厚板成形品およびそのプレス成形方法
【課題】 底板から上方に折り曲げられたフランジ部を有し、フランジ部の上端面の一部が底板より低位置に配置されるため、フランジ部の側面に底板の延長線と交差する部分が生ずる厚板成形品をプレスで一体成形可能にするプレス成形方法、およびその成形方法により成形した厚板成形品を提供すること。
【解決手段】 厚板素材の展開状態でベース部21とフランジ予定部31との間に余肉部29を設けて、該余肉部29をプレス型により押圧して、ベース部21とフランジ部30との間に凹状の溝27を成形する。
また、成形後に凹状の溝27となる部分の長手方向の一部に、溝27となる部分と平行な細長孔22bと、細長孔22bの長手方向両端にフランジ部30と反対方向に延在する切込み部22cとを設け、細長孔22bと切込み部22cとで囲まれる部位に舌部26bを設けるとともに、パンチ60bの下面61bの、ベース部21bの細長孔22bに対応する位置に、溝成形突起62を形成しない部位63bを設けたプレス型6bでプレス成形する。
【解決手段】 厚板素材の展開状態でベース部21とフランジ予定部31との間に余肉部29を設けて、該余肉部29をプレス型により押圧して、ベース部21とフランジ部30との間に凹状の溝27を成形する。
また、成形後に凹状の溝27となる部分の長手方向の一部に、溝27となる部分と平行な細長孔22bと、細長孔22bの長手方向両端にフランジ部30と反対方向に延在する切込み部22cとを設け、細長孔22bと切込み部22cとで囲まれる部位に舌部26bを設けるとともに、パンチ60bの下面61bの、ベース部21bの細長孔22bに対応する位置に、溝成形突起62を形成しない部位63bを設けたプレス型6bでプレス成形する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来、厚板素材により溶接構造で組み立てられていた車両の機能部品を、厚板素材からプレス加工によって成形することを可能にしたプレス成形方法およびその成形方法により成形した厚板成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車を福祉車両として利用可能とするために、車両用座席を前後方向の移動にとどまらず、車両外方に回転させて、さらに乗員が着座したまま外方に振り出して降下させる車両用座席が開発されている。
このような車両用座席は、厚板素材で構成されたターンテーブルと呼ばれる機能部品上に、ローラが転動して移動可能に支持されている。この車両用座席の一例が特開2004−106817号公報(以下、「特許文献1」という。)に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載された「車両用シート」では、回転機構30の内輪30bに固定された回転ベース31(ターンテーブル)の左右両側にカムプレート47が取り付けられ、このカム面上にスライドベース41に取り付けられたガイドローラ46が転動可能に乗せられて、シート本体10が四節リンク機構44を介して車室外側へ移動するように構成されている。
【0004】
そして、この特許文献1では、回転ベース31に対してカムプレート47が上方へ折り曲げられて一体で構成されているように記載されている(特許文献1の図6、図13参照)が、実際には、このカムプレート47には座席や乗員の荷重が掛かるため、板厚9mmの厚板素材からなる回転ベース31の板端に、同じく板厚9mmの厚板素材のカムプレート47の板面を当接させて溶接で接合して構成している。
【特許文献1】特開2004−106817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、ターンテーブル910は、図14に示すように、車両用座席の座面程度の大きさで略平板状で多数の穴があけられた底板920(特許文献1の回転ベース31)と、該底板920の左右の板端部に直交するように立てられ、上端面を図略のローラが転動するカム面となしたフランジ部930(特許文献1のカムプレート47)とから、該フランジ部930と底板920の交点を溶接により接合(図15参照)されたもので、部品点数が多く、製作に時間がかかりコストが高いという問題がある。とくに、底板920とフランジ部930とを厚板素材から別々に製作する場合は、切断するためのレーザ光線の移動距離が長くなり、時間が掛かるという問題がある。
【0006】
そこで、底板920とフランジ部930とを一体成形すればコスト低減が可能と考えられるが、前記フランジ部930のカム面は、前記車両用座席を外側に振り出して降下させるために前端の突出部933が前記底板920より低い位置に配置されるため、図16に示すように、底板とフランジ部とを一体成形する場合は、その展開形状で一部重なる展開抜き重複部929(図16の斜線部)が発生し、このままでは一体成形ができないという問題がある。
【0007】
また、前記フランジ部930の上端面を大荷重のローラが転動することから高い硬度と平滑度が要求されるため、人手による面仕上げと高周波焼き入れが必要とされ、該フランジ部930は硬度が高く焼き入れが可能な素材として高価なS45Cが使われ、一方、前記底板920はフランジ部930より面積が大きく、フランジ部930ほど高い硬度が要求されないので、より安価なSS400が使われるが、この2種類の厚板素材間の前記溶接は材質が異なるため、均質な溶接を行うことは容易ではなかった。このため、溶接条件を厳しく管理する必要があった。さらに、S45Cで一体成形する場合でも、S45Cはプレス成形が困難であるという問題がある。
【0008】
また、特許文献1の回転ベース31にターンテーブル910を載置して、該ターンテーブル910を回転させたときに、ターンテーブル910の下面から突出する部分の一部が回転ベース31に設けられた他部品に干渉する場合があるという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、底板から上方に折り曲げられたフランジ部を有し、フランジ部の上端面の一部が底板より低位置に配置されるため、前記フランジ部の側面に前記底板の延長線と交差する部分が生ずる厚板成形品をプレスで一体成形可能にするプレス成形方法、およびその成形方法により成形した厚板成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る請求項1に記載の厚板成形品は、底板と、該底板から上方に折り曲げられたフランジ部とを備えた厚板成形品であって、該フランジ部の上端面の一部を前記底板より低位置に配置するため、前記フランジ部の側面に前記底板の延長線と交差する部分が生ずる厚板成形品において、前記底板と前記フランジ部との間に凹状の溝を成形し、該溝の前記底板と反対側の辺を上方に延在させて、前記フランジ部を形成したことを特徴とする。
【0011】
よって、前記凹状の溝を展開したときの展開形状の長さだけフランジ部の先端が底板から離れるので、展開抜きができ、前記底板と前記フランジ部とをプレス成形により一体成形することが可能となった。
また、前記溝を設けたことにより、底板の端部及びフランジ部の付け根部の強度が増し、厚板素材の板厚を薄くできるとともに、上記の一体成形と相まって底板とフランジ部の材質を同一の安価なものを使用することができる。
【0012】
また、本発明に係る請求項2に記載の厚板成形品は、請求項1に記載の厚板成形品において、前記底板の両端側に対称形に前記溝と前記フランジ部とを形成したことを特徴とする。
よって、レーザ光線による外形抜き長さが、底板とフランジ部とを別体で製作するより短縮されるとともに、フランジ部を仮に固定するための治具等が不要となり、厚板成形品を安価に製作することができる。
【0013】
