説明

印刷制御装置、方法及びプログラム

【課題】 複数の給紙部のいずれかから給紙された記録媒体上に画像を印刷させる際、ユーザにより給紙のためのパラメータが適切に設定された給紙部を選択可能とすること。
【解決手段】 ホストコンピュータから受信した印刷ジョブを実行するに際して、給紙部102、103、104のうち、印刷ジョブで使用すべき記録媒体の送り量の補正値がユーザにより指定されている給紙部を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の給紙部のいずれかから給紙された記録媒体上に画像を印刷させる印刷制御装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数種類の記録媒体のいずれかを選択的に用いて印刷を行う印刷装置において、記録媒体の厚みや種類に応じて印刷条件を変更して印刷を行うものが知られている(特許文献1参照)。このような印刷装置では、例えば、記録媒体の厚みや種類に応じて記録媒体の給紙のためのパラメータを変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−128178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように使用する記録媒体に応じて給紙のためのパラメータを変更するものにおいて、印刷装置の経時的な変化等によって望ましい補正ができていない場合、ユーザが手動でパラメータを変更することがある。
【0005】
しかしながら、従来、複数の給紙部のいずれかを自動選択させる際、手動でパラメータを変更したか否かは選択条件に含まれていなかったため、手動でパラメータを変更した給紙部を選択すべき場合でも選択できないことがあった。
【0006】
本発明は、上述の問題点に鑑みなされたもので、複数の給紙部のいずれかから給紙された記録媒体上に画像を印刷させる際、ユーザにより給紙のためのパラメータが適切に設定された給紙部を選択可能な印刷制御装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の印刷制御装置は、複数の給紙部のいずれかから給紙される記録媒体上に画像を印刷させる印刷制御装置であって、ユーザからの指示に基づき複数の給紙部のそれぞれで記録媒体を給紙する際のパラメータの補正値を記憶する記憶手段と、印刷ジョブの実行に際し、当該印刷ジョブのために使用する給紙部として前記複数の給紙部の中から前記記憶手段により補正値が記憶されている給紙部を選択する選択手段とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の給紙部のいずれかから給紙された記録媒体上に画像を印刷させる際、ユーザにより給紙のためのパラメータが適切に設定された給紙部を選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態のインクジェット記録装置の外観を示す図である。
【図2】インクジェット記録装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】本実施形態の送り量補正値判定パターンの例を示す図である。
【図5】本実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】本実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】本実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】本実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】本実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】本実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態における印刷制御装置の一例であるインクジェット記録装置(プリンタ)の外観を示す斜視図である。
【0011】
プリンタ本体100は、表示部とキーによって構成される操作パネル101と記録媒体(メディア)を収納する3段の給紙部(給紙段または給紙口ともいう)102、103、104を備えている。
【0012】
図2は、図1に示したインクジェット記録装置(プリンタ)の内部構成を示すブロック図である。
【0013】
