説明

印刷装置

【課題】印刷装置において、メモリの空き領域の断片化による画像データの書き込み待ちを解消する。
【解決手段】印刷すべき複数の画像データをメモリ34に配置し、該配置された複数の画像データを順次読み出して印刷を実行する印刷装置において、メモリ34における複数の画像データDk,Dl、Dmの配置領域の間に空き領域V2が存在する場合、メモリ34に配置されている全ての画像データDk,Dl、Dmがメモリ34中で連続的に配置されるように、複数の画像データDk,Dl、Dmのうち少なくとも1つの画像データの配置位置を変更するメモリ管理手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷すべき複数の画像データをメモリに配置し、その配置された複数の画像データを順次読み出して印刷を実行する印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータ又はスキャナーなどから印刷すべき画像データを受信し、その画像データをハードディスクにいったん記憶した後、あるいはハードディスクに記憶させることなく直接、DRAM等のメモリに書き込み、メモリから画像データを順次読み出して印刷を実行する印刷装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
このような印刷装置には、印刷が完了した画像データをメモリから破棄してメモリ内に空き領域を確保するとともに、メモリに画像データを書き込む際には、メモリの先頭アドレス側の空き領域から順に画像データを書き込んでいくものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−103255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、メモリの先頭アドレス側の空き領域から順に画像データを書き込んでいく上記印刷装置では、メモリに書き込む画像データのサイズにバラツキがある場合、空き領域が断片化し、空き領域が連続していれば直ちに書き込むことができたはずの画像データの書き込みを、充分な大きさの連続した空き領域が確保できるまで待たなければならない場合が生じる。
【0006】
たとえば、図8に示すように、複数の画像データD1,D2、D3,D4がメモリ134の先頭アドレス134aから連続的に配置されており、その後方のアドレス領域に空き領域V11が形成されている場合を考える。ここで、画像データDiは、i番目に印刷される画像データをいう。まず、画像データD1をメモリ134から読み出し、その画像データD1に基づいて印刷を実行する。そして、印刷が終了すると画像データD1がメモリ134から破棄され、そこに空き領域V12が形成される。
【0007】
その後、画像データD5をメモリ134に書き込む際、メモリ134の先頭アドレス134a側の空き領域から順に画像データを書き込んでいくので、画像データD5より大きく、かつ、先頭アドレスから最も近い空き領域V12内にその書き込みを行う。そうすると、空き領域はV13とV11の2箇所となる。その後、画像データD6をメモリ134に書き込もうとしたとき、空き領域V13、V11はいずれもそのサイズが画像データD6より小さいため、画像データD6を書き込むためには、その画像データD6のサイズ以上の大きさの連続した空き領域が確保できるまで、すなわち画像データD2とD3の印刷が完了するまで待たなければならない。なお、このような画像データの書き込み待ちは、印刷効率の低下を招く虞がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑み、メモリの空き領域の断片化による画像データの書き込み待ちを解消することができる印刷装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の印刷装置は、印刷すべき複数の画像データをメモリに配置し、該配置された複数の画像データを順次読み出して印刷を実行する印刷装置であって、メモリにおける複数の画像データの配置領域の間に空き領域が存在する場合、複数の画像データがメモリ中で連続的に配置されるように、複数の画像データのうち少なくとも1つの画像データの配置位置を変更するメモリ管理手段を備えたことを特徴とするものである。
【0010】
ここで、「メモリにおける複数の画像データ」というのは、メモリに配置されている全ての画像データを意味する。
【0011】
