説明

原子力発電所の外周堤をめぐらす敷地構造と原発廃止処分工程

【課題】 安全性を最優先したトータルシステムとしての原子力発電の建設がなされていない。
原発建設時の想定を超える規模の巨大地震とそれに伴う大津波により原発建屋とその付帯施設が被害を受け、水素爆発や放射能汚染の被害が発生した場合には早急にその冷却停止とその廃炉化の処理が求められるが、その経験がないだけにその対応に苦慮して工程計画通りには進まない。
これは原発建設のコストダウンを優先するあまり、想定する地震のマグニチュードと津波の高さの想定を低めに見積もる傾向にあり、建屋の建築強度や防潮堤の高さが十分でないためであり、ひとたび震災が起きた時の対策や設備の研究とその準備を怠ってきている。
【解決手段】 敷地の外周を取り巻く状態に堤防を建設して、地震や津波で被災した原発をこの内側に海水等を張って建屋施設全体を冠水して完全に冷却停止して解体した後、石棺をして水を抜いて土石で埋め立てて埋設する廃却処分方法と工程に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原子力発電所の廃止措置または廃炉措置時において原子炉建屋からの廃棄処分物を外部へ取り出すことなく直接地下に埋設処分できるように構成した原子力発電所の原子炉建屋敷地構造に関する。
特に、敷地の外周を取り巻く状態に堤防を建設して、地震や津波で被災した原発をこの堤防の内側に海水等を張って建屋施設を冠水して完全に冷却停止して後、瓦礫に石棺をして海水を抜いて後、土石で埋め立てて埋設する方法と工程に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所の廃止措置または廃炉措置に際しては、原子炉建屋内の原子炉圧力容器や炉内構造物を廃棄処分する必要があるが、この廃棄処分方法については現在国外で種々の方法が検討されている。しかしながら現状では決定的な方法は見当たらない。現在メンテナンスしつつ稼働を続けている施設においてもいずれその寿命と安全性の面で廃炉や施設全体の廃止処分を求められるのは必至である。
【0003】
原発建設時の想定を超える規模の巨大地震とそれに伴う大津波により原発建屋とその付帯施設が被害を受け、水素爆発や放射能汚染の被害が発生した場合には早急にその冷却停止とその廃炉化の処理が求められるが、その経験がないだけにその対応に苦慮して、工程計画通りには進まない。
【0004】
これは原発建設のコストダウンを優先するあまり、想定する地震のマグニチュードと津波の高さの想定を低めに見積もる傾向にあり、建屋の建築強度や海岸沿いの防潮堤の高さが十分でないためであり、ひとたび震災が起きた場合の対策や設備の研究とその準備を怠ってきている。防潮堤は海岸沿いだけでなく、引き波に備えて施設敷地の全外周に必要である。背面に山を背負っている立地ではこれを利用する。
【0005】
地震国日本では多くの県の比較的僻地の海岸に原発が多く立地しており、どこで震災が起こるかわからない中で、運転や点検のための停止再開が繰り返され、エネルギー政策上、新規な原発の建設も計画されている。原発事故もたびたび起こっているが、東日本大震災のように想定を超える規模の地震とそれに伴う津波の被害は経験がなかった。もちろん原発の先進国といわれる国においてもその経験と具体的な対応の実績はない。
【特許文献】
【文献】
特開平06−102398(JP,A)
【文献】
特開2001−116876(JP,A)
【文献】
特開2001−116880(JP,A)
【非特許文献】

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
原子力発電所の廃止措置または廃炉措置に際しては、原子炉建屋内の原子炉圧力容器や炉内構造物を廃棄処分する必要があるが、この廃棄処分方法については現在国外で種々の方法が検討されている。しかしながら現状では決定的な方法は見当たらない。現在メンテナンスしつつ稼働を続けている施設においてもいずれその寿命と安全性の面で廃炉や施設全体の廃止処分を求められるのは必至である。
【0007】
