説明

印刷装置、接着面形成方法及び印刷装置制御装置

【課題】 媒体上に接着面を形成する「のりしろ」となる領域を設定できるプリンタードライバーを備える印刷装置を提供する。
【解決手段】 (A)接着剤を噴出して媒体上にドットを形成するヘッド部と、(B)前記媒体上に接着面を形成するための接着剤を噴出する領域である接着剤噴出領域を、ユーザーインターフェース画面を介してユーザーに設定させる印刷装置制御部と、(C)前記ヘッド部を動作させて前記接着剤噴出領域上に接着面を形成するユニット制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、接着面形成方法及び印刷装置制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルから液体を噴出させ、印刷を行うインクジェットプリンターが広く普及している。インクジェットプリンターは、媒体上の任意の位置に、任意の形状の印刷面を形成することができるため、インクの代わりに接着剤を噴出することにより、展開封筒や定型封筒の封緘作業を効率的に行う方法が考えられる。そこで、接着剤吐出ヘッドを設けたインクジェットプリンターから接着剤を媒体に塗布することで、紙や封筒等の被記録媒体を接合する方法が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−187269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の方法によれば、非記録媒体の種類によらず、より簡易に、複数枚の媒体からなるシートを重ね合わせて形成される冊子等の作成を行うことができる。
【0005】
しかし、接着剤を噴出する媒体は常に定型用紙であるとは限られず、媒体の大きさや種類によっては、ユーザー自身が接着剤を噴出させる「のりしろ」となる領域を設定する必要がある。一方、従来のプリンターでは「のりしろ」の設定という概念はなく、媒体に噴出する接着剤の噴出位置等を適正に決めることができない。
【0006】
本発明では、媒体上に接着面を形成する「のりしろ」となる領域を設定できるプリンタードライバーを備える印刷装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための主たる発明は、(A)接着剤を噴出して媒体上にドットを形成するヘッド部と、(B)前記媒体上に接着面を形成するための接着剤を噴出する領域である接着剤噴出領域を、ユーザーインターフェース画面を介してユーザーに設定させる印刷装置制御部と、(C)前記ヘッド部を動作させて前記接着剤噴出領域上に接着面を形成するユニット制御部と、を備える印刷装置である。
【0008】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】印刷システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】図2Aは、プリンターのローラー式搬送ユニットを説明する図である。図2Bは、ベルト式搬送ユニットを説明する図である。
【図3】図3Aは、本実施形態のプリンターの構成を説明する図である。図3Bは、本実施形態のプリンターの構成を説明する側面図である。
【図4】ヘッドの構造を説明するための断面図である。
【図5】図5Aは2液混合型の接着剤を用いて媒体を接着する方法を説明する図である。図5Bは媒体接着時の概念図である。
【図6】展開封筒に接着面を形成する場合の説明図である。
【図7】定型封筒に接着面を形成する場合の説明図である。
【図8】印刷データ処理のフローを説明する図である。
【図9】インターフェース画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0011】
(A)接着剤を噴出して媒体上にドットを形成するヘッド部と、(B)前記媒体上に接着面を形成するための接着剤を噴出する領域である接着剤噴出領域を、ユーザーインターフェース画面を介してユーザーに設定させる印刷装置制御部と、(C)前記ヘッド部を動作させて前記接着剤噴出領域上に接着面を形成するユニット制御部と、を備える印刷装置。
このような印刷装置によれば、媒体上に接着面を形成する「のりしろ」となる領域を設定できるプリンタードライバーを備える印刷装置を実現することができる。
【0012】
かかる液体噴出装置であって、(A)前記ヘッド部は、媒体上に画像を形成するインクを噴出し、(B)前記印刷装置制御部は、前記インクにより画像が形成される領域の周囲の領域である余白領域を、前記ユーザーインターフェース画面を介してユーザーに設定させ、前記余白領域内に前記接着剤噴出領域を設定させることが望ましい。
このような印刷装置によれば、ユーザーインターフェースにより余白を設定できることから、接着剤が噴出される領域が余白領域内に限られる。したがって、印刷面を形成するインクと接着剤が混合することを防止できる。
【0013】
かかる液体噴出装置であって、前記ヘッド部から噴出される接着剤が、第1の液体と第2の液体とが混合することにより粘着性を有するものである場合に、 前記印刷装置制御部は、前記第1の液体を噴出する第1の接着剤噴出領域が設定されると、前記第1の接着剤噴出領域と媒体の折り曲げ線を挟んで対称となる領域に、前記第2の液体を噴出する第2の接着剤噴出領域を設定することが望ましい。
このような印刷装置によれば、2液硬化型接着剤を使用する場合に、媒体を折り曲げて接着する時に、該2液硬化型接着剤の主剤と硬化剤とが、折り曲げ時に必ず対向する位置関係となり、2液が確実に混合されるように接着剤を噴出できる。
