説明

厨芥物処理装置

【課題】底蓋部が開放された際に、底蓋部の上の厨芥を厨芥物処理部に滑らかに流し落とせるようにする。
【解決手段】上下に開口部を有して、シンクの排水開口部に上側の開口部が取り付けられた生ゴミ投入装置3と、生ゴミ投入装置3の下側の開口部に開閉可能に設けられた底蓋部22と、底蓋部22を介して生ゴミ投入装置3の下に設けられた生ゴミ破砕乾燥装置4とを備え、底蓋部22を生ゴミ破砕乾燥装置4の側に開放して、生ゴミ投入装置3の生ゴミを生ゴミ破砕乾燥装置4に落下させ、落下した厨芥を破砕及び/又は乾燥処理する生ゴミ処理装置1において、底蓋部22は、少なくとも、当該底蓋部22の上面を成す蓋部27と、底蓋部22の一方の側に設けられたヒンジ部28とを有し、蓋部27は、ヒンジ部28の側の上面に凹状に形成された水溜部27aを備え、底蓋部22の閉時に水溜部27aに溜まった水が、開時に蓋部27の上面に流れ出るようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台所や食器洗い場等の流し台のシンク下に組み込まれ、野菜屑や、パンくず、鶏卵殻等を破砕して乾燥体にする乾燥式の生ゴミ処理装置に適用可能な厨芥物処理装置に関する。詳しくは、シンクから厨芥(生ゴミ)を投入される厨芥投入部の下側の開口部に開閉可能に設けられた底蓋部が、上面を成す蓋部のヒンジ側に凹状の水溜部を備え、底蓋部が閉状態のときに水溜部に溜まった水が、底蓋部が開放されたときに蓋部の上面に流れ出るようにして、蓋部の上の生ゴミを流し落とせるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、台所で発生する生ゴミを破砕乾燥処理する生ゴミ処理装置には、生ゴミを堆積する生ゴミ投入装置(厨芥投入部)と、堆積された生ゴミを破砕しながら乾燥させる生ゴミ破砕乾燥装置(厨芥物処理部)とを備え、生ゴミ投入装置に生ゴミを投入した後、投入されて堆積した生ゴミを生ゴミ破砕乾燥装置へ移動させ、生ゴミ破砕乾燥装置で生ゴミを破砕しながら乾燥させるものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の乾燥式の生ゴミ処理装置によれば、生ゴミ投入装置の投入筒部の下端に回動自在に取り付けられた底蓋部を備え、底蓋部の最も上面に、生ゴミが堆積する蓋部が設けられている。蓋部に堆積した生ゴミは、底蓋部が開状態となったときに蓋部の上面から滑って自然落下し、生ゴミ破砕乾燥装置へ移動する。つまり、底蓋部は開状態で生ゴミ投入の役割を果たす。
【0004】
特許文献1の生ゴミ処理装置では、底蓋部が複数のシール部材で成る蓋密閉構造を有し、閉状態になった底蓋部のシール効果を向上できるようにしている。このように構成すると、閉状態の底蓋部の漏水を防止できるようになるというものである。
【0005】
【特許文献1】特開2007−152297号公報(第9乃至12頁、第13図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に示されるような従来の生ゴミ処理装置によれば、生ゴミ破砕乾燥装置への水の進入を最小限にするべく、蓋部の上面が水が溜まらない平面形状を有している。
しかし一方で、生ゴミは乾くと蓋部に付着して落下しにくくなる傾向がある。生ゴミが落下しきれなかった場合、底蓋部の外周部に設けられた蓋密閉構造、例えばパッキンに生ゴミが引っ掛かり、閉状態となった底蓋部の外周部のシール部分に隙間が生じるおそれがある。
【0007】
底蓋部のシール部分に隙間が生じるとその隙間から漏水が起こり、生ゴミ破砕乾燥装置での乾燥処理が効率よく行えなくなる。また、生ゴミ破砕乾燥装置への漏水が進行すると、最悪の場合、生ゴミ破砕乾燥装置から台所に水が漏れ出すおそれもある。
【0008】
そこで本発明は、このような問題に鑑み創作されたものであって、底蓋部が開放された際に、蓋部の生ゴミを厨芥物処理部に流し落とせるようにした厨芥物処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る厨芥物処理装置は、上下に開口部を有して、シンクの排水開口部に上側の開口部が取り付けられた厨芥投入部と、厨芥投入部の下側の開口部に開閉可能に設けられた底蓋部と、底蓋部を介して厨芥投入部の下方に設けられた厨芥物処理部とを備え、底蓋部を厨芥物処理部の側に開放して、厨芥投入部の厨芥を厨芥物処理部に落下させ、落下した厨芥を破砕及び/又は乾燥処理する厨芥物処理装置において、底蓋部は、少なくとも、当該底蓋部の上面を成す蓋部と、当該底蓋部の一方の側に設けられたヒンジ部とを有し、蓋部は、ヒンジ部の側の上面に凹状に形成された水溜部を備えることを特徴とするものである。
【0010】
この発明に係る厨芥物処理装置によれば、底蓋部の上面を成す蓋部が、ヒンジ部の側の上面に凹状の水溜部を有している。従って、閉状態の蓋部のヒンジ部の側に、厨芥と一緒に投入された水を溜められるので、底蓋部が厨芥物処理部の側に開放されたときに、水溜部に溜めた水を、蓋部の上面に上部側から下部側に向けて流すことができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係る厨芥物処理装置によれば、底蓋部の上面を成す蓋部がヒンジ部の側の上面に凹状の水溜部を備えている。この構成によって、蓋部の上面のヒンジ側に厨芥とともに投入された水を溜めることができるので、底蓋部が厨芥物処理部の側に開放されたときに、水溜部に溜めた水を、蓋部の上面に上部側から下部側に向けて流すことができる。従って、厨芥を厨芥物処理部に効率よく洗い流すことができるとともに、底蓋部の外周部に厨芥が引っ掛かることを防止できる。これにより、厨芥を落下させた後で閉塞される底蓋部と厨芥投入部との間に厨芥が挟まることを防止でき、閉塞後の底蓋部から厨芥物処理部に水が漏れることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
続いて、この発明に係る厨芥物処理装置について、図面を参照しながら説明をする。
【実施例1】
【0013】
図1は、第1の実施例としての乾燥式の生ゴミ処理装置1の設置例を示す斜視図である。
<生ゴミ処理装置の概要>
図1に示す乾燥式の生ゴミ処理装置1は、厨芥物処理装置の一例を構成するものであり、流し台のシンク2の下部に取り付けた状態で使用される。流し台の扉2aや蹴込み部2bには、吸気口2cやガラリ(スリット状の通風口)2dが設けられ、流し台内部に空気を取り込むようになされる。これは、流し台内部において、生ゴミ処理装置1内に空気を取り入れて、装置内部で生ゴミを破砕し乾燥して乾燥体にするためである。吸気口2cやガラリ2dには、虫の進入やほこりの吸込み等を防ぐためのフィルタを取り付けるとよい。
【0014】
図2は、生ゴミ処理装置1の構成例を示す断面図である。図2に示す生ゴミ処理装置1は、台所や食器洗い場で生じた野菜屑や、パンくず、鶏卵殻(以下生ゴミ7という)等を収容し破砕及び乾燥して乾燥体に処理するようになされる。生ゴミ処理装置1が流し台に設置される場合は、図2の右側が扉2aに面するように配置される。
【0015】
生ゴミ処理装置1は、生ゴミ投入装置3、底蓋部22及び生ゴミ破砕乾燥装置4を備えて構成される。生ゴミ処理装置1は、生ゴミ投入装置3の内部にシンク2からの生ゴミ7を投入された後、底蓋部22を生ゴミ破砕乾燥装置4の側に開放して、生ゴミ投入装置3の生ゴミ7を生ゴミ破砕乾燥装置4に落下させ、落下した生ゴミ7を生ゴミ破砕乾燥装置4で破砕及び/又は乾燥処理するように動作する。
【0016】
生ゴミ投入装置3は厨芥投入部の一例であり、上下に開口部を有する筒状に構成されている。生ゴミ投入装置3はシンク2の排水開口部に上側の開口部が取り付けられる。生ゴミ投入装置3は、上側の開口部から投入された生ゴミ7を収集して水を切る機能を有している。生ゴミ投入装置3は、上部筐体としての上部ユニット5、下部筐体としての下部ユニット6、目皿95及び蓋体11から成り、上部ユニット5は、排水口8(図3参照)、投入開口部9、排水路94(図3参照)及び上蓋ロック機構12等を備え、下部ユニット6は、排水口25(図3参照)及びフィルタ26等を備えている。生ゴミ投入装置3の下側の開口部には底蓋部22が開閉可能に設けられる。
【0017】
底蓋部22は、閉状態で生ゴミ投入装置3の底部を成し、開状態で生ゴミ投入装置3に収集された生ゴミ7を生ゴミ破砕乾燥装置4に移動させる機能を有している。底蓋部22は、例えば、上面に蓋部27を有し、一方の側にヒンジ部28を有している。閉状態の蓋部27の上面に堆積した生ゴミ7は、開状態の蓋部27から自然落下することで生ゴミ破砕乾燥装置4に移動する。
【0018】
底蓋部22は、後述するロックカム34(図15参照)によって開閉を制御される。ロックカム34は所定の命令に応じて回動し、底蓋部22を生ゴミ破砕乾燥装置4の側に開放したり、後述する攪拌翼44によって持ち上げられた底蓋部22を閉状態にロックしたりする。
【0019】
また、底蓋部22の蓋部27のヒンジ部28の側の上面には、凹状に形成された水溜部27aが設けられ、底蓋部22が閉状態のときにシンク側から供給される水を溜められるようになっている。閉状態の水溜部27aに溜まった水は、底蓋部22が開状態になると流れ出し、蓋部27の上面を洗い流す。
【0020】
生ゴミ破砕乾燥装置4は厨芥物処理部(又は破砕装置)の一例を構成し、底蓋部22を介して生ゴミ投入装置3の下に設けられる。生ゴミ破砕乾燥装置4は、ゴミ投入装置3から投入された生ゴミ7を破砕して乾燥させる機能を有している。生ゴミ破砕乾燥装置4は、例えば、撹拌構造40、処理容器42、撹拌翼44、カバーユニット58、破砕部62等を有して構成される。(この例で、処理容器42の側面の所定位置には、撹拌翼原点位置検出用のセンサ51a、撹拌翼底蓋押上位置検出用のセンサ51b及び撹拌翼排出位置検出用のセンサ51cが配置されている。)処理容器42の底部付近の外周にはPTCヒータ52(加温手段)が設けられている。これらの機能について以下に説明をする。
【0021】
<生ゴミ投入装置の構成>
図3は、生ゴミ投入装置3を構成する上部ユニット5、下部ユニット6、蓋体11及び目皿95の組立例を示す斜視図である。図3に示す上部ユニット5(バスケットトップ)は、上部筐体の一例を構成し、内側に略筒状を成す第1の筒体部5a(図10参照)を有して、上部側がシンク2の排水開口部に取り付けられるものである。また下部ユニット6は、下部筐体の一例を構成し、筒体部5aと連通する略筒状を成す第2の筒体部6aを有して上部ユニット5の下部側に連結されている。筒体部5a及び筒体部6aは、互いに連通する生ゴミ用の投入筒部10を構成する(図9参照)。
【0022】
上部ユニット5は、上部側に蓋体11が係合される投入開口部9を有している。投入開口部9は、生ゴミ投入装置3の上側の開口部の略中央部に配されて、シンク側からの生ゴミ7が投入される開口部を成す。投入開口部9には、取手付きの蓋体11が係合される。
【0023】
