説明

印刷用シート及び印刷体

【課題】 視覚的効果が高く、人目をひく素材としてホログラムフィルム等の光反射フィルムをオンデマンド印刷特にデジタル印刷可能にした印刷用シートを提供する。
【解決手段】 ホログラムフィルム30、レンズフィルム、メタルフィルム又はマジカルフィルムである光の屈折効果による視覚効果を有する光反射フィルム3の一方の面に、合成樹脂層4を形成して、オンデマンド印刷可能な厚さ及び強度を確保する。合成樹脂層4を形成した光反射フィルム3の両面に、帯電防止層6、7をそれぞれ形成することが好ましく、帯電防止層6、7には、ブロッキング防止剤及び接着剤が含まれていることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラムフィルム等のそのままではオンデマンド印刷できない光反射フィルムをオンデマンド印刷特にデジタル印刷可能にした印刷用シート及びその印刷用シートに印刷してなる印刷体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光反射フィルムは、光の屈折効果による視覚効果に優れた幻想的なフィルムであり、ホログラムフィルム、レンズフィルム、メタルフィルム、マジカルフィルム又はレンチキュラーフィルムが知られている。光反射フィルムとして汎用されているホログラムフィルムは、見る角度によって印象の異なる視覚的効果が期待でき、人目をひくため、その用途が注目されている。ホログラムフィルムの表面に文字や図形或いは写真を印刷することができれば、印刷された情報と相俟ってアイキャッチ効果を一段と高めることができる。
【0003】
ホログラムフィルムの表面に印刷行うには、ホログラムフィルムを用いた例えば印刷シートを作成し、その印刷シートの面にオフセット印刷やシルクスクリーン印刷を行っていた。この印刷は、オフセット印刷やシルクスクリーン印刷の印刷機があるところでしか行えなかった。このため、小ロット、多品種の印刷や店舗などにおいてオンデマンド印刷を行えることが望まれた。しかし、ホログラムフィルムは、工業的に多量に生産するためには厚さが例えば23μmと薄いので、そのままではオンデマンド印刷例えばレーザープリンタやLEDプリンタなどの電子写真方式のデジタルプリンタで印刷することができなかった。
【0004】
また、従来のホログラムフィルムを用いたシートでは、ホログラムが両面に表示されるものは、両面にそれぞれホログラムフィルムを使用し或いは両面にホログラム加工が施されたものが多く、そのため製作、加工に手間が掛かり、また、コストが掛かり過ぎるという問題があった。
【0005】
ここで、従来のホログラム加工が施されたシート及びその印刷適性について検討すると、例えば、特許文献1には、店舗等において、主として広告や告知に用いられる装飾プレートでホログラム加工が施されて視覚的効果が高く、かつ低価格化が可能な装飾プレートが提案されている。
【0006】
特許文献1で提案されている装飾プレートは、ホログラムシートの少なくとも一方の表面に、文字、図画、又は写真の少なくとも一つからなる表示内容が印刷された透明素材のフィルムを重ね合わせ、重ね合わせた前記透明素材のフィルムと前記ホログラムシートの両面をラミネートフィルムで覆い、ラミネート処理を施してなるものである。透明素材のフィルムとしては、OHPフィルムを用いることによって、表示内容の印刷を一般的なカラーコピー機で行うことが可能になるようにしている。
【0007】
しかしながら、特許文献1において提案されているものは、ホログラムシートに直接印刷するのではなく、表示内容が印刷された透明素材のフィルムをホログラムシートに重ね合わせる構成であるため、重ね合せるときの位置合わせが難しく、また、ホログラムフィルムの両面に文字、図画、又は写真などの情報を表示するためには、表、裏の各面に貼合せるOHPフィルムをカラーコピー機でそれぞれ印刷し、それらを薄いホログラムフィルムに重ね合せてラミネートする必要があるため、作製に手間が掛かり過ぎるという問題があった。
【0008】
また、特許文献2には、ホログラムフィルムを使用したものではないが、各種カードや下敷き、パチンコ遊戯において大当たりを含む特定状態を表示するための大当たりプレートなどのような積層板であって、インクジェットプリンタやレーザープリンタでオンデマンドに印刷することができる積層板が提案されている。
【0009】
具体的には、文字や図形等の表示を有するシート基材に、上記表示を覆うようにオーバーレイシートを熱プレスによりラミネートして形成する薄板状の積層板であって、上記シート基材の表示を無版印刷により形成した積層板が特許文献2で提案されている。
【0010】