ROM214にはプリンタ制御部204が実行するプログラムの他、装置固有の情報や印刷に必要な数値データが格納されている。RAM215にはプリンタの複数の給紙部のそれぞれに対し、プリンタで使用可能なメディアのタイプ(種類及びサイズ)に応じたメディアの給紙のためのパラメータとして送り量補正値(搬送量補正値)が記憶される。この送り量補正値はユーザによる操作パネル101を介した操作により変更可能である。用紙サイズに応じた補正値とは、メディアがカット紙であれば、縦横のサイズ、ロール紙であれば、紙幅及び残量に応じた値である。用紙の種類に応じた値とは普通紙、光沢紙などメディアの材質に応じた値である。メディアのタイプに応じた補正値とは用紙サイズ及び種類の両方または一方に応じた値である。また、補正値とは予め決められた基準の搬送パラメータに対する補正値である。
【0014】
画像を記録(印刷)する際には、ホストコンピュータ216から記録すべき文字や線画、写真調等の画像データが外部I/F部201を介して画像データ格納部202に入力される。画像データ格納部202は具体的にはメモリやハードディスクなどで構成され印刷開始から終了までの画像データ(以下1ページ分の画像データ)を格納することができる。
【0015】
画像データ以外のデータ、例えばホストコンピュータ216から印刷の開始を指示したり、中断を指示したりするためのコマンドデータは、画像データ格納部202には入らずプリンタ制御部204に入力される。記録ヘッド制御部205は、プリンタ制御部204からの指令および画像処理部203からの画像データおよびタイミング信号により記録ヘッド26を制御する。例えば画像データに応じて、ノズルを選択的に駆動することで画像を形成する。1バンド分の記録を始めるときに記録ヘッド制御部205はキャリッジ制御部207にキャリッジ208の移動を開始するタイミング信号を送る。キャリッジが記録開始位置に到達するとキャリッジ制御部207は記録ヘッド制御部205に記録開始を知らせるタイミング信号を返す。1バンド分の記録を終えると記録ヘッド制御部205は画像処理部203、キャリッジ制御部207およびメディア搬送制御部209へ記録完了を知らせるタイミング信号を返す。これにより画像処理部203は次バンドの画像データを準備し、キャリッジ制御部207はキャリッジの走査を停止させる。そして、メディア搬送制御部209は搬送ローラ210をRAM215に格納されているメディア制御用補正値をもとに算出した所定量だけ回転させて次バンドの記録位置にメディアを搬送する。画像処理部203は準備完了後再び記録ヘッド制御部205へタイミング信号を与える。メディア搬送制御部209もメディア搬送完了後記録ヘッド制御部205へタイミング信号を与える。これを繰り返すことで1バンドずつ、全ての画像の記録がなされる。
【0016】
また、制御装置200の動作状態を知らせるデータが、制御装置200からホストコンピュータ216に送信される。プリンタ制御部204はインクタンク管理部211を介してインクタンク212の記憶領域(不図示)からインク残量値を取得したり、逆に印刷に使用した分のインクをインク残量から減算したりすることができる。インクタンク管理部211は各インク色ごとのインク残量を管理することができる。
【0017】
操作パネル213は表示部と押しボタンスイッチなどの入力部で構成されており、メディアの取り付け時には表示部はオペレータに対してメディア種やメディアセットを表示させる。また入力部は、オペレータがメディアやメディアセットを選択入力するために使用される。
【0018】
図3は、本実施形態のインクジェット記録装置によるメディア送り量の決定処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、プリンタ制御部204がROM214に格納されているプログラムを、RAM215にロードし、そのプログラムを実行することによりなされる処理の流れを示す。
【0019】
本処理で最終的に求める送り量(F)は、搬送ローラ210のキャリッジの1走査あたりの回転量である。まず初めに基本送り量(B)を求める(ステップS301)。基本送り量はメディアの種類や給紙部に関わらない。
【0020】
本実施例のインクジェット記録装置では印刷ムラなどを低減させるために、1バンド分の画像を複数回の走査によって印刷するマルチパス印刷を行う。このマルチパスの回数を印刷パス数(P)とする。Pは印刷するジョブによって異なる場合がある。一般にきれいに印刷したい場合にはPを大きくし、速く印刷したい場合にはPを小さくする。また、記録ヘッドは複数のノズルが一列に並んで構成されており、その長さをヘッド長(L)とすると基本送り量(B)は下記の式で決定される。
【0021】
基本送り量(B)=ヘッド長(L)/印刷パス数(P)
次にステップS302にてメディアの性質や給紙部に関わる送り量補正値(A)を取得する。
