説明

印刷装置

【課題】 プリンタには、表示部や操作部材、用紙搬送のための排紙口等があり、近接無線通信用のアンテナを配置可能な場所が限られている。
【解決手段】 開閉可能なカバーに、近接無線通信用のアンテナを配置することで、プリンタの表示部や操作部、用紙搬送経路を遮ることなく、近接無線通信を行う外部装置をアンテナが配置される場所に置くことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データに基づいて画像を印刷するプリンタに関し、特に、近接無線通信により外部装置から画像データを取得する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ、携帯電話といった画像入力機器の進歩に伴い、撮像された画像を鑑賞するために、画像の表示やプリント出力を行う多種の画像処理装置が製品化されている。その一例としてフォトプリンタが挙げられる。
【0003】
前記画像入力機器で撮像した画像データをプリント出力する目的で使用されるフォトプリンタでは、インクジェット方式、熱転写方式といったプリント方式が多く採用されている。
【0004】
インクジェット方式は、インクを衝撃や加熱などにより極小の液滴として飛ばす方式で、小さな液滴を用紙へ着弾させて、誤差拡散法などにより解像度と階調性を得る。インクを飛ばすための代表的な方式として、ピエゾ方式、サーマルインクジェット方式がある。ピエゾ方式は、印加により変形するピエゾ素子を使ってインクを押し出す方式で、サーマルインクジェット方式は発熱体より発生した気泡でインクに圧力をかけて飛ばす方式である。
【0005】
一方、熱転写方式プリンタは、主走査方向に配列された複数個のサーマルヘッドを選択的に駆動し用紙を副走査方向に搬送することで用紙上にドットライン状の印画を行う。
【0006】
昇華型熱転写方式プリンタは、インクリボンのインクを固体から気体に昇華させて用紙に付着させる方式である。ヘッドに加える熱量、つまりヘッドへの通電回数(時間)の制御を行い、1画素の濃度を変化させることで、滑らかで階調性豊かな画像を表現することができるため、写真のプリント出力に適した方式である。近年、サーマルヘッドの性能や用紙材料の品質の向上に比例し、銀塩写真に見劣りしない高画質を得る事が可能となってきている。
【0007】
写真のプリント出力に適したデジタルフォトプリンタの市場拡大に伴い、パソコンなどを介さずに、デジタルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮像機器とプリンタを直接接続するプリントシステムの普及が進んでいる。
【0008】
そして特許文献1のように、撮像装置とプリンタを、USBケーブルを介してダイレクトに接続して、手軽にデジタル画像データのプリント出力を行うことが可能となった。
【0009】
また、上述のような有線のケーブルを使用せずに機器同士を近づけるだけで、非接触のデータ転送を行うことが可能な近接無線通信技術も開発されている。このような近接無線通信技術としてTransfer Jetが挙げられる。Transfer Jetでは、無線通信回路のアンテナ部は誘導電界を用いて垂直方向のみの電波を受信する特殊な構成をしており、通信を行う機器同士をかざすだけでデータの転送を行うことが可能である。機器間通信距離として3cm以内を想定しており、互いの機器を3cm〜5cm以内に近接させることにより通信が開始される。そのため、他の無線通信機器との混信を回避することも可能となり、また、特別な技術を組み込まなくてもセキュリティを確保せいたデータ転送が可能となる。またTransfer Jet は、Bluetooth(登録商標)や無線LANのようにベアリングやアクセス先への接続設定が不要であり、ユーザによる煩雑な操作なしで簡単に利用することが出来る。
【0010】
今後、Transfer Jetに代表される近接無線通信技術の普及が期待される。特にデジタルカメラや携帯電話のような撮像機能を有する画像入力装置で撮影した画像データを、ディスプレイやプリンタのような画像表示手段やプリント出力手段を有する画像出力装置に転送する際に利用されることが期待されている。
【特許文献1】特開2004−009388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
