説明

印刷回路基板及びその製造方法

【課題】製造工程数を減少させることができ、ピンムーブメント問題が発生せず、ファインピンピッチ(fine pin pitch)が可能な印刷回路基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明による印刷回路基板100は、接続パッド111を有するベース基板110と、接続パッド111に接合されたリードピン200及び接続パッド111及びリードピン200の露出された部分に形成された表面処理層301,303を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷回路基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の微細化技術が発達するにつれて、LSIの高集積化、高速化、低電力化が進行されている。このような技術の傾向に応じるためには、印刷回路基板の配線密度も持続的に高くならなければならない。印刷回路基板は、線幅微細化が持続的になされており、増加するLSIの端子数に対応するために、数年前から接続方式としてフリップチップ(flip−chip)技術が汎用化されている。
【0003】
FCPGA(Flip Chip Pin Grid Array)基板は、印刷回路基板と主基板を接続する方法としてピン(pin)を用いる基板である。
【0004】
図5から図10は、従来の印刷回路基板の製造方法を説明するために概略的に示した工程図である。
【0005】
まず、図5のように、接続パッド13を露出する開口部を有する半田レジスト層12が形成されたベース基板11を準備する。その後、図6のように、露出された接続パッド13上にENIG(Electroless Nickel Immersion Gold)方式またはENIPIG(Electroless Nickel Immersion Palladium Immersion Gold)方式などを利用して、表面処理層15、17を形成する。
【0006】
次に、図7のように、形成された表面処理層15、17上に半田ペースト19を印刷した後、図8のように、リードピン20を半田ペースト19上に位置させる。
【0007】
ここで、リードピン20は、形態的には軸部と頭部に分けられ、機械化学的信頼性を確保するために、ニッケル23及び金25で表面処理層が形成されていることが好ましい。また、材料としては、一般的に電気的特性に優れ、ある程度以上の剛性を有する銅(Cu)合金が用いられることができる。
【0008】
次に、リフローを施し、図9のように、半田ペースト19を溶かして接続パッド13とリードピン20を接合する。この時、リフローを施すと、接続パッド13及びリードピン20上に形成された表面処理層のうち金(Au)17、25は、半田ペースト19に拡散されて見えなくなり、ニッケル(Ni)15、23層と半田ペースト19の間には数nm以下の非常に薄い金属間化合物(InterMetallic Compound:IMC)層が形成されることができる。また、リフローを施すと、半田ペースト19からフラックス(flux)19aが生成されるため、デフラックスを施して図10のように、フラックス19aを除去する。
【0009】
このような従来技術は、半田ペーストを利用してリードピンと接続パッドを接合するため、リフロー時にリードピンのムーブメント(movement)が発生する可能性があるという問題点がある。また、今後の高配線密度の印刷回路基板に対応してファインピン(fine pin:ピンの直径が次第に小さくなる)、ファインピンピッチ(fine pin pitch:ピンとピンの間の距離がより近い)が可能なリードピン実装技術が強く求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述のような問題点を解決するために導き出されたものであり、製造工程数を減少させることができ、ピンムーブメント問題が発生せず、ファインピンピッチ(fine pin pitch)が可能な印刷回路基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による印刷回路基板は、接続パッドを有するベース基板と、前記接続パッドに接合されたリードピン及び前記接続パッド及びリードピンの露出された部分に形成された表面処理層を含む。
【0012】
この際、前記リードピンは、軸部からなることができ、「|」形状からなることができる。
【0013】
また、前記表面処理層は、ENIG(Electroless Nickel Immersion Gold)方式またはENIPIG(Electroless Nickel Immersion Palladium Immersion Gold)方式によって形成されることができる。
【0014】
本発明による印刷回路基板の製造方法は、接続パッドを有するベース基板を準備する段階と、前記接続パッドにリードピンを接合する段階及び前記接続パッド及びリードピンの露出された部分に表面処理層を形成する段階を含む。
【0015】
この際、前記リードピンは、軸部からなることができ、また、「|」形状からなることができる。
【0016】
また、前記接続パッドにリードピンを接合する段階は、溶接によって遂行され、前記溶接は拡散溶接方式、点溶接方式、突合せ溶接、超音波溶接方式、冷間圧接方式、爆発溶接方式、摩擦溶接方式、慣性溶接方式、誘導溶接方式、テルミット溶接方式、フラッシュ溶接方式、衝撃溶接方式、シーム溶接方式またはプロジェクション溶接方式のうち何れか一つの方式によって遂行されることができる。
