説明

印刷装置、印刷方法、及び、印刷システム

【課題】 溝部にできるだけ多くのインクを堆積させる。
【解決手段】 媒体に対して液体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドにより吐出され前記媒体上に着弾しない前記液体を受ける受け部と、前記受け部を移動させる移動部と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷方法、及び、印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
媒体に向けて液体を吐出して印刷をする印刷装置の1つとして、インクジェットプリンタが知られている。このインクジェットプリンタは、紙等の媒体に対して液体としてインクを吐出して印刷を施すようになっている。最近、このようなインクジェットプリンタにおいて、「縁無し印刷」と呼ばれる印刷が行われている。この「縁無し印刷」では、媒体の大きさよりも広い範囲にインクを吐出し、媒体の縁に余白を作らずに画像を印刷している。
【0003】
縁なし印刷では、媒体の大きさよりも広い範囲にインクを吐出するため、媒体に着弾しないインクが存在する。縁なし印刷を行うプリンタには、媒体に着弾しないインクが媒体の裏面を汚さないようにするため、媒体に着弾しないインクを受けるインク受け部が設けられている。
【特許文献1】特開2002−103585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、インク受け部にインクが堆積し続けると、固化したインクが蓄積し、蓄積したインクの山が高くなると、媒体の裏面を汚すおそれがある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みたものであって、できるだけ多くの液体を受け部に受けさせることを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための主たる発明は、媒体に対して液体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドにより吐出され前記媒体上に着弾しない前記液体を受ける受け部と、前記受け部を移動させる移動部と、を備えることを特徴とする印刷装置である。
【0007】
本発明の他の特徴は、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本明細書及び添付図面の記載により少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0009】
媒体に対して液体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドにより吐出され前記媒体上に着弾しない前記液体を受ける受け部と、前記受け部を移動させる移動部と、を備えることを特徴とする印刷装置。
このような印刷装置にあっては、前記受け部にできるだけ多くの前記液体を堆積させることが可能となる。
【0010】
前記受け部を支えるガイドを更に備え、前記受け部は、前記ガイドに沿って移動可能であることが好ましい。
このような印刷装置にあっては、前記受け部は、前記ガイドに沿って移動可能である。
【0011】
前記媒体が所定枚数印刷される毎に、前記移動部は前記受け部を移動させることが好ましい。
このような印刷装置にあっては、前記媒体が所定枚数印刷される毎に、前記移動部は前記受け部を移動させることが可能となる。
【0012】
前記受け部に堆積した前記液体の堆積量を検出するセンサを更に備え、前記センサにより検出された前記液体の堆積量が予め定められた閾値に達したときに、前記移動部は前記受け部を移動させることが好ましい。
このような印刷装置にあっては、前記センサにより検出された前記液体の堆積量が予め定められた閾値に達したときに、前記移動部は前記受け部を移動させることが可能となる。
【0013】
前記吐出ヘッドは、所定の移動方向に移動中に前記液体を吐出するものであり、前記センサは、前記吐出ヘッドとともに移動可能であることが好ましい。
このような印刷装置にあっては、前記吐出ヘッドは、所定の移動方向に移動中に前記液体を吐出するものであり、前記センサは、前記吐出ヘッドとともに移動可能である。
【0014】
前記吐出ヘッドから吐出された液体の吐出量を検出し、検出された吐出量が予め定められた閾値に達したとき、前記移動部は前記受け部を移動させることが好ましい。
このような印刷装置にあっては、検出された吐出量が予め定められた閾値に達したとき、前記移動部は前記受け部を移動させることが可能となる。
【0015】
前記受け部は、前記媒体の側端部に着弾しない前記液体を受けることが好ましい。
このような印刷装置にあっては、前記受け部は、前記媒体の側端部に着弾しない前記液体を受けることが可能となる。
【0016】
前記吐出ヘッドは、所定の移動方向に移動中に前記液体を吐出するものであり、前記移動部は、前記移動方向に前記受け部を移動させることが好ましい。
このような印刷装置にあっては、前記移動部は、前記移動方向に前記受け部を移動させることが可能となる。
【0017】
前記媒体に縁無し印刷を行うことが好ましい。
このような印刷装置にあっては、前記媒体に縁無し印刷を行うことが可能となる。
【0018】
また、媒体に対して液体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドにより吐出され前記媒体上に着弾しない前記液体を受ける受け部と、前記受け部を移動させる移動部と、を備え、前記受け部の移動を所定の方向に案内するガイドを更に備え、前記媒体が所定枚数印刷される毎に、前記移動部は前記受け部を移動させ、前記受け部は、前記媒体の側端部に着弾しない前記液体を受け、前記吐出ヘッドは、所定の移動方向に移動中に前記液体を吐出するものであり、前記移動部は、前記移動方向に前記受け部を移動させ、前記媒体に縁無し印刷を行うことを特徴とする印刷装置も実現可能である。
このようにすれば、既述の総ての効果を奏するため、本発明の目的が最も有効に達成される。
【0019】
また、吐出ヘッドから媒体に対して液体を吐出し、前記吐出ヘッドにより吐出され前記媒体上に着弾しない前記液体を受ける受け部を移動させることを特徴とする印刷方法も実現可能である。
このようにして実現された印刷方法は、従来方法よりも優れた方法となる。
【0020】
