説明

原稿搬送装置

【課題】 両面原稿の処理時間を短縮するために重ねて搬送路を搬送される先原稿と次原稿と確実に搬送、排紙し、また排紙された原稿の整列性を向上させることのできる原稿搬送装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 読取位置に対して原稿を搬送する搬送手段と、読み取られた原稿をスイッチバックして原稿を反転して送る反転排出手段と、反転排出手段からの原稿と搬送手段からの原稿とを重ねて搬送し、反転排出手段からの原稿を排紙するとともに搬送手段からの原稿をスイッチバックして再び読取位置に向けて送る排紙手段と、を設け、搬送手段から搬送される原稿の後端に対して反転排出手段から搬送される原稿の後端が排紙方向に所定距離離れた位置となるように搬送手段と反転排出手段とを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の読取位置に原稿を搬送する原稿搬送装置に関し、詳しくは原稿の両面を読み取るために片面を読み取られた原稿をスイッチバック反転させて再び読取位置に搬送し、両面を読み取られた原稿を排紙するための原稿搬送制御に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やスキャナ等の画像形成装置においては、原稿を画像読取部のプラテンガラス上に搬送するADF(オート・ドキュメント・フィーダ)と称される原稿搬送装置が用いられている。
【0003】
従来、この種の原稿搬送装置としては、原稿を読み取る読取位置に給紙トレイ上の原稿を給紙する給紙経路と、給紙経路から原稿を受けて読取位置を通過させる搬送経路と、読み取られた原稿を排紙トレイに排紙する排紙経路と、排紙経路に設けられた排紙ローラ対によって排紙経路上でスイッチバックされた原稿を排紙経路から受けて再び搬送経路に案内する循環経路とで構成され、読取位置で表面を読み取られた原稿を排紙ローラ対に搬送し、この排紙ローラ対にてスイッチバックした後に循環経路を介して反転させて再び読取位置に搬送し、原稿の裏面を読み取るものがある。
【0004】
そして、このように構成された原稿搬送装置では、裏面を読み取られた原稿を排紙トレイ上でページ順序が揃うように再び反転して排紙する必要があり、この反転排紙する手段として、例えば、特許文献1のように原稿の裏面を読み取る際と同様に排紙ローラ対で原稿をスイッチバックした後に読取位置を介して原稿を搬送することで原稿の表裏を反転して排紙経路から排紙トレイに排紙する構成や、特許文献2のように排紙トレイの下方に原稿をスイッチバックさせるスイッチバック経路と、このスイッチバック経路からの原稿を排紙経路に案内する反転経路を設け、読取位置で表裏両面を読み取られた原稿をスイッチバック経路にてスイッチバックさせた後に反転経路を介して排紙トレイに排紙する構成が知られている。
【0005】
また、特許文献1では、両面原稿の読取処理を短縮するために、先行原稿と後続原稿を重ねて搬送する構成を備えている。この構成では、表裏両面を読み取られた原稿を頁揃え反転させるために循環経路から送られた先原稿を搬送経路内に所定量だけ搬送した時点で次原稿を搬送経路内に送り込む。これによって、先原稿と次原稿は所定距離ずらした状態で重なって搬送径路を搬送される。そして、重なった状態で搬送される2枚の原稿は、その状態で排紙経路に送られ、次原稿の後端よりも先行する先原稿の後端が排紙ローラ対を通過した所定の位置に到達した時点で排紙ローラ対が逆転される。これによって、先原稿は排紙トレイ上に排紙され、次原稿は排紙ローラ対にてスイッチバックされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−327728号公報
【特許文献2】特開2004−175460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、2枚の原稿を重ねて搬送経路の搬入側から排紙経路の排紙口側までの長い径路を搬送させていることや2枚の原稿がそれぞれ駆動される異なるローラに接触して搬送されることによって、2枚の原稿のずれ量にばらつきが生じる。すなわち、2枚の原稿を複数のローラ対によって搬送しているために複数のローラ対の回転速度差やニップ力の差によって重なって送られる2枚の原稿に速度差が生じる。また、それぞれのローラの経時的な摩擦係数の変化によって原稿に対する搬送力に違いが生じる。これによって、2枚の原稿のずれ量が所定のずれ量よりも大きくばらつくこととなる。
【0008】
そして、2枚の原稿のずれ量が所定のずれ量よりも小さくなると、先原稿の後端が排紙ローラ対を通過せずに次原稿と一緒にスイッチバックされる。また先原稿の後端が排紙ローラ対と近い位置で次原稿がスイッチバックされると次原稿に追従して先原稿が排紙ローラ対側に戻された再び排紙ローラ対にニップされ、排紙経路に引き込まれる恐れが生じる。一方、2枚の原稿のずれ量が所定のずれ量よりも大きくなると、先原稿の後端が排紙口よりも遠い位置まで送られるので、排紙トレイへの原稿の落下位置がばらつき、排紙された原稿の整列性が低下するとの問題が生じる。
【0009】
さらに、特許文献1では、次原稿の上方に先原稿を重ねて排紙ローラ対にて搬送しているため、排紙経路から循環経路、搬送経路を介して再び排紙経路に至る経路長よりも長い原稿を搬送できない。つまり、排紙経路から循環経路、搬送経路を介して再び排紙経路に至る経路長よりも長い原稿を搬送すると、スイッチバックして再び排紙経路に送られる次原稿の後端が排紙口を通過する前に次原稿の先端が排紙口から排紙されるため、先原稿は排紙トレイ上に落下されずに、先原稿の下に次原稿が排紙される恐れが生じる。
