説明

印刷機分割ロールと作動管理方法

【課題】分割ロールの異常作動によってもたらされる印刷不良を最小限に抑える。
【解決手段】印刷機分割ロールの周面を構成する複数個の筒体17をそれぞれ回転可能に支持する複数個の可動部材16を支持部材15に外嵌させ、その支持部材15の軸芯10に直交する方向20に可動部材16と共に筒体を往復駆動する。ロール内部の可動部材か支持部材に、その可動部材と支持部材との相対的位置の変動を感知する作動感知センサー30を付設する。その作動感知センサーの感知信号62の変化によって筒体の作動を監視・管理する。(1) 可動部材に発信する指示信号61の周期αと作動感知センサーの発信する感知信号62の周期βとの間の周期差δ、(2) 指示信号61と感知信号62とのタイムラグ・応答時間θ、(3)指示信号61と感知信号62との異常対応が継続する異常発信回数pの何れかによって筒体(可動部材)の作動異常を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機のインキ壺側のロール(以下、ファンテンロールと言う。)と版面側のロール(以下、練りロールと言う。)の間で往復振動し、ファンテンロールから練りロールへとインキを転送するインキ呼び出しロールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インキ呼び出しロールとして、非円形断面の軸桿によって構成される支持部材に外嵌し、その軸芯に直交する方向に摺動可能に支持されて珠子繋ぎ状に支持部材(マニホールド)に多数配列された複数個の可動部材がそれぞれ外嵌し、その可動部材に支持部材の軸芯の周りに回転可能に支持された複数個の筒体の周面によってインキ呼び出しロール全体の周面が構成されており、その支持部材の軸芯に直交する方向に各可動部材を個々に駆動する複数個の駆動装置が支持部材に組み込まれており、その駆動装置が、可動部材の個数と同数のシリンダーおよび同数の戻しバネと、その各シリンダーに圧力を伝達する流通管と、各シリンダーへの圧力の伝達を切り換える可動部材の数に応じた複数個の切換装置によって構成され、シリンダーが、支持部材に設けた円筒形凹部にピストンを嵌め込んで構成されており、戻しバネが、シリンダーの円筒形凹部とは逆向きに支持部材に設けられた円筒形凹部にタペットを介して、可動部材をピストンの作動方向とは逆向きに付勢するように構成された印刷機分割ロールは公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この印刷機分割ロールにおいて、支持部材を角形軸桿によって構成し、その支持部材に流通管を軸芯方向に設け、支持部材を流通管に兼用すること、および、中実短円柱形部材の中心部に、支持部材が接触して嵌合する角形断面の貫通孔と、切換装置の遊嵌する角形断面の貫通孔を、それらの間を仕切ることなく穿設して可動部材を構成することは公知である(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
本願発明者は、その分割ロールにおいて、3個の空気出入孔(ポート)を有し、ソレノイドによるオン・オフ操作によって一部の空気出入孔と他の一部の空気出入孔を択一的に開閉される3ポート電磁弁(3ポートソレノイドバルブとも言う。)を切換装置に適用し、その一部の空気出入孔が開かれるときはピストンが戻りバネに抗して可動部材を駆動し、その他の一部の空気出入孔が開かれるときはピストンが解放されて可動部材が戻りバネによって押し戻される印刷機分割ロールを公開している(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
本願発明者は、更に、その戻りバネに代えてシリンダーを使用し、1個の可動部材に対して2個1組となる各組2個のシリンダーを互いに逆向きとなる2面に分けて支持部材に設け、5個の空気出入孔(ポート)を有し、ソレノイドによるオン・オフ操作によって一部の空気出入孔と他の一部の空気出入孔の開閉が択一的に切り換えられる5ポート電磁弁(5ポートソレノイドバルブとも言う。)を切換装置に適用し、その2個1組となる各組2個のシリンダーのピストンを択一的に操して各可動部材を支持部材上で往復振動する印刷機分割ロールを公開している(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
更に、本願発明者は、非円形断面の軸桿によって構成される支持部材に外嵌し、その軸芯に直交する方向に摺動可能に支持されて珠子繋ぎ状に多数支持部材に配列された複数個の可動部材にそれぞれ外嵌し、その支持部材の軸芯の周りに回転可能に可動部材に支持された複数個の筒体の周面によってロール全体の周面が構成されており、その支持部材の軸芯に直交する方向に各可動部材を個々に駆動する複数個の駆動装置が支持部材に組み込まれており、その駆動装置が、可動部材の個数に応じた複数個のシリンダーと、その各シリンダーに圧力を伝達する流通管と、各シリンダーへの圧力の伝達を切り換える可動部材の数に応じた複数個の切換装置によって構成され、その複数個の切換装置が、支持部材の断面の四方を縁取る支持部材の正面と平面と背面と底面との4面の中の少なくとも2面に分かれて支持部材に取り付けられており、それらのシリンダーが、支持部材に設けた円筒形凹部にピストンを嵌め込んだ印刷機分割ロールを公開している(例えば、特許文献4参照)。
【0007】
本発明には、マグネットセンサーが適用されるが、マグネットセンサーは、種々の装置に利用されていて公知である(例えば、特許文献5、6参照)。
【0008】
【特許文献1】特開昭60−038160号公報
【特許文献2】特開平06−071863号公報(特許第2866997号)
【特許文献3】特開平11−320840号公報
【特許文献4】特開2005−178139号公報
【特許文献5】特開平11−274263号公報(特許第3363375号)