上記印刷装置は、それぞれ印刷が途中で停止したことを検出する印刷停止検出手段を備え、メモリ管理手段が、印刷停止検出手段において停止が検出されたときに、配置位置の変更を行うものであってもよい。
【0012】
ここで、「印刷が途中で停止した」とは、メモリに配置されている全ての画像データの印刷が終了していない状態において、停止状態が所定時間以上継続すると予測されるような印刷動作の停止により、メモリからの画像データの読み出しが実質的に停止したことを意味する。
【0013】
なお、上述した停止状態が所定時間以上継続すると予測されるような印刷動作の停止には、たとえば、用紙やインク等の消耗品切れ、用紙ジャム、排紙トラブルやインクヘッドのクリーニング等によって印刷動作が停止した場合がある。また、一つの印刷ジョブの印刷が終わり次の印刷ジョブの印刷が始まるまでの間に所定時間の停止状態が設定されている場合には、その停止も上述した停止状態が所定時間以上継続すると予測されるような印刷動作の停止に該当する。
【0014】
また、印刷停止検出手段は、メモリからの画像データの読み出しが停止したことを直接的に検出するものであってもよいが、消耗品切れ、用紙ジャム、排紙トラブル、インクヘッドのクリーニング等を検出し、または、それらの事象による用紙の搬送動作もしくは画像形成動作の停止を検出することにより、メモリからの画像データの読み出しが停止したことを間接的に検出するものであってもよい。
【0015】
上記印刷装置において、メモリ管理手段は、上記配置位置の変更を行う場合にその配置位置が変更される画像データの総サイズを算出し、印刷の最中には、その算出された総サイズが所定のしきい値よりも小さい場合にのみ配置位置の変更を行うものであってもよい。
【0016】
また、上記印刷装置において、メモリ管理手段は、複数の画像データがメモリの先頭アドレスまたは最終アドレスから連続的に配置されるように、配置位置の変更を行うものであってもよい。
【0017】
また、上記印刷装置において、メモリ管理手段は、配置位置を変更する処理として、複数の画像データのうちメモリの先頭アドレスに最も近い位置に配置された画像データである先頭画像データ以外の少なくとも1つの画像データの配置位置を変更する第1の位置変更処理、または、複数の画像データのうちメモリの最終アドレスに最も近い位置に配置された画像データである最終画像データ以外の少なくとも1つの画像データの配置位置を変更する第2の位置変更処理を行うものであってもよい。
【0018】
また、このメモリ管理手段は、第1の位置変更処理を行う場合に配置位置が変更される画像データの総サイズと第2の位置変更処理を行う場合に配置位置が変更される画像データの総サイズをそれぞれ算出し、第1のおよび第2の位置変更処理のうち算出された総サイズが他方より小さい方の処理を行うものであってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の印刷装置によれば、印刷すべき複数の画像データをメモリに配置し、該配置された複数の画像データを順次読み出して印刷を実行する印刷装置であって、メモリにおける複数の画像データの配置領域の間に空き領域が存在する場合、複数の画像データがメモリ中で連続的に配置されるように、複数の画像データのうち少なくとも1つの画像データの配置位置を変更するメモリ管理手段を備えたことにより、メモリの空き領域をまとまった領域とすることができ、空き領域の断片化による画像データの書き込み待ちを解消することができる。
【0020】
上記画像データの配置位置を変更する処理(デフラグメンテーション処理)の実行には時間がかかる場合があるので、上記印刷装置は、それぞれ印刷が途中で停止したことを検出する印刷停止検出手段を備え、メモリ管理手段が、印刷停止検出手段において停止が検出されたときにのみ、配置位置を変更する処理を行うものである場合には、そのデフラグメンテーション処理の実行によって印刷処理に遅延が生じるのを避けることができる。
【0021】
上記印刷装置において、メモリ管理手段が、上記配置位置の変更を行う場合にその配置位置が変更される画像データの総サイズを算出し、印刷の最中には、その算出された総サイズが所定のしきい値よりも小さい場合にのみ配置位置の変更を行うものである場合には、デフラグメンテーション処理の実行によって印刷装置における他の処理に遅延が生じるのを避けつつ、印刷の停止を待つことなくデフラグメンテーション処理を実行することができる。
【0022】
また、上記印刷装置において、メモリ管理手段が、複数の画像データがメモリの先頭アドレスまたは最終アドレスから連続的に配置されるように、配置位置の変更を行うものである場合には、メモリの空き領域を1つにまとめることができる。
