説明

半透明金属箔を含有するEL要素、その製造方法およびその使用

本発明は、少なくとも部分的に透明な担体箔、半透明反射層、さらなる少なくとも部分的に透明な箔、エレクトロルミネッセンス要素および保護層またはさらなる箔から構成される箔要素、該箔要素の製造方法、本発明の箔要素のアイソタティック高圧変形によって製造し得る三次元変形箔要素、本発明の三次元変形箔要素の製造方法、並びに、陸上車、船舶および航空機のための装飾パネルまたはカバーまたはディスプレイ要素を形成するための、陸上車、船舶および航空機における安全ベルトパネルまたは警告表示パネル、および建築物における警告表示パネルを形成するための、および移動式および固定式電子機器のためのハウジング要素を形成するための、およびキーボードを形成するための、本発明の箔要素および本発明の三次元変形箔要素の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも部分的に透明な担体箔、半透明反射層、さらなる少なくとも部分的に透明な箔、エレクトロルミネッセンス要素、および保護層またはさらなる箔から構成される箔要素、該箔要素の製造方法、本発明の箔要素のアイソタティック高圧変形によって製造し得る三次元変形箔要素、本発明の三次元変形箔要素の製造方法、並びに、陸上車、船舶および航空機のための装飾パネルまたはカバーまたはディスプレイ要素を形成するための、陸上車、船舶および航空機における安全ベルトパネルまたは警告表示パネル、および建築物における警告表示パネルを形成するための、および移動式および固定式電子機器のためのハウジング要素を形成するための、およびキーボードを形成するための、本発明の箔要素および本発明の三次元変形箔要素の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
移動式または固定式電子機器のためのエレクトロルミネッセンス発光表面は、当該分野の文献において既知である。このようなエレクトロルミネッセンス発光表面は、通常、ディスプレイデバイスの背後照明のためのビルドイン成分および作動要素として使用される。従来のエレクトロルミネッセンス発光表面は、スパッタリング法で蒸着された導電性の大きな透明層を有する担体材料としての、ポリエステルフィルムを示す。また、このようなエレクトロルミネッセンス発光表面は、通常、さらなる層、例えば、エレクトロルミネッセンス結晶、対電極および保護層を含有する層を含有する。当該分野の文献においてエレクトロルミネッセンス発光表面を製造するために用いられる層は、しばしば、脆性を有するか、または高温での変形方法に耐えられないので、従来のディスプレイデバイスは、通常、平面デザインのものであり、これは、(例えば、三次元幾何学を示す目的の場合)情報データの知覚障害を生じ得、および操作性の障害を生じ得る。
【0003】
したがって、三次元エレクトロルミネッセンスディスプレイは、当該分野の文献において既に提案されている。
【0004】
DE-A 44 30 907は、一体型三次元エレクトロルミネッセンスディスプレイを形成するための、透明ディスク、該ディスクの少なくとも一つの面上に付与された光伝達層、光伝達層に並んで付与された少なくとも一つのエレクトロルミネッセンスランプ、およびエレクトロルミネッセンスランプ上およびディスク上に成形された基材を有する三次元エレクトロルミネッセンスディスプレイに関する。三次元エレクトロルミネッセンスディスプレイの製造は、予備成形ディスクから出発して成し遂げられる。しかしながら、該ディスクが二次成形され得ること、すなわち、基材の成形前に従来の方法によって三次元エレクトロルミネッセンスディスプレイが成形されることもさらに言及されている。しかしながら、DE-A 44 30 907は、適当な通例の方法に関して、如何なるさらなる情報も含有しない。
【0005】
DE-A 102 34 031は、少なくとも一つが透明デザインの電極である平行に配置された2つの電極を有するコンデンサーの構造を示し、および該電極の間に配置された電界によって励起し得る発光物質を有するエレクトロルミネッセンス発光表面に関する。また、該エレクトロルミネッセンス発光表面は、自由に変形可能な箔材料または三次元変形表面を示す硬質材料から製造された情報データが与えられた担体層を含有し、そして、該担体層は、少なくともその情報データの領域でその変形に対応するような適合様式で、第一の導電層、顔料層、絶縁および反射層、表面電極並びに任意の保護層を有するコーティングを示す。エレクトロルミネッセンス発光表面の製造は、予め三次元変形表面形状にされた自由に変形可能な箔材料または硬質材料を含んでなる担体層に、最初に情報データをインプリントし、次いで、第一の導電層、顔料層、絶縁および反射層、背後電極並びに任意の保護層を与えることによって成し遂げられる。その後、該三次元変形箔体は、担体部を製造するために、プラスチック材料によってインモールド修飾され得る。自由に変形可能な箔材料を含んでなる担体層が用いられる場合、上記のさらなる層が与えられたインプリント箔体の変形は、単独の変形手順としてDE-A 102 34 031に記載された熱成形によって成し遂げられ得る。
【0006】
WO 03/037039は、本体およびエレクトロルミネッセンスデバイスを含んでなる三次元エレクトロルミネッセンスディスプレイに関する。該エレクトロルミネッセンスデバイスは、箔およびエレクトロルミネッセンス装置を含んでなる。エレクトロルミネッセンス装置に面する該箔の表面は、表示されるモチーフが与えられている。該エレクトロルミネッセンス装置は前面電極および背後電極を含み、その間に誘電体が配置されている。該前面電極は、該モチーフを再生する該層に割り当てられ、そして、この層と一体化される。エレクトロルミネッセンスデバイスの表面内で、供給源は、エレクトロルミネッセンスデバイスの電極と接触するように配置される。該本体は、射出成形法で有利に加工され得る適当なプラスチックから構成される。該三次元エレクトロルミネッセンスディスプレイを製造するために、該エレクトロルミネッセンスデバイスを最初に製造する。これに関して、最初に、エレクトロルミネッセンス装置のための担体として役立つ箔を与える。その後、該エレクトロルミネッセンスデバイスを、熱成形、エンボス加工、中空エンボス加工または固体エンボス加工によって再成形する。該再成形は、好ましくは熱成形によって成し遂げられる。変形後、例えばこの目的に適当である材料を用いるエレクトロルミネッセンスデバイスのインモールド装飾によって、エレクトロルミネッセンスデバイスの背後に該本体を割り当てる。
【0007】
本願よりも優先日が前で、本願の出願前には公開されていない、表題「3D-EL-HDFV-Element und Herstellungsverfahren und Anwendung」の独国特許出願DE 10 2006 031 315は、少なくとも一つの冷延伸性箔材料を含んでなる少なくとも部分的に透明な担体箔A、該担体箔上に付与された少なくとも一つのエレクトロルミネッセンス要素B、および保護層CAまたは箔CBから構成される三次元変形箔要素に関する。該箔要素は、成分A、BおよびCから構成される平面箔要素を該箔要素の成分Aの軟化温度未満の処理温度でアイソタティック高圧変形することによって製造することができる。該三次元変形箔要素の特色の一つは、三次元変形が全ての所望の成分を含有する箔要素から成し遂げられることである。すなわち、例えば、該エレクトロルミネッセンス要素が、三次元変形前に付与される。該三次元変形箔要素は、特に、エレクトロルミネッセンス要素の、および、適切な場合には存在するグラフィック表示の、位置的に正確な付与により区別される。
【0008】
装飾的理由のため、電流が流れない場合、金属外観(すなわち、光反射)表面(金属光学的特性)を示すエレクトロルミネッセンス箔要素を提供することが望ましい。このように、電流のスイッチが切られる場合、該箔要素のさらなる層は目に見えない。電流のスイッチが入ると直ぐに、該箔要素は、好ましくは色付きで、輝くことが意図される。このようなタイプの金属外観表面を有する箔要素の提供は、半透明反射層を示す箔要素によって成し遂げることができる。このようなタイプの箔要素は、当該分野の文献において既知である。
【0009】
DE-A 42 08 044は、水分不浸透性材料中に封入される、半透明フィルムを含んでなる層を示すエレクトロルミネッセンス発光要素を含有するエレクトロルミネッセンス発光ストリップに関する。該発光ストリップは、エレクトロルミネッセンス発光層に直接接する半透明金属フィルム層を含有する。エレクトロルミネッセンス発光ストリップの製造は、いわゆる押し出しによって成し遂げられる。DE-A 42 08 044中に開示された発光ストリップの三次元変形は成し遂げられていない。
【0010】
DE-A 41 26 051は、2つの導電層および該導電層の間に配置されたエレクトロルミネッセンス特性を有する層を示す安全要素に関する。好ましい実施態様によれば、2つのプラスチックフィルムには、アルミニウム薄層が(いずれの場合も一面上に)提供され、および硫化亜鉛に基づくエレクトロルミネッセンス材料が、該金属層の一つの上にストリップ形態で印刷される。これに引き続いて、該プラスチックフィルムが、該エレクトロルミネッセンス材料が金属層の間に配置されることになるような方法で積層される。最後に、得られた積層シートは、該エレクトロルミネッセンスストリップに対応するフィラメントに切断される。DE-A 41 26 051によれば、該安全要素の三次元変形は成し遂げられていない。
