説明

印刷装置

【課題】 地紋が画像に施された加工により地紋の埋め込みに使用できる面積が減少した場合でも、地紋から情報を読み出せない印刷物を作成することを防止すること。
【解決手段】 画像抽出部3は、画像データから、上記埋込画像を埋め込む前の印刷データと、上記埋込画像を生成する地紋データとを抽出し、画像加工部4は、上記印刷データを所定の印刷指示に基づいて加工し、地紋編集部7は、地紋データを上記印刷指示に基づいて更新し、更に、上記印刷指示は、埋込画像のドットサイズ、ピッチ幅の最小値を含み、上記地紋編集部は、上記倍率に基づく上記ドットサイズ、ピッチ幅が、上記最小値以下になると、上記倍率に関わらず上記ドットサイズ、ピッチ幅を上記最小値に変更し、画像合成部8は、地紋編集部7による更新後の地紋データを埋め込んで再生画像データを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関し、特に、地紋情報を有する印刷データを印刷する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
証書類の作成・編集などを行った日付を正確に管理するために、画像に、日付を電子透かしとした地紋画像が埋め込まれている印刷データを受け入れて印刷する印刷装置の技術が開示されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−40179号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の印刷装置では、画像の拡大や縮小が指定されていると地紋画像も同様に拡大・縮小され、ときには地紋が読み取れなくなる場合も発生し得るという解決すべき課題が残されていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は印刷装置であって、埋込画像が埋め込まれた画像データを受け入れて、上記画像データから、上記埋込画像が埋め込まれる前の印刷データと、上記埋込画像を生成する地紋データとを抽出する画像抽出部と、上記印刷データを所定の印刷指示に基づいて加工する画像加工部と、上記地紋データを上記印刷指示に基づいて更新する地紋編集部と、上記画像加工部による加工後の印刷データに対して、上記地紋編集部による更新後の地紋データを埋め込んで再生画像データを出力する画像合成部とを備え、更に、上記印刷指示は、埋込画像のドットサイズ、ピッチ幅の最小値を含み、上記地紋編集部は、上記倍率に基づく上記ドットサイズ、ピッチ幅が、上記最小値以下になると、上記倍率に関わらず上記ドットサイズ、ピッチ幅を上記最小値に変更することを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
地紋が画像に施された加工により地紋の埋め込みに使用できる面積が減少した場合でも、地紋から情報を読み出せない印刷物を作成することを防止することができるという効果を得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の一実施形態を図を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0007】
〈構成〉の説明
図1は、実施例1の構成を示すブロック図である。
図に示すように、実施例1の印刷装置としてのプリンタ18は、オペレーションパネル1と、地紋有無検出部2と、画像抽出部3と、画像加工部4と、地紋解析部5と、解析結果保存部6と、地紋編集部7と、画像合成部8と、出力部9とを備える。
【0008】
オペレーションパネル1は、操作者に対して各種の設定入力を可能とする操作盤である。地紋有無検出部2は、入力画像データに地紋による情報埋め込みが施されているか否かを判断し、更に刷設定情報を抽出し、画像加工部4と地紋編集部7へ送出する部分である。画像抽出部3は、入力画像データを地紋データとそれ以外の印刷データとに分割し、地紋データを地紋解析部5へ、印刷データを画像加工部4へ出力する部分である。
【0009】
