説明

単一ホールセンサーを用いたシートの位置制御方法

【課題】 各モーターの動作区間の端にセンサーエラー無視区間を適用してセンサーエラー無視区間内でのセンサーエラー発生を無視し、現在位置をリミット位置に更新する一つのホールセンサーを用いたシートの位置制御方法を提供する。
【解決手段】本発明は、一つのホールセンサーを用いてモーターの回転によるシートの位置を制御する方法において、スイッチの作動によるシートの前進または後進の際にモーターの回転に応じてホールセンサーからパルスを出力するパルス出力段階と、ホールセンサーから出力されるパルスがセンサーエラー条件以内に出力されるようにモーターの回転を制御するモーター制御段階と、ホールセンサーから出力されたパルスがセンサーエラー条件以内に出力されたか否かを確認するエラー条件確認段階と、エラー条件確認段階でセンサーエラー条件以上に出力されたと確認される場合にセンサーエラーを発生させるセンサーエラー発生段階と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一ホールセンサーを用いたシートの位置制御方法に係り、より詳しくは、単一のホールセンサーを用いて運転者のシートまたはステアリングコラムの位置を記憶して運転位置を自動的に再生する単一ホールセンサーを用いたシートの位置制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車用電動式メモリシートは、1台の車両を複数の運転者が使用する場合、運転者別にそれぞれの体型に合う最適のシート位置を記憶しており、運転者が着席した後、メモリ位置制御機能ボタンが入力されると、当該運転者の体型に合う位置へ移動する機能を持つ電動シートである。
通常、電動シートは、駆動の目的に応じてスライド(Slide)、チルト&ハイト(tilt & Height)、リクライナー(Recliner)に小型の直流モーターを装着して使用する。メモリ位置制御機能を持つ電動シートは、位置を制御するためにモーターの回転数を検出する必要があるが、このために、モーターの回転軸と共に回転するリングマグネットとリードスイッチまたはホールセンサーを用いる。
【0003】
しかし、上記モーターでは、ホールセンサーまたはリードスイッチから生成されるパルス波形のカウンティング(counting)によってパワーシート制御ユニット(Power Seat Control Unit)における電動シートの位置のみを制御するようになっており、スライドの前後進、チルト&ハイトのアップ・ダウンおよびリクライナーのアップ・ダウンなどの駆動進行方向を判断することができない。
したがって、各シートの駆動作動範囲(ストローク)を制限するためには、シートメカニズムに、別途のリミットスイッチ(limit switch)または機械的に強制拘束させるストッパー(stopper)を装着しなければならない。
【0004】
これにより、相対的に高価のリミットスイッチを装着する場合には原価上昇要因が発生し、機械的に強制拘束させるストッパーを装着する場合には強制拘束が長期間反復的に発生すればモーターおよびシートメカニズムに損傷を与えることにより、電動シートの耐久性が低下し、拘束の際に発生する衝撃によって乗客の不満を引き起こす恐れがあると言う問題点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平06−032160号公報
【特許文献2】特開平05−038971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、各モーターの動作区間の端にセンサーエラー無視区間を適用してセンサーエラー無視区間内でのセンサーエラー発生を無視し、現在位置をリミット位置に更新する一つのホールセンサーを用いたシートの位置制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係るホールセンサーを用いたシートの位置制御方法は、一つのホールセンサーを用いてモーターの回転によるシートの位置を制御する方法において、スイッチの作動によるシートの前進または後進の際にモーターの回転に応じてホールセンサーからパルスを出力するパルス出力段階と、ホールセンサーから出力されるパルスがセンサーエラー条件以内に出力されるようにモーターの回転を制御するモーター制御段階と、ホールセンサーから出力されたパルスがセンサーエラー条件以内に出力されたか否かを確認するエラー条件確認段階と、エラー条件確認段階でセンサーエラー条件以上に出力されたと確認される場合にセンサーエラーを発生させるセンサーエラー発生段階と、を含むことを特徴とする。
