説明

半導体装置用配線部材、半導体装置用複合配線部材、および樹脂封止型半導体装置

【課題】小型化(ファイン化)された半導体チップを確実に実装することができるとともに、製造コストを低減することができる、半導体装置用配線部材、半導体装置用複合配線部材、および樹脂封止型半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置用配線部材10は、半導体チップ15上の電極15Aと外部配線部材21とを電気的に接続するものである。このような半導体装置用配線部材10は、絶縁層11と、絶縁層11の一の側に配置された金属基板12と、絶縁層11の他の側に配置された銅配線層13とを備えている。また絶縁層11の銅配線層13側に半導体チップ載置部11Aが形成されている。銅配線層13は、半導体チップ15上の電極15Aと接続される第1端子部13Dと、外部配線部材21と接続される第2端子部13Eと、第1端子部13Dと第2端子部13Eとを接続する配線部13Cとを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置用配線部材、半導体装置用複合配線部材、および樹脂封止型半導体装置に係り、とりわけ、従来より小型化(ファイン化)された半導体チップを確実に実装することができるともに、製造コストを低減することができる半導体装置用配線部材、半導体装置用複合配線部材、および樹脂封止型半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置は、高集積化や小型化技術の進歩、電子機器の高性能化と軽薄短小化の傾向から、ますます高集積化、高機能化が進んできている。このように高集積化、高機能化された半導体装置においては、外部端子(ピン)の総和の増加や更なる多端子(ピン)化が要請されている。
【0003】
このような半導体装置としては、リードフレームにICチップ、LSIチップなどの半導体チップが搭載され、絶縁性樹脂で封止された構造をもつ半導体パッケージがある。このような半導体装置では、高集積化および小型化が進むに従ってパッケージの構造が、SOJ(Small Outline J-Leaded Package)やQFP(Quad Flat Package)のような樹脂パッケージの側壁から外部リードが外側に突出したタイプを経て、外部リードが外側に突出せずに樹脂パッケージの裏面に外部リードが露出するように埋設された、QFN(Quad Flat Non-leaded package)やSON(Small Outline Nonleaded Package)などの薄型で実装面積の小さいタイプに進展している。
【0004】
またQFPパッケージが抱える実装効率、実装性の問題を回避するために、半田ボールをパッケージの外部端子として備えた表面実装型パッケージであるBGA(Ball Grid Array)と呼ばれる樹脂封止型の半導体装置が量産されている。また、BGAの半田ボールに代えてマトリックス状の平面電極からなる外部端子が設けられた表面実装型パッケージとして、LGA(Land Grid Array)と呼ばれる半導体装置が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2688099号公報
【特許文献2】特開平10−41434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、半導体チップはますます小型化(ファイン化)が進んでいるが、リードフレームのインナーリード部のピッチ(間隔)を狭くすることには限界があるため、このようなファイン化された半導体チップをリードフレームに搭載することは次第に困難になることが予想される。
【0007】
またこのような半導体装置の検査を行なう場合、半導体チップを実装し、半導体チップを含む半導体装置として完成させた後にかかる検査を行なう必要がある。したがって、仮に半導体チップが良品でなかった場合、半導体装置全体を破棄しなければならない。このため、半導体チップの歩留まりが悪化した場合、コスト面での損失が大きくなることが懸念される。
【0008】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、小型化(ファイン化)された半導体チップを確実に実装することができるとともに、半導体装置としてパッケージングする前に半導体チップの検査を行なうことができ、かつ製造コストを低減することができる、半導体装置用配線部材、半導体装置用複合配線部材、および樹脂封止型半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、半導体チップ上の電極と外部配線部材とを電気的に接続する半導体装置用配線部材において、絶縁層と、絶縁層の一の側に配置された金属基板と、絶縁層の他の側に配置された銅配線層とを備え、絶縁層の銅配線層側または銅配線層上に半導体チップ載置部が形成され、銅配線層は、半導体チップ上の電極と接続される第1端子部と、外部配線部材と接続される第2端子部と、第1端子部と第2端子部とを接続する配線部とを含むことを特徴とする半導体装置用配線部材である。
【0010】
本発明は、金属基板は、ステンレスからなることを特徴とする半導体装置用配線部材である。
【0011】
本発明は、銅配線層は、半導体チップ上の複数の電極と電気的に接続される端子ブロック部を有することを特徴とする半導体装置用配線部材である。
【0012】
本発明は、半導体チップ上の電極と配線基板とを電気的に接続するための半導体装置用複合配線部材において、配線部材と、この配線部材に電気的に接続されたリードフレームとを備え、配線部材は、絶縁層と、絶縁層の一の側に配置された金属基板と、絶縁層の他の側に配置された銅配線層とを有し、絶縁層の銅配線層側または銅配線層上に半導体チップ載置部が形成され、銅配線層は、半導体チップ上の電極と接続される第1端子部と、リードフレームと接続される第2端子部と、第1端子部と第2端子部とを接続する配線部とを含み、銅配線層の第2端子部とリードフレームとは第2接続部を介して電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置用複合配線部材である。
【0013】
本発明は、金属基板は、ステンレスからなることを特徴とする半導体装置用複合配線部材である。
【0014】
本発明は、第2接続部は、半田からなることを特徴とする半導体装置用複合配線部材である。
【0015】
本発明は、第2接続部は、ボンディングワイヤからなることを特徴とする半導体装置用複合配線部材である。
【0016】
本発明は、樹脂封止型半導体装置において、絶縁層と、絶縁層の一の側に配置された金属基板と、絶縁層の他の側に配置された銅配線層とを有し、絶縁層の銅配線層側または銅配線層上に半導体チップ載置部が形成され、銅配線層は、半導体チップ上の電極と接続される第1端子部と、外部配線部材と接続される第2端子部と、第1端子部と第2端子部とを接続する配線部とを含む配線部材と、この配線部材に電気的に接続されたリードフレームと、配線部材の半導体チップ載置部に載置され、電極を有する半導体チップとを備え、半導体チップ上の電極と第1端子部とは第1接続部により電気的に接続され、第2端子部とリードフレームとは第2接続部により電気的に接続され、リードフレームの一部を露出した状態で半導体チップ、銅配線層、リードフレーム、第1接続部、および第2接続部が樹脂封止部により樹脂封止されたことを特徴とする樹脂封止型半導体装置である。
【0017】
本発明は、樹脂封止型半導体装置において、絶縁層と、絶縁層の一の側に配置された金属基板と、絶縁層の他の側に配置された銅配線層とを有し、絶縁層の銅配線層側または銅配線層上に半導体チップ載置部が形成され、銅配線層は、半導体チップ上の電極と接続される第1端子部と、外部配線部材と接続される第2端子部と、第1端子部と第2端子部とを接続する配線部とを含む配線部材と、この配線部材の半導体チップ載置部に接着層を介して載置され、電極を有する半導体チップとを備え、半導体チップ上の電極と第1端子部とは第1接続部により電気的に接続され、銅配線層の第2端子部上に外部接続用の第2接続部が設けられ、銅配線層、半導体チップ、および第1接続部が封止樹脂部により封止され、第2接続部が封止樹脂部から外方に露出したことを特徴とする樹脂封止型半導体装置である。
【0018】
本発明は、第2接続部は、半田からなることを特徴とする樹脂封止型半導体装置である。
【0019】
本発明は、金属基板は、ステンレスからなることを特徴とする樹脂封止型半導体装置である。
【0020】
本発明は、半導体チップ上の電極と配線基板とを電気的に接続するための半導体装置用複合配線部材において、配線部材と、この配線部材に電気的に接続されるとともに配線部材を載置するリードフレームとを備え、配線部材は、絶縁層と、絶縁層の一の側に配置された金属基板と、絶縁層の他の側に配置された銅配線層とを有し、銅配線層上に半導体チップ載置部が形成され、銅配線層は、半導体チップ上の電極と接続される第1端子部と、リードフレームと接続される第2端子部と、第1端子部と第2端子部とを接続する配線部とを含み、銅配線層の第2端子部とリードフレームとは第2接続部を介して電気的に接続され、リードフレームは、配線部材を載置するダイパッドと、ダイパッド外方に設けられたリード部とを有し、ダイパッドのうち少なくとも半導体チップを載置する中央エリアの厚みは、リード部の厚みより薄くなることを特徴とする半導体装置用複合配線部材である。
