説明

印刷装置、印刷報知方法及びそのプログラム

【課題】着色剤を収容したカートリッジに応じた印刷に関する情報をユーザに報知することができる。
【解決手段】収容されたインクによりできる限り多くの印刷を可能とする通常カートリッジが装着されているときには収容された最大インク量とインク残量Lとの関係が視認可能な態様で表示部62に表示し、印刷可能な枚数の上限である印刷保証枚数が設定された印刷枚数保証カートリッジが装着されているときには、インク残量と共に、印刷保証枚数のうち印刷可能である残余枚数に関する情報を印刷保証枚数と残余枚数との関係が視認可能な残余枚数インク残量表示画面80を表示部62に表示する。このとき、印刷保証枚数のうち残余枚数がゲージ状に領域表示される残余枚数表示部80bとインク残量がバー状に表示される残量表示部80cとを1画面に表示する。このように、装着されたカートリッジに応じた情報を表示部62へ表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷報知方法及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置としては、インクを吐出して印刷を行いこのインクの残量に関する情報をユーザに提示するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載された装置は、過去に行われた印刷で消費したインク量を使用量情報として管理し、この使用量情報に基づいて計算した各用紙ごとの印刷可能枚数をインク残量と共に表示部に表示させる。
【特許文献1】特開2002−283670号公報(図15)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、ユーザには、例えば、文書印刷や写真印刷などを混在して行う場合など、印刷枚数などを予定せずカートリッジに収容されたインクなどの着色剤によりできる限り多くの印刷を可能としたい要望のほか、ハガキ印刷や写真印刷など予め決まった枚数を印刷する予定がある場合など、カートリッジによって印刷可能な枚数を把握し、そのカートリッジにより予定する枚数の印刷を確保したいという要望がある。ところが、この特許文献1に記載された印刷装置では、印刷枚数を確保したカートリッジや、できる限りの枚数を印刷可能としたカートリッジなど、様々な要望に応じたカートリッジについては考慮されておらず、カートリッジに応じた印刷に関する情報をユーザに報知することはできなかった。
【0004】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、カートリッジに応じた印刷に関する情報をユーザに報知することができる印刷装置、印刷報知方法及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明の印刷装置は、
情報を報知可能な報知手段と、
着色剤を収容した通常カートリッジ又は着色剤を収容し印刷可能な枚数の上限である印刷保証枚数が設定された印刷枚数保証カートリッジを装着し該着色剤によって印刷媒体へ画像を印刷可能な印刷手段と、
前記印刷手段に前記通常カートリッジと前記印刷枚数保証カートリッジとのいずれが装着されているかを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記印刷手段に前記通常カートリッジが装着されていると判定されたときには前記通常カートリッジを用いて前記印刷手段に前記印刷媒体へ画像を印刷させ該印刷に基づいて求めた前記着色剤の残量である着色剤残量に関する情報を前記報知手段に報知させ、前記判定手段によって前記印刷手段に前記印刷枚数保証カートリッジが装着されていると判定されたときには前記印刷枚数保証カートリッジを用いて前記印刷手段に前記印刷媒体へ画像を印刷させ該印刷に基づいて求めた前記印刷保証枚数のうち印刷可能な枚数である残余枚数に関する情報を前記報知手段に報知させる制御手段と、
を備えたものである。
【0007】
この印刷装置では、着色剤を収容した通常カートリッジと着色剤を収容し印刷可能な枚数の上限である印刷保証枚数が設定された印刷枚数保証カートリッジとのいずれが装着されているかを判定し、通常カートリッジが装着されているときには通常カートリッジを用いて印刷媒体へ画像を印刷させ、この印刷に基づいて求めた着色剤の残量である着色剤残量に関する情報を報知し、印刷枚数保証カートリッジが装着されているときには印刷枚数保証カートリッジを用いて印刷媒体へ画像を印刷させ、この印刷に基づいて求めた印刷保証枚数のうち印刷可能な枚数である残余枚数に関する情報を報知する。このように、印刷保証枚数が設定されていない通常カートリッジでは着色剤の残量に関する情報を報知し、印刷保証枚数が設定されている印刷枚数保証カートリッジでは残余枚数を報知するのである。したがって、カートリッジに応じた印刷に関する情報をユーザに報知することができる。
【0008】
本発明の印刷装置において、前記判定手段は、前記印刷手段に装着されたカートリッジに設けられた種別記憶素子に記憶された種別情報を読み出し、該読み出した種別情報が前記通常カートリッジのものであるか前記印刷枚数保証カートリッジのものであるかに基づいて前記印刷手段に前記通常カートリッジと前記印刷枚数保証カートリッジとのいずれが装着されているかを判定してもよい。こうすれば、カートリッジに設けられた種別記憶素子に記憶された情報を利用して、装着されているのが通常カートリッジか印刷枚数保証カートリッジかを判定することができる。
【0009】
本発明の印刷装置において、前記制御手段は、前記判定手段によって前記印刷手段に前記印刷枚数保証カートリッジが装着されていると判定されたときには前記印刷保証枚数のうち印刷可能な枚数である残余枚数に関する情報を該印刷保証枚数と該残余枚数との関係を認識可能な態様で前記報知手段に報知させてもよい。こうすれば、印刷可能な上限である印刷保証枚数に対する現在印刷可能な残余枚数をユーザが認識することができる。
【0010】
本発明の印刷装置において、前記報知手段は、画像を表示可能な表示手段であり、前記制御手段は、前記判定手段によって前記印刷手段に前記通常カートリッジが装着されていると判定されたときには前記着色剤残量に関する情報を前記表示手段に表示させ、前記判定手段によって前記印刷手段に前記印刷枚数保証カートリッジが装着されていると判定されたときには前記残余枚数に関する情報を前記表示手段に表示させてもよい。こうすれば、ユーザは画像によって視覚的にカートリッジの情報を視認することができる。
【0011】
