説明

原稿搬送装置、画像読取装置及び画像形成装置

【課題】装置本体に対して開閉部材が片ロック状態でユーザーが装置を使用することを抑制できる原稿搬送装置、画像読取装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】ガイド部材によって形成された原稿搬送路と、原稿搬送路内で原稿を搬送させる搬送手段と、回転軸を中心に装置本体に対して開閉可能であり、装置本体に対して閉じた状態で原稿搬送路及び搬送手段を覆い隠す開閉部材と、回転軸軸方向一端側に設けられ開閉部材の開閉状態を検知する開閉検知手段と、回転軸軸方向で装置本体や開閉部材の中心位置を境にした両側2箇所それぞれで、装置本体に設けられた被係合部と開閉部材に設けられた係合部とを解除可能に係合することにより、装置本体に対して開閉部材を閉じた状態にロックするロック手段とを備えた原稿搬送装置において、装置本体に対して開閉部材を閉じる際に、開閉部材を閉じる方向に付勢する付勢手段を、装置本体の回転軸軸方向他端側に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を搬送する原稿搬送装置並びにその原稿搬送装置を備えた画像読取装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機等の画像形成装置においては、その上部に、原稿載置台にセットされた原稿を一枚ずつ画像読取位置に搬送してその原稿情報を読み取らせた後に排紙台に排紙する原稿搬送装置が設けられている。このような原稿搬送装置においては、原稿載置台から排紙台までの間にガイド部材によって形成されている原稿搬送路の搬送ローラ対に原稿が詰まったときに原稿を取り除くジャム処理が行われる。
【0003】
特許文献1に記載の原稿搬送装置は、装置本体に対して一端部が装置手前側から装置奥側に延びる回転軸を中心に回動自在に取り付けられ、その回動により装置本体に対して開閉可能な開閉部材であるカバーを備えている。そして、カバーを回動させて装置本体からカバーを開き、搬送ローラ対を装置外部に露出させることで搬送ローラ対に詰まった原稿を取り除き易くすることができる。
【0004】
また、回転軸軸方向における装置本体やカバーの中心位置を境にした両側2箇所それぞれに、カバーを閉じた状態にロックするためのロック手段が設けられている。このロック手段は、装置本体に対してカバーを閉じた状態で、装置本体に設けられた被係合部とカバーに設けられる係合部とを解除可能に係合することによりロックする。
【0005】
ところが、ユーザーによる入力操作やユーザーへの報知を行う操作部が装置本体の装置手前側にあることから、ユーザーが使用する際の使用位置の関係上、カバーの装置手前側を持ってユーザーがカバーを閉じてしまうと、カバーに装置奥側が浮くような捩れが発生することがある。このような捩れがカバーに発生すると、ユーザーが持って閉じた装置手前側のカバーの係合部と装置本体の被係合部とを係合させたとしも、装置奥側のカバーの係合部と装置本体の被係合部とが係合されず、装置本体に対してカバーの片側だけがロックされる片ロック状態となってしまう。そのため、片ロック状態でユーザーが装置を使用してしまう虞がある。
【0006】
特許文献1に記載の原稿搬送装置には、装置奥側にカバーの開閉状態を検知する開閉検知手段が設けられている。この開閉検知手段は、カバーの装置奥側に設けられたフィラーと、装置本体の装置奥側に設けられた光学センサとからなり、フィラーが光学センサを遮光した場合にカバーを閉検知し、フィラーが光学センサから離れたときにカバーを開検知する。これにより、カバーの装置奥側が装置本体に対して閉じていないことを開閉検知手段によって検知し、片ロック状態であると判断された場合に装置が動作しないようにすることで、片ロック状態でユーザーが装置を使用してしまうことを抑制できるとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、カバーの装置手前側を持ってユーザーがカバーを閉じずに、カバーの装置奥側を持ってユーザーがカバーを閉じた場合には、カバーに装置手前側が浮くような捩れが発生することがある。このような捩れがカバーに発生すると、装置奥側のカバーの係合部と装置本体の被係合部とが係合しても、装置手前側のカバーの係合部と装置本体の被係合部とが係合されない場合がある。この場合、開閉検知手段が設けられていない装置手前側でカバーが装置本体にロックされていないにもかかわらず、開閉検知手段の検知結果に基づいて片ロック状態でないと判断されてしまい装置を動作させることが可能となる。そのため、装置本体に対してカバーの開閉検知手段が設けられた装置奥側だけがロックされた片ロック状態で、ユーザーが装置を使用してしまうといった問題が生じる。
【0008】
また、装置奥側ではなく装置手前側に前記開閉検知手段が設けられていた場合には、開閉検知手段が設けられていない装置奥側でカバーが装置本体にロックされていないにもかかわらず、装置手前側でカバーが装置本体にロックされていれば、開閉検知手段の検知結果に基づいて片ロック状態でないと判断されてしまい装置を動作させることが可能となる。そのため、装置本体に対してカバーの開閉検知手段が設けられた装置手前側だけがロックされた片ロック状態で、ユーザーが装置を使用してしまうといった問題が生じる。
