説明

半導体集積回路装置

【課題】軽負荷検出レベル、あるいはスイッチング素子におけるスイッチング停止期間を容易に変更し、軽負荷時における電源変換効率を向上させる。
【解決手段】フィードバック端子FBの電圧レベルVFBが軽負荷レベルとなると軽負荷検出コンパレータOP2はトランジスタQ5をオフし、電流I1が抵抗R1から補われる。抵抗R1の電圧降下は「電流I1×抵抗R1」分大きくなり、電圧レベルVFBは「抵抗R2×電流I2−抵抗R2×電流I1」となる。抵抗R1によって増加した電圧降下量「抵抗R1×電流I1」がスイッチング用のトランジスタのスイッチングオフ期間を調整するヒステリシス電圧となる。駆動信号コントローラ10の調整信号端子adjに接続される抵抗5の抵抗値を小さくするとトランジスタQ3に流れる電流I1が大きくなり、ヒステリシス電圧が大きくなりトランジスタのスイッチングオフ期間を長くできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置における変換効率の向上化技術に関し、特に、AC/DCコンバータにおける軽負荷時のスイッチング損失の低減に有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータやサーバなどの電子機器に用いられる電源装置においては、近年、省エネ化が重要な課題となってきている。たとえば、ENERGY STAR4.0や80pluseといった省電力基準の規格により、特に、軽負荷(たとえば、最大負荷の20%)で規定されている効率を達成させるべく電源メーカは様々な工夫とコストを費やしている。
【0003】
この種の電源装置としては、例えば、フライバック型AC/DCコンバータが広く知られている。フライバック型AC/DCコンバータには、駆動信号コントローラが設けられている。この駆動信号コントローラは、例えば、1つの半導体集積回路装置からなり、トランスを駆動するスイッチング素子(MOSFET:Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)のオンデュティ(On Duty)を制御する。
【0004】
駆動信号コントローラは、2次側出力電圧の電圧レベルを監視するエラーアンプからの出力信号に基づいて、2次側の出力電圧変化情報を一次側に伝えるフォトカプラから出力されるフィードバック信号が入力される。
【0005】
駆動信号コントローラは、フォトカプラから出力されたフィードバック信号に基づいて、2次側出力電圧が一定になるようにスイッチ素子のオンデュティを制御する。2次側の負荷電力が大きくなり、2次側出力の電圧レベルが低下すると、エラーアンプ、およびフォトカプラを介して2次側出力の電圧レベルが低下したことを示すフィードバック信号が入力される。
【0006】
これにより、駆動信号コントローラは、スイッチング素子の駆動(オン)期間が長くなるようにオンデュティを制御したPWM(Pulse Width Modulation)信号を出力する。その結果、トランスに蓄えられるエネルギが大きくなり、2次側出力の電圧レベルが上昇する。
【0007】
逆に、負荷電力が小さくなると、2次側出力の電圧レベルが上昇する。この場合、エラーアンプ、およびフォトカプラを介して2次側出力の電圧レベルが上昇したことを示すフィードバック信号が入力される。
【0008】
これにより、駆動信号コントローラは、スイッチング素子の駆動(オン)期間が短くなるようにオンデュティを制御したPWM(Pulse Width Modulation)信号を出力する。その結果、トランスに蓄えられるエネルギが小さくなり、2次側出力の電圧レベルが下降する。
【0009】
なお、この種のスイッチング電源における電力効率化技術しては、軽負荷になるに連れて、1次巻線に断続的に直流電圧を供給するスイッチング素子のオフ期間が長くなるように制御することにより、軽負荷時におけるスイッチング素子の電力効率を改善するもの(例えば、特許文献1参照)や、スイッチ素子のオンオフにより生ずる電流の検出器の出力に、検出器の出力と所定の電圧との差からなる電流指令値の下限より低い電圧を印加するオフセット回路を備え、軽負荷及び無負荷時に低損失とするもの(特許文献2参照)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−219639号公報
【特許文献2】特開2004−357417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、上記のようなAC/DCコンバータにおける2次側出力電圧の制御技術では、次のような問題点があることが本発明者により見い出された。
【0012】
電源の損失には大きく分けて2つの損失がある。1つは、導通損と呼ばれるもので、スイッチング素子(MOSFET)のオン抵抗などのインピーダンスのあるところに電流が流れた際に生じる損失である。
【0013】
もう1つは、いわゆる、スイッチング損失と呼ばれる、スイッチング素子(MOSFET)のターンオン/ターンオフ時のゲート駆動電流やドレイン電圧とドレイン電流の変化に伴う損失である。
【0014】
導通損は、各部品のインピーダンスに依存するので、許容される損失に見合う性能の部品選択をするより他はない。一方、スイッチング損失は、スイッチングを停止させる期間を長く設けるほど、要するに単位時間当たりのスイッチング回数が少ないほど損失が低くなる。
【0015】
導通損は部品のインピーダンスに依存するので、各部品に電流が多く流れる重負荷で損失が多くなる。一方、スイッチング損失は単位時間当たりのスイッチング回数に依存するので、負荷条件に依存せずに一定の損失となる。
【0016】
そのため、軽負荷時では、全損失内でのスイッチング損失の割合が多くなり、重負荷時では導通損の割合が大きくなることが一般的に知られている。よって、AC/DCコンバータにおける高効率化を実現させるためには、スイッチング損失を低減させる必要がある。