本発明の印刷装置において、前記制御手段は、前記印刷手段に前記印刷枚数保証カートリッジが装着されているときには、前記残余枚数に関する情報と共に前記着色剤残量に関する情報を前記報知手段に報知させてもよい。こうすれば、残余枚数に加えて着色剤残量に関する情報も報知されるため、ユーザはより多くの印刷に関する情報を得ることができる。このとき、本発明の印刷装置は、前記残余枚数と前記着色剤残量とを記憶可能な記憶手段と、前記残余枚数に関する情報と前記着色剤残量に関する情報とを前記報知手段に報知させる旨の報知指令を取得可能な取得手段と、を備え、前記制御手段は、前記印刷枚数保証カートリッジを装着して前記印刷手段に前記印刷媒体へ画像を印刷させたときには、前記残余枚数を減じると共に前記着色剤残量を減じて前記記憶手段に記憶させ、前記取得手段が前記報知指令を取得したときには、前記記憶手段から前記残余枚数と前記着色剤残量とを読み出し該読み出した結果に基づいて該残余枚数に関する情報と共に該着色剤残量に関する情報を前記報知手段に報知させてもよい。こうすれば、残余枚数と着色剤残量とが記憶手段に記憶されるため、残余枚数と着色剤残量とに関する情報を比較的容易に管理することができる。ここで、「残余枚数を記憶する」とは、残余枚数自体を記憶することのほか、印刷を行った印刷済枚数を記憶することにより残余枚数を間接的に記憶することをも含む。また、「着色剤残量を記憶する」とは、着色剤残量自体を記憶することのほか、印刷で消費した着色剤の消費量を記憶することにより着色剤残量を間接的に記憶することをも含む。
【0012】
あるいは、本発明の印刷装置は、前記残余枚数を記憶可能な記憶手段と、前記残余枚数に関する情報を前記報知手段に報知させる旨の報知指令を取得可能な取得手段と、を備え、前記制御手段は、前記印刷枚数保証カートリッジを装着して前記印刷手段に前記印刷媒体へ画像を印刷させたときには、前記残余枚数を減じて前記記憶手段に記憶させ、前記取得手段が前記報知指令を取得したときには、前記記憶手段から前記残余枚数を読み出し該読み出した結果に基づいて該残余枚数に関する情報を前記報知手段に報知させてもよい。こうすれば、残余枚数が記憶手段に記憶されるため、残余枚数に関する情報を比較的容易に管理することができる。
【0013】
記憶手段を備えた本発明の印刷装置において、前記記憶手段は、前記カートリッジに設けられた情報記憶素子であるものとしてもよい。こうすれば、カートリッジに設けられた情報記憶素子にカートリッジの情報(残余枚数など)が記憶されるため、カートリッジとそのカートリッジの情報とを確実に紐づけることができる。
【0014】
本発明の印刷装置において、前記印刷手段は、前記着色剤としてインクを収容した前記通常カートリッジ又は前記印刷枚数保証カートリッジを用いて前記印刷媒体へ写真の画像を印刷させてもよい。こうすれば、文字の印刷と写真の印刷とを混在して印刷するものに比べ画像の印刷に消費される着色剤の量のばらつきが小さいため、事前にカートリッジに収容する着色剤の量を比較的適切に把握することができる。また、写真を印刷する際に、着色剤としてインクを用いて、美しい印刷を行うことができる。
【0015】
本発明の印刷装置において、前記制御手段は、前記判定手段によって前記印刷手段に前記印刷枚数保証カートリッジが装着されていると判定されたときに、前記印刷手段によって印刷された該印刷枚数保証カートリッジの印刷済枚数が前記印刷保証枚数に至っているときには該印刷手段に該印刷枚数保証カートリッジを用いた印刷をさせず、前記印刷済枚数が前記印刷保証枚数に至っていないときには該印刷手段に該印刷枚数保証カートリッジを用いて前記印刷媒体へ画像を印刷させてもよい。こうすれば、印刷枚数保証カートリッジにより印刷保証枚数の印刷を確実に行うことができる。
【0016】
本発明の印刷報知方法は、
情報を報知可能な報知手段と、着色剤を収容した通常カートリッジ又は着色剤を収容し印刷可能な枚数の上限である印刷保証枚数が設定された印刷枚数保証カートリッジを装着し該着色剤によって印刷媒体へ画像を印刷可能な印刷手段と、を備えた印刷装置をコンピュータ・ソフトウェアにより制御する印刷報知方法であって、
(a)前記印刷手段に前記通常カートリッジと前記印刷枚数保証カートリッジとのいずれが装着されているかを判定するステップと、
(b)前記ステップ(a)で前記印刷手段に前記通常カートリッジが装着されていると判定されたときには前記通常カートリッジを用いて前記印刷手段に前記印刷媒体へ画像を印刷させ該印刷に基づいて求めた前記着色剤の残量である着色剤残量に関する情報を前記報知手段に報知させ、前記ステップ(a)で前記印刷手段に前記印刷枚数保証カートリッジが装着されていると判定されたときには前記印刷枚数保証カートリッジを用いて前記印刷手段に前記印刷媒体へ画像を印刷させ該印刷に基づいて求めた前記印刷保証枚数のうち印刷可能な枚数である残余枚数に関する情報を前記報知手段に報知させるステップと、
を含むものである。
【0017】
この印刷報知方法では、着色剤を収容した通常カートリッジと着色剤を収容し印刷可能な枚数の上限である印刷保証枚数が設定された印刷枚数保証カートリッジとのいずれが装着されているかを判定し、通常カートリッジが装着されているときには通常カートリッジを用いて印刷媒体へ画像を印刷させ、この印刷に基づいて求めた着色剤の残量である着色剤残量に関する情報を報知し、印刷枚数保証カートリッジが装着されているときには印刷枚数保証カートリッジを用いて印刷媒体へ画像を印刷させ、この印刷に基づいて求めた印刷保証枚数のうち印刷可能な枚数である残余枚数に関する情報を報知する。このように、印刷保証枚数が設定されていない通常カートリッジでは着色剤の残量に関する情報を報知し、印刷保証枚数が設定されている印刷枚数保証カートリッジでは残余枚数を報知するのである。したがって、カートリッジに応じた印刷に関する情報をユーザに報知することができる。なお、この印刷報知方法において、上述した印刷装置の種々の態様を採用してもよいし、また、上述した印刷装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
【0018】