蓋体11は投入開口部9に対して抜脱自在に取り付けられる。蓋体11の上部側のフランジの外周部にはパッキンが取り付けられ、投入開口部9に装着された蓋体11に関して、投入開口部9内への水の進入を阻止するようになされる。更に、蓋体11には、所定部にマグネット18a及び18bが取り付けられていて、蓋体11の投入開口部9に対する回動角度が検知される(図2参照)。蓋体11は、その係合角度に応じて生ゴミ処理装置1の動作を操作可能な蓋スイッチとしても機能する。
【0024】
また、上部ユニット5は、蓋体11をロックする上蓋ロック機構12を有している。上蓋ロック機構12は、投入開口部9の所定部に係止爪16を配し、生ゴミ投入装置3の底面を成す底蓋部22が開閉動作するとき等に、蓋体11を投入開口部9に対してロックするようになされる。
【0025】
蓋体11の外周部には、所定形状の係止溝が設けられていて、投入開口部9に装着されたときに、上蓋ロック機構12の係止爪16と係合するようになっている。蓋体11の係止溝は、上蓋ロック時、使用者が蓋体11を回すことにより、係止爪16を回動するように機能する。上蓋ロック機構12は、所定の命令に応じて係止爪16の回動を制限することで、蓋体11を上部ユニット5にロックするように構成されている。
【0026】
また、投入開口部9の周囲には、排水路94が所定の勾配を有して設けられている。排水路94の最下流位置には、排水口8が設けられている。排水路94は、その底面の所定部に排水口8に向かって傾斜し下降する斜面8b(図7参照)を備え、シンク2からの水が斜面8bにより排水口8に流れ込む構成となされる。排水路94の上部には、環状の目皿95が取り付けられる。
【0027】
<目皿の構成>
図4は、上部ユニット5に対する目皿95の取付例を示す斜視図である。図4に示す目皿95は、排水口8を含む排水路94に沿って環状に覆うように取り付けられる。目皿95は、シンク側から流れる水に含まれるゴミを上面に留め、排水路94の側に排出されないようにする機能を有している。目皿95は、排水路94に水を通すための孔が開孔された有孔部95aと、孔を塞いで水を通さないようにした非孔部95bとで成り、有孔部95aのうち、排水口8の上部となる所定部に凹部95cが設けられている。
【0028】
図5は、目皿95の構成例を示す斜視図である。図5に示す目皿95の凹部95cは、ここでは環状の目皿95に沿うように湾曲された弧状に構成される。凹部95cは、1つの底面95d及び4つの壁面95eを備え、壁面95eは2つの湾曲面95e’と2つの平面95e”とから成る。平面95e”は、有孔部95aから略垂直に屈曲する面になされる。
【0029】
また、凹部95cの底面95d及び壁面95eには、各々複数の小さい孔部が設けられている。底面95dは、略垂直方向の孔部を有し、壁面95eは、略水平方向の孔部を有している。このうち、2つの平面95e”の孔部は、凹部95cの内側に形成された縦方向の凹凸スリット形状と、凹部95cの外側に形成された横方向の凹凸スリット形状とで成る格子構造を有している。このように平面95e”の孔部を構成すると、目皿95に沿って環状に流れた水が凹部95cに流れ込みやすくなる。
【0030】
一方、非孔部95bは、少なくとも上蓋ロック機構12の上部領域を覆う位置に配置される。このようにすると、係止爪16に入り込む水を最小限にできるので、係止爪16の回動が阻害されることを防止できる。
【0031】
また、目皿95は、中央部に開口部95fを有している。開口部95fは、図3に示した上部ユニット5の投入開口部9と略同等の大きさになされ、上部ユニット5に目皿95が取り付けられると、投入開口部9と連通するようになされる。従って、開口部95fには、投入開口部9に装着される蓋体11の胴部が挿入される。
【0032】
目皿95は、この例ではプラスチック等の樹脂から構成される。樹脂製の目皿95を製造する場合は、所定の金型を用いて射出成形するとよい。あるいは、目皿95の形状を簡略化して金属製の目皿95を製造することもできる。その場合、例えば、厚み0.5mm〜1.5mm程度のステンレス板を環状に切り出して、所定の部分をドリル等を使用して所定の配置ピッチで開口するようにしてもよく、凹部95cは、プレス加工等の打ち抜き加工で成型してもよい。
【0033】
図6A及びBは、凹部95cの構成例を示す目皿95の上面図及び側面図である。図6Aに示す凹部95cは、長手方向の最大幅が幅W1に設定されている。一方、目皿95の開口部95fの開口幅(開口径)つまりは、投入開口部9の開口幅は、幅W2に設定されている。
【0034】
またこの例で、目皿95は、非孔部95bの破線L1及びL2で示す位置から、凹部95cの側に向けて下がる緩やかな勾配を有している。これにより、シンク側からの流水の多くが凹部95cに流れ込み、シンク側からの小さいゴミの多くが底面95dに堆積するようになる。
【0035】
ここで上述のように、凹部95cの外形である幅W1は、投入開口部9の内形である幅W2よりも小さく設定されている。従って、目皿95を外して、凹部95cを投入開口部9の上で裏返すことで、凹部95cの中の小さい生ゴミ7を容易に投入開口部9に投入できる。
【0036】
また、この例の目皿95の開口部95fの所定部には、内周面から内側に突設された係合凸部95gが設けられている。一方、図3に示した上部ユニット5は、投入開口部9のうち上蓋ロック機構12が配される部位が外側に湾曲していて、湾曲された内側に係止爪16が設けられている。この湾曲された部位は、投入開口部9の上端面より高さ方向に一段低くなされた係合凹部9aを構成している。
【0037】
係合凹部9aと係合凸部95gとを嵌合することで、上部ユニット5に対する目皿95の係合角度が規制される。これにより目皿95の凹部95cが、上部ユニット5の排水口8の上に位置するようになる。また、凹部95cは投入方向の高さ(深さ)H1を有している(図6B参照)。
【0038】
図7及び8は、目皿95の機能例(その1及び2)を示す上部ユニット5及び目皿95の断面図である。図7は、排水口8が手間側に位置するよう配した場合を示し、図8は、排水口8が右手側に位置するよう配した場合を示す。
【0039】
図7に示す目皿95は、凹部95cの底面95dと、排水路94の斜面8bとの間に、距離D1以上の間隙を有している。距離D1は、例えば10mm以上に設定される。この距離D1が充分な大きさに設定されることにより、排水路94を流れる水が底面95dに達することを防止できる。
【0040】
また、排水路94のうち斜面8bによる勾配部は、横方向の幅W3を有している。ここで、幅W3を幅W1に対して充分大きく設定すると、凹部95cの周囲に充分な間隙を確保できる。このように排水路94を構成すると、凹部95cの通気効率を向上できるとともに排水路94の排水効率も向上できる。従って、凹部95cの底面95dの孔部を通水孔として機能させ、壁面95eの孔部を通気孔として機能させることが、より確実にできるようになる。
【0041】
図8において矢印線A1で示すシンク側から流れる水の多くは、凹部95cの底面95dから排水路94及び排出口8の側に排出される。このとき、底面95dに開孔された孔部は通水孔として機能し、流水によって略塞がれる。しかしこの場合も、壁面95eに開孔された孔部は、塞がれずに開口を維持できる。従って、排水口8の側からの空気(排水用トラップ等からの空気)は、矢印線A2に示すように、壁面95eの孔部からシンク側に排気される。
【0042】
このように、この発明の生ゴミ処理装置1によれば、目皿95の排水口8の上部に凹部95cを備え、凹部95cの底面95d及び壁面95eに孔部が設けられている。この構成によって、シンク側からの流水の多くが、凹部95cの底部95dに流れ込み、底部95dの孔部から排水口8の側に通水するので、壁面95eの孔部が通気孔として機能できる。これにより、排水口8からの空気の抜け孔が確保されるので、シンクからの水の排水効率を向上できる。
【0043】
なお、流水が非常に多い場合には、壁面95eの下側の孔部が通水孔として機能する場合も想定される。その場合にも、凹部の高さH1が充分な高さに設定されているので、壁面95eの上側の孔部は通気孔として機能することができる。
【0044】
また、凹部95cの外形が投入開口部9に対して小さく設定されているので、凹部95cの中に堆積したゴミを容易に投入開口部9に投入できる。更に、勾配形状の排水路94により排水効率を向上できるので、凹部95cの通水機能及び通気機能が阻害されることを防止できる。
【0045】
<上部ユニット及び下部ユニットの構成>
図9は、上部ユニット5及び下部ユニット6の構成例を示す断面図である。図9に示す上部ユニット5は、内側に第1の筒体部5aを有してシンクの配水開口部に取り付けられている。筒体部5aの上部側は生ゴミ用の投入開口部9を成し、投入開口部9の周囲には、シンクからの排水用の排水路94が環状に配設されている。
【0046】
上部ユニット5は、下側の外周部に嵌合部5dを備えている。嵌合部5dは、下側に嵌合用の環状凹部を形成するように突設され、この環状凹部に下部ユニット6の上部側の開口部が嵌合されるようになっている。また、この例の嵌合部5dの外周部には、環状の弾性部材で成るジョイントラバー3b及び図示しないホースバンドが取り付けられ、上部ユニット5と下部ユニット6とを水密に連結する。
【0047】
下部ユニット6は、筒体部5aと連通する第2の筒体部6aを有している。筒体部5a及び筒体部6aは、各々、上部側の開口面積に比べて下部側の開口面積が広い、所定の傾斜(テーパ)の円錐台形状(らっぱ形状)を有している。またこの例では、筒体部5a及び筒体部6aが、略同じ傾斜角度の円錐台形状に構成されている。筒体部5aと筒体部6aとが連通して成る投入筒部10は、一定の角度で傾斜する円錐台形状になされる。
【0048】
図10は、上部ユニット5及び下部ユニット6の組立例を示す断面図である。上部ユニット5の筒体部5aは、互いに傾斜角度を異にして一体で成型された上部側の筒部5bと下部側の筒部5cとから成り、この例では、下部側の筒部5cが傾斜角度θ1のらっぱ形状を有している。ここで、傾斜角度θ1は、鉛直面と筒部5cの内周面とが成す角度である。また、この例の筒体部5aの内周面は、縦方向の溝状凹部と棒状凸部とが交互に配された凹凸スリット形状を有している。
【0049】
下部ユニット6は、互いに傾斜角度を異にして一体で成型された上部側の筒部6bと下部側の筒部6cとから成り、下部側の筒部6cが傾斜角度θ2のらっぱ形状を有している。ここで、傾斜角度θ2は、鉛直面と筒部6cの内周面とが成す角度である。また、この例の筒部6cの内周面は、表面粗さが、例えば高低差20μmを有する程度に粗く構成されている。
【0050】
この例では、下部ユニット6の筒部6bが嵌合部5dによる環状凹部に嵌合される。従って、傾斜角度θ1のらっぱ形状の筒部5cと、傾斜角度θ2のらっぱ形状の筒部6cとが隣接される。傾斜角度θ1及びθ2は同じ角度、例えば5°に設定されていて、筒部5c及び6cの内周面が、略連続した傾斜角度5°の投入筒部10を構成する。