【0010】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであって、両面原稿の処理時間を短縮するために重ねて搬送路を搬送される先原稿と次原稿とを確実に搬送、排紙し、また排紙された原稿の整列性を向上させることのできる原稿搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
読取位置に対して原稿を搬送する搬送手段と、読み取られた原稿をスイッチバックして原稿を反転して送る反転排出手段と、反転排出手段からの原稿と搬送手段からの原稿とを重ねて搬送し、反転排出手段からの原稿を排紙するとともに搬送手段からの原稿をスイッチバックして再び読取位置に向けて送る排紙手段と、を設け、搬送手段から搬送される原稿の後端に対して反転排出手段から搬送される原稿の後端が排紙方向に所定距離離れた位置となるように搬送手段と反転排出手段とを制御する。
【発明の効果】
【0012】
2枚の原稿を重ねて搬送することで両面原稿の処理時間を短縮することができ、読取位置の下流で2枚の原稿を重ねて搬送するようにしたので、2枚が重なって搬送される距離が短くなり、2枚の原稿を確実に搬送、排紙することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る原稿搬送装置および原稿搬送装置が搭載された画像読取装置の構成を示す断面図である。
【図2】本発明に係る原稿搬送装置の主要部分を示す拡大断面図である。
【図3】本発明に係る原稿搬送装置の制御系を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る原稿搬送装置の原稿の流れを示す説明図である。
【図5】本発明に係る原稿の排紙動作とスイッチバック動作とが同時に行われる状態を示す状態図である。
【図6】本発明に係る先原稿と次原稿の重なり状態を調整する調整値を算出する動作を示す動作フローチャート図である。
【図7】本発明に係る先原稿と次原稿の重なり状態を水平方向に展開して示した概念図である。
【図8】本発明に係る第1の原稿重送動作及び第3の原稿重送動作における原稿の搬送状態を示す状態図である。
【図9】本発明に係る第2の原稿重送動作における原稿の搬送状態を示す状態図である。
【図10】本発明に係る他の実施例における原稿の搬送状態を示す状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本発明の原稿搬送装置および原稿搬送装置が搭載された画像読取装置の構成を示す断面図であり、図2は原稿搬送装置の主要部分を示す拡大断面図である。以下、図面を参照しつつ本発明に係る原稿搬送装置の実施形態を詳細に説明する。図1に示すように本発明の原稿搬送装置3は、画像読取手段を有する画像読取装置本体2の上方に開閉可能に取り付けられている。
【0015】
画像読取装置本体2の画像読取手段は、光学キャリッジ5を固定した状態で第1のコンタクトガラス6の上面を通過する原稿を読み取る。また、本体2の上面には、原稿を載置するための第2のコンタクトガラス7が設けられ、このコンタクトガラス7上にセットされた原稿に対して光学キャリッジ5が移動することによって読み取ることができる。
【0016】
光学キャリッジ5は、原稿に光を照射するランプと原稿からの反射光の向きを偏向する第1ミラーを有する第1キャリッジ10と、第1ミラーからの光の向きを偏向して導く第2、第3ミラーを有する第2キャリッジ11とから構成されている。そして、第1のコンタクトガラス6上を搬送される原稿や第2のコンタクトガラス7上に載置された原稿にランプによって光を照射し、原稿の反射光を複数のミラーを介してレンズ16で集光する。レンズ16で集光された光はCCDなどの光電変換素子17で光電変換されて原稿画像が読み取られる。
【0017】
次に、原稿搬送装置3の構成について説明する。この原稿搬送装置3は、図1及び図2に示すように、複数枚の原稿を載置可能な給紙トレイ20と、読取処理の終了した原稿を収納する排紙トレイ22とを備えている。
【0018】
また、この原稿搬送装置3には、給紙トレイ20から第1のコンタクトガラス6に向けて原稿を給紙する給紙経路23が設けられた給紙部と、給紙経路23から原稿を受けて第1のコンタクトガラス6に給送して通過させる搬送経路24が設けられた搬送部と、搬送経路24からの原稿を排紙口41から排紙トレイ22に案内する排紙経路25が設けられた排紙部と、排出経路25と給紙径路23を連通する循環経路45が設けられた循環部と、第1のコンタクトガラス6の下流で排紙経路25と分岐し、排紙トレイ22と白色板21との間に形成されたスイッチバック経路46とスイッチバック経路46からの原稿を反転して排紙経路25の排紙口41側に案内する反転排出経路49とが設けられた反転排出部と、を備えている。
【0019】
給紙部には、給紙トレイ20上の原稿を繰り出す繰出ローラ27と、繰り出された原稿を給送する給紙ローラ28と、この給紙ローラ28に圧接して原稿を1枚ずつ分離する分離パッド29と、1枚ずつ分離されて給紙される原稿の先端を突き当てて整合した後に送り出すレジストローラ対30と、が設けられ、給紙経路23に沿って原稿を給紙する。
【0020】
搬送部は、レジストローラ対30からの原稿を第1のコンタクトガラス6上に供給する第1のリードローラ対32と、第1のコンタクトガラス6上を通過した原稿を下流に向けて搬送する第2のリードローラ対33と、が設けられ、第1のコンタクトガラス6の上面を介して搬送経路24に沿って原稿を搬送する。
