説明

印刷データ変換方法

【課題】ホストコンピュータで作成されたホスト印刷データから、オペレータが設定した条件に基づき、文字コードに対応する文字属性を変更可能な印刷データの変換方法を提供する。
【解決手段】プリンタコントローラ24は、文字属性変換テーブル23に記述された情報をプリンタコントローラ24内のバッファに保存する。次に、ホストコンピユター4から転送されたホスト印刷データ41を読み込み、制御コードや文字コードを解析する。その制御コードに文字属性変換テーブル23に記載された文字属性、例えば、フォント種がある場合、文字属性変換テーブル23に記述されている変換後のフォント種をフォントメモリ22からロードし、プリンタコントローラ24内の描画領域に文字を書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基幹系システム上の印刷データ(ホスト印刷データ)を、オープン系システム上の印刷データに変換し、該オープン系システム上のプリンタで印刷する場合など、異なる情報処理環境間における印刷データの変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータの能力が著しく向上したこと、並びに、ネットワーク技術が発達し、高速、大容量の情報通信が可能となったことなどから、従来大型のホストコンピュータを中心とした、いわゆる基幹系システムで行ってきた電算業務を、ネットワークで相互に接続された個々のパーソナルコンピュータやワークステーション等に分散させて行う、いわゆるオープン系システムへの移行が進んでいる。このような流れの中で、従来、基幹系システムで印刷していたホスト印刷データを、オープン系システム上でも印刷や編集したいという要望が出てきている。
【0003】
基幹系システムで用いられるホストコンピュータ上で作成されるホスト印刷データは、COBOLなどのプログラム言語を元に作成されることが多い。ホスト印刷データは、基本的には、印刷されるべき文字等を示す文字コードと、それらを制御する為の制御コードの羅列で構成されているものが多い。この制御コードによって文字属性も指定されており、明朝体、ゴシック体と言ったフォント種、フォントサイズ、文字修飾、文字間隔、文字位置などが指定されている。
【0004】
一般に、プリンタとコントローラとからなる印刷システムにおいては、印刷システム毎にフォントセットが用意されている。ここで言うフォントセットとは、明朝、ゴシックと言った複数のフォント種が1セットとなったもののことである。このフォントセットは、印刷システムの動作するオペレーティングシステムが提供するもの(システムフォントとも呼ぶ)、プリンタが保持しているもの(プリンタフォントとも呼ぶ)などがある。またユーザーがフォントメーカーから各種フォント種を購入して、これらシステムフォント、プリンタフォントに追加することも可能である。
【0005】
さて、第1の情報処理環境(例えば基幹系システム)における印刷データを、第2の情報処理環境(例えばオープン系システム)における印刷データに変換するに当たって、基本的には最終印刷物(印字物)として同じ結果が得られることが目的である。従って、フォント種や、フォントサイズと言った文字属性は、第1の情報処理環境における指定と、第2の情報処理環境における指定とは同じとなるように印刷データの変換を行うのが通常である(例えば、フォントデータの変換については特許文献1にも例示がある)。
【0006】
ところが、印刷システム毎にフォントセットが異なるため、必ずしもこれら文字属性を同じ指定として変換する事ができない場合がある。極端な例として、第1の情報処理環境における印刷データ中に、「丸ゴシック体」と称されるフォント種の指定があったとする。ところが、変換される第2の情報処理環境における印刷システム内のフォントセットに「丸ゴシック体」と称されるフォント種が含まれていない場合には、「丸ゴシック体」の文字の変換ができないと言う問題がある。
【0007】
このような場合、第1の情報処理環境における印刷データ、たとえばホストコンピュータで作成されたホスト印刷データのフォント指定を変更する必要があるが、フォント種を変更する場合には、ホスト印刷データを開き、ホスト印刷データ中に指定されている複数のフォントの中から、変更したいフォントの制御コードを探し、該制御コードをオペレータが好むフォントの制御コードに変更するなどの面倒な作業を行う必要がある。また、ホスト印刷データを変更すると、元のホスト印刷データが失われてしまうので、変更前にホスト印刷データを複写しておくなどの面倒な作業が必要となる。