また、コンピュータ本体と、このコンピュータ本体に接続可能な印刷装置とを具備した印刷システムであって、前記印刷装置は、媒体に対して液体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドにより吐出され前記媒体上に着弾しない前記液体を受ける受け部と、前記受け部を移動させる移動部と、を備えることを特徴とする印刷システムも実現可能である。
このようにして実現された印刷システムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。
【0021】
===印刷装置の概要===
本発明に係る印刷装置として、インクジェットプリンタを例にとり、その概要について説明する。図1〜図5は、そのインクジェットプリンタ1の一実施形態の概要を説明するための図である。図1は、そのインクジェットプリンタ1の一実施形態の外観を示す。図2は、そのインクジェットプリンタ1のキャリッジ、及び、その周辺部を示す。図3は、そのインクジェットプリンタ1の搬送部、及び、その周辺部を示す。図4は、そのインクジェットプリンタ1のブロック構成を示す。図5は、吐出ヘッドの下面部に設けられたインクの吐出ノズルの配列を示す。
【0022】
このインクジェットプリンタ1は、図1に示すように、背面から供給された紙を前面から排出する構造を備えており、その前面部には操作パネル2、及び、排紙部3が設けられ、その背面部には給紙部4が設けられている。操作パネル2には、各種操作ボタン5、及び、表示ランプ6が設けられている。また、排紙部3には、不使用時に排紙口を塞ぐ排紙トレー7が設けられている。給紙部4には、カット紙(図示しない)を保持する給紙トレー8が設けられている。なお、インクジェットプリンタ1は、カット紙など単票状の印刷紙のみならず、ロール紙などの連続した紙にも印刷できるような給紙構造を備えていても良い。
【0023】
このインクジェットプリンタ1は、その主要部として、図2、図3、及び、図4に示すように、紙搬送ユニット10と、インク吐出ユニット20と、クリーニングユニット30と、キャリッジユニット40と、計測器群50と、制御ユニット60とを備えている。
【0024】
紙搬送ユニット10は、紙Sを印刷可能な位置に送り込み、印刷時に図2に示される紙搬送方向に紙Sを移動させるためのものである。すなわち、紙搬送ユニット10は、紙Sを搬送する搬送機構として機能する。紙搬送ユニット10は、図2、及び、図4に示すように、紙挿入口11A、及び、ロール紙挿入口11Bと、給紙モータ(不図示)と、給紙ローラ13と、プラテン14と、紙搬送モータ(以下、PFモータという)15と、紙搬送モータドライバ(以下、PFモータドライバという)16と、搬送ローラ17Aと排紙ローラ17Bと、フリーローラ18Aとフリーローラ18Bと、ギヤ19Aとギヤ19Bとプラテン移動モータ19Cとを有する。ただし、紙搬送ユニット10が搬送機構として機能するためには、必ずしも、これらの構成要素を全て要するというわけではない。
【0025】
紙挿入口11Aは、紙Sを挿入するところである。給紙モータ(不図示)は、紙挿入口11Aに挿入された紙Sをプリンタ1内に搬送するモータであり、パルスモータで構成される。給紙ローラ13は、紙挿入口11に挿入された紙Sをプリンタ1内に自動的に搬送するローラであり、給紙モータによって駆動される。給紙ローラ13は、略D形の横断面形状を有している。給紙ローラ13の円周部分の周囲長さは、PFモータ15までの搬送距離よりも長く設定されているので、この円周部分を用いて紙SをPFモータ15まで搬送できる。なお、給紙ローラ13の回転駆動力と分離パッド(不図示)の摩擦抵抗とによって、複数の紙が一度に給紙されることを防いでいる。
【0026】
プラテン14は、印刷中の紙Sを支持する支持部である。プラテン14の底面には、ギヤ19Aが設けられている。そして、ギヤ19Aと噛み合うようにしてギヤ19Bが設けられている。ギヤ19Bは、プラテン移動モータ19Cの回転軸と接続されている。よって、プラテン移動モータ19Cが回転することによって、プラテン14は図3に示される紙搬送方向に移動可能である。
【0027】
PFモータ15は、図2、及び、図4に示すように、紙Sを紙搬送方向に送り出すモータであり、DCモータで構成される。PFモータドライバ16は、PFモータ15の駆動を行うためのものである。搬送ローラ17Aは、給紙ローラ13によってプリンタ内に搬送された紙Sを印刷可能な領域まで送り出すローラであり、PFモータ15によって駆動される。フリーローラ18Aは、搬送ローラ17Aと対向する位置に設けられ、紙Sを搬送ローラ17Aとの間に挟むことによって紙Sを搬送ローラ17Aに向かって押さえる。
【0028】
排紙ローラ17Bは、印刷が終了した紙Sをプリンタの外部に排出するローラである。排紙ローラ17Bは、不図示の歯車により、PFモータ15によって駆動される。フリーローラ18Bは、排紙ローラ17Bと対向する位置に設けられ、紙Sを排紙ローラ17Bとの間に挟むことによって紙Sを排紙ローラ17Bに向かって押さえる。
【0029】
インク吐出ユニット20は、紙Sにインクを吐出するためのものである。インク吐出ユニット20は、図2に示すように、吐出ヘッド21と、ヘッドドライバ22とを有する。吐出ヘッド21は、インク吐出部であるノズルを複数有し、各ノズルから断続的にインクを吐出する。ヘッドドライバ22は、吐出ヘッド21を駆動して、吐出ヘッド21から断続的にインクを吐出させるためのものである。
【0030】
クリーニングユニット30は、図2にも示すように、吐出ヘッド21のノズルの目詰まりを防止するためのものである。クリーニングユニット30は、ポンプ装置31と、キャッピング装置35とを有する。ポンプ装置31は、吐出ヘッド21のノズルの目詰まりを防止するため、ノズルからインクを吸い出すものであり、ポンプモータ32とポンプモータドライバ33とを有する。ポンプモータ32は、吐出ヘッド21のノズルからインクを吸引する。ポンプモータドライバ33は、ポンプモータ32を駆動する。キャッピング装置35は、吐出ヘッド21のノズルの目詰まりを防止するため、印刷を行わないとき(待機時)に、吐出ヘッド21のノズルを封止する。
【0031】