【0023】
また、上記印刷装置において、メモリ管理手段は、配置位置を変更する処理として、複数の画像データのうちメモリの先頭アドレスに最も近い位置に配置された画像データである先頭画像データ以外の少なくとも1つの画像データの配置位置を変更する第1の位置変更処理、または、複数の画像データのうちメモリの最終アドレスに最も近い位置に配置された画像データである最終画像データ以外の少なくとも1つの画像データの配置位置を変更する第2の位置変更処理を行うものである場合には、少なくとも先頭画像データまたは最終画像データの配置位置を変更する処理は不要となるので、その分デフラグメンテーション処理の所要時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】印刷システムの概略構成図
【図2】メモリへの画像データの書き込み処理を示すフローチャート
【図3】デフラグメンテーション処理の一例を示す図(その1)
【図4】デフラグメンテーション処理の一例を示す図(その2)
【図5】デフラグメンテーション処理の一例を示す図(その3)
【図6】デフラグメンテーション処理の一例を示す図(その4)
【図7】デフラグメンテーション処理を示すフローチャート
【図8】メモリの空き領域の断片化による画像データの書き込み待ちを説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の印刷装置の実施の形態について説明する。図1は、本発明の印刷装置を用いた印刷システムの概略構成を示すブロック図である。この印刷システムは、図1に示すように、コンピュータ10と、コンピュータ10に有線または無線LANなどのネットワーク9を介して接続された印刷装置30とを備えている。
【0026】
コンピュータ10は、中央処理装置(CPU)、半導体メモリやハードディスクやSSD等のストレージデバイスおよびキーボードやマウス等の入力装置を備えている。コンピュータ10には、原稿データ(文字、画像など)を作成するアプリケーションと、操作者による原稿の印刷指示に応じて、アプリケーションによって作成した原稿データに基づいて印刷装置30において取扱可能な形式の印刷データを生成し、更に必要に応じて圧縮し、その印刷データ印刷装置30に出力するプリンタドライバ12とがインストールされている。
【0027】
印刷装置30は、コンピュータ10からネットワークを介して印刷データを受信し、その印刷データに基づいて印刷を実行するものであって、印刷管理部32、画像展開用メモリ34(DRAMなど)、印刷実行部36、印刷停止検出部38などを備えている。ここで、印刷管理部32が本発明のメモリ管理手段に該当し、画像展開用メモリ34が本発明のメモリに該当する。
【0028】
印刷管理部32は、コンピュータ10からネットワークを介して受信した印刷データを保存および管理する。印刷管理部32は、CPU、メモリおよびハードディスクを備えており、CPUがメモリに格納されたプログラムに従い印刷スケジュールを決定する処理、画像展開用メモリ34に印刷すべき画像データを書き込む処理、画像展開用メモリ34をデフラグメンテーションする処理等の各種処理を実行する。
【0029】
以下、印刷管理部32により行われる処理について説明する。印刷管理部32は、コンピュータ10から受信した印刷データをハードディスクにいったん記憶する。その後、印刷スケジュールに従い、ハードディスクに記憶された印刷データに基づいて印刷実行部36が処理可能な形式(たとえば、CMYK形式)の画像データを生成し、その画像データをページ単位で画像展開用メモリ34に書き込む。そして、その画像データを書き込んだ場所のアドレス情報を印刷実行部36に通知する。また、印刷が完了した、又は印刷装置30からの用紙の排出が正常に完了した画像データを画像展開用メモリ34から破棄して画像展開用メモリ34内に空き領域を確保する。
【0030】
ここで、図2に示すフローチャートを参照して、画像データを画像展開用メモリ34に書き込む処理について説明する。まず、操作者による印刷指示に応じて、ハードディスクに記憶された印刷データに基づいてページ単位の画像データを生成し(ステップST11)、画像展開用メモリ34に配置されている全ての画像データのうち最後に印刷される、すなわち破棄される順番が最も遅い画像データが配置されているアドレス領域を特定する(ステップST12)。この特定処理は、画像展開用メモリ34に配置されている全ての画像データのうち印刷スケジュールにおいて最も後方に位置する画像データを特定し、その画像データのヘッダに記述されている、画像データの開始アドレス及びサイズの情報に基づいて行うことができる。
