説明

印刷要素のデ・プライム方法

【課題】インクの凍結に伴う問題を解決する。
【解決手段】イメージ形成装置は、リザーバインクを収容するインクリザーバを含む。インクリザーバは、含まれたインク供給チャネルによりリザーバインクを印刷要素に与えるように配置され、印刷要素インクが印刷要素に供給されるようになっている。(a)印刷要素インクの凍結の可能性に基づく故障状態を検出し、(b)この故障状態が検出された時、印刷要素インクが、インク供給チャネルによって印刷要素から流れるようにする、というステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージ形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固体インクは、凍結するとその体積が約17%縮む。MEMSジェット印刷ヘッドの柔軟性のある液滴排出膜が、凍結時にインクに密接に接触している場合には、この収縮のために破断点まで変形する可能性がある。
【0003】
用語「MEMS」は「マイクロ・エレクトロメカニカル・システム」を指すことに留意されたい。それ故、用語「MEMSジェット印刷ヘッド」は、一般にマイクロ・エレクトロメカニカル・システムのインク液滴エゼクタ・マーキング装置を指す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同様に、圧力の増加のために、融解段階で損傷を被る可能性がある。破断されると、膜は、液滴を排出するのに用いることはできなくなり、更に悪いことには、インクが膜の下及び通気システムの残りの部分に入って、印刷ヘッドを損なうことになる。融解工程は、また、アクチュエータ壁からノズルプレートを剥離し、それ故ヘッドを破壊するほどの圧力増加を引き起こす可能性がある。固体インクと膜の組み合わせをベースとするMEMS直接マーキング装置は新規なものであり、これまで問題に対峙したことがない。
【0005】
故に、本発明の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の最初の態様においては、イメージ形成装置で印刷要素をデ・プライムするための方法が提供され、イメージ形成装置は、リザーバインクを収容するインクリザーバを含み、インクリザーバは、含まれたインク供給チャネルによりリザーバインクを印刷要素に与えるように配置されて、印刷要素インクが印刷要素に供給されるようになっており、この方法は、(a)印刷要素インクの凍結の可能性に基づく故障状態を検出し、(b)この故障状態が検出された時、印刷要素インクが、インク供給チャネルによって印刷要素から流れるようにする、ステップを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に従って簡単に説明すると、イメージ形成装置1は、リザーバインク11を収容するインクリザーバ10を備える。インクリザーバ10は、含まれたインク供給チャネル20によって、リザーバインク11を、含まれた印刷要素30に与えるように配置される。印刷要素インク31は、このように印刷要素30に供給される。印刷要素インク31の凍結の可能性を示す故障状態が検出された時、印刷要素30は、インク供給チャネル20によって、印刷要素インク31が印刷要素30から真空吸引される、放出される、引き込まれる、又は流れるようにすることによりデ・プライムされる。この故障状態は、電力の損失、電力低下工程、又は閾値以下であるか又はこれに等しい印刷要素温度33のいずれかを含む。
【0008】
ここで図面を参照すると、本発明による印刷要素デ・プライム方法の第1の実施形態を示す有益な装置が示されている。インクリザーバ10、印刷要素30、及びその間に連結したインク供給チャネル20を備えるイメージ形成装置1が示される。インクリザーバ10は、リザーバインク11を収容する。インクリザーバ10及びインク供給チャネル20は、次いで、インクを印刷要素30に供給するように配置され、このように印刷要素インク31を印刷要素30に形成する。
【0009】
また、インクリザーバ10、インク供給チャネル20及び印刷要素30を備える印刷ヘッド40が示される。
【0010】
更に図面を参照すると、多様な実施形態においては、本発明の印刷要素30は、Arthur M.Gooray他に2002年7月16日に付与された米国特許番号第6,419,335号の図1、図3、図4、及び図7中の参照番号100によって示される印刷要素に類似しており、この特許番号第6,419,335号の完全な、全体的な、完璧な開示は、こうした開示が全体的にここで提示され再現されるように、同じ効果をもって、引用により言葉通りに本明細書に組み入れられる。