特許文献2で提案されている積層板は、印刷性に優れ、安価に製造できると共に、小ロットの注文にも対応できるものであるが、ホログラムフィルムを使用していないため視覚的効果が低く、インパクトに欠けるという問題があった。
【0011】
また、特許文献3には、遊技機用の表示装置として、中心部に配した反射用シート又はフィルム材により照明光を反射し、その反射用シート又はフィルム材の両面に配した表示用シート又はフィルム材に印刷した表示部分を鮮明に且つ煌びやかに表出させる構成のものが提案されているが、特許文献2で提案されている積層板と同様にホログラムフィルムを使用していないため、視覚的効果が低いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】実用新案登録第3117320号公報
【特許文献2】特開2002−341766号公報
【特許文献3】実用新案登録第3123838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、視覚的効果が高く、人目をひく素材としてホログラムフィルム等の光反射フィルムをオンデマンド印刷特にデジタル印刷可能にした印刷用シート及び印刷体を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明に係る印刷用シートは、ホログラムフィルム、レンズフィルム、メタルフィルム又はマジカルフィルムである光の屈折効果による視覚効果を有する光反射フィルムの一方の面に、合成樹脂層を形成して、オンデマンド印刷可能な厚さ及び強度を確保するようにしたことを特徴とする。
【0015】
この発明において、合成樹脂層を形成した光反射フィルムの両面に、帯電防止層をそれぞれ形成することができる。また、合成樹脂層には、帯電防止機能が付与され、この合成樹脂層を形成した光反射フィルムの合成樹脂層と反対側の面に、帯電防止層を形成することができる。帯電防止層にブロッキング防止剤及び接着剤を含有することができる。また、光反射フィルムが、透明基材の一方の面にホログラム凹凸及び透明反射層を順次形成してなるホログラムフィルムで、このホログラムフィルムの一方の面に、合成樹脂層として透明ポリエチレンテレフタレートを形成することができる。さらに、光反射フィルムが、透明基材の一方の面にホログラム凹凸及び透明反射層を順次形成してなるホログラムフィルムであり、このホログラムフィルムの透明反射層上に、不透明の合成樹脂層を形成することができる。
【0016】
また、本発明に係る印刷体は、前記の印刷用シートの一方の面又は両面に、オンデマンド印刷による印刷層を形成したことを特徴とする。この発明において、印刷用シートの少なくとも印刷層を形成した面に透明ラミネート層を形成することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る印刷用シートは、ホログラムフィルム等の光反射フィルムの一方の面に、合成樹脂層を形成して、オンデマンド印刷可能な厚さ及び強度を確保するようにしたことにより、オンデマンド印刷、例えば、レーザープリンタ、LEDプリンタなどの電子写真方式のデジタルプリンタで印刷することができ、小ロット、多品種の印刷や店舗などにおいても印刷可能である。
【0018】
また、本発明に係る印刷用シートは、レーザープリンタなどによるオンデマンド印刷が可能で、1枚ごと違う内容の印刷が可能である。さらに、本発明に係る印刷用シートは、両面に印刷できるので、両面の表示効果が1枚で可能となり、コストの低減を図ることができる。
【0019】
また、本発明に係る印刷体は、前記の印刷用シートの片面又は両面に印刷層を形成したままの状態でも使用可能であるが、印刷層を形成した印刷用シートの面に透明ラミネート層を形成することにより、印刷層の反射効果を高めることができ、シート面に表れている光反射フィルムの反射効果と相俟って抜群のアイキャッチ効果が得られる。また、アイキャッチ効果を利用して各種の情報表示用プレートの作製や偽造防止効果のあるカードなどを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る一実施形態の印刷用シートを示す断面図である。
【図2】本実施形態の他の一例の印刷用シートを示す断面図である。
【図3】本発明に係る一実施形態の印刷体を示す断面図である。
【図4】本実施形態の他の一例の印刷体を示す断面図である。
【図5】本実施形態の印刷体の表面に写真の情報をデジタル印刷した状態を示す平面図である。
【図6】本実施形態の印刷体を情報表示プレートとして用いた一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る記録用シートの実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態の印刷用シート1、2は、光反射フィルム3の一方の面に、合成樹脂層4を形成して、オンデマンド印刷可能な厚さ及び強度を確保するようにしたものである。