キャリッジユニット40は、吐出ヘッド21を移動させるためのものである。キャリッジユニット40は、キャリッジ41と、キャリッジモータ(以下、CRモータという)42と、キャリッジモータドライバ(以下、CRモータドライバという)43と、プーリ44と、タイミングベルト45と、ガイドレール46とを有する。キャリッジ41は、移動可能であって、吐出ヘッド21を固定している(したがって、吐出ヘッド21のノズルは、移動しながら、断続的にインクを吐出する)。また、キャリッジ41は、インクを収容するインクカートリッジ48、49を着脱可能に保持している。CRモータ42は、キャリッジ41を移動させるモータであり、DCモータで構成される。CRモータドライバ43は、CRモータ42を駆動するためのものである。プーリ44は、CRモータ42の回転軸に取付けられている。タイミングベルト45は、プーリ44によって駆動される。ガイドレール46は、キャリッジ41を案内する。
【0032】
計測器群50には、リニア式エンコーダ51と、ロータリー式エンコーダ52と、紙検出センサ53がある。リニア式エンコーダ51は、キャリッジ41の位置を検出するためのものである。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ17Aの回転量を検出するためのものである。なお、エンコーダの構成等については、後述する。紙検出センサ53は、紙Sの先端の位置を検出するためのものである。この紙検出センサ53は、給紙ローラ13が搬送ローラ17Aに向かって紙Sを搬送する途中で、紙Sの先端の位置を検出できる位置に設けられている。なお、紙検出センサ53は、機械的な機構によって紙Sの先端を検出するメカニカルセンサである。詳しく言うと、紙検出センサ53は紙搬送方向に回転可能なレバーを有し、このレバーは紙Sの搬送経路内に突出するように配置されている。そのため、紙Sの先端がレバーに接触し、レバーが回転させられるので、紙検出センサ53は、このレバーの動きを検出することによって、紙Sの先端の位置を検出する。
【0033】
制御ユニット60は、プリンタの制御を行うためのものである。制御ユニット60は、CPU61と、タイマ62と、インターフェース部63と、ASIC64と、メモリ65と、DCコントローラ66とを有する。CPU61は、プリンタ全体の制御を行うためのものであり、DCコントローラ66、PFモータドライバ16、CRモータドライバ43、ポンプモータドライバ33、及び、ヘッドドライバ22に制御指令を与える。タイマ62は、CPU61に対して周期的に割り込み信号を発生する。インターフェース部63は、プリンタの外部に設けられたホストコンピュータ67との間でデータの送受信を行う。ASIC64は、ホストコンピュータ67からインターフェース部63を介して送られてくる印刷情報に基づいて、印刷の解像度や吐出ヘッドの駆動波形等を制御する。メモリ65は、ASIC64、及び、CPU61のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶手段を有する。DCコントローラ66は、CPU61から送られてくる制御指令と計測器群50からの出力に基づいて、PFモータドライバ16、及び、CRモータドライバ43を制御する。
【0034】
このようなインクジェットプリンタ1では、印刷時において、紙Sが搬送ローラ17Aにより間欠的に所定の搬送量で搬送され、その間欠的な搬送の合間にキャリッジ41が、搬送ローラ17Aによる搬送方向に対して交差する方向に沿って移動しながら、吐出ヘッド21から紙Sに向けてインクを吐出する。この吐出されたインクによって、紙S上にはドットが形成され、当該ドットが多数形成されて紙S上に画像が形成される。
【0035】
===吐出ヘッド21の吐出機構===
図5は、吐出ヘッド21の下面部に設けられたインクの吐出ノズルの配列を示した図である。吐出ヘッド21の下面部には、同図に示すように、透明無色のクリアインク、ブラックインク(K)、シアンインク(C)、マゼンタインク(M)、及び、イエロインク(Y)の各色ごとにそれぞれ複数のノズル♯1〜♯13からなるノズル列211が設けられている。なお、これらの色のうち、ブラックインク(K)は無彩色に、シアンインク(C)、マゼンタインク(M)、及び、イエロインク(Y)は有彩色に該当する。また、透明無色のクリアインクは、無彩色、及び、有彩色の発色光を良くする。各ノズル♯1〜♯13は、紙Sの搬送方向に沿って直線状に配列されている。各ノズル列211は、吐出ヘッド21の移動方向に沿って相互に間隔をあけて平行に配置されている。各ノズル♯1〜♯13には、インク滴を吐出するための駆動素子としてピエゾ素子(図示外)が設けられている。
【0036】
ピエゾ素子は、その両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加すると、電圧の印加時間に応じて伸張し、インクの流路の側壁を変形させる。これによって、インクの流路の体積がピエゾ素子の伸縮に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、インク滴となって各色の各ノズル♯1〜♯13から吐出される。
【0037】
===ホストの処理===
図6は、ホスト67の処理を概略的に説明する図である。同図に示すように、ホスト67は、プリンタ1に接続されたコンピュータ本体90と、表示装置93とを備えている。コンピュータ本体90には、プリンタ1の動作を制御する「プリンタドライバ」と呼ばれるコンピュータプログラム96が搭載されている。プリンタドライバ96は、同図に示すように、ホスト67に搭載された所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラム95が動作している。オペレーティングシステムには、ビデオドライバ91やプリンタドライバ96が組み込まれており、アプリケーションプログラム95からは、これらのドライバを介して、インクジェットプリンタ1に転送するための印刷データPDが出力される。画像のレタッチなどを行うアプリケーションプログラム95は、処理対象の画像に対して所望の処理を行い、また、ビデオドライバ91を介して表示装置93に画像を表示している。
【0038】
アプリケーションプログラム95が印刷命令を発すると、コンピュータ本体90のプリンタドライバ96が、画像データをアプリケーションプログラム95から受け取り、これをインクジェットプリンタ1に供給する印刷データPDに変換する。プリンタドライバ96の内部には、解像度変換モジュール97と、色変換モジュール98と、ハーフトーンモジュール99と、ラスタライザ100と、ユーザーインターフェース表示モジュール101と、UIプリンタインターフェースモジュール102と、色変換ルックアップテーブルLUTと、が備えられている。
