説明

半田リフロー運転監視システム、運転監視装置、および半田リフロー条件設定方法

【課題】電波到達距離に制限されることなく、基板毎に目標リフロー条件を実時間で自動設定可能とする。
【解決手段】半田リフロー運転監視システムは、半田リフロー炉11の温度検出を行なう耐熱材で保護された第1のセンサモジュール14と、搬送路12の搬送始点と搬送終点のそれぞれに設置され基板3の通過を検出する第2のセンサモジュール15とを含む複数のセンサノードによりマルチホップ無線通信を行なうセンサネットを構築し、制御装置22が、センサネットにより取得される温度情報と通過情報とに基づき基板の温度プロファイルを生成し、生成された温度プロファイルを評価して、搬送路12の搬送速度、もしくは半田リフロー炉11の温度の設定を変更する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグチップ(RFID:Radio Frequency Identification)と、センサネットとを用いてユビキタス環境を提供する、半田リフロー運転監視システム、運転監視装置、および半田リフロー条件設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に電子部品を実装して半田付けを行なう場合、通常は、電子部品を搭載した基板を半田リフロー炉に通すことで一括して行う。電子部品を半田リフローにより一括して半田付けする半田リフロー装置は、所定の温度で過熱し、熱風やパネルヒータの輻射熱等により基板全体を均一に加熱して半田を再溶融させ、電子部品を半田付けするように構成される。その半田リフロー装置において信頼性の高い半田付けを行なうためには、半田リフロー炉の温度や基板の搬送速度等に関するリフロー条件を最適に設定する必要がある。
【0003】
実装部品の多様化に伴い、半田リフロー条件の設定を能率的に行うために、従来、所定の多数の測定位置に温度測定用熱電対を取り付けた基板を半田リフロー炉へ挿入し、半田リフロー炉を炉運転手段で運転して各測定位置の温度を計測する。当該計測結果をパソコン等に取り込んで基板上の温度プロファイルを画面表示し、その結果を把握することで、基板の各部の温度が所望の温度になるようにリフロー条件を設定するリフロー条件設定方法および装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、基板の温度計測点に熱電対を取り付け、記録媒体として、例えばハードディスクが搭載された温度プロファイルユニット本体に接続し、この温度プロファイルユニット本体ごと半田リフロー炉に通す。計測されたデータは、パソコンに取り込む、あるいは無線で半田リフロー装置の外部に送信されることにより、温度プロファイルを生成し、各種評価が可能な製品も知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−51127号公報(段落0009〜0012、図1)
【非特許文献1】データシート「SlimKIC 2000 Thermal Profiler FEATURES and SPRCIFICATIONS」、KIC Rev.04108
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1によれば、基板に、表面実装部品や挿入部品が混在して実装される状態で一括して半田付けする際の理想的なリフロー条件(目標リフロー条件)の設定を目的に、AI(Artificial Intelligence)機能を持つリフロー条件設定ソフトウェアを必要とし、あるいは、生成される温度プロファイルを画面で確認した熟練者によるリフロー条件の手動による設定操作が必要である。近年は、環境面から鉛を含有しない無鉛半田が用いられることから、リフロー条件の設定は、有鉛半田に比べるとさらに熟練した設定操作が必要である。
【0006】
また、非特許文献1によれば、温度分布により各種評価を行なう管理事務所まで記録媒体を持参する手間を要し、評価結果を半田リフロー装置の運転に実時間(リアルタイム)で反映させることはできない。また、無線を用いて半田リフロー装置の近傍に設置されたパソコン等に送信して評価することはできるが、電波到達距離の制限(たかだか2〜3m)により設置場所が固定され、半田リフロー装置近傍に比較的大規模化な評価設備が必要になることから製造設備としては好ましくない。