【0011】
更に図面を参照すると、多様な実施形態においては、本発明の印刷要素30は、Arthur M.Gooray他に2002年4月9日に付与された米国特許番号第6,367,915号の図1、図2、図3、図4、及び図5中の参照番号100、参照番号200、参照番号300、参照番号400、及び参照番号500によって示される印刷要素に類似しており、この特許番号第6,367,915号の完全な、全体的な、完璧な開示は、こうした開示が全体的にここで提示され再現されるように、同じ効果をもって、引用により言葉通りに本明細書に組み入れられる。
【0012】
更に図面を参照すると、多様な実施形態においては、本発明の印刷要素30は、Joel A.Kubby他に2002年3月19日に付与された米国特許番号第6,357,865号の図4、図5、及び図6中の参照番号100によって示される印刷要素に類似しており、この特許番号第6,357,865号の完全な、全体的な、完璧な開示は、こうした開示が全体的にここで提示され再現されるように、同じ効果をもって、引用により言葉通りに本明細書に組み入れられる。
【0013】
更に図面を参照すると、多様な実施形態においては、本発明印刷要素30は、Charles P.Coleman他に2001年11月20日に付与された米国特許番号第6,318,841号の図1、図2、図3、図4、図5、及び図6中の参照番号100、参照番号200、及び参照番号300によって示される印刷要素に類似しており、この特許番号第6,318,841号の完全な、全体的な、完璧な開示は、こうした開示が全体的にここで提示され再現されるように、同じ効果をもって、引用により言葉通りに本明細書に組み入れられる。
示されるように、インクリザーバ10は、リザーバ圧12を含む。
【0014】
また示されるように、印刷要素30は、印刷要素圧32、印刷要素温度33及び印刷要素ノズル39を含む。
【0015】
印刷要素30をデ・プライムする方法の第1の実施形態に従って、本発明によれば、示される電力損失検出器51、電力低下検出器52、及び印刷要素温度検出器53は、印刷要素インク31の凍結の可能性に基づく少なくとも1つの故障状態を検出するように配置される。
【0016】
電力損失検出器51は、電力の損失を含む第1の故障状態を検出するように配置される。電力の損失を検出すると、検出器51は、示される、対応する電力損失検出器の出力61によって、示される制御手段90に信号を送る。
【0017】
電力低下検出器52は、電力低下工程を含む第2の故障状態を検出するように配置される。電力低下工程を検出すると、検出器52は、示される、対応する電力低下検出器の出力62によって、制御手段90に信号を送る。
【0018】
示されるように、印刷要素温度33は、示される印刷要素温度信号34によって、印刷要素温度検出器53に与えられる。
【0019】
第3検出器53は、閾値(T0)以下であるか又はこれと等しい印刷要素温度33を含む第3の故障状態を検出するために、印刷要素温度信号34と協働するように配置される。印刷要素温度33が、閾値以下であるか又はこれと等しいことを検出すると、検出器53は、示される、対応する印刷要素温度検出器の出力63によって、制御手段90に信号を送る。
【0020】
以下に詳述するように、印刷要素デ・プライム方法に従って、本発明によれば、少なくとも1つの故障状態が検出器51、52、53のいずれかによって検出される時、制御手段90は、各検出器の出力61、62、63によって信号を送られる。代わって、すぐに制御手段90は、印刷要素インク31がインク供給チャネル20によって、印刷要素30から真空吸引される、放出される、引き込まれる、又は流れるように作動する。
【0021】
更に、印刷要素30から真空吸引される、放出される、引き込まれる、又は流れる印刷要素インク31の作動は、一般に、参照番号29によって図面に示される。
【0022】
印刷要素デ・プライム方法の第1の実施形態においては、本発明によれば、方法は、リザーバ圧12を減圧することを含み、それによって、一般的に参照番号29によって示されるように、印刷要素インク31が印刷要素30から真空吸引される、放出される、引き込まれる、又は流れる。
【0023】
