説明

原子粒子を検出するための装置

【課題】中性子衝撃・散乱実験において負圧環境で使用される中性子検出器アレイに特に好適な原子粒子検出組立体を提供する。
【解決手段】原子粒子検出組立体102は、第1動作圧を有する第1チャンバ104内に位置決めされた少なくとも1つの原子粒子検出器114と、該少なくとも1つの原子粒子検出器に連結された少なくとも1つの接合装置116であって、該少なくとも1つの接合装置が、第2動作圧を有する第2チャンバ130を少なくとも部分的に画定する少なくとも1つの壁118を含み、第2圧力は第1圧力よりも大きく、該少なくとも1つの接合装置が、第1チャンバと第2チャンバとの間の所定の圧力差の維持を促進する接合装置とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原子粒子検出装置全般に関し、より詳細には、負圧環境において中性子を検出するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
中性子衝撃・散乱実験は、物質検出研究を行う設備を含む幾つかの設備で行われる。公知の幾つかの物質検出実験は、通常は中性子源と、中性子源から所定の距離のところに位置決めされた少なくとも1つの中性子検出器アレイとを含むチャンバ内へ、対象の物質を位置決めすることを含む。物質は、中性子源と中性子検出器アレイとの間に位置決めされる。公知の幾つかの中性子源は所定の中性子束を発生させ、この中性子束は、3.2×10−12ジュール(J)(20メガ電子ボルト(MeV))未満のエネルギーを有する中性子、つまり低エネルギーの中性子を含む。このような中性子は一般に対象の物質と相互作用し、相互作用により、中性子は、対象の物質の性質と調和するやり方でそれらの元の伝達経路から散乱することがある。経路は、例えば物質の構成要素の密度および中性子断面に基づき、変更されることがある。散乱する中性子の少なくとも幾つかは中性子検出アレイと相互作用し、この中性子検出アレイは、アレイと相互作用する中性子の数を含む(ただしこれに限定されない)中性子の性質の少なくとも幾つかに関連するデータの収集を促進する。公知の幾つかのアレイは、原子粒子の相互作用が検出器内のどこで生じるかを記録するように構成された位置敏感型検出器(PSD)を含む。このような位置データは、原子粒子の相互作用の研究を促進する。
【0003】
公知の幾つかのPSDは、空気を含む環境にある中性子を検出する。空気は、検出アレイの有効性を軽減し得る中性子の望ましくない散乱および減衰を促進し、これが後に実験の有効性に悪影響を与えることがある。別法では、公知の幾つかのPSDは負圧環境で作動し、アレイ内にある多数のPSDが、負圧環境と隣接する正圧環境との間に位置決めされた同じく多数の真空シールに直接関連している。PSDの数を所与の量増加しつつPSDの直径を減少させれば、アレイによる粒子検出の効率および有効性は増大する。ところがPSDの数を増加すると、必要となる真空シールの数も増加し、こうしてアレイに関連する製造・取付け費用も増加する。さらに、PSDの数が増加すると、シールの機能不全の可能性も増加することがある。
【特許文献1】米国特許第5,644,128号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
1態様において、原子粒子検出組立体を提供する。原子粒子検出組立体は、第1動作圧を有する第1チャンバ内に位置決めされた少なくとも1つの原子粒子検出器を含む。原子粒子検出組立体は、原子粒子検出器に連結された少なくとも1つの接合装置も含む。接合装置は少なくとも1つの壁を含み、この壁は、第2動作圧を有する第2チャンバを少なくとも部分的に画定し、第2圧力は第1圧力よりも大きい。接合装置は、第1チャンバと第2チャンバとの間の所定の圧力差の維持を促進し、第2チャンバ内では実質標準気圧で作動するように構成されている。粒子検出器は少なくとも1つの壁を含み、この壁は、第3動作圧を有する第3チャンバを少なくとも部分的に画定し、第3圧力は第1圧力よりも大きい。原子粒子検出器は、隣接する少なくとも2つの原子粒子検出器を含み、これらの原子粒子検出器は、隣接する2つの原子粒子検出器間の距離が軽減されるように位置決めされている。接合装置は、少なくとも1つの本体と、本体に連結された少なくとも1つのアダプタ板と、アダプタ板に連結された少なくとも1つの蓋板と、本体に連結された少なくとも1つの取付具とをも含み、取付具は、少なくとも1つの電線の通過を促進するように構成されている。