説明

原稿読取装置

【課題】無駄な電力を消費するのを効果的に防止することができる原稿読取装置を提供する。
【解決手段】セット位置に置かれている原稿の読取後に、所定時間が経過してもセット位置に原稿が置かれていると判断される場合に(ステップS204でYes)、原稿読取装置の電力状態が省エネルギーモードに切り替えられる。したがって、原稿の読取後に当該原稿をユーザが取り忘れた場合であっても、計時結果に基づいて原稿読取装置の電力状態が省エネルギーモードに切り替えられることにより、ユーザが原稿の取り忘れに気付くまでの間、無駄な電力を消費するのを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力状態を省エネルギーモードに切り替えることが可能な原稿読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばユーザによる操作が行なわれてから所定時間が経過した場合などに、消費電力が比較的少ない省エネルギーモードに電力状態を切り替えることにより、無駄な電力を消費するのを防止することができるような構成が知られている。このような構成は、原稿読取装置を備えた複写機又は複合機などにも採用される場合がある。
【0003】
原稿読取装置の中には、セット位置に原稿が置かれているか否かを判定することができるものがある(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1の例では、コンタクトガラス上に原稿があるか否かを判断し、原稿がないと判断したときには予熱モードに入るが、原稿があると判断したときには予熱モードに入らないように構成されている(段落[0021]及び[図4]参照)。このように、コンタクトガラス上に原稿がある場合、すなわちセット位置に原稿が置かれている場合には、その後にユーザが当該原稿の読取動作を開始させる可能性があるため、省エネルギーモード(この例では「予熱モード」)には切り替えられないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−107854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようにセット位置に原稿が置かれているときであっても、その後に当該原稿の読取動作を行なうのではなく、原稿の読取後に当該原稿を単に取り忘れただけである場合がある。このような場合には、ユーザが原稿の取り忘れに気付くまでの間、長時間にわたって省エネルギーモードに切り替えられない状態が続き、無駄な電力を消費してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、無駄な電力を消費するのを効果的に防止することができる原稿読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る原稿読取装置は、電力状態を省エネルギーモードに切り替えることが可能な原稿読取装置であって、セット位置に原稿が置かれているか否かを判定する原稿判定部と、前記セット位置に置かれている原稿の読取が行なわれたか否かを判定する読取判定部と、前記原稿判定部により前記セット位置に原稿が置かれていると判断されているときに計時を行なうタイマ部と、前記読取判定部による判定結果、及び、前記タイマ部による計時結果に基づいて、前記セット位置に置かれている原稿の読取後に、所定時間が経過しても前記原稿判定部により前記セット位置に原稿が置かれていると判断される場合に、前記原稿読取装置の電力状態を前記省エネルギーモードに切り替える電力切替部とを備えることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、セット位置に置かれている原稿の読取後に、所定時間が経過してもセット位置に原稿が置かれていると判断される場合に、原稿読取装置の電力状態が省エネルギーモードに切り替えられる。したがって、原稿の読取後に当該原稿をユーザが取り忘れた場合であっても、計時結果に基づいて原稿読取装置の電力状態が省エネルギーモードに切り替えられることにより、ユーザが原稿の取り忘れに気付くまでの間、無駄な電力を消費するのを防止することができる。
【0009】
前記セット位置に置かれている原稿を押さえるために開閉される開閉カバーと、前記開閉カバーの開閉状態を検知するための開閉センサとを備え、前記原稿判定部は、前記セット位置に置かれている原稿の読取後に、前記開閉センサにより前記開閉カバーの開状態が検知されるか否かに基づいて、前記セット位置に原稿が置かれているか否かを判定し、前記電力切替部は、前記セット位置に置かれている原稿の読取後に、前記所定時間が経過しても前記開閉センサにより前記開閉カバーの開状態が検知されない場合に、前記原稿読取装置の電力状態を前記省エネルギーモードに切り替えることが好ましい。