【0039】
解像度変換モジュール97は、アプリケーションプログラム95で形成されたカラー画像データの解像度を、印刷解像度に変換する役割を果たす。こうして解像度変換された画像データは、まだRGBの3つの色成分からなる画像情報である。色変換モジュール98は、色変換ルックアップテーブルLUTを参照しつつ、各画素毎に、RGB画像データを、インクジェットプリンタ1が利用可能な複数のインク色の多階調データに変換する。
【0040】
色変換された多階調データは、例えば256階調の階調値を有している。ハーフトーンモジュール99は、いわゆるハーフトーン処理を実行してハーフトーン画像データを生成する。このハーフトーン画像データは、ラスタライザ100によりインクジェットプリンタ1に転送すべきデータ順に並べ替えられ、最終的な印刷データPDとしてインクジェットプリンタ1に出力される。印刷データPDは、各キャリッジ移動時のドットの形成状態を示すラスタデータと、紙送り量を示すデータと、を含んでいる。
【0041】
ユーザーインターフェース表示モジュール101は、印刷に関係する種々のユーザーインターフェースィンドウを表示する機能と、それらのウィンドウ内におけるユーザーの入力を受け取る機能とを有している。
【0042】
UIプリンタインターフェースモジュール102は、ユーザーインターフェース(UI)とプリンタ1間のインターフェースを取る機能を有している。ユーザーがユーザーインターフェースにより指示した命令を解釈して、インクジェットプリンタ1へ各種コマンドCOMを送信したり、逆に、インクジェットプリンタ1から受信したコマンドCOMを解釈して、ユーザーインターフェースへ各種表示を行ったりする。
【0043】
なお、プリンタドライバ96は、各種コマンドCOMを送受信する機能、印刷データPDをインクジェットプリンタ1に供給する機能等を実現する。このようなプリンタドライバ96の機能を実現するためのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で供給される。このような記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、ホスト67の内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)、及び、外部記憶装置等の、ホスト67が読み取り可能な種々の媒体を利用できる。また、このようなコンピュータプログラムを、インターネットを介してコンピュータ本体90にダウンロードすることも可能である。
【0044】
===縁無し印刷===
本実施形態に係るインクジェットプリンタ1にあっては、印刷モードとして、通常印刷モードと縁無し印刷モードを備えている。
【0045】
通常印刷モードは、印刷領域Pが紙S上に収まるように印刷を行うモードである。図7は、通常印刷モードにおける印刷領域Pと紙Sとのサイズの関係を示したものである。同図に示すように、印刷領域Pは紙S内に納まるように設定され、紙Sの外周部、すなわち、左右両側縁部、及び、上下両側縁部には、余白が形成される。
【0046】
プリンタドライバ96は、通常印刷モードが設定されていた場合、アプリケーションプログラムから与えられた画像データに基づき、印刷領域Pが紙Sに収まるように印刷データPDを生成する。ここで、印刷領域Pを紙S内に納めることができないような画像データを処理する場合には、画像データにより表される画像の一部を印刷対象から除外したり、また、その画像を縮小処理するなどして紙Sに収まるようにすることもある。
【0047】
一方、「縁無し印刷モード」は、紙Sに余白が形成されないように印刷を行うモードである。インクは、紙Sから外れる領域にも吐出される。図8は、「縁無し印刷モード」における印刷領域Pと紙Sとのサイズの関係を示したものである。同図に示すように、「紙無し印刷モード」では、印刷領域Pが紙Sよりも大きくなるように設定される。紙Sの周縁部、すなわち、左右両側縁部、及び、上下両側縁部には、余白が形成されていない。
【0048】
プリンタドライバ96は、「縁無し印刷モード」が設定されていた場合には、印刷領域Pが紙Sからはみ出るような印刷データPDを生成することができる。ここで、印刷領域Pが紙Sよりも小さくなるような画像データを処理する場合には、印刷領域Pが紙S全体に行き渡るように印刷領域Pを拡大したりすることができる。これによって、縁の無い見栄えに優れた印刷を行うことができる。
【0049】
<打ち捨てられるインクの処理>
「縁無し印刷モード」において紙Sに着弾しないインクは、紙Sの裏面やプラテン14を汚す等の悪影響を及ぼす虞がある。このため、本実施形態に係るプリンタ1では、紙Sに着弾しないインクを受ける受け部として溝部80を備えている。
【0050】
図9、図10、及び、図11を参照して溝部80について説明する。図9は、プラテン14に形成される溝部についての説明図である。図10は、上流側溝部と下流側溝部についての説明図である。図11は、左側溝部と右側溝部についての説明図である。
【0051】
図9に示されるように、溝部80は、上流側溝部80A、下流側溝部80B、左側溝部80C、及び、右側溝部80Dを備えている。図10に示されるように、上流側溝部80Aは、プラテン14の紙搬送方向上流側に設けられた溝部である。下流側溝部80Bは、プラテン14の紙搬送方向下流側に設けられた溝部である。上流側溝部80Aと下流側溝部80Bは、キャリッジの移動方向に沿って、直線上に形成されている。図11に示されるように、左側溝部80Cは、プラテン14の左端部に設けられた溝部である。右側溝部80Dは、プラテン14の右端部に設けられた溝部である。左側溝部80Cと右側溝部80Dは、紙搬送方向に沿って、直線上に設けられている。
【0052】
そして、図8に示される紙Sの外側にある印刷領域のうちの紙上端側の印刷領域に向けて吐出されるインクは、図10に示される上流側溝部80Aに堆積する。図8に示される紙Sの外側にある印刷領域のうちの紙下端側の印刷領域に向けて吐出されるインクは、図10に示される下流側溝部80Bに堆積する。
【0053】
また、図8に示される紙Sの外側にある印刷領域のうちの紙左端側の印刷領域に向けて吐出されるインクは、図11に示される左側溝部80Cに堆積する。図8に示される紙Sの外側にある印刷領域のうちの紙右端側の印刷領域に向けて吐出されるインクは、図11に示される右側溝部80Dに堆積する。
【0054】