画像加工部4は、画像抽出部3から印刷データを受け入れ、地紋有無検出部2から受け入れた印刷設定情報に基づいて印刷データを加工して画像合成部8へ出力する部分である。地紋解析部5は、画像抽出部3から地紋データを受け入れて、同じ地紋情報を持つ再生地紋データを生成するために必要な地紋情報を解析して解析結果保存部6へ出力する部分である。解析結果保存部6は、地紋解析部5から解析結果を受け入れて保存する部分である。
【0010】
地紋編集部7は、地紋解析部5による解析結果を解析結果保存部6から取得して、印刷設定情報に基づく地紋データを作成し、画像合成部8へ出力する部分である。画像合成部8は、画像加工部4から印刷データを受け入れ、更に地紋編集部7から地紋データを受け入れて、1つに合成して出力部9へ出力する部分である。出力部9は、画像合成部8から合成された画像データを受け入れて印刷する部分である。尚、図中PC17は、プリンタ18に接続された上位装置である。次に上記各構成部分の機能についてデータの流れを主して再度詳細に説明する。
【0011】
図2は、実施例1におけるデータの流れを示す説明図である。
図に示すようにPC17は、印刷データ[1]と地紋データ[1]とを受け入れて画像データ[1]を合成し、プリンタ18へ送出する。オペレーションパネル1を介してあらかじめ印刷設定情報S1が操作者によって入力されている。画像データ[1]と印刷設定情報S1とが地紋有無検出部2へ送られる。ここで、印刷設定情報S1には、地紋を構成する1つのドットの大きさであるドットサイズの最大値や最小値、ドット同士の幅であるピッチ幅の最大値や最小値、及び出力用紙のサイズなどが含まれる。
【0012】
地紋有無検出部2は、印刷設定情報S1を、画像加工部4と地紋編集部7とへ送る。更に、画像データ[1]を画像抽出部3へ送る。画像抽出部3は、画像データ[1]を地紋データ[1]と印刷データ[1]とに分割し、印刷データ[1]を画像加工部4へ、地紋データ[1]を地紋解析部5へ、それぞれ送出する。ここで印刷データ[1]は地紋が施されていない画像データであり、地紋データ[1]はドットサイズと、ピッチ幅が設定され、その設定された値を使い、埋め込みたい文字列に対応して作成された地紋を表すデータである。埋め込まれている文字列はいくつかのまとまりに分かれており、まとまりごとに優先度が設定されている。また、この地紋作成アルゴリズムはドットサイズと、ピッチ幅、埋め込みたい文字列が定まれば一意に決まるものとする。尚、地紋データ[1]には、ファイル名や印刷ユーザ名、日付やプリンタ名などの情報が暗号化され含まれている。
【0013】
画像加工部4は、印刷データ[1]を印刷設定情報S1に基づいて例えば50%に縮小加工し、印刷データ[2]として画像合成部8へ送出する。地紋解析部5は、地紋データ[1]を受け入れて、同じ地紋情報を持つ再生地紋データを生成するために必要な地紋情報を抽出し、解析結果保存部6に解析結果D1として保存する。この解析結果D1は、地紋編集部7によって、印刷設定情報に基づく地紋データ[2]として再生される。このとき、地紋は最大/最小ドットサイズやドットのピッチ幅の最大/最小を満たすものとなっている。この地紋データ[2]と、印刷データ[2]とが画像合成部8で合成され、出力部9で印刷出力されることになる。ここで地紋情報の内容について具体例(1例)をあげて説明する。
【0014】
図3は、実施例1の地紋情報の内容説明図である。
(a)は、更新前、即ち、地紋データ[1]から抽出された地紋情報の内容であり、(b)は、更新後、即ち、地紋編集部7によって再生された地紋データ[2]の地紋情報の内容である。図においてd1はドットサイズをあらわす数値であり、d2はピッチ幅をあらわす数値であり、d3は用紙サイズを表す数値であり、d4は文字列を表し、その先頭の数値が優先度をあらわしている。
【0015】
図に示すように、地紋データ[1]と地紋データ[2]とでは、d1は20から10へ、d2は45から25へ、d3はA4からA5へ、d4は、印刷者:AAA、印刷場所:1FプリンタNO.21、文章作者:BBB、印刷日時:200609062005から印刷者:AAA、印刷場所:1FプリンタNO.21、印刷日時:200609062005へと更新されている。ここでは、更新されたドットサイズd1、及び、更新されたピッチ幅d2は、用紙サイズがA4からA5に縮小されても、印刷設定情報S1に基づいてそれぞれ最小値以内で加工されているので、地紋が読み取れなくなることが排除されている。以上説明したプリンタ18は以下のように動作する。