【0017】
スイッチング損失を低減させるために、駆動信号コントローラは、軽負荷の検出を行い、軽負荷が検出されると、スイッチング素子を駆動するパルス信号を出力せず、スイッチング素子のスイッチングを停止させる制御を行っている。
【0018】
しかしながら、軽負荷の検出レベルは、駆動信号コントローラ内において予め設定されているので、簡単に軽負荷の検出レベルを変更することができないという問題がある。また、軽負荷の検出時において、スイッチング素子の駆動を停止させる期間も駆動信号コントローラに依存しており、この場合も、簡単にスイッチング素子の駆動停止期間を変更することができないという問題がある。
【0019】
これにより、電源装置に接続される負荷の大小などの仕様に応じた最適な軽負荷の検出レベルの設定やスイッチング素子の駆動停止期間の設定などを行うことが困難であり、電源変換効率を低下させてしまうことなる。
【0020】
また、負荷の大小などに応じて、軽負荷の検出レベルやスイッチング素子の駆動停止期間の設定などを変更する場合には、仕様の異なる電源装置毎にトランスのインダクタ値を調整などの様々な電源装置の設計変更が必要となってしまい、非常に多くの工数、コスト、および設計期間などがかかってしまう。
【0021】
本発明の目的は、軽負荷の検出レベル、あるいはスイッチング素子におけるスイッチング停止期間を容易に変更し、軽負荷時における電源変換効率を向上させることのできる技術を提供することにある。
【0022】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴については、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0024】
すなわち、前述の目的を達成するために、交流の入力電源から直流の出力電源を生成する電源装置に設けられた半導体集積回路装置に出力端子を設け、その出力端子を介して流れる電流を制御することにより、軽負荷を検出する軽負荷検出レベル、あるいは軽負荷時のスイッチング素子のスイッチング停止期間を容易に変更することのできる仕組みを実現する。
【0025】
一実施の形態によれば、半導体集積回路装置は、交流の入力電源から直流の出力電源を生成する電源装置に設けられており、該半導体集積回路装置は、交流の入力電源から直流の出力電源を生成する電源装置に設けられたトランスをスイッチングするスイッチング素子の駆動制御を行うスイッチング制御回路と、電源装置に接続される負荷が軽負荷となったことを検出し、スイッチング素子のスイッチングを停止させるスイッチング停止制御回路とを有する。
【0026】
また、スイッチング停止制御回路は、調整信号の電流レベルに応じて可変される第1の基準電圧に基づいて、電源装置が軽負荷になったか否かを判定する。
【0027】
さらに、本願のその他の発明の概要を簡単に示す。
【0028】
他の実施の形態によれば、スイッチング停止制御回路は、電源装置が軽負荷になった際に、調整信号の電流レベルに応じて可変される第2の基準電圧に基づいて、スイッチング素子のスイッチング停止の期間を可変させる。
【発明の効果】
【0029】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0030】
(1)電源装置における設計を容易にすることができる。
【0031】
(2)また、軽負荷時における電力変換効率を向上させることができる。
【0032】
(3)軽負荷時におけるスイッチングロスを低減し、消費電力を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態1による電源装置の一例を示す説明図である。
【図2】図1の電源装置に設けられた駆動信号コントローラの一例を示す説明図である。
【図3】図2の駆動信号コントローラにおける各部の信号タイミングを示すタイミングチャートである。
【図4】図2の駆動信号コントローラに設けられた軽負荷検出コンパレータにおけるしきい値電圧の設定例を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態2による電力変換装置に設けられた駆動信号コントローラの一例を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態3による電源装置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0035】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による電源装置の一例を示す説明図、図2は、図1の電源装置に設けられた駆動信号コントローラの一例を示す説明図、図3は、図2の駆動信号コントローラにおける各部の信号タイミングを示すタイミングチャート、図4は、図2の駆動信号コントローラに設けられた軽負荷検出コンパレータにおけるしきい値電圧の設定例を示す説明図である。
【0036】
〈実施の形態の概要〉
本実施の形態の第1の概要は、交流の入力電源から直流の出力電源を生成する電源装置(電源装置1)に設けられた半導体集積回路装置(駆動信号コントローラ10)からなる。
【0037】
半導体集積回路装置は、トランスをスイッチングするスイッチング素子(トランジスタ11)の駆動制御を行うスイッチング制御回路(PWM制御回路10a)と、電源装置に接続される負荷が軽負荷となったことを検出し、スイッチング素子のスイッチングを停止させるスイッチング停止制御回路(スイッチング停止制御回路10b)とを有する。
【0038】
また、スイッチング停止制御回路は、調整信号の電流レベルに応じて可変される第1の基準電圧(軽負荷検出レベル)に基づいて、電源装置が軽負荷になったか否かを判定する。
【0039】