【0021】
本発明は、金属基板は、ステンレスからなることを特徴とする半導体装置用複合配線部材である。
【0022】
本発明は、第2接続部は、ボンディングワイヤからなることを特徴とする半導体装置用複合配線部材である。
【0023】
本発明は、ダイパッドは、半導体チップを載置する中央エリアと、中央エリア外周に位置し、リード部と略同一の厚みの周縁エリアとを有し、中央エリアと周縁エリアとの間にスリット孔を設けたことを特徴とする半導体装置用複合配線部材である。
【0024】
本発明は、樹脂封止型半導体装置において、絶縁層と、絶縁層の一の側に配置された金属基板と、絶縁層の他の側に配置された銅配線層とを有し、銅配線層上に半導体チップ載置部が形成され、銅配線層は、半導体チップ上の電極と接続される第1端子部と、外部配線部材と接続される第2端子部と、第1端子部と第2端子部とを接続する配線部とを含む配線部材と、この配線部材に電気的に接続されるとともに配線部材を載置するリードフレームと、配線部材の半導体チップ載置部に載置され、電極を有する半導体チップとを備え、半導体チップ上の電極と第1端子部とは第1接続部により電気的に接続され、第2端子部とリードフレームとは第2接続部により電気的に接続され、リードフレームの一部を露出した状態で半導体チップ、銅配線層、リードフレーム、第1接続部、および第2接続部が封止樹脂部により樹脂封止され、リードフレームは、配線部材を載置するダイパッドと、ダイパッド外方に設けられたリード部とを有し、ダイパッドのうち少なくとも半導体チップを載置する中央エリアの厚みは、リード部の厚みより薄くなることを特徴とする樹脂封止型半導体装置である。
【0025】
本発明は、ダイパッドは、半導体チップを載置する中央エリアと、中央エリア外周に位置し、リード部と略同一の厚みの周縁エリアとを有し、中央エリアと周縁エリアとの間にスリット孔を設けたことを特徴とする樹脂封止型半導体装置である。
【0026】
本発明は、ダイパッド底面から封止樹脂部下面までの長さと、配線部材から封止樹脂部上面までの長さとは、略同一であることを特徴とする樹脂封止型半導体装置である。
【0027】
本発明は、樹脂封止型半導体装置において、絶縁層と、絶縁層の一の側に配置された金属基板と、絶縁層の他の側に配置された銅配線層とを有し、銅配線層上に半導体チップ載置部が形成され、銅配線層は、半導体チップ上の電極と接続される第1端子部と、外部配線部材と接続される第2端子部と、第1端子部と第2端子部とを接続する配線部とを含む配線部材と、この配線部材の半導体チップ載置部に接着層を介して載置され、電極を有する半導体チップとを備え、半導体チップ上の電極と第1端子部とは第1接続部により電気的に接続され、銅配線層の第2端子部上に外部接続用の第2接続部が設けられ、銅配線層、半導体チップ、および第1接続部が封止樹脂部により封止され、第2接続部が封止樹脂部から外方に露出し、第2接続部は半田により形成され、第1接続部と第2接続部とを接続する配線部は第2端子部を囲むように引き回されていることを特徴とする樹脂封止型半導体装置である。
【0028】
本発明は、金属基板は、ステンレスからなることを特徴とする樹脂封止型半導体装置である。
【発明の効果】
【0029】
以上のように本発明によれば、半導体チップと銅配線層との間が第1接続部により電気的に接続され、銅配線層とリードフレームとの間が第2接続部により電気的に接続されるので、比較的ピッチが広いリードフレームのインナーリード部と比較的ピッチが狭い半導体チップの電極との間を確実に接続することができる。これにより、従来より小さい半導体チップを半導体装置のリードフレームに搭載することができる。
【0030】
また本発明によれば、半導体装置としてパッケージングする前に、半導体装置用配線部材または半導体装置用複合配線部材に搭載した状態で半導体チップの検査を行なうことができる。
【0031】
また本発明によれば、第1接続部と第2接続部との間に銅配線層が設けられているので、半導体チップとリードフレームとを直接ボンディングワイヤで接続する場合と比較して製造コストを低減することができる。
【0032】
また本発明によれば、金属基板はステンレスからなっているので、従来のポリイミドからなる基板と比較して剛性があり、取り扱いがしやすく、かつ厚さを薄くすることができる。また、半導体チップからの熱を金属基板の裏面から放熱させることができる。
【0033】
また本発明によれば、銅配線層は、半導体チップ上の複数の電極と電気的に接続される端子ブロック部を有するので、半導体チップの電極のうち例えば電源端子をこの端子ブロック部にまとめて接続することができる。これにより第2接続部を減らすことができ、半導体装置中の総端子数を減らすことができる。また、パッケージ後の半導体装置の外形を小さくすることができ、リードフレーム内のパッケージ取り数を増加させることができるので、半導体装置の製造コストを低減することができる。さらに、半導体装置用配線部材を、半導体装置用配線部材よりやや大きい分割ダイパッド上に載置するとともに、半導体装置用配線部材と分割ダイパッドとを結線することにより、この分割ダイパッドをGNDブロックとして構成することも可能である。さらに、半導体チップの下に絶縁フィルム(またはペースト)を介して銅配線層を配置し、ダイパッドを半導体チップのサイズより大きくし、このダイパッドをGND層としてワイヤボンディングにより接続することもでき、この場合半導体装置中の総端子数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明による半導体装置用配線部材(ワイヤ接続タイプ)の第1の実施の形態を示す概略断面図。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態を示す概略平面図。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態による半導体装置用配線部材の変形例1(ソルダー接続タイプ)を示す概略断面図。
【図4】図4は、図1に示す半導体装置用配線部材を含む半導体装置を示す概略断面図。
【図5】図5は、図3に示す半導体装置用配線部材を含む半導体装置を示す概略断面図。
【図6】図6(a)−(d)は、半導体装置用配線部材の製造方法を示す図。
【図7】図7(a)−(f)は、図4に示す半導体装置の製造方法を示す図。
【図8】図8(a)−(f)は、図5に示す半導体装置の製造方法を示す図。
【図9】図9は、本発明の第1の実施の形態による半導体装置用配線部材の変形例2を示す概略平面図。
【図10】図10は、本発明の第1の実施の形態による半導体装置用配線部材の変形例3を示す概略平面図。
【図11】図11(a)は、本発明の第1の実施の形態による半導体装置用配線部材の変形例4を示す概略平面図であり、図11(b)は、図11(a)のA−A線断面図。
【図12】図12は、本発明による半導体装置の第2の実施の形態を示す概略断面図。
【図13】図13(a)−(e)は、パッケージタイプの半導体装置の製造方法を示す図。
【図14】図14(a)−(f)は、図4に示す半導体装置の製造方法の変形例を示す図。
【図15】図15(a)−(f)は、図5に示す半導体装置の製造方法の変形例を示す図。
【図16】図16は、本発明の第3の実施の形態による半導体装置用配線部材を示す概略断面図。
【図17】図17は、本発明の第3の実施の形態による半導体装置用複合配線部材を示す概略断面図。
【図18】図18は、本発明の第3の実施の形態による半導体装置用配線部材の変形例を示す概略断面図。
【図19】図19は、本発明の第3の実施の形態による半導体装置を示す概略断面図。
【図20】図20(a)−(d)は、本発明の第3の実施の形態による半導体装置用配線部材の製造方法を示す図。
【図21】図21(a)−(f)は、本発明の第3の実施の形態による半導体装置の製造方法を示す図。
【図22】図22は、本発明の第4の実施の形態による半導体装置を示す概略断面図。
【図23】図23は、本発明の第4の実施の形態による半導体装置に用いられる半導体装置用配線部材を示す平面図。
【図24】図24(a)−(e)は、本発明の第4の実施の形態による半導体装置の製造方法を示す図。
【図25】本発明の第4の実施の形態による半導体装置の変形例を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0036】
第1の実施の形態
図1乃至図11は、本発明の第1の実施の形態を示す図である。ここで、図1は、本発明の第1の実施の形態を示す概略断面図であり、図2は、本発明の第1の実施の形態を示す概略平面図である。また図3は、本発明の第1の実施の形態の変形例1を示す概略断面図であり、図4は、図1に示す半導体装置用配線部材を含む半導体装置を示す概略断面図である。また図5は、図3に示す半導体装置用配線部材を含む半導体装置を示す概略断面図であり、図6(a)−(d)は、半導体装置用配線部材の製造方法を示す図である。また図7(a)−(f)は、図4に示す半導体装置の製造方法を示す図であり、図8(a)−(f)は、図5に示す半導体装置の製造方法を示す図である。また図9は、本発明の第1の実施の形態による半導体装置用配線部材の変形例2を示す概略平面図であり、図10は、本発明の第1の実施の形態による半導体装置用配線部材の変形例3を示す概略平面図である。また図11(a)は、本発明の第1の実施の形態による半導体装置用配線部材の変形例4を示す概略平面図であり、図11(b)は、図11(a)のA−A線断面図である。図14(a)−(f)は、図4に示す半導体装置の製造方法の変形例を示す図であり、図15(a)−(f)は、図5に示す半導体装置の製造方法の変形例を示す図である。
