説明

印字制御装置、印字制御プログラムおよび印字制御方法

【課題】ユーザの意図通りに無余白印字を実現する。
【解決手段】印字制御装置は、特定サイズの用紙に特定解像度で印字対象画像を余白無く印字する設定を伴うスプールデータである無余白スプールデータについて前記印字対象画像の画素サイズを判定する判定手段と、前記特定サイズの用紙において余白が無くなる画素サイズに前記印字対象画像を拡大する拡大手段と、拡大した前記印字対象画像をプリンタにおいて前記特定サイズの用紙に前記特定解像度で余白無く印字させる印字制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印字制御装置、印字制御プログラムおよび印字制御方法に関し、特に無余白印字に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フチ無し印刷とも呼ばれている無余白印字は、用紙に対して余白無く印字対象画像を割り付けて印字する印字形態である(例えば特許文献1参照)。従来、無余白印字に対応しているプリンタドライバでは、次の2つの方法のいずれかで無余白印字を実現している。第一の方法は、プリンタドライバに印字が要求される時点で用紙サイズよりも大きな規定の画素サイズに印字対象画像が調整されていることを前提とし、印字対象画像を拡大も縮小もせず、そのままの印字対象画像を用紙から四辺がはみ出す範囲に割り付けて印字する方法である。第二の方法は、プリンタドライバに印字が要求される時点で用紙サイズと等しい画素サイズに印字対象画像が調整されていることを前提とし、用紙からはみ出して印字する規定幅の分だけ印字対象画像を一律に拡大し、拡大した印字対象画像を用紙から四辺がはみ出す範囲に割り付けて印字する方法である。
【特許文献1】特開2006−244240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これら2つの無余白印字方法では、いずれも、設定された用紙サイズと解像度とに応じて予め決められた画素サイズに印字対象画像が調整されていることを前提としているため、次の問題が生ずる。すなわち、予め決められた画素サイズに印字対象画像が調整されていなければ、たとえユーザが四辺とも無余白になる印字結果を期待して印字条件を設定したとしても1辺以上に余白が残る印字結果となる。
【0004】
本発明は、この問題を解決するために創作されたものであって、ユーザの意図通りに無余白印字を実現することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記目的を達成するための印字制御装置は、特定サイズの媒体に特定解像度で印字対象画像を余白無く印字する設定を伴うスプールデータである無余白スプールデータについて前記印字対象画像の画素サイズを判定する判定手段と、前記特定サイズの媒体において余白が無くなる画素サイズに前記印字対象画像を拡大する拡大手段と、拡大した前記印字対象画像をプリンタにおいて前記特定サイズの媒体に前記特定解像度で余白無く印字させる印字制御手段と、を備える。
【0006】
本発明によると、無余白スプールデータについて印字対象画像の画素サイズを判定し、余白が無くなるまで印字対象画像を拡大するため、ユーザの意図通りに無余白印字を実現できる。なお、画素サイズとは画像の縦と横の画素数を一義的に示すデータである。またスプールデータとは、印字対象の画像や文字が媒体に対して割り付けられているページを印字するために印字制御装置が必要とするデータであって、印字対象画像等の印字オブジェクトと、印字部数、余白形態等の印字設定とを少なくとも含む。
【0007】
(2)上記目的を達成するための印字制御装置において、前記判定手段は、前記特定サイズの媒体に前記特定解像度で前記印字対象画像を拡大せずに印字すると前記印字対象画像に対して前記特定サイズの媒体に余白が生ずるか否かを前記印字対象画像の画素サイズに基づいて判定してもよい。また前記印字対象画像に対して前記特定サイズの媒体に余白が生ずると判定された場合、前記印字対象画像を拡大して印字するか、前記印字対象画像を拡大せずに印字するかをユーザに選択させる対話手段をさらに備えてもよい。さらに前記印字制御手段は、前記印字対象画像を拡大して印字することが選択されると、拡大した前記印字対象画像を前記プリンタにおいて前記特定サイズの媒体に前記特定解像度で余白無く印字させ、前記印字対象画像を拡大せずに印字することが選択されると、拡大していない前記印字対象画像を前記プリンタにおいて前記特定サイズの媒体に前記特定解像度で印字させてもよい。
【0008】