さらに、本実施の形態の第1の概要は、交流の入力電源から直流の出力電源を生成する電源装置(電源装置1)に設けられた半導体集積回路装置(駆動信号コントローラ10)からなり、交流の入力電源から直流の出力電源を生成する電源装置(電源装置1)に設けられたトランスをスイッチングするスイッチング素子(トランジスタ11)の駆動制御を行うスイッチング制御回路(PWM制御回路10a)と、電源装置に接続される負荷が軽負荷となったことを検出し、スイッチング素子のスイッチングを停止させるスイッチング停止制御回路(スイッチング停止制御回路10b)とを有する。
【0040】
そして、スイッチング停止制御回路は、電源装置が軽負荷になった際に、調整信号の電流レベルに応じて可変される第2の基準電圧に基づいて、スイッチング素子のスイッチング停止の期間を可変させる。
【0041】
以下、上記した概要に基づいて、実施の形態を詳細に説明する。
【0042】
〈電源装置の構成〉
本実施の形態1において、電源装置1は、例えば、パーソナルコンピュータなどに電源電圧を供給する電源装置であり、フライバック方式のAC/DCコンバータからなる。電源装置1は、図1に示すように、全波整流回路2、コンデンサ3,4、抵抗5〜9、駆動信号コントローラ10、トランジスタ11、ダイオード12、エラーアンプ13、フォトカプラ14、およびトランス15から構成されている。
【0043】
全波整流回路2は、たとえば、4個のダイオードを用いたブリッジ回路によって構成されており、2つの入力部に商用電源などの交流電源ACが入力されるようにそれぞれ接続されている。入力された交流電源ACは、全波整流回路2によって全波整流される。
【0044】
全波整流回路2の出力側の一方の端子には、コンデンサ3の一方の接続部、およびトランス15の1次巻き線の一方の端部がそれぞれ接続されている。コンデンサ3の他方の接続部には、全波整流回路2の他方の接続部(基準電位VSS)が接続されている。
【0045】
また、コンデンサ3の他方の接続部には、後述する基準電圧設定用の抵抗5の一方の接続部が接続されており、該抵抗5の他方の接続部には、駆動信号コントローラ10の調整信号端子adjが接続されている。コンデンサ3は、例えば、電解コンデンサからなり、全波整流回路2によって全波整流された電圧信号を平滑化する。
【0046】
トランス15の1次巻き線の他方の端部には、トランジスタ11の一方の接続部が接続されており、該トランジスタ11の他方の接続部には、駆動信号コントローラ10のモニタ電圧端子CS、および抵抗6の一方の接続部がそれぞれ接続されている。抵抗6の他方の接続部には、基準電位VSSが接続されている。
【0047】
トランジスタ11は、例えば、NチャネルMOS−FET(Field Effect Transistor)などからなる。トランジスタ11は、駆動信号コントローラ10の信号端子GDから出力される駆動信号に基づいてスイッチングを行い、トランス15の1次巻き線を駆動する。
【0048】
また、フォトカプラ14を構成するフォトトランジスタの一方の接続部には、駆動信号コントローラ10のフィードバック端子FBが接続されており、フォトトランジスタの他方の接続部には、基準電位VSSが接続されている。
【0049】
トランス15の2次巻き線の一方の端部には、ダイオード12のアノードが接続されており、該ダイオード12のカソードには、コンデンサ4の一方の接続部、抵抗7の一方の接続部、抵抗8の一方の接続部、ならびにフォトカプラ14を構成するフォトダイオードのカソードがそれぞれ接続されている。
【0050】
ダイオード12は、トランス15の2次側に伝達されたエネルギを整流する。コンデンサ4は、例えば、電解コンデンサなどからなり、ダイオード12によって整流された電源電圧を平滑化する。平滑化された電源は、電源装置1の出力電圧Voutとして出力される。
【0051】
フォトカプラ14を構成するフォトトランジスタのアノード、および抵抗7の他方の接続部には、エラーアンプ13の出力部が接続されている。このエラーアンプ13の負(−)側入力端子には、抵抗8の他方の接続部が接続されており、該エラーアンプ13の正(+)側入力端子には、基準電圧Vrefが入力されている。
【0052】
エラーアンプ13の負(−)側入力端子と抵抗8との接続部には、抵抗9の一方の接続部が接続されている。また、コンデンサ4の一方の接続部、および抵抗9の他方の接続部には、トランス15の2次巻き線の他方の端部(基準電位GND)が接続されている。
【0053】
駆動信号コントローラ10は、例えば、1つの半導体集積回路装置からなり、トランジスタ11を駆動する駆動信号を生成し、信号端子GDから出力する。信号端子GDから出力される駆動信号はPWM信号であり、フィードバック端子FBに入力されるフィードバック信号に基づいてオンデュティ(On Duty)を長くしたり、短くしたりしてトランジスタ11のオン時間を制御する。
【0054】
〈駆動信号コントローラの構成〉
駆動信号コントローラ10は、図2に示すように、PWM制御回路10aとスイッチング停止期間制御回路10bとから構成されている。PWM制御回路10aは、トランジスタ11を駆動する駆動信号(PWM信号)を生成し、信号端子GDから出力する。
【0055】
このPWM制御回路10aは、フィードバック端子FBを介して入力されるフィードバック信号に基づいて、トランジスタ11のオン時間を制御する。スイッチング停止期間制御回路10bは、電源装置1の負荷が軽負荷となったことを検出し、トランジスタ11のスイッチング停止期間を設定する。
【0056】
電源装置の軽負荷とは、例えば、電源装置1の最大負荷電力(電流)に対して、25%以下程度の負荷電力となった状態を軽負荷という。しかし、この軽負荷の状態は、電源装置の仕様や接続される負荷などによっても異なる。
【0057】
また、軽負荷の検出レベル、およびトランジスタ11のスイッチング停止期間は、駆動信号コントローラ10に外部接続された抵抗5によって任意に設定される。
【0058】
