説明

印刷物検査装置、印刷物検査方法、プログラム、記憶媒体および印刷物検査システム

【課題】印刷前に、印刷ミスを検査することができる印刷物検査装置、印刷物検査方法、プログラム、記憶媒体および印刷物検査システムを提供する。
【解決手段】印刷前に、印刷用に変換されたコード情報を含む印刷用のデータであるマスターデータを取得するマスターデータ取得部112と、変換前のコード情報を取得する元データ取得部111と、マスターデータから、印刷用に変換されたコード情報を認識するコード情報認識部113と、印刷用に変換されたコード情報を、取得された変換前のコード情報と比較し、印刷用に変換されたコード情報が、変換前のコード情報と一致しない場合に、異常と判定するコード情報検査部114と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物検査装置、印刷物検査方法、プログラム、記憶媒体および印刷物検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一枚一枚の内容が可変である頁を連続的に印刷するバリアブル印刷では、特に、印刷物の検査を高い精度で行うと同時に、異常時には極力早い段階で通知し、印刷を中止し、トナーやインクなどの無駄使い、損紙等を防ぐことが望まれている。そこで、印刷装置で印刷された印刷物に関して、必要な内容が正しく印刷されているか否かの検査を行う検査装置が提案されている。
【0003】
例えば、印刷の元となる印刷物の画像データを基準データとし、印刷物を読取センサなどで読み取って得られる画像データを検査データとし、基準データと検査データとの比較により印刷状態を検査する技術が知られている。また、検査データをOCR(Optical Character Recognition)で認識し、文字コードに変換し、基準データの元となるデジタルデータとの比較により印刷内容を検査する技術も既に知られている。
【0004】
具体的には、印刷された印刷物を、ビットマップマッチング用スキャナで読み取り、ビットマップ検査部で印刷に用いたビットマップデータとビットマップ単位で照合して印刷品質を検査する。検査方法は、OCR用スキャナで印刷物の文字領域を読み取り、文字検査部で文字認識をして印刷内容を検査する。また、絵柄検査用スキャナで印刷物の絵柄領域を読み取り、絵柄検査部で絵柄を認識して内容を検査する。また、バーコード用リーダスキャナで印刷物のバーコードを読み取り、バーコード検査部でバーコードのデータを検査する。このような印刷物検査装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、枠線認識、文字認識において誤認識の大きな原因となる格納された画像の線部の切れ、かすれ、つぶれ或いは書込系でのノイズ画像の付加の発生を迅速に判別し、誤認識の原因を未然に排除することを目的として枠線から分離した文字をあらかじめ格納した文字部正解パターンと比較する画像生成装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のバリアブル印刷における検査装置では、基準データと印刷が完了した印刷物との比較による検査を行っているにすぎなかった。具体的には、印刷物の内容には、デジタルデータを印刷するために画像データに変換する処理で混入する文字化けなどの異常と、実際に印刷物を印刷する際に混入するノイズが含まれることがある。それにもかかわらず、実際に印刷物が出力された後に検査を行うために、印刷工程の上流で混入するRIP(Raster Image Processor)時の異常を早い段階で検査することができない。
【0007】
このように、RIPされた異常な画像データを印刷装置に流すことにより、トナーやインクなどの無駄遣い、損紙、さらには、異常な頁の再印刷、差し替え作業などが発生し、効率が悪く、環境にも悪いという問題があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、印刷前に、印刷ミスを検査することができる印刷物検査装置、印刷物検査方法、プログラム、記憶媒体および印刷物検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、印刷用に変換されたコード情報を含む印刷用のデータであるマスターデータを取得するマスターデータ取得部と、変換前のコード情報を取得するコード情報取得部と、取得された前記マスターデータから、前記印刷用に変換されたコード情報を認識するコード情報認識部と、前記コード情報認識部による認識結果を、取得された前記変換前のコード情報と比較し、前記認識結果が、前記変換前のコード情報と一致しない場合に、異常と判定するコード情報検査部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、印刷前に、印刷用に変換されたコード情報を含む印刷用のデータであるマスターデータを取得するマスターデータ取得ステップと、変換前のコード情報を取得するコード情報取得ステップと、取得された前記マスターデータから、前記印刷用に変換されたコード情報を認識するコード情報認識ステップと、認識された前記印刷用に変換されたコード情報を、取得された前記変換前のコード情報と比較し、前記印刷用に変換されたコード情報が、前記変換前のコード情報と一致しない場合に、異常と判定するコード情
報検査ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、コンピュータを、印刷用に変換されたコード情報を含む印刷用のデータであるマスターデータを取得するマスターデータ取得ステップと、変換前のコード情報を取得するコード情報取得ステップと、取得された前記マスターデータから、前記印刷用に変換されたコード情報を認識するコード情報認識ステップと、前記コード情報認識部による認識結果を、取得された前記変換前のコード情報と比較し、前記認識結果が、前記変換前のコード情報と一致しない場合に、異常と判定するコード情報検査ステップ、として機能させることを特徴とするプログラムであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、コンピュータを、印刷用に変換されたコード情報を含む印刷用のデータであるマスターデータを取得するマスターデータ取得ステップと、変換前のコード情報を取得するコード情報取得ステップと、取得された前記マスターデータから、前記印刷用に変換されたコード情報を認識するコード情報認識ステップと、前記コード情報認識部による認識結果を、取得された前記変換前のコード情報と比較し、前記認識結果が、前記変換前のコード情報と一致しない場合に、異常と判定するコード情報検査ステップ、として機能させることを特徴とするプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、サーバと、印刷装置とを備えた印刷物検査システムであって、前記サーバは、印刷用に変換されたコード情報を含む印刷用のデータであるマスターデータを取得するマスターデータ取得部と、変換前のコード情報を取得するコード情報取得部と、取得された前記マスターデータから、前記印刷用に変換されたコード情報を認識するコード情報認識