【0051】
このように、この例の上部ユニット5及び下部ユニット6によれば、筒体部5a及び6aが、略同一の傾斜角度を有して連通するらっぱ形状を有している。従って、投入開口部9から投入された生ゴミ7が、筒体部5a及び6bの内周面に引っ掛かること、又は突っ張ることが最小限に抑えられる。
【0052】
また、筒部5c及び6cの内周面を、凹凸スリット形状又は表面粗さが粗い形状にすることで、生ゴミ7が内周面に付着することを防止できる。なお、第3及び第4の実施例で説明する摺動部を応用する場合にも、内周面に付着した生ゴミ7を容易に掻き落とせるようになる。
【0053】
<底蓋部の構成>
図11は、底蓋部22の構成例を示す分解斜視図である。図11に示す底蓋部22は、中央が扁平円柱状の凸部22fを有した蓋本体部22’を備えている。蓋本体部22’の凸部22fには第1の密閉部材の一例を構成するパッキン30aが嵌合される。パッキン30aには、断面U状を成した環状のシリコンゴムが使用される。パッキン30aには、Oリングや、Y型リング等が使用できる。パッキン30aは、下部ユニット6の下部側の開口部の端面と摺接する形状を有していればよく、例えば、中空状のチューブパッキンでもよい。これは、パッキン30aに圧力が加わると、図14に示す如く端面であるシール面31への押付力が強くなり、水密性が増すためである。
【0054】
蓋本体部22’は、図9に示した筒体部6aの下端の開口に嵌る円盤形状の蓋部27を有している。蓋部27は4個の脚部を有している。蓋本体部22’の所定の位置には、例えば、4個の穴部22a〜22dが形成される。この穴部22a〜22dには、第2の密閉部材の一例を構成するパッキンカバー30bを蓋部27と凸部22fとで挟持するようにして、蓋部27の各々の脚部27e〜27h(すべては図示せず)が嵌合される。
【0055】
パッキンカバー30bは平らなゴム等の弾性部材であり、パッキン30aの上方に取り付けられる。パッキンカバー30bは、外周が円弧形状を有しており、一般にパッキン30aに比較してつぶし荷重が小さくなされている。パッキンカバー30bは、底蓋部22を閉じることによって、後述する内壁リブ21aと当接して弾性変形するように設けられている。
【0056】
これにより、底蓋部22の開時にあっては、生ゴミ7のパッキン30aへの付着を防止し、底蓋部22の閉時あっては、生ゴミ7のシール面31(図14参照)及びパッキン30aへの付着防止効果を得られるようになっている。
【0057】
パッキンカバー30bにも蓋本体部22’と同じ位置に4個の孔部301〜304を有している。蓋部27の各々の脚部27e〜27hがパッキンカバー30bの4個の孔部301〜304を各々貫通して、蓋本体部22’の4個の穴部22a〜22dに嵌合される。パッキンカバー30bは、底蓋部22の凸部22fに取り付けられたパッキン30aを覆うように配置される。この例で、パッキンカバー30bの外周端部は、上側に屈曲されたガイド形状を有している。外周端部をガイド形状としたのは、底蓋の開時、垂れ下がった底蓋部22で上部からの水分をその外周端部に沿って下方に導くためである。
【0058】
図12は、蓋部27の構成例を示す底蓋部22の上面図である。図12に示す蓋部27は、底蓋部22の最上面に備えられる。底蓋部22は、一方の側にヒンジ部28を有し、ヒンジ部28の側の蓋部27の上面に、凹状に形成された水溜部27aが設けられている。
【0059】
水溜部27aは、図9の断面図に示したように、ヒンジ部28の側から他端側に向けて漸次深さが浅くなる傾状を有している。従って、底蓋部22の閉時に水溜部27aに溜まった水が、底蓋部22の開時に蓋部27の他端側に向けて緩やかに流れ出るようになっている。
【0060】
また、この例の蓋部27は、ヒンジ部28の側の略半分の領域に半円状の水溜部27aを有する。このように蓋部27を構成すると、蓋部27が半分以上の広い領域に水溜部27aを有する場合に比べて、流れる水の移動距離を長くできるので、少ない量の水で効率よく蓋部27の生ゴミ7を洗い流すことができる。
【0061】
図13は、水溜部27aと下端筒部21の構成例を示す断面図であり、ヒンジ部28を向こう側に配して見た図である。この場合、排水口25は右側に配される。図13に示す下部ユニット6の下側の開口部には、下端筒部21が連結される。
【0062】
下端筒部21は短い筒状を有し、上側の開口部が下部ユニット6の下側の開口部に水密に連結されて、下側の開口部が投入筒部10の下端部を構成する。下端筒部21は、内側から下に向けて延設される内壁リブ21aと、外側から下に向けて延設される外壁リブ21bとを有している。内壁リブ21aの下端面は底蓋部22のパッキンカバー30bの上面と当接し、外壁リブ21bの下端面はパッキン30aと摺接する。
【0063】
また、下端筒部21は上に向けて突設された凸部21cを有している。凸部21cは排水口25へ流れる水の堰を成し、水溜部27aの上面に確実に水を溜められるようにする。この例では、下端筒部21の排水口25に面する所定部にのみ、円弧状の凸部21cが設けられる。
【0064】
下部ユニット6には、排水口25が備えられ、投入開口部9から入り込んだ水を排水するようになされる。下部ユニット6の排水口25の入り口には、フィルタ26が取り付けられる。フィルタ26は排水口25の入り口を覆う、例えば、半円筒形状で、生ゴミ類は捕獲し、水分は通す機能を備え、交換や洗浄等が行えるように着脱自在となっている。フィルタ26と排水口25との間に位置する下端筒部21の上面には凸部21cが配され、蓋部27の上面より少し高い堰を構成している。
【0065】
ところで、フィルタ26に生ゴミ類が付着し、その一端が水溜部27aに入り込んだ場合、生ゴミ類が水溜部27aの水を吸い上げてフィルタ26から排水口25の側に排水する吸い出し現象が起こることがある。こうした吸い出し現象が起こった場合にも、凸部21cが吸い出された水を堰き止めるので、水溜部27aの水が排水口25から排水されることを防止できる。従って、閉状態の水溜部27aに確実に水を溜められるようになる。
【0066】
<底蓋部と下端筒部との密閉構造>
図14A及びBは下端筒部21と底蓋部22との密閉構造例を示す拡大図である。図14Aに示す下端筒部21は、下部ユニット6の下部側の開口部に連結されて投入筒部10の下端部を構成している。
【0067】
下端筒部21に対して開閉可能な底蓋部22は、下端筒部21との密閉構造を構成する複数の密閉部材として、パッキン30a、パッキンカバー30b及びダストシールパッキン30c(以下、これらを合わせてシール部材30ともよぶ。)を備え、一つの密閉部材が他の密閉部材の密閉機能を補助する多重密閉構造を有している。
【0068】
下部ユニット6の下端筒部21は、内周枠部の一例を構成する内壁リブ21aを有しており、内壁リブ21aは、蓋開口方向に突出する形態で配置されている。この内壁リブ21aの外側には、外周枠部の一例を構成する外壁リブ21bが設けられる。外壁リブ21bは、下端面の内周面に、当該蓋開口方向に対して外側に傾斜した密閉面(以下シール面31という)を有している。
【0069】
この例で、底蓋部22が下端筒部21に閉じられたとき、図14Bに示すように蓋部本体22’の凸部22f及び蓋部27は、下端筒部21の内壁リブ21a内に入り込む位置に挿入され、パッキンカバー30bは、下端筒部21の内壁リブ21aで押さえ込むように組み合わされる。
【0070】
パッキンカバー30bの下に設けられるパッキン30aは、蓋部本体22’の凸部22fの外周部に連結されている。パッキン30aは、断面U状の環状弾性部の一例を構成し、下面に環状凹部30dを有する中空形状になされる。
【0071】
パッキン30aは、環状凹部30dの裏面に対応する外周面30eを有し、図14Bに示すように底蓋部22が閉塞する場合に、当該外周面30eが外壁リブ21bのシール面31と摺接するようになされる。また、パッキン30aの外周面30eは外壁リブ21bのシール面31と摺接するとともに、シール面31によって下方向に押圧される。
【0072】
また、パッキン30aは、外側の下端部に環状の先端部30fを有している。底蓋部22が閉塞するとき、下端筒部21のシール面31によってパッキン30aが下方向に押し付けられると、先端部30fは底蓋部22の外周部の上面に押し付けられる。押し付けられた先端部30fは、摩擦力によって底蓋部22に当接する位置が略固定される。これによって、パッキン30aの上方に向けた弾性力が向上し、パッキン30aとシール面31とが水密に当接する。
【0073】
更に、底蓋部22が閉まることで、パッキン30aの外周面30eをシール面31が摺動するようになる。この摺動動作によって、外周面30eに付着した例えばゴマのような小さいゴミが摺り落とされる。
【0074】
ここで、底蓋部22の閉塞時に、開閉動作を2回以上繰り返すようにして、パッキン30aとシール面31とが2回以上摺動するようにするとよい。このようにすると、パッキン30aの外周面30eに付着した生ゴミ7が摺り落とされた後で、パッキン30aとシール面31とが当接するようになるので、底蓋部22の閉状態における密閉性をより確実なものにできる。
【0075】
また、閉状態でのヒンジ部28の高さは、シール面31の高さと略水平に設定されている(図15A参照)。このようにヒンジ部28を構成すると、ヒンジ部28の高さが、シール面31の高さより低い場合に比べて、特にヒンジ部28の側のシール面31とパッキン30aによる摺動動作を確実に行えるようになる。
【0076】
また、外壁リブ21bの外側には、第3の密閉部材の一例を構成するダストシールパッキン30cが取り付けられる。ダストシールパッキン30cは、円筒に近いリング形状を有しており、シール面31の外側に位置している。例えば、ダストシールパッキン30cは、その上部内周部が外壁リブ21bの外周部に取り付けられ、底蓋部22が下端筒部21に閉じられたとき、ダストシールパッキン30cの裾部分が底蓋部22の外周面に沿って接触するようになされる。これにより、底蓋部22を閉じたとき、ダストシールパッキン30cが底蓋部22の外周面に密着し、処理容器内の乾燥した乾燥ゴミの飛翔による舞い込みからパッキン30a及びシール面31を保護できるようになる。
【0077】
<底蓋部の機能>
図15A及びBは、底蓋部22の機能例を示す断面図である。底蓋部22は、ヒンジ部28を支点に回動して開閉する。底蓋部22は、生ゴミ投入装置3の下部側に備えられたロックカム34(底蓋開閉機構)によって開閉状態をロックされる。ロックカム34は往復回転式に構成され、底蓋部22が開く方向の底蓋部22を押圧する押下面34bと、底蓋部22を押し上げる押上面34aとを有している。
【0078】
押上面34aと押下面34bの、底蓋部22との当接面に所定の傾斜を有することで、ロックカム34が底蓋部22の押し上げ、押し下げ機能を実現している。
【0079】
