説明

原稿搬送装置

【課題】 簡単な構成で手指の挟み込みを防止するとともに、装置の小型化も同時に実現する原稿搬送装置を提供する。
【解決手段】 原稿給紙トレイ29は、原稿カバー30に対し上下に回動可能に構成されており、原稿給紙トレイ29の左右両端部の回動支点付近には、原稿給紙トレイ29と原稿排出トレイ31との隙間を覆うように遮蔽板2が設けられている。これにより、回動支点付近に不用意に手を差し入れても、遮蔽板2により原稿給紙トレイ29と原稿排出トレイ31との隙間が遮蔽されているため、原稿給紙トレイ29を持ち上げている手を離した時に手指を挟んで怪我をするおそれがなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられ、シート原稿を画像形成装置の画像読取部に順次搬送する原稿搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真プロセスを用いた複写機等の画像形成装置には、シート状の原稿を露光するために順次原稿載置台へ送り込み、露光終了後に原稿載置台上から排出するような原稿搬送装置を備えたものがある。図8は、従来の原稿搬送装置の構成を示す概略断面図である。図8において、原稿搬送装置27は、大きくは、供給される原稿を整合して積載する原稿ガイド29aを備えた原稿給紙トレイ29と、原稿載置台25における画像読取位置Rの上方に位置し原稿給紙トレイ29が突設された原稿カバー30と、この原稿カバー30の側方で原稿押さえ28の上面の一部に直付けで形成された原稿排出トレイ31とから成り、原稿給紙トレイ29から原稿カバー30内を経て原稿排出トレイ31に至る原稿搬送路dが形成されている。
【0003】
原稿カバー30内には、原稿搬送路dに沿って上流側から順に、ピックアップローラ32、搬送ローラ対33、レジストローラ対34、及び排出ローラ対35から成る原稿搬送手段が設けられている。これらのうちで搬送ローラ対33は、駆動ローラ33aと分離ローラ33bとから構成されていて、分離ローラ33bは回転負荷が所定トルクを下回る場合のみ駆動ローラ33aと逆方向に回転し、回転負荷が所定トルクを上回る場合には駆動ローラ33aと従動回転するようになっている。
【0004】
レジストローラ対34と排出ローラ対35の間には、原稿載置台25における画像読取位置Rに対向して表出したシェーディング補正用の白基準板36と、白基準板36の背後にあって白基準板36を画像読取位置Rに向けて押圧するための原稿押圧部36aと、が設けられている。なお、原稿搬送路dは搬送ローラ対33から画像読取位置Rに至る間において反転するように湾曲している。
【0005】
また、原稿搬送路dには、原稿の存否を検知するための複数のセンサが適所に設けられている。例えば、原稿給紙トレイ29の中央部には原稿検知センサS1が、搬送ローラ対33の下流側には給紙センサS2が、排出ローラ対35の下流側には排出センサS3が、それぞれ設けられている。
【0006】
このような原稿搬送装置においては、原稿排出トレイ31上の原稿を取り出し易くするとともに原稿搬送装置27の全高を低く抑えるため、図9のように、原稿給紙トレイ29は原稿カバー30の回動支点30aを中心に上下に回動可能に構成されている。ユーザは原稿給紙トレイ29を片手で持ち上げた状態で、他方の手で原稿排出トレイ31上に排出された原稿を取り出すこととなる。そのため、原稿を取り出す方の手を回動支点30a付近に不用意に差し入れると、原稿給紙トレイ29を持ち上げている手を離した時に手指を挟んで怪我をするおそれがあった。
【0007】
手指の挟み込みを防止する方法としては、例えば特許文献1には、スライドレール上を原稿台が移動する原稿台移動式複写機において、原稿台の外れを防止するストッパーを原稿台の内側に設けることにより、原稿台の移動時における指の挟み込みを防止する方法が開示されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1の方法は、スライドレール上を水平に移動する原稿台に対しては挟み込み防止効果が期待できるが、原稿給紙トレイ29が回動支点30aを中心として上下に回動する図9のような原稿搬送装置には適用できなかった。また、原稿給紙トレイ29と原稿排出トレイ31との間に予め所定のスペースを確保しておくことも考えられるが、原稿搬送装置の全高が高くなるため、画像形成装置の小型化、コンパクト化の観点から好ましいものではなかった。