接合装置はさらに、第1チャンバと第2チャンバとの間の所定の圧力差の維持を促進するように構成された少なくとも1つのシールを含む。少なくとも1つのシールは、少なくとも1つの圧縮板と、圧縮板と本体との間に位置決めされた少なくとも1つのシールリングと、蓋板とアダプタ板との間に位置決めされた少なくとも1つのシールリングと、本体と構造壁の少なくとも一部との間に位置決めされた少なくとも1つのシールリングとを含む。検出組立体はさらに、少なくとも1つの接合装置から延びる少なくとも1つの支持部材を含む。
【0005】
別の1態様において、原子粒子検出アレイを提供する。原子粒子検出アレイは、第1動作圧を有する第1チャンバ内に位置決めされており、複数の原子粒子検出組立体を含む。複数の原子粒子検出組立体は、隣接する原子粒子検出組立体間で画定された距離が軽減されるように位置決めされている。複数の原子粒子検出組立体は、複数の原子粒子検出組立体の各々に連結された少なくとも1つの接合装置を含む。接合装置は少なくとも1つの壁を有し、この壁は、第2動作圧を有する第2チャンバを少なくとも部分的に画定し、第2圧力は第1圧力よりも大きい。接合装置は、第1チャンバと第2チャンバとの間の所定の圧力差の維持を促進する。検出組立体の各々は少なくとも1つの壁を含み、この壁は、第3動作圧を有する第3チャンバを少なくとも部分的に画定し、第3圧力は第1圧力よりも大きい。複数の検出組立体の各々は、隣接する少なくとも2つの原子粒子検出器を具備し、これらの原子粒子検出器は、隣接する少なくとも2つの原子粒子検出器間の距離が軽減されるように位置決めされている。接合装置は、少なくとも1つの本体と、本体に連結された少なくとも1つのアダプタ板と、アダプタ板に連結された少なくとも1つの蓋板と、本体に連結された少なくとも1つの取付具とをも含み、取付具は、少なくとも1つの電線の通過を促進するように構成されている。接合装置はさらに、第1チャンバと第2チャンバとの間の所定の圧力差の維持を促進するように構成された少なくとも1つのシールを含む。少なくとも1つのシールは、少なくとも1つの圧縮板と、圧縮板と本体との間に位置決めされた少なくとも1つのシールリングと、蓋板とアダプタ板との間に位置決めされた少なくとも1つのシールリングと、本体と構造壁の少なくとも一部との間に位置決めされた少なくとも1つのシールリングとを含む。
【0006】
また、ここでは、原子粒子を検出する方法を開示する。この方法は、壁で仕切られた第1チャンバおよび第2チャンバを有する構造を提供するステップを含む。この方法は、第1チャンバから実質全ての流体を排出するステップも含み、第2動作圧を実質標準気圧に維持する一方、第1圧力は負圧となり、第1チャンバの第1動作圧は第2チャンバ内の第2動作圧よりも小さくなる。この方法は、第1チャンバ内に少なくとも1つの検出組立体を位置決めするステップも含む。少なくとも1つの組立体は、第1チャンバと第2チャンバとの間に複数のシールを含み、第1チャンバと第2チャンバとの間の流体連通を防止することにより、第1チャンバと第2チャンバとの間の所定の圧力差の維持を促進する。少なくとも1つの組立体は少なくとも1つの接合装置も含み、この接合装置は、第2チャンバと流体連通するように連結された第3チャンバを画定する。この方法はさらに、各検出器と接合装置との間に少なくとも1つのシールを位置決めし、第1チャンバと第3チャンバとの間の流体連通の防止を促進するステップを含む。この方法は、接合装置に複数の粒子検出器を連結し、第1チャンバ内に少なくとも1つの原子粒子源を位置決めするステップも含む。この方法はさらに、少なくとも1つの検出組立体に複数の原子粒子が作用するように、原子粒子源に検出組立体を露出するステップを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、例示的な原子粒子検出アレイ100の略断面図である。例示的な実施形態において、アレイ100は中性子検出アレイである。別法では、アレイ100は、本明細書で説明するようなアレイ100の動作を促進する任意の原子粒子を検出するように構成することができる。アレイ100は、複数の中性子検出器組立体102を含む。例示的な実施形態において、組立体102は、組立体102の各々が相互に隣接して位置決めされ、隣接する組立体間の距離Dが軽減されるように、アレイ100を形成する。この構成は、検出されずにアレイ100を通過し得る或る数の粒子の軽減を促進する。また、例示的な実施形態において、アレイ100は3つの組立体102を含む。別法では、アレイ100は、本明細書で説明するようなアレイ100および組立体102の動作を促進する任意の構成で、任意の数の組立体102を含むことができる。
