印刷機用インクバルブアセンブリ
【課題】内側部分及び外側部分の引っ掻きを低減又は除去し、インクバルブの性能を改善する。
【解決手段】本体により連結される第1及び第2の端部を有する固定された外側部分16と、実質的に管状の内側部分18を含み、この内側部分18は、外側部分16の円筒形の内部領域内に回転可能に位置し、側壁によって連結される第1及び第2の端部を有し、内側部分18の第1の端部に隣接する側壁に少なくとも1つのバイパス開口部を有し、内側部分18の第2の端部に隣接する側壁に少なくとも1つのインク流出開口部を有し、第2の端部は開かれており、及び第1の端部は閉じられている。さらに、少なくとも1つの実質的に円筒形の内部領域と、複数の溝110、111、112、113を有する側壁とを含み、複数の溝110、111、112、113のそれぞれが潤滑剤を保持する。
【解決手段】本体により連結される第1及び第2の端部を有する固定された外側部分16と、実質的に管状の内側部分18を含み、この内側部分18は、外側部分16の円筒形の内部領域内に回転可能に位置し、側壁によって連結される第1及び第2の端部を有し、内側部分18の第1の端部に隣接する側壁に少なくとも1つのバイパス開口部を有し、内側部分18の第2の端部に隣接する側壁に少なくとも1つのインク流出開口部を有し、第2の端部は開かれており、及び第1の端部は閉じられている。さらに、少なくとも1つの実質的に円筒形の内部領域と、複数の溝110、111、112、113を有する側壁とを含み、複数の溝110、111、112、113のそれぞれが潤滑剤を保持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷分野、特に印刷機用のインクバルブアセンブリ分野に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフ印刷分野において、インクはインク源から一連のローラーを通って、印刷機内の版胴上の印刷版へと連続的に運ばれる。印刷版の画像部は、一連のインクローラの最後の1つ以上からインクを受け、反転写画像としてブランケット胴にインクの一部を移し、そこから、インクの一部を移して、紙又は他の材料上に正確に読める画像(正転写画像)を形成する。従来のリソグラフ印刷工程においては、水及び独占所有権のある添加剤を含む湿し水は、印刷版に連続的に供給され、印刷版の非画像領域に運ばれる水の機能により、非画像領域をインクのない状態に維持する。最後に、従来の印刷機システムにおいては、コラムごとに変化するインク調整量は、多数のインクインジェクタに連続的に制御される(cross−press column input control adjustments)。
【0003】
リソグラフ印刷版の表面で画像のない部分は、微小な裂け目をもち、親水性で、水を好む特性を有し、版の表面上のインクよりも、水、つまり湿し水の保持力を高める。版の画像化は、印刷されるべき画像に従い、親油性又はインクを好む領域を作る。その結果として、インクと湿し水の両方が適当な量で画像化された版に存在する場合、非画像領域に存在する傾向のあるインクだけが、版から剥離されるようになる。一般的に、この作用は、印刷版の表面上での連続的なインクと湿し水の分化の主な原因となり、リソグラフ印刷工程に不可欠である。
【0004】
リソグラフ印刷時、各インクインジェクタから供給されるインクの正確な量を制御することが必要である。その全文が参照により本明細書中に援用されるUSP 5,179,978は、インク又は印刷機への印刷液体流入を制御するための回転式インクバルブアセンブリを記載する。
【0005】
先行技術であるUSP 5,179,978に記載されるように、回転式インクバルブは、本体によって連結される第1及び第2の端部を有する不動の外側部分と、側壁によって連結される第1及び第2の端部を有する実質的に管状の内側部分とを有する。外側部分の本体は、実質的に円筒形の内側領域を有し、内側部分は外側部分のこの円筒形の内側領域の中にあり、この中で回転可能である。内側及び外側部分のそれぞれは、第1の端部に隣接する少なくとも1つのバイパス開口部と、内側及び外側部分それぞれの本体と側壁の第2の端部に隣接する少なくとも1つのインク流出開口部とを有する。外側部分においては、第1及び第2の端部は開いており、内側部分においては、第2の端部が開いている。印刷機のインク供給部は、内側部分にインクを供給するために、内側部分の開口端部に連結される。また、少なくとも開いた位置、閉じた位置及び中間位置の間で内側部分を回転させる手段も設けられ、中間位置は、開いた位置と閉じた位置の間にある。
【0006】
開いた位置では、内側部分のインク流出開口部だけが、外側部分のインク流出開口部と一致し、外側部分のインク流出開口部からのみインクが流れる。閉じた位置では、内側部分のバイパス開口部だけが外側部分のバイパス開口部と一致し、外側部分のインク流出開口部からのみインクが流れる。中間位置では、外側部分の開口部が内側部分の開口部と一致せず、外側部分のバイパス開口部からも外側部分のインク流出開口部からも、インクが流れない。
【0007】
USP 5,179,978で説明されるように、外側部分は、好ましくは、本体の周囲に間隔をおいて複数のバイパス開口部を有し、内側部分は、対応する複数のバイパス開口部を、側壁の周囲に間隔をおいて有する。同様に、外側部分は、本体の周囲に間隔をおいて複数のインク流出開口部を有し、内側部分は、側壁の周囲に間隔をおいて複数のインク流出開口部を有する。閉じた位置では、内側及び外側部分のバイパス開口部が一致し、開いた位置では、内側及び外側部分のインク流出開口部が一致する。上述のように、中間位置では、外側部分の開口部のどれもが、内側部分のいずれの開口部とも一致しない。好ましくは、内側部分の側壁の複数のバイパス開口部は、内側部分の側壁の複数のインク流出開口部と長手方向に一致するが、外側部分の本体の複数のバイパス開口部は、外側部分の本体の複数のインク流出開口部と長手方向には一致しない。
【0008】
USP 5,179,978は、さらに、内側及び外側部分の第1の端部の間を密閉して、これらの間のインク漏れを防ぐためのメカニズムを記載する。特に、このバルブは、交換可能な第1及び第2の環状シールと、少なくとも1つの交換可能な環状スペーサを含む。さらに、外側部分は、好ましくはカラーを有し、このカラーは、外側部分の第1の端部に取り付けられる底部と、スロットを含むトップとを有する。内側部分は、内側部分の第1の端部に取り付けられる下部表面と、スロットに係合するための下部表面から延びる止めピンとを有するディスクを有する。ディスクはまた、上部表面と、内側部分を回転させるための手段によって係合するための上部表面から延びる作動ピンとを有する。
【発明の概要】
【0009】
本発明の実施形態に従って、本体により連結される第1及び第2の端部を有する固定された外側部分を含み、前記本体が実質的に円筒形の内部領域を有し、及び、前記外側部分の前記第1の端部に隣接する前記本体に、少なくとも1つのバイパス開口部と、前記外側部分の前記第2の端部に隣接する前記本体に少なくとも1つのインク流出開口部とを有し、前記第1及び第2の端部が開いているインクバルブを提供する。実質的に円筒形の内部領域は、複数の溝を有し、複数の溝のそれぞれが潤滑剤を保持する。インクバルブはさらに、前記外側部分の前記円筒形の内部領域内に回転可能に位置する実質的に管状の内側部分を含み、この内側部分は、側壁によって連結される第1及び第2の端部を有し、前記内側部分の前記第1の端部に隣接する前記側壁内に少なくとも1つのバイパス開口部と、前記内側部分の前記第2の端部に隣接する前記側壁に少なくとも1つのインク流出開口部とを有し、前記第2の端部は開かれており、前記第1の端部は閉じられており、前記内側部分が少なくとも開放位置、閉鎖位置及び中間位置の間で回転可能であり、前記中間位置は前記開放位置と前記閉鎖位置の間にある。
【0010】
本発明の他の実施形態に従って、インク供給部を有する印刷機においてインクを供給するための回転式インクバルブは、本体によって連結される第1及び第2の端部を有する固定された外側部分を含み、前記本体は、実質的に円筒形の内部領域を有し、及び、前記外側部分の前記第1の端部に隣接する前記本体に少なくとも1つのバイパス開口部と、前記外側部分の前記第2の端部に隣接する前記本体に少なくとも1つのインク流出開口部とを有し、前記第1及び第2の端部が開いている。インクバルブはさらに、前記外側部分の前記円筒形の内部領域内に回転可能に位置する実質的に管状の内側部分を含み、この内側部分は、側壁によって連結される第1及び第2の端部を有し、前記内側部分の前記第1の端部に隣接する前記側壁に少なくとも1つのバイパス開口部と、前記内側部分の前記第2の端部に隣接する前記側壁に少なくとも1つのインク流出開口部とを有する、前記第2の端部は開かれており、前記第1の端部は閉じられており、前記内側部分が少なくとも開放位置、閉鎖位置及び中間位置の間で回転可能であり、前記中間位置は前記開放位置と前記閉鎖位置の間にある。インクバルブはさらに、少なくとも1つの実質的に円筒形の内部領域と、複数の溝を有する側壁とを含み、複数の溝のそれぞれは潤滑剤を保持する。