また、底蓋部22の蓋部27は、下端筒部21の内径に対して底蓋部22が開閉し得るクリアランスが確保できる径である。そして、図15Aに示すように底蓋部22を閉じたときに、シール部材30が下端筒部21のシール面31aに密着できるように、シール部材30の蓋部27及び蓋本体部22’からの突出量が設定される。
【0080】
図15Aに示すように、底蓋部22を閉じた状態では、底蓋部22は、生ゴミ投入装置3の底面を成し、投入開口部9から投入された生ゴミ7は蓋部27の上面に堆積する。同様に蓋部27の水溜部27aには、生ゴミ7と一緒に投入された汁や水が溜まる。
【0081】
投入開口部9から多くの水が投入されて水溜部27aから溢れ出た場合、溢れた水は排出口25から排出される(図13参照)。しかしこの場合も、凸部21cによって、所定量の水が水溜部27aに残るようになっている。
【0082】
またこのとき、パッキンカバー30bは、内壁リブ21aに全周で接しているので、汁や水はパッキン30aまで流れていくとしても、固形の生ゴミ7はパッキンカバー30bと内壁リブ21aとの接している部位を通過できないために、パッキン30a及びシール面31に生ゴミ7が付着しない構造とすることができる。
【0083】
なお、スプーン、フォーク等の固形物を誤投入した場合でも、蓋部27と下端筒部21とのクリアランス以下の小さなものでなければ、直接シール部材30を傷つけることはない。
【0084】
一方、図15Bに示すように底蓋部22が開いた状態では、底蓋部22は、生ゴミ7を生ゴミ破砕乾燥装置4へ移動させるように機能する。底蓋部22は、ヒンジ部28を支点にして、生ゴミ破砕乾燥装置4の側に開放される。このとき、蓋部27に堆積した生ゴミ7が処理容器42の側に落下移動する。このとき、水溜部27aに溜まった水は蓋部27の上面に沿って流れ出るので、生ゴミ7が蓋部27の上面を滑らかに移動する。
【0085】
更にこのとき、パッキンカバー30bは、底蓋部22が開き始めて、生ゴミ7が処理容器42内に落下するとき、パッキン30aの上で傘の役割をしてパッキン30aへの生ゴミ7の付着を防止する。
【0086】
底蓋部22は、図15Bに示すように下端筒部21から離脱されたのち、自重によって略鉛直状態となるまで垂下姿勢を保持する。このように、軽い力で底蓋部22の開閉が可能となる。なお、底蓋部22を閉じたときのパッキンカバー30bの露出部分に水分等に対応するコーティングを施してもよい。更に、径の異なるOリングを重ねて嵌めて、シール面31が形成されるようにしてもよい。
【0087】
このように、この発明に係る生ゴミ処理装置1によれば、底蓋部22の上面を成す蓋部27がヒンジ部28の側の上面に凹状の水溜部27aを備えている。
【0088】
この構成によって、蓋部27の上面のヒンジ側に厨芥とともに投入された水を溜めることができるので、底蓋部22が生ゴミ破砕乾燥装置4の側に開放されたときに、蓋部27の上面に、上部側から下部側に向けて水を流すことができる。
【0089】
従って、蓋部27の全面に堆積する生ゴミ7を生ゴミ破砕乾燥装置4に効率よく洗い流すことができるとともに、底蓋部22の外周部に生ゴミ7が引っ掛かることを防止できる。これにより、生ゴミ7を落下させた後で閉塞される底蓋部22と下端筒部21との間に生ゴミ7が挟まることを防止でき、閉塞後の底蓋部22から生ゴミ破砕乾燥装置4に水が漏れることを抑止できる。
【0090】
またこの例では、水溜部27aは、蓋部27の上面のうち、ヒンジ部28の側の略半分に形成される。このようにすると、蓋部27の上面で水が流れ落ちる距離を長くできるので、効率よく生ゴミ7を洗い流すことができる。また、少ない水の量で生ゴミ7を洗い落とすことができるので、破砕乾燥処理への影響を最小限に抑えることができる。
【0091】
また、パッキン30aを下側に環状凹部30dを有する断面U字状とすることによって、パッキン30aとシール面31との密着性を従来方式に比べて向上できるようになった。しかも、底蓋部22を2回以上開閉させることによって、パッキン30aの外周面30eをシール面31によって摺動し、外周面30eに付着した生ゴミ7を除去することができる。これにより、水密性良く底蓋部22を閉じることができ、蓋密閉構造を備えた高信頼度の生ゴミ処理装置1を提供できるようになった。
【0092】
<生ゴミ破砕乾燥装置の構成>
生ゴミ投入装置3の下側には、図2に示した生ゴミ破砕乾燥装置4が設けられ、底蓋部22が開状態となることで、生ゴミ投入装置3に収納された生ゴミ7を投入される。生ゴミ破砕乾燥装置4は、投入された生ゴミ7を破砕するとともに乾燥し、乾燥体に処理する機能を有する。
【0093】
生ゴミ破砕乾燥装置4は、含水性処理物である生ゴミ7が投入される処理容器42と、処理容器42の内部に投入された生ゴミ7を攪拌する攪拌翼44(攪拌手段)と、攪拌翼44との協働で生ゴミ7を破砕する破砕刃62(破砕手段)と、処理容器42の一部を開口して形成される排出口53と、排出口53に対して開閉できるように処理容器42に取り付けられるカバーユニット58とを備えている。
【0094】
攪拌翼44は、処理容器42の略中心部を回動支点として回動する軸部45(攪拌軸)とともに、攪拌翼構造40(攪拌翼部)を構成する。攪拌翼44は、攪拌翼構造40の回動端部に設けられる。
【0095】
処理容器42は、この例では、半円筒形状の容器に構成され、所定部に4枚の破砕刃62が取り付けられている。処理容器42内の半円筒部で攪拌翼構造40の撹拌翼44が往復回動及び回転し、生ゴミ7を撹拌及び破砕する構造を有している。
【0096】
<処理容器の構造>
図2に示した処理容器42は、生ゴミ破砕乾燥装置4の主要部の1つを構成し、上部が開口され、底部が半円筒形状を成している。この例で、図中、処理容器42の右側には、排出口53が設けられ、この排出口53には開閉蓋の一例を構成するカバーユニット58が可動自在に取り付けられている。排出口53は処理容器42の正面となる位置であって、生ゴミ処理装置1がシンク2に設置された場合に、扉2aに面する位置に備えられる。排出口53は例えば長方形の開口である。
【0097】
処理容器42は、底部が略直方体形状の外部筐体140の中に収納される。このとき、外部筐体140の内側の排出口53の排出方向には、ゴミ回収用の間隙S40が構成される。間隙S40は、ゴミの回収袋を収容する充分な高さと奥行きを有する空間になされる。
【0098】
排出口53の排出方向にあたる外部筐体140の所定部には、ゴミ回収用の間隙S40を介して、開閉部を有する外面カバー141が設けられる。使用者は、乾燥ゴミを回収するとき、外面カバー141を開けてゴミ回収用の袋101を間隙S40に納め、袋101の開口部を排出口53に取り付ける(図21参照)。袋101を取り付けた後、後述する乾燥ゴミの回収操作(ゴミ排出モード)を実行することで、処理容器42の中の乾燥ゴミが袋101に搬送される。
【0099】
またこの例では、排出口53が攪拌翼構造40の回動支点(回転軸)よりも少し高い位置に設けられている。こうすることで、排出口53の下に、ゴミの回収袋を収容するのに充分な高さの間隙S40を確保できるようになるので、排出口53に取り付けられた袋101が、多くのゴミを収納できるようになる。従って、一つの袋101に回収可能なゴミの容量が増大する。
【0100】
処理容器42の上部には、図9に示した下部ユニット6が底蓋部22とともに取り付けられる。また、処理容器42は内部に撹拌・乾燥空間43が構成されると共に、撹拌翼(撹拌手段)44が取り付けられる。撹拌・乾燥空間43は、少なくとも下半分は撹拌翼44の軌跡に沿って円筒形状を有している。
【0101】
処理容器42は、撹拌翼44の位置を検出する原点位置検出用のセンサ51aと、底蓋押上位置検出用のセンサ51bを備えている(図2参照)。本例では、撹拌翼44の原点位置は、撹拌翼本体46が鉛直下向きとなる状態である。下部ユニット6の底蓋部22が開いた状態で、撹拌翼44をセンサ51bで検出される位置まで回転させると、撹拌翼44で底蓋部22を押し上げて、底蓋部22を閉じる動作を行う。
【0102】
また、この処理容器42の底部付近の外周にはPTCヒータ52(加温手段)が設けられている(図2参照)。例えば、PTCヒータ52は、断熱材で被覆され、底部に貼り付けられ、処理容器42内を加温するようになされる。処理容器42内の温度は、生ゴミ7の初期撹拌時は45℃程度であり、生ゴミが乾燥ゴミへ状態変化する時点で65℃程度に保たれる。
【0103】
PTCヒータ52は、正極性のサーミスター特性を有するヒータで、温度が上昇すると抵抗値が上昇し、これにより消費する電流が制御されるとともに温度上昇が緩やかになり、その後、消費電流及び発熱部の温度が飽和領域に達して安定していくものであり、自己温度制御を行う。このように、PTCヒータ52の温度が上昇すると消費電流が低くなり、その後一定温度の飽和領域に達すると、消費電流が低い値で安定する特性があるために、これを用いることにより、消費電力の節約ができるとともに、発熱体の温度の異常上昇を防止可能であるという利点がある。
【0104】
上述した処理容器42には1組の軸受部42a,42b(図17参照)が設けられ、この軸受部42a,42bに軸部45が回転自在に取り付けられる。軸受部42a,42bは、軸部45の両端を保持するようになされる。この例で、軸部45を含めた撹拌翼構造40が備えられている。
【0105】
<撹拌翼の構成>
図16は、生ゴミ処理装置1における撹拌翼構造40の構成例を示す斜視図である。図16に示す撹拌翼構造40は、生ゴミ7を撹拌する撹拌翼44及び軸部45から構成される。撹拌翼44は、撹拌翼本体46と、棒状体の一例を構成するシャフト48a〜48eから構成される。撹拌翼本体46はプレート状を成し、一方の側には例えば、5個の鋤状部46a〜46eを有している。個々の鋤状部46a〜46eに対応して撹拌翼本体46の他方の側には5本のシャフト48a〜48eが取り付けられている。シャフト48a〜48eは、所定の太さの軸部45に取り付けられている。
【0106】
撹拌翼本体46は、撹拌プレート47及び図示しない補強板を有して構成される。撹拌プレート47は撹拌翼部材の一例を構成し、鋤状部46a〜46eを設けた樹脂成形品が使用される。撹拌プレート47の裏面は、補強板で裏打ちされる。補強板は、耐腐食性を有した金属板、例えば、ステンレス板(SUS板金)が使用される。また、撹拌プレート47の他方の側は突出部47aとなされ、この突出部47aに所定形状のリブ44aが設けられ、底蓋部22を閉める際に、リブ44aで底蓋部22を押し上げるようになされる。
【0107】
図17は、処理容器内の攪拌翼構造40の取付例を示す断面図であり、処理容器42を軸部45の軸線方向に沿った面で切断した図である。
