説明

原油中のスラッジの除去方法

【解決課題】原油の一次貯蔵タンク、運搬手段及び原油の二次貯蔵タンク等の底部に溜まった含油スラッジを、取り除くという作業を無くすこと又はその労力を低減すること。
【解決手段】原油掘削井戸から原油を輸送するための原油輸送管の途中に、スクリュー式の原油輸送管用ストレーナーを設置し、該原油輸送管用ストレーナーの原油供給口から該原油を供給して、該原油のろ過を行い、ろ過後の原油を原油排出口から排出し、且つ、内筒内の含油スラッジを含油スラッジ排出口から排出する原油ろ過工程と、該含油スラッジから油分を分離して、油分を回収する油分回収工程と、を行うことを特徴とする原油中のスラッジの除去方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原油を輸送するための原油輸送管の途中に設置され、原油中のスラッジを除去するための原油輸送管用ストレーナーを用いる原油中のスラッジの除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原油の掘削井戸から掘削された原油は、通常、先ず、原油輸送管により、原油の一次貯蔵タンク(産油国又は産油場所)に輸送され、貯蔵される。この原油の掘削井戸から掘削された原油は、数%程度のスラッジを含有しているので、このような原油を原油の一次貯蔵タンク中で貯蔵すると、油分を含んだスラッジ(以下、含油スラッジとも記載する。)として、原油タンクの底部に沈降する。
【0003】
そして、原油の一次貯蔵タンクの底部に沈降した含油スラッジの量が多くなった場合は、タンクの底部に溜まった含油スラッジを取り除くために、タンク内の洗浄工事をし、残渣スラッジを搬出後、搬出した残渣スラッジを、産業廃棄物として処分しなければならなかった。
【0004】
また、一旦原油の一次貯蔵タンクに貯蔵された原油は、その後、タンカー等の運搬手段で運搬され、運搬先の原油の二次貯蔵タンク(消費国又は消費場所)に再び貯蔵される。原油中のスラッジは、原油の一次貯蔵タンクで貯蔵時に、完全に沈降することはないので、タンカーや原油の二次貯蔵タンクの底部にも、含油スラッジが沈降してしまう。
【0005】
そのため、タンカーや原油の二次貯蔵タンクの場合も同様、底部に溜まった含油スラッジを、取り除かなければならなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
原油の一次貯蔵タンク、原油の二次貯蔵タンク、運搬手段等の底部に溜まった含油スラッジを、取り除くには、多大な労力がかかる上、原油の一次貯蔵タンク、運搬手段及び原油の二次貯蔵タンク等の各々で、同様の作業をする必要があるので、極めて非効率であった。
【0007】
従って、本発明の課題は、原油の一次貯蔵タンク、運搬手段及び原油の二次貯蔵タンク等の底部に溜まった含油スラッジを、取り除くという作業を無くすこと又はその労力を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明(1)は、原油掘削井戸から原油を輸送するための原油輸送管の途中に、スクリュー軸、及び該スクリュー軸の少なくとも一部の外周に螺旋状に設けられるスクリュー羽根からなるスクリューと、原油の通過孔を有し、該スクリューを囲む内筒と、該内筒の外側に設置され、該内筒との間に原油の排出隙間を形成する外筒と、該内筒内に、原油を供給するための原油供給口と、該内筒の含油スラッジ排出側の筒端近傍に設置され、該含油スラッジの排出を調節するためのストッパーと、該原油の排出隙間に排出された原油を、装置外に排出するための原油排出口と、該内筒から排出された該含油スラッジを、装置外に排出するための含油スラッジ排出口と、該スクリューを回転駆動させる駆動手段と、を有する原油輸送管用ストレーナーを設置し、該原油輸送管用ストレーナーの原油供給口から該原油を供給して、該原油のろ過を行い、ろ過後の原油を原油排出口から排出し、且つ、内筒内の含油スラッジを含油スラッジ排出口から排出する原油ろ過工程と、
該含油スラッジから油分を分離して、油分を回収する油分回収工程と、
を行うことを特徴とする原油中のスラッジの除去方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、原油の一次貯蔵タンク、運搬手段及び原油の二次貯蔵タンク等の底部に溜まった含油スラッジを、取り除くという作業を無くすこと又はその労力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の原油中のスラッジの除去方法に用いられる原油輸送管用ストレーナーの第一の形態例を示す模式的な断面図である。
【図2】本発明の原油中のスラッジの除去方法に用いられる原油輸送管用ストレーナーの第一の形態例を示す模式的な断面図である。
【図3】図1及び図2中のスクリューの側面図である。
【図4】図1中の内筒の含油スラッジ排出側の筒端とストッパーの位置関係を示す図である。
【図5】図1及び図2の原油輸送管用ストレーナーを用いて、原油をろ過している様子を示す、該原油輸送管用ストレーナーの模式的な断面図である。
【図6】本発明の原油中のスラッジの除去方法を実施するための原油中のスラッジの除去システムの形態例を示す模式図である。
【図7】スクリュー型の含油スラッジの処理装置の模式的な断面図である。
【図8】スクリュー型の含油スラッジの処理装置の模式的な断面図である。
【図9】図7及び図8中のスクリュー(B)の側面図である。
【図10】図7の内筒(B)及び外筒(B)を記載した断面図である。
【図11】スクリュー型の含油スラッジの処理装置131を用いて、含油スラッジの処理操作を行っている様子を示す、該スクリュー型の含油スラッジの処理装置131の模式的な断面図である。
【図12】油水分離装置61の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の原油中のスラッジの除去方法は、原油掘削井戸から原油を輸送するための原油輸送管の途中に、本発明の原油中のスラッジの除去方法に係る原油輸送管用ストレーナーを設置し、原油を原油供給口から供給して、原油のろ過を行い、ろ過後の原油を原油排出口から排出し、且つ、内筒内の含油スラッジを含油スラッジ排出口から排出する原油ろ過工程と、
該含油スラッジから油分を分離して、油分を回収する油分回収工程と、
を行う原油中のスラッジの除去方法である。
【0012】
本発明の原油中のスラッジの除去方法に係る原油輸送管用ストレーナーは、
スクリュー軸(A)、及び該スクリュー軸(A)の少なくとも一部の外周に螺旋状に設けられるスクリュー羽根(A)からなるスクリュー(A)と、
原油の通過孔を有し、該スクリューを囲む内筒(A)と、
該内筒(A)の外側に設置され、該内筒(A)との間に原油の排出隙間を形成する外筒(A)と、
該内筒(A)内に、原油を供給するための原油供給口と、
該内筒(A)の含油スラッジ排出側の筒端近傍に設置され、該含油スラッジの排出を調節するためのストッパー(A)と、
該原油の排出隙間に排出された原油を、装置外に排出するための原油排出口と、
該内筒(A)から排出された該含油スラッジを、装置外に排出するための含油スラッジ排出口と、
該スクリュー(A)を回転駆動させる駆動手段と、
を有する原油輸送管用ストレーナーである。
【0013】
本発明の原油中のスラッジの除去方法に係る原油輸送管用ストレーナーについて、図1〜図3を参照して説明する。図1及び図2は、本発明の原油中のスラッジの除去方法に係る原油輸送管用ストレーナーを示す模式的な断面図であり、図1は、含油スラッジの移動方向に平行な面で切ったときの断面図であり、図2は、含油スラッジの移動方向に対して垂直な面で切ったときの断面図である。また、図3は、図1及び図2中のスクリューの側面図である。図1及び図2中、原油輸送管用ストレーナー1は、スクリュー(A)4と、該スクリュー(A)4を囲む内筒(A)5と、該内筒(A)5の外側に、該内筒(A)5との間にろ過後の原油を排出するための原油の排出隙間22が形成されるようにして設置される外筒(A)6と、該内筒(A)5の含油スラッジ排出側の筒端18の近傍に設置されるストッパー7(A)と、該内筒(A)5及び該外筒(A)6の原油供給側に設置される原油供給側フランジ8と、該内筒(A)5及び該外筒(A)6の含油スラッジ排出側に含油スラッジ排出室14を形成するようにして設置される含油スラッジ排出側フランジ9と、該内筒(A)5内に原油を供給するための原油供給口10と、該外筒(A)6内に水蒸気又は洗浄水を供給するための外筒側の水蒸気又は洗浄水の供給口11と、該含油スラッジ排出室14から含油スラッジを装置外へ排出するための含油スラッジ排出口12と、該原油の排出隙間22に排出されたろ過後の原油を、装置外へ排出するための原油排出口13と、を有する。