プリンタが、このような近接無線通信機能を適応する場合は、データ転送を行うためのアンテナ部を搭載する必要がある。例えばデジタルビデオカメラとプリンタを近接無線通信させる場合、近接させないと通信が不可能であるという通信距離の制約があるためにデジタルビデオカメラをプリンタに近接させてデータ転送を行う必要がある。
【0012】
次に図8にプリンタの外観図を示す。プリンタ上面には操作ボタン803やジョグダイヤル802等の操作部材やLCD画面801が配置されている。また、プリンタ前面には印刷時に用紙805の給紙及び排紙を行う用紙給排紙口804が具備されている。用紙805は用紙トレイ806の中に格納されており、印刷処理後の用紙805は用紙トレイ806上に排紙される。
【0013】
デジタルビデオカメラのよう比較的大型の画像入力装置と近接無線通信を行う場合、プリンタ上面に画像入力装置を置いて送受信を行うとプリンタ側の操作ボタン803やLCD画面801等の表示部材及び操作部材が隠されてしまう。そのため、プリンタの操作性が低下する。一方、プリンタ前面には用紙の給排紙口804や用紙トレイ806、後面には用紙搬送経路用の一時排紙口(不図示)、側面にはインクリボン格納用のドア(不図示)等が存在する。そのため、近接無線通信機能用のアンテナ部を配置可能であり、ビデオカメラ等の画像入力装置を近接させることが可能なスペースが少ない。
【0014】
このように、プリンタの上面や側面には近接無線通信用のアンテナ部を設置するために適したスペース及び位置がない。したがって、アンテナ部が内蔵された近接無線通信用送受信モジュール808を、USBケーブル810を介してプリンタのUSB Aコネクタ端子809に接続する必要がある。
【0015】
上記のような構成を有するプリンタの場合、近接無線通信を行うために近接無線通信用送受信モジュールを外付けで接続する必要があり、近接無線通信用送受信モジュールをプリンタに内蔵した場合と比べて利便性が劣る。
【0016】
また、プリンタの側面に、画像入力装置と近接させても操作性が損なわれないようなスペースをつくり、近接無線通信機能用アンテナを配置することが考えられる。しかし、近接無線通信においては、808のような近接無線通信用アンテナが内蔵された土台の上に近接無線通信対応機器を置いて使用することが想定されており、画像入力近接無線通信対応機器の底面に近接無線通信用アンテナが配置されている。そのため、プリンタの側面にアンテナを配置した場合、底面にアンテナが配置されている近接無線通信対応機器のアンテナとプリンタのアンテナを近接した状態で維持するのは困難である。
【0017】
そこで本発明はかかる課題に鑑み、プリンタにおいて、操作性が損なわれないように近接無線通信用のアンテナを配置することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述の課題を解決するため、本発明の印刷装置は、外部装置から受信した画像データに基づいて画像を印刷する印刷装置であって、外部装置を近接させることにより、外部装置との無線通信を可能にする近接無線通信用のアンテナと、
アンテナを介して外部装置から受信した画像データに基づいて画像を印刷するための印刷手段と、印刷装置の外装の一部として設けられ、閉状態と開状態とに移動可能な移動部材と、を有し、アンテナは、移動部材に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、プリンタにおいて近接無線通信用のセンサを最適な位置に配置することにより、機器間での安定した近接無線通信を実現することが出来る。また、カバーを開いたときのカバー上に外部装置を置くので、プリンタの操作部や表示部、用紙搬送経路を遮ることなく、外部装置をアンテナが配置されている個所に置くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。尚、本実施例においてはプリンタとデジタルカメラ間でのデータ通信を例に説明をするが、本発明はこれに限定されるものではない。近接無線通信用モジュールが内蔵された外部装置とのデータ通信であれば、本実施形態のプリンタを適応することができる。
【0021】
図1に、第1実施例の印刷システムの外観図、また図2には本実施形態のプリンタのシステムブロック図を示す。
【0022】