【特許文献1】特開平5−142668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑み、簡単な構成で手指の挟み込みを防止するとともに、装置の小型化も同時に実現する原稿搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、シート状の原稿が積載される原稿給紙トレイと、該原稿給紙トレイの下方に間隔を隔てて配設される原稿排出トレイと、前記原稿給紙トレイ上に載置された原稿を原稿搬送経路に沿って順次搬送して前記原稿排出トレイ上に排出する原稿搬送手段と、前記原稿搬送手段を保護するとともに前記原稿給紙トレイが突設される原稿カバーと、を備え、前記原稿給紙トレイの左右両端部が前記原稿カバーに上下に回動可能に支持されて成る原稿搬送装置において、前記原稿給紙トレイの回動支点付近に、前記原稿給紙トレイと前記原稿排出トレイとの隙間を覆う遮蔽板を設けたことを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成の原稿搬送装置において、前記遮蔽板は、前記原稿給紙トレイが最も上方に回動した状態で前記隙間を遮蔽可能となるように前記原稿給紙トレイの少なくとも装置前面側に固定されており、前記原稿排出トレイには、前記原稿給紙トレイの下方向への回動に伴い前記遮蔽板が挿入される抜き穴を設けたことを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成の原稿搬送装置において、前記遮蔽板は、前記原稿給紙トレイの少なくとも装置前面側に固定される第1遮蔽板と、前記第1遮蔽板に重なるように前記原稿排出トレイ又は前記原稿カバー側に固定される第2遮蔽板とから構成され、前記第1遮蔽板若しくは前記第2遮蔽板のいずれか一方には、前記原稿給紙トレイの回動方向に沿って円弧状の窓部が設けられ、他方には、前記窓部に係合するピンが固定されることを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成の原稿搬送装置において、前記遮蔽板は、軟質材料で形成されることを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成の原稿搬送装置において、前記遮蔽板は、前記原稿カバーの一部を用いて形成されることを特徴としている。
【0015】
また本発明は、上記構成の原稿搬送装置において、前記原稿給紙トレイ上の左右両側には、供給される原稿を整合して積載する原稿ガイドが設けられており、前記原稿カバーの前記原稿ガイドに対向する部分には、前記原稿ガイドを操作するための凹部を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の構成によれば、原稿給紙トレイの回動支点付近に、原稿給紙トレイと原稿排出トレイとの隙間を覆う遮蔽板を設けたことにより、回動支点付近に手指が入り込むのを防ぐことができ、原稿給紙トレイを持ち上げて原稿排出トレイ上に排出された原稿を取り出す際、不意に原稿給紙トレイから手を離しても、原稿を取り出す方の手を挟んで怪我をするおそれがなくなる。
【0017】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の原稿搬送装置において、原稿給紙トレイが最も上方に回動した状態で隙間を遮蔽可能となるように遮蔽板を原稿給紙トレイの少なくとも装置前面側に固定するとともに、原稿排出トレイには、原稿給紙トレイの下方向への回動に伴い遮蔽板が挿入される抜き穴を設けたことにより、原稿給紙トレイの角度によらず回動支点付近の隙間を確実に遮蔽して手指の進入を防止でき、さらに原稿給紙トレイの回動に伴い遮蔽板が原稿排出トレイ内へ収納されるため、通常の使用時に遮蔽板が邪魔にならない。
