説明

半導体装置用集合基板及びその製造方法

【課題】単独の凹型発光装置は製造コストが高かった。
【解決手段】下部集合基板は絶縁基材11及びその上の銅箔層11a及び銅めっき層14aによって構成される。上部集合基板は絶縁基材21及び接着シート22によって構成される。上部集合基板はその接着シート22によって下部集合基板に貼り付けられている。一点鎖線内部の半導体素子搭載用領域の各単位領域には半導体素子収容用キャビティ穴(貫通孔)23が設けられ、一点鎖線外部の半導体素子非搭載領域には位置補正マーク用キャビティ穴(補助貫通孔)24Y’が設けられている。補助貫通孔24Y’はキャビティ穴23の列方向に並んで位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置たとえば発光ダイオード(LED)用集合基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LED用発光装置として凹型発光装置がある(参照:特許文献1)。この凹型発光装置は、金属パターンが形成された下部基板と、この下部基板上に接着剤を介して貼り付けられた上部基板(周壁体)とを備えている。上部基板には孔が設けられており、この孔内にLED素子が搭載される。これにより、LED素子からの光は凹型発光装置の横方向への出射が遮るので前方のみに出射し、出射光利用効率が上昇する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−144333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来の凹型発光装置を単独で製造すると、製造効率が低く、この結果、製造コストが上昇するという課題があった。
【0005】
従って、本発明は半導体装置用集合基板たとえばLED用発光装置用集合基板を提供して上述の半導体装置たとえばLED用発光装置の製造コストを低減しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本発明に係る半導体装置用集合基板は、列状に並ぶ複数の単位領域よりなる半導体素子搭載用領域及び半導体素子搭載用領域を囲む半導体素子非搭載領域を有し、絶縁基板と絶縁基板上の一部に形成された金属パターンからなる下部集合基板と、下部集合基板上に接着層を介して貼り付けられ、半導体素子搭載用領域の各単位領域に対応した半導体素子収容用貫通孔及び半導体素子非搭載領域に対応した補助貫通孔を有する上部集合基板とを具備し、補助貫通孔と最端の半導体素子収容用貫通孔は下部集合基板の金属パターン非形成領域上に少なくとも一部が重なり、補助貫通孔内と最端の半導体素子収容用貫通孔内に露出する金属パターン非形成領域は絶縁基板上で連続している。これにより、半導体素子搭載用領域の最端の単位領域における金属パターンの電気的な短絡を防止できる。
【0007】
また、半導体素子収容用貫通孔及び補助貫通孔の内部に露出した金属パターン上に金属めっき層を有する。
【0008】
また、本発明に係る半導体装置用集合基板の製造方法は、列状に並ぶ複数の単位領域よりなる半導体素子搭載用領域及び半導体素子搭載用領域を囲む半導体素子非搭載領域を有し、絶縁基板と絶縁基板上の一部に形成された金属パターンからなる下部集合基板を準備する工程と、半導体素子搭載用領域の各単位領域に対応した半導体素子収容用貫通孔及び半導体素子非搭載領域に対応した補助貫通孔を有する上部集合基板を準備する工程と、補助貫通孔と最端の半導体素子収容用貫通孔は下部集合基板の金属パターン非形成領域上に少なくとも一部が重なり、補助貫通孔内と最端の半導体素子収容用貫通孔内に露出する金属パターン非形成領域は絶縁基板上で連続するように重ね貼り合わせる工程とを具備するものである。さらに、上部集合基板を下部集合基板に貼り合わせる工程の後、補助貫通孔と半導体素子収容用貫通孔の内部に露出した金属パターン上に電解めっき法により金属めっき層を形成する工程を具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、半導体装置用集合基板により半導体装置用発光装置の製造コストを低減できると共に、半導体装置用集合基板の最端の単位領域の金属パターンの電気的短絡を防止できるので、さらに歩留りが向上して製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】比較例としての下部集合基板の製造方法を説明するための図であって、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図2】比較例としての下部集合基板の製造方法を説明するための図であって、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