【0008】
アレイ100はチャンバ104内に位置決めされており、このチャンバは、少なくとも部分的にチャンバ囲い106により形成されている。例示的な実施形態においてチャンバ囲い106は天井であり、アレイ100は、保持ハードウェア(図1には示さず)を含む(ただしこれに限定されない)方法により、天井106にしっかりと固定されている。別法では、チャンバ104およびチャンバ囲い106は任意の構成とすることができ、アレイ100は、本明細書で説明するようなアレイ100の動作を促進する任意のやり方で配向することができる。組立体102の各々は、少なくとも1つのシンチレーション計数装置および電力源(これも図1に示さず)を含む(ただしこれに限定されない)機器に、複数のワイヤ107を介して電気的に連結されている。
【0009】
原子粒子源108は、アレイ100から所定の距離Dのところに位置決めすることができる。源108は、アレイ100の長さ部分に沿った所定の長手方向距離のところに位置決めすることができる(これも図1に示さず)。例示的な実施形態において、源108は、約3.2×10−12ジュール(J)(20メガ電子ボルト(MeV))未満のエネルギーを有する中性子(図1には示さず)、つまり低エネルギーの中性子を放出する中性子源である。別法では、源108は、本明細書で説明するようなアレイ100の動作を促進するエネルギーレベルの任意の範囲内の中性子を含む(ただしこれに限定されない)原子粒子を放出する。また、対象の物質110は、源108から所定の距離Dのところに位置決めすることができる。物質110は、アレイ100から所定の距離Dのところにも位置決めされる。距離D、D、Dは、意図する実験の性質により少なくとも部分的に決定される。例示的な実施形態において、源108および物質110は、距離D、D、Dが実質静的となるように、保持ハードウェアおよび保存取付具(これも図1に示さず)を含む(ただしこれに限定されない)方法により、しっかりと位置決めされる。別法では、源108および物質110は、相互およびアレイ100に対して源108および物質110の動的位置決めを提供する装置(図1には示さず)に固着することができる。
【0010】
動作中、中性子源108は、約3.2×10−12J(20MeV)未満のエネルギーを有する中性子(図1には示さず)、つまり、低エネルギーの中性子を放出する。源108から放出される中性子の少なくとも一部は、源108からアレイ100および物質110の方へ移動する。さらに、これらの中性子の少なくとも一部は物質110と相互作用する。物質110と相互作用する中性子の大部分は散乱する。源108から放出される中性子の別の一部は物質110と相互作用しない。組立体102の各々は、物質110と相互作用した中性子の少なくとも一部、および物質110と相互作用しなかった中性子の少なくとも一部を検出する。
【0011】
例示的な実施形態において、チャンバ104は、流体、例えば空気およびその他のガスが実質的に排出され、絶対真空に関連する圧力に接近する負の動作圧、つまりゼロパスカル(Pa)(ゼロ重量ポンド毎平方インチ(絶対圧)(psia))を有する。チャンバ104から空気の大部分を除去することは、中性子と空気分子との相互作用を軽減することにより、チャンバ104内での中性子の搬送を促進する。中性子が物質110ではなく空気により散乱すると、組立体102により検出されることがあり、誤りのある中性子検出を促進することがある。さらに、物質110により散乱した中性子が、空気によってさらに散乱して組立体102による検出を免れることがあり、あるいは、組立体102との入射角、およびそれらの物質110との相互作用では典型的ではないエネルギーを有することがあり、これによって、誤りのある中性子検出が促進されることがある。
【0012】
