説明

厨房廃液処理装置及び厨房廃液処理方法

【課題】簡易な構成で厨房廃液を確実に浄化することができる厨房廃液処理装置及び厨房廃液処理方法を提供する。
【解決手段】厨房等から排出される食物廃液に対してエアレーションを行って微生物処理する第1槽10と、該第1槽10に対して底部で連通して微生物処理された廃液にオゾン混合気体を供給して堆積汚泥を攪拌して酸化分解処理及び活性汚泥処理による分解を行う第2槽20と、該第2槽に対して底部で連通して所定時間滞留させて上澄み水を排出する第3槽30とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厨房等から排出される食物廃液、特に油脂分の多い廃液を処理する厨房廃液処理装置及び厨房廃液処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の浄水装置は、都市の下水道水を浄化する浄化装置や工場の廃液処理用の浄化装置等の規模の大きなものが主流であり、これに応じて、処理工程(面積)、処理時間、管理手段、運営コスト等の規模が大きいものとなる。
【0003】
これに反して、ホテル、レストラン、学校等の厨房廃液処理はきわめて小規模なものが殆どで、大きな寸法のものでもトラップの容積は5トン以内(例:3.0L×1.5W×1.0D 単位:m)とみて良い。
【0004】
このような厨房廃液処理では、当然にその処理工程、処理時間、管理コスト、運営コストは限られており、大型浄水場とは違って、より短時間で、効率のよい処理方法が必要となる。このため、現在もグリーストラップ廃液の浄化は種々の問題を抱えている。
【0005】
従来、ホテルやレストラン、テナントビルなどの厨房廃液中の油脂分を酵素剤で処理する酵素処理部と、酵素処理部処理された廃液中の有機物を生物担体に付着した微生物で処理する生物処理部とを具備する厨房廃液処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−351303号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来例にあっては、厨房廃液中の油脂分を酵素剤で処理してから生物担体に付着させた微生物で廃液中の有機物を分解処理することができるものであるが、廃液の脱臭、殺菌、有機物やその他の不純物の酸化除去することはできず、完全な浄化処理を行うことができないという未解決の課題がある。
【0007】
この未解決の課題を解決するために、オゾン処理を常開工程に組み入れている場合もあるが、この場合も、原水の懸濁物質を凝集沈殿させるために凝集剤を注入したり、濾過処理をするために活性炭素処理を行ったり、別途塩素を注入したりすることが殆どであり、処理工程が増加するという新たな課題がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、簡易な構成で厨房廃液を確実に浄化することができる厨房廃液処理装置及び厨房廃液処理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に係る厨房廃液処理装置は、厨房等から排出される食物廃液に対してエアレーションを行って微生物処理する第1槽と、該第1槽に対して底部で連通して微生物処理された廃液にオゾン混合気体を供給して堆積汚泥を攪拌して酸化分解処理及び活性汚泥処理による分解を行う第2槽と、該第2槽に対して底部で連通して所定時間滞留させて上澄み水を排出する第3槽とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に係る厨房廃液処理装置は、前記第1槽は、底部に配設された多数の透孔を穿設したパイプにエアポンプから外気を供給することにより、エアレーションを行うように構成されていることを特徴とする。
【0011】
さらに、請求項3に係る厨房廃液処理装置は、前記第2槽は、オゾン発生器で発生したオゾンを空気に混入したオゾン混合気体を、パイプを通じて廃液中に導入して放出し、廃液を酸化分解するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
さらにまた、請求項4に係る厨房廃液処理装置は、前記第2槽は、前記オゾン混合気体をイジェクターに供給して、廃液中に当該廃液の攪拌を行いながら放出するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
なおさらに、請求項5に係る厨房廃液処理装置は、前記第2槽は、前記イジェクターからオゾン混合気体をタイマによって所定期間吐出するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項6に係る厨房廃液処理装置は、前記タイマは前記第1槽への食物廃液の流入がないときに前記イジェクターへのオゾン混合気体の供給を停止させて、廃液中の微細固形物や汚泥を沈殿させるように構成されていることを特徴とする。
