印字装置
【課題】装置サイズを大型化することなく、カセット装着部に装着されたテープカセットのテープ種類を適切に検出することが可能な印字装置を提供する。
【解決手段】印字装置のカバーが閉じられるのに伴って、レバー１６がレバー軸部を回動中心として後方に回動する。レバー１６の回動に伴って、リリースロッド１７が左方向に移動する。リリースロッド１７が左方向に移動するのに伴って、ローラホルダ１８が後方向に揺動して、プラテンローラ１５がサーマルヘッドに圧接される。また、リリースロッド１７が左方向に移動するのに伴って、センサ保持部１９が後方に移動して、スイッチ端子２３１がテープカセット３０の指標部に圧接される。
【解決手段】印字装置のカバーが閉じられるのに伴って、レバー１６がレバー軸部を回動中心として後方に回動する。レバー１６の回動に伴って、リリースロッド１７が左方向に移動する。リリースロッド１７が左方向に移動するのに伴って、ローラホルダ１８が後方向に揺動して、プラテンローラ１５がサーマルヘッドに圧接される。また、リリースロッド１７が左方向に移動するのに伴って、センサ保持部１９が後方に移動して、スイッチ端子２３１がテープカセット３０の指標部に圧接される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、印字装置に関し、詳細には、テープカセットを着脱自在に構成され、テープカセットに収納されたテープに印字を行う印字装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、カセット装着部に装着されたテープカセットに収納されたテープの種類（テープ幅や印字態様など）を、複数の検出スイッチによって検出する印字装置が知られている（例えば、特許文献１および２参照）。詳細には、テープカセットの下面の一部には、テープ種類に対応するパターンで貫通孔が形成されたカセット検出部が設けられている。カセット装着部にテープカセットが装着されると、常には上方に付勢される複数の検出スイッチが、カセット検出部に形成された貫通孔のパターンに応じて選択的に押圧される。印字装置では、複数の検出スイッチにおける押圧または非押圧の組み合わせに応じて、カセット装着部に装着されたテープカセットのテープ種類が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開平４−１３３７５６号公報
【特許文献２】特許第３５４３６５９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、特許文献１および２に記載の発明のように、検出スイッチとしてピンの押圧を検出する機械式（いわゆるメカ式）のスイッチを使用した場合、上方に突出する検出スイッチの反発力によって、カセット装着部の内部でテープカセットが持ち上げられやすい。すると、印字ヘッドとテープとの適正な位置関係が損なわれ、テープの印字位置がずれて印字品質が悪化したり、印字実行時にテープの走行不良を生じたりするおそれがあった。
【０００５】
また、カセット装着部には、テープカセットに収納されたテープやインクリボン等を搬送するための駆動軸や、サーマルヘッドを保持したヘッドホルダなどが立設されているため、検出スイッチを立設可能な領域が制限される。そのため、上方に付勢されるピンを有する検出スイッチを配設する場合には、印字装置に設計上の制約が生じてしまい、印字装置が大型化するおそれがあった。
【０００６】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、装置サイズを大型化することなく、カセット装着部に装着されたテープカセットのテープ種類を適切に検出することが可能な印字装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記目的を達成するために、請求項１に記載の印字装置は、上面、底面、前面、および一対の側面を備えたカセットケースと、前記カセットケースに収納される印字媒体であるテープと、前記前面に設けられて少なくとも前記テープの種類を示す指標部とを有するテープカセットと、前記テープカセットが上下方向に着脱されるカセット装着部と、前記カセット装着部に装着された前記テープカセットに収納された前記テープを、所定の搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送される前記テープに印字を行う印字ヘッドと、前記印字ヘッドに対向配置され、前記テープを介して前記印字ヘッドに圧接されるプラテンローラと、前記プラテンローラを支持して前記前面に沿って延び、前記テープカセットが着脱される上下方向に平行な軸を回動中心とする一軸を中心に回動自在なローラホルダと、進退自在なスイッチ端子を有し、前記カセット装着部に装着された前記テープカセットの前記指標部に圧接される機械式センサと、前記機械式センサを前記ローラホルダの回動中心と前記プラテンローラとの間で保持するとともに、前記ローラホルダとは独立して移動可能なセンサ保持部と、前記機械式センサにおける前記スイッチ端子の進退状態に基づいて、少なくとも前記テープの種類を判断する判断手段とを備えた印字装置であって、前記カセットケースは、前記搬送経路の途中に設けられ、前記搬送手段によって搬送される前記テープを前記カセットケースから排出する排出部と、前記排出部にて排出された前記テープの一面が前記前面と対向する方向に露出され、その前記テープの他面が前記印字ヘッドに対向する露出部とを有し、前記指標部は、前記前面における前記露出部に隣接した位置に設けられるとともに、前記テープの種類に応じたパターンで設けられた少なくとも一の孔部を含んで成り、前記ローラホルダは、前記プラテンローラを前記露出部に位置する前記テープを介して前記印字ヘッドに圧接させる位置と、前記プラテンローラを前記印字ヘッドから離間させる位置との間で回動可能であり、前記センサ保持部は、前記機械式センサを前記指標部に圧接させる位置と、前記機械式センサを前記指標部から離間させる位置との間で移動可能であることを特徴とする。
【０００８】
請求項２に記載の印字装置は、請求項１に記載の発明の構成に加えて、前記指標部は、前記孔部が前記上面および前記底面と略平行に、且つ、前記搬送経路において前記前面と平行に延びる一部と直交して配設され、前記センサ保持部は、前記スイッチ端子の進退方向を前記孔部の配設方向と略一致させるとともに、前記スイッチ端子の進退方向が前記前面に対して垂直をなすように移動可能であって、前記機械式センサは、前記センサ保持部が前記前面に向けて移動した場合、前記スイッチ端子が前記指標部に対して垂直に圧接される一方、前記センサ保持部が前記前面とは反対方向に移動した場合、前記スイッチ端子が前記指標部から垂直に離間されることを特徴とする。
【０００９】
請求項３に記載の印字装置は、請求項１または２に記載の発明の構成に加えて、前記ローラホルダは、前記センサ保持部が前記機械式センサを前記指標部に圧接させる位置に移動する場合に、前記機械式センサが前記指標部に圧接されるよりも先に、前記プラテンローラを前記印字ヘッドに圧接させる位置まで回動し、前記センサ保持部が前記機械式センサを前記指標部から離間させる位置に移動する場合に、前記機械式センサが前記指標部から離間された後に、前記プラテンローラを前記印字ヘッドから離間させる位置まで回動することを特徴とする。
【００１０】
請求項４に記載の印字装置は、請求項１乃至３のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記ローラホルダと前記センサ保持部とにそれぞれ係合して、所定の方向に移動可能なロッド部を備え、前記ロッド部は、前記ロッド部が一の方向に移動するのに応じて、前記プラテンローラを前記印字ヘッドに圧接させる位置に向けて前記ローラホルダを回動させ、且つ、前記機械式センサを前記指標部に圧接させる位置に向けて前記センサ保持部を移動させる一方、前記ロッド部が他の方向に移動するのに応じて、前記プラテンローラを前記印字ヘッドから離間させる位置に向けて前記ローラホルダを回動させ、且つ、前記機械式センサを前記指標部から離間させる位置に向けて前記センサ保持部を移動させることを特徴とする。
【００１１】
請求項５に記載の印字装置は、請求項１乃至４のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記カセット装着部を開閉するカバーを備え、前記ローラホルダは、前記カバーの閉動作に連動して、前記プラテンローラを前記印字ヘッドに圧接させる位置に向けて回動する一方、前記カバーの開動作に連動して、前記プラテンローラを前記印字ヘッドから離間させる位置に向けて回動し、前記センサ保持部は、前記カバーの閉動作に連動して、前記機械式センサを前記指標部に圧接させる位置に向けて移動する一方、前記カバーの開動作に連動して、前記機械式センサを前記指標部から離間させる位置に向けて移動することを特徴とする。
【００１２】
請求項６に記載の印字装置は、請求項４に記載の発明の構成に加えて、前記カセット装着部を開閉するカバーを備え、前記カバーは、前記カバーの閉動作に連動して、前記ロッド部を前記一の方向に移動させる一方、前記カバーの開動作に連動して、前記ロッド部を前記他の方向に移動させることを特徴とする。
【００１３】
請求項７に記載の印字装置は、請求項１乃至６のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記機械式センサは、前記テープカセットが着脱される上下方向と直交する方向に一以上の前記スイッチ端子がそれぞれ列を成すように、前記上下方向に対して複数列で配置され、且つ、一の前記スイッチ端子と他の前記スイッチ端子とを結ぶ線が前記上下方向と交差するように、前記センサ保持部に設けられ、前記指標部は、前記スイッチ端子にそれぞれ対応する位置の少なくとも一つに前記孔部が設けられたことを特徴とする。
【００１４】
請求項８に記載の印字装置は、印字媒体であるテープがカセットケース内に収納され、前記カセットケースの所定の側面に少なくともテープの種類を示す指標部が設けられたテープカセットが上下方向に着脱されるカセット装着部と、前記カセット装着部に装着された前記テープカセットに収納された前記テープを、所定の搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送される前記テープに印字を行う印字ヘッドと、前記印字ヘッドに対向配置され、前記テープを介して前記印字ヘッドに圧接されるプラテンローラと、前記プラテンローラを支持して前記所定の側面に沿って延び、前記テープカセットが着脱される上下方向に平行な軸を回動中心とする一軸を中心に回動自在なローラホルダと、進退自在なスイッチ端子を有し、前記カセット装着部に装着された前記テープカセットの前記指標部に圧接される機械式センサと、前記機械式センサを前記ローラホルダの回動中心と前記プラテンローラとの間で保持するとともに、前記ローラホルダとは独立して移動可能なセンサ保持部と、前記機械式センサにおける前記スイッチ端子の進退状態に基づいて、少なくとも前記テープの種類を判断する判断手段とを備えた印字装置であって、前記ローラホルダは、前記プラテンローラを前記テープを介して前記印字ヘッドに圧接させる位置と、前記プラテンローラを前記印字ヘッドから離間させる位置との間で回動可能であり、前記センサ保持部は、前記機械式センサを前記指標部に圧接させる位置と、前記機械式センサを前記指標部から離間させる位置との間で移動可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【００１５】
請求項１に係る発明の印字装置では、テープカセットの前面に指標部を設けるとともに、この指標部に対して機械式センサが圧接されることでテープ種類が検出される。これにより、テープカセットの底面に対して突出する機械式センサを配設する場合と比べて、機械式センサの配設スペースおよび配設位置に対する制約を小さくすることができ、装置サイズの大型化を抑制して装置設計の自由度を高めることができる。さらに、機械式センサを有するセンサ保持部を、ローラホルダとは独立して移動可能に構成したので、センサ保持部の可動性を向上させてテープ種類の検出を適切に行うことができる。
【００１６】
請求項２に係る発明の印字装置では、センサ保持部がテープカセットの前面に対して垂直をなすように移動するため、機械式センサを指標部から十分に離間させるために必要なセンサ保持部の移動距離が短縮される。したがって、請求項１に係る発明の効果に加え、印字装置本体におけるセンサ保持部の可動範囲を小さくすることができ、さらに装置サイズの大型化を抑制して装置設計の自由度を高めることができる。
【００１７】
請求項３に係る発明の印字装置では、機械式センサが指標部に対して圧接または離間されるときは、プラテンローラによってテープカセットが固定される。したがって、請求項１または２に係る発明の効果に加え、カセット装着部にてテープカセットが固定されていない状態において、機械式センサが指標部に対して圧接または離間されるときに、テープカセットの位置変動が生じてスイッチ端子が破壊されるような不具合の発生を抑制することができる。
【００１８】
請求項４に係る発明の印字装置では、ロッド部の移動に伴って、ローラホルダが回動する一方、センサ保持部が移動する。したがって、請求項１乃至３のいずれかに係る発明の効果に加え、一のロッド部を移動させることで、ローラホルダとセンサ保持部とを独立して動作させることができるため、印字装置の構成部品数を低減して装置サイズの大型化を抑制することができる。
【００１９】
請求項５に係る発明の印字装置では、カバーの開閉動作に伴って、ローラホルダが回動する一方、センサ保持部が移動する。そして、カバーが開かれるとカセット装着部にテープカセットを着脱可能な状態となり、カバーが閉じられるとサーマルヘッドによる印字が可能な状態となる。したがって、請求項１乃至４のいずれかに係る発明の効果に加え、ユーザがカバーを開閉するだけで、印字装置をカバーの開閉に応じた最適な使用状態にすることができ、印字装置の操作性を向上させることができる。
【００２０】
請求項６に係る発明の印字装置では、カバーの開閉動作に伴ってロッド部が移動する。ロッド部の移動に伴って、ローラホルダが回動する一方、センサ保持部が移動する。そして、カバーが開かれるとカセット装着部にテープカセットを着脱可能な状態となり、カバーが閉じられるとサーマルヘッドによる印字が可能な状態となる。したがって、請求項４に係る発明の効果に加え、ユーザがカバーを開閉するだけで、印字装置をカバーの開閉に応じた最適な使用状態にすることができ、印字装置の操作性を向上させることができる。
【００２１】
請求項７に係る発明の印字装置では、一のスイッチ端子と他のスイッチ端子とを結ぶ線がテープカセットの着脱方向と交差するように、機械式センサがセンサ保持部に設けられている。指標部は、スイッチ端子にそれぞれ対応する位置の少なくとも１つに孔部が設けられている。したがって、請求項１乃至６のいずれかに係る発明の効果に加え、カセット装着部にてテープカセットに位置変動が生じた場合には、一のスイッチ端子に対応する孔部に他のスイッチ端子が挿入されることが防止されるため、テープ種類の誤検出を防止することができる。
【００２２】
請求項８に係る発明の印字装置では、テープカセットの所定の側面に設けられた指標部に対して、機械式センサが圧接されることでテープ種類が検出される。これにより、テープカセットの底面に対して突出する機械式センサを配設する場合と比べて、機械式センサの配設スペースおよび配設位置に対する制約を小さくすることができ、装置サイズの大型化を抑制して装置設計の自由度を高めることができる。さらに、機械式センサを有するセンサ保持部を、ローラホルダとは独立して移動可能に構成したので、センサ保持部の可動性を向上させてテープ種類の検出を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【００２３】
【図１】カバー６が閉鎖された状態における印字装置１の斜視図である。
【図２】カバー６が開放された状態における印字装置１およびテープカセット３０の斜視図である。
【図３】テープカセット３０の斜視図である。
【図４】上ケース３１ａを取り外した状態のテープカセット３０の平面図である。
【図５】幅広カセット３０のアーム前面３５を拡大した正面図である。
【図６】幅狭カセット３０のアーム部３４を拡大した斜視図である。
【図７】幅狭カセット３０のアーム前面３５を拡大した正面図である。
【図８】壁部２０を取り除いた可動機構１００の斜め前方からみた斜視図である。
【図９】レバー１６およびリリースロッド１７を取り除いた可動機構１００の斜め前方からみた斜視図である。
【図１０】可動機構１００の縦断面図である。
【図１１】ローラホルダ１８およびセンサ保持部１９の斜め後方からみた斜視図である。
【図１２】ローラホルダ１８およびセンサ保持部１９の背面図である。
【図１３】センサ保持部１９の右側面図である。
【図１４】図１３に示すセンサ保持部１９の縦断面図である。
【図１５】カバー６が開放された状態における、壁部２０を取り除いた可動機構１００の斜め前方からみた斜視図である。
【図１６】カバー６が開放された状態における、図１５に示す可動機構１００の正面図である。
【図１７】図１６におけるＩＩ−ＩＩ線矢視方向断面図、および、テープカセット３０とテープ駆動ローラカム１１とサーマルヘッド１０とを表した図である。
【図１８】カバー６が開閉される途中の状態における、壁部２０を取り除いた可動機構１００の斜め前方からみた斜視図である。
【図１９】カバー６が開閉される途中の状態における、図１８に示す可動機構１００の正面図である。
【図２０】図１９におけるＩＩＩ−ＩＩＩ線矢視方向断面図、および、テープカセット３０とテープ駆動ローラカム１１とサーマルヘッド１０とを表した図である。
【図２１】カバー６が閉鎖された状態における、壁部２０を取り除いた可動機構１００の斜め前方からみた斜視図である。
【図２２】カバー６が閉鎖された状態における、図２１に示す可動機構１００の正面図である。
【図２３】図２２におけるＩＶ−ＩＶ線矢視方向断面図、および、テープカセット３０とテープ駆動ローラカム１１とサーマルヘッド１０とを表した図である。
【図２４】カセット装着部８の適正な位置に装着されたテープカセット３０にセンサ保持部１９が圧接された状態を示す、図５におけるＩ−Ｉ線矢視方向断面図である。
【図２５】カセット装着部８の不適正な位置に装着されたテープカセット３０にセンサ保持部１９が圧接された状態を示す、図５におけるＩ−Ｉ線矢視方向断面図である。
【図２６】変形例における、幅広カセット３０のアーム前面３５を拡大した正面図である。
【図２７】変形例における、ローラホルダ１８およびセンサ保持部１９の斜め後方からみた斜視図である。
【図２８】カセット装着部８の不適正な位置に装着されたテープカセット３０にセンサ保持部１９が圧接された状態を示す、図２６におけるＶ−Ｖ線矢視方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００２４】
以下、本発明を具体化した実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成などは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【００２５】
はじめに、本実施形態に係る印字装置１の概略構成について、図１および図２に基づいて説明する。なお、図１および図２において、紙面の右上側を印字装置１の後側、紙面の左下側を印字装置１の前側、紙面の右下側を印字装置１の右側、紙面の左上側を印字装置１の左側とする。また、紙面の上側を印字装置１の上側、紙面の下側を印字装置１の下側とする。
【００２６】
図１に示すように、印字装置１の上面には、種々の文字入力等を行うキーボード３が設けられている。キーボード３の後側（紙面右上側）には、電源スイッチ、印字キーや印字装置１の各種制御を行う機能キー群４が設けられている。機能キー群４の後側には、入力した文字や記号等を表示するための液晶ディスプレイ５が設けられている。また、印字装置１の上面の後部には、開閉可能なカバー６が設けられている。印字装置１の左後角には印字済テープ５０（図３参照）をカットしたものを受けるテープトレイ７が設けられている。
【００２７】
図２に示すように、液晶ディスプレイ５の後側には、テープカセット３０が上下方向に着脱されるカセット装着部８が形成されている。カセット装着部８には、リボンスプール４２（図４参照）から引き出されて文字等の印刷に使用された後のインクリボン６０（図４参照）を巻取るためのリボン巻取カム９が立設されている。リボン巻取カム９の左前方には、正面視で略矩形状のヘッドホルダ７４（図１７参照）が立設されている。ヘッドホルダ７４の前面には、フィルムテープ５９（図４参照）に文字等を印字するサーマルヘッド１０（図１７参照）が取り付けられている。ヘッドホルダ７４の左方には、印字済テープ５０を送り駆動するためのテープ駆動ローラカム１１（図１７参照）が立設されている。
【００２８】
カセット装着部８の前側、且つ左右方向における中央から左側には、後述のローラホルダ１８、センサ保持部１９、リリースロッド１７等が配設されている（図８参照）。ローラホルダ１８、センサ保持部１９、リリースロッド１７等が上方に露出しないように、それらが配設される部位に対応する平面形状を有する板部１３によって被覆されている。板部１３の右側には、リリースロッド１７と連結されたレバー１６が設けられている。
【００２９】
カバー６は、カバー６の後端部の左右方向を支点として開閉自在となっている。カセット装着部８は、カバー６が閉位置にあるときにテープカセット３０を着脱不能に閉鎖され（図１参照）、カバー６が開位置にあるときにテープカセット３０を着脱自在に開放される（図２参照）。カバー６の裏面側前部には、カバー６が閉じられたときにレバー１６を押下するレバー押下部６１が設けられている。レバー押下部６１の右側端部には、カバー６の裏面に対して垂直に保持部材６２が立設され、保持部材６２の下端部から左側に向けて板状の突出片６３が突出している。突出片６３は、レバー押下部６１と平行をなすように突出し、カバー６が開かれたときにレバー１６を引き上げる。
【００３０】
なお、カバー６の裏面における両側端部には、一対の係合片６４、６４が設けられている。カセット装着部８の平面視外側には、一対の係合部２７、２７が設けられている。カバー６が閉じられたときには、係合片６４、６４と係合部２７、２７とが係合して、カバー６が閉位置に保持される。
【００３１】