【0022】
光反射フィルム3は、光の屈折効果による視覚効果に優れた幻想的なフィルムである。光反射フィルム3としては、ホログラムフィルム30、レンズフィルム、メタルフィルム又はマジカルフィルムが用いられる。これらフィルムは、市場で商業的に入手可能である。なお、光反射フィルム3としては、ホログラムフィルム30、レンズフィルム、メタルフィルム又はマジカルフィルムに限定されず、その他の視覚的効果に優れた幻想的なフィルムであってもよい。
【0023】
ホログラムフィルム30は、公知のものを用いることができ、例えば、透明基材31の一方の面にホログラム凹凸32及び透明反射層33を順次形成してなるものである。透明基材31としては、ホログラムを外力等による損傷から保護したり、強度をもたせたりするためのもので、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという。)、ポリエチレンナフタレート、1、4−ポリシクロヘキシレンジメチルテレフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、アラミド、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セロファン等からなる合成樹脂フィルムを用いることができ、PET、ポリプロピレンが好ましく、特に、寸法安定性、耐熱性、強靱性の観点からPETが最も好ましい。
【0024】
ホログラム凹凸32は、ホログラム又は回折格子で、透明基材31と別体のアクリル樹脂など熱可塑性樹脂等でホログラム形成層34を形成しこのホログラム形成層34の表面に転写等で形成してもよいし、透明基材31自体を加工して形成してもよく、その形成方法は、特に限定されない。
【0025】
透明反射層33は、光を反射するものであれば特に限定されず、例えば、金属を蒸着させて形成してもよいし、金属化合物を溶剤で希釈して塗布により形成してもよく、その形成方法は、特に限定されない。金属や金属化合物としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、ジルコニウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、鉄、コバルト、スズ、クロムやこれら金属化合物等を用いることができる。
【0026】
レンズフィルムは、公知のものを用いることができ、例えば、透明基材の一方の面に、熱可塑性樹脂によりレンズパターンが形成されたフィルムを用いることができる。透明基材としては、例えば、ホログラムフィルム30の透明基材31と同じものを用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体等を用いることができる。レンズパターンの形成方法は、特に限定されず、転写等の公知の方法を用いることができる。
【0027】
メタルフィルムは、公知のもの例えば艶銀フィルム等を用いることができ、例えば、透明基材の一方の面に、金属が蒸着されたフィルムを用いることができる。透明基材としては、金属が蒸着できるものであれば特に限定されず、ホログラムフィルム30の透明基材31と同じものを用いることができる。金属としては、例えば、アルミニウム、金、チタン、鉄、銀、銅、スズ、亜鉛等でこれらの1種又は2種以上の混合物等を用いることができる。金属の蒸着方法は、特に限定されない。
【0028】
マジカルフィルムは、公知のものを用いることができ、例えば、透明基材の一方の面に、複数のポリエステル薄膜を延伸軸をずらす等しながら積層して形成することができる。透明基材としては、ホログラムフィルム30の透明基材31と同じものを用いることができる。マジカルフィルムは、鏡面のような滑らかな金属光沢が発現されると同時に、見る角度によって光沢の色が変わり、またある角度から観察すると裏が透き通って見える等するものである。
なお、本実施形態では、光反射フィルム3として、PETの透明基材31にアルミニウムを蒸着させてなる透明反射層33を形成したホログラムフィルム30について説明するが、これに限定されるものではない。
【0029】
合成樹脂層4は、市場で商業的に入手可能な光反射フィルム3が工業的に多量に生産するためには通常厚さが12〜38μm例えば23μmであるから、光反射フィルム3をオンデマンド印刷可能にするために形成されたものである。合成樹脂層4は、光反射フィルム3の一方の面に形成して、オンデマンド印刷可能な厚さ及び強度を確保できるものであれば特に限定されず、例えば、合成樹脂シートを光反射フィルム3の一方の面に貼付して形成することができる。合成樹脂シートとしては、例えば、ホログラムフィルム30の透明基材31と同じものを用いることができるが、透明に限定されず不透明なものでもよく、寸法安定性、耐熱性、強靱性の観点からPET4aが好ましい。