【0010】
このような構成によれば、セット位置に置かれている原稿の読取後に、開閉センサにより開閉カバーの開状態が検知されるか否かに基づいて、セット位置に原稿が置かれているか否かを判定することができる。したがって、セット位置に原稿が置かれているか否かを簡単な構成で判定することができ、その判定結果に基づいて原稿読取装置の電力状態を省エネルギーモードに良好に切り替えることができる。
【0011】
前記電力切替部は、前記セット位置に置かれている原稿の読取後に、前記原稿判定部により前記セット位置に置かれている原稿が取り除かれたと判断される場合に、前記原稿読取装置の電力状態を前記省エネルギーモードに切り替えることが好ましい。
【0012】
このような構成によれば、セット位置に置かれている原稿の読取後に、セット位置に置かれている原稿が取り除かれたと判断される場合には、所定時間が経過する前であっても原稿読取装置の電力状態が省エネルギーモードに切り替えられる。したがって、セット位置に置かれている原稿が取り除かれた後に無駄な電力を消費するのを防止することができる。
【0013】
前記電力切替部は、前記原稿判定部により前記セット位置に原稿が置かれていると判断される場合であっても、当該セット位置に置かれている原稿の読取が行なわれない場合には、前記原稿読取装置の電力状態を前記省エネルギーモードに切り替えないことが好ましい。
【0014】
このような構成によれば、セット位置に原稿が置かれていると判断される場合であっても、当該原稿の読取前には、省エネルギーモードに切り替えられることがない。したがって、これから原稿の読取を行なおうとしているときに、誤って省エネルギーモードに切り替えられるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る原稿読取装置を備えた画像形成装置の内部構成を示す概略断面図である。
【図2】画像形成装置の電気的構成を示したブロック図である。
【図3】CPUの具体的構成を示した機能ブロック図である。
【図4】画像形成装置の電力状態を待機モードから第1省エネルギーモードに切り替える際のCPUによる処理の一例を示したフローチャートである。
【図5】原稿の取り忘れを判定する際のCPUによる処理の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る原稿読取装置を備えた画像形成装置1の内部構成を示す概略断面図である。本実施形態では、原稿読取装置の一例として、当該原稿読取装置が画像形成装置1に備えられた構成について説明するが、例えばスキャナ装置又はファクシミリ装置などの他の装置により原稿読取装置が構成されていてもよい。また、以下に説明する画像形成装置1の具体的構成についても、その構成に限定されるものではない。
【0017】
本実施形態における画像形成装置1は、例えば、原稿搬送装置2により自動的に供給される原稿の画像を画像読取部3で1枚ずつ読み取り、その原稿の画像データに基づいて記録紙Pに画像を形成する複写機である。当該画像形成装置1には、筺体1a内に、上記画像読取部3の他、画像形成部4及び給紙部5などが備えられており、当該筺体1aの上面に原稿搬送装置2が設けられている。
【0018】
原稿搬送装置2は、原稿トレイ2aを備えており、当該原稿トレイ2a上に原稿をセットすることができるようになっている。原稿搬送装置2は、ピックアップローラ2b及び分離手段(分離ローラとリタードローラの対)2cにより、原稿トレイ2a上にセットされた原稿を1枚ずつ送り出す。送り出された原稿は、複数の搬送ローラ2d、2e、2fにより原稿搬送路2gを搬送され、当該原稿搬送路2gの途中に位置する読取位置2kにおいて、画像読取部3により画像が読み取られる。画像が読み取られた後の原稿は、排出ローラ2hにより原稿排出トレイ2i上に順次排出される。
【0019】
画像読取部3には、CCD(Charge Coupled Devices)が設けられている。画像読取部3は、静止した状態で読取位置2kに光を照射し、原稿からの反射光をCCDで受光することによって、原稿搬送装置2により搬送される原稿を読み取ることができる。また、画像読取部3は、主走査方向に直交する水平方向(副走査方向)に光源を移動させながらガラス板3d上に置かれた原稿に光を照射し、原稿からの反射光をCCDで受光することによって、原稿を読み取ることもできる。
【0020】
原稿搬送装置2により1枚ずつ搬送される原稿を読取位置2kで読み取る場合には、CCDで原稿からの反射光を受光することにより主走査が行われるとともに、読取位置2kを原稿が搬送されることにより副走査が行われる。一方、ガラス板3dに置かれた原稿を読み取る場合には、CCDで原稿からの反射光を受光することにより主走査が行われるとともに、光源が副走査方向に移動することにより副走査が行われる。
【0021】