【0016】
〈動作〉の説明
[動作説明の前提条件]
プリンタ18は、ネットワークで接続されているPC17から、cyan成分のみで構成される地紋データ[1]にblack成分のみで構成される電子文章である印刷データ[1]を重ね、電子文章の背景に地紋が施されている画像データ[1]を受け入れるものとする。更に、この画像データ[1]を、A4用紙の大きさで受け入れ、オペレーションパネル16から出力用紙がA5で印刷出力されるものとする。ここでドットサイズd1の最小値d1(min)、及びピッチ幅の最小値d2(min)は、印刷設定情報S1により入力されているものとする。
【0017】
図4は、実施例1の動作全体を示すフローチャートである。
実施例1の印刷装置としてのプリンタ18の全体動作について図1、図2、及び図3を併用しながらステップS11からステップS17までステップ順に説明する。
【0018】
ステップS11
地紋有無検出部2は、画像データ[1]中に地紋が含まれているか否かを検索し、含まれている場合にはステップS12へ進み(画像データ[1]は画像抽出部3へ送られる)。含まれていない場合には、ステップS16へ進む。ここでは前提条件よりステップS12へ進むことになる。
【0019】
ステップS12
画像抽出部3は、画像データ[1]を解析し、画像データ[1]のなかのblack成分のみを取り出したものを印刷データ[1]として抽出する。又、画像データ[1]のなかのcyan成分のみを取り出したものを地紋データ[1]として抽出する。印刷データ[1]は画像加工部4へ送られ、地紋データ[1]は、地紋解析部5へ送られる。
【0020】
ステップS13
地紋解析部5は地紋データ[1]から地紋として埋め込まれていた文字列と、ドットサイズとピッチ幅を抽出し、解析結果D1を得る(図3(a))。
【0021】
ステップS14
地紋解析部5は、解析結果D1を解析結果保存部6に格納する。このとき旧解析結果が保存されていれば新解析結果で更新する。
【0022】
ステップS15
地紋編集部7は解析結果D1と印刷設定情報S1とに基づいて地紋データ[2]を作成し画像合成部8へ送る。
【0023】
ステップS16
画像加工部4は、印刷データ[1]を印刷設定情報S1に基づいて印刷データ[2]に加工して画像合成部8へ送る。
【0024】
ステップS17
画像合成部8は、地紋データ[2]と印刷データ[2]とを重ねあわせねて、画像データ[2]を合成し、出力部9へ送ってフローを終了する。
【0025】
次に、上記ステップS15で地紋編集部7が解析結果D1と印刷設定情報S1とに基づいて地紋データ[2]を作成する動作について詳細に説明する。
図5は、実施例1の地紋編集部の動作を示すフローチャートである。
一般に画像を縮小する際において、地紋を構成するドットサイズが縮小倍率に対して小さかった場合、地紋を縮小してしまうと画像から消えてしまうことが予想される。また、縮小後の地紋を構成するピッチ幅が出力解像度に対して小さ過ぎると、ピッチ幅がなくなり地紋が崩れてしまうことも予想される。以下にステップS111からステップS119までステップ順に、地紋編集部7の動作について図1、図2、及び図3を併用しながら詳細に説明する。
【0026】
ステップS111
地紋編集部7は、解析結果D1を解析結果保存部6から、印刷設定情報S1をオペレーションパネル1からそれぞれ受け入れる。
【0027】
ステップS112
地紋編集部7は解析結果D1の文字列d4と、印刷設定情報S1の出力用紙設定とから縮小倍率を計算し、拡大加工の場合にはフローを終了し、縮小加工の場合にはステップS113へ進む。ここでは、上記前提条件よりステップS113へ進むことになる。
【0028】
ステップS113