また、本発明に係る請求項3に記載の厚板成形品は、底板と、該底板から上方に折り曲げられたフランジ部とを備えた厚板成形品であって、該フランジ部の上端面の一部を前記底板より低位置に配置するため、前記フランジ部の側面に前記底板の延長線と交差する部分が生ずる厚板成形品において、平板状態でフランジ部の上端面となる端面に予め硬質金属帯板材を溶着しておき、前記底板と前記フランジ部との間に凹状の溝を成形し、該溝の前記底板と反対側の辺を上方に延在させて、前記フランジ部を形成するとともに、前記フランジ部の上端面に硬度の高い部分を形成したことを特徴とする。
【0014】
よって、前述の請求項1に係る効果に加えて、前記フランジ部の上端面に硬質金属帯板材による硬度の高い部分を形成できるので、この部分の焼き入れや人手による仕上げ作業が不要となり、厚板成形品を安価に製作することができる。
【0015】
また、本発明に係る請求項4に記載の厚板成形品は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の厚板成形品において、平板状態で、成形後に凹状の溝となる部分の一部に、該溝となる部分と平行な細長孔と該細長孔の長手方向両端に前記フランジ部と反対方向に延在する切込み部とを穿設し、前記凹状の溝の成形時に、前記細長孔部に前記溝のない部分を設けたことを特徴とする。
【0016】
よって、厚板成形品の下面から下部へ突出する溝の一部を、該溝のない部分とすることができるので、他部品との干渉を防止することができる。
【0017】
また、本発明に係る請求項5に記載の厚板成形品のプレス成形方法は、底板と、該底板から上方に折り曲げられたフランジ部とを備え、該フランジ部の上端面の一部を前記底板より低位置に配置するため、前記フランジ部の側面に前記底板の延長線と交差する部分が生ずる厚板成形品をプレス成形する成形方法であって、平板状の厚板素材の外形形状をレーザ光線により切断する外形抜き工程と、外形抜き加工された厚板素材の前記フランジ部の上端面となる厚板端面に、該厚板素材の板厚と同一の幅を有する硬質金属帯板材をレーザ溶接により溶着する溶接工程と、溝成形突起部を有するプレス型により、前記加工された厚板素材に、前記底板の端部に凹状の溝と、該溝の前記底板と反対側の辺に上方に向かうフランジ部とを形成し、該フランジ部の上端面に硬質部分を配置するプレス工程とを有することを特徴とする。
【0018】
よって、底板とフランジ部とからなる部分を一枚の厚板素材からレーザ光線により切断して外形抜きするので、底板とフランジ部とを別体で切断する場合に比較してレーザ光線の切断距離が短縮され、短時間で製造ができる。
また、フランジ部の上端面となる板端に予め硬質金属帯板材を溶着するので、完成時に仕上げ及び焼き入れ加工が不要となり、加工工数の低減が図れる。
さらに、プレス成形のみで厚板成形品が加工できるので、短時間に精度が良く、後加工がほとんど不要な厚板成形品が安価に製造できる。
【0019】
また、本発明に係る請求項6に記載の厚板成形品のプレス成形方法は、請求項5に記載の厚板成形品のプレス成形方法において、前記外形抜き工程で、成形後に凹状の溝となる部分の一部に、該溝となる部分と平行な細長孔と該細長孔の長手方向両端に前記フランジ部と反対方向に延在する切込み部とを穿設するとともに、前記細長孔に対応する前記プレス型の溝成形突起部に平坦部を設けて、溝が形成されないようにしたことを特徴とする。
【0020】
よって、細長孔部においては溝が成形されず、細長孔部と前記切込み部とで囲まれる部分が平板の舌部となり、この舌部の上に、該舌部の端部と対向する長孔内面が被さるように成形されるので、底板下部に装備される他の部品との干渉が防止できるとともに、溝が形成されていない部分も補強された厚板成形品を得ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の厚板成形品およびそのプレス成形方法によれば、フランジ部の上端面の一部を底板より低位置に配置するため、前記フランジ部の側面に前記底板の延長線と交差する部分が生ずる厚板成形品であっても、展開時に底板とフランジ部との間に余裕を持たせて、この間に凹状の溝を形成することによりプレスで一体成形することが可能となった。
また、この溝を部分的に形成しない部位を設けることにより、他部品との干渉を防止することができる厚板成形品を得ることが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明に係る厚板成形品およびそのプレス成形方法の一の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施の形態の厚板成形品およびそのプレス成形方法は、福祉車両用座席のターンテーブルの成形に適用されたものである。
ここで、図1は、厚板成形品であるターンテーブルの斜視図であり、図2は、ターンテーブルの展開時の斜視図である。
なお、この説明で、前後、左右とは車両用座席が正面を向いているときの車両の前後、左右と同一の方向を示す。
【実施例1】
【0023】
厚板成形品であるターンテーブルの構成について説明する。厚板成形品10は、図1に示すように、略平板状の厚板素材で車両用座席の座面程度の大きさの底板20と、該底板20の左右の板端部に直交するように立てられたフランジ部30とからプレス成形により一体に形成されている。
そして、厚板成形品10のプレス成形前の展開形状の左右前端には、図2および図3に示すように、底板20を構成するベース部21の先端に設けられた突起部23と、フランジ部30となるフランジ予定部31の先端に形成された突出部33との間に、後方に深く切り込んだ切欠き部25が形成されている。この切欠き部25の幅の分だけ、図3の斜線部で示すように、ベース部21とフランジ予定部31との間に余肉部29が設けられている。
【0024】
ターンテーブルとして成形されると、図4の断面図に示すように、ベース部21の左右の板端部の前記余肉部29は下方に突出されて凹状の溝27となり、該凹状の溝27の前記ベース部21と反対側の辺(フランジ予定部31)は上方に延在されてフランジ部30の縦壁部35となる。この凹状の溝27が補強としての大きなビードとなるので、使用する厚板素材の板厚を従来の9mmから8mmにゲージダウンすることが可能となった。
また、フランジ部30の先端に形成された突出部33の下縁331は、図5の断面図に示すように、ベース部21の先端の突起23の板面より下方に延在して、フランジ部30の側面にベース部21の延長線と交差する部分が生じているが、前述した凹状の溝27ならびに余肉部29によりプレス加工を可能にしている。
【0025】
すなわち、ベース部21とフランジ予定部31との間の余肉部29の展開形状の幅の分だけ、厚板素材が前記凹状の溝27の左右の縦壁(この一方はフランジ部30と連続する)と底部で消費され、フランジ部30の縦壁部35がベース部21の延長線上で交差するように成形することが可能となる。
なお、底板20のベース部21には、ターンテーブルとしての各種の構成部品が取り付けられる多数の穴があけられている。
【0026】
つぎに、フランジ部30の縦壁部35の上端面37は図略のローラが転動するカム面を構成する必要から、高い硬度が要求されるため、硬質金属帯板材40がレーザ溶接により溶着されて取り付けられている。
すなわち、図6に示すように、プレス成形前の厚板素材のフランジ予定部31の板端すなわちフランジ部30の上端面37となる端面に、この厚板素材の板厚(本実施の形態では8mm)と同一の幅寸法を有し、厚さが2mmの硬質金属帯板材40(本実施の形態ではバネ用ステンレス鋼)をあてがい、矢印Lの方向からレーザ光線を照射して両素材を溶融させて溶着させている。
したがって、硬質金属帯板材40を溶着するだけで、フランジ部30の上端面37となる端面に必要な硬度や平滑度が得られるので、手作業による仕上げや焼き入れ加工が不要となり、コストダウンが図れる。
【0027】