【0009】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、装置本体に対して開閉部材が片ロック状態で、ユーザーが装置を使用することを抑制できる原稿搬送装置、並びに、その原稿搬送装置を備えた画像読取装置及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、画像読取装置による画像読取位置を原稿が通過するようにガイド部材によって形成された原稿搬送路と、前記原稿搬送路内で原稿を搬送させる搬送手段と、回転軸を中心に装置本体に対して開閉可能であり、装置本体に対して閉じた状態で前記原稿搬送路及び前記搬送手段を覆い隠す開閉部材と、回転軸軸方向一端側に設けられ前記開閉部材の開閉状態を検知する開閉検知手段と、回転軸軸方向で装置本体や前記開閉部材の中心位置を境にした両側2箇所それぞれで、装置本体に設けられた被係合部と前記開閉部材に設けられた係合部とを解除可能に係合することにより、装置本体に対して前記開閉部材を閉じた状態にロックするロック手段とを備えた原稿搬送装置において、装置本体に対して前記開閉部材を閉じる際に、前記開閉部材を閉じる方向に付勢する付勢手段を、装置本体の回転軸軸方向他端側に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の原稿搬送装置において、上記搬送手段は1対のローラ部材が接離可能に設けられた搬送ローラ対であり、装置本体に対して上記開閉部材を開く動作に連動して前記搬送ローラ対を離間させる、前記開閉部材に固設された係合部材と係合可能な被係合部材を有する回動可能なレバー部材を装置本体の回転軸方向他端側に設けており、上記付勢手段を上記レバー部材に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の原稿搬送装置において、上記付勢手段は弾性部材であり、上記レバー部材で上記搬送ローラ対を離間させる位置では該レバー部材を該搬送ローラ対を離間させるために回動する方向に付勢し、上記開閉部材を装置本体に対して閉じる際には該開閉部材を閉じる方向に付勢するように前記弾性部材を位置づけ、前記弾性部材の付勢力は装置本体に対して前記開閉部材を上記ロック手段でロックさせる際に必要な力以上であることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2または3の原稿搬送装置において、上記レバー部材は、一端に設けられたカム部が上記搬送ローラ対の一方のローラ軸を押圧して該搬送ローラ対を離間させるとともに、前記カム部に設けられた凹部に一方のローラ軸を嵌めて離間状態を保持することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項2、3または4の原稿搬送装置において、上記被係合部材は、上記レバー部材の回転平面に対して鉛直方向にスライド可能な状態で突出し、且つ、前記鉛直方向を軸方向として回動可能な円筒状突出部材であり、上記係合部材が前記被係合部材に対して上方から下方に向かうために接触したとき、前記被係合部材は回動しながらスライドして前記係合部材から退避することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項2、3、4または5の原稿搬送装置において、上記開閉部材の開閉動作に伴う上記係合部材の所定の移動軌跡内では該係合部材と上記被係合部材とが係合し、前記係合部材の所定の移動軌跡外では該係合部材と前記被係合部材とが離間することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項2、3、4、5または6の原稿搬送装置において、上記レバー部材に生じる衝撃を緩和する衝撃緩衝手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、原稿を搬送する原稿搬送手段と、前記原稿搬送手段によって搬送されてきた原稿の画像を読み取る読取手段とを備えた画像読取装置において、前記原稿搬送手段として、請求項1、2、3、4、5、6または7の原稿搬送装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、記録材に画像を形成する画像形成手段と、原稿に記録された画像を読み取る画像読み取り手段と、前記原稿を前記画像読み取り手段による原稿読み取り位置に搬送する原稿搬送手段とを備え、前記画像読み取り手段で読み取った画像を記録材に形成することで原稿を複写する画像形成装置において、前記原稿搬送手段として、請求項1、2、3、4、5、6または7の原稿搬送装置を用いたことを特徴とするものである。
【0011】
本発明においては、装置本体に対して開閉部材を閉じる際に、回転軸軸方向他端側すなわち回転軸軸方向で開閉検知手段とは反対側に設けた付勢手段によって開閉部材を閉じる方向に付勢する。これにより、開閉部材の回転軸軸方向他端側が付勢手段からの付勢力を受けて開閉部材が閉じる方向に回動するので、少なくとも前記付勢力を受けている開閉部材の回転軸軸方向他端側を閉じてロック手段によりロックすることができる。
一方、回転軸軸方向で開閉検知手段が設けられた側である回転軸軸方向一端側で開閉部材が閉じておらずロック手段によるロックがなされていない場合には、開閉部材の回転軸軸方向一端側が閉じていないことを開閉検知手段で検知することができる。よって、装置本体に対して開閉部材が片ロック状態で、ユーザーが装置を使用することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上、本発明によれば、装置本体に対して開閉部材が片ロック状態で、ユーザーが装置を使用することを抑制できるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】排紙ジャム処理機構の構成図。
【図2】実施形態に係る複写機の外観斜視図。
【図3】自動原稿搬送装置の断面図。
【図4】排紙ジャム処理機構の構成図。
【図5】カバーに対して回動可能に軸支された係合部の他例の説明図。