図1において、プリンタ10には、メモリカードスロットに装着されたメモリカードに記録されている画像の表示や、印刷条件を設定するための印刷設定画面や各種設定画面、警告画面を表示するための表示装置11が設けられている。表示装置11は、ビンジ機構により回転可能にプリンタ10に結合されており、回転させることにより開閉可能に設けられている。表示装置を使用する場合は、表示装置を回転させて画面が前面から見える開状態にして使用する。カバー12もまた、ヒンジ機構によりプリンタに対して開閉可能に設置されており、このカバーには、デジタルカメラ等の外部装置19と近接無線通信するための近接無線通信アンテナ13が配置されている。近接無線通信用のアンテナ13は、他の機器の近接無線通信アンテナと3〜5cm以内に近接させることにより通信が可能となる。外部装置19にも近接無線通信用のアンテナが底面に設けられており、互いのアンテナを近接することにより無線通信が可能となる。なお、近接とは、非接触の状態で近くに接近させることおよび接触させる場合も含む。本実施形態では、このカバー12は、閉状態にあるときはプリンタ10の外装の一部となり、開状態(図1の状態)にあるときは、近接無線通信を行う外部装置を置くための土台となる。アンテナが配置されている部分の周辺には、外部装置19を置いたときの外部装置の滑り止め用のイボイボゴムや、カプラの受信可能範囲をLED等によって点灯させるといったような構成にしても良い。
【0023】
15は画像が記録されたメモリカードを装着するカードスロットで、16はデジタルカメラとUSBにより有線接続するためのUSBコネクタである。プリンタ10は、メモリカードやデジタルカメラから画像データを取得して、取得した画像データの画像を印刷することができる。
【0024】
18はインクカートリッジであり、17は排紙口である。プリンタ10は、用紙にインクカートリッジ18のインクをサーマルヘッドにより用紙に転写させて画像を印刷し、印刷後の用紙を排紙口17に排出する。プリンタの側面にはインクカートリッジ18を着脱するための開口及び蓋が設けられている。
【0025】
次に、図2を用いてプリンタ10の内部構成について説明する。
【0026】
プリンタ201(図1のプリンタ10)において、プリントエンジン処理部205は、紙搬送やサーマルヘッドなどで構成されているプリントエンジン202を動作させるための制御部である。
【0027】
表示部処理部206は、表示部203に画像や各種設定画面等を表示させるための制御部である。203の表示部は、図1の表示装置11に対応しており、カードスロットに接続されたメモリカード内の画像データの表示や各種設定を行う際のユーザインターフェイスを表示するための装置である。この表示装置は、例えば液晶表示装置、またタッチパネルなどが挙げられる。
【0028】
システムコントローラ207は、プリンタ201のシステム全体の制御や演算処理等を行う。不揮発性メモリ208は、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性メモリで構成され、システム制御や演算処理のためのプログラムや各種設定値等が記憶されている。システムコントローラ207は、不揮発性メモリから読み出したプログラムに基づいて処理を実行する。209は、システムコントローラ207の一時的な作業メモリとして利用される。
【0029】
204は、例えば電源のON/OFFボタン、印刷モードの選択や印刷したい画像の選択などの操作を行うため十字キー等から構成される操作部であり、これらの操作部からの入力はシステムコントローラ207により監視される。また、表示部および操作部を203をタッチパネルとして構成した場合は、タッチパネルへの操作をシステムコントローラ207が監視し、操作に応じた制御を行う。
【0030】
211は、USB通信制御部であり、USB通信部219に有線接続された外部装置との通信をコントロールする。212はカードコントローラで、カードスロット220に装着されたメモリカードからデータを読み込むための制御を行う。
【0031】
給紙部213は不図示の用紙トレイからプリンタへ印刷用紙を給紙し、排紙部214はプリンタにて印刷された用紙を排紙口17に排紙する。インクカートリッジ装着部215には、プリンタで画像を印刷するために必要なインクカートリッジ18が装着され、インクカートリッジ装着部は、インクカートリッジ18が装着されたことおよび装着されたインクカートリッジの種類を検出することが可能である。本実施形態のプリンタは、昇華型プリンタであるため、インクカートリッジ装着部215には、熱昇華型プリンタのインクカートリッジ18が装着される。プリントエンジン202がインクジェット方式のものである場合には、インクカートリッジ装着部215には、インクタンクが装着される。
