説明

印刷媒体、テープカセット及び印刷装置

【課題】加熱によって発色し、光によって定着する発色層を備えた印字媒体に設けられた遮光シートを、使用者が剥がす手間を無くし、また、遮光シートの剥がし忘れがない印刷媒体、テープカセット及び印刷装置を提供する。
【解決手段】5層構造になっている印字テープ70はサーマルヘッド11によって印字された後に遮光テープ分離部15によって印字テープ70から遮光テープ71が分離され、遮光テープ71は遮光テープ巻取りスプール38によって巻き取られ、印字テープ70は遮光テープ71を剥離後にテープ送りローラ25と、テープ送りローラ43と協働により、テープ排出口41から排出されて、露光され、発色部が定着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷媒体、テープカセット及び印刷装置に関し、詳細には、加熱することによって発色し、露光によって定着する感熱発色層を有する印刷媒体及び当該印刷媒体を備えたテープカセット及び当該テープカセットが装着される印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種ラベルを作成可能なラベルライターが知られている。このラベルライターでは、印刷媒体が巻回されたテープカセットを装置本体に装着することで使用可能となる。このラベルライターに使用されるテープカセットには、透明の基材テープと、インクリボンと、両面粘着テープを内蔵し、所謂ラミネートタイプのラベルを作成するために使用されるものと、表面に感熱発色層を備え、裏面に粘着剤層を備えた感熱テープを内蔵したものとが知られている。この感熱テープを使用するタイプは、サーマルヘッドで、感熱発色層に熱を加えて、発色させて文字や図形等が形成されるようになっている。
【0003】
また、CD等の印字媒体上に加熱によって発色し、光によって定着する発色層を設け、その発色層の表面に剥離可能な遮光シートが設けられた印刷媒体も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−71613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の印刷媒体では、加熱印刷を行った後に、使用者が遮光シートを剥がして、発色層を露光して定着しない限り、再度、印刷媒体に熱が加わると、発色層がまた発色してしまうという問題点があった。また、使用者が遮光シートを、わざわざ剥がさなければならないという煩わしさがあった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、加熱によって発色し、光によって定着する発色層を備えた印字媒体に設けられた遮光シートを、使用者が剥がす手間を無くし、また、遮光シートの剥がし忘れがない印刷媒体、テープカセット及び印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために請求項1に係る発明は、基材上に設けられ、加熱することによって発色し、露光によって定着する感熱発色層と、前記感熱発色層上に剥離可能に設けられ、前記感熱発色層への光を遮断する遮光シートとを備えた印刷媒体であって、前記遮光シートは、前記感熱発色層へ伝熱可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記遮光シートは伝熱可能な金属材料で構成されていることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、前記遮光シートは、前記基材よりも薄膜且つ伝熱可能なシートから構成されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記基材の前記感熱発色層が形成された側と反対側に粘着剤層が設けられ、当該粘着剤層には剥離紙が粘着されていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の前記印刷媒体からなるテープを備え、サーマルヘッドが搭載された印刷装置に着脱可能なテープカセットであって、前記サーマルヘッドが挿入される開口部と、前記サーマルヘッドに設けられた発熱体に対して、前記テープ搬送方向下流側で、前記基材と前記遮光シートが分離される分離部と、当該分離部で分離した遮光シートを巻き取る遮光シート巻取り部とを備え、前記サーマルヘッドの発熱体に前記遮光シートを対向するように、前記テープを巻回したテープスプールが配置されていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に係る発明は、請求項5に記載のテープカセットが着脱可能に装着される印刷装置であって、前記サーマルヘッドと、前記サーマルヘッドに前記テープを挟んで対向配置されたプラテンと、前記遮光シート巻取り部を駆動する遮光シート巻取り部駆動装置とを備え、前記サーマルヘッドに対して、前記テープ搬送方向下流側で、前記テープの感熱発色層と前記遮光シートとが分離され、当該分離した遮光シートは、前記遮光シート巻取り部駆動装置によって駆動される前記遮光シート巻取り部に巻き取られ、前記遮光シートが分離され感熱発色層が露出したテープは、テープ排出口から排出され、露光して発色が定着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明の印刷媒体では、遮光シートによって感熱発色層が保護されているので、印字前のテープが露光して定着することを防止できる。また、感熱発色層は遮光シートを通して伝えられた熱によって発色するので、印字前に遮光シートを剥がす手間が無い。さらに、遮光シートの上からの加熱により感熱発色層を発色させられるので、印字中であっても感熱発色層が露光せず、感熱発色層が定着することなく高品質の印字を行うことができる。また、遮光シートは剥がすことができるので、印字後に剥がして感熱発色層を露光させ、定着させることができ、紫外線等での変色が無く、印字品質を保つことができる。
【0013】
また、請求項2に係る発明の印刷媒体では、請求項1に記載の発明の効果に加え、遮光シートが伝熱可能な金属材料で構成されているので、サーマルヘッドからの熱を感熱発色層へ伝えやすく、サーマルヘッドのエネルギーを効率よく使うことができる。
【0014】
また、請求項3に係る発明の印刷媒体では、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、遮光シートが基材よりも薄膜且つ伝熱可能なシートで構成されているので、サーマルヘッドの熱が感熱発色層へ伝えられ易い。また遮光シートを安価に構成することができる。
【0015】
また、請求項4に係る発明の印刷媒体では、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の効果に加え、基材の感熱発色層の反対側に粘着剤層が設けられ、更に剥離紙が設けられているので、印字後にテープを対象へ貼り付けることができると共に、印字中に粘着剤が印字装置やテープカセットにくっつくことが無い。
【0016】
また、請求項5に係る発明のテープカセットでは、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明の効果に加え、印字後に感熱発色層と遮光シートとが分離部で分離し、遮光シートが巻き取られるように構成されている。従って、印字後に感熱発色層が確実に露光して定着するため、印字品質を保つことができる。また、テープカセット内に遮光シートが巻き取られるので、テープカセット外に排出されてごみとなることがなく、取り扱い性が良い。
【0017】
また、請求項6に係る発明の印刷装置では、請求項5に記載のテープカセットが使用されるので、遮光シートを挟んで感熱発色層に熱が伝えられ、印字前に遮光シートを剥がす必要が無く、印字前に感熱発色層が露光して定着してしまうことを防止できる。また、感熱発色層から遮光シートが確実に分離し、感熱発色層が露光するので、印字後の品質が安定した印字テープを作成することができる。また、テープカセット内に遮光シートが巻き取られるので、テープカセット外に排出されてごみとなることがなく、取り扱い性が良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態のテープ印字装置1及びテープカセット30について図1乃至図3を参照して説明する。図1はテープカセット収納部8の収納カバー12を開けた状態のテープ印字装置1の平面図であり、図2はテープカセット30斜視図であり、図3は、上部ケース31を取り去った状態のテープカセット30の内部構成を示す平面図である。尚、テープ印字装置1が「印刷装置」に相当する。
【0019】
まず、図1を参照してテープ印字装置1の構造を説明する。テープ印字装置1は平面視四角形に成形され、テープ印字装置1の上面の前部にはキーボード6が設けられており、キーボード6には、文書入力キー2、リターンキー5、及び、印刷キー3、TABキー4等の各種の機能キーが設けられている。また、テープ印字装置1の上面中央部の左側には、キーボード6から入力された文字等を表示する液晶ディスプレイ7が設けられている。