原発建設時の想定を超える規模の巨大地震とそれに伴う大津波により原発建屋とその付帯施設が被害を受け、水素爆発や放射能汚染の被害が発生した場合には早急にその冷却停止とその廃炉化の処理が求められるが、その経験がないだけにその対応に苦慮して、工程計画通りには進まない。
【0008】
地震国日本では多くの県の比較的僻地の海岸に原発が多く立地しており、どこで震災が起こるかわからない中で、運転や点検のための停止再開が繰り返され、エネルギー政策上、新規な原発の建設も計画されている。原発事故もたびたび起こっているが、東日本大震災のように想定を超える規模の地震とそれに伴う津波の被害は経験がなかった。もちろん原発の先進国といわれる国においてもその経験と具体的な対応の実績はない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これは原発建設のコストダウンを優先するあまり想定する地震のマグニチュードと津波の高さの想定を低めに見積もる傾向にあり、建屋の建築強度や海岸沿いの防潮堤の高さが十分でないためであり、ひとたび震災が起きた場合の対策や設備の研究とその準備を怠ってきている。防潮堤は海岸沿いだけでなく引き波に備えて施設敷地の全外周に必要である。背面に山を背負っている立地ではこれを利用する。
【0010】
新規に建設する原子力発電所の構造建設敷地において、外周に原発施設全体を水没可能とする、例えば海抜20メートル以上の強固な堤防を設けてなることを特徴とする原発施設とする。
水素爆発や炉心のメルトダウン等の原子力発電事故の発生時に冷却処理工程とともに外周に海抜20メートル以上の強固な堤防を設けて外周壁内に海水等を満たして発電建屋全体を水没冷却して完全停止安定化することを特徴とする原発施設の冷却停止処理工程とする。
原発施設の廃炉処理も含む、施設全体の廃却処分において、発電を冷却停止したのちにまず外周堤内に海水等を満たして発電建屋全体を水没冷却して安定化させ、水中にて建屋を解体してその瓦礫や廃材等全体をコンクリート石棺で覆い、のちに水を排除して土石で石棺を埋設することを特徴とする原発施設の廃却処分工程とする。
【発明の効果】
【0011】
敷地の外周を取り巻く状態に堤防を建設して、地震や津波で被災した原発をこの堤防の内側に海水等を張って建屋施設を冠水して完全に冷却停止して後、水中にて建屋を解体してその瓦礫や廃材等全体をコンクリート石棺で覆い、のちに水を抜いて土石で埋め立てて埋設する方法と工程に関する。
原発建設時の想定を超える規模の巨大地震とそれに伴う大津波により原発建屋とその付帯施設が被害を受け、水素爆発や放射能汚染の被害が発生した場合には早急にその冷却停止とその廃炉化の処理が工程計画通りに進む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
新規に建設する原子力発電所の構造建設敷地において、外周に原発施設全体を水没可能とする、例えば海抜20メートル以上の強固な堤防を設けてなることを特徴とする原発施設とする。
現在稼働中の原発施設にあっては、防潮堤は海岸沿いだけでなく、引き波に備えて施設敷地の全外周に必要である。背面に山を背負っている立地では部分的にこれを利用する。
原発施設の廃炉処理も含む施設全体の廃却処分において、発電を冷却停止したのちにまず外周堤内に海水等を満たして発電建屋全体を水没冷却して安定化させ、水中にて建屋を解体してその瓦礫と廃材等全体をコンクリート石棺で覆い、のちに水を排除して土石で石棺を埋設することを特徴とする原発施設の廃却処分工程とする。
【実施例1】
【0013】
新規に建設する原子力発電所の構造建設敷地において外周に原発施設全体を水没かのうとする、例えば海抜20メートル以上の強固な堤防を設けてなることを特徴とする原発施設とする。
現在稼働中の原発施設にあっては、防潮堤は海岸沿いだけでなく引き波に備えて施設敷地の全外周に必要である。背面に山を背負っている立地では部分的にこれを利用する。
原発施設の廃炉処理も含む施設全体の廃却処理処分において、発電を冷却停止したのちにまず外周堤内に海水等を満たして発電建屋全体を水没冷却して安定化させ(図1)、水中にて建屋を解体してその瓦礫や廃材等全体をコンクリート石棺で覆い(図2)、のちに水を排除して土石で石棺を埋設する(図3)ことを特徴とする原発施設の廃却処分工程とする。