次に、図３乃至図７を参照して、本実施形態に係るテープカセット３０の構造について説明する。本実施形態のテープカセット３０では、感熱タイプ、レセプタータイプ、ラミネートタイプ、感熱ラミネートタイプ等、各種のテープカセットとして利用可能な汎用のテープカセットをラミネートタイプ用のテープカセットとして使用している。なお、図３において、紙面の左上側をテープカセット３０の後側、紙面の右下側をテープカセット３０の前側、紙面の右上側をテープカセット３０の右側、紙面の左下側をテープカセット３０の左側とする。また、紙面の上側をテープカセット３０の上側、紙面の下側をテープカセット３０の下側とする。
【００３２】
図３に示すように、テープカセット３０は、全体としては平面視で丸みを帯びた角部を有する略直方体状（箱型）の筐体であるカセットケース３１を有している。カセットケース３１は、カセットケース３１の底面３０ｂを含む下ケース３１ｂと、カセットケース３１の上面３０ａを含み、下ケース３１ｂの上部に固定される上ケース３１ａとで構成される。以下では、底面３０ｂから上面３０ａまでの距離を、テープカセット３０またはカセットケース３１の高さ寸法という。
【００３３】
カセットケース３１は、テープカセット３０のテープ種類（例えば、テープ幅や印字態様など）にかかわらず、同一の幅（上下方向の長さが同一）に形成された角部３２ａを有する。角部３２ａは、平面視で直角をなすように外側方向に突出している。ただし、平面視で左下の角部３２ａでは、テープ排出口４９が角に設けられているために、直角はなしていない。カセットケース３１の上下（高さ）方向において角部３２ａと同一の位置、且つ、同一の幅でカセットケース３１の側面を全周に亘って取り巻く部位（角部３２ａを含む）を、共通部３２という。
【００３４】
より詳細には、図５および図７に示すように、共通部３２は、カセットケース３１の上下（高さ）方向における中心線に関して、上下方向に対称に形成された部位である。テープカセット３０の高さ寸法は、その内部に収納されるフィルムテープ５９や両面粘着テープ５８（つまり、印字済テープ５０）のテープ幅に応じて異なっている。しかし、共通部３２の幅（上下方向の長さ）Ｔは、印字済テープ５０のテープ幅にかかわらず、同一寸法に設定されている。例えば、共通部３２の幅Ｔが１２ｍｍである場合、印字済テープ５０のテープ幅が大きくなると（例えば、１８ｍｍ、２４ｍｍ、３６ｍｍ）、それに応じてカセットケース３１の高さ寸法も大きくなるが、共通部３２の幅Ｔは１２ｍｍで一定である。なお、印字済テープ５０のテープ幅が共通部３２の幅Ｔ以下である場合は（例えば、６ｍｍ、１２ｍｍ）、カセットケース３１の高さ寸法は、共通部３２の幅（１２ｍｍ）＋所定幅（例えば、４ｍｍ）である。この場合、カセットケース３１の高さ寸法は最も小さくなる。
【００３５】
図３に示すように、上ケース３１ａおよび下ケース３１ｂには、それぞれ後述のスプール類を回転可能に支持する支持孔６５、６６、６７が設けられている。なお、図３には、上ケース３１ａに形成された各支持孔６５，６６，６７のみしか図示されていないが、下ケース３１ｂについても同様に、上ケース３１ａの各支持孔６５、６６、６７に対応する各支持孔６５、６６、６７が形成されている。
【００３６】
図４に示すように、カセットケース３１内には、第一テープスプール４０に巻回された両面粘着テープ５８、第二テープスプール４１に巻回された透明なフィルムテープ５９、および、リボンスプール４２に巻回されたインクリボン６０の３種類のテープロールが収納されている。両面粘着テープ５８は一面に剥離紙が貼着された両面テープであり、印字済みのフィルムテープ５９の印字面側に貼り合わされる。
【００３７】
両面粘着テープ５８の剥離紙を外側に向けて巻回した第一テープスプール４０は、カセットケース３１内の左側後部において、先述の支持孔６５を介して回転可能に配置されている。フィルムテープ５９が巻回された第二テープスプール４１は、カセットケース３１内の右側後部において、先述の支持孔６６を介して回転可能に配置されている。リボンスプール４２に巻回されたインクリボン６０は、カセットケース３１内の右側前部において回転可能に配置されている。
【００３８】
カセットケース３１内における第一テープスプール４０とリボンスプール４２との間には、リボンスプール４２からインクリボン６０を引き出すとともに、文字等の印字にて使用されたインクリボン６０を巻き取るリボン巻取スプール４４が、先述の支持孔６７を介して回転可能に配置されている。なお、リボン巻取スプール４４の下部には、リボン巻取スプール４４が逆転することで巻き取ったインクリボン６０が緩んでしまうのを防止するためのクラッチバネ（図示せず）が取り付けられている。
【００３９】
図３に示すように、カセットケース３１の前面には、平面視で断面半円状をなす溝部である半円溝３４ｉが、カセットケース３１の高さ方向（つまり、上面３０ａから底面３０ｂ）に亘って設けられている。半円溝３４ｉは、テープカセット３０がカセット装着部８に装着されたときに、ローラホルダ１８の軸支部１８１（図８参照）がカセットケース３１と干渉しないように設けられた逃がし部である。カセットケース３１の前面のうち、半円溝３４ｉから左に延びる部分を、アーム前面３５という。アーム前面３５と、アーム前面３５から後方へ離間した位置に高さ方向に亘って設けられたアーム背面３７（図７参照）とで規定される、テープカセット３０右側から左方に延びる部位をアーム部３４という。
【００４０】
図４に示すように、アーム部３４内には、第二テープスプール４１から引き出されたフィルムテープ５９と、リボンスプール４２から引き出されたインクリボン６０とが共に案内されている。アーム前面３５の先端部は後方へ向かって屈曲しており、アーム前面３５とアーム背面３７の先端により、開口３４ａが形成されている。開口３４ａで重合された状態となったフィルムテープ５９とインクリボン６０とは、後述する露出部７７に向けて排出される。
【００４１】
アーム背面３７と、アーム背面３７から連続して設けられた周壁面とにより囲まれた、テープカセット３０を上下方向に貫通する平面視略長方形状の空間は、ヘッド挿入部３９である。ヘッド挿入部３９は、テープカセット３０の前面に設けられた開口である露出部７７によってテープカセット３０の前面で外部とつながっている。ヘッド挿入部３９には、印字装置１のサーマルヘッド１０（図１７参照）を支持するヘッドホルダ７４が挿入される。露出部７７では、アーム部３４の開口３４ａから排出されたフィルムテープ５９の一面が前方に露出され、且つその他面が後方のサーマルヘッド１０に対向する。本実施形態では、フィルムテープ５９の他面がインクリボン６０を挟んでサーマルヘッド１０に対向している。そして、露出部７７では、サーマルヘッド１０によるフィルムテープ５９への印字が、インクリボン６０を使用して行われる。
【００４２】
図３および図４に示すように、アーム部３４の開口３４ａからテープ排出口４９までのフィルムテープ５９およびインクリボン６０の搬送方向において、ヘッド挿入部３９の下流側にはテープ駆動ローラ４６が回転可能に軸支されている。テープ駆動ローラ４６は、その内部に挿嵌されるテープ駆動ローラカム１１（図１７参照）によって回転駆動される。そして、テープ駆動ローラ４６と、テープ駆動ローラ４６に対向するローラホルダ１８の可動搬送ローラ１４（図２３参照）とが協働して、第二テープスプール４１からフィルムテープ５９を引き出すとともに、第一テープスプール４０から両面粘着テープ５８を引き出し、フィルムテープ５９の印字面にガイドして接着させる。
【００４３】
テープ駆動ローラ４６の上流側には、上下一対の規制部材３６が設けられている。規制部材３６は、サーマルヘッド１０の下流側にて、印字後のフィルムテープ５９を上下方向（テープ幅方向）に規制してテープ排出口４９に向かって案内するとともに、フィルムテープ５９と両面粘着テープ５８との間に位置ズレを生じることなく適正に接着させる。規制部材３６の近傍には、ヘッド挿入部３９を経由して搬送された使用済みのインクリボン６０をフィルムテープ５９から離間させ、リボン巻取スプール４４に向かって案内するための案内壁４７が立設されている。案内壁４７とリボン巻取スプール４４との間には、案内壁４７に沿って案内される使用済みのインクリボン６０と、第一テープスプール４０に巻回して支持された両面粘着テープ５８とが互いに接触するのを防止するための分離壁４８が立設されている。
【００４４】
図３に示すように、アーム前面３５には、露出部７７の右側に隣接して、テープカセット３０のテープ種類を示すアーム識別部８００が設けられている。アーム識別部８００は、テープ種類に応じた特定の配置パターンに応じて、後述する機械式センサ２３のスイッチ端子２３１（図１１および図１２参照）に対応する位置に、スイッチ端子２３１を挿脱可能な正面視矩形状の孔である非押圧部８０１と、スイッチ端子２３１と接触する面部である押圧部８０２とのいずれかを含む。つまり、本実施形態のアーム識別部８００は、５つのスイッチ端子２３１に対応する５箇所の位置に、非押圧部８０１および押圧部８０２のいずれかを有する。なお、以下では、非押圧部８０１及び押圧部８０２を総称する場合、または何れかを特定しない場合には、単に識別部という。
【００４５】
ここで、図３、図５乃至図７を参照して、アーム識別部８００の詳細な構成について説明する。なお、図３および図５は、印字済テープ５０のテープ幅が所定幅（例えば、１８ｍｍ）以上となるテープカセット３０（以下、幅広カセット３０という）を示している。一方、図６および図７は、印字済テープ５０のテープ幅が所定幅未満となるテープカセット３０（以下、幅狭カセット３０という）を示している。
【００４６】
図３、図５乃至図７に示すように、幅広カセット３０および幅狭カセット３０のいずれである場合も、アーム識別部８００の識別部（非押圧部８０１および押圧部８０２）の少なくとも一部は、アーム前面３５において所定の高さ寸法Ｔ１の範囲内に設けられる。所定の高さ寸法Ｔ１は、複数の異なる高さ寸法を有するテープカセット３０のうち、その高さ寸法が最小となるカセットケース３１の高さ寸法である。前述したように、最小の高さ寸法を有するテープカセット３０の高さ寸法は、共通部３２の幅Ｔ＋所定幅である。よって、共通部３２の幅Ｔが１２ｍｍ、所定幅が４ｍｍの場合、所定高さＴ１＝１２ｍｍ＋４ｍｍ＝１６ｍｍである。アーム前面３５における高さ寸法Ｔ１の範囲内にある領域を、共通識別部８３１という。
【００４７】
また、幅広カセット３０である場合は、アーム前面３５の高さ寸法Ｔ２の範囲内において、共通識別部８３１の上方および下方の少なくともいずれかに、さらに識別部が設けられていてもよい。なお、アーム前面３５の高さ寸法Ｔ２の範囲内で共通識別部８３１以外の領域を、拡張部８３２という。例えば、図３および図５に示す例では、５つの識別部のうち４つが共通識別部８３１の高さ寸法Ｔ１の範囲内に２列で設けられ、１つが共通識別部８３１とその下方の拡張部８３２にまたがって設けられている。このように、幅広カセット３０では、アーム前面３５が広いのに対応して、より大きな面積でアーム識別部８００を構成することで、印字装置１によって検出可能なテープカセット３０の種類数を増やすことができる。
【００４８】
一方、幅狭カセット３０である場合は、上記の拡張部８３２に設けられた識別部を検出するための機械式センサ２３のスイッチ端子２３１を押圧しないように、そのスイッチ端子２３１に対応する位置に貫通孔である逃がし孔８０３が形成される。例えば、図６及び図７に示す例では、４つの識別部が共通識別部８３１の高さ寸法Ｔ１の範囲内に２列で設けられ、逃がし孔８０３が共通識別部８３１の下端縁に設けられている。
【００４９】
これにより、カセット装着部８に幅広カセット３０および幅狭カセット３０のいずれが装着されている場合でも、共通の機械式センサ２３によってテープ種類を検出することが可能となる。なお、アーム識別部８００を用いたテープ種類の検出態様については、別途後述する。
【００５０】
なお、本実施形態のアーム識別部８００では、テープカセット３０が幅広カセット３０および幅狭カセット３０のいずれであるかにかかわらず、各識別部の左右方向の位置はそれぞれ異なっている。つまり、上下方向に重なる識別部はなく、５つの識別部は、ジグザグに配置されている。よって、各識別部を結ぶ線は、テープカセット３０の着脱方向であるテープカセット３０の上下方向と交差する。
【００５１】
ところで、アーム前面３５には、アーム識別部８００の右側上方において左右方向に長い正面視で略長方形の貫通孔である係止孔８２０が設けられている。係止孔８２０は、後述のセンサ保持部１９が識別位置（図２３に示すセンサ保持部１９の位置）に移動した場合に、後述の係止片１９２（図１１および図１２参照）が挿入される孔部である（図２４参照）。詳細には、係止孔８２０は、上ケース３１ａと下ケース３１ｂとの結合部にまたがって、アーム識別部８００の最も右側に位置する識別部（図５の例では、最下列の押圧部８０２）の上方を左端として形成された、正面視で左右方向に長い略長方形状の貫通孔である。
【００５２】
また、図３および図６に示すように、アーム前面３５において、下ケース３１ｂのアーム識別部８００の左側には、正面視で縦長長方形状の貫通孔８５０が設けられているが、貫通孔８５０は、カセットケース３１の成型時の金型の逃がし用に設けられたものであり、特定の機能は有しない。
【００５３】
次に、図８を参照して、印字装置１に備えられた可動機構１００の概略構成について説明する。本実施形態の可動機構１００は、レバー１６、リリースロッド１７、ローラホルダ１８、センサ保持部１９、及び後述の壁部２０（図９参照）から構成され、外圧に応じて可動する一連の機構をいう。
【００５４】
なお、本実施形態では、可動機構１００の位置関係は印字装置１の位置関係と同様である。すなわち、図８において、紙面の右下側が可動機構１００の前側、紙面の左上側が可動機構１００の後側、紙面の右上側が可動機構１００の右側、紙面の左下側が可動機構１００の左側、紙面の上側が可動機構１００の上側、紙面の下側が可動機構１００の下側にそれぞれ相当する。また、可動機構１００の動作態様を理解容易にするために、壁部２０（図９参照）を取り除いて図示している（後述の図１５乃至図２３も同様）。
【００５５】
ユーザ等は、カセット装着部８に対してテープカセット３０を着脱するときはカバー６を上方に開き、印字装置１にて印字を行う場合にはカバー６を下方に閉じる。レバー１６は、カバー６の開閉動作に伴って、レバー軸部１６１を中心にして上下方向（図８に示す回動方向Ｄ１）に回動する。詳細は後述するが、カバー６が上方に開かれると、それに伴ってレバー軸部１６１が上方向に回動する。一方、カバー６が下方に閉じられると、それに伴ってレバー軸部１６１が下方向に回動する。
【００５６】
レバー１６の下端には、正面視で左右方向を長手とする板状のリリースロッド１７が係合されている。リリースロッド１７は、レバー１６の回動に伴って左右方向（図８に示す移動方向Ｄ２）に移動する。詳細は後述するが、レバー１６が下方向（図８の下方向）に回動した場合には、リリースロッド１７は左方向（図８の左下方向）に移動する。一方、レバー１６が上方向（図８の上方向）に回動した場合には、リリースロッド１７は右方向（図８の右上方向）に移動する。
【００５７】
リリースロッド１７の後側（図８の左上側）には、プラテンローラ１５（図１１参照）と可動搬送ローラ１４とを備えたアーム状のローラホルダ１８が、軸支部１８１を中心に揺動可能に軸支されている。ローラホルダ１８の左端縁部には、可動搬送ローラ１４がそのローラ面を後方に露出させつつ回転可能に軸支されている。可動搬送ローラ１４の右側には、プラテンローラ１５がそのローラ面を後方に露出させつつ回転可能に軸支されている。可動搬送ローラ１４およびプラテンローラ１５は、それぞれテープ駆動ローラ４６およびサーマルヘッド１０に対向する位置に配置されている（図１７参照）。
【００５８】
ローラホルダ１８は、リリースロッド１７の左右方向（移動方向Ｄ２）の移動に伴って、軸支部１８１を中心にして前後方向（図８に示す揺動方向Ｄ３）に揺動する。ただし、ローラホルダ１８は、付勢バネ（図示せず）によって前方向（図８の右下方向）に常に弾性付勢されている。詳細は後述するが、リリースロッド１７が左方向に移動した場合には、ローラホルダ１８は付勢バネの付勢力に抗って後方（図８の左上方向）に揺動する。一方、リリースロッド１７が右方向に移動した場合には、ローラホルダ１８は付勢バネの付勢力によって前方（図８の右下方向）に揺動する。
【００５９】
ローラホルダ１８における軸支部１８１とプラテンローラ１５との間には、正面視で略矩形状の開口部である第一ホルダ開口部１８２が設けられている。リリースロッド１７の後側、かつ第一ホルダ開口部１８２の内側には、センサ保持部１９が設けられている。センサ保持部１９には、後方（図８の左上方向）に突出するスイッチ端子２３１を備えた機械式センサ２３が複数設けられている（図１１参照）。複数の機械式センサ２３は、アーム識別部８００に設けられた複数の識別部にそれぞれ対応する位置に配置されている。
【００６０】
センサ保持部１９は、リリースロッド１７の左右方向（移動方向Ｄ２）の移動に伴って前後方向（図８に示す移動方向Ｄ４）に移動する。詳細は後述するが、リリースロッド１７が左方向に移動した場合には、センサ保持部１９は後方（図８の左上方向）に移動する。一方、リリースロッド１７が右方向に移動した場合には、センサ保持部１９は前方（図８の右下方向）に移動する。なお、センサ保持部１９は、ローラホルダ１８には固定されていないため、ローラホルダ１８とは独立して移動可能である。
【００６１】
つまり、本実施形態の可動機構１００では、カバー６が下方に閉じられるのに伴って、ローラホルダ１８が後方に揺動する。そして、プラテンローラ１５がサーマルヘッド１０に圧接され、且つ、可動搬送ローラ１４がテープ駆動ローラ４６に圧接される。また、カバー６が下方に閉じられるのに伴って、センサ保持部１９が後方に移動する。そして、機械式センサ２３のスイッチ端子２３１がアーム識別部８００に圧接される。これにより、印字装置１では、カセット装着部８に装着されたテープカセット３０を用いた印字動作が可能となるとともに、そのテープカセット３０のテープ種類を特定可能となる。ただし、本実施形態では、スイッチ端子２３１がアーム識別部８００に圧接されるよりも先に、プラテンローラ１５および可動搬送ローラ１４がそれぞれサーマルヘッド１０およびテープ駆動ローラ４６に圧接されるが、詳細は後述する。
【００６２】
一方、カバー６が上方向に開かれるのに伴って、ローラホルダ１８が前方に揺動する。そして、プラテンローラ１５がサーマルヘッド１０から離間され、且つ、可動搬送ローラ１４がテープ駆動ローラ４６から離間される。また、カバー６が上方向に開かれるのに伴って、センサ保持部１９が前方に移動する。そして、機械式センサ２３のスイッチ端子２３１がアーム識別部８００から離間される。これにより、印字装置１では、カセット装着部８にテープカセット３０を着脱自在となる。ただし、本実施形態では、スイッチ端子２３１がアーム識別部８００から離間された後に、プラテンローラ１５および可動搬送ローラ１４がそれぞれサーマルヘッド１０およびテープ駆動ローラ４６から離間されるが、詳細は後述する。
【００６３】
ここで、図８乃至図１２を参照して、可動機構１００を構成する各部材の物理的構成の詳細について説明する。なお、図９は、図８と同一方向から可動機構１００を図示しているが、可動機構１００の連結構造を理解容易にするために、ローラホルダ１８が印字位置（図２３に示すローラホルダ１８の位置）にあり、且つ、センサ保持部１９が識別位置（図２３に示すセンサ保持部１９の位置）にある状態を、レバー１６およびリリースロッド１７を取り除いて図示している。
【００６４】
図８を参照して、レバー１６の物理的構造について説明する。レバー１６は、所定の厚み及び幅を有し、正面視で右上方向に延びる略円弧を描くように湾曲して形成されている。レバー１６の中央より下側には、レバー１６を回動自在に支持するレバー軸部１６１が設けられている。レバー１６の先端部には、レバー突起部１６２が上方に向けて突設されている。レバー突起部１６２からみた左下側には、レバー１６の湾曲方向の外周側に形成された角部である上面屈曲部１６３と、上面屈曲部１６３の下側に連設する面部である接触面１６４とが設けられている。レバー突起部１６２、上面屈曲部１６３、接触面１６４は、カバー６が閉じられるときにレバー押下部６１（図２参照）に接触される部位であるが、詳細は後述する。
【００６５】
図８、図９および図１７を参照して、リリースロッド１７の物理的構造について説明する。なお、図１７は、印字装置１を底面視した場合の可動機構１００の横断面を示すとともに、テープカセット３０を仮想線（二点鎖線）で示している。また、理解を容易にするために、壁部２０およびバネ部材２２を省略している（後述する図２０および図２３も同様）。
【００６６】
レバー１６におけるレバー軸部１６１よりも下方の端部には、レバー１６の上下方向の回動に伴って左右方向に移動するリリースロッド１７が係合されている。リリースロッド１７は、左右方向を長手方向として延びる角柱状をなす所定の厚み及び高さで構成された胴部１７２と、胴部１７２の左端部に形成された頭部であるロッド押圧部１７１とで構成されている。
【００６７】
ロッド押圧部１７１は、ローラホルダ１８を前後方向（図１７では上下方向）に揺動させるための部位であり、平面視で胴部１７２から前後方向に突出した形状をなす。詳細には、ロッド押圧部１７１は、胴部１７２よりも前後方向長さ（すなわち、厚み）が大きくなっている。ただし、平面視で胴部１７２の前後方向位置から後方（図１７では下方向）に向けて左右方向長さが漸減するように、ロッド押圧部１７１の左面から後面に亘って傾斜面が形成されている。なお、ロッド押圧部１７１において左右方向と平行をなす背面部位が押圧部後面１７１１であり、押圧部後面１７１１の左側に連設されて左前方に伸びる傾斜面が押圧部斜面１７１２である。
【００６８】
また、胴部１７２の上面は、その左右方向における略中央位置から右方向に延びる所定範囲内で、高さ位置が若干低く形成された凹み部分である胴部凹所１７６が設けられている。胴部凹所１７６の表面には、センサ保持部１９を前後方向に案内するためのロッドガイド部１７５が形成されている。ロッドガイド部１７５は、以下の第一ロッドガイド部１７５１、ロッドガイド斜部１７５２、第二ロッドガイド部１７５３から構成される。
【００６９】