部と、前記コード情報認識部による認識結果を、取得された前記変換前のコード情報と比較し、前記認識結果が、前記変換前のコード情報と一致しない場合に、異常と判定するコード情報検査部と、を備え、前記印刷装置は、前記マスターデータが印刷された記録媒体が撮像された画像データである検査データを取得する検査データ取得部と、取得された前記検査データを、前記マスターデータと比較し、前記マスターデータと一致しない場合に、異常と判定する印刷状態検査部と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、原稿データが印刷用に変換された印刷データである元データを取得する元データ取得部と、前記元データと異なる方法により印刷用に変換された印刷データであるマスターデータを取得するマスターデータ取得部と、取得された前記マスターデータおよび取得された前記元データのそれぞれから、特徴量を抽出する特徴量抽出部と、抽出された前記マスターデータの特徴量と前記元データの特徴量の差分値があらかじめ定められた所定の閾値を超えるか否かを判断し、前記閾値を超えると判断した場合に、異常と判定する特徴量検査部と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、印刷ミスによる資源の無駄を省くとともに、効率的な印刷を可能とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、印刷ミスによる資源の無駄を省くとともに、効率的な印刷を可能とするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、実施の形態1にかかる印刷物検査システムの概要図である。
【図2】図2は、実施の形態1にかかる印刷物検査システムによる印刷物検査処理の流れの概要を示す図である。
【図3】図3は、実施の形態1にかかる印刷内容検査部の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、元データの一例を示す図である。
【図5】図5は、マスターデータの一例を示す図である。
【図6】図6は、コード情報認識部の機能ブロック図である。
【図7】図7は、実施の形態1にかかる印刷状態検査部の構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、検査データの一例を示す図である。
【図9】図9は、実施の形態1にかかる検査サーバの構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、実施の形態1にかかる印刷物検査システムによる印刷物検査処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】図11は、コード情報検査処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】図12は、印刷物検査装置の一例を示す概要図である。
【図13】図13は、実施の形態2にかかる印刷検査システムの概要図である。
【図14】図14は、実施の形態2にかかる印刷内容検査部の構成を示すブロック図である。
【図15】図15は、実施の携帯2にかかる印刷物検査システムによる印刷物検査処理の手順を示すフローチャートである。
【図16】図16は、実施の形態3にかかる印刷物検査システムの概要図である。
【図17】図17は、実施の形態3にかかる印刷物検査システムによる印刷物検査処理の流れの概要を示す図である。
【図18】図18は、実施の形態2にかかる印刷状態検査部の構成を示すブロック図である。
【図19】図19は、実施の形態2にかかる印刷物検査システムによる印刷物検査処理の手順を示すフローチャートである。
【図20】図20は、本実施の形態にかかる印刷装置のハードウェア構成を示す説明図である。
【図21】図21は、印刷物検査装置を備えた複合機のハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる印刷物検査システムの最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる印刷物検査システムの概要図である。図1に示すように、印刷物検査システムは、DFE(Digital Front End)サーバ100と、印刷装置200と、元データDB(Data Base)300と、検査サーバ400とがネットワークを介して接続されている。
【0020】
DFEサーバ100は、印刷用のビットマップデータを生成し、印刷装置200に生成したビットマップデータと印刷指示を送信するサーバである。DFEサーバ100は、印刷用のビットマップデータの印刷内容を検査する印刷内容検査部110を有する。ここで、印刷内容とは、固定された背景に相当する不変なデータと、印刷物それぞれに個別に入力される可変なデータとに区別される印刷データのうち、可変なデータのことである。
【0021】
印刷装置200は、印刷用のビットマップデータを印刷する装置である。また、印刷装置200は、印刷状態を検査する印刷状態検査部210を有する。ここで、印刷状態とは、印刷の仕上がり状態のことである。また、印刷装置200は、印刷物をカメラ等の撮像装置により撮像し、印刷状態検査部210で検査されるデータを取得する。
【0022】
元データDB300は、元データを種類別に保存する。ここで、元データとは、印刷内容の元となるデータのことである。検査サーバ400は、印刷内容検査部110および印刷状態検査部210により検査された結果をユーザに通知する。
【0023】
図2は、実施の形態1にかかる印刷物検査システムによる印刷物検査処理の流れの概要を示す図である。図2に示すように、印刷内容検査部110は、印刷用のビットマップデータを、元データDB300から取得された元データと照合し、印刷内容を検査する。次に、印刷状態検査部210は、印刷物を読み取ったデータを、印刷用のビットマップデータと照合し、印刷状態を検査する。
【0024】
図3は、実施の形態1にかかる印刷内容検査部110の構成を示すブロック図である。図3に示すように、印刷内容検査部110は、元データ取得部111と、マスターデータ取得部112と、コード情報認識部113と、コード情報検査部114と、印刷制御部115と、通信制御部116と、HDD(Hard Disk Drive)120を主に備える。
【0025】
元データ取得部111は、元データDB300から、元データを取得する。図4は、元データの一例を示す図である。図4に示すように、元データは、元データDB300に種類別に保存されている。図4に示すように、種類には、文字(住所)、文字(氏名)、バーコード、写真等がある。そして、種類に、コード情報と、位置情報が対応付けられている。コード情報とは、各データを一意に識別する情報である。コード情報は、例えば、図4に示すように、番地や氏名を示す文字や、バーコードの数字であってもよいし、写真データのIDであってもよい。なお、写真データについては、元データDB300に、IDが紐付けられた画像データがあらかじめ保存されているが、文字やバーコードについても、同様にあらかじめ変換された画像データが保存されてもよい。この場合、写真データと同様に、文字やバーコードが変換された画像データに紐付けられたIDが、コード情報として登録されることとなる。また、位置情報とは、マスターデータにおいてレイアウトされる各データの位置を示す座標である。