【0020】
また、テープ印字装置1の上面の後部の右側には、後述するテープカセット30を収納するテープカセット収納部8が設けられ、テープカセット収納部8には、当該テープカセット収納部8を開閉可能に覆う収納カバー12が設けられている。さらに、このテープカセット収納部8は平面視、横長の略長方形の凹部となっており、テープカセット30が隙間なく嵌挿できる形状である。また、このテープカセット収納部8には、その中心部よりやや右端斜め前部に、テープカセット30の遮光テープ巻取りスプール38(図3参照)と嵌合し、遮光テープ巻取りスプール38を回動する遮光テープ巻き取り軸9を備えている。この遮光テープ巻取りスプール38が「遮光シート巻取り部」に相当する。また、遮光テープ巻き取り軸9は、図示外のモータにより駆動され、「遮光シート巻取り部駆動装置」に相当する。
【0021】
また、テープカセット収納部8の前部左側には、後述する印字テープ70を加熱により印字するサーマルヘッド11を備えている。また、サーマルヘッド11と対向する位置に、揺動されるプラテンローラ13が備えられ、さらに、テープ送りローラ43がプラテンローラ13の近傍に設けられている。また、テープカセット収納部8とキーボード6との間には、収納カバー12をロックするロック18が設けられている。また、テープカセット収納部8の左前部の角(図1に於ける)には、印刷された印字テープ70を排出するテープ排出口45が形成されている。尚、テープ印字装置1の内部には、図示外の制御回路基板及び電池収納部が設けられている。
【0022】
次に、図2を参照して、テープカセット30の外部の構造を説明する。図2に示すように、テープカセット30は、略長方形の箱状に形成され、上部ケース31と下部ケース32とから構成されている。また、図2に示すように、上部ケース31には、印字テープ70を剥離紙75側を外側に向けて巻回した印字テープスプール37(図3参照)を回動可能に支持する支持孔21と、後述する遮光テープ71を巻き取る遮光テープ巻取りスプール38を支持する支持孔22とが形成されている。なお、図3に示すように、下部ケース32についても上部ケース31と同様に、各支持孔21,22に対向する支持孔(図示外)が各々形成されている。
【0023】
また、図2及び図3に示すように、テープカセット30の前側の側面には、印字テープスプール37から引き出された印字テープ70を開口部10Aから後述するサーマルヘッド開口部39に送出するアーム形状の印字テープ案内部10が延設されている。さらに、この印字テープ案内部10の開口部10Aの近傍には、印字テープ案内部10と、該印字テープ案内部10に対向する壁部23とに囲まれて形成され、サーマルヘッド11が挿入されるサーマルヘッド開口部39が設けられている。
【0024】
さらに、図2に示すように、印字テープ70の走行方向において、サーマルヘッド開口部39の下流側には、上下方向に貫通する支持孔24が設けられ、該支持孔24の内側には、テープ送りローラ25が回転可能に支持されている。このテープ送りローラ25は、該テープ送りローラ25に対向して配置されるテープ印字装置1に設けられたテープ送りローラ43との協働により、印字テープスプール37から印字テープ70を引き出す働きをするものである。また、テープ送りローラ25の近傍であって、印字テープ70の走行方向の上流側には、上下一対の規制部材26、27が設けられている。これら各規制部材26、27は、サーマルヘッド11の下流側にて文字等が印字された印字テープ70を幅方向に規制して、テープ排出口41に向かって印字テープ70を案内するものである。また、図3に示すように、これら各規制部材26、27の内側には、サーマルヘッド開口部39を経由して搬送された印字テープ70から遮光テープ71を剥離して分離し、当該分離した遮光テープ71を遮光テープ巻取りスプール38に向けて案内する遮光テープ分離部15が設けられている。
【0025】
一方、図1、図2に示すように、テープカセット30の右後縁位置(図1、図2の右上側)には、カセット検出部20が形成されている。このカセット検出部20には、テープカセット30の種類(例えば、印字テープ70の幅、色等により、テープカセット30の種類が特定される)を検出するために、所定のパターンをもって複数個のスイッチ孔20Aが穿設されている。このスイッチ孔20Aの形成パターンは、各テープカセット30の種類にしたがって異なるパターンとされている。そして、これら各スイッチ孔20Aは、テープ印字装置1側に配設された複数個の検出スイッチ44のオン・オフの組合せに基づいて検出されるものである。