第一ロッドガイド部１７５１は、胴部凹所１７６の前端縁に沿って、胴部凹所１７６の左右方向における左端部から中央やや左側にかけて、胴部凹所１７６から上方向（図１７では紙面奥方向）に立設された壁部である。第二ロッドガイド部１７５３は、胴部凹所１７６の後端縁に沿って、胴部凹所１７６の左右方向における中央やや右側から右方向に延び、胴部凹所１７６から上方向に立設された壁部である。ロッドガイド斜部１７５２は、それぞれ前後方向の位置が異なる第一ロッドガイド部１７５１と第二ロッドガイド部１７５３とを平面視で斜めに連設させるように胴部凹所１７６から立設された壁部である。第一ロッドガイド部１７５１、ロッドガイド斜部１７５２、第二ロッドガイド部１７５３は、それぞれ同一の前後方向長さ（つまり、厚み）を有するとともに、それぞれ同一の上下方向長さ（つまり、高さ）を有する薄手板状をなす。そのため、ロッドガイド部１７５は、全体として同一幅および同一高さをなすレール状の外観を呈する。
【００７０】
ロッド押圧部１７１には、左面および右面に亘って形成されるとともに、側面視で底面から上方に向けて溝状に凹陥する第二ガイド部１７３が設けられている。第二ガイド部１７３は、ロッド押圧部１７１において胴部１７２の前後方向位置よりも前側に設けられている。一方、胴部１７２の前面において、胴部凹所１７６の右端部からみた右下側には、胴部１７２の前面から前方向に突出するとともに先端が下方向に屈曲された爪部である第一ガイド部１７４が設けられている。第一ガイド部１７４および第二ガイド部１７３は、リリースロッド１７の左右方向への移動を案内する部位である。
【００７１】
図９および図１０を参照して、壁部２０の物理的構造について説明する。壁部２０は、左右方向に長い板状部材であって、印字装置１においてリリースロッド１７の前方（図９では右下側）に立設されている。壁部２０の上端辺は、その左側から右側（図９では左下側から右上側）に向けて順に、第一上辺部２０１、第二上辺部２０２、第三上辺部２０３、第四上辺部２０４、第五上辺部２０５が階段状に連設されてなる。第一上辺部２０１は、壁部２０の左右方向における左端部から中央やや左寄りに亘って形成され、印字装置１の左右方向と平行をなす辺部である。第三上辺部２０３は、壁部２０の中央やや右寄りから右端やや左寄りに亘って形成され、第一上辺部２０１よりも上方で印字装置１の左右方向と平行をなす辺部である。第五上辺部２０５は、壁部２０の左右方向における右端縁に形成され、第三上辺部２０３よりも上方で印字装置１の左右方向と平行をなす辺部である。第二上辺部２０２は、それぞれ異なる高さ位置にある第一上辺部２０１と第三上辺部２０３とを斜めに結ぶ辺部である。第四上辺部２０４は、それぞれ異なる高さ位置にある第三上辺部２０３と第五上辺部２０５とを斜めに結ぶ辺部である。
【００７２】
第三上辺部２０３、第四上辺部２０４、第五上辺部２０５の下側には、左右方向に延びる溝状に貫通したガイド長孔２０６が形成されている。第三上辺部２０３の左下側には、正面視で円形状の孔部である壁部円孔２０７が設けられている。壁部円孔２０７の下側には、正面視で横長長方形状の孔部である第一壁部角孔２０８が設けられている。第一壁部角孔２０８よりも下方には、正面視で横長長方角形状の孔部である第二壁部角孔２０９が設けられている。
【００７３】
先述のリリースロッド１７は、壁部２０の後側（図９では左上側）に配設されて、第一ガイド部１７４がガイド長孔２０６に対して摺動可能に係合されるとともに、第二ガイド部１７３が第一上辺部２０１に対して摺動可能に係合される。これにより、第一ガイド部１７４がガイド長孔２０６に沿って案内され、且つ、第二ガイド部１７３が第一上辺部２０１に沿って案内されることによって、リリースロッド１７が左右方向に移動する。
【００７４】
図８、図９、図１１、図１２、図１７を参照して、ローラホルダ１８の物理的構造について説明する。ローラホルダ１８は、先述のように可動搬送ローラ１４およびプラテンローラ１５を回転自在に保持する部材であって、リリースロッド１７の後側（図８では左上側）に設けられる。ローラホルダ１８には、その右側縁部からプラテンローラ１５が保持される左右方向位置に亘って、正面視で略矩形状をなす開口部である第一ホルダ開口部１８２が形成されている。第一ホルダ開口部１８２の開口縁の左辺に連続して、正面視で第一ホルダ開口部１８２よりも小さい略矩形状の開口部である第二ホルダ開口部１８３が、プラテンローラ１５の後側に至る開口幅で形成されている。つまり、第一ホルダ開口部１８２と第二ホルダ開口部１８３とは、一体として開口部を形成している。また、第二ホルダ開口部１８３の背後には、プラテンローラ１５の前面側から右側後方（図１７では右下方向）に向けて、プラテンローラ１５のローラ面に沿った湾曲面を有するホルダ側受部１８４が設けられている。
【００７５】
先述のリリースロッド１７は、胴部１７２が第一ホルダ開口部１８２の左右方向に沿って、ロッド押圧部１７１が第二ホルダ開口部１８３に対して右側から挿入されるように配設される。そして、リリースロッド１７のロッド押圧部１７１が、第二ホルダ開口部１８３の右縁部に位置しているときは、ロッド押圧部１７１はホルダ側受部１８４から離間しているため、ホルダ側受部１８４はロッド押圧部１７１によって押圧されない。
【００７６】
先述したように、軸支部１８１を中心に揺動するローラホルダ１８は、付勢バネ（図示せず）によって前方向（図１７では上方向）に常に弾性付勢されているため、ホルダ側受部１８４が押圧されていない状態ではローラホルダ１８が待機位置（図１７に示すローラホルダ１８の位置）に保持される。一方、リリースロッド１７のロッド押圧部１７１が第二ホルダ開口部１８３内を左側に移動すると、ホルダ側受部１８４はロッド押圧部１７１に接触して押圧されるため、ローラホルダ１８が待機位置から後方向（図１７では下方向）に移動されるが、詳細は後述する。
【００７７】
図８乃至図１２を参照して、センサ保持部１９の物理的構造について説明する。センサ保持部１９は、リリースロッド１７の後側（図８では左上側）において、第一ホルダ開口部１８２内に設けられている。センサ保持部１９は、箱状のユニット本体１９１、機械式センサ２３、係止片１９２、電気基板１９３、円筒部１９４、バネ部材２２及び回転防止部材１９５を有している。
【００７８】
ユニット本体１９１には、カセット装着部８に装着されているテープカセット３０と対向する面（以下、センサ側対向面１９１ａ）側に、２箇所の開口である第一保護部開口１９７および第二保護部開口１９８が設けられている。第一保護部開口１９７は、背面視で縦長の略長方形に形成されている。第二保護部開口１９８は、第一保護部開口１９７の左上側（図１２では右上側）において、第一保護部開口１９７よりも大きい開口面積で矩形状に形成されている。第一保護部開口１９７には、１つの機械式センサ２３が嵌め込まれる。第二保護部開口１９８には、４つの機械式センサ２３を一体に保持するセンサ収納体８８が嵌め込まれる。各保護部開口１９７、１９８に嵌め込まれた機械式センサ２３は、ユニット本体１９１に配設された電気基板１９３と電気的に接続される。
【００７９】
電気基板１９３は、ユニット本体１９１の前側に設けられており、その前面が第一ホルダ開口部１８２から前方に露出している。図示しないが、電気基板１９３の前面には電気配線が接続されている。この電気配線を介して、印字装置１の内部に備えられたＣＰＵやＲＯＭ等が実装された電気基板であるメイン基板に電気的に接続されている。機械式センサ２３のオン・オフの信号は、電気基板１９３に接続された電気配線を介してＣＰＵに伝達される。
【００８０】
上記の機械式センサ２３が各々有するスイッチ端子２３１は、センサ側対向面１９１ａから後方に突出している。つまり、各スイッチ端子２３１は、カセット装着部８に装着されているテープカセット３０のアーム前面３５（図３参照）に対向するように突出している。より詳細には、先述したアーム識別部８００の識別部（非押圧部８０１または押圧部８０２）（図５参照）にそれぞれ対応する位置に、機械式センサ２３のスイッチ端子２３１が設けられているため、各スイッチ端子２３１の左右方向の位置もそれぞれ異なっている。つまり、上下方向に重なるスイッチ端子２３１はなく、５つのスイッチ端子２３１はジグザグに配置されている。よって、各スイッチ端子２３１を結ぶ線は、テープカセット３０の着脱方向である印字装置１の上下方向と交差する。なお、センサ側対向面１９１ａの右上部（図１２の左上部）には、左右方向を長手とする板状突起である係止片１９２が設けられている。係止片１９２は、スイッチ端子２３１よりも後方への突出高さが大きくなっているが、詳細は後述する。
【００８１】
電気基板１９３には、正面視で円形の孔部である電気基板孔１９６が設けられている。また、ユニット本体１９１は、ユニット本体１９１と一体形成されるとともに、前方（図１０では右方向）に延びる円筒状の円筒部１９４を有する。円筒部１９４は、電気基板１９３に設けられた電気基板孔１９６を貫通して前方に向けて立設されている。円筒部１９４の内部には前後方向に延びる軸孔が設けられ、この軸孔に小径の円柱部材２１が挿嵌されている。詳細には、円筒部１９４の軸孔は、センサ側対向面１９１ａから前方に延びる第一軸孔１９４１と、第一軸孔１９４１から前方に延びて第一軸孔１９４１よりも開口径が大きい第二軸孔１９４２とが、同軸をなすように連通して構成される。円柱部材２１は、円柱部材２１と略同径の第一軸孔１９４１と接するように、円筒部１９４の軸孔に挿入されている。また、円柱部材２１の前方側の先端部は、小径の挿入ピン２１ａとなっている。
【００８２】
なお、第二軸孔１９４２の開口径は円柱部材２１の直径よりも大きいため、円柱部材２１と円筒部１９４との間に正面視で環状の溝部をなすバネ収容部１９４３が形成される。そして、バネ部材２２の巻回中心に円柱部材２１が挿入されるように、第二軸孔１９４２の軸長よりも全長が大きいバネ部材２２がバネ収容部１９４３に装着される。バネ収容部１９４３の内部では、バネ部材２２の後端側が第一軸孔１９４１と第二軸孔１９４２との径差によって形成される段差部分に接触される。一方、円柱部材２１にバネ部材２２が巻回された状態のもと、挿入ピン２１ａが壁部円孔２０７に挿入されるとともに、バネ部材２２の前端側が壁部２０に接触される。これにより、バネ部材２２は、その弾性圧によってセンサ保持部１９を後方（図１０では左方向）に付勢する。
【００８３】
ユニット本体１９１における円筒部１９４の前部における開口縁下部には、前方に向けて延びるとともに、その先端部が下方に屈曲した保持部ガイド部１９９が立設されている。保持部ガイド部１９９は、その屈曲した先端にて先述したリリースロッド１７のロッドガイド部１７５に係合されている。そのため、センサ保持部１９は、バネ部材２２によって後方に付勢されていても、保持部ガイド部１９９とロッドガイド部１７５との係合によって後方への移動が規制される。そして、センサ保持部１９は、リリースロッド１７の左右方向の移動に伴って、ロッドガイド部１７５に案内されつつ前後方向に移動するが、詳細は後述する。
【００８４】
ユニット本体１９１における保持部ガイド部１９９の下方には、前方に向けて延びるとともに、その先端部が下方に屈曲した回転防止部材１９５が立設されている。回転防止部材１９５は、先述した壁部２０の第二壁部角孔２０９を貫通し、その屈曲した先端部が壁部２０の前面にて係合される。これにより、センサ保持部１９は、挿入ピン２１ａと回転防止部材１９５との上下方向に並ぶ２点で壁部２０にて位置決めされるため、センサ保持部１９が円柱部材２１を中心にして回転してしまうことが防止される。
【００８５】
ここで、図１３及び図１４を参照して、機械式センサ２３の詳細について説明する。なお、図１４では、５つの機械式センサ２３のうちで、最も左上（図１２では右上）に位置する機械式センサ２３の可動態様を模式的に示している。
【００８６】
図１３および図１４に示すように、センサ保持部１９に設けられる機械式センサ２３は、左右方向の長さが小さい薄型箱状のセンサ本体（図示外）の内部に、スイッチ端子２３１が左右方向に延びる軸部２３２を回動中心として前後方向に回動可能に設けられている。スイッチ端子２３１は、常には付勢バネ（図示外）によって前方向（図１３および図１４では左方向）に回動した突出位置に移動しており、先端側に外圧が加えられると後方向（図１３および図１４では右方向）に回動した退入位置に移動する。なお、スイッチ端子２３１の前方には、スイッチ端子２３１の変位状態を検出する検出体２３４が設けられている。
【００８７】
スイッチ端子２３１は、全体として側面視で略Ｕの字状に湾曲した平面部を有する板状部材であって、軸部２３２から径外方向に延びる腕部２３１ａと、腕部２３１ａの先端から後方に突出する突出部２３１ｂとから構成される。突出部２３１ｂは、腕部２３１ａから後方に向けて上下方向長さが漸減して、側面視で略Ｖの字に突出する形状をなす。スイッチ端子２３１が突出位置に移動した状態では、突出部２３１ｂがセンサ側対向面１９１ａよりも後方に突出している。このとき、スイッチ端子２３１は検出体２３４に対して非接触状態となり、機械式センサ２３はオフ状態とされる。
【００８８】
一方、上記のような形状を有する突出部２３１ｂに対して、その略Ｖの字をなす周縁を押圧するように外圧が加えられると、その外圧に応じて突出部２３１ｂが前方に向けて退入する。このとき、スイッチ端子２３１は検出体２３４に対して接触状態となり、機械式センサ２３はオン状態とされる。つまり、突出部２３１ｂが後側から水平に押圧された場合のみならず、突出部２３１ｂが上方または下方から垂直に押圧された場合でも、突出部２３１ｂは前方に向けて退入し、機械式センサ２３はオン状態となる。
【００８９】
ここで、図１５乃至図２３を参照して、可動機構１００の動作態様の詳細について説明する。なお、可動機構１００の動作態様を理解容易とするために、図１５乃至図２３では、壁部２０（図９および図１０参照）およびバネ部材２２（図９および図１０参照）を省略して図示している。また、カバー６に備えられたレバー押下部６１、保持部材６２および突出片６３（図２参照）なども省略して図示している。
【００９０】
まず、カバー６が下方に閉じられることによって、開位置（図２参照）から閉位置（図１参照）に変位する場合における可動機構１００の動作態様を説明する。
【００９１】
図１５乃至図１７に示すように、レバー１６はレバーバネ（図視せず）によってレバー軸部１６１を回動中心として上方向（図１６の回動方向Ｄ５）に付勢されており、カバー６が開位置にあるときにレバー突起部１６２が最も高い位置となる。このとき、レバー１６の下端に連結されたリリースロッド１７が可動範囲の右端位置に移動している。
【００９２】
図１７に示すように、カバー６が開位置にある状態では、保持部ガイド部１９９が第一ロッドガイド部１７５１に係合されている。そのため、センサ保持部１９は、バネ部材２２（図９及び図１０参照）によって後方（図１７では下方向）に付勢されつつ、ロッドガイド部１７５によって後方向に移動することが制限されて、離間位置（図１７に示すセンサ保持部１９の位置）に保持される。また、ローラホルダ１８のホルダ側受部１８４は、リリースロッド１７のロッド押圧部１７１から離間している。そのため、ローラホルダ１８は、ホルダ側受部１８４がロッド押圧部１７１に押圧されることなく、付勢バネ（図示せず）によって前方に付勢されて、図１７に示す待機位置に保持される。
【００９３】
ユーザ等によってカバー６を閉じられる場合には、開位置にあるカバー６に下方に向けた押圧が加えられる。この押圧に伴ってカバー６が閉位置に向けて移動する過程で、レバー押下部６１（図２参照）がレバー突起部１６２（図１６参照）に接触する。そして、レバー押下部６１がレバー突起部１６２を押下することにより、レバー１６がレバーバネ（図示外）の付勢力に抗して下方向に回動する。このレバー１６の回動に伴って、リリースロッド１７が右端位置から左方向に移動する。そして、カバー６がさらに閉位置に向けて移動すると、レバー押下部６１（図２参照）がレバー１６の上面屈曲部１６３に接触する。そして、レバー押下部６１が上面屈曲部１６３を押下することにより、レバー１６がさらに下方向に回動するとともに、リリースロッド１７がさらに左方向に移動する。リリースロッド１７が左方向に移動するのに伴って、ロッド押圧部１７１の押圧部斜面１７１２がローラホルダ１８のホルダ側受部１８４に接触する。そして、押圧部斜面１７１２がホルダ側受部１８４を押圧するのに伴って、ホルダ側受部１８４が押圧部斜面１７１２に沿って摺動しつつ、ローラホルダ１８が付勢バネ（図示外）の付勢力に抗して後方に揺動する。
【００９４】
そして、図１８乃至図２０に示すように、リリースロッド１７が第一位置（図２０に示すリリースロッド１７の位置）に到達すると、露出部７７においてプラテンローラ１５がフィルムテープ５９とインクリボン６０とを介してサーマルヘッド１０を押圧する。また、可動搬送ローラ１４が、フィルムテープ５９と両面粘着テープ５８とを介して、テープ駆動ローラカム１１が挿入されたテープ駆動ローラ４６を押圧する。これにより、ローラホルダ１８によって、カセット装着部８にてテープカセット３０が固定される。なお、図２０に示す、カセット装着部８にてテープカセット３０が固定される位置が、ローラホルダ１８の接触位置である。
【００９５】
一方、センサ保持部１９は、前後方向にのみ移動可能に構成されている。つまり、センサ保持部１９は左右方向には移動しないため、リリースロッド１７が左右方向に移動するのに伴って、ロッドガイド部１７５が保持部ガイド部１９９と係合状態を維持しながら左右方向に摺動する。詳細には、リリースロッド１７が右端位置から第一位置まで左方向に移動するときは、第一ロッドガイド部１７５１が保持部ガイド部１９９と係合した状態を維持しながら左方向に摺動する。ここで、第一ロッドガイド部１７５１は先述の離間位置（図１７参照）の前後方向位置において左右方向に平行をなす壁部であるため、第一ロッドガイド部１７５１が保持部ガイド部１９９と係合している状態でリリースロッド１７が左右方向に移動しても、センサ保持部１９は前後方向に移動しない。
【００９６】
このように、リリースロッド１７が右端位置から第一位置まで左方向に移動するのに伴って、ローラホルダ１８が待機位置（図１７参照）から後方向に揺動して接触位置に到達すると、プラテンローラ１５および可動搬送ローラ１４がそれぞれサーマルヘッド１０およびテープ駆動ローラ４６に押圧される。一方、センサ保持部１９は離間位置に維持されるため、センサ保持部１９のスイッチ端子２３１がテープカセット３０のアーム識別部８００に接触しないように保持される。
【００９７】
カバー６が閉じられる途中の状態（図１８乃至図２０参照）から、さらにカバー６が閉位置に向けて移動すると、レバー押下部６１が上面屈曲部１６３を押下することにより、レバー１６がさらに下方向に回動するとともに、リリースロッド１７が第一位置からさらに左方向に移動する。そして、カバー６が閉位置に到達すると、レバー押下部６１がレバー１６の接触面１６４に接触した状態となり、リリースロッド１７が可動範囲の左端位置である第二位置（図２３参照）に移動する。
【００９８】
ここで、リリースロッド１７が第一位置よりも左側に移動する場合には、それに伴ってホルダ側受部１８４が押圧部斜面１７１２によってさらに後方向に押圧され、図２１乃至図２３に示すように、リリースロッド１７が第二位置に到達すると、ロッド押圧部１７１の押圧部後面１７１１がホルダ側受部１８４に接触する。なお、図２３に示す、ホルダ側受部１８４が押圧部後面１７１１に接触された状態でローラホルダ１８が保持される位置が、ローラホルダ１８の印字位置である。
【００９９】
つまり、カバー６が開位置から閉位置に向けて移動するのに連動して、ローラホルダ１８が徐々に後方向へ移動する。カバー６が閉位置に近づくのに伴って、プラテンローラ１５がサーマルヘッド１０を押圧する圧力および可動搬送ローラ１４がテープ駆動ローラ４６を押圧する圧力が徐々に大きくなる。そして、図２１乃至図２３に示すように、ローラホルダ１８が印字位置に移動した状態では、ローラホルダ１８が接触位置にあるときよりもテープカセット３０がさらに強固にカセット装着部８に固定される。
【０１００】
一方、リリースロッド１７が第一位置よりも左方向に移動する場合には、保持部ガイド部１９９は第一ロッドガイド部１７５１に係合された状態からロッドガイド斜部１７５２に係合された状態に変化して、ロッドガイド斜部１７５２が保持部ガイド部１９９と係合しながら摺動可能な状態となる。ここで、ロッドガイド斜部１７５２は、右側後方に延びる壁部であるため、第一ロッドガイド部１７５１が保持部ガイド部１９９と係合している状態でリリースロッド１７が左方向に移動すると、バネ部材２２によって押圧されながらロッドガイド斜部１７５２に沿って後方に移動する。そして、図２１乃至図２３に示すように、リリースロッド１７がさらに左方向に移動して第二位置に到達すると、保持部ガイド部１９９はロッドガイド斜部１７５２に係合された状態から第二ロッドガイド部１７５３に係合された状態に変化する。ここで、第二ロッドガイド部１７５３は、ロッドガイド斜部１７５２の後端位置において左右方向に平行をなす壁部であるため、第二ロッドガイド部１７５３が保持部ガイド部１９９と係合している状態でリリースロッド１７が左右方向に移動しても、センサ保持部１９は前後方向に移動しない。なお、図２３に示す、保持部ガイド部１９９が第二ロッドガイド部１７５３に係合される位置が、センサ保持部１９の識別位置である。
【０１０１】
そして、図２１乃至図２３に示すように、保持部ガイド部１９９が識別位置に移動した状態では、センサ保持部１９に設けられたスイッチ端子２３１が、テープカセット３０のアーム識別部８００に対して垂直に接触される。このとき、係止片１９２がテープカセット３０の係止孔８２０に挿入され、各スイッチ端子２３１が識別部（非押圧部８０１または押圧部８０２）を検出する。これにより、印字装置１に設けられたＣＰＵ（図示せず）が、テープカセット３０のテープ種類を判定することが可能となる。
【０１０２】
このように、カバー６が閉じられた状態（図２１乃至図２３参照）では、ローラホルダ１８が印字位置に移動しており、印字装置１が安定的かつ正確に印字可能な状態となる。センサ保持部１９が識別位置に移動しており、印字装置１がテープカセット３０のテープ種類を判定可能な状態となる。
【０１０３】
次に、カバー６が上方に開けられることによって、閉位置（図１参照）から開位置（図２参照）に変位する場合における可動機構１００の動作態様を説明する。この場合、可動機構１００の動作態様は、カバー６が下方に閉じられる場合と同様であるが、ローラホルダ１８およびセンサ保持部１９の動作順序が逆となっており、以下説明する。
【０１０４】
図１５乃至図２３には図示しないが、カバー６が閉位置にある状態（図２１乃至図２３）では、カバー６の突出片６３（図２参照）がレバー１６のレバー突起部１６２の下方に配置された状態になっている。カバー６が閉位置から上方に開かれると、突出片６３の上面がレバー１６を上方向に押し上げるとともに、レバーバネ（図示外）によって付勢されてレバー１６が上方向に回動する。このレバー１６の回動に伴って、リリースロッド１７が第二位置から右方向に移動する。