図2は、中性子検出アレイ100(図1に示す)と共に使用できる例示的な中性子検出器組立体102の斜めからの概略図である。源108および物質110を仮想透視図で示す。組立体102は長手方向寸法Lを有する。組立体102は、中性子検出器マニホルド112を含む。マニホルド112は、複数の同じ位置敏感型検出器(PSD)114を含む。例示的な実施形態において、PSD114は、約3.2×10−12J(20MeV)未満のエネルギーレベルを有する低エネルギーの中性子を検出するように構成されている。別法では、PSD114は、本明細書で説明するようなPSD114の動作を促進する任意のエネルギー範囲内の任意の原子粒子を検出するように構成することができる。また、例示的な実施形態において、マニホルド112は、実質円筒形の8つのPSD114を含み、各PSD114は1.27センチメートル(cm)(0.5インチ(in))の直径を有し、PSD114の各々は、天井106(図1に示す)の平面に実質平行な実質同様の平面内に位置決めされている。別法では、マニホルド112は、本明細書で説明するような組立体102の動作を促進するPSD114の任意の構成を含むことができ、この構成は実質円筒形の4つのPSD114を含み(ただしこれに限定されない)、各PSD114は、2.54cm(1in)の直径を有する。また、別法では、PSD114は、本明細書で説明するような組立体102の動作を促進する任意の形状とすることができ、実質矩形、および実質楕円形を含む(ただしこれに限定されない)。さらに、別法では、PSD114は、本明細書で説明するような組立体102の動作を促進する任意の平面内に構成することができる。
【0013】
組立体102は、複数の接合装置116、または真空連結器116も含む。各連結器116の少なくとも一部は、連結器116の壁118を介してマニホルド112の一部を受けるように構成されている。例示的な実施形態において、組立体102は、実質同様の2つの連結器116を含む。具体的には、組立体102は、組立体102の各長手方向端部に位置決めされた1つの連結器116を含む。
【0014】
マニホルド112は、両方の連結器116の間を延びている。例示的な実施形態において、PSD114は実質真っ直ぐである。別法では、PSD114は、下向きの半円形を有する弓状を含む(ただしこれに限定されない)任意の構成とすることができる。
【0015】
組立体102はさらに、連結器116間を延びる剛性の支持部材120を含む。部材120は、段付き領域121へ挿入され、その後、保持ハードウェア122を含む(ただしこれに限定されない)方法により、各連結器116の壁118に連結される。部材120は、マニホルド112の上方に位置決めされており、PSD114内で粒子検出が部材120により干渉されるのを軽減する。例示的な実施形態において、部材120は、押出加工、鍛造、および鋳造を含む(ただしこれに限定されない)方法により、アルミニウムから製造される。別法では、部材120は、本明細書で説明するような組立体102の動作を促進する任意の方法により、任意の材料から製造することができる。部材120は、組立体102のチャンバ天井106への連結を促進し、続いてアレイ100内での組立体102の支持を促進する。アレイ100内の各組立体102に各部材120の実質同様の製造方法を使用することは、各部材120の実質同様の長さの確立を促進する。具体的には、部材120の各々が同様の長さであることは、後に、各組立体102が実質同様の長さであることを促進する。さらに、具体的には、アレイ100内の各組立体102が実質同様の長さであることは、アレイ100内での複数の組立体102の取付けを促進し、実質一様な中性子検出範囲がアレイ100により形成される。アレイ100により形成されるこのような実質一様な中性子検出範囲は、アレイ100内でのより効果的かつ効率的な粒子検出を促進する。さらに、部材120は組立体102の構造的支持をもたらし、これによって、損傷の可能性が軽減された組立体102の発送を促進する。以下では区域3をより詳細に検討する。
【0016】