一方、厚板素材11から厚板成形品10をプレス成形するプレス型6は、図7、図8に示すように、上型に固定され、下面61から下方に突出する溝成形突起62を有するパンチ60と、下型にクッションピン71を介して上下動可能に支持されたクッションパッド70と、下型に固定され、前記溝成形突起62が進入可能な凹部81を有する曲げ刃80とを備えている。
【0028】
以上のように構成された厚板成形品10のプレス成形方法について説明する。まず、平板状の厚板素材11を、図2に示すような外形形状にレーザ光線により切断して外形抜きを行い、底板20のベース部21とフランジ予定部31とを一体に形成する。
つぎに、外形抜き加工された厚板素材11の前記フランジ部30の上端面となるフランジ予定部31の端面に、該厚板素材11の板厚と同一の幅を有する硬質金属帯板材40を、図6に示すように、レーザ溶接により溶着する。
その後、ベース部21にレーザ光線あるいはプレスの抜き型により必要な穴明け加工を行う。
【0029】
上記のようにして外形抜き及び穴明け加工された図2に示す厚板素材11の、図3に示す余肉部29をプレス型6により押圧して、図4に示すような断面、すなわちベース部21の左右端部に下方に凹状の溝27と、該溝27の前記ベース部21と反対側の辺を上方に延在させたフランジ部30とを形成し、厚板成形品10としてのターンテーブルが成形される。
【0030】
このプレス成形の過程を図7、図8により詳細に説明すると、まず、図7(A)に示すように、パンチ60が上昇し、クッションパッド70と曲げ刃80の上面が同一面にある状態で、クッションパッド70と曲げ刃80の上面に厚板素材11を載置する。そして、パンチ60を徐々に降下させる。
【0031】
すると、図7(B)、(C)に示すように、パンチ60の下面に設けられた溝成形突起62が曲げ刃80の凹部81に厚板素材11を押圧しながら進入する。このため厚板素材11のフランジ予定部31がV字状に折り曲げられながら凹部81に進入する。なお、この段階では、まだクッションパッド70の上面は曲げ刃80と同一の高さにある。
【0032】
さらにパンチ60を降下させると、図8(A)に示すように、クッションパッド70が下降し、厚板素材11のフランジ予定部31がクッションパッド70の側面に密着する。まだこの段階では、パンチ60の下面61とクッションパッド70の上面との間には、厚板素材11の厚さより十分大きな隙間がある。
【0033】
さらにパンチ60を降下させると、図8(B)に示すように、クッションパッド70が下死点に到達して停止し、溝成形突起62が凹部81の深部まで入り込むが、まだパンチ60の下面61とクッションパッド70の上面との間には、厚板素材11の厚さより若干大きな隙間がある。
【0034】
そして、さらにパンチ60を降下させると、図8(C)に示すように、パンチ60とクッションパッド70と曲げ刃80とにより厚板素材11を押圧する。すると、厚板素材11の底板20とフランジ部30との間に凹状の溝27を形成して厚板成形品10としてプレス成形が完了する。
なお、フランジ部30の上端面37には、前述したように既に硬質金属帯板材40が溶着されているので、プレス成形が完了すると該上端面37に高硬度部が形成される。
【実施例2】
【0035】
つぎに、厚板成形品であるターンテーブルの前記凹状の溝27の下部にターンテーブルとしての構成部品が存在する場合に、該凹状の溝27がその部品と干渉する恐れがあるため、部分的に凹状の溝を無くした厚板成形品10bと、そのプレス成形方法を説明する。なお、実施例1と異なる部分のみを説明する。
【0036】
図9に示すような複数の溝のない部分28b、28bを有する厚板成形品10bを成形するために、厚板成形品10bのプレス成形前の展開形状の底板20bを構成するベース部21bには、図10に示すように、成形後に凹状の溝27となる部分の長手方向の一部に、該溝27となる部分と平行な細長孔22b、24bと該細長孔22b、24bの長手方向両端に前記フランジ部30と反対方向に延在する切込み部22c、24cとを、レーザ光線による外径抜き工程あるいは孔明け工程と同一工程で穿設して、該細長孔22bと切込み部22cとで囲まれる部位、並びに細長孔24bと切込み部24cとで囲まれる部位に舌部26b、26bを設ける。
【0037】
一方、厚板素材11から厚板成形品10bをプレス成形するプレス型6bは、図11、図12に示すように、上型に固定され、前記ベース部21bの細長孔22b、24bに対応する位置に、溝成形突起62を形成しない部位63bを設けた下面61bを有するパンチ60bと、下型にクッションピン71を介して上下動可能に支持されたクッションパッド70と、下型に固定され、前記溝成形突起62が進入可能な凹部81を有する曲げ刃80とを備えている。したがって、パンチ60b以外のクッションパッド70と曲げ刃80は実施例1と同一である。
【0038】
以上のように構成された厚板成形品10bのプレス成形の過程を、図11、図12に基づき、一つの細長孔22bと切込み部22cとで囲まれる部位を代表に詳細に説明する。なお、厚板素材11bは予め外形抜きや必要な孔明け加工がレーザ光線により行われているものとする。
まず、図11(A)に示すように、パンチ60bが上昇し、クッションパッド70と曲げ刃80の上面が同一面にある状態で、クッションパッド70と曲げ刃80の上面に厚板素材11bを、その細長孔22bが下面61bに溝成形突起62が形成されていない部位63bに対応させて載置する。そして、パンチ60bを徐々に降下させる。
【0039】
すると、図11(B)、(C)に示すように、パンチ60bに溝成形突起62が設けられている部位では、実施例1と同様に、該溝成形突起62が曲げ刃80の凹部81に厚板素材11を押圧しながら進入する。このため厚板素材11のフランジ予定部31がV字状に折り曲げられながら凹部81に進入する。
【0040】
一方、溝成形突起62が形成されていない部位63bでは、細長孔22bと切込み部22cとで囲まれる舌部26bを残して、溝成形突起62が設けられている部位と連続するフランジ予定部31もV字状に折り曲げられる。
フランジ予定部31がV字状に折り曲げられると、舌部26bが細長孔22b内に徐々に入り込む状態となる。
【0041】
そして、さらにパンチ60bを降下させると、図12(A)、(B)に示すように、クッションパッド70が下降し、厚板素材11bのフランジ予定部31がクッションパッド70の側面に密着し、舌部26bが細長孔22b内に臨む。
そして、さらにパンチ60を降下させると、図12(C)に示すように、クッションパッド70が下死点に到達し、パンチ60bとクッションパッド70と曲げ刃80とにより厚板素材11を狭持するとともに、フランジ予定部31が舌部26bの上面に細長孔22bの一辺が載置される状態に形成されて、厚板成形品10bとしてプレス成形が完了する。
上記のようにしてプレス成形された厚板成形品10bをプレス型から取り出して、図13の断面図に示すように、舌部26bと細長孔22bの当接部を溶接して接続し、溝のない部分28bを形成する。
【0042】
このように、前述した第1の実施の形態の厚板成形品およびそのプレス成形方法によれば、厚板素材の展開状態でベース部21とフランジ予定部31との間に余肉部29を設けて、該余肉部29をプレス型により押圧して、ベース部21とフランジ予定部31との間に凹状の溝27を成形し、該溝27の前記ベース部21と反対側の辺を上方に延在させてフランジ部30を形成したので、フランジ部30の上端面37の一部が底板20のベース部21より低位置に配置されるような厚板成形品であっても、プレスにより一体成形が可能となり、また、比較的安価な材質の使用と板厚のゲージダウンが可能となり、ターンテーブルを安価に製造することができるようになった。
【0043】