図3】比較例としての下部集合基板の製造方法を説明するための図であって、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図4】比較例としての上部集合基板の製造方法を説明するための図であって、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図5】比較例としての上部集合基板の製造方法を説明するための図であって、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図6】比較例としての半導体装置用集合基板の製造方法を説明するための図であって、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図7】比較例としての半導体装置用集合基板の製造方法を説明するための図であって、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図8】比較例としての半導体装置用集合基板の製造方法を説明するための図であって、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図9】図7における接着シートの凹み及び金属パターンのめっき液残査を示す写真である。
【図10】本発明に係る実施の形態としての下部集合基板の製造方法を説明するための図であって、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図11】本発明に係る実施の形態としての下部集合基板の製造方法を説明するための図であって、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図12】本発明に係る実施の形態としての下部集合基板の製造方法を説明するための図であって、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図13】本発明に係る実施の形態としての上部集合基板の製造方法を説明するための図であって、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図14】本発明に係る実施の形態としての上部集合基板の製造方法を説明するための図であって、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図15】本発明に係る実施の形態としての半導体装置用集合基板の製造方法を説明するための図であって、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図16】本発明に係る実施の形態としての半導体装置用集合基板の製造方法を説明するための図であって、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図17】本発明に係る実施の形態としての半導体装置用集合基板の製造方法を説明するための図であって、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図18】図16における接着シート及び金属パターンを示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態の説明の前に、比較例としての半導体装置用集合基板の製造方法を図1〜図9を参照して説明する。
【0012】
図1〜図3は比較例の下部集合基板の製造方法を説明する図である。尚、図1〜図3における一点鎖線内部は半導体素子を搭載するための領域たとえばLED用発光素子搭載用領域であって、半導体装置が得られる領域である。ダイシング後に各半導体装置となる複数の単位領域が列状に並ぶことからなり、図1〜図3においてはX方向に4つの単位領域が並んだ列がY方向に4列配置されることで形成されている。他方、一点鎖線外部は半導体素子を搭載しない領域たとえばLED用発光素子非搭載領域である。LED用発光素子非搭載領域はダイシング後には発光装置とならない領域だが、金属パターンはLED用発光素子搭載用領域にもLED用発光素子非搭載領域にも形成されている。
【0013】
始めに、図1を参照すると、エポキシ樹脂等よりなる絶縁基材11の表裏に厚さ約10〜20μmの銅(Cu)箔層12a、12bを貼り付ける。フォトリソグラフィ・エッチング法によりフィルドビアを形成する箇所の銅箔が抜きになるように銅箔層12bをパターニングする。銅箔層12bの銅箔を除去した箇所へレーザを照射し銅箔層12aが露出されるまで絶縁基材11を掘る。このときの穴の直径は0.05〜0.2mm程度である。
【0014】