示されるように、制御手段90は、示される制御手段の減圧手段弁の出力91によって、示される減圧手段弁5を起動させるように配置される。減圧手段弁5を起動させることにより、示される減圧手段チャネル3及び示される減圧手段インクリザーバチャネル7によって、示される減圧手段2は、インクリザーバ10に連結する。
【0024】
多様な実施形態においては、減圧手段2は、与えられた貯蔵手段又は容器に保持される陰圧空気又は真空源を備える。
【0025】
多様な実施形態においては、減圧手段2は、空気吸引部又は膨張ポンプを備える。
【0026】
印刷要素デ・プライム方法の第2の実施形態においては、本発明によれば、方法は、印刷要素圧32を増加させることを含み、それによって、一般的に参照番号29によって示されるように、印刷要素インク31が印刷要素30から真空吸引される、放出される、引き込まれる、又は流れる。
【0027】
示されるように、制御手段90は、示される制御手段の増圧手段弁の出力92によって、示される増圧手段弁105を起動させるように配置される。増圧手段弁105を起動させることにより、示される増圧手段102は、示される増圧手段チャネル103及び示される増圧手段印刷要素チャネル107によって、印刷要素30に連結する。
【0028】
多様な実施形態においては、方法は、印刷要素ノズル39を、示されるメンテナンスキャップ180と接触させ、次いで、このメンテナンスキャップが増圧手段102に連結されるステップを含む。
【0029】
本発明のメンテナンスキャップ180を参照すると、多様な実施形態においては、メンテナンスキャップ180は、Noriyuki Yamada他に2004年6月1日に付与された米国特許番号第6,742,862号の図1中の参照番号9a及び参照番号9bによって示されるメンテナンスキャップに類似しており、この特許番号第6,742,862号の完全な、全体的な、完璧な開示は、こうした開示が全体的にここで提示され再現されるように、同じ効果をもって、引用により言葉通りに本明細書に組み入れられる。
【0030】
更に本発明のメンテナンスキャップ180を参照すると、多様な実施形態においては、メンテナンスキャップ180は、Thomas J.Wyble他に2002年6月4日に付与された米国特許番号第6,398,337号の図2及び図3中の参照番号52によって示されるメンテナンスキャップに類似しており、この特許番号第6,398,337号の完全な、全体的な、完璧な開示は、こうした開示が全体的にここで提示され再現されるように、同じ効果をもって、引用により言葉通りに本明細書に組み入れられる。
【0031】
更に本発明のメンテナンスキャップ180を参照すると、Noriyuki Yamada他の付与された米国特許第6,742,862号、具体的には同特許第6,742,862号の特許テキスト6欄の19から22行に類似しており、本発明の図面には示さないが、本発明のイメージ形成装置1は、本発明のメンテナンスキャップ180を本発明の印刷要素30に密接に接触させ及び接触から離すための構成を含む。
【0032】
多様な実施形態においては、増圧手段102は、与えられた貯蔵手段又は容器に保持される陽圧空気源を備える。
【0033】
多様な実施形態においては、増圧手段102は、与えられた空気送風装置又は圧縮ポンプを備える。
【0034】
印刷要素デ・プライム方法の第3の実施形態においては、本発明によれば、方法は、上記に記載の多様な方法によってリザーバ圧12を減圧する第1の作動、及び上記に記載された多様な方法によって印刷要素圧32を増圧させる第2の作動を含み、それによって、一般的に参照番号29によって示されるように、印刷要素インク31が印刷要素30から真空吸引される、放出される、引き込まれる、又は流れる。
【0035】
要約すると、本発明によれば、印刷ヘッドが凍結可能になる前にデ・プライムされる場合、凍結/融解サイクル中に、膜が破断する可能性はかなり低い。デ・プライム工程は、通常のプリンタのシャットダウン時のみならず、電源故障時、すなわち、プリンタが壁コンセント電力を使用できない時にも必要である。本発明は、電力が無い時に印刷ヘッドをデ・プライムする多数の異なる方法を提供する。デ・プライミングは、ノズル上の空気と印刷ヘッドのインクキャビティとの間の圧力差を生むことによって達成される。この圧力差は、真空又は圧力を貯蔵し、それをゼロ電力状態の印刷ヘッドに適用することにより、又はポンプ及び必要とされる随意の制御機構を活性化するためのバッテリのような補助電力源を用いることにより生み出される。
【0036】