図3は、中性子検出器組立体102(図2に示す、また区域3に沿って切り取った)の斜めからの拡大概略図であり、図4は、中性子検出器組立体102の拡大略横断面図である。マニホルド112は、8つの同じPSD114(8つのうち1つのみを図4に示す)を含む。例示的な実施形態において、PSD114は、実質円筒形の壁124を含み、この壁は、押出加工、圧延、鋳造、および鍛造を含む(ただしこれに限定されない)方法によりステンレス鋼から製造されている。別法では、壁124は、本明細書で説明するような組立体102の動作を促進する任意の方法により、任意の材料から製造することができる。PSD114は、PSD114の各長手方向端部で連結器116との境界シール128にて、2つの同じヘッダ126(1つのみを図示する)をも含む。例示的な実施形態において、ヘッダ126は、鋳造および鍛造を含む(ただしこれに限定されない)方法により、ステンレス鋼およびアルミニウムを含む(ただしこれに限定されない)材料から製造される。別法では、ヘッダ126は、本明細書で説明するような組立体102の動作を促進する任意の方法により、任意の材料から製造される。また、例示的な実施形態において、PSD114は、溶接を含む(ただしこれに限定されない)方法により実質的に密閉され、壁124およびヘッダ126は実質環状のチャンバ130を少なくとも部分的に画定する。例示的な実施形態において、チャンバ130は、空気が実質的に排出され、シンチレーション方法により、中性子検出を促進するガス物質が充填される。ガス物質は、ヘリウム(He)のアイソトープ、つまりHeを含む(ただしこれに限定されない)。例示的な実施形態において、PSD114は、隣接するPSD114の壁124が約0.077ミリメートル(mm)(0.020in)〜0.118mm(0.030in)離間するように、組立体102内に位置決めされる。この離間は、PSD114間の通路を介して組立体102を通過できるが任意のPSD114とは相互作用できない或る数の中性子の軽減を促進する。別法では、PSD114は、隣接するPSD114の壁124が相互に接触するように位置決めされ構成される。
【0017】
連結器116は、本体132と、アダプタ板134と、蓋板136とを含む。本体132は壁118および領域121を含み、上述したような支持部材120を受けるように構成されている。本体132および板134、136は、ステンレス鋼およびアルミニウムを含む(ただしこれに限定されない)材料から製造される。別法では、本体132および板134、136は、本明細書で説明するような組立体102の動作を促進する任意の方法により、任意の材料から製造される。例示的な実施形態において、アダプタ板134は、漏れ止め溶接および蝋付けを含む(ただしこれに限定されない)方法により、本体132にしっかりと連結される。別法では、本体132および板134は、一体のユニット(図示せず)として形成される。さらに、別法では、本体132に板134をしっかりと連結する、本明細書で説明するような組立体102の動作を促進する任意の方法を使用することができる。
【0018】
また、例示的な実施形態において、蓋板136は、保持ハードウェア138を含む(ただしこれに限定されない)方法により、アダプタ板134に着脱可能に連結される。この着脱可能に連結された特性は、個々のPSD114が機能不全に陥った場合のPSD114の現場交換を促進する。板136の一部内で画定された溝(図示せず)に、少なくとも1つの蓋板シール140が挿入される。シール140は、実質的に板136の周辺全体に沿って実質同心であり、したがって連結器116の密閉を促進する。本体132および板134、136は、連結器チャンバ142を少なくとも部分的に画定する。以下で説明するようなチャンバ142内で実行される組立てステップが実質的に完了するとき、シール140は通常は関連の溝に挿入され、板136は板134に連結される。
【0019】
連結器116は、少なくとも1つのシール128も含む。シール128は、複数の密封リング144および複数の圧縮板146を含む。また、例示的な実施形態において、各々1つのヘッダ126を受けるように構成された8つの通路(図示せず)が壁118内に画定されている。8つのヘッダ126の各々は、複数のシールリング144を受けるように構成されたカラー(図示せず)を含む。ヘッダ126の各々は、セラミック絶縁体(図示せず)を介して、少なくとも1つのワイヤ107と、少なくとも1つの電線管148とを受けるようにも構成されており、このセラミック絶縁体は、ヘッダ126内に位置決めされ、ワイヤ107を介して伝送される電力からヘッダ126を絶縁するように構成されている。電線管148は、チャンバ142内でのワイヤ107の配線を促進し、ワイヤ107は、関連のPSD114の一部にはんだ付けされる。8つの電線管148の各々は、板146内に画定された8つの通路150の各々から配線される。板146は、保持ハードウェア(図示せず)を含む(ただしこれに限定されない)方法により、壁118に連結される。板146を壁118に連結することは、密封リング144の圧縮を促進する。ヘッダ126に関連するカラー、リング144、および板146は協働して、組立体102の組立て活動中の調整を促進し、アレイ100内での組立体102間の長手方向寸法L(図2に示す)の差を軽減することが促進される。