【図6】カバーに対して回動可能に軸支された係合部と装置本体の被係合部とが係合した状態を示す図。
【図7】装置本体に対してカバーが閉じている状態でのカバーの引っ掛け部やレバーの突起の近傍の拡大斜視図。
【図8】カバーを開放したときにカバーの引っ掛け部とレバーの突起とが係合した状態を示す図。
【図9】図8の状態からさらにカバーを開放しカバーの引っ掛け部がレバーの突起から外れた状態を示す図。
【図10】レバーの一端のカム部に形成された凹部と対向コロの軸とが係合した状態を示す図。
【図11】カバーの引っ掛け部とレバーの突起との動きを説明する図。
【図12】カバーの閉動作時にカバーの引っ掛け部がレバーの突起に当たった状態を示す図。
【図13】カバーの閉動作時にカバーの引っ掛け部とレバーの突起とが係合した状態を示す図。
【図14】カバーの閉動作時にレバーに生じる衝撃を緩和する衝撃緩衝手段であるショックアブソーバを設けた場合の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した画像形成装置である複写機、及びこれに搭載される原稿搬送装置の実施形態について具体的に説明する。
【0015】
図2は本実施形態に係る複写機の外観斜視図である。図2に示すように、本実施形態に係る複写機は、原稿を搬送する自動原稿搬送装置100と、原稿の画像を読み取る画像読取部を備えたスキャナ101と、スキャナ101により読み取られた原稿の画像を記録媒体たる記録紙に記録する画像形成ユニット102を備えている。
【0016】
自動原稿搬送装置100は、スキャナ101上に図示しない開閉機構(例えばヒンジ)を介して開閉自在に取り付けられ、スキャナ101は、画像形成ユニット102の上部に固定されている。
【0017】
また、この複写機は、画像形成ユニット102に様々なサイズの記録紙を供給するために多段に配設された給紙トレイ103を備えている。また、この複写機は、画像形成ユニット102により画像を形成された記録紙を排出する排紙トレイ104、ユーザーによる入力操作及びユーザーへの報知を行う報知手段たる操作部105等も備えている。
【0018】
なお、画像形成ユニット102の構成については、従来公知の電子写真方式、インクジェット方式等の方式を採用することができ、その詳細な説明は省略する。
【0019】
以下、本実施形態に係る原稿搬送装置の構成について説明する。図3は複写機に搭載される自動原稿搬送装置100の概略構成を示す構成図である。
【0020】
自動原稿搬送装置100には、原稿が複数枚重なって束となった原稿束Sが差し込んでセットされる原稿載置台1、原稿載置台1に原稿束Sがセットされたことを検知する原稿載置センサ2が設けられている。そして、この自動原稿搬送装置100は、セットされた原稿束Sを送り出すピックアップローラ3、ピックアップローラ3により送り出された原稿束Sを最上位から順次一枚ずつ分離して給紙するフィードローラ4と分離パッド5が設けられている。
【0021】
なお、本実施形態では、分離給紙手段としてフィードローラ4と分離パッド5を用いているが、分離パッドの代わりにリバースローラ等を用いてもよい。
【0022】
ピックアップローラ3は、通常、原稿載置台1と所定間隔をあけて待機しており、原稿載置台1に原稿束Sがセットされたことを原稿載置センサ2が検知し、且つ操作部105で読取開始の指示がされた場合に、待機位置から下降して原稿束Sの最上位面に接触する位置に移動するよう制御されている。
【0023】
フィードローラ4の原稿搬送方向下流側には、分離された一枚の原稿を後述する読取部30に向けて搬送する第一搬送路6が設けられている。
【0024】
第一搬送路6は、装置本体に対して開閉可能に構成される開閉部材たるカバー7と、固定部材である上ガイド8、下ガイド9との間に形成されるものである。この第一搬送路6には、フィードローラ4から給紙された原稿を読取部30まで搬送するプルアウトローラ対10a,10bや読取前ローラ対11a,11bを備えている。
【0025】
プルアウトローラ対10a,10bは、原稿の幅方向への傾き(スキュー)を補正したり、補正後の原稿を読取前ローラ対11a,11bまで搬送したりするためのローラである。
【0026】
また、この第一搬送路6には、読取前ローラ対11a,11bと読取部30との間に、読取前ローラ対11a,11bにて搬送されている原稿の先端と後端を検知する読取前センサ12が設置されている。読取前センサ12が原稿の先端を検知すると、読取部30において読取開始のタイミングが取られ、読取前センサ12が原稿の後端が検知すると、読取部30において読取終了のタイミングがとられる。
【0027】
なお、図中の各ローラ10,11は、単一の駆動源(一つのモータ)により駆動されているが、複数(2つ以上のモータ)を用いてもよい。
【0028】
読取部30の下流側には、読取部30を通過した原稿を原稿排紙口13に向けて搬送する第二搬送路14が設けられている。
【0029】
この第二搬送路14は、下ガイド9と排紙ガイド15との間に形成され、原稿排紙口13手前に排紙ローラ16a、これと対向する対向コロ16bを備えている。第二搬送路14の排紙ローラ対16の下流側には、原稿排紙口13から排紙された原稿をスタックする排紙トレイ17が設けられている。
【0030】
また、第二搬送路14の排紙ローラ対16の下流側には、第二搬送路14によって搬送された原稿をスイッチバックさせて、原稿後端から再び第一搬送路6に向けて搬送する第三搬送路18が設けられている。
【0031】
この第三搬送路18は、原稿載置台1の下部と、上ガイド8と、排紙トレイ17の上方に設けられた分岐爪19との間に形成されるものであり、その搬送路に反転ローラ対20a,20bを備えている。
【0032】