【特許文献6】特開2003−285688号公報(特許第3925443号)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
印刷機分割ロールにおいては、筒体がファンテンロールと練りロールの間で切換装置の指令通り作動しなかったり停止すると、インキの転送斑による印刷不良が生じる。その印刷不良は、印刷物が刷り上がった後の検査段階において分ることだが、その時点では印刷不良品が大量に発生してしまっており、印刷不良を最小限に抑えることは出来ない。
【0010】
印刷機分割ロールの筒体の作動については、超音波センサーやフォトセンサー、近接センサーによって外部から監視する管理方法もあるが、印刷過程で発生するインキミストやインキスプラッシュ等に妨げられて正確に監視することは難しく、それらのセンサーによる管理は信頼性を欠く。
例えば、2ピース缶の曲面印刷機においては、インキミストやインキスプラッシュの影響を受けてインカーのユニットが1日で汚れてしまう程で、仮令センサーをエアーパージ等で保護しても完全な汚れ対策にはならない。
【0011】
そこで鋭意研究するとき、印刷機分割ロールの筒体がファンテンロールと練りロールの間で切換装置の指令通り作動しなかったり停止したりする場合とは、可動部材が駆動指示装置からの指示信号に従って移動せず、駆動装置に駆動されて移動する可動部材の支持部材との相対的位置の変動に異常を来した場合である。
従って、その可動部材と支持部材との間の相対的位置の変動を監視することによって、分割ロールの作動を管理することが出来る。
そして、その可動部材と支持部材との相対的位置が変動する部位は、その可動部材や筒体によって外部から隔離された印刷機分割ロールの内部に位置するので、インキミストやインキスプラッシュ等による汚れが発生することがなく、センサーの取付部位として最適である、との知見を得た。
【0012】
本発明は、かかる知見を得て完成されたものであり、筒体の停止や異常作動によってもたらされる印刷不良を最小限に抑えることを目的とし、(1) 分割ロール内部において、可動部材と支持部材の何れかに可動部材の支持部材との相対的位置の変動を感知する作動感知センサーを付設すること、(2) 作動感知センサーの感知信号の信号波形の変化によって筒体の作動を監視管理すること、(3) 可動部材に発信する指示信号の周期と作動感知センサーの発信する感知信号の周期との間の周期差、又は、その指示信号と感知信号とのタイムラグ・応答時間、又は、指示信号61と感知信号62との異常対応が継続する異常発信回数によって筒体(可動部材)の作動異常を判定すること、(4) 作動異常を判定された筒体(可動部材)に隣り合う筒体(可動部材)のファンテンロールと練りロールの間での往復移動速度をスピードアップすることを要旨とする。
する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
即ち、本発明に係る印刷機分割ロールは、分割ロール内部に、可動部材16と支持部材15の何れか少なくとも一方に、直接または付属部材27・29を介して間接に、駆動装置に駆動されて移動する可動部材16の支持部材15との相対的位置の変動を感知する作動感知センサー30が付設されていることを第1の特徴とする。
【0014】
本発明に係る印刷機分割ロールの第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、分割ロール23が、(イ) 複数個の可動部材16が非円形断面の軸桿によって構成される支持部材15の軸芯方向に沿って配列されており、(ロ) その配列された複数個の可動部材がそれぞれ支持部材に外嵌しており、(ハ) その外嵌した複数個の可動部材が支持部材を介して珠子繋ぎ状に隣り合っており、(ニ) その隣り合う複数個の各可動部材が支持部材の軸芯10に直交する方向20に摺動可能に支持部材15に支持されており、(ホ) その隣り合う複数個の各可動部材に筒体17が回転可能に支持されており、(ヘ) その複数個の各可動部材に回転可能に支持された複数個の筒体17の各周面が隣り合ってロール全体(23)の周面が構成されており、(ト) 駆動指示装置60からの指示信号61を受けて複数個の各可動部材を個々に周期的に繰返し駆動する複数個の駆動装置が支持部材に搭載されており、(チ) それら複数個の各駆動装置が、可動部材の個数に応じた複数個のシリンダー21(22)と、その各シリンダーに圧力を伝達する流通管18と、各シリンダーへの圧力の伝達を切り換える可動部材の数に応じた複数個の切換装置11(12)によって構成されており、(リ) それらのシリンダーが、支持部材に設けた円筒形凹部19にピストン29を嵌め込んで構成されている点にある。
【0015】
本発明に係る印刷機分割ロールの第3の特徴は、上記第1と第2の何れかの特徴に加えて、作動感知センサー30が、駆動装置に駆動される可動部材16の移動周期毎に、可動部材16と支持部材15との相対的位置の変動を感知する点にある。
【0016】
本発明に係る印刷機分割ロールの第4の特徴は、上記第1と第2と第3の何れかの特徴に加えて、作動感知センサー30が、磁力を有する磁性素子51と磁力を感知する磁力感知素子52とから成るマグネットセンサーであり、磁性素子51と磁力感知素子52が、向かい合わせになって、可動部材16と支持部材15に、直接または付属部材27・29を介して間接に、付設されている点にある。
【0017】
本発明に係る印刷機分割ロールの作動管理方法は、上記第1と第2と第3と第4の何れかの特徴を具備する印刷機分割ロールにおいて、駆動装置に周期的に駆動されて移動する可動部材16の支持部材15との相対的位置の変動を感知して発信する作動感知センサーの感知信号62の信号波形の変化によって複数個の各筒体17の作動異常を判定することを第1の特徴とする。
【0018】