溝部に堆積するインクの山が高くなると、紙Sの裏面が、インクの山に接触し、汚れてしまう虞がある。そこで、本実施の形態においては、インクの山が高くなると、プラテン14を移動する処理が実行される。以下の印刷処理の説明において、プラテン14を移動する処理について説明する。
【0055】
===印刷処理について===
次に、図12を参照して、印刷処理について説明する。図12は、印刷処理を説明するフローチャートである。
【0056】
ユーザーがアプリケーションプログラム95等において印刷を行う旨を指示する(ステップS11)。本指示を受け取ったアプリケーションプログラム95は、インクジェットプリンタ1に転送するための印刷データPDを出力する。インクジェットプリンタ1は、印刷データPDをインターフェース部63により受信した後に、CPU61、又は、DCコントローラ66へ送信する。
【0057】
ステップS12において、CPU61は、紙が所定枚数印刷されたか否かを判断する。プリンタは不図示のカウンタにより印刷枚数をカウントしており、CPU61は、このカウンタの値と、予め設定されている所定枚数とを比較する。インクジェットプリンタ1の設計者、もしくは、組立者は、実験等により予めこの所定枚数を求めておく。印刷枚数が所定枚数以内であれば、溝部のインクの山が紙に達しないように、所定枚数が設定されている。CPU61が、紙が所定枚数印刷されていないと判断した場合、処理はステップS13に進む。
【0058】
ステップS13において、CPU61は、紙送りモータドライバ16によりPFモータ15を駆動させる等して、紙Sの給紙を行う。
ステップS14において、CPU61は、ヘッドドライバ22により吐出ヘッド21を駆動させて、インクを吐出させる。
ステップS15において、CPU61は、紙Sの搬送を行う。CPU61は、搬送モータを駆動し、搬送ローラを回転させて紙Sを紙搬送方向に搬送する。この搬送処理により、吐出ヘッド21は、先程インクを吐出した位置とは異なる位置に、インクを吐出することができる。
【0059】
ステップS16において、CPU61は、給紙された紙Sの印刷が終了したか否かを判定する。ステップS16において、CPU61が、給紙された紙Sの印刷が終了していないと判定した場合、処理はステップS14に戻り、ステップS14、及び、ステップS15の処理が再び繰り返される。ステップS16において、CPU61が、給紙された紙Sの印刷が終了したと判定した場合、処理は、ステップS17に進む。
【0060】
ステップS17において、CPU61は、排紙ローラを回転させることにより、印刷した紙Sを外部に排出する。
ステップS18において、CPU61は、紙の枚数をカウントするカウンタの値を1つあげる。
【0061】
ステップS19において、CPU61は、次の紙に印刷すべき印刷データがあるか否かを判定する。印刷すべき印刷データがない場合、処理は終了する。次の紙に印刷すべき印刷データがある場合、次の紙の印刷を行うため、処理はステップS12に戻る。
【0062】
ステップS12において、CPU61が、紙が所定枚数印刷されたと判断した場合、処理はステップS20に進む。
ステップS20において、CPU61は、プラテン14が移動可能であるか否かを判断する。CPU61が、プラテン14が移動可能であると判断した場合、処理はステップS21に進む。
【0063】
ステップS21において、CPU61は、プラテン14を所定量移動させる。ここで、プラテン14を移動させるのは、紙Sの裏面に、溝部に堆積したインクを接触させないようにするためである。このことを図13A、図13B、及び、図13Cを参照して説明する。ステップS12において、CPU61が、紙が所定枚数印刷されたと判断した場合には、図13Aに示されるように、溝部80Cの範囲C1、及び、溝部80Dの範囲D1には、インクが、紙Sの裏面に接触するくらいまで堆積している。このままの状態で溝部80Cの範囲C1、及び、溝部80Dの範囲D1にインクが堆積し続けた場合、紙Sの裏面にインクが接触し、紙Sの裏面が汚れてしまう虞がある。そこで、CPU61は、プラテン移動モータ19Cを回転させ、プラテン14を移動させる。図13Aに示される状態からCPU61は、プラテン移動モータ19Cを反時計回りに回転させる。プラテン移動モータ19Cが反時計回りに回転すると、ギヤ19Bも反時計回りに回転する。ギヤ19Bが反時計回りに回転すると、ギヤ19Bと噛み合わされたギヤ19Aは図中において左方向に移動され、プラテン14は図13Bに示される位置に移動する。以後、吐出ヘッド21から吐出され紙Sに着弾しないインクは、左側溝部80Cの範囲C2、及び、右側溝部80Dの範囲D2に堆積する。
【0064】
本実施の形態においては、このように溝部80Cの範囲C1、及び、溝部80Dの範囲D1に、インクが紙Sの裏面に接触するくらいまで堆積した場合、CPU61は、プラテン14を移動させることによって、紙Sに着弾しないインクを堆積させる場所を溝部80Cの範囲C2、及び、溝部80Dの範囲D2に変えることができる。したがって、ユーザーは、わざわざ印刷処理を中断して、溝部に堆積したインクを取り除く必要はなく、そのまま印刷処理を継続させることが可能となる。
【0065】
ステップS21の処理が終了した後、処理はステップS22に進む。ステップS22において、CPU61は、紙の枚数をカウントするカウンタをリセットする。ステップS22の処理が終了した後、処理はステップS13に進む。そして、以後の処理が繰り返し実行される。
【0066】
ステップS12において、CPU61が、再び、紙が所定枚数印刷されたと判断した場合には、図13Bに示されるように、溝部80Cの範囲C2、及び、溝部80Dの範囲D2には、インクが紙Sの裏面に接触するくらいまで堆積している。そこで、CPU61は、プラテン移動モータ19Cを回転させ、プラテン14を図13Cに示される位置に移動する。以後、吐出ヘッド21から吐出され紙Sに着弾しないインクは、左側溝部80Cの範囲C3、及び、右側溝部80Dの範囲D3に堆積する。CPU61は、紙の枚数をカウントするカウンタをリセットする。そして、処理はステップS13に進み、以後の処理が繰り返し実行される。
【0067】
そして、ステップS12において、CPU61が、再び、紙が所定枚数印刷されたと判断した場合には、図13Cに示されるように、溝部80Cの範囲C3、及び、溝部80Dの範囲D3には、インクが、紙Sの裏面に接触するくらいまで堆積している。図13Cに示される状態においては、溝部80C、及び、溝部80Dには、これ以上インクを堆積させることはできない。よって、プラテン14が図13Cに示される位置に移動した後には、プラテン14は、移動不可能である。