【0015】
さらに、請求項7に係る厨房廃液処理装置は、前記イジェクターは浮遊するスカムの固まりを破壊するように廃液の液面を波立たせるようにオゾン混合気体を吐出するように構成されていることを特徴とする。
【0016】
さらにまた、請求項8に係る厨房廃液処理方法は、厨房等から排出される食物廃液を第1槽に供給してエアレーションを行って微生物処理する第1の工程と、該第1の工程で微生物処理された廃液を第2槽に供給してオゾン混合気体を所定期間供給して攪拌することにより酸化分解処理及び活性汚泥処理を行う第2の工程と、該第2の工程で処理された廃液を第3槽に供給して汚泥を沈殿させて上澄み液を排出する第3の工程とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、厨房等から排出される食物廃液を第1槽でエアレーションを行って微生物処理し、次いで第2槽でオゾン混合気体を所定期間供給して攪拌することにより酸化分解処理及び活性汚泥処理を行い、次いで第3槽で第2槽により処理された廃液を沈殿させて上澄み液を排出するようにしたので、厨房等から排出される食物廃液を確実に浄化することができるという効果が得られる。
【0018】
ここで、第2槽で、オゾン混合気体を所定期間供給して廃液を攪拌することにより、オゾン混合気体の吐出時に、底部に滞留する汚泥を巻き上げて、酸化分解処理及び活性汚泥処理を同時に行うことができる。しかも、オゾン混合気体の吐出時に廃液の液面を波立たせるように吐出することにより、浮遊するスカムの固まりを破壊することができる。また、オゾン混合気体の吐出によって廃液を対流させて攪拌することができ、電動モータ等で駆動される攪拌翼を設けることなく、廃液の攪拌を行うことができる。さらに、オゾン混合気体を吐出していない期間に微細固形物や汚泥を沈殿させて微生物を活性化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す平面図、図2は図1の断面図であって、図中、1はホテルやレストラン、食品加工場等から排出される食物廃液を処理する厨房廃液処理装置であり、この厨房廃液処理装置1は、例えば長さL=1.5m、幅W=0.75m、深さD=0.6mの上端を開放した槽本体2を有し、この槽本体2をその内部に配設された境界壁3及び4によって食物廃液が上端側から供給されて廃液に対してエアレーションを行う右側の第1槽10、第1槽10で処理された廃液に対してオゾン混合気体を吐出して酸化分解処理及び活性汚泥処理を行う中央の第2槽20及び第2槽で処理された廃液を沈殿させて上澄み液を排出する左側の第3槽30が形成されている。
【0020】
第1槽10と第2槽20とは境界壁3の下端部に形成された連通部5を介して連通され、同様に第2槽20と第3槽とは境界壁4の下端に形成された連通部6を介して連通されている。
【0021】
第1槽10は、長方形状の底板部10aと、この底板部10aの4辺から垂設された側面板部10b〜10eとから直方体状に形成されている。側面板部10cの上端における後端側には食物廃液がパイプ11を通じて供給される廃液供給口12が形成され、この廃液供給口12の僅か下側に食物廃液に混入している生ゴミ等の固形物を収容する上端を開放した比較的大きなメッシュのバスケット13が配設され、さらに、底板部10a上に空気をバブルとして吐出する孔部を有してエアレーションを行うエアレーションパイプ14が敷設された構成を有する。
【0022】
ここで、エアレーションパイプ14は、図1に示すように、第1槽10の側面板部10b及び10dと所定間隔を保ちながらこれらに沿って延長するパイプ部14a及び14bと、これらパイプ部14a及び14bの両端部間と連通して側面板部10c及び10eと所定間隔を保ちながらこれらに沿って延長するパイプ部14c及び14dと、パイプ部14c及び14d間を、所定距離を保ってパイプ部14a及び14bと平行に連通するパイプ部14e及び14fとで構成されている。そして、パイプ部14bがエア供給パイプ14gを介して外部の圧縮空気供給源24に連通されている。
【0023】
この第1槽10では、槽内の微生物によって廃液(有機物)の分解を行うと共に、微生物の分解活動を促進するためにエアレーションが行われ,結果として油脂を含む有機浮遊物が分解されて廃液が浄化される。また、エアレーションによって廃液内の酸が除去されてpHが上昇し分解効率を高めることができる。ここで、エアレーションを行うためのエアレーションパイプ14に供給する空気流量は例えば40L/MINに設定されている。
【0024】
また、第2槽20は、第1槽10と同様に長方形状の底面板部20aと、この底面板部20aの各辺から垂設された側面板部20b〜20eとで直方体状に形成されている。