【0026】
マスターデータ取得部112は、マスターデータを取得する。ここで、マスターデータとは、印刷の元となるデータである。例えば、マスターデータ取得部112は、RIP(Raster Image Processor)化された元データを、印刷データのうちの不変なデータ上にレイアウトすることにより、マスターデータを生成する。ここで、RIP化された元データとは、元データ取得部111により取得された元データが、RIP変換された画像データのことである。
【0027】
図5は、マスターデータの一例を示す図である。図5は、マスターデータ取得部112により、RIP化された元データが、位置情報に従ってレイアウトされて生成されたマスターデータを示す。図5では、図4に示した住所、氏名、バーコード、写真の元データがRIP化されている。なお、マスターデータ取得部112は、マスターデータを生成することにより取得するほか、既に生成されたマスターデータを受け取ることにより取得してもよい。
【0028】
HDD120は、文字認識部132により文字をマッチングにより認識するために使用される認識用辞書を記憶する。例えば、フォントの種類に応じた認識用辞書として、MS明朝体のみで作成されたMS明朝専用認識用辞書があり、また、文字サイズに応じた認識用辞書として、規定のサイズよりも小さい文字のみで作成された縮小サイズ認識用辞書や、規定のサイズよりも大きいサイズのみで作成された拡大サイズ認識用辞書があり、さらに文字コードに応じた認識用辞書として文字コードのみで作成された文字コード認識用辞書等がある。
【0029】
また、HDD120は、バーコードをマッチングにより認識するために使用されるコード認識用辞書を記憶する。例えば、バーコードの種類であるCODE39専用のコード認識用辞書としては、CODE39専用認識用辞書を記憶する。さらに、HDD120は、コード認識用辞書を、1次元コード、または2次元コード等コードの種類に応じて別個に記憶してもよい。
【0030】
コード情報認識部113は、マスターデータ取得部112により取得されたマスターデータから、コード情報を認識する。図6は、コード情報認識部113の機能ブロック図である。図6に示すように、コード情報認識部113は、種類判断部131と、文字認識部132と、バーコード認識部133と、識別部134とを主に備える。
【0031】
種類判断部131は、マスターデータのうち認識する対象領域(以下、対象領域という。)の種類を、元データに含まれる種類情報から判断し、判断した種類に応じて、具体的な認識処理を選択する。ここで、対象領域とは、位置情報に示される領域であり、元データに含まれるコード情報ごとに順次認識の対象とされる領域のことである。具体的には、種類判断部131は、文字であると判断した場合は、文字認識処理を選択し、バーコードであると判断した場合は、バーコード認識処理を選択する。また、種類判断部131は、文字やバーコード以外の要素により識別されるその他の領域であると判断した場合は、認識する対象領域に応じた識別処理を選択する。
【0032】
文字認識部132は、種類判断部131により、対象領域の種類が文字であると判断された場合は、OCR(Optical Character Recognition)により文字を認識する。例えば、文字認識部132は、種類判断部131により対象領域の種類が文字であると判断された場合、当該文字に適した認識用辞書をHDD120から取得し、対象領域の文字を取得した認識用辞書とマッチングすることにより文字を認識してもよい。
【0033】
なお、文字認識部132は、文字認識に適した前処理を行った上で文字を認識してもよい。例えば、文字認識部132は、対象領域について判断された文字がHDD120に記憶されている認識用辞書のフォントと同一のサイズでない場合、マスターデータを拡大または縮小して対象領域の文字をHDD120に記憶されている認識用辞書と同一のサイズにした上でマッチングしてもよい。
【0034】
ここで、対象領域に文字コードが含まれる場合は、文字認識部132は、対象領域に含まれる文字コードのみを認識用辞書から抽出し、マッチングすることも可能である。このように、元データの情報となりうる認識用辞書をあらかじめ登録しておくことにより、元データの情報を文字認識に活用し、より認識精度を高めることが可能となる。
【0035】
バーコード認識部133は、種類判断部131により、対象領域の種類がバーコードであると判断された場合は、バーコード読み取りにより、バーコードを認識する。例えば、バーコード認識部133は、対象領域にCODE39で作成されたバーコードが含まれる場合、HDD120からCODE39専用認識用辞書を取得し、元データに含まれるバーコードをCODE39専用認識用辞書とマッチングする。ここでも、同様に、バーコード認識部133は、対象領域に含まれるバーコードと同種のコード認識用辞書がHDD120に記憶されていない場合、対象領域に含まれるバーコードをHDD120に記憶されているコード認識用辞書に縮小または拡大した上でマッチングしてもよい。
【0036】
識別部134は、種類判断部131により、対象領域の種類が文字やバーコード以外であると判断された場合は、認識する対象領域に応じた識別処理を行う。例えば、写真である場合には、類似画像を検索し、写真以外の画像データである場合には、画素を比較する。
【0037】
なお、認識する対象領域は、元データに含まれる位置情報に示される範囲に対して行えばよい。他の例としては、元データに含まれる位置情報によらず、領域の種類、位置を自動的に判断する処理としても良い。
【0038】
コード情報検査部114は、コード情報認識部113により認識されたコード情報を検査する。例えば、コード情報検査部114は、認識されたコード情報を、元データに含まれるコード情報と照合し、同一であれば、コード情報は正常であると判断する。一方、同一でなければ、コード情報検査部114は、コード情報は異常であると判断する。
【0039】
例えば、コード情報検査部114は、文字認識部132により、文字が認識された場合は、文字コードを比較する。また、コード情報検査部114は、バーコード認識部133により、バーコードが認識された場合は、バーコードを比較する。また、コード情報検査部114は、識別部134により、写真が認識された場合は、写真領域の類似画像を検索し、類似画像のIDと、コード情報のIDを比較する。
【0040】
また、識別部134により写真以外の画像データが認識された場合は、コード情報検査部114は、RIP化された元データと、元データDB300に保存されている画像データの画素を比較することにより認識検査する。この場合、コード情報検査部114は、元データがRIP化された元データの画像の画素と、元データDB300に保存されている画像データの画素の差分を、あらかじめ定められている閾値と比較する。コード情報検査部114は、差分が閾値以下である場合は、RIP化された元データは正常と判断し、差分が閾値を超える場合は、RIP化された元データは異常と判断する。
【0041】