本発明に係る印刷機分割ロールの作動管理方法の第2の特徴は、上記方法の第1の特徴に加えて、駆動装置に周期的に駆動されて移動する可動部材16の支持部材15との相対的位置の変動を感知して発信する作動感知センサーの感知信号62の信号波形hが異常変化し、その異常変化が駆動装置に駆動周期の1周期以上に亙って継続するとき、その作動異常の可動部材16aに隣り合う可動部材16bを駆動する駆動装置が周期的に発信する指示信号61bの信号波形nを変え、(1) 駆動装置の発信する指示信号61bの発信周期α’を短期化し、その隣り合う可動部材16bの練りロール24とファンテンロール25の間での往復移動速度をスピードアップし、又は、(2) 駆動装置の発信する指示信号61bの発信時間φを変えて練りロール24又はファンテンロール25と筒体17との接触時間τ’を長くする点にある。
【0019】
本発明に係る印刷機分割ロールの作動管理方法の第3の特徴は、上記方法の第1と第2の何れかの特徴に加えて、(1) 周期的に発信する指示信号61の信号波形の周期αと、作動感知センサーの感知信号62の信号波形の周期βとの間に生じる周期差δ、(2) 周期的に発信する指示信号61の信号波形nと、可動部材16の移動周期毎に発信する作動感知センサー30の感知信号62の信号波形gとの間の応答時間θのタイムラグとして許容される許容遅れ時差κ、(3) 周期的に発信する指示信号61の発信オン(ON)時に作動感知センサー30の感知信号62が発信オフ(OFF)となり、指示信号61の発信オフ(OFF)時に作動感知センサー30の感知信号62が発信オン(ON)になるように指示信号61と感知信号62をセットし、指示信号61の発信オフ(OFF)時に感知信号62が発信オフ(OFF)に、又は、指示信号61の発信オン(ON)時に感知信号62が発信オン(ON)になる指示信号61と感知信号62との異常対応が継続する異常発信回数(p)、の何れかによって筒体17の作動異常を判定する点にある。
【発明の効果】
【0020】
可動部材16の支持部材15との相対的位置が変動する部位は、可動部材16や筒体17で囲まれた分割ロール23の内部であり、インキミストやインキスプラッシュ等による汚れによって作動感知センサー30の感知精度が損なわれることはない。
加えて、作動感知センサー30は、支持部材15や可動部材16に付設されて分割ロール23の一部を成すので、印刷ロールの交換やインキ切替時の印刷ロールの洗浄等の印刷機の維持管理が、作動感知センサーを付設したことによって妨げられることはない。
このため、本発明(ロール第1特徴)によると、印刷機の維持管理に不都合を来すことなく、分割ロールの作動管理の信頼性を高めることが出来る。
【0021】
分割ロール23の内部では、複数個の可動部材16が、非円形断面の軸桿によって構成される支持部材15の軸芯方向に沿って配列されており、その支持部材に外嵌して軸芯10の直交方向20に摺動可能に支持されて、珠子繋ぎ状に隣り合っているので、その支持部材15に直接または付属部材27・29を介して間接に作動感知センサー30を、複数個の可動部材16と同様に珠子繋ぎ状に隣り合わせに付設することが出来る。
従って、本発明(ロール第2特徴)は、作動感知センサー30を付設するためのスペースを分割ロール23の内部に確保するために何ら困難を伴わず、容易に実施することが出来る。
【0022】
本発明(ロール第3特徴)では、駆動装置に駆動される可動部材16の移動周期毎に、可動部材16と支持部材15との相対的位置の変動を感知するように、作動感知センサー30の感知信号62の周期βと、駆動装置の指示信号61の周期αを同期させたので、駆動装置の指示信号61の周期毎(α)に筒体17の作動異常を的確に監視することが出来る。
【0023】
作動感知センサー30としては、歪ゲージ、投光素子と受光素子とから成る光学センサー、リミットスイッチ等、種々のセンサーを適用することが出来る。
しかし、磁性素子と磁力感知素子とから成るマグネットセンサーは、(1) その磁性素子と磁力感知素子が格別な構造を有しない単純な素材であり、(2) 取り扱う上で歪ゲージや光学センサーに比して高度な技術は要求されず、(3) 他の作動感知センサーに比して低コストであり、(4) 感知時の応答速度が概して1m・secと高速であり、(5) リミットスイッチに比してコンパクトで嵩張らず、(6) 可動部材16と支持部材15に付設するに当って格別な技量を要せず、(7) その取付も相対的位置が変動する可動部材16と支持部材15に磁性素子と磁力感知素子を向かい合わせに付設するだけで済む。
従って、本発明(ロール第4特徴)は、簡便に実施することが出来て実利的である。
【0024】
筒体17が正常に作動しない場合とは、可動部材16が駆動指示装置からの指示信号61に従って正常に移動しない場合であり、可動部材16の支持部材15との相対的位置も正常には変動しない。
本発明(方法第1特徴)では、可動部材16の支持部材15との相対的位置の変動を作動感知センサーの感知信号62の信号波形の変化に変えて監視するので、コンピューターを使用して筒体17の作動異常を自動的に監視することが出来、分割ロールの作動管理の信頼性が高まり、筒体17の作動異常や停止による印刷不良を印刷過程で回避し、印刷不良品の大量発生を回避することが出来る。
【0025】
駆動指示装置からの指示信号61に従って正常に移動しない可動部材16の作動異常時には、ファンテンロール25から練りロール24へとインキが正常に転送されず、その停止した筒体17aに対応するファンテンロールの周面部分25aではインキが不足することになる。
本発明(方法第2特徴)では、その停止した筒体17(可動部材16a)に隣り合う筒体17(可動部材16b)への駆動指示装置からの指示信号61の信号波形の周期αが短期化、即ち、練りロール24とフアンテンロール25との間で往復振動する筒体17の往復移動がスピードアップされ、その隣り合う筒体17(可動部材16b)に対応するファンテンロールの周面部分25へのインキの供給量が過剰になり、その筒体17(可動部材16b)によるインキの過剰分によって停止して隣り合う筒体17(可動部材16a)に対応するファンテンロールの周面部分25でのインキの不足量が補われる。