【0011】
上述の実施形態の両方において、溝内の潤滑剤は、内側部分及び外側部分の引っ掻きを低減又は除去し、インクバルブの性能を改善する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】図1Aは、先行技術USP 5,179,978の回転式インクバルブを示す。
【図1B】図1Bは、図1Aの要部の詳細図である。
【図2】図2は、図1の回転式インクバルブの外側部分の側面図である。
【図3】図3は、バイパス開口部を描いた図1の外側部分の断面図である。
【図4】図4は、インク流出開口部を描いた図1の外側部分の断面図である。
【図5】図5は、図1の外側部分の上面図である。
【図6】図6は、図1の回転式インクバルブの内側部分の側面図である。
【図7】図7は、図1の回転式インクバルブの外側部分の斜視図である。
【図8】図8は、図1の回転式インクバルブの内側部分の斜視図である。
【図9】図9は、図1の回転式インクバルブの外側部分とともに組み立てた内側部分の断面図である。
【図10A−10F】図10A−図10Fは、図1Aの回転式インクバルブの開放位置(図10A、10D)、中間位置(図10B、10E)及び閉鎖位置(図10C、10F)に対する、内側及び外側部分のインク流出開口部(図10A、10B、10C)と内側及び外側部分のバイパス開口部(図10D、10E、10F)の関係を、概略的に描いたものである。
【図11A】図11Aは、図1Aのインクバルブに対する異なる構造での密閉手段の交換可能な密閉部分を描いた断面図である。
【図11B】図11Bは、図1Aのインクバルブに対する他の異なる構造での密閉手段の交換可能な密閉部分を描いた断面図である。
【図12】図12は、本発明の好ましい実施形態による回転式インクバルブを示す。
【図13】図13は、本発明の好ましい実施形態による回転式インクバルブを示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を、以下の図を参照にして、さらに説明する。
【0014】
本発明の実施形態に従うと、回転式インクバルブは、US 5,179,978に記載の一般的なタイプであり、回転可能な内側部分(時にスプールと呼ぶ)及び固定された外側部分(時にケージと呼ぶ)を含む。これに関し、回転式インクバルブは、空気で作動し、インク又は流体の絶え間ない流れを分割して時限放出にすることを提供する。結果的に、放出されるインクの体積は、最適に制御される。回転式インクバルブは、流体が放出されない、ゼロ又は中間設定を有する。回転式インクバルブの操作中は、バルブが開放位置にあるとき、インクがインクバルブの外側部分のインク流出開口部から流れる。閉鎖位置では、インクは、バルブからバイパス開口部へと流れるため、インクを、回転式インクバルブを通って、実質的に絶えず流すことができる。これは、より制御された操作が提供する。回転式インクバルブの中間位置により、バイパス開口部及びインク流出開口部に連結されるポート間での圧力レベルの違いによる影響が最小限に抑えられる。
【0015】
中間位置では、外側部分の開口部はどれも、内側部分の開口部と一致しない。これにより、インク流出開口部及びバイパス開口部から流れるインク間の内部作用がないことが保証される。回転式インクバルブの操作時、バルブは、1回の動作で、回転位置から閉鎖位置へと変えられるため、中間位置は、内側部分が回転中に一瞬だけ起こる。従って、回転式インクバルブからインクが流れないときがあるとはいうものの、実質的にはインクはバルブを通って流れる。
【0016】
操作時、回転式インクバルブは、閉鎖位置での時間と比較した開放位置での時間が、印刷機によって要求されるインクの関数として調節されるように制御される。これは、往復ピストンを前後に動かして回転式インクバルブの内側部分の回転運動をもたらす、ノーマリーオープン及びノーマリークローズドのエアーバルブを時限通電及び非通電することによって達成され、駆動は対称的であるので、往復ピストンの移動時間はどちらの方向でも同じである。これは、2つの端位置の一方又は他方での往復ピストンの滞留時間であり、印刷機により求められるインクの関数である。好ましくは、ノーマリーオープン及びノーマリークローズドのエアーバルブは、バルブが通電されていないときが初期位置であり、回転式インクバルブの閉鎖位置に対応するように構成される。
【0017】
上述の先行技術のエアーインクバルブは極めて効果的であるが、バルブの内側及び外側部分の対向する面が引っかかり、性能が低下し、場合によっては、バルブの操作上の動きを完全に阻害する恐れがあることを発見した。例えば、インク供給圧が上昇するにつれて、又は、インクの特性により、バルブの内側部分を回転させるために必要なトルクが増加し、内側部分の外面と外側部分の内面との間の接触圧が上がる。接触圧が上がると、内側部分の外面と外側部分の内面に損傷を与え得る。本発明の実施形態に従うと、バルブの外側部分の内側面に、1以上の溝を設ける。この溝に潤滑剤を設けて、接触面からの引っ掻きを低減及び除去する。好適な潤滑剤の例としては、グリース、及び、ベアリング、ピストン及びバルブを円滑にするために通常使用される他の潤滑剤が挙げられる。好適なグリース潤滑剤の例として、Gleitmo 585Kが挙げられるが、これに限定されない。グリースは、組み立て時にバルブに塗布され、バルブを分解してグリースを交換することも可能であるが、バルブの使用可能な期間グリースを交換しなくともよい。さらに、バルブを使用するにつれ、いずれは、インクが溝内に入り込み、インク内の油分が付加的な潤滑剤を提供してもよい。
【0018】
別の実施形態では、溝を、バルブの外側部分の内面よりむしろ、バルブの内側部分の外面に配置することができる。この実施形態も効果的ではあるが、後にバルブを分解する必要がある場合には、内側部分の外面の溝は、外側部分に配置されるシール上に引っかかりやすい恐れがあることがわかった。溝を外側部分の内面に配置する場合にはこの問題に直面しない。
【0019】
図1〜11は、US 5,179,978に基づくインクバルブアセンブリを示す。回転式インクバルブは、内側部分16及び外側部分18からなり、図1Aでは、ハウジング10に収められた状態で示されている。回転式インクバルブの外側及び内側部分の斜視図を図7及び図8にそれぞれ描き、図2〜5は外側部分の様々な図であり、図6は内側部分の側面図である。図9は外側部分とともに組み立てた内側部分の断面図である。
【0020】
先行技術図1Aは、カバー12を取り付けたハウジング10に収められた回転式インクバルブ(16,18)を示す。ハウジング10は、回転式インクバルブの外側部分16を含む実質的に円筒形の空洞14を有する。回転式インクバルブの内側部分18は、外側部分16内にぴったりフィットし、カバー12内の円形開口部20によって適切な位置に保持される。カバー12は、外側部分16上のカラー22の縁に重なることによって、ハウジング10の空洞14内に外側部分16を固定する。
【0021】
内側部分18上の作動ピン24は、往復ピストン28内のスロット26に係合する。往復ピストン28は、ノーマリーオープンのエアーバルブ32及びノーマリークローズドのエアーバルブ34によって、矢印30の方向に操作される。図1Bは、ピン24、スロット26及びピストン28をさらに詳しく示す。バルブ32,34が通電されると、往復ピストン28が一方向にその移動の限界まで動き、エアーバルブ32,34が非通電されると、往復ピストン28が他方の移動の限界まで動く。往復ピストン28内のスロット26と、回転可能な内側部分18の作動ピン24は、往復ピストン28の線形的な動きを内側部分18の回転運動に変換する。
【0022】
ハウジング10は、外側部分16のインク流出開口部40と通じるインク流出ポート36を有する。外側部分16のバイパス開口部42は、ハウジング10内のバイパスポート44と通じる。
【0023】
インク供給部46は、ハウジング10内のインク流入ポート48へ圧力をかけてインクを供給する。インク流入ポート48は、以下に示すように、インクを内側部分18へと送る。バイパスポート44は、バルブが閉鎖位置にある場合、回転式インクバルブを通してインクを循環させるために、インク供給部46へと接続される。当業者であれば、ハウジング10が複数の回転式インクバブルを含むことができることが分かるであろう。
【0024】