次に、図2を参照すると、銅箔層12a、12b上に無電解めっき法により、厚さ約30μmの銅(Cu)めっき層14a、14bを形成する。この結果、貫通孔13にも銅めっき層14bが埋め込まれ、フィルドビア15が貫通孔13内に形成されることになる。従って、絶縁基材11の表面側の銅箔層12a及び銅層13aと裏面側の銅箔層12b及び銅層13bとがフィルドビア15によって電気的に接続されることになる。
【0015】
次に、図3を参照すると、銅箔層12a、銅めっき層14aを一体とし、他方、銅箔層12b、銅めっき層14bを一体とし、銅箔層12a、銅めっき層14a側にフォトリソグラフィ・エッチング法によって例えば図3のような一つなぎとなっている列状の金属パターン非形成領域Zを形成する。この結果、絶縁基材11の表側にパターニングされた銅箔層12a、銅めっき層14aは各発光装置ダイシング後に金属パターン非形成領域Zを挟んだ回路として利用される金属パターンとなる。図示しないが、裏面においても電極形成のためのパターニングが同時に行われる。このとき、一点鎖線内部の半導体素子搭載用領域の、ダイシング後に1つの発光装置となる各単位領域Rにおいて、2つのフィルドビア15にそれぞれ接続された2つの回路パターンが形成される。また、一点鎖線外部の半導体素子非搭載領域のX方向辺、Y方向辺において、位置補正マーク16X、16Yが等間隔で形成される。この場合、位置補正マーク16X、16Yは半導体素子搭載用領域の各単位領域Rの境界を示す目印であり、後述のダイシングラインの位置を示す。また、X方向に並ぶ最端の単位領域Rの直外側の半導体素子非搭載領域にまで金属パターン非形成領域Zが延在するのは、後述のダイシング加工によって各単位領域Rにおける回路パターンの分離を完全に行うためのマージンである。これにより、確実に電気的に短絡しないようにしたものである。但し、金属パターン非形成領域Zはできるだけ小さくする。他方、図3には図示しないが、絶縁基材11の裏側にも、パターニングされた銅箔層12b、銅めっき層14bもフィルドビア15に接続された回路パターンとしての金属パターンを形成する。
【0016】
図4、図5は比較例の上部集合基板の製造方法を説明する図である。尚、図4、図5における一点鎖線内部も半導体装置たとえばLED用発光素子搭載用領域、一点鎖線外部も半導体素子非搭載領域である。
【0017】
図4を参照すると、エポキシ樹脂等よりなる絶縁基材21の裏面に接着シート22を貼り付ける。
【0018】
次に、図5を参照すると、絶縁基材21及び接着シート22を一体としてキャビティ穴23、24X、24Yを開孔する。この場合、各キャビティ穴23は半導体素子搭載用領域の1つの単位領域Rに対して設けられた半導体素子収容用キャビティ穴(貫通孔)であり、他方、各キャビティ穴24X、24Yは半導体素子非搭載領域に対して設けられた位置補正マーク用キャビティ穴(補助貫通孔)であって、図3の位置補正マーク16X、16Yに対応する。
【0019】
図6〜図8は比較例の図3の下部集合基板に図5の上部集合基板を貼り付けた以後の半導体装置用集合基板の製造方法を説明する図である。尚、図6〜図8においても、一点鎖線内部は半導体素子を搭載する領域であってたとえばLED用発光素子搭載用領域であり、一点鎖線外部も半導体素子を搭載しない領域たとえばLED用発光素子非搭載領域である。
【0020】
図6を参照すると、図3の下部集合基板上に図5の上部集合基板をその接着シート22によって貼り合わせて加熱プレスすると、接着シート22から矢印で示すごとくガスが抜ける。このとき、金属パターン(12a、14a)の厚みが大きいと、金属パターン非形成領域Zが金属パターンに対して深い溝構造となるため、接着シート22がその溝状の金属パターン非形成領域Zに対して馴染み難くなる。さらに、一点鎖線周辺下の金属非形成部ではガス抜け口が一方向に限られてしまうため、ガス残りによる空洞が発生し易くなる。この結果、下部集合基板と上部集合基板との貼り合わせ強度が低下する。
【0021】
次に、図7を参照すると、各金属パターン(12a、14a)上にニッケル(Ni)めっき層32及び銀(Ag)めっき層33を電解めっき法によって形成する。ここで、ニッケルめっき層32は銅めっき層14aと銀めっき層33との密着性を向上させるためのものであり、また、銀めっき層33は高反射率を有し、後述のLED素子34からの光を効率よく反射させるためのものである。
【0022】
最後に、図8を参照すると、各銀めっき層33上にLED素子(チップ)34を搭載する。次いで、LED素子34のp側電極、n側電極を回路パターンとしての2つの金属パターン(この場合、銀めっき層33)に図示しないボンディングワイヤで接続する。次いで、封止樹脂層35をキャビティ穴23に注入して封止する。この封止樹脂層35には、必要に応じて蛍光体を含有させる。次いで、位置補正マーク用キャビティ穴24X、24Yから見た位置補正マーク16X、16Yで定義されるダイシングラインDLX、DLYに沿ってダイシングを行い、LED用発光装置を個別的に得ることができる。