地紋編集部7は算出した縮小倍率を用いて縮小したドットサイズとピッチ幅を算出し、印刷設定情報S1による最小のドットサイズ及びピッチ幅と、上記、最小値d1(min)、及びd2(min)と、それぞれ比較し、縮小倍率が大きく、縮小倍率通りに縮小するとドットサイズ、ピッチ幅とも最小ドットサイズd1(min)、最小ピッチ幅d2(min)を下回ると判断するとステップS114へ進み、そうでない場合にはステップS115へ進む。上記のようにあまりに小さくなると地紋データが読めなくなる可能性があるからである。
【0029】
ステップS114
地紋編集部7は解析結果D1の、ドットサイズd1は最小ドットサイズd1(min)に、ピッチ幅d2は最小ピッチ幅d2(min)に更新してステップS116へ進む。
【0030】
ステップS115
地紋編集部7は解析結果D1の、ドットサイズd1及びピッチ幅d2を算出した縮小倍率を用いて縮小しフローを終了する。
【0031】
ステップS116
地紋編集部7は、更に印刷設定情報S1の出力用紙サイズd3とから出力用紙に埋め込める最大情報量を算出し、更新された文字列d4全ての情報を埋め込むことが可能かどうかを判断し、可能な場合にはフローを終了し、可能でない場合にはステップS117へ進む。
【0032】
ステップS117
地紋編集部7は、更新後の文字列d4に文字列が存在すればステップS118へ進み、文字列が存在しなくなれば印刷を停止してフローを中止する。
【0033】
ステップS118
埋め込むのに必要な情報量のほうが大きかったので、文字列が存在することを確認し、解析結果D1の文字列の中の優先度の一番低い文字列を削除してステップS116へ戻る。
図3の場合には、文字列「4:文章作者:BBB」が削除される。同様にしてステップS116、ステップS117、ステップS118、ステップS116とで構成されるループを繰り返し、埋め込み可能になるとステップS116から抜けてフローを終了する。最後まで埋め込み不可能であったときはステップS117から抜けて印刷を停止してフローを中止する。
【0034】
以上説明したフローでは、縮小時において、地紋編集部7は解析結果D1のドットサイズとピッチ幅を、最小ドットサイズd1(min)、及び最小ピッチ幅d2(min)よりも小さく更新することは無くなる。ドットサイズとピッチ幅の最小値よりも、縮小倍率通りに縮小したドットサイズとピッチ幅が小さくなる場合には、それぞれの最小値で解析結果D1は更新されるからである。その後、埋め込みが行える情報量になるまで、優先度の低いものから解析結果D1の文字列を削除していくが、もし全ての文字列を削除しても、埋め込みの行える情報量にならない場合は、その印刷データの印刷を中止することになる。
【0035】
縮小後のドットサイズとピッチ幅が、それぞれの最小値よりも小さくならない範囲であれば、解析結果D1のドットサイズd1とピッチ幅d2は、縮小倍率で縮小された値に更新される(S115)。ドットサイズ、ピッチ幅がそれぞれの最小値よりも小さくならない範囲であれば、縮小前の画像のある一部分から埋め込み情報が抽出できたとすると、縮小後の画像(同じ縮小倍率で縮小してある)からも情報が抽出できることになる。拡大時においては、拡大倍率によらず解析結果Dは更新されない。
【0036】
上記図4において画像加工部4は印刷データ[1]と印刷設定情報S1とを受信すると、上記前提条件によれば、印刷データ[1]の出力用紙設定がA4で、印刷設定情報S1の出力用紙設定がA5であることから、A4用紙からA5用紙への縮小処理が必要と判断し、縮小倍率を決定し、印刷データ[1]を縮小して印刷データ[2]を生成する(S16)。作成した印刷データ[2]を画像合成部8へ送信する。もし、画像データ[1]に地紋が埋め込まれていなかった場合、印刷データ[1]ではなく入力された画像データ[1]をそのまま加工することになる。
【0037】
上記図4において画像合成部8は、cyan成分の地紋データ[2]の上にblackのみの印刷データ[2]を重ねた画像データ[2]を作成する(S17)。画像データ[2]は電子文章の背景に地紋が施されていることになる。作成された画像データ[2]は出力部9へ送信される。もし、画像データ[1]に地紋が埋め込まれていなかった場合、画像合成部8は何もせず画像データ[1]を出力部9へ送ることになる。出力部9は画像データ[1]印刷出力する。
【0038】
〈効果〉の説明