【0014】
かかる液体噴出装置であって、前記印刷装置制御部は、設定した前記余白領域、及び、前記接着剤噴出領域の大きさが所定の大きさよりも小さい場合には、警告を発することが望ましい。
このような印刷装置によれば、接着面が最低限の接着強度を得られる程度の大きさを確保できるよう、プリンタードライバー側で余白部とのりしろ部の大きさに制限をかけることができる。
【0015】
かかる液体噴出装置であって、前記印刷装置制御部は、元となる画像データから作成される印刷データの印字領域が、前記余白領域と重複する場合に、前記余白領域と重複しないよう、前記画像データを調整することが望ましい。
このような印刷装置によれば、のりしろになる部分と印刷面とが重複することにより、印刷が見えなくなることや、接着面の粘着力が不十分になることを防止することができる。
【0016】
また、印刷装置制御部により、媒体上に接着面を形成するための接着剤を噴出する領域である接着剤噴出領域を、ユーザーインターフェース画面を介して設定することと、設定された前記接着剤噴出領域に、ヘッド部から接着剤を噴出することと、を有する接着面形成方法が明らかとなる。
【0017】
また、媒体上に接着面を形成するための接着剤を噴出する領域である接着剤噴出領域を、ユーザーインターフェース画面を介してユーザーに設定させ、設定された前記接着剤噴出領域に、ヘッド部から接着剤を噴出させるデータを生成することを特徴とする印刷装置制御装置が明らかとなる。
【0018】
===印刷装置の基本的構成===
発明を実施するための印刷装置の形態として、インクジェットプリンター(プリンター1)を例に挙げて説明する。
【0019】
<印刷装置の構成>
図1は、印刷装置の全体構成を示すブロック図である。
プリンター1は、紙・布・フィルム等の媒体に文字や画像を記録(印刷)する液体噴出装置であり、外部装置であるコンピューター110と通信可能に接続されている。
【0020】
コンピューター110にはプリンタードライバーがインストールされている。プリンタードライバーは、表示装置(不図示)にユーザーインターフェースを表示させ、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換させるためのプログラムである。このプリンタードライバーは、フレキシブルディスクFDやCD−ROMなどの記録媒体(コンピューターが読み取り可能な記録媒体)に記録されている。また、プリンタードライバーはインターネットを介してコンピューター110にダウンロードすることも可能である。なお、このプログラムは、各種の機能を実現するためのコードから構成されている。
コンピューター110はプリンター1に画像を印刷させるため、印刷させる画像に応じた印刷データをプリンター1に出力する印刷装置制御部である。
【0021】
プリンター1は、搬送ユニット20と、キャリッジユニット30と、ヘッドユニット40と、検出器群50と、コントローラー60と、を有する。コントローラー60は、印刷装置制御部であるコンピューター110から受信した印刷データに基づいて各ユニットを制御し、媒体に画像を印刷する。プリンター1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は検出結果をコントローラー60に出力する。コントローラー60は検出器群50から出力された検出結果に基づいて各ユニットを制御する。
【0022】
<搬送ユニット20>
搬送ユニット20は、媒体(例えば紙Sなど)を所定の方向(以下、搬送方向という)に搬送させるためのものである。ここで、搬送方向はキャリッジの移動方向と交差する方向である。
【0023】
一般的なインクジェットプリンターでは、図2Aに示されるように、媒体の印刷範囲外の余白部分を、搬送ローラー23や排紙ローラー25等の上下のローラーで挟み込み、該ローラーを回転させることで媒体の搬送を行う所謂ローラー搬送タイプの搬送ユニットを採用しているものが多い。しかし、本実施形態においては、図2Aのようなローラー搬送タイプの搬送ユニットを使用することは難しい。本実施形態では、媒体の余白部分(通常ローラーに挟まれる部分)に接着剤が噴出される場合があるため、噴出された該接着剤が搬送ローラー23や排紙ローラー25の媒体上面側に付着すると、それ以降のスムーズな媒体の搬送を妨げるおそれが生じるからである。
【0024】
このようなことから、本実施形態においては、搬送ユニット20をベルトを用いた搬送機構としている。図2Bは、本実施形態のプリンター1の搬送機構の概略を表した図である。図2Bに示すように、ベルト搬送機構は、上流側搬送ローラー26A及び下流側搬送ローラー26Bと、ベルト27とを有する。不図示の搬送モーターが回転すると、上流側搬送ローラー26A及び下流側搬送ローラー26Bが回転し、ベルト27が回転する。搬送中の媒体はベルト27に静電吸着又はバキューム吸着されている。給紙ローラー(不図示)によって給紙された媒体は、ベルト27によって印刷可能な領域(ヘッドと対向する領域)まで搬送される。印刷可能な領域を通過した紙Sはベルト27によって外部へ排紙される。搬送過程を通して、媒体表面(被印刷面)と搬送機構とは機械的に非接触の状態に保たれるため、媒体上に接着面が形成された後でも、粘着物質が搬送機構に付着するというような問題は生じにくくなる。
【0025】
<キャリッジユニット30>
キャリッジユニット30は、ヘッドユニット40が取り付けられたキャリッジ31を所定の方向(以下、移動方向という)に移動(「走査」とも呼ばれる)させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモーター32(CRモーターとも言う)とを有する(図3A及び図3B)。