【0032】
216は、近接無線通信用アンテナ217により送受信される画像データなどの各種データ通信の制御を行う近接無線通信制御部である。また、近接無線通信用アンテナ217への電力の供給等も行う。近接無線通信用アンテナ217のアンテナで、外部装置をこのアンテナ217に近接させることにより無線通信が可能となる。また、このアンテナ217は、プリンタのカバー12に配置されている。
カバー開閉検出SW218は、プリンタのカバー12の開閉状態を検出するためのセンサで、図1の14に対応している。
【0033】
次に、本実施形態のプリンタの近接無線通信の制御シーケンスを図3を用いて説明する。
【0034】
プリンタへ電源が投入されると図3の処理が実行される。これらの処理は、システムコントローラ207が、不揮発性メモリ208から読み出したプログラムに基づいて各部の制御及び演算処理を行うことにより実行される。
【0035】
プリンタに電源が投入されると、システムコントローラ207は、電源がACアダプタであるか、バッテリであるかをチェックする(S301)。ACアダプタから電力が供給されている場合は、S302に遷移し、アンテナ217に電力を供給する。S301でバッテリ電源であると判断された場合は、アンテナ217には電力を供給しない(S309)。S302でアンテナ217に電力が供給された後、カバー開閉検出スイッチ218が、カバー12が開状態にあるか、カバーが閉じてプリンタの外装の一部となっている閉状態にあるのかを検出する(S303)。S303でカバーが開状態にあると検出された場合は、近接無線通信制御部216は、外部装置がカバー12上に置かれて、アンテナに近接されたことを検出可能な状態にする(S304)。S304で外部装置の検出を開始し、外部装置が近接されたことを検出した場合は、S305で、外部装置との近接無線通信を開始し、外部装置から画像データを取得する。画像データの取得後に、インクカートリッジ装着部215にインクカートリッジ18が装着されているかを判別し(S306)、カートリッジが装着されている場合は、外部装置から受信した画像を印刷する印刷モードへ移行する(S307)。印刷モードでは、操作部や表示部を用いて印刷条件の設定の後、プリントエンジン202により画像を印刷する。また、S306でカートリッジが装着されていないと判別された場合は、外部装置から受信した画像を表示部203に表示させる画像閲覧モードに移行する(S308)。
【0036】
プリンタがバッテリ駆動である場合は、カバー開閉検出スイッチ218が、カバー12が開状態であるかを検出する(S310)。そして、カバー12が開状態にあることを検出すると、アンテナ217に電力を供給する(S311)。カバー12が閉状態にあるときはアンテナ217には電力を供給しない。その後は、S312〜S316において、ACアダプタ駆動時のS304〜S308と同様の処理を行う。説明は省略する。
【0037】
このように、近接無線通信用のアンテナをプリンタのカバーに内蔵させることで、コンパクトプリンタのような比較的小さな装置においても、外付の近接無線通信モジュールを用意することなく、デジタルカメラなどの外部装置との近接無線通信が可能となる。また、閉状態の時にはプリンタの外装の一部となりアンテナが内蔵されたカバーを、開状態にすることにより近接無線通信を行う外部装置を置くときの土台となる。そのため、底面に近接無線通信用のアンテナが設けられた外部装置を土台に置くことにより、安定した近接無線通信が可能となる。また、外部装置と近接無線通信しながらプリンタ上に設けられている表示装置や操作部材を使用する際に、プリンタの表示部や操作部の近傍ではなく、土台に外部装置を置くので、プリンタの操作性が損なわれない。
【0038】
また、バッテリ駆動の場合は、カバーが閉じていてカバー上に外部装置が置けないときには電力の供給を行わないので、消費電力を低減することが可能である。本実施形態では、近接無線通信前に、カバーの状態を判断しアンテナへの電力供給の制御を行ったが、近接無線通信後にカバーの状態を検出し、カバーが閉状態になった場合は、アンテナへの電力供給を停止する構成にするとさらに良い。
【0039】