【0026】
次に、図3を参照して、テープカセット30の内部の構造を説明する。図3に示すように、テープカセット30の下部ケース32は、平面視、略長方形に形成され、その外周部に側壁32Aが立設されている。この下部ケース32の左半分部分に印字テープ70を巻回した印字テープスプール37が回動可能に設けられ、当該印字テープスプール37には、印字テープ70が時計回りに引き出せるように巻回されている。尚、印字テープ70の構造の詳細は後述する。また、下部ケース32の右端前部には、搬送される印字テープ70をガイドする円柱形状の後部ガイドピン14が立設され、当該後部ガイドピン14の近傍且つ前部側には、印字テープ70を印字テープ案内部10方向に案内する前部ガイドピン16が立設されている。
【0027】
また、当該前部ガイドピン16と印字テープスプール37の中心を結ぶ線の印字テープスプール37近傍に印字テープ70から分離された遮光テープ71を巻き取る遮光テープ巻取りスプール38が設けられている。この遮光テープ巻取りスプール38は、図1に示す遮光テープ巻き取り軸9により、図3に示す状態で、半時計回りに駆動されるようになっている。
【0028】
さらに、図3に示すように、アーム状に形成された印字テープ案内部10の左側の端部(印字テープ70の搬送方向側の端部)には、印字テープ70をサーマルヘッド開口部39に挿入されたサーマルヘッド11に向けて排出する開口である開口部10Aが穿設されている。また、図3に示すように、テープ送りローラ25の近傍の規制部材27の内側、且つ、印字テープ案内部10の開口部10Aにサーマルヘッド11の発熱部11Aを挟んで対向する部分に遮光テープ分離部15が形成されている。この遮光テープ分離部15はテープカセット30の厚み方向(図3に於ける紙面方向)に印字テープ70以上の幅を有した板状の部材で下部ケース32から垂直に立設され、その両端部は、円弧状に形成されている。また、遮光テープ分離部15の板面は、遮光テープ巻取りスプール方向に少し傾斜し、印字テープ案内部10の開口部10Aから排出され、サーマルヘッド11により加熱印字された印字テープ70から剥離された遮光テープ71を遮光テープ巻取りスプール38方向に案内するようになっている。尚、テープカセット30では、未使用状態でも、印字テープ70から剥離された遮光テープ71の先端は、遮光テープ巻取りスプール38に予め巻き付けられている。
【0029】
尚、図3に示すように印刷時には、印字テープ70は、揺動されるプラテンローラ13により、サーマルヘッド11の発熱部11Aに押圧され、遮光テープ分離部15により、遮光テープ71が分離された印字テープ70は、揺動されるテープ送りローラ43によりテープカセット30内に設けられたテープ送りローラ25に押圧されるようになっている。そして、印字テープ70は、テープ排出口41からテープカセット30の外部に排出されるようになっている。
【0030】
次に、図4を参照して、「印刷媒体」としての印字テープ70の構造について説明する。図4は、印字テープ70の厚み方向の縦断面である。図4に示すように印字テープ70は5層構造に形成され、ポリイミド、PET等の合成樹脂からなる「基材」としてのベースフィルム73が芯材として中央の層に設けられている。このベースフィルム73の厚みは、一例として100μm程度であり、印字テープ70に十分な引っ張り強度を与えている。
【0031】
また、当該ベースフィルム73の上側(図4に於ける)には、サーマルヘッド11の発熱部11Aの加熱により発色し、露光により定着する感熱発色層72が形成されている。この感熱発色層72は、一例としては、イエロー、マゼンタおよびシアンに発色する3つの発色層をベースフィルム73の上に積層して構成される。イエロー発色層は、一例として、マイクロカプセルに封入されたイエロー色素材料と、カプラーとを含んで構成され、20mJ/mm2以上の熱エネルギの印加によって、イエロー色素材料およびカプラーがマイクロカプセルを透過するようになり、両者が反応して発色する。また、イエロー発色層は、波長420nmの光照射によって、未反応のイエロー色素材料が分解されてそれ以上発色しなくなり、定着される。また、マゼンタ発色層は、マイクロカプセルに封入されたマゼンタ色素材料と、カプラーとを含んで構成され、40mJ/mm2以上の熱エネルギの印加によって、マゼンタ色素材料およびカプラーがマイクロカプセルを透過するようになり、両者が反応して発色する。また、マゼンタ発色層は、波長365nmの光照射によって、未反応のマゼンタ色素材料が分解されてそれ以上発色しなくなり、定着される。