本発明のプログラムは、上述した印刷報知方法の各ステップを1又は複数のコンピュータに実現させるためのものである。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピュータから別のコンピュータへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムを一つのコンピュータに実行させるか又は複数のコンピュータに各ステップを分担して実行させれば、上述した印刷報知方法の各ステップが実行されるため、該印刷報知方法と同様の作用効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に本発明を具現化した一実施形態について図面を用いて説明する。図1は本実施形態のインクジェットプリンタ20の構成の概略を示す構成図、図2は印刷枚数保証カートリッジ50の構成の概略を表す説明図、図3は記憶素子54に記憶された種別情報54a及びカートリッジ情報54bの説明図、図4は操作パネル60の説明図である。本実施形態のインクジェットプリンタ20は、例えばデジカメなどで撮影した写真画像を印刷用の画像として用い、記録紙Sとして写真サイズの用紙を用いるいわゆる写真専用プリンタとして構成されている。また、本実施形態のインクジェットプリンタ20では、文書印刷や写真印刷などを混在して行う場合など印刷枚数などを予定せず収容されたインクによりできる限り多くの印刷を可能とする通常カートリッジと、予め定められた印刷可能な枚数の上限である印刷保証枚数が設定された印刷枚数保証カートリッジ50とが装着可能に構成されており、印刷保証枚数が設定された印刷枚数保証カートリッジ50で印刷保証枚数の印刷が終了したあとはインクが残っていたとしてもこの印刷枚数保証カートリッジ50での印刷ができなくなるよう設定されている。ここでは、印刷枚数保証カートリッジ50とこの印刷保証枚数の記録紙Sとがセットとして販売されており、ユーザが予め予定している枚数の印刷が保証されている上記セットを購入し、インクジェットプリンタ20に印刷枚数保証カートリッジ50と記録紙Sとをセットして印刷を実行する場合について主に説明する。なお、本実施形態では、印刷保証枚数の印刷が終了したあとそのカートリッジでの印刷をできなくする機能を「シャットオフ機能」と呼び、そのカートリッジでの印刷をできなくすることを「シャットオフする」と呼ぶこととする。
【0020】
本実施形態のインクジェットプリンタ20は、図1に示すように、プラテン40上を図中奥から手前へと搬送される記録紙Sにインク滴を吐出して印刷を行うプリンタ機構21と、駆動モータ33により駆動される紙送りローラ35を含む紙送り機構31と、プラテン40の一端に形成されたキャッピング装置41と、ユーザが各種の指示を入力する操作パネル60と、インクジェットプリンタ20全体をコントロールするコントローラ70とを備えている。
【0021】
プリンタ機構21は、キャリッジベルト32によりガイド28に沿って左右に往復動するキャリッジ22と、シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・レッド(R)・ブルー(B)及びブラック(K)の各色のインクを個別に収容しキャリッジ22へインクを供給可能な印刷枚数保証カートリッジ50と、印刷枚数保証カートリッジ50から供給された各インクに圧力をかける印刷ヘッド24とを備えている。キャリッジ22は、メカフレーム48の右側に取り付けられたキャリッジモータ34aとメカフレーム48の左側に取り付けられた従動ローラ34bとの間に架設されたキャリッジベルト32がキャリッジモータ34aによって駆動されるのに伴って移動する。ここでは、キャリッジ22上に印刷枚数保証カートリッジ50を搭載しない、いわゆるオフキャリッジ型を採用している。印刷ヘッド24は、キャリッジ22の下部に設けられており、圧電素子に電圧をかけることによりこの圧電素子を変形させてインクを加圧する方式により印刷ヘッド24の下面に設けられたノズル23から各色のインクを吐出するものである。なお、この印刷ヘッド24は、発熱抵抗体(例えばヒータなど)に電圧をかけインクを加熱して発生した気泡によりインクを加圧する方式を採用してもよい。キャリッジ22の背面には、キャリッジ22の位置を検出するリニア式エンコーダ25が配置されており、このリニア式エンコーダ25を用いてキャリッジ22のポジションが管理可能となっている。
【0022】
印刷枚数保証カートリッジ50は、メカフレーム48に着脱可能に装着されており、図2に示すように、溶媒としての水に着色剤としての染料又は顔料を含有したシアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・レッド(R)・ブルー(B)及びブラック(K)などの印刷用に用いるインクを各々収容したインク容器52a〜52fと、クリーニング処理などで排出された廃インクを吸収して保存する廃液パッド53と、印刷枚数保証カートリッジ50に関する情報などを記憶する記憶素子54とを備えている。印刷枚数保証カートリッジ50は、インク供給口51a〜51fとキャリッジ22との間に接続された供給チューブ29を介し、図示しない供給ポンプの駆動によりキャリッジ22へインクを供給可能となっている(図1参照)。記憶素子54は、読み書き可能な不揮発性のICメモリであり、印刷枚数保証カートリッジ50が本体に装着されると、その表面に設けられた出力端子55と本体に設けられた接続端子47とが接続し、コントローラ70による読み書きが可能となる。この記憶素子54には、図3に示すように、印刷枚数保証カートリッジ50の情報である種別情報54aとカートリッジ情報54bとが記憶されている。種別情報54aは、カートリッジの種別を表す情報であり、印刷枚数保証カートリッジ50では、「印刷枚数保証カートリッジ」という情報を含んでいる。カートリッジ情報54bは、そのカートリッジで印刷することが保証されている最大枚数である印刷保証枚数や、現在までにそのカートリッジで印刷を行った枚数である印刷済枚数、印刷保証枚数と印刷済枚数との差分値でありそのカートリッジで印刷が可能な残りの枚数である残余枚数、各インク容器52a〜52f(C,M,Y,R,B,K)に対応する最大インク量(L1max〜L6max)、現在までに印刷で消費した消費インク量、最大インク量と消費インク量との差分値であり現在のインクの残り量であるインク残量、廃液パッド53に最大吸収可能な量である最大廃液量(Wmax)、現在までに廃液パッド53に吸収した量である廃液量、最大廃液量と廃液量の差分値でありあとどれだけの廃液を吸収可能かを表す量である廃液許容量などが含まれている。なお、ここでは、印刷保証枚数は100枚に設定されており、各インク容器52a〜52fには印刷保証枚数の印刷とクリーニングなどに必要なインク量として、上述した最大インク量のインクがそれぞれ充填されている。なお、通常カートリッジは、各インクの充填量が異なること、種別情報54aの種別が「通常カートリッジ」であること及びカートリッジ情報54bに印刷保証枚数と印刷済枚数と残余枚数Nとを含まないこと以外は印刷枚数保証カートリッジ50と同様の構成となっている。
【0023】
キャッピング装置41は、プラテン40の印刷可能領域から図1中の右側に外れた位置に設けられ、略直方体で上部が開口した筐体を備えている。このキャッピング装置41は、印刷休止中などに印刷ヘッド24が乾燥するのを防止するために印刷ヘッド24を封止するときにも利用される。また、キャッピング装置41には、吸引ポンプ42が接続され、吸引ポンプ42を作動するとキャッピング装置41の内部空間に負圧が発生する。キャッピング装置41がノズル23を封止しているときにこの負圧を発生させることにより、印刷ヘッド24内のインクが強制的に吸い出される。吸引ポンプ42によって吸い出されたインクは、廃インクとして廃液チューブ43及び廃液導入口53a(図2参照)を介して印刷枚数保証カートリッジ50の廃液パッド53に吸収される。なお、このキャッピング装置41は、印刷ヘッド24の先端でインクが乾燥して固化するのを防止するために定期的又は所定のタイミングで印刷データとは無関係にインク滴を吐出させる、いわゆるフラッシング動作を行うときにも利用される。
