説明

印刷制御装置

【課題】 従来、使用者は幾度となく印刷を実行して最適な設定を見つけ出す必要があった。
【解決手段】 上位側から受信した印刷データのページ単位での印刷密度を印刷制御装置で解析し、さらに印刷データの種類を判別する手段を設けることにより、受信したデータの印刷に使用する用紙属性を考慮して最適なプリンタ印刷機構部の各種設定を自動的に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上位装置から写真データや文字情報を含む様々な種類の印刷データを受信して、物理媒体に印刷する印刷装置に関し、特に印刷データを処理する印刷制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上位装置であるコンピュータから、写真データや文字情報を含む様々な種類の印刷データを印刷するレーザープリンタでは、用紙のシワや用紙詰まり等の印刷結果に問題があった場合には、使用者又はプリンタ製造業者の保守員がプリンタ印刷機構部に関する各種設定(レーザー出力、用紙剥離電圧、トナー定着温度、等)を使用する印刷用紙や環境に合わせて最適な印刷結果が得られるように設定する必要があった。
【0003】
そのため、インクジェット方式のプリンタにおける印字かすれ対策として、プリンタにセットしている用紙の各種情報(例えば用紙の種類や厚み等)およびインクの特定情報をプリンタの制御装置に入力することで、印刷モードを自動的に設定する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、光沢度を、画像データの画像比率から設定して定着温度制御を行う構成が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
また、画素データから印字率(画像面積比率)または画像密度を算出し、トナー補給動作と画像形成動作順序を変更することが知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開2002−096535号公報
【特許文献2】特開2007−65384号公報
【特許文献3】特開2004−151375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した通り、従来は、印刷に使用する物理媒体の特性を考慮してプリンタを設定するため、印刷に使用する物理媒体と印刷データの印刷密度によっては用紙詰りを誘発したり、または使用者が期待した印刷結果が得られない場合もあるため、使用者は幾度となく再印刷を実行して最適な印刷設定値を見つけ出す必要があった。
【0008】
しかしながら、使用者が印刷技術、およびプリンタに関して専門的な知識が無い場合には、最適な印刷設定値を見つけることは困難であった。
【0009】
例えば、特許文献1では、印刷モードを設定するパラメータとして印刷密度やデータの種類は考慮されていないため、同じ種類の物理媒体に同じトナーやインクを使用しても、印刷するデータの印刷密度やデータの種類によっては、プリンタの各種設定を微調整する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明では、コンピュータから印刷データを受信し印刷を実行するレーザープリンタにおいて、任意の印刷データを印刷する際に印刷装置の各種設定値を自動的に設定することを特徴とする。
【0011】
また、印刷設定値を決定するパラメータとして印刷データのページ単位での総ドット数から印刷密度を算出することを特徴とする。
【0012】
また、コンピュータから送信された印刷データの構造を解析し、文字データと画像データの展開後のドット比率から印刷データの種類を特定する機能を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コンピュータから受信した印刷データの印刷密度を解析し、印刷に使用する用紙特性を考慮して受信した印刷データに最適な印刷装置設定を自動的に最適化することにより、プリンタに関する特別な知識および経験が無くても最適な印刷結果を得ることが可能となるため、印刷ミスや用紙つまり等の失敗を未然に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、印刷に関わるプリンタの設定を行うパラメータとして物理媒体の特性と併せて、物理媒体の面積に対して印字する総ドット数をページイメージ展開時に算出し、自動的にレーザープリンタの印刷設定値を最適化することを特徴とする。
【0015】
また、印刷データの種類によっては同じドット数でも文字情報と画像情報とでは印刷結果に違いがでる場合があるため、印刷データの種類をページイメージ展開時に判断し、総ドット数とデータの種類により印刷設定値を補正する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
以下、図を用いて本発明の一実施例を説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明を適用した印刷装置構成の概略を示すブロック図である。
【0018】
ネットワーク機能を備えた印刷装置1が、ネットワーク20に接続されて構成される。ネットワーク20には、印刷データを生成するコンピュータが接続されている。
【0019】
図1に示すように、印刷装置1は、ネットワーク20に接続されたコンピュータA31またはコンピュータB32から印刷データを受信し、印刷データの種類を判別する印刷データ判別処理部10と、ユーザからの指示を受け付けたり、印刷装置1の設定等の変更や状態を表示するユーザインタフェース部11と、プリンタの各種設定値をデータベース化して管理するデータベース処理部12と、プリンタの制御プログラムや外部リソースを格納する記憶装置13と、受信した印刷データをプリンタが印刷できるようなプリンタ言語へ変換する印刷データ展開処理部14と、エンジン部での印刷動作を制御するエンジン制御部15と、画像データに基づいて印刷を行なう印刷エンジン部16とで構成される。