従って、本発明(方法第2特徴)によると、分割ロール23の一部の筒体17((可動部材16a)が停止しても印刷機を止めずに済み、印刷効率が高まり、印刷不良品が回避され、印刷物の歩留りも向上する。
【0026】
筒体17が正常に作動しない可動部材16の作動異常時には、(1) 周期的に発信する指示信号61の信号波形の周期αと、作動感知センサーの感知信号62の信号波形の周期βとの間に生じる周期差δが長くなり、(2) 周期的に発信する指示信号61の信号波形nと、可動部材16の移動周期毎に発信する作動感知センサー30の感知信号62の信号波形gとの間の応答時間θのタイムラグとして許容される許容遅れ時差κが長くなり、又、(3) 周期的に発信する指示信号61の発信オン(ON)時に作動感知センサー30の感知信号62が発信オフ(OFF)となり、指示信号61の発信オフ(OFF)時に作動感知センサー30の感知信号62が発信オン(ON)になるように指示信号61と感知信号62をセットした場合の指示信号61の発信オフ(OFF)時に感知信号62が発信オフ(OFF)になるか又は、指示信号61の発信オン(ON)時に感知信号62が発信オン(ON)になる指示信号61と感知信号62との異常対応が継続する異常発信回数(p)が多くなる。
本発明(方法第3特徴)では、その指示信号61と感知信号62の周期差δと、指示信号61と感知信号62のタイムラグの許容遅れ時差κと、指示信号61と感知信号62が異常対応となる異常発信回数(p)の何れかによって、筒体17の作動異常を的確に判定することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明は、前記特許文献1〜4に記載の公知の分割ロールに適用することが出来る。
シリンダー21・22にはエアーシリンダーと油圧シリンダーを適用することが出来る。切換装置11・12には、前記特許文献3に記載の3ポートソレノイドバルブ、例えば、SMC社製の小型直動3ポートソレノイドバルブV060シリーズと5ポートソレノイドバルブ、例えば、コガネイ社製の010−4E1シリーズを使用することが出来る。
【0028】
図1と図2は、3個の空気出入孔を有し、ソレノイドによるオン・オフ操作によって一部の空気出入孔と他の一部の空気出入孔を択一的に開閉される3ポートソレノイドバルブを切換装置11に適用し、その一部の空気出入孔が開かれるときはピストン29が戻りバネ32に抗して可動部材16を駆動し、その他の一部の空気出入孔が開かれるときはピストン29が解放されて可動部材16が戻りバネ32によって押し戻されるシングルシリンダータイプの分割ロール23を図示する。
【0029】
図7と図8は、戻りバネ32に代えてシリンダー22を使用し、1個の可動部材16に対して2個1組となる各組2個のシリンダー21・22を互いに逆向きとなる2面に分けて支持部材15に設け、5個の空気出入孔を有し、ソレノイドによるオン・オフ操作によって一部の空気出入孔と他の一部の空気出入孔の開閉が択一的に切り換えられる5ポートソレノイドバルブを切換装置11に適用し、その2個1組となる各組2個のシリンダー21・22のピストン29・29を択一的に操作して各可動部材16を支持部材上15で往復振動するダブルシリンダータイプの分割ロール23を図示する。
【0030】
支持部材15には、ソレノイドバルブを嵌め込むための嵌込溝31が設けられる。
支持部材15には、又、ピストン29を装着する円筒形凹部19が設けられる。
支持部材15には、又、その軸芯10に沿って貫通した流通管18と、その流通管18から各ソレノイドバルブに続く分岐管35と、ソレノイドバルブからシリンダーに続く支管36が穿設される。
可動部材16は、短円柱形部材の中心部に貫通した矩形の開口を穿設して構成され、その開口の上面と下面がマニホールドと称される支持部材15の平面と底面に摺接している。
開口の左右の側面に互いに逆向きになっているシリンダーのピストンが作動するとき、可動部材16は、支持部材の軸芯10に直交する方向20において往復振動する。
筒体(分割ユニットロール)17は、ベアリング26を介して可動部材16に回転可能に支持されている。
【0031】
作動感知センサー30は、可動部材16と支持部材15の何れか少なくとも一方に、直接または付属部材(27・29)を介して間接に、付設される。
ここに、『間接に付設』とは、図8に図示するように可動部材16や支持部材15それ自体に直接にではなく、例えば、可動部材16と支持部材15の間で作動するシリンダーのピストン29に作動感知センサー30を付設することも出来、又、切換装置(ソレノイドバルブ)を固定するために押さえ板27を支持部材15に付設するときは、図2に図示するように押さえ板27に作動感知センサー30を付設してもよく、必ずしも可動部材や支持部材に『直接』付設する必要はないことを意味する。
即ち、作動感知センサー30は、図1に図示するように、支持部材15とピストン29が向き合う部位A、支持部材15と可動部材16が向き合う部位B・D、押さえ板27と可動部材16が向き合う部位C・Eの何れにも付設することが出来る。
【0032】
可動部材16の材質は、アルミニウム合金、ジュラルミン、マグネシウム合金等の高強度材質にする。支持部材15と押さえ板27の材質は、炭素鋼、焼き入れ性を保証したクロムモリブデン鋼、ニッケルクロム鋼、マンガンクロム鋼、クロム鋼とし、焼き入れ処理を行ってマイクロビッカーズ硬さを500以上とする。
可動部材16と支持部材15には、NI・Pをマトリックスとした無電解複合メッキや四フッ化樹脂による硬質皮膜処理を施すとよく、そうすることによって、可動部材16と支持部材15の間のスベリがよく、摩耗し難く、可動部材16に作用するピストン29の負荷を軽減することが出来、シリンダー21・22を小型化して支持部材15の強度を保ち、ピストン29(シリンダー21・22)を駆動するコンプレッサーの消費電力も少なくすることが出来、分割ロール23を軽量化し取り扱い易くすることが出来る。