本実施形態では、カバーはプリンタに対してヒンジ機構により結合して回転することにより開閉可能としたが、カバーをスライド式にして、カバーをスライド式の移動部材として、閉位置と開位置に移動可能なように構成しても良い。
【0040】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態のプリンタについて、図4を参照して説明する。基本的な構成は第1の実施形態と同じであるため、異なる部分のみ説明する。
【0041】
本実施形態のプリンタ40は、第1の実施形態と同様に、カバー41が設けられており、カバー41はプリンタにヒンジ機構により回転して開閉可能に接続されている。そして、カバー41には近接無線通信用のアンテナ42が設置されている。第1の実施形態では、カバー41を閉じているときは近接無線通信はできなかったが、第2の実施形態では、カバーを開いていても閉じていても、外部装置43との近接無線通信が可能である。
【0042】
第1の実施形態と同様に、カバー開閉検出スイッチが、カバーの開閉状態を検出する。図4(a)のように、カバー41が開いていることを検出した場合は、プリンタ40は、外部装置43の保持する全ての画像、または、外部装置43で選択した複数の画像を一括して受信するモードとして動作し、外部装置が複数画像を一括して送信するモードとなるように制御する。また、図4(b)のように、カバーが閉じていることを検出した場合は、プリンタ40は外部装置43に現在表示されている画像を一枚ずつ受信するモードとして動作し、外部装置が画像を一枚ずつ送信するモードとなるように制御する。
【0043】
これは、外部装置43が保持するたくさんの画像を一度に受信するには、時間もかかる。そこで、図4(a)のように、外部装置をカバー上に置くことができる場合は、プリンタ40は、外部装置43が保持する複数の画像を受信する。
【0044】
カバー41が閉じている場合は、外部装置を置くことができないので、ユーザは画像の受信が完了するまで、外部装置のアンテナ44とカバーに配置されたアンテナ42の近接状態を保ったまま、外部装置43を持ち続けなければならない。そこで、カバー41が閉じている場合には、複数の画像を一度に送るのではなく、一枚ずつ送るモードに自動的に切換わるように制御している。
【0045】
(第3の実施形態)
次に第3の実施形態のプリンタについて、図5から図7を参照して説明する。基本的な構成は第1の実施形態と同じであるため、異なる部分のみ説明する。
【0046】
プリンタ50は、図5のように表示装置がヒンジ機構によりプリンタ50に対して開閉可能に接続され、表示装置を折りたたむことが可能となっている。さらに、本実施形態の表示装置51は2軸ヒンジ構成となっており、表示装置51を開閉するための回転軸と垂直な軸を回転軸として回転可能に構成され、開閉かつ相対的に回転可能にプリンタに連結されている。
【0047】
また、プリンタ50の上面部であり、表示装置を閉じた場合に表示装置と対向する面に、近接無線通信用のアンテナ52が設けられている。底面に近接無線通信用アンテナが配置された外部装置を、アンテナ52に近接させることにより、無線通信が可能となる。このように、本実施形態のプリンタは、プリンタに対して開閉可能なカバーではなく、プリンタ本体側にアンテナが設置させている。表示装置51に回転機構を設けたことで、図6(b)のように、外部装置を設置可能なスペースは可変となり、外部装置の大きさに応じて使い分けることも可能となる。
【0048】
次に、図7を用いて本実施形態のプリンタの制御フローを説明する。
【0049】
まず、S701で表示装置が閉じた状態にあるか、図5,図6のように開いた状態にあるかを検出する。開いた状態である場合は、アンテナ52に電力を供給するS702。電源供給後、アンテナ52により外部装置と近接無線通信が開始されると、S703で表示装置51が、図6(b)(c)のような回転状態にあるか、図5、図6(a)のように回転しておらず、表示部が正面を向いた状態にあるかを検出する。S703で回転されていないと検出された場合、図6(a)のように、プリンタの表示装置51には何も表示させずオフさせて、近接無線通信している外部装置の表示部をオンにして表示状態にするように制御する(S704)。この時、印刷開始などの操作は、外部装置側で行う。一方、S703で表示装置51が回転していると検出された場合、通信中の外部装置の表示装置をオフさせるように制御し、プリンタ側の表示装置51において各種表示を行うように制御する(S705)。またこの時、印刷開始などの操作は、プリンタ側で制御を行う。