【0022】
補正値の取得方法は、複数の送り量補正値判定パターンの印刷しその印刷結果によりユーザーに適正な補正値を選択してもらう方法を用いるが、送り量補正値判定パターンついては後述する。最後にステップS303にて送り量(F)を下記の式によって求める。
【0023】
送り量(F)=基本送り量(B)+送り量補正値(A)
図4は、本実施形態におけるメディアの送り量補正値判定パターンの例を示す図である。
【0024】
図4において400はメディアを示す。401、403、405はメディア400上に印刷された送り量補正値判定パターンの一部を示す。402、404、406はメディア400上に印刷され、送り量補正値判定パターン401、403にそれぞれに対応する補正値を示す。送り量補正値判定パターンは複数印刷される。それぞれは2バンドに分けて印刷された濃度50%の矩形領域をメディア送り方向(図の矢印)に隣接させたパターンで構成され、少しずつ送り量補正値を異ならせて印刷している。そのため隣接部の重なり状態が各々異なる。もし送り量補正値が小さすぎると重なり部分(濃い黒の帯状)の領域が大きくなってしまう。逆に送り量補正値が大きすぎると405のように重ならず、白く隙間が空いた状態になってしまう(これが401で表されているものとする)。従って適正に送り量補正がなされた状態では重なりもなく、隙間もない状態である(これが403で表されているものとする)。ユーザーはこのような状態のパターンを複数の中から選択する。そしてインクジェット記録装置はそのパターンの右に書かれた数値(図では404に示す“−1”)を適正な送り量補正値として操作パネルからユーザーに入力させRAM215に記憶する。以上で一つの印刷パスに対する適正な送り量補正値が取得できることになる。本実施形態では簡単のため省略するが、実際には記録装置が対応している印刷パスの全てについてこの印刷を行い、ユーザーに入力させることが必要となる。全てのメディアかつ全てのサイズに渡って調整値を得るためには長時間の作業が必要である。そのため使用するメディア種類とサイズについてこの作業を行うことになる。
【0025】
次に、長さ精度の用紙送り量補正値の取得方法について説明する。図5は、長さ精度優先の場合の送り量補正値を算出する処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、プリンタ制御部204がROM214に格納されているプログラムを、RAM215にロードし、そのプログラムを実行することによりなされる処理の流れを示す。本実施形態のインクジェット記録装置では、ユーザによる指定に基づき画像品位(画質)優先かあるいは長さ精度(画像の長さの精度)優先かによって、バンドむら低減優先の搬送制御もしくは長さ精度優先の搬送制御のいずれかが選択されて実行される。画像の長さの精度優先とは印刷ジョブで指定された画像の長さにより近づけることを指す。画質優先とは画像の長さは指定されたものとズレが生じてもより高品位な画質とすることを指す。
【0026】
初めに、ステップS701において、用紙に対して任意のスケールパターンを印字し、ステップS702へ進む。
【0027】
次にステップS702において、印字スケールの長さをユーザに測定させ、ステップS703へ進む。
【0028】
ステップS703において、ユーザはステップS702において測定したスケール長の測定結果と、印字スケールとの間の誤差を操作パネル101経由で入力させ、その内容を取得及びRAM215に保存して処理を終了する。
【0029】
実際の長さ調整優先の搬送制御は、以上のようにして測定された罫線の長さ誤差を補正するようにメディアの搬送ローラの回転量を制御する。ただし、搬送ローラ回転量の最小制御単位以下の制御は不可能であるので、1回の用紙搬送についてみると理想的な送り量の補正量からの誤差が発生する。長さ精度優先の送り量補正を行う場合は、発生する補正誤差成分を加算していき、累積された誤差成分が所定量となる度にそれを掃き出すことで所定の長さ精度を実現する。
【0030】
次に、本実施形態のインクジェット記録装置による印刷ジョブの実行の処理について説明する。図6では、ホストから送信されてくる印刷ジョブがユーザにより特定の給紙部を指定せずに印刷データの内容等から自動的に選択させる「給紙口自動選択」に設定されている場合の処理について説明する。そして、「給紙口自動選択」に設定されている場合に、給紙部毎の用紙送り量補正値の設定内容に応じて給紙部の選択条件を切替える処理の流れについて示している。このフローチャートは、プリンタ制御部204がROM214に格納されているプログラムを、RAM215にロードし、そのプログラムを実行することによりなされる処理の流れを示す。