キャリッジ31は、移動方向に往復移動可能であり、キャリッジモーター32によって駆動される。キャリッジモーター32の動作はプリンター側のコントローラー60により制御される。また、キャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。
【0026】
<ヘッドユニット40>
ヘッドユニット40は、紙Sにインクを噴出するためのものである。ヘッドユニット40は、複数のノズルを有するヘッド41を備える。このヘッド41はキャリッジ31に設けられ、キャリッジ31が移動方向に移動すると、ヘッド41も移動方向に移動する。そして、ヘッド41が移動方向に移動中にインクを断続的に噴出することによって、移動方向に沿ったドットライン(ラスタライン)が紙に形成される。
【0027】
図4は、ヘッド41の構造を示した断面図である。ヘッド41は、ケース411と、流路ユニット412と、ピエゾ素子群PZTとを有する。ケース411はピエゾ素子群PZTを収納し、ケース411の下面に流路ユニット412が接合されている。流路ユニット412は、流路形成板412aと、弾性板412bと、ノズルプレート412cとを有する。流路形成板412aには、圧力室412dとなる溝部、ノズル連通口412eとなる貫通口、共通インク室412fとなる貫通口、インク供給路412gとなる溝部が形成されている。弾性板412bはピエゾ素子PZTの先端が接合されるアイランド部412hを有する。そして、アイランド部412hの周囲には弾性膜412iによる弾性領域が形成されている。インクカートリッジに貯留されたインクが、共通インク室412fを介して、各ノズルNzに対応した圧力室412dに供給される。ノズルプレート412cはノズルNzが形成されたプレートである。ノズル面では、イエローインクを吐出するイエローノズル列Yと、マゼンタインクを吐出するマゼンタノズル列Mと、シアンインクを吐出するシアンノズル列Cと、ブラックインクを吐出するブラックノズル列Kと、が形成されている。また、媒体上に接着面を形成するための液体(例えば接着剤)を噴出するノズル列Lが設けられている。各ノズル列では、ノズルNzが搬送方向に所定間隔Dにて並ぶことによって構成されている。
【0028】
ピエゾ素子群PZTは、櫛歯状の複数のピエゾ素子(駆動素子)を有し、ノズルNzに対応する数分だけ設けられている。ヘッド制御部HCなどが実装された配線基板(不図示)によって、ピエゾ素子に駆動信号COMが印加され、駆動信号COMの電位に応じてピエゾ素子は上下方向に伸縮する。ピエゾ素子PZTが伸縮すると、アイランド部412hは圧力室412d側に押されたり、反対方向に引かれたりする。このとき、アイランド部412h周辺の弾性膜412iが変形し、圧力室412d内の圧力が上昇・下降することにより、ノズルからインク滴が吐出される。
【0029】
<検出器群50>
検出器群50は、プリンター1の状況を監視するためのものである。検出器群50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、紙検出センサ53、及び光学センサ54等が含まれる(図3A及び図3B)。
リニア式エンコーダ51は、キャリッジ31の移動方向の位置を検出する。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラー26Aまたは26Bの回転量を検出する。紙検出センサ53は、給紙中の紙Sの先端の位置を検出する。光学センサ54は、キャリッジ31に取付けられている発光部と受光部により、対向する位置の紙Sの有無を検出し、例えば、移動しながら紙の端部の位置を検出し、紙の幅を検出することができる。また、光学センサ54は、状況に応じて、紙Sの先端(搬送方向下流側の端部であり、上端ともいう)・後端(搬送方向上流側の端部であり、下端ともいう)も検出できる。
【0030】
<コントローラー60>
コントローラー60は、プリンターの制御を行うための制御ユニット(制御部)である。コントローラー60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、ユニット制御回路64とを有する。
インターフェース部61は、外部装置であるコンピューター110とプリンター1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンター1の全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子によって構成される。そして、CPU62は、メモリ63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して搬送ユニット20等の各ユニットを制御する。
【0031】
<プリンタードライバーによる印刷処理について>
プリンタードライバーは、アプリケーションプログラムから画像データを受け取り、プリンター1が解釈できる形式の印刷データに変換し、印刷データをプリンターに出力する。アプリケーションプログラムから画像データを印刷データに変換する際に、プリンタードライバーは、解像度変換処理、色変換処理、ハーフトーン処理、ラスタライズ処理、コマンド付加処理などを行う。また、プリンタードライバーは接着面形成のための液体噴出に関する処理も行う。
以下に、画像データから文字等を印字するためにプリンタードライバーが行う各種の処理について説明する。接着面形成のための処理については後で別途説明する。
【0032】