【０１０５】
リリースロッド１７が第二位置から右方向に移動すると、保持部ガイド部１９９がロッドガイド部１７５（詳細には、ロッドガイド斜部１７５２）に沿って後方に摺動する。そのため、センサ保持部１９が識別位置（図２３参照）から前方向に移動して、スイッチ端子２３１がアーム識別部８００から離間される。さらに、リリースロッド１７が第一位置よりも右方向に移動すると、センサ保持部１９が離間位置（図１７参照）に保持される。
【０１０６】
一方、リリースロッド１７が第二位置から第一位置に右方向に移動するのに伴って、付勢バネ（図示外）によってホルダ側受部１８４がロッド押圧部１７１（詳細には、押圧部斜面１７１２）に沿って前方向に摺動し、接触位置（図２０参照）に移動する。このため、ローラホルダ１８が印字位置（図２３参照）にある場合と比べて、テープカセット３０を固定する圧力が徐々に弱まる。さらに、リリースロッド１７が第一位置よりも右方向に移動すると、ローラホルダ１８が接触位置よりも前方向に揺動する。すると、プラテンローラ１５および可動搬送ローラ１４がそれぞれサーマルヘッド１０およびテープ駆動ローラ４６から離間され、ローラホルダ１８が待機位置（図１７参照）に保持される。
【０１０７】
このように、カバー６が開かれた状態（図１５乃至図１７参照）では、ローラホルダ１８が待機位置に移動しているため、可動搬送ローラ１４およびプラテンローラ１５がカセット装着部８に対して着脱されるテープカセット３０に干渉しない。また、センサ保持部１９が離間位置に移動しているため、スイッチ端子２３１がカセット装着部８に対して着脱されるテープカセット３０に干渉しない。すなわち、カセット装着部８に対してテープカセット３０を着脱自在な状態となる。
【０１０８】
次に、図２４および図２５を参照して、カセット装着部８に装着されているテープカセット３０のテープ種類の検出態様について説明する。
【０１０９】
図２４に示すように、テープカセット３０がカセット装着部８の適正な位置に装着されている場合は、カバー６（図２参照）が閉じられてセンサ保持部１９が識別位置に移動すると、センサ側対向面１９１ａに設けられたスイッチ端子２３１および係止片１９２が、テープカセット３０のアーム識別部８００および係止孔８２０にそれぞれ対向する位置に移動する。そして、係止片１９２が係止孔８２０に挿入されるとともに、５つのスイッチ端子２３１はそれぞれ対応するアーム識別部８００の識別部（非押圧部８０１または押圧部８０２）に対向し、選択的に押圧される。
【０１１０】
具体的には、図５に示す幅広カセット３０では、押圧部８０２に対向したスイッチ端子２３１は、押圧部８０２であるアーム前面３５の面部に押圧され、機械式センサ２３がオン状態となる。一方、非押圧部８０１に対向したスイッチ端子２３１は非押圧部８０１に挿入され、機械式センサ２３がオフ状態となる。なお、図６及び図７に示す幅狭カセット３０では、上記と同様に機械式センサ２３がオン状態またはオフ状態とされるが、逃がし孔８０３に対向するスイッチ端子２３１は押圧されずに、機械式センサ２３は常にオフ状態となる。
【０１１１】
一方、図２５に示すように、カセット装着部８内でテープカセット３０の位置ズレや浮きが生じている場合は、テープカセット３０がカセット装着部８の適正な位置に配置されていない。このとき、カバー６（図２参照）が閉じられてセンサ保持部１９が識別位置に移動すると、係止片１９２は係止孔８２０に挿入されることなくアーム前面３５に接触する。係止片１９２はスイッチ端子２３１よりも突出幅（センサ側対向面１９１ａからの前後方向長さ）が大きいため、係止片１９２がアーム前面３５に接触すると、スイッチ端子２３１はアーム前面３５に接触することなく、全ての機械式センサ２３がオフ状態とされる。
【０１１２】
印字装置１では、５つの機械式センサ２３のオン・オフの組合せに基づいて、カセット装着部８に装着されているテープカセット３０のテープ種類が特定される。より詳細には、あらかじめＲＯＭ（図示外）に記憶されているカセットの種類を特定するためのデータテーブルを参照して、機械式センサ２３のオン・オフの組合せに対応するテープ種類が特定される。また、全ての機械式センサ２３がオフ状態であるときは、テープカセット３０の装着状態が適正でない旨が特定される。
【０１１３】
なお、本実施形態では、アーム識別部８００が露出部７７に隣接して設けられているため、アーム識別部８００を、露出部７７に排出されるテープ類（ここでは、フィルムテープ５９およびインクリボン６０）と併せて、人間が前方から目視可能である。そのため、アーム識別部８００の識別部をテープ種類に応じた所定の規則性をもって配設することによって、人間がアーム識別部８００を目視してテープ種類を認識できるとともに、その認識したテープ種類がテープカセット３０に実装されているテープ種類と一致するか否かを、露出部７７に排出されるテープ類を参照して確認することもできる。
【０１１４】
以上説明したように、本実施形態の印字装置１では、テープカセット３０のアーム前面３５にアーム識別部８００を設けるとともに、アーム識別部８００に対して機械式センサ２３のスイッチ端子２３１が前方から圧接されることでテープ種類が検出される。これにより、テープカセットの底面に対して突出する機械式センサを配設する場合と比べて、スイッチ端子２３１の反発力によってテープの印字位置にズレが生じる不具合の発生を抑制できるとともに、機械式センサ２３の配設スペースおよび配設位置に対する制約を小さくすることができる。
【０１１５】
また、カバー６が閉じられる場合には、センサ保持部１９が識別位置に到達するよりも先に、ローラホルダ１８が接触位置に到達する。つまり、スイッチ端子２３１がアーム識別部８００に圧接される前に、ローラホルダ１８によってテープカセット３０が固定される。また、カバー６が開かれる場合には、ローラホルダ１８が接触位置から待機位置に向けて移動するよりも先に、センサ保持部１９が識別位置から離間位置に向けて移動する。つまり、スイッチ端子２３１がアーム識別部８００から離間された後に、ローラホルダ１８によるテープカセット３０の固定が解除される。これにより、センサ保持部１９がテープカセット３０に対して圧接または離間されるときは、テープカセット３０は常にローラホルダ１８によって固定される。
【０１１６】
例えばユーザが手でテープカセット３０を移動させた場合や、印字装置１に異常な振動が加えられた場合などには、カセット装着部８に装着されているテープカセット３０に位置変動が生じることがある。そして、このようなテープカセット３０の位置変動が、スイッチ端子２３１がアーム識別部８００に対して圧接または離間されるときに生じると、スイッチ端子２３１が破損するなどの不具合が発生するおそれがある。その点、本実施形態の印字装置１によれば、スイッチ端子２３１がアーム識別部８００に対して圧接または離間されるときに、テープカセット３０がローラホルダ１８によって固定されているので、上記のようなスイッチ端子２３１が破損するなどの不具合の発生を抑制して、機械式センサ２３を適切に保護することができる。
【０１１７】
また、センサ保持部１９は、ローラホルダ１８によって外周を取り囲むように保護されているところ、例えばテープカセット３０が異常な態様で着脱される場合に他部材がスイッチ端子２３１に接触したり、ユーザが意図的にスイッチ端子２３１を指で触ったりしたために、スイッチ端子２３１が破損するなどの不具合が発生するおそれもある。その点、本実施形態の機械式センサ２３は、突出部２３１ｂの周縁を押圧するように外圧が加えられるとスイッチ端子２３１が退入するように構成されているため、上記のように他部材が接触したりユーザが触ったりしても、スイッチ端子２３１が退入して破損等の不具合が適切に防止される。
【０１１８】
さらに、本実施形態では、機械式センサ２３を備えたセンサ保持部１９を、ローラホルダ１８とは独立して前後方向に移動可能とした。そして、テープカセット３０に向けて突出するスイッチ端子２３１を、アーム識別部８００に対して垂直に圧接または離間させているが、かかる構成は以下の技術的意義を有する。
【０１１９】
仮に、複数の機械式センサ２３をローラホルダ１８に固定して設けるとともに、ローラホルダ１８の前後方向の揺動によって、テープカセット３０に向けて突出するスイッチ端子２３１をアーム識別部８００に対して圧接または離間させる構成を採用したとする。この場合、カセット装着部８に対してテープカセット３０が着脱される場合に、スイッチ端子２３１がテープカセット３０に接触しないように退避させる必要がある。つまり、ローラホルダ１８を前方向に揺動させることによって、テープカセット３０からスイッチ端子２３１を十分に離間させる必要がある。しかしながら、ローラホルダ１８の揺動中心（つまり、軸支部１８１）と近接した位置に機械式センサ２３が設けられている場合、スイッチ端子２３１をテープカセット３０から十分に離間させるために、ローラホルダ１８をより大きな回転角度で前方向に回動させる必要がある。すると、カセット装着部８の前方側に、ローラホルダ１８を大きく揺動させるための可動スペースが必要となるため、印字装置１が大型化するおそれがあった。また、ローラホルダ１８の揺動中心からの離間距離を考慮する必要があるため、機械式センサ２３の位置や数量などに制約を生じるおそれがあった。
【０１２０】
本実施形態の印字装置１では、機械式センサ２３を備えたセンサ保持部１９がローラホルダ１８とは独立して移動可能であるため、機械式センサ２３の位置や数量などに制約を受けることなく設計の自由度を向上させることができる。また、スイッチ端子２３１はアーム識別部８００に対して垂直に移動されるため、スイッチ端子２３１を必要最低限の距離だけ前方向に移動させるだけで、テープカセット３０に接触しないように効率的かつ十分に離間させることができる。これにより、機械式センサ２３を退避させるための可動スペースを少なくすることができ、印字装置１の大型化が防止できる。
【０１２１】
また、本実施形態では、機械式センサ２３を備えたセンサ保持部１９が、ローラホルダ１８の揺動中心である軸支部１８１とプラテンローラ１５との間に設けられている。すなわち、ローラホルダ１８の設置スペースの範囲内にセンサ保持部１９を設けているため、センサ保持部１９の設置スペースを別途確保する必要がない。よって、ローラホルダ１８とは独立して動作するセンサ保持部１９を、印字装置１を大型化することなく設けることができ、筐体の省スペース化や設計の自由度を増すことができる。
【０１２２】
なお、上記実施形態において、フィルムテープ５９が本発明の「テープ」に相当し、アーム識別部８００が本発明の「指標部」に相当する。また、テープ駆動ローラカム１１が本発明の「搬送手段」に相当し、サーマルヘッド１０が本発明の「印字ヘッド」に相当する。また、開口３４ａが本発明の「排出部」に相当し、非押圧部８０１が本発明の「孔部」に相当する。また、リリースロッド１７が本発明の「ロッド部」に相当する。
【０１２３】
なお、本発明の印字装置１は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【０１２４】
例えば、図２６乃至図２８に示すように、アーム前面３５に係止孔８２０（図５参照）を設けない構成を採用するとともに、センサ保持部１９に係止片１９２（図１１参照）を設けない構成を採用してもよい。この場合、テープカセット３０がカセット装着部８の適正な位置に装着されていれば、上記実施形態と同様に、５つのスイッチ端子２３１がそれぞれ対応するアーム識別部８００の識別部に対向して（非押圧部８０１または押圧部８０２）、選択的に押圧される（図２４参照）。
【０１２５】
ところで、先述したように、複数のスイッチ端子２３１は、アーム識別部８００の識別部にそれぞれ対応する位置に、各スイッチ端子２３１が上下方向に並ばないようにジグザク状に配置されている。テープカセット３０の着脱方向は上下方向であるため、カセット装着部８内でテープカセット３０の位置ズレや浮きが生じた場合、多くの場合、テープカセット３０は、適正な装着位置よりも上方向にズレが生じる。しかし、上下方向に重なる識別部はないので、テープカセット３０が上方向にズレが生じた場合には、各スイッチ端子２３１が他の識別部を検出することはなく、アーム前面３５の面部に押圧されてオン状態になる。
【０１２６】
つまり、図２８に示すように、テープカセット３０に浮きや位置ズレ等が生じている場合に、カバー６（図２参照）が閉じられてセンサ保持部１９が識別位置に移動すると、すべてのスイッチ端子２３１がアーム前面３５の面部に押圧されてオン状態になる。なお、カセット装着部８に幅狭カセット３０が装着され、その幅狭カセット３０に位置ズレや浮き等が生じている場合には、逃がし孔８０３に対応する位置にあるスイッチ端子２３１を除く４つのスイッチ端子２３１が、アーム前面３５の面部に押圧されてオン状態になる。
【０１２７】
印字装置１では、先述と同様に、５つの機械式センサ２３のオン・オフの組合せに基づいて、カセット装着部８に装着されているテープカセット３０のテープ種類が特定される。ただし、全ての機械式センサ２３がオン状態であるときや、逃がし孔８０３に対応するものを除く４つの機械式センサ２３がオン状態であるときは、テープカセット３０の装着状態が適正でない旨が特定される。
【０１２８】
ところで、図２６乃至図２８に示す構成では、上記実施形態に示すような係止孔８２０と係止片１９２との係合作用がないため、テープカセット３０の装着時にカセットケース３１の周縁部がスイッチ端子２３１を上下方向から接触したり、カセット装着部８に装着されているテープカセット３０に位置変動が生じるおそれが高い。しかしながら、先述したように、本実施形態の機械式センサ２３は、突出部２３１ｂの周縁を押圧するように外圧が加えられるとスイッチ端子２３１が退入するように構成されているため、かかる構成においてもスイッチ端子２３１の破損等の不具合が適切に防止される。
【０１２９】
また、上記実施形態では、スイッチ端子２３１を前後方向に回動可能に構成することで、スイッチ端子２３１の進退方向以外の方向から外圧が加えられてもスイッチ端子２３１の破損等が防止されるようにしているが、これに限定されない。例えば、スイッチ端子２３１を、ゴムや巻きバネなどの弾性体からなる軸体とし、その軸線方向である前後方向に進退可能に構成してもよい。これによれば、例えばスイッチ端子２３１に上下方向からの外圧が加えられたとしても、その外圧に応じてスイッチ端子２３１が弾性変形することで破損等の不具合の発生が抑制される。
【符号の説明】
【０１３０】
１ 印字装置
６ カバー
８ カセット装着部
９ リボン巻取カム
１０ サーマルヘッド
１１ テープ駆動ローラカム
１４ 可動搬送ローラ
１５ プラテンローラ
１６ レバー
１７ リリースロッド
１８ ローラホルダ
１９ センサ保持部
２０ 壁部
２３ 機械式センサ
３０ テープカセット
３１ カセットケース
３４ アーム部
３９ ヘッド挿入部
４６ テープ駆動ローラ
５０ 印字済テープ
５８ 両面粘着テープ
５９ フィルムテープ
６０ インクリボン
７７ 露出部
１００ 可動機構
２３１ スイッチ端子
２３１ａ 腕部
２３１ｂ 突出部
８００ アーム識別部
８０１ 非押圧部
８０２ 押圧部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、印字装置に関し、詳細には、テープカセットを着脱自在に構成され、テープカセットに収納されたテープに印字を行う印字装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、カセット装着部に装着されたテープカセットに収納されたテープの種類（テープ幅や印字態様など）を、複数の検出スイッチによって検出する印字装置が知られている（例えば、特許文献１および２参照）。詳細には、テープカセットの下面の一部には、テープ種類に対応するパターンで貫通孔が形成されたカセット検出部が設けられている。カセット装着部にテープカセットが装着されると、常には上方に付勢される複数の検出スイッチが、カセット検出部に形成された貫通孔のパターンに応じて選択的に押圧される。印字装置では、複数の検出スイッチにおける押圧または非押圧の組み合わせに応じて、カセット装着部に装着されたテープカセットのテープ種類が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開平４−１３３７５６号公報
【特許文献２】特許第３５４３６５９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、特許文献１および２に記載の発明のように、検出スイッチとしてピンの押圧を検出する機械式（いわゆるメカ式）のスイッチを使用した場合、上方に突出する検出スイッチの反発力によって、カセット装着部の内部でテープカセットが持ち上げられやすい。すると、印字ヘッドとテープとの適正な位置関係が損なわれ、テープの印字位置がずれて印字品質が悪化したり、印字実行時にテープの走行不良を生じたりするおそれがあった。
【０００５】
また、カセット装着部には、テープカセットに収納されたテープやインクリボン等を搬送するための駆動軸や、サーマルヘッドを保持したヘッドホルダなどが立設されているため、検出スイッチを立設可能な領域が制限される。そのため、上方に付勢されるピンを有する検出スイッチを配設する場合には、印字装置に設計上の制約が生じてしまい、印字装置が大型化するおそれがあった。
【０００６】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、装置サイズを大型化することなく、カセット装着部に装着されたテープカセットのテープ種類を適切に検出することが可能な印字装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記目的を達成するために、請求項１に記載の印字装置は、上面、底面、前面、および一対の側面を備えたカセットケースと、前記カセットケースに収納される印字媒体であるテープと、前記前面に設けられて少なくとも前記テープの種類を示す指標部とを有するテープカセットと、前記テープカセットが上下方向に着脱されるカセット装着部と、前記カセット装着部に装着された前記テープカセットに収納された前記テープを、所定の搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送される前記テープに印字を行う印字ヘッドと、前記印字ヘッドに対向配置され、前記テープを介して前記印字ヘッドに圧接されるプラテンローラと、前記プラテンローラを支持して前記前面に沿って延び、前記テープカセットが着脱される上下方向に平行な軸を回動中心とする一軸を中心に回動自在なローラホルダと、進退自在なスイッチ端子を有し、前記カセット装着部に装着された前記テープカセットの前記指標部に圧接される機械式センサと、前記機械式センサを前記ローラホルダの回動中心と前記プラテンローラとの間で保持するとともに、前記ローラホルダとは独立して移動可能なセンサ保持部と、前記機械式センサにおける前記スイッチ端子の進退状態に基づいて、少なくとも前記テープの種類を判断する判断手段とを備えた印字装置であって、前記カセットケースは、前記搬送経路の途中に設けられ、前記搬送手段によって搬送される前記テープを前記カセットケースから排出する排出部と、前記排出部にて排出された前記テープの一面が前記前面と対向する方向に露出され、その前記テープの他面が前記印字ヘッドに対向する露出部とを有し、前記指標部は、前記前面における前記露出部に隣接した位置に設けられるとともに、前記テープの種類に応じたパターンで設けられた少なくとも一の孔部を含んで成り、前記ローラホルダは、前記プラテンローラを前記露出部に位置する前記テープを介して前記印字ヘッドに圧接させる位置と、前記プラテンローラを前記印字ヘッドから離間させる位置との間で回動可能であり、前記センサ保持部は、前記機械式センサを前記指標部に圧接させる位置と、前記機械式センサを前記指標部から離間させる位置との間で移動可能であることを特徴とする。
【０００８】
請求項２に記載の印字装置は、請求項１に記載の発明の構成に加えて、前記指標部は、前記孔部が前記上面および前記底面と略平行に、且つ、前記搬送経路において前記前面と平行に延びる一部と直交して配設され、前記センサ保持部は、前記スイッチ端子の進退方向を前記孔部の配設方向と略一致させるとともに、前記スイッチ端子の進退方向が前記前面に対して垂直をなすように移動可能であって、前記機械式センサは、前記センサ保持部が前記前面に向けて移動した場合、前記スイッチ端子が前記指標部に対して垂直に圧接される一方、前記センサ保持部が前記前面とは反対方向に移動した場合、前記スイッチ端子が前記指標部から垂直に離間されることを特徴とする。
【０００９】
請求項３に記載の印字装置は、請求項１または２に記載の発明の構成に加えて、前記ローラホルダは、前記センサ保持部が前記機械式センサを前記指標部に圧接させる位置に移動する場合に、前記機械式センサが前記指標部に圧接されるよりも先に、前記プラテンローラを前記印字ヘッドに圧接させる位置まで回動し、前記センサ保持部が前記機械式センサを前記指標部から離間させる位置に移動する場合に、前記機械式センサが前記指標部から離間された後に、前記プラテンローラを前記印字ヘッドから離間させる位置まで回動することを特徴とする。
【００１０】
請求項４に記載の印字装置は、請求項１乃至３のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記ローラホルダと前記センサ保持部とにそれぞれ係合して、所定の方向に移動可能なロッド部を備え、前記ロッド部は、前記ロッド部が一の方向に移動するのに応じて、前記プラテンローラを前記印字ヘッドに圧接させる位置に向けて前記ローラホルダを回動させ、且つ、前記機械式センサを前記指標部に圧接させる位置に向けて前記センサ保持部を移動させる一方、前記ロッド部が他の方向に移動するのに応じて、前記プラテンローラを前記印字ヘッドから離間させる位置に向けて前記ローラホルダを回動させ、且つ、前記機械式センサを前記指標部から離間させる位置に向けて前記センサ保持部を移動させることを特徴とする。
【００１１】
請求項５に記載の印字装置は、請求項１乃至４のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記カセット装着部を開閉するカバーを備え、前記ローラホルダは、前記カバーの閉動作に連動して、前記プラテンローラを前記印字ヘッドに圧接させる位置に向けて回動する一方、前記カバーの開動作に連動して、前記プラテンローラを前記印字ヘッドから離間させる位置に向けて回動し、前記センサ保持部は、前記カバーの閉動作に連動して、前記機械式センサを前記指標部に圧接させる位置に向けて移動する一方、前記カバーの開動作に連動して、前記機械式センサを前記指標部から離間させる位置に向けて移動することを特徴とする。