PWM制御回路10aは、フリップフロップFF1、論理和回路OR1、およびインバータIv1から構成されている。スイッチング停止期間制御回路10bは、バッファB1、トランジスタQ1〜Q5、コンパレータOP1、軽負荷検出コンパレータOP2、および抵抗R1,R2から構成されている。トランジスタQ1〜Q5は、例えば、PチャネルMOSからなる。
【0059】
フリップフロップFF1のセット端子Sには、内部クロック信号CLKが入力されるように接続されており、該フリップフロップFF1のリセット端子Rには、論理和回路OR1の出力部が接続されている。
【0060】
そして、フリップフロップFF1の出力端子Qには、信号端子GDが接続されており、該信号端子GDから駆動信号が出力される。論理和回路OR1の一方の入力部には、インバータIv1の出力部が接続されており、該論理和回路OR1の他方の入力部には、コンパレータOP1の出力部が接続されている。
【0061】
コンパレータOP1の正(+)側入力端子には、レベルシフト電源Vls1を介してモニタ電圧端子CSが接続されている。モニタ電圧端子CSには、トランジスタ11がオンすることで流れたソース電流が抵抗6によって電圧に変換された信号が入力される。
【0062】
また、スイッチング停止期間制御回路10bにおいて、バッファB1の正(+)側入力端子には、基準電圧Vref1が入力されるように接続されている。トランジスタQ2〜Q4の一方の接続部、および抵抗R1の一方の接続部には、内部電源電圧VDDがそれぞれ供給されており、トランジスタQ2〜Q4によってカレントミラー回路が構成されている。
【0063】
トランジスタQ2の他方の接続部には、トランジスタQ2〜Q4のゲート、およびトランジスタQ1の一方の接続部がそれぞれ接続されている。トランジスタQ1の他方の接続部には、バッファB1の負(−)側入力端子、および調整信号端子adjがそれぞれ接続されている。
【0064】
トランジスタQ3の他方の接続部には、トランジスタQ5の一方の接続部が接続されており、該トランジスタQ5のゲートには、軽負荷検出コンパレータOP2の出力部、ならびにインバータIv1の入力部がそれぞれ接続されている。
【0065】
軽負荷検出コンパレータOP2の負(−)側入力端子には、コンパレータOP1の負(−)側入力端子、抵抗R1の他方の接続部、ならびにフィードバック端子FBがそれぞれ接続されている。
【0066】
軽負荷検出コンパレータOP2は、正(+)側入力端子に入力される基準電圧と負(−)側入力端子に入力されるフィードバック端子FBに印加される電圧レベルVFBとを比較し、基準電圧よりも電圧レベルVFBが低くなると、軽負荷であると判断し、軽負荷検出信号を出力する。
【0067】
トランジスタQ4の他方の接続部には、軽負荷検出コンパレータOP2の正(+)側入力端子、および抵抗R2の一方の接続部がそれぞれ接続されている。抵抗R2の他方の接続部には、基準電位VSSが接続されている。
【0068】
〈駆動信号コントローラの動作〉
次に、軽負荷時における駆動信号コントローラ10の動作の一例について説明する。
【0069】
図3は、軽負荷時における駆動信号コントローラ10の各部の信号タイミングを示すタイミングチャートである。図3においては、上方から下方にかけて、内部動作クロック信号CLK、信号端子GDから出力される駆動信号、コンパレータOP1に入力される電圧レベルVFBとモニタ電圧端子CSに入力された電圧にレベルシフト電源Vls1の電圧を合わせた電圧、モニタ電圧端子CSに入力された電圧VCS、トランジスタQ5のゲート電圧、およびトランス15の2次側出力電圧Voutの信号タイミングをそれぞれ示している。
【0070】
前述したように、駆動信号コントローラ10には、軽負荷検出レベルを設定する調整信号端子adjが設けられている。この調整信号端子adjは、定電圧出力端子となっており、対基準電位VSSに抵抗5を接続することで、駆動信号コントローラ10内部に定電流を発生させる。この定電流は、軽負荷検出レベルを決定するI2(図2、トランジスタQ4に流れる電流)と軽負荷を検出するとスイッチングをオフするヒステリシス電流I1(図2、トランジスタQ3に流れる電流)である。
【0071】
調整信号端子adjを設けることによって、軽負荷を検出する軽負荷検出コンパレータOP2の基準電圧を容易に設定変更することが可能となる。
【0072】
電流I2は、調整信号端子adjに接続された抵抗5によって決定され、この抵抗5の抵抗値を変更することにより、軽負荷を検出する軽負荷検出コンパレータOP2の基準電圧である「I2×R2」を容易に設定変更することができる。
【0073】
エラーアンプ13は、正(+)側入力端子と負(−)側入力端子とが同電位になるように動作し、例えば、負(−)側入力端子の電位が正(+)側入力端子の電位に対して高い場合、エラーアンプ13の出力は、電流を多く引き抜く動作を行い、逆に、負(−)側入力端子の電位が正(+)側入力端子の電位よりも低いと、該エラーアンプ13の出力は、電流を引き抜かなくなる。
【0074】
負荷電力が小さくなると、2次側出力電圧レベルが上昇する。それによって、エラーアンプ13の負(−)側入力端子の電圧レベルが上昇し、フォトカプラ14のフォトダイオードをオンさせる。そして、フォトカプラ14のフォトトランジスタが動作することにより、フィードバック端子FBに印加される電圧レベルVFBが下降する。
【0075】
フィードバック端子FBの電圧レベルVFBが「抵抗R2の抵抗値×電流I2」以下となると、軽負荷検出コンパレータOP2は、トランジスタQ5をオフさせることにより、フィードバック端子FBの電圧レベルVFBを低下させ、再び電圧レベルVFBが「抵抗R2の抵抗値×電流I2」よりも高くなるまでの期間、信号端子GDから出力される駆動信号を停止させる。
【0076】
これにより、トランジスタ11は停止状態となり、トランス15に蓄えられるエネルギが小さくなり、2次側の出力電圧Voutが下降する。
【0077】