上記ガラス板3dは、筺体1aの上面に形成されており、原稿搬送装置2は、筺体1aの上面に対して上下に開閉可能に取り付けられている。したがって、ガラス板3d上に置かれた原稿を画像読取部3で読み取る場合には、原稿搬送装置2を閉じることにより、当該原稿搬送装置2とガラス板3dとの間に原稿を挟むことができるようになっている。すなわち、原稿搬送装置2は、ガラス板3d上のセット位置に置かれている原稿を押さえるために開閉される開閉カバー10を構成している。ただし、開閉カバー10は、原稿搬送装置2により構成されるものに限らず、開閉可能な他のあらゆるカバーを採用することができる。
【0022】
画像形成部4は、感光体ドラム4a、帯電器4b、光書込みユニット4c、現像器4d、転写器4e及び定着器4fを備え、電子写真方式により記録紙Pに画像を形成する。感光体ドラム4aの表面には感光体が形成されており、画像形成時には、回転駆動される感光体ドラム4aの表面が帯電器4bにより一様に帯電される。光書込みユニット4cは、画像読取部3で読み取った原稿の画像データなどに基づいて、LED(Light-Emitting Diode)又はレーザ光源から光を出力する。帯電器4bにより一様に帯電された感光体ドラム4aの表面には、光書込みユニット4cから出力される光で露光されることにより、静電潜像が形成される。
【0023】
静電潜像が形成された感光体ドラム4aの表面には、現像器4dから供給されるトナーが付着することによりトナー像が形成され、このトナー像が転写器4eを用いて記録紙Pに転写される。トナー像が転写された記録紙Pは、定着器4fにより加熱処理及び加圧処理が施された後、排出ローラ4gから排出トレイ4h上に排出される。
【0024】
給紙部5は、記録紙Pを収容するための給紙カセット6を備えており、この給紙カセット6内に設けられた支持板9上に、記録紙Pを積層した状態で収容することができるようになっている。支持板9は、その第1端部における軸線9aを中心に回転可能となっており、第1端部とは反対側の第2端部が圧縮ばね9bによって上方へ付勢されることにより、最上部の記録紙Pが給紙ローラ21に対して押圧される。給紙ローラ21に対向する位置には、例えば摩擦部材としての分離パッド(図示せず)が配置されており、給紙ローラ21が回転駆動されることにより給紙カセット6内から送り出される記録紙Pは、上記分離パッドの作用により、記録紙搬送路12に1枚ずつ送り出される。
【0025】
記録紙搬送路12には、1つ又は複数の搬送ローラ13が設けられている。給紙カセット6から1枚ずつ送り出される記録紙Pは、搬送ローラ13により記録紙搬送路12内を搬送され、画像形成部4へと送られる。そしてレジストローラ14により、記録紙Pは感光体ドラム4aの直前で一旦停止され、感光体ドラム4aに形成されるトナー像を転写させるタイミングに合わせて送り出される。
【0026】
図2は、画像形成装置1の電気的構成を示したブロック図である。画像形成装置1は、上述の画像読取部3及び画像形成部4などの他、例えばCPU31、フラッシュROM32、SDRAM33、SRAM34、モデム35、NCU36、操作パネル37、時計回路38、統合チップセット39、SDRAM40、ネットワークボード41及び開閉センサ50などを備えている。CPU31、フラッシュROM32、SDRAM33、SRAM34、モデム35、操作パネル37、時計回路38及び統合チップセット39は、システムバス42を介して互いにデータを伝送することができる。画像読取部3及び画像形成部4は、統合チップセット39に接続されている。
【0027】
CPU(Central Processing Unit)31は、画像形成装置1の動作を制御するための制御部として機能する。フラッシュROM(Read-Only Memory)32、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)33及びSRAM(Static Random Access Memory)34は、いずれもデータを記憶しておくための記憶部である。SDRAM33は、例えばCPU31の作業領域として用いることができ、例えばフラグ331などが割り当てられている。SRAM34は、例えば各種設定データ及びエラー情報などを記憶することができる。
【0028】
モデム35は、NCU(Network Control Unit)36を介して公衆電話網(PSTN:Public Switched Telephone Networks)44に接続されている。NCU36は、公衆電話網44に接続されている他の外部通信装置との間で信号を送受信することができる。
【0029】