【0037】
まず図1乃至図3により、本発明による半導体装置用配線部材の概略について説明する。
図1に示すように、本実施の形態によるワイヤ接続タイプの半導体装置用配線部材10は、半導体チップ15の電極15A(後述)と例えばリードフレーム20のインナーリード部21(後述)等の外部配線部材とを電気的に接続するためのものである。
【0038】
このような半導体装置用配線部材10は、例えばポリイミドからなる絶縁層11と、絶縁層11の一の側に配置された金属基板12と、絶縁層11の他の側に配置された銅配線層13とを備えている。このうち銅配線層13は、半導体チップ15の電極15Aと各々電気的に接続される複数の第1端子部13Dと、インナーリード部21(外部配線部材)と各々電気的に接続される複数の第2端子部13Eと、第1端子部13Dと第2端子部13Eとを各々電気的に接続する複数の配線部13Cとを含んでいる。
【0039】
また銅配線層13の各第2端子部13E上に、リードフレーム20用の第2接続部19が各々設けられている。すなわち第2接続部19は、一端がそれぞれ対応する第2端子部13Eに接続されるとともに、他端がリードフレーム20のインナーリード部21(後述)に接続されている。なお図1および図2において、各第2接続部19は金製のボンディングワイヤからなっている。
【0040】
一方、銅配線層13の配線部13Cは、それぞれ図2に示すように半導体チップ15から放射状に延びている。また銅配線層13の断面は、図1に示すように、中心の銅層13Aと、銅層13Aを覆うめっき層13Bとから構成されている。このうちめっき層13Bは、例えばニッケル(Ni)めっき層と、ニッケル(Ni)めっき層上に設けられた金(Au)めっき層とからなっている。
【0041】
なお金属基板12としては各種金属を用いることができるが、金属基板12がステンレスからなることが最も好ましい。金属基板12がステンレスからなることにより、金属基板12の剛性を高めることができ、金属基板12の厚さを薄くすることができる。また、半導体チップ15からの熱を金属基板12の裏面から放熱させることができる。
【0042】
また絶縁層11の銅配線層13側に半導体チップ載置部11Aが形成されている。半導体チップ15は、図2に示すように、その周囲に沿って設けられた複数の電極15Aを有している。半導体チップ15は、半導体チップ載置部11A上に接着層14を介して載置固定される。また半導体チップ15の各電極15Aと銅配線層13の各第1端子部13Dとの間が、それぞれ金(Au)製のボンディングワイヤからなる第1接続部16により電気的に接続されている。
【0043】
次に図3により半導体装置用配線部材10の他の構成(変形例1)について説明する。図3において、図1および図2に示す半導体装置用配線部材10と同一部分には、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0044】
図3に示すように、ソルダー接続タイプの半導体装置用配線部材10は、絶縁層11と、絶縁層11の一の側に配置された金属基板12と、絶縁層11の他の側に配置された銅配線層13とを備えている。
【0045】
また絶縁層11の銅配線層13側に半導体チップ載置部11Aが形成され、この半導体チップ載置部11Aに、接着層14を介して半導体チップ15が載置されている。さらに半導体チップ15と銅配線層13の第1端子部13Dとの間が、金製のボンディングワイヤからなる第1接続部16により電気的に接続されている。
【0046】
図3において、銅配線層13の各第2端子部13E上に、各々リードフレーム20用の第2接続部18が設けられている。すなわち第2接続部18は、下端がそれぞれ対応する第2端子部13Eに接続されるとともに、上端がリードフレーム20のインナーリード部21(後述)に接続されている。なお図3において、各第2接続部18は半田接続部(半田ボール)からなっている。
【0047】
なお、図1乃至図3において、半導体装置用配線部材10と、この半導体装置用配線部材10に電気的に接続されたリードフレーム20と、銅配線層13の第2端子部13Eとリードフレーム20とを電気的に接続する第2接続部18、19とにより、半導体装置用複合配線部材10Aが構成される。この半導体装置用複合配線部材10Aにより、半導体チップ15上の電極15Aと図示しない外部の配線基板とを電気的に接続することができる。
【0048】
ここで、図1または図3に示した半導体装置用配線部材10の使用形態として、半導体チップ15の各電極15Aと銅配線層13の第1端子部13Dとの電気的接続にボンディングワイヤ(第1接続部16)を用いたが、別の接続方法として金バンプ接続やはんだボール接続を用いることができる。このような金バンプやはんだボールによる接続方法を用いた場合、半導体チップ15は、その電極15Aを配線部材10の第1端子部13Dに対向するように配置して載置する(図示せず)。さらに、第1接続部16の接続方法として金バンプやはんだボールを用いる方法は、BGAパッケージに対応した第2の実施の形態(後述)にも用いることができる。
【0049】
次に図4および図5により、上述した半導体装置用配線部材を有する半導体装置の概略について説明する。
【0050】
図4に示す半導体装置30は、図1に示す半導体装置用配線部材10を含んでいる。すなわち半導体装置30は、ダイパッド22を有するリードフレーム20と、リードフレーム20のダイパッド22上に載置されリードフレーム20に電気的に接続された半導体装置用配線部材10と、半導体装置用配線部材10の半導体チップ載置部11Aに載置され、電極15Aを有する半導体チップ15とを有している。
【0051】
このうちリードフレーム20の上面に複数の導電性のインナーリード部21が形成され、ボンディングワイヤからなる各第2接続部19は、銅配線層13の各第2端子部13Eと対応するインナーリード部21とを電気的に接続している。また、半導体チップ15上の電極15Aと第1端子部13Dとは第1接続部16により電気的に接続されている。さらに、リードフレーム20の一部を露出した状態で半導体チップ15、銅配線層13、リードフレーム20、第1接続部16、および第2接続部19が樹脂封止部23により樹脂封止されている。
【0052】
他方、図5に示す半導体装置30は、図3に示す半導体装置用配線部材10を含んでいる。すなわち半導体装置30は、リードフレーム20と、リードフレーム20の中心に配置されリードフレーム20に電気的に接続された半導体装置用配線部材10と、半導体装置用配線部材10の半導体チップ載置部11Aに載置され、電極15Aを有する半導体チップ15とを有している。
【0053】
このうちリードフレーム20の下面に複数の導電性のインナーリード部21が形成され、半田接続部からなる各第2接続部18は、銅配線層13の各第2端子部13Eと対応するインナーリード部21とを電気的に接続している。また、半導体チップ15上の電極15Aと第1端子部13Dとは第1接続部16により電気的に接続されている。さらに、リードフレーム20の一部(アウタリード部と呼ばれる)を露出した状態で半導体チップ15、銅配線層13、リードフレーム20、第1接続部16、および第2接続部18が樹脂封止部23により樹脂封止されている。
【0054】
なお、図4および図5において、図1および図3に示す半導体装置用配線部材10をリードフレーム20に搭載する例を示したが、これに限らず、例えば半導体装置用配線部材10または図12に示す半導体装置(後述)をビルドアップ基板に内蔵させることにより、薄型の半導体装置を製造することもできる。
【0055】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0056】
はじめに、上述した半導体装置用配線部材10を製造する方法について、図6(a)−(d)により説明する。
【0057】
まず、ステンレスからなる金属基板12を準備する(図6(a))。次に金属基板12上にポリイミドからなる絶縁層11を積層する(図6(b))。
【0058】
次いで、絶縁層11上にアディティブ法またはエッチング法により銅層13Aを形成する(図6(c))。次いで電解めっきまたは無電解めっきにより、銅層13A上に例えばニッケル(Ni)めっき層および金(Au)めっき層からなるめっき層13Bを形成することにより、銅層13Aおよびめっき層13Bからなる銅配線層13を形成する(図6(d))。この際、銅配線層13の第1端子部13D、第2端子部13E、および配線部13Cも同時に形成される。このようにして、絶縁層11と金属基板12と銅配線層13とを有する半導体装置用配線部材10を作製することができる。
【0059】
次に、ワイヤ接続タイプの半導体装置用配線部材を含む半導体装置(図4)を製造する方法について、図7(a)−(f)により説明する。