【0024】
操作パネル60は、ユーザがインクジェットプリンタ20に対して各種の指示を入力するためのデバイスであり、図4に示すように、各種の指示に応じた文字、図形又は記号が表示される表示部62や、各種操作を行う操作部64が設けられている。表示部62は、カラー画像を表示する液晶パネルにより構成されている。操作部64には、ユーザが処理や文字等を選択するカーソルなどを移動させるときに押下されるカーソルキー64aや処理選択などを決定するときに押下される決定キー64b、各種情報を表示部62へ表示するときに押下される画面表示キー64c、選択されている画像の印刷を実行するときに押下される印刷実行キー64dなどが配置されている。なお、残余枚数インク残量表示画面80については、詳しくは後述する。
【0025】
コントローラ70は、図1に示すように、メカフレーム48の背面に取り付けられたメイン基板49上に設けられ、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、各種処理プログラムを記憶したROM73と、一時的にデータを記憶したりデータを保存したりするRAM74と、データを書き込み消去可能なフラッシュメモリ75と、外部機器との情報のやり取りを行うインタフェース(I/F)79と、図示しない入出力ポートとを備えている。ROM73には、後述する印刷・表示制御ルーチンなどが記憶されている。また、RAM74には、印刷バッファ領域が設けられており、この印刷バッファ領域に一時的にユーザPC90から送られてきた印刷データが記憶される。フラッシュメモリ75には、印刷枚数保証カートリッジ50の取り外し・再装着に備えて、現在装着中の印刷枚数保証カートリッジ50の上述したカートリッジ情報54bと同様のカートリッジ情報が記憶されている。このコントローラ70には、記憶素子54からの信号や操作パネル60からの信号などが図示しない入力ポートを介して入力されるほか、ユーザPC90から出力された印刷ジョブなどがI/F79を介して入力される。また、コントローラ70からは、印刷ヘッド24への制御信号や駆動モータ33への制御信号、キャリッジモータ34aへの駆動信号、吸引ポンプ42への動作制御信号、操作パネル60への制御信号などが図示しない出力ポートを介して出力されるほか、ユーザPC90への印刷ステータス情報などがI/F79を介して出力される。
【0026】
次に、こうして構成された本実施形態のインクジェットプリンタ20の動作について説明する。図5は、コントローラ70のCPU72により実行される印刷・表示制御ルーチンの一例を表すフローチャートである。このルーチンは、ROM73に記憶され、インクジェットプリンタ20の電源がオンされたあとCPU72により所定タイミングごとに実行される。このルーチンが開始されると、CPU72は、まず、印刷指示があるか否かを判定する(ステップS100)。この判定は、ユーザPC90からの印刷データがRAM74の印刷バッファに記憶されているか否かに基づいて行うものとした。印刷指示がないものと判定されたときには、CPU72は、そのままこのルーチンを終了し、印刷指示があるものと判定されたときには、インクジェットプリンタ20に装着されたインクカートリッジの記憶素子に記憶されている種別情報とカートリッジ情報とを読み出す(ステップS110)。ここでは、印刷枚数保証カートリッジ50の記憶素子54に記憶された種別情報54aとカートリッジ情報54bとを読み出す。
【0027】
続いて、CPU72は、現在装着されているのが印刷枚数保証カートリッジ50であるか否かを種別情報に基づいて判定する(ステップS120)。現在装着されているのが、印刷枚数保証カートリッジ50であるときには、CPU72は、残余枚数Nが閾値Ngend以下であるか否か、インク残量Lが閾値Lgend以下であるか否か又は廃液許容量Wが閾値Wgend以下であるか否かを判定する(ステップS130)。これら閾値Ngend,Lgend,Wgendの値は、印刷枚数保証カートリッジ50で印刷可能か否かを判定するための閾値である。ここでは、閾値Ngendは、印刷保証枚数Nmaxのすべてを印刷したときの残余枚数Nの値、即ち値0に定められ、閾値Lgendは最大インク量Lmaxのすべてのインクを吐出した量に所定のマージンを加えた値に定められ、閾値Wgendは、最大廃液量Wmaxのすべてのインクを吸収したときの廃液許容量Wの値、即ち値0に定められている。また、インク残量Lが閾値Lgend以下であるか否かの判定は、各色ごとに設けた閾値L1end〜L6endを用いて各色のインク残量Lについてそれぞれに行うものとした。残余枚数Nが閾値Nend以下である、インク残量Lが閾値Lend以下である及び廃液許容量Wが閾値Wend以下であるという条件のいずれか1つに該当すると判定されたときには、CPU72は、装着されている印刷枚数保証カートリッジ50ではこれ以上の印刷ができないものとみなし、図7に示すように、その旨の警告メッセージを残余枚数インク残量表示画面80のメッセージ表示部80dに表示し(ステップS140)、このルーチンを終了する。
【0028】
一方、ステップS130で、残余枚数Nが閾値Ngend以下である、インク残量Lが閾値Lgend以下である及び廃液許容量Wが閾値Wgend以下であるという条件のいずれにも該当しないものと判定されたときには、CPU72は、インク残量Lと印刷保証枚数のうち印刷可能な残余枚数Nとを視認可能な態様で表示する残余枚数インク残量表示画面80を表示部62へ表示する(ステップS150)。ここで、残余枚数インク残量表示画面80について説明する。図6は、残余枚数Nが減少したときの残余枚数インク残量表示画面80の説明図であり、図7は、残余枚数Nがなくなったときの残余枚数インク残量表示画面80の説明図である。なお、図4に示した残余枚数インク残量表示画面80は、印刷枚数保証カートリッジ50の使用初期のものである。この残余枚数インク残量表示画面80には、表示内容のタイトルを表示する表示内容表示部80aや、印刷保証枚数と残余枚数との関係を視認可能な態様で表示する残余枚数表示部80b、現在の各色のインク残量Lをバー表示する残量表示部80c、現在の状況などをユーザに文字により報知するメッセージ表示部80dなどが設けられている。残余枚数表示部80bは、印刷保証枚数の所定の割合(ここでは1割とする)に対応する矩形状のブロックが上下に配置され、残余枚数に対応するブロックが着色され、印刷済枚数に対応するブロックが残余枚数に対応するブロックの上側に着色されずに白色で表示されるよう設定されている。