【0023】
上述の比較例においては、図6の(B)に示すごとく、金属パターン(12a、14a)の膜厚がたとえば30μmより大きいと、一点鎖線周辺下の金属非形成部において空洞31が発生する。この結果、ニッケルめっき層32及び銀めっき層33を無電解めっき法により成長させる際に、空洞31内でめっき液成分が析出し、しかも、洗浄液が空洞31内に到達しない場合には、空洞31内でめっき液残査でめっきが異常成長する。従って、図9に示すように、接着シート22を剥がすと、半導体素子非搭載領域の接着シート22には空洞31による凹みが観察され(図9の(A))、他方、半導体素子非搭載領域の金属パターンにめっき液残査が観察される(図9の(B))。この結果、最悪の場合、半導体素子非搭載領域の金属パターンが電気的に短絡し、最端の単位領域Rにおける金属パターンが電気的に短絡する可能性がある。他方、図8に示すごとく、封止樹脂層35をキャビティ穴23に注入する際に、封止樹脂層35が空洞31内に入り込み、この結果、封止樹脂層35の液面高さが不安定となったり、熱硬化中に気泡を発生して封止樹脂層35内に気泡が残ることがある。
【0024】
本発明の実施の形態に係る半導体装置用集合基板の製造方法を図10〜図18を参照して説明する。
【0025】
図10〜図12は本発明の実施の形態に係る下部集合基板の製造方法を説明する図である。尚、図10〜図12においても、一点鎖線内部は半導体素子を搭載するための領域であってたとえばLED用発光素子搭載用領域であり、他方、一点鎖線外部は半導体素子を搭載しない領域たとえばLED用発光素子非搭載領域である。金属パターンはいずれの領域にも形成されている。
【0026】
始めに、図10を参照すると、図1の場合と同様に、絶縁基材11の表裏に厚さ約10〜20μmの銅(Cu)箔層12a、12bを貼り付ける。次いで、レーザ照射により絶縁基材11の裏面から直径約0.1〜0.2μmの貫通孔13を開孔する。フォトリソグラフィ・エッチング法によりフィルドビアを形成する箇所の銅箔が抜きになるように銅箔層12bをパターニングする。銅箔層12bの銅箔を除去した箇所へレーザを照射し銅箔層12aが露出されるまで絶縁基材11を掘る。このときの穴の直径は0.05〜0.2mm程度である。
【0027】
次に、図11を参照すると、図2の場合と同様に、銅箔層12a、12b上に無電解めっき法により、厚さ約30μmの銅(Cu)めっき層14a、14bを形成する。この結果、貫通孔13にも銅めっき層14bが埋め込まれ、フィルドビア15が貫通孔13内に形成されることになる。
【0028】
次に、図12を参照すると、銅箔層12a、銅めっき層14aを一体とし、他方、銅箔層12b、銅めっき層14bを一体とし、銅箔層12a、銅めっき層14a側にフォトリソグラフィ・エッチング法によって例えば図12のような一つなぎとなっている列状の金属パターン非形成領域Z’を形成する。この結果、絶縁基材11の表側にパターニングされた銅箔層12a、銅めっき層14aは各発光装置ダイシング後に金属パターン非形成領域Z’を挟んだ回路として利用される金属パターンとなる。図示しないが、裏面においても電極形成のためのパターニングが同時に行われる。このとき、一点鎖線内部の半導体素子搭載用領域の各単位領域Rにおいて、2つのフィルドビア15にそれぞれ接続された2つの回路パターンが形成される。また、一点鎖線外部の半導体素子非搭載領域のX方向辺、Y方向辺において、位置補正マーク16X、16Y’が等間隔で形成される。この場合、位置補正マーク16Xは半導体素子搭載用領域の各単位領域RのX方向境界を示す目印である。しかし、位置補正マーク16Y’は図3の金属パターン非形成領域Zを変形つまり拡大させた金属パターン非形成領域Z’によって形成している。従って、位置補正マーク16Xと最端の位置補正マーク16Y’との中間位置及び位置補正マーク16Y’間の中間位置が半導体素子搭載用領域の各単位領域RのY方向境界を示す目印である。従って、これらの位置が後述のダイシングラインの位置を示す。但し、金属パターン非形成領域Z’はできるだけ小さくする。他方、図12には図示しないが、図3の場合と同様に、絶縁基材11の裏側にも、パターニングされた銅箔層12b、銅めっき層14bもフィルドビア15に接続された回路パターンとしての金属パターンを形成する。
【0029】
図13、図14は本発明の実施の形態に係る上部集合基板の製造方法を説明する図である。尚、図13、図14においても、一点鎖線内部は半導体素子を搭載する領域であってたとえばLED用発光素子搭載用領域であり、一点鎖線外部も半導体素子を搭載しない領域たとえばLED用発光素子非搭載領域である。