【0014】
図3に示すように、該スクリュー(A)4は、スクリュー軸(A)2と、スクリュー羽根(A)3と、からなる。そして、該スクリュー羽根(A)3は、該スクリュー軸(A)2の少なくとも一部の外周に螺旋状に設けられている。該スクリュー軸(A)2は、該原油供給側フランジ8と該含油スラッジ排出側フランジ9に、回転可能に固定される。
【0015】
該スクリュー(A)4は、回転することにより、該内筒(A)5でろ別されて該内筒(A)5内に残った該含油スラッジを、該内筒(A)5の該含油スラッジの排出側に移動させるための部材である。
【0016】
該スクリュー羽根(A)3は、該スクリュー軸(A)2の外周に螺旋状に形成されており、該スクリュー(A)4が回転することにより、該内筒(A)5によりろ別されて、該原油中から分離された該内筒(A)5内の含油スラッジを、原油供給側から含油スラッジ排出側へと移動させることができる形状であれば、特に制限されない。
【0017】
該スクリュー羽根(A)3の径25は、該内筒(A)5の内径と同じ長さであってもよく、あるいは、該内筒(A)5の内径より若干小さくてもよい。該スクリュー羽根(A)3の径25が、該内筒(A)5の内径より小さい場合、該スクリュー羽根(A)3と該内筒(A)5との隙間は、通常、1mm以下、好ましくは0.5mm以下、特に好ましくは0.1mm以下である。
【0018】
該スクリュー羽根(A)3の径25に対する該スクリュー羽根(A)3のピッチ26の比(符号26/符号25)は、0.25〜1.25、好ましくは0.75〜1.0、特に好ましくは0.9〜1.0である。なお、本発明において、該スクリュー羽根(A)3のピッチ26とは、図3中のスクリュー羽根(A)3の頂点261aと261b間の距離、すなわち、該スクリュー羽根(A)3を側面視したときの、隣り合う羽根の頂点間の距離を指す。
【0019】
該スクリュー羽根(A)3のピッチ26は、該スクリュー羽根(A)3の全範囲に亘って同じであっても、異なっていてもよい。
【0020】
なお、本発明において、該スクリュー(A)4の形状は、図1及び図3に示す形状に限定されるものではなく、他に例えば、含油スラッジの排出側に向かってスクリュー軸の径が大きくなっているものや、含油スラッジの排出側に向かってピッチが小さくなっているもの等が挙げられる。
【0021】
該内筒(A)5は、原油をろ過し、原油中のスラッジをろ別するためのものである。
【0022】
該内筒(A)5は、円筒形状である。該内筒(A)5の原油供給側の筒端19は、該原油供給側フランジ8に固定されており、該筒端19は該原油供給側フランジ8により塞がれている。一方、該内筒(A)5の含油スラッジ排出側の筒端18は、該含油スラッジ排出側フランジ9に固定されており、該筒端18の開口は、該含油スラッジ排出室14に繋がっている。つまり、該筒端18は、含油スラッジが該内筒(A)5の外へ排出されるように、開放されている。
【0023】
該内筒(A)5の筒壁には、原油をろ過して、原油中のスラッジをろ別し、ろ過後の原油が該原油排出隙間22に排出されるように、原油の通過孔(図示しない。)が形成されている。
【0024】
該内筒(A)5の筒壁は、該原油の通過孔が形成されているものであれば、特に制限されず、該内筒(A)5の筒壁としては、例えば、金網、パンチングメタルのような孔が打ち抜かれた板材、スクリーン用金網等が挙げられる。
【0025】
該内筒(A)5の筒壁に形成される該原油の通過孔の径は、処理される原油中のスラッジの大きさにより、適宜選択されるが、通常、0.1〜0.5mm、好ましくは0.2〜0.4mm、特に好ましくは0.2〜0.3mmである。なお、該内筒(A)5の筒壁が金網の場合、該原油の通過孔の径は、該金網の目開きの長さを指し、また、該内筒(A)5の筒壁がスクリーン用金網の場合、スクリーンの目開きの長さを指す。
【0026】
なお、該原油中からろ別されるスラッジは、油分を含有する含油スラッジとして、該内筒(A)5内に残る。
【0027】
該外筒(A)6は、円筒形状である。該外筒(A)6の原油供給側の筒端20は、該原油供給側フランジ8に固定されており、該筒端20は該原油供給側フランジ8により塞がれている。一方、該外筒(A)6の含油スラッジ排出側の筒端21は、該含油スラッジ排出側フランジ9に固定されており、該原油の排出隙間22と該含油スラッジ排出室14とは、該含油スラッジ排出側フランジ9により隔離されている。つまり、該原油の排出隙間22に排出されたろ過後の原油が、該含油スラッジ排出室14に流れ込まないように、該原油の排出隙間22は、該含油スラッジ排出側フランジ9により塞がれている。
【0028】
該内筒(A)5と該外筒(A)6とにより形成される該原油の排出隙間22の幅、言い換えると、該内筒(A)5の外側と該外筒(A)6の内側との距離は、ろ過後の原油が排出されて、該原油排出口13へ流動できる程度であれば、特に制限されない。
【0029】
なお、図1及び図2では、該外筒(A)6の形状が、含油スラッジの移動方向に対して垂直な面で切ったときの断面形状が円形であるものを示しているが、該外筒(A)6の形状は、これに限定されるものではなく、内側に該内筒(A)5を設置でき且つ原油が排出されて、該原油排出口13へ流動するための原油の排出隙間を形成できるものであればよい。他に、該外筒(A)の形状としては、例えば、上側が平坦で下側に丸み帯びたカマボコ状のものが挙げられる。また、該外筒(A)の底部の筒壁は、該原油水排出口13に向かって傾斜していてもよい。
【0030】
該ストッパー(A)7は、該スクリュー軸(A)2に付設されており、該内筒(A)5の含油スラッジ排出側の筒端18の近傍に設置されている。該ストッパー(A)7は、該原油のろ過を行っている時は、該内筒(A)5の該含油スラッジの排出側の筒端18から該含油スラッジ排出室14へと、該原油が排出されないように、該筒端18を塞ぐ役割を果たし、且つ、該内筒(A)5内から該含油スラッジ排出室14への該含油スラッジの排出を行っている時は、該内筒(A)5内から該含油スラッジ排出室14へと、該含油スラッジが排出されるように、該内筒(A)5の該含油スラッジ排出側の筒端18との間に、該含油スラッジ排出隙間15を形成する役割を果たす。そして、該内筒(A)5内から該含油スラッジの排出を行っている時に、該含油スラッジ排出隙間15の大きさを選択することにより、該ストッパー(A)7、該スクリュー(A)4及び該内筒(A)5により、該含油スラッジを圧搾しながら、圧搾によって搾られた原油分を、該内筒(A)5の該原油の通過孔から該原油の排出隙間22へと排出しつつ、且つ圧搾された後の含油スラッジを、該含油スラッジ排出隙間15から排出することができるので、該原油輸送管用ストレーナー1から排出される該含油スラッジ中に含まれる原油分の量を、少なくすることができる。
【0031】
該ストッパー(A)7について、図4を参照して、詳細に説明する。図4は、本発明の原油中のスラッジの除去方法に係る原油輸送管用ストレーナーの第一の形態例のストッパー(A)を示す模式的な断面図である。該ストッパー(A)7は、図4の(4−1)のように、該内筒(A)5の含油スラッジ排出側の筒端18に接して、該筒端18を塞ぐような位置と、(4−2)のように、該内筒(A)5の含油スラッジ排出側の筒端18から離れて、該含油スラッジを該含油スラッジ排出室14に排出するための含油スラッジ排出隙間15が形成される位置との間で、移動可能なように、該スクリュー軸(A)2に付設されている。なお、図1では、該ストッパー7(A)が、図4の(4−2)の位置にあるときを示している。本発明の原油中のスラッジの除去方法に係る原油輸送管用ストレーナーの第一の形態例を用いれば、例えば、先ず、図4の(4−1)に示すように、該ストッパー(A)7を該内筒(A)5の含油スラッジ排出側の筒端18に接する位置にして、該原油供給口10から原油を供給し、原油のろ過を行い、次いで、原油の供給を止めて、次いで、図4の(4−2)に示すように、該ストッパー(A)7を該内筒(A)5の含油スラッジ排出側の筒端18から離れた位置にして、該スクリュー(A)4を回転させて、該内筒(A)5内に残った含油スラッジを該内筒(A)5の含油スラッジ排出側に移動させ、該含油スラッジ排出隙間15から、該含油スラッジを排出するというような運転ができる。つまり、本発明の原油中のスラッジの除去方法に係る原油輸送管用ストレーナーの第一の形態例は、該ストッパー(A)の位置自体を選択する形態例である。