【0033】
本発明においては、(1) 可動部材16に発信する指示信号61の周期αと作動感知センサーの発信する感知信号62の周期βとの間の周期差δ、(2) その指示信号61と感知信号62とのタイムラグ・応答時間θ、又は、(3) 指示信号61と感知信号62との異常対応が継続する異常発信回数pによって、筒体15(可動部材16)の作動が異常か否かが判定される。
【0034】
駆動指示装置60には、プログラマブルコントローラー(シーケンサ)、ボードコンピューター、パネルコンピューター、パーソナルコンピューター等のコンピューターを使用することが出来る。
【実施例】
【0035】
[実施例1]
可動部材に発信される指示信号61の周期αと作動感知センサーの発信する感知信号62の周期βとの間の周期差δによって、筒体(可動部材)の作動が異常か否かを判定する場合、駆動指示装置60には、図2に図示するように、分割ロール23の複数個の各可動部材毎16に設定される複数個の各切換装置11(12)に一定周期αをもって指示信号61を発信する指示信号発信手段70、指示信号発信手段70に指示信号61の発信周期αを設定する発信周期設定手段71、分割ロール23の複数個の各可動部材毎16に付設される作動感知センサー30の発信する感知信号62の発信周期βを読み取る感知信号読取手段81、複数個の各可動部材毎16に指示信号61の発信周期αと感知信号62の発信周期βとの周期差δ(=|β−α|)を演算する周期差演算手段82、複数個の各可動部材毎16に指示信号61の発信周期αと感知信号62の発信周期βとの周期差δ(=|β−α|)と指示信号61の発信周期αを比較する周期比較演算手段83、複数個の各可動部材毎16に指示信号61の発信周期αと感知信号62の発信周期βとの周期差δ(=|β−α|)と指示信号61の発信周期αとの許容差εを設定する周期許容差設定手段84、複数個の各可動部材毎16に指示信号61の発信周期αと感知信号62の発信周期βとの周期差δ(=|β−α|)が許容差εを超えた場合に警報を発する警報発生手段85、複数個の各可動部材毎16に指示信号61の発信周期αと感知信号62の発信周期βとの周期差δ(=|β−α|)が許容差εを超えた場合に、その許容差εを超えた可動部材16aに隣り合う可動部材16bに発信する指示信号61の発信周期αを短期化する発信周期短期化手段86を組み込む。
【0036】
作動感知センサー30にはマグネットセンサーが使用されており、図2に図示するように、磁性素子51は可動部材16に取り付けられ、磁力感知素子52は支持部材15に装着される押さえ板7に取り付けられ、磁性素子51と磁力感知素子52とは向かい合わせになっており、支持部材15に固定された磁力感知素子52に磁性素子51が可動部材16と一体になって接近するとき、感知信号62が発信される。
【0037】
可動部材16に発信される指示信号61の周期αと、作動感知センサー30が感知する可動部材16の支持部材15との相対的位置の変動の周期βとの周期差δ(=|β−α|)は、周期差演算手段82において演算され、周期比較演算手段83において、その周期差δ(=|β−α|)と指示信号61の発信周期αが比較される。
その可動部材16を駆動装置が周期的に駆動するために駆動装置に周期的に発信する指示信号61の信号波形の周期αと、作動感知センサーの感知信号62の信号波形の周期βとの間の周期差δ1(=|β−α|)が、周期許容差設定手段84において設定された許容差εを超えて半周期以上(δ1=|β−α|>0.5α)になる場合には、可動部材16の作動を異常と判定され、警報発生手段85から筒体17の作動異常の警報が発せられる。
【0038】
その指示信号61の信号波形の周期αと、作動感知センサー30の感知信号62の信号波形の周期βの間の周期差δ2(=|β−α|>α)が、指示信号61の信号波形の周期αの1周期以上になり、可動部材16が作動異常と判定される場合に、その判定された可動部材16aに隣り合う可動部材16bを駆動する駆動装置に周期的に発信する指示信号61bの信号波形の周期α’を短期化する。
【0039】
印刷機が正常に稼働している場合に可動部材16に発信される指示信号61の周期αは一定であり、印刷機の稼働中に可動部材16の作動周期が指示信号61の周期αよりも短くなることはなく、ファンテンロール25と練りロール24を往復移動する筒体17の移動速度が遅くなるか筒体17が停止した異常作動のときにだけ、可動部材16の支持部材15との相対的位置の変動の周期βが指示信号61の周期αよりも長くなる。従って、その周期差δが許容差εを超える場合は、その筒体17の移動速度が遅くなるか筒体17が停止した異常作動の場合となる。その許容差εを、指示信号61の周期αの2分1以上に、或いは、指示信号61の周期α以上に設定してもよいが、分割ロールの誤作動を厳しく管理する場合には、その周期許容差設定手段84によって許容差εを低く抑える。
【0040】
図3は、筒体17が正常に作動している場合と、筒体17の移動速度が遅くなるか筒体17が停止した異常作動の場合における指示信号61の信号波形nと感知信号62の信号波形gと可動部材16の作動変位曲線fとの関係を示す。
可動部材16の作動変位曲線fの振幅dは、練りロール24とファンテンロール25の間で往復移動する筒体17の移動距離を示す。図3において、符号eは、可動部材16が異常作動した場合の作動変位曲線を示し、符号nは、可動部材16が異常作動を感知した作動感知センサー30の感知信号62の信号波形を示す。
【0041】
図3に図示するように、筒体17が正常に作動している場合には、可動部材16は駆動装置(シリンダー22)と同期して作動しており、指示信号61の信号波形nの周期αと感知信号62の信号波形gの周期βとの周期差δはゼロとなる。