また、第2の実施の形態の厚板成形品およびそのプレス成形方法によれば、ベース部21とフランジ予定部31との間の成形後に凹状の溝27となる部分の長手方向の一部に、該溝27となる部分と平行な細長孔22bと、該細長孔22bの長手方向両端に前記フランジ部30と反対方向に延在する切込み部22cとを設け、該細長孔22bと切込み部22cとで囲まれる部位に舌部26bを設けるとともに、パンチ60bの下面61bの、ベース部21bの細長孔22bに対応する位置に、溝成形突起62を形成しない部位63bを設けたプレス型6bでプレス成形するので、ベース部21の下部に他の部品が存在しても溝27との干渉を避けたターンテーブルを安価に製造することができるようになった。
【0044】
なお、本発明は前記実施の形態のものに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施の形態では、厚板成形品を車両用座席のターンテーブルの例で示したが、これに限られず、フランジ部の側面に底板の延長線と交差する部分が生ずるような厚板成形品であれば適用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、底板と、該底板から上方に折り曲げられたフランジ部とを備えた厚板成形品であって、該フランジ部の上端面の一部を前記底板より低位置に配置するため、前記フランジ部の側面に前記底板の延長線と交差する部分が生ずる厚板成形品において、前記底板と前記フランジ部との間に凹状の溝を成形し、該溝の前記底板と反対側の辺を上方に延在させて、前記フランジ部を形成した厚板成形品とし、また、平板状の厚板素材の外形形状をレーザにより切断する外形抜き工程と、外形抜き加工された厚板素材の前記フランジ部の上端面となる厚板端面に、該厚板素材の板厚と同一の幅を有する硬質金属帯板材をレーザ溶接により溶着する溶接工程と、プレス型により、前記加工された厚板素材に、前記底板の端部に凹状の溝と、該溝の前記底板と反対側の辺に上方に向かうフランジ部とを形成し、該フランジ部の上端面に硬質部分を配置するプレス工程とを有する厚板成形品のプレス成形方法を採用したので、フランジ部の一部が底板より低位置に配置されるような厚板成形品であっても、プレスにより一体成形が可能となりコストダウンが可能となった。
【0046】
また、平板状態で、成形後に凹状の溝となる部分の一部に、該溝となる部分と平行に細長孔と該細長孔の長手方向両端に前記フランジ部と反対方向に延在する切込み部とを穿設し、前記凹状の溝の成形時に、前記細長孔部に前記溝のない部分を設けた厚板成形品とし、また、平板状の厚板素材の外形形状をレーザ光線により切断する外形抜き工程と、外形抜き加工された厚板素材の前記フランジ部の上端面となる厚板端面に、該厚板素材の板厚と同一の幅を有する硬質金属帯板材をレーザ溶接により溶着する溶接工程と、溝成形突起部を有するプレス型により、前記加工された厚板素材に、前記底板の端部に凹状の溝と、該溝の前記底板と反対側の辺に上方に向かうフランジ部とを形成し、該フランジ部の上端面に硬質部分を配置するプレス工程とを有する厚板成形品のプレス成形方法を採用したので、厚板成形品の下面から下部へ突出する溝の一部を該溝のない部分として、他部品との干渉を防止することができる厚板成形品を得ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る厚板成形品であるターンテーブルの斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る厚板成形品であるターンテーブルの展開時の斜視図である。
【図3】図2のIII部の拡大平面図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図1のV−V線に沿う断面図である。
【図6】図2のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る厚板成形品のプレス成形の過程を示す断面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る厚板成形品のプレス成形の、図7に続く過程を示す断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る厚板成形品であるターンテーブルの斜視図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る厚板成形品であるターンテーブルの展開時の斜視図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る厚板成形品のプレス成形の過程を示す断面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る厚板成形品のプレス成形の、図11に続く過程を示す断面図である。
【図13】図9のXIII−XIII線に沿う断面図である。
【図14】従来のターンテーブルの斜視図である。
【図15】図14のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【図16】従来のターンテーブルを展開したときの展開抜き重複部が発生することを示す部分平面図である。
【符号の説明】
【0048】
10、10b 厚板成形品(ターンテーブル)
20、20b 底板
21、21b ベース部
22b、24b 細長孔
22c、24c 切込み部
26b 舌部
27 凹状の溝
28b 溝のない部分
29 余肉部
30 フランジ部
33 突出部
37 上端面
40 硬質金属帯板材
6 プレス型
60、60b パンチ
62 溝成形突起部
63b 溝成形突起部を形成しない部位
70 クッション
80 曲げ刃
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来、厚板素材により溶接構造で組み立てられていた車両の機能部品を、厚板素材からプレス加工によって成形することを可能にしたプレス成形方法およびその成形方法により成形した厚板成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車を福祉車両として利用可能とするために、車両用座席を前後方向の移動にとどまらず、車両外方に回転させて、さらに乗員が着座したまま外方に振り出して降下させる車両用座席が開発されている。
このような車両用座席は、厚板素材で構成されたターンテーブルと呼ばれる機能部品上に、ローラが転動して移動可能に支持されている。この車両用座席の一例が特開2004−106817号公報(以下、「特許文献1」という。)に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載された「車両用シート」では、回転機構30の内輪30bに固定された回転ベース31(ターンテーブル)の左右両側にカムプレート47が取り付けられ、このカム面上にスライドベース41に取り付けられたガイドローラ46が転動可能に乗せられて、シート本体10が四節リンク機構44を介して車室外側へ移動するように構成されている。
【0004】
そして、この特許文献1では、回転ベース31に対してカムプレート47が上方へ折り曲げられて一体で構成されているように記載されている(特許文献1の図6、図13参照)が、実際には、このカムプレート47には座席や乗員の荷重が掛かるため、板厚9mmの厚板素材からなる回転ベース31の板端に、同じく板厚9mmの厚板素材のカムプレート47の板面を当接させて溶接で接合して構成している。
【特許文献1】特開2004−106817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、ターンテーブル910は、図14に示すように、車両用座席の座面程度の大きさで略平板状で多数の穴があけられた底板920(特許文献1の回転ベース31)と、該底板920の左右の板端部に直交するように立てられ、上端面を図略のローラが転動するカム面となしたフランジ部930(特許文献1のカムプレート47)とから、該フランジ部930と底板920の交点を溶接により接合(図15参照)されたもので、部品点数が多く、製作に時間がかかりコストが高いという問題がある。とくに、底板920とフランジ部930とを厚板素材から別々に製作する場合は、切断するためのレーザ光線の移動距離が長くなり、時間が掛かるという問題がある。
