反対方向に凸の第1キンクを形成する第1キンク形成工程と、
ワイヤを繰り出しながらキャピラリを上昇させた後、キャピラリをリードと反対の方向にパッド上のボンディング中心位置まで移動させ、リードの方向に凸の第2キンクと第2キンクに続くストレート部とを形成する第2キンク形成工程と、
キャピラリをリードに向かってルーピングさせ、キャピラリをリードに押し付けてワイヤをリードにボンディングする第2ボンディング工程と、
を有することを特徴とするワイヤボンディング方法。
【請求項1】
半導体チップ表面のパッドとリードとをワイヤで接続し、リードフレームの半導体チップ取り付け面と反対側の面にテープを貼り付けて製造する半導体装置であって、
キャピラリに挿通され、その下端より突出させたワイヤの先端に形成したイニィシャルボールをパッドにボンディングしたボールボンディング部と、
ボールボンディング部からリードに伸びて、リードにボンディングされるワイヤと、を含み、
ワイヤは、
ボールボンディング後のワイヤ繰り出し工程でリードと反対の方向に凸の第1キンクとリードの方向に凸の第2キンクとが設けられ、その後ルーピングされてリードにボンディングされ、
パッドからリードに向かって伸びて半導体チップの厚さ方向に屈曲する第1の屈曲部と、第1の屈曲部と反対方向に屈曲する第2の屈曲部と、第2の屈曲部からリードに向かってリード表面に沿った方向に伸びる直線部と、リードにボンディングされる直線部側端部とが形成され、
直線部のリード側面がリード表面に向かって押しつけられていること、
を特徴とする半導体装置。
【請求項2】
半導体チップ表面のパッドとリードとをワイヤで接続し、リードフレームの半導体チップ取り付け面と反対側の面にテープを貼り付けて製造する半導体装置であって、
キャピラリに挿通され、その下端より突出させたワイヤの先端に形成したイニィシャルボールをパッドにボンディングしたボールボンディング部の上に形成されたボールネックを押し潰し、押し潰したボールネック上に折り返したワイヤの側面を押し付けて形成した押し付け部と、
押し付け部からリードに伸びてリードにボンディングされるワイヤと、を含み、
ワイヤは、
押し付け部形成後のワイヤ繰り出し工程でリードと反対の方向に凸の第1キンクとリードの方向に凸の第2キンクとが設けられ、その後ルーピングされてリードにボンディングされ、
押し付け部からリードに向かって伸びて半導体チップの厚さ方向に屈曲する第1の屈曲部と第1の屈曲部と反対方向に屈曲する第2の屈曲部と、第2の屈曲部からリードに向かってリード表面に沿った方向に伸びる直線部と、リードにボンディングされる直線部側端部とが形成され、
直線部のリード側面がリード表面に向かって押しつけられていること、
を特徴とする半導体装置。
【請求項3】
半導体チップ表面のパッドとリードとをワイヤで接続し、
キャピラリに挿通され、その下端より突出させたワイヤの先端に形成したイニィシャルボールをパッドにボンディングしたボールボンディング部からリードに向かって伸び、半導体チップの厚さ方向に屈曲する第1の屈曲部と、第1の屈曲部と反対方向に屈曲する第2の屈曲部と、第2の屈曲部からリードに向かってリード表面に沿った方向に伸びる直線部と、リードにボンディングされる直線部側端部とを有し、直線部のリード側面がリード表面に向かって押しつけられ、リードフレームの半導体チップ取り付け面と反対側の面にテープを貼り付けて製造する半導体装置のワイヤボンディング方法であって、
キャピラリに挿通され、その下端より突出させたワイヤの先端に形成したイニィシャルボールをパッドに押し付けてボンディングする第1ボンディング工程と、
ワイヤを繰り出しながらキャピラリを上昇させた後、キャピラリをリードと反対の方向に移動させるリバース工程と、
リバース工程よりも長くワイヤを繰り出しながらキャピラリを上昇させた後、キャピラリをリードの方向にパッド上のボンディング中心を越える位置まで移動させ、ワイヤにリードと反対の方向に凸の第1キンクを形成する第1キンク形成工程と、
ワイヤを繰り出しながらキャピラリを上昇させた後、キャピラリをリードと反対の方向にパッド上のボンディング中心位置まで移動させ、リードの方向に凸の第2キンクと第2キンクに続くストレート部とを形成する第2キンク形成工程と、
キャピラリをリードに向かってルーピングさせ、キャピラリをリードに押し付けてワイヤをリードにボンディングする第2ボンディング工程と、
を有することを特徴とするワイヤボンディング方法。
【請求項4】
半導体チップ表面のパッドとリードとをワイヤで接続し、
キャピラリに挿通され、その下端より突出させたワイヤの先端に形成したイニィシャルボールをパッドにボンディングしたボールボンディング部の上に形成されたボールネックを押し潰し、押し潰したボールネック上に折り返したワイヤの側面を押し付けて形成した押し付け部と、押し付け部からリードに向かって伸びて半導体チップの厚さ方向に屈曲する第1の屈曲部と、第1の屈曲部と反対方向に屈曲する第2の屈曲部と、第2の屈曲部からリードに向かってリード表面に沿った方向に伸びる直線部と、リードにボンディングされる直線部側端部とを有し、直線部のリード側面がリード表面に向かって押しつけられ、リードフレームの半導体チップ取り付け面と反対側の面にテープを貼り付けて製造する半導体装置のワイヤボンディング方法であって、
キャピラリに挿通され、その下端より突出させたワイヤの先端に形成したイニィシャルボールをパッドに押し付けてボンディングする第1ボンディング工程と、
ワイヤを繰り出すと共にキャピラリを上昇させながらリードと反対方向に移動させた後、キャピラリを下降させてキャピラリのフェイス部でボールネックを押し潰し、再度ワイヤを繰り出すと共にキャピラリを上昇させながらリードの方向に移動させた後、再度キャピラリを下降させて押し潰されたボールネックの上にワイヤ側面を押し付けて押し付け部を形成する押し付け部形成工程と、
ワイヤを繰り出しながらキャピラリを上昇させた後、キャピラリをリードと反対の方向にパッド上のボンディング中心を越える位置まで移動させるリバース工程と、
リバース工程よりも長くワイヤを繰り出しながらキャピラリを上昇させた後、キャピラリをリード方向にパッド上のボンディング中心を越える位置まで移動させ、ワイヤにリードと反対方向に凸の第1キンクを形成する第1キンク形成工程と、
ワイヤを繰り出しながらキャピラリを上昇させた後、キャピラリをリードと反対の方向にパッド上のボンディング中心位置まで移動させ、リードの方向に凸の第2キンクと第2キンクに続くストレート部とを形成する第2キンク形成工程と、
キャピラリをリードに向かってルーピングさせ、キャピラリをリードに押し付けてワイヤをリードにボンディングする第2ボンディング工程と、
を有することを特徴とするワイヤボンディング方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−10064(P2009−10064A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−168401(P2007−168401)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(000146722)株式会社新川 (128)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(000146722)株式会社新川 (128)
【Fターム(参考)】
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