【0008】
前記センサーエラー条件はホールセンサーから出力されるパルスが6パルス以内であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、モーターの動作区間の端にそれぞれセンサーエラー無視区間を適用する無視区間適用段階と、エラー条件確認段階でセンサーエラー条件以上に出力されずシートが前進または後進動作した場合、現在位置がモーターの動作区間の間であるか否かを確認する動作区間確認段階と、現在位置がモーターの動作区間の間ではなくセンサーエラー無視区間であり且つセンサーエラー条件以上にパルスを出力する場合、センサーエラーを無視したまま現在位置をリミット位置として決定し、所定の行程距離を適用して反対側のリミット位置を自動的に決定するリミット位置決定段階と、をさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のホールセンサーを用いたシートの位置制御方法によれば、モーターのホールセンサーの数量を減少させることにより、コスト節減を図ることができ、一つのホールセンサーの設置により発生しうる問題を遮断して信頼性を確保することができる。
また、リミットスイッチを設置しなくても、センサーエラー無視区間でセンサーエラーを無視したまま現在位置をリミット位置に更新し、反対側のリミットを所定の行程距離を適用して自動更新させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例に係単一ホールセンサーを用いたシートの位置制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施例に係る単一ホールセンサーを用いたシートの位置制御方法について説明する。
本発明の単一ホールセンサーを用いたシートの位置制御方法は、モーターの回転によるシートの位置を一つのホールセンサーを用いて制御する方法であって、スイッチの作動によるシートの前進または後進の際にモーターの回転に応じてホールセンサーからパルスを出力するパルス出力段階(S100)と、ホールセンサーから出力されるパルスがセンサーエラー条件以内に出力されるようにモーターの回転を制御するモーター制御段階(S200)と、ホールセンサーから出力されたパルスがセンサーエラー条件以内に出力されたか否かを確認するエラー条件確認段階(S300)と、エラー条件確認段階(S300)でセンサーエラー条件以上に出力されたと確認される場合にセンサーエラーを発生させるセンサーエラー発生段階(S400)とを含む。
【0013】
ここで、前記センサーエラー条件は、モーターの回転の際に機構的に動作区間の端に到達しないようにするために、ホールセンサーから出力されるパルスが6パルス以内に出力されるようにモーターの動作を制御することである。
これは機構的に端における再生、上昇下降車連動およびマニュアルスイッチによる作動の際に6パルス以前に止まるようにモーターを制御して機構的に端まで到達することができないようにしたものである。
【0014】
その際、センサーエラー条件をおいて6パルス以前に止まるようにしたが、モーターの中止時の重力による慣性で反対方向に移動するときの累積誤差が発生する。このため、6パルス前にモーターをOFFにしたが、6パルス以上の誤差が発生するおそれがあり、この場合にセンサーエラーが発生する。
エラー条件確認段階(S300)でセンサーエラー条件以上に出力されていない場合には、モーターの回転動作によってシートが前進または後進動作する。
【0015】
一方、シートの前進または後進動作の際に現在位置がモーターの動作区間の間であるか否かを確認する動作区間確認段階(S600)を含み、各シートに設置されたモーターの動作区間の端にセンサーエラー無視区間を適用する無視区間適用段階(S500)と、センサーエラー無視区間でセンサーエラー条件以上にパルスを出力するとき、センサーエラーを無視したまま現在位置をリミット位置として決定し、所定の行程距離を適用して反対側のリミット位置を自動的に決定するリミット位置決定段階(S700)とを含む。
これは、リミットスイッチを使用しなくてもモーターの動作区間のリミットを設定することができるもので、センサーエラー無視区間でモーターのリミット位置を決定してモーターの正回転または逆回転動作を制御することができる。
【0016】
