説明

印刷装置および印刷方法

【課題】接着シートに施された印刷と剥離シートに施された印刷との位置関係を所定の位置関係に保った状態で原反を製造することができる印刷装置および印刷方法を提供すること。
【解決手段】印刷装置1は、帯状の剥離シートRLの一方の面に帯状の接着シートSが仮着された原反Rを繰り出す繰出手段2と、原反Rの接着シートSから剥離シートRLを一旦剥離して迂回させる迂回手段3と、表出した接着シートSの接着剤層AD、接着シートSから迂回された剥離シートRLの一方の面、および剥離シートRLの他方の面のうちの少なくとも1つの面に印刷を施す印刷手段4と、迂回手段3で迂回された剥離シートRLに接着シートSを再仮着させる再仮着手段7と、再仮着手段7での剥離シートRLと接着シートSとの再仮着時の位置関係を所定の位置関係に調整する位置合せ手段8とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置および印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帯状の剥離シートに帯状の接着シートが仮着された原反に対して印刷を施す印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の印刷装置は、原反の搬送方向の上流側および下流側に設けた2つの駆動ローラで原反を搬送駆動し、これら駆動ローラに回転速度差を与えることで駆動ローラ間の接着シートに所定の張力を付与しつつ、接着シートから剥離シートを迂回させて当該接着シートの両面に印刷を施すように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4408945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の印刷装置は、接着シートから剥離した剥離シートを接着シートに対して迂回させるため、当該剥離シートに接着シートを再仮着させる際に、接着シートが剥離シートの迂回分だけ長手方向にずれた状態で再仮着されることになる。この場合、接着シートの先端領域は、剥離シートに仮着されずに余ってしまう上、剥離シートの終端領域は、接着シートに仮着されずに余ってしまうため、余った接着シート部分および剥離シート部分は、切り捨てられてしまい無駄になるという不都合がある。
さらに、剥離シートに予め印刷が施してあったり、迂回させた剥離シートに印刷を施したりした場合、剥離シートに施された印刷と接着シートに施された印刷とが相対的な位置ずれをおこした状態で再仮着されてしまうという不都合が生じる。このような不都合が生じていると、例えば、接着シートに施された印刷と剥離シートに施された印刷とが一対一で対応している原反に対し、当該接着シートに施された印刷を基準に切断を行って枚葉の接着シート原反とした場合、剥離シートに施された印刷が途中で切れてしまい、前記対応関係が成り立たない枚葉の接着シート原反ができてしまうという不都合を発生させてしまう。
【0005】
本発明は、接着シートに施された印刷と剥離シートに施された印刷との位置関係を所定の位置関係に保った状態で原反を製造することができる印刷装置および印刷方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明の印刷装置は、帯状の剥離シートの一方の面に帯状の接着シートが仮着された原反を繰り出す繰出手段と、前記繰出手段で繰り出された原反の接着シートから前記剥離シートを一旦剥離して迂回させる迂回手段と、前記迂回手段で剥離シートが迂回されることによって表出した接着シートの接着剤層、前記接着シートから迂回された剥離シートの一方の面、および前記剥離シートの他方の面のうちの少なくとも1つの面に印刷を施す印刷手段と、前記迂回手段で迂回された剥離シートに前記接着シートを再仮着させる再仮着手段と、前記再仮着手段での剥離シートと接着シートとの再仮着時の位置関係を所定の位置関係に調整する位置合せ手段とを備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明の印刷装置において、前記位置合せ手段は、前記迂回手段で迂回されている剥離シートと当該剥離シートが迂回された接着シートとの少なくとも一方を掛け回す複数のガイドローラを備えて構成されることが好ましい。
また、本発明の印刷装置において、前記位置合せ手段は、前記複数のガイドローラのうちの少なくとも1つを変位させる変位手段を備えて構成されることが好ましい。