【００１２】
請求項６に記載の印字装置は、請求項４に記載の発明の構成に加えて、前記カセット装着部を開閉するカバーを備え、前記カバーは、前記カバーの閉動作に連動して、前記ロッド部を前記一の方向に移動させる一方、前記カバーの開動作に連動して、前記ロッド部を前記他の方向に移動させることを特徴とする。
【００１３】
請求項７に記載の印字装置は、請求項１乃至６のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記機械式センサは、前記テープカセットが着脱される上下方向と直交する方向に一以上の前記スイッチ端子がそれぞれ列を成すように、前記上下方向に対して複数列で配置され、且つ、一の前記スイッチ端子と他の前記スイッチ端子とを結ぶ線が前記上下方向と交差するように、前記センサ保持部に設けられ、前記指標部は、前記スイッチ端子にそれぞれ対応する位置の少なくとも一つに前記孔部が設けられたことを特徴とする。
【００１４】
請求項８に記載の印字装置は、印字媒体であるテープがカセットケース内に収納され、前記カセットケースの所定の側面に少なくともテープの種類を示す指標部が設けられたテープカセットが上下方向に着脱されるカセット装着部と、前記カセット装着部に装着された前記テープカセットに収納された前記テープを、所定の搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送される前記テープに印字を行う印字ヘッドと、前記印字ヘッドに対向配置され、前記テープを介して前記印字ヘッドに圧接されるプラテンローラと、前記プラテンローラを支持して前記所定の側面に沿って延び、前記テープカセットが着脱される上下方向に平行な軸を回動中心とする一軸を中心に回動自在なローラホルダと、進退自在なスイッチ端子を有し、前記カセット装着部に装着された前記テープカセットの前記指標部に圧接される機械式センサと、前記機械式センサを前記ローラホルダの回動中心と前記プラテンローラとの間で保持するとともに、前記ローラホルダとは独立して移動可能なセンサ保持部と、前記機械式センサにおける前記スイッチ端子の進退状態に基づいて、少なくとも前記テープの種類を判断する判断手段とを備えた印字装置であって、前記ローラホルダは、前記プラテンローラを前記テープを介して前記印字ヘッドに圧接させる位置と、前記プラテンローラを前記印字ヘッドから離間させる位置との間で回動可能であり、前記センサ保持部は、前記機械式センサを前記指標部に圧接させる位置と、前記機械式センサを前記指標部から離間させる位置との間で移動可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【００１５】
請求項１に係る発明の印字装置では、テープカセットの前面に指標部を設けるとともに、この指標部に対して機械式センサが圧接されることでテープ種類が検出される。これにより、テープカセットの底面に対して突出する機械式センサを配設する場合と比べて、機械式センサの配設スペースおよび配設位置に対する制約を小さくすることができ、装置サイズの大型化を抑制して装置設計の自由度を高めることができる。さらに、機械式センサを有するセンサ保持部を、ローラホルダとは独立して移動可能に構成したので、センサ保持部の可動性を向上させてテープ種類の検出を適切に行うことができる。
【００１６】
請求項２に係る発明の印字装置では、センサ保持部がテープカセットの前面に対して垂直をなすように移動するため、機械式センサを指標部から十分に離間させるために必要なセンサ保持部の移動距離が短縮される。したがって、請求項１に係る発明の効果に加え、印字装置本体におけるセンサ保持部の可動範囲を小さくすることができ、さらに装置サイズの大型化を抑制して装置設計の自由度を高めることができる。
【００１７】
請求項３に係る発明の印字装置では、機械式センサが指標部に対して圧接または離間されるときは、プラテンローラによってテープカセットが固定される。したがって、請求項１または２に係る発明の効果に加え、カセット装着部にてテープカセットが固定されていない状態において、機械式センサが指標部に対して圧接または離間されるときに、テープカセットの位置変動が生じてスイッチ端子が破壊されるような不具合の発生を抑制することができる。
【００１８】
請求項４に係る発明の印字装置では、ロッド部の移動に伴って、ローラホルダが回動する一方、センサ保持部が移動する。したがって、請求項１乃至３のいずれかに係る発明の効果に加え、一のロッド部を移動させることで、ローラホルダとセンサ保持部とを独立して動作させることができるため、印字装置の構成部品数を低減して装置サイズの大型化を抑制することができる。
【００１９】
請求項５に係る発明の印字装置では、カバーの開閉動作に伴って、ローラホルダが回動する一方、センサ保持部が移動する。そして、カバーが開かれるとカセット装着部にテープカセットを着脱可能な状態となり、カバーが閉じられるとサーマルヘッドによる印字が可能な状態となる。したがって、請求項１乃至４のいずれかに係る発明の効果に加え、ユーザがカバーを開閉するだけで、印字装置をカバーの開閉に応じた最適な使用状態にすることができ、印字装置の操作性を向上させることができる。
【００２０】
請求項６に係る発明の印字装置では、カバーの開閉動作に伴ってロッド部が移動する。ロッド部の移動に伴って、ローラホルダが回動する一方、センサ保持部が移動する。そして、カバーが開かれるとカセット装着部にテープカセットを着脱可能な状態となり、カバーが閉じられるとサーマルヘッドによる印字が可能な状態となる。したがって、請求項４に係る発明の効果に加え、ユーザがカバーを開閉するだけで、印字装置をカバーの開閉に応じた最適な使用状態にすることができ、印字装置の操作性を向上させることができる。
【００２１】
請求項７に係る発明の印字装置では、一のスイッチ端子と他のスイッチ端子とを結ぶ線がテープカセットの着脱方向と交差するように、機械式センサがセンサ保持部に設けられている。指標部は、スイッチ端子にそれぞれ対応する位置の少なくとも１つに孔部が設けられている。したがって、請求項１乃至６のいずれかに係る発明の効果に加え、カセット装着部にてテープカセットに位置変動が生じた場合には、一のスイッチ端子に対応する孔部に他のスイッチ端子が挿入されることが防止されるため、テープ種類の誤検出を防止することができる。
【００２２】
請求項８に係る発明の印字装置では、テープカセットの所定の側面に設けられた指標部に対して、機械式センサが圧接されることでテープ種類が検出される。これにより、テープカセットの底面に対して突出する機械式センサを配設する場合と比べて、機械式センサの配設スペースおよび配設位置に対する制約を小さくすることができ、装置サイズの大型化を抑制して装置設計の自由度を高めることができる。さらに、機械式センサを有するセンサ保持部を、ローラホルダとは独立して移動可能に構成したので、センサ保持部の可動性を向上させてテープ種類の検出を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【００２３】
【図１】カバー６が閉鎖された状態における印字装置１の斜視図である。
【図２】カバー６が開放された状態における印字装置１およびテープカセット３０の斜視図である。
【図３】テープカセット３０の斜視図である。
【図４】上ケース３１ａを取り外した状態のテープカセット３０の平面図である。
【図５】幅広カセット３０のアーム前面３５を拡大した正面図である。
【図６】幅狭カセット３０のアーム部３４を拡大した斜視図である。
【図７】幅狭カセット３０のアーム前面３５を拡大した正面図である。
【図８】壁部２０を取り除いた可動機構１００の斜め前方からみた斜視図である。
【図９】レバー１６およびリリースロッド１７を取り除いた可動機構１００の斜め前方からみた斜視図である。
【図１０】可動機構１００の縦断面図である。
【図１１】ローラホルダ１８およびセンサ保持部１９の斜め後方からみた斜視図である。
【図１２】ローラホルダ１８およびセンサ保持部１９の背面図である。
【図１３】センサ保持部１９の右側面図である。
【図１４】図１３に示すセンサ保持部１９の縦断面図である。
【図１５】カバー６が開放された状態における、壁部２０を取り除いた可動機構１００の斜め前方からみた斜視図である。
【図１６】カバー６が開放された状態における、図１５に示す可動機構１００の正面図である。
【図１７】図１６におけるＩＩ−ＩＩ線矢視方向断面図、および、テープカセット３０とテープ駆動ローラカム１１とサーマルヘッド１０とを表した図である。
【図１８】カバー６が開閉される途中の状態における、壁部２０を取り除いた可動機構１００の斜め前方からみた斜視図である。
【図１９】カバー６が開閉される途中の状態における、図１８に示す可動機構１００の正面図である。
【図２０】図１９におけるＩＩＩ−ＩＩＩ線矢視方向断面図、および、テープカセット３０とテープ駆動ローラカム１１とサーマルヘッド１０とを表した図である。
【図２１】カバー６が閉鎖された状態における、壁部２０を取り除いた可動機構１００の斜め前方からみた斜視図である。
【図２２】カバー６が閉鎖された状態における、図２１に示す可動機構１００の正面図である。
【図２３】図２２におけるＩＶ−ＩＶ線矢視方向断面図、および、テープカセット３０とテープ駆動ローラカム１１とサーマルヘッド１０とを表した図である。
【図２４】カセット装着部８の適正な位置に装着されたテープカセット３０にセンサ保持部１９が圧接された状態を示す、図５におけるＩ−Ｉ線矢視方向断面図である。
【図２５】カセット装着部８の不適正な位置に装着されたテープカセット３０にセンサ保持部１９が圧接された状態を示す、図５におけるＩ−Ｉ線矢視方向断面図である。
【図２６】変形例における、幅広カセット３０のアーム前面３５を拡大した正面図である。
【図２７】変形例における、ローラホルダ１８およびセンサ保持部１９の斜め後方からみた斜視図である。
【図２８】カセット装着部８の不適正な位置に装着されたテープカセット３０にセンサ保持部１９が圧接された状態を示す、図２６におけるＶ−Ｖ線矢視方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００２４】
以下、本発明を具体化した実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成などは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【００２５】
はじめに、本実施形態に係る印字装置１の概略構成について、図１および図２に基づいて説明する。なお、図１および図２において、紙面の右上側を印字装置１の後側、紙面の左下側を印字装置１の前側、紙面の右下側を印字装置１の右側、紙面の左上側を印字装置１の左側とする。また、紙面の上側を印字装置１の上側、紙面の下側を印字装置１の下側とする。
【００２６】
図１に示すように、印字装置１の上面には、種々の文字入力等を行うキーボード３が設けられている。キーボード３の後側（紙面右上側）には、電源スイッチ、印字キーや印字装置１の各種制御を行う機能キー群４が設けられている。機能キー群４の後側には、入力した文字や記号等を表示するための液晶ディスプレイ５が設けられている。また、印字装置１の上面の後部には、開閉可能なカバー６が設けられている。印字装置１の左後角には印字済テープ５０（図３参照）をカットしたものを受けるテープトレイ７が設けられている。
【００２７】
図２に示すように、液晶ディスプレイ５の後側には、テープカセット３０が上下方向に着脱されるカセット装着部８が形成されている。カセット装着部８には、リボンスプール４２（図４参照）から引き出されて文字等の印刷に使用された後のインクリボン６０（図４参照）を巻取るためのリボン巻取カム９が立設されている。リボン巻取カム９の左前方には、正面視で略矩形状のヘッドホルダ７４（図１７参照）が立設されている。ヘッドホルダ７４の前面には、フィルムテープ５９（図４参照）に文字等を印字するサーマルヘッド１０（図１７参照）が取り付けられている。ヘッドホルダ７４の左方には、印字済テープ５０を送り駆動するためのテープ駆動ローラカム１１（図１７参照）が立設されている。
【００２８】
カセット装着部８の前側、且つ左右方向における中央から左側には、後述のローラホルダ１８、センサ保持部１９、リリースロッド１７等が配設されている（図８参照）。ローラホルダ１８、センサ保持部１９、リリースロッド１７等が上方に露出しないように、それらが配設される部位に対応する平面形状を有する板部１３によって被覆されている。板部１３の右側には、リリースロッド１７と連結されたレバー１６が設けられている。
【００２９】
カバー６は、カバー６の後端部の左右方向を支点として開閉自在となっている。カセット装着部８は、カバー６が閉位置にあるときにテープカセット３０を着脱不能に閉鎖され（図１参照）、カバー６が開位置にあるときにテープカセット３０を着脱自在に開放される（図２参照）。カバー６の裏面側前部には、カバー６が閉じられたときにレバー１６を押下するレバー押下部６１が設けられている。レバー押下部６１の右側端部には、カバー６の裏面に対して垂直に保持部材６２が立設され、保持部材６２の下端部から左側に向けて板状の突出片６３が突出している。突出片６３は、レバー押下部６１と平行をなすように突出し、カバー６が開かれたときにレバー１６を引き上げる。
【００３０】
なお、カバー６の裏面における両側端部には、一対の係合片６４、６４が設けられている。カセット装着部８の平面視外側には、一対の係合部２７、２７が設けられている。カバー６が閉じられたときには、係合片６４、６４と係合部２７、２７とが係合して、カバー６が閉位置に保持される。
【００３１】
次に、図３乃至図７を参照して、本実施形態に係るテープカセット３０の構造について説明する。本実施形態のテープカセット３０では、感熱タイプ、レセプタータイプ、ラミネートタイプ、感熱ラミネートタイプ等、各種のテープカセットとして利用可能な汎用のテープカセットをラミネートタイプ用のテープカセットとして使用している。なお、図３において、紙面の左上側をテープカセット３０の後側、紙面の右下側をテープカセット３０の前側、紙面の右上側をテープカセット３０の右側、紙面の左下側をテープカセット３０の左側とする。また、紙面の上側をテープカセット３０の上側、紙面の下側をテープカセット３０の下側とする。
【００３２】
図３に示すように、テープカセット３０は、全体としては平面視で丸みを帯びた角部を有する略直方体状（箱型）の筐体であるカセットケース３１を有している。カセットケース３１は、カセットケース３１の底面３０ｂを含む下ケース３１ｂと、カセットケース３１の上面３０ａを含み、下ケース３１ｂの上部に固定される上ケース３１ａとで構成される。以下では、底面３０ｂから上面３０ａまでの距離を、テープカセット３０またはカセットケース３１の高さ寸法という。
【００３３】
カセットケース３１は、テープカセット３０のテープ種類（例えば、テープ幅や印字態様など）にかかわらず、同一の幅（上下方向の長さが同一）に形成された角部３２ａを有する。角部３２ａは、平面視で直角をなすように外側方向に突出している。ただし、平面視で左下の角部３２ａでは、テープ排出口４９が角に設けられているために、直角はなしていない。カセットケース３１の上下（高さ）方向において角部３２ａと同一の位置、且つ、同一の幅でカセットケース３１の側面を全周に亘って取り巻く部位（角部３２ａを含む）を、共通部３２という。
【００３４】
より詳細には、図５および図７に示すように、共通部３２は、カセットケース３１の上下（高さ）方向における中心線に関して、上下方向に対称に形成された部位である。テープカセット３０の高さ寸法は、その内部に収納されるフィルムテープ５９や両面粘着テープ５８（つまり、印字済テープ５０）のテープ幅に応じて異なっている。しかし、共通部３２の幅（上下方向の長さ）Ｔは、印字済テープ５０のテープ幅にかかわらず、同一寸法に設定されている。例えば、共通部３２の幅Ｔが１２ｍｍである場合、印字済テープ５０のテープ幅が大きくなると（例えば、１８ｍｍ、２４ｍｍ、３６ｍｍ）、それに応じてカセットケース３１の高さ寸法も大きくなるが、共通部３２の幅Ｔは１２ｍｍで一定である。なお、印字済テープ５０のテープ幅が共通部３２の幅Ｔ以下である場合は（例えば、６ｍｍ、１２ｍｍ）、カセットケース３１の高さ寸法は、共通部３２の幅（１２ｍｍ）＋所定幅（例えば、４ｍｍ）である。この場合、カセットケース３１の高さ寸法は最も小さくなる。
【００３５】
図３に示すように、上ケース３１ａおよび下ケース３１ｂには、それぞれ後述のスプール類を回転可能に支持する支持孔６５、６６、６７が設けられている。なお、図３には、上ケース３１ａに形成された各支持孔６５，６６，６７のみしか図示されていないが、下ケース３１ｂについても同様に、上ケース３１ａの各支持孔６５、６６、６７に対応する各支持孔６５、６６、６７が形成されている。
【００３６】
図４に示すように、カセットケース３１内には、第一テープスプール４０に巻回された両面粘着テープ５８、第二テープスプール４１に巻回された透明なフィルムテープ５９、および、リボンスプール４２に巻回されたインクリボン６０の３種類のテープロールが収納されている。両面粘着テープ５８は一面に剥離紙が貼着された両面テープであり、印字済みのフィルムテープ５９の印字面側に貼り合わされる。
【００３７】
両面粘着テープ５８の剥離紙を外側に向けて巻回した第一テープスプール４０は、カセットケース３１内の左側後部において、先述の支持孔６５を介して回転可能に配置されている。フィルムテープ５９が巻回された第二テープスプール４１は、カセットケース３１内の右側後部において、先述の支持孔６６を介して回転可能に配置されている。リボンスプール４２に巻回されたインクリボン６０は、カセットケース３１内の右側前部において回転可能に配置されている。
【００３８】
カセットケース３１内における第一テープスプール４０とリボンスプール４２との間には、リボンスプール４２からインクリボン６０を引き出すとともに、文字等の印字にて使用されたインクリボン６０を巻き取るリボン巻取スプール４４が、先述の支持孔６７を介して回転可能に配置されている。なお、リボン巻取スプール４４の下部には、リボン巻取スプール４４が逆転することで巻き取ったインクリボン６０が緩んでしまうのを防止するためのクラッチバネ（図示せず）が取り付けられている。
【００３９】
図３に示すように、カセットケース３１の前面には、平面視で断面半円状をなす溝部である半円溝３４ｉが、カセットケース３１の高さ方向（つまり、上面３０ａから底面３０ｂ）に亘って設けられている。半円溝３４ｉは、テープカセット３０がカセット装着部８に装着されたときに、ローラホルダ１８の軸支部１８１（図８参照）がカセットケース３１と干渉しないように設けられた逃がし部である。カセットケース３１の前面のうち、半円溝３４ｉから左に延びる部分を、アーム前面３５という。アーム前面３５と、アーム前面３５から後方へ離間した位置に高さ方向に亘って設けられたアーム背面３７（図７参照）とで規定される、テープカセット３０右側から左方に延びる部位をアーム部３４という。
【００４０】
図４に示すように、アーム部３４内には、第二テープスプール４１から引き出されたフィルムテープ５９と、リボンスプール４２から引き出されたインクリボン６０とが共に案内されている。アーム前面３５の先端部は後方へ向かって屈曲しており、アーム前面３５とアーム背面３７の先端により、開口３４ａが形成されている。開口３４ａで重合された状態となったフィルムテープ５９とインクリボン６０とは、後述する露出部７７に向けて排出される。
【００４１】
アーム背面３７と、アーム背面３７から連続して設けられた周壁面とにより囲まれた、テープカセット３０を上下方向に貫通する平面視略長方形状の空間は、ヘッド挿入部３９である。ヘッド挿入部３９は、テープカセット３０の前面に設けられた開口である露出部７７によってテープカセット３０の前面で外部とつながっている。ヘッド挿入部３９には、印字装置１のサーマルヘッド１０（図１７参照）を支持するヘッドホルダ７４が挿入される。露出部７７では、アーム部３４の開口３４ａから排出されたフィルムテープ５９の一面が前方に露出され、且つその他面が後方のサーマルヘッド１０に対向する。本実施形態では、フィルムテープ５９の他面がインクリボン６０を挟んでサーマルヘッド１０に対向している。そして、露出部７７では、サーマルヘッド１０によるフィルムテープ５９への印字が、インクリボン６０を使用して行われる。
【００４２】
図３および図４に示すように、アーム部３４の開口３４ａからテープ排出口４９までのフィルムテープ５９およびインクリボン６０の搬送方向において、ヘッド挿入部３９の下流側にはテープ駆動ローラ４６が回転可能に軸支されている。テープ駆動ローラ４６は、その内部に挿嵌されるテープ駆動ローラカム１１（図１７参照）によって回転駆動される。そして、テープ駆動ローラ４６と、テープ駆動ローラ４６に対向するローラホルダ１８の可動搬送ローラ１４（図２３参照）とが協働して、第二テープスプール４１からフィルムテープ５９を引き出すとともに、第一テープスプール４０から両面粘着テープ５８を引き出し、フィルムテープ５９の印字面にガイドして接着させる。
【００４３】
テープ駆動ローラ４６の上流側には、上下一対の規制部材３６が設けられている。規制部材３６は、サーマルヘッド１０の下流側にて、印字後のフィルムテープ５９を上下方向（テープ幅方向）に規制してテープ排出口４９に向かって案内するとともに、フィルムテープ５９と両面粘着テープ５８との間に位置ズレを生じることなく適正に接着させる。規制部材３６の近傍には、ヘッド挿入部３９を経由して搬送された使用済みのインクリボン６０をフィルムテープ５９から離間させ、リボン巻取スプール４４に向かって案内するための案内壁４７が立設されている。案内壁４７とリボン巻取スプール４４との間には、案内壁４７に沿って案内される使用済みのインクリボン６０と、第一テープスプール４０に巻回して支持された両面粘着テープ５８とが互いに接触するのを防止するための分離壁４８が立設されている。
【００４４】
