説明

印刷装置およびその制御方法

【課題】 本発明は、簡単に印刷用紙のサイズを把握し、所望のサイズの画像を印刷することが可能な画像印刷装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 操作スイッチによって用紙搬送を行い印刷装置の外に搬送されている印刷用紙の領域を1回の印刷で使用する印刷用紙として決定する。そして、決定した印刷用紙サイズに対応するトリミング枠を表示する。そのため、実物を確認しながら印刷用紙サイズを設定することができ、設定した印刷用紙サイズに合わせて印刷画像の適切なトリミング設定を行うことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像を印刷用紙に印刷するための印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロール紙等の連続紙に対して画像の印刷処理を行い、印刷処理した連続紙をカッター機構を駆動してカットする昇華型熱転写式の印刷装置がある。この印刷装置は、発熱させたサーマルヘッドをインクが塗布されたインクシートに押圧し、昇華したインクを印刷用紙に熱転写させることで画像を印刷する。使用するインクシートには、予め決まっている1画面分のサイズのイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各インク層とオーバーコート(OP)層が順番に並べて設けられている。一回で印画可能なの印刷範囲はY、M、C、OP各層の1画面サイズ以内として決まっている。また、ロール紙の場合、印刷用紙の幅は固定であるのに対して、紙送り方向の印刷範囲は自在に設定することが可能であるので、ユーザが自由にサイズを決定して印刷用紙に画像を印刷することができる。
【0003】
また、印刷画像と印刷用紙のサイズまたはアスペクト比が異なる場合に、画像の一部を切り出して印刷用紙のサイズに合わせて拡大・縮小処理を行うトリミング機能が知られている。例えば、特許文献1では印刷用紙のサイズを考慮して印刷画像をトリミングする画像処理装置が開示されている。この画像処理装置では、扱う印刷用紙サイズが複数サイズある場合に、印刷用紙のサイズを検出しているため、検出した印刷用紙サイズのアスペクト比に一致させたトリミング枠を表示画面上に表示することによって容易にトリミング設定を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−244586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献に開示された従来技術では実際の印刷用紙サイズおよび仕上がりを把握しづらいという課題がある。トリミング設定では表示画面に表示された画像に対して印刷用紙サイズに合わせたトリミング枠を設定する。しかし、実際の印刷用紙サイズに対して表示画面が小さい場合には、ユーザは表示画面の画像設定を元にして実際の印刷用紙サイズおよび仕上がりを想像する必要がある。この時、L、2L、A4、B5などの一般的な定型サイズを指定した場合には仕上がりをある程度把握することができる。しかし、ロール紙において紙送り方向の長さをユーザが自由に設定可能とした場合、紙送り方向実際の印刷用紙サイズおよび仕上がり具合を把握することは難しい。
【0006】
そこで、本発明は、簡単に印刷用紙のサイズを把握し、所望のサイズの画像を印刷することが可能な画像印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の印刷装置は、
印刷用紙に画像を印刷する印刷装置であって、印刷装置内に収納されている印刷用紙を、印刷装置の外部に搬送するための搬送手段と、印刷対象の画像と印刷領域を示す印刷領域枠とを表示するための表示手段と、印刷用紙が印刷装置の外部に搬送されたときの搬送量に応じて決定したアスペクト比を有する印刷領域枠を表示手段に表示させる制御手段することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡単に印刷用紙のサイズを把握し、所望のサイズの画像を印刷することが可能な印刷装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る印刷装置における印刷設定のフローチャートを示す図である。
【図2】用紙の引き出し量と印刷設定画面を示す図である。
【図3】本発明に係る印刷装置のフロック図である・
【図4】印刷装置の印刷機構を示す図である。
【図5】用紙サイズの設定方法を説明するための図である。
【図6】表示するトリミング枠の決定方法を示す図である。