【0025】
そして、底面板部20aの上面中央部にオゾン混合気体をジェット気流状に上方に向けて噴射するイジェクター21が配設されている。このイジェクター21には、オゾン混合気体配管22を介して外部のオゾン発生器23で発生されたオゾンと例えばコンプレッサで構成される圧縮空気供給源24で発生された高圧圧縮空気とを混合したオゾン混合気体が供給され、この混合気体を廃液内に上方に向けて高速で吐出することにより、廃液の液面を波立たせて液面に浮遊するスカム浮遊油脂類(スカム)を破壊すると共に、第2槽20の底部に滞留する汚泥を巻き上げて対流させて廃液を攪拌することにより、活性汚泥処理することができる。
【0026】
ここで、イジェクター21へのオゾン混合気体は、第2槽20の容積を空気流量が例えば40L/MIN、オゾン流量が廃液中の微生物を死滅させることなく浄化を行うことができる例えば400mg/Hに設定されている。
【0027】
このように、第2槽20でイジェクター21から上方に向けてオゾンと圧縮空気とを混合したオゾン混合気体を高速で上方に向けて吐出することにより、オゾンの強い酸化力で残留有機物を酸化して分解すると共に、嫌な匂いも酸化力で消すことができる。さらにオゾンは殺菌剤として食物廃液に使用されるクロラインやアセトンも分解することができる。
【0028】
また、オゾンはその性質として、浮遊微粒物質の凝集を促進し、その結果廃液の固液分離を進める。このため、沈降する固形物や微粒物で第2槽20の底に沈殿物の層(汚泥、スラッジ)を作る。この汚泥の70〜80%は微生物で、その汚泥の沈殿を促進し、微生物の増殖を図るためにタイマによってイジェクター21からのオゾン混合気体の吐出を第1槽10に食物廃液が流れ込んでいる期間と流れ込んでいない期間とで例えば午前8時から午後8時まではオゾン混合気体の吐出を行って、イジェクター21から混合気体を吐出している期間で廃液を対流させて底部の汚泥を巻き上げて攪拌し、これによって、底に溜まったスラッジを巻き上げ、汚泥中の微生物が活性汚泥プロセスとして有機物分解作用を促進し、より効果的な浄化を行うことができる。すなわち、生物処理に必要な微生物が、その汚泥から活性化されて絶えず廃液中に供給されることになる。また、午後8時過ぎから午前8時前まではオゾン混合気体の吐出を停止し、この期間で汚泥の沈殿を促進し、微生物の増殖を図る。
【0029】
さらに、第3槽30は、前述した第1槽10と同様に底部にエアレーションパイプ31が敷設され、処理液のエアレーションが行われて前記第1槽10と同様の生物処理が行われると共に、所定の滞留時間を確保して、沈殿が行われ、残留する油脂分が上層に滞留し、汚泥が下槽に滞留し、中間層に上澄み液が滞留することになり、この中間層に滞留する上澄み液が上下方向の略中央位置に配設された排出口32から排出される。
【0030】
そして、オゾン発生器23及び圧縮空気供給源24は、タイマ25によって例えば午前8時から午後8時までの間稼働状態に制御され、その後の午後8時過ぎから午前8時前までの間停止状態に制御される。
【0031】
次に、上記実施形態の動作を説明する。
上記構成を有する厨房廃液処理装置1の第1層10の廃液供給口12をホテルやレストランの厨房や、食品加工工場等から排出される食物廃液の排出口にパイプ等の導通部を介して連結する。
【0032】
そして、第1槽10の廃液供給口12に食物廃液が供給される稼働期間を午前8時から午後9時までであるとし、食物廃液の供給が停止される停止期間を午後9時過ぎから午前8時前までとした場合、第1槽10及び第3槽30に供給するエアレーション用空気及び第2槽20のイジェクター21に供給するオゾン混合気体の供給を稼働期間だけ行い、停止期間では、エアレーション用空気及びオゾン混合気体の供給を停止するように、タイマ25がセットされる。
【0033】
このため、今、午前8時になって、稼働期間となると、レストラン、ホテル等の厨房から食物廃液が排出され、この食物廃液が厨房廃液処理装置1の第1槽10の廃液供給口12に供給される。
【0034】
このとき、稼働期間となることにより、タイマ25によって、オゾン発生器23及び圧縮空気供給源24が稼働状態となり、圧縮空気供給源24で発生された圧縮空気が第1槽10のエアレーションパイプ14及び第3槽30のエアレーションパイプ31に供給されることにより、第1槽10及び第3槽30で廃液中に圧縮空気によるバブルが発生されてエアレーションが行われる。
【0035】
これと同時に第2槽20では、オゾン発生器23で発生されたオゾンガスが圧縮空気供給源24で発生された圧縮空気に混合されてオゾン混合気体が形成され、このオゾン混合気体が第2槽20のイジェクター21に供給されて、このイジェクター21からオゾン混合気体が上方に向けて吐出される。