【0017】
また、前記表面処理層は、ENIG(Electroless Nickel Immersion Gold)方式またはENIPIG(Electroless Nickel Immersion Palladium Immersion Gold)方式によって形成されることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、リードピンが軸部、即ち、「|」形状からなっているため、リードピンの製作が容易であり、頭部がない分、接続パッドの直径を減らすことができるため、ファインピンピッチ(fine pin pitch)が可能である効果がある。
【0019】
また、本発明は、リードピンの製作時、リードピン上に表面処理層を形成しないため、リードピンの製作工程数が減少されることができ、これにより、リードピンの製作コストを低減する効果がある。
【0020】
更に、本発明は、リードピンと接続パッドを半田を利用して接合しないため、半田が軸部まで登る半田クライム(climb)問題を解消し、リフロー工程の間に発生するリードピンムーブメント(movement)の問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態による印刷回路基板の構造を概略的に示した断面図である。
【図2】本発明の一実施形態による印刷回路基板の製造方法を説明するために概略的に示した工程図(1)である。
【図3】本発明の一実施形態による印刷回路基板の製造方法を説明するために概略的に示した工程図(2)である。
【図4】本発明の一実施形態による印刷回路基板の製造方法を説明するために概略的に示した工程図(3)である。
【図5】従来の印刷回路基板の製造方法を説明するために概略的に示した工程図(1)である。
【図6】従来の印刷回路基板の製造方法を説明するために概略的に示した工程図(2)である。
【図7】従来の印刷回路基板の製造方法を説明するために概略的に示した工程図(3)である。
【図8】従来の印刷回路基板の製造方法を説明するために概略的に示した工程図(4)である。
【図9】従来の印刷回路基板の製造方法を説明するために概略的に示した工程図(5)である。
【図10】従来の印刷回路基板の製造方法を説明するために概略的に示した工程図(6)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の目的、特定の長所及び新規の特徴は、添付図面に係わる以下の詳細な説明および好ましい実施例によってさらに明らかになるであろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるに際し、同一の構成要素に限っては、たとえ異なる図面に示されても、できるだけ同一の番号を付けるようにしていることに留意しなければならない。
【0023】
また、本発明の説明において、係わる公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不必要にぼかす可能性があると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。本明細書において、第1、第2などの用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別するために用いられるものであり、前記構成要素は、前記用語によって限定されない。
【0024】
以下、添付された図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
【0025】
(印刷回路基板)
図1は、本発明の一実施形態による印刷回路基板の構造を概略的に示した断面図である。
【0026】
図1に図示したように、本発明による印刷回路基板100は、ベース基板110と、リードピン200及び表面処理層301、303を含む。
【0027】
前記ベース基板110は、接続パッド111が露出された開口部を有する半田レジスト層120を有する。
【0028】
前記ベース基板110は、絶縁層に接続パッド111を含む1層以上の回路が形成された印刷回路基板であり、本図面では、説明の便宜のために具体的な内層回路構成は省略して図示したが、当業者であれば、前記基板110として絶縁層に1層以上の回路が形成された通常の印刷回路基板が適用されることができるということを十分に認識することができるであろう。
【0029】
前記絶縁層としては、樹脂絶縁層が用いられることができる。前記樹脂絶縁層としては、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂、ポリイミドのような熱可塑性樹脂、またはこれらにガラス繊維または無機フィラーのような補強剤が含浸された樹脂、例えば、プリプレグが用いられることができ、また、熱硬化性樹脂及び/または光硬化性樹脂などが用いられることができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0030】
また、接続パッド111を含む回路は、回路基板分野において回路用伝導性金属として用いられるものであれば、制限されずに適用可能であり、印刷回路基板には銅を用いることが典型的である。
【0031】