解像度変換処理は、アプリケーションプログラムから出力された画像データ(テキストデータ、イメージデータなど)を、媒体に印刷する際の解像度(印刷解像度)に変換する処理である。例えば、印刷解像度が720×720dpiに指定されている場合、アプリケーションプログラムから受け取ったベクター形式の画像データを720×720dpiの解像度のビットマップ形式の画像データに変換する。
なお、解像度変換処理後の画像データの各画素データは、RGB色空間により表される各階調(例えば256階調)のRGBデータである。ここで、画素とは、画像を構成する単位要素であり,この画素が2次元的に並ぶことによって画像が形成される。画素データとは、画像を構成する単位要素の印刷データであり、例えば、紙S上に形成されるドットの階調値などを意味する。
【0033】
色変換処理は、RGBデータをCMYK色空間のデータに変換する処理である。CMYK色空間の画像データは、プリンターが有するインクの色に対応したデータである。この色変換処理は、RGBデータの階調値とCMYKデータの階調値とを対応づけたテーブル(色変換ルックアップテーブルLUT)に基づいて行われる。
なお、色変換処理後の画素データは、CMYK色空間により表される256階調の8ビットCMYKデータである。本実施形態では該データを利用して画像処理を行い、印刷される2つの画像の境界部分におけるインクのにじみを防止している。画像処理の詳細については後述する。
【0034】
ハーフトーン処理は、高階調数のデータを、プリンターが形成可能な階調数のデータに変換する処理である。例えば、ハーフトーン処理により、256階調を示すデータが、2階調を示す1ビットデータや、4階調を示す2ビットデータに変換される。ハーフトーン処理では、ディザ法・γ補正・誤差拡散法などが利用される。ハーフトーン処理されたデータは、印刷解像度(例えば720×720dpi)と同等の解像度である。ハーフトーン処理後の画像データでは、画素ごと1ビット又は2ビットの画素データが対応しており、この画素データは各画素でのドット形成状況(ドットの有無、ドットの大きさ)を示すデータになる。
【0035】
ラスタライズ処理は、マトリクス状に並ぶ画素データを、プリンター1に転送すべきデータ順に、画素データごとに並び替える。例えば、各ノズル列のノズルの並び順に応じて、画素データを並び替える。
【0036】
コマンド付加処理は、ラスタライズ処理されたデータに、印刷方法に応じたコマンドデータを付加する処理である。コマンドデータとしては、例えば媒体の搬送速度を示す搬送データなどがある。
【0037】
これらの処理を経て生成された印刷データは、プリンタードライバーによりプリンター1に送信される。
【0038】
<プリンターの印刷動作>
プリンター1の印刷動作について簡単に説明する。コントローラー60は、コンピューター110からインターフェース部61を介して印刷命令を受信し、各ユニットを制御することにより、給紙処理・ドット形成処理・搬送処理等を行う。
【0039】
給紙処理は、印刷すべき紙をプリンター内に供給し、印刷開始位置(頭出し位置とも言う)に紙を位置決めする処理である。コントローラー60は、不図示の給紙ローラーを回転させ、印刷すべき紙を搬送ベルト27まで送る。続いて、上下流の搬送ローラー26A及び26Bによりベルト27を回転させ、給紙ローラー21から送られてきた紙を印刷開始位置に位置決めする。
【0040】
ドット形成処理は、移動方向(走査方向)に沿って移動するヘッドからインクを断続的に噴出させ、紙上にドットを形成する処理である。コントローラー60は、キャリッジ31を移動方向に移動させ、キャリッジ31が移動している間に、印刷データに基づいてヘッド41からインクを噴出させる。噴出されたインク滴が紙上に着弾すると、紙上にドットが形成され、紙上には移動方向に沿った複数のドットからなるドットラインが形成される。
【0041】
搬送処理は、紙をヘッドに対して搬送方向に沿って相対的に移動させる処理である。コントローラー60は、上下流の搬送ローラー26A及び26Bを回転させて紙を搬送方向に搬送する。この搬送処理により、ヘッド41は、先ほどのドット形成処理によって形成されたドットの位置とは異なる位置に、ドットを形成することが可能になる。
【0042】
コントローラー60は、印刷すべきデータがなくなるまで、ドット形成処理と搬送処理とを交互に繰り返し、ドットラインにより構成される画像を徐々に紙に印刷する。そして、印刷すべきデータがなくなると、排紙ローラーを回転させてその紙を排紙する。なお、排紙を行うか否かの判断は、印刷データに含まれる排紙コマンドに基づいても良い。
次の紙に印刷を行う場合は同処理を繰り返し、行わない場合は、印刷動作を終了する。
【0043】
===接着面の形成について===
本実施形態の印刷装置では、インクを噴出するためのヘッド41から、印刷用インク、及び、接着面を形成するための接着剤を噴出する。これにより、媒体の搬送過程において、媒体上の所定の領域に印刷画像を形成する工程と接着面を形成する工程とを同時に実行することができる。
【0044】
<接着面の形成方法>
本実施形態では、ヘッドユニット40から液状の接着剤を噴出して、媒体上の所定の領域に接着剤の液滴(ドット)を形成させることで、接着面を形成する。「のりしろ」となる接着剤が噴出される領域(以下、接着剤噴出領域とも呼ぶ)は、印刷開始に際してプリンタードライバーにより設定される。具体的な設定方法等については後で説明する。
【0045】
本実施形態で使用する接着剤は、ヘッドユニット40のノズル目詰まりの原因とならないように、なるべく流動性のある液体を選択する必要がある。