【0032】
さらに、シアン発色層は、マイクロカプセルに封入されたシアン色素材料と、カプラーとを含んで構成され、80mJ/mm2以上の熱エネルギの印加によって、シアン色素材料およびカプラーがマイクロカプセルを透過するようになり、両者が反応して発色する。また、シアン発色層は、波長300nmの光照射により未反応のシアン色素材料が分解されてそれ以上発色しなくなり、定着される。尚、以上のマイクロカプセルはジアゾ化合物を含有し、ジアゾ化合物の吸収極大波長はその化学構造に応じて、200nm位から700nm位まで変化することが知られている(「感光性ジアゾニウム塩の光分解と化学構造」角田隆弘、山岡亞夫著日本写真学会誌29(4)197〜205頁(1965年))。即ち、ジアゾ化合物を光分解性化合物として用いるとその化学構造に応じた特定の波長の光で分解する。従って、以上の発色層は紫外線が照射されると定着される。
【0033】
また、印字テープ70の感熱発色層72の上側(図4に於ける)には、「遮光シート」としての遮光テープ71が設けられている。この遮光テープ71は、ベースフィルム73の厚みより薄い薄膜に形成された伝熱可能な金属材料から構成されたテープである。この遮光テープ71の一例としては、熱伝導性の高い金属材料であるアルミ箔や錫箔等を用いることができ、その遮光テープ71の厚みの一例としては、10μm〜50μm程度にしておけば、十分に遮光の機能を果たすことができる。尚、この遮光テープ71の表側(図3に於ける上側)には、遮光テープ71の強度補強の為の図示外の合成樹脂の薄膜が形成され、また、感熱発色層72側には、粘着剤層が形成され、遮光テープ71が感熱発色層72に剥離可能に貼り付けられている。
【0034】
また、図4に示すように、ベースフィルム73の下側(図4に於ける)には、粘着剤層74が形成され、当該粘着剤層74の下側(図4に於ける)には、当該粘着剤層74から剥離可能な剥離紙75が貼り付けられている。
【0035】
次に、上記構成を有する印字テープ70が収納されたテープカセット30を用いたテープ印字装置1での印字動作について、図1、図3、図5乃至図7を参照して、説明する。図5は、テープ印字装置1のサーマルヘッド11が印字テープ70に当接して印字している状態を示す印字テープ70の縦断図であり、図6は、印字後に印字テープ70から遮光テープ71のみを分離する状態を示す印字テープ70の縦断図であり、図7は印字テープ70から遮光テープ71が剥がされた後に感熱発色層72が露光定着されている状態の断面図である。
【0036】
まず、図1に示すように、テープ印字装置1の収納カバー12を開放し、テープカセット30をテープカセット収納部8に装着して、収納カバー12を閉じ、ロック18により、収納カバー12をロックする。すると、テープカセット30のカセット検出部20により、テープカセット30に収納されている印字テープ70の種類等がテープ印字装置1により判別される。次いで、キーボード6の文書入力キー2により所望の文字を入力し、印刷キー3を押すと、テープ印字装置1は、図5に示すように、サーマルヘッド11の発熱部11Aにより、印字テープ70を遮光テープ71の上から加熱する。すると、加えられた熱量に応じて、感熱発色層72に発色部76が形成される。
【0037】
次いで、図3に示す、テープ送りローラ25とテープ送りローラ43との協働により、印字テープ70がテープ排出口41に向けて搬送される。このときに、遮光テープ巻き取り軸9の駆動により、遮光テープ巻取りスプール38が、反時計回りに回動する。従って、図6に示すように、遮光テープ71は、遮光テープ分離部15で、印字テープ70から剥離して分離され、図3に示すように遮光テープ巻取りスプール38に向けて搬送されて、遮光テープ巻取りスプール38に巻き取られる。
【0038】
その後、遮光テープ71が分離された印字テープ70は、テープカセット30のテープ排出口41から排出されて、テープ印字装置1のテープ排出口45から外部に排出され、図示外のカッター機構により切断されて、ラベルとなる。このときに、図7に示すように、感熱発色層72が、日光等により露光されて、発色部76が定着する。
【0039】
尚、本発明は、上記実施の形態に限られず、各種の変形が可能である。例えば、本発明は、キーボード6を備えた一体型のテープ印字装置1のみならず、パーソナルコンピュータと接続して使用する印字部のみを備えたテープ印字装置に適用することもできる。また、印刷媒体としては、上記の印字テープ70に限られず、表面に感熱発色層を備え、その感熱発色層上に設けた遮光シートを自動的に剥離できるものであれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】テープカセット収納部8の収納カバー12を開けた状態のテープ印字装置1の平面図である。