【0036】
このため、厨房廃液処理装置1の各槽10、20及び30で、図3のフローチャートに示す処理が実行される。
【0037】
すなわち、第1槽10では、廃液に混入されている生ゴミ等の固形物がバスケット13に収容されると共に、エアレーションパイプ14から出力される空気のバブルによってエアレーションが行われ、第1槽10内の微生物による微生物処理が行われて、廃液がバクテリア分解されることにより、廃液愛の酸が除去されてpHが上昇し分解効率を高めることができる。
【0038】
そして、バクテリア分解された廃液が、境界壁3の下端部に形成された連通部5を介して第2槽20に送られ、この第2槽20で、イジェクター21から吐出されるオゾン混合気体によって、廃液をオゾン酸化して残留有機物を酸化して分解すると共に、嫌な匂いも酸化力で消すことができる。さらにオゾンは殺菌剤として食物廃液に使用されるクロラインやアセトンも分解することができる。
【0039】
また、オゾンはその性質として、浮遊微粒物質の凝集を促進し、その結果廃液の固液分離を進める。このため、沈降する固形物や微粒物で第2槽20の底に沈殿物の層(汚泥、スラッジ)を作る。この汚泥の70〜80%は微生物で、その汚泥の沈殿を促進する。
【0040】
そして、イジェクター21からオゾン混合気体を上方に向けて吐出することにより、廃液を対流させて底部の汚泥を巻き上げて攪拌し、これによって、底に溜まった汚泥スラッジを巻き上げ、汚泥中の微生物が活性汚泥プロセスとして遊離油脂分解を行うと共に、累積汚泥量を減量することができ、有機物分解作用を促進し、より効果的な浄化を行うことができる。すなわち、生物処理に必要な微生物が、その汚泥から活性化されて絶えず廃液中に供給されることになる。
【0041】
このとき、微生物がオゾン混合気体に晒されて弱まることになるが、稼働期間の終了後の午後9時過ぎになって停止期間となると、オゾン発生器23及び圧縮空気供給源24がタイマ25によって停止されることにより、イジェクター21から吐出されるオゾン混合気体による廃液の攪拌が停止される。このため、オゾンの凝集作用により廃液中に浮遊する細かいゴミを塊状(フロック)にして固液分離された汚泥が第2槽20の底に凝集沈殿されることになり、この間にオゾンが供給されないことにより、微生物の増殖が行われる。
【0042】
また、稼働期間中にイジェクター21からオゾン混合気体が上方に向けて吐出され、吐出されたオゾン混合気体が液面を波立たせることにより、この液面に浮遊する油脂スカムの塊を破壊することができ、油脂スカムを減量させることができと共に、イジェクター21による攪拌・混合による速やかな有機物分解が行われて、浮遊油脂スカムと沈殿汚泥スラッジの大部分を減量させることができ、浮遊油脂スカム及び沈殿汚泥スラッジを別途廃棄処分する頻度を著しく少なくすることができる。このとき、オゾンによって殺菌剤として食品廃棄液に使用されるクロラインやアセトンも分解することができる。
【0043】
この第2槽20でオゾン酸化処理及び活性汚泥処理によってさらに浄化された廃液は、境界壁4の下端に形成された連通部6を介して第3槽30に送られ、この第3槽30で、稼働期間中に、エアレーションパイプ31から吐出される圧縮空気のバブルによってエアレーョンが行われて、第1槽10と同様に微生物処理が行われ、その後の停止期間中に、エアレーションが停止されることにより、分離した固体分が底に沈殿し、軽い油脂分は上方に溜まることになるため、中間層から上澄み液が分離されて排出口32から排出される。
【0044】
排出口32から排出される上澄み液は、最終的にC.O.D値も低く(160mg/L以下)、多いに改善され、安全に排水管に排出することができる。
【0045】
このように、上記実施形態によると、第1槽10でエアレーションによる微生物処理によって廃液中の有機物を分解し、この微生物処理された廃液を第2槽20に供給して、イジェクター21からオゾン混合気体を上方に向けて吐出させることにより、廃液を対流させて攪拌しながら、オゾン酸化処理と活性汚泥処理とを行うことにより、効果的に残留有機物を分解することができると共に、オゾンによる凝集効果によって浮遊物の塊を作り最終的に沈降効果を高めることができる。その後、夜間にイジェクター21からのオゾン混合気体の吐出を停止させることにより、浮遊物を沈降させて、沈殿物の層(汚泥、スラッジ)を作る。このとき、汚泥の70〜80%は微生物で、その汚泥の沈殿を促進し、微生物の増殖を図ることができる。しかも、第2槽20では、イジェクター21から吐出されるオゾン混合気体によって廃液中に中央部で上方に向かい、側壁部で下方に向かう対流を形成して廃液を攪拌することができ、攪拌翼等の攪拌装置を使用する必要がないので、ランニングコストを低減することができると共に、装置構成を簡略化することができる。