【0032】
また、本発明の原油中のスラッジの除去方法に係る原油輸送管用ストレーナーの別の形態例(第二の形態例)としては、該ストッパー(A)は、ベアリング等を介して該スクリュー軸(A)に摺動可能に取り付けられ、且つ、背面に弾性体、油圧、空気圧等により圧力をかける調圧部材が取り付けられているものが挙げられる。本発明の原油中のスラッジの除去方法に係る原油輸送管用ストレーナーの第二の形態例を用いれば、該原油のろ過を行っている時は、該内筒(A)5の該含油スラッジの排出側の筒端から該含油スラッジ排出室へと、該原油が排出されないようにするために、該含油スラッジの排出側の筒端が塞がれるように、該調圧部材で該ストッパー(A)の背面にかける圧力を調節し、且つ、該内筒(A)5内から該含油スラッジ排出室への該含油スラッジの排出を行っている時は、該ストッパー(A)、該スクリュー(A)4及び該内筒(A)5により、該含油スラッジを圧搾しながら、圧搾によって搾られた原油分が、該内筒(A)5の該原油の通過孔から該原油の排出隙間へと排出され、且つ、圧搾された後の含油スラッジが、該含油スラッジ排出隙間から排出されるように、該調圧部材で該ストッパー(A)の背面にかける圧力を調節するというような運転ができる。つまり、該内筒(A)5内から該含油スラッジ排出室への該含油スラッジの排出を行っている時は、該調圧部材で該ストッパー(A)の背面にかける圧力を調節することによって、該含油スラッジの圧縮率を調節することができるので、該調圧部材で加圧する圧力を調節しておけば、該含油スラッジの圧搾が行われる大きさに、該含油スラッジ排出隙間の大きさが自動的に調節される。なお、該ストッパー(A)の背面とは、該内筒(A)5との間で該含油スラッジの排出隙間を形成する側とは反対側のことである。つまり、本発明の原油中のスラッジの除去方法に係る原油輸送管用ストレーナーの第二の形態例は、該調圧部材で該ストッパー(A)の背面にかける圧力を調節することによって、該ストッパー(A)の位置を自動調節する形態例である。
【0033】
該原油供給口10は、該内筒(A)5内へ原油を供給するための供給口である。該含油スラッジの移動方向における、該含油スラッジ供給口10の設置位置は、特に制限されない。また、該内筒(A)5及び該外筒(A)6の周方向における、該原油スラッジ供給口10の設置位置は、通常、図1に示すように、最上方であるが、これに制限されるものではなく、図示しない原油供給管の位置等により適宜選択される。
【0034】
該外筒側の水蒸気又は洗浄水の供給口11は、該内筒(A)5に対して、該内筒(A)5の外側から、高圧の水蒸気又は洗浄水を供給するための水蒸気又は洗浄水の供給口である。該内筒(A)5の筒壁に形成される該原油の通過孔は、原油のろ過を続けると、徐々に、原油中のスラッジ、例えば、鉄さび、砂、泥等により塞がれてしまう。そして、該通過孔の閉塞量が多くなった時に、原油の供給を止め、該外筒側の水蒸気又は洗浄水の供給口11から、高圧で、水蒸気又は洗浄水を供給することにより、該通過孔に詰まったスラッジを除去することができる。該洗浄水としては、特に制限されず、通常、工業用水が用いられる。また、該水蒸気又は該洗浄水の供給圧力は、該通過孔に詰まったスラッジが除去される程度の圧力の範囲で適宜選択される。該含油スラッジの移動方向における、該外筒側の水蒸気又は洗浄水の供給口11の設置位置、及び該外筒(A)6の周方向における、該外筒側の水蒸気又は洗浄水の供給口11の設置位置は、特に制限されない。また、該含油スラッジの移動方向における、該外筒側の水蒸気又は洗浄水の供給口11の数、及び該外筒(A)6の周方向における、該外筒側の水蒸気又は洗浄水の供給口11の数は、特に制限されず、該内筒(A)5全体に、該水蒸気又は該洗浄水が供給されるように、適宜選択される。
【0035】
該含油スラッジ排出口12は、該含油スラッジ排出室14から含油スラッジを装置外へ排出するための排出口である。該外筒(A)6の周方向における、該含油スラッジ排出口12の設置位置は、通常、最下方である。
【0036】
該原油排出口13は、該原油の排出隙間22に排出されるろ過後の原油を、装置外へ排出するための排出口である。含油スラッジの移動方向における、該原油排出口13の設置位置及び該原油排出口13の設置数は、特に制限されず、適宜選択される。また、該外筒(A)6の周方向における、該原油排出口13の設置位置は、通常、最下方である。そして、該原油排出口13の設置位置としては、該含油スラッジの移動方向における中央又はその近辺、且つ、該外筒(A)6の周方向における最下方又はその近辺が、好ましい。
【0037】
該原油輸送管用ストレーナー1においては、該スクリュー軸(A)2及び該内筒(A)5は水平であってもよく、原油供給側に傾斜していてもよく、含油スラッジの排出側に傾斜していてもよい。
【0038】
次に、本発明の原油中のスラッジの除去方法に係る原油輸送管用ストレーナーの運転方法について、図5を参照して説明する。図5は、該原油輸送管用ストレーナー1を用いて、原油をろ過している様子を示す、該原油輸送管用ストレーナー1の模式的な断面図である。
【0039】
該原油輸送管用ストレーナー1、つまり、本発明の原油中のスラッジの除去方法に係る原油輸送管用ストレーナーの第一の形態例では、先ず、図4の(4−1)に示すように、該ストッパー(A)7を該内筒(A)5の含油スラッジ排出側の筒端18に接する位置にして、該原油供給口10から、原油41を供給することにより、該内筒(A)5で該原油41をろ過し、該原油41中の含油スラッジをろ別する。このとき、ろ過された原油42は、該原油の排出隙間22を経て、該原油排出口13から、装置外へ排出される。また、該原油41からろ別された該含油スラッジ43は、該内筒(A)5内に残る。
【0040】
該内筒(A)5内に溜まった該含油スラッジの量が多くなると、次いで、該原油41の供給を止める。次いで、該ストッパー(A)7の位置を変えて、図4の(4−2)に示すように、該ストッパー(A)7を該内筒(A)5の含油スラッジ排出側の筒端18から離れた位置にし、該スクリュー(A)4を回転させることにより、該内筒(A)5内の含油スラッジを、該内筒(A)5の含油スラッジ排出側に移動させて、該含油スラッジを圧搾し、そして、該原油の排出隙間22から、圧搾された原油を排出すると共に、該含油スラッジ排出隙間15から、該含油スラッジ43を排出し、更に、該含油スラッジ排出口12から、装置外へ排出する。
【0041】
本発明の原油中のスラッジの除去方法に係る原油輸送管用ストレーナーの第二の形態例では、先ず、該調圧部材で、該ストッパー(A)の背面にかかる圧力を調節し、該ストッパー(A)が該内筒(A)5の含油スラッジ排出側の筒端に接するようにして、該原油供給口から、原油を供給することにより、該内筒(A)5で該原油をろ過し、該原油中の含油スラッジをろ別する。このとき、ろ過された原油は、該原油の排出隙間を経て、該原油排出口から、装置外へ排出される。また、該原油からろ別された該含油スラッジは、該内筒(A)5内に残る。
【0042】
該内筒(A)5内に溜まった該含油スラッジの量が多くなると、次いで、該原油の供給を止める。次いで、適切な大きさの該含油スラッジ排出隙間が形成されるように、該調圧部材で、該ストッパー(A)の背面にかかる圧力を調節し、該スクリュー(A)4を回転させることにより、該内筒(A)5内の含油スラッジを、該内筒(A)5の含油スラッジ排出側に移動させて、該含油スラッジを圧搾し、そして、該原油の排出隙間から、圧搾された原油を排出する共に、該含油スラッジ排出隙間から、該含油スラッジを排出し、更に、該含油スラッジ排出口から、装置外へ排出する。
【0043】
なお、図1及び図4には示されていないが、該内筒(A)5の洗浄に使用された該水蒸気又は該洗浄水は、洗浄後、水分として該原油の排出隙間に排出されるので、この水分を装置外へ排出するために、本発明の原油中のスラッジの除去方法に係る該原油輸送管用ストレーナーは、洗浄後水分排出管を有してもよい。
【0044】
本発明の原油中のスラッジの除去方法に係る原油輸送管用ストレーナーは、原油中のスラッジを除去するために用いられる。そして、本発明の原油中のスラッジの除去方法に係る原油輸送管用ストレーナーの設置位置は、原油掘削井戸と該原油掘削井戸から掘削した原油を貯蔵するための原油の一次貯蔵タンク(産油国又は産油場所)との間の原油輸送管の途中である。
【0045】
本発明の原油中のスラッジの除去方法について、図6を参照して説明する。図6は、本発明の原油中のスラッジの除去方法に係る原油輸送管用ストレーナーの第一の形態例を用いて、本発明の原油中のスラッジの除去方法の形態例(第一の形態例)を実施するための原油中のスラッジの除去システムを示す模式図である。