本発明によると、印字対象画像を拡大しなければ媒体に余白が生ずる場合であっても、印字対象画像を拡大して印字するか、印字対象画像を拡大せずに印字するかをユーザが選択できる。したがって設定では無余白としておきながらも余白を残して印字しようとしているユーザの意図通りに有余白印字が実現される。
【0009】
(3)上記目的を達成するための印字制御装置において、前記無余白スプールデータは前記印字対象画像と前記印字対象画像の画素サイズを特定可能なデータである付随データとを含み、前記判定手段は、前記付随データを利用して前記印字対象画像の画素サイズを判定してもよい。
【0010】
本発明によると、印字対象画像とは別に無余白スプールデータに含まれている付随データを利用して印字対象画像の画素サイズを判定するため、画像解析によって印字対象画像の画素サイズを判定する必要が無い。したがって本発明によると、印字対象画像の画素サイズの判定を高速に実施できるとともに画素サイズの誤判定が防止される。
【0011】
(4)上記目的を達成するための印字制御装置において、前記無余白スプールデータは、前記特定サイズの媒体に前記特定解像度で余白無く印字されるページを構成する全ての画素からなるページ画像を含み、前記判定手段は、前記ページ画像を解析することにより前記ページ画像に含まれている前記印字対象画像の画素サイズを判定してもよい。
【0012】
本発明によると、ページ画像の画像解析によって印字対象画像の画素サイズを判定するため、印字対象画像の画素サイズを特定可能なデータが印字対象画像とは別に無余白スプールデータに含まれていない場合であっても、印字対象画像の画素サイズを判定できる。
【0013】
なお、請求項に記載された各手段の機能は、構成自体で機能が特定されるハードウェア資源、プログラムにより機能が特定されるハードウェア資源、又はそれらの組み合わせにより実現される。また、これら各手段の機能は、各々が物理的に互いに独立したハードウェア資源で実現されるものに限定されない。さらに、本発明はコンピュータを印字制御装置として機能させる印字制御プログラムとしても、印字制御方法としても、印字制御プログラムの記録媒体としても成立する。むろん、その印字制御プログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体であってもよい。また、請求項に記載された動作の順序は、技術的な阻害要因がない限りにおいて記載順に限定されず、同時に実行されても良いし、記載順の逆順に実行されても良いし、連続した順序で実行されなくても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら説明する。尚、各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
1.ハードウェア構成
図1は、本発明の一実施形態としての印字システムを示すブロック図である。印字システムは、PC(Personal Computer)10と、PC10に接続されているプリンタ20と操作部13と表示部14とを備えている。
【0015】
PC10は、RAM(Random Access Memory),CPU(Central Processing Unit)、入出力機構(I/O)等で構成される制御部11とハードディスク装置(HDD)12とを備えている。ハードディスク装置12には、オペレーティングシステム、プリンタドライバ111、アプリケーションプログラム110等の各種のコンピュータプログラムが記録されている。制御部11は、プリンタドライバ111を実行することにより印字制御装置として機能し、アプリケーションプログラム110との対話中にユーザが指定するオブジェクトをプリンタ20に印字させる。PC10は、キーボードやポインティングデバイス等からなる操作部13とドットマトリクスディスプレイ等からなる表示部14とを介して操作される。
【0016】
プリンタ20は、RAM,ROM(Read Only Memory)、CPU、I/O等で構成される制御部21と、印字対象画像をインクジェット方式で用紙、コンパクトディスク等の媒体に形成する印字部23と、用紙等の媒体を搬送するための送紙部24とを備えている。印字部23は印字ヘッド23aや印字ヘッド23aを用紙Pの搬送方向に対して垂直な方向に移動させる駆動機構、モータ等で構成されている。送紙部24は用紙Pを搬送するためのローラ24b、モータ等で構成されている。
【0017】
2.ソフトウェア構成