【0008】
一方、本発明の印刷方法は、帯状の剥離シートの一方の面に帯状の接着シートが仮着された原反を繰り出し、繰り出された原反の接着シートから前記剥離シートを一旦剥離して迂回させ、前記剥離シートが迂回されることによって表出した接着シートの接着剤層、前記接着シートから迂回された剥離シートの一方の面、および前記剥離シートの他方の面のうちの少なくとも1つの面に印刷を施し、迂回された剥離シートと当該剥離シートが迂回された接着シートとの位置関係を所定の位置関係に調整し、前記剥離シートに前記接着シートを再仮着させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のような本発明によれば、位置合せ手段により、例えば、剥離シートと当該剥離シートが迂回された接着シートとを迂回前の位置関係に調整した上で、剥離シートに接着シートを再仮着させることができるため、接着シートの先端領域および剥離シートの終端領域が相互に再仮着されずに余ってしまうことを防止することができ、印刷時に接着シートを全長にわたって利用することができる。また、例えば、接着シートに施された印刷と剥離シートに施された印刷とを一対一で対応させ、当該接着シートの表面に施された印刷を基準に切断を行って枚葉の接着シート原反とした場合、剥離シートに施された印刷が途中で切れてしまい、前記対応関係が成り立たない枚葉の接着シート原反ができてしまうといった不都合を解消することができる。
【0010】
本発明において、剥離シートや接着シートを掛け回す複数のガイドローラを備えて位置合せ手段を構成すれば、接着シートと剥離シートとの位置合わせを簡易な構成で行うことができ、装置全体を小型化することができる。
また、本発明において、ガイドローラを変位させる変位手段を設ければ、雰囲気の温度や湿度等による伸びや縮み特性等の特性差により剥離シートと接着シートとの間にずれが生じている場合でも、ガイドローラを変位させるだけで接着シートと剥離シートとの位置合わせを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る印刷装置の模式図。
【図2】図1の印刷装置に用いる印刷ユニットの模式図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本明細書において明示のない、例えば、上、下、左、右、または、手前、奥という方向を示す表現は、全て図1を基準に用いられる。また、X軸方向とは図1中左右方向、Y軸方向とは図1中紙面直交方向、Z軸方向とは図1中上下方向とする。
図1に示すように、本実施形態の印刷装置1は、帯状の剥離シートRLの一方の面である剥離面RL1に仮着された接着シートSから剥離シートRLを迂回させ、接着シートSおよび剥離シートRLに印刷を施した後に接着シートSと剥離シートRLとを再仮着すものである。ここで、接着シートSは、基材シートBSの一方の面に接着剤層ADが積層されるとともに、当該接着剤層ADを介して剥離シートRLの剥離面RL1に仮着された原反Rとして予め準備されている。
【0013】
印刷装置1は、原反Rを繰り出す繰出手段2と、繰り出された原反Rの接着シートSから剥離シートRLを一旦剥離して迂回させる迂回手段3と、剥離シートRLおよび接着シートSに印刷を施す印刷手段4と、接着シートSおよび剥離シートRLに印刷されたインクを硬化させる硬化手段5と、剥離シートRLおよび接着シートSに施された図示しない印刷を検出する検出手段6と、剥離シートRLに接着シートSを再仮着させる再仮着手段7と、剥離シートRLと接着シートSとの再仮着時の位置関係を所定の位置関係に調整する位置合せ手段8と、剥離シートRLに接着シートSが再仮着された原反Rを巻き取る巻取手段9と、上記各手段2〜9等を制御する制御手段10とを備え、その全体が図示しないベースフレームに支持されている。
【0014】
繰出手段2は、原反Rをロール状に巻回して支持するとともに駆動機器であってその駆動トルクおよび回転速度を制御可能な回動モータ21によって駆動する支持ローラ22と、駆動機器であってその駆動トルクおよび回転速度を制御可能な回動モータ23によって駆動する駆動ローラ24と、駆動ローラ24との間に原反Rを挟み込むピンチローラ25とを備えている。
【0015】
