説明

厨芥排水搬送装置

【課題】 厨芥粉砕排水、とりわけ排水中の比重の重い固形物の搬送を床下の省スペース化のもとで確実且つ効率的に行う提案。
【解決手段】 厨芥粉砕装置に隣接し、その吐出管路端を槽内に向け降下させ、上記排水を一時的に貯留させ且つ、上記排水中の固形物を分離するための分離槽を設け、該分離槽内の槽底部に対し給水管口を介して水流による固形物搬送手段を設けるほか、該分離槽の上方部箇所に対し槽内分離液の排出管口を、そして該排出口とほぼ同じ高さ位置付近に前記固形物搬送管の吐出管口を立上げ、前記厨芥粉砕装置の吐出管路端との間に一定高さ寸法の封水深が形成されるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に厨芥固形分などを含む排水を搬送する排水搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
厨房排水、厨芥粉砕排水は、排水配管の配管勾配が1/50以上に設定されている。また、多量の流し水、もしくは排水配管途中にポンプを取付け強制排水するようにされている。特願2005−029151号「ディスポーザ排水搬送方法及び配置」として比重の重い固形物を分離してポンプもしくは水流により搬送する特許出願がある。
【特許文献1】特願2005−029151
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
厨芥粉砕排水、厨房排水中の比重の重い固形物を搬送するためには、排水横枝管の配管勾配を1/50以上にする必要があり、高さ方向の配管施工スペースが大きくなり、結果として床下に不要なスペースが増えることになり不経済である。とりわけ、厨房排水、厨芥粉砕排水には、比重の重い固形物、軽い固形物など多種多様であり、その中でも比重の重い生ゴミは管底を流れるため多量の追い水を流しても影響を受け難く、配管途中で堆積し配管閉塞の危険性がある。
【0004】
一方、強制的に多量の水を排水する際厨芥粉砕排水、厨房排水中の比重の重い固形物は幾分流れるが、堆積量の基準が厨芥粉砕装置への投入物の種類により大きく異なるため、適切な水量が分からない。この際、排水横枝管の長さによっても必要とされる水量が異なるため、必要水量を推定することができない。
【0005】
他方、排水横枝管途中にポンプを配置し強制排水させる場合。ポンプそのものに固形物が付着し、ポンプ自身が閉塞する可能性があり、しかも固形物搬送時以外もポンプを運転させないと排水できないため、不経済となる。また、ポンプが故障した場合に、全ての排水が出来なくなる問題がある。
【0006】
更には、排水を配管途中のタンク等で一旦貯留し、ポンプにより排水する場合、貯留している個所より臭気が発生したり、また高層マンションなどでは各階各戸にタンクとポンプが必要となってメンテナンスが困難となる問題がある。なお、前記した特願2005−029151号「ディスポーザ排水搬送方法及び装置」として比重の重い固形物を分離してポンプもしくは水流により圧送する特許出願では、排水管途中に排水搬送装置を設けるため、床下に設置する必要性があり施工性が悪く、且つメンテナンスを行いにくい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は厨芥粉砕装置に隣接し、その吐出管路端を槽内に向け降下させ、上記排水を一時的に貯留させ且つ、上記排水中の固形物を分離するための分離槽を設け、該分離槽内の槽底部に対し給水管口を介して水流による固形物搬送手段を設けるほか、該分離槽の上方部箇所に対し槽内分離液の排出管口を、そして該排出口とほぼ同じ高さ位置付近に前記固形物搬送管の吐出管口を立上げ、前記厨芥粉砕装置の吐出管路端との間に一定高さ寸法の封水深が形成されるものとなした構成を特徴とする。この際、上記封水深は専ら50mm以上となされるのであり、また水流による固形物搬送手段は機械式のポンプ作用、又は管径口を急縮小としたエジェクター作用でなされる。
【0008】
一方、給水管口への給水は、厨芥粉砕装置へ給水する管路途中に分岐管を設け、該分岐後の二次側に電磁弁を取付け、該電磁弁を介して適宜制御されるものとなされる。他方、固形物搬送手段は厨芥粉砕装置からの運転信号、若しくは別途設けた制御装置により起動、停止されたりするのであり、なお、上記した封水深を安全確実に形成されるための給水は、固形物搬送手段運転後にこれと連動して自動的に行われるものとなされる。
