双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置とその制御プログラム
【課題】 炊飯釜の搬送効率が良く、設置に大きなスペースを必要としない炊飯装置と、その制御プログラムを提供することを課題とする。
【解決手段】 炊飯機列に沿って走行する炊飯釜の搬送台車を、その走行方向の前後に2つの把持装置を配置したものとし、2つの把持装置のうち、炊飯機列の受入部側に位置する第1の把持装置には、受入部における未炊飯の炊飯釜の把持と、空の炊飯機への炊飯釜のセットを分担させ、炊飯機列の搬出部側に位置する第2の把持装置には、炊飯が終了した炊飯機からの炊飯釜の取り出しと、搬出部への搬送を分担させた、双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置とその制御プログラムを提供することによって解決する。
【解決手段】 炊飯機列に沿って走行する炊飯釜の搬送台車を、その走行方向の前後に2つの把持装置を配置したものとし、2つの把持装置のうち、炊飯機列の受入部側に位置する第1の把持装置には、受入部における未炊飯の炊飯釜の把持と、空の炊飯機への炊飯釜のセットを分担させ、炊飯機列の搬出部側に位置する第2の把持装置には、炊飯が終了した炊飯機からの炊飯釜の取り出しと、搬出部への搬送を分担させた、双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置とその制御プログラムを提供することによって解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置とその制御プログラムに関し、詳細には、炊飯釜を把持、解放自在な把持装置を2つ有する双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置と、その炊飯装置の動作を制御するプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、列状に配置された複数台の炊飯機で、炊飯釜ごとに炊飯を行う炊飯装置は種々提案されている。例えば特許文献1には、誘導加熱式大量炊飯装置として、2列に配置された複数の炊飯機の列の間を内釜搬送装置が移動して、個々の炊飯機への内釜のセットと、炊き上がった炊飯機からの内釜の取り出しを行う炊飯装置が開示されている。また、特許文献2には、炊飯機列を上段に、蒸らし部を下段に配置することにより、設置に大きなスペースを必要としないようにした自動炊飯装置が提案されており、この自動炊飯装置においても、炊飯部の上部の空間を昇降機構を備えた走行機構が走行し、個々の炊飯機への炊飯釜のセットと、炊き上がった炊飯機からの炊飯釜の取り出しが行われている。
【0003】
しかし、これら従来の炊飯装置においては、1つの炊飯機列について、炊飯機への炊飯釜のセットと、炊き上がった炊飯機からの炊飯釜の取り出しは、炊飯機列に沿って走行する、1台の把持装置を備えた搬送装置が行うように為されており、本発明者らが研究したところによれば、搬送装置の走行距離が長く、搬送効率が悪いという欠点がある。
【0004】
また、特許文献3においては、1台の搬送台車に炊飯釜を把持する腕を2つ設け、同時に2個の炊飯釜を搬送できるようにした搬送台車が開示されている。しかし、この特許文献3に開示された搬送台車における搬送効率の向上は、単に、同時に2個の炊飯釜を搬送できるということによってもたらされるものであり、到底満足のできるものではない。すなわち、特許文献3に開示された搬送台車によれば、炊飯機への炊飯釜のセットや、炊飯機からの炊飯釜の取り出しを、炊飯釜2個単位で行うことができるので、例えば、炊飯機列を構成する複数の炊飯機の内、隣接する2台の炊飯機が共に空であるか、共に炊飯が終了した場合には、それなりに搬送効率が高まることが期待できるものの、そうでない場合には、隣接する炊飯機が共に空になるか、共に炊飯が終了するのを待つ必要があり、その搬送効率は、1個単位で炊飯釜を搬送する従来の搬送装置と変わらないか、却って悪くなるという欠点がある。
【0005】