フォトカプラ14のフォトトランジスタに流れる電流は、トランジスタQ5がオフする直前まで、トランジスタQ5を介して流れる電流(電流I1と抵抗R1を流れる電流)となる。
【0078】
それが、トランジスタQ5がオフすると、電流I1分は抵抗R1によって供給することとなり、フィードバック端子FBの電圧レベルVFBは、トランジスタQ5がオンしていた時の電圧値に対して、「抵抗R1の抵抗値×電流I1」分低下させることができる。
【0079】
この「抵抗R1の抵抗値×電流I1」の電圧がヒステリシス電圧となり、抵抗5の抵抗値によって任意に設定することができる。電流I1を大きくすることで、ヒステリシス電圧を大きくすることが可能となり、信号端子GDから出力される駆動信号が停止する期間、つまりフィードバック端子FBの電圧レベルVFB<レベルシフト電圧Vls1の期間を大きくとることができ、軽負荷時における電源装置1の効率改善を行うことができる。
【0080】
〈スイッチング停止期間制御回路10bの作用〉
次に、駆動信号コントローラ10に設けられたスイッチング停止期間制御回路10bの作用について詳しく説明する。
【0081】
駆動信号コントローラ10の調整信号端子adjには、バッファB1によって基準電圧Vref1が出力される。この調整信号端子adjには抵抗5が接続されており、トランジスタQ1のドレイン電流が略一定の電流となる。
【0082】
この電流は、トランジスタQ2とトランジスタQ3、およびトランジスタQ4によって構成されたカレントミラー回路によってミラー電流が生成される。そのため、トランジスタQ2に流れる電流、トランジスタQ3に流れる電流I1、トランジスタQ4に流れる電流I2が比例関係となる。
【0083】
先に述べたように、電源装置1は、2次側の出力電圧Voutが略一定になるように、エラーアンプ13によって出力電圧Voutの誤差電圧を検出し、この検出結果に基づいてフォトカプラ14をオンさせることによって比例関係の電流が、フィードバック端子FBに印加される電圧レベルVFBを制御することにより、信号端子GDから出力される駆動信号のパルス幅を調整し、出力電圧Voutが略一定になるように制御している。
【0084】
負荷が変化しても、出力電圧Voutが略一定になるように、フォトカプラ14に流れる電流を調整して制御しており、負荷が一定であればフォトカプラ14に流れる電流は略一定である。
【0085】
このため、フィードバック端子FBの電圧レベルVFBが軽負荷レベルとなった時、つまり、電圧レベルVFBがトランジスタQ4に流れる電流I2が抵抗R2を流れることによって発生する電圧以下となると、軽負荷検出コンパレータOP2は、トランジスタQ5をオフさせる。
【0086】
トランジスタQ5がオフとなると、トランジスタQ3を流れる電流I1がフィードバック端子FBに供給されなくなる。一方、トランジスタQ5がオフとなっても、フォトカプラ14は出力電圧Voutが略一定になるために必要な電流を流すため、トランジスタQ5がオフすることによって流れなくなった電流I1は抵抗R1から補われる。
【0087】
よって、抵抗R1における電圧降下は、「電流I1×抵抗R1の抵抗値」分大きくなり、フィードバック端子FBの電圧レベルVFBは、抵抗R1が接続されている電源電圧が略一定であるので、「抵抗R2の抵抗値×電流I2−抵抗R2の抵抗値×電流I1」となる。
【0088】
この抵抗R1によって増加した電圧降下量「抵抗R1の抵抗値×電流I1」がトランジスタ11のスイッチングオフ期間を調整するヒステリシス電圧となる。例えば、駆動信号コントローラ10の調整信号端子adjに接続される抵抗5の抵抗値を小さくすると、トランジスタQ3に流れる電流I1が大きくなり、抵抗R1における電圧降下は大きくなる。
【0089】
つまり、ヒステリシス電圧が大きくなるので、トランジスタ11のスイッチングオフ期間を長くすることができる。それによって、スイッチング損失を改善することができる。
【0090】
ただし、トランジスタ11のスイッチングオフ期間を長くなることによって、2次側の出力電圧Voutのリップルは大きくなる。軽負荷での2次側の出力電圧Voutのリップル電圧を抑えたい場合は、抵抗5を除去することによって、軽負荷検出コンパレータOP2の軽負荷検出機能を停止させることができる。その結果、軽負荷機能なし状態と同等のリップル電圧まで改善することができる。
【0091】
逆に、調整信号端子adjに接続される抵抗5の抵抗値を大きくすると、トランジスタQ3に流れる電流I1が小さくなり、抵抗R1における電圧降下が小さくなる。よって、ヒステリシス電圧が小さくなるので、トランジスタ11のスイッチングオフ期間が短くなる。トランジスタ11のスイッチングオフ期間が短くなることによって、2次側の出力電圧Voutのリップル電圧を改善させることができる。
【0092】
よって、電源装置1において、スイッチング損失を低減させ、高効率化を優先させたい場合には、抵抗5の抵抗値を小さく設定することにより、実現することができる。上述したように、抵抗5の抵抗値を小さくすることにより、ヒステリシス電圧が大きくなってトランジスタ11のスイッチングオフ期間が長くなるからである。
【0093】
一方、電源装置1において、軽負荷の検出レベルを変更させたい場合には、抵抗5を所望の抵抗値に設定する。抵抗5の抵抗値を変更することよって、トランジスタQ4にて生成されたミラー電流である電流I2が調整され、軽負荷検出コンパレータOP2の基準電圧を変更することができる。
【0094】
軽負荷検出コンパレータOP2の基準電圧は、電流I2が抵抗R2を流れることで発生する電圧降下、つまり、「抵抗R2の抵抗値×電流I1」となる。抵抗5の抵抗値を小さくすることによって電流I2は大きくなり、軽負荷検出レベルが高くなり、逆に、抵抗5の抵抗値を大きくした場合は、電流I2が小さくなり、軽負荷検出レベルが低くなる。
【0095】
これにより、仕様の異なる電源装置であっても、軽負荷レベルを抵抗5の抵抗値の変更のみで容易に決定することができ、電源装置1の設定容易化を実現することができる。