図３に示すように、アーム前面３５には、露出部７７の右側に隣接して、テープカセット３０のテープ種類を示すアーム識別部８００が設けられている。アーム識別部８００は、テープ種類に応じた特定の配置パターンに応じて、後述する機械式センサ２３のスイッチ端子２３１（図１１および図１２参照）に対応する位置に、スイッチ端子２３１を挿脱可能な正面視矩形状の孔である非押圧部８０１と、スイッチ端子２３１と接触する面部である押圧部８０２とのいずれかを含む。つまり、本実施形態のアーム識別部８００は、５つのスイッチ端子２３１に対応する５箇所の位置に、非押圧部８０１および押圧部８０２のいずれかを有する。なお、以下では、非押圧部８０１及び押圧部８０２を総称する場合、または何れかを特定しない場合には、単に識別部という。
【００４５】
ここで、図３、図５乃至図７を参照して、アーム識別部８００の詳細な構成について説明する。なお、図３および図５は、印字済テープ５０のテープ幅が所定幅（例えば、１８ｍｍ）以上となるテープカセット３０（以下、幅広カセット３０という）を示している。一方、図６および図７は、印字済テープ５０のテープ幅が所定幅未満となるテープカセット３０（以下、幅狭カセット３０という）を示している。
【００４６】
図３、図５乃至図７に示すように、幅広カセット３０および幅狭カセット３０のいずれである場合も、アーム識別部８００の識別部（非押圧部８０１および押圧部８０２）の少なくとも一部は、アーム前面３５において所定の高さ寸法Ｔ１の範囲内に設けられる。所定の高さ寸法Ｔ１は、複数の異なる高さ寸法を有するテープカセット３０のうち、その高さ寸法が最小となるカセットケース３１の高さ寸法である。前述したように、最小の高さ寸法を有するテープカセット３０の高さ寸法は、共通部３２の幅Ｔ＋所定幅である。よって、共通部３２の幅Ｔが１２ｍｍ、所定幅が４ｍｍの場合、所定高さＴ１＝１２ｍｍ＋４ｍｍ＝１６ｍｍである。アーム前面３５における高さ寸法Ｔ１の範囲内にある領域を、共通識別部８３１という。
【００４７】
また、幅広カセット３０である場合は、アーム前面３５の高さ寸法Ｔ２の範囲内において、共通識別部８３１の上方および下方の少なくともいずれかに、さらに識別部が設けられていてもよい。なお、アーム前面３５の高さ寸法Ｔ２の範囲内で共通識別部８３１以外の領域を、拡張部８３２という。例えば、図３および図５に示す例では、５つの識別部のうち４つが共通識別部８３１の高さ寸法Ｔ１の範囲内に２列で設けられ、１つが共通識別部８３１とその下方の拡張部８３２にまたがって設けられている。このように、幅広カセット３０では、アーム前面３５が広いのに対応して、より大きな面積でアーム識別部８００を構成することで、印字装置１によって検出可能なテープカセット３０の種類数を増やすことができる。
【００４８】
一方、幅狭カセット３０である場合は、上記の拡張部８３２に設けられた識別部を検出するための機械式センサ２３のスイッチ端子２３１を押圧しないように、そのスイッチ端子２３１に対応する位置に貫通孔である逃がし孔８０３が形成される。例えば、図６及び図７に示す例では、４つの識別部が共通識別部８３１の高さ寸法Ｔ１の範囲内に２列で設けられ、逃がし孔８０３が共通識別部８３１の下端縁に設けられている。
【００４９】
これにより、カセット装着部８に幅広カセット３０および幅狭カセット３０のいずれが装着されている場合でも、共通の機械式センサ２３によってテープ種類を検出することが可能となる。なお、アーム識別部８００を用いたテープ種類の検出態様については、別途後述する。
【００５０】
なお、本実施形態のアーム識別部８００では、テープカセット３０が幅広カセット３０および幅狭カセット３０のいずれであるかにかかわらず、各識別部の左右方向の位置はそれぞれ異なっている。つまり、上下方向に重なる識別部はなく、５つの識別部は、ジグザグに配置されている。よって、各識別部を結ぶ線は、テープカセット３０の着脱方向であるテープカセット３０の上下方向と交差する。
【００５１】
ところで、アーム前面３５には、アーム識別部８００の右側上方において左右方向に長い正面視で略長方形の貫通孔である係止孔８２０が設けられている。係止孔８２０は、後述のセンサ保持部１９が識別位置（図２３に示すセンサ保持部１９の位置）に移動した場合に、後述の係止片１９２（図１１および図１２参照）が挿入される孔部である（図２４参照）。詳細には、係止孔８２０は、上ケース３１ａと下ケース３１ｂとの結合部にまたがって、アーム識別部８００の最も右側に位置する識別部（図５の例では、最下列の押圧部８０２）の上方を左端として形成された、正面視で左右方向に長い略長方形状の貫通孔である。
【００５２】
また、図３および図６に示すように、アーム前面３５において、下ケース３１ｂのアーム識別部８００の左側には、正面視で縦長長方形状の貫通孔８５０が設けられているが、貫通孔８５０は、カセットケース３１の成型時の金型の逃がし用に設けられたものであり、特定の機能は有しない。
【００５３】
次に、図８を参照して、印字装置１に備えられた可動機構１００の概略構成について説明する。本実施形態の可動機構１００は、レバー１６、リリースロッド１７、ローラホルダ１８、センサ保持部１９、及び後述の壁部２０（図９参照）から構成され、外圧に応じて可動する一連の機構をいう。
【００５４】
なお、本実施形態では、可動機構１００の位置関係は印字装置１の位置関係と同様である。すなわち、図８において、紙面の右下側が可動機構１００の前側、紙面の左上側が可動機構１００の後側、紙面の右上側が可動機構１００の右側、紙面の左下側が可動機構１００の左側、紙面の上側が可動機構１００の上側、紙面の下側が可動機構１００の下側にそれぞれ相当する。また、可動機構１００の動作態様を理解容易にするために、壁部２０（図９参照）を取り除いて図示している（後述の図１５乃至図２３も同様）。
【００５５】
ユーザ等は、カセット装着部８に対してテープカセット３０を着脱するときはカバー６を上方に開き、印字装置１にて印字を行う場合にはカバー６を下方に閉じる。レバー１６は、カバー６の開閉動作に伴って、レバー軸部１６１を中心にして上下方向（図８に示す回動方向Ｄ１）に回動する。詳細は後述するが、カバー６が上方に開かれると、それに伴ってレバー軸部１６１が上方向に回動する。一方、カバー６が下方に閉じられると、それに伴ってレバー軸部１６１が下方向に回動する。
【００５６】
レバー１６の下端には、正面視で左右方向を長手とする板状のリリースロッド１７が係合されている。リリースロッド１７は、レバー１６の回動に伴って左右方向（図８に示す移動方向Ｄ２）に移動する。詳細は後述するが、レバー１６が下方向（図８の下方向）に回動した場合には、リリースロッド１７は左方向（図８の左下方向）に移動する。一方、レバー１６が上方向（図８の上方向）に回動した場合には、リリースロッド１７は右方向（図８の右上方向）に移動する。
【００５７】
リリースロッド１７の後側（図８の左上側）には、プラテンローラ１５（図１１参照）と可動搬送ローラ１４とを備えたアーム状のローラホルダ１８が、軸支部１８１を中心に揺動可能に軸支されている。ローラホルダ１８の左端縁部には、可動搬送ローラ１４がそのローラ面を後方に露出させつつ回転可能に軸支されている。可動搬送ローラ１４の右側には、プラテンローラ１５がそのローラ面を後方に露出させつつ回転可能に軸支されている。可動搬送ローラ１４およびプラテンローラ１５は、それぞれテープ駆動ローラ４６およびサーマルヘッド１０に対向する位置に配置されている（図１７参照）。
【００５８】
ローラホルダ１８は、リリースロッド１７の左右方向（移動方向Ｄ２）の移動に伴って、軸支部１８１を中心にして前後方向（図８に示す揺動方向Ｄ３）に揺動する。ただし、ローラホルダ１８は、付勢バネ（図示せず）によって前方向（図８の右下方向）に常に弾性付勢されている。詳細は後述するが、リリースロッド１７が左方向に移動した場合には、ローラホルダ１８は付勢バネの付勢力に抗って後方（図８の左上方向）に揺動する。一方、リリースロッド１７が右方向に移動した場合には、ローラホルダ１８は付勢バネの付勢力によって前方（図８の右下方向）に揺動する。
【００５９】
ローラホルダ１８における軸支部１８１とプラテンローラ１５との間には、正面視で略矩形状の開口部である第一ホルダ開口部１８２が設けられている。リリースロッド１７の後側、かつ第一ホルダ開口部１８２の内側には、センサ保持部１９が設けられている。センサ保持部１９には、後方（図８の左上方向）に突出するスイッチ端子２３１を備えた機械式センサ２３が複数設けられている（図１１参照）。複数の機械式センサ２３は、アーム識別部８００に設けられた複数の識別部にそれぞれ対応する位置に配置されている。
【００６０】
センサ保持部１９は、リリースロッド１７の左右方向（移動方向Ｄ２）の移動に伴って前後方向（図８に示す移動方向Ｄ４）に移動する。詳細は後述するが、リリースロッド１７が左方向に移動した場合には、センサ保持部１９は後方（図８の左上方向）に移動する。一方、リリースロッド１７が右方向に移動した場合には、センサ保持部１９は前方（図８の右下方向）に移動する。なお、センサ保持部１９は、ローラホルダ１８には固定されていないため、ローラホルダ１８とは独立して移動可能である。
【００６１】
つまり、本実施形態の可動機構１００では、カバー６が下方に閉じられるのに伴って、ローラホルダ１８が後方に揺動する。そして、プラテンローラ１５がサーマルヘッド１０に圧接され、且つ、可動搬送ローラ１４がテープ駆動ローラ４６に圧接される。また、カバー６が下方に閉じられるのに伴って、センサ保持部１９が後方に移動する。そして、機械式センサ２３のスイッチ端子２３１がアーム識別部８００に圧接される。これにより、印字装置１では、カセット装着部８に装着されたテープカセット３０を用いた印字動作が可能となるとともに、そのテープカセット３０のテープ種類を特定可能となる。ただし、本実施形態では、スイッチ端子２３１がアーム識別部８００に圧接されるよりも先に、プラテンローラ１５および可動搬送ローラ１４がそれぞれサーマルヘッド１０およびテープ駆動ローラ４６に圧接されるが、詳細は後述する。
【００６２】
一方、カバー６が上方向に開かれるのに伴って、ローラホルダ１８が前方に揺動する。そして、プラテンローラ１５がサーマルヘッド１０から離間され、且つ、可動搬送ローラ１４がテープ駆動ローラ４６から離間される。また、カバー６が上方向に開かれるのに伴って、センサ保持部１９が前方に移動する。そして、機械式センサ２３のスイッチ端子２３１がアーム識別部８００から離間される。これにより、印字装置１では、カセット装着部８にテープカセット３０を着脱自在となる。ただし、本実施形態では、スイッチ端子２３１がアーム識別部８００から離間された後に、プラテンローラ１５および可動搬送ローラ１４がそれぞれサーマルヘッド１０およびテープ駆動ローラ４６から離間されるが、詳細は後述する。
【００６３】
ここで、図８乃至図１２を参照して、可動機構１００を構成する各部材の物理的構成の詳細について説明する。なお、図９は、図８と同一方向から可動機構１００を図示しているが、可動機構１００の連結構造を理解容易にするために、ローラホルダ１８が印字位置（図２３に示すローラホルダ１８の位置）にあり、且つ、センサ保持部１９が識別位置（図２３に示すセンサ保持部１９の位置）にある状態を、レバー１６およびリリースロッド１７を取り除いて図示している。
【００６４】
図８を参照して、レバー１６の物理的構造について説明する。レバー１６は、所定の厚み及び幅を有し、正面視で右上方向に延びる略円弧を描くように湾曲して形成されている。レバー１６の中央より下側には、レバー１６を回動自在に支持するレバー軸部１６１が設けられている。レバー１６の先端部には、レバー突起部１６２が上方に向けて突設されている。レバー突起部１６２からみた左下側には、レバー１６の湾曲方向の外周側に形成された角部である上面屈曲部１６３と、上面屈曲部１６３の下側に連設する面部である接触面１６４とが設けられている。レバー突起部１６２、上面屈曲部１６３、接触面１６４は、カバー６が閉じられるときにレバー押下部６１（図２参照）に接触される部位であるが、詳細は後述する。
【００６５】
図８、図９および図１７を参照して、リリースロッド１７の物理的構造について説明する。なお、図１７は、印字装置１を底面視した場合の可動機構１００の横断面を示すとともに、テープカセット３０を仮想線（二点鎖線）で示している。また、理解を容易にするために、壁部２０およびバネ部材２２を省略している（後述する図２０および図２３も同様）。
【００６６】
レバー１６におけるレバー軸部１６１よりも下方の端部には、レバー１６の上下方向の回動に伴って左右方向に移動するリリースロッド１７が係合されている。リリースロッド１７は、左右方向を長手方向として延びる角柱状をなす所定の厚み及び高さで構成された胴部１７２と、胴部１７２の左端部に形成された頭部であるロッド押圧部１７１とで構成されている。
【００６７】
ロッド押圧部１７１は、ローラホルダ１８を前後方向（図１７では上下方向）に揺動させるための部位であり、平面視で胴部１７２から前後方向に突出した形状をなす。詳細には、ロッド押圧部１７１は、胴部１７２よりも前後方向長さ（すなわち、厚み）が大きくなっている。ただし、平面視で胴部１７２の前後方向位置から後方（図１７では下方向）に向けて左右方向長さが漸減するように、ロッド押圧部１７１の左面から後面に亘って傾斜面が形成されている。なお、ロッド押圧部１７１において左右方向と平行をなす背面部位が押圧部後面１７１１であり、押圧部後面１７１１の左側に連設されて左前方に伸びる傾斜面が押圧部斜面１７１２である。
【００６８】
また、胴部１７２の上面は、その左右方向における略中央位置から右方向に延びる所定範囲内で、高さ位置が若干低く形成された凹み部分である胴部凹所１７６が設けられている。胴部凹所１７６の表面には、センサ保持部１９を前後方向に案内するためのロッドガイド部１７５が形成されている。ロッドガイド部１７５は、以下の第一ロッドガイド部１７５１、ロッドガイド斜部１７５２、第二ロッドガイド部１７５３から構成される。
【００６９】
第一ロッドガイド部１７５１は、胴部凹所１７６の前端縁に沿って、胴部凹所１７６の左右方向における左端部から中央やや左側にかけて、胴部凹所１７６から上方向（図１７では紙面奥方向）に立設された壁部である。第二ロッドガイド部１７５３は、胴部凹所１７６の後端縁に沿って、胴部凹所１７６の左右方向における中央やや右側から右方向に延び、胴部凹所１７６から上方向に立設された壁部である。ロッドガイド斜部１７５２は、それぞれ前後方向の位置が異なる第一ロッドガイド部１７５１と第二ロッドガイド部１７５３とを平面視で斜めに連設させるように胴部凹所１７６から立設された壁部である。第一ロッドガイド部１７５１、ロッドガイド斜部１７５２、第二ロッドガイド部１７５３は、それぞれ同一の前後方向長さ（つまり、厚み）を有するとともに、それぞれ同一の上下方向長さ（つまり、高さ）を有する薄手板状をなす。そのため、ロッドガイド部１７５は、全体として同一幅および同一高さをなすレール状の外観を呈する。
【００７０】
ロッド押圧部１７１には、左面および右面に亘って形成されるとともに、側面視で底面から上方に向けて溝状に凹陥する第二ガイド部１７３が設けられている。第二ガイド部１７３は、ロッド押圧部１７１において胴部１７２の前後方向位置よりも前側に設けられている。一方、胴部１７２の前面において、胴部凹所１７６の右端部からみた右下側には、胴部１７２の前面から前方向に突出するとともに先端が下方向に屈曲された爪部である第一ガイド部１７４が設けられている。第一ガイド部１７４および第二ガイド部１７３は、リリースロッド１７の左右方向への移動を案内する部位である。
【００７１】
図９および図１０を参照して、壁部２０の物理的構造について説明する。壁部２０は、左右方向に長い板状部材であって、印字装置１においてリリースロッド１７の前方（図９では右下側）に立設されている。壁部２０の上端辺は、その左側から右側（図９では左下側から右上側）に向けて順に、第一上辺部２０１、第二上辺部２０２、第三上辺部２０３、第四上辺部２０４、第五上辺部２０５が階段状に連設されてなる。第一上辺部２０１は、壁部２０の左右方向における左端部から中央やや左寄りに亘って形成され、印字装置１の左右方向と平行をなす辺部である。第三上辺部２０３は、壁部２０の中央やや右寄りから右端やや左寄りに亘って形成され、第一上辺部２０１よりも上方で印字装置１の左右方向と平行をなす辺部である。第五上辺部２０５は、壁部２０の左右方向における右端縁に形成され、第三上辺部２０３よりも上方で印字装置１の左右方向と平行をなす辺部である。第二上辺部２０２は、それぞれ異なる高さ位置にある第一上辺部２０１と第三上辺部２０３とを斜めに結ぶ辺部である。第四上辺部２０４は、それぞれ異なる高さ位置にある第三上辺部２０３と第五上辺部２０５とを斜めに結ぶ辺部である。
【００７２】
第三上辺部２０３、第四上辺部２０４、第五上辺部２０５の下側には、左右方向に延びる溝状に貫通したガイド長孔２０６が形成されている。第三上辺部２０３の左下側には、正面視で円形状の孔部である壁部円孔２０７が設けられている。壁部円孔２０７の下側には、正面視で横長長方形状の孔部である第一壁部角孔２０８が設けられている。第一壁部角孔２０８よりも下方には、正面視で横長長方角形状の孔部である第二壁部角孔２０９が設けられている。
【００７３】
先述のリリースロッド１７は、壁部２０の後側（図９では左上側）に配設されて、第一ガイド部１７４がガイド長孔２０６に対して摺動可能に係合されるとともに、第二ガイド部１７３が第一上辺部２０１に対して摺動可能に係合される。これにより、第一ガイド部１７４がガイド長孔２０６に沿って案内され、且つ、第二ガイド部１７３が第一上辺部２０１に沿って案内されることによって、リリースロッド１７が左右方向に移動する。
【００７４】
図８、図９、図１１、図１２、図１７を参照して、ローラホルダ１８の物理的構造について説明する。ローラホルダ１８は、先述のように可動搬送ローラ１４およびプラテンローラ１５を回転自在に保持する部材であって、リリースロッド１７の後側（図８では左上側）に設けられる。ローラホルダ１８には、その右側縁部からプラテンローラ１５が保持される左右方向位置に亘って、正面視で略矩形状をなす開口部である第一ホルダ開口部１８２が形成されている。第一ホルダ開口部１８２の開口縁の左辺に連続して、正面視で第一ホルダ開口部１８２よりも小さい略矩形状の開口部である第二ホルダ開口部１８３が、プラテンローラ１５の後側に至る開口幅で形成されている。つまり、第一ホルダ開口部１８２と第二ホルダ開口部１８３とは、一体として開口部を形成している。また、第二ホルダ開口部１８３の背後には、プラテンローラ１５の前面側から右側後方（図１７では右下方向）に向けて、プラテンローラ１５のローラ面に沿った湾曲面を有するホルダ側受部１８４が設けられている。
【００７５】
先述のリリースロッド１７は、胴部１７２が第一ホルダ開口部１８２の左右方向に沿って、ロッド押圧部１７１が第二ホルダ開口部１８３に対して右側から挿入されるように配設される。そして、リリースロッド１７のロッド押圧部１７１が、第二ホルダ開口部１８３の右縁部に位置しているときは、ロッド押圧部１７１はホルダ側受部１８４から離間しているため、ホルダ側受部１８４はロッド押圧部１７１によって押圧されない。
【００７６】
先述したように、軸支部１８１を中心に揺動するローラホルダ１８は、付勢バネ（図示せず）によって前方向（図１７では上方向）に常に弾性付勢されているため、ホルダ側受部１８４が押圧されていない状態ではローラホルダ１８が待機位置（図１７に示すローラホルダ１８の位置）に保持される。一方、リリースロッド１７のロッド押圧部１７１が第二ホルダ開口部１８３内を左側に移動すると、ホルダ側受部１８４はロッド押圧部１７１に接触して押圧されるため、ローラホルダ１８が待機位置から後方向（図１７では下方向）に移動されるが、詳細は後述する。
【００７７】
図８乃至図１２を参照して、センサ保持部１９の物理的構造について説明する。センサ保持部１９は、リリースロッド１７の後側（図８では左上側）において、第一ホルダ開口部１８２内に設けられている。センサ保持部１９は、箱状のユニット本体１９１、機械式センサ２３、係止片１９２、電気基板１９３、円筒部１９４、バネ部材２２及び回転防止部材１９５を有している。
【００７８】
ユニット本体１９１には、カセット装着部８に装着されているテープカセット３０と対向する面（以下、センサ側対向面１９１ａ）側に、２箇所の開口である第一保護部開口１９７および第二保護部開口１９８が設けられている。第一保護部開口１９７は、背面視で縦長の略長方形に形成されている。第二保護部開口１９８は、第一保護部開口１９７の左上側（図１２では右上側）において、第一保護部開口１９７よりも大きい開口面積で矩形状に形成されている。第一保護部開口１９７には、１つの機械式センサ２３が嵌め込まれる。第二保護部開口１９８には、４つの機械式センサ２３を一体に保持するセンサ収納体８８が嵌め込まれる。各保護部開口１９７、１９８に嵌め込まれた機械式センサ２３は、ユニット本体１９１に配設された電気基板１９３と電気的に接続される。
【００７９】
電気基板１９３は、ユニット本体１９１の前側に設けられており、その前面が第一ホルダ開口部１８２から前方に露出している。図示しないが、電気基板１９３の前面には電気配線が接続されている。この電気配線を介して、印字装置１の内部に備えられたＣＰＵやＲＯＭ等が実装された電気基板であるメイン基板に電気的に接続されている。機械式センサ２３のオン・オフの信号は、電気基板１９３に接続された電気配線を介してＣＰＵに伝達される。
【００８０】
上記の機械式センサ２３が各々有するスイッチ端子２３１は、センサ側対向面１９１ａから後方に突出している。つまり、各スイッチ端子２３１は、カセット装着部８に装着されているテープカセット３０のアーム前面３５（図３参照）に対向するように突出している。より詳細には、先述したアーム識別部８００の識別部（非押圧部８０１または押圧部８０２）（図５参照）にそれぞれ対応する位置に、機械式センサ２３のスイッチ端子２３１が設けられているため、各スイッチ端子２３１の左右方向の位置もそれぞれ異なっている。つまり、上下方向に重なるスイッチ端子２３１はなく、５つのスイッチ端子２３１はジグザグに配置されている。よって、各スイッチ端子２３１を結ぶ線は、テープカセット３０の着脱方向である印字装置１の上下方向と交差する。なお、センサ側対向面１９１ａの右上部（図１２の左上部）には、左右方向を長手とする板状突起である係止片１９２が設けられている。係止片１９２は、スイッチ端子２３１よりも後方への突出高さが大きくなっているが、詳細は後述する。
【００８１】