【図7】紙の引き出し量と印刷設定画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
<第1の実施形態>
図3には、本発明に係る印刷装置300の構成を示すブロック図である。
【0012】
305は印刷装置300のシステム制御や演算処理を司るCPU、306はカメラ(不図示)から送られてきた画像データ、記録媒体であるメモリカードから取得した画像データを処理する画像処理エンジン等からなる画像処理部である。画像処理部306において、カメラ側から送信された画像データ、またはメモリカードから取得した画像データに対して伸長やリサイズ、色変換等の各種画像処理が行われ印刷用の画像データが作られる。311は印刷装置300のシステム制御用プログラムを格納するFlash ROM、312は画像データを一時的に保存したり、データ処理の作業用に用いるSDRAMである。CPU305は、FlashROM311から読み出したプログラムに基づいて、各ブロックを制御することで、後述する様々な処理や演算を実行する。314は画像のデータファイルが保存されているメモリカード、313はメモリカード314を印刷装置300に装着し、メモリカードのデータを読み出すためのカードコネクタである。316は、メモリカードに保存されている画像や操作メニュー等を表示するLCD、315はLCDを駆動するLCDドライバである。また、307は通信制御部であり、接続されるカメラとの通信を制御する。308は操作部であり、操作ボタン等から構成され、ユーザによる指示の入力が行われ、入力された指示をCPUに伝達する。304はサーマルヘッド制御部、303はサーマルヘッドである。画像処理部で生成された印刷用の画像データをサーマルヘッド制御部303で電気信号に変換し、サーマルヘッド304に出力する。サーマルヘッド304では、電気信号を熱エネルギーに変換し、インクシートのインクを印刷用紙に転写することで画像の印刷を行う。301は印刷用紙搬送用、インクシート巻取り用およびカッター駆動用のモータであり、302はモータを駆動するためのモータ駆動制御部である。310は印刷用紙先端検知を行う光センサであり、309は光センサを駆動するための光センサ駆動制御部である。
【0013】
図4は本実施形態における印刷装置の印刷機構を説明するための模式図である。ここで、サーマルヘッド409(303)の駆動は、サーマルヘッド制御部304により制御され、各ローラ(406、407、411、413)、および、カッター410は、搬送モータ301を駆動させることにより動作する。
【0014】
まず、印刷装置401に対して図示しないサイドドアを開けて外部から印刷用紙カセット402とインクカセット404を装填して準備を行う。印刷用紙カセット402内部にはロール状に巻かれた印刷用紙403が収納されている。印刷用紙403の中心部には、印刷用紙403と一体的に回動するボビン軸411がある。このボビン軸をモータで回転駆動させることにより、印刷用紙403を印刷用紙カセット402から引き出したり、印刷用紙カセット402内部に引き込んだりすることができる。
【0015】
印刷用紙403は、印刷用紙カセット402から引き出されると、カール取りローラ対406へ到達する。カール取りローラ対406はカール取りローラと対抗するカール取り従動ローラによって構成され、印刷用紙403の先端がカール取りローラ対406を通過すると、このローラ対が離反状態から圧接状態へ移動し印刷用紙403を挟む。印刷用紙403は、カール取りローラ対406によりロール状に巻かれている方向と反対側にテンションを加えられることよって巻き癖をとることができる。
【0016】
カール取りを行われた印刷用紙403はカール取りローラ対406によって搬送され、搬送ローラ対407に到達する。搬送ローラ対407はグリップローラ407aとピンチローラ407bによって構成され、グリップローラ407aは図示しないステッピングモータの出力軸が減速機構を介して直結され、このステッピングモータの回転制御により正逆自在に駆動される。印刷用紙403は搬送ローラ対407によりしっかりと挟持され往復搬送されるので、印刷用紙403はステッピングモータの回転制御により正確に位置制御され搬送される。つまり、ステッピングモータのステップを管理することにより、用紙の搬送量を正確に管理することができる。本実施形態の印刷装置では、サーマルヘッド409による1ライン分の記録ピッチが85μmである。印刷用紙403を1ライン分搬送するためのステッピングモータのステップ数を4ステップであるため、ステッピングモータを4ステップ回転制御することにより、1ライン(すなわち85μm)搬送することができる。印刷範囲が用紙搬送方向において144mmであるとすると、印刷範囲は1694ライン分となり、記録紙をこの分搬送するためにはステッピングモータを6776ステップ分回転させればよい。