【0046】
また、ヘッド部から噴出する接着剤を、2種類の液体を混合することによって硬化する接着剤(以下、2液性接着剤とも呼ぶ)とする方法でも良い。2液性接着剤は主剤と硬化剤とからなり、常温では共に粘着性のない液体である。したがって、2液を混合する前であれば、印刷用のインクと同様にインクジェットプリンターのヘッド部から噴出することが可能であり、通常の接着剤のように噴出用ノズルの目詰まりの原因となる可能性は低い。
【0047】
2液性接着剤を使用する場合、別々のノズルからそれぞれ噴出された主剤と硬化剤は、媒体上で混合されることで化学反応をおこして硬化がはじまり、接着面を形成する。この接着面を被接着媒体と密着させた状態で化学反応を継続させ、完全硬化させることにより媒体の接着を行う。代表的な2液性接着剤の例としては、主剤としてエポキシ樹脂、硬化剤としてポリアミド樹脂等のアミン類を用いて、両者が混合する際の重合反応により硬化させる方法があり、他にもポリエステル樹脂やウレタン樹脂などを用いる方法もある。また、プリンターのノズルから液体を噴出させやすくするために、主剤または硬化剤に軟化剤を混入することで液体の粘度を下げることができる。
【0048】
図5Aに2液性接着剤を用いた接着方法の概念図を示す。本実施形態では、図5Aに示されるように、媒体上の異なる領域AとBにそれぞれ、2液性接着剤の主剤と硬化剤を噴出する。領域A及びBは図5Aの折り曲げ線で媒体を折り曲げた際に対向するように配置された領域である。媒体上の領域A及びBに噴出された主剤及び硬化剤は媒体上で混合されることはないため、化学反応による硬化も始まらない。
【0049】
続いて、図5Bに実際に接着を行う際の概念図を示す。前述の図5Aの状態で接着剤が噴出された媒体を折り曲げて、領域AとBとを接触させると、領域Aに塗布された主剤と、領域Bに塗布された硬化剤とが混合され、硬化反応が開始される。そして、混合された2液性接着剤が、完全に硬化することで、媒体の接着が完了する。
【0050】
===形成される接着面の例===
本実施形態の印刷装置を用いて実際に印刷を行う際に、媒体上にどのように接着面が形成されるのかについて説明する。なお、使用する接着剤として、前述の2液性接着剤を用いる場合についてのみ説明を行うものとする。通常の接着剤(1液性接着剤)を用いる場合には、2液性接着剤のうち主剤または硬化剤のどちらか一方のみを使用するものとして印刷動作を行えばよい。
【0051】
図6に、見開き型の封筒(以下、展開封筒とも呼ぶ)を印刷する場合の例を示す。展開封筒は、平面状の媒体を折り曲げて、折り曲げ線以外の外縁となる部分を接着することにより封緘される封筒である。
【0052】
図6に示されるように、媒体101は長方形の紙で、媒体中央部の斜線部で表される領域102は文字や図形が印刷される印刷領域である。本実施形態では、媒体が搬送される間に、印刷領域102にカラーインクを噴出することで印刷画像を形成し、印刷領域102の周囲の余白部分には2液性接着剤の主剤及び硬化剤を噴出することで、後ほど接着面となる接着剤噴出領域103を形成する。図6において、接着剤噴出領域103は、折り曲げ線104を挟んで、左右対称な形状を有する領域103Rと103Lとから構成される。一方の領域(図6で濃い色を付した領域103R)には主剤が噴出され、他方の領域(図6で左側の薄い色を付した領域103L)には硬化剤が噴出される。2液性接着剤の主剤と硬化剤とをそれぞれ別々の領域に噴出することにより、この時点では接着剤は硬化しない。そして、折り曲げ線で折り曲げて、主剤が噴出された領域103Rと硬化剤が噴出された領域103Lとが密着することにより、2液が混合されて接着剤の硬化が始まる。そして、混合された接着剤が完全に硬化することにより、媒体が接着される。
【0053】
次に、定型封筒(長型、角型等)に印刷をする場合の例を図7に示す。図7に示される定型封筒では、フラップ部に接着剤噴出領域303Aが形成され、封筒の胴の部分に接着剤噴出領域303B、及び、宛名などが印字される印刷面302が形成される。図7で濃い色が付された領域303Aには2液性接着剤の主剤が噴出され、薄い色が付された領域303Bには2液性接着剤の硬化剤が噴出される。なお、領域303Aに硬化剤が噴出され、領域303Bに主剤が噴出されるのであっても良い。接着剤噴出領域303Aと303Bとは、折り曲げ線304を挟んで対称な形状をしており、フラップ部を折り曲げて封筒を封緘する際に、領域303Aと303Bとが重なり合うことで、303Aに噴出された主剤と303Bに噴出された硬化剤とが混合され、接着剤の硬化が始まる。
【0054】
これにより、前述の展開封筒の場合と同様に、フラップ部を折り曲げてお互いの領域を接触させる前の状態では、2液性接着剤の硬化反応が開始せず、接着剤噴出領域303A及び303Bは粘着力を有さない。そして、媒体301がプリンターから排出された後にフラップ部を折りまげて封筒の封緘をする段階で初めて、接着剤の主剤と硬化剤とが接触することにより硬化が始まり、接着剤が完全硬化することにより封緘が完了する。
【0055】
===印刷データの処理について===
印刷開始にあたり、インク、及び、接着剤の噴出位置や噴出量を決定するための印刷データがプリンタードライバーによって作成される。そして、作成された印刷データに基づいて、コントローラー60により、ヘッドユニット30から適宜インク、2液性接着剤の主剤及び硬化剤が噴出され、媒体上に印刷面(画像)及び接着面が形成される。通常の印刷であれば、前述の印刷処理手順に従って画像データから印刷データが作成されるが、本実施形態では、接着面が形成される予定の領域には印字を行うことができないため、印刷領域の設定などについて特殊な処理が必要となる。