【0031】
次いで、ステップST12にて特定されたアドレス領域の直後の領域が空き領域である場合において、その空き領域に、ステップST11で生成した画像データを書き込む(展開する)ことが可能か否かを判断する(ステップST13)。この判断は、空き領域のサイズと、書き込む画像データのサイズとを比較することにより行う。そして、ステップST13で書き込むことが可能であると判断された場合、その空き領域に画像データを書き込む(ステップST14)。一方、空き領域のサイズが画像データのサイズよりも小さいため、ステップST13で書き込むことができないと判断された場合には、その画像データを書き込み可能なサイズ、すなわちその画像データよりも大きいサイズの別の空き領域を検出し、検出された空き領域に画像データを書き込む(ステップST15)。その後、未書き込みの画像データが存在するか否かを判断し(ステップST16)、存在する場合にはステップST11に戻り、存在しない場合には、処理を終了する。
【0032】
また、印刷管理部32は、印刷停止検出部38において印刷の停止が検出されたときに、画像展開用メモリ34における複数の画像データの配置領域の間に空き領域が存在する場合、画像展開用メモリ34に配置されている全ての画像データが画像展開用メモリ34上で連続的に配置されるように、それらの画像データのうち少なくとも1つの画像データの配置位置を変更するデフラグメンテーション処理を行う。そして、その各位置が変更された画像データについて、変更後の場所のアドレス情報を印刷実行部36に通知する。
【0033】
たとえば、図3の左図に示すように、画像展開用メモリ34に複数の画像データDk,Dl、Dmが配置されている場合、画像データDkとDlの配置領域の間に空き領域V2が存在するので、図3の右図に示すように、画像展開用メモリ34に配置されている全ての画像データDk,Dl、Dmが画像展開用メモリ34の先頭アドレス34aから連続的に配置されるように、画像データDk,Dl、Dmの配置位置をそれぞれ変更する(第1のデフラグメンテーション処理)。
【0034】
なお、ここでは、全ての画像データが画像展開用メモリ34の先頭アドレスから連続的に配置されるように、その配置位置の変更するようにした場合について説明したが、画像展開用メモリ34に配置されている全ての画像データが画像展開用メモリ34上で連続的に配置されるようにすれば足り、上記態様に限られるものではない。
【0035】
たとえば、図4の左図に示す場合(図3の左図と同じ)において、図4の右図に示すように、画像展開用メモリ34に配置されている全ての画像データDk,Dl、Dmが画像展開用メモリ34の最終アドレス34bから連続的に配置されるように、画像データDk,Dl、Dmの配置位置をそれぞれ変更するようにしてもよい(第2のデフラグメンテーション処理)。
【0036】
たとえば、図5の左図に示す場合(図3の左図と同じ)において、図5の右図に示すように、画像展開用メモリ34に配置されている全ての画像データDk,Dl、Dmのうち前記メモリの先頭アドレス34aに最も近い位置に配置された画像データDk(先頭画像データ)の配置位置は変更することなく、それ以外の画像データDl、Dmの配置位置を変更して全ての画像データDk,Dl、Dmが画像展開用メモリ34上で連続的に配置されるようにしてもよい(第3のデフラグメンテーション処理)。
【0037】
たとえば、図6の左図に示す場合(図3の左図と同じ)において、図6の右図に示すように、画像展開用メモリ34に配置されている全ての画像データDk,Dl、Dmのうち前記メモリの最終アドレス34bに最も近い位置に配置された画像データDm(最終画像データ)の配置位置は変更することなく、それ以外の画像データDk、Dl(ここでは、Dkのみ)の配置位置を変更して全ての画像データDk,Dl、Dmが画像展開用メモリ34上で連続的に配置されるようにしてもよい(第4のデフラグメンテーション処理)。
【0038】
また、上述した第1から4の各デフラグメンテーション処理を行う場合に配置位置を変更する画像データの総サイズをそれぞれ算出し、それらのデフラグメンテーション処理のうち算出された総サイズが最も小さい方の処理を行うようにしてもよい。なお、算出された総サイズが最も小さい処理が2以上ある場合には、予め決められたいずれかの処理を行うようにすればよい。
【0039】