【0017】
搬送ローラ対407の近傍の位置には印刷用紙先端検出センサー412(310)が置かれ、これにより印刷用紙403の先端を検出する。印刷用紙先端検出センサー412による検出後、ステッピングモータにより用紙の搬送量を管理することにより印刷用紙403の先端がどの位置にあるのかを把握することができる。印刷装置は、印刷用紙先端検出センサー412から排紙口414までの距離415や印刷用紙先端検出センサー412から印画位置、カッターユニットによるカット位置までの距離を予め記録している。そのため、排紙口414、印画位置、カット位置に対する印刷用紙の位置を把握することができる。距離ではなく距離に対応するステップ数を予めFlashROM等に記録しておいてもよい。印刷装置に記録されている印刷用紙先端検出センサー412から排紙口414までの距離415を使用して、印刷用紙の先端が、印刷装置401内にあるか、印刷装置401外にあるかを把握することができる。さらに、印刷用紙が印刷装置401外にどのくらいの長さ疋引き出されているのかを認識することもできる。例えば、印刷用紙先端検出センサー412から排紙口414まで印刷用紙を搬送させるのに必要なステップ数が、5000ステップである場合、印刷用紙先端検出センサー412から10000ステップ搬送させている場合は、
(10000−5000)÷4×85[μm]=106250[μm]
=106.25[mm]
となり、およそ106mm分の印刷用紙が印刷装置外に搬送させていることになる。このようにして、ステッピングモータにより印刷用紙先端検出センサー412からの印刷用紙の搬送量を常に記録・管理し、印刷装置に記録されている情報を使用することで、印刷装置外へ搬送された印刷用紙の長さを算出することができる。
【0018】
次に印画動作について説明する。サーマルヘッドによりインクシートのインクを印刷用紙に転写する印画動作を行う際には、印刷用紙403を印刷用紙カセット402内部に引き込む方向に搬送しながら印画動作が行われる。そのため、印刷用紙403の先端をサーマルヘッド409真下の印画位置から排紙口414側に印刷範囲分だけ搬送した地点が印画開始位置となる。印刷用紙先端検出センサー412から印画位置までの距離またはその距離に対応するステッピングモータのステップ数を予め記憶しておくことで、ステッピングモータの制御により印画開始位置まで正確に印刷用紙を搬送することが可能となる。
【0019】
印画位置においては印刷用紙搬送経路を挟んでプラテンローラ408と印刷用画像データに応じて発熱するサーマルヘッド409が対向している。インクカセット404に収納されるインクシート405には、熱昇華性イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各インク層と印刷面の保護を目的として印刷面上に転写する熱溶融性のオーバーコート層が塗布されている。インクシート405には、Y、M、C、OPのインクがそれぞれ用紙1枚分に対応する画面サイズで順に並べて塗布されている。印画時には、インクシート405と印刷用紙403は、サーマルヘッド409とプラテン408とに挟持され、インクシート405はサーマルヘッド409によって印刷用紙403に押圧される。印刷用画像データに応じてサーマルヘッド409の発熱抵抗体を選択的に加熱することによってY、M、Cのインク印刷用紙403の印刷範囲に順に転写させて画像が記録される。まず印画開始位置まで用紙を搬送させて、サーマルヘッドによりイエローのインクを印刷用紙に転写させる。イエロ−の転写が終了したら、再び印画開始位置まで搬送させ、次にマゼンタの転写を行う。同様にして、C、OPも転写し、4色全てのインクを転写すると画像の印刷が完了する。
【0020】
4回目のオーバーコート層の印画を終了すると印刷用紙403は搬送ローラ対407により、印刷範囲の後端がカッターユニット410のカット位置にくるように搬送される。カッターユニット410は不図示のカッターモータによりカッター歯410aを駆動し、はさみの様にカッター歯410aとカッター受け歯410bをすり合わせて用紙送り方向に対して垂直に用紙の切断を行うものである。また、カッターユニット410は印刷装置401に対して外部から着脱可能に構成されており、歯が欠けた場合に容易に交換作業ができるように構成されている。印刷済みの印刷用紙403(印刷範囲)の端部がカッターユニット410に到達すると搬送ローラ対407による搬送を停止し、その後、排紙ローラ対413による搬送を停止する。搬送ローラ対407を停止した後に排紙ローラ対413により少し印刷用紙を搬送させることにより印刷用紙403のたるみを取ることができる。搬送ローラ対407は排紙ローラ対413よりもニップ力が強いため、搬送ローラ対407によりニップしている印刷用紙の位置がずれることはない。そして、カッターユニット410のカッターモータを駆動して印刷用紙403をカットする。