図1は建屋水没時の概略断面図である。建屋1を超える深さに海水7等を満たす。堤防5の高さは海面9より約20〜30m高く構築され、水面4は堤防のりを超えない。堤防には鋼鉄製の止水壁6が海面レベルより十分深く設けられ、堤防内の海水は海面付近のレベルにまで浸透してバランスする原発施設全体を水没可能とする。この堤防には図示しないが適宜の出入り口や水門が開閉式に設けられている。
図2は建屋の瓦礫状態で水没時の概略断面図である。建屋1とその付帯設備等は適宜粉破砕されて瓦礫2として湖底に沈んで安定化されている。
図3は建屋がれき石棺埋設時の概略断面図である。安定化している瓦礫2を石棺3で覆い、海水等から真水成分を濾過して抜いたのち土石8でこの石棺3を埋設する。土石の表面は整地されて再利用される。
【実施例2】
【0014】
水素爆発や炉心のメルトダウン等の原子力発電事故の発生時に冷却処理工程とと もに外周に原発施設全体を水没可能とする、例えば海抜20メートル以上の強固な堤防を設けて、実施例1で示したと同様に、外周壁内に海水を満たして発電建屋全体を水没冷却して完全停止安定化することを特徴とする原発施設の冷却停止処理工程とする。以下の施設の廃却処分工程は実施例1で示したのと同様である。
事故中の原発施設にあっては、防潮堤は海岸沿いだけでなく引き波に備えて施設敷地の全外周に堤防が必要である。背面に山を背負っている立地では部分的にこれを利用する。海沿いに敷地が不足する場合は適宜海辺を埋め立てて堅牢な堤防を築く。特に海に面する堤防は、防潮堤としての役割から特に堅牢に築く必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明では堤防として
● 耐震性,保水性,高寿命、特に海に面する堤防は堅牢に築く。
● 原発施設を水没可能とする高さ建屋敷地の外周を囲む。
● 敷地内への通用口や水門を設け開閉可能とする。
● 原発事故の時、放射線物質の飛散を防止するためのエアカーテン等の工夫
を前提条件とする。これにより実施例1,2で示すようにして効果的に原発施設を廃止処分することができる。跡地も有効再利用できる。
大型の作業用機器が利用できるので工期を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】建屋水没時の概略断面図である。
【図2】建屋がれき状態の水没時の概略断面図である。
【図3】建屋がれき石棺埋設時の概賂断面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 建屋
2 建屋瓦礫
3 石棺
4 水面
5 堤防
6 止水板
7 海水
8 土石
9 海面
10 整地面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力発電所の構造建設敷地において外周に海抜20メートル以上の強固な堤防を設けてなることを特徴とする原発施設
【請求項2】
水素爆発や炉心のメルトダウン等の原子力発電事故の発生時に、冷却処理工程とともに外周に海抜20メートル以上の強固な堤防を設けて外周堤内に海水等を満たして発電建屋全体を水没冷却して完全停止、安定化することを特徴とする原発施設の冷却停止処理工程
【請求項3】
請求項1および請求項2記載の原発施設の、廃炉処理も含む、施設全体の廃却処分において、発電を冷却停止したのちに、まず外周堤内に海水等を満たして発電建屋全体を水没冷却して安定化させ、水中にて建屋を含む施設全体を解体して、その瓦礫や廃材等全体をコンクリート石棺で覆い、のちに水を排除して、土石で石棺を埋設することを特徴とする原発施設の廃却処分工程

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−242376(P2012−242376A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127737(P2011−127737)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(301060989)
【Fターム(参考)】