【0007】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、電波到達距離に制限されることなく、基板毎に理想的な半田リフロー条件(目標リフロー条件)を実時間で自動設定可能な、半田リフロー運転監視システム、運転監視装置、および半田リフロー条件設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記した課題を解決するために、本発明の半田リフロー運転監視システムは、半田リフロー炉の温度検出を行なう1以上の第1のセンサ(例えば、センサモジュール14)と、搬送路の搬送始点と搬送終点のそれぞれに設置され基板の通過を検出する第2のセンサ(例えば、センサモジュール15)とを含む複数のセンサノードによりマルチホップ無線通信を行なうセンサネットを構築し、制御装置が、センサネットにより取得される温度情報と通過情報とに基づき基板の温度プロファイルを生成し、生成された温度プロファイルを評価して、搬送路の搬送速度、もしくは半田リフロー炉の温度の設定を変更する構成とした。
【0009】
また、本発明のリフロー条件設定方法は、前記した半田リフロー運転監視システムにおいて、第1のセンサからマルチホップ無線通信により温度情報を取得する第1の工程と、第2のセンサからマルチホップ無線通信により取得される基板の通過情報から通過時間を算出し、搬送路の搬送速度から時間情報を判定する第2の工程と、温度情報と時間情報とに基づき温度対時間からなる温度プロファイルを生成する第3の工程と、無線タグチップから取得される基板の種別を示す識別情報に基づき、記憶装置から目標温度プロファイルを取得する第4の工程と、第4の工程により取得された目標温度プロファイルと、第3の工程で生成された温度プロファイルとを比較し、生成された温度プロファイルを目標温度プロファイルに近似させる第5の工程と、第5の工程により近似させた温度プロファイルに基づき搬送路の搬送速度、もしくは加熱温度の設定を変更する第6の工程と、を有することとした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電波到達距離に制限されることなく、基板毎に理想的な半田リフロー条件(目標リフロー条件)を実時間で自動設定可能な、半田リフロー運転監視システム、および運転監視装置、ならびに半田リフロー条件設定方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
《第1の実施形態》
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる半田リフロー運転監視システムの構成を示す図である。ここに示される半田リフロー運転監視システムは、作業現場に設置された半田リフロー装置1と、管理事務所に設置された管理装置2とから構成され、両者は、LAN(Local Area Network)5経由で接続されている。
【0012】
半田リフロー装置1は、電子部品が実装された基板3を設定された温度で加熱する半田リフロー炉11と、基板3を設定された速度で搬送する搬送路12と、半田リフロー炉11の温度、および搬送路12上を搬送する基板3の搬送速度を、後記する制御装置22による制御の下でコントロールする運転制御装置13とにより構成される。
【0013】
基板3には、電子部品の他に、基板3の種別が記録された無線タグチップ30が実装されている。また、搬送路12上を、基板3の他に、熱電対(温度検出素子)が結線されたセンサモジュール14が搬送される。ここでいうセンサモジュール14は、半田リフロー炉11の表面温度の検出を行なう第1のセンサとして機能し、熱電対を除く本体部分は耐熱素材10により保護されているものとする。また、搬送路12の搬送始点と搬送終点には、基板3の通過を検出する第2のセンサとしての通過センサ(例えば、赤外線センサやマイクロスイッチ)が結線されたセンサモジュール15が設置される。これらセンサモジュール14,15は、中継用のセンサモジュール16とともにマルチホップ無線通信を行なうセンサネットを構成し、管理事務所に設置された管理装置2に無線で接続されている。
【0014】
管理装置2は、受信モジュール21と、PC(Personal Computer)等からなる制御装置22とにより構成される。受信モジュール21は、センサモジュール14,15,16により構築されるセンサネットを介して取得された半田リフロー炉11の表面温度情報、および基板3の通過情報を受信して制御装置22へ出力する機能を持つ。
【0015】
制御装置22は、受信モジュール21を介して取得される半田リフロー炉11の表面温度情報と基板3の通過情報とに基づいて基板3の温度プロファイルを生成し、ここで生成された温度プロファイルを評価して、搬送路12の搬送速度、もしくは半田リフロー炉11の表面温度の設定を変更する機能を持つ。なお、ここでいう「温度プロファイル」とは、例えば、図6、図8にその一例を示す温度対時間情報をいう。詳細は後記する。
【0016】
制御装置22には、更に、LAN5経由で無線タグリーダライタ4が接続されており、この無線タグリーダライタ4は、半田リフロー装置1の搬送路12上を搬送される基板3に実装された無線タグチップ30に電力を供給するとともに、読み出される識別情報(ID:Identification)を取得し、あるいはIDを書き込む。ここでいう「識別情報(ID)」とは、基板のサイズ、あるいは用途等、基板3の種別を示す情報をいう。