印刷制御部115は、コード情報検査部114により、コード情報が正常であると判断された場合は、マスターデータが正常であると判断し、マスターデータを印刷装置200へ送信する。
【0042】
印刷制御部115は、コード情報検査部114により、コード情報が異常であると判断された場合は、マスターデータが異常であると判断し、マスターデータの印刷装置200への送信を中止する。
【0043】
この場合、印刷制御部115は、マスターデータ取得部112により、元データからマスターデータが生成される段階で文字化けなどの異常が発生したと判断する。また、印刷制御部115は、マスターデータの送信を中止すると同時に、マスターデータの識別情報と、異常が発生したことをログに残してもよい。また、一定のデータをストックしておき、異常をユーザに通知した後に、正常と判断されたデータだけを印刷する構成としてもよい。
【0044】
通信制御部116は、元データDB300や、印刷装置200と通信し、元データや、マスターデータなどの情報を送受信する。
【0045】
図7は、実施の形態1にかかる印刷状態検査部210の構成を示すブロック図である。図7に示すように、印刷状態検査部210は、検査データ取得部211と、検査部212と、印刷制御部213と、通信制御部214と、HDD220とを主に備える。
【0046】
検査データ取得部211は、印刷装置200により印刷された印刷物を、カメラやスキャナなどの読取センサで撮像された、検査対象となる画像データ(以下、検査データという。)を取得する。なお、読取センサは、図1に示したように、印刷装置200の外部に備えられてもよいし、印刷装置200の内部に備えられてもよい。図8は、検査データの一例を示す図である。図8は、図5に示したマスターデータが印刷された印刷物が、読取センサで撮像された検査データである。
【0047】
検査部212は、生成された検査データの印刷状態を検査する。具体的には、検査部212は、検査データおよびマスターデータから特徴量を抽出し、抽出したそれぞれの特徴量の差分値を求め、当該差分値があらかじめ定められた閾値以下であるか否かを判断する。検査部212は、当該差分値があらかじめ定められた閾値以下である場合は正常と判断し、閾値を超える場合は異常と判断する。例えば、特徴量として画素値を用いることができる。この場合、検査部212は、検査データおよびマスターデータから画素値を抽出し、抽出したそれぞれの画素値の差分値があらかじめ定められた閾値以下であれば正常と、閾値を超えれば異常と判断する。
【0048】
印刷制御部213は、検査部212により、正常と判断された場合は、印刷処理を続行する。一方、印刷制御部213は、検査部212により、異常と判断された場合は、印刷処理を中断する。また、印刷制御部213は、異常と判断された画素の位置情報を、通信制御部214により、検査サーバ400に送信する。検査サーバ400は、異常と判断された画素の位置情報を蓄積保存する。
【0049】
通信制御部214は、DFEサーバ100や、検査サーバ400と通信し、情報を送受信する。
【0050】
図9は、実施の形態1にかかる検査サーバ400の構成を示すブロック図である。図9に示すように、検査サーバ400は、操作表示部410と、表示制御部411と、通信制御部412と、HDD420とを主に備える。
【0051】
表示制御部411は、印刷装置200から受信した異常と判断された画素の位置情報を操作表示部410に表示する。通信制御部412は、印刷装置200と通信し、情報を送受信する。HDD420は、異常と判断された画素の位置情報をログとして保存する。
【0052】
次に、以上のように構成された印刷物検査システムによる印刷物検査処理の流れについて説明する。図10は、実施の形態1にかかる印刷物検査システムによる印刷物検査処理の手順を示すフローチャートである。
【0053】
元データ取得部111は、元データDB300から、元データを取得する(ステップS1)。マスターデータ取得部112は、マスターデータを取得する(ステップS2)。コード情報検査部114は、コード情報検査処理により、コード情報を検査する(ステップS3)。
【0054】
ここで、コード情報検査処理について説明する。図11は、コード情報検査処理の手順を示すフローチャートである。種類判断部131は、認識する対象領域の種類が、文字領域であるか否かを判断する(ステップS11)。種類判断部131により、文字領域であると判断された場合は(ステップS11:Yes)、文字認識部132は、OCRにより文字を認識する(ステップS12)。コード情報認識部113は、認識された文字を、元データに含まれる文字コードと照合する(ステップS13)。
【0055】
ステップS11において、文字領域でないと判断した場合は(ステップS11:No)、コード情報認識部113は、認識する対象領域の種類がバーコード領域であるか否かを判断する(ステップS14)。コード情報認識部113により、バーコード領域であると判断された場合は(ステップS14:Yes)、バーコード認識部133は、バーコードリーダー用スキャナでバーコードを読み取り、認識する(ステップS15)。コード情報認識部113は、認識されたバーコードを、元データに含まれるバーコードと照合する(ステップS16)。
【0056】
ステップS14において、コード情報認識部113により、バーコード領域でないと判断された場合であって(ステップS14:No)、識別部134が、文字とバーコード以外の要素により識別されるその他の領域であると判断した場合は(ステップS17:Yes)、識別部134は、認識する領域に応じた識別処理を行う(ステップS18)。例えば、認識する領域が絵柄であれば、絵柄検査用スキャナで絵柄を読み取り、識別する。
【0057】
コード情報認識部113は、識別処理の結果を、元データのコード情報と照合する(ステップS19)。この一連のコード情報検査処理は、対象領域ごとに繰り返される。
【0058】
図10に戻り、ステップS4において、コード情報検査部114は、コード情報検査処理による検査結果を判断する(ステップS4)。具体的には、コード情報検査処理により、マスターデータに含まれるコード情報が、元データに含まれるコード情報と一致したか否かを判断する。
【0059】
マスターデータに含まれるコード情報が、元データに含まれるコード情報と一致した場合は、正常と判断され(ステップS4:OK)、印刷制御部115は、マスターデータを印刷する(ステップS5)。
【0060】
一方、マスターデータに含まれるコード情報が、元データに含まれるコード情報と一致しない場合は、異常と判断され(ステップS4:NG)、印刷制御部115は、印刷を中断する。この結果、印刷状態の検査についても行われず、検査対象から除外されることとなる。
【0061】
ステップS6において、検査データ取得部211は、検査データを取得する(ステップS6)。具体的には、カメラやスキャナ等の読取センサにより検査データを取得する。
【0062】
検査部212は、取得された検査データの印刷状態を検査する(ステップS7)。具体的には、検査データと、マスターデータの画素の差分値を、あらかじめ定められている閾値と比較する。例えば、カラーであれば、RGBの各画素値0〜255を直接比較して差分値を算出し、差分値と閾値とを比較する。