PC10の制御部11を印字制御装置として機能させるのは、ハードディスク装置12に格納されているプリンタドライバ111である。すなわちプリンタドライバ111が本発明の印字制御プログラムの一実施形態を構成している。
【0018】
アプリケーションプログラム110は、画像編集プログラム、レイアウトプログラム、図形編集プログラム等、どのような機能を提供するプログラムであっても良い。アプリケーションプログラム110が提供するファイルメニューからプリンタドライバ111が起動される。アプリケーションプログラム110が提供するファイルメニューにおいて印字が選択されたときにアクティブなオブジェクトがラスタライズされる印字対象となる。印字メニューで印字が選択されると、その印字対象についてプリンタドライバ111に対して印字設定が要求される。
【0019】
図2は、プリンタドライバ111に対して印字設定が要求されるとプリンタドライバ111のジョブ生成部111aが表示部14の画面に表示するダイアログボックスを示している。ダイアログボックス60には、用紙サイズ、レイアウト、印刷の向き、印刷部数、用紙種類、解像度等の印刷条件を設定するためのプルダウンリストボックス61、62,63,64,65,66、印字を指示するOKボタン68等が配置されている。OKボタン68がクリックされると、印字対象のオブジェクトをプルダウンリストボックス61、62,63,64,65,66に設定された印刷条件に従って印刷するためのスプールデータがジョブ生成部111aによって生成され、生成されたスプールデータがスプールキュー111bに格納される。
【0020】
図3はスプールキュー111bに記憶されるスプールデータの構成を示す模式図である。ジョブ生成部111aによって生成されたスプールデータはスプールキュー111bに一時的に記憶され、FIFOの順序で印字制御部111cによって取り出される。図3においては、印刷条件として無余白が設定されている無余白スプールデータSを最古のスプールデータ1として示している。無余白スプールデータSは、印字対象画像Ioと付随データAとを含む。印字対象画像Ioはアプリケーションプログラム110が提供する印字メニューにおいて印字が選択されたときにアクティブであったオブジェクトがラスタライズされたことによって形成された画像である。印字対象画像IoのフォーマットはTIFF、JPEG等である。
【0021】
付随データAは、印字対象画像Ioと同一のファイル内に格納されたり、印字対象画像Ioと関連づけられた別のファイル内に格納されることによって、印字対象画像Ioに関連づけられる。付随データAは、印字対象画像Ioに対して設定されている印字条件を示すデータである。付随データAは、例えば、印字対象画像Ioの画素サイズ(HI、WI)、印字対象画像Ioの基準点(左上角、重心など)のレイアウト位置(x、y)、用紙サイズ(L判など)、余白形態(四辺無余白、三辺無余白、二辺無余白等)、印字の向き(縦又は横)、印字部数、用紙種類(普通紙、光沢紙など)、解像度(200dpi、360dpi、720dpiなど)を含む。なお、スプールデータのフォーマットとしてPDFを利用しても良い。
【0022】
印字制御部111cはスプールキュー111bに格納されているスプールデータを順次取り出して印字を実行するプログラムモジュールである。すなわち印字制御部111cはスプールデータに基づいて予め決められたコマンドをプリンタ20に送信することによってプリンタ20を制御し、印刷条件として設定されている解像度で印刷条件として設定されているサイズの用紙に印字対象のオブジェクトをプリンタ20において印字させる。
【0023】
判定部111dは印字制御部111cがスプールキュー111bから取り出した無余白スプールデータについて、印字対象画像の画素サイズが四辺無余白になる画素サイズか否かを判定するプログラムモジュールである。そして無余白スプールデータの印字対象画像の画素サイズが四辺無余白にならない画素サイズである場合には、印字対象画像を拡大するか否かをユーザに選択させる。
【0024】
拡大部111eは、無余白スプールデータの印字対象画像を四辺無余白になる画素サイズにまで拡大するプログラムモジュールである。
【0025】
3.印字制御方法
図4は印字制御装置としてPC10の制御部11を用いた印字制御方法を示すフローチャートである。図4に示す処理は、図2に示すダイアログボックス60においてOKボタン66がクリックされることによってスプールデータ1がスプールキュー111bに格納され、最古となったスプールデータ1を印字制御部111cが取り出すときに開始される。
【0026】