図17に示す撹拌翼構造40によれば、処理容器42の両外側に設けられた軸受部42a,42bに撹拌翼44の軸部45が取り付けられる。撹拌翼44は、撹拌翼本体46の鋤状部46aと鋤状部46bとの間が所定の開口幅(隙間)d1を有している。同様にして、他の鋤状部46b及び46c、鋤状部46c及び46d、鋤状部46d及び46eが所定の開口幅d2,d3,d4を各々有している。この開口幅d1〜d4を有した鋤状部46a〜46eの間には、4枚の破砕刃62を通すようになされる。これにより、破砕刃62への生ゴミ7の搬送及び排出操作時の排出口53への生ゴミ7の搬送を円滑に行うことができる。
【0108】
なお、撹拌翼44は、後述するが如く処理容器42内の下方側で、往復回動動作をしたのち、一定時間毎に、処理容器42内を1周するように回転動作する。この回転によって、撹拌翼44の後方へ落下した生ゴミ7も、次回の往復回動運動の際に破砕乾燥できるようになる。
【0109】
また、上述の撹拌翼44を取り付けられた軸部45の一端には、ギアユニット65が設けられる。ギアユニット65には、駆動部を構成するモータ67が取り付けられ、駆動力をギアユニット65を介して撹拌翼44の軸部45に伝達するようになされる。例えば、ギアユニット65は、図示しない平ギア、小ギア及びカウンタギアを有しており、モータ67を回転させると、小ギア、カウンタギア及び平ギアを介して撹拌翼44に駆動力が伝達され、撹拌翼44は軸部45を中心軸として往復回動動作及び回転動作するようになされる。
【0110】
モータ67には正転及び逆転が可能な直流電動機が使用される。モータ67には、システムコントローラ92が接続され、モータ制御信号S67をモータ67に出力して撹拌翼44の正転及び逆転制御を実行する。
【0111】
<生ゴミ処理装置の制御構成>
システムコントローラ92は制御部(手段)の一例を構成し、攪拌翼44の回動動作等生ゴミ処理装置1の様々な制御を実行する。この例のシステムコントローラ92は、生ゴミ7の破砕乾燥処理を実行する際、初期処理と本破砕乾燥処理とを段階的に行うように制御する。
【0112】
初期処理では、例えば、2.5分間、攪拌翼44を往復回動させた後、2.5分間、攪拌翼44を停止させる間欠回動運転が繰り返し実行される。初期処理の実行時間は、生ゴミ7の破砕処理が適度に進行する時間、例えば1時間に設定される。初期処理が終了すると、例えば5〜7時間に渡る本破砕乾燥処理が実行される。
【0113】
本破砕乾燥処理では、例えば、1回の処理周期が30分に設定され、当該処理周期のうち2.5分だけ攪拌翼44を往復回動させる間欠回動運転が繰り返し実行される。本破砕乾燥処理では、温熱効果や換気効果による生ゴミ7の乾燥処理が実行され、攪拌翼44は、主に、生ゴミ7を攪拌する目的で回動される。本破砕処理が終了すると、生ゴミ7は乾燥粉体状に変化する。
【0114】
図18は、生ゴミ処理装置1の制御系の構成例を示すブロック図である。図18に示すシステムコントローラ92は、例えば、A/D変換部92a、CPU(Central Processing Unit;中央処理ユニット)92b、ワーク用のRAM(Random Access Memory)92c及びROM(Read Only Memory)92dを有して構成される。ROM92dには当該生ゴミ処理装置全体を制御するためのシステムプログラムデータや、破砕乾燥処理モード、ゴミ排出モード等の運転モードを制御するための情報が格納される。RAM92cには、各種運転モード実行時の制御コマンド等を一時記憶するようになされる。CPU92bは電源がオンされると、ROM92dからシステムプログラムデータを読み出してシステムを起動し、当該装置全体を制御するようになされる。
【0115】
システムコントローラ92には操作部98が接続され、図示しない電源スイッチのON/OFF情報等の操作信号S98をシステムコントローラ92へ出力するようになされる。CPU92bは、操作信号S98、複数のセンサ51a〜51c等の検知情報に基づいてモータ67や、PTCヒータ52、モニタ91及びブザー96等の出力を制御するようになされる。A/D変換部92aは、各センサ出力をアナログ・デジタル変換して各々信号に対応したデータを出力するようになされる。
【0116】
撹拌翼原点位置検出用のセンサ51aは、図2に示した処理容器42内の撹拌翼44の回転位置を検出して、撹拌翼原点位置検出信号S51aをシステムコントローラ92へ出力するようになされる。撹拌翼底蓋押上位置検出用のセンサ51bは、図2に示した処理容器42内の撹拌翼44の押上位置を検出して、撹拌翼押上位置検出信号S51bをシステムコントローラ92へ出力するようになされる。これにより、CPU92bでセンサ51a及び51bの出力から撹拌翼44の位置を判別できるようになる。撹拌翼排出位置検出用のセンサ51cは、図2に示した処理容器42内の撹拌翼44の排出位置を検出して、撹拌翼排出位置検出信号S51cをシステムコントローラ92へ出力するようになされる。
【0117】
上述のシステムコントローラ92には、各種モータ67,69c及び97aや、PTCヒータ52、モニタ91及びブザー96等の出力系が接続される。システムコントローラ92は、各センサ51a〜51c及び19aの出力及び、所定のプログラムに基づいて、各種モータ67,69c及び97aや、PTCヒータ52、モニタ91及びブザー96等を駆動するようになされる。
【0118】
送風ファン用のモータ69cは、生ゴミ破砕乾燥時に、システムコントローラ92からモータ駆動電圧V69cが入力されて、後述する送風ファン69を駆動する。これにより、生ゴミ破砕乾燥時、CPU92bにおいて、送風ファン69を断続運転制御できるようになる。
【0119】
排気ファン用のモータ97aは、乾燥ゴミの排出時にシステムコントローラ92からモータ駆動電圧V97aが入力されて後述する排気ファン97を駆動するようになされる。これにより、粒状粉体排出時、CPU92bにおいて、排気ファン97を断続運転制御できるようになる。室内への臭気の漏れを低減できるようになる。
【0120】
撹拌翼用のモータ67は、生ゴミ破砕乾燥時に、システムコントローラ92からモータ駆動電圧V67が入力されて図16に示した撹拌翼44を往復回動動作及び回転動作させる。これにより、撹拌翼運転時、CPU92bにおいて、撹拌翼44を往復回動制御及び回転制御できるようになる。
【0121】
例えば、システムコントローラ92では、底蓋部22が開動作する前に、処理容器42の下端筒部21の下部投影領域から外れ、かつ、底蓋部22の回転軌跡から外れた位置に撹拌翼44を移動して停止させるようにモータ67を制御する。これにより、生ゴミ投入時における撹拌プレート47の停止位置を下端筒部21の下の領域(ゴミ落下領域)から外れたところに設定することができる。
【0122】
PTCヒータ52は、生ゴミ破砕乾燥時に、システムコントローラ92からヒータ駆動電圧V52が入力されて図2に示した如く処理容器42の底部から加熱する。これにより、撹拌翼断続運転時、CPU92bにおいて、PTCヒータ52のオン及びオフ制御を実行できるようになる。ブザー96は、水漏れしたときやゴミ満タン時に、システムコントローラ92から警報信号S96が入力されてブザー96を鳴動し、ユーザに異常を知らせる。これにより、水漏れ時やゴミ満タン時、CPU92bにおいて、ブザー鳴動制御を実行できるようになる。
【0123】
また、システムコントローラ92には上部センサ19a(図9参照)が接続され、蓋体11のマグネット18a及び18bの検知情報S19aをシステムコントローラ92に出力するようになされる。システムコントローラ92は、蓋部11が係合されたことを検知したときだけ、底蓋部22を開閉するように構成される。これにより、底蓋部22の開閉動作によって使用者の指が挟まれること等を防止できる。
【0124】
<生ゴミの破砕乾燥処理>
この例のシステムコントローラ92は、生ゴミ7の破砕乾燥処理において、まず初めに、1時間の初期処理を実行し、次に、5〜7時間の本破砕乾燥処理を実行するようにモータ67等を制御する。
【0125】
図19A及びBは、生ゴミ処理装置1における破砕乾燥処理例を示すタイムチャートである。この例では、撹拌翼駆動用のモータ67の消費電力を抑え、効率よく破砕乾燥処理を実行するために、撹拌翼44の駆動を断続(間欠)する制御が採られる。
【0126】
この例でシステムコントローラ92は、起動命令が入力されると、図19Aに示す初期処理を実行してから、図19Bに示す本破砕乾燥処理を実行する。この例の破砕乾燥処理は、初期処理と本破砕乾燥処理とで間欠の割合(デューティー比)や、1回の処理周期を変えることにより、効率を向上できるように構成されている。
【0127】
図19A及びBに示す撹拌動作において、ハイ・レベルの時間は、撹拌翼44のモータ67が通電されて、攪拌翼44が往復回動する撹拌時間である。ロー・レベルの時間は駆動モータ67が非通電となり、攪拌翼44が停止する停止時間(待機時間)である。
【0128】
ハイ・レベルで示す攪拌時間において、攪拌翼44は、例えば、図20に2点鎖線示す位置αから位置βまでの間を往復する。位置αから位置βまでの回動角度θαβは、例えば130°に設定される。攪拌時間では、往復回動する攪拌翼44が破砕刃62との協働によって生ゴミ7を破砕する。
【0129】
ロー・レベルで示す停止時間において、攪拌翼44は、例えば、鉛直下向きとなる攪拌翼44の原点位置に配される。これは、図20の手前側上方に、後述する送風用の送風ファン69の送風口が設けられていて、左側上方に排気口74が配されていることによる。また、停止時間の攪拌翼44の配置位置は、原点位置に限られることはなく、生ゴミ7への送風経路及び排気経路を遮らない位置であればどこでもよい。
【0130】
図19Aに例示する初期処理では、攪拌翼44が往復回動する攪拌時間t1が2分30秒に設定され、攪拌翼44が停止する停止時間t1’が同等の2分30秒に設定される。初期処理では、5分間を1周期とした周期T1の間欠運転が、例えば1時間に渡って繰り返し実行される。なお図示しないが、攪拌時間t1の中で、一定時間毎に攪拌翼44が処理容器42内を1周するように回転動作する。この回転によって、撹拌翼44の後方の生ゴミ7が、処理容器42の底部に落下するようになされる。
【0131】
初期処理が終了すると、図19Bに示す本破砕乾燥処理が、この例では5〜7時間継続される。ここで例示する本破砕乾燥処理では、1回の周期T2が30分に設定され、そのうち、攪拌時間t2は2分30秒に設定されている。従って、停止時間t2’は27分30秒になる。
【0132】
本破砕乾燥処理では、停止時間t2’において、PTCヒータ52により生ゴミ7に熱が加えられるとともに、送風ファン用のモータ69c及び排気ファン用のモータ97aが通電され、加温効果と送風、排気効果による乾燥処理が実行される。このとき、後述する送風ファン69の風量を調整して、処理容器42の温度を調整することもできる。
【0133】
ここで、本破砕乾燥処理の周期T2に対する攪拌時間t2のデューティー比D2(t2/T2)は、0.1以下に設定されている。初期処理の周期T1に対する攪拌時間t1のデューティー比D1(t1/T1)が、0.5であるのと比較すると、本破砕乾燥処理のデューティー比D2は充分に低く設定されていることになる。