【0060】
まず上述した図6(a)−(d)に示す工程により、半導体装置用配線部材10を作製する(図7(a))。次に、半導体装置用配線部材10の半導体チップ載置部11A上に接着層14を介して半導体チップ15を載置して固定するとともに(図7(b))、半導体チップ15の各電極15Aと銅配線層13の各第1端子部13Dとの間をボンディングワイヤからなる第1接続部16により接続する(図7(c))。
【0061】
次に、インナーリード部21とダイパッド22とを有するリードフレーム20を準備し、このリードフレーム20のダイパッド22上に半導体装置用配線部材10を載置する(図7(d))。
【0062】
次に、銅配線層13の各第2端子部13Eと、対応するリードフレーム20のインナーリード部21とを、それぞれボンディングワイヤからなる第2接続部19により接続する(図7(e))。その後、リードフレーム20の一部(アウタリード部)を露出した状態で半導体装置用配線部材10、半導体チップ15、第1接続部16、ダイパッド22、第2接続部19、およびインナーリード部21を封止樹脂部23により封止することにより、図4に示す半導体装置30が作製される(図7(f))。
【0063】
次に、ワイヤ接続タイプの半導体装置用配線部材を含む半導体装置(図4)を製造する方法の変形例について、図14(a)−(f)により説明する。
【0064】
まず上述した図6(a)−(d)に示す工程により、半導体装置用配線部材10を作製する(図14(a))。次に、インナーリード部21とダイパッド22とを有するリードフレーム20を準備し、このリードフレーム20のダイパッド22上に半導体装置用配線部材10を載置する(図14(b))。
【0065】
次に、半導体装置用配線部材10の半導体チップ載置部11A上に接着層14を介して半導体チップ15を載置して固定するとともに(図14(c))、半導体チップ15の各電極15Aと銅配線層13の各第1端子部13Dとの間をボンディングワイヤからなる第1接続部16により接続する(図14(d))。
【0066】
次に、銅配線層13の各第2端子部13Eと、対応するリードフレーム20のインナーリード部21とを、それぞれボンディングワイヤからなる第2接続部19により接続する(図14(e))。その後、リードフレーム20の一部(アウタリード部)を露出した状態で半導体装置用配線部材10、半導体チップ15、第1接続部16、ダイパッド22、第2接続部19、およびインナーリード部21を封止樹脂部23により封止することにより、図4に示す半導体装置30が得られる(図14(f))。
【0067】
次に、ソルダー接続タイプの半導体装置用配線部材を含む半導体装置(図5)を製造する方法について、図8(a)−(f)により説明する。
【0068】
まず上述した図6(a)−(d)に示す工程により、半導体装置用配線部材10を作製する(図8(a))。次に、半導体装置用配線部材10の半導体チップ載置部11A上に接着層14を介して半導体チップ15を載置して固定するとともに(図8(b))、半導体チップ15の各電極15Aと銅配線層13の各第1端子部13Dとの間をボンディングワイヤからなる第1接続部16により接続する(図8(c))。
【0069】
次に、銅配線層13の各第2端子部13E上に、各々半田接続部(半田ボール)からなるリードフレーム20用の第2接続部18を設ける(図8(d))。
【0070】
次にリードフレーム20を準備し、各第2接続部18と対応するリードフレーム20のインナーリード部21とをそれぞれ接続する(図8(e))。その後、リードフレーム20の一部(アウタリード部)を露出した状態で半導体装置用配線部材10、半導体チップ15、第1接続部16、第2接続部18、およびインナーリード部21を封止樹脂部23により封止することにより、図5に示す半導体装置30が作製される(図8(f))。
【0071】
次に、ソルダー接続タイプの半導体装置用配線部材を含む半導体装置(図5)を製造する方法の変形例について、図15(a)−(f)により説明する。
【0072】
まず上述した図6(a)−(d)に示す工程により、半導体装置用配線部材10を作製する(図15(a))。次に、半導体装置用配線部材10の銅配線層13の各第2端子部13E上に、各々半田接続部(半田ボール)からなるリードフレーム20用の第2接続部18を設ける(図15(b))。次にリードフレーム20を準備し、各第2接続部18と、対応するリードフレーム20のインナーリード部21とをそれぞれ接続する(図15(c))。
【0073】
次に、半導体装置用配線部材10の半導体チップ載置部11A上に接着層14を介して半導体チップ15を載置して固定するとともに(図15(d))、半導体チップ15の各電極15Aと銅配線層13の各第1端子部13Dとの間をボンディングワイヤからなる第1接続部16により接続する(図15(e))。
【0074】
その後、リードフレーム20の一部(アウタリード部)を露出した状態で半導体装置用配線部材10、半導体チップ15、第1接続部16、第2接続部18、およびインナーリード部21を封止樹脂部23により封止することにより、図5に示す半導体装置30が得られる(図15(f))。
【0075】
このように本実施の形態によれば、従来よりファイン化された小型の半導体チップ15をリードフレーム20に搭載することができる。すなわちリードフレーム20のインナーリード部21間のピッチは比較的広く(例えば130μm)、半導体チップ15の電極15A間のピッチは比較的狭い(例えば40μm)。このような場合であっても、本実施の形態によれば、半導体チップ15の電極15Aと銅配線層13の第1端子部13Dとの間が第1接続部16により接続され、銅配線層13の第2端子部13Eとリードフレーム20のインナーリード部21との間が第2接続部18、19により接続されているので、半導体チップ15をリードフレーム20に確実に電気的に接続することができる。
【0076】
これに対して、比較例として、半導体チップ15の電極15Aとリードフレーム20のインナーリード部21とを直接金製のボンディングワイヤで接続することも考えられる。しかしながら、この場合、金製のボンディングワイヤの長さが相対的に長くなるため、製造コストが上昇する。一方、本実施の形態によれば、第1接続部16と第2接続部18、19との間に銅配線層13を介在させているので、半導体チップ15の電極15Aとリードフレーム20のインナーリード部21とを直接金製のボンディングワイヤで接続する場合(上述した比較例)と比較して半導体装置30の製造コストを低減することができる。
【0077】
また本実施の形態によれば、半導体装置30としてパッケージングする前に、半導体装置用配線部材10に搭載した状態で半導体チップ15の検査を行なうことができる。
【0078】
また本実施の形態によれば、金属基板12はステンレスからなっているので、従来のポリイミドからなる基板と比較して剛性があり、取り扱いがしやすく、かつ厚さを薄くすることができる。また、半導体チップ15からの熱を金属基板12の裏面から放熱させることができる。
【0079】
次に、図9乃至図11により半導体装置用配線部材10の他の構成(変形例2乃至4)について説明する。図9乃至図11において、図1乃至図3に示す半導体装置用配線部材10と同一部分には、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0080】
図9(変形例2)において、銅配線層13は、第1接続部16を介して半導体チップ15上の複数の電源端子用電極15Aと電気的に接続される電源端子ブロック部13Fと、第1接続部16を介して半導体チップ15上の複数のグランド端子用電極15Aと電気的に接続されるGND(グランド)端子ブロック部13Gと、他の第1接続部16がそれぞれ接続される第1端子部13Dと、第2接続部19が接続される平行四辺形状の第2端子部13Eとを有している。また第1端子部13Dと第2端子部13Eとの間、電源端子ブロック部13Fと第2端子部13Eとの間、およびGND(グランド)端子ブロック部13Gと第2端子部13Eとの間にそれぞれ配線部13Cが介在されている。
【0081】
図10(変形例3)において、銅配線層13は、第1接続部16を介して半導体チップ15上の複数の電源端子用電極15Aと電気的に接続される電源端子ブロック部13Fと、第1接続部16を介して半導体チップ15上の複数のグランド端子用電極15Aと電気的に接続されるGND(グランド)端子ブロック部13Gと、他の第1接続部16がそれぞれ接続される第1端子部13Dと、第2接続部18が接続される円形状の第2端子部13Eとを有している。また第1端子部13Dと第2端子部13Eとの間、電源端子ブロック部13Fと第2端子部13Eとの間、およびGND(グランド)端子ブロック部13Gと第2端子部13Eとの間にそれぞれ配線部13Cが介在されている。なお図10(変形例3)において、第2端子部13Eに接続される配線(配線部13C)、引き出し線は、はんだボール実装時のはんだ流れを防止するため、それぞれクランク形状の配線、引き出し線としている。
【0082】
図9および図10に示すように、電源端子ブロック部13FとGND(グランド)端子ブロック部13Gとを設け、電極15Aのうち電源端子およびグランド端子をそれぞれまとめて電気的に接続することにより、第2接続部18、19の数を減らすことができる。