具体的には、図6に示すように、例えば残余枚数Nが11〜20枚の間にあるときは、残余枚数表示部80bは、下から2段のブロックが着色されて表示されるようになっている。また、残余枚数表示部80bでは、印刷済枚数が大きくなると印刷保証枚数を領域表示するブロックのうち残余枚数Nに対応するブロックの数が小さくなる態様で表示される。このため、ユーザは、印刷枚数保証カートリッジ50の使用に伴う残余枚数Nの減少の状況を把握しやすい。また、残量表示部80cは、最大インク量Lmaxのうちインク残量Lを視認可能な態様で表示するものであり、最大インク量Lmaxを100%としインク残量Lが閾値Lnendに達した値を0%として着色されたバーにより現在のインク残量を表示するよう設定されている。このように、印刷保証枚数のうち残余枚数Nがゲージ状に領域表示される残余枚数表示部80bと、最大インク量Lmaxのうちインク残量Lがバー表示される残量表示部80cとが一画面に表示されるため、ユーザは印刷枚数保証カートリッジ50の使用状況を素早く視認することができる。
【0029】
さて、ステップS150で残余枚数インク残量表示画面80を表示したあと、CPU72は、印刷指示された印刷データの印刷処理を実行する(ステップS160)。具体的には、CPU72は、駆動モータ33を駆動して紙送りローラ35などを回転させて記録紙Sをプラテン40上の印刷可能領域へ搬送し、RAM74の印刷バッファ内の印刷データをビットマップイメージへ展開し、展開した展開データを記録紙Sに印刷するよう印刷ヘッド24への電圧を制御する。このとき、キャリッジモータ34aを駆動しキャリッジ22をキャリッジ移動方向に往復移動させ、例えば一定間隔おきなどにキャリッジ22をキャッピング装置41へ移動してフラッシング処理やクリーニング処理を実行する。
【0030】
このように、1ページの印刷処理が終了すると、CPU72は、今回の印刷で使用した各色のインク量などを計算し、残余枚数Nとインク残量Lと廃液許容量Wなどキャリッジ情報を更新する(ステップS170)。ここでは、記憶素子54に記憶されているカートリッジ情報54bとフラッシュメモリ75に記憶されているカートリッジ情報とを更新する。残余枚数Nについては、前回の残余枚数から値1を減じて更新する。また、インク残量Lについては、記録紙Sへの印刷処理やフラッシング処理で吐出したインクのドット数とそのドットに対応するインク量とを乗じることにより計算した印刷処理とフラッシング処理とに要した消費インク量と、吸引ポンプ42を駆動したステップ数とこのステップ数に対応するインク量とを乗じることにより計算したクリーニング処理で要した消費インク量と、を前回のインク残量から減じて更新する。また、廃液許容量Wは、上述と同様に計算したフラッシング処理及びクリーニング処理で廃液パッド53へ導入された今回の廃液量を計算し、前回の廃液許容量Wから今回の廃液量を減じて更新する。
【0031】
続いて、CPU72は、印刷データのすべての印刷処理が終了したか否かを判定し(ステップS180)、印刷処理が終了していないと判定されたときには、ステップS130〜S180の処理を実行する。一方、ステップS180で印刷処理が終了したものと判定されたときには、CPU72は、そのままこのルーチンを終了する。このように、印刷枚数保証カートリッジ50が装着されて印刷処理が行われるときには、表示部62へ残余枚数インク残量表示画面80を表示し、ステップS130で残余枚数Nが閾値Ngend以下になったり、インク残量Lが閾値Lgend以下などになると、印刷枚数保証カートリッジ50での印刷処理を行わないようにするのである。なお、印刷保証枚数の印刷処理とクリーニング処理及びフラッシング処理で消費する量を含むインク量のインクを印刷枚数保証カートリッジ50に収容することにより印刷保証枚数を保証しているはずではあるが、万が一、何らかの原因でインク残量Lが閾値Lend以下になったり、廃液パッド53がいっぱいになってしまい、印刷保証枚数の印刷ができずに印刷枚数保証カートリッジ50の使用ができなくなったときには、ユーザは、この印刷枚数保証カートリッジ50をサービスセンタに郵送又は持ち込みを行う。サービスセンタでは、記憶素子54に記憶されたカートリッジ情報54bを読み出し、印刷できなかった枚数に相当する料金の返還をユーザに行う。これにより、印刷可能な枚数の保証がより担保される。
【0032】
一方、ステップS120で現在装着されているのが、印刷枚数保証カートリッジ50ではないとき、即ち通常カートリッジであるときには、CPU72は、インク残量Lが閾値Lnend以下であるか否か又は廃液許容量Wが閾値Wnend以下であるか否かを判定する(ステップS190)。これら閾値Lnend,Wnendの値は、上述した閾値Lgendや閾値Wgendと同様に定められている。また、インク残量Lが閾値Lnend以下であるか否かの判定は、各色ごとに設けた閾値L1nend〜L6nendを用いて各色のインク残量Lについてそれぞれに行うものとした。インク残量Lが閾値Lnend以下である及び廃液許容量Wが閾値Wend以下であるという条件のいずれか1つに該当すると判定されたときには、CPU72は、装着されている通常カートリッジではこれ以上の印刷ができないものとみなし、その旨の警告メッセージをインク残量表示画面81のメッセージ表示部81cに表示し(ステップS140)、このルーチンを終了する。
【0033】
一方、ステップS190でインク残量Lが閾値Lnend以下である及び廃液許容量Wが閾値Wnend以下であるという条件のいずれにも該当しないものと判定されたときには、CPU72は、最大インク量のうちインク残量Lを視認可能な態様で表示するインク残量表示画面81を表示部62に表示する(ステップS200)。ここで、インク残量表示画面81について説明する。図8は、インク残量表示画面81の説明図である。このインク残量表示画面81には、画面のタイトルを表示するタイトル表示部81aや各色のインク残量Lがバー表示される残量表示部81b、現在の状況などをユーザに文字により報知するメッセージ表示部81cなどが設けられている。残量表示部81bは、上述の残量表示部80cと同様のものである。
【0034】
続いて、CPU72は、印刷指示された印刷データの印刷処理を上述と同様に実行し(ステップS210)、1ページの印刷処理が終了すると、CPU72は、今回の印刷で使用した各色のインク量などを計算し、インク残量Lと廃液許容量Wなどキャリッジ情報を上述と同様に更新する(ステップS220)。ここでは、記憶素子に記憶されているカートリッジ情報とフラッシュメモリ75に記憶されているカートリッジ情報とを更新する。続いて、CPU72は、印刷データのすべての印刷処理が終了したか否かを判定し(ステップS230)、印刷処理が終了していないと判定されたときには、ステップS190以降の処理を実行する。一方、ステップS230で印刷処理が終了したものと判定されたときには、CPU72は、そのままこのルーチンを終了する。このように、通常カートリッジが装着されて印刷処理が行われるときには、表示部62へインク残量Lを表示するインク残量表示画面81を表示させ、ステップS130でインク残量Lが閾値Lnend以下などになるまで、残余枚数Nにかかわらず印刷処理を行うのである。