【0063】
検査部212は、検査データの印刷状態の検査結果を判断する(ステップS8)。例えば、上記比較された画素の差分値が、閾値を超えない場合は、正常と判断される。一方、比較された画素が、閾値を超える場合は、異常と判断される。ここで、正常と判断された場合は(ステップS8:OK)、次処理に移行する。
【0064】
一方、異常と判断された場合は(ステップS8:NG)、印刷制御部213は、印刷を中断する。具体的には、印刷制御部213は、通信制御部214により、異常と判断された画素の位置情報を検査サーバ400に送信する。検査サーバ400は、操作表示部410に異常を表示するとともに、HDD420にログを保存する。ここで、1頁分の検査が終了した時点で、異常な画素の輝度を上げ、異常がない画素の輝度を下げるなどの可視化の工夫を施して、異常箇所を表示してもよい。
【0065】
なお、本実施の形態では、印刷物検査システムにより実現される印刷内容検査部110と、印刷状態検査部210を説明したが、他の例として、これらが1つの印刷物検査装置で実現される構成としてもよい。図12は、印刷物検査装置の一例を示す概要図である。図12に示すように、印刷装置500は、印刷内容検査部110と印刷状態検査部210を備える。
【0066】
このように、本実施の形態によれば、実際に印刷する前の段階で、印刷内容を検査するので、印刷ミスによる資源の無駄を省くことができる。
【0067】
また、このように、本実施の形態によれば、同一の印刷物を複数印刷する前の段階で、印刷状態を検査するので、印刷ミスによる資源の無駄を省くことができるとともに、効率的に印刷することができる。
【0068】
さらに、このように、本実施の形態によれば、検査結果を目視により確認する場合に、印刷内容の検査と、印刷状態の検査の二段階に分けることによって、各工程にのみ着目して確認できるので、簡便かつ効率的に確認作業を行うことができる。
【0069】
(実施の形態2)
実施の形態1では、印刷内容検査部110による印刷検査として、コード情報認識部113によりOCR等で認識されたコード情報を検査することにより検査した。これに対し、本実施の形態では、印刷内容検査部による印刷検査を、原稿がRIP化された元データ(以下、RIP化された元データという。)とマスターデータの特徴量を検査することにより行う。
【0070】
図13は、実施の形態2にかかる印刷物検査システムの概要図である。図13に示すように、印刷物検査システムは、DFEサーバ1100と、印刷装置200と、元データDB3000と、検査サーバ400とがネットワークを介して接続されている。なお、DFEサーバ1100と、元データDB3000以外の装置およびサーバの構成および印刷物検査システムによる印刷物検査処理の流れについては実施の形態1と同様である。
【0071】
元データDB3000は、RIP化された元データを記憶する。ここでRIP化された元データとは、マスターデータと異なる方法でRIP変換された元データのことである。例えば、元データDB3000は、RIP化された元データに、RIP化された元データを識別するための識別子を付してRIP化された元データを記憶する。
【0072】
DFEサーバ1100は、印刷用のビットマップデータを生成し、印刷装置200に生成したビットマップデータと印刷指示を送信する。DFEサーバ1100は、マスターデータの印刷内容を検査する印刷内容検査部1110を有する。
【0073】
図14は、実施の形態2にかかる印刷内容検査部1110の構成を示すブロック図である。図14に示すように、印刷内容検査部1110は、元データ取得部111と、マスターデータ取得部112と、特徴量抽出部1113と、特徴量検査部1114と、印刷制御部115と、通信制御部116と、HDD120を主に備える。なお、特徴量抽出部1113と、特徴量検査部1114以外の各部の機能および構成は実施の形態1と同様である。
【0074】
特徴量抽出部1113は、RIP化された元データおよびマスターデータから、それぞれの特徴量を抽出する。例えば、特徴量検査部1114は、RIP化された元データとマスターデータそれぞれから画素値を特徴量として抽出する。なお、ここでは、画素値を用いて説明するが、特徴量は画素値に限定されず、輝度やエッジを含む輪郭情報等であってもよい。
【0075】
特徴量検査部1114は、RIP化された元データとマスターデータそれぞれの画像データ全体から抽出した特徴量の差分値を求め、差分値があらかじめ定められた閾値の範囲内であるか否かを判断することにより、元データの正常または異常を検査する。例えば、特徴量検査部1114は、RIP化された元データとマスターデータから抽出した画素の差分値があらかじめ定められた閾値の範囲内である場合に元データは正常と判断し、閾値の範囲を超える場合は異常と判断する。
【0076】
この際、特徴量検査部1114は、各画素の差分値のいずれかが閾値を超えた場合に異常としてもよい。例えば、各画素の差分値のいずれかが閾値を超えた場合に異常とする場合としては、特徴量検査部1114は、RIP化された元データとマスターデータをあらかじめ付与された所定の座標ごとに画素値を比較する。特徴量検査部1114は、RIP化された元データの原稿全体とマスターデータの原稿全体をそれぞれ対応する座標上の画素値と比較してもよいし、印刷内容が変わる領域を示す座標上の画素値だけを比較してもよい。特徴量検査部1114は、RIP化された元データの画素とマスターデータの画素の差分値が閾値の範囲を超える場合に異常と判断する。なお、この方法に限定されず、特徴量検査部1114は、差分値の総合計等が閾値を超えた場合に異常と判断することとしてもよい。
【0077】
なお、RIP化された元データとマスターデータの画像は、ともに元データから画像データの形式に変換されるため、印刷時の汚れ等や読取センサで読み取られる際のノイズは、まったく含まれない。従って、品質の良い画像データであるため、上記閾値は、印刷状態検査部210における閾値よりも小さく設定することができる。これにより、認識検査の精度を高めることが出来る。
【0078】
また、特徴量検査部1114の他の例として、特徴量の差分値があらかじめ定められた閾値の境界付近に属する場合、境界付近に属する差分値を、正常と異常のどちらでもない要再検査と判断する。この際、特徴量検査部1114は、要再検査を示すフラグや、位置情報などをHDD120に保存する。具体的には、境界付近に属する差分値とは、差分値があらかじめ設定された範囲内で小さい場合、文字認識等で出力される類似度の値があらかじめ設定された範囲内で小さい場合、または、相違度の値があらかじめ設定された範囲内で大きい場合を言う。
【0079】
なお、特徴量検査部1114は、マスターデータを要再検査と判断した場合、再検査を行う。例えば、特徴量検査部1114は、要再検査の範囲のみ、画素値同士の比較と特徴量レベルの比較の両方を行い、両方の結果で正常と判定されたものだけを正常と判定する。
【0080】
さらに、特徴量検査部1114の変形例として、実施の形態1におけるコード情報検査部113によるコード情報を用いたマスターデータの検査(方法1)と、本実施の形態における特徴量を用いたマスターデータの検査(方法2)とを組み合わせてもよい。