【0021】
カットされた印刷済み用紙は排紙ローラ対413によって挟持された状態である。この状態から排紙ローラ対413を排紙方向に駆動して印刷済み用紙を排紙口414まで搬送して印刷装置401の外部へ排紙する。排紙ローラ対413は所定時間駆動した後に停止する。印刷終了後、印刷用紙カセット402側の未印刷の印刷用紙403は搬送ローラ対407によって印刷用紙カセット402の方向へ巻き上げられて、次の印刷処理を開始するまで待機する。
【0022】
図1は本実施形態の印刷装置の処理シーケンスを示す図である。図1に示す処理シーケンスは、Flash ROM311に格納された制御用プログラムに基づき、CPU305が各部を制御することによって実行される。最初にカードコネクタ313に装着されているメモリカード314に保存されている複数の画像データの中から印刷対象となる印刷画像を選択して設定する(S101)。印刷対象の画像は、通信制御部307を介してデジタルカメラから取得しても良い。
【0023】
次に、ユーザに印刷用紙サイズの設定を行わせる。Lサイズや2Lサイズ等の定型サイズの場合は(S102でYes)、S103に遷移し、用紙サイズに合わせてCPUが画像のトリミング領域を自動的に決定する。定型サイズではなく、ユーザが任意に印刷用紙サイズを決定する(不定型サイズ)場合(S102でNO)は、S104に進む。
【0024】
ここで図4、図5を用いて印刷用紙サイズの設定方法について説明する。不定型サイズの場合、まず、印刷用紙カセット402に収納されている印刷用紙403を搬送してカセット外に引き出す。さらに印刷用紙先端検出センサー412が用紙先端を検出してから、Flash ROM311に記憶されている印刷用紙先端検出センサー412から排紙口414までの用紙搬送量に基づいて印刷用紙先端を排紙口414の位置まで搬送する。印刷用紙先端検出センサー412から排紙口414までの用紙搬送量は予めFlash ROM311に記憶されているものを使用する。その後、さらに印刷用紙を印刷装置の外部に図5のように搬送する。本実施形態では、印刷装置の外部に引き出されている部分の印刷用紙が、印刷範囲となる。
【0025】
図5は本実施形態における熱転写式画像印刷装置を上面からみた図である。図5中、501は液晶表示装置、502は電源スイッチである。また、503は各種設定画面を表示するメニュースイッチ、504は操作を決定する決定スイッチ、505は操作をキャンセルするキャンセルスイッチ、506は印刷開始を指示するプリントスイッチである。507は表示画面上で選択カーソルの移動などに使用する上下左右方向キーであり、印刷用紙サイズの設定時の用紙搬送操作では上下方向キーを使用する。下方向キーは引き出し操作スイッチであり、押している期間だけ印刷用紙508が排紙口509から外部に向かって引き出される。上方向キーは引き込み操作スイッチであり、押している期間だけ印刷用紙508が排紙口509から内部に向かって引き込まれる。この操作によってユーザは用紙搬送を自在に調整し、排紙口509から外部に引き出された印刷用紙508の領域を印刷用紙サイズとして設定する。印刷用紙はロール紙なので、用紙搬送方向に垂直な方向の印刷用紙幅(Ypaper)は固定である。印刷用紙サイズの用紙搬送方向の長さは、まず、上下キーが操作され印刷用紙508が搬送される度に、引き出した用紙の搬送量から引き込んだ用紙搬送量を引いて、現在の印刷用紙先端検出センサー412からの印刷用紙の搬送量を算出する。そして、現在のセンサー412からの搬送量から排紙口までの距離を引くことで、排紙口509(414)から用紙先端までの長さ(Xpaper)を算出することができる。算出した排紙口509から用紙先端までの長さをSDRAM312に記憶する。また、印刷サイズの用紙搬送方向の長さとして排紙口509の外部へ引き出すことができる用紙の搬送量(Xpaper)は印刷用紙に設定し得る最大の印刷範囲までに制限される。したがって、本実施形態においては一回の印刷範囲はY、M、C、OP各インク層の1画面分のサイズで印刷可能なサイズ以内として決まっているので、引き出した用紙の搬送量がこのサイズに到達するとそれ以上は引き出せないように搬送動作を停止する。本実施形態では、搬送可能な最大量は1画面分のインクで印刷可能な範囲としたが、パノラマの画像を印刷したい場合はインク2画面分を必要とする場合もあるので、搬送可能な上限値をインク2画面分で印刷可能な用紙の長さに設定しておいても良い。また、印刷サイズの用紙搬送方向の長さXpaperは、上限だけでなく下限も設けておくとよい。あまり小さなサイズだと、カッターユニット410と搬送ローラの位置の関係上、カットできない場合があるためである。また、排紙口509より先の印刷装置内部まで印刷用紙508の先端が引き込まれるという無駄な動作の回避もできる。