以上説明したように、本実施例によれば、地紋が画像に施された加工により地紋の埋め込みに使用できる面積が減少した場合でも、地紋から情報を読み出せない印刷物を作成することを防止することができるという効果を得る。
【実施例2】
【0039】
不正印刷抑止を目的としたウォーターマーク付加を行った画像を加工してしまうことによって、ウォーターマークが視認できなくなり、不正印刷抑止の効果が薄れてしまうことが予想される。係る不都合を解決するために実施例2の印刷装置としてのプリンタ30は以下のように構成される。
【0040】
図6は、実施例2の構成を示すブロック図である。
図に示すように、実施例2の印刷装置としてのプリンタ30は、オペレーションパネル1と、地紋有無検出部2と、画像抽出部23と、画像加工部4と、地紋解析部25と、解析結果保存部26と、地紋編集部27と、画像合成部28と、出力部9とを備える。
【0041】
以下に実施例1と相違する部分のみについて詳細に説明する。実施例1と同様の部分については、実施例1と同一の符号を付して説明を省略する。
【0042】
画像抽出部23は、画像データ[21]を、地紋データ[2]と印刷データ[1]とに分割し、印刷データ[1]を画像加工部4へ、地紋データ[2]を地紋解析部5へ、それぞれ送出する部分である。更に、この地紋データ[2]には地紋データ[1]とウォーターマークデータ[1]とが含まれているが、画像抽出部23は、ウォーターマークデータ[1]の中からウォーターマークのみを抽出して廃棄する部分でもある。ここで、印刷データ[1]は、地紋データとウォーターマークデータ以外の印刷データである。
【0043】
地紋解析部25は、地紋データ[2]を受け入れて、同じ地紋情報を持つ再生地紋データを生成するために必要な地紋情報、及びウォーターマークデータを抽出し、解析結果保存部26に解析結果D1、及びウォーターマーク作成情報W1として保存させる部分である。この解析結果D1及び、ウォーターマーク作成情報W1は地紋編集部27によって、印刷設定情報に基づいて地紋データ[3]として再生される。
【0044】
地紋編集部27は、地紋解析部25による解析結果D1、及びウォーターマーク作成情報を解析結果保存部26から取得して、印刷設定情報S2に基づく地紋データを作成し、画像合成部28へ出力する部分である。画像合成部28は、画像加工部4から印刷データを受け入れ、更に地紋編集部27からウォーターマーク作成情報を含む地紋データを受け入れて、1つに合成して出力部9へ出力する部分である。次に上記各構成部分の機能についてデータの流れを主して再度詳細に説明する。
【0045】
図7は、実施例2におけるデータの流れを示す説明図である。
図に示すようにPC17には、印刷データ[1]、地紋データ[1]、及びウォーターマークデータ[1]が入力され、画像データ[21]としてプリンタ30へ送出される。地紋データ[1]には後述するウォーターマーク作成情報が含まれている。又ウォーターマークデータ[1]はマーク(図中、取り扱い注意の表示)そのものを特定するデータである。ここでは、地紋データ[1]は、その内部にウォーターマークデータ[1]が含まれた地紋データ[2]となり、印刷データ[1]と合成され、画像データ[21]として出力されることになる。
【0046】
オペレーションパネル1を介して印刷設定情報S2が入力され画像データ[21]と印刷設定情報S2とが地紋有無検出部2へ送られる。ここで印刷設定情報S2には、地紋を構成する1つのドットの大きさであるドットサイズの最大値や最小値、ドット同士の幅であるピッチ幅の最大値や最小値、ウォーターマークの大きさの最大値と最小値、及び出力用紙のサイズなどが含まれる。
【0047】
地紋有無検出部2は、印刷設定情報S2を分離して、画像加工部4と地紋編集部27とへ送る。更に、画像データ[21]を画像抽出部23へ送る。画像抽出部23は、画像データ[21]を、印刷データ[1]と地紋データ[2]に分割し、印刷データ[1]を画像加工部4へ送る。更に、地紋データ[2]からウォーターマークデータ[1]を抽出して廃棄し、地紋データ[1]として地紋解析部5へ送出する。ここで印刷データ[1]は地紋が施されていない画像データであり、地紋データ[1]はドットサイズと、ピッチ幅が設定され、その設定された値を使い、埋め込みたい文字列に対応して作成された地紋を表すデータである。この中にウォーターマークそのものは含まれていないが、描画フラグ、ウォーターマークとする文字列、ウォーターマークの大きさ、ウォーターマークの描画開始位置、ウォーターマークの縦書き横書きの情報等がウォーターマークデータ作成情報として含まれている。