【0096】
〈軽負荷検出レベルを設定するしきい値の設定例〉
図4は、軽負荷検出コンパレータOP2におけるしきい値電圧の設定例を示す説明図である。
【0097】
電源装置1の高効率を重視する場合には、軽負荷検出コンパレータOP2の基準電圧をレベルシフト電源Vls1よりも十分高く(抵抗5の抵抗値を小さく)することによって、軽負荷検出レベルを高く(例えば、電源装置1の最大負荷電力(電流)に対して、25%以下程度)し、トランジスタ11のスイッチング損失を低減させる。
【0098】
また、電源装置1のリップル電圧を抑制したい場合には、軽負荷検出コンパレータOP2の基準電圧をレベルシフト電源Vls1よりも十分低く(抵抗5の抵抗値を大きく)することによって軽負荷検出レベルを低く(例えば、電源装置1の最大負荷電力(電流)に対して、20%以下程度)し、トランジスタ11のスイッチング停止を遅らせる。
【0099】
さらに、電源装置1の高効率とリップル電圧の抑制を両立させたい場合には、軽負荷検出コンパレータOP2の基準電圧をレベルシフト電源Vls1よりも少し高い(抵抗5の抵抗値を小さく)程度とする。
【0100】
これによって、軽負荷検出レベルを高効率重視とリップル電圧抑制との中間レベル(例えば、電源装置1の最大負荷電力(電流)に対して、20%以下程度)とさせる。
【0101】
それにより、本実施の形態1によれば、駆動信号コントローラ10に外付けされた抵抗5の抵抗値を変更するだけで軽負荷検出レベルの変更を短時間で、容易に行うことができる。
【0102】
また、抵抗5の抵抗値を変更するだけで軽負荷時におけるトランジスタ11のスイッチング停止期間の変更を短時間で、容易に行うことができる。
【0103】
上記により、電源装置1の設定を容易化することができ、また、スイッチング損失を低減し、電力変換効率を向上させることができる。
【0104】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2による電力変換装置に設けられた駆動信号コントローラの一例を示す説明図である。
【0105】
〈実施の形態の概要〉
本実施の形態の概要は、交流の入力電源から直流の出力電源を生成する電源装置(電源装置1)に設けられたトランスをスイッチングするスイッチング素子(トランジスタ11)の駆動制御を行うスイッチング制御回路(PWM制御回路10a)と、電源装置に接続される負荷が軽負荷となったことを検出し、スイッチング素子のスイッチングを停止させるスイッチング停止制御回路(スイッチング停止制御回路10b)とを有する半導体集積回路装置からなる。
【0106】
スイッチング停止制御回路は、第1の調整信号の電流レベル(調整信号端子adjに流れる電流)に応じて可変される第1の基準電圧(軽負荷検出レベル)に基づいて、電源装置が軽負荷になったか否かを判定し、電源装置が軽負荷になった際に、第2の調整信号の電流レベル(電源端子VREGに流れる電流)に応じて可変される第2の基準電圧に基づいて、スイッチング素子のスイッチング停止の期間を可変させる。
【0107】
以下、上記した概要に基づいて、実施の形態を詳細に説明する。
【0108】
〈駆動信号コントローラの構成例〉
前記実施の形態1における駆動信号コントローラ10(図2)の構成では、前述したように、電流I1と電流I2とが比例関係になるので、軽負荷検出コンパレータOP2のしきい値電圧とヒステリシス電圧は比例関係を保った設定しかできない。
【0109】
そこで、本実施の形態2では、軽負荷検出レベル設定とヒステリシス電圧の設定を容易に行うことのできる駆動信号コントローラ10について説明する。
【0110】
この場合、駆動信号コントローラ10は、図5に示すように、PWM制御回路10aとスイッチング停止期間制御回路10bとから構成されている。
【0111】
PWM制御回路10aは、フリップフロップFF1、論理和回路OR1、およびインバータIv1から構成されている。これらの接続構成は、前記実施の形態1の図2に示すPWM制御回路10aと同様であるので説明は省略する。
【0112】
また、スイッチング停止期間制御回路10bは、図2に示すPWM制御回路10aから抵抗R1を除いた構成からなり、また、外部端子である電源端子VREGが新たに設けられている。この電源端子VREGは、駆動信号コントローラ10の動作電圧となる電源電圧VDDが供給される。抵抗R1を除いたその他の接続構成については、図2に示すPWM制御回路10aと同様である。
【0113】
さらに、新たに設けられた電源端子VREGとフィードバック端子FBとの間には、新たに設けられた抵抗5aが外部接続されている。これにより、軽負荷検出コンパレータOP2の基準電圧とヒステリシス電圧を別々に独立して設定することが可能となる。
【0114】
軽負荷検出レベル(軽負荷検出コンパレータOP2のしきい値電圧)を設定する際には、抵抗5の抵抗値を変更することにより、フィードバック端子FBに流れる電流値を設定する。
【0115】
〈スイッチング停止期間の設定例〉
また、トランジスタ11のスイッチング停止期間は、抵抗5aの抵抗値を変更することによって任意に設定可能である。軽負荷が検出され、トランジスタQ5がオフするとトランジスタQ3に流れる電流I1が抵抗5aに流れることによって発生する電圧降下となるので、前述したように抵抗5aの抵抗値を調整することによって、ヒステリシス電圧、すなわちトランジスタ11のスイッチング停止期間を決定することができる。
【0116】
それにより、本実施の形態2では、抵抗5、5aの抵抗値を変更するだけで、電源装置1における軽負荷検出レベルの設定、およびヒステリシス電圧の設定(トランジスタ11のスイッチング停止期間)を容易に変更することが可能となる。よって、電源装置1の仕様変更などを、より容易に短時間で行うことができる。
【0117】
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3による電源装置の一例を示す説明図である。