【0026】
さらに、Xpaperが、1画面分のインクで印刷可能なサイズの1/3以下である場合は、インク画面の内半分以上利用されない領域が出てしまうため、その旨をユーザに通知すると良い。または、残りのインクの領域で同じ画像、または違う画像を選択して、印刷するようにしても良い。また、残りのインクの領域で画像を印刷するかをユーザに選択させると良い。
【0027】
このように、印刷用紙サイズの設定(S104)が行われると、印刷用紙のアスペクト比算出が行われる(S105)。印刷用紙サイズの設定(S104)において設定した印刷用紙サイズに基づきアスペクト比が(式1)によって算出される。
Xpaper:印刷用紙の用紙搬送方向の長さ(S104でSDRAMに記録した値)
Ypaper:印刷用紙の用紙搬送方向に垂直な長さ(ロール紙固定値)
をそれぞれSDRAM、または、FlashROMから読み出して
Ypaper/Xpaper:アスペクト比 (式1)
を算出する。
【0028】
次にS105で算出したアスペクト比に対応するトリミング枠を表示する(S106)。LCD316に印刷画像中の印刷領域を示すトリミング枠を印刷画像に重ねて表示し、この印刷領域枠で囲まれた範囲を印刷画像の印刷範囲として図2のように表示する。図2(a)(b)(c)は、それぞれ、引き出された用紙の状態と、LCDのトリミング枠の表示を示す図である。LCDに表示されるトリミング枠のアスペクト比はS105において算出した印刷用紙のアスペクト比Ypaper/Xpaperと同一のアスペクト比を有する枠である。これによって、ユーザーは排紙口414から引き出された印刷用紙サイズの現物を確認する一方で、トリミング設定画面にて印刷画像の印刷範囲も同時に確認できるので実際の印刷用紙サイズと仕上がりを非常に把握しやすい。また、本実施形態では、トリミング枠のアスペクト比を引き出している印刷用紙サイズと同じとし、トリミング枠が画像に内接するように表示させている。しかし、印刷装置の外に引き出している印刷用紙サイズに対応するアスペクト比のトリミング枠であれば、異なる方法で表示させてもよい。
【0029】
S106でトリミング枠を表示させた後は、ユーザは上下左右方向キー507を操作することによってトリミング枠の拡大縮小、平行移動、回転の指示を入力することができる(S107)。ユーザからの指示の入力に応じてトリミング枠を拡大縮小、平行移動、回転して、LCDに表示する。このとき、アスペクト比は一定に保ったままトリミング枠の拡大縮小。移動、回転が行われる。
【0030】
トリミング設定(S107)の後、印刷設定を完了の操作が入力されていなければ(S108でNO)、再び(S104)〜(S107)を実行する。この時、図2(a)〜(c)に示すように印刷用紙サイズWpaperを変更すると同時にトリミング枠の横の長さの表示も変更されるので、実際の印刷用紙サイズと印刷画像の印刷範囲を比較しながら確認することができる。
【0031】
トリミング設定の完了の操作が入力されると(S108でYes)、現在設定されている印刷用紙サイズおよびトリミング枠で設定を確定し、印刷用紙を印刷開始位置まで搬送して印画処理を実行する(S109)。印刷開始位置まで印刷用紙を戻す場合は、サーマルヘッドとプラテンの印画位置から排紙口までの距離の分だけ印刷用紙を引き戻せばよいので、この距離をFlashROMに記録しておいても良い。
【0032】
以上、説明したように本実施形態によれば操作スイッチによって用紙搬送を行い印刷装置の外に搬送されている印刷用紙の領域を1回の印刷で使用する印刷用紙として決定する。そして、決定した印刷用紙サイズに対応するトリミング枠を表示する。そのため、実物を確認しながら印刷用紙サイズを設定することができ、設定した印刷用紙サイズに合わせて印刷画像の適切なトリミング設定を行うことが可能となる。用紙搬送が終了または一時停止させた後だけでなく、用紙搬送中にも周期的にS105、S106の処理を行い、トリミング枠の表示を現在搬送されている印刷用紙の搬送量にあわせて更新してもよい。用紙搬送中にもトリミング枠の表示を更新することでさらに操作性や視認性が良くなる。
【0033】
<第2の実施形態>