【0048】
画像加工部4は、印刷データ[1]を印刷設定情報S2に基づいて加工し、印刷データ[2]として画像合成部28へ送出する。地紋解析部25は、地紋データ[2]を受け入れて、同じ地紋情報を持つ再生地紋データを生成するために必要な地紋情報、及びウォーターマーク作成情報を抽出し、解析結果保存部6に解析結果D1、及びウォーターマーク作成情報W1として保存する。この解析結果D1は、地紋編集部27によって、印刷設定情報S2に基づいて地紋データ[3]として再生される。ここで地紋情報及びウォーターマーク情報の内容について具体例(1例)をあげて説明する。
【0049】
図8は、実施例2の地紋情報の内容説明図である。
(a)は、地紋データ[2]に含まれている情報の内容であり、(b)は、更新前のウォーターマーク作成情報であり、(c)は更新後のウォーターマーク作成情報である。図においてd1はドットサイズをあらわす数値であり、d2はピッチ幅をあらわす数値であり、d3は用紙サイズを表す数値であり、w0とm0は文字列を表している。図に示すように、更新前のウォーターマーク作成情報(b)と更新後のウォーターマーク作成情報(c)とでは、大きさが1200、400から600、200に更新されている。以上説明したプリンタ30は以下のように動作する。
【0050】
〈動作〉の説明
実施例2としてプリンタ30に、オペレーションパネル1から出力用紙サイズがA5で、最小ドットサイズが5で最小ピッチ幅が10で、ウォーターマーク最大サイズが6000、1000で、ウォーターマーク最小サイズが600、200に設定されている状態で画像データ[21]を受信した時の動作について実施例1と異なる部分のみについて説明する。PC17は、cyanの地紋データ、blackの電子文章データの上から不正コピー防止の目的でmagenta成分のみのウォーターマーク画像を重ね、出力用紙サイズをA4としてプリンタ30に送信するものとする。
【0051】
図9は、実施例2の動作全体を示すフローチャートである。
実施例2の印刷装置としてのプリンタ30の全体動作について図6、図7、及び図8を併用しながらステップS21からステップS30までステップ順に説明する。
【0052】
ステップS21
地紋有無検出部2は、画像データ[21]中に地紋が含まれているか否かを検索し、含まれている場合にはステップS22へ進み(画像データ[21]は画像抽出部23へ送られる)。含まれていない場合には、ステップS29へ進む。ここでは前提条件よりステップS22へ進むことになる。
【0053】
ステップS22
画像抽出部23は、画像データ[21]を解析し、画像データ[21]のなかのblack成分のみを取り出した印刷データ[1]を原画像として抽出する。又、残りの部分を地紋データ[2]として取得する。更に、この地紋データ[2]からウォーターマークデータ[1]を抽出して廃棄し、地紋データ[1]として地紋解析部25へ送る。印刷データ[1]は、画像加工部4へ送られる。
【0054】
ステップS23
地紋解析部25は、地紋データ[1]から地紋として埋め込まれていた文字列と、ドットサイズとピッチ幅を抽出して解析結果D1(地紋情報)を得る。
【0055】
ステップS24
地紋解析部25は、地紋データ[1]の中からウォーターマーク作成情報W1を取得する。
【0056】
ステップS25
地紋解析部25は、解析結果D1を解析結果保存部26に格納する。このとき旧解析結果が保存されていれば新解析結果で更新する。
【0057】
ステップS26
地紋編集部27は解析結果D1と印刷設定情報S2とに基づいて地紋データ[3]を作成し画像合成部28へ送る。
【0058】
ステップS27
地紋編集部27は、ウォーターマーク作成情報W1を印刷設定情報S2に基づいて更新する。
【0059】
ステップS28