【0046】
図6中、原油スラッジの除去システム50は、原油掘削井戸51と該原油掘削井戸51で掘削された原油を貯蔵するための原油の一次貯蔵タンク57とを繋ぐ原油輸送管52(52a及び52b)の途中に、2機の原油輸送管用ストレーナー1a及び1bを有する。該原油輸送管用ストレーナー1a及び1bの原油供給口には、原油供給管54a及び54bの一端が繋がっている。そして、原油供給管54a及び54bの他端は、該原油輸送管52aに繋がっている。また、該原油輸送管用ストレーナー1a及び1bの原油排出口には、原油排出管56a及び56bの一端が繋がっている。そして、原油排出管56a及び56bの他端は、該原油輸送管52bに繋がっている。また、該原油輸送管用ストレーナー1a及び1bの含油スラッジ排出口には、含油スラッジを搬送するためのスクリューコンベア58(58a、58b)の一端が繋がっている。そして、該含油スラッジを搬送するためのスクリューコンベア58の他端は、油分回収ユニットXの含油スラッジの処理装置60に繋がっている。また、該原油供給管54a及び54bには、弁55a及び55bが付設され、また、該原油排出管56a及び56bには、弁55c及び55dが付設されている。なお、該原油輸送管用ストレーナー1a及び1bは、本発明の原油輸送管用ストレーナーの第一の形態例である。また、図6では、一点鎖線で囲った部分が、該原油中のスラッジの除去システム50である。また、図6中、点線で囲った部分が、該油分回収ユニットXである。また、該原油輸送管52aは、該原油掘削井戸51から該原油41を搬出するために、該原油掘削井戸51サイトに設置されている原油輸送ポンプ53に繋がっている。
【0047】
該油分回収ユニットXは、該含油スラッジに水蒸気を接触させることにより、該含油スラッジから残渣スラッジを分離する含油スラッジの処理装置60、及び該含油スラッジの処理装置60で該含油スラッジを処理することにより生じる油水を、油分と水分とに分離する油水分離装置61を有する。該含油スラッジの処理装置60と該油水分離装置61は、油水移送管68により繋がれている。また、該含油スラッジの処理装置60には、含油スラッジから分離した残渣スラッジ65を装置外へ排出するための残渣スラッジ排出管62が繋がっている。また、該油水分離装置61には、油分66を装置外へ排出するための油分排出管63と、水分67を装置外へ排出するための水分排出管64が繋がっている。また、該油水輸送管68には、通常、該油水70を該油水分離装置61に輸送するためのポンプ(図示しない。)が付設されている。また、該油水70を該油水分離装置61に輸送するためのポンプの前段には、通常、該油水70中に存在する微細なスラッジを除去するためのろ過部材(図示しない。)が付設されている。
【0048】
本発明の原油中のスラッジの除去方法の第一の形態例では、先ず、該弁55a及び55cを開にし且つ該弁55b及び55dを閉にして、該原油輸送ポンプ53を用いて、該原油掘削井戸51で掘削した該原油41を、該原油輸送管52a及び該原油供給管54aを経て、該原油輸送管用ストレーナー1aに供給する。このとき、該ストッパー(A)7を、該内筒(A)5の含油スラッジ排出側の筒端に接触させて、該内筒(A)5の含油スラッジ排出側の筒端を塞いでおく。そして、該原油輸送管用ストレーナー1aで、該原油41のろ過を行い、ろ過後の該原油42を、装置外へ排出し、該原油排出管56a及び該原油輸送管52bを経て、該原油の一次貯蔵タンク57へ輸送する。
【0049】
次いで、該原油供給管54aに付設されている圧力計(図示しない。)と、該原油排出管56aに付設されている圧力計(図示しない。)との差圧が、一定値を超えるまで、該原油41のろ過を行った後、該弁55b及び55dを開にし且つ該弁55a及び55cを閉にする。そして、該原油輸送ポンプ53を用いて、該原油41を、該原油輸送管52a及び該原油供給管54bを経て、該原油輸送管用ストレーナー1bに供給する。このとき、該ストッパー(A)7を、該内筒(A)5の含油スラッジ排出側の筒端に接触させて、該内筒(A)5の含油スラッジ排出側の筒端を塞いでおく。そして、該原油輸送管用ストレーナー1bで、該原油41のろ過を行い、ろ過後の該原油42を、装置外へ排出し、該原油排出管56b及び該原油輸送管52bを経て、該原油の一次貯蔵タンク57へ輸送する。なお、上記では、差圧により、該原油輸送管用ストレーナー1aから該原油輸送管用ストレーナー1bへの切り替え時期を判断する旨記載したが、これに限定されず、原油の処理時間又は処理量により、該原油輸送管用ストレーナー1a内に溜まった該含油スラッジの量を把握する等、適宜、切り替え時期を適切に判断できる手法を用いることができる。
【0050】
そして、該原油輸送管用ストレーナー1bでの該原油41のろ過と並行して、該原油輸送管用ストレーナー1aの該内筒(A)5内の該含油スラッジの装置外への排出と、該内筒(A)5の洗浄を行う。先ず、該ストッパー(A)7を、該内筒(A)5の含油スラッジ排出側の筒端から離して、該内筒(A)5と該ストッパー(A)7との間に、該含油スラッジ排出隙間15を形成させる。そして、該原油輸送管用ストレーナー1aの該スクリュー(A)4を回転させて、該内筒(A)5内の該含油スラッジを、含油スラッジの排出側へ移動させて、該含油スラッジ排出隙間15、該含油スラッジ排出室14を経て、該含油スラッジ排出口12から装置外へ排出する。次いで、該外筒側の水蒸気又は洗浄水の供給口(A)11から、水蒸気40を供給して、該内筒(A)5の洗浄を行い、該内筒(A)5の通過孔に詰まったスラッジを取り除く。なお、上記説明では、該外筒側の水蒸気又は洗浄水の供給口(A)11から、水蒸気を供給する旨を記載したが、高圧の洗浄水、例えば、工業用水を供給することもできる。
【0051】
次いで、該原油供給管54bに付設されている圧力計(図示しない。)と、該原油排出管56bに付設されている圧力計(図示しない。)との差圧が、一定値を超えるまで、該原油輸送管用ストレーナー1bで該原油41のろ過を行った後、該弁55a及び55cを開にし且つ該弁55b及び55dを閉にして、再び、該原油輸送管用ストレーナー1aで、該原油41のろ過を行う。そして、これと並行して、該原油輸送管用ストレーナー1bの該内筒(A)5内の該含油スラッジの装置外への排出と、該内筒(A)5の洗浄と、を行う。
【0052】
以後、同様にして、該原油41のろ過を、該原油輸送管用ストレーナー1aと該原油輸送管用ストレーナー1bとで、交互に行う。また、該原油輸送管用ストレーナー1aでの該原油41のろ過と並行して、該原油輸送管用ストレーナー1bの該内筒(A)5内の該含油スラッジの装置外への排出と、該内筒(A)5の洗浄と、を行い、該原油輸送管用ストレーナー1bでの該原油41のろ過と並行して、該原油輸送管用ストレーナー1aの該内筒(A)5内の該含油スラッジの装置外への排出と、該内筒(A)5の洗浄と、を行う。
【0053】
このようにして、本発明の原油中のスラッジの除去方法に係る該原油ろ過工程を行う。
【0054】
次いで、装置外へ排出された該含油スラッジ43を、該スクリューコンベア58を経て、該含油スラッジの処理装置60に供給する。そして、該含油スラッジの処理装置60で、該含油スラッジ43を処理して、該含油スラッジ43から該残渣スラッジ65を分離して、該残渣スラッジ排出管62から該残渣スラッジ65を装置外へ排出すると共に、該含油スラッジの処理装置60での該含油スラッジの処理を行うことにより生じる該油水を、該油水輸送管68を経て、該油水分離装置61に供給する。次いで、該油水分離装置61で、該油分66と該水分67とに分離する。
【0055】
このようにして、該油分回収ユニットXで、該含油スラッジ43から、該油分66を回収して、本発明の原油中のスラッジの除去方法に係る該油分回収工程を行う。
【0056】
該油分回収工程を行った後、該含油スラッジ43から回収した該油分66を、通常、該原油輸送管用ストレーナー1a及び1bの後段に返送するが、前段に返送してもよい。また、あるいは、該油分66を、別のタンクに輸送してもよい。
【0057】
本発明の原油中のスラッジの除去方法は、これ(第一の形態例)に限定されず、他の本発明の原油中のスラッジの除去方法の形態例(第二の形態例)としては、例えば、本発明の原油中のスラッジの除去方法に係る原油輸送管用ストレーナーの第二の形態例を用いる形態例が挙げられる。
【0058】