【0017】
図2は、図1に示す制御装置の機能構成を示すブロック図である。図2に示されるように、制御装置22は、ID取得部221と、温度情報取得部222と、通過情報取得部223と、時間情報判定部224と、タイマ監視部225と、目標温度プロファイル格納部226と、目標温度プロファイル検索部227と、実測温度プロファイル生成部228と、温度プロファイル差分生成部229と、リフロー条件補正部230と、パラメータテーブル231と、リフロー条件設定部232と、温度プロファイル格納部233と、主制御部234と、により構成される。
【0018】
ID取得部221は、無線タグリーダライタ4によって読取られる基板3上の無線タグチップ30のIDを取得して目標温度プロファイル検索部227へ供給する。目標温度プロファイル検索部227は、取得したIDに基づき、目標温度プロファイル格納部226を検索し、得られる基板種別毎の目標温度プロファイルを温度プロファイル差分生成部229へ供給する。
【0019】
温度情報取得部222は、基板3とともに搬送路12上を搬送するセンサモジュール14からマルチホップ無線通信により、受信モジュール21を介して温度情報を取得して実測温度プロファイル生成部228へ供給する。
【0020】
通過情報取得部223は、センサモジュール15からマルチホップ無線通信により、受信モジュール21を介して取得される基板3の通過情報を取得して時間情報判定部224へ供給する。時間情報判定部224は、入力された時間情報に基づき、タイマ監視部225で監視される時間情報を参照して通過時間を算出し、搬送路12の搬送速度から時間情報(距離)を算出して実測温度プロファイル生成部228へ供給する。
【0021】
実測温度プロファイル生成部228は、他に温度情報取得部222により取得された温度情報が供給されているため、当該温度情報と、時間情報判定部224により供給される時間情報とにより、温度対時間からなる実測温度プロファイルを生成して温度プロファイル差分生成部229へ供給する。
【0022】
温度プロファイル差分生成部229は、他に、目標温度プロファイル検索部227により検索出力された基板3の種別に応じた目標温度プロファイルが入力される。温度プロファイル差分生成部229は、両者を比較してその差分情報(例えば、時間帯毎の温度差ΔT)を生成し、ここで生成された差分は、リフロー条件補正部230へ供給される。
【0023】
リフロー条件補正部230は、温度プロファイル差分生成部229により生成された差分情報に基づき、実測温度プロファイルを目標温度プロファイルに近似させるために必要なパラメータを、パラメータテーブル231を参照することにより取得し、当該取得したパラメータをリフロー条件設定部232に供給する。なお、パラメータテーブル231には、あらかじめ、温度プロファイルの差分情報に応じた、炉内温度や搬送速度に関する補正値(±Δ)が格納されているものとする。
【0024】
リフロー条件設定部232は、リフロー条件補正部230により出力されるパラメータに基づき、現時点における半田リフロー炉11の温度および搬送路12の搬送速度に、リフロー条件補正部230で生成された補正値を反映させた変更設定値を生成し、LAN5経由で半田リフロー装置1(運転制御装置13)へ出力する。
【0025】
なお、主制御部234は、前記した時間情報判定部224、実測温度プロファイル生成部228、温度プロファイル差分生成部229のシーケンス制御を司る他、近似された温度プロファイルを温度プロファイル格納部233へ格納すると共に、図示しない表示装置へ画面表示も行う。
【0026】
図3は、図1に示す無線タグチップの内部構成を、図4は、図1に示すセンサモジュールの内部構成をそれぞれ示すブロック図である。図3において、無線タグチップ30は、識別情報を格納するメモリ31(EEPROM:Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)と、無線送受信用のRF回路32と、これらを接続するロジック回路33と、無線タグリーダライタ(R/W)4が発した電波を、外付けあるいはチップ内に集積したアンテナ34を介して受信し、チップ内各部に必要な電力を供給する整流平滑回路35とを基本構成とする。主な通信周波数帯は、13.56MHz帯や、UHF帯があり、特に、UHF帯は、3〜5m程度の通信距離があり、読み取りが可能である。
【0027】