図8に本実施形態における印刷データ処理のフロー図を示す。印刷データ処理の工程において、ユーザーが設定する項目として、用紙設定(S110)、余白設定(S120)、及び、接着剤噴出領域設定(S150)がある。そして、プリンタードライバーは設定された各項目について警告を発したり(S135,S165)、画像データの調整を行ったりすることで(S140,S145)、プリンター1により適切な接着面を形成できるような印刷データを生成する。
【0056】
<用紙設定(S110)>
図8に表される各工程は、コンピューター110を介し、ユーザーインターフェースを利用して行われる。図9に、本実施形態で使用するユーザーインターフェース画面の一例を示す。まず、ユーザーは、コンピューター110の表示装置(ディスプレイ等)に表示された図9のような領域設定画面上で、印刷に使用される媒体の大きさ(サイズ)を設定する(S110)。印刷に使用される媒体がA3,A4等の各種OA用紙や往復はがきのような、いわゆる定型サイズである場合は、ユーザーはプリンタードラーバーにあらかじめ設定されている用紙サイズを選択するだけでよい。一方、媒体が不定形のサイズである場合には、ユーザー自身が該インターフェース画面上で数値を入力することによって、媒体の幅や高さ等を設定する必要がある。
【0057】
<余白設定(S120)等>
媒体の大きさを設定した後に、印刷領域周囲の余白部分の設定を行う(S120)。余白部分は後述の接着剤噴出領域を形成するための基礎となる領域である。本実施形態において、接着面が形成されることになる接着剤噴出領域上には画像を形成することができない。つまり、接着剤噴出領域(接着面)と画像印刷領域(印刷面)とが重複しないようにしておく必要がある。したがって、接着剤噴出領域は、印刷領域周囲の余白部分にのみ形成されるようにしておく必要がある。そのために、接着剤噴出領域を設定する前に媒体上に余白領域の設定を行う。
【0058】
媒体がA4や葉書サイズ等の定型サイズであれば、印刷領域と余白領域とはプリンタードライバーの初期設定値によって自動的に調整される。一方、媒体が不定形用紙等である場合には、ユーザー自身が余白領域の設定を行う必要がある。例えば、図9に示されるように、媒体の外縁部から上下左右の余白幅を入力することで余白領域の設定を行う。また、余白を設定することにより、印刷領域も自動的に設定される。なお、媒体が定型サイズの場合でも、ユーザー自身が余白領域の設定を行うことは可能である。
【0059】
本実施形態のプリンタードライバーでは、接着面が形成された時に十分な強度で媒体の接着を行えるように、余白領域を設定できる範囲を制限したり、その大きさ(面積)に最小値を設けたりしておくことができる。設定された余白領域の面積の大きさが不十分であると、余白領域上に形成される接着剤噴出領域の面積も不十分となることから、所定の大きさの接着面を形成できなくなるおそれがあるためである。そこで、媒体の大きさに応じた余白領域の基準面積をあらかじめプリンタードライバーに設定しておき、設定された余白部分と当該基準値とを比較して(S130)、余白部分の面積が基準面積を下回った場合には警告を表示するようにしておく(S135)。そして、ユーザーに十分な大きさの余白領域を再設定させるようにすることで(S120)、不十分な大きさの接着面が形成されるのを未然に防止し、確実に接着を行えるようにする。
【0060】
<画像印刷データの調整(S140)>
インクを噴出して画像を形成するための印刷データは、前述のとおり、プリンタードライバーによる印刷処理(色変換処理,ハーフトーン処理等)において、元となる画像データから作成される。ここで、作成された印刷画像データの印字範囲が、S120で設定された印刷領域(余白領域の内側部分)よりも大きい場合には、プリンタードライバーは、該印刷領域の大きさに合わせて印刷画像データの印字範囲を縮小または一部を削除することにより、印刷領域外の余白部分にインクが噴出されないように調整する(S140,S145)。当該余白部分は、接着剤が噴出されることにより、最終的に接着面となって見えなくなる可能性が高く、また、画像印刷用のカラーインクと余白領域(接着剤噴出領域)に噴出された接着剤とが混合すると、接着面が形成された時に十分な粘着力が得られなくなるといった問題が生じるのを防止するためである。これにより、余白部分に画像形成用のインクが噴出されるのを防止する。
【0061】
<接着剤噴出領域の設定(S150)等>
接着剤噴出領域の設定に関して、本実施形態では、プリンタードライバーにあらかじめ数種類の接着剤噴出領域が初期的に設定されており、ユーザーはこれら設定されている領域の中から一つを選択することで接着剤噴出領域の特定をすることができる。例えば、前述の展開封筒の場合であれば、A4用紙等の定型サイズの用紙に対応する余白部分にそれぞれ図5の103のような接着剤噴出領域が最初から設定されており、定型封筒の場合も同様に、図6の303a,303bのような接着剤噴出領域が設定されている。市販のOA用紙や定型封筒を使用して印刷を行う場合等には、このように、当初からプリンタードライバーに設定されているデータを利用して、接着剤噴出領域を特定することが可能である。
【0062】