第2の実施形態では、トリミング枠の表示方法について、第1の実施形態と異なる方法で表示する。第1の実施形態では、トリミング枠を表示する際に、必ずYpaper:Xpaperのアスペクト比のトリミング枠を表示し、用紙の幅と画像の縦(短辺)が対応するようにしていた。しかし、本実施形態では、印刷用紙サイズに応じて、自動的にトリミング枠を回転させて表示する。なお、他の構成については、第1の実施形態と同じなので説明を省略する。
【0034】
図6に本実施形態におけるトリミング設定の表示画面を示す。図6(a)を用いてトリミング枠の表示サイズおよび回転の決定方法を説明する。トリミング枠の表示サイズはトリミング設定によって切り捨てられる画像領域が少なくなるように設定する。図6(a)において印刷用紙サイズの各辺の長さXpaperとYpaperに対して、表示するトリミング枠の各辺の長さを横Xtrimと縦Ytrimと定義する。つまり、Xpaper:Ypaper=Xtrim:Ytrimとなる。ここで、LCDの表示解像度や、トリミングの設定方法等によっては、トリミング枠は用紙サイズほど自由に設定や表示はできない場合があるため、必ずアスペクト比が位置しなくても、Xpaper:Ypaper≒Xtrim:Ytrimとなっていればよい。印刷画像の長辺(横)の長さをXimage、短辺(縦)の長さをYimageと定義する(Ximage>Yimage)。本実施形態では、トリミング枠と印刷画像の長辺および短辺を合わせるようにトリミング枠を回転させる。つまり、Xpaper≧Ypaperの場合(<1>)、Xtrimが画像の長辺側となるように表示する。つまり、Xpaper:Ypaper=Xtrim:Ytrimとなるようにトリミング枠を設定する。これに対し、Xtrim<Ytrimの場合(<2>)は、XtrimとYimage、YtrimとXimageを対応させて、つまり、Xpaper:Ypaper=Ytrim:Xtrimとなるようにトリミング枠を設定する。<1>の場合に対して、トリミング枠を回転させた状態になる。
【0035】
次に、図6(b)をもちいて、トリミング枠を表示する際の、画像の短辺または長辺の何れかをトリミング枠と合わせて表示する方法を説明する。トリミング枠は印刷画像のサイズを超えない範囲内で拡大して表示する。つまり、Ytrim/Xtrim≦Yimage/Ximageの場合、Xtrim=Ximageとしてトリミング枠の初期表示サイズを決定する。また、Ytrim/Xtrim>Yimage/Ximageの場合、Ytrim=Yimageとしてトリミング枠の初期表示サイズを決定する。
【0036】
このようにして表示方法を決定すると、図7のようになる。図7は、用紙の引き出し量とトリミング枠の表示を示す図である。ここでも図6の説明と同様に、印刷画像の短辺をYimage,印刷画像の長辺をXimage,印刷用紙の幅をYpaper,印刷用紙の印刷装置外への引き出し量をXpaper、トリミング枠の各辺の長さを横Xtrim、縦Ytrimとする。
【0037】
まず、図7(a)では、Xpaperの引き出し量がまだ少なく、Xpaper<Ypaperであるため、Ytrim:Xtrim=Xpaper:Ypaper、となる。また、Ytrim/Xtrim<Yimage/Ximageであるため、Xtrim=Ximageとなる。
【0038】
図7(b)では、Xpaper<YpaperであるためYtrim:Xtrim=Xpaper:Ypaper、となる。また、Ytrim/Xtrim=Yimage/Ximageであるため、Xtrim=Ximage、Ytrim=Yimageとなっている。
【0039】
図7(a)の状態から用紙の引き出し量を大きくしXpaperを大きくさせていくと、図7(b)のYtrim/Xtrim=Yimage/XimageとなるまでYtrimが徐々に大きくなってゆく。このとき、Xtrimは一定(=Ximage)のまま、Ytrim:Xtrim=Xpaper:Ypaperを満たすようにYtrimが徐々に大きくなってゆく。逆に、図7(b)の状態か用紙を引き込み、Xpaperを小さくするとXtrimは一定(Ximage)のままYtrimが小さくなる。
【0040】
図7(c)はXpaper=Ypaperの状態を示している。ここでは、Ytrim/Xtrim>Yimage/Ximageであるので、トリミング枠はXtrim=Ytrim=Xpaper=Ypaper、Ytrim=Ytrimとなる。
【0041】
図7(b)の状態から。Xpaperを大きくしていくと、図7(c)のXpaper=Ypaperになるまで、Ytrimは一定(Yimage)のまま、Ytrim:Xtrim=Xpaper:YpaperをみたすようにXtrimが小さくなっていく。図(c)から図(b)の状態に変化する場合は、逆に、Ytrimは一定のまま、Xtrimが大きくなってゆく。
