説明

原稿読取装置

【課題】本発明は、本などの原稿における読取面を上向きにセットでき、安定性に優れ、小型化され、かつ多様な種類の原稿を連続して搬送して読み取ることのできる原稿読取装置を提供することを目的とする。
【解決手段】原稿読取装置を、原稿がセットされる原稿台40を有するセット部6と、原稿を載置する給紙トレイ2と、原稿を収納する排紙トレイ3、原稿を給紙トレイ2から排紙トレイ3に搬送する略直線状の原稿搬送路18を有する搬送部4と、原稿台40と搬送経路18の上下間に配置され、移動して原稿台40上の原稿の画像を読み取ると共に静止して搬送経路18を搬送する原稿を読み取る読取ユニット30が設けられた読取部5と、で構成する。さらに給紙トレイ2、搬送部4、排紙トレイ3を、読取ユニット30の移動領域内で、かつ読取ユニット30の移動方向に沿ってこの順に並べて配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート原稿及びブック原稿を読み取る原稿読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搭載される原稿搬送装置によって第1のプラテンに搬送される原稿を読み取る機能と第2のプラテンに載置された原稿を読み取る機能とを備える画像読取装置が知られている。そして、第2のプラテンに載置された原稿を読み取る機能においては、本などを開いた状態で読取面を下向きに載置し、第2のプラテンの下方設けられた読取ユニットを副走査方向に移動して読み取るように構成されている。
【0003】
上述のような原稿読取装置においては、本などを開いた状態で見開き面(読取面)を下向きに載置しなければならないため、本を載置する際に本の頁がずれたり、折れ曲がったりして取り扱いが煩わしいとの問題があった。
【0004】
このような課題を解決するものとして、例えば特許文献1に記載の装置が提案されている。この特許文献1の装置では、給紙トレイ上の原稿をU字状の湾曲路に沿って給紙する給紙部と、給紙部から送られた原稿を読み取るための移動原稿読取部と、移動原稿読取部で読み取った原稿をU字状の排紙路に沿って排紙トレイに排出する原稿排紙部と、移動原稿読取部で片面が読み取られた原稿をループ状の反転路に沿って反転して再び移動原稿読取部に搬送する原稿反転部と、原稿を排出する静止した本などの原稿を読み取るコンタクトガラスを含む停止原稿読取部と、原稿を読み取るための読取ユニットと、を備える上ユニットと、本などの原稿をセットする原稿セット部を備える下ユニットとで構成している。そして、この構成によって、本などの原稿を読取ユニットの下方の原稿セット部に見開き面を上向きにセットできるようになり、本などを読み取る際の煩わしさがなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−78108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のような装置では、給紙トレイ、排紙トレイ、原稿反転部、読取ユニットを重ねてコンタクトの上方に配置しているため、上ユニットが大型化する。このため、コンタクトガラスに本などをセットするときの上下ユニットの開閉動作が不安定となるとの問題がある。また、近年では、紙類に加えてカードや証明証などプラスチック材やフィルム材を連続して搬送して読み取る搬送機構が要求されており、特許文献1のように湾曲したU字状の経路を形成された装置においてはプラスチック材やフィルム材は搬送することはできない。
【0007】
本発明は、本などの原稿における読取面を上向きにセットでき、安定性に優れ、小型化され、かつプラスチック材やフィルム材を連続して搬送して読み取ることのできる原稿読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために本発明の原稿読取装置は、原稿がセットされる原稿台を有するセット部と、原稿を載置する給紙トレイと、原稿を収納する排紙トレイと、原稿を給紙トレイから排紙トレイに搬送する略直線状の原稿搬送路を有する搬送部と、移動して原稿台上の原稿の画像を読み取ると共に静止して搬送経路を搬送する原稿を読み取る読取手段を有し、セット部と搬送部の間に配置された読取部と、を備え、給紙トレイ、搬送部、排紙トレイを、読取手段の移動領域内の上方で、かつ読取手段の移動方向に沿ってこの順に並べて配置した。