【0134】
これは、初期処理によってある程度まで破砕された破砕ゴミを乾燥させるには、攪拌処理よりも、加温、送風及び排気による乾燥処理が有効であることによる。また生ゴミ7を、ある程度の大きさを維持したままで乾燥処理することにより、生ゴミ7が乾燥ゴミとなって飛散する時間を最小限に抑える効果もある。
【0135】
このように、この例の生ゴミの破砕乾燥処理によれば、本破砕乾燥処理での攪拌時間を短く設定することで、生ゴミ7の破砕乾燥処理でのモータ67の消費電力を削減できる。
【0136】
また、初期処理の終了後に本破砕乾燥処理を実行するので消費電力を低下できる。更に、ある程度の重量を維持した破砕ゴミを乾燥処理するので、粉末状のゴミが処理容器42の内部に舞い上がる時間を最小限に抑えられる。これにより、送風ファン69のフィルタや、後述する排気側のフィルタ78の目詰まりを抑制できる。従って、風量の低下による乾燥機能の低下を防止できるようになる。以下で、破砕乾燥処理が終了した後で、乾燥した乾燥ゴミを排出する方法について説明をする。
【0137】
<ゴミ排出動作>
図20及び21は、ゴミ排出時の動作例(その1及び2)を示す断面図であり、左側に排出口53を配した図である。生ゴミ処理装置1から乾燥ゴミである粉ゴミを取り出す場合、まず、排出口53に回収袋を取り付けてから、ゴミ排出モードを実行する。ゴミ排出モードは、操作部98を操作すること等によって開始される。
【0138】
システムコントローラ92は、ゴミ排出モードでは、まず、モータ67を駆動して撹拌翼44を位置α’に回動させる(図20)。そして、撹拌翼44を位置α’からゴミ排出位置である位置βまで回転させると、処理容器42の底部に溜まった破砕され乾燥された粉ゴミが、撹拌翼44の撹拌翼本体46により掻き上げらえて、排出口53から排出される。
【0139】
図21に示す排出口53にはゴミ回収袋として袋101が取り付けられていて、排出口53から排出された乾燥した粉ゴミが袋101に収集される。ここで、撹拌翼44は、位置α’から位置βまで回転する間は、所定のクリアランスを保持して処理容器42の内壁と接触しながら動くことで、乾燥ゴミ粉の残留を極力防ぐことができる。なお、処理容器42の内壁と撹拌プレート先端との隙間は、乾燥ゴミ粉が下方に落下しない程度でもよい。
【0140】
粉ゴミを排出する位置βに配された攪拌翼44は、水平線に対して角度θβ上方に傾いている。角度θβは、排出口53の下端と撹拌翼構造40の回転軸とを結ぶ仮想線の水平に対する角度と略同等である。
【0141】
位置βに配された攪拌翼44の撹拌翼本体46は、軸部45よりも僅かに高い位置に配される。しかし、撹拌翼本体46の上面に載って搬送された粉ゴミは、攪拌翼44の回動により生じる遠心力や、攪拌翼44の移動により生じる慣性力等によって、排出口53から袋101に排出される。またこの排出動作では、攪拌翼44を位置α’から位置βまで移動させる回動動作を、例えば5回程度繰り返して実行する。
【0142】
このように、この発明に係る生ゴミ破砕乾燥装置4によれば、排出口53が攪拌翼構造40の回動支点よりも少し高い位置に設けられている。この構成によって、排出口53の下に、ゴミ回収用の間隙S40が所定の高さを確保できる。従って、排出口53に取り付けられた袋101に、多くのゴミを回収できるようになる。
【0143】
また、排出口53が間隙S40を介して外面カバー141を有する外部筐体140に覆われているので、排出口53から回収される粉ゴミが装置の外部に飛び散ることを防止できるとともに、使用者が排出口53とカバーユニット58との間に手を挟むこと等を防止できる。
【0144】
図22は、その他の攪拌翼44’の構成例を示す断面図である。図22に示す攪拌翼44’は、攪拌翼本体46’の上面が回動支点の側の端部46a’に比べて回動端部の側の端部46b’が低くなる傾斜を有している。
【0145】
このように攪拌翼本体46’を構成すると、位置βに配された攪拌翼本体46’の上面が、排出口53に向けて低くなる傾斜を維持できるので、排出口53から効率よく粉ゴミを排出できるようになる。
【0146】
また、これらの排出モードの処理において、システムコントローラ92は、センサ51a〜51cにより検出される攪拌翼44の位置や、その他のセンサにより検出される蓋体11や底蓋部22の状態に応じて様々な制御を実行する。こうした制御の詳細に関しては、引用文献1の段落番号(0172〜0196)等に詳しく説明されているので、ここでは詳細な説明を割愛する。
【0147】
<排気・排水機構>
図23は、生ゴミ処理装置1の排水機構の構成例を示す断面図である。生ゴミ処理装置1は、排水機構として生ゴミ投入装置3に排水口8及び25を備えている。生ゴミ処理装置1がシンク2に設置される場合、排水口8には排水ダクト82aが連結され、排水口25には排水ダクト82bが連結される。排水ダクト82a及び82bは互いに連結され、排水トラップ84を介して排水管87に連結される(図24参照)。生ゴミ投入装置3の投入開口部9又は排水路94に流れ込んだ水は、こうした排水機構を介して排水管87に排出される。
【0148】
図24は、排気及び排水機構の構成例であり、生ゴミ処理装置1を斜め後方から見た状態を示す概略斜視図である。図24の矢印線A3で示す方向が、排出口53を有する生ゴミ処理装置1の正面方向である。
【0149】
生ゴミ処理装置1は、送風機構として処理容器42の側部に図示しない送風ファン69を備えている。送風ファン69は、いわゆるシロッコファンであり、送風ファンユニット80の中に納められている。送風ファン69からの送風は、送風ダクト70を経て処理容器42の内部に導かれる。
【0150】
生ゴミ処理装置1おいて、処理容器42の上部には、排気機構としての排気口74(図20参照)が形成され、排気口74には、フィルタユニット75が取り付けられている。フィルタユニット75は、フィルタ78、略L字形状に成形されたプレート79、カム77及び図示しない駆動モータ等を備えて構成される。この例では、プレート79でフィルタ面を叩くことにより、フィルタ78からゴミを掻き落とすようになっている。
【0151】
カム77は、所定の軸部に取り付けられ、駆動モータにより回転される。プレート79は回動自在に支持されている。プレート79と処理容器42の上部側との間には、図示しないコイルバネが設けられ、常時、プレート79の先端のL状部位をフィルタ面に押し付けるように設けられている。カム77は、シャフトを支点にしてコイルバネで付勢されるプレート79の所定位置と当接可能に設けられており、カム77は、1回転に1回の割合でプレート79の所定位置と当接するように制御される。
【0152】
このように、カム77を回転させることでプレート79の先端のL状部位がフィルタ78を叩くように構成されて、フィルタ78を清掃できるようになる。フィルタ78を清掃するときは、撹拌翼44及び送風ファン69を停止した状態で行われる。
【0153】
また、処理容器42の上部側には、フィルタユニット75と並べて図示しない排気口フラップが取り付けられる。フィルタユニット75及び排気口フラップの後段には、排気ダクト85が連結され、排気ダクト85は図24に示す如く排気ダクト86を介して排水管87に連結される。
【0154】
このような構成により、送風ファン69又は排気ダクト85の経路途中に設けた不図示の排気ファン97を駆動することで、排気ダクト85経路途中であって、排気ファン97よりも下流側に設けた不図示の排気口フラップが開き、処理容器42内の空気が、排気ダクト85及び排気ダクト86等を介して排水管87内に排気される。また、送風ファン69及び排気ファン97の駆動を停止することで排気口フラップは閉じ、排水管87内の空気が処理容器42内へ進入することを防ぐ。
【0155】
更に、排気ダクト85の所定部には脱臭部81が設けられる(図20参照)。脱臭部81は、処理容器42から排水管87に排気される空気を脱臭する機能を有する。脱臭部81は、図示しない開口部から取り出し可能となっている。脱臭部81の取出用の開口部は、例えば生ゴミ処理装置1の上面や側面に設けられる。同様に、上述したフィルタユニット75は、例えば生ゴミ処理装置1の正面等から取り出し可能に構成されている。
【0156】
<処理容器排水機構>
上述のような排気・排水機構は共に排水管87に接続されて互いに連通している。こうした共同排気構造では、排水管87が詰まった場合等にシンク2からの水が処理容器42に入り込むおそれがある。
【0157】
これに対応するため、処理容器42には処理容器排水機構が設けられる。処理容器42には、処理容器42内の異常水位を検知する図示しない水位センサ(水位検知手段)が設けられ、水位センサはシステムコントローラ92に接続される。水位センサは、排出口53よりも底部に近い処理容器42の内側面に配設された2本の水位検知棒等から構成される。
【0158】
水位センサが異常水位を検出した場合、システムコントローラ92はそれに応じた警報信号S96をブザー96に出力し、所定の警告音を発生させる。同様に信号S91をモニタ91に入力して、異常水位になっている旨を示す表示や、シンク2の水の停止を促す表示をするとよい。
【0159】
異常水位の警告・表示がなされた場合は、まずシンク側の蛇口を閉め、例えば脱臭部81用の開口部やフィルタユニット75用の開口部から処理容器42内に吸水ポンプ(処理容器排水手段)を挿入して排出する方法がある。
【0160】
なお、吸水ポンプに替えて、処理容器42の排出口53より底部側の所定部に排出用の開口部を形成し、いわゆるオーバーフロー管(処理容器排水手段)を設ける方法もある。この場合は、オーバーフロー管用の開口部に通常閉状態の自動バルブを設置し、警報信号S96に応じて開く構成としてもよい。また、オーバーフロー管用の開口部に自動バルブに替えて手動バルブを設置することもできる。更に、オーバーフロー管に逆流防止構造やフィルタを形成して、異常水位に達した水が自動的にオーバーフロー管から排出されるようにする方法もある。
【0161】
このように、この発明に係る排気・排水機構によれば、処理容器42に処理容器排水機構を備えている。従って、排気ダクト85等から処理容器42に水が入り込んだ場合に、排出口53等から水が屋内に漏れることを防止できる。また勿論、これらの処理容器排水機構は底蓋部22からの漏水にも対応できるものである。
【実施例2】
【0162】
図25は、第2の実施例としての生ゴミ処理装置1’の構成例を示す上面から見た断面図である。生ゴミ処理装置1’は、第1の実施例の共同排気構造に替えて、単独排気構造を備えている。
図25に示す生ゴミ処理装置1’は、厨芥物処理装置の一例を構成し、排水機構から分離された排気機構としての排気ダクト85’を備えている。排気ダクト85’は、処理容器42の排気口74に一方の端部が連結され、屋外に排出部を有する排気路に他方の端部が連結される。なお、以下で、第1の実施例と同じ名称及び符号のものは、同じ機能、同じ構造を有するのでその説明を省略する。