たとえば、図3から図6の左図に示すように、画像展開用メモリ34に複数の画像データDk,Dl、Dm(サイズ:Dm<Dk<Dl)が配置されている場合、配置位置を変更する画像データの総サイズは、第1および第2のデフラグメンテーション処理を行う場合は画像データDk,Dl、Dmのサイズの合計であり、第3のデフラグメンテーション処理を行う場合は画像データDl、Dmのサイズの合計であり、第4のデフラグメンテーション処理を行う場合は画像データDkのみのサイズであることから、配置位置を変更する画像データの総サイズが最も小さい第4のデフラグメンテーション処理を行うことができる。
【0040】
ここで、図7に示すフローチャートを参照して、上述したデフラグメンテーション処理に関し、印刷管理部32において行われる処理の流れについて説明する。まず、印刷が開始されると(ステップST21)、印刷管理部32は、印刷停止検出部38において印刷の停止が検出されたか否かを判断する(ステップST22)。印刷の停止が検出された場合、上述したデフラグメンテーション処理を行うとともに(ステップST23)、そのデフラグメンテーション処理によって画像展開用メモリ34上における配置位置が変更された各画像データについて、変更後の場所のアドレス情報を印刷実行部36に通知する(ステップST24)。その後、印刷が終了したか否かを判断し(ステップST25)、印刷が終了していない場合には、ステップST21に戻り、印刷が終了した場合には、処理を終了する。一方、ステップST22で印刷の停止が検出されなかった場合には、ステップST25に進む。
【0041】
印刷実行部36は、不図示の用紙搬送機構およびインクジェットヘッドを備えており、印刷管理部32によって決定された印刷スケジュールに基づいて印刷を実行する。具体的には、用紙をインクジェットヘッドに向けて供給し、印刷スケジュールに従って画像展開用メモリ34から読み出した画像データに基づいて、インクジェットヘッドがライン毎にインクを吐出することにより、用紙に画像を形成する。印刷実行部36は、印刷管理部32により予め通知された画像データのアドレス情報を有しており、そのアドレス情報に基づいて画像展開用メモリ34から所望の画像データを読み出すことができる。なお、印刷部11は、インクジェット方式に限定されるものではなく、孔版印刷方式であってもよい。
【0042】
印刷停止検出手段38は、印刷実行部36により印刷が開始され、画像展開用メモリ34に配置されている全ての画像データの印刷が終了するまでの間、消耗品切れ、用紙ジャム、排紙トラブル、インクヘッドのクリーニング等の事象の発生、または、それらの事象による用紙の搬送動作もしくは画像形成動作の停止を検出し、そのような印刷の停止状態が検出された場合、その旨印刷管理部32に通知する。
【0043】
上記構成により、本印刷システムによれば、画像展開用メモリ34における複数の画像データの配置領域の間に空き領域が存在する場合に、印刷管理部32が、画像展開用メモリ34中に配置されている全ての画像データが画像展開用メモリ34中で連続的に配置されるように、それらの画像データのうち少なくとも1つの画像データの配置位置を変更することによって、画像展開用メモリ34の空き領域を2つ以下のまとまった領域とすることができ、空き領域の断片化による画像データの書き込み待ちを解消することができる。
【0044】
また、本印刷システムによれば、印刷停止検出部38が、印刷が途中で停止したことを検出し、印刷管理部32が、印刷停止検出部38において停止が検出されたときに、デフラグメンテーション処理を行うようにしているので、そのデフラグメンテーション処理の実行によって印刷処理に遅延が生じるのを避けることができる。
【0045】
なお、上記実施形態では、印刷管理部32が、画像展開用メモリ34における複数の画像データの配置領域の間に空き領域が存在する場合に、デフラグメンテーション処理を行うものである場合について説明したが、画像展開用メモリ34に空き領域が2箇所以上に分かれて存在する場合に、その空き領域が1箇所にまとまるように、デフラグメンテーション処理行うものであってもよい。この場合、画像データの配置領域の間に空き領域が存在するか否かに関係なく、空き領域が2箇所以上に分かれて存在する場合には、画像展開用メモリ34に配置されている全ての画像データが画像展開用メモリ34の先頭アドレスまたは最終アドレスから連続的に配置されるように、デフラグメンテーション処理を行うこととなる。そうすると、画像展開用メモリ34の空き領域を1つのまとまった領域とすることができ、連続した空き領域を大きく確保することができる。
【0046】