【発明の効果】
【0009】
上記構成によって、本などの原稿の読取面を上向きしてセットできるとともに多様な種類の原稿を搬送して読み取ることができるので、原稿の取り扱いが容易になり、装置の性能が向上する。また読取部の上方に給紙トレイ、搬送部、排紙トレイを並べてレイアウトしたので、装置の小型化される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る原稿読取装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】本発明に係る搬送・読取ユニットAが原稿台ユニットBに対して開閉した状態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る原稿台ユニットBの構成を示す拡大断面図である。
【図4】本発明に係る第1の読取ユニット30の構成を説明するための概念図である。
【図5】本発明に係る第1の読取ユニット30の原稿読取動作を示すメインフローチャート図である。
【図6】本発明に係る第1の読取ユニット30のDF読取モード時における動作フローチャート図である。
【図7】本発明に係る第1の読取ユニット30のFB読取モード時の動作フローチャート図である。
【図8】本発明に係るDFモード時における第1の読取ユニットの動作を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明が係る原稿読取装置の全体構成を示す断面図、また図2は搬送・読取ユニットAがコンタクトガラス1を境に原稿台ユニットBに対して開閉状態を示す状態斜視図である。図1における符号Hは本発明における原稿読取装置を示す。原稿読取装置Hは、原稿を搬送する搬送部と原稿を読み取る読取部からなる搬送・読取ユニットAと、主に本や厚手の原稿がセットされる原稿台40を備える原稿台ユニットBとの2つのユニットからなる。また、図2に示すように原稿台ユニットBのリア側にはヒンジ50が取り付けられている。このヒンジ50は搬送・読取ユニットAを支持し、搬送・読取ユニットAのフロント側を押し上げることによって原稿台ユニットBに対して搬送・読取ユニットAを回動させる。つまり、原稿台40に原稿をセットする際には、ヒンジ50によって搬送・読取ユニットAを回動させ、原稿台40の上面を露出させて原稿をセットする。
【0012】
図1に示すように搬送・読取ユニットAは、移動して読み取られる原稿が載置される給紙トレイ2と、原稿を給紙、搬送する搬送部4と、コンタクトガラス1(第1のコンタクトガラス)を含み、原稿台ユニットB内にセットされた原稿を読み取るための読取部5と、読み取られた原稿が収納される排紙トレイ3を備えている。一方、原稿台ユニットBは、原稿をセットするセット部6を備える。なお、給紙トレイ2には、原稿の幅方向両端部を規制する一対のサイド規制板2aが設けられている。このサイド規制板2aは原稿幅方向にスライド移動するように構成されており、これによって原稿を給紙トレイ2の原稿載置領域のセンターを基準に載置できる。
【0013】
以下、上記の搬送部4、読取部5、セット部6について順次説明する。
【0014】
搬送部4は、画像読取装置Hの略中央に設けられており、搬送部4の両側にはそれぞれ給紙トレイ2と排紙トレイ3が設けられている。また、給紙トレイ2から排紙トレイ3に至る搬送路18は略直線状に形成されており、通常の原稿以外にプラスチックなどで形成されたカード類も搬送できるようになっている。
【0015】
また、搬送路18の入り口側には、給紙トレイ2上の原稿の有無を検知するエンプティセンサAS1と、給紙トレイ2に載置される原稿束の先端部が当接して原稿束の先端を揃えて規制するガイド板20と、原稿の最下面に接触して原稿を繰り出す繰出ローラ10と、給紙トレイ2に載置された原稿を上方から押圧する位置と原稿束から退避した位置に移動する押圧レバー19と、を備える。
【0016】