はじめに印字制御部111cはスプールデータ1の付随データAに含まれている余白形態を取得し、余白形態が無余白であるか否かを判定する(ステップS100)。すなわち印字制御部111cは、印字対象オブジェクトである印字対象画像Ioの印字設定が四辺無余白であるか否かを判定する。
【0027】
印字対象画像Ioの印字設定が四辺無余白でない場合、印字制御部111cは、印字対象画像Ioを拡大部111eに拡大させることなく、設定された印刷条件に従って、印字対象画像Ioをプリンタ20において印字させる(ステップS105)。具体的には例えば、印字制御部111cは、付随データAによって定められているレイアウト位置を基準として印字対象画像Ioを割り付け、予め決められたコマンドをプリンタ20に送信するとともに印字対象画像Ioの分版したバンドデータをプリンタ20に順次送信することによって、印字対象画像Ioをプリンタ20において印字させる。その結果、図5Dに示すように印字対象画像Ioが余白を残して用紙Pに印字される。
【0028】
印字対象画像Ioの印字設定が四辺無余白である場合、判定部111dは、スプールデータSの付随データAに含まれている画素サイズ(HI、WI)を取得し、印字対象画像Ioの画素サイズ(HI、WI)が四辺無余白になる画素サイズかどうかを判定する(ステップS101)。任意の画像を用紙に印字したとき用紙に余白が生ずるか否かは、印字対象画像の画素サイズと用紙サイズと解像度とによって決まる。用紙サイズと解像度との積が用紙上に割り付けられる画素の数であるから、例えば縦5インチ、横10インチの用紙に200dpiの解像度で印字するとすれば、用紙上に割り付けられる画素の数は縦1000画素、横2000画素となる。したがってこの場合、印字対象画像の画素サイズが縦1000画素以上、横2000画素以上であれば、無余白印字になりうる。ただし実際には、用紙の位置ずれなどが加味され、用紙上の領域のみならず用紙から4辺がはみ出す領域に対しても画素を割り付け、用紙より広い範囲に印字する。したがって、印字対象画像の画素サイズは、設定されている用紙サイズと解像度との積に等しい画素サイズよりも大きな画素サイズと比較されることになる。
【0029】
例えば図5Aに示すように、実線で示すL判縦向きの用紙Pに対して破線で示す領域に画素が割り付けられるとする。この場合、印字対象画像Ioの縦の画素数HI、横の画素数WIと比較されるのは、用紙Pから4辺がはみ出している破線で示す領域の縦の画素数Hpと横の画素数Wpである。縦の画素数Hpは、破線で示す領域の縦の実寸と解像度の積に等しい。横の画素数Wpは破線で示す領域の横の実寸と解像度の積に等しい。そして破線で示す割り付け領域の縦の画素数Hpと横の画素数Wpとは、用紙サイズ毎、印刷方向毎、余白形態毎に予め決められている。
【0030】
印字対象画像Ioの画素サイズ(HI、WI)が四辺無余白になる画素サイズである場合、印字制御部111cは、印字対象画像Ioを拡大部111eに拡大させることなく、設定された印刷条件に従って、印字対象画像Ioをプリンタ20において印字させる(ステップS105)。その結果、図5Dに示すように印字対象画像Ioが余白を残して用紙Pに印字される。
【0031】
印字対象画像Ioの画素サイズ(HI、WI)が余白が生ずる画素サイズである場合、判定部111dはダイアログボックスを表示部14の画面に表示し、印字対象画像Ioを拡大して印字するか、印字対象画像Ioを拡大せずに印字するかの選択をユーザに促す(ステップS102)。このような選択をユーザに促すためのダイアログボックスの一例を図6に示す。ダイアログボックス70には、印字対象画像Ioを拡大して印字する選択肢と印字対象画像Ioを拡大せずに印字する選択肢とを択一的に選択するためのチェックボックス71,72と、印字続行を指示するためのOKボタン73と、印字中止を指示するための印刷中止ボタン74とが配置されている。ユーザは、チェックボックス71を選択した状態でOKボタン73をクリックすることにより、印字対象画像Ioを拡大して印字することを選択する。またユーザは、チェックボックス72を選択した状態でOKボタン73をクリックすることにより、印字対象画像Ioを拡大せずに印字することを選択する。またユーザは印刷中止ボタン74をクリックすることにより、現在処理中のスプールデータに基づいて印字対象画像Ioを印字する処理を中止する。
【0032】