分岐爪19は、第二搬送路14によって搬送された原稿の搬送先を排紙トレイ17又は第三搬送路18に切り替えるように、揺動可能に支持されている。
【0033】
反転ローラ対20a,20bは、単独で正転と逆転を切り替えるための駆動手段を有しており、正転により原稿排紙口13から排紙された原稿を第三搬送路18に導入し、その後逆転して第三搬送路18内の原稿を第四搬送路21に搬送する。
【0034】
分岐爪19は、図中点線位置に切り替わることにより原稿排紙口13から排紙された原稿を第三搬送路18へ導き、原稿が第三搬送路18に導入されると、実線位置に切り替わることにより第三搬送路18でスイッチバックされた原稿を後端から第四搬送路21に導く。
【0035】
第四搬送路21は、上ガイド8と下ガイド9の間に形成されるものであり、第三搬送路18によってスイッチバックされた原稿を第一搬送路6に合流させる。
【0036】
スキャナ101は、原稿の画像を読み取るための画像読取位置となる読取部30を有している。読取部30は、光源、反射ミラー、CCD等の画像読取センサなどを有し、搬送される原稿に接触するようにスキャナ101のケーシング上壁に固定された図示しないコンタクトガラスの直下に配設されている。そして、自動原稿搬送装置100によって搬送される原稿が読取部30を通過する際に、読取部30は光源から発した光を原稿面で順次反射させながら、複数の反射ミラーを経由させて画像読取センサで受光する。これにより、読取部30は光源や反射ミラー等からなる光学系を移動させることなく、原稿を走査する。
【0037】
次に、原稿載置台に載置された原稿が排紙トレイに排出されるまでの原稿搬送装置の動作について説明する。
【0038】
<片面モード>
原稿載置台1に載置された原稿束Sの片面のみの複写を行う片面モードが設定された場合について説明する。
【0039】
片面モードが設定された状態で操作部105に設けられたスタートキーが押下されたとき、原稿載置センサ2からの検知信号により原稿載置台1上に原稿束Sがセットされているか否かがチェックされる。
【0040】
なお、原稿束Sは、読み取りを行う画像面が原稿載置台1上で上向きとなるように積載されている。
【0041】
原稿載置センサ2により原稿セットが検知されると、モータが正回転し、ピックアップローラ3が下降し原稿束Sに押圧されるとともに図中時計方向に回転し原稿を送りだす。
【0042】
ピックアップローラ3により第一搬送路6に送りだされた原稿は、フィードローラ4と分離パッド5にて順次一枚ずつ分離される。次いで、原稿の先端が読取前センサ12に検知されると、読取部30において読取開始タイミングがとられ、原稿の先端にあわせて読取が開始される。また、センサ12により原稿の後端が検知されると、読取部30において読取終了のタイミングがとられ、原稿の後端にあわせて読取が終了される。
【0043】
読取部30通過後の原稿は第二搬送路14を搬送されて、軸22aで回転可能に軸支された排紙ローラ16aと、軸22bで回転可能に軸支された対向コロ16bとからなる排紙ローラ対16により原稿排紙口13から排紙トレイ17に排紙されて、画像面を下に積載されていく。
【0044】
以下、原稿載置センサ2が原稿を検知しなくなるまで上述の動作を繰り返し行うことにより、原稿載置台1の原稿束Sについての片面原稿処理が終了する。
【0045】
なお、片面モードの時は分岐爪19が常に図中実線位置にある。各ローラを駆動する各モータは常に駆動されているが、プルアウトローラ対10a,10bの線速をフィードローラ4の線速に対して速く設定することで紙間を形成する。
【0046】
原稿束Sの読取が終了すると、モータが逆転しピックアップローラ3が上昇して待機位置に移動する。
【0047】
<両面モード>
原稿載置台1に載置された原稿束Sの両面の複写を行う両面モードが設定された場合について説明する。なお、原稿載置台1に載置された原稿束Sの上向きの面を表面といい、下向きの面を裏面という。
【0048】
両面モードが設定された状態で操作部105に設けられたスタートキーが押下されたとき、原稿載置センサ2からの検知信号により原稿載置台1上に原稿束Sがセットされているか否かがチェックされる。
【0049】
原稿載置センサ2により原稿セットが検知されると、モータが正回転し、ピックアップローラ3が下降し原稿束Sに押圧されるとともにピックアップローラ3が図中時計方向に回転し原稿を送りだす。ピックアップローラ3により第一搬送路6に送りだされた原稿は、フィードローラ4と分離パッド5にて順次一枚ずつ分離される。
【0050】
次いで、原稿の先端が読取前センサ12に検知されると、読取部30において読取開始のタイミングがとられ、原稿の先端にあわせて原稿表面の読取が開始される。また、原稿の先端が読取前センサ12で検知されると、分岐爪19は図中点線位置に移動し、反転ローラ20a,20bは正転方向(図中時計回り方向)に回転する。さらに原稿の先端が読取前センサ12で検知されると、ピックアップローラ3及びフィードローラ4は、クラッチなどにより駆動が解除され、次原稿を給紙せずに待機しておく。
【0051】
そして、原稿の後端が読取前センサ12により検知されると、読取終了のタイミングがとられ、原稿の後端にあわせて読取が終了される。その後、原稿は原稿排紙口13から図中点線位置にある分岐爪19上の第三搬送路18に搬送される。
【0052】
読取前センサ12からある時間T後(原稿後端が原稿排紙口13を完全に抜けるだけの時間を経過した後)に、分岐爪19は図中点線位置から実線位置に切り替わり、反転ローラ20aは逆転方向(図中反時計回り方向)に回転し、原稿を第四搬送路21へ導く。
【0053】
次いで、第四搬送路21に進入した原稿は第一搬送路6へ送り込まれる。そして原稿の先端がセンサ12に検知されると、表面の読み取りと同様に、原稿の裏面の読取動作が行われる。