【0031】
まず初めにステップS801において、ホストコンピュータ215から「給紙口自動選択」に設定された印刷ジョブがプリンタ100に対して送信され、外部I/F201を介してプリンタ100側で受信される。受信された印刷ジョブデータはRAM215内の受信バッファに一旦格納された後、画像データ格納部202に格納される。
【0032】
なお印刷ジョブデータには、印刷時の印刷条件として印刷出力時のサイズ(用紙幅方向および用紙搬送方向における印刷領域の長さ)を示すデータや印刷品位を指定するデータ、出力する用紙の指定等、画像データ以外の各種データが付加される。プリンタ制御部204は、これらの付加データを抽出して解釈し、その結果をプリンタ100各部の制御に反映させる。
【0033】
次にステップS802において、プリンタ制御部204は受信された印刷ジョブデータの優先画質設定が、「長さ精度優先」であるか否かを判定する。ステップS802において、印刷ジョブデータの優先画質設定が「長さ精度優先」である場合(ステップS802のY)はステップS803へと進み、「長さ精度優先」でない場合、即ち「バンドむら低減優先」である場合(ステップS802のN)はステップS815へと進む。
【0034】
ステップS803においてプリンタ制御部204は、印刷ジョブが指定する用紙種類について、図5で説明した長さ精度の用紙送り量補正値を設定するための調整(以下、「長さ調整」)が行われ、長さ調整用送り量補正値が存在している給紙口が存在するか否かを判定する。ステップS803において、ユーザによって長さ調整が行われた給紙口が存在する場合(ステップS803のY)はステップS804へと進み、長さ調整が行われた給紙口が存在しない場合(ステップS803のN)はステップS807へと進む。
【0035】
ステップS804においてプリンタ制御部204は、長さ調整が行われた給紙口を給紙開始の対象候補として選択し、ステップS805へと進む。
【0036】
ステップS805では、ステップS804において選択された給紙口の中から、印刷ジョブが指定する用紙種類がセットされている給紙口が存在するか否かを判定する。印刷ジョブが指定する用紙種類と同じ用紙がセットされている給紙口が存在する場合(ステップS805のY)はステップS806へと進み、どの給紙口にも印刷ジョブが指定する用紙がセットされていない場合(ステップS805のN)はステップS808へと進む。
【0037】
ステップS806は、ステップS805において印刷ジョブが指定する用紙と同一の用紙がセットされていると判定された給紙口の中から、実際に給紙を行う給紙口を選択する処理である。ステップS806での処理内容については、図8のフローチャートを用いて後述する。ステップS806において、実際に給紙を行う給紙口が一つ、選択された後、ステップS810へと進む。
【0038】
図8は、本実施例におけるプリンタ100において実行される給紙口選択の処理内容を示すフローチャートである。
【0039】
開始時の状態としては、印刷ジョブが指定する用紙種類と同じ種類の用紙が少なくとも一つ、プリンタ100が有する給紙口にセットされた状態となっているものとする。
【0040】
ステップS1001においてプリンタ制御部204は、印刷ジョブが指定する用紙と各給紙口にセットされている用紙とを比較し、印刷ジョブが指定する用紙がセットされている給紙口が複数あるか否かを判定する。ステップS1001において、印刷ジョブが指定する用紙がセットされている給紙口が複数あると判定された場合(ステップS1001のY)はステップS1003へと進む。また、印刷ジョブが指定する用紙がセットされている給紙口が一つしかないと判定された場合(ステップS1001のN)はステップS1002へと進む。
【0041】
ステップS1002においてプリンタ制御部204は、印刷ジョブの指定する用紙種類と一致した用紙がセットされている給紙口(この場合は一つしかない)を選択し、処理を終了する。実際に印刷を実行する場合は、ここで選択された給紙口から給紙を行う。
【0042】
ステップS1003においてプリンタ制御部204は、用紙種類が一致した複数の用紙の中から、印刷ジョブを出力可能なサイズの用紙があるか、即ち印刷ジョブの出力画像サイズより大きな用紙が存在するか否かを判定する。ステップS1003において、印刷ジョブの出力画像サイズより大きな用紙が存在すると判定された場合(ステップS1003のY)はステップS1004へと進み、存在しないと判定された場合(ステップS1003のN)はステップS1006へと進む。
【0043】