【0006】
そこで、底板920とフランジ部930とを一体成形すればコスト低減が可能と考えられるが、前記フランジ部930のカム面は、前記車両用座席を外側に振り出して降下させるために前端の突出部933が前記底板920より低い位置に配置されるため、図16に示すように、底板とフランジ部とを一体成形する場合は、その展開形状で一部重なる展開抜き重複部929(図16の斜線部)が発生し、このままでは一体成形ができないという問題がある。
【0007】
また、前記フランジ部930の上端面を大荷重のローラが転動することから高い硬度と平滑度が要求されるため、人手による面仕上げと高周波焼き入れが必要とされ、該フランジ部930は硬度が高く焼き入れが可能な素材として高価なS45Cが使われ、一方、前記底板920はフランジ部930より面積が大きく、フランジ部930ほど高い硬度が要求されないので、より安価なSS400が使われるが、この2種類の厚板素材間の前記溶接は材質が異なるため、均質な溶接を行うことは容易ではなかった。このため、溶接条件を厳しく管理する必要があった。さらに、S45Cで一体成形する場合でも、S45Cはプレス成形が困難であるという問題がある。
【0008】
また、特許文献1の回転ベース31にターンテーブル910を載置して、該ターンテーブル910を回転させたときに、ターンテーブル910の下面から突出する部分の一部が回転ベース31に設けられた他部品に干渉する場合があるという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、底板から上方に折り曲げられたフランジ部を有し、フランジ部の上端面の一部が底板より低位置に配置されるため、前記フランジ部の側面に前記底板の延長線と交差する部分が生ずる厚板成形品をプレスで一体成形可能にするプレス成形方法、およびその成形方法により成形した厚板成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る請求項1に記載の厚板成形品は、底板と、該底板から上方に折り曲げられたフランジ部とを備えた厚板成形品であって、該フランジ部の上端面の一部を前記底板より低位置に配置するため、前記フランジ部の側面に前記底板の延長線と交差する部分が生ずる厚板成形品において、前記底板と前記フランジ部との間に凹状の溝を成形し、該溝の前記底板と反対側の辺を上方に延在させて、前記フランジ部を形成したことを特徴とする。
【0011】
よって、前記凹状の溝を展開したときの展開形状の長さだけフランジ部の先端が底板から離れるので、展開抜きができ、前記底板と前記フランジ部とをプレス成形により一体成形することが可能となった。
また、前記溝を設けたことにより、底板の端部及びフランジ部の付け根部の強度が増し、厚板素材の板厚を薄くできるとともに、上記の一体成形と相まって底板とフランジ部の材質を同一の安価なものを使用することができる。
【0012】
また、本発明に係る請求項2に記載の厚板成形品は、請求項1に記載の厚板成形品において、前記底板の両端側に対称形に前記溝と前記フランジ部とを形成したことを特徴とする。
よって、レーザ光線による外形抜き長さが、底板とフランジ部とを別体で製作するより短縮されるとともに、フランジ部を仮に固定するための治具等が不要となり、厚板成形品を安価に製作することができる。
【0013】
また、本発明に係る請求項3に記載の厚板成形品は、底板と、該底板から上方に折り曲げられたフランジ部とを備えた厚板成形品であって、該フランジ部の上端面の一部を前記底板より低位置に配置するため、前記フランジ部の側面に前記底板の延長線と交差する部分が生ずる厚板成形品において、平板状態でフランジ部の上端面となる端面に予め硬質金属帯板材を溶着しておき、前記底板と前記フランジ部との間に凹状の溝を成形し、該溝の前記底板と反対側の辺を上方に延在させて、前記フランジ部を形成するとともに、前記フランジ部の上端面に硬度の高い部分を形成したことを特徴とする。
【0014】
よって、前述の請求項1に係る効果に加えて、前記フランジ部の上端面に硬質金属帯板材による硬度の高い部分を形成できるので、この部分の焼き入れや人手による仕上げ作業が不要となり、厚板成形品を安価に製作することができる。
【0015】
また、本発明に係る請求項4に記載の厚板成形品は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の厚板成形品において、平板状態で、成形後に凹状の溝となる部分の一部に、該溝となる部分と平行な細長孔と該細長孔の長手方向両端に前記フランジ部と反対方向に延在する切込み部とを穿設し、前記凹状の溝の成形時に、前記細長孔部に前記溝のない部分を設けたことを特徴とする。
【0016】
よって、厚板成形品の下面から下部へ突出する溝の一部を、該溝のない部分とすることができるので、他部品との干渉を防止することができる。
【0017】
また、本発明に係る請求項5に記載の厚板成形品のプレス成形方法は、底板と、該底板から上方に折り曲げられたフランジ部とを備え、該フランジ部の上端面の一部を前記底板より低位置に配置するため、前記フランジ部の側面に前記底板の延長線と交差する部分が生ずる厚板成形品をプレス成形する成形方法であって、平板状の厚板素材の外形形状をレーザ光線により切断する外形抜き工程と、外形抜き加工された厚板素材の前記フランジ部の上端面となる厚板端面に、該厚板素材の板厚と同一の幅を有する硬質金属帯板材をレーザ溶接により溶着する溶接工程と、溝成形突起部を有するプレス型により、前記加工された厚板素材に、前記底板の端部に凹状の溝と、該溝の前記底板と反対側の辺に上方に向かうフランジ部とを形成し、該フランジ部の上端面に硬質部分を配置するプレス工程とを有することを特徴とする。
【0018】
よって、底板とフランジ部とからなる部分を一枚の厚板素材からレーザ光線により切断して外形抜きするので、底板とフランジ部とを別体で切断する場合に比較してレーザ光線の切断距離が短縮され、短時間で製造ができる。
また、フランジ部の上端面となる板端に予め硬質金属帯板材を溶着するので、完成時に仕上げ及び焼き入れ加工が不要となり、加工工数の低減が図れる。
さらに、プレス成形のみで厚板成形品が加工できるので、短時間に精度が良く、後加工がほとんど不要な厚板成形品が安価に製造できる。
【0019】
また、本発明に係る請求項6に記載の厚板成形品のプレス成形方法は、請求項5に記載の厚板成形品のプレス成形方法において、前記外形抜き工程で、成形後に凹状の溝となる部分の一部に、該溝となる部分と平行な細長孔と該細長孔の長手方向両端に前記フランジ部と反対方向に延在する切込み部とを穿設するとともに、前記細長孔に対応する前記プレス型の溝成形突起部に平坦部を設けて、溝が形成されないようにしたことを特徴とする。
【0020】
よって、細長孔部においては溝が成形されず、細長孔部と前記切込み部とで囲まれる部分が平板の舌部となり、この舌部の上に、該舌部の端部と対向する長孔内面が被さるように成形されるので、底板下部に装備される他の部品との干渉が防止できるとともに、溝が形成されていない部分も補強された厚板成形品を得ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の厚板成形品およびそのプレス成形方法によれば、フランジ部の上端面の一部を底板より低位置に配置するため、前記フランジ部の側面に前記底板の延長線と交差する部分が生ずる厚板成形品であっても、展開時に底板とフランジ部との間に余裕を持たせて、この間に凹状の溝を形成することによりプレスで一体成形することが可能となった。