【0054】
また読取前センサ12が原稿の先端を検出すると、再び分岐爪19は図中実線位置から点線位置に移動し、反転ローラ20aは正転方向に回転させる。この時、読取前ローラ11aと反転ローラ20aとは相反する方向へ回転しているが、反転ローラ20a軸上にトルクリミッタを設けることにより、読取前ローラ11aに従うようになっている。
【0055】
裏面の読取動作が終了した原稿は、再び第二搬送路14及び第三搬送路18に搬送されてスイッチバックされ、第四搬送路21から第一搬送路6へ送り込まれるが、このとき読取動作は行わない。
【0056】
また、センサ12により原稿の先端が検知されても、分岐爪19は実線位置の状態のままにすることで、原稿は表面を下向きにして排紙トレイ17に排紙される。
【0057】
原稿後端の3回目の通過がセンサ12によって検知された時点で、原稿載置センサ2が原稿を検知していたとき、次原稿の給紙動作が行われる。
【0058】
以下、原稿載置センサ2が原稿を検知しなくなるまで上述の動作を繰り返し行うことにより、原稿載置台1の原稿束Sについての両面原稿処理が終了する。
【0059】
片面モード同様にすべての原稿束Sの読取が終了すると、モータが逆転しピックアップローラ3が上昇して待機位置に移動する。
【0060】
図1は排紙ジャム処理機構の側面図であり、図4は排紙ジャム処理機構の斜視図である。 図1や図4に示すように、自動原稿搬送装置100の排紙ローラ16aには、対向コロ16bに軸装される軸22bがスプリング23によって付勢されることにより対向コロ16bが圧接している。
【0061】
カバー7の先端部には装置本体に対してカバー7をロックさせるための係合部である爪26a,26bが装置手前側と装置奥側に設けられており、それら装置手前側と装置奥側それぞれの爪26a,26bに対応させてそれら爪26a,26bと係合する被係合である突起部材80a,80bが装置本体に設けられている。装置本体に対してカバー7をロックする際には、装置本体に対してカバー7を閉じていき爪26a,26bと突起部材80a,80bとが当接して爪26a,26bが突起部材80a,80bで押されることにより爪26a,26bが撓んで突起部材80a,80bを乗り越えることにより、爪26a,26bの鉤部と突起部材80a,80bとが係合し装置本体に対してカバー7がロックされる。一方、装置本体に対するカバー7のロックを解除する際には、突起部材80a,80bから爪26a,26bが離れる方向にカバー7を撓ませながら装置本体に対してカバー7を開け、突起部材80a,80bから爪26a,26bの鉤部を外すことで行われる。
【0062】
なお、カバー7の係合部としては前述した爪26に限らず、例えば図5に示すようなカバー7に回動可能に軸75で軸支された爪126を用いても良い。爪126はバネ76によって図中反時計回り方向に付勢されている。装置本体に対してカバー7を閉じていき、爪126と突起部材80とが当接して爪126が突起部材80で押されることにより、爪126がバネ76の付勢力に抗して図中時計回り方向に回動し突起部材80を乗り越える。その後、バネ76の付勢力により爪126が図中反時計回り方向に回動することで、図6に示すように爪126の鉤部と突起部材80とが係合し、装置本体に対してカバー7をロックされる。一方、装置本体に対するカバー7のロックを解除する際には、図6に示した状態から爪160をバネ76の付勢力に抗して図中時計回り方向に回動させ、突起部材80から爪126の鉤部を外すことで行われる。
【0063】
また、装置本体にはカバー7の開閉状態を検知するセンサ40が設置されており、カバー7の内部表面に設けられたフィラー71がセンサ40を遮光した場合にカバー7を閉検知し、フィラー71がセンサ40から離れたときにカバー7を開検知する。
【0064】
また、この自動原稿搬送装置は、この排紙ローラ16aと対向コロ16bとを離間させ圧接状態を解除する圧接解除手段たるレバー24を備えている。このレバー24は、センサ40に対して搬送経路をはさんで反対側に設置されており、レバー24の中央部に設けられた軸24aが図示しない装置本体の側壁に軸装されて回動可能に構成される。
【0065】
レバー24の一端はカム形状に形成されたカム部24cとなっており、対向コロ16bの軸22bに当接している。レバー24のもう一方の他端には、嵌合穴に被係合部材たる円筒状の突起25が嵌合している。このレバー24の他端に嵌合する突起25は、レバー24の回転平面に対して鉛直方向(図11中矢印C方向)にスライド可能な状態で突出し、且つ、鉛直(スライド)方向を軸方向として回動可能な状態である。
【0066】
一方、カバー7には、このレバー24に設けられた突起25と係合可能な引っ掛け部72が設けられ、軸7aを支点とするカバー7の開閉動作に連動してレバー24が回動可能な構成となっている。
【0067】
上記構成の自動原稿搬送装置100において、カバー7が閉塞状態にある場合には、レバー24の一端のカム部24cにおいて軸24aから円周までの距離が短い部分が対向コロ16bの軸22bに当接している。これにより、対向コロ16bはスプリング23により付勢され、所定のニップ圧で排紙ローラ16aに圧接している。
【0068】
また、カバー7の閉塞状態では、カバー7の引っ掛け部72がレバー24の他端に設けられた突起25の下方に位置している。
【0069】
なお、本実施形態では、対向コロ16bの軸22bに圧を与えているスプリング23が装置本体の固定部材に取り付けられ、後述するジャム処理時にバネを押して対向コロ16bを離間させる方式である。
【0070】