【0081】
例えば、特徴量検査部1114は、方法1と方法2の結果において、両方正常と判定された時のみ正常と判定する、あるいは、どちらか一方でも正常であれば、正常と判定するとしても良い。そして、特徴量検査部1114は、どちらか一方のみが正常と判定されれば、要再検査と判断し、要再検査を示すフラグや、位置情報などをHDD120に保存する。
【0082】
この場合、印刷内容検査の段階では結論を出さず、方法1と方法2で異常と判定された箇所の位置情報を印刷状態検査部210に渡し、印刷状態検査部210が最終判定することも可能である。ここで、最終判定とは、正常、異常の最終的な判定のことであり、例えば、印刷状態検査部210が要再検査の範囲のみ、画素値同士の比較と特徴量レベルの比較の両方を行い、両方の結果で正常と判定されたものだけを最終的に正常と判定することとなる。
【0083】
次に、以上のように構成された印刷物検査システムによる印刷物検査処理の流れについて説明する。図15は、実施の形態2にかかる印刷物検査システムによる印刷物検査処理の手順を示すフローチャートである。
【0084】
元データ取得部111は、元データDB3000から、RIP化された元データを取得する(ステップS101)。マスターデータ取得部112は、マスターデータを取得する(ステップS102)。特徴量検査部1114は、特徴量検査処理によりマスターデータとRIP化された元データの特徴量を検査する(ステップS103)。例えば、特徴量検査部1114は、マスターデータとRIP化された元データの画素値の比較により、マスターデータが正常であるか否かを検査する。
【0085】
特徴量検査部1114は、特徴量検査処理による検査結果を判断する(ステップS104)。特徴量検査部1114は、マスターデータの画素とRIP化された元データの画素の差分値が、あらかじめ定められた所定の閾値の範囲内である場合に正常と判断し(ステップS104:OK)、所定の閾値の範囲を超える場合に異常と判断する(ステップS104:NG)。
【0086】
特徴量検査部1114により正常と判断された場合(ステップS104:OK)、印刷制御部115は、マスターデータを印刷する(ステップS105)。
【0087】
一方、特徴量検査部1114により異常と判断された場合(ステップS104:NG)、印刷制御部115は、印刷を中断する。この結果、印刷状態の検査についても行われず、検査対象から除外されることとなる。
【0088】
なお、ステップS106からステップS108までの処理については、実施の形態1で説明した図10の印刷物検査処理のフローチャートのステップS6からステップS8の処理と同様である。
【0089】
このように、本実施の形態によれば、特徴量を用いて印刷内容を検査するので、マスターデータをより実際の変換方法に即した方法で検査することができる。
【0090】
また、本実施の形態によれば、正常と異常の境界付近に属するデータを要再検査と判断し、再検査を実行するので、より精度の高い検査を実施することができる。
【0091】
(実施の形態3)
実施の形態1では、検査データを、マスターデータと比較することにより印刷状態を検査した。これに対し、本実施の形態では、検査データを、マスターデータから生成された検査の基準となるデータと比較することにより印刷状態を検査する。
【0092】
図16は、実施の形態3にかかる印刷物検査システムの概要図である。図16に示すように、印刷物検査システムは、DFEサーバ100と、印刷装置1200と、元データDB300と、検査サーバ400とがネットワークを介して接続されている。
【0093】
図17は、実施の形態3にかかる印刷物検査システムによる印刷物検査処理の流れの概要を示す図である。図17に示すように、印刷内容検査部110は、印刷用のビットマップデータを、元データDB300から取得された元データと照合し、印刷内容を検査する。次に、印刷状態検査部1210は、印刷物を読み取ったデータから、基準データを生成し、検査データを基準データと照合し、印刷状態を検査する。ここで、基準データとは、マスターデータから生成された検査の基準となるデータであり、印刷物を撮像したデータに相当する画質を有するデータのことである。
【0094】
印刷装置1200は、印刷用のビットマップデータを印刷する装置である。また、印刷装置1200は、印刷状態を検査する印刷状態検査部1210を有する。
【0095】
なお、DFEサーバ100と、元データDB300と、検査サーバ400の機能および構成は実施の形態1と同様である。
【0096】
図18は、実施の形態3にかかる印刷状態検査部1210の構成を示すブロック図である。図18に示すように、印刷状態検査部1210は、基準データ生成部1211と、検査データ取得部211と、検査部212と、印刷制御部213と、通信制御部214と、HDD220とを主に備える。
【0097】
基準データ生成部1211は、マスターデータに対して、あらかじめ定められた処理を施すことにより、基準データを生成する。あらかじめ定められた処理としては、例えば、ぼかし処理や、アンチエイリアスなどのフィルタ処理がある。
【0098】
なお、基準データ生成部1211以外の各部の構成および機能については、実施の形態1と同様である。
【0099】
次に、以上のように構成された印刷物検査システムによる印刷物検査処理の流れについて説明する。図19は、実施の形態3にかかる印刷物検査システムによる印刷物検査処理の手順を示すフローチャートである。
【0100】
ステップS21からステップS25は、実施の形態1における印刷物検査処理のフローチャートのステップS1からステップS5と同様である。
【0101】
ステップS26において、基準データ生成部1211は、あらかじめ定められた処理により、マスターデータから基準データを生成する(ステップS26)。例えば、ぼかし処理が定められている場合は、マスターデータのうち、注目する画素と、その近傍画素(例えば3×3の画素)の濃度値にある重みをつけた後、これらの和をとり、その値を注目する画素の新しい濃度値とする処理を行う。また、アンチエイリアス処理が定められている場合は、基準データ生成部1211は、デジタル画像であるマスターデータの輪郭を背景と融合するように、色を滑らかに変化させる処理を行う。
【0102】
ステップS27からステップS29については、実施の形態1における印刷物検査処理のフローチャートのステップS6からステップS8と同様である。
【0103】
なお、本実施の形態では、印刷物検査システムにより実現される印刷内容検査部110と、印刷状態検査部1210を説明したが、実施の形態1と同様に、他の例として、これらが1つの印刷物検査装置で実現される構成としてもよい。
【0104】
このように、本実施の形態によれば、検査データを、印刷物を撮像したデータに相当する画質を有する基準データと比較するので、正常に印刷された印刷物を異常と判断する事態を回避し、効率的に印刷物を検査することができる。
【0105】
次に、本実施の形態にかかる印刷装置のハードウェア構成について図20を用いて説明する。図20は、本実施の形態にかかる印刷装置のハードウェア構成を示す説明図である。
【0106】
本実施の形態にかかる印刷装置は、CPU(Central Processing