【0035】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の表示部62が本発明の表示手段に相当し、プリンタ機構21が印刷手段に相当し、コントローラ70が判定手段、制御手段及び取得手段に相当し、記憶素子54及びフラッシュメモリ75が記憶手段に相当し、記憶素子54が種別記憶素子及び情報記憶素子に相当する。また、本実施形態のインクが、本発明の着色剤に相当し、記録紙Sが印刷媒体に相当し、印刷枚数保証カートリッジ50の種別情報54a及び通常カートリッジの種別情報が種別情報に相当する。なお、本実施形態では、インクジェットプリンタ20の動作を説明することにより本発明の印刷報知方法の一例も明らかにしている。
【0036】
以上詳述した本実施形態のインクジェットプリンタ20によれば、通常カートリッジが装着されているときにはインク残量Lに関する情報を表示し、印刷可能な枚数の上限である印刷保証枚数が設定された印刷枚数保証カートリッジ50が装着されているときには残余枚数Nに関する情報を印刷保証枚数と残余枚数Nとの関係が視認可能な態様で表示する。このように、印刷保証枚数が設定されていない通常カートリッジではインク残量Lに関する情報を表示し、印刷保証枚数が設定されている印刷枚数保証カートリッジでは残余枚数Nに関する情報を表示するのである。したがって、カートリッジに応じた印刷に関する情報をユーザに提示することができる。また、残余枚数インク残量表示画面80やインク残量表示画面81を表示部62に表示することにより、視覚的に残余枚数Nなどのカートリッジの情報をユーザが視認することができる。
【0037】
また、印刷枚数保証カートリッジ50が装着されているときには残余枚数Nに関する情報と共にインク残量Lに関する情報を表示部62に表示するため、より多くの印刷に関する情報を提示することができる。更に、残余枚数Nとインク残量Lとを記憶素子54に記憶し、プリンタ機構21により記録紙Sへ画像を印刷させたときには、残余枚数Nを減じると共にインク残量Lを減じて記憶素子54に記憶させ、印刷データを受信することにより表示指令を取得したときには、記憶素子54からこれらの値を読み出して表示部62へ表示するため、残余枚数Nとインク残量Lとを比較的容易に管理することができる。更にまた、印刷枚数保証カートリッジ50に設けられた記憶素子54にカートリッジの情報(残余枚数Nなど)を記憶させるため、カートリッジとそのカートリッジの情報とを確実に紐づけることができる。そして、インクを収容したカートリッジを用いて記録紙Sへ写真の画像を印刷するため、文字の印刷と写真の印刷とを混在して印刷するものに比べ画像の印刷に消費されるインクの量のばらつきが小さいことから、比較的適切な量のインクを事前に印刷枚数保証カートリッジ50に収容することができるし、インクを用いて写真を印刷することから、美しい印刷を行うことができる。そしてまた、印刷枚数保証カートリッジ50で印刷保証枚数の印刷が終了するまで、このカートリッジでの印刷を継続し、印刷保証枚数の印刷が終了するとこのカートリッジでの印刷を行わないため、印刷枚数保証カートリッジ50により印刷保証枚数の印刷を確実に行うことができる。
【0038】
更に、印刷保証枚数と残余枚数Nとの関係をブロックを用いてゲージ状に領域表示する残余枚数表示部80bを表示するため、残余枚数Nに対応する領域と前記印刷済枚数に対応する領域とを区別して表示しやすい。また、残余枚数Nと印刷済枚数とが異なる態様で領域表示されるため、文字を読み取るのに比べて比較的迅速に印刷保証枚数と残余枚数Nとの関係を視認することができる。更に、残余枚数と印刷済枚数とが異なる色で領域表示されるため、残余枚数に対応する領域と印刷済枚数に対応する領域とを一層視認しやすい。更にまた、印刷済枚数が大きくなると印刷保証枚数を領域表示する領域のうち残余枚数Nに対応するブロックの数が小さくなるよう表示部62に表示させるため、ユーザは、印刷枚数保証カートリッジ50の使用に伴う残余枚数Nの減少の状況を把握しやすい。
【0039】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0040】
例えば、上述した実施形態では、印刷枚数保証カートリッジ50を装着して印刷を行うときには、残余枚数表示部80bと共に残量表示部80cを含む残余枚数インク残量表示画面80を表示するものとしたが、残量表示部80cの表示を省略してもよい。こうすれば、印刷枚数保証カートリッジ50が装着されているときに、インク残量Lの使用状況は把握できなくなるが、印刷可能に保証されている残余枚数Nは把握することができる。
【0041】
上述した実施形態では、印刷保証枚数の所定の割合に対応する矩形状のブロックが上下に配置された残余枚数表示部80bを備えた残余枚数インク残量表示画面80を表示するものとしたが、図9に示すように、印刷保証枚数を分母とし、残余枚数Nを分子とする数字で表示された残余枚数表示部82bを備えた残余枚数表示画面82を表示させるものとしてもよい。こうすれば、ユーザが印刷保証枚数と残余枚数Nとを細かく認識することができる。なお、図9には、インク残量Lを表示する残量表示部80cを省略したものを示したが、残量表示部80cを表示してもよい。このとき、各インクのインク残量Lについて、最大インク量を分母とし、インク残量Lを分子として数字表示してもよいし、最大インク量を100%としインク残量Lを数字によるパーセント表示してもよい。
【0042】
上述した実施形態では、プリンタ機構21に装着されたカートリッジに設けられた記憶素子に記憶された種別情報を読み出し、読み出した種別情報に基づいて装着されたものが通常カートリッジか印刷枚数保証カートリッジ50かを判定したが、プリンタ機構21に装着されたカートリッジに設けられた種別保持部に基づいて装着されたものが通常カートリッジか印刷枚数保証カートリッジ50かを判定してもよい。例えば、プリンタ機構21のカートリッジを装着する部分に接触式のセンサを設け、プリンタ機構21に装着されたときに、通常カートリッジにはこのセンサに接触しない切欠部(種別保持部)を設け、印刷枚数保証カートリッジ50にはこのセンサに接触する接触部(種別保持部)を設けておく。そして、カートリッジがプリンタ機構21に装着されているときに、このセンサから信号が出力されないと通常カートリッジが装着されていると判定し、このセンサから信号が出力されると印刷枚数保証カートリッジ50が装着されていると判定してもよい。こうすれば、比較的容易に装着されているカートリッジの種別を判定することができる。