迂回手段3は、接着シートSから剥離シートRLを剥離させる剥離ローラ31と、駆動機器であってその駆動トルクおよび回転速度を制御可能な回動モータ32,33によって駆動され、剥離シートRLをガイドして迂回させる迂回ローラ34,35と、迂回ローラ34,35との間に剥離シートRLを挟み込むピンチローラ36,37とを備えている。接着シートSから迂回された剥離シートRLは、各迂回ローラ34,35間で所定の張力となるように、回動モータ32,33により張力制御が行われる。これら迂回ローラ34,35と回動モータ32,33とで、剥離シート張力付与手段が構成される。
【0016】
印刷手段4は、剥離シートRLの剥離面RL1に図示しない画像や文字、位置合わせマーク等の所定の印刷を施す第1印刷ユニット4Cと、剥離シートRLの剥離面RL1とは反対側の面であって他方の面である剥離シート裏面RL2に図示しない画像や文字、位置合わせマーク等の所定の印刷を施す第2印刷ユニット4Dと、接着シートSの基材シートBSに図示しない画像や文字、位置合わせマーク等の所定の印刷を施す第3印刷ユニット4Eと、接着シートSの接着剤層ADに図示しない画像や文字、位置合わせマーク等の所定の印刷を施す第4印刷ユニット4Fとを備えている。これら各印刷ユニット4C〜4Fは、図2に示すように、X軸方向およびY軸方向に支持対象物を移動させるユニット移動手段40に支持されている。
【0017】
図2に示すように、第1および第3印刷ユニット4C,4Eは、図示しない所定の印刷パターンが設けられた刷版41と、刷版41が外周面に取り付けられる版胴42と、この版胴42の下方において版胴42との間に原反Rを挿通可能に設けられた圧胴43とを備えている。さらに、第1および第3印刷ユニット4C,4Eにおける版胴42の上方には、インクを貯留するインク貯留部44と、このインク貯留部44のインク出しローラ45に転接するインク写しローラ46と、このインク写しローラ46に転接するローラを含むローラ群47と、このローラ群47のローラと版胴42とに転接する一対のインク着けローラ48とを備えている。なお、第2および第4印刷ユニット4D,4Fは、その設置方向が上下反転している点で第1および第3印刷ユニット4C,4Eと相違するが、他の構成は第1および第3印刷ユニット4C,4Eと同じであるため、説明は省略する。
【0018】
ユニット移動手段40は、各印刷ユニット4C〜4FをX軸方向に移動させるX軸方向移動手段40Aと、Y軸方向に移動させるY軸方向移動手段40Bとを備えている。
【0019】
硬化手段5は、第1〜第4印刷ユニット4C〜4Fにおける接着シートSまたは剥離シートRLの繰出方向下流側に設けられた第1〜第4硬化ユニット5A〜5Dを備えている。各硬化ユニット5A〜5Dは、エア吹付装置や紫外線照射装置等で構成され、接着シートSおよび剥離シートRLの印刷面にエアを吹き付けてインクを乾燥させたり、紫外線硬化型のインクを用いている場合は紫外線を照射したりすることにより、インクを硬化させるように構成されている。各硬化ユニット5A〜5Dによりインクを硬化させることで、各ローラ35,37,81〜84,87との接触や再仮着手段7での再仮着時に、接着シートSおよび剥離シートRLの印刷面がこすれて印刷画像が不鮮明になったり印刷面が汚れたりすることを防止している。
【0020】
検出手段6は、再仮着手段7における接着シートSおよび剥離シートRLの繰出方向上流側に設けられている。この検出手段6は、接着シートSの上下両側に設けられた第1、第2センサ6A,6Bと、迂回ローラ35から上方に向かう剥離シートRLの左右両側に設けられた第3、第4センサ6C,6Dとを備え、接着シートSおよび剥離シートRLの印刷面を撮像するカメラや、発光素子および受光素子を有する光センサ等で構成されている。第1、第2センサ6A,6Bは、接着シートSの両面に施された図示しない印刷の所定部位を検出する一方、第3、第4センサ6C,6Dは、剥離シートRLの両面に施された図示しない印刷の所定部位を検出し、それぞれ検出結果を制御手段10に出力可能に設けられている。
【0021】
再仮着手段7は、迂回手段3で迂回してきた剥離シートRLを接着シートSの送り方向に誘導する誘導ローラ71と、誘導ローラ71に対向して設けられたピンチローラ72とを備え、接着シートSと剥離シートRLとを誘導ローラ71およびピンチローラ72間に挟み込むことにより、接着シートSを剥離シートRLに再仮着させる。
【0022】