【0011】
US 3,497,750は、プラスチックから構成される誘電層を含有する柔軟性エレクトロルミネッセンスランプに関する。ここで、微粉化形態のエレクトロルミネッセンスリン粒子が、導電材料のフィルムが結合する一表面に光伝達電極と共に埋設される。該光伝達電極は、該リン/プラスチック層の面を超えて広がる光伝達プラスチックフィルムで被覆される。さらに、該リン/プラスチック層の他方の面上に、同様に該リン/プラスチック層の面を超えて広がる金属化プラスチックフィルムが付与される。該プラスチック層の突出部分は一緒に融合され、その結果、該金属化プラスチックフィルムは、電極およびエレクトロルミネッセンスランプの保護ジャケットの両方として役立つ。該エレクトロルミネッセンスランプの三次元変形は、US 3,497,750中に記載されていない。
【0012】
JP-A 2000-348870は、表面電極層、発光層、絶縁層および背後電極層から少なくとも構成されたEL要素を含んでなる層状エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイに関する。該表面電極層は、可視光に対して5%〜60%の透過率を有する薄金属フィルムから形成される。JP-A 2000-348870中に開示されたEL要素の三次元変形は、言及されていない。
【0013】
当該分野の文献において既知の、半透明反射層を示すエレクトロルミネッセンス層構造の場合、該半透明反射層はエレクトロルミネッセンス発光層に直接接し、そして、通常少なくとも部分的に透明なプラスチック層と一緒になって、(少なくとも部分的に)透明電極を形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
この層構造の不利な局面は、このような層構造の非破壊的三次元変形ができないことである。したがって、本発明の目的は、エレクトロルミネッセンスに適当であり、および非破壊的方法で三次元的に変形可能である層構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本目的は、
a) 適切な場合にはグラフィック表示が与えられた、少なくとも一つの冷延伸性箔材料を含んでなる少なくとも部分的に透明な担体箔(成分A)、
b) 半透明反射層(成分B)、
c) 少なくとも一つの冷延伸性箔材料を含んでなる、少なくとも部分的に透明な箔(成分C)、
d) 該少なくとも部分的に透明な箔C上に付与された、以下の成分:
da) 少なくとも部分的に透明な電極(成分DA)、
db) 適切な場合には第一の絶縁層(成分DB)、
dc) 電界により励起し得る少なくとも一つの発光物質を含有する層(成分DC)、
dd) 適切な場合にはさらなる絶縁層(成分DD)、
de) 背後電極(成分DE)、
を含有する少なくとも一つのエレクトロルミネッセンス要素(成分D)、
e) 保護層(成分EA)、および/または箔(成分EB)
から構成される箔要素を提供することによって成し遂げられる。
【0016】
さらに、本発明の箔要素は、成分DAおよび成分DEの両方と電気的に接触するために、好ましくは成分DFとして、コンダクタートラックまたは幾つかのコンダクタートラック(成分DF)を含有する。該コンダクタートラックは、好ましくは銀ペーストから製造される銀バスの形態で付与され得、および好ましくはスクリーン印刷によって生成される。銀バスの付与前に、グラファイト層も同様に、好ましくはスクリーン印刷によって、付与することができる。
【0017】
したがって、本発明の好ましい実施態様において、本発明の箔要素は、
a) 適切な場合にはグラフィック表示が与えられた、少なくとも一つの冷延伸性箔材料を含んでなる少なくとも部分的に透明な担体箔(成分A)、
b) 半透明反射層(成分B)、
c) 少なくとも一つの冷延伸性箔材料を含んでなる、少なくとも部分的に透明な箔(成分C)、
d) 該少なくとも部分的に透明な箔C上に付与された、以下の成分:
da) 少なくとも部分的に透明な電極(成分DA)、
db) 適切な場合には第一の絶縁層(成分DB)、
dc) 電界により励起し得る少なくとも一つの発光物質を含有する層(成分DC)、
dd) 適切な場合にはさらなる絶縁層(成分DD)、
de) 背後電極(成分DE)、
df) 成分DAおよび成分DEの両方と電気的に接触するための、コンダクタートラックまたは幾つかのコンダクタートラック(成分DF)、
を含有する少なくとも一つのエレクトロルミネッセンス要素(成分D)、
e) 保護層(成分EA)、および/または箔(成分EB)
から構成される。
【0018】
上記層(成分A、B、C、DおよびE)に加えて、本発明の三次元変形箔要素は、さらなる層を示し得る。本質的なことは、いずれの場合も、半透明反射層Bの両面上に、少なくとも部分的に透明な箔(AおよびC)が配置され、箔AおよびCが半透明反射層Bに直接接することである。本発明による構造を示す箔要素(すなわち、これらは、特に、いずれの場合も、半透明反射層Bの両面上に、少なくとも部分的に透明な箔AおよびCを示す)が、本発明の箔要素(これは、通常、平面デザインのもである)の非破壊的方法で、特にアイソタティック高圧変形によって、通常、該箔要素の成分AおよびCの軟化温度未満の処理温度にて、三次元的に変形可能であることが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔成分A〕
本発明の箔要素は、適切な場合にはグラフィック表示が与えられた、少なくとも一つの冷延伸性箔材料を含んでなる少なくとも部分的に透明な担体箔(成分A)を含有する。
【0020】
表現「少なくとも部分的に透明な担体箔」は、透明担体箔、および半透明であるが完全に透明ではない担体箔の両方を意味すると理解される。これに関して、透明箔は100%の可視光透過率を示すが、一方、部分的に透明な箔は<100%、通常5%から<100%、好ましくは10〜99%、特に好ましくは50〜99%の可視光透過率を示す。本発明によれば、該担体箔は、少なくとも一つの冷延伸性箔材料から構成される。これは、該三次元変形箔要素の製造を成分Aの軟化温度未満の処理温度にてアイソタティック高圧変形により行い得るために必要である。適当な冷延伸性箔材料は、例えば、EP-A 0 371 425中に記載されている。熱可塑性および熱硬化性の少なくとも部分的に透明な冷延伸性箔材料の両方が用いられ得る。室温および使用温度にて、わずかな弾性を示すか、または弾性を示さない冷延伸性箔材料が好ましくは用いられる。特に好ましい箔材料は、ポリカーボネート、好ましくはビスフェノールAに基づくポリカーボネート、例えばBayer MaterialScience AG(BMS)により市販されるMakrofol(登録商標)の銘柄、ポリエステル、特に芳香族ポリエステル、例えばポリアルキレンテレフタレート、ポリアミド、例えばPA 6またはPA 6,6タイプ、高強度「アラミドフィルム」、ポリイミド、例えばポリ(ジフェニルオキシドピロメリトイミド)に基づく商品名Kaptonのもと市販される箔、ポリアリレート、有機熱可塑性セルロースエステル、特にそのアセテート、プロピオネートおよびアセトブチレート、例えば商品名Cellidor(登録商標)のもと市販される箔材料、およびポリフルオロ炭化水素、特に、商品名FEBのもと既知のテトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンから形成されるコポリマー(これは、透明形態で入手可能である)からなる群からの少なくとも一つの材料から選択される。担体箔の好ましい箔材料は、ポリカーボネート、例えばBayer MaterialScience AGにより市販されるMakrofol(登録商標)の銘柄、ポリエステル、特に芳香族ポリエステル、例えばポリアルキレンテレフタレート、およびポリイミド、例えばポリ(ジフェニルオキシドピロメリトイミド)に基づく商品名Kapton(登録商標)のもと市販される箔から選択される。とりわけ好ましい方法において、ビスフェノールAに基づくポリカーボネートを箔材料として、特にBayer MaterialScience AGによって製造される名称Bayfol(登録商標) CR(ポリカーボネート/ポリブチレン-テレフタレート箔)、Makrofol(登録商標) TPまたはMakrofol(登録商標) DEを有する箔を用いる。
【0021】
本発明にしたがって用いられる少なくとも部分的に透明な担体箔は、サテン仕上げで与えられた表面、または一面が粗い表面、或いは両面が高光沢である表面を示し得る。本発明にしたがって用いられる少なくとも部分的に透明な担体箔の層厚さは、通常、40 μm〜2000 μmの量である。層厚さが高くなるほど、アイソタティック高圧変形の過程にて行われる急激な再成形は、しばしば材料の脆化をもたらす。好ましくは50 μm〜500 μm、特に好ましくは100 μm〜400 μm、とりわけ好ましくは150 μm〜375 μmの層厚さを有する担体箔が用いられる。
【0022】