ステップS1004においてプリンタ制御部204は、ステップS1003において出力画像サイズより大きい用紙サイズであると判定された用紙が複数存在するか否かを判定する。ステップS1004において、出力画像サイズより大きいサイズの用紙が複数存在すると判定された場合(ステップS1004のY)はステップS1006へと進み、一つしかない場合(ステップS1004のN)はステップS1005へと進む。
【0044】
ステップS1005においてプリンタ制御部204は、印刷可能なサイズの用紙がセットされた給紙口(この場合は一つしかない)を選択し、処理を終了する。実際に印刷を実行する場合は、ここで選択された給紙口から給紙を行う。
【0045】
ステップS1006においてプリンタ制御部204は、印刷ジョブが指定する用紙に最も近いサイズの用紙がセットされている給紙口を選択し、処理を終了する。
【0046】
図6に戻る。ステップS807においてプリンタ制御部204は、印刷ジョブが指定する用紙以外の用紙まで対象を広げ、長さ調整が実施された給紙口が存在するか否かを判定する。ステップS807において、長さ調整が実施された給紙口が存在すると判定された場合(ステップS807のY)は、ステップS808へと進む。印刷ジョブが指定する用紙以外の用紙まで対象を広げても、長さ調整が実施された給紙口が一つも存在しないと判定された場合(ステップS807のN)はステップS813へと進む。
【0047】
ステップS808では、印刷ジョブが指定する用紙種類以外の用紙を用いて印刷を実行するか否かを判定する。具体的には、操作パネル101の表示部上に、「指定の用紙と異なりますが、印刷を実行しますか?」といった操作選択画面を表示させ、ユーザからの選択入力を読み取ることによって判定する。ステップS808において、印刷ジョブが指定する用紙種類以外の用紙を用いて印刷を実行する場合(ステップS808のY)はステップS809へと進み、印刷を実行しない場合(ステップS808のN)はステップS813へと進む。
【0048】
ステップS809では、長さ調整が行われている用紙のなかから実際に出力を実行する用紙種類を選択する処理を実行する。用紙の選択は、選択可能な用紙種類を操作パネル101の表示部上に一覧表示させ、ユーザに選択させることによって行う。ステップS809の終了後、ステップS810へと進む。
ステップS810では、選択された出力用紙種類について、印刷ジョブが指定する出力画像サイズと、選択された用紙の用紙サイズがミスマッチとなっているか否かを判定する。ミスマッチか否かは、印刷ジョブが指定する出力画像サイズが用紙幅より小さいか否かで判定する。ステップS810において、用紙サイズがミスマッチであると判定された場合(ステップS810のY)はステップS811へと進み、ミスマッチでないと判定された場合(ステップS810のN)はステップS812へと進む。
【0049】
ステップS811では、用紙サイズミスマッチを無視して印刷を実行するか否かを判定する。ここで、1)あらかじめ用紙サイズミスマッチを無視するように設定されているか、2)操作部105に印刷実行可否選択画面を表示し、ユーザが「印刷実行」を選択する、のいずれかの場合(ステップS811のY)はステップS812へと進む。一方で、3)用紙サイズのミスマッチを無視する設定がなされておらず、操作部105に印刷実行可否選択画面を表示して、ユーザが「印刷実行しない」を選択する場合(ステップS811のN)は印刷を実行せずにステップS819へと進む。
【0050】
ステップS812においてプリンタ制御部204は、長さ精度優先用の送り量補正調整値を用いて印刷を実行し、処理を終了する。
【0051】
ステップS813においてプリンタ制御部204は、プリンタが有する給紙口にセットされている用紙に関し、印刷ジョブが指定する用紙と一致しているものがあるか否かを判定する。印刷ジョブが指定する用紙が、給紙口にセットされているいずれかの用紙と一致している場合(ステップS813のY)はステップS814へと進み、印刷ジョブが指定する用紙がいずれの給紙口にも存在しない場合(ステップS813のN)はステップS819へと進む。
【0052】
ステップS814においてプリンタ制御部204は、「バンドむら低減優先」の設定値を用いて印刷を実行するか否かを判定する。ステップS814における印刷実行の判定は、ユーザにあらかじめ設定させた内容を確認するか、操作パネル101の表示部に選択画面を表示してユーザに選択させた結果を読み取ることによって行う。ここで印刷を実行すると判定された場合(ステップS814のY)はステップS815へと進み、印刷を実行しないと判定された場合(ステップS814のN)はステップS819へと進む。
【0053】