MEMSジェットヘッドの破断された膜は、破断したアクチュエータが紛失ジェットを表すばかりでなく、インクが他の膜の下に入ることによって通気システム全体を汚染しヘッドの性能を低下させるため、壊滅的である。MEMSジェット印刷ヘッドの性能は、システムが凍結/融解サイクルを行った後で破断した膜により低下することが最近観察された。本発明は、効果的にこの問題を扱う。
【0037】
固体インクが凍結する時、典型的には、15から20%の範囲の重大な体積変化を受ける。体積変化が仮に17%である場合には、どのような所与の寸法も約6%だけ縮むと思われる。これは、厳密には正確ではないが、「概算」を始めるのには適している。現在のMEMSジェット装置においては、アクチュエータ間のSU8壁の高さは80ミクロンである。従って、インクは、ノズルプレート平面に対して垂直の方向に約5ミクロン縮む。これは、膜が通常動作中に通常に移動するよりも一桁大きく、ミクロンのオーダーでの変形が2um厚の膜の破壊を引き起こすことになる場所を見るのは容易である。この失敗機構のメンタルモデルは、凍結インクと膜表面との間の粘着の仮定を含む。粘着がない場合には、インクが膜を引き上げるときの膜の最大圧力差は、膜に損傷を引き起こす可能性が低い1つの空気になる。しかしながら、粘着力は、膜上に付加的な歪み力をもたらして、これを破壊することがある。
【0038】
凍結工程に対して立てた仮説の損傷の影響に加えて、損傷は、融解工程中にも誘起されることがある。凍結時のインク分配が何であったか及びどのように融解したかに応じて、壊滅的な状況が簡単に生まれる可能性がある。印刷ヘッド及びインク送給システムのインクの巨視的塊は17%だけ縮まるが、特定のアクチュエータ内では、100%充填体積があるように、アクチュエータ内のインクが凍結するのを想像されたい。印刷ヘッド及びインクシステム間で温度勾配がある場合には、これは容易に起こり得ることであり、インクが最初にノズルから凍結する時に、溶融インクが体積減少を埋め合わせるためにインク供給システムから引き出されることが可能である。
【0039】
ここで印刷ヘッド及びインク供給システムが再加熱される時、印刷ヘッドのインクがインク供給システムのインクよりも前に溶融する場合には、システムの後方において、圧力が除去されることはない。ノズルプレートは加熱されず、印刷ヘッドの最冷部分の1つであるため、印刷ヘッドノズルもまた凍結する可能性が高い。従って、この方向においても圧力除去は無い。得られる可能性のある唯一のものは膜であり、十分な圧力/体積の変化で最終的には破壊するであろうことを想像することは可能である。
【0040】
凍結/融解サイクルは、膜の破壊及び破断の原因になることは実験的に観察された。
【0041】
以下は本発明の概説である。インクが凍結する前に印刷ヘッドをデ・プライムすることは、幾つかの要因のために、ヘッドをこれらの応力誘起機構のいずれからも緩和する。第一に、アクチュエータに残っているインクの体積が大幅に削減されて、全インク体積変化が少なくなくなるようにする。第二に、空気がアクチュエータ・チャンバに導入されて、体積変化を吸収できる膜に加えて別の適合性のあるエンティティがあるようにする。
【0042】
凍結する前に印刷ヘッドを故意にデ・プライムすることは、ヘッドは凍結/融解サイクル後にともかくプライムされる必要があるため、プリンタが再度オンラインにされた時に、付加的なプライミング・ステップを生まない。これは、インクが凍結したときに、空気がインクから離溶して、泡が沈殿するためである。印刷が確実に行われるために、これらの泡は、積極的にシステムから除去される必要がある。印刷ヘッド及びインク送給システムを積極的にデ・プライムすることは、それが多数の小さなランダムに位置する泡に対してプライムアウトされる必要のある唯一の大きな「気泡」であるため、実際にはシステムをよりリ・プライムしやすくすることができる。いずれの場合においても、プライミングは、システムから気泡を除去するのに、ほとんどインクを使用しないことが理想的である。現在のMEMSジェット設計にとっては、無泡プライミングは、非常に達成しやすく、現在の圧電ベース設計とは対照的にインクの無駄が極めて少ない。
【0043】