先行技術図2〜9に関して、外側部分16は、本体54に接続される第1及び第2の端部50,52を有する。本体54は、実質的に円筒形の内部領域56を有し、及び、第1の端部50の付近にある複数のバイパス開口部42と、第2の端部52に隣接する複数のインク流出開口部40とを有し、第1及び第2の端部は開いている。内側部分18は、実質的に管状構造であり、側壁64によって接続される第1及び第2の端部60,62を有する。内側部分18は、第1の端部60に隣接する側壁64に複数のバイパス開口部66と、第2の端部62に隣接する側壁64に複数のインク流出開口部68を有し、第2の端部62は開いており、第1の端部60は閉じている。
【0025】
図の例示のバルブでは、外側部分16の第1の端部50にカラー22が取り付けられ、カラーはスロット72を含む上部70を有する。内側部分18は、内側部分18の第1の端部60に取り付けられたディスク74を有する。ディスク74は、その下面76から延びる止めピン78を有する。内側部分18が外側部分54の内部領域56に挿入されると、止めピン76はスロット72に係合する。これにより、内側部分18の回転の両方向においてポジティブストップ(positive stop)が提供される。外側部分16は、バイパス開口部42の位置に、第1のくぼんだ環状領域80を、インク流出開口部40の位置に、第2のくぼんだ環状領域82を有する。これにより、ハウジングが、外側部分16のインク流出開口部40のためのただ1つのインク流出ポート36と、外側部分16のバイパス開口部42のためのただ1つのバイパスポート44とを含むことが可能となる。また、インク流出ポート36及びバイパスポート42は、外側部分16の外周の周りの任意の位置に配置することができる。
【0026】
ハウジング10は、さらに、外側部分16のカラー22内にスロット86を係合するための回転防止部84を有する。この例示のバルブシステムにおいては、これが提供されることによって、内側部分18が外側部分16内で前後に回転するとき、外側部分16が動かないようにできる。図7に関し、外側部分16は円形の断面構造を有する。外側部分16では、複数のバイパス開口部42が複数のインク流出開口部40と一直線上にない。反対に、内側部分18の複数のバイパス開口部66は、複数のインク流出開口部68と一直線上にある(図8参照)。図3(インク流出開口部40での外側部分16の断面図)及び図4(バイパス開口部42の断面図)に描いたようなバルブでは、インク流出開口部40の配置(pattern)はバイパス開口部42の配置からほぼ38度ずらされている。図のバルブでは、6つのバイパス開口部42と6つのインク流出開口部40が利用されている。回転式インクバルブの開放位置に対して、インク流出開口部40及び68の関係を図10Aに描き、バイパス開口部42及び66の相対位置を図10Dに描く。明らかにわかるように、インク流出開口部40及び68は一致しており、バイパス開口部42及び66は一致していない。そのため、インクはインク流出開口部40及び68を通って、内側部分16の内部90から流れる。インク流出開口部40及び68に対する図10Bと、バイパス開口部42及び66に対する図10Eに描いた中間位置では、開口部40及び68、又は42及び66は一致しておらず、そのため、この中間位置に対しては、内側部分18が外側部分16内で回転するとき、外側部分16のバイパス開口部42からもインク流出開口部40からもインクが流れることはできない。最後に、回転式インクバルブの閉鎖位置では、バイパス開口部42及び66が一致し、インク流出開口部40及び68は一致していないため、バルブが閉鎖位置にあるときには、インクを回転式インクバブルを通して流し循環させることができる。
【0027】
インクが内側及び外側部分18,16の第1の端部50及び60の間で漏れるのを防ぐために、第1の端部50、又は、図11A及び11Bに描いたように、実質的には外側部分16のカラー22に、密閉機構が設けられる。密閉機構は、少なくとも第1及び第2の交換可能な環状シール92及び94、及び少なくとも1つの交換可能な環状スペーサ96から構成される。環状シール92,94は、適切なシール又はガスケット材料から製造できる。図11Aに描くように、環状シール92及び94は、カラー22の上面70近くに位置する環状スペーサ96と互いに隣り合っている(adjacent)。Cリング98は、シール92,94及びスペーサ96を適切な位置に保持する。シールが磨耗しやすい恐れのある操作期間の後、シール92及び94をスペーサ96と配置しなおすこともできる。例えば、図11Bに描くように、シール92,94をスペーサ96と交換して、シール92,94を、回転式インクバルブに新しい封鎖能を提供するわずかに異なる位置で、内側部分18の第1の端部60にて、側壁64に接触させることができる。
【0028】
図1〜11に示したインクバルブは効果的であるが、一定の性能問題を有することがわかった。特に、インク供給部46からのインク供給圧が上がると、内側部分18と外側部分16の間の接触圧が増加し、内側部分18の外面及び/又は外側部分16の内面を引っ掻く恐れがあり、又は、内側部分の回転運動を完全に阻んでしまう恐れさえある。さらに、インク特性の変化は、往復ピストン28から回転可能な内側部分18の作動ピン24に加えられる必要のあるトルクを増加させる恐れがある。これはまた、内側部分18と外側部分16の間の接触圧を増加させ、内側部分18の外面及び/又は外側部分16の内面を引っ掻く恐れがあり、内側部分の回転運動を完全に阻んでしまう恐れさえある。
【0029】
本発明の実施形態によると、内側部分18の外面又は外側部分16の内面は、軸100に沿って間隔を空けた複数の環状溝を含む。図12は、本発明の実施形態を示し、先行技術の図1〜11と同様の要素には、同一の参照符号を付与する。図12に関し、外側部分16は軸100に沿って間隔を置いて複数の溝110,111,112,113を有する。
【0030】
インクバルブの組み立て時に、溝110,111,112及び113に潤滑剤を塗布する。好適な潤滑剤の例としては、グリース、及び、ベアリング、ピストン及びバルブを円滑にするために通常使用される他の潤滑剤が挙げられる。好適なグリース潤滑剤の例として、Gleitmo 585Kが挙げられるが、これに限定されない。グリースは、組み立て時にバルブに塗布され、バルブを分解してグリースを交換することも可能であるが、バルブの使用可能な期間グリースを交換しなくともよい。さらに、バルブを使用するにつれ、いずれは、インクが溝内に入り込み、インク内の油分が付加的な潤滑剤を提供するかもしれない。
【0031】
図13に関し、50mmの長さを有する側壁64を備える例示のバルブにおいて、引っ掻きを起こしやすい領域は、10mm≦x<20mmの領域A(外側部分の)とa(内側部分の)、及び、42mm≦x≦50mmの領域C(外側部分の)とc(内側部分の)であることがわかった。インク穴66,68の位置に相当する領域B(外側部分の)とb(内側部分の)は比較的引っ掻きが少ない。
【0032】
好ましくは、溝110,111及び112は、領域Aに位置し、溝113は領域Cに位置する。溝の他の配置及び数もまた可能である。しかしながら、領域A及びCに溝を配置することが有利である。
【0033】
溝110,111,112及び113は、好ましくは、外側部分16の内側円周全体をぐるりと周って延びる。溝の幅及び深さは、潤滑剤を保持するのに十分な領域を提供するように選択される。例として、幅1.5と2mmの間、好ましくは1.7mm、深さ0.5と1mmの間、好ましくは0.8mmが効果的であることがわかった。製造時、溝から鋭いエッジ又はバリを取り除いて、内側部分の表面を引っ掻く可能性をさらに制限することが有利である。
【0034】
上に説明したように、別の実施形態においては、溝を、図12に示すように、バルブの外側部分の内面よりむしろ、バルブの内側部分の外面に配置することができる。この実施形態も効果的ではあるが、後にバルブを分解する必要がある場合には、内側部分の外面の溝は、外側部分に配置されるU型のシール92,94上に引っかかりやすい恐れがあることがわかった。溝を外側部分の内面に配置する場合には、この問題に直面しない。
【0035】