操作パネル37は、ユーザが操作を行なうための操作部、及び、ユーザに対して表示を行うための表示部を構成しており、例えば操作キー371及びLCD(Liquid Crystal Display)372などを備えている。ユーザは、操作キー371を操作することにより、画像形成装置1の動作の設定及び指示などを行なうことができる。LCD372には、画像形成装置1の動作状況及び設定内容などを表示することができる。ただし、LCD372がタッチパネルを含む構成であれば、LCD372に対する操作により、画像形成装置1の動作の設定及び指示などを行なうこともできる。
【0030】
時計回路38は、計時を行なうためのタイマ部であり、例えばRTC(Real Time Clock)などにより構成することができる。統合チップセット39は、複数の集積回路を組み合わせることにより構成されている。SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)40は、統合チップセット39を介してデータが入出力される記憶部である。
【0031】
ネットワークボード41は、ローカルバス43を介して統合チップセット39との間でデータを伝送することができる。ネットワークボード41はLAN(Local Area Network)45に接続されており、当該ネットワークボード41を介して、LAN45に接続されている他の外部通信装置との間でネットワーク通信を行なうことができる。
【0032】
開閉センサ50は、例えば筺体1a又は開閉カバー10に設けられ、開閉カバー10の開閉状態を検知する。この開閉センサ50は、例えば開閉カバー10の開閉に伴い機械的に動作するスイッチなどにより構成されてもよいし、開閉カバー10に向けて照射した光の反射光を受光するか否かに基づいて開閉を検知する光反射型センサなどにより構成されてもよい。開閉センサ50としては、開閉カバー10の開閉状態を検知することができるような各種構成を採用することができる。
【0033】
図3は、CPU31の具体的構成を示した機能ブロック図である。本実施形態における画像形成装置1のCPU31は、例えば原稿判定部51、読取判定部52及び電力切替部53として機能する。
【0034】
原稿判定部51は、セット位置に原稿が置かれているか否かを判定する。また、読取判定部52は、セット位置に置かれている原稿の読取が行なわれたか否かを判定する。本実施形態において、タイマ部としての時計回路38は、原稿判定部51によりセット位置に原稿が置かれていると判断されているときに計時を行なうようになっている。本実施形態では、原稿のセット位置がガラス板3d上に設定されているが、このような構成に限らず、例えば原稿搬送装置2の原稿トレイ2a上などの他、あらゆる位置に原稿のセット位置を設定することができる。
【0035】
読取判定部52は、例えば画像読取部3からの入力信号に基づいて、画像読取部3の動作状態を確認することにより、セット位置に置かれている原稿の読取が行なわれたか否かを判定することができる。ただし、読取判定部52による判定は、上記のような構成に限らず、他の各種構成によって行なうことも可能である。
【0036】
原稿判定部51は、例えば開閉センサ50からの入力信号及び読取判定部52による判定結果に基づいて、セット位置に原稿が置かれているか否かを判定することができる。具体的には、セット位置に置かれている原稿の読取後に、開閉センサ50により開閉カバー10の開状態が検知されるか否かに基づいて、セット位置に原稿が置かれているか否かを判定することができる。すなわち、原稿の読取後に開閉カバー10が開かれた場合には、セット位置に置かれている原稿が取り除かれたと判断することができる。ただし、原稿判定部51による判定は、上記のような構成に限らず、他の各種構成によって行なうことも可能である。
【0037】
電力切替部53は、画像形成装置1内の各部の電力状態を切り替える。この電力切替部53の機能により、本実施形態における画像形成装置1は、電力状態を省エネルギーモードに切り替えることができる。本実施形態では、省エネルギーモードとして、待機モードよりも消費電力が少ない第1省エネルギーモードと、第1省エネルギーモードよりも消費電力が少ない第2省エネルギーモードの2種類が設定されている。
【0038】
第1省エネルギーモードでは、例えば画像読取部3及び画像形成部4への電力供給が停止される。第2省エネルギーモードでは、例えば画像読取部3及び画像形成部4に加えて、モデム35、操作パネル37、統合チップセット39及びSDRAM40への電力供給が停止される。さらに、第2省エネルギーモードでは、CPU31、フラッシュROM32、SDRAM33、NCU36及びネットワークボード41の消費電力が待機モードよりも低減される。なお、SRAM34及び時計回路38については、第1省エネルギーモード及び第2省エネルギーモードのいずれにおいても、待機モードと同様の消費電力のまま維持されるようになっている。
【0039】