デ・プライム工程は、印刷ヘッドが凍結する時はいつでも実行されることが必要であり、そうでなければ膜を破断する危険性がある。これが起きる時には2つの状況がある。1つは、プリンタの電源が切られシャットダウンのルーチンを行う時である。機械は依然として論理機能を有し、電気機械的に機能可能であるため、コントローラベースの工程フローを実施することができる。第2の場合は、より注意が必要である。停電又はプラグが抜かれたために印刷ヘッドへの電力が無くなる状況では、論理がなく、AC電源(又はAC電力を使用するDC電力供給)に頼るいかなる電気機械システムも機能しなくなる。デ・プライム機能は、デ・プライムの失敗が高価な印刷ヘッドの破壊に繋がるため、依然として何らかの方法で機能する必要がある。
【0044】
以下の文は本発明の多様な実施形態を説明する。概念は、加熱された供給管を介して印刷ヘッドに接続するインクリザーバを有するJupiterインク送給システムの内容において説明される。リザーバは、通常の印刷動作中は空気に対して開放されているエアチューブを通ってインクを印刷ヘッドへ送給するように加圧されることができる。前世代のインク送給システムは、ヘッドに直接取り付けられたオープンインクリザーバの上の溶融インクスティックから構成されていた。リザーバは空気に対して開放されており、オープンシステムに真空を引く方法がないため、以下に挙げる最初の2つの概念を実施することは実践的ではない。しかしながら、デ・プライミングに与えるのにメンテナンスキャップに依存するため、3番目の概念は可能である。
【0045】
ここで真空リザーバの実施形態を説明する。本発明の好ましい実施形態は、真空を保持することができる密閉されたキャビティを使用する。これは、印刷システム内の都合の良い位置に嵌まるように形成された成形プラスティック容器とすることができる。真空は、通常の電気作動中、ポンプを用いることにより、この容器内で保持される。このポンプは、機械に既存のポンプであってもよいし又は蠕動ポンプのような高価でない専用ポンプであってもよい。場合によっては印刷ヘッド通気管に取り付けられる弁は、連続通電中、この弁が真空に対して閉じられ、空気に対して開放された状態を維持することによって、真空を印刷ヘッドリザーバから隔離する。電力が損失されると、又はプリンタコントローラが意図的に制御電圧を除去した時、弁は開き、真空がヘッドへ伝送されることが可能になり、同時に空気に対する通気管の経路を塞ぐ。これは、アクチュエータがデ・プライムする原因となり、それ故損傷を防ぐ。
【0046】
より高レベルの安全性は、バイメタル又は他の温度感性スイッチを真空弁用の制御電圧と直列に置くことによって実施可能である。印刷ヘッドの温度が既定温度まで下がると、スイッチが開き、制御電圧が弁から切られて、印刷ヘッドをデ・プライムさせる。これは、コントローラが、印刷ヘッドが事実に反して或る温度であると誤って感知するコントローラ誤作動の場合をカバーする。直列の温度自動調節スイッチの付加的な利点は、望むのであれば、デ・プライム工程を開始する凍結直前の瞬間まで待つことである。このことは、印刷ヘッドは凍結するまで比較的長い時間がかかり、真空チャンバの体積により、真空を冷却工程全体に適用することができないことがあるために、有効であろう。
【0047】
ここで代替的な電源の実施形態を持つ真空ポンプを説明する。デ・プライミング動作は、バッテリに取り付けた真空ポンプを用いることによっても達成可能である。これは、システムをプライムする陽圧を生成するように用いられる、逆に稼動されるに過ぎない既存のポンプとすることができる。別のポンプが用いられる場合には、空気に対すて印刷ヘッド通気部を遮断する弁は、好ましい実施形態におけるように必要である。バッテリは、多数の異なる機能を実行するコントローラボードに電力を供給することが可能である。ボードは印刷ヘッドの温度を感知し、ポンプをオンにし、ソレノイド弁又はこれらのいずれかの組み合わせの電源を入れることが可能である。
【0048】
ここで代替的な電源の実施形態を持つ陽圧リザーバ又はポンプを説明する。真空を用いる代わりに、陽圧を用いることができる。しかしながら、圧力はヘッドの正面に適用される必要がある。これを行うために、正面に密閉されたメンテナンスキャップが必要である。現在の固体インクジェット(「SIJ」)プリンタは、プライミング動作中に用いられるまさにそのようなキャップを有する。この方法での主要問題は、停電又はプラグが抜かれた時に、印刷ヘッドが、そのメンテナンスキャップにドッキングしない可能性があることである。バッテリのような代替的な電源は、デ・プライムを引き起こすために、コントローラボード、モータ、センサ及び陽圧ソレノイド弁又はポンプを供給する必要がある。
【0049】
要約すると、上記実施形態は、凍結/融解工程中の体積変化の影響を削減し、MEMSベース印刷ヘッドを損傷から保護する。