【0118】
前記実施の形態1では、電源装置1がフライバック方式のAC/DCコンバータからなる例について説明したが、本実施の形態3においては、電源装置1が疑似共振型のAC/DCコンバータからなる場合について説明する。
【0119】
〈電源装置の他の構成例〉
電源装置1は、図6に示すように、全波整流回路2、コンデンサ3,4,17、抵抗5〜9,16、駆動信号コントローラ10、トランジスタ11、ダイオード12、エラーアンプ13、フォトカプラ14、およびトランス15aから構成されている。
【0120】
トランス15aは、1次側に主巻き線である第1の1次巻き線、および補助巻き線である第2の1次巻き線を有した構成からなる。第1の1次巻き線の端部には、全波整流回路2の出力部が接続されており、他方の1次巻き線の端部には、トランジスタ11の一方の接続部が接続されている。
【0121】
また、第2の1次巻き線の一方の端部には、抵抗16の一方の接続部が接続されており、該抵抗16の他方の接続部には、駆動信号コントローラ10に設けられた端子ZCDが接続されている。
【0122】
この端子ZDCは、駆動信号コントローラ10に設けられインバータ(図示せず)を介してフリップフロップFF1(図1)のセット端子Sに接続されている。また、第2の1次巻き線の他方の端部は、基準電位VSSが接続されている。
【0123】
さらに、トランジスタ11の両接続部(ソース−ドレイン)にはコンデンサ17が接続されている。その他の接続構成については、図1の電源装置1と同様であるので説明は省略する。
【0124】
また、駆動信号コントローラ10においても、前述したフリップフロップFF1のセット端子Sに接続されたインバータが新たに設けられた以外の接続構成は、前記実施の形態の図2と同様であるので説明は省略する。
【0125】
〈電源装置の動作〉
続いて、疑似共振型のAC/DCコンバータからなる電源装置1の動作について説明する。
【0126】
疑似共振型の電源装置1は、動作クロック信号CLKを用いた固定周波数によるスイッチング動作ではなく、自励発振を利用したスイッチングを行う。この自励発振は、起動のタイミングを生成する。
【0127】
まず、トランジスタ11がオンすると、該トランジスタ11のドレイン電流Idは、略零Vから上昇する。トランジスタ11に流れる電流値は、抵抗6によって電圧に変換され、モニタ電圧端子CSに入力される。
【0128】
トランジスタ11の電流が、フィードバック端子FBの電圧レベルVFBによって決定される電圧FB1に達すると、フリップフロップFF1のリセット端子RにHiレベルの信号が入力され、トランジスタ11はオフとなる。
【0129】
トランジスタ11がオフすると、トランス15aの巻き線電圧は反転し、トランス15aからダイオード12を介して2次側に電流IFが供給される。このとき、第2の1次巻き線における電圧Vsubも反転し。正電圧が印加される。
【0130】
トランス15aから2次側への電流供給終わり、第ODー12の電流が略零となると、トランス15aのインダクタンスとコンデンサ4の共振によって、トランジスタ11の電圧が急速に低下する。
【0131】
このとき、トランス15aの補助巻き線である第2の1次巻き線に発生する電圧Vsubも低下する。駆動信号コントローラ10の端子ZDCに入力される電圧(電圧Vsub)が、端子ZDCに接続されたインバータのしきい値電圧よりも低くなると、フリップフロップFF1のセット端子SにHiレベルの信号が入力され、トランジスタ11が再びターンオンする。
【0132】
それにより、本実施の形態3においても、疑似共振型のAC/DCコンバータからなる電源装置1であってもスイッチング停止期間制御回路10b(図2)を有する駆動信号コントローラ10を適用可能であり、軽負荷検出レベルの設定、あるいはヒステリシス電圧の設定(トランジスタ11のスイッチング停止期間)を容易に変更することができる。
【0133】
また、本実施の形態3では、駆動信号コントローラ10を疑似共振型AC/DCコンバータに設けた構成としたが、AC/DCコンバータは、他の構成であってもよく、例えば、フォーワード型などのAC/DCコンバータであってもよい。
【0134】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明は、電源装置の軽負荷時における変換効率の向上化技術に適している。
【符号の説明】
【0136】
1 電源装置
2 全波整流回路
3 コンデンサ
4 コンデンサ
5 抵抗
5a 抵抗
6 抵抗
7 抵抗
8 抵抗
9 抵抗
10 駆動信号コントローラ
10a PWM制御回路
10b スイッチング停止期間制御回路
11 トランジスタ
12 ダイオード
13 エラーアンプ
14 フォトカプラ
15 トランス
15a トランス
16 抵抗
17 コンデンサ
FF1 フリップフロップ
OR1 論理和回路
Iv1 インバータ
OP1 コンパレータ
OP2 軽負荷検出コンパレータ
B1 バッファ
Q1 トランジスタ
Q2 トランジスタ
Q3 トランジスタ
Q4 トランジスタ
Q5 トランジスタ
R1 抵抗
R2 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流の入力電源から直流の出力電源を生成する電源装置に設けられたトランスをスイッチングするスイッチング素子の駆動制御を行うスイッチング制御回路と、
前記電源装置に接続される負荷が軽負荷となったことを検出し、前記スイッチング素子のスイッチングを停止させるスイッチング停止制御回路とを有し、
前記スイッチング停止制御回路は、
調整信号の電流レベルに応じて可変される第1の基準電圧に基づいて、前記電源装置が軽負荷になったか否かを判定することを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記調整信号の電流が流される調整信号端子を有し、