好ましい実施態様において、本発明の箔要素の使用に応じて、少なくとも部分的に透明な担体箔は、グラフィック表示が与えられる。これに関して、例えば、文字、数字、記号または絵文字が三次元変形箔要素の表面上に見えるようにするために、情報記号が重要であり得る。グラフィックデザインの場合、好ましくは活版印刷のグラフィックデザイン、特に色重ね刷りが重要である。特に好ましい実施態様において、本発明にしたがって用いられる担体箔は、不透明または半透明の色重ね刷りの形態でグラフィック表示が与えられる。これらの色重ね刷りは、当業者に既知の任意の方法、例えばスクリーン印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、輪転印刷、グラビア印刷またはフレキソ印刷によって成し遂げられ得る。これらの方法は、全ての通例のおよび当該分野の文献において既知である。該グラフィックデザインは、好ましくはスクリーン印刷によるインクの付与によって成し遂げられる。なぜなら、高い層厚さおよび良好な変形性を有する顔料インクは、スクリーン印刷によって付与され得るからである。
【0023】
グラフィックデザインの目的で用いられる印刷インクは、アイソタティック高圧変形の条件下、十分に変形可能でなければならない。適当なインク(特にスクリーン印刷インク)は、当業者に既知である。例えば、プラスチックインク担体(例えばポリウレタンに基づくもの)を有するインクを用いることができる。これらのスクリーン印刷インクは、本発明にしたがって用いられる担体箔の箔材料に対して顕著な接着性を示す。特に好ましい方法において、脂肪族ポリウレタンの水性分散体に基づくスクリーン印刷インクを用いる。適当なインクは、例えば、Proell(ワイセンブルク)からの商品名AquaPress PR(登録商標)のもと入手できる。さらなる適当なスクリーン印刷インクは、高温耐性熱可塑性プラスチックに基づくもの、特にProell(ワイセンブルク)からの商品名Noriphariを有するスクリーン印刷インクである。
【0024】
グラフィック記号が箔Cの背後に配置される場合、好ましい実施態様において、半透明反射層Bのために、電流のスイッチが入った場合のみ、これらのグラフィック表示が目に見える。他方、電流のスイッチが切れた場合、金属表面「のみ」が目に見える。
【0025】
また、該グラフィック記号は箔Aの前面上に重ね刷りされ得るが、その結果、これらのグラフィック表示は恒久的に目に見える。次いで、記号の背後照明または全表面の背後照明は、暗闇におけるより良好な認識性に役立つ。
【0026】
〔成分B〕
成分Bの場合、半透明反射層が重要である。これに関して、本願の意味における表現「半透明反射層」は、可視光を部分的に反射し、および可視光を部分的に透過させる層を意味すると理解されるべきである。これに関して、表現「可視光」は、当業者に既知であるように、約360 nmの最小波長および約830 nmの最大波長を有する光を意味すると理解されるべきである。
【0027】
半透明反射層Bは、好ましくは、可視光に対して通常5%〜60%、好ましくは10%〜40%の透過率を示す。
半透明反射層は、例えば、金属層または半透明ポリマーの印刷可能な反射層であり得る。
半透明反射層Bの層厚さは、金属層が使用される場合、通常1 nm〜500 nm、好ましくは50 nm〜200 nmの量であり、および半透明ポリマーの印刷可能な反射層が使用される場合、500 nmから約5 μm〜10 μmである。
【0028】
半透明反射層を形成し得る適当な金属は当業者に既知である。半透明反射層を形成する金属として好ましく用いられる金属は、アルミニウム、マグネシウム、錫、金、銀、銅、亜鉛、ニッケル、クロム、コバルト、マンガン、鉛、チタン、鉄およびタングステンからなる群から選択される少なくとも一つの金属である。半透明反射層を形成する特に好ましい金属は、アルミニウムおよび/またはクロムである。また、幾つかの金属の混合物または一以上の金属印刷インクも用いることができる。
【0029】
通常、半透明反射層Bは、少なくとも部分的に透明な担体箔A上に最初に付与される。しかしながら、同様に、該半透明反射層を、少なくとも部分的に透明な箔C上に最初に付与することもできる。付与は、好ましくは表面不整がない均一な金属薄箔を生成するのに適当である当業者に既知の方法によって成し遂げられ得る。適当な方法は、例えば、PVD法(物理蒸着)、例えば蒸発法、例えば熱蒸発(蒸着)法、電子ビーム蒸発法、レーザービーム蒸発法、アーク蒸発法および分子ビームエピタキシー法、スパッタリング法またはイオンプレーティング法、CVD法(化学蒸着)、例えば熱CVD法、プラズマ支援CVD法および有機金属CVD(MOCVD)法またはカレンダー成形法である。
上記方法の適当な方法条件は、当業者に既知である。
【0030】
〔成分C〕
成分Cの場合、少なくとも一つの冷延伸性箔材料を含んでなる少なくとも部分的に透明な箔が重要である。アイソタティック高圧変形法による本発明の箔要素の三次元変形を可能にするために、箔Cは、好ましくは成分Aに関して記載した材料から構成される。これに関して、本発明の箔要素における成分AおよびCの材料は同一または異なり得る(いずれの場合も、担体箔Aに関して記載した材料から好ましくは選択される)。特に好ましい態様において、箔要素における箔AおよびCは、いずれの場合も、同じ材料から構成される。
【0031】
特に好ましい実施態様において、担体箔Aの箔材料および箔Cの箔材料は、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアリレート、有機熱可塑性セルロースエステルおよびポリフルオロ炭化水素、とりわけ好ましい態様においてポリカーボネート、ポリエステルおよびポリイミド、からなる群から選択される少なくとも一つの材料から選択される。
箔Cについてのさらなる好ましい材料は、担体箔Aに関して記載した材料である。
【0032】
特に、とりわけ好ましい実施態様において、担体箔Aの箔材料および箔Cの箔材料は、ポリカーボネート、特にビスフェノールAに基づくポリカーボネート、例えば、Bayer MaterialScience AGからの商品名Bayfol(登録商標) CR(ポリカーボネート/ポリブチレン-テレフタレート箔)、Makrofol(登録商標)TPまたはMakrofol(登録商標)DEを有する箔である。
同様に、箔Cの厚さは、担体箔Aに関して記載した好ましい厚さに対応する。
【0033】
第一の箔(AまたはC)上に予め付与された半透明金属箔Bの、第二の表面上への第二の箔(AまたはC)の付与は、当業者に既知の方法、例えば接着によって成し遂げられ得る。適当な方法および接着剤は当業者に既知である。
【0034】
〔成分D〕
本発明の箔要素は、成分Dとして箔C上に付与された少なくとも一つのエレクトロルミネッセンス要素を含有する。
【0035】
該エレクトロルミネッセンス要素は、以下の成分:
da) 少なくとも部分的に透明な電極(成分DA)、
db) 適切な場合には第一の絶縁層(成分DB)、
dc) 電界により励起し得る少なくとも一つの発光物質を含有する層(成分DC)、
dd) 適切な場合にはさらなる絶縁層(成分DD)、
de) 背後電極(成分DE)
を含有する。
【0036】
さらに、本発明にしたがって使用されるエレクトロルミネッセンス要素は、好ましくは、成分DFとして、成分DAおよび成分DEの両方と電気的に接触するためのコンダクタートラックまたは幾つかのコンダクタートラックを含有する。該コンダクタートラックは、銀バスの形態で、好ましくは銀ペーストから製造された銀バスの形態で付与され得、および好ましくはスクリーン印刷によって生成される。また、銀バスの付与前に、グラファイト層は、好ましくはスクリーン印刷によって、付与され得る。
【0037】
本発明の好ましい実施態様において、本発明にしたがって使用されるエレクトロルミネッセンス要素は、
da) 少なくとも部分的に透明な電極(成分DA)、
db) 適切な場合には第一の絶縁層(成分DB)、
dc) 電界により励起し得る少なくとも一つの発光物質を含有する層(成分DC)、
dd) 適切な場合にはさらなる絶縁層(成分DD)、
de) 背後電極(成分DE)、
df) 成分DAおよび成分DEの両方と電気的に接触するためのコンダクタートラックまたは幾つかのコンダクタートラック(成分DF)
から構成される。
【0038】
該エレクトロルミネッセンス要素は、上記成分に加えて、さらなる成分を示し得る。例えば、さらなる層は、背後電極(成分DE)と、適切な場合には一つのさらなる絶縁層(成分DD)との間(または、該絶縁層が存在しない場合、成分DEと成分DCとの間)に存在し得る。この場合、成分DD(または、成分DDが存在しない場合、成分DC)は、少なくとも部分的に透明な電極、電界により励起し得る少なくとも一つの発光物質を含有するさらなる層、および、適切な場合にはさらなる絶縁層を含んでなるさらなる構造によって、接合され得る。この構造は、適切な場合にはもう一度繰り返され得る。その場合、該構造の最終成分は、背後電極(成分DE)に接合する。
【0039】
適当なエレクトロルミネッセンス要素は当業者に既知である。本発明にしたがって用いられる少なくとも一つのエレクトロルミネッセンス要素を示す箔要素は、非破壊的方法で、アイソタティック高圧変形によって変形され得、その結果、三次元変形箔要素が、アイソタティック高圧変形によって本発明の箔要素から得ることができることが見出された。