【0008】
また、第1の情報処理環境の印刷システムと第2の情報処理環境における印刷システムで、同じ名称のフォント種が存在したとしても、最終印字物として同じ印刷結果が得られないという問題もある。
【0009】
前述のようにフォントセットはオペレーティングシステムが提供するものや、プリンタメーカーが提供するもの、あるいはユーザーがフォントメーカーから購入するものなど多岐にわたっている。この為、例えば、同じ「細明朝体」と称されるフォント種であっても、オペレーティングシステム、プリンタメーカー、フォントメーカーが異なると、字画の太さ、文字幅、文字枠内での位置、文字の間隔、跳ねや払いなどが微妙に異なる場合がある。この結果、最終印字物としての印刷結果が微妙に異なってくることがある為である。また文字幅が異なると、プレ印刷された枠の中に、文字を印字する場合に枠から文字がはみ出てしまうこともある。
【0010】
この、字画の太さ、文字幅、文字枠内での位置、文字の間隔、跳ねや払いなどなどが微妙に異なるという傾向は、字画の少ない、数字(アラビア数字)、アルファベット、ひらかな、カタカナなどで特に顕著となる場合がある。
【0011】
以上のような場合、たとえば「細明朝体」のみを、あるいはさらに「細明朝体」の数字、アルファベット、ひらかな、カタカナのみを、例えばフォントサイズをわずかに変えて変換したり、ボールド(太字)の文字修飾を追加指定して変換したりすることで、より元の印刷結果に近付けることができる場合があるが、従来の技術においては、特定のフォント種、あるいは特定の文字のみの文字属性を変更することができないため、同じ印刷結果が得られがたいと言う問題があった。
【0012】
またさらに、ビットマップデータとして全く同じフォント種であったとしても、使用されるプリンタの印字特性の違いの為、最終印字物上での印字結果が異なってくる場合もある。これは例えば、第1の情報処理環境において電子写真方式によるプリンタを用いていたのに対し、第2の情報処理環境においてインクジェット方式によるプリンタを用いる場合など、異なる方式のプリンタを用いる場合などである。インクジェット方式のプリンタでは、使用する記録媒体によってインクのにじみ度合いが異なり、電子写真方式による印字に比べ文字の字画が太くなったり逆に細くなったりする場合がある。
【0013】
また、同じ方式のプリンタを用いる場合でも、機種毎に細線の印字特性がわずかに異なることもあり、文字の字画がわずかに太くなったり、逆に細くなったりし、見た目に異なった印象を与える場合もある。
【0014】
このような、使用されるプリンタの方式や機種間の印字特性の差によって、最終印字物上での印字結果が異なってくる傾向は、例えば「細明朝」「細ゴシック」など比較的字画の幅の狭い特定のフォント種で顕著な場合が多い。また、文字の中でも字画の少ない、数字(アラビア数字)、アルファベット、ひらかな、カタカナなどで特に顕著となる場合が多い。
【0015】
このような場合、たとえば「細明朝体」のみを、あるいは数字、アルファベット、ひらかな、カタカナのみを、例えばフォントサイズをわずかに変えて変換したり、ボールド(太字)の文字修飾を追加指定して変換したりすることで、より元の印刷結果に近付けることができる場合があるが、従来の技術においては、特定のフォント種、あるいは特定の文字のみの文字属性を変更することができないため、同じ印刷結果が得られがたいと言う問題があった。
【0016】
【特許文献1】特開2000−311075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明が解決しようとする課題は、ホストコンピュータで作成されたホスト印刷データから、オペレータが設定した条件に基づき、文字コードに対応する文字属性を変更可能な印刷データの変換方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため、本発明において、第1の情報処理環境における印刷データを、第2の情報処理環境における印刷データに変換する印刷データ変換方法であって、前記第1の情報処理環境における印刷データ中の特定の文字コードに対応する文字の文字属性及び/又は特定の文字属性が指定された文字の文字属性を、前記第1の情報処理環境における文字属性の指定とは異なる文字属性の指定に変更して、前記第2の情報処理環境における印刷データに変換することを特徴とする印刷データ変換方法が提供される。
【0019】