【0030】
図13を参照すると、図4の場合と同様に、エポキシ樹脂等よりなる絶縁基材21の裏面に接着シート22を貼り付ける。
【0031】
次に、図14を参照すると、絶縁基材21及び接着シート22を一体としてキャビティ穴23、24X、24Yを開孔する。この場合、図5の場合と同様に、各キャビティ穴23は半導体素子搭載用領域の1つの単位領域Rに対して設けられた半導体素子収容用キャビティ穴(貫通孔)であり、他方、各キャビティ穴24Xは半導体素子非搭載領域に対して設けられた位置補正マーク用キャビティ穴(補助貫通孔)であって、図12の位置補正マーク16Xに対応する。これに対し、キャビティ穴24Y’は図12の位置補正マーク16Y’(Z’)に対応し、X方向に列状に並ぶ半導体素子収容用キャビティ穴23の最端と隣り合うように同一列上に並んで位置する。
【0032】
図15〜図17は比較例の図12の下部集合基板に図14の上部集合基板を貼り付けた以後の半導体装置用集合基板の製造方法を説明する図である。尚、図15〜図17における一点鎖線内部もたとえばLED用発光素子搭載用領域、一点鎖線外部も半導体素子非搭載領域である。
【0033】
図15を参照すると、図12の下部集合基板上に図14の上部集合基板をその接着シート22によって貼り合わせて加熱プレスすると、接着シート22から矢印で示すごとくガスが抜ける。このとき、補助貫通孔と隣接するキャビティ孔が金属パターン非形成領域によって繋がっていることで補助貫通孔からもガスが抜けるため、一点鎖線周辺下領域においても図6の空洞31の発生を抑制することが出来る。また、補助貫通孔は金属パターンと金属パターン非形成領域の境界線が視認できるように金属パターン非形成領域の端部を露出させているためガス抜きとして利用する以外の部分においては段差部分の凹みを覆っていないため空洞を発生させない。この結果、下部集合基板と上部集合基板との貼り合わせ強度が低下する。図15において補助貫通孔はキャビティ穴23と同一列状に並んでいるが、本発明はこれに限らず、列の最端のキャビティ穴23と補助貫通孔それぞれにおいて絶縁基板上で途切れることなく連続した金属パターン非形成領域の少なくとも一部を露出するように設けられていれば良い。ただし、同一列状に並ぶことがガスの抜け道が直線的となりガス抜けが容易となるため好ましい。
【0034】
次に、図16を参照すると、図7の場合と同様に、各金属パターン(12a、14a)上にニッケル(Ni)めっき層32及び銀(Ag)めっき層33を電解めっき法によって形成する。
【0035】
最後に、図17を参照すると、図8の場合と同様に、各銀めっき層33上にLED素子(チップ)34を搭載する。次いで、LED素子34のp側電極、n側電極を回路パターンとしての2つの金属パターン(この場合、銀めっき層33)に図示しないボンディングワイヤで接続する。次いで、封止樹脂層35をキャビティ穴23に注入して封止する。この封止樹脂層35には、必要に応じて蛍光体を含有させる。次いで、位置補正マーク用キャビティ穴24X、24Yから見た位置補正マーク16X、16Y’で定義されるダイシングラインDLX、DLYに沿ってダイシングを行い、隣接するキャビティ穴23間および隣接するキャビティ穴23とキャビティ穴24X、キャビティ穴23とキャビティ穴24Yとの間が切断され、LED用発光装置を個別的に得ることができる。
尚、ダイシングラインDLXは位置補正マーク16Xによって直接定義されるが、ダイシングラインDLYは位置補正マーク16Xと最端の位置補正マーク16Y’との中間位置及び位置補正マーク16Y’間の中間位置によって定義される。
【0036】
上述の本発明の実施の形態においては、図15の(B)に示すごとく、金属パターン(12a、14a)の膜厚がたとえば30μmより大きくとも、半導体素子搭載用領域・半導体素子非搭載領域の境界付近において図6に示す空洞31が発生しない。この結果、ニッケルめっき層32及び銀めっき層33を無電解めっき法により成長させる際に、めっき液残査によるめっきの異常成長はない。従って、図18に示すように、接着シート22を剥がすと、半導体素子搭載用領域・半導体素子非搭載領域の境界付近の接着シート22には凹みが観察されず(図18の(A))、他方、半導体素子搭載用領域・半導体素子非搭載領域の境界付近の金属パターンにめっき液残査が観察されない(図18の(B))。この結果、半導体素子搭載用領域・半導体素子非搭載領域の境界付近の金属パターンが電気的に短絡し、最端の単位領域Rにおける金属パターンが電気的に短絡する可能性もない。他方、図17に示すごとく、封止樹脂層35をキャビティ穴23に注入する際に、封止樹脂層35が入り込む空洞はないので、封止樹脂層35の液面高さが不安定とならず、熱硬化中に気泡を発生して封止樹脂層35内に気泡が残ることもない。