【0042】
図7(d)は、Xpaper>YpaperでYtrim/Xtrim=Yimage/Ximageの状態を示している。そのため、Ytrim:Xtrim=Ypaper:Xpaperとなり、Xtrim=Ximage,Ytrim=Yimageとなっている。
【0043】
図7(c)から図7(d)の状態までXpaperを大きくしていくと、トリミング枠はYtrimが一定(Yimage)のままYtrim:Xtrim=Ypaper:Xpaperを保った状態でXtrimがちいさくなってゆく。図7(d)から図7(c)の状態へXpaperを小さくする場合は、逆にXtrimが大きくなっていく。
【0044】
図7(e)はXpaper>Ypaper、Ytrim/Xtrim<Yimage/Ximageの状態を示している。そのため、Ytrim:Xtrim=Ypaper:Xpaperとなり、Xtrim=Ximageとなっている。
【0045】
図7(d)から図7(e)の状態までXpaperを大きくしていくと、トリミング枠はXtrimが一定(Ximage)のままYtrim:Xtrim=Ypaper:Xpaperを保った状態でYtrimがちいさくなってゆく。図7(e)から図7(d)の状態へXpaperを小さくする場合は、逆にYtrimが大きくなっていく。
【0046】
上述の説明では、トリミング枠の長辺(Xtrim)と短辺(Ytrim)のどちらを印刷画像と合わせるかを、Ytrim/Xtrim>Yimage/XimageであるかYtrim/Xtrim<Yimage/Ximageであるかにより判断した。しかし、Ytrim:Xtrim=Ypaper:Xpaperとするときは、Ypaper/Xpape>Yimage/Ximageの場合は短辺あわせ、Ypaper/Xpape<Yimage/Ximageの場合は長辺あわせとしてもよい。また、Ytrim:Xtrim=Xpaper:Ypaperとするときは、Xpaper/Ypape>Yimage/Ximageの場合は短辺あわせ、Xpaper/Ypape<Yimage/Ximageの場合は長辺あわせとしてもよい。
【0047】
また、図7d)のように、トリミング枠のアスペクト比と印刷画像のアスペクト比が同じになった場合、つまり用紙サイズのアスペクト比と印刷画像のアスペクト比が同じになった場合はユーザに印刷画像と用紙のアスペクト比が同じになったことを通知してもよい。通知は表示で行ってもよいし、一時的に用紙搬送を停止させることにより通知しても良いし、両方を実行しても良い。用紙搬送を一時的に止めることにより、引き出した用紙の量に応じて印刷用紙サイズを決定する不定形印刷モードにおいて、印刷画像のサイズ似合わせた用紙サイズの設定を簡単に行うことが可能となる。また、図7のように、用紙のアスペクト比と画像のアスペクト比は異なっているが、用紙の縦横を変更することで用紙サイズと印刷画像のアスペクト比が一致する場合も図7(d)の場合と同様に通知しても良い。
【0048】
また、1画面分のインクシートで印刷可能な領域の用紙搬送方向のサイズをXinkとすると、XpaperがXinkを超えると2画面分のインクシートが必要となるので、そのことをユーザにLCDに表示して通知するようにしてもよい。または、Xink以上は用紙を引き出せないようにしてインクシート1画面分以上の印刷を行わせないように制御しても良い。
【0049】
<その他の実施形態>
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0050】
また上述の実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体をシステム或は装置に提供し、そのシステム或は装置のコンピュータ(又はCPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピィ(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM,CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷用紙に画像を印刷する印刷装置であって、
印刷装置内に収納されている印刷用紙を、前記印刷装置の外部に搬送するための搬送手段と、
印刷対象の画像と印刷領域を示す印刷領域枠とを表示するための表示手段と、