【0043】
上述した実施形態では、カートリッジに関する情報(残余枚数Nやインク残量Lなど)を表示部62に表示させることによりユーザへ報知するものとしたが、インクジェットプリンタ20が図示しないスピーカを備えるものとし、CPU72がカートリッジに関する情報を音声に変換し、変換した音声をこのスピーカから出力することによりユーザへ報知するものとしてもよい。こうすれば、音声によって聴覚的にカートリッジに関する情報をユーザに報知することができる。
【0044】
上述した実施形態では、印刷保証枚数や、印刷済枚数、残余枚数、最大インク量、消費インク量、インク残量、最大廃液量、廃液量、廃液許容量などが含まれたカートリッジ情報54bを記憶素子54に記憶するものとしたが、印刷済枚数と残余枚数とのいずれか一方、消費インク量とインク残量とのいずれか一方、廃液量と廃液許容量とのいずれか一方を含むカートリッジ情報を記憶素子54に記憶するものとしてもよい。例えば、印刷済枚数と残余枚数との一方が把握できれば、印刷保証枚数からの差分で他方を計算可能であるからである。こうすれば、カートリッジ情報54bの簡素化を図ることができる。
【0045】
上述した実施形態では、カートリッジ情報54bを記憶素子54とフラッシュメモリ75との両方に記憶するものとしたが、いずれか一方を省略してもよい。こうすれば、メモリの消費を抑えることができる。このとき、印刷枚数保証カートリッジ50とカートリッジ情報54bとの紐付けを考慮すると、フラッシュメモリ75へのカートリッジ情報の保存を省略することが好ましい。
【0046】
上述した実施形態では、ステップS100で印刷指示があったときに表示指示を取得したものとして表示部62に残余枚数インク残量表示画面80やインク残量表示画面81を表示させるものとしたが、例えば画面表示キー64cの押下があったときにユーザの表示指示を取得したものとして残余枚数インク残量表示画面80やインク残量表示画面81を表示部62に表示させるものとしてもよい。こうすれば、ユーザは、望むときに残余枚数Nやインク残量Lを確認することができる。
【0047】
上述した実施形態では、インク残量Lを把握しインク残量Lに基づいてメッセージ表示やシャットオフを実行するものとしたが、インク残量Lの把握及びインク残量Lに基づくメッセージ表示やシャットオフの実行処理を省略してもよい。こうすれば、処理の簡略化を図ることができる。
【0048】
上述した実施形態では、印刷枚数保証カートリッジ50が廃液パッド53を備え、廃液パッド53に廃インクを吸収させ本体側をクリーンにするものとしたが、廃液タンクを本体側に設け、印刷枚数保証カートリッジ50が廃液パッド53を備えないものとしてもよい。このとき、上述した実施形態では、廃液許容量Wを把握し廃液許容量Wに基づいてメッセージ表示やシャットオフを実行するものとしたが、廃液許容量Wの把握及び廃液許容量Wに基づくメッセージ表示やシャットオフの実行処理を省略してもよい。こうすれば、処理の簡略化を図ることができる。
【0049】
上述した実施形態では、残余枚数表示部80bを備えた残余枚数インク残量表示画面80をインクジェットプリンタ20の表示部62に表示するものとしたが、ユーザPC90のディスプレイに残余枚数インク残量表示画面80を表示するものとしてもよい。
【0050】
上述した実施形態では、本体に印刷枚数保証カートリッジ50や通常カートリッジを装着するオフキャリッジ式のプリンタ機構21としたが、キャリッジ22に印刷枚数保証カートリッジを装着するオンキャリッジ式のプリンタ機構としてもよい。
【0051】
上述した実施形態では、通常印刷時について説明したが、例えば、ノズルからのインク吐出状態を調べるノズルチェック印刷処理や印刷ヘッド24からプラテン40までの距離の調整を行うギャップ調整印刷処理などのプリンタメンテナンス処理での印刷処理を印刷枚数保証カートリッジ50や通常カートリッジを用いて行ったときには、ステップS170で残余枚数Nを更新しないものとしてもよい。プリンタメンテナンス処理での印刷は、ユーザの予定するものではなく、プリンタ側の都合から行うものだからである。こうすれば、ユーザの予定する印刷保証枚数の印刷を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】インクジェットプリンタ20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】印刷枚数保証カートリッジ50の構成の概略を表す説明図である。
【図3】種別情報54a及びカートリッジ情報54bの説明図である。
【図4】操作パネル60の説明図である。
【図5】印刷・表示制御ルーチンの一例を表すフローチャートである。
【図6】残余枚数Nが減少したときの残余枚数インク残量表示画面80の説明図である。
【図7】残余枚数Nが値0の残余枚数インク残量表示画面80の説明図である。
【図8】インク残量表示画面81の説明図である。
【図9】残余枚数表示画面82の説明図である。
【符号の説明】
【0053】
20 インクジェットプリンタ、21 プリンタ機構、22 キャリッジ、23 ノズル、24 印刷ヘッド、25 リニア式エンコーダ、28 ガイド、29 供給チューブ、31 紙送り機構、32 キャリッジベルト、33 駆動モータ、34a キャリッジモータ、34b 従動ローラ、35 紙送りローラ、40 プラテン、41 キャッピング装置、42 吸引ポンプ、43 廃液チューブ、47 接続端子、48 メカフレーム、49 メイン基板、50 印刷枚数保証カートリッジ、51a〜51f インク供給口、52a〜52f インク容器、53 廃液パッド、53a 廃液導入口、54 記憶素子、54a 種別情報、54b カートリッジ情報、55 出力端子、60 操作パネル、62 表示部、64 操作部、64a カーソルキー、64b 決定キー、64c 画面表示キー、64d 印刷実行キー、70 コントローラ、72 CPU、73 ROM、74 RAM、75 フラッシュメモリ、79 インタフェース(I/F)、80 残余枚数インク残量表示画面、80a 表示内容表示部、80b,82b 残余枚数表示部、80c,81b 残量表示部、80d,81c,82c メッセージ表示部、81 インク残量表示画面、82 残余枚数表示画面、90 ユーザPC、S 記録紙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を報知可能な報知手段と、
着色剤を収容した通常カートリッジ又は着色剤を収容し印刷可能な枚数の上限である印刷保証枚数が設定された印刷枚数保証カートリッジを装着し該着色剤によって印刷媒体へ画像を印刷可能な印刷手段と、