本発明の原油中のスラッジの除去方法の第二の形態例、つまり、本発明の原油中のスラッジの除去方法に係る該原油輸送管用ストレーナーの第二の形態例を設置する場合、該原油ろ過工程で、該内筒(A)内の該含油スラッジを圧搾しながら、圧搾後の該含油スラッジを装置外へ排出する際に、該調圧部材で該ストッパー(A)の背面にかける圧力を調節することによって、該含油スラッジの圧縮率を調節して、該含油スラッジ排出隙間の大きさを自動的に調節すること以外は、本発明の原油中のスラッジの除去方法の第一の形態例と同様である。
【0059】
また、該油分回収工程は、本発明の原油中のスラッジの除去方法の第一の形態例と同様である。
【0060】
図6では、該原油輸送管の途中に設置される本発明の原油中のスラッジの除去方法に係る該原油輸送管用ストレーナーが2機である旨を示したが、これに限定されるものではなく、1機であっても、3機以上であってもよい。また、図6では、該原油輸送管用ストレーナー1a及び1bの該含油スラッジ排出口から、該油分回収ユニットXまで、該含油スラッジ43を搬送するための手段が、スクリューコンベア58である旨を示したが、これに限定されず、該原油輸送管用ストレーナー1a及び1bの該含油スラッジ排出口から、該油分回収ユニットXまで、該含油スラッジ43を搬送することができる手段が、適宜選択される。
【0061】
図6では、該含油スラッジから油分を回収するためのユニットが、該油分回収ユニットXである旨を示したが、これに限定されるものではなく、該含油スラッジから油分を回収できるものであればよい。
【0062】
本発明の原油中のスラッジの除去方法に係る該油分回収工程について、更に詳細に説明する。該油分回収工程は、該原油輸送管用ストレーナー1a及び1bより排出された該含油スラッジから残渣スラッジを分離する含油スラッジの処理操作と、該含油スラッジの処理操作により生じる油水を、油分と水分に分離する油水分離操作と、を行う工程である。
【0063】
該油分回収工程に係る該含油スラッジの処理操作は、該含油スラッジに100〜200℃の水蒸気を接触させてから、該含有スラッジを圧搾し、油水と残渣スラッジに分離する含油スラッジの処理操作である。なお、該含油スラッジの処理操作では、該含油スラッジ中の油分及び水分並びに供給した水蒸気が凝縮した水分と、該残渣スラッジと、に分離されるが、該含油スラッジ中の油分及び水分並びに供給した水蒸気が凝縮した水分を全て含めて、「油水」とも記載する。
【0064】
該含油スラッジの処理操作としては、連続式の含油スラッジの処理操作である。
【0065】
該含油スラッジの処理操作は、例えば、以下のスクリュー型の含油スラッジの処理装置、すなわち、
水蒸気の供給孔を有するスクリュー軸(B)、及び該スクリュー軸(B)の少なくとも一部の外周に螺旋状に設けられるスクリュー羽根(B)からなるスクリュー(B)と、
油水の通過孔を有し、該スクリューを囲む内筒(B)と、
該内筒(B)の外側に設置され、該内筒(B)との間に油水の排出隙間を形成する外筒(B)と、
該内筒(B)内に、含油スラッジを供給するための含油スラッジ供給口と、
該外筒(B)内に水蒸気を供給するための外筒側水蒸気供給口(B)と、
該内筒(B)の残渣スラッジ排出側の筒端近傍に設置され、該内筒(B)の残渣スラッジ排出側の筒端との間に残渣スラッジの排出隙間を形成するストッパー(B)と、
該油水の排出隙間に排出された油水を、装置外に排出するための油水排出口と、
該スクリューを回転駆動させる駆動手段(B)と、
を有するスクリュー型の含油スラッジの処理装置、
を用いて行うことができる。
【0066】
該含油スラッジの処理装置は、該内筒(B)の長さに対する該内筒(B)の含油スラッジ供給側の筒端から該外筒側水蒸気供給口(B)までの長さの比が、0.5以下であることが好ましい。
【0067】
該スクリュー型の含油スラッジの処理装置について、図7〜図11を参照して説明する。図7及び図8は、該スクリュー型の含油スラッジの処理装置の模式的な断面図であり、図7は、含油スラッジの移動方向に平行な面で切ったときの断面図であり、図8は、含油スラッジの移動方向に対して垂直な面で切ったときの断面図である。また、図9は、図7及び図8中のスクリュー(B)の側面図である。また、図10は、図7の内筒及び外筒を記載した断面図である。図7及び図8中、スクリュー型の含油スラッジの処理装置131は、スクリュー(B)134と、該スクリュー(B)134を囲む内筒(B)135と、該内筒(B)135の外側に、該内筒(B)135との間に油水の排出隙間152が形成されるようにして設置される外筒(B)136と、該内筒(B)135の残渣スラッジ排出側の筒端148の近傍に設置されるストッパー(B)137と、該内筒(B)135及び該外筒(B)136の含油スラッジ供給側に設置される含油スラッジ供給側フランジ138と、該内筒(B)135及び該外筒(B)136の残渣スラッジ排出側に残渣スラッジ排出室144を形成するようにして設置される残渣スラッジ排出側フランジ139と、該内筒(B)135内に含油スラッジを供給するための含油スラッジ供給口140と、該外筒(B)136内に水蒸気を供給するための外筒側水蒸気供給口(B)141と、該残渣スラッジ排出室(B)144から残渣スラッジを装置外へ排出するための残渣スラッジ排出口142と、該油水の排出隙間152に排出された油水を、装置外へ排出するための油水排出口143と、該外筒(B)136内のガスを、装置外へ排出するための排気口(B)146と、を有する。
【0068】
図9に示すように、該スクリュー(B)134は、スクリュー軸(B)132と、スクリュー羽根(B)133と、からなる。そして、該スクリュー羽根(B)133は、該スクリュー軸(B)132の少なくとも一部の外周に螺旋状に設けられている。該スクリュー軸(B)132は、該含油スラッジ供給側フランジ138と該残渣スラッジ排出側フランジ139に、回転可能に固定される。
【0069】
該スクリュー軸(B)132は、中空の管であり、該スクリュー軸(B)132の一端158は、該スクリュー軸(B)132の管内に水蒸気を供給するために開口になっており、一方、該スクリュー軸(B)132の他端159は、封止されている。そして、該スクリュー軸(B)132の軸壁には、軸内の空間から軸外へ水蒸気を放出するための、水蒸気供給孔157が形成されている。該水蒸気供給孔157は、該内筒(B)135内の含油スラッジに対しスクリュー軸(B)132側から、すなわち、該内筒(B)135の中心から外に向けて水蒸気を供給するための水蒸気の供給孔である。
【0070】
該水蒸気供給孔157の孔径は、処理される含油スラッジ中のスラッジの大きさにより、適宜選択されるが、通常、5〜12mm、好ましくは8〜12mm、特に好ましくは8〜10mmである。図9中、該水蒸気供給孔157が形成される範囲154は、適宜選択されるが、通常、含油スラッジ供給側は、該含油スラッジ供給側フランジ138の近傍まであり、また、通常、残渣スラッジ排出側は、該内筒(B)135により囲まれている部分153の長さに対する該水蒸気供給孔157が形成される範囲154の長さの比(符号154/符号153)が、0.5〜0.866、好ましくは0.66〜0.866、特に好ましくは0.76〜0.866となる位置までである。該内筒(B)135により囲まれている部分153の長さに対する該水蒸気供給孔157が形成される範囲154の長さの比(符号154/符号153)が、上記範囲を超えると、スラッジ中の水分量が多くなり易い。該水蒸気供給孔157の数は、含油スラッジの種類、装置のスケール等により、適宜選択される。
【0071】
該スクリュー羽根(B)133は、該スクリュー軸(B)132の外周に螺旋状に形成されており、該スクリュー(B)134が回転することにより、該内筒(B)135内の含油スラッジを、含油スラッジ供給側から残渣スラッジ排出側へと移動させることができる形状であれば、特に制限されない。
【0072】
該スクリュー羽根(B)133の径155は、該内筒(B)135の内径と同じ長さであってもよく、あるいは、該内筒(B)135の内径より若干小さくてもよい。該スクリュー羽根(B)133の径155が、該内筒(B)135の内径より小さい場合、該スクリュー羽根(B)133と該内筒(B)135との隙間は、通常、1mm以下、好ましくは0.5mm以下、特に好ましくは0.1mm以下である。
【0073】