上記構成の自動原稿搬送装置100において、第一搬送路6〜第四搬送路21で紙が詰まるジャムが発生した場合には、ジャム処理を行うために、カバー7を開放する。カバー7を開くと、プルアウトローラ対10a,10bや読取前ローラ対11a,11bは互いに大きく離間して露出する。一方、排紙ローラ16aと対向コロ16bは、カバー7の開放動作に連動して圧接状態が解除される。本実施形態では、カバー7の開放動作によりジャム処理を行うので、原稿載置台に原稿束Sが残っていてもジャム処理を行うことができる。
【0071】
以下、排紙ローラ対16の圧接解除の動作について具体的に説明する。
図7は装置本体に対してカバー7が閉じている状態でのカバー7の引っ掛け部72やレバー24の突起25の近傍の拡大斜視図である。図8はカバー7を開放したときにカバー7の引っ掛け部72とレバー24の突起25とが係合した状態を示す図である。図9は図8の状態からさらにカバー7を開放しカバー7の引っ掛け部72がレバー24の突起25から外れた状態を示す図である。
【0072】
カバー7を軸7aを支点として図8中矢印A方向に動かして開放しようとすると、カバー7の閉塞状態ではカバー7の引っ掛け部72がレバー24の突起25に引っかかっているため、その動きに連動してレバー24が図8中B方向に回動する。
【0073】
レバー24が回転すると、レバー24の一端のカム部24cにおいて、対向コロ16bの軸22bに当接する円周部分の回転軸からの距離が大きくなり、対向コロ16bの軸22bが押し下げられ、排紙ローラ16aと対向コロ16bとの圧接が解除される。
【0074】
また、カバー7を開放するとき、突起25はスライド方向を軸方向として回動するようになっている。これにより、レバー24の回動に伴う突起25とカバー7の引っ掛け部72との摩擦を低減し、カバー7の開閉動作に伴う操作力を低減させることができる。
【0075】
また、図8に示す状態からさらにカバー7を開放すると、カバー7に設けられた引っ掛け部72とレバー24に設けられた突起25との回動軌跡の違いにより、カバー7の引っ掛け部72が突起25から自然に外れる。これにより、レバー24の可動範囲に関わらず、カバー7をジャム処理時に大きく開放することができ、ジャム処理を行いやすくすることができる。
【0076】
またこの動作の途中、レバー24に設けられた弾性部材であるスプリング50がレバー24に与える力が切り替わるポイントがあり、そのポイントを越えるとスプリング50はカバー7を閉じる際に働く方向とは逆方向にレバー24を回転させる方向に付勢する。
【0077】
図10はレバー24の一端のカム部24cに形成された凹部24bと、対向コロ16bの軸22bとが係合した状態を示す図である。
【0078】
レバー24の一端のカム部24cには、対向コロ16bの軸22bが係合するべく凹部24bが形成されている。カバー7の開放動作に連動してレバー24が回動し、レバー24のカム部24cが対向コロ26bの軸22bを押し下げるが、押し下げた対向コロ16bの軸22bがこの凹部24bにはまることで、レバー24の回転が止まり、排紙ローラ16aと対向コロ16bとの圧接解除状態を保持できるようになっている。
【0079】
図11はカバー7の引っ掛け部72とレバー24の突起25との動きを説明する図である。
【0080】
一方、ジャム処理を終えてカバー7を閉じると、引っ掛け部72がレバー24の突起25に当たる。この際、レバー24の突起25は回転平面に対して鉛直方向にスライド可能な状態で突出しており、引っ掛け部72が突起25に対して上方から下方に向かうために接触したとき、突起25はスライドしてカバー7の引っ掛け部72から退避し、カバー7の引っ掛け部72はレバー24の突起25よりも下方に位置することになる。引っ掛け部72が突起25を越え終えると、突起25は再度スライドして元に突出し位置にもどる。
【0081】
図12はカバー7の閉動作時にカバー7の内部表面がレバー24に当たった状態を示す図である。図13はカバー7の閉動作時にカバー7の引っ掛け部72とレバー24の突起25とが係合した状態を示す図である。
【0082】
装置本体に対してカバー7を閉じる方向である図12中矢印D方向にカバー7を回動させる閉動作によって、所定の位置でカバー7の内部表面がレバー24に当たり、レバー24は元の位置に戻る方向である図12中矢印E方向に回動する。このとき、レバー24に設けられたスプリング50による付勢力の働く方向が切り替わり、レバー24にはその回動方向の付勢力が働く。
【0083】
そして、レバー24の突起25がカバー7の引っ掛け部72と係合し、レバー24はカバー7を閉じる方向に付勢する。この際の付勢力は、装置本体の突起部材80aの位置まで爪26aが到達するようにカバー7を閉じる方向に回動させるだけではなく、爪26aが突起部材80aを乗り越えて爪26aの鉤部と突起部材80aとが係合するのに必要な力以上に設定されている。これにより、ユーザーが力を入れてカバー7を閉じなくても、レバー24側に設けられたカバー7の爪26aを前記付勢力によって装置本体の突起部材80aに係合させることができる。
【0084】
図14はカバー7の閉動作時にレバー24に生じる衝撃を緩和する衝撃緩衝手段であるオイルダンパ92を設けた場合の構成図である。
【0085】
図14されるようにレバー24がジャム処理の状態から元の位置に戻る際にレバー24の一部がギヤ91などを介してオイルダンパ92などのショックアブソーバと接するような構成とすれば、レバー24が戻る際のショックを和らげることができる。
【0086】