本発明の態様において、前記第1の情報処理環境における印刷データ中の特定の文字コードに対応する文字及び/又は特定の文字属性が指定された文字が、数字、アルファベット、ひらかな、カタカナのいずれか又はそれらの2つ以上の組み合わせであることを特徴とする印刷データ変換方法が提供される。
【0020】
本発明の態様において、前記文字属性がフォント種であることを特徴とする印刷データ変換方法が提供される。
【0021】
本発明の態様において、前記文字属性がフォントサイズであることを特徴とする印刷データ変換方法が提供される。
【0022】
本発明の態様において、前記文字属性が文字修飾であることを特徴とする印刷データ変換方法が提供される。
【0023】
本発明の態様において、前記文字属性が文字間隔であることを特徴とする印刷データ変換方法が提供される。
【0024】
本発明の態様において、前記文字属性が文字位置であることを特徴とする印刷データ変換方法が提供される。
【発明の効果】
【0025】
このように本発明によれば、ホストコンピュータ4から転送されたホスト印刷データ41を、コントローラ2の文字属性変換テーブル23を使って、オペレータが好む文字属性に変換して印刷することができる。例えば、フォント種を角ゴシックから丸ゴシックに変更したり、フォントサイズを小さくしたり、文字修飾や文字間隔や文字位置を変更したりして印刷することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は、本発明の印刷システムの基本構成を例示するものである。図1に示すように、本印刷システムは、プリンタエンジン1、該プリンタエンジン1が接続されているコントローラ2、ホストコンピュータ4とから構成されている。コントローラ2、ホストコンピュータ4はネットワーク3に接続されている。
【0027】
ネットワーク3はインターネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)等の電子通信網である。本システムはネットワーク3に接続されたホストコンピュータ4上のホスト印刷データ41をコントローラ2に転送し、プリンタコントローラ24とプリンタエンジン1を用いて記録媒体に印刷を行っている。ホストコンピュータ4は、大規模な計算処理やネットワーク全体の管理、制御処理などを集中的に行うコンピュータである。
【0028】
尚、図1に示す実施例に於いて、ホストコンピュータ4の変わりに、ホスト印刷データ41を保存するハードディスクドライブ等の外部記憶装置を接続し、該外部記憶装置からホスト印刷データ41を得るようにしてもよい。また、図1に示す実施例に於いて、ホストコンピュータ4は、ネットワーク3に1台のみ接続されているが、複数台のホストコンピュータ4が接続されていても良い。
【0029】
コントローラ2は、スプーラ21とプリンタコントローラ24とビデオボード25を有する。スプーラ21はホストコンピュータ4から転送されたホスト印刷データ41を受信、保存(スプール)、処理、スケジューリング、配布などを行うダイナミックライブラリ(DLL)の集まりで、通常はコンピュータのオペレーティングシステムの機能の一部として提供されている。
【0030】
プリンタコントローラ24はスプーラ21からホスト印刷データ41を受信し、プリンタエンジン1用のビデオデータや制御データに変換してプリンタエンジン1に送信する機能を持つソフトウェアである。
【0031】
前記ビデオデータとはプリンタエンジン1の解像度に対応したビットマップデータであり、前記制御データとはプリンタエンジン1の動作や処理を実行させるデータである。ここでいう動作とは例えば用紙送りなどを意味し、又、処理とは、例えば、プリンタエンジン1のエラー情報などのステータスを得ることを意味する。
【0032】
プリンタコントローラ24はプリンタエンジン1用の制御データをプリンタエンジン1に送信し、動作や処理をコントロールする。ビデオボード25は、プリンタコントローラ24から送信されたプリンタエンジン1用のビデオデータや制御データをプリンタエンジン1に送信する機能をもつハードウェアである。また、ビデオボード25はプリンタエンジン1からステータスを受信する機能も持つ。ビデオボード25は、コントローラ2のシステムバスを通じて、プリンタコントローラ24との通信を行う。ビデオボード25とプリンタエンジン1は専用ビデオケーブルを通じて通信を行う。プリンタエンジン1はビデオボード25を通じてプリンタコントローラ24から転送されるビデオデータを元に記録媒体に印刷する機能を持つ印刷装置である。