【0040】
当業者にとって、本発明にしたがって用いられる少なくとも一つのエレクトロルミネッセンス要素が電源と接触することは既知である。一般に、この目的のため、該少なくとも一つのエレクトロルミネッセンス要素は、本発明の箔要素の外側縁に伝導した電気端子を示し、そして、そこで接触補助具によって電源と接触する。適当な接触補助具は、例えば、クリンピング、クランピング、導電性接着剤、リベッティング、スクリューイングおよび当業者に既知の他の手段である。エレクトロルミネッセンス要素の駆動は、当業者に既知の従来の方法で成し遂げられ得る。
【0041】
一般に、エレクトロルミネッセンス要素は、交流電流によって作動する。交流電流を発生させるため、エレクトロルミネッセンスインバーター(ELインバーター)を用いる。適当なELインバーターは、当業者に既知であり、および市販されている。
【0042】
本発明の箔要素において成分Dとして用いられるエレクトロルミネッセンス要素の場合、通常、交流電流(厚膜AC EL要素)で作動する厚膜エレクトロルミネッセンス要素が重要である。これらの厚膜AC EL要素の利点は、一般に100ボルト(ピーク-ピーク値)超、好ましくは100ボルト(ピーク-ピーク値)超から140ボルト(ピーク-ピーク値)の比較的高電圧が、数100 HzからkHzの範囲(1000 Hz)まで、好ましくは250 Hz〜800 Hz、特に好ましくは250 Hz〜500 Hzにて使用され、および電界により励起し得る少なくとも一つの発光物質を含有する層(成分DC)(誘電層)の形成過程において、抵抗電力損失が実質的にないことである。したがって、電極(成分DAおよびDE)の導電性はできるだけ均一であるべきであるが、特定の電流負荷は上昇しない。しかしながら、好ましくは、電圧降下を低減するために、効率的導電性バスバーが用いられる。
【0043】
一般に、本発明の箔要素に用いられるエレクトロルミネッセンス要素(成分B)の作動は、10 cd/m2〜500 cd/m2、好ましくは10 cd/m2〜100 cd/m2の輝度にて成し遂げられる。この場合において、電界により励起し得る少なくとも一つの発光物質を含有する層においてマイクロカプセル化ZnS電子発光団が使用される場合、一般に、少なくとも2000時間の耐用の半減期が成し遂げられる。原則に基づいて、調和曲線形状を有するAC電圧によるこのようなタイプのエレクトロルミネッセンス要素の作動が好ましいものになる。過渡パルス電圧は避けるべきである。特に、スイッチの入/切の手順は、好ましくは、極度に上昇したパルス電圧が、電界により励起し得る少なくとも一つの発光物質(誘電体)を含有する層に損傷を与えないような、および、適切な場合には同様に個々の発光物質(電子発光団)に損傷を与えないような方法で設定される。耐用年数(いわゆる半減期)による輝度の低減、すなわち、最初の輝度の半分に低下するまでの時間は、電圧源の再調整によって、または、適切な場合には周波数の再調整によって、調和させることができる。これに関して、光放出の再調整の目的で、例えば、エレクトロルミネッセンス放出を測定する外部光ダイオードを使用してもよい。また、周波数の変化によって、該エレクトロルミネッセンス放出の発光色も所定の範囲内で影響を受け得る。
【0044】
別の好ましい本発明の実施態様において、本発明の箔要素は、少なくとも一つのエレクトロルミネッセンス要素に加えて、LED要素を含有し得る。好ましくは、SMD LED要素が重要である。適当なLED要素は、当業者に既知であり、および市販されている。
【0045】
したがって、本発明のさらなる主題は、成分A、B、C、DおよびE、並びに成分Fとして、さらに少なくとも一つのLED要素、好ましくは少なくとも一つのSMD LED要素から構成される箔要素である。
【0046】
SMD LEDモジュラー単位は、好ましくは、例えば当業者に既知の方法および当業者に既知の接着剤を用いる接着によって、成分A、B、C、DおよびEから構成される箔要素の背後に配置される。
【0047】
したがって、通常(例えば、半透明およびシグナル効果様式で配置された表示領域の後ろで)非常に高い輝度の光の先の尖った放出を示すLED要素は、平面エレクトロルミネッセンス要素よりも高い発光強度を生じさせ得る。したがって、LED要素を示す本発明の箔要素は、アラームシグナル要素として効果的に使用し得る。また、別の好ましい実施態様において、半透明発光領域は、印刷技術および/または分配技術によって、拡散要素が与えられる。その結果、該SMD LED要素は、幅広い放射特性を示し、そして、このように、例えば、ABSブレーキ系の過剰の温度または余りに少ないオイルまたは故障の表示などのようなアラーム状態用の光学的シグナルとして使用し得る。適当な拡散要素は、当業者に既知であり、および市販されている。
【0048】
本発明にしたがって用いられるエレクトロルミネッセンス要素は、少なくとも部分的に透明な電極を示す。これに関して、表現「少なくとも部分的に透明な電極」は、完全に透明であり得る電極、または半透明であり得るが、完全に透明ではあり得ない電極を意味すると理解されるべきである。
【0049】
少なくとも部分的に透明な電極は、通常、一以上の無機系または有機系導電材料から構成される平面電極である。本発明にしたがって用いられ得る適当な少なくとも部分的に透明な電極は、アイソタティック高圧変形によって本発明の三次元変形箔要素を製造するための変形によって損傷しない、エレクトロルミネッセンス要素を製造するための当業者に既知の全ての電極である。結果として、当該分野の文献において言及される従来の熱安定化ポリエステル箔上のインジウム錫オキシド(ITO)スパッタ層は原理上適当であるが、それらは好ましくない。好ましくは、ポリマー導電性高透明コーティングまたはデザイン特異的スクリーン印刷層が使用される。
【0050】
結果として、本発明にしたがって用いられる少なくとも部分的に透明な電極は、好ましくは、ITOスクリーン印刷層、ATO(アンチモン錫オキシド)スクリーン印刷層、非ITOスクリーン印刷層(用語「非ITO」は、インジウム錫オキシド(ITO)に基づかない全てのスクリーン印刷層を包含する)、すなわち、通常ナノスケール導電性顔料を有する本質的に導電性のポリマー層、例えばDuPontからの商品名7162Eまたは7164を有するATOスクリーン印刷ペースト、本質的に導電性のポリマー系、例えばAgfaからのOrgacon系、H.C. Starck GmbHからのBaytronポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)系、Ormeconからの有機金属として設計された系(PEDT導電性ポリマー、ポリエチレンジオキシチオフェン)、Panipol OYからの導電性コーティング系または印刷インク系、および適切な場合、例えばPU(ポリウレタン)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PVA(ポリビニルアルコール)、変性ポリアニリンに基づく高柔軟性結合剤を有するもの、からなる群から選択される。H.C. Starck GmbHからのエレクトロルミネッセンス要素Baytronポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)系の少なくとも部分的に透明な電極が、好ましくは用いられる。
【0051】
本発明によれば、好ましくは、いずれの場合も印刷ペーストの総重量に対して10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、特に好ましくは30〜65重量%の、Baytron P、Baytron PH、Baytron P AG、Baytron P HCV4、Baytron P HS、Baytron PH、Baytron PH 500、Baytron PH 510またはそれらの任意の混合物が、部分的に透明な電極DAを製造するための印刷ペーストを処方する目的で使用される。ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、エチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、N-プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルアミノエタノール、水または2つまたは3つまたはそれより多くの上記溶媒の混合物を、溶媒として使用することができる。印刷ペースト中の溶媒の量は、幅広い範囲内を変動し得る。したがって、本発明のペーストの一処方物には、55〜60重量%の溶媒が含有され得るが、本発明の別の処方物には、約35〜45重量%の2つの溶媒の溶媒混合物が使用される。さらに、Silquest A187、Neo Rez R986、Dynol 604および/または2つまたはそれより多くのこれらの物質の混合物が、界面添加剤および接着促進剤として含有され得る。その量は、好ましくは、印刷ペーストの総重量に対して0.3〜2.5重量%の量である。
【0052】
結合剤として、UD-85、Bayhydrol PR340/1、Bayhydrol PR135またはそれらの任意の混合物が、好ましくは約0.5〜6重量%、好ましくは3〜5重量%の量で、処方物中に含有され得る。本発明にしたがって用いられるポリウレタン分散体(これは、導電性層のための結合剤を該層の乾燥後に形成する)の場合、好ましくは水性ポリウレタン分散体が重要である。