位置合せ手段8は、図示しないベースフレームに回転自在に支持され、剥離シートRLが迂回された接着シートSを案内するガイドローラとしての固定ローラ81〜84と、変位手段であって駆動機器としての直動モータ85と、直動モータ85のスライダ86に回転自在に支持され、Z軸方向に移動可能なガイドローラとしての移動ローラ87とを備えている。これら固定ローラ81〜84と移動ローラ87とに接着シートSが掛け回されることで、迂回されている剥離シートRLの長さと剥離シートRLが迂回されている接着シートSの長さとが同じ長さになるように設定されている。
【0023】
巻取手段9は、駆動機器であってその駆動トルクおよび回転速度を制御可能な回動モータ91によって駆動して原反Rを巻き取る巻取ローラ92と、駆動機器であってその駆動トルクおよび回転速度を制御可能な回動モータ93によって駆動する駆動ローラ94と、駆動ローラ94との間に原反Rを挟み込むピンチローラ95とを備えている。ここで、駆動ローラ94,24と回動モータ93,23とで、接着シート張力付与手段が構成され、接着シートSは、駆動ローラ94と駆動ローラ24との間で所定の張力となるように、回動モータ93,23により張力制御が行われる。
【0024】
制御手段10は、パーソナルコンピュータやシーケンサ等で構成され、印刷装置1の全体の動作が制御可能に設けられている。
【0025】
以上の印刷装置1において、接着シートSおよび剥離シートRLに印刷を施す手順について説明する。
先ず、図1に示すように原反Rを通紙してセットが完了する。そして、制御手段10から起動の指令が入力された印刷装置1は、回動モータ21,23,32,33,93,91を同期駆動し、支持ローラ22、駆動ローラ24、迂回ローラ34,35、駆動ローラ94、および巻取ローラ92を回転させて原反Rを繰り出す。原反Rが繰り出されると、第3印刷ユニット4Eは、基材シートBSの上面に図示しない印刷を施す。基材シートBSに印刷が施された原反Rに対し、第3硬化ユニット5Cは、基材シートBSの上方からエアを吹き付けたり紫外線を照射したりして、基材シートBS上のインクを硬化させる。そして、原反Rは、剥離ローラ31により剥離シートRLが下方に案内されて第1印刷ユニット4Cに案内されるとともに、接着シートSが第4印刷ユニット4Fに案内される。
【0026】
剥離シートRLが接着シートSから迂回されると、第4印刷ユニット4Fは、剥離により表出した接着シートSの接着剤層ADに図示しない印刷を施し、第4硬化ユニット5Dは、接着剤層ADに対して上記と同様にして接着剤層AD上のインクを硬化させる。このようにして印刷が施された接着シートSは、位置合せ手段8を経由し、再仮着手段7方向に案内される。
【0027】
一方、剥離シートRLが案内された第1印刷ユニット4Cは、剥離シートRLの剥離面RL1に印刷を施し、第1硬化ユニット5Aが上記と同様にして剥離面RL1上のインクを硬化させる。また、第2印刷ユニット4Dは、剥離シート裏面RL2に印刷を施し、第2硬化ユニット5Bが上記と同様にして当該面上のインクを硬化させる。
【0028】
このようにして両面に印刷が施された接着シートSおよび剥離シートRLは、それぞれ再仮着手段7に送られて、接着シートSが剥離シートRLに再仮着される。
ここで、印刷装置1は、原反Rの有効利用の観点から、原反Rの印刷されない余白部分を少なくするため、原反Rを一旦繰出方向とは反対の方向に送って原反Rの余白部分をつめてから、再び原反Rを繰出方向に送って次の印刷を施すようにしている。これに伴い、接着シートSおよび剥離シートRLは、互いに剥離した状態で正逆両方向の送りが繰り返されるため、そのままでは接着シートSや剥離シートRLの張力が減少したり、増加したりするため、印刷手段4での印刷が歪んだり変形したりして鮮明な印刷が行えないことがある。
【0029】
このため、制御手段10は、接着シート張力付与手段および剥離シート張力付与手段を介して回動モータ23,93,32,33のトルクまたは回転速度を制御し、接着シートSおよび剥離シートRLのそれぞれに所定の張力を付与するために張力制御を行うようになっている。すなわち、接着シート張力付与手段および剥離シート張力付与手段は、原反Rが繰出手段2側から巻取手段9側に向けて送られるときに、回動モータ33,93のトルクが回動モータ32,23のトルクよりも所定量大きくなるように、または、回動モータ33,93の回転速度が回動モータ32,23の回転速度よりも所定速度速くなるように、各回動モータ23,93,32,33を制御し、原反Rが巻取手段9側から繰出手段2側に向けて送られるときに、回動モータ32,23のトルクが回動モータ33,93のトルクよりも所定量大きくなるように、または、回動モータ32,23の回転速度が回動モータ33,93の回転速度よりも所定速度速くなるように、各回動モータ23,93,32,33を制御する。この張力制御により、接着シートSおよび剥離シートRLのたるみが防止され、張力の減少や増加に伴う印刷不良を防ぐことができる。