【0030】
合成樹脂層4すなわち合成樹脂シートであるPET4aの厚さは、オンデマンド印刷可能な厚さがプリンタにより異なるが100μmぐらいであるので、90〜110μmであることが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。例えば、光反射フィルム3に合成樹脂層4を形成することで、厚さが100〜150μm程度になるが、この厚さは、印刷用シート1の用途、例えば、情報表示プレートとして使用する場合は、合成樹脂層4の厚さを110μm以上にするなど調整して使用することができる。
【0031】
粘着剤層5は、合成樹脂層4を光反射フィルム3に貼付することができれば、厚さや形成方法は、特に限定されず、例えば、透明度が高く粘着力が強い粘着剤を塗布して形成することができる。粘着剤の塗布方法は、公知の方法を使用することができ、例えば、溶剤を用いてロールコート、グラビアコート、スクリーンコート、リバースコート、コンマコート、ダイコート、フローコート、スプレーコートなどの公知のコーティング方法を用いることができる。粘着剤としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系粘着剤、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニル系粘着剤、エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース等のセルロース誘導体の粘着剤、不飽和ポリエステル樹脂の粘着剤、ポリエステル樹脂の粘着剤、ポリウレタン樹脂の粘着剤、アミノアクキッド樹脂の粘着剤等を用いることができ、アクリル系粘着剤が好ましい。
【0032】
合成樹脂層4は、光反射フィルム3の一方の面に形成され、透明の場合には、図1及び図2に示すように、光反射フィルム3の両面のいずれか一方に形成してもよく、不透明の場合には、光反射フィルム3の両面のいずれか一方に形成してもよいが、図1に示す構成と同じように、光反射フィルム3の透明基材31とは反対側の面に形成することが好ましい。すなわち、例えば、光反射フィルム3が透明基材31である透明PETにアルミニウムを蒸着させてなるホログラムフィルム30の場合、合成樹脂層4としての透明PET4aは、ホログラムフィルム30の両面のいずれか一方に貼付してもよく、好ましくは、ホログラム凹凸32の保護等を考慮すると、ホログラムフィルム30の透明反射層33側の面に合成樹脂層4としての透明PETを貼付する。また、合成樹脂層4として例えば不透明な白色PETを用いる場合、ホログラムフィルム30の両面のいずれか一方に貼付してもよいが、ホログラム凹凸32の保護等を考慮すると、図1に示す構成と同じように、ホログラムフィルム30の透明反射層33側の面に不透明な白色PETを貼付することが好ましい。
【0033】
このように合成樹脂層4を形成した光反射フィルム3の両面に、帯電を防止するための帯電防止機能を付与することが好ましい。帯電防止機能の付与は、合成樹脂層4を形成した光反射フィルム3の両面の帯電を防止できれば特に限定されず、例えば、合成樹脂層が帯電防止機能を有し、この合成樹脂層と反対側の光反射フィルム3の面に帯電防止層を設けてもよいが、合成樹脂層4を形成した光反射フィルム3の両面に帯電防止層6、7をそれぞれ形成することが好ましい。なお、合成樹脂層4への帯電防止機能の付与は、合成樹脂層4が帯電防止機能を有していれば、特に限定されず、例えば、PETを貼付して合成樹脂層4する場合、PETを製造する際に帯電防止剤を添加して帯電防止機能を付与するようにしてもよい。
【0034】
帯電防止層6、7は、図3に示すように、例えば、レーザープリンタにより印刷したときの印刷層12を形成するトナーのフィルムへの定着を確実に行えるようにしたりプリンタ内等での搬送時の2枚以上の同時搬送を防止したりするために形成されたものであり、その厚さや形成方法は特に限定されない。帯電防止層6、7は、例えば、帯電防止剤を溶剤を用いて、ロールコート、グラビアコート、スクリーンコート、リバースコート、コンマコート、ダイコート、フローコート、スプレーコートなどの公知のコーティング方法で塗布して形成することができる。帯電防止剤としては、例えば、金属酸化物、導電性ポリマーなどの導電性物質、界面活性剤、イオン伝導性ポリマーなどのイオン性化合物等を用いることができ、イオン伝導性ポリマーが好ましい。イオン導電性ポリマーとしては、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリビニレン、ポリフェニレン等を用いることができる。帯電防止層6、7の形成の際に、ブロッキング防止剤及び接着剤を添加することが好ましい。また、必要に応じて可塑剤、安定剤、界面活性剤等の添加剤を添加するようにしてもよい。