【0050】
このように、本発明の第1の態様、すなわち、イメージ形成装置1で印刷要素30をデ・プライムするための方法が提供され、イメージ形成装置1は、リザーバインク11を収容するインクリザーバ10を含み、インクリザーバ10は、含まれたインク供給チャネル20によりリザーバインクを印刷要素に与える21ように配置されて、印刷要素インク31が印刷要素30に供給されるようになっており、この方法は、(a)検出器51、52、53のいずれかにより、印刷要素30における印刷要素インク31の凍結の可能性に基づく故障状態を検出し、(b)この故障状態が検出された時、印刷要素インク31が、インク供給チャネル20によって印刷要素30から真空吸引される、放出される、引き込まれる、又は流れるようにする、ステップを含む。
【0051】
変形態様においては、実質的には請求項2に説明するように、方法は、電力損失検出器51により電力の損失を検出するステップを含む。
【0052】
更なる変形態様においては、実質的には請求項3に説明するように、方法は、電力低下検出器52により電力低下状態を検出するステップを含む。
【0053】
別の変形態様においては、実質的には請求項4に説明するように、印刷要素30は、印刷要素温度33を含み、方法は、印刷要素温度検出器53によって閾値以下であるか又はこれと等しい印刷要素温度33を検出するステップを含む。
【0054】
印刷要素デ・プライム方法の最初の実施形態において、本発明によれば、実質的には請求項5に説明するように、インクリザーバ10はリザーバ圧12を含み、方法はリザーバ圧12を減圧するステップを含む。
【0055】
第1の実施形態の変形態様においては、実質的には請求項6に説明するように、方法は、インクリザーバ10の減圧手段弁5によって、与えられた減圧手段2へ連結するステップを含む。
【0056】
更なる変形態様においては、実質的には請求項7に説明するように、減圧手段2は、与えられた貯蔵手段に保持される陰圧空気源を備える。
【0057】
別の変形態様においては、実質的には請求項8に説明するように、減圧手段2は、与えられた空気吸引部又は膨張ポンプを備える。
【0058】
印刷要素デ・プライム方法の第2の実施形態においては、本発明によれば、実質的には請求項9に説明するように、印刷要素30は印刷要素圧32を含み、方法は印刷要素圧32を増圧させるステップを含む。
【0059】
第2の実施形態の変形態様においては、実質的には請求項10に説明するように、方法は、印刷要素30の増圧手段弁105によって、与えられた増圧手段102へ連結するステップを含む。
【0060】
更なる変形態様においては、実質的には請求項11に説明するように、印刷要素30は印刷要素ノズル39を含み、方法は、印刷要素ノズル39を、与えられたメンテナンスキャップ180に接触させ、次いで、メンテナンスキャップ180が増圧手段102に連結されるステップを含む。
【0061】
別の変形態様においては、実質的には請求項12に説明するように、増圧手段102は、与えられた貯蔵手段に保持される陽圧空気源を備える。
【0062】
更なる変形態様においては、実質的には請求項13に説明するように、増圧手段102は、与えられた空気送風装置又は圧縮ポンプを備える。
【0063】
印刷要素デ・プライム工程の第3の実施形態においては、本発明によれば、実質的には請求項14に説明するように、インクリザーバ10はリザーバ圧12を含み、印刷要素30は印刷要素圧32を含み、方法は、リザーバ圧12を減圧し、印刷要素圧32を増圧するステップを含む。
【0064】
第3の実施形態の変形態様においては、実質的に請求項15に説明するように、方法は、インクリザーバ10の減圧手段弁5によって、与えられた減圧手段2へ連結するステップ、及び、印刷要素30の増圧手段弁105によって、与えられた増圧手段102へ連結するステップを含む。
【0065】
更なる変形態様においては、実質的には請求項16に説明するように、減圧手段2は、与えられた貯蔵手段に保持される陰圧空気源を備える。
【0066】
別の変形態様においては、実質的には請求項17に説明するように、減圧手段2は、与えられた空気吸引部又は膨張ポンプを備える。
【0067】
更なる変形態様においては、実質的には請求項18に説明するように、印刷要素30は印刷要素ノズル39を含み、方法は、印刷要素ノズル39を、与えられたメンテナンスキャップ180に接触させ、次いで、このメンテナンスキャップ180が増圧手段102に連結されるステップを含む。