【0030】
さらに、第1〜第4センサ6A〜6Dは、接着シートSおよび剥離シートRLの両面に印刷された印刷の所定部位を検出し、この検出結果を制御手段10に出力する。制御手段10は、第1、第2センサ6A,6Bから入力された検出結果を基に、基材シートBSに施された印刷と、接着剤層ADに施された印刷とがどれだけずれているかを算出し、この算出結果に基づいて、各ユニット移動手段40を介して第3、第4印刷ユニット4E,4FをそれぞれX、Y軸方向に移動させる。これにより、接着シートSの両面に印刷された印刷の位置決めが行われる。さらに、制御手段10は、第3、第4センサ6C,6Dから入力された検出結果を基に、剥離面RL1に施された印刷と、剥離シート裏面RL2に施された印刷とがどれだけずれているかを算出し、この算出結果に基づいて、各ユニット移動手段40を介して第1、第2印刷ユニット4C,4DをそれぞれX、Y軸方向に移動させる。これにより、剥離シートRLの両面に印刷された印刷部の位置決めが行われる。
【0031】
また、制御手段10は、第1、第3センサ6A,6Cから入力された検出結果を基に、基材シートBSに施された印刷と、剥離面RL1に施された印刷とがどれだけずれて再仮着されるかを算出し、この算出結果に基づいて、直動モータ85を介して移動ローラ87をZ軸方向に移動させる。このため、例えば、雰囲気の温度や湿度等による伸びや縮み特性等の特性差により、迂回されている剥離シートRLの長さと、剥離シートRLが迂回されている接着シートSの長さとが異なってしまい、剥離シートRLと接着シートSとの間にずれが生じている場合でも、接着シートSに施された印刷と剥離シートRLに施された印刷とを一対一で対応させて再仮着させることができる。
【0032】
そして、原反Rの全長にわたって接着シートSおよび剥離シートRLに印刷が施され、接着シートSおよび剥離シートRLが位置決めされて再仮着されると、原反Rは、駆動ローラ94の回転によって巻取ローラ92に送られて巻取ローラ92に巻き取られ、原反Rの巻き取りが終わって完了指令が入力されると、印刷装置1は、回動モータ21,23,32,33,93,91を停止し、次の原反Rの印刷に備える。
【0033】
以上のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、印刷装置1は、位置合せ手段8により剥離シートRLと当該剥離シートRLが迂回された接着シートSとを所定の位置関係に調整した上で、剥離シートRLに接着シートSを再仮着させるため、接着シートSの先端領域および剥離シートRLの終端領域が相互に再仮着されずに余ってしまうことを防止することができる。また、接着シートSに施された印刷と剥離シートRLに施された印刷とを一対一で対応させ、当該接着シートSの表面に施された印刷を基準に切断を行って枚葉の接着シート原反とした場合、剥離シートRLに施された印刷が途中で切れてしまい、前記対応関係が成り立たない枚葉の接着シート原反ができてしまうといった不都合を解消することができる。
【0034】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質等を限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質等の限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0035】
例えば、位置合せ手段8としては、剥離シートRLと接着シートSとの再仮着時の位置関係を所定の位置関係に調整できればよく、例えば、接着シートSを剥離シートRLに対して迂回させ、剥離シートRLを複数のローラで案内して接着シートSと剥離シートRLとの位置合わせを行ってもよい。また、接着シートSおよび剥離シートRLのそれぞれに対して位置合せ手段8を設けてもよい。
また、位置合せ手段8による位置合せは、接着シートSに施された印刷と剥離シートRLに施された印刷とを一対一で対応させる場合、いずれか一方の印刷が整数倍ずれて再仮着されてもよい。