【発明の効果】
【0009】
上記した本発明の構成により、次の如き優れた作用及び効果が得られるものとなる。
(1)比重の重い固形分を固形物搬送配管により強制搬送する事で、排水主配管内の配管閉塞を防ぐことができる。
(2)排水主配管は、比重の重い固形物の流入がないため配管勾配を小さくすることができ、配管の施工スペースである床下のスペースが小さくて済む。
(3)固形物搬送配管は小口径であり、押し出し流れにより固形物を搬送するため、固形物搬送配管の配管勾配を小さくする事ができ、配管の施工スペースである床下のスペースが小さくて済む。
(4)固形物搬送手段の運転を利用しない排水主配管により、通常の排水(固形物を含まない)を排水することができるため、常時厨芥排水搬送装置を運転する必要性はなく経済的である。
(5)厨芥排水搬送装置が故障した場合でも、多量の固形物を含まない通常の排水は排水主配管により排水ができるため、使用者のリスクが軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は本発明に係る厨芥排水搬送装置の全体構成を示す斜視説明図であって、1は流し台の下面側に配設されるディスポーザである。ここで上記ディスポーザ1は従来市販のものであり、且つ該ディスポーザ1に対する水道水の供給配管2や制御装置3の構成は特願2005−029151に記載のものと変わりがない。
【0011】
本願発明では上記ディスポーザ1の吐出管4と隣接して以下の如く構成したディスポーザ排水搬送装置(分離槽)5を設けるのであり、その構成は図2A,Bに示す通りである。ここにAは正面図、Bは断面図であって、本図から明らかな通り下部を凡そV字状にした箱型槽内に対し、その凡そ槽底部付近まで上記吐出管4の管端pが降下されるものとする。
【0012】
而して、上記槽底部には固形物搬送手段6が取付けられるのであり、該固形物搬送手段6としては水流を使用した所謂機械式のポンプによるもの、或いは管径口を急縮小にしたエジェクターの構成となすのであり、6aは該水流のための取入管口、6bはその延長線上に於ける出口側であり、且つ該管の吐出管口7はその槽外の一定高さ位置上方まで立上げた箇所となされる。
【0013】
8は上記分離槽5に於ける槽内排出管口であって、外部の排水用横枝管9が接続されるものとなされる。このさい、上記槽内排水管口8は分離槽5内の比較的上方個所に設けられるのであり、これは前記槽内に於けるディスポーザ1の降下させた吐出管4の管端pとの間で一定高さ寸法の封水深が形成されるようになすためであり、図示例では排出管口8の管底mとの間に寸法hの封水深が形成されるものとなってある。而して、本発明では上記図形物搬送手段の槽外へ立上げしめた吐出管口7も、その管底nが凡そ同様の高さ寸法位置となるようにするのである。なお、上記封水深hはJIS規格により50mm以上となるようになされる。
【0014】
上記に於いて、固形物搬送手段の槽外に於ける吐出管口7の管径口rは、槽内排水の排出管口8の管径口Rより小径になるよう設計するのであり、これによる設計ではディスポーザ排水搬送装置(分離槽)5内へ流入する固形物は、上記吐出管口7に接続される固形物搬送配管10内を常時満水状態で搬送されるようになるのであり、従って該搬送配管10内の流れを均一化させてゴミなどが停滞したりすることのないようにすることができる。
【0015】
なお、上記固形物搬送手段6として水流による機械式ポンプ、或いは管径口を急縮小させたエジェクターを使用する場合、水道水の供給配管からの水を逆流防止装置(バキュームブレーカ)11経た給水配管2箇所で分岐管12を介し分岐させ、その一次側の水をディスポーザ1へ送ると共に、分岐させた二次側の水を電磁弁13を介して分離槽4下方の取入管口6aへ導くようになすのである。
【0016】
本発明の上記構成でディスポーザ1の排水は、その吐出管4が分離槽4の槽底部付近まで降下させてあり、且つ該槽底部には水流による固形物搬送手段6が配設されていることから、上記手段の運転操作と共にディスポーザの排水を併せ吸引して効率良く行われるものとなるのであり、また同時に該排水中の固形物などの搬送を迅速且つ適確に行うことができるものとなる。
【0017】