前記印刷手段に前記通常カートリッジと前記印刷枚数保証カートリッジとのいずれが装着されているかを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記印刷手段に前記通常カートリッジが装着されていると判定されたときには前記通常カートリッジを用いて前記印刷手段に前記印刷媒体へ画像を印刷させ該印刷に基づいて求めた前記着色剤の残量である着色剤残量に関する情報を前記報知手段に報知させ、前記判定手段によって前記印刷手段に前記印刷枚数保証カートリッジが装着されていると判定されたときには前記印刷枚数保証カートリッジを用いて前記印刷手段に前記印刷媒体へ画像を印刷させ該印刷に基づいて求めた前記印刷保証枚数のうち印刷可能な枚数である残余枚数に関する情報を前記報知手段に報知させる制御手段と、
を備えた印刷装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記印刷手段に装着されたカートリッジに設けられた種別記憶素子に記憶された種別情報を読み出し、該読み出した種別情報が前記通常カートリッジのものであるか前記印刷枚数保証カートリッジのものであるかに基づいて前記印刷手段に前記通常カートリッジと前記印刷枚数保証カートリッジとのいずれが装着されているかを判定する、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記判定手段によって前記印刷手段に前記印刷枚数保証カートリッジが装着されていると判定されたときには前記印刷保証枚数のうち印刷可能な枚数である残余枚数に関する情報を該印刷保証枚数と該残余枚数との関係を認識可能な態様で前記報知手段に報知させる、請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記報知手段は、画像を表示可能な表示手段であり、
前記制御手段は、前記判定手段によって前記印刷手段に前記通常カートリッジが装着されていると判定されたときには前記着色剤残量に関する情報を前記表示手段に表示させ、前記判定手段によって前記印刷手段に前記印刷枚数保証カートリッジが装着されていると判定されたときには前記残余枚数に関する情報を前記表示手段に表示させる、請求項1〜3のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記印刷手段に前記印刷枚数保証カートリッジが装着されているときには、前記残余枚数に関する情報と共に前記着色剤残量に関する情報を前記報知手段に報知させる、請求項1〜4のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項6】
請求項5に記載の印刷装置であって、
前記残余枚数と前記着色剤残量とを記憶可能な記憶手段と、
前記残余枚数に関する情報と前記着色剤残量に関する情報とを前記報知手段に報知させる旨の報知指令を取得可能な取得手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記印刷枚数保証カートリッジを装着して前記印刷手段に前記印刷媒体へ画像を印刷させたときには、前記残余枚数を減じると共に前記着色剤残量を減じて前記記憶手段に記憶させ、前記取得手段が前記報知指令を取得したときには、前記記憶手段から前記残余枚数と前記着色剤残量とを読み出し該読み出した結果に基づいて該残余枚数に関する情報と共に該着色剤残量に関する情報を前記報知手段に報知させる、
印刷装置。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記残余枚数を記憶可能な記憶手段と、
前記残余枚数に関する情報を前記報知手段に報知させる旨の報知指令を取得可能な取得手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記印刷枚数保証カートリッジを装着して前記印刷手段に前記印刷媒体へ画像を印刷させたときには、前記残余枚数を減じて前記記憶手段に記憶させ、前記取得手段が前記報知指令を取得したときには、前記記憶手段から前記残余枚数を読み出し該読み出した結果に基づいて該残余枚数に関する情報を前記報知手段に報知させる、
印刷装置。
【請求項8】
前記記憶手段は、前記カートリッジに設けられた情報記憶素子である、請求項6又は7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記印刷手段は、前記着色剤としてインクを収容した前記通常カートリッジ又は前記印刷枚数保証カートリッジを用いて前記印刷媒体へ写真の画像を印刷する、請求項1〜8のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記判定手段によって前記印刷手段に前記印刷枚数保証カートリッジが装着されていると判定されたときに、前記印刷手段によって印刷された該印刷枚数保証カートリッジの印刷済枚数が前記印刷保証枚数に至っているときには該印刷手段に該印刷枚数保証カートリッジを用いた印刷をさせず、前記印刷済枚数が前記印刷保証枚数に至っていないときには該印刷手段に該印刷枚数保証カートリッジを用いて前記印刷媒体へ画像を印刷させる、請求項1〜9のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項11】
情報を報知可能な報知手段と、着色剤を収容した通常カートリッジ又は着色剤を収容し印刷可能な枚数の上限である印刷保証枚数が設定された印刷枚数保証カートリッジを装着し該着色剤によって印刷媒体へ画像を印刷可能な印刷手段と、を備えた印刷装置をコンピュータ・ソフトウェアにより制御する印刷報知方法であって、
(a)前記印刷手段に前記通常カートリッジと前記印刷枚数保証カートリッジとのいずれが装着されているかを判定するステップと、
(b)前記ステップ(a)で前記印刷手段に前記通常カートリッジが装着されていると判定されたときには前記通常カートリッジを用いて前記印刷手段に前記印刷媒体へ画像を印刷させ該印刷に基づいて求めた前記着色剤の残量である着色剤残量に関する情報を前記報知手段に報知させ、前記ステップ(a)で前記印刷手段に前記印刷枚数保証カートリッジが装着されていると判定されたときには前記印刷枚数保証カートリッジを用いて前記印刷手段に前記印刷媒体へ画像を印刷させ該印刷に基づいて求めた前記印刷保証枚数のうち印刷可能な枚数である残余枚数に関する情報を前記報知手段に報知させるステップと、
を含む印刷報知方法。
【請求項12】
請求項11に記載の印刷報知方法の各ステップを1又は複数のコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−253396(P2007−253396A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−79000(P2006−79000)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】