さらに、搬送部4には、繰出ローラ10にて繰り出された原稿を給紙する給紙ローラ12と、給紙ローラ12と協働して原稿を一枚に分離する分離部材11と、1枚に分離された原稿の先端をレジストして下流に搬送するレジストローラ対13と、レジストローラ対13で送られる原稿の表面を読み取るための第2のコンタクトガラス16と、搬送路18を挟んで第2のコンタクトガラス16に対向する側に配置された第3のコンタクトガラス17と、読み取られた原稿を排紙トレイ3に排紙する排紙ローラ対14と、搬送路18に沿って搬送される原稿の端部を検出するレジストセンサAS2及び排紙センサAS3と、が設けられている。
【0017】
また、第3のコンタクトガラス17及び搬送路18の上方には光学系の読取ユニット15(第2の読取ユニット)が設けられている。この第2の読取ユニット15は搬送路18を搬送される原稿面に第3のコンタクトガラス17を介して光を照射し、照射した光の反射光を複数のミラーで反射させた後にレンズで集光し、CCD(光電変換素子)で原稿の画像を読み取る。なお、本実施の形態では、第2の読取ユニット15の構成として光源、複数のミラー、レンズ、光電素子からなる縮小光学系(いわゆるCCD方式)を採用しているが、密着光学系(CIS方式)の読取機構を採用してもよい。
【0018】
上述の構成によれば、読取部5の上方で、第1の読取ユニット30の移動方向の略中央に搬送部4を配置し、搬送部4の両側に給紙トレイ2と排紙トレイ3が設け、搬送路18を短い直線状の経路としたので、通常の原稿以外にプラスチックなどで形成されたカード類も搬送できる。
【0019】
読取部5は給紙トレイ2、搬送部4、排紙トレイ3の下方に設けられている。この読取部5には、その下面に原稿台ユニットBのセット部6にセットされた原稿を読み取るための前述した第1のコンタクトガラス1が設けられ、さらに第1のコンタクト1と給紙トレイ2、搬送部4、排紙トレイ3との間には第1の読取ユニット30が設けられている。また、第1の読取ユニット30が固定して取り付けられ、第1の読取ユニット30を第1のコンタクトガラス1面に沿って移動させる無端ベルトBTと、この無端ベルトBTを回転させる駆動モータMT1及び駆動モータMT1の駆動を無端ベルトBTに伝達する複数の伝達ギヤ、プーリが設けられている。
【0020】
第1の読取ユニット30は原稿台ユニットBにセットされた原稿と搬送部4の搬送路18に沿って搬送される原稿とを選択的に読み取るように構成されており、第1の読取ユニット30は原稿台ユニットBにセットされた原稿を読み取るときには、第1の第1のコンタクトガラス1面に沿って往復移動し、第1のコンタクトガラス1を介してセット原稿の上面を読み取る。一方、搬送路18に沿って搬送される原稿を読み取るときは、第2のコンタクトガラス16の真下に移動して停止し、第2のコンタクトガラス16を通過する原稿の表面を読み取る。なお、本実施の形態では、第1の読取ユニット30は、光源、複数のミラー、レンズ、光電素子からなる縮小光学系(いわゆるCCD方式)を採用している。
【0021】
上述した給紙トレイ2、排紙トレイ3、搬送部4、読取部5からなる搬送・読取ユニットAの構成によれば、第1のコンタクトガラス1の上方、つまり第1の読取ユニット30の移動領域の上方に給紙トレイ2、搬送部4、排紙トレイ3を第1の読取ユニット30の移動方向に隣接して並設させたので、不要な空間がなく、装置が小型化される。
【0022】
図3は原稿読取装置Hの原稿台ユニットBを示す拡大断面図である。原稿台ユニットBのセット部6には、図3に示すように第1のコンタタクトガラス1の下面に接触して覆うクッション材40と、このクッション材40の底面を支持する基台41と、基台41を上方に付勢する複数のバネ部材42と、が設けられている。
【0023】
本実施の形態ではクッション材40としてスポンジを採用しており、クッション材40としてスポンジは、本や厚手原稿を吸収する程度に変形が可能な弾性力と厚さを有している。基台41は樹脂形成された板状の部材であって、その上面に弾性部材40が両面テープで取り付けられている。複数のバネ部材42は原稿台ユニットBの外装カバーを兼ねる枠体43の内側底部に形成された凹部43aと基台41の下面との間に取り付けられている。このバネ部材42によって基台41及びクッション材40が上方に付勢され、クッション材40が常に第1のコンタクトガラス1に接触するように構成されている。基台41の両側部は、図3に示すように枠体43の内側の側部に形成された切欠部43bに挿入されるように設けられている。そして、基台41の両側部が枠体43の切欠部43bの上方の切欠面43c及び下方の切欠面43dに当接させることで、基台41及びクッション材40の上下方向の移動を規制している。