【0163】
排気ダクト85’の上流側であって排気口74の直ぐ後段には、脱臭部81が備えられている。脱臭部81は、例えばカートリッジ方式の通気可能な容器部材に、活性炭及びセラミック等が収納された脱臭フィルタで構成される。脱臭部81は、生ゴミ処理装置1’の上面や側面に形成された取出用の開口部から脱着自在になされる。脱臭部81を通過した排気は、活性炭等に臭いを吸収されて臭気の影響を軽減される。
【0164】
図26は、排気機構の構成例を示す断面図である。図26に示す生ゴミ処理装置1’は、シンク2の下の流し台に設置されている。生ゴミ処理装置1’の排気機構を構成する排気ダクト85’は、この例では、流し台の裏面から壁2eの内部に設けられた排気ダクト86’に連結される。排気ダクト86’は排気路の一例を構成し、壁内の他、流し台の蹴込み部2b(図1参照)にも配設可能である。
【0165】
排気ダクト86’は、壁2eの内部に延設されて最下流の排気部が屋外に出される。排気ダクト86’の排気部には、更に図示しない屋外ダクトが連結され、屋外ダクトの排出部は、居住領域よりも高い位置まで延設される。処理容器42からの排気は、屋外ダクトの排出部から居住領域の上に排出される。
【0166】
このように排気ダクト86’を含む排気路を構成することで、居住領域への臭気の影響を軽減できるようになる。なおこの場合は、屋外ダクトの排出部にフィルタ付きのベントキャップを取り付け、害虫の進入を防げるようにするとよい。
【0167】
このように第2の実施例に係る生ゴミ処理装置1’によれば、排水路から分離されて屋外に延設された単独排気構造を備えている。この構成によって、配水管87から処理容器42への浸水を防止できる。また、最下流の排出部を居住領域の上側に延設することで、居住領域への臭気の影響を最小限に抑えられる。
【0168】
なお、戸建て住宅に応用する場合は、単独の屋外ダクトの延設が必要であるが、マンションのような共同住宅の場合は、共用の屋外ダクトを設けることができる。
【実施例3】
【0169】
図27は、第3の実施例としての蓋体11’の構成例を示す断面図である。図27に示す蓋体11’は、生ゴミ処理装置1又は1’の投入開口部9に係合され、生ゴミ投入装置3への水の入り込みを防ぐものである。また、この例の蓋体11’は、その下方に摺動部としてワイパー11jを備え、生ゴミ投入装置3の投入筒部10の内壁に付着した生ゴミ7を摺り落とす機能を有する。
【0170】
蓋体11’は、第1の実施例の蓋体11に、スプリングバネ11h、押し板11i、ワイパー11jが取り付けられて構成される。
【0171】
まず、図27を参照しながら蓋体11について説明をする。蓋体11は、取手部11e、蓋部11f、胴部11g、マグネット18a,18bを備える。取手部11eは、蓋部11fの上面に形成されて操作用の把持部を構成する。蓋部11fは、側面にフランジやパッキン等を有していて、使用者に回動されることで投入開口部9に略水密に係合される。
【0172】
取手部11eの裏面側にあたる蓋部11fの下部には、円筒状の胴部11gが連結されている。胴部11gは、少なくとも下方が開口された円筒状の押圧部であり、投入開口部9の側に突設されて生ゴミ7を下方に押す機能を有している。
【0173】
蓋体11には更に、1組のマグネット18a及び18bが備えられる。マグネット18a及び18bは、例えば、胴部11gの内壁の所定の位置に90°の角度を隔てて配置され、蓋体11の回転位置を検出する際に利用される。マグネット18a及び18bは、例えば、胴部11gの側面に部品配置用の凹状の溝部が形成され、この溝部に接着するように形成される。
【0174】
図27に示すこの例の蓋体11’は、蓋体11の胴部11gの下に、摺動部に付勢力を与えるスプリングバネ11hを備えている。スプリングバネ11hは、圧縮バネ部の一例であり上下方向に伸縮可能な弾性部材で構成される。スプリングバネ11hの下には、押し板11iが連結され、押し板11iの外周部に、摺動部としてのワイパー11jが設けられる。
【0175】
蓋体11’が投入開口部9に係合されると、押し板11iは、スプリングバネ11hの付勢力によって、下面で生ゴミ7を下方に押圧する。またその際ワイパー11jは、筒体部5a及び6aの内壁と摺接して内壁に付着した生ゴミ7を摺り落とす。
【0176】
生ゴミ処理装置1は、蓋体11’が係合されないと底蓋部22が開放されない制御構成を有するので、生ゴミ投入装置3が多く生ゴミ7を収納している場合、投入開口部9に係合された蓋体11’のスプリングバネ11hは縮んだ状態になる。この場合は、蓋体11’が係合された後で底蓋部22が開放されることで、スプリングバネ11hが伸び、押し板11iが生ゴミ7を押圧するとともに、ワイパー11jが内壁の生ゴミ7を擦り落とす。
【0177】
スプリングバネ11hが伸びるとき、ワイパー11jは、投入筒部10を構成する筒体部5a、6a及び内壁リブ21aの内壁を上方から下方に摺接する。ワイパー11jは、弾力性を有する部材、例えばゴムで円盤状に構成され、スプリングバネ11hが最も延びた状態で、投入筒部10の内壁に摺接可能な外形に設定される。
【0178】
図28(A)及び(B)は、その他の実施例としての蓋体11’の構成例を示す断面図である。図28Aに示す蓋体11’は、図27に示したワイパー11jに替えて、ブラシ11j’を備えている。ブラシ11j’は、摺動部の一例を構成し、押し板11iに放射状に埋設された例えばアクリル樹脂やナイロン製の刷毛からなる。ブラシ11j’は、筒体部5a又は6aの内壁と摺接して内壁に付着する生ゴミ7を摺り落とす。
【0179】
図28Bに示す蓋体11’は、図27に示したスプリングバネ11hに替えて、円錐状のスプリングバネ11h’を備えている。スプリングバネ11h’は、圧縮バネ部の一例であり、上部側の巻径に比べて下部側の巻径が大きい円錐バネで構成される。
【0180】
スプリングバネ11h’は、上下方向に渦巻き状に圧縮可能なので、圧縮時のバネの高さが小さくなる。従って、生ゴミ投入部3に多くの生ゴミ7が収納された場合にも、蓋体11’を投入開口部9に小さい力で容易に係合できる。
【0181】
このように、第3の実施例に係る蓋体11’によれば、胴部11gの下方にスプリングバネ11h又は11h’を介してワイパー11j又はブラシ11j’を備えている。この構成によって、生ゴミ投入装置3の投入筒部10の内壁に貼り付いた生ゴミ7を掻き落とすことができる。なお、摺動部の部材は、ワイパー11jのようなゴムや、ブラシ11j’のような刷毛に限られることはなく、柔軟性を有する部材であればよく、例えば繊維やスポンジ等でもよい。
【実施例4】
【0182】
図29は、第4の実施例としての蓋体11”の構成例を示す断面図である。図29に示す蓋体11”は、蓋体11”に対して上下に押引可能なアーム部11lを備え、アーム部11lの下側の端部に押し板11iとワイパー11j(摺動部)とが設けられている。
【0183】
蓋体11”は、取手部11e、蓋部11f”、胴部11g、マグネット18a,18b(図27参照)とともにアーム部11lを備え、アーム部11lは、アーム軸部11m、握り部11n、押し板11i及びワイパー11jから構成される。蓋体11”は、投入開口部9に取り付けられる蓋部11f”を備える。蓋部11f”は、第1の実施例の蓋部11fに2つの孔部11kが開口された構成である。
【0184】
孔部11kには、2本のアーム軸部11mが挿入され、蓋部11f”に対して引き出し又は押し込みが可能になされる。アーム軸部11mの上側の端部には、操作用の握り部11nが設けられて2本のアーム軸部11mを一体に連結する。この例では、アーム軸部11mと握り部11nとが一体に形成された一の部材からなる。アーム軸部11mの下側の端部には押し板11iが設けられている。
【0185】
押し板部11iの外周部には例えばゴム製のワイパー11jが設けられ、蓋体11”が投入開口部9に取り付けられた後で、握り部11nが把持されて下に押し込まれると、投入筒部10の内壁に付着した生ゴミ7を掻き落とすようになっている。
【0186】
図30A及びBは、蓋体11”の操作例を示す断面図である。図30Aに示す蓋体11”が投入開口部9に装着されたことを検知すると、システムコントローラ92は、まず上蓋ロック機構12により蓋体11”を生ゴミ投入装置3にロックして、ロックカム34によるロックを解除して底蓋部22を開放する。
【0187】
使用者は、蓋体11”を装着した後でアーム部11lを下方向に押し込む(図30B)。すると、ワイパー11jが投入筒部10(筒体部5a、筒体部6a及び内壁リブ21a)に摺接して内壁に付着した生ゴミ7を処理容器42の側に掻き落とす。このとき、図10に係る説明で記載したように、筒体部5a及び6aの内壁が凹凸スリット形状、又は、表面粗さが粗い表面形状を有しているので、内壁に付着したゴミが容易に掻き落とされる。
【0188】
ところでこの例の生ゴミ投入装置3は、蓋体11”が係合される投入筒部10の上側の周辺に上部センサ19aを備えるとともに、投入筒部10の最下部周辺に下部センサ19bを備えている。一方で蓋体11”の側には、アーム部11lのアーム軸部11m又は押し板11iにマグネット19cが取り付けられている。
【0189】
システムコントローラ92は、上部センサ19a及び下部センサ19bに接続され、上部センサ19a又は下部センサ19bが検知するマグネット19cの検知情報から、アーム部11lの位置を判定する機能を備えている。
【0190】
また、下端筒部21の内壁リブ21aは投入筒部10の最下部を構成している。図31は、内壁リブ21aの構成例を示す断面図であって、図30A又はBの右下部を拡大して示した図である。図31に示す内壁リブ21aは、最下端の内周側に摺接端部21a’を有する。
【0191】
使用者に押し下げられて内壁リブ21aを上方から下方に向けて摺動したワイパー11jは、最後に摺接端部21a’と摺接してから、投入筒部10から離間する。摺接端部21a’から離間するとき、ワイパー11jは弾性力により形状を復帰させてゴミをきる。ワイパー11jの弾性力が強いとゴミをきる力が増大する。
【0192】
ワイパー11jの弾性力を増すためには、摺接端部21a’の形状は直角に近い方が好ましい。従って摺接端部21a’の垂直断面形状は、図31に示す如く、矩形に近い小さいR(半径)の湾曲形状か、若しくは角形状になされることが好ましい。このようにすることで、内壁リブ21aに生ゴミ7が付着しにくくなる。
【0193】
図32は、蓋体11”を応用した生ゴミ処理装置1の生ゴミ移送処理例を示すフローチャートである。使用者は、処理したい生ゴミ7が発生した場合に、蓋体11”を開けて生ゴミ投入装置3の投入筒部10に生ゴミ7を投入してから、再度、投入開口部9に蓋体11”を装着する。生ゴミ処理装置1又は1’は、蓋体11”の装着を検知したら生ゴミ破砕乾燥装置4への生ゴミ7の移送処理を開始する。
【0194】