印字対象画像Ioを拡大して印字することが選択されると、拡大部111eは、図5Bに示すように四辺の余白が無くなるまで印字対象画像Ioを拡大する。そして印字制御部111cは、印刷条件として設定されている解像度で印刷条件として設定されているサイズの用紙に、拡大部111eによって拡大された印字対象画像Ioをプリンタ20において印字させる(ステップS104)。具体的には例えば次の通りである。拡大部111eは、圧縮されている印字対象画像Ioを展開した後であって分版する前に、画素を補間することによって印字対象画像Ioを拡大する。このとき印刷条件として設定された用紙のサイズと解像度との積よりも大きな予め決められた画素サイズよりも印字対象画像Ioを大きく拡大する。すなわち予め決められた縦の長さよりも印字対象画像Ioの縦の長さが長く、予め決められた横の長さがよりも印字対象画像Ioの横の長さが長くなるように印字対象画像I0を拡大する。印字制御部111cは、付随データAによって定められているレイアウト位置を基準として、拡大された印字対象画像Ioを用紙Pより広い領域に割り付け、予め決められたコマンドをプリンタ20に送信するとともに、拡大した印字対象画像Ioをインク色に分版し、分版した印字対象画像Ioのバンドデータをプリンタ20に順次送信することによって、拡大した印字対象画像Ioをプリンタ20において印字させる。その結果、図5Cに示すように印字対象画像Ioが四辺無余白で用紙Pに印字される。
【0033】
印字対象画像Ioを拡大せずに印字することが選択されると、印字制御部111cは、印字対象画像Ioを拡大部111eに拡大させることなく、設定された印刷条件に従って、印字対象画像Ioをプリンタ20において印字させる(ステップS105)。その結果、図5Dに示すように印字対象画像Ioが余白を残して用紙Pに印字される。
【0034】
以上説明した実施形態によると、スプールデータの印字対象画像を印字直前に拡大するため、ユーザが四辺無余白を期待する限りにおいて、必ず四辺無余白の印字結果が得られる。また印字対象画像の拡大の要否を印字の度にユーザに選択させるため、印字対象画像が拡大されることを認識せずに四辺無余白を期待してユーザが印刷条件を設定した場合には、ユーザの意図に反して印字対象画像が拡大され、その結果、印字対象画像の周縁部が切れる現象を防止できる。また付随データを利用して印字対象画像の画素サイズを判定するため、印字対象画像の画素サイズの判定を高速に実施できるとともに画素サイズの誤判定が防止される。
【0035】
4.他の実施形態
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えばプリンタ20には電子写真方式(レーザ方式・LED方式)、感熱方式等の構成を採用しても良い。
また例えばスプールデータは、図7に示すように、特定サイズの用紙に特定解像度で余白無く印字されるページを構成する全ての画素からなるページ画像Ipを含み、付随データAからは印字対象画像Ioの画素サイズを判定できない構成でもよい。ページ画像Ipは図8Aに示すように印字対象画像Ioの画素と余白を示す画素(白色の画素)とで構成される1つの画像である。すなわちアプリケーションプログラム110のファイルメニューにおいて印字が選択されたときにアクティブなオブジェクトに対応する領域がページ画像Ipに含まれる印字対象画像Ioである。そしてユーザが設定する印刷条件に応じて印字対象画像Ioが割り付けられ、余白を含めたページ全体が1つの画像としてラスタライズされたデータがページ画像Ipである。そしてページ画像Ipの余白形態として四辺無余白が設定されている場合、ページ画像Ipは図8Bに示すように用紙Pから四辺がはみ出すように割り付けられる。用紙Pから四辺がはみ出すように割り付けられるときにページ画像Ipの全体が印字対象画像Ioで構成されていれば、印字結果は四辺無余白の形態となる。しかし、余白形態として四辺無余白が設定されていても、図8Bに示すようにページ画像Ipが余白を示す画素(白色の画素)を含む場合には、印字結果は図9Bに示すように四辺無余白にならない。
【0036】
したがってこのような場合には、ページ画像Ipを解析することによりページ画像Ipに含まれている印字対象画像Ioの画素サイズを判定することが必要になる。具体的には例えば、白色画素のみで構成される行または列であるか否かを画像の四辺から内側に向かって順次判定することにより、印字対象画像Ioの四辺の位置と画素サイズとを判定可能である。そして、四辺無余白に設定されているページ画像Ipに含まれている印字対象画像Ioの画素サイズが用紙Pに四辺無余白で印字するために予め決められている画素サイズよりも小さければ、図8Dに示すように四辺無余白になる画素サイズにまで印字対象画像Ioを拡大して印字すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態にかかるブロック図。