【0068】
本実施の形態においては、このように溝部80C、及び、溝部80Dの所定の範囲に、インクが紙Sの裏面に接触するくらいまで堆積した場合、CPU61は、プラテン14を移動させてインクを堆積させる場所を変える処理を、それぞれの溝部がインクで満たされるまで繰り返し実行する。したがって、それぞれの溝部がインクで満たされるまで、ユーザーは、印刷処理を中断する必要はなく、そのまま印刷処理を継続させることが可能となる。
【0069】
また、本実施の形態においては、溝部80C、及び、溝部80Dの溝幅は、それぞれ約3mmである。そして、溝部80Cの範囲C1、範囲C2、範囲C3、及び、溝部80Dの範囲D1、範囲D2、範囲D3は、それぞれ約1mmである。したがって、本実施の形態においては、CPU61は、図13Aに示される状態から図13Bに示される状態までと、図13Bに示される状態から図13Cに示される状態までの2段階で、プラテン14を移動させてインクを堆積させる場所を変えることが可能である。
【0070】
溝部80Cの範囲C1、範囲C2、範囲C3、及び、溝部80Dの範囲D1、範囲D2、範囲D3がそれぞれ約1mmである理由は、紙Sに着弾しないインクは幅約1mmにわたって堆積するからである。したがって、インクの特性によって、インクが堆積する幅が異なる場合は、インクが堆積する幅に合わせて、それぞれの範囲を定めればよい。
【0071】
ステップS20において、CPU61が、プラテン14が移動不可能であると判断した場合、処理はステップS23に進む。ステップS23において、CPU61は、表示パネル74に「印刷不可能です」と表示させる等して、ユーザーに印刷不可であることを報知する。ステップS23の処理が終了した後、印刷処理は終了する。
【0072】
===印刷システム等の構成===
次に、本発明に係る印刷システムの一例について説明する。
【0073】
図14は、印刷システムの外観構成を示した説明図である。印刷システム1000は、コンピュータ本体1102と、表示装置1104と、プリンタ1106と、入力装置1108と、読取装置1110とを備えている。コンピュータ本体1102は、本実施形態ではミニタワー型の筐体に収納されているが、これに限られるものではない。表示装置1104は、CRT(Cathode Ray Tube:陰極線管)やプラズマディスプレイや液晶表示装置等が用いられるのが一般的であるが、これに限られるものではない。プリンタ1106は、上記に説明されたプリンタが用いられている。入力装置1108は、本実施形態ではキーボード1108Aとマウス1108Bが用いられているが、これに限られるものではない。読取装置1110は、本実施形態ではフレキシブルディスクドライブ装置1110AとCD−ROMドライブ装置1110Bが用いられているが、これに限られるものではなく、例えばMO(Magnet Optical)ディスクドライブ装置やDVD(Digital Versatile Disk)等の他のものであっても良い。
【0074】
図15は、図14に示した印刷システムの構成を示すブロック図である。コンピュータ本体1102が収納された筐体内にRAM等の内部メモリ1202と、ハードディスクドライブユニット1204等の外部メモリがさらに設けられている。
【0075】
上述したプリンタの動作を制御するコンピュータプログラムは、例えばインターネット等の通信回線を経由して、プリンタ1106に接続されたコンピュータ1000等にダウンロードさせることができるほか、コンピュータによる読み取り可能な記録媒体に記録して配布等することもできる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスクFD、CD−ROM、DVD−ROM、光磁気ディスクMO、ハードディスク、メモリ等の各種記録媒体を用いることができる。なお、このような記憶媒体に記憶された情報は、各種の読取装置1110によって、読み取り可能である。
【0076】
なお、以上の説明においては、プリンタ1106が、コンピュータ本体1102、表示装置1104、入力装置1108、及び、読取装置1110と接続されてコンピュータシステムを構成した例について説明したが、これに限られるものではない。例えば、コンピュータシステムが、コンピュータ本体1102とプリンタ1106から構成されても良く、コンピュータシステムが表示装置1104、入力装置1108、及び、読取装置1110のいずれかを備えていなくても良い。また、例えば、プリンタ1106が、コンピュータ本体1102、表示装置1104、入力装置1108、及び、読取装置1110のそれぞれの機能又は機構の一部を持っていても良い。一例として、プリンタ1106が、画像処理を行う画像処理部、各種の表示を行う表示部、及び、デジタルカメラ等により撮影された画像データを記録した記録メディアを着脱するための記録メディア着脱部等を有する構成としても良い。
【0077】
また、上述した実施形態において、プリンタを制御するコンピュータプログラムが、制御ユニット60の記憶媒体であるメモリ65に取り込まれていても良い。そして、制御ユニット60が、メモリ65に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより、上述した実施形態におけるプリンタの動作を達成しても良い。
【0078】
このようにして実現された印刷システムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。
【0079】
===その他の実施の形態===
以上、一実施形態に基づき、本発明に係るプリンタ等の印刷装置について説明したが、上記の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更または改良され得るとともに、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に係る印刷装置に含まれるものである。
【0080】
また、本実施の形態においては、CPU61は、プラテン移動モータ19Cを回転させギヤ19Bを回転させることによって、ギヤ19Aを移動させてプラテン14を移動させた。しかしながら、例えば、図16に示されるようにギヤを用いず偏芯カムを用いてプラテン14を移動させることも可能である。図16に示される例においては、プラテン14の右側面には、偏芯カム19Gが設けられている。プラテン14の左側面には、一端が固定部に接続され、他端がプラテン14の左側面に接続されたバネ19Fが設けられている。偏芯カム19Gがモーター(図示せず)によって回転されると、プラテン14は、図中において左方向に移動可能である。