前記印刷用紙が前記印刷装置の外部に搬送されたときの搬送量に応じて決定したアスペクト比を有する印刷領域枠を前記表示手段に表示させる制御手段することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記制御手段には、前記印刷装置の外部に出ている部分の印刷用紙のアスペクト比に対応する印刷領域枠を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記印刷装置の外部に搬送された印刷用紙の長さと当該印刷用紙の幅に対応したアスペクト比の印刷領域枠を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印刷装置の外部に搬送する搬送量を調整するためのユーザからの指示を入力するための操作手段を有することを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記搬送手段による印刷用紙の搬送中に、前記印刷領域枠の表示を更新し、前記印刷領域枠のアスペクト比を変更することを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記印刷装置の外部に搬送可能な最大の印刷用紙の搬送量が決められていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記搬送手段による印刷用紙の搬送が、前記最大の印刷用紙の搬送量に達したことに応じて、前記搬送手段による印刷用紙の搬送を停止する搬送停止手段を有することを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記最大の印刷用紙の搬送量は、印刷対象の画像のアスペクト比に応じて決定されることを特徴とする請求項6または7に記載の印刷装置。
【請求項9】
印刷対象の画像のアスペクト比と、前記印刷領域枠のアスペクト比または前記印刷装置の外部に出ている部分の印刷用紙のアスペクト比とが一致した場合に、アスペクト比が一致したことをユーザに通知する通知手段を有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記通知手段は、前記印刷領域枠の色を変更することにより通知することを特徴とする請求項9に記載の印刷装置。
【請求項11】
印刷対象の画像のアスペクト比と、前記印刷領域枠のアスペクト比または前記印刷装置の外部に出ている部分の印刷用紙のアスペクト比とが一致した場合に、前記搬送手段による印刷用紙の搬送を停止または一時停止することを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記印刷用紙はロール紙であり、前記印刷用紙を切断する切断手段を備え、
前記切断手段は、前記印刷対象の画像の印刷が確定したときの、前記印刷装置の外部に搬送されている前記ロール紙の搬送量または前記印刷領域枠のアスペクト比に応じて、印刷用紙を切断することを特徴とする請求項1ないし11に記載の印刷装置。
【請求項13】
印刷用紙に画像を印刷する印刷装置の制御方法であって、
印刷装置内に収納されている印刷用紙を、前記印刷装置の外部に搬送するための搬送工程と、
印刷対象の画像と印刷領域を示す印刷領域枠とを表示するための表示工程とを有し、
前記表示工程では、前記印刷用紙が前記印刷装置の外部に搬送されたときの搬送量に応じて決定されたアスペクト比の印刷領域枠を表示することを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項14】
印刷用紙に画像を印刷する印刷装置であって、
印刷装置内に収納されているロール状の印刷用紙を、前記印刷装置の外部に搬送するための搬送手段と、
1枚の印刷用紙を生成するために、前記ロール状の印刷用紙を切断する切断手段と、
前記搬送手段により搬送されたロール状の印刷用紙のうち、前記印刷装置の外部に搬送された部分を1枚の印刷用紙として設定する設定手段とを有し、
前記切断手段は、前記設定手段による設定に応じて、前記ロール状の印刷用紙を切断することを特徴とする印刷装置。
【請求項15】
印刷用紙に画像を印刷する印刷装置の制御方法であって、
印刷装置内に収納されているロール状の印刷用紙を搬送するための搬送手段により搬送されたロール状の印刷用紙のうち、前記印刷装置の外部に搬送された部分を1枚の印刷用紙として設定する設定工程と、
前記設定手段による設定に応じて前記ロール状の印刷用紙を切断し、1枚の印刷用紙を生成する切断工程とを有することを特徴とする印刷装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−110806(P2011−110806A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269192(P2009−269192)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】