先行する明細書では、本発明を特定の例示の実施形態とその実施例を参照して説明した。しかしながら、以下の請求項に記載の本発明の広範な精神と範囲から逸脱することなく、これに各種修正及び変更を行ってもよいことは明らかである。従って、本明細書及び図は、例示として考慮されるべきであり、限定的意味として考慮されるべきではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷分野、特に印刷機用のインクバルブアセンブリ分野に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフ印刷分野において、インクはインク源から一連のローラーを通って、印刷機内の版胴上の印刷版へと連続的に運ばれる。印刷版の画像部は、一連のインクローラの最後の1つ以上からインクを受け、反転写画像としてブランケット胴にインクの一部を移し、そこから、インクの一部を移して、紙又は他の材料上に正確に読める画像(正転写画像)を形成する。従来のリソグラフ印刷工程においては、水及び独占所有権のある添加剤を含む湿し水は、印刷版に連続的に供給され、印刷版の非画像領域に運ばれる水の機能により、非画像領域をインクのない状態に維持する。最後に、従来の印刷機システムにおいては、コラムごとに変化するインク調整量は、多数のインクインジェクタに連続的に制御される(cross−press column input control adjustments)。
【0003】
リソグラフ印刷版の表面で画像のない部分は、微小な裂け目をもち、親水性で、水を好む特性を有し、版の表面上のインクよりも、水、つまり湿し水の保持力を高める。版の画像化は、印刷されるべき画像に従い、親油性又はインクを好む領域を作る。その結果として、インクと湿し水の両方が適当な量で画像化された版に存在する場合、非画像領域に存在する傾向のあるインクだけが、版から剥離されるようになる。一般的に、この作用は、印刷版の表面上での連続的なインクと湿し水の分化の主な原因となり、リソグラフ印刷工程に不可欠である。
【0004】
リソグラフ印刷時、各インクインジェクタから供給されるインクの正確な量を制御することが必要である。その全文が参照により本明細書中に援用されるUSP 5,179,978は、インク又は印刷機への印刷液体流入を制御するための回転式インクバルブアセンブリを記載する。
【0005】
先行技術であるUSP 5,179,978に記載されるように、回転式インクバルブは、本体によって連結される第1及び第2の端部を有する不動の外側部分と、側壁によって連結される第1及び第2の端部を有する実質的に管状の内側部分とを有する。外側部分の本体は、実質的に円筒形の内側領域を有し、内側部分は外側部分のこの円筒形の内側領域の中にあり、この中で回転可能である。内側及び外側部分のそれぞれは、第1の端部に隣接する少なくとも1つのバイパス開口部と、内側及び外側部分それぞれの本体と側壁の第2の端部に隣接する少なくとも1つのインク流出開口部とを有する。外側部分においては、第1及び第2の端部は開いており、内側部分においては、第2の端部が開いている。印刷機のインク供給部は、内側部分にインクを供給するために、内側部分の開口端部に連結される。また、少なくとも開いた位置、閉じた位置及び中間位置の間で内側部分を回転させる手段も設けられ、中間位置は、開いた位置と閉じた位置の間にある。
【0006】
開いた位置では、内側部分のインク流出開口部だけが、外側部分のインク流出開口部と一致し、外側部分のインク流出開口部からのみインクが流れる。閉じた位置では、内側部分のバイパス開口部だけが外側部分のバイパス開口部と一致し、外側部分のインク流出開口部からのみインクが流れる。中間位置では、外側部分の開口部が内側部分の開口部と一致せず、外側部分のバイパス開口部からも外側部分のインク流出開口部からも、インクが流れない。
【0007】
USP 5,179,978で説明されるように、外側部分は、好ましくは、本体の周囲に間隔をおいて複数のバイパス開口部を有し、内側部分は、対応する複数のバイパス開口部を、側壁の周囲に間隔をおいて有する。同様に、外側部分は、本体の周囲に間隔をおいて複数のインク流出開口部を有し、内側部分は、側壁の周囲に間隔をおいて複数のインク流出開口部を有する。閉じた位置では、内側及び外側部分のバイパス開口部が一致し、開いた位置では、内側及び外側部分のインク流出開口部が一致する。上述のように、中間位置では、外側部分の開口部のどれもが、内側部分のいずれの開口部とも一致しない。好ましくは、内側部分の側壁の複数のバイパス開口部は、内側部分の側壁の複数のインク流出開口部と長手方向に一致するが、外側部分の本体の複数のバイパス開口部は、外側部分の本体の複数のインク流出開口部と長手方向には一致しない。
【0008】
USP 5,179,978は、さらに、内側及び外側部分の第1の端部の間を密閉して、これらの間のインク漏れを防ぐためのメカニズムを記載する。特に、このバルブは、交換可能な第1及び第2の環状シールと、少なくとも1つの交換可能な環状スペーサを含む。さらに、外側部分は、好ましくはカラーを有し、このカラーは、外側部分の第1の端部に取り付けられる底部と、スロットを含むトップとを有する。内側部分は、内側部分の第1の端部に取り付けられる下部表面と、スロットに係合するための下部表面から延びる止めピンとを有するディスクを有する。ディスクはまた、上部表面と、内側部分を回転させるための手段によって係合するための上部表面から延びる作動ピンとを有する。
【発明の概要】
【0009】
本発明の実施形態に従って、本体により連結される第1及び第2の端部を有する固定された外側部分を含み、前記本体が実質的に円筒形の内部領域を有し、及び、前記外側部分の前記第1の端部に隣接する前記本体に、少なくとも1つのバイパス開口部と、前記外側部分の前記第2の端部に隣接する前記本体に少なくとも1つのインク流出開口部とを有し、前記第1及び第2の端部が開いているインクバルブを提供する。実質的に円筒形の内部領域は、複数の溝を有し、複数の溝のそれぞれが潤滑剤を保持する。インクバルブはさらに、前記外側部分の前記円筒形の内部領域内に回転可能に位置する実質的に管状の内側部分を含み、この内側部分は、側壁によって連結される第1及び第2の端部を有し、前記内側部分の前記第1の端部に隣接する前記側壁内に少なくとも1つのバイパス開口部と、前記内側部分の前記第2の端部に隣接する前記側壁に少なくとも1つのインク流出開口部とを有し、前記第2の端部は開かれており、前記第1の端部は閉じられており、前記内側部分が少なくとも開放位置、閉鎖位置及び中間位置の間で回転可能であり、前記中間位置は前記開放位置と前記閉鎖位置の間にある。
【0010】
本発明の他の実施形態に従って、インク供給部を有する印刷機においてインクを供給するための回転式インクバルブは、本体によって連結される第1及び第2の端部を有する固定された外側部分を含み、前記本体は、実質的に円筒形の内部領域を有し、及び、前記外側部分の前記第1の端部に隣接する前記本体に少なくとも1つのバイパス開口部と、前記外側部分の前記第2の端部に隣接する前記本体に少なくとも1つのインク流出開口部とを有し、前記第1及び第2の端部が開いている。インクバルブはさらに、前記外側部分の前記円筒形の内部領域内に回転可能に位置する実質的に管状の内側部分を含み、この内側部分は、側壁によって連結される第1及び第2の端部を有し、前記内側部分の前記第1の端部に隣接する前記側壁に少なくとも1つのバイパス開口部と、前記内側部分の前記第2の端部に隣接する前記側壁に少なくとも1つのインク流出開口部とを有する、前記第2の端部は開かれており、前記第1の端部は閉じられており、前記内側部分が少なくとも開放位置、閉鎖位置及び中間位置の間で回転可能であり、前記中間位置は前記開放位置と前記閉鎖位置の間にある。インクバルブはさらに、少なくとも1つの実質的に円筒形の内部領域と、複数の溝を有する側壁とを含み、複数の溝のそれぞれは潤滑剤を保持する。
【0011】
上述の実施形態の両方において、溝内の潤滑剤は、内側部分及び外側部分の引っ掻きを低減又は除去し、インクバルブの性能を改善する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】図1Aは、先行技術USP 5,179,978の回転式インクバルブを示す。
【図1B】図1Bは、図1Aの要部の詳細図である。
【図2】図2は、図1の回転式インクバルブの外側部分の側面図である。
【図3】図3は、バイパス開口部を描いた図1の外側部分の断面図である。
【図4】図4は、インク流出開口部を描いた図1の外側部分の断面図である。
【図5】図5は、図1の外側部分の上面図である。
【図6】図6は、図1の回転式インクバルブの内側部分の側面図である。
【図7】図7は、図1の回転式インクバルブの外側部分の斜視図である。
【図8】図8は、図1の回転式インクバルブの内側部分の斜視図である。
【図9】図9は、図1の回転式インクバルブの外側部分とともに組み立てた内側部分の断面図である。
【図10A−10F】図10A−図10Fは、図1Aの回転式インクバルブの開放位置(図10A、10D)、中間位置(図10B、10E)及び閉鎖位置(図10C、10F)に対する、内側及び外側部分のインク流出開口部(図10A、10B、10C)と内側及び外側部分のバイパス開口部(図10D、10E、10F)の関係を、概略的に描いたものである。