また、本発明のディスポーザ排水搬送装置4(分離槽)の構成では、ディスポーザの吐出管4の管端pより上方に分離槽内の排出管口8が設けてあることにより、該分離槽4はワントラップとしての機能を奏するのである。また固形物搬送配管の吐出管口7が上記排出管口8付近まで立上げてあることにより、分離槽4内のサイフォン作用の防止となり、トラップとしての機能も維持されるものとなる。
【0018】
本発明に於いて分離槽4内の固形物搬送手段6の運転はディスポーザ1の運転と連動して行われるのであり、即ちその制御装置3の入力と共に同時に或いはタイマーなど一定時間の経過後に自動運転されるものとなる。このさい、固形物搬送手段6に対する高圧水の送給は分岐管13の二次側に設けた電磁弁13を介し、即ち該電磁弁13が上記制御装置3によるディスポーザ1の運転と連動して開閉動作させられることにより行われる。
【0019】
図3は上記した厨芥排水搬送装置(分離槽)5の運転パターン例を示すものであって、Aは完全排水型運転パターンを、Bは節水型運転パターンを示す。横軸の単位は(秒)である。何れのパターンもディスポーザ1の運転時間は60秒であるが、Aのパターンでは5秒間の給水後にディスポーザの運転と共に分離槽5の固形物搬送手段6が同様に運転されるのであり、これに対しBのパターンではディスポーザ1の運転終了10秒前に固形物搬送手段6を運転させるほか、ディスポーザ1の運転防止後は20秒間の給水を行い、且つこれは上記固形物搬送手段6の運転停止と一致して停止される例である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る厨芥排水搬送装置の全体構成を示す斜視説明図である。
【図2】上記に於けるディスポーザ排水搬送装置(分離槽)であって、Aは正面図、Bは断面図である。
【図3】本発明装置の運転パターン例を示すものである。
【符号の説明】
【0021】
1 ディスポーザ
2 給水配管
3 制御装置
4 ディスポーザ吐出管
5 ディスポーザ排水搬送装置(分離槽)
6 固形物搬送手段
7 吐出管口
8 槽内排出管口
9 排水用横枝管
10 搬送配管
11 逆流防止装置
12 分岐管
13 電磁弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厨芥粉砕装置に隣接し、その吐出管路端を槽内に向け降下させ、上記排水を一時的に貯留させ且つ、上記排水中の固形物を分離するための分離槽を設け、該分離槽内の槽底部に対し給水管口を介して水流による固形物搬送手段を設けるほか、該分離槽の上方部箇所に対し槽内分離液の排出管口を、そして該排出口とほぼ同じ高さ位置付近に前記固形物搬送管の吐出管口を立上げ、前記厨芥粉砕装置の吐出管路端との間に一定高さ寸法の封水深が形成されるものとなした構成を特徴とする厨芥排水搬送装置。
【請求項2】
上記した封水深が50mm以上となされることを特徴とした請求項1記載の厨芥排水搬送装置。
【請求項3】
上記した水流による固形物搬送手段は機械式のポンプ作用、又は管径口を急縮小としたエジェクター作用でなされることを特徴とした請求項1又は2記載の厨芥排水搬送装置。
【請求項4】
上記した給水管口への給水は、厨芥粉砕装置へ給水する管路途中に分岐管を設け、該分岐後の二次側に電磁弁を取付け、該電磁弁を介して適宜制御されるものとなされていることを特徴とした請求項1,2又は3記載の厨芥排水搬送装置。
【請求項5】
上記した固形物搬送手段は厨芥粉砕装置からの運転信号、若しくは別途設けた制御装置により起動、停止されることを特徴とした請求項1,2,3又は4記載の厨芥排水搬送装置。
【請求項6】
上記した封水深が形成されるための給水は、固形物搬送手段運転後にこれと連動して自動的に行われることを特徴とした請求項1,2,3,4又は5記載の厨芥排水搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−196120(P2007−196120A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−16712(P2006−16712)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(000133939)株式会社テラルキョクトウ (48)
【Fターム(参考)】