地紋編集部27は、ウォーターマーク作成情報W1に基づいてウォーターマークデータ[2]を作成し、画像合成部28へ送る。
【0060】
ステップS29
画像加工部4は、印刷データ[1]を印刷設定情報S2に基づいて印刷データ[2]に加工して画像合成部28へ送る。
【0061】
ステップS30
画像合成部8は、地紋データ[3]と印刷データ[2]とウォーターマークデータ[2]を重ねあわせて、画像データ[22]を合成し、出力部9へ送ってフローを終了する。
【0062】
次に、上記ステップS28で地紋編集部27が解析結果D1と印刷設定情報S2とウォーターマーク作成情報W1とに基づいて地紋データ[3]を作成する動作について詳細に説明する。
【0063】
図10は、実施例2の地紋編集部の動作を示すフローチャートである。
以下にステップS211からステップS214までステップ順に、地紋編集部27の動作について図6、図7、及び図8を併用しながら詳細に説明する。
【0064】
ステップS211
地紋編集部27は、印刷設定情報S2の出力用紙サイズ(ここではA5)とウォーターマーク作成情報(図8)の文字列から縮小倍率を計算し、縮小倍率通りに縮小したウォーターマークの大きさを算出する。印刷設定情報S2のなかのウォーターマーク最大サイズ及びウォーターマーク最小サイズと算出した値とを比較する。
【0065】
ステップS212
比較結果が、ウォーターマーク最小サイズを下回っている場合、またはウォーターマーク最大サイズを上回っている場合には213へ進み、ウォーターマーク最小サイズとウォーターマーク最大サイズとの間にある場合にはステップS214へ進む。
【0066】
ステップS213
地紋編集部27は、ウォーターマーク最小サイズを下回っている場合にはウォーターマーク作成情報(図8)を最小サイズに更新し、ウォーターマーク最大サイズを上回っている場合にはウォーターマーク作成情報(図8)を最大サイズに更新してフローを終了する。
【0067】
ステップS214
地紋編集部27は、ステップS211で算出した、縮小倍率通りに計算した値にウォーターマーク作成情報(図8)を設定してフローを終了する。
【0068】
〈効果〉の説明
以上説明したように、本実施例によれば、不正印刷防止などの目的で施したウォーターマークが、拡大、縮小などの画像加工の影響を受けずに、常に視認出来る形で印刷でき、不正印刷防止の効果をより一層高めることが出来るという効果を得る。
【産業上の利用可能性】
【0069】
上記実施例では印刷装置としてプリンタに適応した説明をしたが、FAX、コピー機、MFP等にも適応可能である。又、実施例では出力用紙設定が、画像データの設定と異なり縮小する例を挙げたが、ページ全体の拡大、縮小、回転や、ページの部分を取り出しての拡大や縮小などにも適応可能である。実施例では画像への情報埋め込みの手段として地紋による電子透かしをあげたが、情報埋め込みを施した画像から、情報埋め込みを施す前の画像と、埋め込んだ情報が抽出可能な画像への情報埋め込みの手段を用いることができる。又、実施例2において、最初からウォーターマークが施されている画像を例に説明したが、もともとウォーターマークが施されていない画像に対しても、適応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】実施例1の構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1におけるデータの流れを示す説明図である。
【図3】実施例1の地紋情報の内容説明図である。
【図4】実施例1の動作全体を示すフローチャートである。
【図5】実施例1の地紋編集部の動作を示すフローチャートである。
【図6】実施例2の構成を示すブロック図である。
【図7】実施例2におけるデータの流れを示す説明図である。
【図8】実施例2の地紋情報の内容説明図である。
【図9】実施例2の動作全体を示すフローチャートである。
【図10】実施例2の地紋編集部の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
1 オペレーションパネル
2 地紋有無検出部
3 画像抽出部
4 画像加工部
5 地紋解析部