【0024】
なお、クッション材40の少なくとも上面は、原稿に対し光の反射率の異なる色、例えば黄色に着色されている。
【0025】
上述の構成によれば、原稿台40の上方にコンタクトガラス1、第1の読取ユニット30を設けるレイアウト構成としたので、原稿の読取面を上向きにセットでき、原稿のセットが容易になる。特に、本などの原稿を第1の読取ユニット30の下方の原稿セット部に見開き面を上向きにセットできるようになり、本などを読み取る際の煩わしさがなくなる。
【0026】
ここで、第1の読取ユニット30の構成について説明する。図4は第1の読取ユニット30の構成を説明するための概念図であり、図4(a)は原稿台ユニットBにセットされた原稿Pを読み取るときの第2の読取ユニット30の状態を示し、図4(b)搬送路18に沿って搬送される原稿Pを読み取るときの第2の読取ユニット30の状態を示す。
【0027】
第1の読取ユニット30は、図4(a)(b)に示すように光を照射する光源31と、原稿台ユニットBにセットされた原稿Pを読み取るとき用いられるFB用ミラー32と、搬送路18に沿って搬送される原稿Pを読み取るとき用いられるDF用ミラー33と、FB用ミラー32またはDF用ミラー33からの光を反射して案内する複数のミラー34a〜34dと、複数のミラー34aの最終のミラー34dからの光を集光する集光レンズ35と、集光された光を光電変換するCCD36と、を備えている。
【0028】
符号37は、光源31、FB用ミラー32、DF用ミラー33を保持する保持部材としてのブラケットである。このブラケット37は回転シャフト38に固定連結され、回転シャフト38を回転モータMT2によって回転させることでブラケット37を回転させる構成となっている。
【0029】
つまり、原稿台ユニットBにセットされた原稿Pを読み取るときには回転モータMT2によってブラケット37を図4(a)に示すFB用位置に移動させ、FB用ミラー32を用いて下方の原稿Pを読み取り、搬送路18に沿って搬送される原稿Pを読み取るときにはブラケット37を図4(b)に示すDF用位置に移動させ、DF用ミラー33を用いて上方の原稿Pを読み取る。
【0030】
なお、回転シャフト38の一端部には、回転シャフト38の回転を制御するためのセンサフラグ39が取り付けられており、このセンサフラグ39をポジションセンサPSが検出した時点から回転モータMT2の駆動パルス数をカウントすることで図4(a)(b)に示す位置にブラケット37を位置決めされる。なお、本実施の形態においては、センサフラグ39をポジションセンサPSが検出されるブラケット37の位置と図4(b)に示すDF用位置とを同一としている。
【0031】
上述の実施の形態によれば、第1の読取ユニット30の光源を移動とミラーの切り換えによって、上方向にある原稿と下方向にある原稿を選択的に読み取るようにしたので、光学縮小系を用いた原稿読み取り機構であっても読み取り機構の複雑化や読取ユニットの大型化を招くことがない。
【0032】
次に、第2の読取ユニット30における読取動作について図5、図6、図7の動作フローチャートに基づき説明する。図5は原稿を読み取るための主動作を示すメインフローチャート図である。図6は搬送路18に沿って搬送される原稿を読み取るときのDF読取モードの動作フローチャート図、図7は原稿台ユニットBにセットされた原稿を読み取るときのFB読取モードの動作フローチャート図である。また、図8はDFモード時における第1の読取ユニットの動作を示す模式図である。
【0033】