これに対して、接着剤噴出領域を初期設定値から選択することができない場合は、ユーザー自身が領域の設定をする必要がある。例えば、図9のレイアウト表示ウィンドウで、接着剤噴出領域を設定できるようにしておく。その際の主な設定項目は、接着剤噴出領域の「位置」と「大きさ」であり、マウス等の指示装置を用いてウィンドウに表示された媒体上の所定の位置に該接着剤噴出領域を指定する(S150)。ただし、前述の通り、印刷領域と接着剤噴出領域とが重複しないようにする必要があるため、接着剤噴出領域は、余白領域内にのみ設定することができる。つまり、本実施形態において、余白領域より大きな接着剤噴出領域を設定することはできない。
【0063】
接着剤噴出領域の設定についても前述の余白領域設定の場合と同様に、接着面の大きさが所定の面積以下とならないよう、プリンタードライバー側で基準面積を設定しておき、ユーザーが設定した接着剤噴出領域の大きさが基準面積値よりも小さい場合には警告を表示するようにしておく(S160,S165)。基準面積は、前述の余白設定時の基準面積と同じ値を使用することができる。
【0064】
なお、2液性接着剤を使用する場合の接着剤噴出領域は、媒体を折り曲げて接着する際にお互いが重なり合うことによって接着面を形成することになるため、折り曲げ線を中心として左右対称に形成される必要がある。対向する領域のどちらか一方が大きいと、大きい方の領域に噴出された液体(2液性接着剤の主剤または硬化剤)が未反応のまま残留することになるからである。したがって、ユーザーが一方の領域を設定すると、プリンタードライバーは、折り曲げ線を挟んで左右対称となるよう他方の領域を設定し、不適切な領域が設定されないようにしている。例えば、図6において、ユーザーが接着剤噴出領域103Rを設定すると、対向する領域103Lはプリンタードライバーによって設定される。
【0065】
印刷データの処理が終了すると、該データはコントローラー60に送られる。コントローラー60は、作成された印刷データや接着剤噴出領域のデータに基づいて、ヘッドユニット30から媒体上の所定の領域にインク及び接着剤を噴出させることで、印刷面及び接着剤噴出領域を形成する。
【0066】
===まとめ===
本実施形態では、プリンタードライバーで、接着剤を噴出して接着面を形成する領域と、インクを噴出することで画像を形成する領域とを設定することにより、インクジェットプリンターを用いた封止印刷を効率的に行うことができる。
接着剤噴出領域の設定は、コンピューターのディスプレイ等に表示されたユーザーインターフェース画面を介して行われる。ユーザーは該インターフェース画面で、媒体上の任意の領域に接着剤噴出領域(のりしろ)を設定し、当該設定に基づいて、プリンタードライバーにより印刷用データが作成される。
これにより、インクジェットプリンターで、媒体上に接着面を形成する「のりしろ」となる領域を設定し、実際に印刷を行うことができる。
【0067】
また、接着剤噴出領域の設定に先んじて、ユーザーインターフェース画面を介して余白領域の設定が行われ、当該余白領域上にのみ接着剤噴出領域の設定が可能となる。
これにより、接着剤が噴出されるのが余白領域内に限られるため、印刷面を形成するインクと接着剤が混合することを防止できる。すなわち、接着面上にインクが噴出されたり、画像印刷面に接着剤が噴出されたりすることが防止され、粘着力が不十分な接着面が形成されたりするといった問題を生じることなく印刷をすることができる。
【0068】
また、接着面を形成する接着剤として2液性接着剤を用いる場合には、一方の液体(例えば主剤)を噴出するべき領域が設定されると、プリンタードライバーは、自動的に他方の液体(例えば硬化剤)を噴出するべき領域を設定する。
これにより、媒体の折り曲げ線を挟んで、主剤の噴出された領域と硬化剤が噴出された領域とが対称な形状となるため、媒体接着時に主剤と硬化剤とが必ず対向する位置関係となり、2液が確実に混合されるようになる。
【0069】
また、プリンタードライバーは、余白領域及び接着剤噴出領域を設定できる大きさに最小値を設け、ユーザーが設定した該接着剤噴出領域等の面積が所定の値より小さい場合には、当該設定に対して警告を発する。
これにより、接着面積が不足することによる接着強度不足等の問題を生じることなく、確実な接着を行うことができる。
【0070】
また、元となる画像データから作成された印刷用データと設定された余白領域とが媒体上で重複する場合には、プリンタードライバーは、画像データを縮小したり、一部削除したりする等して、余白領域(接着剤噴出領域)にインクが噴出されないように調整する。
これにより、印刷面と接着面が重なって、印字情報が見えなくなったり、また、インクの影響で接着面の粘着力が弱くなったりするといった問題が生じるのを防止することができる。
【0071】
===その他の実施形態===
一実施形態としてのプリンター等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0072】
<接着面の形成について>
前述の実施形態では、1回の印刷動作で媒体上に印刷画像及び接着剤噴出領域を形成していたが、工程を複数回の印刷に分けて実行しても良い。例えば、1回目の印刷時にはカラーインクを噴出して画像などの印刷面を形成しておいて、一旦、プリンターから媒体を排出し、2回目の印刷時に、2液性接着剤を噴出して接着剤噴出領域を形成するような印刷を行ってもよい。
【0073】
<2液性接着剤について>
前述の実施形態では、主剤と硬化剤とを1対1の比率で混合することにより完全に硬化する2液性接着剤を用いて、媒体を接着する方法が説明されていたが、使用可能な接着剤はこれに限られるものではない。例えば、主剤と硬化剤とを2対1の比率で混合する接着剤を用いた場合には、主剤と硬化剤を噴出する量を2対1としたり、噴出する領域の面積を2対1にするなどして調整することにより、2液性接着剤の硬化反応が適正に行われるようにされる。