【0018】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1の構成の原稿搬送装置において、遮蔽板を、原稿給紙トレイの少なくとも装置前面側に固定される第1遮蔽板と、第1遮蔽板に重なるように原稿排出トレイ又は原稿カバー側に固定される第2遮蔽板とで構成し、第1遮蔽板若しくは第2遮蔽板のいずれか一方には、原稿給紙トレイの回動方向に沿って円弧状の窓部を設け、他方には、窓部に係合するピンを固定することにより、原稿給紙トレイの角度によらず回動支点付近の隙間を確実に遮蔽するとともに、窓部をガイドとして2枚の遮蔽板がスライドするため、原稿排出トレイに抜き穴を設ける必要がなくなる。
【0019】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1乃至第3の構成の原稿搬送装置において、遮蔽板を軟質材料で形成することにより、原稿を取り出す際に手指が勢いよく遮蔽板に当たっても怪我をするおそれがない。
【0020】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1の構成の原稿搬送装置において、遮蔽板を原稿カバーの一部を用いて形成することにより、別途遮蔽板を付設する必要がないため、部品点数、組み立て工数を削減して原稿搬送装置の低コスト化に貢献する。
【0021】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第5の構成の原稿搬送装置において、原稿給紙トレイ上の左右両側に原稿ガイドが設けられている場合、原稿カバーの原稿ガイドに対向する部分に、原稿ガイドを操作するための凹部を設けることにより、原稿ガイドの調整が容易になるとともに、原稿ガイドの操作時に原稿給紙トレイと原稿カバーとの間に指を挟むおそれがなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は第1実施形態の原稿搬送装置の外観構成を示す斜視図である。従来例の図8、図9と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。図1において、原稿給紙トレイ29の左右両端部の回動支点30a(図9参照)付近には遮蔽板2が設けられており、原稿給紙トレイ29と原稿排出トレイ31との隙間を覆っている。なお、図1では左側の遮蔽板2のみ記載している。
【0023】
遮蔽板2は、少なくとも装置前面側(図1の左側)に設けておけば、装置前側から原稿排出トレイ31上に排出された原稿を取り出す際、手を回動支点30a付近に差し入れて挟まれるのを防止することができる。しかし、画像形成装置の設置状況によっては、装置後側からも原稿排出トレイ31上の原稿の取り出しが可能な場合もあるため、原稿給紙トレイ29の左右両側に遮蔽板2を設けておくことがより好ましい。
【0024】
図2は本実施形態の原稿搬送装置の側面図である。図2に示すように、遮蔽板2は略扇状に形成された第1遮蔽板2aと、第2遮蔽板2bの2枚から構成されており、第1遮蔽板2aは原稿給紙トレイ29の側面に固定され、第2遮蔽板2bは第1遮蔽板2aと重なるように原稿カバー30の内面に固定されている。原稿給紙トレイ29が上下に回動すると、第1遮蔽板2aと第2遮蔽板2bとがスライドし、原稿給紙トレイ29の角度に係わらず原稿給紙トレイ29と原稿排出トレイ31との隙間を確実に遮蔽する。
【0025】
本実施形態に用いられる遮蔽板2の構成を、図3を用いて詳細に説明する。図3(a)は、原稿搬送装置の回動支点付近の構成を示す拡大図であり、図3(b)、(c)は、図3(a)の矢印B方向から見た矢視図である。原稿給紙トレイ29の側面に固定された第1遮蔽板2aには、原稿給紙トレイ29の回動方向(矢印A方向)に沿って円弧状の窓部3が設けられている。一方、原稿カバー30の内面に固定された第2遮蔽板2bには、第1遮蔽板2aの窓部3に係合する位置にピン4が突設されている。
【0026】