該スクリュー羽根(B)133の径155に対する該スクリュー羽根(B)133のピッチ156の比(符号156/符号155)は、0.25〜1.25である。そして、含油スラッジの移動速度を遅くし易くなるので、言い換えると、該含油スラッジの圧搾時間を長くし易くなるので、含油スラッジ中の油分を処理する効果が高くなる点で、該スクリュー羽根(B)133の径155に対する該スクリュー羽根(B)133のピッチ156の比(符号156/符号155)は、好ましくは0.5〜1.25、特に好ましくは0.75〜1、更に好ましくは0.9〜1である。なお、該含油スラッジの処理操作において、該スクリュー羽根(B)133のピッチ156とは、図9中のスクリュー羽根の頂点561aと561b間の距離、すなわち、該スクリュー羽根(B)133を側面視したときの、隣り合う羽根の頂点間の距離を指す。
【0074】
該スクリュー羽根(B)133のピッチ156は、該スクリュー羽根(B)133の全範囲に亘って同じであっても、異なっていてもよい。
【0075】
なお、該含油スラッジの処理操作において、該スクリュー(B)134の形状は、図7及び図9に示す形状に限定されるものではなく、他に例えば、残渣スラッジ排出側に向かってスクリュー軸の径が大きくなっているものや、残渣スラッジ排出側に向かってピッチが小さくなっているもの等が挙げられる。
【0076】
該内筒(B)135は、円筒形状である。該内筒(B)135の含油スラッジ供給側の筒端149は、該含油スラッジ供給側フランジ138に固定されており、該筒端149は該含油スラッジ供給側フランジ138により塞がれている。一方、該内筒(B)135の残渣スラッジ排出側の筒端148は、該残渣スラッジ排出側フランジ139に固定されており、該筒端148の開口は、該残渣スラッジ排出室144に繋がっている。つまり、該筒端148は、残渣スラッジが該内筒(B)135の外へ排出されるように、開放されている。
【0077】
該内筒(B)135の筒壁には、含油スラッジを圧搾することにより、該内筒(B)135内の被圧搾物から分離する油水が、該内筒(B)135から該油水排出隙間152に排出されるように、油水の通過孔(図示しない。)が形成されている。
【0078】
該内筒(B)135の筒壁は、該油水の通過孔が形成されているものであれば、特に制限されず、該内筒(B)135の筒壁としては、例えば、金網、パンチングメタルのような孔が打ち抜かれた板材、スクリーン用金網等が挙げられる。
【0079】
該内筒(B)135の筒壁に形成される該油水の通過孔の径は、処理される含油スラッジ中のスラッジの大きさにより、適宜選択されるが、通常、0.1〜1.96mm、好ましくは0.2〜1.74mm、特に好ましくは0.3〜0.5mmである。なお、該内筒(B)135の筒壁が金網の場合、該油水の通過孔の径は、該金網の目開きの長さを指し、また、該内筒(B)135の筒壁がパンチングメタルの場合、該油水の通過孔の径は、打ち抜かれた孔の径を指す。
【0080】
該内筒(B)135が、該スクリュー(B)134を囲むようにして設置されることにより、該内筒(B)135の内壁及び該スクリュー羽根(B)134との間に、含油スラッジを圧搾するための圧搾空間147が形成される。
【0081】
該外筒(B)136は、円筒形状である。該外筒(B)136の含油スラッジ供給側の筒端150は、該含油スラッジ供給側フランジ138に固定されており、該筒端150は該含油スラッジ供給側フランジ138により塞がれている。一方、該外筒(B)136の残渣スラッジ排出側の筒端151は、該残渣スラッジ排出側フランジ139に固定されており、該油水の排出隙間152と該残渣スラッジ排出室144とは、該残渣スラッジ排出側フランジ139により隔離されている。つまり、該油水の排出隙間152に排出された油水が、該残渣スラッジ排出室144に流れ込まないように、該油水の排出隙間152は、該残渣スラッジ排出側フランジ139により塞がれている。
【0082】
該内筒(B)135と該外筒(B)136とにより形成される該油水の排出隙間152の幅、言い換えると、該内筒(B)135の外側と該外筒(B)136の内側との距離は、含油スラッジを圧搾することにより、該内筒(B)135内の被圧搾物から分離する油分及び水分並びに供給した水蒸気が凝縮した水分、すなわち、該油水が排出されて、該油水排出口143へ流動できる程度であれば、特に制限されない。
【0083】
なお、図7及び図8では、該外筒(B)136の形状が、含油スラッジの移動方向に対して垂直な面で切ったときの断面形状が円形であるものを示しているが、該外筒(B)136の形状は、これに限定されるものではなく、内側に該内筒(B)135を設置でき且つ油水が排出されて、該油水排出口143へ流動するための油水の排出隙間を形成できるものであればよい。他に、該外筒(B)の形状としては、例えば、上側が平坦で下側に丸み帯びたカマボコ状のものが挙げられる。また、該外筒(B)136の底部の筒壁は、該油水排出口143に向かって傾斜していてもよい。
【0084】
該ストッパー(B)137は、該スクリュー軸(B)132に固定されており、該内筒(B)135の残渣スラッジ排出側の筒端148の近傍に設置されている。該ストッパー(B)137は、残渣スラッジが、該筒端148から該残渣スラッジ排出室144へ排出される際に、該残渣スラッジの排出量を調節することにより、含油スラッジの圧縮率を調節する機能を果たす。具体的には、該ストッパー(B)137の設置位置を調節することにより、該ストッパー(B)137と該筒端148との間に形成される残渣スラッジの排出隙間145の大きさを調節して、該残渣スラッジの排出量を調節することができる。そして、該含油スラッジの供給量に対する該残渣スラッジの排出量の比を調節することにより、該含油スラッジの圧縮率を調節することができる。なお、該ストッパー137の設置位置、あるいは、該ストッパー137と該筒端148により形成される該残渣スラッジの排出隙間145は、含油スラッジの種類、含油スラッジの含油量、処理条件等により適宜選択される。
【0085】
該含油スラッジ供給口140は、該内筒(B)135内へ含油スラッジを供給するための供給口である。含油スラッジの移動方向164における、該含油スラッジ供給口140の設置位置は、図10に示すように、該内筒(B)135の長さ161に対する該内筒(B)135の含油スラッジ供給側の筒端149から該含油スラッジ供給口140までの長さ163の比(符号163/符号161)が、0.15以下、好ましくは0.125以下、特に好ましくは0.093〜0.125となる位置である。該内筒(B)135の長さ161に対する該内筒(B)135の含油スラッジ供給側の筒端149から該含油スラッジ供給口140までの長さ163の比が上記範囲内にあることにより、含油スラッジの油分の処理効果が高くなる。なお、該含油スラッジの処理操作において、該内筒(B)135の長さ161とは、該内筒(B)の含油スラッジ供給側の筒端149から該内筒(B)の残渣スラッジ排出側の筒端148までの距離を指し、また、該含油スラッジ供給口140の位置とは、該含油スラッジ供給口140の中央の位置を指す。また、該内筒(B)135及び該外筒(B)136の周方向における、該含油スラッジ供給口140の設置位置は、通常、図7及び図10に示すように、最上方であるが、これに制限されるものではなく、図示しない含油スラッジ供給管の位置等により適宜選択される。
【0086】
該外筒側水蒸気供給口(B)141は、該内筒(B)135内の含油スラッジに対して該内筒(B)135側から、すなわち、該内筒(B)135の外から中心に向けて水蒸気を供給するための水蒸気の供給口である。該含油スラッジの移動方向における、該外筒側水蒸気供給口(B)141の設置位置は、図10に示すように、該内筒(B)135の長さ161に対する該内筒(B)135の含油スラッジ供給側の筒端149から該外筒側水蒸気供給口(B)141までの長さ162の比(符号162/符号161)が、0.5以下、好ましくは0.03〜0.5、特に好ましくは0.14〜0.3、更に好ましくは0.18〜0.25となる位置である。該内筒(B)135の長さ161に対する該内筒(B)135の含油スラッジ供給側の筒端149から該外筒側水蒸気供給口(B)141までの長さ162の比が、上記範囲内にあることにより、該内筒(B)135内で該含油スラッジが圧搾される際の初期の段階で、多くの水蒸気を該含油スラッジに接触させることができるので、含油スラッジの油分の処理効果が高くなる。なお、該含油スラッジの処理操作において、該外筒側水蒸気供給口(B)141の位置とは、該外筒側水蒸気供給口(B)141の中央の位置を指す。
【0087】
また、該外筒(B)136の周方向における、該外筒側水蒸気供給口(B)141の設置位置は、図7及び図10では、最下方であるが、これに制限されるものではなく、図示しない水蒸気供給管の位置等により適宜選択される。また、該外筒側水蒸気供給口(B)141の数は、特に制限されず、1であっても、2以上であってもよい。