【0033】
本明細書に於いては、文字属性などを示すコードを制御コードとよぶ。これらは、例えば、改行(CR)やエスケープ(ESC)など、ASCIIコードの00H〜1FHのコード範囲に配置されていることが多いコードである。
【0034】
一方、文字コードとは、文字や記号をコンピュータで扱うために、文字や記号一つ一つに割り当てられた固有のコードである。1バイト系の文字コードとしては、ASCIIが世界標準となっているが、一部のコンピュータでは、EBCDICを使う場合もある。また、日本ではシフトJISコードなども利用されている。本明細書に於いては、1バイト系及び2バイト系を問わず、文字コードの内、漢字、ひらかな、カタカナ、数字、アルファベット大文字、同小文字等、各国言語で使用される文字を表すコードを文字コードと称する。また、文字以外の、括弧、句読点、カンマ、等の記述記号、算術記号、罫線、その他システム上で設定された特殊記号なども文字コードと呼ぶこととする。そして文字コードで表されるものを文字と呼ぶこととする。
【0035】
図2は本発明の印刷システムにおけるホストコンピュータ4とコントローラ2間のデータの流れを例示するものであり、ホストコンピュータ4上のホスト印刷データ41は、制御コードと文字コードから構成されている。制御コードとしては、改行や改ページ、指定桁数または指定行数への移動など、印字位置に関する情報を有するもの、フォント種、フォントサイズ、イタリックやボールドといった文字修飾、文字間隔、文字枠内の文字位置など、文字属性に関する情報を有するものが有る。
【0036】
該制御コードを元に、プリンタコントローラ24はプリンタエンジン1に転送するビデオデータを作成する。プリンタコントローラ24は、まず後述する文字属性変換テーブル23を読み込み、文字属性変換テーブル23に記述された情報をプリンタコントローラ24内のバッファに保存する。次に、ホストコンピュータ4から転送されたホスト印刷データ41を読み込み、制御コードや文字コードを解析する。
【0037】
制御コードに、文字属性変換テーブル23内に記述された文字属性、例えば、フォント種が見つかった場合に、文字属性変換テーブル23に記述されている変換後のフォント種をフォントメモリ22からロードし、文字コードに合わせて、プリンタコントローラ24内のビデオデータを作成するための描画領域に文字を書き込む。一方、制御コードに、文字属性変換テーブル23内に記述された文字属性、例えば、フォント種がない場合は、制御コードに記述されたフォント種をプリンタコントローラ24にロードする。
【0038】
図3は本発明の印刷システムにおける文字属性変換テーブル23を例示するものであり、文字属性変換テーブル23には、ホスト印刷データ41で指定している文字属性と、変換後の文字属性が記述されている。図3の例では、ホスト印刷データ41で指定された角ゴシック体の文字コードを、コントローラ2に内蔵された丸ゴシック体のフォントに変換して印刷することを指定している。
【0039】
プリンタコントローラ24は、事前に文字属性変換テーブル23を読み込み、ホスト印刷データ41に記述された角ゴシック体の制御コードを見つけた場合に、変換後の丸ゴシック体のフォントデータをフォントメモリ22からロードすることによって、丸ゴシック体のフォントで文字の印刷が可能である。
【0040】
また文字属性変換テーブル23に記述されていない文字属性が制御コードに見つかった場合、図3の例において例えば明朝体は、フォント種を変換せずに、コントローラ2に内蔵された明朝体で印刷する。
【0041】
図4は本発明の印刷システムにおける文字属性変換テーブル23のフォントサイズを変更した場合を例示するものであり、図4の例で指定している文字属性は、フォント種とフォントサイズとである。前述のとおり、本発明の印刷システムは、文字属性変換テーブル23を使って、オペレータが好む文字属性に変換することが可能である。
【0042】
図4(a)の例では、11ポイントの文字属性を持つ文字コードを10.5ポイントに変換して印刷することが可能である。ポイントとは、欧米の活字サイズに基づく単位で、1ポイントは約1/72(25.4mm)である。
【0043】