【図2】テープカセット30斜視図である。
【図3】上部ケース31を取り去った状態のテープカセット30の内部構成を示す平面図である。
【図4】印字テープ70の厚み方向の縦断面である。
【図5】テープ印字装置1のサーマルヘッド11が印字テープ70に当接して印字している状態を示す印字テープ70の縦断図である。
【図6】印字後に印字テープ70から遮光テープ71のみを分離する状態を示す印字テープ70の縦断図である。
【図7】印字テープ70から遮光テープ71が剥がされた後に感熱発色層72が露光定着されている状態の断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 テープ印字装置
8 テープカセット収納部
9 遮光テープ巻き取り軸
10 印字テープ案内部
11 サーマルヘッド
11A 発熱部
12 収納カバー
13 プラテンローラ
14 後部ガイドピン
15 遮光テープ分離部
16 前部ガイドピン
21 支持孔
22 支持孔
24 支持孔
25 テープ送りローラ
30 テープカセット
31 上部ケース
32 下部ケース
37 印字テープスプール
38 遮光テープ巻取りスプール
39 サーマルヘッド開口部
41 テープ排出口
43 テープ送りローラ
45 テープ排出口
70 印字テープ
71 遮光テープ
72 感熱発色層
73 ベースフィルム
74 粘着剤層
75 剥離紙
76 発色部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に設けられ、加熱することによって発色し、露光によって定着する感熱発色層と、
前記感熱発色層上に剥離可能に設けられ、前記感熱発色層への光を遮断する遮光シートとを備えた印刷媒体であって、
前記遮光シートは、前記感熱発色層へ伝熱可能に構成されていることを特徴とする印刷媒体。
【請求項2】
前記遮光シートは伝熱可能な金属材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の印刷媒体。
【請求項3】
前記遮光シートは、前記基材よりも薄膜且つ伝熱可能なシートから構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷媒体。
【請求項4】
前記基材の前記感熱発色層が形成された側と反対側に粘着剤層が設けられ
当該粘着剤層には剥離紙が粘着されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の印刷媒体。
【請求項5】
前記請求項1乃至4のいずれかに記載の前記印刷媒体からなるテープを備え、サーマルヘッドが搭載された印刷装置に着脱可能なテープカセットであって、
前記サーマルヘッドが挿入される開口部と、
前記サーマルヘッドに設けられた発熱体に対して、前記テープ搬送方向下流側で、前記基材と前記遮光シートが分離される分離部と、
当該分離部で分離した遮光シートを巻き取る遮光シート巻取り部とを備え、
前記サーマルヘッドの発熱体に前記遮光シートを対向するように、前記テープを巻回したテープスプールが配置されていることを特徴とするテープカセット。
【請求項6】
請求項5に記載のテープカセットが着脱可能に装着される印刷装置であって、
前記サーマルヘッドと、
前記サーマルヘッドに前記テープを挟んで対向配置されたプラテンと、
前記遮光シート巻取り部を駆動する遮光シート巻取り部駆動装置とを備え、
前記サーマルヘッドに対して、前記テープ搬送方向下流側で、前記テープの感熱発色層と前記遮光シートとが分離され、
当該分離した遮光シートは、前記遮光シート巻取り部駆動装置によって駆動される前記遮光シート巻取り部に巻き取られ、
前記遮光シートが分離され感熱発色層が露出したテープは、テープ排出口から排出され、露光して発色が定着することを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−254384(P2008−254384A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−100873(P2007−100873)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】