装置本体のセンサ40が設けられた装置奥側では、カバー7を閉じる方向に付勢するスプリングなどの付勢手段が無いため、カバー7の装置奥側が装置本体にロックされずカバー7の装置手前側だけがロックされた片ロックが生じる虞がある。しかしながら、センサ40によってカバー7の装置奥側の開閉状態を検知できるので、カバー7の装置奥側がロックされずカバー7の装置手前側だけがロックされた片ロックが生じた場合でも、センサ40の検知結果に基づいて操作部105でカバー7が片ロック状態であることを報知し、ユーザーにカバー7が片ロック状態であることを知らせることができる。これにより、カバー7が片ロック状態のまま、ユーザーが誤って装置を使用してしまうことを抑制することができる。よって、装置本体に対してカバー7が完全にロックした状態で、ユーザーは装置を使用することができる。
【0087】
なお、カバー7が片ロック状態である場合に、センサ40の検知結果に基づいて装置が動作しないようにすることで、より確実にユーザーが片ロック状態で装置を使用してしまうことを抑制することができる。
【0088】
以上、本実施形態によれば、画像読取装置であるスキャナ101による画像読取位置を原稿が通過するようにガイド部材によって形成された原稿搬送路と、原稿搬送路内で原稿を搬送させる搬送手段である排紙ローラ対16と、回転軸である軸7aを中心に装置本体に対して開閉可能であり、装置本体に対して閉じた状態で前記原稿搬送路及び搬送ローラ対16を覆い隠す開閉部材であるカバー7と、回転軸軸方向一端側である装置奥側に設けられカバー7の開閉状態を検知するセンサ40とフィラー71とからなる開閉検知手段と、回転軸軸方向で装置本体やカバー7の中心位置を境にした両側2箇所それぞれで、装置本体に設けられた被係合部である突起部材80a,80bとカバー7に設けられた係合部である爪26a,26bとを解除可能に係合することにより、装置本体に対してカバー7を閉じた状態にロックするロック手段とを備えた原稿搬送装置において、装置本体に対してカバー7を閉じる際に、カバー7を閉じる方向に付勢する付勢手段であるスプリング50を、装置本体の回転軸軸方向他端側である装置手前側に設けた。本実施形態では、装置本体に対してカバー7を閉じる際に、装置手前側すなわち回転軸軸方向で開閉検知手段とは反対側に設けたスプリング50によってカバー7を閉じる方向に付勢する。これにより、カバー7の装置手前側がスプリング50からの付勢力を受けてカバー7が閉じる方向に回動するので、少なくとも前記付勢力を受けているカバー7の装置手前側を閉じてロック手段によりロックすることができる。一方、回転軸軸方向で開閉検知手段が設けられた側である装置奥側でカバー7が閉じておらずロック手段によるロックがなされていない場合には、カバー7の装置奥側が閉じていないことを開閉検知手段で検知することができる。よって、装置本体に対してカバー7が片ロック状態で、ユーザーが装置を使用することを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、搬送ローラ対16は1対のローラ部材が接離可能に設けられたものであり、装置本体に対してカバー7を開く動作に連動して排紙ローラ対16を離間させる、カバー7に固設された係合部材である引っ掛け部72と係合可能な被係合部材である突起25を有する回動可能なレバー部材であるレバー24を装置本体の回転軸方向他端側である装置手前側に設けており、スプリング25をレバー24に設けたことで、レバー24がジャム処理の状態から元の位置に戻る際にレバー24でカバー7を閉じる方向に付勢することができる。
また、本実施形態によれば、上記付勢手段は弾性部材であるスプリング50であり、レバー24で排紙ローラ対16を離間させる位置ではレバー24を排紙ローラ対16を離間させるために回動する方向に付勢し、カバー7を装置本体に対して閉じる際にはカバー7を閉じる方向に付勢するようにスプリング50を位置づけ、スプリング50の付勢力は装置本体に対してカバー7をロック手段によりロックさせる際に必要な力以上である。これにより、レバー24の付勢方向を決め、カバー7を確実にロックさせることができる。
また、本実施形態によれば、レバー24は、一端に設けられたカム部24cが排紙ローラ対16の一方のローラ軸である軸22bを押圧して排紙ローラ対16を離間させるとともに、カム部24cに設けられた凹部24bに軸22bを嵌めて離間状態を保持することで、ジャム処理状態の位置を保つことができる。
また、本実施形態によれば、突起25は、レバー24の回転平面に対して鉛直方向にスライド可能な状態で突出し、且つ、前記鉛直方向を軸方向として回動可能な円筒状突出部材であり、突起25が引っ掛け部72に対して上方から下方に向かうために接触したとき、突起25は回動しながらスライドして引っ掛け部24から退避する。これにより、カバー7を閉じる際にカバー7の引っ掛け部72がレバー24の突起25に当たってカバー7を閉じることができなくなることなく、レバー24の突起25がスライドして引っ掛け部72から退避することでカバー7を閉じることができる。
また、本実施形態によれば、カバー7の開閉動作に伴う引っ掛け部72の所定の移動軌跡内では引っ掛け部72と突起25とが係合し、引っ掛け部72の所定の移動軌跡外では引っ掛け部72と突起25とが離間することで、カバー7をレバー24の可動範囲にかかわらず、大きく開放することができ、ユーザーに新たな動作を加えることなく機能をもたすことができる。
また、本実施形態によれば、レバー24に生じる衝撃を緩和する衝撃緩衝手段であるオイルダンパ92を設けたことで、レバー24がカバー7を閉じる方向に付勢した際のレバー24のショックを和らげることができる。
【符号の説明】
【0089】
1 原稿載置台
2 原稿載置センサ
3 ピックアップローラ
4 フィードローラ
5 分離パッド
6 第一搬送路
7 カバー
7a 軸
8 上ガイド
9 下ガイド
10 プルアウトローラ対
11 読取前ローラ
12 読取前センサ
13 原稿排紙口
14 第二搬送路
15 排紙ガイド