6 解析結果保存部
7 地紋編集部
8 画像合成部
9 出力部
17 PC
18 プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋込画像が埋め込まれた画像データを受け入れて、前記画像データから、前記埋込画像が埋め込まれる前の印刷データと、前記埋込画像を生成する地紋データとを抽出する画像抽出部と、
前記印刷データを所定の印刷指示に基づいて加工する画像加工部と、
前記地紋データを前記印刷指示に基づいて更新する地紋編集部と、
前記画像加工部による加工後の印刷データに対して、前記地紋編集部による更新後の地紋データを埋め込んで再生画像データを出力する画像合成部とを備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記地紋データは、複数の情報を有し、該複数の情報には、少なくとも前記埋込画像を生成する、ドットサイズ、ピッチ幅、及び出力用紙サイズとを含むことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記地紋編集部は、前記印刷指示に基づいて前記複数の情報を変更する埋込画像変更手段を有し、
該埋込画像変更手段は、前記印刷指示に基づく出力用紙サイズの変更において、変更前後の用紙サイズの倍率を算出し、該倍率に応じて前記ドットサイズ、ピッチ幅を変更することを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印刷指示は、前記ドットサイズ、ピッチ幅の最小値を含み、
前記埋込画像変更手段は、
前記倍率に基づく前記ドットサイズ、ピッチ幅が、前記最小値以下になると、前記倍率に関わらず前記ドットサイズ、ピッチ幅を前記最小値に変更することを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記複数の情報は、優先度を有し、
前記埋込画像変更手段は、前記倍率に基づく前記ドットサイズ、ピッチ幅が、前記最小値以下になると、前記埋込画像の出力サイズに応じて前記複数の情報を前記優先度順に削除することを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記地紋データは、更に、ウォーターマーク作成情報を含み、
前記地紋編集部は、更に、前記ウォーターマーク作成情報を前記印刷指示に基づいて更新し、
前記画像合成部は、更に、更新後のウォーターマーク作成情報を前記地紋データに含めた更新後の地紋データを埋め込んで再生画像データを出力することを特徴とする実施例1に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記地紋編集部は、更に、前記印刷指示に基づいて前記ウォーターマーク作成情報を変更するウォーターマーク作成情報変更手段を有し、
該ウォーターマーク作成情報変更手段は、前記印刷指示に基づく出力用紙サイズの変更において、変更前後の用紙サイズの倍率を算出し、該倍率に応じて前記ウォーターマーク作成情報を変更することを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記印刷指示は、ウォーターマークサイズの最小値、及び最大値を含み、
ウォーターマーク作成情報変更手段は、
前記倍率に基づく前記ウォーターマークサイズが前記最小値以下になると前記倍率に関わらず前記ウォーターマークサイズを前記最小値に変更し、
前記倍率に基づく前記ウォーターマークサイズが前記最大値以上になると前記倍率に関わらず前記ウォーターマークサイズを前記最大値に変更することを特徴とする、請求項6に記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−205948(P2008−205948A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−41215(P2007−41215)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(594202361)株式会社沖データシステムズ (259)
【Fターム(参考)】