これに対し、センサモジュール14は、図4に示されるように、マイコン(μCPU)140と電池146とを内蔵し、継続的なセンシングを自発的に行なう。センサ145として、ここでは熱電対が用いられ、入力ポート144を介してマイコン140に接続される。マイコン140には、他に、無線通信モジュール143が接続されており、この無線通信モジュール143を介し、他のセンサモジュール15,16との接続を確立することで、アクセスポイント等の特別なインフラを必要とせず、ノード同士で直接通信を行うことのできるマルチホップ無線ネットワークを実現する。なお、ROM141には、マルチホップ無線ネットワークを実現するプロトコル(例えば、アドホック)を実現するための手順があらかじめプログラムされ、記録されており、また、RAM142には、センサ145により測定された温度等の情報が一時的に格納される。なお、CPUはCentral Processing Unitの略、ROMはRead Only Memoryの略、RAMはRandom Access Memoryの略である。
【0028】
なお、センサモジュール15の場合は、センサ145として赤外線センサ、あるいはマイクロスイッチが用いられ、他の構成はセンサモジュール14と同様である。また、中継用のセンサモジュール16のように中継ノードとして用いられる場合は、センサを搭載しないか、センサを搭載してもそのセンサ機能を無効にした構成を採る。
【0029】
図5は、本発明の第1の実施形態にかかわる半田リフロー運転監視システムの動作を説明するために引用したフローチャートである。以下、図5に示すフローチャートを参照しながら、図1〜図4に示す半田リフロー運転制御システムの動作について詳細に説明する。
【0030】
図5において、まず、作業現場に設置された半田リフロー装置1の運転制御装置13は、事務所に設置された管理装置2(制御装置22)からデフォルトで設定される半田リフロー炉11の炉内表面温度、搬送路12を構成するコンベアの回転速度等に関する半田リフロー条件を取得し、半田リフロー装置1に設定して運転を開始する(S501)。
【0031】
運転開始後、現場作業員は、半田リフロー炉11内の表面温度が所定の温度に到達したことを確認して、少量多品種の複数の基板3を搬送路12上に載置し、基板3の半田付け処理工程を開始する。このとき、搬送路12上には、基板3とは別に、熱電対(温度検出素子)が外付けで結線され、外観が耐熱素材10で覆われて保護された1以上のセンサモジュール14も載置される。
【0032】
前記した準備作業の後、基板3が搬送路始点に到達した時点で、無線タグリーダライタ4は、電波を発して基板3に実装された無線タグチップ30に電力を供給してIDを読取り、LAN5経由で制御装置22へ供給する。このことにより、制御装置22は、ID取得部221を介してID(基板の種別に関する情報)を取得し(S502:無線タグ)、目標温度プロファイル検索部227を起動する。ここで起動された目標温度プロファイル検索部227は、目標温度プロファイル格納部226を検索して基板種別に対応してあらかじめ格納されたIDに基づく目標温度プロファイルを取得し(S503)、温度プロファイル差分生成部229へ供給する。
【0033】
一方、センサモジュール14,16を介して測定された温度情報は、受信モジュール21を介して制御装置22の温度情報取得部222で取得される(S502:温度、S504)。この際、RAM142(図4参照)に格納されている温度情報を、順次取得してもよいし、所定時間毎に一括して取得してもよい。また、センサモジュール15,16を介して測定された基板3の通過情報は、受信モジュール21を介して制御装置22の通過情報取得部223で取得される(S502:通過、S505)。
【0034】
温度情報取得部222で取得した温度情報は、実測温度プロファイル生成部228へ、通過情報取得部223で取得された基板3の通過情報は、時間情報判定部224へ出力される。このとき、時間情報判定部224は、タイマ監視部225を参照することにより取得される時間情報と、搬送路12を駆動するコンベアの回転速度とから、基板3が半田リフロー炉11に出入りする時間情報を演算して実測温度プロファイル生成部228へ出力する(S506)。このことにより、実測温度プロファイル生成部228は、例えば、図6に一例が示される温度対時間からなる温度プロファイルを生成することができる(S507)。
【0035】
実測温度プロファイル生成部228により生成された温度プロファイルは、主制御部234を介して温度プロファイル格納部233へ格納され、図示しない表示装置に表示されると共に、温度プロファイル差分生成部229へ供給される。温度プロファイル差分生成部229へは、他に、目標温度プロファイル検索部227により検索出力された基板3の種別に応じた目標温度プロファイルが供給されており、ここで、目標温度プロファイルと実測温度プロファイルを比較する(S508)。比較結果により、温度プロファイルが所定の範囲以内に入る場合(S508:≒)は、処理を終了する。比較結果により、所定の範囲外の場合(S508:≠)は、差分情報が生成される(S509)。そして、ここで生成された差分が閾値を超えていた場合(S510:>)、その差分情報はリフロー条件補正部230へ供給される。
【0036】