前記半田レジスト層120は、最外層回路を保護する保護層の機能をし、電気的絶縁のために形成されるものであり、最外層の接続パッド111を露出させるために開口部が形成される。前記半田レジスト層120は、当業界において公知されたように、例えば、半田レジストインク、半田レジストフィルムまたはカプセル化剤などで構成されることができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0032】
前記露出された接続パッド111には、従来とは異なって、表面処理層を形成しないことが好ましい。これは、以後製造方法で説明するが、前記リードピン200と接続パッド111を半田ペーストを利用して接合するのでなく、溶接を利用して接合するためである。
【0033】
ここで、前記リードピン200は、軸部からなることが好ましい。即ち、「|」形状からなる。これは、図8のように軸部と頭部に分けて形成された従来のリードピンとの最大の差異点である。しかし、本発明のリードピン200も軸部と頭部を含むことができ、この際、軸部と頭部の直径及び形態を同一にして、「|」形状に製造することが好ましい。
【0034】
また、本発明によるリードピン200と従来のリードピンとのまた他の差異点は、表面上に表面処理層を形成しないことである。従来のリードピンは、図8のように、リードピンの表面上に酸化及び腐食を防止するための表面処理層を含んでいるが、本発明のリードピン200は、図3のように、別途の表面処理層を含まない。これは、上述したように、リードピン200と接続パッド111を半田ペーストをリフローして接合するのでなく、溶接によって接合するためである。
【0035】
このように、本発明は、リードピン200の製造時「|」形状に製造するため、製造が容易であり、リードピン200の表面に表面処理層を別に形成する工程を含まないため、製造工程数が減少する効果がある。
【0036】
最後に、本発明による印刷回路基板100の表面処理層301、303は、リードピン200を接続パッド111に接合した後に形成するものであり、接続パッド111及びリードピン200の露出された部分に形成されることができる。
【0037】
この際、表面処理層は、ENIG(Electroless Nickel Immersion Gold)方式またはENIPIG(Electroless Nickel Immersion Palladium Immersion Gold)方式によって形成されることができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0038】
このように、リードピン200を接続パッド111に接合した後、表面処理層を形成することにより、リードピン200と接続パッド111の接合状態をより強固にすることができ、接続パッド111及びリードピン200の表面の酸化及び腐食を防止することができる。
【0039】
(印刷回路基板の製造方法)
図2から図4は、本発明の一実施形態による印刷回路基板の製造方法を説明するために概略的に示した工程図である。
【0040】
まず、図2に図示したように、接続パッド111を有するベース基板110を準備する。
【0041】
前記ベース基板110は、接続パッド111が露出された開口部を有する半田レジスト層120を有する。
【0042】
この際、前記接続パッド111には、表面処理層が形成されないことが好ましい。これは、以後、接続パッド111にリードピン200と接続パッド111が溶接方式によって接合されるためである。
【0043】
次に、図3に図示したように、前記接続パッド111にリードピン200を接合する。
【0044】
この際、前記リードピン200は、軸部のみからなることが好ましい。例えば、「|」形状からなることができる。しかし、軸部と頭部に分けて、その二つの形態及び直径を同一にすることにより、「|」形状に製造することも可能であろう。
【0045】
また、前記接続パッド111と同様に、リードピン200に表面処理層が形成されていないことが好ましい。これは、前記接続パッド111とリードピン200を半田ペーストでなく、後述する溶接方式を利用して接合するためである。
【0046】
このように、リードピン200が「|」形状からなっており、従来のリードピンとは異なって軸部より直径が大きい頭部がないため、これと接合される接続パッド111の直径をそれだけ減らすことができることにより、ピンファインピッチ(pin fine pitch)即ち、ピンとピンの間の距離をより近く配置することが可能である。
【0047】
前記リードピン200と接続パッド111の接合は、溶接方式によって遂行されることができる。前記溶接方式としては、拡散溶接方式、点溶接方式、突合せ溶接、超音波溶接方式、冷間圧接方式、爆発溶接方式、摩擦溶接方式、慣性溶接方式、誘導溶接方式、テルミット溶接方式、フラッシュ溶接方式、衝撃溶接方式、シーム溶接方式またはプロジェクション溶接方式が含まれることができ、本発明におけるリードピン200と接続パッド111との接合は、これらのうち一つの方式によって遂行されることができる。
【0048】
即ち、表面処理されていない二つの金属、例えば接続パッド111とリードピン200を近い距離に位置させた後、前記方式によって二つの金属が接合される。このような溶接による金属接合方法は、既に公知された技術であるため、詳細な説明は省略する。
【0049】