【0053】
部分的に透明な電極DAを製造するための印刷ペーストの、本発明にしたがって特に好ましい処方物は、以下のものを含有する:
【0054】
【表1】

【0055】
部分的に透明な電極DAについて上記された処方物から離れて、典型例として挙げられた以下の既製の市販の印刷ペーストも、最終処方物として、本発明にしたがって用いることができる:AgfaからのOrgacon EL-P1000、EL-P3000、EL-P5000またはEL-P6000シリーズ、好ましくはEL-P3000およびEL-P6000シリーズ(特に変形可能な用途用)。
【0056】
一般に、エレクトロルミネッセンス要素の少なくとも部分的に透明な電極は、少なくとも部分的に透明な箔Cに直接結合している。
【0057】
本発明にしたがって用いられるエレクトロルミネッセンス要素は、少なくとも部分的に透明な電極(成分DA)に加えて、成分DCとして、電界により励起し得る少なくとも一つの発光物質を含有する層を含有する。該層は、通常、適切な場合に存在する第一の絶縁層(成分DB)上に、または、この層が存在しない場合、少なくとも部分的に透明な電極上に、付与される。該層(成分DC)における電界により励起し得る発光物質(発光団)の場合、好ましくはZnSが重要であり、これは、通常、銅、マンガンおよび/またはリン、好ましくは銅および/またはマンガンでドープされ、並びに好ましくは塩素、臭素、ヨウ素およびアルミニウムからなる群から選択される元素の少なくとも一つで共ドープされる。
【0058】
ZnS結晶は、好ましくは、該発光物質の耐用年数を向上させるために、透明薄層でマイクロカプセル化される。このマイクロカプセル化は、当該分野の文献から既知であり、および当業者に既知である。したがって、EP-A-455 401は、例えば、二酸化チタンまたは三酸化二アルミニウムを含んでなるマイクロカプセル化を開示する。この場合、各ZnS粒子は、大きい透明の連続金属酸化物コーティングが実質的に完全に与えられる。該層(成分DC)は、好ましくは上記のようにマイクロカプセル化された、適切な場合にはドープされたZnS結晶を、いずれの場合もペーストの重量に対して好ましくは40〜90重量%、好ましくは50〜80重量%、特に好ましくは55〜70重量%の量で含有する。結合剤として、一成分および好ましくは二成分ポリウレタンを使用することができる。本発明にしたがって好ましいものは、Bayer MaterialScience AGによって製造された材料、例えばDesmophenおよびDesmodurシリーズのラッカー原料、好ましくはDesmophenおよびDesmodur、またはBASF AGによって製造されたLupranate、Lupranol、PluracoまたはLupraphenシリーズのラッカー原料である。溶媒として、酢酸エトキシプロピル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシプロピル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、溶媒ナフサ100またはこれらの溶媒の2つまたはそれより多くの任意の混合物を、いずれの場合もペーストの総質量に対して好ましくは1〜50重量%、好ましくは2〜30重量%、特に好ましくは5〜15重量%の量で使用することができる。さらに、0.1〜2重量%の流動挙動およびレベリングを改善するための添加剤が含有され得る。レベリング剤の例は、40:60〜60:40の混合比の、ブトキシル中のAdditol XL480である。さらなる添加剤として、いずれの場合もペーストの総質量に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%、特に好ましくは0.1〜2重量%のレオロジー添加剤が含有され得る。レオロジー添加剤は、ペーストにおける顔料および充填剤の沈降挙動を減少させる。これは、例えば、BYK 410、BYK 411、BYK 430、BYK 431またはそれらの任意の混合物である。
【0059】
通常、該層(成分DC)の場合、誘電材料が重要である。この材料は、例えば、(発光物質として)通常銅、マンガンおよび/またはリンでドープされた、好ましくは銅および/またはマンガンでドープされた、並びに好ましくは塩素、臭素、ヨウ素およびアルミニウムからなる群から選択される元素の少なくとも一つで共ドープされた、ZnS、または通常銅、マンガンおよび/またはリンでドープされた、好ましくは銅および/またはマンガンでドープされた、並びに好ましくは塩素、臭素、ヨウ素およびアルミニウムからなる群から選択される元素の少なくとも一つで共ドープされた、ZnSの混合物、BaTiO3および高柔軟性結合剤、例えばPU、PMMA、PVA、特にKuraray Europe GmbHからのMowiolおよびPoval、またはWacker AGからのPolyviol、またはPVB、特にKuraray Europe GmbHからのMowital、またはWacker AGからのPioloform、特にPioloform BR18、BM18またはBT18に基づくもの、であり得る。
【0060】
本発明にしたがって特に好ましい、成分DCとしてELリン層を製造するための印刷ペーストの2つの処方物は、以下のものを含有する:
【0061】
【表2】

【0062】
成分DAおよびDBに加えて、エレクトロルミネッセンス要素は、成分DDとして絶縁層を含有し得る。これは、通常、電界により励起し得る少なくとも一つの発光物質を含有する層上に付与される。絶縁層に適当な材料は、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)である。さらなる絶縁材料は、文献から当業者に既知であり、例えば:BaTiO3、SrTiO3、KNbO3、PbTiO3、LaTaO3、LiNbO3、GeTe、Mg2TiO4、Bi2(TiO3)3、NiTiO3、CaTiO3、ZnTiO3、Zn2TiO4、BaSnO3、Bi(SnO3)3、CaSnO3、PbSnO3、MgSnO3、SrSnO3、ZnSnO3、BaZrO3、CaZrO3、PbZrO3、MgZrO3、SrZrO3、ZnZrO3または2つまたはそれより多くのこれらの充填剤の混合物である。絶縁層を製造するためのペーストにおける本発明による充填剤として好ましいものは、好ましくは、いずれの場合もペーストの総重量に対して5〜80重量%、好ましくは10〜75重量%、特に好ましくは40〜70重量%の充填量の、BaTiO3またはPbZrO3またはそれらの混合物である。
【0063】
この層のための結合剤として、一成分または好ましくは二成分ポリウレタン系、好ましくはBayer MaterialScience AGからのもの、特に好ましくはDesmodurおよびDesmophen;Degussa AG (Evonik)からのもの、好ましくはVestanat、特に好ましくはVestanat TおよびB;またはDow Chemical companyからのもの、特に好ましくはVorastarを使用することができる。
【0064】
溶媒として、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、1-メトキシプロピルアセテート-2、トルエン、キシレン、Solvesso 100、Shellsol Aまたはこれらの溶媒の2つまたはそれより多くの混合物を使用することができる。さらに、特性を改善するため、添加剤、例えばレベリング剤およびレオロジー添加剤を添加することができる。好ましくは、Additol XL480またはSilquest A187、Neo Rez R986、Dynol 604および/またはこれらの物質の2つまたはそれより多くの混合物を、いずれの場合も印刷ペーストに対して好ましくは0.5〜2.5重量%の量で含有する。
【0065】
本発明にしたがって特に好ましい、成分DDとして絶縁層を製造するための印刷ペーストの2つの処方物は、以下のものを含有する:
【0066】
【表3】

【0067】
さらに、本発明にしたがって用いられる少なくとも一つのエレクトロルミネッセンス要素は、背後電極(成分DD)を含有する。該電極は、通常、存在する場合、絶縁層上に付与される。絶縁層が存在しない場合、背後電極は、電界により励起し得る少なくとも一つの発光物質を含有する層上に付与される。
【0068】
背後電極の場合、少なくとも部分的に透明な電極の場合のように、平面電極が重要である。しかしながら、該電極は、透明または少なくとも部分的に透明である必要はない。該電極は、通常、導電性無機系または有機系材料から構成され、この場合、好ましくは、本発明の三次元変形箔要素を製造するためのアイソタティック高圧変形法の適用に際して、損傷を受けないような材料が用いられる。したがって、適当な電極は、特にポリマー導電コーティングである。これに関して、少なくとも部分的に透明な電極コーティングに関して上記に記載したコーティングを用いることができる。また、当業者に既知の、少なくとも部分的に透明ではないポリマー導電コーティングを用いることができる。
【0069】