【0083】
図11(変形例4)において、半導体装置用配線部材10は、半導体装置用配線部材10より若干大きい分割ダイパッド20A上に載置されている。また銅配線層13は、第1接続部16を介して半導体チップ15上の複数の電源端子用電極15Aと電気的に接続される電源端子ブロック部13Fと、第1接続部16を介して半導体チップ15上の複数のグランド端子用電極15Aと電気的に接続されるGND(グランド)端子ブロック部13Gとを有している。分割ダイパッド20AはGNDブロックとして構成され、分割ダイパッド20AとGND(グランド)端子ブロック部13Gとは、第2接続部19によって接続されている。
【0084】
図11において、電源端子ブロック部13FとGND(グランド)端子ブロック部13Gとを設け、電極15Aのうち電源端子およびグランド端子をそれぞれまとめて電気的に接続し、かつ分割ダイパッド20AとGND(グランド)端子ブロック部13Gとを第2接続部19によって接続することにより、半導体装置全体における第2接続部19の数を減らすことができる。
【0085】
図9乃至図11(変形例2乃至変形例4)において、半導体チップ15のサイズより大きい銅配線層からなるダイパッドを設け、このダイパッド上に絶縁フィルム(またはペースト)を介して半導体チップ15を搭載しても良い。この場合、銅配線層からなるダイパッドをGND(グランド)層として構成し、半導体チップ15の電極15Aとダイパッドとをワイヤにより接続することにより、半導体装置中の総端子数を減らすことができる。
【0086】
第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態について図12および図13(a)−(e)を参照して説明する。
ここで、図12は、本発明の第2の実施の形態を示す概略断面図であり、図13(a)−(e)は、パッケージタイプの半導体装置の製造方法を示す図である。図12および図13(a)−(e)に示す第2の実施の形態は、第2接続部が封止樹脂部から外方に露出している点が異なるものであり、他の構成は上述した第1の実施の形態と略同一である。図12および図13(a)−(e)において、図1乃至図11に示す第1の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0087】
図12に示すように、本実施の形態によるパッケージタイプの半導体装置40は、上述した半導体装置用配線部材10と、半導体装置用配線部材10の半導体チップ載置部11A上に接着層14を介して載置され複数の電極15Aを有する半導体チップ15とを備えている。
【0088】
さらに、半導体チップ15の各電極15Aと銅配線層13の各第1端子部13Dとの間が、それぞれ金(Au)製のボンディングワイヤからなる第1接続部16により接続されている。
【0089】
一方、銅配線層13の各第2端子部13E上に、半田接続部からなる外部接続用の第2接続部24が各々設けられている。図12に示すように、第2接続部24は、半田ボールを2段に積層することにより構成されているが、第2接続部24の高さを一定以上とすることができるのであればこのような構造に限定されない。
【0090】
また銅配線層13、半導体チップ15、および第1接続部16が封止樹脂部23により封止されている。さらに、上述した第2接続部24は、封止樹脂部23から外方に露出している。第2接続部24のうち封止樹脂部23外方に露出した部分は、例えば外部機器の導電性部材と電気的に接続するために設けられており、これにより半導体チップ15と外部機器とを確実に電気的に接続することができる。
【0091】
なお金属基板12としては各種金属を用いることができるが、金属基板12がステンレスからなることが最も好ましい。金属基板12がステンレスからなることにより、金属基板12の剛性を高めることができ、金属基板12の厚さを薄くすることができる。また、半導体チップ15からの熱を金属基板12の裏面から放熱させることができる。
【0092】
次に、図12に示すパッケージタイプの半導体装置40を製造する方法について、図13(a)−(e)により説明する。
【0093】
まず図6(a)−(d)に示す工程により、半導体装置用配線部材10を作製する(図13(a))。次に、半導体装置用配線部材10の半導体チップ載置部11A上に接着層14を介して半導体チップ15を載置して固定する(図13(b))。次いで、半導体チップ15の各電極15Aと銅配線層13の各第1端子部13Dとの間をボンディングワイヤからなる第1接続部16により接続する(図13(c))。
【0094】
次に、銅配線層13の各第2端子部13E上に各々外部接続用の第2接続部24(半田ボール)を設ける(図13(d))。その後、封止樹脂部23により銅配線層13、半導体チップ15、および第1接続部16を封止することにより、図12に示す半導体装置40が作製される(図13(e))。
【0095】
このように本実施の形態によれば、従来より小型の半導体チップ15を外部機器に接続することができる。すなわち本実施の形態によれば、半導体チップ15の電極15Aと銅配線層13の第1端子部13Dとの間が第1接続部16により接続され、銅配線層13の各第2端子部13E上に半田接続部からなる外部接続用の第2接続部24が設けられている。これにより、外部機器の各導電性部材間のピッチが相対的に広く、半導体チップ15の各電極15A間のピッチが相対的に狭い(例えば40μm)場合であっても、半導体チップ15と外部機器とを確実に接続することができる。
【0096】
また本実施の形態によれば、第1接続部16と第2接続部24との間に銅配線層13を介在させているので、半導体チップ15の電極15Aと第2接続部24との間を直接金製のボンディングワイヤで接続する場合と比較して半導体装置40の製造コストを低減することができる。
【0097】
また本実施の形態によれば、金属基板12はステンレスからなっているので、従来のポリイミドからなる基板と比較して剛性があり、取り扱いがしやすく、かつ厚さを薄くすることができる。また、半導体チップ15からの熱を金属基板12の裏面から放熱させることができる。
【0098】
なお図12に示す半導体装置40は、多面付けされた状態(図示せず)からダイサーカットにより個別に切り離されるようになっている。しかしながら、金属基板12がステンレスからなるため、半導体装置40をカットすることが難しいことも考えられる。この場合、エッチングにより、予め金属基板12にダイサーカット刃(ブレード)より幅の広いダイサーカットライン部を形成しておくことにより、ダイシング効率を向上させることができる。
【0099】
なお、上述した各実施の形態において、絶縁層11の銅配線層13側ではなく、銅配線層13上に半導体チップ載置部11Aを形成しても良い。この場合、半導体チップ15は、絶縁フィルム(またはペースト)を介して半導体チップ載置部11Aに載置される。
【0100】
第3の実施の形態
次に、本発明の第3の実施の形態について図16乃至図21を参照して説明する。
ここで、図16は、本発明の第3の実施の形態による半導体装置用配線部材を示す概略断面図であり、図17は、本発明の第3の実施の形態による半導体装置用複合配線部材を示す概略断面図である。図18は、本発明の第3の実施の形態による半導体装置用配線部材の変形例を示す概略断面図であり、図19は、本発明の第3の実施の形態による半導体装置を示す概略断面図である。また図20(a)−(d)は、本発明の第3の実施の形態による半導体装置用配線部材の製造方法を示す図であり、図21(a)−(f)は、本発明の第3の実施の形態による半導体装置の製造方法を示す図である。図16乃至図21において、図1乃至図11に示す第1の実施の形態と同一部分には同一の符号を付してある。
【0101】
まず図16により、本実施の形態による半導体装置用配線部材の概略について説明する。なお図16において、便宜上、半導体装置用配線部材を構成する部分以外を仮想線(2点鎖線)で示している。
【0102】
図16に示すように、本実施の形態によるワイヤ接続タイプの半導体装置用配線部材10は、例えばポリイミドからなる絶縁層11と、絶縁層11の一の側に配置された金属基板12と、絶縁層11の他の側に配置された銅配線層13とを備えている。このうち銅配線層13は、半導体チップ15の電極15Aと各々電気的に接続される複数の第1端子部13Dと、インナーリード部21(外部配線部材)と各々電気的に接続される複数の第2端子部13Eと、第1端子部13Dと第2端子部13Eとを各々電気的に接続する複数の配線部13Cとを含んでいる。
【0103】
金属基板12としては各種金属を用いることができるが、ステンレスからなることが最も好ましい。金属基板12がステンレスからなることにより、金属基板12の剛性を高めることができ、金属基板12の厚さを薄くすることができる。
【0104】
また銅配線層13上に半導体チップ載置部31が形成されている。この半導体チップ載置部31上に、その周囲に沿って設けられた複数の電極15Aを有する半導体チップ15を載置できるようになっている。この場合、半導体チップ15は、半導体チップ載置部31上に接着層14を介して載置固定される。また半導体チップ15の各電極15Aと銅配線層13の各第1端子部13Dとの間が、それぞれ金(Au)製のボンディングワイヤからなる第1接続部16により電気的に接続可能となっている。