原稿搬送時においては、原稿給紙トレイ29は最下方に位置しており、図3(b)のように2枚の遮蔽板2a、2bの大部分は重なり合っている。このとき、ピン4は窓部3の最上部に位置している。いま、排出された原稿を取り出すために原稿給紙トレイ29を上方に回動させると、第1遮蔽板2aも原稿給紙トレイ29と共に上方に移動するため、図3(c)のように2枚の遮蔽板2a、2bは大幅にずれる。しかし、ピン4は係合状態を保持しながら窓部3内を下方に移動するため、第1遮蔽板2aは第2遮蔽板から脱離することはない。
【0027】
この構成とすることにより、原稿を取り出す方の手を回動支点30a付近に不用意に差し入れても、第1遮蔽板2a及び第2遮蔽板2bにより原稿給紙トレイ29と原稿排出トレイ31との隙間が遮蔽されているため、原稿給紙トレイ29を持ち上げている手を離した時に手指を挟んで怪我をするおそれがなくなる。
【0028】
遮蔽板2の材質としては特に制限はなく、合成樹脂、金属等の種々の材質を用いることができるが、遮蔽板2の材質に金属等の硬い材料を用いた場合、原稿排出トレイ31上の原稿を取り出す際に、手指が勢いよく遮蔽板2に当たった場合に怪我をすることも考えられる。そのため、遮蔽板2はゴムやウレタン等の軟質材料で形成しておくことがより好ましい。また、遮蔽板2の形状や大きさについても、原稿給紙トレイ29の大きさや回動可能な角度に応じて任意に設定することができるが、遮蔽板2の材質が軟質材料でない場合は、手指が当たっても痛くないように原稿排出方向の端部は角部のない曲面状に形成しておくことが好ましい。
【0029】
本実施形態においては、原稿給紙トレイ29に固定された第1遮蔽板2aに窓部3を設け、原稿カバー30に固定された第2遮蔽板2bにピン4を設けているが、第1遮蔽板2aにピン4を設け、第2遮蔽板2bに窓部3を設けても良い。また、第2遮蔽板2bを原稿搬出トレイ31に固定することもできる。なお、図2、図3では原稿排出方向から見て左側の構成についてのみ説明したが、右側についても全く同様に説明される。
【0030】
図4は、本発明の第2実施形態に係る原稿搬送装置の側面図である。図2と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態においては、第1実施形態に比べて大型の遮蔽板2が原稿給紙トレイ29に固定されており、原稿カバー30及び原稿排出トレイ31には遮蔽板2は設けられていない。また、遮蔽板2には窓部3及びピン4のいずれも設けられていない。
【0031】
図5は、図4の矢印B方向から見た第1遮蔽板2a付近の拡大図である。図5(a)は、原稿給紙トレイ29が最下方に位置している状態を示す。このとき、遮蔽板2の下部は原稿排出トレイ31に設けられた抜き穴31aに挿入されている。図5(a)の状態から原稿給紙トレイ29を上方に回動させると、遮蔽板2も原稿給紙トレイ29と共に上方に移動するため、図5(b)のように遮蔽板2は抜き穴31aから外部に引き出され、原稿給紙トレイ29と原稿排出トレイ31との隙間を遮蔽する。遮蔽板2は、原稿給紙トレイ29が最上部まで回動された場合でも抜き穴31aから脱離しない大きさに設計されている。
【0032】
この構成とすることにより、第1実施形態と同様に原稿給紙トレイ29の角度によらず回動支点30a付近の隙間を確実に遮蔽して手指の進入を防止でき、さらに原稿給紙トレイ29の回動に伴い遮蔽板が原稿排出トレイ31内へ収納されるため、原稿搬送時に遮蔽板2が邪魔にならない。また、窓部3やピン4を設ける必要がないため、第1実施形態に比べて遮蔽板2の構成も簡単になる。なお、遮蔽板2の材質及び大きさについては第1実施形態と同様であるため説明は省略する。
【0033】
図6は、本発明の第3実施形態に係る原稿搬送装置の側面図である。図2、図4と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態においては、遮蔽板2を設ける代わりに、原稿カバー30の左右両側を原稿給紙トレイ29の突出方向に延設し、原稿給紙トレイ29と原稿排出トレイ31との隙間を遮蔽している。
【0034】
この構成によれば、別途遮蔽板2を設けることなく手指の挟み込みを防止可能となるため、部品点数、組み立て工数を削減して原稿搬送装置の構成の簡素化、低コスト化を実現できる。なお、遮蔽板2の役割を果たす原稿カバー30の延設部分は、原稿取り出しの際に手指が当たっても怪我をすることのないよう、図6のように曲面状に形成しておくことが好ましい。