【0020】
例示的な実施形態において、シール128内で4つの板146が使用される。別法では、チャンバ142内で板146の挿入を促進する、1つの板146を含む(ただしこれに限定されない)任意の数の板146を使用することができる。例えば、8つ全てのリング144上へ1つの板146を挿入することが最も良好に促進され、板134は除去されて、組立てに十分な空間を許すことができる。例示的な実施形態で説明したような4つの板146を挿入することは、板134を基部132に連結する組立てを促進する。
【0021】
例示的な実施形態において、連結器116はさらに、本体132と一体に製造されたワイヤ取付具152を含む。別法では、取付具152は、本体132と関係なく製造し、溶接および蝋付けを含む(ただしこれに限定されない)方法により、本体132に連結することができる。
【0022】
完成した組立体102の位置決めは、取付具152の各々が、天井106内に画定された複数の通路(図示せず)に挿入されてそれらの間を延びるように行われる。上述したような組立体102間の長手方向寸法L(図2に示す)の差を軽減すると、各組立体102の両方の取付具152が天井106へ一様に挿入されるのを促進する。組立体102は、保持ハードウェア(図示せず)を含む(ただしこれに限定されない)方法により、天井106に連結されており、この保持ハードウェアは、ねじ切りされてこのような保持ハードウェアを受けるように構成された取付具152に連結されている。取付具板154は、板154内に画定された溝156を含み、この溝は、取付具シールリング158を受けるように構成されている。取付具152上へ保持ハードウェアを螺装することによって組立体102を天井106に連結することは、シールリング158の圧縮を促進する。例示的な実施形態において、板154は、本体132と一体に製造される。別法では、板154は、本体132と関係なく製造し、溶接および蝋付けを含む(ただしこれに限定されない)方法により、本体132に連結することができる。本明細書で説明するような組立体102の例示的な構成は、本明細書で説明するような組立体102の動作を促進するのに必要なシールの数を軽減することにより、取付け費用の軽減を促進する。具体的には、8つのシール156、つまり各ワイヤ107に1つのシールを構成する代わりに、1つのシール156のみを使用する。
【0023】
組立体102は、少なくとも1つのPSD114が機能不全に陥った場合の、個々のPSD114の現場交換を促進するように構成されている。PSD114を交換する場合、組立体102の両端の板136が除去されてチャンバ142へのアクセスが促進される。関連の導管148、板146、およびシール144が除去されて、影響を受けたPSD114および関連のワイヤ107が組立体102から除去される。連結器116内の関連の通路に交換PSD114およびワイヤ107が挿入され、ヘッダ126の上に交換シールが挿入され、導管148が戻され、板146が壁118に連結されて、板136が再び組立体102の両端に連結される。
【0024】
粒子検出組立体構成の代替の実施形態は、代替の連結器が連結器116よりはるかに小さくできることを除いて、本明細書で説明するような連結器116と同様の個々の真空連結器を使用することができる。PSD114の直径1.27cm(0.5in)より小さい直径を有するPSDを含むこれらの代替の実施形態の幾つかは、関連の単一の代替の真空連結器の寸法を低減することが実施不可能および/または実現不可能であるほど十分小さい直径を有することができる。したがって、本明細書で説明するような組立体構成は、本明細書で説明するような連結器116の寸法を維持しつつ、代替のPSD直径の減少を促進する。
【0025】