また、この溝を部分的に形成しない部位を設けることにより、他部品との干渉を防止することができる厚板成形品を得ることが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明に係る厚板成形品およびそのプレス成形方法の一の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施の形態の厚板成形品およびそのプレス成形方法は、福祉車両用座席のターンテーブルの成形に適用されたものである。
ここで、図1は、厚板成形品であるターンテーブルの斜視図であり、図2は、ターンテーブルの展開時の斜視図である。
なお、この説明で、前後、左右とは車両用座席が正面を向いているときの車両の前後、左右と同一の方向を示す。
【実施例1】
【0023】
厚板成形品であるターンテーブルの構成について説明する。厚板成形品10は、図1に示すように、略平板状の厚板素材で車両用座席の座面程度の大きさの底板20と、該底板20の左右の板端部に直交するように立てられたフランジ部30とからプレス成形により一体に形成されている。
そして、厚板成形品10のプレス成形前の展開形状の左右前端には、図2および図3に示すように、底板20を構成するベース部21の先端に設けられた突起部23と、フランジ部30となるフランジ予定部31の先端に形成された突出部33との間に、後方に深く切り込んだ切欠き部25が形成されている。この切欠き部25の幅の分だけ、図3の斜線部で示すように、ベース部21とフランジ予定部31との間に余肉部29が設けられている。
【0024】
ターンテーブルとして成形されると、図4の断面図に示すように、ベース部21の左右の板端部の前記余肉部29は下方に突出されて凹状の溝27となり、該凹状の溝27の前記ベース部21と反対側の辺(フランジ予定部31)は上方に延在されてフランジ部30の縦壁部35となる。この凹状の溝27が補強としての大きなビードとなるので、使用する厚板素材の板厚を従来の9mmから8mmにゲージダウンすることが可能となった。
また、フランジ部30の先端に形成された突出部33の下縁331は、図5の断面図に示すように、ベース部21の先端の突起23の板面より下方に延在して、フランジ部30の側面にベース部21の延長線と交差する部分が生じているが、前述した凹状の溝27ならびに余肉部29によりプレス加工を可能にしている。
【0025】
すなわち、ベース部21とフランジ予定部31との間の余肉部29の展開形状の幅の分だけ、厚板素材が前記凹状の溝27の左右の縦壁(この一方はフランジ部30と連続する)と底部で消費され、フランジ部30の縦壁部35がベース部21の延長線上で交差するように成形することが可能となる。
なお、底板20のベース部21には、ターンテーブルとしての各種の構成部品が取り付けられる多数の穴があけられている。
【0026】
つぎに、フランジ部30の縦壁部35の上端面37は図略のローラが転動するカム面を構成する必要から、高い硬度が要求されるため、硬質金属帯板材40がレーザ溶接により溶着されて取り付けられている。
すなわち、図6に示すように、プレス成形前の厚板素材のフランジ予定部31の板端すなわちフランジ部30の上端面37となる端面に、この厚板素材の板厚(本実施の形態では8mm)と同一の幅寸法を有し、厚さが2mmの硬質金属帯板材40(本実施の形態ではバネ用ステンレス鋼)をあてがい、矢印Lの方向からレーザ光線を照射して両素材を溶融させて溶着させている。
したがって、硬質金属帯板材40を溶着するだけで、フランジ部30の上端面37となる端面に必要な硬度や平滑度が得られるので、手作業による仕上げや焼き入れ加工が不要となり、コストダウンが図れる。
【0027】
一方、厚板素材11から厚板成形品10をプレス成形するプレス型6は、図7、図8に示すように、上型に固定され、下面61から下方に突出する溝成形突起62を有するパンチ60と、下型にクッションピン71を介して上下動可能に支持されたクッションパッド70と、下型に固定され、前記溝成形突起62が進入可能な凹部81を有する曲げ刃80とを備えている。
【0028】
以上のように構成された厚板成形品10のプレス成形方法について説明する。まず、平板状の厚板素材11を、図2に示すような外形形状にレーザ光線により切断して外形抜きを行い、底板20のベース部21とフランジ予定部31とを一体に形成する。
つぎに、外形抜き加工された厚板素材11の前記フランジ部30の上端面となるフランジ予定部31の端面に、該厚板素材11の板厚と同一の幅を有する硬質金属帯板材40を、図6に示すように、レーザ溶接により溶着する。
その後、ベース部21にレーザ光線あるいはプレスの抜き型により必要な穴明け加工を行う。
【0029】
上記のようにして外形抜き及び穴明け加工された図2に示す厚板素材11の、図3に示す余肉部29をプレス型6により押圧して、図4に示すような断面、すなわちベース部21の左右端部に下方に凹状の溝27と、該溝27の前記ベース部21と反対側の辺を上方に延在させたフランジ部30とを形成し、厚板成形品10としてのターンテーブルが成形される。
【0030】
このプレス成形の過程を図7、図8により詳細に説明すると、まず、図7(A)に示すように、パンチ60が上昇し、クッションパッド70と曲げ刃80の上面が同一面にある状態で、クッションパッド70と曲げ刃80の上面に厚板素材11を載置する。そして、パンチ60を徐々に降下させる。
【0031】
すると、図7(B)、(C)に示すように、パンチ60の下面に設けられた溝成形突起62が曲げ刃80の凹部81に厚板素材11を押圧しながら進入する。このため厚板素材11のフランジ予定部31がV字状に折り曲げられながら凹部81に進入する。なお、この段階では、まだクッションパッド70の上面は曲げ刃80と同一の高さにある。
【0032】
さらにパンチ60を降下させると、図8(A)に示すように、クッションパッド70が下降し、厚板素材11のフランジ予定部31がクッションパッド70の側面に密着する。まだこの段階では、パンチ60の下面61とクッションパッド70の上面との間には、厚板素材11の厚さより十分大きな隙間がある。
【0033】
さらにパンチ60を降下させると、図8(B)に示すように、クッションパッド70が下死点に到達して停止し、溝成形突起62が凹部81の深部まで入り込むが、まだパンチ60の下面61とクッションパッド70の上面との間には、厚板素材11の厚さより若干大きな隙間がある。
【0034】
そして、さらにパンチ60を降下させると、図8(C)に示すように、パンチ60とクッションパッド70と曲げ刃80とにより厚板素材11を押圧する。すると、厚板素材11の底板20とフランジ部30との間に凹状の溝27を形成して厚板成形品10としてプレス成形が完了する。
なお、フランジ部30の上端面37には、前述したように既に硬質金属帯板材40が溶着されているので、プレス成形が完了すると該上端面37に高硬度部が形成される。
【実施例2】
【0035】
つぎに、厚板成形品であるターンテーブルの前記凹状の溝27の下部にターンテーブルとしての構成部品が存在する場合に、該凹状の溝27がその部品と干渉する恐れがあるため、部分的に凹状の溝を無くした厚板成形品10bと、そのプレス成形方法を説明する。なお、実施例1と異なる部分のみを説明する。
【0036】
図9に示すような複数の溝のない部分28b、28bを有する厚板成形品10bを成形するために、厚板成形品10bのプレス成形前の展開形状の底板20bを構成するベース部21bには、図10に示すように、成形後に凹状の溝27となる部分の長手方向の一部に、該溝27となる部分と平行な細長孔22b、24bと該細長孔22b、24bの長手方向両端に前記フランジ部30と反対方向に延在する切込み部22c、24cとを、レーザ光線による外径抜き工程あるいは孔明け工程と同一工程で穿設して、該細長孔22bと切込み部22cとで囲まれる部位、並びに細長孔24bと切込み部24cとで囲まれる部位に舌部26b、26bを設ける。