【0046】
なお、上記実施形態においては、第1槽10、第2槽20及び第3槽30を境界壁3及び4によって形成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、第1槽10、第2槽20及び第3槽30を個別に形成して、これらを連結するようにしてもよい。
【0047】
また、上記実施形態においては、第2槽20の底部に1つのイジェクター21のみを設けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、第2槽20の容積に応じて複数のイジェクター21を設けるようにしてもよい。
【0048】
さらに、第1槽10、第2槽20及び第3槽30内の微生物量については、定期的に測定を行い、適正量に満たない場合には補充することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明による厨房廃液処理装置の一例を示す平面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】厨房廃液処理方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
1…厨房廃液処理装置、2…槽本体、3,4…境界壁、5,6…連通部、10…第1槽、11…パイプ、12…廃液供給口、13…バスケット、14…エアレーションパイプ、20…第2槽、21…イジェクター、22…オゾン混合気体配管、23…オゾン発生器、24…圧縮空気供給源、25…タイマ、30…第3槽、31…エアレーションパイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厨房等から排出される食物廃液に対してエアレーションを行って微生物処理する第1槽と、該第1槽に対して底部で連通して微生物処理された廃液にオゾン混合気体を供給して堆積汚泥を攪拌して酸化分解処理及び活性汚泥処理による分解を行う第2槽と、該第2槽に対して底部で連通して所定時間滞留させて上澄み水を排出する第3槽とを備えたことを特徴とする厨房廃液処理装置。
【請求項2】
前記第1槽は、底部に配設された多数の透孔を穿設したパイプにエアポンプから外気を供給することにより、エアレーションを行うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の厨房廃液処理装置。
【請求項3】
前記第2槽は、オゾン発生器で発生したオゾンを空気に混入したオゾン混合気体を、パイプを通じて廃液中に導入して放出し、廃液を酸化分解するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の厨房廃液処理装置。
【請求項4】
前記第2槽は、前記オゾン混合気体をイジェクターに供給して、廃液中に当該廃液の攪拌を行いながら放出するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の厨房廃液処理装置。
【請求項5】
前記第2槽は、前記イジェクターからオゾン混合気体をタイマによって所定期間吐出するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の厨房廃液処理装置。
【請求項6】
前記タイマは前記第1槽への食物廃液の流入がないときに前記イジェクターへのオゾン混合気体の供給を停止させて、廃液中の微細固形物や汚泥を沈殿させるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の厨房廃液処理装置。
【請求項7】
前記イジェクターは浮遊する油脂スカムの塊を破壊するように廃液の液面を波立たせるようにオゾン混合気体を吐出するように構成されていることを特徴とする請求項4〜6の何れか一項に記載の厨房廃液処理装置。
【請求項8】
厨房等から排出される食物廃液を第1槽に供給してエアレーションを行って微生物処理する第1の工程と、該第1の工程で微生物処理された廃液を第2槽に供給してオゾン混合気体を所定期間供給して攪拌することにより酸化分解処理及び活性汚泥処理を行う第2の工程と、該第2の工程で処理された廃液を第3槽に供給して汚泥を沈殿させて上澄み液を排出する第3の工程とを備えたことを特徴とする厨房廃液処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−90222(P2009−90222A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−263994(P2007−263994)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(507335702)オーピーピーシー株式会社 (1)
【Fターム(参考)】