ホスト印刷データ41には、フォント種以外に、フォントサイズを有する場合がある。例えば、本実施例の印刷システムが有するコントローラ2に内蔵しているフォントサイズが、ホストコンピュータ専用プリンタに内蔵しているフォントサイズに比べて大きく、文字がプレ印刷の枠からはみ出る場合などにおいて、本発明の印刷システムは、フォントサイズを小さくして、プレ印刷の枠内に文字を収めることが可能である。フォントサイズは、前述の計算通り、1/72(25.4mm)で求まるが、フォントによっては、1文字単位の余白の幅を大きく取るなどによって印刷する文字の大きさが異なる場合がある。
【0044】
図4(b)の例では、すべての文字コードを0.3ポイント大きくして印刷することが可能である。図4(b)の例の通り、文字属性変換テーブル23の変換後のフォントサイズに+(プラス)または−(マイナス)の表示がある場合は、ホスト印刷データ41のフォントサイズを指定することなく、すべての文字コードのフォントサイズを変更することが可能である。本実施例の印刷システムでは、+(プラス)表示されている場合は、フォントサイズを大きくし、−(マイナス)表示されている場合は、フォントサイズを小さくしている。
【0045】
図4(c)の例では、角ゴシック体の10ポイントの文字コードを丸ゴシック体の9.5ポイントに変換することが可能である。前述のとおり、複数の文字属性の中から、変更したい文字属性のみを抽出して、変換することが可能である。この例では、角ゴシック体の10ポイント以外の文字コードは、丸ゴシックに変換されるものの、フォントサイズはホスト印刷データ41で指定されたサイズで印刷され、10ポイントの文字コードのみ、9.5ポイントのサイズでの印刷が可能である。
【0046】
図5は本発明の印刷システムにおける文字属性変換テーブル23の文字修飾を変更した場合を例示するものである。文字修飾とは、文字のスタイルを太字や斜体に変更したり、下線や影付きなどの文字飾りを付加することである。図5で指定している文字属性は、フォント種とフォントサイズと文字修飾である。
【0047】
図5(a)の例では、標準スタイルの文字コードを太字(ボールド)スタイルの文字コードに変換して印刷することが可能である。例えば、本実施例の印刷システムが有するコントローラ2に内蔵しているフォントが、ホストコンピュータ専用プリンタに内蔵しているフォントに比べて、文字が細い場合、本発明の印刷システムは、スタイルを変更して、文字を太く印刷することが可能である。
【0048】
図5(b)の例では、角ゴシック体の10ポイントの標準スタイルの文字コードを、丸ゴシック体の9.5ポイントの太字スタイルに変換することが可能である。本実施例では、フォント種とフォントサイズと文字修飾の全てを文字属性変換テーブル23に設定しているが、2つ以上の項目を組み合わせて設定することも可能だし、図5(a)のように、1つだけの項目を文字属性変換テーブル23に設定することも可能である。
【0049】
図6は本発明の印刷システムにおける文字属性変換テーブル23の文字間隔を変更した場合を例示するものである。文字間隔とは、隣り合う1文字単位の文字と文字の間隔を意味し、一般にはポイントやmmなどで表現される。
【0050】
図6の例では、10ポイントの文字コードを、9.5ポイントに変換し、さらに文字間隔をホスト印刷データ41に対して、0.5ポイント広げて印刷することが可能である。前述のとおり、プリンタフォントによって、同じフォントサイズであっても、文字の大きさが異なる場合があり、例えばプレ印刷した枠内に文字を収めたい場合には、本発明の印刷システムのように、容易にフォントサイズが変更できることを示した。一方、フォントサイズを変更してしまうと、文字列の場合、文字間隔が狭まり、結果文字数が増える毎にプレ印刷された枠からずれて、文字が印刷される問題が生じる。
【0051】
一般に印刷システムに使用される印刷データは、文字列の先頭に制御コマンドとして、文字の印字位置を記述している。例えば、1文字単位に印字位置の制御コマンドが記述されているような印刷データの場合、本実施例のようにフォントサイズを変換したとしても、印字位置が変更されることはない。しかし、一般に印刷データ容量を軽減させるために、1文字単位に印字位置を記述することは少なく、本実施例のホスト印刷データ41も同様、文字列の先頭にのみ、印字位置の制御コマンドが記述されている。
【0052】
このように文字列の先頭のみに、印字位置が記述されている場合に、前述のとおり、フォントサイズの変更とともに文字間隔を変更することが望ましい。本実施例の印刷システムでは、+(プラス)表示されている場合は、文字間隔を広げ、−(マイナス)表示されている場合は、文字間隔を狭めている。
【0053】