前記調整信号の電流量は、
前記調整信号端子に外部接続された抵抗の抵抗値によって可変されることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の半導体集積回路装置において、
前記スイッチング停止制御回路は、
前記調整信号の電流レベルと比例関係となる第1の電流を生成する電流生成回路と、
前記第1の電流から前記第1の基準電圧を生成する電圧発生部と、
前記電圧発生部が発生した第1の基準電圧と前記トランスにおける2次側の出力電圧情報を示すフィードバック信号とを比較し、前記第1の基準電圧よりも前記フィードバック信号の電圧レベルが低くなると軽負荷であると判断して軽負荷検出信号を出力し、前記スイッチング制御回路による前記スイッチング素子のスイッチングを停止させる軽負荷検出部とを有することを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項4】
交流の入力電源から直流の出力電源を生成する電源装置に設けられたトランスをスイッチングするスイッチング素子の駆動制御を行うスイッチング制御回路と、
前記電源装置に接続される負荷が軽負荷となったことを検出し、前記スイッチング素子のスイッチングを停止させるスイッチング停止制御回路とを有し、
前記スイッチング停止制御回路は、
前記電源装置が軽負荷になった際に、調整信号の電流レベルに応じて可変される第2の基準電圧に基づいて、前記スイッチング素子のスイッチング停止の期間を可変させることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項5】
請求項4記載の半導体集積回路装置において、
前記調整信号の電流が流される調整信号端子を有し、
前記調整信号の電流量は、
前記調整信号端子に外部接続された抵抗の抵抗値によって可変されることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項6】
請求項4または5記載の半導体集積回路装置において、
前記スイッチング停止制御回路は、
前記調整信号の電流レベルと比例関係となる第2の電流を生成する電流生成回路と、
前記電流生成回路が生成する第2の電流に応じて、2次側の出力電圧情報を示すフィードバック信号の電圧レベルを可変する電圧可変制御部と、
前記トランスの1次側巻き線に流れる電流量を示すモニタ電圧と前記電圧可変制御部が電圧レベルを可変した前記フィードバック信号の電圧レベルとを比較し、前記フィードバック信号の電圧レベルがモニタ電圧よりも低い期間、スイッチング停止信号を出力し、前記スイッチング制御回路による前記スイッチング素子のスイッチングを停止させるスイッチング停止期間検出部を有することを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項7】
交流の入力電源から直流の出力電源を生成する電源装置に設けられたトランスをスイッチングするスイッチング素子の駆動制御を行うスイッチング制御回路と、
前記電源装置に接続される負荷が軽負荷となったことを検出し、前記スイッチング素子のスイッチングを停止させるスイッチング停止制御回路とを有し、
前記スイッチング停止制御回路は、
第1の調整信号の電流レベルに応じて可変される第1の基準電圧に基づいて、前記電源装置が軽負荷になったか否かを判定し、前記電源装置が軽負荷になった際に、第2の調整信号の電流レベルに応じて可変される第2の基準電圧に基づいて、前記スイッチング素子のスイッチング停止の期間を可変させることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項8】
請求項7記載の半導体集積回路装置において、
前記第1の調整信号の電流が流される第1の調整信号端子と、
前記第2の調整信号の電流が流される第2の調整信号端子とを有し、
前記第1、および前記第2の調整信号の電流量は、
前記調整信号端子に外部接続された抵抗の抵抗値によってそれぞれ可変されることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項9】
請求項7または8記載の半導体集積回路装置において、
前記スイッチング停止制御回路は、
前記第1の調整信号の電流レベルと比例関係となる第1の電流を生成する第1の電流生成回路と、
前記第1の電流から前記第1の基準電圧を生成する電圧発生部と、
前記電圧発生部が発生した第1の基準電圧と前記トランスにおける2次側の出力電圧情報を示すフィードバック信号とを比較し、前記第1の基準電圧よりも前記フィードバック信号の電圧レベルが低くなると軽負荷であると判断して軽負荷検出信号を出力し、前記スイッチング制御回路による前記スイッチング素子のスイッチングを停止させる軽負荷検出部と、
前記第2の調整信号の電流レベルと比例関係となる第2の電流を生成する第2の電流生成回路と、
前記第2の電流生成回路が生成する第2の電流に応じて、2次側の出力電圧情報を示すフィードバック信号の電圧レベルを可変する電圧可変制御部と、
前記トランスの1次側巻き線に流れる電流量を示すモニタ電圧と前記電圧可変制御部が電圧レベルを可変した前記フィードバック信号の電圧レベルとを比較し、前記フィードバック信号の電圧レベルがモニタ電圧よりも低い期間、スイッチング停止信号を出力し、前記スイッチング制御回路による前記スイッチング素子のスイッチングを停止させるスイッチング停止期間検出部を有することを特徴とする半導体集積回路装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−99006(P2013−99006A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236575(P2011−236575)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】