先ず、図5に示すようにスタートポタン(図示せず)が使用者によって押されると給紙トレイ2に原稿が載置されて否かをエンプティセンサAS1で検出する(ST1〜ST2)。そして、エンプティセンサAS1がON(原稿有り)である場合には、搬送路18に沿って搬送される原稿を読み取るDF読取モードが選択される(ST3)。一方、エンプティセンサAS1がOFF(原稿無し)である場合には、原稿台ユニットBにセットされた原稿を読み取るFB読取モードが選択される(ST4)。
【0034】
DF読取モードでは、図6に示すように第1の読取ユニット30のブラケット37のDF用位置にあるか否かが検出される(ST10)。つまり、上述したようにポジションセンサPSのセンサフラグ38の検出位置をDF用位置に設定しているので、ポジションセンサPSのON、OFFによってブラッケット37がDF用位置にあるか否かを判断している。
【0035】
そして、ブラッケット37がDF用位置にない場合は回転用モータMT2を駆動し、回転シャフト38を介してブラッケット37をポジションセンサPSがONになるまで回転させ、DF用位置に移動させる(ST11〜ST13)。
【0036】
ブラッケット37をDF用位置に移動させると、次に移動用モータMT1を駆動し、第2の読取ユニット30を図8の破線(仮想線)で示すサイズ検出位置SPで停止させて原稿幅検出動作が実行される(ST14〜ST15)。この原稿幅検出動作では、一対のサイド規制板2aのそれぞれの底面に印刷されたマークMAを第2の読取ユニット30で読み取り、この読取データからマークMA間の距離を算出して原稿幅方向の長さを求める。この原稿幅方向の長さから原稿サイズを特定する。このように、給紙トレイ2に設けられた一対のサイド規制板2aにおけるそれぞれの底面側にマークを施し、このマークを第1の読取ユニット30で読み取ることによって原稿サイズを特定するようにすれば、原稿サイズを検出する専用のセンサや検出機構を設けなくてもよい。
【0037】
続いて、原稿幅検出動作が終了すると再び移動用モータMT1を駆動し、第2の読取ユニット30を図8の実線で示す読取位置RPで停止させる(ST16)。そして、繰出ローラ10、給紙ローラ12、レジストローラ13によって第2のコンタクトガラス16に搬送される原稿を読み取る読取動作が実行される(ST17)。
【0038】
なお、給紙トレイ2上の原稿は、第1の読取ユニット30が読取位置RPに到達すると繰出ローラ10が駆動して給紙が開始され、給紙ローラ12及びレジストローラ13で第2、第3のコンタクトガラス16、17に搬送される。そして、第2のコンタクトガラス16を通過する過程で第1の読取ユニット30で原稿の表面が読み取られ、第3のコンタクトガラス17を通過する過程で原稿の裏面が第2の読取ユニット15で読み取られる。両面が読み取られた原稿は排紙ローラ対14によって排紙トレイ3に排紙される。
【0039】
次に、FB読取モードについて図7に基づき説明する。FB読取モードでは、先ずポジションセンサPSがセンサフラグ38を検出しているか否か、つまりブラケット37がホームポジション位置にあるか否かが検出される(ST20)。
【0040】
ブラッケット37がDF用位置にない場合は回転用モータMT2を駆動し、回転シャフト38を介してブラッケット37をポジションセンサPSがON、すなわちホームポジションに移動するまで回転させる(ST21〜ST22)。そして、ブラッケット37をポジションセンサPSがONした時点から所定量だけ回転モータMT2を駆動させた後に駆動モータを停止する(ST23〜ST24)。これによって、ブラッケット37はFB用位置に移動して停止する。この状態で予備読取動作(プリスキャン動作)、FB読取動作(本スキャン動作)を順次実行する(ST25〜ST26)。
【0041】
予備読取動作は、第1の読取ユニット30を図1の破線で示す矢印方向に第1のコンタクトガラス1に沿って移動させつつ原稿台40上にセットされた原稿を読み取る。この予備読取動作では、その読取データから原稿台40上の原稿の有無や原稿サイズなどの原稿情報を取得する。
【0042】
FB読取動作は、予備読取動作によって第1のコンタクトガラス1の一端側から他端側に移動した第1の読取ユニット30を第1のコンタクトガラス1の他端側から一端側、すなわち図1の実線で示す矢印方向に移動し、この移動する過程において原稿台40上にセットされた原稿の画像を読み取る。