【0035】
ブロッキング防止剤は、滑性を向上させて、例えば、プリンタ内での搬送を確実に行えるようにするためのものである。ブロッキング防止剤としては、例えば、ウレタン系、アクリル系などの真球状架橋ポリマー微粒子、シリカ、ゼオライト等を用いることができ、ウレタン系、アクリル系などの真球状架橋ポリマー微粒子が好ましい。
【0036】
接着剤は、帯電防止層6、7の光反射フィルム3及び合成樹脂層4からの剥離を防止するためのものである。接着剤としては、公知のものを用いることができ、例えば、ポリエステル樹脂等を用いることができる。
【0037】
このように、本実施形態の印刷用シート1、2は、光反射フィルム3の一方の面に、合成樹脂層4を形成して、オンデマンド印刷可能な厚さ及び強度を確保するようにしたので、光反射フィルム3の両面又は片面にオンデマンド印刷を行える。具体的には例えば、図1及び図2に示すように、透明基材31である透明PETにアルミニウムを蒸着させて透明反射層33を形成してなる光反射フィルム3としてのホログラムフィルム30の透明反射層33側の面又は透明反射層33と反対側の面に合成樹脂層4としての透明PETを粘着剤層5を介して貼付して形成し、この両面に帯電防止層6、7を形成することにより、オンデマンド印刷可能な厚さ及び強度に確保された本実施形態の印刷用シート1、2が得られる。これにより、本実施形態の印刷用シート1、2は、両面の表面又はいずれか一方の面に、例えば、レーザープリンタやLEDプリンタを使用し、所望の文字、図形、写真などの情報を印刷により印刷層12として形成することができる。また、本実施形態の印刷用シート1、2は、合成樹脂層4として透明PETを用いることで、両面でホログラムフィルム30の光の屈折効果による視覚効果に優れた幻想的な効果が得られる。
【0038】
印刷層12を形成する際、印刷用シート1、2の両面に帯電防止機能を付与するためにそれぞれ帯電防止層6、7が形成されていたり、又は、合成樹脂層が帯電防止機能を有するとともに合成樹脂層と反対側の光反射フィルム3の面に帯電防止層が形成されていたりすると、印刷層12の印刷用シート1、2への定着を確実に行えるとともに、搬送時の2枚以上の同時搬送を防止することができる。すなわち、例えば、レーザープリンタにより印刷用シート1、2上に印刷層12を形成する場合、トナーを電気的に印刷用シート1、2上に引きつけてトナーの定着により印刷層12を形成するために、印刷用シート1、2の表面が静電気などにより電気を帯びていると、印刷用シート1、2へのトナーの定着が行えなかったり行え難かったりする。このため、例えば、帯電防止層6、7を形成して印刷用シート1、2の表面の帯電を防止することにより、印刷用シート1、2へのトナーの定着を確実に行える。また、印刷用シート1、2の表面が電気を帯びていると、印刷用シート1を搬送する際、例えば、プリンタ内でローラーによって印刷用シート1、2を搬送する際に2枚以上の印刷用シート1、2がくっついて同時に搬送されることがあるが、印刷用シート1、2の両面に例えば帯電防止層6、7が形成されていることにより、搬送時の2枚以上の同時搬送を防止することができる。
【0039】
また、帯電防止層6、7にブロッキング防止剤が含有されていると、印刷用シート1、2の表面の滑性が向上するので、例えば、プリンタ内での印刷用シート1、2の搬送を確実に行える。さらに、帯電防止層6、7に接着剤が含有されていることにより、帯電防止層6、7の光反射フィルム3及び合成樹脂層4からの剥離が防止されるので、例えば、帯電防止層6、7上に印刷層12を形成してこの印刷層12を形成した印刷用シート1、2の面に形成した透明ラミネート層13(図4参照)を剥がすときに、印刷用シート1、2から帯電防止層6、7とともに印刷層12が剥がれることを防止することができる。
【0040】
したがって、本実施形態の印刷用シート1、2は、例えば厚さが23μmでそのままではオンデマンド印刷できない光反射フィルム3に合成樹脂層4を形成してオンデマンド印刷可能であるために、A4、A3、B5などの所定の用紙の大きさにしたものに通常使用されているレーザープリンタやLEDプリンタを使用し、所望の文字、図形、写真などを片面、両面に印刷することができ、しかも小ロット、多品種印刷ができるので、小売店での店頭販売用に、また、学校などにおける行事の案内や講演会のお知らせ、広告媒体として好適に使用することができる。また、漫画や雑誌の差込印刷にも使用でき、更に、最近販売台数が伸びているトナー式のカラーコピー機にも使用することができるので、視覚的効果のある資料の作成や保存に有効に使用することができる。