さらに、直動モータ85および移動ローラ87の数および位置は、前記実施形態のものに限られず、任意に設定してよい。
【0036】
また、印刷ユニットの数および配置については、前記実施形態の構成に限られない。例えば、第1および第2印刷ユニット4C,4Dのみを設けて剥離シートRLにのみ印刷を施すようにしてもよい。
【0037】
前記実施形態では、制御手段10により印刷の位置決めや、接着シートSおよび剥離シートRL間の再仮着のずれ調整を自動的に行うように構成したが、作業者の手作業で、例えば、第1〜第4印刷ユニット4C〜4Fを移動したり、第1〜第4印刷ユニット4C〜4Fの刷版41の位置を調整したり、移動ローラ87を移動したりしてもよい。この場合には、制御手段10による位置ずれ検出の有無やずれ量を図示しない表示装置に表示することで、作業者に印刷の位置ずれ状況や接着シートSおよび剥離シートRL間のずれ状況を知らせることができる。
【0038】
また、回動モータ23,93、駆動ローラ24,94、およびピンチローラ25,95を設けずに、支持ローラ22、回動モータ21,91、および巻取ローラ92で接着シート張力付与手段を構成してもよい。
【0039】
印刷手段4としては、サーマルヘッド、ドットインパクトプリンタ、レーザプリンタ、インクジェットプリンタなども採用することができる。また、輪転式の印刷装置1に限らず、例えば、スクリーン印刷機等に本発明を適用してもよい。
【0040】
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0041】
1 印刷装置
2 繰出手段
3 迂回手段
4 印刷手段
7 再仮着手段
8 位置合せ手段
81〜84 固定ローラ(ガイドローラ)
85 直動モータ(変位手段)
87 移動ローラ(ガイドローラ)
AD 接着剤層
R 原反
RL 剥離シート
S 接着シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の剥離シートの一方の面に帯状の接着シートが仮着された原反を繰り出す繰出手段と、
前記繰出手段で繰り出された原反の接着シートから前記剥離シートを一旦剥離して迂回させる迂回手段と、
前記迂回手段で剥離シートが迂回されることによって表出した接着シートの接着剤層、前記接着シートから迂回された剥離シートの一方の面、および前記剥離シートの他方の面のうちの少なくとも1つの面に印刷を施す印刷手段と、
前記迂回手段で迂回された剥離シートに前記接着シートを再仮着させる再仮着手段と、
前記再仮着手段での剥離シートと接着シートとの再仮着時の位置関係を所定の位置関係に調整する位置合せ手段とを備えていることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記位置合せ手段は、前記迂回手段で迂回されている剥離シートと当該剥離シートが迂回された接着シートとの少なくとも一方を掛け回す複数のガイドローラを備えて構成されることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記位置合せ手段は、前記複数のガイドローラのうちの少なくとも1つを変位させる変位手段を備えて構成されることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
帯状の剥離シートの一方の面に帯状の接着シートが仮着された原反を繰り出し、
繰り出された原反の接着シートから前記剥離シートを一旦剥離して迂回させ、
前記剥離シートが迂回されることによって表出した接着シートの接着剤層、前記接着シートから迂回された剥離シートの一方の面、および前記剥離シートの他方の面のうちの少なくとも1つの面に印刷を施し、
迂回された剥離シートと当該剥離シートが迂回された接着シートとの位置関係を所定の位置関係に調整し、
前記剥離シートに前記接着シートを再仮着させることを特徴とする印刷方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−131140(P2012−131140A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285746(P2010−285746)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】