図7は本発明の印刷システムにおける文字属性変換テーブル23の文字位置を変更した場合を例示するものであり、図7の例では、すべての文字コードを横方向に右側0.1ポイント移動し、縦方向に上側0.2ポイント移動することが可能である。前述のとおり、プリンタによって内蔵しているプリンタフォントが異なり、そのため同じ文字属性であっても、文字の大きさや形が異なることがある。また文字の配置位置が微妙に異なる場合がある。
【0054】
例えば、10ポイントの文字サイズの場合、およそ3.5mm枠中に文字を描画しているが、その枠内のどの位置に描画するかは、フォントによって異なる場合がある。例えば、本実施例の印刷システムの場合、ホストコンピュータ専用プリンタが内蔵するフォント位置と異なるため、プレ印刷した枠内の中央に印刷することができない。そこで、図7に示すように、ホスト印刷データ41が示す印字位置に対して、文字位置を右に0.1ポイント、上に0.2ポイント移動させることによって、プレ印刷された枠の中央に文字を配置させ印刷することが可能となる。
【0055】
本発明の印刷システムでは、横方向に+(プラス)表示がある場合は、右方向に印字位置を移動し、−(マイナス)表示がある場合は、左方向に印字位置を移動する。また縦方向に+(プラス)表示がある場合は、下方向に印字位置を移動し、−(マイナス)表示がある場合は、上方向に印字位置を移動する。
【0056】
図8は本発明の印刷システムにおける文字属性変換テーブル23の特定の文字コードに対応する文字属性を変更した場合を例示するものであり、図8の例では、角ゴシック体の12ポイントの0〜9までの数字のみを、丸ゴシック体の11ポイントの数字に変換することが可能である。これまでは、制御コードの文字属性を読み込み、オペレータが好む文字属性に変換してきた例を示したが、文字コードを読み込み、文字コード毎に文字属性を
変更することも可能である。
【0057】
これまでプレ印刷された枠内に文字を収めるために、フォントサイズを変更するなどの方法を示した。プレ印刷された枠内に文字を記述する場合、多くが数字及び/またはアルファベットである。例えば、請求書の金額や会員番号などがあり、それらは数字及び/またはアルファベットが使用される。
【0058】
またプリンタフォントによっては、字画の少ない数字のアルファベット、ひらかな、カタカナなどで、字画の太さ、文字幅、文字枠内での位置、文字の間隔、跳ねや払いなどが異なる傾向がある。このような場合に、数字、アルファベット、ひらかな、カタカナのみ文字属性を変更できることは有効である。
【0059】
プリンタコントローラ24では、制御コード以外の文字コードを読み込み、そのコードに合わせたフォントをフォントメモリ22から読み込む。このため、制御コードを解析して文字属性を変更できることはもちろん、文字コードを解析し、特定の文字コードのみオペレータが好む文字に変換することは、容易である。
【0060】
本実施例の印刷システムで指定した文字属性変換テーブル23は、ポイントを使って数値を記述したが、ミリメートルやインチであっても良い。また本実施例の印刷システムで指定した文字属性変換テーブル23は、コントローラ2のハードディスクに事前にテキスト形式のファイルを作成しているが、印刷時に操作パネル上に文字属性変換テーブル23を表示させ、オペレータが自由に編集しても良い。
【0061】
図9は本発明の印刷システムにおける文字属性変換テーブル23の画面を例示するものである。本実施例の印刷システムは、文字属性変換テーブル23をCSVのファイル形式で記述している。CSVとは、Comma Separated Valuesの略で、データをカンマ(,)で区切り並べたファイル形式であり、主に表計算ソフトやデータベースソフトのデータ保存方法に用いられる。
【0062】
CSVのファイル形式で記述したデータは、例えば図9(a)のような表計算ソフトで読み込むことが可能である。また表計算ソフトを使って容易にデータを編集及び/または保存することも可能である。さらに該ファイル形式の実体は、テキストファイルであるため、例えば図9(b)のようなテキストエディタやワープロなどで読み込み、直接編集することも可能である。このように、オペレータは表計算ソフトやテキストエディタによって、容易に文字属性変換テーブル23の閲覧及び/または編集が可能である。
【0063】
本実施例の印刷システムのホスト印刷データは、フォントサイズ、文字修飾によってフォント名が定められている。例えば、ABC10と呼ばれるフォントは、明朝体の10ポイントのサイズの標準スタイルのフォントを意味する。本実施例の印刷システムでは、ホスト印刷データを読み込み、印刷データに記述されているホストフォントを抽出して、文字属性変換テーブルを作成することも可能である。