【0021】
排紙部には、排紙トレイ22上に原稿を排紙する排紙ローラ対43が設けられている。なお、排紙ローラ対43は、原稿の排紙方向の後端部をニップした状態で正転から反転し、原稿をスイッチバックさせて排紙経路25の下流側から循環経路45に搬送する機能を兼用している。また、循環部には排紙ローラ対43でスイッチバックされた原稿を給紙経路23に送る待機ローラ対48が設けられている。
【0022】
反転排出部には、スイッチバック経路46に搬入された原稿をスイッチバックして反転排紙経路49に送るスイッチバックローラ対44が設けられている。なお、排紙ローラ対43及びスイッチバックローラ対44は、一方のローラから他方のローラが離間するように構成されており、原稿の搬送状態によって圧接・離間制御される。
【0023】
また、搬送経路24から連通された排出経路25とスイッチバック経路46との分岐部には、読み取りの過程に応じて、第2のリードローラ対33からの原稿を排紙経路25とスイッチバック経路46のいずれかに一方に案内するための第1のフラッパ34が設けられており、排紙経路25と循環経路45の連結部には、排紙ローラ対43でスイッチバックされた原稿を循環経路45に案内するための第2のフラッパ52が設けられている。さらに、反転排出部にはスイッチバックローラ対44でスイッチバックされた原稿を反転排出経路49に案内するための第3のフラッパ53が設けられている。なお、第2、第3のフラッパ52、53は、自重で下方に移動するように支持されている。これによって、第2のフラッパ52は、第2のリードローラ33からの原稿によって上方に押し上げられて原稿が通過し、原稿が通過すると下方に移動して排紙経路25と循環経路49を連通させる。同様に第3のフラッパ53は、第2のリードローラ33からの原稿によって上方に押し上げられて原稿が通過し、原稿が通過すると下方に移動してスイッチバック経路46と反転排出経路49とを連通させる。
【0024】
また、図3の制御系のブロック図に示すように、原稿が通過する各所には各種のセンサが設けられている。繰出ローラ27の近傍には給紙トレイ21上の原稿を検出するエンプティセンサS1、給送経路23にはレジストセンサS2、リードセンサS3が設けられ、排出経路25には排出センサS4が設けられている。また反転排出経路49には反転排出センサS5が配置される。そして、これらの各センサの原稿検出によって給紙モータM1、排出モータM2、待機モータM3の駆動を制御して原稿を搬送する。なお、給送経路23のレジストセンサS2と排出経路25の排出センサS4はレバー式のセンサを採用しており、レジストセンサS2のセンサレバーは給紙径路23と循環経路45との両径路を遮るように配置され、給紙径路23と循環経路45を送られる原稿を検出するように構成され、排出センサS4のセンサレバーは排紙径路25とスイッチバック経路46との両径路を遮るように配置され、排紙径路25とスイッチバック経路46を送られる原稿を検出するように構成されている。
【0025】
給紙モータM1は、給紙ローラ28とレジストローラ対30に電磁クラッチCL1、CL2を介して駆動連結されており、排出モータM2は排紙ローラ対43とスイッチバックローラ対44に駆動連結されている。また、待機モータM3は待機ローラ対48に駆動連結されている。
【0026】
また、第1のソレノイドSOL1は排紙ローラ対43の駆動ローラ43aから従動ローラ43bを離間する方向に移動させ、第1のソレノイドSOL1はスイッチバックローラ対44の従動ローラから駆動ローラを離間させる方向に移動させる。これによって、各ローラ対43、44の圧接、離間が制御される。
【0027】
次に、原稿搬送装置の動作を図4の原稿の流れを示す説明図に基づき説明すると、給紙トレイ20上の原稿は図4の実線で示すように給紙経路23から搬送経路24に案内されて読取位置Xで表面が読み取られる。読取位置で表面を読み取られた原稿は図4の破線で示すように排紙経路25に搬送され、この排紙経路25の排紙ローラ対43にてスイッチバックした後に循環経路45を介して搬送経路24に戻され、表裏を反転しつつ再び読取位置Xに案内されて原稿の裏面を読み取る。読取位置Xで表裏両面を読み取られた原稿は図4の2点鎖線で示すようにスイッチバック経路46に案内され、スイッチバックされる。スイッチバックされた原稿は反転排出経路49を介して排出経路25の下流側に表裏反転しつつ案内され、排出経路25から排紙トレイ22に排紙される。
【0028】
この原稿搬送動作について、詳細に説明すると、最初に給紙トレイ20上に原稿が載置されたことをエンプティセンサS1が検知すると、給紙モータM1が駆動し、電磁クラッチCL1をONすると繰出ローラ27及び給紙ローラ28が回転駆動する。これによって、給紙トレイ20上に載置された最上位の原稿が順次繰り出され、分離パッド29によって原稿が1枚に分離されて送られる。なお、原稿の給紙開始時におけるイニシャル動作で排紙ローラ対43及びスイッチバックローラ対44は離間する位置に移動され、また第1のフラッパ34は、排紙経路25に沿って案内されるような向きに移動される。
【0029】
1枚に分離された原稿の先端をレジストセンサS2が検知すると、その検知した時点から原稿を所定量搬送することによって、レジストローラ対30のニップ部分に1枚目の原稿の先端が突き当たり、これによって原稿の先端が整合されて原稿スキューが取り除かれる。
【0030】