ステップS815はステップS806と同等の処理内容であり、実際に給紙を行う給紙口を選択する処理でとなる。処理内容に関しては図8のフローチャートに従う。ステップS815の終了後、ステップS816へと進む。
【0054】
ステップS816は用紙のミスマッチ検出処理であり、印刷ジョブが指定する用紙種類、用紙サイズと給紙口に実際にセットされている用紙種類、用紙サイズとの間のミスマッチを検出する。ステップS816の処理内容に関しては、図9のフローチャートを用いて後述する。ステップS816の終了後、ステップS817へと進む。
【0055】
図9は、本実施形態におけるプリンタ100において実行される用紙ミスマッチ検出処理の処理内容を示すフローチャートである。用紙ミスマッチ検出処理では、印刷ジョブの指定する用紙種類と、各給紙部にセットされている用紙の用紙種類、用紙サイズとを比較し、それぞれについてミスマッチが発生しているか否かを判定する。
【0056】
ステップS1101においてプリンタ制御部204は、印刷ジョブが指定する用紙種類と、選択された給紙口にセットされている用紙種類とを比較し、両者の用紙種類が一致しているか否かを判定する。ステップS1101において、用紙種類が一致していると判定された場合(ステップS1101のY)はステップS1102へと進み、用紙種類が一致していないと判定された場合(ステップS1101のN)はステップS1104へと進む。
【0057】
ステップS1102においてプリンタ制御部204は、印刷ジョブの画像サイズと選択された給紙口にセットされている用紙のサイズとを比較し、印刷ジョブの画像サイズが用紙からはみ出るか否かを判定する。ステップS1102において、用紙サイズが必要なサイズより小さく、画像が用紙からはみ出すと判定された場合(ステップS1102のY)はステップS1104へと進み、用紙サイズが十分に大きく、画像がはみ出さないと判定された場合(ステップS1102のN)はステップ1103へと進む。
【0058】
ステップS1103においてプリンタ制御部204は、印刷ジョブの指定とセットされている用紙の間でのミスマッチは存在しないと判断し、処理を終了する。
【0059】
ステップS1104においてプリンタ制御部204は、印刷ジョブの指定とセットされている用紙との間でミスマッチが発生していると判断し、処理を終了する。
【0060】
ステップS817では、印刷を実行するか否かを判定する。ここで、1)用紙ミスマッチ検出処理で、「ミスマッチなし」となったか、2)用紙ミスマッチを無視して強制出力するようユーザが選択する、のいずれかの場合(ステップS817のY)は印刷実行を選択してステップS818へと進む。また、3)用紙ミスマッチありと判定されてかつ、ユーザが強制出力を行わないことを選択した場合(ステップS817のN)は印刷を実行せず、ステップS819へ進む。
【0061】
ステップS818においてプリンタ制御部204は、バンドむら低減優先用の送り量補正調整値を用いて印刷を実行し、処理を終了する。
【0062】
ステップS819はエラー処理である。ステップS819の内容については図10のフローチャートを用いて説明する。エラー処理の完了後、処理を終了する。
【0063】
図10は、受信ジョブの印刷出力を実施しない場合のエラー処理の処理内容を示すフローチャートである。
【0064】
ステップS1201においてプリンタ制御部204は、受信したジョブをキャンセルするか否かを判定する。キャンセルの判断は、ユーザにあらかじめ設定させた結果を確認するか、操作パネル101に選択画面を表示してユーザに選択させた結果を読み取ることによって行う。ここで受信ジョブを印刷せずにキャンセルする場合(ステップS1201のY)はステップS1202へと進み、キャンセルしない場合(ステップS1201のN)はステップS1203へと進む。
ステップS1202では、受信したジョブデータを破棄し、処理を終了する。
【0065】
ステップS1203では、受信したジョブを保留ジョブとしてデータを画像データ格納部202に格納し、処理を終了する。なお、保留ジョブとして画像データ格納部202に格納されたジョブは、ユーザによる指示により印刷を実行させることができる。
【0066】
図7は、本実施形態のプリンタ100において実行される処理の内容を示すフローチャートである。図7では、ホストから送信されてくる印刷ジョブが、プリンタ100が有する複数の給紙口のいずれかを指定している場合の給紙口選択処理の流れについて示している。このフローチャートは、プリンタ制御部204がROM214に格納されているプログラムを、RAM215にロードし、そのプログラムを実行することによりなされる処理の流れを示す。
【0067】