結果として、背後電極の適当な材料は、好ましくは金属(例えば銀)、炭素、ITOスクリーン印刷層、ATOスクリーン印刷層、非ITOスクリーン印刷層、すなわち、通常ナノスケール導電顔料を有する本質的に導電性のポリマー系、例えばDuPontからの商品名7162Eまたは7164を有するATOスクリーン印刷ペースト、本質的に導電性のポリマー系、例えばAgfaからのOrgacon(登録商標)系、H.C. Starck GmbHからのBaytron(登録商標) ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)系、Ormeconからの有機金属として設計された系(PEDT導電性ポリマー、ポリエチレンジオキシチオフェン)、Panipol Oyからの導電性コーティング系および印刷インク系、および適切な場合、例えばPU(ポリウレタン)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PVA(ポリビニルアルコール)、変性ポリアニリンに基づく高柔軟性結合剤を有するものからなる群から選択される。これにより上記の材料は、導電性を改善する目的で、金属(例えば銀)または炭素に添加され得、および/またはこれらの材料を含んでなる層が補充され得る。
背後電極用の印刷ペーストの処方物は、部分的に透明な電極の印刷ペーストの処方物に一致し得る。
【0070】
しかしながら、この処方物から離れて、以下の処方物も、本発明にしたがって背後電極用に使用することができる。
背後電極を製造するための印刷ペーストを処方するために、いずれの場合も印刷ペーストの総重量に対して30〜90重量%、好ましくは40〜80重量%、特に好ましくは50〜70重量%の導電性ポリマー、Baytron P、Baytron PH、Baytron P AG、Baytron P HCV4、Baytron P HS、Baytron PH、Baytron PH 500、Baytron PH 510またはそれらの任意の混合物を使用する。溶媒として、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、エチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、N-プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルアミノエタノール、水またはこれらの溶媒の2つまたは3つまたはそれより多くの混合物を使用することができる。使用される溶媒の量は、幅広い範囲内で変動し得る。したがって、本発明のペーストの一処方物において、55〜60重量%の溶媒が含有され得るが、本発明の別の処方物において、約40重量%の3つの溶媒の溶媒混合物が使用される。さらに、Silquest A187、Neo Rez R986、Dynol 604またはこれらの物質の2つまたはそれより多くの混合物は、好ましくは0.7〜1.2重量%の量で、界面添加剤および接着促進剤として含有され得る。結合剤として、0.5〜1.5重量%のUD-85、Bayhydrol PR340/1、Bayhydrol PR135またはそれらの任意の混合物などが含有され得る。
【0071】
本発明の別の実施態様において、背後電極は、グラファイトが充填され得る。これは、上記処方物にグラファイトを添加することによって成し遂げられ得る。
【0072】
上記の背後電極用の処方物から離れて、典型例として挙げられる以下の既存の市販の印刷ペーストも、本発明にしたがって、最終処方物として用いることができる:AgfaからのOrgacon EL-P1000、EL-P3000、EL-P5000またはEL-P6000シリーズ、好ましくはEL-P3000およびEL-P6000シリーズ(変形可能な用途用)。ここで、グラファイトも添加することができる。
【0073】
特に背後電極について、Orgacon EL-P4000シリーズ、特にOrgacon EL-P4010およびEL-4020の印刷ペーストを使用することができる。これらの2つのものは、任意の比率で混合することができる。Orgacon EL-P4010およびEL-4020は、予めグラファイトを含有する。
【0074】
購入可能なグラファイトペースト、例えばAchesonからのグラファイトペースト、特にElectrodag 965 SSまたはElectrodag 6017 SSも、背後電極として使用することができる。
【0075】
本発明にしたがって特に好ましい、背後電極DEを製造するための印刷ペーストの一処方物は、以下のものを含有する:
【0076】
【表4】

【0077】
エレクトロルミネッセンス要素の製造は、例えば、当該分野の文献において既知のいわゆる厚膜法により、個々の層を付与することによって成し遂げられ得る。
【0078】
箔C上へのエレクトロルミネッセンス要素の層の付与は、当業者に既知の方法によって成し遂げられる。箔Cへのエレクトロルミネッセンス要素の結合は、通常、例えばスクリーン印刷によって、箔C上に直接付与することにより成し遂げられる。
【0079】
導電層DAおよびDEの接触およびそれらへの電流の供給のために、2つの層は、好ましくは任意に構成されたコンダクタートラックが与えられる。これは、1つの印刷工程において両層について、または2つの個々の印刷工程において前面および背後電極について、成し遂げられ得る。印刷ペーストとして、当業者に既知の市販の系、例えばAchesonからの銀導電性ペースト、例えばElectrodag 725A (6S-61)、Electrodag 418 SSまたはElectrodag PF-410を使用することができる。
【0080】
〔成分E〕
成分A、B、CおよびDに加えて、本発明の箔要素は、エレクトロルミネッセンス要素または適切な場合に存在するグラフィック表示の破壊を避けるために、保護層(成分EA)を含有する。該保護層の適当な材料は当業者に既知である。適当な保護層EAは、例えば、高温耐性保護ラッカー、例えばポリカーボネートおよび結合剤を含有する保護ラッカーである。このような保護ラッカーの例は、Proell(ワイセンブルク)からのNoriphan(登録商標) HTRである。
【0081】
あるいは、該保護層もポリウレタンに基づいて処方し得る。この目的で、Bayer MaterialScience AGからのポリウレタンを使用することができる。また、この処方物は、充填剤が与えられ得る。これに適当なものは、当業者に既知の全ての充填剤、例えば無機金属酸化物、例えばTiO2、ZnO、リトポンなどに基づく充填剤である。さらに、該処方物は、レベリング剤並びにレオロジー添加剤を含有し得る。溶媒として、例えば、酢酸エトキシプロピル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシプロピル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、溶媒ナフサ100またはこれらの溶媒の2つまたはそれより多くの混合物を使用することができる。
【0082】
本発明にしたがって特に好ましい、保護ラッカーEAの一処方物は、以下のものを含有する:
【0083】
【表5】

【0084】
用途に応じて、成分A、B、CおよびDに加えて、本発明の箔要素は、保護層(成分EA)の代わりに、箔(成分EB)を示し得る。適当な箔は、担体箔(成分A)として記載した箔である。該箔は、例えば、ラミネート法または接着によって付与され得る。
【0085】
通常平面である本発明の箔要素は、成分AおよびCの軟化温度未満の処理温度でのアイソタティック高圧変形によって、三次元的に変形可能である。これにより、対応する三次元変形箔要素が得られる。適当なアイソタティック高圧変形法、例えばEP-A 0 371 425中に記載される方法が挙げられる。上記本発明の成分A、B、C、DおよびEからの構造のために、通常平面である本発明の箔要素の三次元変形が、箔要素の個々の成分を損傷させることなく、特にエレクトロルミネッセンス要素のランプ機能または半透明反射層を損傷させることなく、アイソタティック高圧変形によって成し遂げられ得ることが保証される。
【0086】
本発明の箔要素における層(成分A、B、C、DおよびE)を、短絡を避けるように合わせる。背後の保護層(成分E)は、耐亀裂性の変形が可能になるという効果を有する。要素A、B、C、DおよびEから構成される通常平面の箔要素はアイソタティック高圧変形によって変形されるので、箔要素の個々の層の良好な接着が保証されることが特に重要である。良好な接着は、個々の層の組成(成分A、B、C、DおよびE)によって、特に該層における高柔軟性結合剤、例えばPU、PMMA、PVAに基づく結合剤の使用によって保証される。該層の組成(成分A、B、C、DおよびE)は、これらの層同士の間の顕著な接着ばかりでなく、アイソタティック高圧変形を行うために必要とされる伸展性も保証する。
【0087】
結果として、さらなる本発明の主題は、本発明の箔要素の成分AおよびCの軟化温度未満の処理温度での本発明の箔要素のアイソタティック高圧変形によって製造することができる、成分A、B、C、DおよびEを含んでなる本発明の箔要素から構成される三次元変形箔要素である。
【0088】
本発明の箔要素の好ましい成分A、B、C、DおよびE並びに好ましい実施態様は、上記に記載される。
【0089】