Unit)51などの制御装置と、ROM(Read Only Memory)52やRAM(Random Access Memory)53などの記憶装置と、ネットワークに接続して通信を行う通信I/F54と、各部を接続するバス61を備えている。
【0107】
本実施の形態にかかる印刷装置で実行される印刷物検査プログラムは、ROM52等に予め組み込まれて提供される。
【0108】
本実施の形態にかかる印刷装置で実行される印刷物検査プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD−R(Compact Disk Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供されるように構成してもよい。
【0109】
さらに、本実施の形態にかかる印刷装置で実行される印刷物検査プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施の形態にかかる印刷装置で実行される印刷物検査プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0110】
本実施の形態にかかる印刷装置で実行される印刷物検査プログラムは、コンピュータを上述した印刷装置の各部(元データ取得部、マスターデータ取得部、コード情報認識部、コード情報検査部、印刷制御部、検査データ取得部、検査部)として機能させうる。このコンピュータは、CPU51がコンピュータ読取可能な記憶媒体から印刷物検査プログラムを主記憶装置上に読み出して実行することができる。
【0111】
また、本実施の形態に示した印刷物検査装置を複合機において実現してもよい。図21は、印刷物検査装置を備えた複合機のハードウェア構成を示すブロック図である。図21に示すように、この複合機は、コントローラ10とエンジン部(Engine)60とをPCI(Peripheral Component Interface)バスで接続した構成となる。コントローラ10は、複合機全体の制御と描画、通信、図示しない操作部からの入力を制御するコントローラである。エンジン部60は、PCIバスに接続可能
なプリンタエンジンなどであり、たとえば白黒プロッタ、1ドラムカラープロッタ、4ドラムカラープロッタ、スキャナまたはファックスユニットなどである。なお、このエンジン部60には、プロッタなどのいわゆるエンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
【0112】
コントローラ10は、CPU11と、ノースブリッジ(NB)13と、システムメモリ(MEM−P)12と、サウスブリッジ(SB)14と、ローカルメモリ(MEM−C)17と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)16と、ハードディスクドライブ(HDD)18とを有し、ノースブリッジ(NB)13とASIC16との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス15で接続した構成となる。また、MEM−P12は、ROM
(Read Only Memory)12aと、RAM(Random Access Memory)12bと、をさらに有する。
【0113】
CPU11は、複合機の全体制御をおこなうものであり、NB13、MEM−P12およびSB14からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0114】
NB13は、CPU11とMEM−P12、SB14、AGP15とを接続するためのブリッジであり、MEM−P12に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0115】
MEM−P12は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM12aとRAM12bとからなる。ROM12aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM12bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0116】
SB14は、NB13とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB14は、PCIバスを介してNB13と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインターフェース(I/F)部なども接続される。
【0117】
ASIC16は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGP15、PCIバス、HDD18およびMEM−C17をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC16は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC16の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C17を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部60との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC16には、PCIバスを介してFCU(Facsimile Control Unit)30、USB(Universal Serial Bus)40、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インターフェース50が接続される。操作表示部20はASIC16に直接接続されている。
【0118】
MEM−C17は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD(Hard Disk Drive)18は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0119】
AGP15は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM−P12に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
【0120】
なお、本実施の形態の印刷装置で実行される印刷物検査プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
【0121】
本実施の形態の印刷装置で実行される印刷物検査プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0122】
さらに、本実施の形態の印刷装置で実行される印刷物検査プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の印刷装置で実行される印刷物検査プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0123】