【0035】
本実施形態の構成では、原稿カバー30の左右両側が原稿ガイド29aの外側付近まで延設されることとなる。そのため、図7(a)に示すように、原稿ガイド29aから原稿カバー30までの間隔hが狭く、原稿給紙トレイ29上に原稿をセットし、原稿ガイド29aを矢印A方向に操作する際の操作性が悪くなる。さらに、原稿給紙トレイ29を持ち上げて原稿ガイド29aの操作を行う場合は、原稿給紙トレイ29と原稿カバー30との隙間sに指を挟むおそれもある。
【0036】
そこで、図7(b)のように、原稿カバー30の原稿ガイド29aに対向する部分に、原稿ガイド29aを操作するための凹部30bを設けることが好ましい。これにより、原稿ガイド29aから原稿カバー30までの間隔hが広くなり、原稿ガイド29aの操作スペースが確保されて操作が容易になるとともに、原稿給紙トレイ29と原稿カバー30との隙間Sを指が入る程度に設計しておけば、隙間sに指を挟んで怪我をするおそれもなくなる。
【0037】
その他本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、第1実施形態に用いられる第1遮蔽板2aに、窓部3に代えて裏面まで貫通しない溝部を設け、第2遮蔽板2bのピン4が溝部に係合してスライドするように構成しても良い。また、3枚以上の遮蔽板をスライドさせる構成とすることも可能である。また、第2、第3実施形態においても、装置前面側にのみ遮蔽板2を設けたり、装置前面側の原稿カバー30のみを延設したりすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、シート状の原稿が積載される原稿給紙トレイと、該原稿給紙トレイの下方に間隔を隔てて配設される原稿排出トレイと、原稿給紙トレイ上に載置された原稿を原稿搬送経路に沿って順次搬送して原稿排出トレイ上に排出する原稿搬送手段と、原稿搬送手段を保護するとともに原稿給紙トレイが突設される原稿カバーと、を備え、原稿給紙トレイの左右両端部が原稿カバーに上下に回動可能に支持されて成る原稿搬送装置において、原稿給紙トレイの回動支点付近に、原稿給紙トレイと原稿排出トレイとの隙間を覆う遮蔽板を設けたこととする。
【0039】
これにより、回動支点付近に手指が入り込むのを遮蔽板で確実に防ぐことができ、原稿給紙トレイと原稿排出トレイとの隙間に手指を挟んで怪我をするおそれのない、安全な原稿搬送装置を簡易且つ低コストで提供することができる。さらに、原稿給紙トレイの配置を高くする必要がないため、原稿搬送装置及びそれを搭載する画像形成装置の小型化にも貢献する。
【0040】
また、原稿給紙トレイが最も上方に回動した状態で隙間を遮蔽可能となるように遮蔽板を原稿給紙トレイの少なくとも装置前面側に固定するとともに、原稿排出トレイには、原稿給紙トレイの下方向への回動に伴い遮蔽板が挿入される抜き穴を設けたので、原稿給紙トレイの角度によらず回動支点付近の隙間を確実に遮蔽して手指の進入を防止でき、さらに原稿給紙トレイの下方向への回動に伴い遮蔽板が原稿排出トレイ内へ収納されるため、原稿給紙トレイが最も下方に位置する原稿搬送時においても遮蔽板が邪魔にならない。
【0041】
また、遮蔽板を、原稿給紙トレイの少なくとも装置前面側に固定される第1遮蔽板と、第1遮蔽板に重なるように原稿排出トレイ又は原稿カバー側に固定される第2遮蔽板とで構成し、第1遮蔽板若しくは第2遮蔽板のいずれか一方には、原稿給紙トレイの回動方向に沿って円弧状の窓部を設け、他方には窓部に係合するピンを固定したので、2枚の遮蔽板が脱離することなく円滑にスライドし、原稿排出トレイに抜き穴を設ける必要もなくなる。
【0042】
また、遮蔽板を軟質材料で形成したので、手指が勢いよく遮蔽板に当たっても怪我をするおそれがない。
【0043】