16 排紙ローラ対
16a 排紙ローラ
16b 対向コロ
17 排紙トレイ
18 第三搬送路
19 分岐爪
20a 反転ローラ
21 第四搬送路
22a 軸
22b 軸
23 スプリング
24 レバー
24a 軸
24b 凹部
24c カム部
25 突起
26 爪
26b 対向コロ
30 読取部
40 センサ
71 フィラー
72 引っ掛け部
75 軸
76 バネ
80 突起部材
91 ギヤ
92 オイルダンパ
100 自動原稿搬送装置
101 スキャナ
102 画像形成ユニット
103 給紙トレイ
104 排紙トレイ
105 操作部
126 爪
【先行技術文献】
【特許文献】
【0090】
【特許文献1】特開2000−128388号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取装置による画像読取位置を原稿が通過するようにガイド部材によって形成された原稿搬送路と、
前記原稿搬送路内で原稿を搬送させる搬送手段と、
回転軸を中心に装置本体に対して開閉可能であり、装置本体に対して閉じた状態で前記原稿搬送路及び前記搬送手段を覆い隠す開閉部材と、
回転軸軸方向一端側に設けられ前記開閉部材の開閉状態を検知する開閉検知手段と、
回転軸軸方向で装置本体や前記開閉部材の中心位置を境にした両側2箇所それぞれで、装置本体に設けられた被係合部と前記開閉部材に設けられた係合部とを解除可能に係合することにより、装置本体に対して前記開閉部材を閉じた状態にロックするロック手段とを備えた原稿搬送装置において、
装置本体に対して前記開閉部材を閉じる際に、前記開閉部材を閉じる方向に付勢する付勢手段を、装置本体の回転軸軸方向他端側に設けたことを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項2】
請求項1の原稿搬送装置において、
上記搬送手段は1対のローラ部材が接離可能に設けられた搬送ローラ対であり、
装置本体に対して上記開閉部材を開く動作に連動して前記搬送ローラ対を離間させる、前記開閉部材に固設された係合部材と係合可能な被係合部材を有する回動可能なレバー部材を装置本体の回転軸方向他端側に設けており、
上記付勢手段を上記レバー部材に設けたことを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項3】
請求項2の原稿搬送装置において、
上記付勢手段は弾性部材であり、
上記レバー部材で上記搬送ローラ対を離間させる位置では該レバー部材を該搬送ローラ対を離間させるために回動する方向に付勢し、上記開閉部材を装置本体に対して閉じる際には該開閉部材を閉じる方向に付勢するように前記弾性部材を位置づけ、
前記弾性部材の付勢力は装置本体に対して前記開閉部材を上記ロック手段でロックさせる際に必要な力以上であることを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項4】
請求項2または3の原稿搬送装置において、
上記レバー部材は、一端に設けられたカム部が上記搬送ローラ対の一方のローラ軸を押圧して該搬送ローラ対を離間させるとともに、前記カム部に設けられた凹部に一方のローラ軸を嵌めて離間状態を保持することを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項5】
請求項2、3または4の原稿搬送装置において、
上記被係合部材は、上記レバー部材の回転平面に対して鉛直方向にスライド可能な状態で突出し、且つ、前記鉛直方向を軸方向として回動可能な円筒状突出部材であり、
上記係合部材が前記被係合部材に対して上方から下方に向かうために接触したとき、前記被係合部材は回動しながらスライドして前記係合部材から退避することを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項6】
請求項2、3、4または5の原稿搬送装置において、
上記開閉部材の開閉動作に伴う上記係合部材の所定の移動軌跡内では該係合部材と上記被係合部材とが係合し、前記係合部材の所定の移動軌跡外では該係合部材と前記被係合部材とが離間することを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項7】
請求項2、3、4、5または6の原稿搬送装置において、
上記レバー部材に生じる衝撃を緩和する衝撃緩衝手段を設けたことを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項8】
原稿を搬送する原稿搬送手段と、
前記原稿搬送手段によって搬送されてきた原稿の画像を読み取る読取手段とを備えた画像読取装置において、
前記原稿搬送手段として、請求項1、2、3、4、5、6または7の原稿搬送装置を用いたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
記録材に画像を形成する画像形成手段と、
原稿に記録された画像を読み取る画像読み取り手段と、
前記原稿を前記画像読み取り手段による原稿読み取り位置に搬送する原稿搬送手段とを備え、
前記画像読み取り手段で読み取った画像を記録材に形成することで原稿を複写する画像形成装置において、
前記原稿搬送手段として、請求項1、2、3、4、5、6または7の原稿搬送装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−226173(P2012−226173A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94466(P2011−94466)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】