本実施の形態の印刷装置で実行される印刷物検査プログラムは、上述した各部(元データ取得部、マスターデータ取得部、コード情報認識部、コード情報検査部、印刷制御部、検査データ取得部、検査部)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMから印刷物検査プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、元データ取得部、マスターデータ取得部、コード情報認識部、コード情報検査部、印刷制御部、検査データ取得部、検査部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【符号の説明】
【0124】
100 DFEサーバ
110、1110 印刷内容検査部
111 元データ取得部
112 マスターデータ取得部
113 コード情報認識部
114 コード情報検査部
115 印刷制御部
116、214、412 通信制御部
120、220、420 HDD
200、500、1200 印刷装置
210、1210 印刷状態検査部
211 検査データ取得部
212 検査部
300、3000 元データDB
400 検査サーバ
410 操作表示部
411 表示制御部
1113 特徴量抽出部
1114 特徴量検査部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0125】
【特許文献1】特開2001−96872号公報
【特許文献2】特許第2923004号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷用に変換されたコード情報を含む印刷用のデータであるマスターデータを取得するマスターデータ取得部と、
変換前のコード情報を取得するコード情報取得部と、
取得された前記マスターデータから、前記印刷用に変換されたコード情報を認識するコード情報認識部と、
前記コード情報認識部による認識結果を、取得された前記変換前のコード情報と比較し、前記認識結果が、
前記変換前のコード情報と一致しない場合に、異常と判定するコード情報検査部と、
を備えたことを特徴とする印刷物検査装置。
【請求項2】
異常と判定された場合に、前記マスターデータの印刷を中止する印刷制御部、をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の印刷物検査装置。
【請求項3】
異常と判定されなかった場合に、前記マスターデータを印刷する印刷制御部、をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の印刷物検査装置。
【請求項4】
前記マスターデータが印刷された記録媒体が撮像された画像データである検査データを取得する検査データ取得部と、取得された前記検査データを、前記マスターデータと比較し、前記マスターデータと一致しない場合に、異常と判定する印刷状態検査部と、をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の印刷物検査装置。
【請求項5】
前記印刷状態検査部は、前記検査データの画素値と前記マスターデータの画素値との差分値、あるいは、前記検査データから抽出された特徴量と前記マスターデータから抽出された特徴量との差分値を算出し、前記差分値と予め定められた閾値とを比較し、前記差分値が前記閾値より大きい場合に、異常と判定すること、を特徴とする請求項4に記載の印刷物検査装置。
【請求項6】
前記マスターデータが、あらかじめ定められた処理により変換された画像データであって、比較の基準となる基準データを生成する基準データ生成部、をさらに備え、前記印刷状態検査部は、取得された前記検査データを、生成された前記基準データと比較し、取得された前記検査データが、生成された前記基準データと一致しない場合に、異常と判定すること、を特徴とする請求項3に記載の印刷物検査装置。
【請求項7】
原稿データが印刷用に変換された印刷データである元データを取得する元データ取得部と、
前記元データと異なる方法により印刷用に変換された印刷データであるマスターデータを取得するマスターデータ取得部と、
取得された前記マスターデータおよび取得された前記元データのそれぞれから、特徴量を抽出する特徴量抽出部と、
抽出された前記マスターデータの特徴量と前記元データの特徴量の差分値があらかじめ定められた所定の閾値を超えるか否かを判断し、前記閾値を超えると判断した場合に、異常と判定する特徴量検査部と、
を備えたことを特徴とする印刷物検査装置。
【請求項8】
印刷用に変換されたコード情報を含む印刷用のデータであるマスターデータを取得するマスターデータ取得ステップと、変換前のコード情報を取得するコード情報取得ステップと、取得された前記マスターデータから、前記印刷用に変換されたコード情報を認識するコード情報認識ステップと、前記コード情報認識部による認識結果を、取得された前記変換前のコード情報と比較し、前記認識結果が、前記変換前のコード情報と一致しない場合に、異常と判定するコード情報検査ステップと、を含むことを特徴とする印刷物検査方法。
【請求項9】
コンピュータを、印刷用に変換されたコード情報を含む印刷用のデータであるマスターデータを取得するマスターデータ取得ステップと、変換前のコード情報を取得するコード情報取得ステップと、取得された前記マスターデータから、前記印刷用に変換されたコード情報を認識するコード情報認識ステップと、前記コード情報認識部による認識結果を、取得された前記変換前のコード情報と比較し、前記認識結果が、前記変換前のコード情報と一致しない場合に、異常と判定するコード情報検査ステップ、として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項11】
サーバと、印刷装置とを備えた印刷物検査システムであって、前記サーバは、印刷用に変換されたコード情報を含む印刷用のデータであるマスターデータを取得するマスターデータ取得部と、変換前のコード情報を取得するコード情報取得部と、取得された前記マスターデータから、前記印刷用に変換されたコード情報を認識するコード情報認識部と、前記コード情報認識部による認識結果を、取得された前記変換前のコード情報と比較し、前記認識結果が、前記変換前のコード情報と一致しない場合に、異常と判定するコード情報検査部と、を備え、前記印刷装置は、前記マスターデータが印刷された記録媒体が撮像された画像データである検査データを取得する検査データ取得部と、取得された前記検査データを、前記マスターデータと比較し、前記マスターデータと一致しない場合に、異常と判定する印刷状態検査部と、を備えたことを特徴とする印刷物検査システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2012−108854(P2012−108854A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259951(P2010−259951)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】