【図11A】図11Aは、図1Aのインクバルブに対する異なる構造での密閉手段の交換可能な密閉部分を描いた断面図である。
【図11B】図11Bは、図1Aのインクバルブに対する他の異なる構造での密閉手段の交換可能な密閉部分を描いた断面図である。
【図12】図12は、本発明の好ましい実施形態による回転式インクバルブを示す。
【図13】図13は、本発明の好ましい実施形態による回転式インクバルブを示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を、以下の図を参照にして、さらに説明する。
【0014】
本発明の実施形態に従うと、回転式インクバルブは、US 5,179,978に記載の一般的なタイプであり、回転可能な内側部分(時にスプールと呼ぶ)及び固定された外側部分(時にケージと呼ぶ)を含む。これに関し、回転式インクバルブは、空気で作動し、インク又は流体の絶え間ない流れを分割して時限放出にすることを提供する。結果的に、放出されるインクの体積は、最適に制御される。回転式インクバルブは、流体が放出されない、ゼロ又は中間設定を有する。回転式インクバルブの操作中は、バルブが開放位置にあるとき、インクがインクバルブの外側部分のインク流出開口部から流れる。閉鎖位置では、インクは、バルブからバイパス開口部へと流れるため、インクを、回転式インクバルブを通って、実質的に絶えず流すことができる。これは、より制御された操作が提供する。回転式インクバルブの中間位置により、バイパス開口部及びインク流出開口部に連結されるポート間での圧力レベルの違いによる影響が最小限に抑えられる。
【0015】
中間位置では、外側部分の開口部はどれも、内側部分の開口部と一致しない。これにより、インク流出開口部及びバイパス開口部から流れるインク間の内部作用がないことが保証される。回転式インクバルブの操作時、バルブは、1回の動作で、回転位置から閉鎖位置へと変えられるため、中間位置は、内側部分が回転中に一瞬だけ起こる。従って、回転式インクバルブからインクが流れないときがあるとはいうものの、実質的にはインクはバルブを通って流れる。
【0016】
操作時、回転式インクバルブは、閉鎖位置での時間と比較した開放位置での時間が、印刷機によって要求されるインクの関数として調節されるように制御される。これは、往復ピストンを前後に動かして回転式インクバルブの内側部分の回転運動をもたらす、ノーマリーオープン及びノーマリークローズドのエアーバルブを時限通電及び非通電することによって達成され、駆動は対称的であるので、往復ピストンの移動時間はどちらの方向でも同じである。これは、2つの端位置の一方又は他方での往復ピストンの滞留時間であり、印刷機により求められるインクの関数である。好ましくは、ノーマリーオープン及びノーマリークローズドのエアーバルブは、バルブが通電されていないときが初期位置であり、回転式インクバルブの閉鎖位置に対応するように構成される。
【0017】
上述の先行技術のエアーインクバルブは極めて効果的であるが、バルブの内側及び外側部分の対向する面が引っかかり、性能が低下し、場合によっては、バルブの操作上の動きを完全に阻害する恐れがあることを発見した。例えば、インク供給圧が上昇するにつれて、又は、インクの特性により、バルブの内側部分を回転させるために必要なトルクが増加し、内側部分の外面と外側部分の内面との間の接触圧が上がる。接触圧が上がると、内側部分の外面と外側部分の内面に損傷を与え得る。本発明の実施形態に従うと、バルブの外側部分の内側面に、1以上の溝を設ける。この溝に潤滑剤を設けて、接触面からの引っ掻きを低減及び除去する。好適な潤滑剤の例としては、グリース、及び、ベアリング、ピストン及びバルブを円滑にするために通常使用される他の潤滑剤が挙げられる。好適なグリース潤滑剤の例として、Gleitmo 585Kが挙げられるが、これに限定されない。グリースは、組み立て時にバルブに塗布され、バルブを分解してグリースを交換することも可能であるが、バルブの使用可能な期間グリースを交換しなくともよい。さらに、バルブを使用するにつれ、いずれは、インクが溝内に入り込み、インク内の油分が付加的な潤滑剤を提供してもよい。
【0018】
別の実施形態では、溝を、バルブの外側部分の内面よりむしろ、バルブの内側部分の外面に配置することができる。この実施形態も効果的ではあるが、後にバルブを分解する必要がある場合には、内側部分の外面の溝は、外側部分に配置されるシール上に引っかかりやすい恐れがあることがわかった。溝を外側部分の内面に配置する場合にはこの問題に直面しない。
【0019】
図1〜11は、US 5,179,978に基づくインクバルブアセンブリを示す。回転式インクバルブは、内側部分16及び外側部分18からなり、図1Aでは、ハウジング10に収められた状態で示されている。回転式インクバルブの外側及び内側部分の斜視図を図7及び図8にそれぞれ描き、図2〜5は外側部分の様々な図であり、図6は内側部分の側面図である。図9は外側部分とともに組み立てた内側部分の断面図である。
【0020】
先行技術図1Aは、カバー12を取り付けたハウジング10に収められた回転式インクバルブ(16,18)を示す。ハウジング10は、回転式インクバルブの外側部分16を含む実質的に円筒形の空洞14を有する。回転式インクバルブの内側部分18は、外側部分16内にぴったりフィットし、カバー12内の円形開口部20によって適切な位置に保持される。カバー12は、外側部分16上のカラー22の縁に重なることによって、ハウジング10の空洞14内に外側部分16を固定する。
【0021】
内側部分18上の作動ピン24は、往復ピストン28内のスロット26に係合する。往復ピストン28は、ノーマリーオープンのエアーバルブ32及びノーマリークローズドのエアーバルブ34によって、矢印30の方向に操作される。図1Bは、ピン24、スロット26及びピストン28をさらに詳しく示す。バルブ32,34が通電されると、往復ピストン28が一方向にその移動の限界まで動き、エアーバルブ32,34が非通電されると、往復ピストン28が他方の移動の限界まで動く。往復ピストン28内のスロット26と、回転可能な内側部分18の作動ピン24は、往復ピストン28の線形的な動きを内側部分18の回転運動に変換する。
【0022】
ハウジング10は、外側部分16のインク流出開口部40と通じるインク流出ポート36を有する。外側部分16のバイパス開口部42は、ハウジング10内のバイパスポート44と通じる。
【0023】
インク供給部46は、ハウジング10内のインク流入ポート48へ圧力をかけてインクを供給する。インク流入ポート48は、以下に示すように、インクを内側部分18へと送る。バイパスポート44は、バルブが閉鎖位置にある場合、回転式インクバルブを通してインクを循環させるために、インク供給部46へと接続される。当業者であれば、ハウジング10が複数の回転式インクバブルを含むことができることが分かるであろう。
【0024】
先行技術図2〜9に関して、外側部分16は、本体54に接続される第1及び第2の端部50,52を有する。本体54は、実質的に円筒形の内部領域56を有し、及び、第1の端部50の付近にある複数のバイパス開口部42と、第2の端部52に隣接する複数のインク流出開口部40とを有し、第1及び第2の端部は開いている。内側部分18は、実質的に管状構造であり、側壁64によって接続される第1及び第2の端部60,62を有する。内側部分18は、第1の端部60に隣接する側壁64に複数のバイパス開口部66と、第2の端部62に隣接する側壁64に複数のインク流出開口部68を有し、第2の端部62は開いており、第1の端部60は閉じている。
【0025】
図の例示のバルブでは、外側部分16の第1の端部50にカラー22が取り付けられ、カラーはスロット72を含む上部70を有する。内側部分18は、内側部分18の第1の端部60に取り付けられたディスク74を有する。ディスク74は、その下面76から延びる止めピン78を有する。内側部分18が外側部分54の内部領域56に挿入されると、止めピン76はスロット72に係合する。これにより、内側部分18の回転の両方向においてポジティブストップ(positive stop)が提供される。外側部分16は、バイパス開口部42の位置に、第1のくぼんだ環状領域80を、インク流出開口部40の位置に、第2のくぼんだ環状領域82を有する。これにより、ハウジングが、外側部分16のインク流出開口部40のためのただ1つのインク流出ポート36と、外側部分16のバイパス開口部42のためのただ1つのバイパスポート44とを含むことが可能となる。また、インク流出ポート36及びバイパスポート42は、外側部分16の外周の周りの任意の位置に配置することができる。
【0026】