その後、電磁クラッチCL2がONされ、レジストローラ対30が回転駆動する。そして、原稿はレジストローラ対30と第1、第2のリードローラ対32、33によって第1のコンタクトガラス6上を搬送される。この第1のプラテンガラス6上を通過する際に原稿の表面が読み取られる。
【0031】
第1のプラテンガラス6を通過した原稿は、第1のフラッパ34を介して排紙経路25に沿って案内される。この1枚目の原稿の先端部が排紙経路25に案内されていく間に、1枚目の原稿の後端がレジストセンサS2で検知されると、電磁クラッチCL2がOFFされてレジストローラ対30は停止され、2枚目の原稿の給送が繰出ローラ27及び給紙ローラ28によって開始される。給紙された2枚目の原稿の先端はレジストローラ対30のニップ部分に突き当たって整合される。
【0032】
そして、電磁クラッチCL1をOFFした時点から所定の時間が経過した後に電磁クラッチCL2をONする。これによって、レジストローラ対30が駆動して2枚目の原稿が第1のプラテンガラス6に向けて送り出される。なお、前述の所定時間は先に給紙された1枚目の原稿と2枚目の原稿との間隔を一定に保つために予め定められた時間である。
【0033】
一方、1枚目の原稿の先端部が排出センサS4で検知されると排出モータM2が正転駆動し、第1ソレノイドSOL1をON(吸引)する。これによって、排紙ローラ対43の従動ローラ43bが駆動ローラ43aに圧接し、1枚目の原稿が排紙トレイ22側に向けてさらに搬送される。
【0034】
2枚目の原稿が第1のプラテンガラス6に向けて搬送される間に、第1のプラテンガラス6を通過した1枚目の原稿は、その後端が排出センサS4で検知されてから一定時間が経過した時点で排出モータM2を停止することによって排紙ローラ対43でニップされた状態で停止する。その後に排出モータM2を逆転駆動することで排紙ローラ対43は逆回転駆動され、1枚目の原稿がスイッチバックされる。
【0035】
そして、排紙ローラ対43でスイッチバックされた1枚目の原稿は第1のスイッチバック経路45に沿って搬送される。そして、1枚目の原稿の先端部が回転駆動する待機ローラ対48でニップされた後に待機モータM3を停止することによって1枚目の原稿は一旦停止状態となる。1枚目の原稿が待機ローラ対48でニップ保持されて停止されると、第1ソレノイドSOL1をOFF(吸引解除)して排紙ローラ対43を離間させ、排出モータM2を正転駆動に切り換える。
【0036】
この状態で、第1のコンタクトガラス6を通過した2枚目の原稿を排出ローラ対43に排出経路25に沿って搬送する。このとき、2枚目の原稿は排出経路25の下流部分で1枚目の原稿の下方を搬送される。なお、このとき排紙ローラ対43を離間させているので2枚目の原稿の先端部は支障なく排紙トレイ側に向かって搬送される。また離間した排紙ローラ対43の駆動ローラ43aを正回転駆動しているので、2枚目の原稿には駆動ローラ43aの接触した際の搬送力が付与されスムーズに送られる。
【0037】
2枚目の原稿がレジストセンサS2を通過する電磁クラッチCL2をOFFする。また2枚目の原稿の後端部がレジストセンサS2で検知された時点から所定時間経過後に待機モ
ータM3を駆動する。これによって、経路45、49で停止している1枚目の原稿の先端がレジストローラ対30に当接してその先端が整合され。その後に電磁クラッチCL2をONしてレジストローラ対を回転駆動して1枚目の原稿を第1のコンタクトガラス6に向けて反転して搬送させる。この間、第1のリードローラ対32、第2のリードローラ対33、排紙ローラ対43の正回転駆動によって、2枚目の原稿が排出パスの下流側で1枚目の原稿とすれ違うようにして搬送される。このとき、排紙ローラ対43は離間した状態で、1枚目の原稿と2枚目の原稿のそれぞれ異なる方向に搬送される。そして、リードセンサS3が2枚目の原稿の後端を検出してから2枚目の原稿の後端が第1コンタクトガラス6の読取位置Xに到達する時間が経過した後に第1ソレノイドSOL1がONされ、排紙ローラ対43が圧接される。これによって、排紙ローラ対43が1枚目の原稿と2枚目の原稿を重ねて圧接し、その状態で1枚目の原稿と2枚目の原稿は排出経路25内の一部でそれぞれ異なる方向に搬送されることとなる。このとき、駆動ローラ43aはその摩擦係数が原稿と従動ローラ43bの摩擦係数より高く設定されている。これによって、従動ローラ43bと2枚目の原稿との間の1枚目の原稿は待機ローラ48、レジストローラ対30、第1のリードローラ対43によって読取位置Xに向って送られ、駆動ローラ43aと1枚目の原稿との間の2枚目の原稿は駆動ローラ43bの搬送力によって1枚目の原稿に抗して排紙トレイ22側に送られる。
【0038】
そして、2枚目の原稿の後端が排出センサS4に検知されてから一定時間後に排出モータM2を正転駆動から逆転駆動に切り換えることで排紙ローラ対43は正転駆動から逆回転駆動されて2枚目の原稿がスイッチバックされる。このとき、1枚目の原稿の後端は排紙ローラ対43のニップ位置を通過しており、2枚目の原稿のスイッチバック動作に影響しない。スイッチバックされた2枚目の原稿は第1のスイッチバック経路45に沿って搬送され、待機ローラ対48にニップされると待機モータM3を停止する。そして、これと同時に第1のソレノイドSOL1をOFFして2枚目の原稿を停止して待機させる。
【0039】
一方、1枚目の原稿は、裏面が読み取られた後、先端部が第1のフラッパ34によって切り替えられた経路を通って第2のスイッチバック経路46へ案内される。なお、第1のフラッパ34は、2枚目の原稿の後端部が排出センサS4で検知されると時計回りに回動してスイッチバック経路46へ連絡する経路を形成する。また、1枚目の原稿の後端がリードセンサS3に検知されると第2のソレノイドSOL2がON(吸着)され、スイッチバックローラ44が圧接状態とされる。