筒体17の移動速度が遅くなる場合には、筒体の少なくとも練りロール24とファンテンロール25の何れか一方との接触時間t1(t2)が長くなるので、指示信号61の信号波形nの周期αと感知信号62の信号波形gの周期β’との間に周期差δが生じる。
筒体17が停止した異常作動の場合には、練りロール24とファンテンロール25の何れか一方に筒体が長時間t3に亙って接触状態になるので、指示信号61の信号波形nの周期αと感知信号62の信号波形gの周期β”との周期差δは許容差εを大きく超え、警報発生手段85から筒体17の作動異常の警報が発せられ、又、図4(a)に示すように、その許容差εを超えた可動部材16aに隣り合う可動部材16bに発信する指示信号61の発信周期α’が短期化される。
【0042】
図4(b)は、駆動装置に周期的に駆動されて移動する可動部材の支持部材との相対的位置の変動を感知して発信する作動感知センサーの感知信号62の信号波形hが異常変化し、警報発生手段85からの警告信号を受けてコロガリ接触する筒体の練りロール24とファンテンロール25の何れか一方のロールとの接触時間τ’が長くなる場合の筒体の作動変位曲線と指示信号の信号波形曲線nと感知信号の信号波形曲線gの関係を示す。
その練りロールやファンテンロールにコロガリ接触する筒体の接触時間τが長くなった分だけ、ファンテンロールから筒体へと転送されるインキの転送量が増え、又、筒体から練りロールへと転送されるインキの転送量も増え、作動異常によってインキの不足する部分に、その作動異常の筒体に隣り合う筒体から不足量が補われる。
従って、筒体の作動異常を感知した場合には、その作動異常の筒体に隣り合う筒体の練りロールとファンテンロールの双方のロールとの接触時間を長くすると効果的である。
【0043】
[実施例2]
可動部材に発信される指示信号61と、作動感知センサーの発信する感知信号62との間に生じるタイムラグ・応答時間θによって筒体17(可動部材16)の作動が異常か否かを判定する場合、図5に図示するように、駆動指示装置60には、分割ロール23の複数個の各可動部材毎16に設定される複数個の各切換装置11(12)に一定周期αをもって指示信号61を発信する指示信号発信手段70、指示信号発信手段70に指示信号61の発信周期αを設定する発信周期設定手段71、分割ロール23の複数個の各可動部材毎16に付設される作動感知センサー30の発信する感知信号62の信号波形gを読み取る感知信号波形読取手段91、複数個の各可動部材毎16に指示信号61が発信されてから可動部材16が始動するまでの応答時間θを計測する応答時間計測手段92、複数個の各可動部材毎16に始動する可動部材16の応答時間θからの遅れ時間を演算する応答遅れ時差σを演算する応答遅れ時差演算手段93、複数個の各可動部材毎16に応答遅れ時差σと許容遅れ時差κを比較する時差比較演算手段94、複数個の各可動部材毎16に許容遅れ時差κを設定する許容遅れ時差設定手段95、複数個の各可動部材毎16に応答遅れ時差σが許容遅れ時差κを超えた場合に警報を発する警報発生手段96、複数個の各可動部材毎16に応答遅れ時差σが許容遅れ時差κを超えた場合に、その許容遅れ時差κを超えた可動部材16aに隣り合う可動部材16bに発信する指示信号61の発信周期αを短期化する発信周期短期化手段97を組み込む。
【0044】
実施例1と同様に、作動感知センサー30にはマグネットセンサーが使用されており、磁性素子51は可動部材16に取り付けられ、磁力感知素子52は支持部材15に装着された押さえ板7に取り付けられ、磁性素子51と磁力感知素子52とは向かい合わせになっている。
【0045】
印刷機が正常に稼働している場合でも、指示信号61の信号波形nと感知信号62の信号波形gの間には一定のタイムラグがあり、そのタイムラグが応答時間θとして応答時間計測手段92によって計測される。
そのタイムラグには一定のバラツキがあり、その許容範囲を超えたバラツキは、応答遅れ時差σとして応答遅れ時差演算手段93によって演算され、その応答遅れ時差σが許容遅れ時差κを超える場合、時差比較演算手段94から警報発生手段96へと警告信号が発信されて警報が発せられる。
そして、その応答遅れ時差σが、指示信号61の周期αを超える程度に長くなり、筒体17の作動異常が一定時間続く場合、時差比較演算手段94から発信周期短期化手段87へと超過信号が発信され、発信周期短期化手段87から短期化信号が発信周期設定手段71へと発信され、図4(a)に示すように、指示信号発信手段70の発信する指示信号61の周期α’が短期化される。
【0046】
指示信号61の周期αが短期化される場合の許容遅れ時差κを、指示信号61の周期α以上に設定してもよいが、分割ロールの誤作動を厳しく管理する場合には、その許容遅れ時差κを指示信号61の周期αの2分1以下に低く抑える。
【0047】
[実施例3]
周期的に発信する指示信号61の発信オン(ON)時に作動感知センサー30の感知信号62が発信オフ(OFF)となり、指示信号61の発信オフ(OFF)時に作動感知センサー30の感知信号62が発信オン(ON)になるように指示信号61と感知信号62をセットし、指示信号61の発信オフ(OFF)時に感知信号62が発信オフ(OFF)に、又は、指示信号61の発信オン(ON)時に感知信号62が発信オン(ON)になる指示信号61と感知信号62との異常対応が継続する異常発信回数(p)によって筒体17の作動異常を判定する場合、駆動指示装置60には、図6に図示するように、分割ロール23の複数個の各可動部材毎16に設定される複数個の各切換装置11(12)に一定周期αをもって指示信号61を発信する指示信号発信手段70、指示信号発信手段70に指示信号61の発信周期αを設定する発信周期設定手段71、分割ロール23の複数個の各可動部材毎16に付設される作動感知センサー30の発信する感知信号62の発信回数を読み取るカウンター101、そのカウンター101の発信する感知信号62の発信回数と指示信号発信手段70の発信する指示信号61の発信回数との差を演算する発信回数演算手段102、感知信号62と指示信号61の発信回数差(p)と許容発信回数差(q)を比較する比較演算手段103、その許容発信回数差(q)を比較演算手段103に設定する許容回数設定手段104、比較演算手段103が感知信号62と指示信号61の発信回数差(p)が許容発信回数差(q)を超えて発信する異常信号によって警報を発する警報発生手段105、その比較演算手段103の発信する異常信号によって、その許容発信回数差(q)を超えた可動部材16aに隣り合う可動部材16bに発信する指示信号61の発信周期αを短期化する発信周期短期化手段106を組み込む。