【0068】
別の変形態様においては、実質的には請求項19に説明するように、増圧手段102は、与えられた貯蔵手段に保持される陽圧空気源を備える。
【0069】
更なる変形態様においては、実質的には請求項20に説明するように、増圧手段102は、与えられた空気送風装置又は圧縮ポンプを備える。
【0070】
上記に具体的な実施形態が説明されたが、現在では予見されない又は予見される可能性がある、代替的手法、変更、変形態様、改良、及び実質的に同等なものは、出願人又は他の当業者に生じることができる。従って、出願され修正可能な特許請求の範囲は、全てのそのような代替的手法、変更、変形態様、改良、及び実質的に同等なものを包含することを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図面は、インクリザーバ10、印刷要素30及びその間に連結するインク供給チャネル20を備えるイメージ形成装置1を示す。インクリザーバ10は、示されるリザーバインク11を収容する。インクリザーバ10及びインク供給チャネル20は、代わって、リザーバインク11を印刷要素30に供給する21ように配置され、このように印刷要素30に備えられる、示される印刷要素インク31を形成する。
【符号の説明】
【0072】
以下の表は、対応する説明と共に、図面の要素参照番号を挙げる。
1:イメージ形成装置
2:減圧手段
3:減圧手段チャネル
5:減圧手段弁
7:減圧手段リザーバチャネル
10:インクリザーバ
11:インクリザーバ10に備えられるリザーバインク
12:インクリザーバ10に備えられるリザーバ圧
20:インクリザーバ10及び印刷要素30を連結するインク供給チャネル
21:リザーバ10から印刷要素30に向かうインクの流れ
29:印刷要素30から真空吸引される、放出される、引き込まれる、又は流れる印刷要素インク31
30:印刷要素
31:印刷要素30に備えられる印刷要素インク
32:印刷要素30に備えられる印刷要素圧
33:印刷要素30に備えられる印刷要素温度
34:印刷要素温度信号
39:印刷要素ノズル
40:インクリザーバ10、インク供給チャネル20、及び印刷要素30を備える印刷ヘッド
51:電力損失検出器
52:電力低下検出器
53:印刷要素温度検出器
61:電力損失検出器の出力
62:電力低下検出器の出力
63:印刷要素温度検出器の出力
90:制御手段
91:制御手段減圧手段弁の出力
92:制御手段増圧手段弁の出力
102:増圧手段
103:増圧手段チャネル
105:増圧手段弁
107:増圧手段印刷要素チャネル
180:メンテナンスキャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージ形成装置で印刷要素をデ・プライムするための方法であって、前記イメージ形成装置は、リザーバインクを収容するインクリザーバを含み、前記インクリザーバは、含まれたインク供給チャネルにより前記リザーバインクを前記印刷要素に与えるように配置されて、印刷要素インクが前記印刷要素に供給されるようになっており、
(a)前記印刷要素インクの凍結の可能性に基づく故障状態を検出し、
(b)前記故障状態が検出された時、前記印刷要素インクが、前記インク供給チャネルによって前記印刷要素から流れるようにする、
ステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
電力の損失を検出するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の前記方法。
【請求項3】
電力低下状態を検出するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の前記方法。
【請求項4】
前記印刷要素は印刷要素温度を含み、前記印刷要素温度は閾値以下であるか又はこれと等しいことを検出するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の前記方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−61779(P2009−61779A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223332(P2008−223332)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】