動作中、チャンバ104は空気およびその他のガスが実質的に排出され、絶対真空に関連する圧力に接近する負の動作圧、つまりゼロPa(ゼロpsia)を有する。チャンバ142は、天井106上にある機器室160内の動作圧(通常は局部的大気圧である)と実質同様の動作圧、つまり101キロパスカル(kPa)(14.7psia)と実質同様の動作圧を有する。さらに、チャンバ130は、アレイ100の所定の試験動作を促進する動作圧に加圧される。この動作圧は、通常は、チャンバ104内の事実上の真空およびチャンバ142内の実質的な大気圧よりも大きい。ヘッダ126およびシール128は協働して、チャンバ142とチャンバ104との間の流体連通を軽減する。さらに、シール140、156は、チャンバ142とチャンバ104との間の流体連通の軽減を促進する。実験中にチャンバ104から空気を除去し、チャンバ104への望ましくない空気漏れの可能性を軽減することにより、中性子の望ましい散乱および減衰が促進される。これによりさらに、検出アレイの有効性が促進され、これが後に実験の有効性を促進する。
【0026】
また、動作中、PSD114の各々はワイヤ107を介して電力供給され、チャンバ130内に含有されているHeガス内に電圧ポテンシャルを誘発する。低エネルギーの中性子が壁124からチャンバ130に入るので、中性子はHeガスと相互作用し、これがチャンバ130内で複数のシンチレーションを誘発する。複数のシンチレーションは、PSD114内で電気信号を誘発する。これらの電気信号は、少なくとも1つのシンチレーション装置(図示せず)を含む(ただしこれに限定されない)機器に、ワイヤ107を介して伝送される。このような装置は、通常は機器室160内に配置されており、電気信号を受けて、中性子を受けたPSD114を含むシンチレーションの特徴、ならびに、組立体102の長手方向寸法Lに沿った、関連の中性子が関連のPSD114に入った位置を決めるように構成されている。
【0027】
本明細書で説明する、原子粒子を検出するための方法および装置は、中性子検出器の動作を促進する。より具体的には、上述したような検出器は、より堅牢な中性子検出アレイ構成を促進する。このようなアレイ構成は、中性子検出の有効性、効率、信頼性、および費用低減も促進する。
【0028】
中性子検出器の例示的な実施形態を上で詳細に説明した。方法、装置、およびシステムは、本明細書で説明した具体的な実施形態にも図示した具体的な中性子検出器にも限定されない。
【0029】
種々の具体的な実施形態に関して本発明を説明したが、本発明を、請求項の精神および範囲内で変更して実施できるということを当業者ならば理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】例示的な中性子検出アレイの略断面図である。
【図2】図1に示す中性子検出アレイと共に使用できる例示的な中性子検出器組立体の斜めからの概略図である。
【図3】図2に示す中性子検出器組立体を区域3で切り取った斜めからの拡大概略図である。
【図4】図2に示す中性子検出器組立体の拡大略横断面図である。
【符号の説明】
【0031】
3 区域
100 原子粒子検出アレイ
102 組立体
104 チャンバ
106 チャンバ囲いまたは天井
107 ワイヤ
108 原子粒子源
110 物質
112 マニホルド
114 位置敏感型検出器(PSD)
116 接合装置または真空連結器
118 壁
120 支持部材
121 段付き領域
122 保持ハードウェア
124 壁
126 ヘッダ
128 境界シール
130 チャンバ
132 本体
134 アダプタ板
136 蓋板
138 保持ハードウェア
140 蓋板シール
142 チャンバ
144 密封リング
146 板
148 電線管
150 通路
152 ワイヤ取付具
154 取付具板
156 溝
158 取付具シールリング
160 機器室
L 長さ
隣接する組立体間の距離
アレイから原子粒子源までの距離
距離
距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1動作圧を有する第1チャンバ(104)内に位置決めされた少なくとも1つの原子粒子検出器(114)と、
前記少なくとも1つの原子粒子検出器に連結された少なくとも1つの接合装置(116)と
を含み、