【0037】
上述の本発明の実施の形態においては、比較例に比較して製造工程数の増加はなく、しかも、最端の単位領域における金属パターンの電気的短絡を防止できる分、歩留りが上昇して製造コストを低減できる。
【符号の説明】
【0038】
11:絶縁基板
12a、12b:銅箔層
13:貫通孔
14a、14b:銅めっき層
15:フィルドビア
16X、16Y、16Y’:位置補正マーク
Z、Z’:金属パターン非形成領域
21:絶縁基板
22:接着シート
23:キャビティ穴(貫通孔)
24X、24Y、24Y’:位置補正マーク用キャビティ穴(補助貫通孔)
31:空洞
32:ニッケルめっき層
33:銀めっき層
34:LED素子
35:封止樹脂層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
列状に並ぶ複数の単位領域よりなる半導体素子搭載用領域及び前記半導体素子搭載用領域を囲む半導体素子非搭載領域を有し、絶縁基板と前記絶縁基板上の一部に形成された金属パターンからなる下部集合基板と、
前記下部集合基板上に接着層を介して貼り付けられ、前記半導体素子搭載用領域の各前記単位領域に対応した半導体素子収容用貫通孔及び前記半導体素子非搭載領域に対応した補助貫通孔を有する上部集合基板と
を具備し、
前記補助貫通孔と最端の前記半導体素子収容用貫通孔は前記下部集合基板の金属パターン非形成領域上に少なくとも一部が重なり、前記補助貫通孔内と最端の前記半導体素子収容用貫通孔内に露出する前記金属パターン非形成領域は前記絶縁基板上で連続していることを特徴とする半導体装置用集合基板。
【請求項2】
さらに、前記半導体素子収容用貫通孔及び前記補助貫通孔の内部に露出した金属パターン上に金属めっき層を有する請求項1に記載の半導体装置用集合基板。
【請求項3】
前記補助貫通孔は列状に配置された複数の半導体素子収容用貫通孔の同一列上の端部に並んで配置される請求項1ないし2のいずれかに記載の半導体装置用集合基板。
【請求項4】
前記補助貫通孔は前記金属パターン非形成領域の端部に重なる請求項1から3のいずれかに記載の半導体装置用集合基板。
【請求項5】
列状に並ぶ複数の単位領域よりなる半導体素子搭載用領域及び前記半導体素子搭載用領域を囲む半導体素子非搭載領域を有し、絶縁基板と前記絶縁基板上の一部に形成された金属パターンからなる下部集合基板を準備する工程と、
前記半導体素子搭載用領域の各前記単位領域に対応した半導体素子収容用貫通孔及び前記半導体素子非搭載領域に対応した補助貫通孔を有する上部集合基板を準備する工程と、
前記補助貫通孔と最端の前記半導体素子収容用貫通孔は前記下部集合基板の金属パターン非形成領域上に少なくとも一部が重なり、前記補助貫通孔内と最端の前記半導体素子収容用貫通孔内に露出する前記金属パターン非形成領域は前記絶縁基板上で連続するように重ね貼り合わせる工程と
を具備する半導体装置用集合基板の製造方法。
【請求項6】
前記上部集合基板を前記下部集合基板に貼り合わせる工程の後、前記補助貫通孔と前記半導体素子収容用貫通孔の内部に露出した金属パターン上に電解めっき法により金属めっき層を形成する工程
をさらに具備する請求項5に記載の半導体装置用集合基板の製造方法。
【請求項7】
列状に並ぶ複数の単位領域よりなる半導体素子搭載用領域及び前記半導体素子搭載用領域を囲む半導体素子非搭載領域を有し、絶縁基板と前記絶縁基板上の一部に形成された金属パターンからなる下部集合基板を準備する工程と、
前記半導体素子搭載用領域の各前記単位領域に対応した半導体素子収容用貫通孔及び前記半導体素子非搭載領域に対応した補助貫通孔を有する上部集合基板を準備する工程と、
前記補助貫通孔と最端の前記半導体素子収容用貫通孔は前記下部集合基板の金属パターン非形成領域上に少なくとも一部が重なり、前記補助貫通孔内と最端の前記半導体素子収容用貫通孔内に露出する前記金属パターン非形成領域は前記絶縁基板上で連続するように重ね貼り合わせる工程と、
前記半導体素子収容用貫通孔に露出される前記金属パターン上に半導体素子を搭載する工程と、
隣接する前記半導体素子収容用貫通孔間及び隣接する前記半導体素子収容用貫通孔と前記補助貫通孔との間を切断する工程と
を具備する半導体装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図9】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−59922(P2012−59922A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201807(P2010−201807)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】