【0105】
他方、銅配線層13の各第2端子部13Eとリードフレーム20の各インナーリード部21とは、第2接続部19を介して電気的に接続されるようになっている。
【0106】
次に図17により、本実施の形態による半導体装置用複合配線部材の概略について説明する。なお図17において、便宜上、半導体装置用複合配線部材を構成する部分以外を仮想線(2点鎖線)で示している。
【0107】
図17に示すように、半導体装置用複合配線部材10Aは、上述した半導体装置用配線部材10と、この半導体装置用配線部材10に電気的に接続されたリードフレーム20と、銅配線層13の第2端子部13Eとリードフレーム20とを電気的に接続する第2接続部19とにより構成されている。この半導体装置用複合配線部材10Aは、半導体チップ15上の電極15Aと図示しない外部の配線基板とを電気的に接続するものである。
【0108】
このうちリードフレーム20は、半導体装置用配線部材10を載置するダイパッド22と、ダイパッド22外方に位置するリード部25とを有している。リード部25上には、銀めっきまたはパラジウムめっきからなるインナーリード部21(外部配線部材)が設けられている。
【0109】
またダイパッド22は、半導体チップ15を載置する中央エリア22aと、中央エリア22a外周に位置し、リード部25と略同一の厚みを有する周縁エリア22bとを有している。このダイパッド22の中央エリア22aと周縁エリア22bとの間には、スリット孔26が設けられている。このスリット孔26は、後述するように、半導体装置用配線部材10とリードフレーム20とを接着する接着剤から発生するガスを外方へ排出するためのものである。
【0110】
なおダイパッド22のうち少なくとも中央エリア22aはハーフエッチング等の方法により薄く形成されている。すなわち中央エリア22aの厚みは、リード部25および周縁エリア22bの厚みより薄く形成されている。これにより、半導体チップ15が搭載された半導体装置30を薄型に構成することが可能となる。
【0111】
一方、第2接続部19は、金製のボンディングワイヤからなり、それぞれその一端が対応する第2端子部13Eに接続されるとともに、他端がリードフレーム20のインナーリード部21に接続されている。
【0112】
ところで、図18の変形例に示すように、半導体チップ15の各電極15Aを銅配線層13側に向けるとともに、この半導体チップ15の各電極15Aと銅配線層13の各第1端子部13Dとの間をバンプまたは半田ボールからなる第1接続部16Aにより接続してもよい(フリップチップ接続)。この場合、第1接続部として金製のボンディングワイヤを使用しないため、製造コストを更に削減することができる。
【0113】
次に図19により、上述した半導体装置用配線部材および半導体装置用複合配線部材を有する半導体装置の概略について説明する。
【0114】
図19に示す半導体装置30は、図16に示す半導体装置用配線部材10および図17に示す半導体装置用複合配線部材10Aを含んでいる。すなわち半導体装置30は、ダイパッド22を有するリードフレーム20と、リードフレーム20のダイパッド22上に載置されリードフレーム20に電気的に接続された半導体装置用配線部材10と、半導体装置用配線部材10の半導体チップ載置部31に載置され、電極15Aを有する半導体チップ15とを有している。
【0115】
このうちリードフレーム20の上面に、複数の導電性のインナーリード部21が形成されている。ボンディングワイヤからなる各第2接続部19は、銅配線層13の各第2端子部13Eと、対応するインナーリード部21とを電気的に接続している。また、半導体チップ15上の電極15Aと第1端子部13Dとはボンディングワイヤからなる第1接続部16により電気的に接続されている。さらに、リードフレーム20のリード部25の一部を露出した状態で半導体チップ15、銅配線層13、リードフレーム20、第1接続部16、および第2接続部19が封止樹脂部23により樹脂封止されている。
【0116】
なお、ダイパッド22の構成は図17を用いて既に説明したもの同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0117】
また図19において、ダイパッド22底面から封止樹脂部23下面までの長さH1と、半導体装置用配線部材10から封止樹脂部23上面までの長さH2とは、略同一の長さとなっている。このことにより、吸湿試験(リフロー試験)の際、半導体装置30に反りやクラックが発生することを防止することができる(詳細は後述する)。
【0118】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0119】
はじめに、本実施の形態による半導体装置用配線部材10(図16)を製造する方法について、図20(a)−(d)により説明する。
【0120】
まず、ステンレスからなる金属基板12を準備する(図20(a))。次に金属基板12上にポリイミドからなる絶縁層11を積層する(図20(b))。
【0121】
次いで、絶縁層11上にアディティブ法またはエッチング法により銅層13Aを形成する(図20(c))。次いで電解めっきまたは無電解めっきにより、銅層13A上に例えばニッケル(Ni)めっき層および金(Au)めっき層からなるめっき層13Bを形成することにより、銅層13Aおよびめっき層13Bからなる銅配線層13を形成する(図20(d))。この際、銅配線層13の第1端子部13D、第2端子部13E、および配線部13Cも同時に形成される。このようにして、絶縁層11と金属基板12と銅配線層13とを有する半導体装置用配線部材10が得られる。また銅配線層13上に半導体チップ載置部31が形成される。
【0122】
次に、本実施の形態による半導体装置(図19)を製造する方法について、図21(a)−(f)により説明する。
【0123】
まず上述した図20(a)−(d)に示す工程により、半導体装置用配線部材10を作製する(図21(a))。次に、インナーリード部21とダイパッド22とを有するリードフレーム20を準備し、このリードフレーム20のダイパッド22上に半導体装置用配線部材10を載置する(図21(b))。この際、半導体装置用配線部材10は、ダイパッド22に接着剤を用いて接着される。この場合、半導体装置用配線部材10の表面が平坦に形成されているので、ダイパッド22に対して半導体装置用配線部材10を面内で均等に加圧することができる。これにより、接着後に半導体装置用配線部材10とダイパッド22との間に隙間が生じないようになっている。
【0124】
次に、半導体装置用配線部材10の半導体チップ載置部31上に接着層14を介して半導体チップ15を載置して固定するとともに(図21(c))、半導体チップ15の各電極15Aと銅配線層13の各第1端子部13Dとの間をボンディングワイヤからなる第1接続部16により接続する(図21(d))。
【0125】
次に、銅配線層13の各第2端子部13Eと、対応するリードフレーム20のインナーリード部21とを、それぞれボンディングワイヤからなる第2接続部19により接続する(図21(e))。その後、リードフレーム20の一部(アウタリード部)を露出した状態で半導体装置用配線部材10、半導体チップ15、第1接続部16、ダイパッド22、第2接続部19、およびインナーリード部21を封止樹脂部23により封止することにより、図19に示す半導体装置30が得られる(図21(f))。
【0126】
ところで、封止樹脂部23による樹脂封止の際、半導体装置用配線部材10およびダイパッド22は約180℃程度で加熱される。この際、半導体装置用配線部材10とダイパッド22とを接着する接着剤も加熱され、これにより接着剤から有機ガスが発生する場合がある。また、接着剤に吸湿した水が加熱されて水蒸気が発生することもありうる。これに対して本実施の形態において、ダイパッド22の中央エリア22aと周縁エリア22bとの間にスリット孔26を設けているので、接着剤から発生したガス(有機ガスおよび/または水蒸気)は、封止樹脂部23が固化するまでの間にスリット孔26を通って外方へ排出され、封止樹脂部23内に残存することがない。
【0127】
他方、このようなスリット孔26を設けなかった場合、ガス(有機ガスおよび/または水蒸気)がダイパッド22と半導体装置用配線部材10との間付近に残存したまま封止樹脂部23が固化する。この場合、完成後の半導体装置30に対して吸湿試験(リフロー試験)を行った際、ガスが残存した部分が膨潤し、ここからクラックが発生するおそれがある。これに対して本実施の形態によれば、ダイパッド22にスリット孔26を設けたことにより接着剤からのガスを外方へ逃がすことができるので、吸湿試験(リフロー試験)の際に、半導体装置30にクラックが発生することがない。
【0128】
このように本実施の形態によれば、従来よりファイン化された小型の半導体チップ15をリードフレーム20に搭載することができる。すなわちリードフレーム20のインナーリード部21間のピッチは比較的広く(例えば130μm)、半導体チップ15の電極15A間のピッチは比較的狭いが(例えば40μm)、このような場合であっても、半導体チップ15とリードフレーム20のインナーリード部21とを確実に接続することができる。
【0129】