続いてリフロー条件補正部230は、温度プロファイル差分生成部229により生成された差分情報に基づきパラメータテーブル231を参照して、実測温度プロファイルを目標温度プロファイルに近似させるために必要なパラメータ(炉内温度や搬送速度に関する補正値±Δ)を取得し、当該取得したパラメータをリフロー条件設定部232に供給する。
【0037】
リフロー条件設定部232は、リフロー条件補正部230により出力される補正パラメータに基づき、現時点における半田リフロー炉11の温度および搬送路12の搬送速度に、リフロー条件補正部230で生成された補正パラメータを反映させた変更設定値を生成し(S511)、LAN5経由で半田リフロー装置(運転制御装置13)へ出力する。そして、処理の開始へ戻る。
【0038】
変更設定値を受信した運転制御装置13は、半田リフロー装置1に変更されたリフロー条件を設定して運転を再開する。このことにより、主制御部234は、S501〜S510で示した処理を繰り返すように関係ブロックを制御し、温度プロファイル差分生成部229により生成される差分情報が目標プロファイルに近似したところで(S510:≦)、当該近似した温度プロファイルを温度プロファイル格納部233へ格納し、同時に図示しない表示装置へ表示し(S512)、一連の処理を終了する。
【0039】
前記した第1の実施形態によれば、制御装置22が、基板3に実装された無線タグチップ30から基板3の種別に関する情報を取得し、また、センサモジュール14,15,16で構築されるセンサネットを介して温度情報と通過情報とを取得して基板3の温度プロファイルを生成し、当該生成された温度プロファイルを評価して搬送路12の搬送速度、もしくは半田リフロー炉11の温度設定を変更することにより、電波到達距離に制限されることなく、基板毎に目標リフロー条件を実時間で自動設定することができる。
【0040】
《第2の実施形態》
図7は、本発明の第2の実施形態にかかわる半田リフロー運転監視システムの構成を示す図である。図1に示す第1の実施形態との差異は、第1の実施形態では、耐熱素材10で保護された1以上のセンサモジュールを搬送路12上に載置して基板3とともに搬送路12上を搬送させたのに対し、第2の実施形態では、半田リフロー炉11に構成される予熱、加熱、冷却の部屋毎、熱電対14a,14b,14cを搬送路12に固定して設置してそれぞれの位置での温度を計測し、センサモジュール14により計測された温度を取得することにある。
【0041】
このため、制御装置22は、部屋毎に設置された熱電対14a,14b,14cに有線で接続されるセンサモジュール14からマルチホップ無線通信を介して取得されるそれぞれの温度情報と、センサモジュール15からマルチホップ無線通信により取得される基板3の通過情報により算出される通過時間とから温度プロファイルを生成する。
【0042】
なお、制御装置22の機能構成は、図2に示す第1の実施形態と同じとし、実測温度プロファイル生成部228の動作のみ若干異なる。すなわち、熱電対14a,14b,14cのそれぞれが、半田リフロー炉11の各部屋における表面温度を測定し、センサモジュール14が、各熱電対14a,14b,14cにより測定される温度を収集する。続いて、図示しない従来からある温度プロファイルユニットを少なくとも1回、半田リフロー炉11に通す。
【0043】
そして、実測温度プロファイル生成部228は、図8に温度プロファイルの一例が示されるように、マルチホップ無線通信により中継用のセンサモジュール16を介して取得された熱電対14a、14b、14c毎の温度情報と、温度プロファイルユニットから得られる温度プロファイルとの相関をとるための演算を行い、各部屋を通った基板3の温度プロファイルを推定する。
【0044】
前記した第2の実施形態によれば、第1の実施形態同様、電波到達距離に制限されることなく、基板毎に目標リフロー条件を実時間で自動設定することができ、また、第1の実施形態とは異なり、耐熱素材10を必要とせず、また、センサモジュール14を繰り返し搬送路12上に載置して搬送させる必要がなくなるため現場作業員の手間を省くことができ、基板3の温度プロファイルを簡単に生成することができる。
【0045】
なお、図5に示したフローチャートは、本発明における半田リフロー運転監視システムの動作を示す他に、本発明の半田リフロー条件設定方法の各工程も合わせて示している。
【0046】