ハウジング10は、さらに、外側部分16のカラー22内にスロット86を係合するための回転防止部84を有する。この例示のバルブシステムにおいては、これが提供されることによって、内側部分18が外側部分16内で前後に回転するとき、外側部分16が動かないようにできる。図7に関し、外側部分16は円形の断面構造を有する。外側部分16では、複数のバイパス開口部42が複数のインク流出開口部40と一直線上にない。反対に、内側部分18の複数のバイパス開口部66は、複数のインク流出開口部68と一直線上にある(図8参照)。図3(インク流出開口部40での外側部分16の断面図)及び図4(バイパス開口部42の断面図)に描いたようなバルブでは、インク流出開口部40の配置(pattern)はバイパス開口部42の配置からほぼ38度ずらされている。図のバルブでは、6つのバイパス開口部42と6つのインク流出開口部40が利用されている。回転式インクバルブの開放位置に対して、インク流出開口部40及び68の関係を図10Aに描き、バイパス開口部42及び66の相対位置を図10Dに描く。明らかにわかるように、インク流出開口部40及び68は一致しており、バイパス開口部42及び66は一致していない。そのため、インクはインク流出開口部40及び68を通って、内側部分16の内部90から流れる。インク流出開口部40及び68に対する図10Bと、バイパス開口部42及び66に対する図10Eに描いた中間位置では、開口部40及び68、又は42及び66は一致しておらず、そのため、この中間位置に対しては、内側部分18が外側部分16内で回転するとき、外側部分16のバイパス開口部42からもインク流出開口部40からもインクが流れることはできない。最後に、回転式インクバルブの閉鎖位置では、バイパス開口部42及び66が一致し、インク流出開口部40及び68は一致していないため、バルブが閉鎖位置にあるときには、インクを回転式インクバブルを通して流し循環させることができる。
【0027】
インクが内側及び外側部分18,16の第1の端部50及び60の間で漏れるのを防ぐために、第1の端部50、又は、図11A及び11Bに描いたように、実質的には外側部分16のカラー22に、密閉機構が設けられる。密閉機構は、少なくとも第1及び第2の交換可能な環状シール92及び94、及び少なくとも1つの交換可能な環状スペーサ96から構成される。環状シール92,94は、適切なシール又はガスケット材料から製造できる。図11Aに描くように、環状シール92及び94は、カラー22の上面70近くに位置する環状スペーサ96と互いに隣り合っている(adjacent)。Cリング98は、シール92,94及びスペーサ96を適切な位置に保持する。シールが磨耗しやすい恐れのある操作期間の後、シール92及び94をスペーサ96と配置しなおすこともできる。例えば、図11Bに描くように、シール92,94をスペーサ96と交換して、シール92,94を、回転式インクバルブに新しい封鎖能を提供するわずかに異なる位置で、内側部分18の第1の端部60にて、側壁64に接触させることができる。
【0028】
図1〜11に示したインクバルブは効果的であるが、一定の性能問題を有することがわかった。特に、インク供給部46からのインク供給圧が上がると、内側部分18と外側部分16の間の接触圧が増加し、内側部分18の外面及び/又は外側部分16の内面を引っ掻く恐れがあり、又は、内側部分の回転運動を完全に阻んでしまう恐れさえある。さらに、インク特性の変化は、往復ピストン28から回転可能な内側部分18の作動ピン24に加えられる必要のあるトルクを増加させる恐れがある。これはまた、内側部分18と外側部分16の間の接触圧を増加させ、内側部分18の外面及び/又は外側部分16の内面を引っ掻く恐れがあり、内側部分の回転運動を完全に阻んでしまう恐れさえある。
【0029】
本発明の実施形態によると、内側部分18の外面又は外側部分16の内面は、軸100に沿って間隔を空けた複数の環状溝を含む。図12は、本発明の実施形態を示し、先行技術の図1〜11と同様の要素には、同一の参照符号を付与する。図12に関し、外側部分16は軸100に沿って間隔を置いて複数の溝110,111,112,113を有する。
【0030】
インクバルブの組み立て時に、溝110,111,112及び113に潤滑剤を塗布する。好適な潤滑剤の例としては、グリース、及び、ベアリング、ピストン及びバルブを円滑にするために通常使用される他の潤滑剤が挙げられる。好適なグリース潤滑剤の例として、Gleitmo 585Kが挙げられるが、これに限定されない。グリースは、組み立て時にバルブに塗布され、バルブを分解してグリースを交換することも可能であるが、バルブの使用可能な期間グリースを交換しなくともよい。さらに、バルブを使用するにつれ、いずれは、インクが溝内に入り込み、インク内の油分が付加的な潤滑剤を提供するかもしれない。
【0031】
図13に関し、50mmの長さを有する側壁64を備える例示のバルブにおいて、引っ掻きを起こしやすい領域は、10mm≦x<20mmの領域A(外側部分の)とa(内側部分の)、及び、42mm≦x≦50mmの領域C(外側部分の)とc(内側部分の)であることがわかった。インク穴66,68の位置に相当する領域B(外側部分の)とb(内側部分の)は比較的引っ掻きが少ない。
【0032】
好ましくは、溝110,111及び112は、領域Aに位置し、溝113は領域Cに位置する。溝の他の配置及び数もまた可能である。しかしながら、領域A及びCに溝を配置することが有利である。
【0033】
溝110,111,112及び113は、好ましくは、外側部分16の内側円周全体をぐるりと周って延びる。溝の幅及び深さは、潤滑剤を保持するのに十分な領域を提供するように選択される。例として、幅1.5と2mmの間、好ましくは1.7mm、深さ0.5と1mmの間、好ましくは0.8mmが効果的であることがわかった。製造時、溝から鋭いエッジ又はバリを取り除いて、内側部分の表面を引っ掻く可能性をさらに制限することが有利である。
【0034】
上に説明したように、別の実施形態においては、溝を、図12に示すように、バルブの外側部分の内面よりむしろ、バルブの内側部分の外面に配置することができる。この実施形態も効果的ではあるが、後にバルブを分解する必要がある場合には、内側部分の外面の溝は、外側部分に配置されるU型のシール92,94上に引っかかりやすい恐れがあることがわかった。溝を外側部分の内面に配置する場合には、この問題に直面しない。
【0035】
先行する明細書では、本発明を特定の例示の実施形態とその実施例を参照して説明した。しかしながら、以下の請求項に記載の本発明の広範な精神と範囲から逸脱することなく、これに各種修正及び変更を行ってもよいことは明らかである。従って、本明細書及び図は、例示として考慮されるべきであり、限定的意味として考慮されるべきではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク供給部を有する印刷機においてインクを提供するための回転式インクバルブであって、
固定された外側部分と実質的に管状の内側部分とを有し、
前記固定された外側部分は、本体により連結される第1及び第2の端部を有し、前記本体は実質的に円筒形の内部領域を有し、及び、前記外側部分の前記第1の端部に隣接する前記本体に少なくとも1つのバイパス開口部と、前記外側部分の前記第2の端部に隣接する前記本体に少なくとも1つのインク流出開口部とを有し、前記第1及び第2の端部が開いており、前記実質的に円筒形の内部領域は複数の溝を有し、前記複数の溝のそれぞれが潤滑剤を保持し、
前記実質的に管状の内側部分は、前記外側部分の前記円筒形の内部領域内に回転可能に位置し、側壁によって連結される第1及び第2の端部を有し、前記内側部分の前記第1の端部に隣接する前記側壁に少なくとも1つのバイパス開口部を有し、前記内側部分の前記第2の端部に隣接する前記側壁に少なくとも1つのインク流出開口部を有し、前記第2の端部は開かれており、及び前記第1の端部は閉じられており、前記内側部分が少なくとも開放位置、閉鎖位置及び中間位置の間で回転可能であり、前記中間位置は前記開放位置と閉鎖位置の間にあるインクバルブ。
【請求項2】
前記インク供給部が、少なくとも、前記内側部分にインクを供給するための前記内側部分の前記開いた第2の端部に連結され、前記インクバルブがさらにピストンを含み、前記ピストンが、前記開放位置、前記閉鎖位置及び前記中間位置の間で前記内側部分を回転させる、請求項1のインクバルブ。
【請求項3】
前記開放位置では、前記内側部分の少なくとも1つのインク流出開口部だけが前記外側部分の少なくともひとつのインク流出開口部と一致して、前記外側部分の前記少なくとも1つのインク流出開口部からインクが流れ、
前記閉鎖位置では、前記内側部分の前記少なくとも1つのバイパス開口部だけが前記外側部分の前記少なくとも1つのバイパス開口部と一致して、前記外側部分の前記少なくとも1つのバイパス開口部からインクが流れ、及び