また本実施の形態によれば、ダイパッド22のうち少なくとも半導体チップ15を載置する中央エリア22aの厚みをリード部25の厚みより薄くしたので、半導体装置30を薄型に構成することができる。
【0130】
また本実施の形態によれば、ダイパッド22の中央エリア22aと周縁エリア22bとの間にスリット孔26を設け、半導体装置用配線部材10とリードフレーム20とを接着する接着剤から発生するガスをスリット孔26から外方へ排出するので、吸湿試験(リフロー試験)の際、半導体装置30にクラックが発生することを防止することができる。
【0131】
また本実施の形態によれば、ダイパッド22底面から封止樹脂部23下面までの長さと、半導体装置用配線部材10の銅配線層13から封止樹脂部23上面までの長さとを略同一としている。すなわち封止樹脂部23の体積が、半導体装置30の表面側と裏面側とで略均一となっている。この結果、吸湿試験(リフロー試験)の際、表面側と裏面側とで封止樹脂部23が均一に膨張するので、半導体装置30に反りやクラックが発生することを防止することができる。
【0132】
また本実施の形態によれば、第1接続部16と第2接続部18との間に銅配線層13を介在させているので、半導体チップ15の電極15Aとリードフレーム20のインナーリード部21とを直接金製のボンディングワイヤで接続する場合と比較して、半導体装置30の製造コストを低減することができる。
【0133】
また本実施の形態によれば、金属基板12はステンレスからなっているので、従来のポリイミドからなる基板と比較して剛性があり、取り扱いがしやすく、かつ厚さを薄くすることができる。
【0134】
第4の実施の形態
次に、本発明の第4の実施の形態について図22乃至図25を参照して説明する。
ここで、図22は、本発明の第4の実施の形態による半導体装置を示す概略断面図であり、図23は、本発明の第4の実施の形態による半導体装置に用いられる半導体装置用配線部材を示す平面図である。図24(a)−(e)は、本発明の第4の実施の形態による半導体装置の製造方法を示す図であり、図25は、本発明の第4の実施の形態による半導体装置の変形例を示す概略断面図である。図22乃至図25に示す第4の実施の形態は、第2接続部27A、27B、銅配線層13、および半導体チップ載置部31の構成が異なるものであり、他の構成は上述した第2の実施の形態と略同一である。図22乃至図25において、図12および図13(a)−(e)に示す第2の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0135】
図22に示すように、本実施の形態によるパッケージタイプの半導体装置40は、上述した半導体装置用配線部材10と、半導体装置用配線部材10の銅配線層13上に形成された半導体チップ載置部31上に接着層14を介して載置されるとともに、複数の電極15Aを有する半導体チップ15とを備えている。
【0136】
半導体装置用配線部材10は、絶縁層11と、例えばステンレスからなる金属基板12と、銅配線層13とを有している。このうち銅配線層13は、半導体チップ15の電極15Aと各々電気的に接続される複数の第1端子部13Dと、外部接続用の複数の第2端子部13Eと、第1端子部13Dと第2端子部13Eとを各々電気的に接続する配線部13Cとを含んでいる。
【0137】
さらに、半導体チップ15の各電極15Aと銅配線層13の各第1端子部13Dとの間が、それぞれ金(Au)製のボンディングワイヤからなる第1接続部16により接続されている。
【0138】
一方、銅配線層13の各第2端子部13E上に、半田接続部からなる外部接続用の第2接続部27A、27Bが各々設けられている。各第2接続部27A、27Bは半田ボールからなっている。図22に示すように、これら第2接続部27A、27Bのうち、半導体チップ15(第1端子部13D)に近い方の第2接続部を符号27Aで示し、半導体チップ15(第1端子部13D)から遠い方の第2接続部を符号27Bで示す。
【0139】
また銅配線層13、半導体チップ15、および第1接続部16が封止樹脂部23により封止されている。この場合、上述した第2接続部27A、27Bは、その頂部が封止樹脂部23から外方に露出している。第2接続部27A、27Bのうち封止樹脂部23外方に露出した部分は、例えば外部機器の導電性部材と電気的に接続するために設けられており、これにより半導体チップ15と外部機器とを電気的に接続することができる。
【0140】
なお金属基板12としては各種金属を用いることができるが、金属基板12がステンレスからなることが最も好ましい。金属基板12がステンレスからなることにより、金属基板12の剛性を高めることができ、金属基板12の厚さを薄くすることができる。また、半導体チップ15からの熱を金属基板12の裏面から放熱させることができる。
【0141】
ところで、図23は、本実施の形態による半導体装置40に用いられる半導体装置用配線部材10を示す平面図である。図23に示すように、銅配線層13の複数の第2端子部13Eは、それぞれ平面円形形状を有している。図23において、複数の第2端子部13Eのうち、第1端子部13Dに近い位置に設けられた第2端子部を符号13E1で示し、第1端子部13Dから遠い位置に設けられた第2端子部を符号13E2で示している。
【0142】
図23に示すように、銅配線層13の各配線部13Cは、それぞれその途中にクランク部13Hを有している。また第1端子部13Dと(第1端子部13Dに近い方の)第2端子部E1とを接続する配線部13Cは、第2端子部E1を囲むように引き回されている(囲み部13I)。
【0143】
このようにクランク部13Hおよび囲み部13Iを設けることにより、以下の効果が得られる。すなわち、第2端子部E1、E2上に第2接続部27A、27Bを半田により形成する際、溶融した半田が配線部13Cに沿って流動する。この場合、クランク部13Hおよび囲み部13Iにより流動する半田が第1端子部13Dから遠ざけられ、これにより、半田が第1端子部13Dまで達しないようになっている。これに対して、仮にクランク部13Hおよび囲み部13Iを設けない場合、流動する半田が第1端子部13Dに達してしまう可能性がある。この場合、ワイヤボンディング工程において、第1接続部16(ボンディングワイヤ)が第1端子部13Dに接続できない不具合が生じるおそれがある。
【0144】
なお、図25の変形例に示すように、銅配線層13の裏面に、放熱板接着層28を介して放熱板29を取り付けても良い。この場合、放熱板接着層28は例えばダイアタッチメントフィルムからなり、放熱板29は例えば銅からなっている。このような構成により、半導体チップ15からの熱が放熱板29を介して外方へ放熱されるので、半導体装置40の放熱特性を更に向上させることができる。
【0145】
次に、図22に示すパッケージタイプの半導体装置40を製造する方法について、図24(a)−(e)により説明する。
【0146】
まず図20(a)−(d)に示す工程により、半導体装置用配線部材10を作製する(図24(a))。次に、銅配線層13の各第2端子部13E(第2端子部13E1、第2端子部E2)上に各々外部接続用の第2接続部27A、27B(半田ボール)を設ける(図24(b))。この際、上述したように配線部13Cは第2端子部13E1を囲むように引き回されている(図23)。これにより、第2接続部27A、27Bを形成するとき、半田が配線部13Cに沿って流動した場合でも、この半田が第1端子部13Dまで達しないようになっている。
【0147】
次に、半導体装置用配線部材10の半導体チップ載置部31上に接着層14を介して半導体チップ15を載置して固定する(図24(c))。次いで、半導体チップ15の各電極15Aと銅配線層13の各第1端子部13Dとの間をボンディングワイヤからなる第1接続部16により接続する(図24(d))。
【0148】
その後、封止樹脂部23により銅配線層13、半導体チップ15、および第1接続部16を封止することにより、図22に示す半導体装置40が得られる(図24(e))。
【0149】
このように本実施の形態によれば、従来より小型の半導体チップ15を外部機器に接続することができる。すなわち本実施の形態によれば、半導体チップ15の電極15Aと銅配線層13の第1端子部13Dとの間が第1接続部16により接続され、銅配線層13の各第2端子部13E上に半田ボールからなる外部接続用の第2接続部27A、27Bが設けられている。これにより、外部機器の各導電性部材間のピッチが相対的に広く、半導体チップ15の各電極15A間のピッチが相対的に狭い(例えば40μm)場合であっても、半導体チップ15と外部機器とを確実に接続することができる。
【0150】
また本実施の形態によれば、第1接続部16と第2接続部27A、27Bとの間に銅配線層13を介在させているので、半導体チップ15の電極15Aと第2接続部27A、27Bとの間を直接金製のボンディングワイヤで接続する場合と比較して半導体装置40の製造コストを低減することができる。
【0151】
また本実施の形態によれば、金属基板12はステンレスからなっているので、従来のポリイミドからなる基板と比較して剛性があり、取り扱いがしやすく、かつ厚さを薄くすることができる。また、半導体チップ15からの熱を金属基板12の裏面から放熱させることができる。
【符号の説明】
【0152】
10 半導体装置用配線部材