本発明の三次元箔要素は、担体箔上に付与された少なくとも一つのエレクトロルミネッセンス要素並びに適切な場合には透明担体箔上に存在するグラフィック表示が位置的に正確に付与されるという事実によって区別される。これは本質的である。なぜなら、本発明の三次元変形箔要素は、例えば、情報記号の正確な位置決めが重要であり得る表面を形成するために役立つべきであるからである。このような正確な位置決めは、成分A、B、C、DおよびEを示す平面箔要素が与えられることによって成し遂げられる。これらの成分は、該平面箔要素がアイソタティック高圧変形によって三次元変形され得るように選択されている。このようなアイソタティック高圧変形を用いる三次元変形が、成分DA、DB、適切な場合にはDCおよびDDを示すエレクトロルミネッセンス要素の存在下、および半透明金属箔Bの存在下、可能になることが見出された。
【0090】
本発明の三次元変形箔要素は、多数の用途について十分に寸法安定性である。その結果、上記で引用した当該分野の文献中に提案されているような、適当なプラスチックを用いる箔要素のインモールド装飾は必要ではない。したがって、好ましい実施態様において、本発明は、成分A、B、C、DおよびEから構成される三次元変形箔要素に関する。該三次元変形箔要素は、特にプラスチックでインモールド装飾されていない、如何なるモールドオン基材も示さない。
【0091】
しかしながら、別の好ましい実施態様において、箔要素が、プラスチックでインモールド装飾されることは理にかない得る。これは、特に構造部分全体に渡る三次元安定性の厳しい要求がなされる場合、および/または外力に対する高い耐性が要求される場合、当てはまる。これは、例えばハウジングの蓋、パネルおよびカバーにおいて当てはまり得る。
【0092】
通常平面である本発明の箔要素は、当業者に既知の方法にしたがって製造することができる。
【0093】
好ましい実施態様において、(三次元変形前の)本発明の箔要素の製造方法は、以下の工程を含む:
ia) 少なくとも部分的に透明な担体箔Aを与える工程、そして適切な場合には該透明担体箔にグラフィック表示をインプリントする工程、
ib) 該少なくとも部分的に透明な担体箔A上に半透明反射層Bを付与する工程、
ic) 該半透明反射層B上に少なくとも部分的に透明な箔Cを付与する工程、そして適切な場合には該少なくとも部分的に透明な箔C上にグラフィックを付与する工程、
id) 該少なくとも部分的に透明な箔C上に少なくとも一つのエレクトロルミネッセンス要素Dを付与する工程、
ie) 該少なくとも一つのエレクトロルミネッセンス要素D上に保護層EAまたは箔EBを付与する工程。
【0094】
工程ia)
工程ia)および工程ic)で用いられる少なくとも部分的に透明な担体箔Aおよび少なくとも部分的に透明な箔Cの製造は、それぞれ当業者に既知の方法にしたがって成し遂げられる。さらに、適当な担体箔Aおよび箔Cは市販されている。
【0095】
同様に、担体箔A上へのグラフィック表示の付与は、当業者に既知の方法、例えばスクリーン印刷、オフセット印刷、輪転印刷、グラビア印刷、インクジェット、タンポン印刷、レーザー印刷またはフレキソ印刷によって成し遂げられ得る。これらは、全て通例であり、および当該分野の文献において既知である。グラフィックデザインは、好ましくは、スクリーン印刷によるインクの付与によって成し遂げられる。
【0096】
極度に小さい透明な空隙を含まない完全なカバーを得るために、多重印刷(例えば二重印刷)が成し遂げられ得る。個々のプリントの位置決めのため、一般に、リファレンスマークまたは3点エッジレジストレーションを使用する。
【0097】
工程ib)
該半透明反射層Bを、当業者に既知の方法によって担体箔A上に付与し得る。半透明反射層Bを付与するために適当な方法は、上記に記載されている。適当な方法の例は、PVD法、CVD法および他の適当な方法である。
【0098】
工程ic)
工程ic)において、適切な場合にはグラフィック表示が与えられる、担体箔A上に付与された半透明反射層B上に、少なくとも部分的に透明な箔Cがさらに付与される。付与は、当業者に既知の任意の方法によって成し遂げられ得る。本発明の好ましい実施態様において、箔Cの付与は接着によって成し遂げられる。適当な接着法および接着剤は当業者に既知である。
【0099】
箔C上に、適切な場合にはその背後に、グラフィックが付与され得る。このグラフィックは、当業者に既知の方法、例えばスクリーン印刷、オフセット印刷、輪転印刷、グラビア印刷、インクジェット、タンポン印刷、レーザー印刷またはフレキソ印刷によって付与し得る。これらは、全て通例であり、および当該分野の文献において既知である。該グラフィックデザインは、好ましくは、スクリーン印刷によるインクの付与によって成し遂げられる。
【0100】
極度に小さい透明な空隙を含まない完全なカバーを得るために、多重印刷(例えば二重印刷)が成し遂げられ得る。個々のプリントの位置決めのため、一般に、リファレンスマークまたは3点エッジレジストレーションを使用する。
【0101】
工程id)
工程id)における箔C上へのエレクトロルミネッセンス要素Dの付与は、同様に、当業者に既知の方法によって成し遂げられ得る。上記に既に記載したように、エレクトロルミネッセンス要素Dと箔Cとの結合は、当業者に既知の手段によって、一般に、担体箔上への直接付与、例えばスクリーン印刷によって、成し遂げられ得る。
【0102】
工程ie)
工程ie)において、保護層EAまたは箔EBは、同様に、当業者に既知の方法、好ましくは同様にスクリーン印刷によって、少なくとも一つのエレクトロルミネッセンス要素上に付与される。
絶縁層は、同様に、好ましくはスクリーン印刷によって付与される。
【0103】
本発明の箔要素の一つの利点は、箔要素のELランプ並びに適切な場合には必要なグラフィック印刷の全ての層が、スクリーン印刷によって付与され得るように選択されることである。本発明の方法の好ましい実施態様において、適切な場合に行う工程ia)におけるグラフィック表示の透明担体箔へのインプリンティング、工程id)における適切な場合にはインプリントされた担体箔上へのエレクトロルミネッセンス要素の付与、および工程ie)におけるエレクトロルミネッセンス要素上への保護層の付与は、スクリーン印刷によって成し遂げられる。工程ib)およびic)は、通常、当業者に既知の方法によって別々の工程で行われる。必要ならば、過程連鎖を最適化するために、工程ia)を工程ic)の後に行うこともできる。
【0104】
本発明の箔要素は、アイソタティック高圧変形法によって三次元変形箔要素を製造するために適当である。
【0105】
結果として、さらなる本発明の主題は、
i) 本発明の箔要素を製造する工程、
ii) 工程i)で得られた本発明の箔要素を、該箔要素の成分AおよびCの軟化温度未満の処理温度にて、アイソタティック高圧変形する工程、
iii) 適切な場合には、工程ii)で得られた本発明の箔要素をインモールド装飾する工程
を含む、三次元変形箔要素の製造方法である。
本発明の箔要素の場合、通常、平面箔要素が重要である。
【0106】
工程i)
工程i)は、本発明の箔要素の製造に関する。工程i)は、好ましくは工程ia)、ib)、ic)、id)およびie)を含む方法によって成し遂げられる。個々の処理工程ia)〜ie)は、上記に既に記載している。
【0107】
成分A、B、C、DおよびEは、上記に既に記載した意味を有する。成分A、B、C、DおよびEに加えて、本発明の三次元変形箔要素は、適切な場合にはさらなる層を含有し得る。
【0108】
工程ii)
工程ii)におけるアイソタティック高圧変形は、好ましくはEP-A 0 371 425に記載された方法にしたがって成し遂げられる。これにより、処理温度は、箔要素の成分AおよびCの軟化温度未満になるように選択される。
【0109】
一般に、工程i)で得られる本発明の箔要素は、成分A、B、C、DおよびEから構成され、加工温度にて流動性圧媒体の作用に付され、およびアイソタティック的に変形される。該変形は、担体箔Aおよび箔Cの材料の軟化温度未満の加工温度にて、および通常>20 bar、好ましくは>100 bar、特に好ましくは200 bar〜300 barの圧媒体圧力下、実施される。箔材料の変形は、通常、数秒のサイクル時間内、好ましくは<10秒の時間間隔内、特に好ましくは<5秒の時間間隔内で成し遂げられる。これに関して、ストレス-白化を光学的に干渉することなく、100%〜200%の変形が得られ得る。
【0110】
好ましい実施態様において、アイソタティック高圧変形は、通常少なくとも5℃、好ましくは少なくとも10℃、特に好ましくは少なくとも20℃、さらに、箔要素の成分Aの軟化温度未満で成し遂げられる。少なくとも部分的に透明な担体箔の材料として特に好ましく用いられるビスフェノールAに基づくポリカーボネート(例えば、Makrofol(登録商標)箔)の軟化温度は、150℃周辺またはそれより高くなる。担体箔としてこのようなポリカーボネート箔を示す箔要素のアイソタティック高圧変形は、室温で行うことができる。さらなる成分のために、とりわけ、好ましくは色重ね刷りによって成し遂げられるグラフィック表示のために、アイソタティック高圧変形は、上記のようにビスフェノールAに基づくポリカーボネートが担体箔の箔材料として用いられる場合、好ましくは80℃と130℃との間の加工温度にて成し遂げられる。他の材料を含んでなる担体箔が用いられる場合、材料の軟化温度の知識が与えられているならば、工程ii)における加工温度は、当業者に困難なく確かめられ得る。