【0020】
図2は、本発明の印刷データの種類を解析し、プリンタの入力部から入力された用紙属性を加味して最適な印刷設定を決定するまでの動作例を示すフロー図である。
なお、本発明に使用されるプリンタは、複数の給紙装置を備え、給紙装置にセットされる用紙の属性情報(用紙の種類や厚み等)をプリンタの操作パネルから設定可能なものとする。また、プリンタ制御装置には各種設定情報を保存しておくための不揮発性メモリを有していることを前提とする。
【0021】
ステップS1で、上位側PC等から送信された印刷データをプリンタが受信する。
【0022】
ステップS2で、印刷制御装置の印刷データ展開処理部にて、受信データを印刷用のビットマップデータへと展開処理を実行する。この際、ページ単位で展開処理したデータにおいて、文字データと画像データのページ単位面積に占める割合を算出し、展開した印刷データが文字情報主体なのか、または画像データ主体なのかを判別する。
【0023】
ステップS3−1で、前述したステップS2で展開処理を実行した印刷データに含まれる情報を解析し、文字データおよび画像データが展開した論理ページイメージに占める割合を計算し印刷密度を算出する。
【0024】
ステップS3−2で、印刷に使用する用紙がセットされているプリンタの給紙トレイに設定された用紙の種類および用紙重量(厚さ)等の用紙属性情報を取得する。
【0025】
ステップS4で、前述したステップS2で判別した印刷データの種類による印刷密度の補正を実行する。文字データと画像データの展開ドット数が等価である場合を標準とし、その比率を算出することで補正係数を決定する。
【0026】
ステップS5で、前述したステップS3−1で算出した印刷密度、およびステップS3−2で取得した用紙属性情報が、印刷制御装置の記憶装置に保持されているデータベースに登録されているかどうかを検索する。データベースに登録がされていない場合にはステップS6へ、データベースに登録済みの内容であればステップS7にそれぞれ移行する。
【0027】
ステップS6で、前述したステップS3−1で算出した印刷密度と、ステップS3−2で取得した用紙属性情報により、レーザー出力・剥離電圧・トナー定着温度の最適値をそれぞれ算出する。レーザー出力・剥離電圧およびトナー定着温度の算出には専用の計算式を使用し、印刷密度、印刷データの種類、用紙属性情報等のパラメータを入力することで最適値を算出する処理を実行する。
【0028】
ステップS7で、前述したステップS6で算出したレーザー出力設定値・剥離電圧およびトナー定着温度設定値と、現在のプリンタの上記設定値とを比較し、ステップS5で算出した最適値と現在のプリンタの設定値が同じ値であればステップS9へ、違う値であればステップS8へそれぞれ移行する。
【0029】
ステップS8で、前述したステップS6で算出したレーザー出力・剥離電圧およびトナー定着温度設定値を、プリンタのエンジン制御部に上記設定をセットする。
【0030】
ステップS9で、算出した印刷密度/印刷した用紙属性/レーザー出力設定値/剥離電圧設定値/トナー定着温度設定値をプリンタ制御部のデータベース処理部に登録する。登録された内容はHDD等の記憶装置に保存され、前述したステップS5の検索時に使用される。
【0031】
ステップS10で、プリンタの印刷準備が完了し印刷を開始する。
【0032】
上記実施例で説明したように、本発明は、レーザープリンタの制御装置に用紙属性情報と、印刷データのページ単位での印刷密度の算出と、印刷データの種類を判別する手段を有することにより、様々な印刷データをプリンタの複数の給紙装置にセットした様々な物理媒体に最適な設定を自動的に調整し印刷することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】印刷装置の概略を示すブロック図である。
【図2】印刷データの印刷密度を解析し、プリンタの入力部から入力された用紙属性を加味して最適な印刷設定を決定するまでの動作例を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0034】
1…印刷装置、10…印刷データ判別処理部、11…ユーザインターフェース部、12…データベース処理部、13…記憶装置、14…印刷データ展開処理部、15…エンジン制御部、16…印刷エンジン部、20…ネットワーク、31…コンピュータA、32…コンピュータB。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータから印刷データを受信し印刷を実行するレーザープリンタにおいて、任意の印刷データを印刷する際に印刷装置の各種設定値を自動的に設定することを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
印刷設定値を決定するパラメータとして印刷データのページ単位での総ドット数から印刷密度を算出することを特徴とする請求項1記載の印刷制御装置。
【請求項3】
コンピュータから送信された印刷データの構造を解析し、文字データと画像データの展開後のドット比率から印刷データの種類を特定する機能を備えることを特徴とする請求項1記載の印刷制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−36549(P2010−36549A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−205116(P2008−205116)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】