図1は本発明の一実施例に係る単一ホールセンサーを用いたシートの位置制御方法を示すフローチャートである。まず、マニュアルスイッチによる作動でモーターが回転しながらシートの位置を前進または後進移動させる。この際、モーターの回転に応じてホールセンサーからパルスを出力し(S100)、該ホールセンサーから出力されるパルスがセンサーエラー条件以内に出力されるようにモーターの回転を制御する(S200)。
【0017】
その後、モーターの回転に応じてホールセンサーから出力されたパルスがセンサーエラー条件以内に出力されたか否かを確認するエラー条件確認段階(S300)を行い、エラー条件確認段階(S300)でセンサーエラー条件以上に出力されたと確認される場合にセンサーエラーを発生させるセンサーエラー発生段階(S400)を行い、センサーエラー条件以上に出力されていない場合にはシートが前進または後進作動する(S410)。
【0018】
シートの前進または後進動作の際にその範囲を制限するが、このために、モーターの動作区間の端にそれぞれセンサーエラー無視区間を適用し(S500)、シートの現在位置がモーターの動作区間の間であるか否かを確認する動作区間確認段階(S600)を行う。
動作区間確認段階で現在位置がモーターの動作区間の間ではなくセンサーエラー無視区間であると確認されると、センサーエラー条件以上にパルスを出力しているかを確認する(S710)。この際、センサーエラー条件以上にパルスを出力していない場合には、現在位置をリミット位置として設定し(S740)、ホールセンサーからセンサーエラー条件以上にパルスを出力する場合にはセンサーエラーを発生させる(S720)。
【0019】
センサーエラー発生の際にはセンサーエラーを無視し(S730)、現在位置をリミット位置として決定し、所定の行程距離を適用して反対側のリミット位置を自動的に決定する(S740)。
したがって、リミットスイッチを設置しなくても、センサーエラー無視区間でセンサーエラーを無視することにより、現在位置をリミット位置として決定することができ、これによりシートの移動を制限範囲内で効果的に制御して移動させることができる。
【0020】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の属する技術範囲を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0021】
S100 パルス出力段階
S200 モーター制御段階
S300 エラー条件確認段階
S400 センサーエラー発生段階
S500 動作区間確認段階
S600 無視区間適用段階
S700 リミット位置決定段階


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つのホールセンサーを用いてモーターの回転によるシートの位置を制御する方法において、
スイッチの作動によるシートの前進または後進の際にモーターの回転に応じてホールセンサーからパルスを出力するパルス出力段階と、
前記ホールセンサーから出力されるパルスがセンサーエラー条件以内に出力されるようにモーターの回転を制御するモーター制御段階と、
前記ホールセンサーから出力されたパルスがセンサーエラー条件以内に出力されたか否かを確認するエラー条件確認段階と、
前記エラー条件確認段階でセンサーエラー条件以上に出力されたと確認される場合にセンサーエラーを発生させるセンサーエラー発生段階と、
を含んでなることを特徴とする単一ホールセンサーを用いたシートの位置制御方法。
【請求項2】
前記センサーエラー条件は前記ホールセンサーから出力されるパルスが6パルス以内であることを特徴とする請求項1に記載の単一ホールセンサーを用いたシートの位置制御方法。
【請求項3】
モーターの動作区間の端にそれぞれセンサーエラー無視区間を適用する無視区間適用段階と、
前記エラー条件確認段階でセンサーエラー条件以上に出力されずにシートが前進または後進動作した場合、現在位置がモーターの動作区間の間であるか否かを確認する動作区間確認段階と、
現在位置がモーターの動作区間の間ではなくセンサーエラー無視区間であり且つセンサーエラー条件以上にパルスを出力する場合、センサーエラーを無視したまま現在位置をリミット位置として決定し、所定の行程距離を適用して反対側のリミット位置を自動的に決定するリミット位置決定段階と、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の単一ホールセンサーを用いたシートの位置制御方法。

【図1】
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