【0111】
本発明の三次元変形箔要素を製造するためのアイソタティック高圧変形を実行するのに適当な装置は、例えばEP-A 0 371 425中に記載されている。
【0112】
工程ii)に続いて得られる三次元変形箔要素は、例えば、トリミング、パンチングまたはレージングによって、最終的な所望の外形にされ得る。(例えば、パンチング、トリミングまたはレージングによって)箔要素をその最終的な外形にするための適当な方法および装置は当業者に既知である。一般に、パンチング、トリミングまたはレージングは、高精度で成し遂げられる。トリミングに適当な方法は、例えば、精密切削である。
【0113】
工程iii)
少なくとも一つのエレクトロルミネッセンスデバイスを含有する上記箔要素は、多くの用途について、十分な剛性および寸法安定性を有する。
【0114】
しかしながら、特定の用途のために、最終部品に科された要求を満足する剛性を成し遂げるために、具現化された変形箔要素が、インモールド装飾されることが必要であり得る。
【0115】
インモールド装飾は、通常、インプリントおよびプリフォーム箔要素のための射出成形法によって成し遂げられる。インモールド装飾は、とりわけ、用語「インモールド装飾」(IMD)、「インモールドラベリング」(IML)または「フィルムインサート成形」(FIM)によって当業者に既知であるものである。
【0116】
通常平面である本発明の箔要素、および本発明の三次元変形箔要素を、数多くの用途において用いることができる。適当な用途は、例えば、陸上車、船舶および航空機のための、装飾パネルおよびカバーまたはディスプレイ要素を形成するための、陸上車、船舶および航空機における安全ベルトパネルまたは警告表示パネルを形成するための、および建築物における警告表示パネルを形成するための、移動式電子機器(例えば携帯電話またはリモコン装置)のためのハウジング要素を形成するための、および固定式電子機器(例えばプリンター、コピー機、PC、ノート型パソコン)のためのハウジング要素を形成するための、または小さいまたは大きい家庭用品を形成するための、またはキーボードを形成するための、本発明の箔要素の使用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 適切な場合にはグラフィック表示が与えられた、少なくとも一つの冷延伸性箔材料を含んでなる少なくとも部分的に透明な担体箔(成分A)、
b) 半透明反射層B、
c) 少なくとも一つの冷延伸性箔材料を含んでなる、少なくとも部分的に透明な箔(成分C)、
d) 該少なくとも部分的に透明な箔C上に付与された、以下の成分:
da) 少なくとも部分的に透明な電極(成分DA)、
db) 適切な場合には第一の絶縁層(成分DB)、
dc) 電界により励起し得る少なくとも一つの発光物質を含有する層(成分DC)、
dd) 適切な場合にはさらなる絶縁層(成分DD)、
de) 背後電極(成分DE)、
を含有する少なくとも一つのエレクトロルミネッセンス要素(成分D)、
e) 保護層(成分EA)、または箔(成分EB)
から構成される箔要素。
【請求項2】
担体箔Aおよび箔Cの箔材料が、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアリレート、有機熱可塑性セルロースエステルおよびポリフルオロ炭化水素、好ましくはポリカーボネート、ポリエステルおよびポリイミドからなる群から選択される少なくとも一つの材料から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の箔要素。
【請求項3】
担体箔Aおよび/または箔Cが、不透明または半透明の色重ね刷りの形態のグラフィック表示が与えられることを特徴とする、請求項1または2に記載の箔要素。
【請求項4】
半透明反射層Bが、5%〜60%、好ましくは10〜40%の可視光透過率を示すことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の箔要素。
【請求項5】
アルミニウム、マグネシウム、錫、金、銀、銅、亜鉛、ニッケル、クロム、コバルト、マンガン、鉛、チタン、鉄およびタングステン、好ましくはアルミニウムまたはクロムからなる群から選択される少なくとも一つの金属、または金属インクを、半透明反射層を形成するための金属として用いることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の箔要素。
【請求項6】
少なくとも一つのエレクトロルミネッセンス要素が電気端子を示すことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の箔要素。
【請求項7】
少なくとも一つのエレクトロルミネッセンス要素が交流電流によって作動し、および該交流電流がELインバーターによって生じることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の箔要素。
【請求項8】
箔要素が、成分A、B、C、DおよびEに加えて、成分Fとして、少なくとも一つのLED要素、好ましくは少なくとも一つのSMD LED要素を示すことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の箔要素。
【請求項9】
エレクトロルミネッセンス要素Dの少なくとも部分的に透明な電極DAが、ITOスクリーン印刷層、ATOスクリーン印刷層、非ITOスクリーン印刷層および本質的に導電性のポリマー系からなる群から選択される導電材料から構成される平面電極であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の箔要素。
【請求項10】
電界により励起し得る少なくとも一つの発光物質を含有する層DCが、発光物質として、通常リンでドープされた、ZnSを含有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の箔要素。
【請求項11】
エレクトロルミネッセンス要素Dの背後電極DEが、金属(例えば銀)、炭素、ITOスクリーン印刷層、ATOスクリーン印刷層、非ITOスクリーン印刷層および本質的に導電性のポリマー系からなる群から選択される導電材料から構成される平面電極であり、これにより導電性を改善する目的で、該材料は、金属(例えば銀)または炭素に添加され得るか、および/またはこれらの材料を含んでなる層が補充され得ることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の箔要素。
【請求項12】
箔要素の成分AおよびCの軟化温度未満の処理温度での、請求項1〜11のいずれかに記載の箔要素のアイソタティック高圧変形によって製造することができる、三次元変形箔要素。
【請求項13】
ia) 少なくとも部分的に透明な担体箔Aを与える工程、そして適切な場合には該透明担体箔にグラフィック表示をインプリントする工程、
ib) 該少なくとも部分的に透明な担体箔上に半透明反射層Bを付与する工程、
ic) 該半透明反射層上に少なくとも部分的に透明な箔Cを付与する工程、そして適切な場合には該少なくとも部分的に透明な箔C上にグラフィックを付与する工程、
id) 該少なくとも部分的に透明な箔上に少なくとも一つのエレクトロルミネッセンス要素Dを付与する工程、
ie) 該少なくとも一つのエレクトロルミネッセンス要素上に保護層EAまたは箔EBを付与する工程
を含む、請求項1〜11のいずれかに記載の箔要素の製造方法。
【請求項14】
i) 請求項13に記載の方法によって箔要素を製造する工程、
ii) 工程i)で得られた箔要素を、該箔要素の成分AおよびCの軟化温度未満の処理温度にて、アイソタティック高圧変形する工程、
iii) 適切な場合には、工程iii)で得られた本発明の箔要素をインモールド装飾する工程
を含む、三次元変形箔要素の製造方法。
【請求項15】
陸上車、船舶および航空機のための装飾パネルまたはカバーまたはディスプレイ要素を形成するための、陸上車、船舶および航空機における安全ベルトパネルまたは警告表示パネルを形成するための、建築物における警告表示パネルを形成するための、および移動式電子機器または固定式電子機器のためのハウジング要素を形成するための、または小さいまたは大きい家庭用品を形成するための、またはキーボードを形成するための、請求項1〜11のいずれかに記載のまたは請求項13にしたがって製造された箔要素、または請求項12に記載のまたは請求項14にしたがって製造された三次元変形箔要素、の使用。

【公表番号】特表2010−511982(P2010−511982A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539662(P2009−539662)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2007/010599
【国際公開番号】WO2008/068016
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】