【0081】
また、本実施の形態においては、紙Sが所定枚数印刷される毎に、CPU61は、プラテン14を移動させた。しかしながら、例えば、センサによって溝部に堆積したインク量(堆積量)を検出し、インク量が予め設定した値(閾値)を超えた場合に、CPU61は、プラテン14を移動させるようにすることもできる。そのような場合の構成について図17A、図17B、及び、図17Cを参照して説明する。
【0082】
図17Aは、吐出ヘッド21に反射型光学センサ54が設けられていることを説明する説明図である。図17Bは、溝部に堆積したインク量が少ない場合に、受光部材542が受光する光量について説明する説明図である。図17Cは、溝部に堆積したインク量が多い場合に、受光部材542が受光する光量について説明する説明図である。
【0083】
図17Aに示されるように吐出ヘッド21の左側面には反射型光学センサ54が設けられている。反射型光学センサ54は、紙Sの端部を検出するセンサである。例えば、反射型光学センサ54は、紙Sの左端部、及び、右端部を検出することができ、これにより、紙Sの幅を検出することができる。そして、紙Sに縁無し印刷が実行される場合には、プリンタドライバ96は、検出された紙Sの幅に基づいて、印刷領域Pが紙Sからはみ出るような印刷データPDを生成する。
更に、反射型光学センサ54によって溝部に堆積したインク量(堆積量)を検出することができる。
【0084】
図17Bに示されるように、例えば、反射型光学センサ54の発光部材541から溝部80C(80D)に堆積したインクまでの距離hが大きい場合、すなわち、溝部80C(80D)にまだインクがあまり堆積していない場合、受光部材542には、反射光は入射せず、拡散光しか入射しない。したがって、受光部材542が受光する光量は少ない。
【0085】
一方、図17Cに示されるように、例えば、反射型光学センサ54の発光部材541から溝部80C(80D)に堆積したインクまでの距離hが小さい場合、すなわち、溝部80C(80D)にインクが堆積している場合、受光部材542には、反射光が入射する。したがって、受光部材542が受光する光量は大きい。
【0086】
したがって、受光部材542が受光する光量と、発光部材541から溝部80C(80D)に堆積したインクまでの距離との関係を予め求めておけば、受光部材542が受光した光量に基づいて、発光部材541から溝部80C(80D)に堆積したインクまでの距離、すなわち、溝部80C(80D)に堆積したインク量(堆積量)を検出することが可能である。そして、インクが紙Sの裏面に接触するまで堆積した場合に、CPU61は、プラテン14を移動させる。
このように、紙Sの端部を検出するセンサによって、溝部に堆積したインク量を検出するので、溝部に堆積したインク量を検出するための新たなセンサを設ける必要はない。
【0087】
また、CPU61は、累積打ち漏らしインク量に基づいて、プラテン14を移動させるようにすることも可能である。すなわち、CPU61は、各ノズル列211(クリア)、211(K)、211(C)、211(M)、211(Y)の#1〜#13のノズルから溝部に向けて吐出されるインク量(吐出量)の累積をカウントする。そして、CPU61は、インク量の累積が予め設定された所定の値(閾値)を超えた場合に、プラテン14を移動させる。予め設定された所定の値とは、インクが紙Sと接触するくらいまで累積した値のことである。
【0088】
また、本実施の形態においては、プラテン14は、紙Sの左右方向に移動した。この場合、プラテン14に設けられた左側溝部80C、及び、右側溝部80Dに、紙Sの左右両端部に着弾しないインクを、それぞれの溝幅全てにわたって堆積させることが可能であった。しかしながら、プラテン14を紙Sの上下方向に移動させることも可能である。この場合、プラテン14に設けられた上流側溝部80A、及び、下流側溝部80Bに、紙Sの上下両端部に着弾しないインクを、それぞれの溝幅全てにわたって堆積させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】インクジェットプリンタの一実施形態を示した斜視図である。
【図2】インクジェットプリンタの全体構成の説明図である。
【図3】インクジェットプリンタのキャリッジ等を示す図である。
【図4】インクジェットプリンタの搬送機構を示す図である。
【図5】吐出ヘッドにおけるノズルの配列を示す説明図である。
【図6】ホスト側の処理を説明するための説明図である。
【図7】通常印刷時の印刷領域と紙との関係を説明する説明図である。
【図8】縁無し印刷時の印刷領域と紙との関係を説明する説明図である。
【図9】プラテン14に形成される溝部についての説明図である。
【図10】プラテン14の紙搬送方向上流側に設けられた溝部、及び、紙搬送方向下流側に設けられた溝部について説明する説明図である。
【図11】プラテン14の左端部に設けられた溝部、及び、右端部に設けられた溝部について説明する説明図である。
【図12】印刷処理を説明するフローチャートである。
【図13】図13A、図13B、及び、図13Cは、プラテン14を移動させることによって、インクを紙Sの裏面に接触させないようにすることについて説明する説明図である。
【図14】コンピュータシステムの外観構成図である。
【図15】コンピュータシステムの構成を示すブロック図である。
【図16】プラテン14を偏芯カム19Gによって移動させる様子を説明する説明図である。
【図17】図17Aは、吐出ヘッド21に反射型光学センサ54が設けられていることを説明する説明図である。図17Bは、溝部に堆積したインク量が少ない場合に、受光部材542が受光する光量について説明する説明図である。図17Cは、溝部に堆積したインク量が多い場合に、受光部材542が受光する光量について説明する説明図である。
【符号の説明】
【0090】
1 インクジェットプリンタ、2 操作パネル、3 排紙部、4 給紙部、
5 操作ボタン、6 表示ランプ、7 排紙トレー、8 給紙トレー、
10 紙搬送ユニット、
13 給紙ローラ、 14 プラテン、
15 紙搬送モータ(PFモータ)、
16 紙搬送モータドライバ(PFモータドライバ)、
17A 搬送ローラ、 17B 排紙ローラ、