【0041】
なお、本実施形態では、オンデマンド印刷として、レーザープリンタ、LEDプリンタなどの電子写真方式のデジタルプリンタによるデジタル印刷について説明したが、これに限定されず、インクジェットプリンタによる印刷でもよい。
【0042】
このように、本実施形態の印刷用シート1、2の両面(又は一方)の面に、例えば、オンデマンド印刷による印刷層12を形成することで、図3及び図4に示すように、本実施形態の印刷体10、11が得られる。この本実施形態の印刷体10、11は、小ロット、多品種の印刷や店舗などにおいてオンデマンド印刷により得られるために、汎用性に優れたものとなる。例えば、図3に示すように、透明基材31である透明PETにアルミニウムを蒸着させて透明反射層33を形成してなる光反射フィルム3としてのホログラムフィルム30の透明反射層33側の面に合成樹脂層4としての透明PETを粘着剤層5を介して貼付し、この両面にそれぞれ帯電防止層6、7を形成して印刷用シート1を形成する。この印刷用シート1の両面に、レーザープリンタやLEDプリンタを使用して所望の文字、図形、写真などを印刷により印刷層12を形成することで、本実施形態の印刷体10が得られる。この印刷体10の両面それぞれで、印刷層12と印刷層12の背景のホログラムフィルム30の面とが相俟って視覚的に優れた幻想的で十分なインパクトが得られ、アイキャッチ効果を一段と高められる。
【0043】
この場合、合成樹脂層4としての透明PETをホログラムフィルム30の透明反射層33と反対側の面に貼付して印刷用シート2を形成し、この印刷用シート2の両面に印刷層12を形成して本実施形態の印刷体を得ても、ホログラムフィルム30の透明反射層33側の面に透明PETを貼付してなる本実施形態の印刷体10と同様の効果が得られる。
【0044】
また、合成樹脂層4として不透明なPET例えば不透明な白色PETを用いる場合、不透明な白色PETを光反射フィルム3としてのホログラムフィルム30のいずれか一方の面に貼付して本実施形態の印刷体を得てもよいが、不透明な白色PETをホログラムフィルム30の透明反射層33側の面に貼付して本実施形態の印刷体を得ることが好ましい。例えば、不透明な白色PETを粘着剤層5を介してホログラムフィルム30の透明反射層33側の面に貼付して印刷用シート1を形成し、この印刷用シート1の両面に、レーザープリンタやLEDプリンタを使用して所望の文字、図形、写真などの情報を印刷により印刷層12として形成して印刷体を得ることが好ましい。このようにして得られた印刷体は、白色PETと反対側の面で、印刷層12と印刷層12の背景のホログラムフィルム30の面とが相俟って視覚的に優れた幻想的で十分なインパクトが得られ、他方の面では背景が白地の印刷となるので、両面で異なる印象の印刷体例えばカードやプレートに適したものとなる。
【0045】
また、本実施形態の印刷体は、印刷用シート1、2の少なくとも印刷層12を形成した面に透明ラミネート層13を形成してなることが好ましい。例えば、図4に示すように、印刷用シート1の両面に印刷層12が形成されている場合には、印刷用シート1の両面に透明ラミネート層13を形成して本実施形態の印刷体11を得ることが好ましい。なお、印刷用シート1、2の片面に印刷層が形成されている場合には、印刷層が形成されている面にのみ透明ラミネート層を形成してもよいし、この印刷用シート1、2の両面に透明ラミネート層を形成してもよい。
【0046】
透明ラミネート層13の形成は、公知の手段を用いることができ、例えば、ラミネート基材上に剥離可能に形成されたラミネート層となる透明ラミネートフィルム等の透明ラミネート材からなるラミネート形成シートを印刷用シート1、2の面に積層し、積層された印刷用シート1、2及びラミネート形成シートを加熱圧着して、印刷用シート1、2の面に透明ラミネートフィルムを転写した後、ラミネート基材を透明ラミネートフィルムから剥離することにより、印刷用シート1、2の面に透明ラミネート層13である透明ラミネートフィルムを形成するようにしてもよい。
【0047】
このように、透明ラミネート層13を形成することにより、印刷層12を保護して永続的な耐久性を付与でき、かつ、印刷層12の光沢度や表面の平滑度を上げられ印刷層12の品位をさらに向上することができる。また、透明ラミネート層13の密着効果により、例えば、印刷層12の部分を型抜き加工しても剥離が発生し難く、また、この型抜きした印刷体に高級感を出すことができる。