【図2】本発明の一実施形態にかかるダイアログボックスを示す平面図。
【図3】本発明の一実施形態にかかるデータ構造図。
【図4】本発明の一実施形態にかかるフローチャート。
【図5】図5Aから図5Dは本発明の一実施形態にかかる平面図。
【図6】本発明の一実施形態にかかるダイアログボックスを示す平面図。
【図7】本発明の一実施形態にかかるデータ構造図。
【図8】図8Aから図8Dは本発明の他の実施形態にかかる平面図。
【符号の説明】
【0038】
10:PC、11:制御部、12:ハードディスク装置、13:操作部、14:表示部、20:プリンタ、21:制御部、23:印字部、23a:印字ヘッド、24:送紙部、24b:ローラ、60:ダイアログボックス、70:ダイアログボックス、110:アプリケーションプログラム、111:プリンタドライバ、111a:ジョブ生成部、111b:スプールキュー、111c:印字制御部、111d:判定部、Io:印字対象画像、Ip:ページ画像、A:付随データ、P:用紙、S:無余白スプールデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定サイズの媒体に特定解像度で印字対象画像を余白無く印字する設定を伴うスプールデータである無余白スプールデータについて前記印字対象画像の画素サイズを判定する判定手段と、
前記特定サイズの媒体において余白が無くなる画素サイズに前記印字対象画像を拡大する拡大手段と、
拡大した前記印字対象画像をプリンタにおいて前記特定サイズの媒体に前記特定解像度で余白無く印字させる印字制御手段と、
を備える印字制御装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記特定サイズの媒体に前記特定解像度で前記印字対象画像を拡大せずに印字すると前記印字対象画像に対して前記特定サイズの媒体に余白が生ずるか否かを前記印字対象画像の画素サイズに基づいて判定し、
前記印字対象画像に対して前記特定サイズの媒体に余白が生ずると判定された場合、前記印字対象画像を拡大して印字するか、前記印字対象画像を拡大せずに印字するかをユーザに選択させる対話手段をさらに備え、
前記印字制御手段は、
前記印字対象画像を拡大して印字することが選択されると、拡大した前記印字対象画像を前記プリンタにおいて前記特定サイズの媒体に前記特定解像度で余白無く印字させ、
前記印字対象画像を拡大せずに印字することが選択されると、拡大していない前記印字対象画像を前記プリンタにおいて前記特定サイズの媒体に前記特定解像度で印字させる、
請求項1に記載の印字制御装置。
【請求項3】
前記無余白スプールデータは前記印字対象画像と前記印字対象画像の画素サイズを特定可能なデータである付随データとを含み、
前記判定手段は、前記付随データを利用して前記印字対象画像の画素サイズを判定する、
請求項1または2に記載の印字制御装置。
【請求項4】
前記無余白スプールデータは、前記特定サイズの媒体に前記特定解像度で余白無く印字されるページを構成する全ての画素からなるページ画像を含み、
前記判定手段は、前記ページ画像を解析することにより前記ページ画像に含まれている前記印字対象画像の画素サイズを判定する、
請求項1又は2に記載の印字制御装置。
【請求項5】
特定サイズの媒体に特定解像度で印字対象画像を余白無く印字する設定を伴うスプールデータである無余白スプールデータについて前記印字対象画像の画素サイズを判定する判定手段と、
前記特定サイズの媒体において余白が無くなる画素サイズに前記印字対象画像を拡大する拡大手段と、
拡大した前記印字対象画像をプリンタにおいて前記特定サイズの媒体に前記特定解像度で余白無く印字させる印字制御手段と、
としてコンピュータを機能させる印字制御プログラム。
【請求項6】
特定サイズの媒体に特定解像度で印字対象画像を余白無く印字する設定を伴うスプールデータである無余白スプールデータについて前記印字対象画像の画素サイズを判定し、
前記特定サイズの媒体において余白が無くなる画素サイズに前記印字対象画像を拡大し、
拡大した前記印字対象画像をプリンタにおいて前記特定サイズの媒体に前記特定解像度で余白無く印字させる、
ことを含む印字制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−79793(P2010−79793A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−249808(P2008−249808)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】