電気基板１９３には、正面視で円形の孔部である電気基板孔１９６が設けられている。また、ユニット本体１９１は、ユニット本体１９１と一体形成されるとともに、前方（図１０では右方向）に延びる円筒状の円筒部１９４を有する。円筒部１９４は、電気基板１９３に設けられた電気基板孔１９６を貫通して前方に向けて立設されている。円筒部１９４の内部には前後方向に延びる軸孔が設けられ、この軸孔に小径の円柱部材２１が挿嵌されている。詳細には、円筒部１９４の軸孔は、センサ側対向面１９１ａから前方に延びる第一軸孔１９４１と、第一軸孔１９４１から前方に延びて第一軸孔１９４１よりも開口径が大きい第二軸孔１９４２とが、同軸をなすように連通して構成される。円柱部材２１は、円柱部材２１と略同径の第一軸孔１９４１と接するように、円筒部１９４の軸孔に挿入されている。また、円柱部材２１の前方側の先端部は、小径の挿入ピン２１ａとなっている。
【００８２】
なお、第二軸孔１９４２の開口径は円柱部材２１の直径よりも大きいため、円柱部材２１と円筒部１９４との間に正面視で環状の溝部をなすバネ収容部１９４３が形成される。そして、バネ部材２２の巻回中心に円柱部材２１が挿入されるように、第二軸孔１９４２の軸長よりも全長が大きいバネ部材２２がバネ収容部１９４３に装着される。バネ収容部１９４３の内部では、バネ部材２２の後端側が第一軸孔１９４１と第二軸孔１９４２との径差によって形成される段差部分に接触される。一方、円柱部材２１にバネ部材２２が巻回された状態のもと、挿入ピン２１ａが壁部円孔２０７に挿入されるとともに、バネ部材２２の前端側が壁部２０に接触される。これにより、バネ部材２２は、その弾性圧によってセンサ保持部１９を後方（図１０では左方向）に付勢する。
【００８３】
ユニット本体１９１における円筒部１９４の前部における開口縁下部には、前方に向けて延びるとともに、その先端部が下方に屈曲した保持部ガイド部１９９が立設されている。保持部ガイド部１９９は、その屈曲した先端にて先述したリリースロッド１７のロッドガイド部１７５に係合されている。そのため、センサ保持部１９は、バネ部材２２によって後方に付勢されていても、保持部ガイド部１９９とロッドガイド部１７５との係合によって後方への移動が規制される。そして、センサ保持部１９は、リリースロッド１７の左右方向の移動に伴って、ロッドガイド部１７５に案内されつつ前後方向に移動するが、詳細は後述する。
【００８４】
ユニット本体１９１における保持部ガイド部１９９の下方には、前方に向けて延びるとともに、その先端部が下方に屈曲した回転防止部材１９５が立設されている。回転防止部材１９５は、先述した壁部２０の第二壁部角孔２０９を貫通し、その屈曲した先端部が壁部２０の前面にて係合される。これにより、センサ保持部１９は、挿入ピン２１ａと回転防止部材１９５との上下方向に並ぶ２点で壁部２０にて位置決めされるため、センサ保持部１９が円柱部材２１を中心にして回転してしまうことが防止される。
【００８５】
ここで、図１３及び図１４を参照して、機械式センサ２３の詳細について説明する。なお、図１４では、５つの機械式センサ２３のうちで、最も左上（図１２では右上）に位置する機械式センサ２３の可動態様を模式的に示している。
【００８６】
図１３および図１４に示すように、センサ保持部１９に設けられる機械式センサ２３は、左右方向の長さが小さい薄型箱状のセンサ本体（図示外）の内部に、スイッチ端子２３１が左右方向に延びる軸部２３２を回動中心として前後方向に回動可能に設けられている。スイッチ端子２３１は、常には付勢バネ（図示外）によって前方向（図１３および図１４では左方向）に回動した突出位置に移動しており、先端側に外圧が加えられると後方向（図１３および図１４では右方向）に回動した退入位置に移動する。なお、スイッチ端子２３１の前方には、スイッチ端子２３１の変位状態を検出する検出体２３４が設けられている。
【００８７】
スイッチ端子２３１は、全体として側面視で略Ｕの字状に湾曲した平面部を有する板状部材であって、軸部２３２から径外方向に延びる腕部２３１ａと、腕部２３１ａの先端から後方に突出する突出部２３１ｂとから構成される。突出部２３１ｂは、腕部２３１ａから後方に向けて上下方向長さが漸減して、側面視で略Ｖの字に突出する形状をなす。スイッチ端子２３１が突出位置に移動した状態では、突出部２３１ｂがセンサ側対向面１９１ａよりも後方に突出している。このとき、スイッチ端子２３１は検出体２３４に対して非接触状態となり、機械式センサ２３はオフ状態とされる。
【００８８】
一方、上記のような形状を有する突出部２３１ｂに対して、その略Ｖの字をなす周縁を押圧するように外圧が加えられると、その外圧に応じて突出部２３１ｂが前方に向けて退入する。このとき、スイッチ端子２３１は検出体２３４に対して接触状態となり、機械式センサ２３はオン状態とされる。つまり、突出部２３１ｂが後側から水平に押圧された場合のみならず、突出部２３１ｂが上方または下方から垂直に押圧された場合でも、突出部２３１ｂは前方に向けて退入し、機械式センサ２３はオン状態となる。
【００８９】
ここで、図１５乃至図２３を参照して、可動機構１００の動作態様の詳細について説明する。なお、可動機構１００の動作態様を理解容易とするために、図１５乃至図２３では、壁部２０（図９および図１０参照）およびバネ部材２２（図９および図１０参照）を省略して図示している。また、カバー６に備えられたレバー押下部６１、保持部材６２および突出片６３（図２参照）なども省略して図示している。
【００９０】
まず、カバー６が下方に閉じられることによって、開位置（図２参照）から閉位置（図１参照）に変位する場合における可動機構１００の動作態様を説明する。
【００９１】
図１５乃至図１７に示すように、レバー１６はレバーバネ（図視せず）によってレバー軸部１６１を回動中心として上方向（図１６の回動方向Ｄ５）に付勢されており、カバー６が開位置にあるときにレバー突起部１６２が最も高い位置となる。このとき、レバー１６の下端に連結されたリリースロッド１７が可動範囲の右端位置に移動している。
【００９２】
図１７に示すように、カバー６が開位置にある状態では、保持部ガイド部１９９が第一ロッドガイド部１７５１に係合されている。そのため、センサ保持部１９は、バネ部材２２（図９及び図１０参照）によって後方（図１７では下方向）に付勢されつつ、ロッドガイド部１７５によって後方向に移動することが制限されて、離間位置（図１７に示すセンサ保持部１９の位置）に保持される。また、ローラホルダ１８のホルダ側受部１８４は、リリースロッド１７のロッド押圧部１７１から離間している。そのため、ローラホルダ１８は、ホルダ側受部１８４がロッド押圧部１７１に押圧されることなく、付勢バネ（図示せず）によって前方に付勢されて、図１７に示す待機位置に保持される。
【００９３】
ユーザ等によってカバー６を閉じられる場合には、開位置にあるカバー６に下方に向けた押圧が加えられる。この押圧に伴ってカバー６が閉位置に向けて移動する過程で、レバー押下部６１（図２参照）がレバー突起部１６２（図１６参照）に接触する。そして、レバー押下部６１がレバー突起部１６２を押下することにより、レバー１６がレバーバネ（図示外）の付勢力に抗して下方向に回動する。このレバー１６の回動に伴って、リリースロッド１７が右端位置から左方向に移動する。そして、カバー６がさらに閉位置に向けて移動すると、レバー押下部６１（図２参照）がレバー１６の上面屈曲部１６３に接触する。そして、レバー押下部６１が上面屈曲部１６３を押下することにより、レバー１６がさらに下方向に回動するとともに、リリースロッド１７がさらに左方向に移動する。リリースロッド１７が左方向に移動するのに伴って、ロッド押圧部１７１の押圧部斜面１７１２がローラホルダ１８のホルダ側受部１８４に接触する。そして、押圧部斜面１７１２がホルダ側受部１８４を押圧するのに伴って、ホルダ側受部１８４が押圧部斜面１７１２に沿って摺動しつつ、ローラホルダ１８が付勢バネ（図示外）の付勢力に抗して後方に揺動する。
【００９４】
そして、図１８乃至図２０に示すように、リリースロッド１７が第一位置（図２０に示すリリースロッド１７の位置）に到達すると、露出部７７においてプラテンローラ１５がフィルムテープ５９とインクリボン６０とを介してサーマルヘッド１０を押圧する。また、可動搬送ローラ１４が、フィルムテープ５９と両面粘着テープ５８とを介して、テープ駆動ローラカム１１が挿入されたテープ駆動ローラ４６を押圧する。これにより、ローラホルダ１８によって、カセット装着部８にてテープカセット３０が固定される。なお、図２０に示す、カセット装着部８にてテープカセット３０が固定される位置が、ローラホルダ１８の接触位置である。
【００９５】
一方、センサ保持部１９は、前後方向にのみ移動可能に構成されている。つまり、センサ保持部１９は左右方向には移動しないため、リリースロッド１７が左右方向に移動するのに伴って、ロッドガイド部１７５が保持部ガイド部１９９と係合状態を維持しながら左右方向に摺動する。詳細には、リリースロッド１７が右端位置から第一位置まで左方向に移動するときは、第一ロッドガイド部１７５１が保持部ガイド部１９９と係合した状態を維持しながら左方向に摺動する。ここで、第一ロッドガイド部１７５１は先述の離間位置（図１７参照）の前後方向位置において左右方向に平行をなす壁部であるため、第一ロッドガイド部１７５１が保持部ガイド部１９９と係合している状態でリリースロッド１７が左右方向に移動しても、センサ保持部１９は前後方向に移動しない。
【００９６】
このように、リリースロッド１７が右端位置から第一位置まで左方向に移動するのに伴って、ローラホルダ１８が待機位置（図１７参照）から後方向に揺動して接触位置に到達すると、プラテンローラ１５および可動搬送ローラ１４がそれぞれサーマルヘッド１０およびテープ駆動ローラ４６に押圧される。一方、センサ保持部１９は離間位置に維持されるため、センサ保持部１９のスイッチ端子２３１がテープカセット３０のアーム識別部８００に接触しないように保持される。
【００９７】
カバー６が閉じられる途中の状態（図１８乃至図２０参照）から、さらにカバー６が閉位置に向けて移動すると、レバー押下部６１が上面屈曲部１６３を押下することにより、レバー１６がさらに下方向に回動するとともに、リリースロッド１７が第一位置からさらに左方向に移動する。そして、カバー６が閉位置に到達すると、レバー押下部６１がレバー１６の接触面１６４に接触した状態となり、リリースロッド１７が可動範囲の左端位置である第二位置（図２３参照）に移動する。
【００９８】
ここで、リリースロッド１７が第一位置よりも左側に移動する場合には、それに伴ってホルダ側受部１８４が押圧部斜面１７１２によってさらに後方向に押圧され、図２１乃至図２３に示すように、リリースロッド１７が第二位置に到達すると、ロッド押圧部１７１の押圧部後面１７１１がホルダ側受部１８４に接触する。なお、図２３に示す、ホルダ側受部１８４が押圧部後面１７１１に接触された状態でローラホルダ１８が保持される位置が、ローラホルダ１８の印字位置である。
【００９９】
つまり、カバー６が開位置から閉位置に向けて移動するのに連動して、ローラホルダ１８が徐々に後方向へ移動する。カバー６が閉位置に近づくのに伴って、プラテンローラ１５がサーマルヘッド１０を押圧する圧力および可動搬送ローラ１４がテープ駆動ローラ４６を押圧する圧力が徐々に大きくなる。そして、図２１乃至図２３に示すように、ローラホルダ１８が印字位置に移動した状態では、ローラホルダ１８が接触位置にあるときよりもテープカセット３０がさらに強固にカセット装着部８に固定される。
【０１００】
一方、リリースロッド１７が第一位置よりも左方向に移動する場合には、保持部ガイド部１９９は第一ロッドガイド部１７５１に係合された状態からロッドガイド斜部１７５２に係合された状態に変化して、ロッドガイド斜部１７５２が保持部ガイド部１９９と係合しながら摺動可能な状態となる。ここで、ロッドガイド斜部１７５２は、右側後方に延びる壁部であるため、第一ロッドガイド部１７５１が保持部ガイド部１９９と係合している状態でリリースロッド１７が左方向に移動すると、バネ部材２２によって押圧されながらロッドガイド斜部１７５２に沿って後方に移動する。そして、図２１乃至図２３に示すように、リリースロッド１７がさらに左方向に移動して第二位置に到達すると、保持部ガイド部１９９はロッドガイド斜部１７５２に係合された状態から第二ロッドガイド部１７５３に係合された状態に変化する。ここで、第二ロッドガイド部１７５３は、ロッドガイド斜部１７５２の後端位置において左右方向に平行をなす壁部であるため、第二ロッドガイド部１７５３が保持部ガイド部１９９と係合している状態でリリースロッド１７が左右方向に移動しても、センサ保持部１９は前後方向に移動しない。なお、図２３に示す、保持部ガイド部１９９が第二ロッドガイド部１７５３に係合される位置が、センサ保持部１９の識別位置である。
【０１０１】
そして、図２１乃至図２３に示すように、保持部ガイド部１９９が識別位置に移動した状態では、センサ保持部１９に設けられたスイッチ端子２３１が、テープカセット３０のアーム識別部８００に対して垂直に接触される。このとき、係止片１９２がテープカセット３０の係止孔８２０に挿入され、各スイッチ端子２３１が識別部（非押圧部８０１または押圧部８０２）を検出する。これにより、印字装置１に設けられたＣＰＵ（図示せず）が、テープカセット３０のテープ種類を判定することが可能となる。
【０１０２】
このように、カバー６が閉じられた状態（図２１乃至図２３参照）では、ローラホルダ１８が印字位置に移動しており、印字装置１が安定的かつ正確に印字可能な状態となる。センサ保持部１９が識別位置に移動しており、印字装置１がテープカセット３０のテープ種類を判定可能な状態となる。
【０１０３】
次に、カバー６が上方に開けられることによって、閉位置（図１参照）から開位置（図２参照）に変位する場合における可動機構１００の動作態様を説明する。この場合、可動機構１００の動作態様は、カバー６が下方に閉じられる場合と同様であるが、ローラホルダ１８およびセンサ保持部１９の動作順序が逆となっており、以下説明する。
【０１０４】
図１５乃至図２３には図示しないが、カバー６が閉位置にある状態（図２１乃至図２３）では、カバー６の突出片６３（図２参照）がレバー１６のレバー突起部１６２の下方に配置された状態になっている。カバー６が閉位置から上方に開かれると、突出片６３の上面がレバー１６を上方向に押し上げるとともに、レバーバネ（図示外）によって付勢されてレバー１６が上方向に回動する。このレバー１６の回動に伴って、リリースロッド１７が第二位置から右方向に移動する。
【０１０５】
リリースロッド１７が第二位置から右方向に移動すると、保持部ガイド部１９９がロッドガイド部１７５（詳細には、ロッドガイド斜部１７５２）に沿って後方に摺動する。そのため、センサ保持部１９が識別位置（図２３参照）から前方向に移動して、スイッチ端子２３１がアーム識別部８００から離間される。さらに、リリースロッド１７が第一位置よりも右方向に移動すると、センサ保持部１９が離間位置（図１７参照）に保持される。
【０１０６】
一方、リリースロッド１７が第二位置から第一位置に右方向に移動するのに伴って、付勢バネ（図示外）によってホルダ側受部１８４がロッド押圧部１７１（詳細には、押圧部斜面１７１２）に沿って前方向に摺動し、接触位置（図２０参照）に移動する。このため、ローラホルダ１８が印字位置（図２３参照）にある場合と比べて、テープカセット３０を固定する圧力が徐々に弱まる。さらに、リリースロッド１７が第一位置よりも右方向に移動すると、ローラホルダ１８が接触位置よりも前方向に揺動する。すると、プラテンローラ１５および可動搬送ローラ１４がそれぞれサーマルヘッド１０およびテープ駆動ローラ４６から離間され、ローラホルダ１８が待機位置（図１７参照）に保持される。
【０１０７】
このように、カバー６が開かれた状態（図１５乃至図１７参照）では、ローラホルダ１８が待機位置に移動しているため、可動搬送ローラ１４およびプラテンローラ１５がカセット装着部８に対して着脱されるテープカセット３０に干渉しない。また、センサ保持部１９が離間位置に移動しているため、スイッチ端子２３１がカセット装着部８に対して着脱されるテープカセット３０に干渉しない。すなわち、カセット装着部８に対してテープカセット３０を着脱自在な状態となる。
【０１０８】
次に、図２４および図２５を参照して、カセット装着部８に装着されているテープカセット３０のテープ種類の検出態様について説明する。
【０１０９】
図２４に示すように、テープカセット３０がカセット装着部８の適正な位置に装着されている場合は、カバー６（図２参照）が閉じられてセンサ保持部１９が識別位置に移動すると、センサ側対向面１９１ａに設けられたスイッチ端子２３１および係止片１９２が、テープカセット３０のアーム識別部８００および係止孔８２０にそれぞれ対向する位置に移動する。そして、係止片１９２が係止孔８２０に挿入されるとともに、５つのスイッチ端子２３１はそれぞれ対応するアーム識別部８００の識別部（非押圧部８０１または押圧部８０２）に対向し、選択的に押圧される。
【０１１０】
具体的には、図５に示す幅広カセット３０では、押圧部８０２に対向したスイッチ端子２３１は、押圧部８０２であるアーム前面３５の面部に押圧され、機械式センサ２３がオン状態となる。一方、非押圧部８０１に対向したスイッチ端子２３１は非押圧部８０１に挿入され、機械式センサ２３がオフ状態となる。なお、図６及び図７に示す幅狭カセット３０では、上記と同様に機械式センサ２３がオン状態またはオフ状態とされるが、逃がし孔８０３に対向するスイッチ端子２３１は押圧されずに、機械式センサ２３は常にオフ状態となる。
【０１１１】
一方、図２５に示すように、カセット装着部８内でテープカセット３０の位置ズレや浮きが生じている場合は、テープカセット３０がカセット装着部８の適正な位置に配置されていない。このとき、カバー６（図２参照）が閉じられてセンサ保持部１９が識別位置に移動すると、係止片１９２は係止孔８２０に挿入されることなくアーム前面３５に接触する。係止片１９２はスイッチ端子２３１よりも突出幅（センサ側対向面１９１ａからの前後方向長さ）が大きいため、係止片１９２がアーム前面３５に接触すると、スイッチ端子２３１はアーム前面３５に接触することなく、全ての機械式センサ２３がオフ状態とされる。
【０１１２】
印字装置１では、５つの機械式センサ２３のオン・オフの組合せに基づいて、カセット装着部８に装着されているテープカセット３０のテープ種類が特定される。より詳細には、あらかじめＲＯＭ（図示外）に記憶されているカセットの種類を特定するためのデータテーブルを参照して、機械式センサ２３のオン・オフの組合せに対応するテープ種類が特定される。また、全ての機械式センサ２３がオフ状態であるときは、テープカセット３０の装着状態が適正でない旨が特定される。
【０１１３】
なお、本実施形態では、アーム識別部８００が露出部７７に隣接して設けられているため、アーム識別部８００を、露出部７７に排出されるテープ類（ここでは、フィルムテープ５９およびインクリボン６０）と併せて、人間が前方から目視可能である。そのため、アーム識別部８００の識別部をテープ種類に応じた所定の規則性をもって配設することによって、人間がアーム識別部８００を目視してテープ種類を認識できるとともに、その認識したテープ種類がテープカセット３０に実装されているテープ種類と一致するか否かを、露出部７７に排出されるテープ類を参照して確認することもできる。
【０１１４】
以上説明したように、本実施形態の印字装置１では、テープカセット３０のアーム前面３５にアーム識別部８００を設けるとともに、アーム識別部８００に対して機械式センサ２３のスイッチ端子２３１が前方から圧接されることでテープ種類が検出される。これにより、テープカセットの底面に対して突出する機械式センサを配設する場合と比べて、スイッチ端子２３１の反発力によってテープの印字位置にズレが生じる不具合の発生を抑制できるとともに、機械式センサ２３の配設スペースおよび配設位置に対する制約を小さくすることができる。
【０１１５】
また、カバー６が閉じられる場合には、センサ保持部１９が識別位置に到達するよりも先に、ローラホルダ１８が接触位置に到達する。つまり、スイッチ端子２３１がアーム識別部８００に圧接される前に、ローラホルダ１８によってテープカセット３０が固定される。また、カバー６が開かれる場合には、ローラホルダ１８が接触位置から待機位置に向けて移動するよりも先に、センサ保持部１９が識別位置から離間位置に向けて移動する。つまり、スイッチ端子２３１がアーム識別部８００から離間された後に、ローラホルダ１８によるテープカセット３０の固定が解除される。これにより、センサ保持部１９がテープカセット３０に対して圧接または離間されるときは、テープカセット３０は常にローラホルダ１８によって固定される。
【０１１６】
例えばユーザが手でテープカセット３０を移動させた場合や、印字装置１に異常な振動が加えられた場合などには、カセット装着部８に装着されているテープカセット３０に位置変動が生じることがある。そして、このようなテープカセット３０の位置変動が、スイッチ端子２３１がアーム識別部８００に対して圧接または離間されるときに生じると、スイッチ端子２３１が破損するなどの不具合が発生するおそれがある。その点、本実施形態の印字装置１によれば、スイッチ端子２３１がアーム識別部８００に対して圧接または離間されるときに、テープカセット３０がローラホルダ１８によって固定されているので、上記のようなスイッチ端子２３１が破損するなどの不具合の発生を抑制して、機械式センサ２３を適切に保護することができる。
【０１１７】
また、センサ保持部１９は、ローラホルダ１８によって外周を取り囲むように保護されているところ、例えばテープカセット３０が異常な態様で着脱される場合に他部材がスイッチ端子２３１に接触したり、ユーザが意図的にスイッチ端子２３１を指で触ったりしたために、スイッチ端子２３１が破損するなどの不具合が発生するおそれもある。その点、本実施形態の機械式センサ２３は、突出部２３１ｂの周縁を押圧するように外圧が加えられるとスイッチ端子２３１が退入するように構成されているため、上記のように他部材が接触したりユーザが触ったりしても、スイッチ端子２３１が退入して破損等の不具合が適切に防止される。
【０１１８】
さらに、本実施形態では、機械式センサ２３を備えたセンサ保持部１９を、ローラホルダ１８とは独立して前後方向に移動可能とした。そして、テープカセット３０に向けて突出するスイッチ端子２３１を、アーム識別部８００に対して垂直に圧接または離間させているが、かかる構成は以下の技術的意義を有する。
【０１１９】