前記中間位置では、前記内側及び外側部分のそれぞれの前記少なくとも1つのバイパス開口部と前記少なくとも1つのインク流出開口部が一致せず、前記外側部分の前記少なくとも1つのバイパス開口部からインクが流れず、及び前記外側部分の前記少なくとも1つのインク流出開口部からインクが流れない、請求項1のインクバルブ。
【請求項4】
前記複数の溝の少なくとも1つが、前記第1の端部と前記少なくとも1つのインク流出開口部の間に位置し、及び、前記複数の溝の少なくとも1つが、前記第2の端部と前記少なくとも1つのインク流出開口部の間に位置する、請求項1のインクバルブ。
【請求項5】
前記外側部分の少なくとも1つのインク流出開口部は、前記本体の周囲に間隔を置いて複数のインク流出開口部を含み、前記内側部分の前記少なくとも1つのインク開口部は、前記側壁の周囲に間隔を置いて複数のインク流出開口部を有し、前記内側部分の前記複数のインク流出開口部が、前記回転式インクバルブが前記開放位置にあるとき、前記外側部分のインク流出開口部それぞれと一致する、請求項1のインクバルブ。
【請求項6】
前記複数の溝の少なくとも1つが、前記第1の端部と前記複数のインク流出開口部との間に位置し、及び、前記複数の溝の少なくとも1つが、前記第2の端部と前記複数のインク流出開口部との間に位置する、請求項5のインクバルブ。
【請求項7】
前記外側部分の前記少なくとも1つのバイパス開口部と前記内側部分の前記少なくとも1つのバイパス開口部がそれぞれ、複数のバイパス開口部を含む、請求項6のインクバルブ。
【請求項8】
前記開放位置では、前記内側部分の前記複数のインク流出開口部だけが前記外側部分の前記複数のインク流出開口部と一致して、前記外側部分の前記複数のインク流出開口部からインクが流れ、
前記閉鎖位置では、前記内側部分の前記複数のバイパス開口部だけが前記外側部分の前記複数のバイパス開口部と一致して、前記外側部分の前記複数のバイパス開口部からインクが流れ、及び
前記中間位置では、前記内側及び外側部分のそれぞれの前記複数のバイパス開口部と前記複数のインク流出開口部が一致せず、前記外側部分の前記複数のバイパス開口部からインクが流れず、及び前記外側部分の前記複数のインク流出開口部からインクが流れない、請求項7のインクバルブ。
【請求項9】
前記複数の溝の少なくとも1つが、前記第1の端部と前記少なくとも1つのインク流出開口部との間に位置し、及び、前記複数の溝の少なくとも1つが、前記第2の端部と前記少なくとも1つのインク流出開口部との間に位置する、請求項1のインクバルブ。
【請求項10】
インク供給部を有する印刷機においてインクを提供するための回転式インクバルブであって、
固定された外側部分と実質的に管状の内側部分を有し、
前記固定された外側部分は、本体により連結される第1及び第2の端部を有し、前記本体は実質的に円筒形の内部領域を有し、及び、前記外側部分の前記第1の端部に隣接する前記本体に少なくとも1つのバイパス開口部と、前記外側部分の前記第2の端部に隣接する前記本体に少なくとも1つのインク流出開口部とを有し、前記第1及び第2の端部が開いており、
前記実質的に管状の内側部分は、前記外側部分の前記円筒形の内部領域内に回転可能に位置し、側壁によって連結される第1及び第2の端部を有し、前記内側部分の前記第1の端部に隣接する前記側壁に少なくとも1つのバイパス開口部を有し、前記内側部分の前記第2の端部に隣接する前記側壁に少なくとも1つのインク流出開口部を有し、前記第2の端部は開かれており、及び前記第1の端部は閉じられており、前記内側部分が少なくとも開放位置、閉鎖位置及び中間位置の間で回転可能であり、前記中間位置は前記開放位置と閉鎖位置の間にあり、及び
前記実質的に円筒形の内部領域と前記側壁の少なくとも1つは複数の溝を有し、前記複数の溝のそれぞれが潤滑剤を保持するインクバルブ。
【請求項11】
前記インク供給部が、少なくとも、前記内側部分にインクを供給するための前記内側部分の前記開いた第2の端部に連結され、前記インクバルブがさらにピストンを含み、前記ピストンが、前記開放位置、前記閉鎖位置及び前記中間位置の間で前記内側部分を回転させる、請求項10のインクバルブ。
【請求項12】
前記開放位置では、前記内側部分の前記少なくとも1つのインク流出開口部だけが前記外側部分の前記少なくともひとつのインク流出開口部と一致して、前記外側部分の前記少なくとも1つのインク流出開口部からインクが流れ、
前記閉鎖位置では、前記内側部分の前記少なくとも1つのバイパス開口部だけが前記外側部分の前記少なくとも1つのバイパス開口部と一致して、前記外側部分の前記少なくとも1つのバイパス開口部からインクが流れ、及び
前記中間位置では、前記内側及び外側部分のそれぞれの前記少なくとも1つのバイパス開口部と前記少なくとも1つのインク流出開口部が一致せず、前記外側部分の前記少なくとも1つのバイパス開口部からインクが流れず、及び前記外側部分の前記少なくとも1つのインク流出開口部からインクが流れない、請求項10のインクバルブ。
【請求項13】
前記複数の溝の少なくとも1つが、前記第1の端部と前記少なくとも1つのインク流出開口部の間に位置し、及び、前記複数の溝の少なくとも1つが、前記第2の端部と前記少なくとも1つのインク流出開口部の間に位置する、請求項10のインクバルブ。
【請求項14】
前記外側部分の少なくとも1つのインク流出開口部は、前記本体の周囲に間隔をおいて複数のインク流出開口部を含み、前記内側部分上の前記少なくとも1つのインク開口部は、前記側壁の周囲に間隔をおいて複数のインク流出開口部を有し、前記内側部分の前記複数のインク流出開口部が、前記回転式インクバルブが前記開放位置にあるとき、前記外側部分のインク流出開口部それぞれと一致する、請求項10のインクバルブ。
【請求項15】
前記複数の溝の少なくとも1つが、前記第1の端部と前記複数のインク流出開口部との間に位置し、及び、前記複数の溝の少なくとも1つが、前記第2の端部と前記複数のインク流出開口部との間に位置する、請求項14のインクバルブ。
【請求項16】
前記外側部分上の前記少なくとも1つのバイパス開口部と前記内側部分上の前記少なくとも1つのバイパス開口部がそれぞれ、複数のバイパス開口部を含む、請求項15のインクバルブ。
【請求項17】
前記開放位置では、前記内側部分の前記複数のインク流出開口部だけが前記外側部分の前記複数のインク流出開口部と一致して、前記外側部分の前記複数のインク流出開口部からインクが流れ、
前記閉鎖位置では、前記内側部分の前記複数のバイパス開口部だけが前記外側部分の前記複数のバイパス開口部と一致して、前記外側部分の前記複数のバイパス開口部からインクが流れ、及び
前記中間位置では、前記内側及び外側部分のそれぞれの前記複数のバイパス開口部と前記複数のインク流出開口部が一致せず、前記外側部分の前記複数のバイパス開口部からインクが流れず、及び前記外側部分の前記複数のインク流出開口部からインクが流れない、請求項16のインクバルブ。
【請求項18】
前記複数の溝の少なくとも1つが、前記第1の端部と前記少なくとも1つのインク流出開口部との間に位置し、及び、前記複数の溝の少なくとも1つが、前記第2の端部と前記少なくとも1つのインク流出開口部との間に位置する、請求項10のインクバルブ。
【請求項1】
インク供給部を有する印刷機においてインクを提供するための回転式インクバルブであって、
固定された外側部分と実質的に管状の内側部分とを有し、
前記固定された外側部分は、本体により連結される第1及び第2の端部を有し、前記本体は実質的に円筒形の内部領域を有し、及び、前記外側部分の前記第1の端部に隣接する前記本体に少なくとも1つのバイパス開口部と、前記外側部分の前記第2の端部に隣接する前記本体に少なくとも1つのインク流出開口部とを有し、前記第1及び第2の端部が開いており、前記実質的に円筒形の内部領域は複数の溝を有し、前記複数の溝のそれぞれが潤滑剤を保持し、
前記実質的に管状の内側部分は、前記外側部分の前記円筒形の内部領域内に回転可能に位置し、側壁によって連結される第1及び第2の端部を有し、前記内側部分の前記第1の端部に隣接する前記側壁に少なくとも1つのバイパス開口部を有し、前記内側部分の前記第2の端部に隣接する前記側壁に少なくとも1つのインク流出開口部を有し、前記第2の端部は開かれており、及び前記第1の端部は閉じられており、前記内側部分が少なくとも開放位置、閉鎖位置及び中間位置の間で回転可能であり、前記中間位置は前記開放位置と閉鎖位置の間にあるインクバルブ。
【請求項2】
前記インク供給部が、少なくとも、前記内側部分にインクを供給するための前記内側部分の前記開いた第2の端部に連結され、前記インクバルブがさらにピストンを含み、前記ピストンが、前記開放位置、前記閉鎖位置及び前記中間位置の間で前記内側部分を回転させる、請求項1のインクバルブ。