【0040】
待機ローラ対48にニップして待機された2枚目の原稿は、1枚目の原稿の後端がレジストセンサS2で検知した後に待機モータM3を駆動して停止した状態のレジストローラ対30に当接する。これによって、原稿の先端が整合される。そして、電磁クラッチCL2をONすることでレジストローラ対30を回転駆動させて原稿を第1のコンタクトガラス6の読取位置Xに向けて再給送される。
【0041】
スイッチバック経路46に搬送された1枚目の原稿は、その後端が排出センサS4で検知されるとその所定時間後に排出モータM2を逆転駆動から正転駆動に切り換える。これによって、スイッチバックローラ対44が正回転駆動から逆回転駆動に切り換わり、1枚目の原稿をスイッチバックさせる。スイッチバックされた1枚目の原稿は反転排出経路49に沿って排紙ローラ対43に送られ、排紙ローラ対43によって排紙トレイ22に排出される。
【0042】
一方、2枚目の原稿は1枚目の原稿に続いて第1のコンタクトガラス6の読取位置Xに搬送されて裏面が読み取られ、スイッチバック経路46に搬送される。このとき、2枚目の原稿の先端を排出センサS4が検出すると第2のソレノイドSOL2がOFF(吸着解除)されて第2のスイッチバックローラ44が離間する。そして、1枚目の原稿と2枚目の原稿が第2スイッチバックパス内ですれ違うようにして搬送される。この2枚目の原稿の搬送過程で2枚目の原稿がレジストセンサS2を通過したことが検出されると電磁クラッチCL1をONする。これによって、繰出ローラ27、給紙ローラ28が回転駆動して3枚目の原稿の給紙動作が開始される。
【0043】
そして、2枚目の原稿の後端部がリードセンサS3で検出された時点から2枚目の原稿の後端が読取位置Xに到達する時間が経過すると第2のソレノイドSOL2がONされてスイッチバックローラ対44が圧接する。これと同時に排出モータM2が正回転駆動から逆回転駆動に切り換えられる。このとき、1枚目の原稿の後端はスイッチバックローラ対44を通過している。これによって、2枚目の原稿がスイッチバックされ、反転排出経路49に沿って排紙ローラ対43に送られる。そして、排紙ローラ対43によって排紙トレイ22に向かって搬送される。
【0044】
3枚目の原稿は、先の1枚目の原稿と同様にレジストローラ対30で先端が整合され、レジストローラ対30、第1のリードローラ対32によって第1のコンタクトガラス6に搬送され、第1のコンタクトガラス6の読取位置Xで表面を読み取られた後に第2のリードローラ33によって搬送経路24、排紙経路25に沿って送られる。そして、3枚目の原稿は、図5(a)に示すように2枚目の原稿を排出中の排紙ローラ対43に送られ、図5(b)に示すように2枚目の原稿と重なった状態で排紙トレイ22側に向かって搬送される。このとき、3枚目の原稿の後端は、2枚目の原稿の後端に対して排紙トレイ22の方向と異なる方向に所定距離Lだけ離れた位置となった状態で搬送される。そして、3枚目の原稿の後端部が排出センサS4で検知した時点から所定時間後に排出モータM2を停止する。これによって、排紙ローラ対43は一旦停止される。このとき、図5(c)に示すように2枚目の原稿は排紙トレイ22に排出され、3枚目の原稿は排紙トレイ22と異なる側の端部が排紙ローラ対43にニップされた状態で停止する。そして、この状態から排出モータM2を逆転駆動することで、排紙ローラ対43が逆回転駆動して3枚目の原稿がスイッチバックされる。なお、排紙ローラ対43は、2枚目の原稿がスイッチバックローラ対44によってスイッチバックされると同時に離間し、3枚目の原稿の後端が読取位置Xを到達した時点で圧接される。つまり、排紙ローラ対43は、少なくとも2枚目の原稿先端と3枚目の原稿先端を離間した状態で通過させ、2枚の原稿の先端が排紙ローラ対43の間を通過してから圧接するようにしている。また、排紙ローラ対の圧接力は2枚目の原稿と3枚目の原稿が重なって搬送されるときには大きい圧接力で圧接し、次原稿をスイッチバックさせて循環経路25に搬送するときには小さい圧接力で圧接するように構成している、これによって2枚目の原稿に対して1枚目の原稿がずれることがなく、また原稿の損傷を防止することができる。
【0045】
その後、後続の4枚目の原稿は読取位置Xを通過し、排出経路25の下流部分で待機ローラ対48によってニップされた状態で待機される3枚目の原稿の下方を搬送される。以降において、3枚目の原稿は先の1枚目の原稿と同様に搬送され、また4枚目の原稿は2枚目の原稿と同様に搬送される。
【0046】
ここで、本実施例においては図5(a)(b)(c)に示すように2枚目の原稿の排紙と3枚目の原稿の搬送とを同時に行う際に重なって搬送される2枚目と3枚目の原稿後端の距離が定められた距離Lとなるように第2のリードローラ対33と第2のスイッチバックローラ対44を制御するようにしている。
【0047】
図6は先原稿と次原稿との状態を検出し、調整値を算出する動作を示す動作フローチャート図であり、図7(a)、(b)、(c)は先原稿と次原稿を水平方向に展開して示した概念図である。この図6、図7に基づき説明する。なお、便宜上、以降において2枚目の原稿を先原稿、3枚目の原稿を次原稿という。
【0048】
先ず排出センサS4、反転排出センサS5のいずれかが原稿を検出するとパルスカウンタCNをスタートさせる(ST1〜ST3)。このとき、パルスカウンタCNが排出センサS4の原稿検出でスタートする場合は制御用のフラグを「1」にセットする(ST4)。