【0048】
[実施例4]
可動部材16が指示信号61の発信周期毎に分割ロール23の内部において移動していることを感知することが出来、その感知信号62を発信するものであれば、如何なるセンサーも作動感知センサー30に適用することが出来、磁性素子と磁力感知素子とから成るマグネットセンサーに限らず、歪ゲージ、投光素子と受光素子とから成る光学センサー、リミットスイッチ等も作動感知センサー30に適用することが出来る。
歪ゲージとしては、特開平07−218214号公報、特開平11−014302号公報、特開平11−118414号公報、特開2004−340670号公報、特開2007−212460号公報に記載のブリッジ回路における電気抵抗やインダクタンス、キャパシタンス等の電気的振幅や位相変化によって歪を検出する歪ゲージ、ブリッジ回路における電気的変化によらず、物体に貼付した光ファイバーを通る光の振幅、位相、偏光状態等の変化によって物体に生じる歪を検出する光ファイバー歪ゲージ等、例えば、株式会社共和電業製、KFG−1〜6を使用することが出来る。
【0049】
図7は、作動感知センサー30に歪ゲージを適用したダブルシリンダータイプの分割ロール23を図示する。
駆動指示装置60からの指示信号61を受けてピストン29が移動するとき、そのピストン29に触れ合う支持部材の接触部位に歪が発生する。
作動感知センサー30に歪ゲージを適用する場合は、(1) 可動部材16の支持部材15との相対的位置の変動は、駆動装置からの周期的指示信号61の信号波形nの周期αと、歪ゲージ(30)からの感知信号62の信号波形gの周期βとの間に生じる周期差δ、(2) その指示信号61と感知信号62とのタイムラグ・応答時間θによるほか、(3) 支持部材での歪を示す歪ゲージ(30)から発信される感知信号62の信号波形(g・h)の振幅や位相の変化によっても、可動部材(筒体)16が正常に作動しているか否かを判定し管理することが出来、その感知信号62の信号波形(g・h)の振幅の変化によって、練りロール24やフアンテンロール25に筒体17から作用する押圧力の僅かな変化も監視することが出来る。
従って、歪ゲージ(30)は、複数個の可動部材16にそれぞれ作用する各シリンダーに対応する支持部材15の各部位に貼付される。
【0050】
歪ゲージ(30)は、支持部材15の断面の四方を縁取る平面41と底面42と正面43と背面44の中のピストン29が往復移動するシリンダー21(22)の中心線40に平行する支持部材15の平面41と底面42と正面43と背面44の何れかの面に貼付される。
歪ゲージ(30)を付設する押さえ板27の支持部材15に向き合う面(底面・裏面)には、歪ゲージの厚みに応じた深さの凹部を形成し、或いは、押さえ板27に向き合う支持部材15の平面41や底面42に歪ゲージを嵌め込む凹部を形成し、支持部材15に付設した歪ゲージに押さえ板27が触れ合わないようにする。
歪ゲージ(30)を支持部材15の正面43や背面44に付設する場合には、その付設面に歪ゲージ(30)を嵌め込む凹部を形成し、支持部材15に付設した歪ゲージ(30)に可動部材16が触れ合わないようにする。
【0051】
指示信号61の発信周期αと感知信号62の発信周期βとの周期差δの許容差ε、指示信号61の発信から可動部材16の始動するまでの応答時間θの応答遅れ時差σの許容遅れ時差κ、発信周期短期化手段86・97に指示信号61の発信周期αが短期化されてスピードアップされる筒体のファンテンロールと練りロールの間での往復移動速度、筒体のスピードアップされる時間(期間)については任意に設定することも変更することも出来、又、正常作動に復帰した筒体の短期化された指示信号の発信周期は元の発信周期に自動復帰する。
作動異常となった筒体、作動異常の発生頻度、発生時期・時間等は、駆動指示装置60に記録される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る分割ロールの断面図である。
【図2】本発明に係る分割ロールと駆動指示装置の概念図である。
【図3】本発明に係る分割ロールの筒体の作動変位曲線と指示信号および感知信号との関係図である。
【図4】本発明に係る分割ロールの筒体の作動変位曲線と指示信号および感知信号との関係図である。
【図5】本発明に係る分割ロールの駆動指示装置の概念図である。
【図6】本発明に係る分割ロールの駆動指示装置の概念図である。
【図7】本発明に係る分割ロールの分解斜視図である。
【図8】本発明に係る分割ロールの断面図である。
【符号の説明】
【0053】
10:軸芯
11・12:切換装置(ソレノイドバルブ)
15:支持部材(マニホールド)
16:可動部材
17:筒体(分割ユニットロール)
18:流通管
19:円筒形凹部
20:直交方向(ピストン作動方向)
21・22:シリンダー
23:分割ロール
24:練りロール
25:ファンテンロール
26:ベアリング
27:押さえ板
29:ピストン
30:作動感知センサー
31:嵌込溝
32:戻りバネ
35:分岐管
36:支管
40:シリンダーの中心線
41:支持部材の平面
42:支持部材の底面
43:支持部材の正面
44:支持部材の背面
51:磁性素子
52:磁力感知素子
60:駆動指示装置
61:指示信号
62:感知信号
70:指示信号発信手段