【0064】
図10は本発明の印刷システムにおける文字属性変換テーブル23の操作パネルを例示するものである。本実施例の印刷システムは、CSVのファイル形式で記述された文字属性変換テーブル23をコントローラの操作パネルで閲覧または/及び編集が可能である。
【0065】
図10に示すように、文字属性変換テーブルは、表形式に表示される。本実施例の印刷システムは、図10に示す変換テーブル読込ボタンによって、文字属性変換テーブル23を操作パネルに読み込むことが出来る。また編集ボタンを押すことによって、表に記述されているフォント種、サイズ、文字修飾、文字間隔、文字位置、文字コードを編集することも可能である。編集ボタンを押すと、各表に記述された文字を直接コントローラのキーボードによって、文字の消去または/及び書き込みが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】印刷システムの基本構成を示すブロック図である。
【図2】ホストコンピュータとコントローラ間のデータの流れを示すブロック図である。
【図3】文字属性変換テーブルのフォント種の変換を示す図である。
【図4】文字属性変換テーブルのフォントサイズの変換を示す図である。
【図5】文字属性変換テーブルの文字修飾の変換を示す図である。
【図6】文字属性変換テーブルの文字間隔の変換を示す図である。
【図7】文字属性変換テーブルの文字位置の変換を示す図である。
【図8】文字属性変換テーブルの特定文字コードの文字属性の変換を示す図である。
【図9】文字属性変換テーブル画面の一例を示す図である。
【図10】文字属性変換テーブル操作パネルを示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1 プリンタエンジン
2 コントローラ
3 ネットワーク
4 ホストコンピュータ
21 スプーラ
22 フォントメモリ
23 文字属性変換テーブル
24 プリンタコントローラ
25 ビデオボード
41 ホスト印刷データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の情報処理環境における印刷データを、第2の情報処理環境における印刷データに変換する印刷データ変換方法であって、前記第1の情報処理環境における印刷データ中の特定の文字コードに対応する文字の文字属性及び/又は特定の文字属性が指定された文字の文字属性を、前記第1の情報処理環境における文字属性の指定とは異なる文字属性の指定に変更して、前記第2の情報処理環境における印刷データに変換することを特徴とする印刷データ変換方法。
【請求項2】
前記第1の情報処理環境における印刷データ中の特定の文字コードに対応する文字及び/又は特定の文字属性が指定された文字が、数字、アルファベット、ひらかな、カタカナのいずれか又はそれらの2つ以上の組み合わせに属するものであることを特徴とする請求項1に記載の印刷データ変換方法。
【請求項3】
前記文字属性がフォント種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷データ変換方法。
【請求項4】
前記文字属性がフォントサイズであることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷データ変換方法。
【請求項5】
前記文字属性が文字修飾であることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷データ変換方法。
【請求項6】
前記文字属性が文字間隔であることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷データ変換方法。
【請求項7】
前記文字属性が文字位置であることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷データ変換方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−245092(P2009−245092A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−89885(P2008−89885)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】