次に、図4に図示したように、接続パッド111とこれに接合されたリードピン200の露出された部分の酸化及び腐食を防止するために、表面処理層301、303を形成する。ここで、表面処理層のうち内部表面処理層301は、ニッケル(Ni)、外部表面処理層303は金(Au)で形成することができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0050】
この際、前記表面処理層は、ENIG(Electroless Nickel Immersion Gold)方式またはENIPIG(Electroless Nickel Immersion Palladium Immersion Gold)方式によって形成されることができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0051】
このように、接続パッド111とリードピン200とを溶接方式で接合した後、露出された外部面に表面処理層301、303を形成することにより、前記接続パッド111とリードピン200との接合状態をより堅固にすることができ、接続パッド111とリードピン200との露出面の酸化及び腐食を防止することができる。
【0052】
以上、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明したが、これは、本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明による印刷回路基板及びその製造方法は、これに限定されず、本発明の技術的思想内で該当分野における通常の知識を有する者によって、その変形や改良が可能であることは明白であろう。
【0053】
本発明の単純な変形乃至変更は、いずれも本発明の領域に属するものであり、本発明の具体的な保護範囲は、添付の特許請求の範囲により明確になるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、製造工程数を減少させることができ、ピンムーブメント問題が発生せず、ファインピンピッチ(fine pin pitch)が可能な印刷回路基板及びその製造方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 印刷回路基板
11 ベース基板
12 半田レジスト層
13 接続パッド
15 ニッケル(表面処理層)
17 金(表面処理層)
19 半田ペースト
19a フラックス
20 リードピン
23 ニッケル(表面処理層)
25 金(表面処理層)
100 印刷回路基板
110 ベース基板
111 接続パッド
120 半田レジスト層
200 リードピン
301、303 表面処理層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続パッドを有するベース基板;
前記接続パッドに接合されたリードピン;及び
前記接続パッドとリードピンの露出された部分に形成された表面処理層
を含む印刷回路基板。
【請求項2】
前記リードピンは軸部からなる請求項1に記載の印刷回路基板。
【請求項3】
前記リードピンは「|」形状からなる請求項2に記載の印刷回路基板。
【請求項4】
前記表面処理層は、ENIG(Electroless Nickel Immersion Gold)方式またはENIPIG(Electroless Nickel Immersion Palladium Immersion Gold)方式によって形成される請求項1に記載の印刷回路基板。
【請求項5】
接続パッドを有するベース基板を準備する段階;
前記接続パッドにリードピンを接合する段階;
前記接続パッド及びリードピンの露出された部分に表面処理層を形成する段階
を含む印刷回路基板の製造方法。
【請求項6】
前記リードピンは軸部からなる請求項5に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項7】
前記リードピンは「|」形状からなる請求項6に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記接続パッドにリードピンを接合する段階は、溶接によって遂行される請求項5に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項9】
前記溶接は、拡散溶接方式、点溶接方式、突合せ溶接、超音波溶接方式、冷間圧接方式、爆発溶接方式、摩擦溶接方式、慣性溶接方式、誘導溶接方式、テルミット溶接方式、フラッシュ溶接方式、衝撃溶接方式、シーム溶接方式またはプロジェクション溶接方式のうち何れか一つの方式によって遂行される請求項8に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項10】
前記表面処理層は、ENIG(Electroless Nickel Immersion Gold)方式またはENIPIG(Electroless Nickel Immersion Palladium Immersion Gold)方式によって形成される請求項5に記載の印刷回路基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−109515(P2012−109515A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73829(P2011−73829)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】