【0050】
このように、本実施形態のプリンタは、表示装置の回転状態によって、プリンタの表示装置51を用いて表示を行うか、外部装置の表示部を用いて表示を行うかを決定する。表示装置51が回転されていない場合は、表示装置51表示部の前に外部装置が置かれ、表示装置51の表示部分が隠れてしまい見えなくなってしまうので、表示装置51ではなく外部装置の表示部を用いて表示する。また、表示装置51が回転状態にある場合は、外部装置をアンテナ52に近接させても、表示装置51の表示部が隠れることはないので、表示装置51を用いて表示を行う。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】第1実施形態に係るプリンタおよび外部装置の外観図である。
【図2】第1実施形態に係るプリンタのブロック図である。
【図3】第1実施形態に係るプリンタの制御シーケンスである。
【図4】第2実施形態に係るプリンタおよび外部装置の図である。
【図5】第3実施形態に係るプリンタの外観図である。
【図6】第3実施形態に係るプリンタおよび外部装置の外観図ある。
【図7】第3実施形態に係るプリンタの制御シーケンスである。
【図8】従来のプリンタを説明するための図である。
【符号の説明】
【0052】
10 プリンタ
11 表示装置
12 カバー
13 近接無線用アンテナ
14 カバー開閉検出SW
15 カードスロット
16 USBコネクタ
17 排紙口
18 インクカートリッジ
19 近接無線通信対応の外部装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置から受信した画像データに基づいて画像を印刷する印刷装置であって、
外部装置を近接させることにより、前記外部装置との無線通信を可能にする近接無線通信用のアンテナと、
前記アンテナを介して前記外部装置から受信した画像データに基づいて画像を印刷するための印刷手段と、
前記印刷装置の外装の一部として設けられ、閉状態と開状態とに移動可能な移動部材と、を有し、
前記アンテナは、前記移動部材に配置されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記移動部材が開状態である場合に、前記アンテナによる近接無線通信を可能にする制御手段を有することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記移動部材は、閉状態である場合は前記印刷装置の外装の一部となり、開状態である場合は、前記アンテナを介して近接無線通信を行う外部装置を置く土台となることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記移動部材が閉状態であることを検出する検出手段と、
前記アンテナに電力を供給する電力供給手段を有し、
前記検出手段により前記アンテナが閉状態であると検出された場合は、前記電力供給手段は前記アンテナへ電力を供給しないことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記移動部材は印刷装置に対して回転可能に結合され、前記移動部材を回転させることにより、前記閉状態と前記開状態とに移動可能であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記アンテナを介して外部装置から画像データを取得する取得手段を有し、
前記取得手段は、前記移動部材が閉状態である場合は、前記外部装置から1つの画像データを取得し、前記移動部材が開状態である場合は、前記外部装置から複数の画像データを取得することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記移動部材をスライドさせることにより、閉状態と開状態とに移動可能することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−616(P2010−616A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−159320(P2008−159320)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】