【0074】
<使用するインクについて>
前述の実施形態では、CMYKの4色のインクを使用して印刷する例が説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ、ホワイト、クリアー等、CMYK以外の色のインクを用いて印刷を行ってもよい。
【0075】
<ピエゾ素子について>
前述の実施形態では、液体を噴出させるための動作を行う素子としてピエゾ素子PZTを例示したが、他の素子であってもよい。例えば、発熱素子や静電アクチュエーターを用いてもよい。
【0076】
<他の印刷装置について>
前述の実施形態では、ヘッド41をキャリッジとともに移動させるタイプのプリンター1を例に挙げて説明したが、プリンターはヘッドが固定された、いわゆるラインプリンターであってもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 プリンター
20 搬送ユニット、23 搬送ローラー、25 排紙ローラー、
26A 上流側搬送ローラー、26B 下流側搬送ローラー、27 ベルト
26A 上流側搬送ローラー、 26B下流側搬送ローラー、27 ベルト、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、32 キャリッジモーター、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、411 ケース、412 流路ユニット、
412a 流路形成板、412b 弾性板、412c ノズルプレート、
412d 圧力室、412e ノズル連通口、412f 共通インク室、
412g インク供給路、412h アイランド部、412i 弾性膜、
50 検出器群、51 リニア式エンコーダ、52 ロータリー式エンコーダ、
53 紙検出センサ、54 光学センサ、
60 コントローラー、61 インターフェース部、62 CPU、63 メモリ、
64 ユニット制御回路、
110 コンピューター、
101 媒体(展開封筒)、102 印刷領域 103R 接着剤噴出領域、
103L 接着剤噴出領域、104 折り曲げ線、
301 媒体(定型封筒)、302 印刷領域、303A 接着剤噴出領域、
303B 接着剤噴出領域、204 折り曲げ線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)接着剤を噴出して媒体上にドットを形成するヘッド部と、
(B)前記媒体上に接着面を形成するための接着剤を噴出する領域である接着剤噴出領域を、ユーザーインターフェース画面を介してユーザーに設定させる印刷装置制御部と、
(C)前記ヘッド部を動作させて前記接着剤噴出領域上に接着面を形成するユニット制御部と、
を備える印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
(A)前記ヘッド部は、媒体上に画像を形成するインクを噴出し、
(B)前記印刷装置制御部は、前記インクにより画像が形成される領域の周囲の領域である余白領域を、前記ユーザーインターフェース画面を介してユーザーに設定させ、
前記余白領域内に前記接着剤噴出領域を設定させる
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の印刷装置であって、
前記ヘッド部から噴出される接着剤が、第1の液体と第2の液体とが混合することにより粘着性を有するものである場合に、
前記印刷装置制御部は、前記第1の液体を噴出する第1の接着剤噴出領域が設定されると、前記第1の接着剤噴出領域と媒体の折り曲げ線を挟んで対称となる領域に、前記第2の液体を噴出する第2の接着剤噴出領域を設定する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記印刷装置制御部は、設定した前記余白領域、及び、前記接着剤噴出領域の大きさが所定の大きさよりも小さい場合には、警告を発することを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記印刷装置制御部は、元となる画像データから作成される印刷データの印字領域が、前記余白領域と重複する場合に、
前記余白領域と重複しないよう、前記画像データを調整することを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
印刷装置制御部により、媒体上に接着面を形成するための接着剤を噴出する領域である接着剤噴出領域を、ユーザーインターフェース画面を介して設定することと、
設定された前記接着剤噴出領域に、ヘッド部から接着剤を噴出することと、
を有する接着面形成方法。
【請求項7】
媒体上に接着面を形成するための接着剤を噴出する領域である接着剤噴出領域を、ユーザーインターフェース画面を介してユーザーに設定させ、
設定された前記接着剤噴出領域に、ヘッド部から接着剤を噴出させるデータを生成することを特徴とする印刷装置制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図8】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−101973(P2011−101973A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257387(P2009−257387)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】