ステップS901において、ホストコンピュータから、画像を印刷させるメディアを給紙する給紙口を指定した印刷ジョブがプリンタ100に対して送信され、外部I/F201を介してプリンタ100側で受信される。受信された印刷ジョブデータはRAM215内の受信バッファに一旦格納された後、画像データ格納部202に格納される。
【0068】
次にステップS902において、プリンタ制御部204は受信された印刷ジョブデータの優先画質設定が、「長さ精度優先」であるか否かを判定する。ステップS902において、印刷ジョブデータの優先画質設定が「長さ精度優先」である場合(ステップS902のY)はステップS903へと進み、「長さ精度優先」でない場合、即ち「バンドむら低減優先」である場合(ステップS902のN)はステップS915へと進む。
【0069】
ステップS903においてプリンタ制御部204は、印刷ジョブが指定する給紙口について、印刷ジョブが指定する用紙に関する長さ調整が行われているか否かを判定する。ステップS903において、指定された給紙口および用紙に対してユーザによる長さ調整が行われている場合(ステップS903のY)はステップS904へと進み、長さ調整が行われていない場合(ステップS903のN)はステップS909へと進む。
【0070】
ステップS904においてプリンタ制御部204は、印刷ジョブが指定する給紙口にセットされている用紙種類と印刷ジョブが指定する用紙種類を比較し、両者が一致しているか否かを判定する。ステップS904において、給紙口にセットされている用紙とジョブが指定する用紙が一致している場合(ステップS904のY)はステップS906へと進み、異なる場合(ステップS904のN)はステップS905へと進む。
【0071】
ステップS905では、印刷ジョブが指定する用紙種と異なる用紙を用いて印刷を実行するか否かを判定する。用紙種が異なっても印刷するよう事前に設定されているか、もしくはユーザ操作により印刷の実行が選択された場合(ステップS905のY)はステップS906へと進み、印刷を実行しないことが選択された場合(ステップS905のN)はステップS918へと進む。
【0072】
ステップS906においてプリンタ制御部204は、選択された用紙と印刷ジョブが指定する用紙のサイズを比較し、印刷ジョブの画像サイズが用紙からはみ出るか否かを判定する。ステップS906において、用紙サイズが必要なサイズより小さく、画像が用紙からはみ出すと判定された場合(ステップS906のY)はステップS907へと進み、用紙サイズが十分に大きく、画像がはみ出さないと判定された場合(ステップS906のN)はステップ908へと進む。
【0073】
ステップS907においてプリンタ制御部204は、印刷を実行するか否かを判定する。ここで、用紙サイズのミスマッチを無視して強制出力するようユーザがあらかじめ設定するか、あるいは選択した場合(ステップS907のY)は印刷実行を選択してステップS908へと進む。また、ユーザが強制出力を行わないことを選択した場合(ステップS907のN)はステップ918へ進む。
【0074】
ステップS908においてプリンタ制御部204は、長さ精度優先用の調整値を用いて印刷出力を実行し、処理を終了する。
【0075】
ステップS909においてプリンタ制御部204は、ジョブが指定する給紙口以外に、長さ調整が既に行われた給紙口が存在するか否かを判定する。ジョブが指定する給紙口以外にも長さ調整が行われた給紙口が存在する場合(ステップS909のY)はステップS910へと進み、存在しない場合(ステップS909のN)はステップS914へと進む。
【0076】
ステップS910では、長さ調整が実施された給紙口を候補として選択し、ステップS911へと進む。
【0077】
ステップS911では、ステップS910において選択された給紙口の候補の中に、印刷ジョブが指定する用紙種類と同じ種類の用紙がセットされている給紙口が存在するか否かを判定する。ステップS911において、印刷ジョブが指定する用紙種類と同じ種類の用紙がセットされている給紙口が存在する場合(ステップS911のY)はステップS913へと進み、存在しない場合(ステップS911のN)はステップS912へと進む。
【0078】
ステップS912では、出力を行うための給紙口を一つ選択する。選択はユーザが操作パネル101から入力することで行われる。ステップS912の終了後、ステップS905へと進む。
【0079】
ステップS913は給紙口選択の処理である。具体的な処理内容に関しては、図8で説明した内容と同様となる。