18A・18B フリーローラ、 19A・19B ギヤ、
19C プラテン移動モータ、 19D・19E ガイド、
19F バネ、 19G 偏芯カム、
20 インク吐出ユニット、
21 吐出ヘッド、 211 ノズル列、 22 ヘッドドライバ、
30 クリーニングユニット、
31 ポンプ装置、 32 ポンプモータ、33 ポンプモータドライバ、
35 キャッピング装置、40 キャリッジユニット、41 キャリッジ、
42 キャリッジモータ(CRモータ)、
43 キャリッジモータドライバ(CRモータドライバ)、
44 プーリ、 45 タイミングベルト、 46 ガイドレール、
50 計測器群、 51 リニア式エンコーダ、
52 ロータリー式エンコーダ、 53 紙検出センサ、
54 反射型光学センサ、 541 発光部材、 542 受光部材、
60 制御ユニット、 61 CPU、 62 タイマ、
63 インターフェース部、 64 ASIC、 65 メモリ、
66 DCコントローラ、 67 ホストコンピュータ、
80 溝部、 80A 上流側溝部、 80B 下流側溝部、
80C 左側溝部、 80D 右側溝部、
90 コンピュータ本体、 91 ビデオドライバ、 93 表示装置、
95 アプリケーションプログラム、 96 プリンタドライバ、
97 解像度変換モジュール、 98 色変換モジュール、
99 ハーフトーンモジュール、 100 ラスタライザ、
101 ユーザーインターフェース表示モジュール、
102 UIプリンタインターフェースモジュール、
1000 印刷システム、 1102 コンピュータ本体、
1104 表示装置、 1106 プリンタ、
1108 入力装置、 1108A キーボード、 1108B マウス、
1110 読取装置、 1110A フレキシブルディスクドライブ装置、
1110B CD−ROMドライブ装置、
1202 内部メモリ、 1204 外部メモリ、
S(紙)、 P(印刷領域)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に対して液体を吐出する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドにより吐出され前記媒体上に着弾しない前記液体を受ける受け部と、
前記受け部を移動させる移動部と、を備える
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記受け部の移動を所定の方向に案内するガイドを更に備える
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の印刷装置において、
前記媒体が所定枚数印刷される毎に、前記移動部は前記受け部を移動させる
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の印刷装置において、
前記受け部に堆積した前記液体の堆積量を検出するセンサを更に備え、
前記センサにより検出された前記液体の堆積量が予め定められた閾値に達したときに、前記移動部は前記受け部を移動させる
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4に記載の印刷装置において、
前記吐出ヘッドは、所定の移動方向に移動中に前記液体を吐出するものであり、
前記センサは、前記吐出ヘッドとともに移動可能である
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の印刷装置において、
前記吐出ヘッドから吐出された液体の吐出量を検出し、
検出された吐出量が予め定められた閾値に達したとき、前記移動部は前記受け部を移動させる
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6に記載の印刷装置において、
前記受け部は、前記媒体の側端部に着弾しない前記液体を受ける
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7に記載の印刷装置において、
前記吐出ヘッドは、所定の移動方向に移動中に前記液体を吐出するものであり、
前記移動部は、前記移動方向に前記受け部を移動させる
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8に記載の印刷装置において、
前記媒体に縁無し印刷を行う
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
媒体に対して液体を吐出する吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドにより吐出され前記媒体上に着弾しない前記液体を受ける受け部と、
前記受け部を移動させる移動部と、を備え、
前記受け部の移動を所定の方向に案内するガイドを更に備え、
前記媒体が所定枚数印刷される毎に、前記移動部は前記受け部を移動させ、
前記受け部は、前記媒体の側端部に着弾しない前記液体を受け、
前記吐出ヘッドは、所定の移動方向に移動中に前記液体を吐出するものであり、
前記移動部は、前記移動方向に前記受け部を移動させ、
前記媒体に縁無し印刷を行う
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項11】
吐出ヘッドから媒体に対して液体を吐出し、
前記吐出ヘッドにより吐出され前記媒体上に着弾しない前記液体を受ける受け部を移動させる
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項12】
コンピュータ本体と、このコンピュータ本体に接続可能な印刷装置とを具備した印刷システムであって、
前記印刷装置は、媒体に対して液体を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドにより吐出され前記媒体上に着弾しない前記液体を受ける受け部と、前記受け部を移動させる移動部と、を備える
ことを特徴とする印刷システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−7640(P2006−7640A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189499(P2004−189499)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】