すなわち、本発明のリフロー条件設定方法は、前記した半田リフロー運転監視システムにおいて、第1のセンサ(センサモジュール14)からマルチホップ無線通信により温度情報を取得する第1の工程(S504)と、第2のセンサ(センサモジュール15)からマルチホップ無線通信により取得される基板3の通過情報から通過時間を算出し、搬送路の搬送速度から時間情報を判定する第2の工程(S505、S506)と、温度情報と時間情報とに基づき温度対時間からなる温度プロファイルを生成する第3の工程(S507)と、無線タグチップ30から取得される基板3の種別を示す識別情報に基づき、記憶装置(目標温度プロファイル格納部226)から目標温度プロファイルを取得する第4の工程(S503)と、第4の工程により取得された目標温度プロファイルと、第3の工程で生成された温度プロファイルとを比較し、生成された温度プロファイルを目標温度プロファイルに近似させる第5の工程(S508〜S512)と、第5の工程により近似させた温度プロファイルに基づき搬送路の搬送速度、もしくは加熱温度の設定を変更する第6の工程(S501)と、を有するものである。
【0047】
前記した半田リフロー条件設定方法によれば、制御装置22が、基板3に実装された無線タグチップ30から基板3の種別に関する情報を取得し、また、センサモジュール14,15,16で構築されるセンサネットを介して温度情報と通過情報とを取得して基板3の温度プロファイルを生成し、当該生成された温度プロファイルを評価して搬送路12の搬送速度、もしくは半田リフロー炉11の温度設定を変更するように制御することで、電波到達距離に制限されることなく、基板3毎に目標リフロー条件を実時間で自動設定可能な半田リフロー条件設定方法を提供することができる。
【0048】
なお、図2に示すID取得部221、温度情報取得部222、通過情報取得部223、時間情報判定部224、タイマ監視部225、目標温度プロファイル検索部227、実測温度プロファイル生成部228、温度プロファイル差分生成部229、リフロー条件補正部230、リフロー条件設定部232、主制御部234のそれぞれが持つ機能は、制御装置22を構成するCPUが、図示しない主記憶装置に格納されたプログラムを逐次読み出し実行することにより演算し、あるいは外部記憶装置を含む周辺装置を制御することにより実現されるものである。
【0049】
ここでいう周辺装置とは、無線タグリーダライタ4、受信モジュール21、図示しない表示装置、あるいは、前記した目標温度プロファイル格納部226、パラメータテーブル231、温度プロファイル格納部233のそれぞれが割り付けられ格納される外部記憶装置をいう。
【0050】
以上、本発明の実施の形態につき図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施形態に係わる半田リフロー運転監視システムの構成を示す図である。
【図2】図1に示す制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す無線タグチップの内部構成を示すブロック図である。
【図4】図1にセンサネットの各ノードを構成するセンサモジュールの内部構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係わる半田リフロー運転監視システムの動作を説明するために引用したフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態に係わる半田リフロー運転監視システムにより生成される温度プロファイルの一例を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係わる半田リフロー運転監視システムの構成を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係わる半田リフロー運転監視システムにより生成される温度プロファイルの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1 半田リフロー装置
2 管理装置、
3 基板
4 無線タグリーダライタ
5 LAN
10 耐熱素材
11 半田リフロー炉
12 搬送路
13 運転制御装置
14,15,16 センサモジュール
21 受信モジュール
22 制御装置
221 ID取得部
222 温度情報取得部
223 通過情報取得部
224 時間情報判定部
225 タイマ監視部
226 目標温度プロファイル格納部
227 目標温度プロファイル検索部
228 実測温度プロファイル生成部
229 温度プロファイル差分生成部
230 リフロー条件補正部
231 パラメータテーブル
232 リフロー条件設定部
233 温度プロファイル格納部
234 主制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が実装された基板を設定された温度で加熱する半田リフロー炉と、
前記基板を設定された速度で搬送する搬送路と、
前記半田リフロー炉の温度検出を行なう第1のセンサおよび前記搬送路の搬送始点と搬送終点のそれぞれに設置され前記基板の通過を検出する第2のセンサを含む複数のセンサノードによりマルチホップ無線通信を行なうセンサネットと、