【0043】
なお、本実施の形態では、給紙トレイ2に設けられた一対のサイド規制板2aのマークを読み取り、原稿サイズを特定するようにしたが、原稿トレイの一部を透明な部材で構成し、透明な部材を介して原稿の幅方向の端部を読み取り、この端部の読み取りデータから原稿の長さを算出して原稿サイズを特定するようにしてもよい。
【0044】
本実施の形態によれば、上ユニット(搬送・読取ユニットA)に原稿の両面を同時に読み取る2つの読取ユニット15、30を上下に設け、2つの読取ユニット15、30の間の搬送路18を略直線にしたので、読取媒体への対応力のアップと装置の低騒音化を図ることができる。
【0045】
また、第1の読取ユニット30は、原稿台にセットされた原稿を原稿の上面から読取りを行うので、複数ページの読み取りが必要な本などの原稿などは、本をひっくり返すことなくページをめくることが可能となり、作業性が飛躍的にアップする。
【0046】
さらに、給紙トレイ2の繰出方向上流側の下方にサイズ検出位置SPを設定し、DF読取モードではサイド規制板2aに連動して動くマークの位置または給紙トレイ上の原稿の幅方向の端部を第1の読取ユニット30で読み取り、原稿幅のサイズを特定するようにしたので、DF読取モード時の原稿サイズを特定するための機構が簡素化され、コストの低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0047】
A 搬送・読取ユニット
B 原稿台ユニット
1 第1のコンタクトガラス
2 給紙トレイ
2a 一対のサイド規制板
3 排紙トレイ
4 搬送部4
5 読取部
6 セット部
15 第2の読取ユニット
18 搬送路
30 第1の読取ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿がセットされる原稿台を有するセット部と、原稿を載置する給紙トレイと、原稿を収納する排紙トレイと、原稿を前記給紙トレイから前記排紙トレイに搬送する略直線状の原稿搬送路を有する搬送部と、移動して前記原稿台上の原稿の画像を読み取ると共に静止して前記搬送経路を搬送する原稿を読み取る読取手段を有し、前記セット部と前記搬送部の間に配置された読取部と、を備え、
前記給紙トレイ、前記搬送部、前記排紙トレイを、前記読取手段の移動領域内の上方で、かつ前記読取手段の移動方向に沿ってこの順に並べて配置したことを特徴とする原稿読取装置。
【請求項2】
前記読取手段は、原稿に光を照射する光源と、光を集束するレンズと、原稿からの反射光を複数回反射させて前記レンズに導く複数のミラーと、レンズにて集光された光を光電変換するCCDをからなり、
前記光源は前記原稿台上の原稿を照射する位置と前記搬送経路を搬送する原稿を照射する位置に移動するように構成され、前記複数のミラーは前記原稿台上の原稿から反射した光を受ける第1ミラーと前記搬送経路を搬送する原稿から反射した光を受ける第2ミラーを有することを特徴とする請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項3】
原稿幅方向に移動して原稿の幅方向の両端部を規制する一対のサイド規制部材を前記給紙トレイに設け、前記読取手段を前記サイド規制部材の下方に静止させ、前記読取手段にて前記サイド規制部材のマークを読み取り、この読取データから原稿サイズを特定することを特徴とする請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項4】
前記搬送部に原稿を読み取る第2読取手段を設け、直線状の前記搬送経路を搬送られる原稿の表面を前記読取部の前記読取手段で読み取り、裏面を前記搬送部の前記第2読取手段で読み取ることを特徴とする請求項1に記載の原稿読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−102294(P2013−102294A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243933(P2011−243933)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】