また、上記実施形態では、印刷停止検出部38が、印刷停止検出部38において停止が検出されたときに、デフラグメンテーション処理を行うものである場合について説明したが、これに限られず、たとえば、定期的又は画像展開用メモリ34から画像データが破棄され、空き領域が形成される度に、必要に応じてデフラグメンテーション処理を行うものであってもよい。このとき、デフラグメンテーション処理を行う場合に配置位置が変更される画像データの総サイズを予め算出し、印刷の最中には、その算出された総サイズが所定のしきい値よりも小さい場合にのみデフラグメンテーション処理を行うようにするのが好ましい。なお、この所定のしきい値は、印刷装置30のデータ処理能力に応じて適宜決定すればよい。
【0047】
また、上記実施形態では、画像データを画像展開用メモリ34に書き込む処理が、画像展開用メモリ34に配置されている全ての画像データのうち最後に印刷され、破棄される画像データ領域の直後に存在する空き領域に優先的に書き込みを行うものである場合について説明したが、先頭アドレスから順に空き領域を探索して画像データを書き込んでいくものであってもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、画像データが、コンピュータ10から受信した印刷データに基づいて生成されたものである場合について説明したが、印刷装置30に備えるイメージスキャナによって原稿から画像を読み取ってなる読取データに基づいて生成されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 コンピュータ
12 プリンタドライバ
30 印刷装置
32 印刷管理部(メモリ管理手段)
34 画像展開用メモリ(メモリ)
34a 先頭アドレス
34b 最終アドレス
36 印刷実行部
38 印刷停止検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷すべき複数の画像データをメモリに配置し、該配置された複数の画像データを順次読み出して印刷を実行する印刷装置であって、
前記メモリにおける前記複数の画像データの配置領域の間に空き領域が存在する場合、前記複数の画像データが前記メモリ中で連続的に配置されるように、前記複数の画像データのうち少なくとも1つの画像データの配置位置を変更するメモリ管理手段を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記メモリ管理手段が、前記複数の画像データが前記メモリの先頭アドレスまたは最終アドレスから連続的に配置されるように、前記配置位置の変更を行うものであることを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記メモリ管理手段が、前記少なくとも1つの画像データの配置位置を変更する場合にその配置位置が変更される画像データの総サイズを算出し、印刷の最中には、前記算出された総サイズが所定のしきい値よりも小さい場合にのみ前記配置位置の変更を行うものであることを特徴とする請求項1または2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記メモリ管理手段が、前記配置位置を変更する処理として、前記複数の画像データのうち前記メモリの先頭アドレスに最も近い位置に配置された画像データである先頭画像データ以外の少なくとも1つの画像データの配置位置を変更する第1の位置変更処理、または、前記複数の画像データのうち前記メモリの最終アドレスに最も近い位置に配置された画像データである最終画像データ以外の少なくとも1つの画像データの配置位置を変更する第2の位置変更処理を行うものであることを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項5】
前記メモリ管理手段が、前記第1の位置変更処理を行う場合に配置位置が変更される画像データの総サイズと前記第2の位置変更処理を行う場合に配置位置が変更される画像データの総サイズをそれぞれ算出し、前記第1の位置変更処理および前記第2の位置変更処理のうち前記算出された総サイズが他方より小さい方の処理を行うものであることを特徴とする請求項4記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−187734(P2012−187734A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51086(P2011−51086)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】