【0049】
パルスカウンタCNをスタートするとフラグ「0」の場合は、排出センサS4が原稿を検出するまでカウントを継続し、排出センサS4が原稿を検出するとカウントを停止する(ST5〜ST7)。そして、先原稿の後端と次原稿の後端との間の距離として設定された設定距離Lに相当する設定パルス値Pとカウントパルス値Paを比較し(ST8〜ST9)、設定パルス値Pよりもパルスカウント値Paが小さい場合は、図7(a)に示すように設定距離Lよりも実際の次原稿D2の後端と先原稿D1の後端との距離Laが小さくなっている。したがって、ここでは設定距離Lに調整するための距離Lxに相当するパスル値Pxを、設定パスル値Pからパルスカウント値Paを引くことで調整値を算出(P−Pa)し、その演算した値をRAMに格納する(ST10)。そして、算出されたパルス値Pxに基づき第1の重送動作が実行される(ST11)。
【0050】
一方、パルスカウント値Paと設定距離Lに相当する設定パルス値Pとを比較し、設定パルス値Pよりもパルスカウント値Paが大きい場合は、図7(b)に示すように設定距離Lよりも実際の次原稿D2の後端と先原稿D1の後端との距離Laが大きくなっている。したがって、ここでは距離Lxに相当するパスル値Pxを、パルスカウント値Paから設定パスル値Pを引くことで調整値を算出(Pa−P)し、RAMに格納する(ST12)。そして、続いて第2の重送動作が実行される(ST13)。
【0051】
また、フラグ「1」の場合は、反転排出センサS5が原稿を検出するまでカウントを継続し、反転排出センサS5が原稿を検出するとカウントを停止する(ST14〜ST15)。そして、この場合においては図7(c)に示すように実際の先原稿D1の後端よりも次原稿D2の後端がパルスカウント値Paに相当する距離La排紙方向に進んだ状態となっている。したがって、したがって、ここでは距離Lx3に相当するパスル値Px3を、設定パスル値Pにパルスカウント値Paを加えることで調整値を算出(P+Pa)し、RAMに格納する(ST16)。そして、第3の重送動作が実行される(ST17)。
【0052】
なお、ステップ6(ST6)でパルスカウント値Paと設定距離Lに相当する設定パルス値Pとが等しい場合は、調整パルス値Pxの算出は行わない。また、この場合、設定距離Lに若干の範囲(L+α、L−α)に対して比較するようにしてもよい。
【0053】
第1の原稿重送動作では、図8(a)に示すように次原稿D2の後端がリードセンサS3に検出されてからその後端が読取位置に到達する距離搬送させた後に第2のリードローラ対33を停止し、次原稿D2を停止させる。このとき、次原稿D2の先端は離間した排紙ローラ対43の間を通過し、次原稿の後端は図8(b)に示すように読取位置Xと第2のリードローラ対33との間の位置Qに到達している。そして、に示すように第2のリードローラ33を停止した時点から先原稿D1をRAMに格納されたパルス値Px継続して搬送させ、先原稿D1をパルス値Px搬送した時点で図8(c)に示すように第2のリードローラ対33を回転駆動すると同時に排紙ローラ対43を大きい圧接力で圧接する。これによって、次原稿D2の後端と先原稿D1の後端との間の距離が広くなり、先原稿D1と次原稿D2を重ねて搬送される際に先原稿D1の後端が次原稿D2の後端に対して排紙方向に距離L離れた位置となって搬送される(図5(c)参照)。
【0054】
第2の原稿重送動作では、図9(a)に示すように先原稿D1はその先端が反転排出センサS5で検出されてから所定量搬送し、その後に図9(b)に示すようにスイッチバックロ
ーラ対44を停止させる。このとき、先原稿D1はその先端が離間された排紙ローラ対43の間を通過となり、またその後端はスイッチバックローラ対44の近傍の位置Rで停止する。そして、スイッチバックローラ対44を停止させた時点からRAMに格納されたパルス値Px経過した時点で再びスイッチバックローラ対44を駆動する。
【0055】
これによって、継続されて搬送される次原稿D2の後端と先原稿D1の後端とが距離Lxだけ狭まり、2枚の原稿D1、D2が重なって排紙ローラ対43を通過する際に次原稿D2の後端が先原稿D1の後端に対して排紙方向に設定された距離Lの位置となって搬送される。その後に次原稿D2の後端がリードセンサS3に検出されてからその後端が読取位置に到達する距離搬送させた時点で図9(c)に示すように排紙ローラ対43を大きい圧接力で圧接し、先原稿D1と次原稿D2が重なった状態で排紙ローラ対43にて搬送される。そして、排紙ローラ対43の位置においては先原稿D1の後端が次原稿D2の後端に対して排紙方向に距離L離れて搬送される(図5(c)参照)。
【0056】
次に、第3の原稿重送動作では、第1の原稿重送動作と同様に次原稿D2の後端がリードセンサS3に検出されてからその後端が読取位置に到達する距離搬送させた後に第2のリードローラ対33を停止し、次原稿D2を停止させる(図8(a)(b)参照)。このとき、次原稿D2の先端は離間した排紙ローラ対43の間を通過している。そして、第2のリードローラ対33を停止した時点から先原稿D1をRAMに格納されたパルス値Px搬送した時点で第2のリードローラ対33を回転駆動すると同時に排紙ローラ対43を大きい圧接力で圧接する(図8(c)参照)。これによって、先原稿D1の後端が次原稿D2の後端よりも排紙方向となり、先原稿D1と次原稿D2を重ねて搬送される際に先原稿D1の後端が次原稿D2の後端に対して排紙方向に距離L離れた位置となって搬送される(図5(c)参照)。
【0057】