前記少なくとも1つの接合装置は、前記第1動作圧より大きい第2動作圧を有する第2チャンバ(142)を少なくとも部分的に画定する少なくとも1つの壁(118)を具備し、前記少なくとも1つの接合装置は、前記第1チャンバと前記第2チャンバとの間の所定の圧力差の維持を促進する原子粒子検出組立体(102)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの接合装置(116)が、前記第2チャンバ(142)内の実質標準気圧で作動するように構成されている、請求項1記載の原子粒子検出組立体(102)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの粒子検出器(114)が、第3動作圧を有する第3チャンバ(130)を少なくとも部分的に画定する少なくとも1つの壁(124)を具備し、第3圧力は第1圧力よりも大きい、請求項1記載の原子粒子検出組立体(102)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの原子粒子検出器(114)が、隣接する少なくとも2つの原子粒子検出器を具備し、該原子粒子検出器が、隣接する少なくとも2つの原子粒子検出器間の距離Dが軽減されるように位置決めされている、請求項1記載の原子粒子検出組立体(102)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの接合装置(116)が、
少なくとも1つの本体(132)と、
前記少なくとも1つの本体に連結された少なくとも1つのアダプタ板(134)と、
前記少なくとも1つのアダプタ板に連結された少なくとも1つの蓋板(136)と、
少なくとも1つの電線(107)の通過を促進するように構成された前記少なくとも1つの本体に連結されている少なくとも1つの取付具(148)と
をさらに具備する、請求項1記載の原子粒子検出組立体(102)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの接合装置(116)が、前記第1チャンバ(104)と前記第2チャンバ(142)との間の前記所定の圧力差の維持を促進するように構成された少なくとも1つのシール(128)をさらに具備する、請求項5記載の原子粒子検出組立体(102)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのシール(128)が、
少なくとも1つの圧縮板(146)と、
前記圧縮板と前記本体(132)との間に位置決めされた少なくとも1つのシールリング(144)と、
前記蓋板(136)と前記アダプタ板(134)との間に位置決めされた少なくとも1つのシールリング(140)と、
前記本体と構造壁の少なくとも一部との間に位置決めされた少なくとも1つのシールリング(158)と
を具備する、請求項6記載の原子粒子検出組立体(102)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの接合装置(116)から延びる少なくとも1つの支持部材(120)をさらに具備する、請求項1記載の原子粒子検出組立体(102)。
【請求項9】
第1動作圧を有する第1チャンバ(104)内に位置決めされた、複数の原子粒子検出組立体(102)を具備する原子粒子検出アレイ(100)であって、隣接する原子粒子検出組立体間で画定された距離Dが軽減されるように前記複数の原子粒子検出組立体が位置決めされており、前記複数の原子粒子検出組立体の各々が、前記複数の原子粒子検出組立体の各々に連結された少なくとも1つの接合装置(116)を具備し、前記少なくとも1つの接合装置が、第2動作圧を有する第2チャンバ(142)を少なくとも部分的に画定する少なくとも1つの壁(118)を具備し、第2動作圧は第1圧力よりも大きく、前記少なくとも1つの接合装置が、前記第1チャンバと前記第2チャンバとの間の所定の圧力差の維持を促進する、原子粒子検出アレイ。
【請求項10】
前記複数の検出組立体(102)の各々が、第3動作圧を有する第3チャンバ(130)を少なくとも部分的に画定する少なくとも1つの壁(124)を具備し、第3圧力は第1圧力よりも大きい、請求項9記載の原子粒子検出アレイ(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−3091(P2008−3091A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163428(P2007−163428)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】