その移送処理の途中で、生ゴミ処理装置1は使用者によってアーム部11lを操作され、投入筒部10に付着する生ゴミ7が掻き落とされる。システムコントローラ92は、上部センサ19a及び下部センサ19bによって使用者による蓋体11”の操作を検知しながら処理を実行する。
【0195】
これらを処理条件として図32に示すフローチャートのステップST1で、システムコントローラ92は、投入開口部9に蓋体11”が装着されたことを検知する。システムコントローラ92は、上部センサ19aにより蓋体11”のマグネット18a及び18bの位置を監視し、蓋体11”の装着が検知された場合は、生ゴミ移送処理を開始するべく次のステップST2に進む。
【0196】
ステップST2でシステムコントローラ92は、上部センサ19aにマグネット19cが検知されているか否か、つまり、アーム部11lが引き出されているか否かを判定する。判定の結果、アーム部11lが引き出されていて、上部センサ19aによりマグネット19cが検知された場合はステップST3に進み、検知されない場合はステップST2に戻って待機をする。ここで、使用者がアーム部11lを引き出さず、処理が進行しない場合が想定されるので、システムコントローラ92がモニタ91やブザー96等による案内を行うようにするとよい。
【0197】
ステップST3に進んだら、システムコントローラ92は、上蓋ロック機構12を制御して蓋体11”を投入開口部9にロックし、蓋体11”を取り外せないようにする。蓋体11”をロックしたらステップST4に進む。
【0198】
ステップST4でシステムコントローラ92は、ロックカム34を回動させて底蓋部22を開放する。ここで、底蓋部22上の生ゴミ7が、処理容器42の底部に向けて落下する。このとき、底蓋部22の水溜部27aに溜まっていた水が、蓋部27の上面に流れ出て、底蓋部22の生ゴミ7を洗い流す。
【0199】
底蓋部22が開放されたら、ステップST5に進み、使用者によりアーム部11lが押し込まれたか否かを判定する。使用者は、底蓋部22が開放されると、アーム部11lの握り部11nを把持して下方に押し込む。このとき、投入筒部10に突っ張るように引っ掛かった生ゴミ7があった場合、押し板11iが押下して処理装置42に落下させる。更に、ワイパー11jは投入筒部10の内壁に付着する生ゴミ7を掻き落とす。
【0200】
ステップST5での判定の結果、下部センサ19bによりマグネット19cが検出された場合、つまり、アーム部11lが最後まで押し込まれた場合はステップST6に進み、押し込まれていない場合は待機をする。ここでも、使用者によりアーム部11lを押し込まれず、処理を進行できない場合が想定されるので、システムコントローラ92がモニタ91やブザー96等による案内を行うようにするとよい。
【0201】
ステップST6に進んだ場合は、最後まで押し込まれたアーム部11lが、使用者によって引き出されたか否か、つまり、上部センサ19aがマグネット19cを検出したか否かを判定する。判定の結果、アーム部11lが引き出されたと判定した場合はステップST7に進み、引き出されていないと判定した場合は、使用者によりアーム部11lが引き出されるまで、底蓋部22を閉じずに待機する。
【0202】
ステップST7に進んだ場合は底蓋部22を閉じる。このとき、システムコントローラ92は、攪拌翼44を回転操作して底蓋部22を押し上げ、ロックカム34を回転して底蓋部22を閉状態にロックする。
次のステップST8に進むと、システムコントローラ92は、上蓋ロック機構12による蓋体11”のロックを解除する。これ以降、蓋体11”が再度開放可能になる。
【0203】
なお、第1の実施例の図19A及びBで説明をした、生ゴミ破砕乾燥装置4による生ゴミ7の破砕乾燥処理は、操作部98の操作ボタン等による開始命令に応じて開始される処理構成とし、例えば、就寝時等に実行できるようにするとよい。
【0204】
このように、第4の実施例に係る蓋体11”によれば、蓋体11”に対して上下に押引可能なアーム部11lを備えている。従って、投入筒部10に引っ掛かった生ゴミ7や、内周面に付着した生ゴミ7を処理容器42の側に掻き落とすことができる。
【0205】
また、アーム部11lに位置検知用のマグネット19cが設けられ、アーム部11lの押引情報を得られるようになった。これにより、使用者によるアーム部11lの操作状況に応じて、システムコントローラ92による生ゴミ移送処理を進行させることが可能になった。従って、押し板11iの押引操作に同調して、底蓋部22が開放、閉塞する自動処理を実行できる。
【0206】
なお、投入筒部10の内周面に、押し板11i用のガイドを設けるようにしてもよい。例えば、投入筒部10の内周面に、垂直な凹状の縦溝を例えば2本形成し、押し板11iの外周面に凹状の縦溝に係合可能な凸状の突出部を形成する。このようにすると、上下に移動する押し板11iの水平状態を維持できるとともに、使用者による押引操作が容易になる。
【産業上の利用可能性】
【0207】
本発明は、台所や食器洗い場の流し台のシンク下に組み込まれ、野菜屑や、パンくず、鶏卵殻等を破砕して乾燥粒状体にする乾燥式の生ゴミ処理装置に適用して極めて好適である。
【図面の簡単な説明】
【0208】
【図1】第1の実施例としての乾燥式の生ゴミ処理装置1の設置例を示す斜視図である。
【図2】生ゴミ処理装置1の構成例を示す断面図である。
【図3】上部ユニット5、下部ユニット6、蓋体11及び目皿95の組立例を示す斜視図である。
【図4】目皿95の取付例を示す斜視図である。
【図5】目皿95の構成例を示す斜視図である。
【図6】(A)及び(B)は、凹部95c構成例を示す上面図及び側面図である。
【図7】目皿95の機能例(その1)を示す断面図である。
【図8】目皿95の機能例(その2)を示す断面図である。
【図9】上部ユニット5及び下部ユニット6の構成例を示す断面図である。
【図10】上部ユニット5及び下部ユニット6の組立例を示す断面図である。
【図11】底蓋部22の構成例を示す分解斜視図である。
【図12】蓋部27の構成例を示す上面図である。
【図13】水溜部27aと下端筒部21の構成例を示す断面図である。
【図14】(A)及び(B)は、下端筒部21と底蓋部22における密閉構造例を示す断面図である。
【図15】(A)及び(B)は、底蓋部22の機能例を示す断面図である。
【図16】攪拌翼構造40の構成例を示す斜視図である。
【図17】処理容器内の攪拌翼構造40の取付例を示す断面図である。
【図18】生ゴミ処理装置1の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図19】(A)及び(B)は、生ゴミ処理装置1における破砕乾燥処理例を示すタイムチャートである。
【図20】ゴミ排出時の動作例(その1)を示す断面図である。
【図21】ゴミ排出時の動作例(その2)を示す断面図である。
【図22】その他の攪拌翼44’の構成例を示す断面図である。
【図23】排水機構の構成例を示す断面図である。
【図24】排気及び排水機構の構成例を示す斜視図である。
【図25】第2の実施例としての生ゴミ処理装置1’の構成例を示す上面から見た断面図である。
【図26】排気機構の構成例を示す断面図である。
【図27】第3の実施例としての蓋体11’の構成例を示す断面図である。
【図28】その他の実施例としての蓋体11’の構成例を示す断面図である。
【図29】第4の実施例としての蓋体11”の構成例を示す断面図である。
【図30】(A)及び(B)は、蓋体11”の操作例を示す断面図である。
【図31】内壁リブ21aの構成例を示す断面図である。
【図32】蓋体11”を応用した生ゴミ処理装置1による蓋体11”の検知例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0209】
1・・・生ゴミ処理装置、2・・・シンク、3・・・生ゴミ投入装置、4・・・生ゴミ破砕乾燥装置、5・・・上部ユニット、6・・・下部ユニット、8,25・・・排水口、9・・・投入開口部、10・・・投入筒部、11,11’,11”・・・蓋体、12・・・上蓋ロック機構、18a,18b・・・マグネット、19a・・・上部センサ、19b・・・下部センサ、21・・・下端筒部、22・・・底蓋部、26・・・フィルタ、30・・・シール部材、31・・・シール面、34・・・ロックカム、67,69c,97a・・・モータ、40・・・撹拌翼構造、42・・・処理容器、42a,42b・・・軸受部、44・・・撹拌翼、45・・・軸部、46・・・撹拌翼本体、52・・・PTCヒータ、53・・・排出口、62・・・破砕刃、69・・・送風ファン、70・・・送風ダクト、75・・・フィルタユニット、78・・・フィルタ、80・・・送風ファンユニット、92・・・システムコントローラ(制御部)、92a・・・A/D変換部、92b・・・CPU、92c・・・RAM、92d・・・ROM、94・・・排水路、95・・・目皿、96・・・ブザー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に開口部を有して、シンクの排水開口部に上側の開口部が取り付けられた厨芥投入部と、
前記厨芥投入部の下側の開口部に開閉可能に設けられた底蓋部と、
前記底蓋部を介して前記厨芥投入部の下方に設けられた厨芥物処理部とを備え、
前記底蓋部を前記厨芥物処理部の側に開放して、前記厨芥投入部の厨芥を前記厨芥物処理部に落下させ、落下した厨芥を破砕及び/又は乾燥処理する厨芥物処理装置において、
前記底蓋部は、
少なくとも、当該底蓋部の上面を成す蓋部と、
当該底蓋部の一方の側に設けられたヒンジ部とを有し、
前記蓋部は、
前記ヒンジ部の側の上面に凹状に形成された水溜部を備えることを特徴とする厨芥物処理装置。
【請求項2】
前記厨芥投入部は、
略筒状を成して前記シンクの排水開口部に取り付けられる上部筐体と、
略筒状を成して前記上部筐体と連通するよう前記上部筐体の下部側に連結される下部筐体とを備え、
前記上部筐体及び下部筐体の内部が、
各々、所定の傾斜角度で下側の開口面積が広がる円錐台形状を有し、
前記上部筐体及び下部筐体の前記所定の傾斜角度が、略同一に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の厨芥物処理装置。
【請求項3】
前記底蓋部の外周部には、
下面に環状凹部を有する断面U状の環状弾性部が設けられ、
前記底蓋部が閉塞する場合に、
前記環状弾性部の前記環状凹部の裏側に対応する外周面が、前記厨芥投入部の下側の開口部の端面と摺接することを特徴とする請求項1に記載の厨芥物処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate


【公開番号】特開2009−112882(P2009−112882A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−285161(P2007−285161)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】