また、遮蔽板を原稿カバーの一部を用いて形成したので、別途遮蔽板を付設する必要がなくなり、部品点数、組み立て工数を削減して原稿搬送装置の低コスト化に貢献する。さらに、原稿給紙トレイ上に原稿ガイドが設けられている場合、原稿カバーの原稿ガイドに対向する部分に、原稿ガイドを操作するための凹部を設けることにより、原稿ガイドの調整が容易になるとともに、原稿ガイドの操作時に原稿給紙トレイと原稿カバーとの間に指を挟むおそれがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】は、本発明の第1実施形態に係る原稿搬送装置の構成を示す斜視図である。
【図2】は、原稿搬送装置の構成を示す側面断面図である。
【図3】は、原稿搬送装置の遮蔽板付近の構成を示す側面及び正面拡大図である。
【図4】は、本発明の第2実施形態に係る原稿搬送装置の構成を示す側面断面図である。
【図5】は、原稿搬送装置の遮蔽板付近の構成を示す正面拡大図である。
【図6】は、本発明の第3実施形態に係る原稿搬送装置の構成を示す側面断面図である。
【図7】は、原稿搬送装置の原稿ガイド付近の構成を示す部分平面図である。
【図8】は、従来の原稿搬送装置の構成を示す断面図である。
【図9】は、従来の原稿搬送装置の構成を示す側面図である。
【符号の説明】
【0045】
2 遮蔽板
2a 第1遮蔽板
2b 第2遮蔽板
3 窓部
4 ピン
27 原稿搬送装置
29 原稿給紙トレイ
29a 原稿ガイド
30 原稿カバー
30a 回動支点
30b 凹部
31 原稿排出トレイ
31a 抜き穴
d 原稿搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の原稿が積載される原稿給紙トレイと、該原稿給紙トレイの下方に間隔を隔てて配設される原稿排出トレイと、前記原稿給紙トレイ上に載置された原稿を原稿搬送経路に沿って順次搬送して前記原稿排出トレイ上に排出する原稿搬送手段と、前記原稿搬送手段を保護するとともに前記原稿給紙トレイが突設される原稿カバーと、を備え、前記原稿給紙トレイの左右両端部が前記原稿カバーに上下に回動可能に支持されて成る原稿搬送装置において、
前記原稿給紙トレイの回動支点付近に、前記原稿給紙トレイと前記原稿排出トレイとの隙間を覆う遮蔽板を設けたことを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項2】
前記遮蔽板は、前記原稿給紙トレイが最も上方に回動した状態で前記隙間を遮蔽可能となるように前記原稿給紙トレイの少なくとも装置前面側に固定されており、前記原稿排出トレイには、前記原稿給紙トレイの下方向への回動に伴い前記遮蔽板が挿入される抜き穴を設けたことを特徴とする請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項3】
前記遮蔽板は、前記原稿給紙トレイの少なくとも装置前面側に固定される第1遮蔽板と、前記第1遮蔽板に重なるように前記原稿排出トレイ又は前記原稿カバー側に固定される第2遮蔽板とから構成され、前記第1遮蔽板若しくは前記第2遮蔽板のいずれか一方には、前記原稿給紙トレイの回動方向に沿って円弧状の窓部が設けられ、他方には、前記窓部に係合するピンが固定されることを特徴とする請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項4】
前記遮蔽板は、軟質材料で形成されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の原稿搬送装置。
【請求項5】
前記遮蔽板は、前記原稿カバーの一部を用いて形成されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記原稿給紙トレイ上の左右両側には、供給される原稿を整合して積載する原稿ガイドが設けられており、前記原稿カバーの前記原稿ガイドに対向する部分には、前記原稿ガイドを操作するための凹部を設けたことを特徴とする請求項5に記載の原稿搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−91048(P2006−91048A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−272832(P2004−272832)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】