前記センサネットにより取得される温度情報と通過情報とに基づき前記基板の温度プロファイルを生成し、生成された前記温度プロファイルを評価して、前記搬送路の搬送速度、もしくは前記半田リフロー炉の温度の設定を変更する制御装置とを備える
ことを特徴とする半田リフロー運転監視システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記基板とともに前記搬送路上を搬送する耐熱素材で保護された1以上の前記第1のセンサからマルチホップ無線通信を介して取得される温度情報と、前記第2のセンサからマルチホップ無線通信を介して取得される前記基板の通過情報に基づき算出される通過時間と前記搬送路の搬送速度とから算出される時間情報と、に基づき前記温度プロファイルを生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の半田リフロー運転監視システム。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記半田リフロー炉に構成される予熱、加熱、冷却の部屋毎、前記搬送路に固定して設置される複数の温度検出素子に有線で接続される前記第1のセンサからマルチホップ無線通信により取得されるそれぞれの温度情報と、前記第2のセンサからマルチホップ無線通信により取得される前記基板の通過情報により算出される通過時間と前記搬送路の搬送速度とから算出される時間情報と、に基づき、前記温度プロファイルを生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の半田リフロー運転監視システム。
【請求項4】
前記基板は、更に無線タグチップが実装されるとともに、
前記制御装置は、前記基板の種別毎に目標温度プロファイルが格納される記憶装置を備え、
前記制御装置は、前記無線タグチップから取得される前記基板の種別を示す識別情報に基づき、前記記憶装置から前記目標温度プロファイルを取得し、前記目標温度プロファイルと、生成された前記温度プロファイルとを比較して生成された前記温度プロファイルを前記目標温度プロファイルに近似させ、前記搬送路の搬送速度および前記半田リフロー炉の加熱温度の設定を変更する
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の半田リフロー運転監視システム。
【請求項5】
設定された速度で基板を搬送する搬送路と設定された温度で基板を加熱する加熱炉とを備えて、電子部品が実装された基板を加熱処理する半田リフロー炉の運転状態を、半田リフロー炉内の温度を測定する温度センサと、搬送路の入り口の通過検出センサと、搬送路の搬送路の出口の通過検出センサとを用いて監視する運転監視装置であって、
前記温度センサを介して得られる温度情報と、前記入口の通過センサおよび前記出口の通過センサを介して得られる通過情報とに基づき前記基板の温度プロファイルを生成し、生成された前記温度プロファイルを評価して、前記搬送路の搬送速度、もしくは前記半田リフロー炉の温度の設定を変更する制御装置を備える
ことを特徴とする運転監視装置。
【請求項6】
電子部品とともに無線タグチップが実装された基板をあらかじめ設定された温度で加熱する半田リフロー炉と、前記基板をあらかじめ設定された速度に基づき搬送する搬送路と、前記半田リフロー炉の温度検出を行なう1以上の第1のセンサおよび前記搬送路の搬送始点と搬送終点のそれぞれに設置され前記基板の通過を検出する第2のセンサを含む複数のセンサノードによりマルチホップ無線通信を行なうセンサネットと、前記基板の種別毎に目標温度プロファイルが格納される記憶装置と、前記搬送路の搬送速度もしくは前記半田リフロー炉の温度を設定変更する制御装置と、を用いて半田リフロー炉の運転条件を設定する半田リフロー条件設定方法であって、
前記第1のセンサからマルチホップ無線通信により温度情報を取得する第1の工程と、
前記第2のセンサからマルチホップ無線通信により取得される前記基板の通過情報から通過時間を算出し、前記搬送路の搬送速度から時間情報を判定する第2の工程と、
前記温度情報と時間情報とに基づき温度対時間からなる前記温度プロファイルを生成する第3の工程と、
前記無線タグチップから取得される前記基板の種別を示す識別情報に基づき、前記記憶装置から目標温度プロファイルを取得する第4の工程と、
前記第4の工程により取得された目標温度プロファイルと、前記第3の工程で生成された温度プロファイルとを比較し、前記生成された温度プロファイルを前記目標温度プロファイルに近似させる第5の工程と、
前記第5の工程により近似させた温度プロファイルに基づき前記搬送路の搬送速度、もしくは加熱温度の設定を変更する第6の工程と、
を有することを特徴とする半田リフロー条件設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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