ただし、省エネルギーモードは、本実施形態のように2種類が設定された構成に限らず、1種類のみ設定された構成であってもよいし、3種類以上が設定された構成であってもよい。いずれの場合においても、相対的に消費電力が多いモード(待機モードを含む。)と消費電力が少ないモードとが設けられていれば、その消費電力が少ないモードを省エネルギーモードとして本発明を適用することができる。
【0040】
電力切替部53は、原稿判定部51による判定結果、読取判定部52による判定結果、及び、時計回路38による計時結果に基づいて、画像形成装置1の電力状態を待機モードから第1省エネルギーモードに切り替える。具体的には、セット位置に置かれている原稿の読取後に、所定時間が経過してもセット位置に原稿が置かれていると判断される場合に、画像形成装置1の電力状態が切り替えられる。すなわち、本実施形態では、セット位置に置かれている原稿の読取後に、所定時間が経過しても開閉センサ50により開閉カバー10の開状態が検知されない場合に、画像形成装置1の電力状態が切り替えられるようになっている。
【0041】
したがって、原稿の読取後に当該原稿をユーザが取り忘れた場合であっても、計時結果に基づいて画像形成装置1の電力状態が第1省エネルギーモードに切り替えられることにより、ユーザが原稿の取り忘れに気付くまでの間、無駄な電力を消費するのを防止することができる。特に、開閉センサ50からの入力信号に基づいて、セット位置に原稿が置かれているか否かを簡単な構成で判定することができ、その判定結果に基づいて画像形成装置1の電力状態を第1省エネルギーモードに良好に切り替えることができる。
【0042】
また、本実施形態では、電力切替部53は、セット位置に置かれている原稿の読取後に、原稿判定部51によりセット位置に置かれている原稿が取り除かれたと判断される場合に、画像形成装置1の電力状態を第1省エネルギーモードに切り替えるようになっている。これにより、セット位置に置かれている原稿の読取後に、セット位置に置かれている原稿が取り除かれたと判断される場合には、所定時間が経過する前であっても画像形成装置1の電力状態が第1省エネルギーモードに切り替えられる。したがって、セット位置に置かれている原稿が取り除かれた後に無駄な電力を消費するのを防止することができる。
【0043】
さらに、本実施形態では、電力切替部53は、原稿判定部51によりセット位置に原稿が置かれていると判断される場合であっても、当該セット位置に置かれている原稿の読取が行なわれない場合には、画像形成装置1の電力状態を第1省エネルギーモードに切り替えない。これにより、セット位置に原稿が置かれていると判断される場合であっても、当該原稿の読取前には、第1省エネルギーモードに切り替えられることがない。したがって、これから原稿の読取を行なおうとしているときに、誤って第1省エネルギーモードに切り替えられるのを防止することができる。
【0044】
図4は、画像形成装置1の電力状態を待機モードから第1省エネルギーモードに切り替える際のCPU31による処理の一例を示したフローチャートである。本実施形態では、SDRAM33に割り当てられたフラグ331が、読取後の原稿をセット位置から取り忘れていないかどうかを表すための「原稿忘れフラグ」として機能する。
【0045】
CPU31は、第1省エネルギーモードへの移行を要求する信号(移行要求信号)として、画像形成装置1の動作又は画像形成装置1に対する操作が所定時間行なわれていない場合などに入力される信号の有無を監視している(ステップS101)。そして、移行要求信号が入力された場合には(ステップS101でYes)、セット位置に原稿が置かれているか否かが判定される(ステップS102)。例えば、読取判定部52による判定結果及び開閉センサ50からの入力信号に基づいて、原稿の読取後に開閉カバー10が開かれたと判断される場合には、原稿は取り除かれてセット位置に置かれていないと判定することができる。
【0046】
セット位置に原稿が置かれていないと判定される場合には(ステップS102でNo)、画像形成装置1の電力状態が待機モードから第1省エネルギーモードに切り替えられる(ステップS104)。一方、セット位置に原稿が置かれていると判断される場合には、フラグ331に「1」がセットされているか否かを判定することにより、その原稿が読取後に取り忘れられたものであるか否かが判定される(ステップS103)。
【0047】
フラグ331に「1」がセットされている場合には(ステップS103でYes)、画像形成装置1の電力状態が待機モードから第1省エネルギーモードに切り替えられる(ステップS104)。一方、フラグ331に「1」がセットされていない場合には(ステップS103でNo)、引き続き移行要求信号の入力の有無が監視される(ステップS101)。
【0048】