ステップS914においてプリンタ制御部204は、バンドむら低減優先で印刷を行うか否かを判定する。ここでは操作パネル101の表示部上に印刷実行可否を選択させるための操作画面を表示させ、ユーザからの選択入力を読み取ることによって判定する。ステップS914において、バンドむら低減優先で印刷を行う場合(ステップS914のY)はステップS915へと進み、印刷を実行しない場合はステップS918へと進む。
【0080】
ステップS915は用紙のミスマッチ検出処理である。処理内容については図9で説明したものと同様となる。
ステップS916においてプリンタ制御部204は、印刷を実行するか否かを判定する。ここで、1)用紙ミスマッチ検出処理で、「ミスマッチなし」となったか、2)用紙ミスマッチを無視して強制出力するようユーザが選択する、のいずれかの場合(ステップS916のY)は印刷実行を選択してステップS917へと進む。また、3)用紙ミスマッチありと判定されてかつ、ユーザが強制出力を行わないことを選択した場合(ステップS916のN)は印刷を実行せず、ステップS918へ進む。
【0081】
ステップS917においてプリンタ制御部204は、バンドむら低減優先用の調整値を用いて印刷出力を実行し、処理を終了する。
ステップS918はエラー処理である。ステップS918の内容は図10のフローチャートで示したものと同様となる。エラー処理の完了後、処理を終了する。
【0082】
なお、以上の実施形態では、印刷制御装置としてシリアルスキャンタイプのインクジェット記録装置を例に説明したが、レーバービーム方式等、他の方式を採用した印刷制御装置としてもよい。また、印刷部を自身が持つものでなく、外部から印刷装置を制御する印刷制御装置としてもよい。
【0083】
以上のような実施形態によれば、印刷ジョブの内容および、各給紙部に対して設定されている送り量補正値(給紙パラメータ)の設定内容に応じて給紙部の選択を制御することで、ユーザが所望の出力結果を得ることが可能となる。
【0084】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施例の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(CPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。また、プログラムは、1つのコンピュータで実行させても、複数のコンピュータが連動して実行するようにしてもよい。また、上記した処理の全てをソフトウェアで実現する必要はなく、一部または全部をハードウェアによって実現するようにしてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の給紙部のいずれかから給紙される記録媒体上に画像を印刷させる印刷制御装置であって、
ユーザからの指示に基づき複数の給紙部のそれぞれで記録媒体を給紙する際のパラメータの補正値を記憶する記憶手段と、
印刷ジョブの実行に際し、当該印刷ジョブのために使用する給紙部として前記複数の給紙部の中から前記記憶手段により補正値が記憶されている給紙部を選択する選択手段とを有することを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
前記選択手段は、印刷ジョブで指定されているモードに応じた補正値が前記記憶手段により補正値が記憶されている給紙部を優先的に選択することを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項3】
前記モードとして、画像の長さの精度を優先するモードと、画質を優先するモードとを含み、前記選択手段は、モードに応じて給紙部の選択方法を異ならせることを特徴とする請求項2に記載の印刷制御装置。
【請求項4】
複数の給紙部のいずれかから給紙される記録媒体上に画像を印刷させる印刷制御装置による印刷制御方法であって、
ユーザからの指示に基づき複数の給紙部のそれぞれで記録媒体を給紙する際のパラメータの補正値を記憶し、
印刷ジョブの実行に際し、当該印刷ジョブのために使用する給紙部として前記複数の給紙部の中から前記補正値が記憶されている給紙部を選択することを特徴とする印刷制御方法。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷制御装置の各手段をコンピュータにより実現することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−126139(P2011−126139A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286901(P2009−286901)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】