【0048】
本実施形態の印刷体の具体例としては、図5及び図6に示されている。図5は、本実施形態の印刷体の具体例の一例を示す図である。図5に示すように、この印刷体20は、印刷用シート1の表面に人気の高いアニメの画像をデジタル印刷して印刷層12aを形成してなるものである。この印刷体20は、印刷層12aの周縁に印刷されていない状態の印刷用シート1のホログラムフィルム30の一部が露出したままになっている。印刷層12aは、背景のホログラムフィルム30と相俟って印刷層12aによって表示されている画像が浮き上がって見えるので、視覚的効果を著しく高めることができる。
【0049】
図6は、本実施形態の印刷体の具体例の他の一例を示す図である。図6に示すように、この印刷体21は、パチンコ場などの遊技場施設において、大当たりがでたときそれをいち早く周囲に知らせるためにその大当たりが出た遊技機の上部横に挿して使用するのである。印刷体21は、両面にホログラムフィルム30の一部を残して同じ内容の画像の印刷層12bを形成したもので、ここではその両面に厚さのある透明ラミネートシートをラミネートして形成している。
【0050】
なお、本発明の印刷体を情報表示プレートとして使用する場合は、上記例に限られず、例えば、遊技場施設において遊技機が新台であることを知らせたり、また、販売店等において新製品、キャンペーン商品、特売品であることを印象的に知らせたりするのに好適であるばかりでなく、運動会やお祭り、学園祭或はフリーマーケットなどにおいて、自分でデザインしたものを自由に印刷して注目を集めたりすることができ、その使用方法は工夫次第で無限に拡大することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 印刷用シート
2 印刷用シート
3 光反射フィルム
4 合成樹脂層
4a PET
5 粘着剤層
6 帯電防止層
10 印刷体
11 印刷体
12 印刷層
12a 印刷層
12b 印刷層
13 透明ラミネート層
20 印刷体
21 印刷体
30 ホログラムフィルム
31 透明基材
32 ホログラム凹凸
33 透明反射層
34 ホログラム形成体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラムフィルム、レンズフィルム、メタルフィルム又はマジカルフィルムである光の屈折効果による視覚効果を有する光反射フィルムの一方の面に、合成樹脂層を形成して、オンデマンド印刷可能な厚さ及び強度を確保するようにしたことを特徴とする印刷用シート。
【請求項2】
前記合成樹脂層を形成した前記光反射フィルムの両面に、帯電防止層をそれぞれ形成した請求項1に記載の印刷用シート。
【請求項3】
前記合成樹脂層には、帯電防止機能が付与され、この合成樹脂層を形成した前記光反射フィルムの前記合成樹脂層と反対側の面に、帯電防止層を形成した請求項1に記載の印刷用シート。
【請求項4】
前記帯電防止層には、ブロッキング防止剤及び接着剤が含まれている請求項2又は3に記載の印刷用シート。
【請求項5】
前記光反射フィルムが、透明基材の一方の面にホログラム凹凸及び透明反射層を順次形成してなるホログラムフィルムであり、このホログラムフィルムの一方の面に、前記合成樹脂層として透明ポリエチレンテレフタレートを形成した請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷用シート。
【請求項6】
前記光反射フィルムが、透明基材の一方の面にホログラム凹凸及び透明反射層を順次形成してなるホログラムフィルムであり、このホログラムフィルムの透明反射層上に、不透明の前記合成樹脂層を形成した請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷用シート。
【請求項7】
前記請求項1〜6のいずれか1項に記載の印刷用シートの一方の面又は両面に、オンデマンド印刷による印刷層を形成したことを特徴とする印刷体。
【請求項8】
前記印刷用シートの少なくとも前記印刷層を形成した面に、透明ラミネート層を形成した請求項7に記載の印刷体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−42159(P2011−42159A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106209(P2010−106209)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(596069922)日清紡ポスタルケミカル株式会社 (2)
【出願人】(593122686)株式会社ホログラムサプライ (3)
【Fターム(参考)】