図5は、原稿の取り忘れを判定する際のCPU31による処理の一例を示したフローチャートである。まず、フラグ331がクリアされ(ステップS201)、原稿の読取が完了するか否かが監視される(ステップS202)。これにより、セット位置に置かれている原稿の読取が行なわれない場合には(ステップS202でNo)、フラグ331に「1」がセットされることがないので(図4のステップS103でNo)、画像形成装置1の電力状態が第1省エネルギーモードに切り替えられない。
【0049】
原稿の読取が完了した場合には(ステップS202でYes)、所定時間が経過するまでに開閉カバー10が開かれるか否かが監視される(ステップS203及びS204)。開閉センサ50からの入力信号に基づいて、所定時間が経過するまでに開閉カバー10が開かれたと判断される場合には(ステップS203でYes)、フラグ331がクリアされる(ステップS201)。この場合には、原稿が読取後にセット位置から取り除かれたと判断され(図4のステップS102でNo)、その時点で画像形成装置1の電力状態が待機モードから第1省エネルギーモードに切り替えられる(ステップS104)。
【0050】
一方、開閉センサ50からの入力信号がないまま所定時間が経過した場合には(ステップS204でYes)、原稿の取り忘れと判断され、その時点でフラグ331に「1」がセットされる(ステップS205)。このように、セット位置に原稿が置かれた状態でフラグ331に「1」がセットされた場合には(図4のステップS103でYes)、画像形成装置1の電力状態が待機モードから第1省エネルギーモードに切り替えられる(ステップS104)。
【0051】
フラグ331に「1」がセットされた後は、開閉センサ50からの入力信号に基づいて、開閉カバー10が開かれるか否かが監視される(ステップS206)。そして、開閉カバー10が開かれた場合には(ステップS206でYes)、フラグ331がクリアされる(ステップS201)。
【符号の説明】
【0052】
1 画像形成装置
3 画像読取部
4 画像形成部
10 開閉カバー
31 CPU
38 時計回路
50 開閉センサ
51 原稿判定部
52 読取判定部
53 電力切替部
331 フラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力状態を省エネルギーモードに切り替えることが可能な原稿読取装置であって、
セット位置に原稿が置かれているか否かを判定する原稿判定部と、
前記セット位置に置かれている原稿の読取が行なわれたか否かを判定する読取判定部と、
前記原稿判定部により前記セット位置に原稿が置かれていると判断されているときに計時を行なうタイマ部と、
前記読取判定部による判定結果、及び、前記タイマ部による計時結果に基づいて、前記セット位置に置かれている原稿の読取後に、所定時間が経過しても前記原稿判定部により前記セット位置に原稿が置かれていると判断される場合に、前記原稿読取装置の電力状態を前記省エネルギーモードに切り替える電力切替部とを備えることを特徴とする原稿読取装置。
【請求項2】
前記セット位置に置かれている原稿を押さえるために開閉される開閉カバーと、
前記開閉カバーの開閉状態を検知するための開閉センサとを備え、
前記原稿判定部は、前記セット位置に置かれている原稿の読取後に、前記開閉センサにより前記開閉カバーの開状態が検知されるか否かに基づいて、前記セット位置に原稿が置かれているか否かを判定し、
前記電力切替部は、前記セット位置に置かれている原稿の読取後に、前記所定時間が経過しても前記開閉センサにより前記開閉カバーの開状態が検知されない場合に、前記原稿読取装置の電力状態を前記省エネルギーモードに切り替えることを特徴とする請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項3】
前記電力切替部は、前記セット位置に置かれている原稿の読取後に、前記原稿判定部により前記セット位置に置かれている原稿が取り除かれたと判断される場合に、前記原稿読取装置の電力状態を前記省エネルギーモードに切り替えることを特徴とする請求項1又は2に記載の原稿読取装置。
【請求項4】
前記電力切替部は、前記原稿判定部により前記セット位置に原稿が置かれていると判断される場合であっても、当該セット位置に置かれている原稿の読取が行なわれない場合には、前記原稿読取装置の電力状態を前記省エネルギーモードに切り替えないことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の原稿読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−138805(P2012−138805A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290450(P2010−290450)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】