(第2の実施例) 上記実施例においては、先原稿D1の後端と次原稿D2の後端との距離が排紙ローラ対を通過する際には設定された距離Lとなるようにするために、先原稿D1または次原稿D2を停止するように制御したが、先原稿または次原稿を所定の搬送量だけ減速、または加速するようにしてもよい。
【0058】
つまり、第1の原稿重送動作、及び第3の原稿重送動作においては、スイッチバックローラ対33の回転速度を通常の回転速度よりも所定時間(所定の駆動パルス数)速くする。これによって、先原稿D1の搬送速度が次原稿D2の搬送速度よりも速くなり、この搬送速度差によって次原稿D2の後端と先原稿D1の後端との間の距離が広くなり、先原稿D1の後端が排紙ローラ対43に到達する時点において先原稿D1の後端と次原稿D2の後端との距離が設定距離Lとなる。
【0059】
なお、V1を先原稿D1の搬送速度、V2を次原稿D2の搬送速度、tを先原稿D1の可変速する時間、Lxを2枚の原稿の後端の距離を調整する距離とすると、先原稿D1の搬送速度V1は、以下のように算出できる。
【0060】
V1×t−V2×t=Lxa V1=(Lxa+V2×t)/t また、第2の原稿重送動作においては、スイッチバックローラ対44の回転速度を通常の回転速度よりも所定時間(所定の駆動パルス数)遅くする。これによって、先原稿D1の搬送速度が次原稿D2の搬送速度よりも遅くなり、この搬送速度差によって、次原稿D2の後端と先原稿D1の後端との間の距離が狭くなる。そして、先原稿D1の後端が排紙ローラ対43に到達する時点において、先原稿D1の後端と次原稿D2の後端との距離が設定距離Lとなる。
【0061】
そして、ここでは先原稿D1の搬送速度V1を、次式で算出している。
【0062】
V2×t−V1×t=Lxa V1=(V2×t−Lxa)/t なお、V2は原稿を読み取るために設定される一定の読取速度であり、2枚の原稿の後端の距離Lxは前述したように反転排出センサS5による先原稿D1の先端の検出と排出センサS4による次原稿D2の先端の検出によって算出される。また、この実施例では、上述した時間tを先原稿D1と次原稿D2の両原稿の先端のそれぞれが排出センサS4と反転排出センサS5に検出された時点から少なくとも次原稿D2の後端が読取位置に到達するまでの時間に設定している。
【0063】
ここで、上記したパルスとは、給紙モータM1または排出モータM2を駆動する駆動パルスのことである。
【0064】
(第3の実施例) 上記の実施例では排紙ローラ対43にて先原稿(2枚目の原稿)を排紙トレイ22に排紙し、次原稿(3枚目の原稿)をスイッチバック搬送する際に先原稿の後端と次原稿の後端との距離が所定の距離Lと異なる場合は、排紙ローラ対34を通過する際に所定距離Lとなるように第2のリードローラ対33及びスイッチバックローラ対44を停止または速度変更を行うようにしたが、先原稿の後端と次原稿の後端との距離が所定の距離Lに対して所定以上異なる場合に排紙ローラ対34を通過する際に所定距離Lとなるように第2のリードローラ対33及びスイッチバックローラ対44を停止または速度変更を行うようにしてもよい。
【0065】
また、先原稿の後端と次原稿の後端との距離が所定の距離Lよりも所定以上異なる場合には先原稿を排紙した後に次原稿を搬送するように第2のリードローラ対33及びスイッチバックローラ対44を制御してもよい。この動作を具体的に説明すると図10(a)に示すように次原稿の後端が読取位置に到達した時点で第2のリードローラ対33を停止して次原稿を停止させ、次原稿を停止した状態で排紙ローラ対34を圧接し、図10(b)に示すように先原稿を排紙トレイ上に排紙する。そして、先原稿を排紙した後に図10(c)に示すように第2のリードローラ対33を再び駆動して次原稿を第2のリードローラ対33と排紙ローラ対34で搬送し、排紙ローラ対34でスイッチバックして循環経路45に搬送する。
【0066】
第2のリードローラ対33及びスイッチバックローラ対44の停止や速度変更によって先原稿の後端と次原稿の後端との距離が所定の距離Lにできない原稿であっても原稿の搬送不良として原稿の搬送を停止させることなく原稿の処理が可能となる。
【0067】
なお、上述した実施例では、1枚目の表面、2枚目の表面、1枚目の裏面、2枚目の裏面、3枚目の表面、4枚目の表面、3枚目の裏面、4枚目の裏面の順に原稿を読み取るように原稿の搬送動作を実行させたが、1枚目の表面、1枚目の裏面、2枚目の表面、2枚目の裏面、3枚目の表面、3枚目の裏面、4枚目の表面、4枚目の裏面の順に原稿を読み取るように搬送してもよい。この場合には、1枚目の原稿の表面を読取位置で読み取った後に原稿を排紙部でスイッチバックさせ、循環部を介して読み取り位置に再搬送し、原稿の裏面を読み取った後に反転排出部に原稿を搬送する。この際に原稿がレジストセンサS2を通過した次点で次原稿を給紙し、先原稿に続いて読取位置に搬送する。反転排出部に搬送された先原稿は反転排出部にスイッチバックされて反転排出経路49を介して、排紙部の排紙ローラ対に送られる。同時に読み取り位置でその表面を読み取られた次原稿も排紙経路25に沿って排紙ローラ対に送られる。そして、先原稿と次原稿は排紙経路25の下流側を重なった状態で搬送され、先原稿は排紙トレイ22に排紙され、次原稿はスイッチバック搬送される。
【0068】
つまり、上述した実施例の読み取り手順によれば、排紙ローラ対34で搬送される2枚目の原稿の後端と3枚目の原稿の後端を設定距離L離して搬送するようにしたが、この読み取り手順では1枚目の原稿の後端と2枚目の原稿の後端を設定距離L離して搬送する。
【0069】