71:発信周期設定手段
81:感知信号読取手段
82:周期差演算手段
83:周期比較演算手段
84:周期許容差設定手段
85:警報発生手段
86:発信周期短期化手段
91:感知信号波形読取手段
92:応答時間計測手段
93:応答遅れ時差演算手段
94:時差比較演算手段
95:許容遅れ時差設定手段
96:警報発生手段
97:発信周期短期化手段
101:カウンター
102:発信回数演算手段
103:比較演算手段
104:許容回数設定手段
105:警報発生手段
106:発信周期短期化手段
A・B・C・D・E:作動感知センサー付設部位
d :可動部材の作動変位曲線の振幅
e :可動部材の異常作動変位曲線
f :可動部材の正常作動変位曲線
g :感知信号の正常信号波形
h :感知信号の異常信号波形
n :指示信号の信号波形
α :指示信号の周期
β :感知信号の周期

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分割ロール内部に、可動部材16と支持部材15の何れか少なくとも一方に、直接または付属部材27・29を介して間接に、駆動装置に駆動されて移動する可動部材16の支持部材15との相対的位置の変動を感知する作動感知センサー30が付設されている印刷機分割ロール。
【請求項2】
分割ロール23が、(イ) 複数個の可動部材16が非円形断面の軸桿によって構成される支持部材15の軸芯方向に沿って配列されており、(ロ) その配列された複数個の可動部材がそれぞれ支持部材に外嵌しており、(ハ) その外嵌した複数個の可動部材が支持部材を介して珠子繋ぎ状に隣り合っており、(ニ) その隣り合う複数個の各可動部材が支持部材の軸芯10に直交する方向20に摺動可能に支持部材15に支持されており、(ホ) その隣り合う複数個の各可動部材に筒体17が回転可能に支持されており、(ヘ) その複数個の各可動部材に回転可能に支持された複数個の筒体17の各周面が隣り合ってロール全体(23)の周面が構成されており、(ト) 駆動指示装置60からの指示信号61を受けて複数個の各可動部材を個々に周期的に繰返し駆動する複数個の駆動装置が支持部材に搭載されており、(チ) それら複数個の各駆動装置が、可動部材の個数に応じた複数個のシリンダー21(22)と、その各シリンダーに圧力を伝達する流通管18と、各シリンダーへの圧力の伝達を切り換える可動部材の数に応じた複数個の切換装置11(12)によって構成されており、(リ) それらのシリンダーが、支持部材に設けた円筒形凹部19にピストン29を嵌め込んで構成されている前掲請求項1に記載の印刷機分割ロール。
【請求項3】
作動感知センサー30が、駆動装置に駆動される可動部材16の移動周期毎に、可動部材16と支持部材15との相対的位置の変動を感知する前掲請求項1と2の何れかに記載の印刷機分割ロール。
【請求項4】
作動感知センサー30が、磁力を有する磁性素子51と磁力を感知する磁力感知素子52とから成るマグネットセンサーであり、磁性素子51と磁力感知素子52が、向かい合わせになって、可動部材16と支持部材15に、直接または付属部材27・29を介して間接に、付設されている前掲請求項1と2と3の何れかに記載の印刷機分割ロール。
【請求項5】
駆動装置に周期的に駆動されて移動する可動部材16の支持部材15との相対的位置の変動を感知して発信する作動感知センサーの感知信号62の信号波形の変化によって複数個の各筒体17の作動異常を判定する前掲請求項1と2と3と4の何れかに記載の印刷機分割ロールの作動管理方法。
【請求項6】
駆動装置に周期的に駆動されて移動する可動部材16の支持部材15との相対的位置の変動を感知して発信する作動感知センサーの感知信号62の信号波形hが異常変化し、その異常変化が駆動装置に駆動周期の1周期以上に亙って継続するとき、その作動異常の可動部材16aに隣り合う可動部材16bを駆動する駆動装置が周期的に発信する指示信号61bの信号波形nを変え、
(1) 駆動装置の発信する指示信号61bの発信周期α’を短期化し、その隣り合う可動部材16bの練りロール24とファンテンロール25の間での往復移動速度をスピードアップし、又は、
(2) 駆動装置の発信する指示信号61bの発信時間φを変えて練りロール24又はファンテンロール25と筒体17との接触時間τを長くする前掲請求項5に記載の印刷機分割ロールの作動管理方法。
【請求項7】
(1) 周期的に発信する指示信号61の信号波形の周期α’と、作動感知センサーの感知信号62の信号波形の周期βとの間に生じる周期差δ、
(2) 周期的に発信する指示信号61の信号波形nと、可動部材16の移動周期毎に発信する作動感知センサー30の感知信号62の信号波形gとの間の応答時間θのタイムラグとして許容される許容遅れ時差κ、
(3) 周期的に発信する指示信号61の発信オン(ON)時に作動感知センサー30の感知信号62が発信オフ(OFF)となり、指示信号61の発信オフ(OFF)時に作動感知センサー30の感知信号62が発信オン(ON)になるように指示信号61と感知信号62をセットし、指示信号61の発信オフ(OFF)時に感知信号62が発信オフ(OFF)に、又は、指示信号61の発信オン(ON)時に感知信号62が発信オン(ON)になる指示信号61と感知信号62との異常対応が継続する異常発信回数(p)、
の何れかによって筒体17の作動異常を判定する前掲請求項5と6の何れかに記載の印刷機分割ロールの作動管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−248526(P2009−248526A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−102252(P2008−102252)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(000109495)テクノロール株式会社 (9)
【Fターム(参考)】