【0088】
該油水排出口143は、該油水の排出隙間152に排出される油水を、装置外へ排出するための排出口である。含油スラッジの移動方向における、該油水排出口143の設置位置及び該油水排出口143の設置数は、特に制限されず、適宜選択される。また、該外筒(B)136の周方向における、該油水排出口143の設置位置は、通常、最下方である。
【0089】
該排気口(B)146は、装置内の水蒸気等のガスを装置外に排出するためのガスの排出口である。含油スラッジの移動方向における、該排気口(B)146の設置位置及び該排気口(B)146の設置数は、特に制限されず、適宜選択される。
【0090】
該含油スラッジに水蒸気を接触させると、炭化水素等の蒸気が発生するので、それらを回収するために、該排気口(B)に、冷却手段を設置することが好ましい。
【0091】
該スクリュー型の含油スラッジの処理装置131には、該スクリュー(B)134を回転駆動させるための駆動手段(B)(図示しない。)が設置されている。
【0092】
該スクリュー型の含油スラッジの処理装置131においては、該スクリュー軸(B)132及び該内筒(B)135は水平であってもよく、含油スラッジの供給側に傾斜していてもよく、残渣スラッジの排出側に傾斜していてもよく、あるいは、垂直であってもよい。
【0093】
該スクリュー型の含油スラッジの処理装置131を用いて、該含油スラッジの処理操作を行う操作手順について、図11を参照して説明する。図11は、該スクリュー型の含油スラッジの処理装置131を用いて、該含油スラッジの処理操作を行っている様子を示す、該スクリュー型の含油スラッジの処理装置131の模式的な断面図である。
【0094】
該スクリュー型の含油スラッジの処理装置131に、該含油スラッジ供給口140から、含油スラッジ171を供給して、該スクリュー(B)134を回転させることにより、該含油スラッジ171を、該含油スラッジ供給口140から、該内筒の残渣スラッジ排出側の筒端148に向かって、該スクリュー軸(B)132の周りに螺旋状に形成される該圧搾空間147を移動させて、該含油スラッジ171を押し込むことにより、該含油スラッジ171に高圧を与えて、該含油スラッジ171を圧搾する。そして、該含油スラッジを供給しつつ、該スクリュー軸132の一端158から100〜200℃の水蒸気170aを、該外筒側水蒸気供給口(B)141から100〜200℃の水蒸気170bを供給することにより、該含油スラッジ171に対し水蒸気を、該内筒(B)135の中心から及び外側からの両方向から接触させる。
【0095】
そのため、該含油スラッジ供給口140から供給された該含油スラッジは、該内筒(B)135への供給後直に、該スクリュー軸(B)132の該水蒸気供給孔157からの水蒸気170a及び該外筒側水蒸気供給口(B)141からの水蒸気170bに接触する。次いで、該含油スラッジ171は、該スクリュー(B)134が回転することによって、圧搾されながら残渣スラッジの排出側へ移動するが、その間も該水蒸気供給孔157からの水蒸気170a及び該外筒側水蒸気供給口(B)141からの水蒸気170bに接触している。つまり、圧搾中も該含油スラッジ141に該水蒸気を接触させている。
【0096】
そして、該スクリュー(B)134を回転させながら、該水蒸気170a及び170bを供給しながら、該含油スラッジ171を連続的に供給しつつ、且つ該残渣スラッジ173を排出させることにより、連続的に、該含油スラッジ171の油分の処理を行うことができる。その際、適宜、油水172を該油水排出口143から排出し、排気ガス175を該排気口(B)146から排出する。
【0097】
このように、該含油スラッジの処理操作は、該含油スラッジに100〜200℃の水蒸気を接触させてから、該含油スラッジを圧搾し、該油水と該残渣スラッジに分離する含油スラッジの処理操作である。そして、該含油スラッジの処理操作は、連続的に、該含油スラッジの処理を行う方法である。
【0098】
該圧搾の際、該含油スラッジ171は、該スクリュー型の含油スラッジの処理装置131内に供給する水蒸気により加熱されるが、供給する該水蒸気の温度は、100〜200℃、好ましくは100〜180℃、特に好ましくは110〜150℃、更に好ましくは130〜150℃である。供給する該水蒸気の温度が上記範囲内にあることにより、該含油スラッジ171中の油分を、良好に処理することができる。また、該圧搾の際の該スクリュー型の含油スラッジの処理装置131内の温度は、定常状態の温度で、100〜200℃、好ましくは100〜180℃、特に好ましくは110〜150℃、更に好ましくは130〜150℃である。該圧搾の際の該スクリュー型の含油スラッジの処理装置131内の温度が上記範囲内にあることにより、該含油スラッジ171中の油分を、良好に処理することができる。なお、該圧搾の際の該スクリュー型の含油スラッジの処理装置131内の温度は、該油水の排出隙間152のうち、供給する水蒸気に直接接触しない位置に熱電対等を設置して、該油水の排出隙間152の温度を測定して得られる。
【0099】
該圧搾の際、該含油スラッジを圧搾する圧搾圧力は、含油スラッジの種類により適宜選択される。
【0100】
該圧搾の際の該含油スラッジ171の圧搾時間、すなわち、該含油スラッジ171が該含油スラッジ供給口140から供給されて、該残渣スラッジの排出隙間145から該残渣スラッジ173として排出されるまでの時間は、好ましくは1時間以上、特に好ましくは1〜3時間、更に好ましくは1.5〜3時間、より好ましくは2〜2.5時間である。該圧搾の際の該含油スラッジ171の圧搾時間が上記範囲内にあることにより、該含油スラッジ171中の油分及び有害物質を処理する効果が高くなる。つまり、該含油スラッジの処理操作では、該含油スラッジの圧搾時間を上記範囲内にして、ゆっくりと時間をかけて該含油スラッジを圧搾することにより、該含油スラッジ中の油分を処理する効果を高くすることができる。一方、該圧搾時間は長過ぎても、効果は得られるものの、効果の向上が頭打ちになり、処理効率が悪くなる。なお、該スクリュー型の含油スラッジの処理装置131では、該スクリュー(B)134の回転速度、該含油スラッジ供給口140からの該含油スラッジ171の供給量、及び該残渣スラッジの排出隙間145からの該残渣スラッジ173の排出量を、適宜選択することにより、該圧搾の際の該含油スラッジ171の圧搾時間を調節することができる。
【0101】
該含油スラッジの処理操作では、含油スラッジの供給直後及び圧搾中に該含油スラッジ171を水蒸気170と接触させることより、該含油スラッジは高温となり且つ含油スラッジの水分量が増えるので、加温効果により、該含油スラッジ171中の固形分と液体分とが分離し易くなる。そのため、該含油スラッジの処理操作は、該含油スラッジ171中の油分を、良好に処理することができる。
【0102】
また、該スクリュー型の含油スラッジの処理装置131では、該スクリュー軸(B)132に該水蒸気供給孔157が形成されており、且つ該内筒の長さに対する該内筒の含油スラッジ供給側の筒端から該外筒側水蒸気供給口(B)までの長さの比が、0.5以下であるので、該含油スラッジを該内筒(B)135内に投入すると直に、該含油スラッジに水蒸気を接触させることができるので、該スクリュー型の含油スラッジの処理装置131は、該含油スラッジの処理操作に好適に用いられる。
【0103】
このようにして、該含油スラッジを処理して、該含油スラッジの処理操作を行い、該含油スラッジから該残渣スラッジを分離する。
【0104】
該油水分離操作は、該含油スラッジの処理操作により生じる油水を、該油分と該水分に分離する操作であるが、通常、石油精製等で行われる油水分離操作であればよい。該油水分離操作としては、例えば、分離槽中で、油層と水層とに二層分離させ、上層から油分を、下層から水分を抜き出す操作が挙げられる。
【0105】
図12に、該油水分離操作を行うための該油水分離装置61の断面図を示す。該油水分離装置61では、該油水輸送管68から、該油水分離装置61に、該油水70が供給される。そして、該油水分離装置61内では、該油分66の層が上層の油層として、該水分67の層が下層として、二層に分離している。そして、装置外に、上層の油層から該油分66を排出しつつ、下層の水層から該水分67を排出することにより、該油水分離操作を行う。
【0106】