【0037】
一方、厚板素材11から厚板成形品10bをプレス成形するプレス型6bは、図11、図12に示すように、上型に固定され、前記ベース部21bの細長孔22b、24bに対応する位置に、溝成形突起62を形成しない部位63bを設けた下面61bを有するパンチ60bと、下型にクッションピン71を介して上下動可能に支持されたクッションパッド70と、下型に固定され、前記溝成形突起62が進入可能な凹部81を有する曲げ刃80とを備えている。したがって、パンチ60b以外のクッションパッド70と曲げ刃80は実施例1と同一である。
【0038】
以上のように構成された厚板成形品10bのプレス成形の過程を、図11、図12に基づき、一つの細長孔22bと切込み部22cとで囲まれる部位を代表に詳細に説明する。なお、厚板素材11bは予め外形抜きや必要な孔明け加工がレーザ光線により行われているものとする。
まず、図11(A)に示すように、パンチ60bが上昇し、クッションパッド70と曲げ刃80の上面が同一面にある状態で、クッションパッド70と曲げ刃80の上面に厚板素材11bを、その細長孔22bが下面61bに溝成形突起62が形成されていない部位63bに対応させて載置する。そして、パンチ60bを徐々に降下させる。
【0039】
すると、図11(B)、(C)に示すように、パンチ60bに溝成形突起62が設けられている部位では、実施例1と同様に、該溝成形突起62が曲げ刃80の凹部81に厚板素材11を押圧しながら進入する。このため厚板素材11のフランジ予定部31がV字状に折り曲げられながら凹部81に進入する。
【0040】
一方、溝成形突起62が形成されていない部位63bでは、細長孔22bと切込み部22cとで囲まれる舌部26bを残して、溝成形突起62が設けられている部位と連続するフランジ予定部31もV字状に折り曲げられる。
フランジ予定部31がV字状に折り曲げられると、舌部26bが細長孔22b内に徐々に入り込む状態となる。
【0041】
そして、さらにパンチ60bを降下させると、図12(A)、(B)に示すように、クッションパッド70が下降し、厚板素材11bのフランジ予定部31がクッションパッド70の側面に密着し、舌部26bが細長孔22b内に臨む。
そして、さらにパンチ60を降下させると、図12(C)に示すように、クッションパッド70が下死点に到達し、パンチ60bとクッションパッド70と曲げ刃80とにより厚板素材11を狭持するとともに、フランジ予定部31が舌部26bの上面に細長孔22bの一辺が載置される状態に形成されて、厚板成形品10bとしてプレス成形が完了する。
上記のようにしてプレス成形された厚板成形品10bをプレス型から取り出して、図13の断面図に示すように、舌部26bと細長孔22bの当接部を溶接して接続し、溝のない部分28bを形成する。
【0042】
このように、前述した第1の実施の形態の厚板成形品およびそのプレス成形方法によれば、厚板素材の展開状態でベース部21とフランジ予定部31との間に余肉部29を設けて、該余肉部29をプレス型により押圧して、ベース部21とフランジ予定部31との間に凹状の溝27を成形し、該溝27の前記ベース部21と反対側の辺を上方に延在させてフランジ部30を形成したので、フランジ部30の上端面37の一部が底板20のベース部21より低位置に配置されるような厚板成形品であっても、プレスにより一体成形が可能となり、また、比較的安価な材質の使用と板厚のゲージダウンが可能となり、ターンテーブルを安価に製造することができるようになった。
【0043】
また、第2の実施の形態の厚板成形品およびそのプレス成形方法によれば、ベース部21とフランジ予定部31との間の成形後に凹状の溝27となる部分の長手方向の一部に、該溝27となる部分と平行な細長孔22bと、該細長孔22bの長手方向両端に前記フランジ部30と反対方向に延在する切込み部22cとを設け、該細長孔22bと切込み部22cとで囲まれる部位に舌部26bを設けるとともに、パンチ60bの下面61bの、ベース部21bの細長孔22bに対応する位置に、溝成形突起62を形成しない部位63bを設けたプレス型6bでプレス成形するので、ベース部21の下部に他の部品が存在しても溝27との干渉を避けたターンテーブルを安価に製造することができるようになった。
【0044】
なお、本発明は前記実施の形態のものに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施の形態では、厚板成形品を車両用座席のターンテーブルの例で示したが、これに限られず、フランジ部の側面に底板の延長線と交差する部分が生ずるような厚板成形品であれば適用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、底板と、該底板から上方に折り曲げられたフランジ部とを備えた厚板成形品であって、該フランジ部の上端面の一部を前記底板より低位置に配置するため、前記フランジ部の側面に前記底板の延長線と交差する部分が生ずる厚板成形品において、前記底板と前記フランジ部との間に凹状の溝を成形し、該溝の前記底板と反対側の辺を上方に延在させて、前記フランジ部を形成した厚板成形品とし、また、平板状の厚板素材の外形形状をレーザにより切断する外形抜き工程と、外形抜き加工された厚板素材の前記フランジ部の上端面となる厚板端面に、該厚板素材の板厚と同一の幅を有する硬質金属帯板材をレーザ溶接により溶着する溶接工程と、プレス型により、前記加工された厚板素材に、前記底板の端部に凹状の溝と、該溝の前記底板と反対側の辺に上方に向かうフランジ部とを形成し、該フランジ部の上端面に硬質部分を配置するプレス工程とを有する厚板成形品のプレス成形方法を採用したので、フランジ部の一部が底板より低位置に配置されるような厚板成形品であっても、プレスにより一体成形が可能となりコストダウンが可能となった。
【0046】
また、平板状態で、成形後に凹状の溝となる部分の一部に、該溝となる部分と平行に細長孔と該細長孔の長手方向両端に前記フランジ部と反対方向に延在する切込み部とを穿設し、前記凹状の溝の成形時に、前記細長孔部に前記溝のない部分を設けた厚板成形品とし、また、平板状の厚板素材の外形形状をレーザ光線により切断する外形抜き工程と、外形抜き加工された厚板素材の前記フランジ部の上端面となる厚板端面に、該厚板素材の板厚と同一の幅を有する硬質金属帯板材をレーザ溶接により溶着する溶接工程と、溝成形突起部を有するプレス型により、前記加工された厚板素材に、前記底板の端部に凹状の溝と、該溝の前記底板と反対側の辺に上方に向かうフランジ部とを形成し、該フランジ部の上端面に硬質部分を配置するプレス工程とを有する厚板成形品のプレス成形方法を採用したので、厚板成形品の下面から下部へ突出する溝の一部を該溝のない部分として、他部品との干渉を防止することができる厚板成形品を得ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る厚板成形品であるターンテーブルの斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る厚板成形品であるターンテーブルの展開時の斜視図である。
【図3】図2のIII部の拡大平面図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図1のV−V線に沿う断面図である。