【請求項3】
前記開放位置では、前記内側部分の少なくとも1つのインク流出開口部だけが前記外側部分の少なくともひとつのインク流出開口部と一致して、前記外側部分の前記少なくとも1つのインク流出開口部からインクが流れ、
前記閉鎖位置では、前記内側部分の前記少なくとも1つのバイパス開口部だけが前記外側部分の前記少なくとも1つのバイパス開口部と一致して、前記外側部分の前記少なくとも1つのバイパス開口部からインクが流れ、及び
前記中間位置では、前記内側及び外側部分のそれぞれの前記少なくとも1つのバイパス開口部と前記少なくとも1つのインク流出開口部が一致せず、前記外側部分の前記少なくとも1つのバイパス開口部からインクが流れず、及び前記外側部分の前記少なくとも1つのインク流出開口部からインクが流れない、請求項1のインクバルブ。
【請求項4】
前記複数の溝の少なくとも1つが、前記第1の端部と前記少なくとも1つのインク流出開口部の間に位置し、及び、前記複数の溝の少なくとも1つが、前記第2の端部と前記少なくとも1つのインク流出開口部の間に位置する、請求項1のインクバルブ。
【請求項5】
前記外側部分の少なくとも1つのインク流出開口部は、前記本体の周囲に間隔を置いて複数のインク流出開口部を含み、前記内側部分の前記少なくとも1つのインク開口部は、前記側壁の周囲に間隔を置いて複数のインク流出開口部を有し、前記内側部分の前記複数のインク流出開口部が、前記回転式インクバルブが前記開放位置にあるとき、前記外側部分のインク流出開口部それぞれと一致する、請求項1のインクバルブ。
【請求項6】
前記複数の溝の少なくとも1つが、前記第1の端部と前記複数のインク流出開口部との間に位置し、及び、前記複数の溝の少なくとも1つが、前記第2の端部と前記複数のインク流出開口部との間に位置する、請求項5のインクバルブ。
【請求項7】
前記外側部分の前記少なくとも1つのバイパス開口部と前記内側部分の前記少なくとも1つのバイパス開口部がそれぞれ、複数のバイパス開口部を含む、請求項6のインクバルブ。
【請求項8】
前記開放位置では、前記内側部分の前記複数のインク流出開口部だけが前記外側部分の前記複数のインク流出開口部と一致して、前記外側部分の前記複数のインク流出開口部からインクが流れ、
前記閉鎖位置では、前記内側部分の前記複数のバイパス開口部だけが前記外側部分の前記複数のバイパス開口部と一致して、前記外側部分の前記複数のバイパス開口部からインクが流れ、及び
前記中間位置では、前記内側及び外側部分のそれぞれの前記複数のバイパス開口部と前記複数のインク流出開口部が一致せず、前記外側部分の前記複数のバイパス開口部からインクが流れず、及び前記外側部分の前記複数のインク流出開口部からインクが流れない、請求項7のインクバルブ。
【請求項9】
前記複数の溝の少なくとも1つが、前記第1の端部と前記少なくとも1つのインク流出開口部との間に位置し、及び、前記複数の溝の少なくとも1つが、前記第2の端部と前記少なくとも1つのインク流出開口部との間に位置する、請求項1のインクバルブ。
【請求項10】
インク供給部を有する印刷機においてインクを提供するための回転式インクバルブであって、
固定された外側部分と実質的に管状の内側部分を有し、
前記固定された外側部分は、本体により連結される第1及び第2の端部を有し、前記本体は実質的に円筒形の内部領域を有し、及び、前記外側部分の前記第1の端部に隣接する前記本体に少なくとも1つのバイパス開口部と、前記外側部分の前記第2の端部に隣接する前記本体に少なくとも1つのインク流出開口部とを有し、前記第1及び第2の端部が開いており、
前記実質的に管状の内側部分は、前記外側部分の前記円筒形の内部領域内に回転可能に位置し、側壁によって連結される第1及び第2の端部を有し、前記内側部分の前記第1の端部に隣接する前記側壁に少なくとも1つのバイパス開口部を有し、前記内側部分の前記第2の端部に隣接する前記側壁に少なくとも1つのインク流出開口部を有し、前記第2の端部は開かれており、及び前記第1の端部は閉じられており、前記内側部分が少なくとも開放位置、閉鎖位置及び中間位置の間で回転可能であり、前記中間位置は前記開放位置と閉鎖位置の間にあり、及び
前記実質的に円筒形の内部領域と前記側壁の少なくとも1つは複数の溝を有し、前記複数の溝のそれぞれが潤滑剤を保持するインクバルブ。
【請求項11】
前記インク供給部が、少なくとも、前記内側部分にインクを供給するための前記内側部分の前記開いた第2の端部に連結され、前記インクバルブがさらにピストンを含み、前記ピストンが、前記開放位置、前記閉鎖位置及び前記中間位置の間で前記内側部分を回転させる、請求項10のインクバルブ。
【請求項12】
前記開放位置では、前記内側部分の前記少なくとも1つのインク流出開口部だけが前記外側部分の前記少なくともひとつのインク流出開口部と一致して、前記外側部分の前記少なくとも1つのインク流出開口部からインクが流れ、
前記閉鎖位置では、前記内側部分の前記少なくとも1つのバイパス開口部だけが前記外側部分の前記少なくとも1つのバイパス開口部と一致して、前記外側部分の前記少なくとも1つのバイパス開口部からインクが流れ、及び
前記中間位置では、前記内側及び外側部分のそれぞれの前記少なくとも1つのバイパス開口部と前記少なくとも1つのインク流出開口部が一致せず、前記外側部分の前記少なくとも1つのバイパス開口部からインクが流れず、及び前記外側部分の前記少なくとも1つのインク流出開口部からインクが流れない、請求項10のインクバルブ。
【請求項13】
前記複数の溝の少なくとも1つが、前記第1の端部と前記少なくとも1つのインク流出開口部の間に位置し、及び、前記複数の溝の少なくとも1つが、前記第2の端部と前記少なくとも1つのインク流出開口部の間に位置する、請求項10のインクバルブ。
【請求項14】
前記外側部分の少なくとも1つのインク流出開口部は、前記本体の周囲に間隔をおいて複数のインク流出開口部を含み、前記内側部分上の前記少なくとも1つのインク開口部は、前記側壁の周囲に間隔をおいて複数のインク流出開口部を有し、前記内側部分の前記複数のインク流出開口部が、前記回転式インクバルブが前記開放位置にあるとき、前記外側部分のインク流出開口部それぞれと一致する、請求項10のインクバルブ。
【請求項15】
前記複数の溝の少なくとも1つが、前記第1の端部と前記複数のインク流出開口部との間に位置し、及び、前記複数の溝の少なくとも1つが、前記第2の端部と前記複数のインク流出開口部との間に位置する、請求項14のインクバルブ。
【請求項16】
前記外側部分上の前記少なくとも1つのバイパス開口部と前記内側部分上の前記少なくとも1つのバイパス開口部がそれぞれ、複数のバイパス開口部を含む、請求項15のインクバルブ。
【請求項17】
前記開放位置では、前記内側部分の前記複数のインク流出開口部だけが前記外側部分の前記複数のインク流出開口部と一致して、前記外側部分の前記複数のインク流出開口部からインクが流れ、
前記閉鎖位置では、前記内側部分の前記複数のバイパス開口部だけが前記外側部分の前記複数のバイパス開口部と一致して、前記外側部分の前記複数のバイパス開口部からインクが流れ、及び
前記中間位置では、前記内側及び外側部分のそれぞれの前記複数のバイパス開口部と前記複数のインク流出開口部が一致せず、前記外側部分の前記複数のバイパス開口部からインクが流れず、及び前記外側部分の前記複数のインク流出開口部からインクが流れない、請求項16のインクバルブ。
【請求項18】
前記複数の溝の少なくとも1つが、前記第1の端部と前記少なくとも1つのインク流出開口部との間に位置し、及び、前記複数の溝の少なくとも1つが、前記第2の端部と前記少なくとも1つのインク流出開口部との間に位置する、請求項10のインクバルブ。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−240228(P2012−240228A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−109471(P2011−109471)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(511119020)ゴス インターナショナル コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109471(P2011−109471)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(511119020)ゴス インターナショナル コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】
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