10A 半導体装置用複合配線部材
11 絶縁層
11A、31 半導体チップ載置部
12 金属基板
13 銅配線層
14 接着層
15 半導体チップ
16 第1接続部
18、19、24、27A、27B 第2接続部
20 リードフレーム
21 インナーリード部
22 ダイパッド
23 封止樹脂部
25 リード部
26 スリット孔
28 放熱板接着層
29 放熱板
30、40 半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップ上の電極と外部配線部材とを電気的に接続する半導体装置用配線部材において、
絶縁層と、
絶縁層の一の側に配置された金属基板と、
絶縁層の他の側に配置された銅配線層とを備え、
絶縁層の銅配線層側または銅配線層上に半導体チップ載置部が形成され、
銅配線層は、半導体チップ上の電極と接続される第1端子部と、外部配線部材と接続される第2端子部と、第1端子部と第2端子部とを接続する配線部とを含むことを特徴とする半導体装置用配線部材。
【請求項2】
金属基板は、ステンレスからなることを特徴とする請求項1記載の半導体装置用配線部材。
【請求項3】
銅配線層は、半導体チップ上の複数の電極と電気的に接続される端子ブロック部を有することを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置用配線部材。
【請求項4】
半導体チップ上の電極と配線基板とを電気的に接続するための半導体装置用複合配線部材において、
配線部材と、
この配線部材に電気的に接続されたリードフレームとを備え、
配線部材は、絶縁層と、絶縁層の一の側に配置された金属基板と、絶縁層の他の側に配置された銅配線層とを有し、
絶縁層の銅配線層側または銅配線層上に半導体チップ載置部が形成され、
銅配線層は、半導体チップ上の電極と接続される第1端子部と、リードフレームと接続される第2端子部と、第1端子部と第2端子部とを接続する配線部とを含み、
銅配線層の第2端子部とリードフレームとは第2接続部を介して電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置用複合配線部材。
【請求項5】
金属基板は、ステンレスからなることを特徴とする請求項4記載の半導体装置用複合配線部材。
【請求項6】
第2接続部は、半田からなることを特徴とする請求項4または5記載の半導体装置用複合配線部材。
【請求項7】
第2接続部は、ボンディングワイヤからなることを特徴とする請求項4または5記載の半導体装置用複合配線部材。
【請求項8】
樹脂封止型半導体装置において、
絶縁層と、絶縁層の一の側に配置された金属基板と、絶縁層の他の側に配置された銅配線層とを有し、絶縁層の銅配線層側または銅配線層上に半導体チップ載置部が形成され、銅配線層は、半導体チップ上の電極と接続される第1端子部と、外部配線部材と接続される第2端子部と、第1端子部と第2端子部とを接続する配線部とを含む配線部材と、
この配線部材に電気的に接続されたリードフレームと、
配線部材の半導体チップ載置部に載置され、電極を有する半導体チップとを備え、
半導体チップ上の電極と第1端子部とは第1接続部により電気的に接続され、
第2端子部とリードフレームとは第2接続部により電気的に接続され、
リードフレームの一部を露出した状態で半導体チップ、銅配線層、リードフレーム、第1接続部、および第2接続部が樹脂封止部により樹脂封止されたことを特徴とする樹脂封止型半導体装置。
【請求項9】
樹脂封止型半導体装置において、
絶縁層と、絶縁層の一の側に配置された金属基板と、絶縁層の他の側に配置された銅配線層とを有し、絶縁層の銅配線層側または銅配線層上に半導体チップ載置部が形成され、銅配線層は、半導体チップ上の電極と接続される第1端子部と、外部配線部材と接続される第2端子部と、第1端子部と第2端子部とを接続する配線部とを含む配線部材と、
この配線部材の半導体チップ載置部に接着層を介して載置され、電極を有する半導体チップとを備え、
半導体チップ上の電極と第1端子部とは第1接続部により電気的に接続され、
銅配線層の第2端子部上に外部接続用の第2接続部が設けられ、
銅配線層、半導体チップ、および第1接続部が封止樹脂部により封止され、第2接続部が封止樹脂部から外方に露出したことを特徴とする樹脂封止型半導体装置。
【請求項10】
第2接続部は、半田からなることを特徴とする請求項9記載の樹脂封止型半導体装置。
【請求項11】
金属基板は、ステンレスからなることを特徴とする請求項8または9記載の樹脂封止型半導体装置。
【請求項12】
半導体チップ上の電極と配線基板とを電気的に接続するための半導体装置用複合配線部材において、
配線部材と、
この配線部材に電気的に接続されるとともに配線部材を載置するリードフレームとを備え、
配線部材は、絶縁層と、絶縁層の一の側に配置された金属基板と、絶縁層の他の側に配置された銅配線層とを有し、
銅配線層上に半導体チップ載置部が形成され、
銅配線層は、半導体チップ上の電極と接続される第1端子部と、リードフレームと接続される第2端子部と、第1端子部と第2端子部とを接続する配線部とを含み、
銅配線層の第2端子部とリードフレームとは第2接続部を介して電気的に接続され、
リードフレームは、配線部材を載置するダイパッドと、ダイパッド外方に設けられたリード部とを有し、
ダイパッドのうち少なくとも半導体チップを載置する中央エリアの厚みは、リード部の厚みより薄くなることを特徴とする半導体装置用複合配線部材。
【請求項13】
金属基板は、ステンレスからなることを特徴とする請求項12記載の半導体装置用複合配線部材。
【請求項14】
第2接続部は、ボンディングワイヤからなることを特徴とする請求項12または13記載の半導体装置用複合配線部材。
【請求項15】
ダイパッドは、半導体チップを載置する中央エリアと、中央エリア外周に位置し、リード部と略同一の厚みの周縁エリアとを有し、中央エリアと周縁エリアとの間にスリット孔を設けたことを特徴とする請求項12乃至14のいずれか一項記載の半導体装置用複合配線部材。
【請求項16】
樹脂封止型半導体装置において、
絶縁層と、絶縁層の一の側に配置された金属基板と、絶縁層の他の側に配置された銅配線層とを有し、銅配線層上に半導体チップ載置部が形成され、銅配線層は、半導体チップ上の電極と接続される第1端子部と、外部配線部材と接続される第2端子部と、第1端子部と第2端子部とを接続する配線部とを含む配線部材と、
この配線部材に電気的に接続されるとともに配線部材を載置するリードフレームと、
配線部材の半導体チップ載置部に載置され、電極を有する半導体チップとを備え、
半導体チップ上の電極と第1端子部とは第1接続部により電気的に接続され、
第2端子部とリードフレームとは第2接続部により電気的に接続され、
リードフレームの一部を露出した状態で半導体チップ、銅配線層、リードフレーム、第1接続部、および第2接続部が封止樹脂部により樹脂封止され、
リードフレームは、配線部材を載置するダイパッドと、ダイパッド外方に設けられたリード部とを有し、
ダイパッドのうち少なくとも半導体チップを載置する中央エリアの厚みは、リード部の厚みより薄くなることを特徴とする樹脂封止型半導体装置。
【請求項17】
ダイパッドは、半導体チップを載置する中央エリアと、中央エリア外周に位置し、リード部と略同一の厚みの周縁エリアとを有し、中央エリアと周縁エリアとの間にスリット孔を設けたことを特徴とする請求項16記載の樹脂封止型半導体装置。
【請求項18】
ダイパッド底面から封止樹脂部下面までの長さと、配線部材から封止樹脂部上面までの長さとは、略同一であることを特徴とする請求項16または17記載の樹脂封止型半導体装置。
【請求項19】
樹脂封止型半導体装置において、
絶縁層と、絶縁層の一の側に配置された金属基板と、絶縁層の他の側に配置された銅配線層とを有し、銅配線層上に半導体チップ載置部が形成され、銅配線層は、半導体チップ上の電極と接続される第1端子部と、外部配線部材と接続される第2端子部と、第1端子部と第2端子部とを接続する配線部とを含む配線部材と、
この配線部材の半導体チップ載置部に接着層を介して載置され、電極を有する半導体チップとを備え、
半導体チップ上の電極と第1端子部とは第1接続部により電気的に接続され、
銅配線層の第2端子部上に外部接続用の第2接続部が設けられ、
銅配線層、半導体チップ、および第1接続部が封止樹脂部により封止され、第2接続部が封止樹脂部から外方に露出し、
第2接続部は半田により形成され、
第1接続部と第2接続部とを接続する配線部は第2端子部を囲むように引き回されていることを特徴とする樹脂封止型半導体装置。
【請求項20】
金属基板は、ステンレスからなることを特徴とする請求項16乃至19のいずれか一項記載の樹脂封止型半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−248889(P2012−248889A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−183336(P2012−183336)
【出願日】平成24年8月22日(2012.8.22)
【分割の表示】特願2009−4827(P2009−4827)の分割
【原出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】