(実施例の効果) 本実施例によれば、反転排紙経路49からの先原稿と搬送径路25からの次原稿を排紙経路25で重ね合わせ搬送させ、先原稿を排紙トレイ22に排紙し、次原稿をスイッチバック搬送させるようにしたので、原稿の処理時間が短縮でき、また先原稿と次原稿が重なる距離が短くなるので、搬送不良や重なった2枚の重ね合わせ位置がずれることを防止できる。
【0070】
また、検出センサS4、S5によって先原稿の後端と次原稿の後端との距離が所定の距離Lとなるように第2のリードローラ対33とスイッチバックローラ対44を制御したので、確実に先原稿の後端と次原稿の後端との距離が所定の距離Lとなり、先原稿の排紙不良や次原稿の搬送不良をなくすことができる。
【符号の説明】
【0071】
2 画像読取装置 3 原稿搬送装置 6 第1のコンタクトガラス 20 給紙トレイ 22 排紙トレイ 23 給紙経路 25 排紙経路 33 第2のリードローラ対 43 排紙ローラ対 45 循環経路 44 スイッチバックローラ対 46 スイッチバック経路 49 反転排出経路 S3 リードセンサ S4 排出センサ S5 反転排出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を載置する給紙トレイと、原稿を読み取る読取位置で読み取られた原稿を収納する排紙トレイと、前記給紙トレイ上の原稿を前記読取位置に向けて給紙する給紙部と、前記読取位置に対して原稿を搬送する搬送部と、読み取られた原稿を前記排紙トレイ上に排紙する排紙部と、前記読取位置で読み取られた原稿を読取位置に再び搬送するための循環部と、読み取られた原稿を反転して前記排紙部に搬送する反転排出部と、を備えた原稿搬送装置において、
前記搬送部に設けられて原稿を前記排紙部に搬送する搬送手段と、前記反転排出部に設けられ原稿を前記排紙部に搬送する反転排出手段と、前記排紙部に設けられて前記反転排出手段からの原稿と前記搬送手段からの原稿とを重ねて搬送し、前記反転排出手段からの原稿を排紙するとともに前記搬送手段からの原稿をスイッチバックして前記循環部に送る排紙手段と、前記搬送手段から搬送される原稿の後端に対して前記反転排出手段から搬送される原稿の後端が排紙方向に所定距離離れた位置となるように前記搬送手段と前記反転排出手段とを制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項2】
前記排紙ローラ対は、その一方のローラに対して他方のローラを圧接、離間可能に構成され、少なくとも前記反転排出手段からの原稿の先端と前記搬送手段からの原稿の先端が前記排紙ローラ対の間を通過した後に該排紙ローラ対を圧接することを特徴とする請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項3】
前記反転排出手段からの原稿と前記搬送手段からの原稿とを重ねて搬送するときの前記排紙ローラ対の圧接力を、前記搬送手段からの原稿をスイッチバックして前記循環部に送るときの前記排紙ローラ対の圧接力よりも大きくしたことを特徴とする請求項2に記載の原稿搬送装置。
【請求項4】
前記搬送部に設けられ前記搬送手段で搬送される原稿を検出する第1の検出手段と、前記反転排出部に設けられ前記反転排出手段で搬送される原稿を検出する第2の検出手段と、を備え、
前記制御手段は、前記第1検出手段と第2の検出手段の原稿検出に基づき前記搬送手段から搬送される原稿の後端と反転排出手段から搬送される原稿の後端との距離を算出し、算出結果に応じて前記搬送手段と前記反転排出手段とを制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の原稿搬送装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第1検出手段と第2の検出手段の原稿検出に基づき算出された前記搬送手段から搬送される原稿の後端と反転排出手段から搬送される原稿の後端との距離が所定の距離よりも小さい場合には、前記搬送手段を所定時間停止、または前記搬送手段の搬送速度を所定時間減速させることを特徴とする請求項4に記載の原稿搬送装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第1検出手段と第2の検出手段の原稿検出に基づき算出された前記搬送手段から搬送される原稿の後端と反転排出手段から搬送される原稿の後端との距離が所定の距離よりも小さい場合には、前記反転排出手段の搬送速度を所定時間加速させることを特徴とする請求項4に記載の原稿搬送装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記第1検出手段と第2の検出手段の原稿検出に基づき算出された前記搬送手段から搬送される原稿の後端と反転排出手段から搬送される原稿の後端との距離が所定の距離よりも大きい場合には、前記前記反転排出手段を所定時間停止、または前記反転排出手段の搬送速度を所定時間減速させることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1つに記載の原稿搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−178502(P2011−178502A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43288(P2010−43288)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】