仮に、複数の機械式センサ２３をローラホルダ１８に固定して設けるとともに、ローラホルダ１８の前後方向の揺動によって、テープカセット３０に向けて突出するスイッチ端子２３１をアーム識別部８００に対して圧接または離間させる構成を採用したとする。この場合、カセット装着部８に対してテープカセット３０が着脱される場合に、スイッチ端子２３１がテープカセット３０に接触しないように退避させる必要がある。つまり、ローラホルダ１８を前方向に揺動させることによって、テープカセット３０からスイッチ端子２３１を十分に離間させる必要がある。しかしながら、ローラホルダ１８の揺動中心（つまり、軸支部１８１）と近接した位置に機械式センサ２３が設けられている場合、スイッチ端子２３１をテープカセット３０から十分に離間させるために、ローラホルダ１８をより大きな回転角度で前方向に回動させる必要がある。すると、カセット装着部８の前方側に、ローラホルダ１８を大きく揺動させるための可動スペースが必要となるため、印字装置１が大型化するおそれがあった。また、ローラホルダ１８の揺動中心からの離間距離を考慮する必要があるため、機械式センサ２３の位置や数量などに制約を生じるおそれがあった。
【０１２０】
本実施形態の印字装置１では、機械式センサ２３を備えたセンサ保持部１９がローラホルダ１８とは独立して移動可能であるため、機械式センサ２３の位置や数量などに制約を受けることなく設計の自由度を向上させることができる。また、スイッチ端子２３１はアーム識別部８００に対して垂直に移動されるため、スイッチ端子２３１を必要最低限の距離だけ前方向に移動させるだけで、テープカセット３０に接触しないように効率的かつ十分に離間させることができる。これにより、機械式センサ２３を退避させるための可動スペースを少なくすることができ、印字装置１の大型化が防止できる。
【０１２１】
また、本実施形態では、機械式センサ２３を備えたセンサ保持部１９が、ローラホルダ１８の揺動中心である軸支部１８１とプラテンローラ１５との間に設けられている。すなわち、ローラホルダ１８の設置スペースの範囲内にセンサ保持部１９を設けているため、センサ保持部１９の設置スペースを別途確保する必要がない。よって、ローラホルダ１８とは独立して動作するセンサ保持部１９を、印字装置１を大型化することなく設けることができ、筐体の省スペース化や設計の自由度を増すことができる。
【０１２２】
なお、上記実施形態において、フィルムテープ５９が本発明の「テープ」に相当し、アーム識別部８００が本発明の「指標部」に相当する。また、テープ駆動ローラカム１１が本発明の「搬送手段」に相当し、サーマルヘッド１０が本発明の「印字ヘッド」に相当する。また、開口３４ａが本発明の「排出部」に相当し、非押圧部８０１が本発明の「孔部」に相当する。また、リリースロッド１７が本発明の「ロッド部」に相当する。
【０１２３】
なお、本発明の印字装置１は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【０１２４】
例えば、図２６乃至図２８に示すように、アーム前面３５に係止孔８２０（図５参照）を設けない構成を採用するとともに、センサ保持部１９に係止片１９２（図１１参照）を設けない構成を採用してもよい。この場合、テープカセット３０がカセット装着部８の適正な位置に装着されていれば、上記実施形態と同様に、５つのスイッチ端子２３１がそれぞれ対応するアーム識別部８００の識別部に対向して（非押圧部８０１または押圧部８０２）、選択的に押圧される（図２４参照）。
【０１２５】
ところで、先述したように、複数のスイッチ端子２３１は、アーム識別部８００の識別部にそれぞれ対応する位置に、各スイッチ端子２３１が上下方向に並ばないようにジグザク状に配置されている。テープカセット３０の着脱方向は上下方向であるため、カセット装着部８内でテープカセット３０の位置ズレや浮きが生じた場合、多くの場合、テープカセット３０は、適正な装着位置よりも上方向にズレが生じる。しかし、上下方向に重なる識別部はないので、テープカセット３０が上方向にズレが生じた場合には、各スイッチ端子２３１が他の識別部を検出することはなく、アーム前面３５の面部に押圧されてオン状態になる。
【０１２６】
つまり、図２８に示すように、テープカセット３０に浮きや位置ズレ等が生じている場合に、カバー６（図２参照）が閉じられてセンサ保持部１９が識別位置に移動すると、すべてのスイッチ端子２３１がアーム前面３５の面部に押圧されてオン状態になる。なお、カセット装着部８に幅狭カセット３０が装着され、その幅狭カセット３０に位置ズレや浮き等が生じている場合には、逃がし孔８０３に対応する位置にあるスイッチ端子２３１を除く４つのスイッチ端子２３１が、アーム前面３５の面部に押圧されてオン状態になる。
【０１２７】
印字装置１では、先述と同様に、５つの機械式センサ２３のオン・オフの組合せに基づいて、カセット装着部８に装着されているテープカセット３０のテープ種類が特定される。ただし、全ての機械式センサ２３がオン状態であるときや、逃がし孔８０３に対応するものを除く４つの機械式センサ２３がオン状態であるときは、テープカセット３０の装着状態が適正でない旨が特定される。
【０１２８】
ところで、図２６乃至図２８に示す構成では、上記実施形態に示すような係止孔８２０と係止片１９２との係合作用がないため、テープカセット３０の装着時にカセットケース３１の周縁部がスイッチ端子２３１を上下方向から接触したり、カセット装着部８に装着されているテープカセット３０に位置変動が生じるおそれが高い。しかしながら、先述したように、本実施形態の機械式センサ２３は、突出部２３１ｂの周縁を押圧するように外圧が加えられるとスイッチ端子２３１が退入するように構成されているため、かかる構成においてもスイッチ端子２３１の破損等の不具合が適切に防止される。
【０１２９】
また、上記実施形態では、スイッチ端子２３１を前後方向に回動可能に構成することで、スイッチ端子２３１の進退方向以外の方向から外圧が加えられてもスイッチ端子２３１の破損等が防止されるようにしているが、これに限定されない。例えば、スイッチ端子２３１を、ゴムや巻きバネなどの弾性体からなる軸体とし、その軸線方向である前後方向に進退可能に構成してもよい。これによれば、例えばスイッチ端子２３１に上下方向からの外圧が加えられたとしても、その外圧に応じてスイッチ端子２３１が弾性変形することで破損等の不具合の発生が抑制される。
【符号の説明】
【０１３０】
１ 印字装置
６ カバー
８ カセット装着部
９ リボン巻取カム
１０ サーマルヘッド
１１ テープ駆動ローラカム
１４ 可動搬送ローラ
１５ プラテンローラ
１６ レバー
１７ リリースロッド
１８ ローラホルダ
１９ センサ保持部
２０ 壁部
２３ 機械式センサ
３０ テープカセット
３１ カセットケース
３４ アーム部
３９ ヘッド挿入部
４６ テープ駆動ローラ
５０ 印字済テープ
５８ 両面粘着テープ
５９ フィルムテープ
６０ インクリボン
７７ 露出部
１００ 可動機構
２３１ スイッチ端子
２３１ａ 腕部
２３１ｂ 突出部
８００ アーム識別部
８０１ 非押圧部
８０２ 押圧部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
上面、底面、前面、および一対の側面を備えたカセットケースと、前記カセットケースに収納される印字媒体であるテープと、前記前面に設けられて少なくとも前記テープの種類を示す指標部とを有するテープカセットと、
前記テープカセットが上下方向に着脱されるカセット装着部と、
前記カセット装着部に装着された前記テープカセットに収納された前記テープを、所定の搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送される前記テープに印字を行う印字ヘッドと、
前記印字ヘッドに対向配置され、前記テープを介して前記印字ヘッドに圧接されるプラテンローラと、
前記プラテンローラを支持して前記前面に沿って延び、前記テープカセットが着脱される上下方向に平行な軸を回動中心とする一軸を中心に回動自在なローラホルダと、
進退自在なスイッチ端子を有し、前記カセット装着部に装着された前記テープカセットの前記指標部に圧接される機械式センサと、
前記機械式センサを前記ローラホルダの回動中心と前記プラテンローラとの間で保持するとともに、前記ローラホルダとは独立して移動可能なセンサ保持部と、
前記機械式センサにおける前記スイッチ端子の進退状態に基づいて、少なくとも前記テープの種類を判断する判断手段とを備えた印字装置であって、
前記カセットケースは、前記搬送経路の途中に設けられ、前記搬送手段によって搬送される前記テープを前記カセットケースから排出する排出部と、前記排出部にて排出された前記テープの一面が前記前面と対向する方向に露出され、その前記テープの他面が前記印字ヘッドに対向する露出部とを有し、
前記指標部は、前記前面における前記露出部に隣接した位置に設けられるとともに、前記テープの種類に応じたパターンで設けられた少なくとも一の孔部を含んで成り、
前記ローラホルダは、前記プラテンローラを前記露出部に位置する前記テープを介して前記印字ヘッドに圧接させる位置と、前記プラテンローラを前記印字ヘッドから離間させる位置との間で回動可能であり、
前記センサ保持部は、前記機械式センサを前記指標部に圧接させる位置と、前記機械式センサを前記指標部から離間させる位置との間で移動可能であることを特徴とする印字装置。
【請求項２】
前記指標部は、前記孔部が前記上面および前記底面と略平行に、且つ、前記搬送経路において前記前面と平行に延びる一部と直交して配設され、
前記センサ保持部は、前記スイッチ端子の進退方向を前記孔部の配設方向と略一致させるとともに、前記スイッチ端子の進退方向が前記前面に対して垂直をなすように移動可能であって、
前記機械式センサは、前記センサ保持部が前記前面に向けて移動した場合、前記スイッチ端子が前記指標部に対して垂直に圧接される一方、前記センサ保持部が前記前面とは反対方向に移動した場合、前記スイッチ端子が前記指標部から垂直に離間されることを特徴とする請求項１に記載の印字装置。
【請求項３】
前記ローラホルダは、
前記センサ保持部が前記機械式センサを前記指標部に圧接させる位置に移動する場合に、前記機械式センサが前記指標部に圧接されるよりも先に、前記プラテンローラを前記印字ヘッドに圧接させる位置まで回動し、
前記センサ保持部が前記機械式センサを前記指標部から離間させる位置に移動する場合に、前記機械式センサが前記指標部から離間された後に、前記プラテンローラを前記印字ヘッドから離間させる位置まで回動することを特徴とする請求項１または２に記載の印字装置。
【請求項４】
前記ローラホルダと前記センサ保持部とにそれぞれ係合して、所定の方向に移動可能なロッド部を備え、
前記ロッド部は、
前記ロッド部が一の方向に移動するのに応じて、前記プラテンローラを前記印字ヘッドに圧接させる位置に向けて前記ローラホルダを回動させ、且つ、前記機械式センサを前記指標部に圧接させる位置に向けて前記センサ保持部を移動させる一方、
前記ロッド部が他の方向に移動するのに応じて、前記プラテンローラを前記印字ヘッドから離間させる位置に向けて前記ローラホルダを回動させ、且つ、前記機械式センサを前記指標部から離間させる位置に向けて前記センサ保持部を移動させることを特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載の印字装置。
【請求項５】
前記カセット装着部を開閉するカバーを備え、
前記ローラホルダは、前記カバーの閉動作に連動して、前記プラテンローラを前記印字ヘッドに圧接させる位置に向けて回動する一方、前記カバーの開動作に連動して、前記プラテンローラを前記印字ヘッドから離間させる位置に向けて回動し、
前記センサ保持部は、前記カバーの閉動作に連動して、前記機械式センサを前記指標部に圧接させる位置に向けて移動する一方、前記カバーの開動作に連動して、前記機械式センサを前記指標部から離間させる位置に向けて移動することを特徴とする請求項１乃至４のいずれかに記載の印字装置。
【請求項６】
前記カセット装着部を開閉するカバーを備え、
前記カバーは、前記カバーの閉動作に連動して、前記ロッド部を前記一の方向に移動させる一方、前記カバーの開動作に連動して、前記ロッド部を前記他の方向に移動させることを特徴とする請求項４に記載の印字装置。
【請求項７】
前記機械式センサは、前記テープカセットが着脱される上下方向と直交する方向に一以上の前記スイッチ端子がそれぞれ列を成すように、前記上下方向に対して複数列で配置され、且つ、一の前記スイッチ端子と他の前記スイッチ端子とを結ぶ線が前記上下方向と交差するように、前記センサ保持部に設けられ、
前記指標部は、前記スイッチ端子にそれぞれ対応する位置の少なくとも一つに前記孔部が設けられたことを特徴とする請求項１乃至６のいずれかに記載の印字装置。
【請求項８】
印字媒体であるテープがカセットケース内に収納され、前記カセットケースの所定の側面に少なくともテープの種類を示す指標部が設けられたテープカセットが上下方向に着脱されるカセット装着部と、
前記カセット装着部に装着された前記テープカセットに収納された前記テープを、所定の搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送される前記テープに印字を行う印字ヘッドと、
前記印字ヘッドに対向配置され、前記テープを介して前記印字ヘッドに圧接されるプラテンローラと、
前記プラテンローラを支持して前記所定の側面に沿って延び、前記テープカセットが着脱される上下方向に平行な軸を回動中心とする一軸を中心に回動自在なローラホルダと、
進退自在なスイッチ端子を有し、前記カセット装着部に装着された前記テープカセットの前記指標部に圧接される機械式センサと、
前記機械式センサを前記ローラホルダの回動中心と前記プラテンローラとの間で保持するとともに、前記ローラホルダとは独立して移動可能なセンサ保持部と、
前記機械式センサにおける前記スイッチ端子の進退状態に基づいて、少なくとも前記テープの種類を判断する判断手段とを備えた印字装置であって、
前記ローラホルダは、前記プラテンローラを前記テープを介して前記印字ヘッドに圧接させる位置と、前記プラテンローラを前記印字ヘッドから離間させる位置との間で回動可能であり、
前記センサ保持部は、前記機械式センサを前記指標部に圧接させる位置と、前記機械式センサを前記指標部から離間させる位置との間で移動可能であることを特徴とする印字装置。
【請求項１】
上面、底面、前面、および一対の側面を備えたカセットケースと、前記カセットケースに収納される印字媒体であるテープと、前記前面に設けられて少なくとも前記テープの種類を示す指標部とを有するテープカセットと、
前記テープカセットが上下方向に着脱されるカセット装着部と、
前記カセット装着部に装着された前記テープカセットに収納された前記テープを、所定の搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送される前記テープに印字を行う印字ヘッドと、
前記印字ヘッドに対向配置され、前記テープを介して前記印字ヘッドに圧接されるプラテンローラと、
前記プラテンローラを支持して前記前面に沿って延び、前記テープカセットが着脱される上下方向に平行な軸を回動中心とする一軸を中心に回動自在なローラホルダと、
進退自在なスイッチ端子を有し、前記カセット装着部に装着された前記テープカセットの前記指標部に圧接される機械式センサと、
前記機械式センサを前記ローラホルダの回動中心と前記プラテンローラとの間で保持するとともに、前記ローラホルダとは独立して移動可能なセンサ保持部と、
前記機械式センサにおける前記スイッチ端子の進退状態に基づいて、少なくとも前記テープの種類を判断する判断手段とを備えた印字装置であって、
前記カセットケースは、前記搬送経路の途中に設けられ、前記搬送手段によって搬送される前記テープを前記カセットケースから排出する排出部と、前記排出部にて排出された前記テープの一面が前記前面と対向する方向に露出され、その前記テープの他面が前記印字ヘッドに対向する露出部とを有し、
前記指標部は、前記前面における前記露出部に隣接した位置に設けられるとともに、前記テープの種類に応じたパターンで設けられた少なくとも一の孔部を含んで成り、
前記ローラホルダは、前記プラテンローラを前記露出部に位置する前記テープを介して前記印字ヘッドに圧接させる位置と、前記プラテンローラを前記印字ヘッドから離間させる位置との間で回動可能であり、
前記センサ保持部は、前記機械式センサを前記指標部に圧接させる位置と、前記機械式センサを前記指標部から離間させる位置との間で移動可能であることを特徴とする印字装置。
【請求項２】
前記指標部は、前記孔部が前記上面および前記底面と略平行に、且つ、前記搬送経路において前記前面と平行に延びる一部と直交して配設され、
前記センサ保持部は、前記スイッチ端子の進退方向を前記孔部の配設方向と略一致させるとともに、前記スイッチ端子の進退方向が前記前面に対して垂直をなすように移動可能であって、
前記機械式センサは、前記センサ保持部が前記前面に向けて移動した場合、前記スイッチ端子が前記指標部に対して垂直に圧接される一方、前記センサ保持部が前記前面とは反対方向に移動した場合、前記スイッチ端子が前記指標部から垂直に離間されることを特徴とする請求項１に記載の印字装置。
【請求項３】
前記ローラホルダは、
前記センサ保持部が前記機械式センサを前記指標部に圧接させる位置に移動する場合に、前記機械式センサが前記指標部に圧接されるよりも先に、前記プラテンローラを前記印字ヘッドに圧接させる位置まで回動し、
前記センサ保持部が前記機械式センサを前記指標部から離間させる位置に移動する場合に、前記機械式センサが前記指標部から離間された後に、前記プラテンローラを前記印字ヘッドから離間させる位置まで回動することを特徴とする請求項１または２に記載の印字装置。
【請求項４】
前記ローラホルダと前記センサ保持部とにそれぞれ係合して、所定の方向に移動可能なロッド部を備え、
前記ロッド部は、
前記ロッド部が一の方向に移動するのに応じて、前記プラテンローラを前記印字ヘッドに圧接させる位置に向けて前記ローラホルダを回動させ、且つ、前記機械式センサを前記指標部に圧接させる位置に向けて前記センサ保持部を移動させる一方、
前記ロッド部が他の方向に移動するのに応じて、前記プラテンローラを前記印字ヘッドから離間させる位置に向けて前記ローラホルダを回動させ、且つ、前記機械式センサを前記指標部から離間させる位置に向けて前記センサ保持部を移動させることを特徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載の印字装置。
【請求項５】
前記カセット装着部を開閉するカバーを備え、
前記ローラホルダは、前記カバーの閉動作に連動して、前記プラテンローラを前記印字ヘッドに圧接させる位置に向けて回動する一方、前記カバーの開動作に連動して、前記プラテンローラを前記印字ヘッドから離間させる位置に向けて回動し、
前記センサ保持部は、前記カバーの閉動作に連動して、前記機械式センサを前記指標部に圧接させる位置に向けて移動する一方、前記カバーの開動作に連動して、前記機械式センサを前記指標部から離間させる位置に向けて移動することを特徴とする請求項１乃至４のいずれかに記載の印字装置。
【請求項６】
前記カセット装着部を開閉するカバーを備え、
前記カバーは、前記カバーの閉動作に連動して、前記ロッド部を前記一の方向に移動させる一方、前記カバーの開動作に連動して、前記ロッド部を前記他の方向に移動させることを特徴とする請求項４に記載の印字装置。
【請求項７】
前記機械式センサは、前記テープカセットが着脱される上下方向と直交する方向に一以上の前記スイッチ端子がそれぞれ列を成すように、前記上下方向に対して複数列で配置され、且つ、一の前記スイッチ端子と他の前記スイッチ端子とを結ぶ線が前記上下方向と交差するように、前記センサ保持部に設けられ、
前記指標部は、前記スイッチ端子にそれぞれ対応する位置の少なくとも一つに前記孔部が設けられたことを特徴とする請求項１乃至６のいずれかに記載の印字装置。
【請求項８】
印字媒体であるテープがカセットケース内に収納され、前記カセットケースの所定の側面に少なくともテープの種類を示す指標部が設けられたテープカセットが上下方向に着脱されるカセット装着部と、
前記カセット装着部に装着された前記テープカセットに収納された前記テープを、所定の搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送される前記テープに印字を行う印字ヘッドと、
前記印字ヘッドに対向配置され、前記テープを介して前記印字ヘッドに圧接されるプラテンローラと、
前記プラテンローラを支持して前記所定の側面に沿って延び、前記テープカセットが着脱される上下方向に平行な軸を回動中心とする一軸を中心に回動自在なローラホルダと、
進退自在なスイッチ端子を有し、前記カセット装着部に装着された前記テープカセットの前記指標部に圧接される機械式センサと、
前記機械式センサを前記ローラホルダの回動中心と前記プラテンローラとの間で保持するとともに、前記ローラホルダとは独立して移動可能なセンサ保持部と、
前記機械式センサにおける前記スイッチ端子の進退状態に基づいて、少なくとも前記テープの種類を判断する判断手段とを備えた印字装置であって、
前記ローラホルダは、前記プラテンローラを前記テープを介して前記印字ヘッドに圧接させる位置と、前記プラテンローラを前記印字ヘッドから離間させる位置との間で回動可能であり、
前記センサ保持部は、前記機械式センサを前記指標部に圧接させる位置と、前記機械式センサを前記指標部から離間させる位置との間で移動可能であることを特徴とする印字装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【図２２】
【図２３】
【図２４】
【図２５】
【図２６】
【図２７】
【図２８】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【図２２】
【図２３】
【図２４】
【図２５】
【図２６】
【図２７】
【図２８】
【公開番号】特開２０１０−２８４８５１（Ｐ２０１０−２８４８５１Ａ）
【公開日】平成２２年１２月２４日（２０１０．１２．２４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−１３９５６５（Ｐ２００９−１３９５６５）
【出願日】平成２１年６月１０日（２００９．６．１０）
【出願人】（０００００５２６７）ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年１２月２４日（２０１０．１２．２４）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年６月１０日（２００９．６．１０）
【出願人】（０００００５２６７）ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]