本発明の原油中のスラッジの除去方法では、本発明の原油中のスラッジの除去方法に係る該原油輸送管用ストレーナーを用いているので、該スクリュー(A)を回転させることにより、ろ過材を交換することなく、装置内に溜まった含油スラッジを装置外に排出することができる。よって、従来、スラッジの捕集量が多過ぎて、ろ過材の交換頻度が多くなるため、ストレーナーの設置が行われなかったような、該原油掘削井戸と該原油の一次貯蔵タンクとの間にも、本発明の原油中のスラッジの除去方法に係る原油輸送管用ストレーナーを設置することができる。
【0107】
そして、該原油掘削井戸と該原油の一次貯蔵タンクとの間に、本発明の原油中のスラッジの除去方法に係る該原油輸送管用ストレーナーを設置することにより、該原油の一次貯蔵タンク、該運搬手段、該原油の二次貯蔵タンク等内に沈降する含油スラッジをなくこと又は含油スラッジの量を少なくすることができる。そのため、本発明の原油中のスラッジの除去方法によれば、該原油の一次貯蔵タンク、該運搬手段、該原油の二次貯蔵タンク等の底部に溜まった含油スラッジを、外へ取り出すという作業を無くすこと又はその労力を低減することができる。
【0108】
また、本発明の原油中のスラッジの除去方法のうち、該油分回収工程に係る該含油スラッジの処理操作を、該スクリュー型の含油スラッジの処理装置を用いて行うことにより、該残渣スラッジ中の油分を非常に少なくすることができるので、該残渣スラッジを一般廃棄物として処分することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明によれば、原油中のスラッジの除去を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0110】
1、1a、1b 原油輸送管用ストレーナー
2 スクリュー軸(A)
3 スクリュー羽根(A)
4 スクリュー(A)
5 内筒(A)
6 外筒(A)
7 ストッパー(A)
8 原油供給側フランジ
9 含油スラッジ排出側フランジ
10 原油供給口
11 外筒側の水蒸気又は洗浄水の供給口
12 含油スラッジ排出口
14 含油スラッジ排出室
15 含油スラッジの排出隙間
18 内筒(A)の含油スラッジ排出側の筒端
19 内筒(A)の原油供給側の筒端
20 外筒(A)の原油供給側の筒端
21 外筒(A)の含油スラッジ排出側の筒端
25 スクリュー羽根(A)3の径
26 スクリュー羽根(A)3のピッチ
40 水蒸気
41 原油
42 ろ過後の原油
43 含油スラッジ
50 原油中のスラッジの除去システム
51 原油掘削井戸
52、52a、52b 原油輸送管
53 原油輸送ポンプ
54a、54b 原油供給管
55a、55b、55c、55d 弁
56a、56b 原油排出管
57 原油の一次貯蔵タンク
58 スクリューコンベア
60 含油スラッジの処理装置
61 油水分離装置
62 残渣スラッジ排出管
63 油分排出管
64 水分排出管
65 残渣スラッジ
66 油分
67 水分
68 油水移送管
70 油水
131 スクリュー型の含油スラッジの減量化装置
132 スクリュー軸(B)
133 スクリュー羽根(B)
134 スクリュー(B)
137 ストッパー(B)
138 含油スラッジ供給側フランジ
139 残渣スラッジ排出側フランジ
140 含油スラッジ供給口
141 外筒側水蒸気供給口
142 残渣スラッジ排出口
144 残渣スラッジ排出室
145 残渣スラッジの排出隙間
147 圧搾空間
148 内筒(B)の残渣スラッジ排出側の筒端
149 内筒(B)の含油スラッジ供給側の筒端
150 外筒(B)の含油スラッジ供給側の筒端
151 外筒(B)の残渣スラッジ排出側の筒端
153 内筒(B)135により囲まれている部分
154 水蒸気供給孔157が形成される範囲
155 スクリュー羽根(B)133の径
156 スクリュー羽根(B)133のピッチ
157 水蒸気供給孔
158 スクリュー軸(B)132の一端
159 スクリュー軸(B)132の他端
161 内筒(B)135の長さ
162 内筒(B)135の含油スラッジ供給側の筒端149から外筒側水蒸気供給口141までの長さ
163 内筒(B)135の含油スラッジ供給側の筒端149から含油スラッジ供給口140までの長さ
164 含油スラッジの移動方向
170a、170b 水蒸気
171 含油スラッジ
172 油水
173 残渣スラッジ
175 排気ガス
261a、261b スクリュー羽根(A)の頂点
561a、561b スクリュー羽根(B)の頂点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原油掘削井戸から原油を輸送するための原油輸送管の途中に、スクリュー軸、及び該スクリュー軸の少なくとも一部の外周に螺旋状に設けられるスクリュー羽根からなるスクリューと、原油の通過孔を有し、該スクリューを囲む内筒と、該内筒の外側に設置され、該内筒との間に原油の排出隙間を形成する外筒と、該内筒内に、原油を供給するための原油供給口と、該内筒の含油スラッジ排出側の筒端近傍に設置され、該含油スラッジの排出を調節するためのストッパーと、該原油の排出隙間に排出された原油を、装置外に排出するための原油排出口と、該内筒から排出された該含油スラッジを、装置外に排出するための含油スラッジ排出口と、該スクリューを回転駆動させる駆動手段と、を有する原油輸送管用ストレーナーを設置し、該原油輸送管用ストレーナーの原油供給口から該原油を供給して、該原油のろ過を行い、ろ過後の原油を原油排出口から排出し、且つ、内筒内の含油スラッジを含油スラッジ排出口から排出する原油ろ過工程と、
該含油スラッジから油分を分離して、油分を回収する油分回収工程と、
を行うことを特徴とする原油中のスラッジの除去方法。
【請求項2】
前記原油輸送管用ストレーナーが、前記外筒内に水蒸気又は洗浄水を供給するための外筒側の水蒸気又は洗浄水の供給口を有することを特徴とする請求項1記載の原油中のスラッジの除去方法。
【請求項3】
前記含油スラッジに100〜200℃の水蒸気を接触させてから、該含有スラッジを圧搾し、油水とスラッジに分離し、次いで、油分と水分に分離して、該油分を回収することにより、前記油分回収工程を行うことを特徴とする請求項1又は2いずれか1項記載の原油中のスラッジの除去方法。
【請求項4】
圧搾中も含油スラッジに100〜200℃の水蒸気を接触させることを特徴とする請求項3記載の原油中のスラッジの除去方法。
【請求項5】
水蒸気の供給孔を有するスクリュー軸、及び該スクリュー軸の少なくとも一部の外周に螺旋状に設けられるスクリュー羽根からなるスクリューと、
油水の通過孔を有し、該スクリューを囲む内筒と、
該内筒の外側に設置され、該内筒との間に油水の排出隙間を形成する外筒と、
該内筒内に、含油スラッジを供給するための含油スラッジ供給口と、
該外筒内に水蒸気を供給するための外筒側水蒸気供給口と、
該内筒の残渣スラッジ排出側の筒端近傍に設置され、該内筒の残渣スラッジ排出側の筒端との間に残渣スラッジの排出隙間を形成するストッパーと、
該油水の排出隙間に排出された油水を、装置外に排出するための油水排出口と、
該スクリューを回転駆動させる駆動手段と、
を有する含油スラッジの処理装置において、
前記含油スラッジを該含油スラッジ供給口から供給しつつ、該スクリュー軸及び該外筒側水蒸気供給口に水蒸気を供給することにより、該含有スラッジを圧搾し、該含油スラッジを油水と残渣スラッジとに分離し、次いで、該油水を油分と水分に分離することにより、前記油分回収工程を行うことを特徴とする請求項4記載の原油中のスラッジの除去方法。
【請求項6】
前記内筒の長さに対する前記内筒の含油スラッジ供給側の筒端から前記外筒側水蒸気供給口までの長さの比が、0.5以下であることを特徴とする請求項5記載の原油中のスラッジの除去方法。
【請求項7】
前記スクリュー羽根の径に対する前記スクリュー羽根のピッチの比が、0.5〜1.25であることを特徴とする請求項5又は6いずれか1項記載の原油中のスラッジの除去方法。
【請求項8】
前記ストッパーが、前記スクリュー軸が挿通され、前記スクリュー軸に摺動可能に取り付けられ、且つ、背面に調圧部材が取り付けられているストッパーであることを特徴とする請求項5〜7いずれか1項記載の原油中のスラッジの除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−194390(P2010−194390A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39027(P2009−39027)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(507286275)システム機工株式会社 (7)
【Fターム(参考)】