【図6】図2のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る厚板成形品のプレス成形の過程を示す断面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る厚板成形品のプレス成形の、図7に続く過程を示す断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る厚板成形品であるターンテーブルの斜視図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る厚板成形品であるターンテーブルの展開時の斜視図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る厚板成形品のプレス成形の過程を示す断面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る厚板成形品のプレス成形の、図11に続く過程を示す断面図である。
【図13】図9のXIII−XIII線に沿う断面図である。
【図14】従来のターンテーブルの斜視図である。
【図15】図14のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【図16】従来のターンテーブルを展開したときの展開抜き重複部が発生することを示す部分平面図である。
【符号の説明】
【0048】
10、10b 厚板成形品(ターンテーブル)
20、20b 底板
21、21b ベース部
22b、24b 細長孔
22c、24c 切込み部
26b 舌部
27 凹状の溝
28b 溝のない部分
29 余肉部
30 フランジ部
33 突出部
37 上端面
40 硬質金属帯板材
6 プレス型
60、60b パンチ
62 溝成形突起部
63b 溝成形突起部を形成しない部位
70 クッション
80 曲げ刃
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、該底板から上方に折り曲げられたフランジ部とを備えた厚板成形品であって、該フランジ部の上端面の一部を前記底板より低位置に配置するため、前記フランジ部の側面に前記底板の延長線と交差する部分が生ずる厚板成形品において、
前記底板と前記フランジ部との間に凹状の溝を成形し、該溝の前記底板と反対側の辺を上方に延在させて、前記フランジ部を形成したことを特徴とする厚板成形品。
【請求項2】
請求項1に記載の厚板成形品において、
前記底板の両端側に対称形に前記溝と前記フランジ部とを形成したことを特徴とする厚板成形品。
【請求項3】
底板と、該底板から上方に折り曲げられたフランジ部とを備えた厚板成形品であって、該フランジ部の上端面の一部を前記底板より低位置に配置するため、前記フランジ部の側面に前記底板の延長線と交差する部分が生ずる厚板成形品において、
平板状態でフランジ部の上端面となる端面に予め硬質金属帯板材を溶着しておき、
前記底板と前記フランジ部との間に凹状の溝を成形し、該溝の前記底板と反対側の辺を上方に延在させて、前記フランジ部を形成するとともに、
前記フランジ部の上端面に硬度の高い部分を形成したことを特徴とする厚板成形品。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の厚板成形品において、
平板状態で、成形後に凹状の溝となる部分の一部に、該溝となる部分と平行な細長孔と該細長孔の長手方向両端に前記フランジ部と反対方向に延在する切込み部とを穿設し、前記凹状の溝の成形時に、前記細長孔部に前記溝のない部分を設けたことを特徴とする厚板成形品。
【請求項5】
底板と、該底板から上方に折り曲げられたフランジ部とを備え、該フランジ部の上端面の一部を前記底板より低位置に配置するため、前記フランジ部の側面に前記底板の延長線と交差する部分が生ずる厚板成形品をプレス成形する成形方法であって、
平板状の厚板素材の外形形状をレーザ光線により切断する外形抜き工程と、
外形抜き加工された厚板素材の前記フランジ部の上端面となる厚板端面に、該厚板素材の板厚と同一の幅を有する硬質金属帯板材をレーザ溶接により溶着する溶接工程と、
溝成形突起部を有するプレス型により、前記加工された厚板素材に、前記底板の端部に凹状の溝と、該溝の前記底板と反対側の辺に上方に向かうフランジ部とを形成し、該フランジ部の上端面に硬質部分を配置するプレス工程と、
を有する厚板成形品のプレス成形方法。
【請求項6】
請求項5に記載の厚板成形品のプレス成形方法において、
前記外形抜き工程で、成形後に凹状の溝となる部分の一部に、該溝となる部分と平行な細長孔と該細長孔の長手方向両端に前記フランジ部と反対方向に延在する切込み部とを穿設するとともに、
前記細長孔に対応する前記プレス型の溝成形突起部に平坦部を設けて、溝が形成されないようにしたことを特徴とする厚板成形品のプレス成形方法。
【請求項1】
底板と、該底板から上方に折り曲げられたフランジ部とを備えた厚板成形品であって、該フランジ部の上端面の一部を前記底板より低位置に配置するため、前記フランジ部の側面に前記底板の延長線と交差する部分が生ずる厚板成形品において、
前記底板と前記フランジ部との間に凹状の溝を成形し、該溝の前記底板と反対側の辺を上方に延在させて、前記フランジ部を形成したことを特徴とする厚板成形品。
【請求項2】
請求項1に記載の厚板成形品において、
前記底板の両端側に対称形に前記溝と前記フランジ部とを形成したことを特徴とする厚板成形品。
【請求項3】
底板と、該底板から上方に折り曲げられたフランジ部とを備えた厚板成形品であって、該フランジ部の上端面の一部を前記底板より低位置に配置するため、前記フランジ部の側面に前記底板の延長線と交差する部分が生ずる厚板成形品において、
平板状態でフランジ部の上端面となる端面に予め硬質金属帯板材を溶着しておき、
前記底板と前記フランジ部との間に凹状の溝を成形し、該溝の前記底板と反対側の辺を上方に延在させて、前記フランジ部を形成するとともに、
前記フランジ部の上端面に硬度の高い部分を形成したことを特徴とする厚板成形品。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の厚板成形品において、
平板状態で、成形後に凹状の溝となる部分の一部に、該溝となる部分と平行な細長孔と該細長孔の長手方向両端に前記フランジ部と反対方向に延在する切込み部とを穿設し、前記凹状の溝の成形時に、前記細長孔部に前記溝のない部分を設けたことを特徴とする厚板成形品。
【請求項5】
底板と、該底板から上方に折り曲げられたフランジ部とを備え、該フランジ部の上端面の一部を前記底板より低位置に配置するため、前記フランジ部の側面に前記底板の延長線と交差する部分が生ずる厚板成形品をプレス成形する成形方法であって、
平板状の厚板素材の外形形状をレーザ光線により切断する外形抜き工程と、
外形抜き加工された厚板素材の前記フランジ部の上端面となる厚板端面に、該厚板素材の板厚と同一の幅を有する硬質金属帯板材をレーザ溶接により溶着する溶接工程と、
溝成形突起部を有するプレス型により、前記加工された厚板素材に、前記底板の端部に凹状の溝と、該溝の前記底板と反対側の辺に上方に向かうフランジ部とを形成し、該フランジ部の上端面に硬質部分を配置するプレス工程と、
を有する厚板成形品のプレス成形方法。
【請求項6】
請求項5に記載の厚板成形品のプレス成形方法において、
前記外形抜き工程で、成形後に凹状の溝となる部分の一部に、該溝となる部分と平行な細長孔と該細長孔の長手方向両端に前記フランジ部と反対方向に延在する切込み部とを穿設するとともに、
前記細長孔に対応する前記プレス型の溝成形突起部に平坦部を設けて、溝が形成されないようにしたことを特徴とする厚板成形品のプレス成形方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−312199(P2006−312199A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−277670(P2005−277670)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【Fターム(参考)】
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