また、特許文献3に開示された搬送台車で同時に2個の炊飯釜を搬送する場合には、未炊飯の炊飯釜の受け入れと、炊き上がった炊飯釜の搬出も、それぞれ、炊飯釜2個単位で行われることになるので、受入部及び搬出部の双方において、2個の炊飯釜を炊飯機列に沿った方向に並べておく場所が必要となり、炊飯装置全体としての設置スペースが大きくなるという不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−57234号公報
【特許文献2】特開2001−128850号公報
【特許文献3】特開2002−104646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような従来の炊飯装置が有する問題点を解決するために為されたもので、炊飯釜の搬送効率が良く、設置に大きなスペースを必要としない炊飯装置と、その制御プログラムを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、鋭意、研究開発を進めた結果、炊飯機列に沿って走行する炊飯釜の搬送台車を、その走行方向の前後に2つの把持装置を配置したものとし、2つの把持装置のうち、炊飯機列の受入部側に位置する第1の把持装置には、受入部における未炊飯の炊飯釜の把持と、空の炊飯機への炊飯釜のセットを分担させ、炊飯機列の搬出部側に位置する第2の把持装置には、炊飯が終了した炊飯機からの炊飯釜の取り出しと、搬出部への搬送を分担させることにより、搬送台車の走行距離を短くし、炊飯釜の搬送効率を高めることができることを見出した。
【0009】
また、本発明者らは、上記のような搬送台車によれば、受入部において搬送台車に把持される炊飯釜は1個であり、また、搬出部において搬送台車から解放される炊飯釜も1個であるので、受入部及び搬出部に確保しておくべき場所は、炊飯釜1個分で良く、搬送台車に2つの把持装置を装備しても、炊飯装置としては余分なスペースを必要としないことを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、複数台の炊飯機を列状に配置してなる炊飯機列;炊飯機列の入口側に位置する炊飯釜受入部;炊飯機列の出口側に位置する炊飯釜搬出部;炊飯機列に沿って走行する搬送台車;炊飯釜の把持、解放が自在な把持装置であって、搬送台車の走行方向に沿って搬送台車の前後に配置され、炊飯釜受入部側に位置する第1の把持装置、及び、炊飯釜搬出部側に位置する第2の把持装置;第1、第2の把持装置のそれぞれを、上方にある搬送位置と、下方にある把持・解放位置との間で搬送台車に対して昇降させる第1、第2の昇降装置;及び制御装置を備え、当該制御装置が、搬送台車、第1、第2の把持装置、及び、第1、第2の昇降装置に、少なくとも下記(1)〜(8)の動作を行わせるようにプログラムされている、双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置、及び、その制御プログラムを提供することによって、上記の課題を解決するものである;
(1)第1の把持装置が炊飯釜受入部に位置する炊飯釜を把持することができる受入位置まで搬送台車を走行させ、その位置で停止させる、
(2)受入位置において、第1の昇降装置及び第1の把持装置を作動させ、第1の把持装置に炊飯釜受入部に位置する炊飯釜を把持させる、
(3)第1の把持装置が炊飯釜を把持した状態にある搬送台車を、第2の把持装置が、炊飯が終了した炊飯機にセットされている炊飯釜を把持して取り出すことができる取出位置まで走行させ、その位置で停止させる、
(4)取出位置において、第2の昇降装置及び第2の把持装置を作動させ、第2の把持装置に炊飯が終了した炊飯機にセットされている炊飯釜を把持し、取り出させる、
(5)第1、第2の把持装置が炊飯釜を把持した状態にある搬送台車を、第1の把持装置が、把持している炊飯釜を、前記(4)の動作で炊飯釜が取り出され空となった炊飯機にセットすることができるセット位置まで走行させ、その位置で停止させる、
(6)セット位置において、第1の昇降装置及び第1の把持装置を作動させ、空の炊飯機に炊飯釜をセットさせる、
(7)第1の把持装置が炊飯釜を把持せず、第2の把持装置が炊飯釜を把持した状態にある搬送台車を、第2の把持装置が、把持している炊飯釜を、炊飯釜搬出部に載置することができる搬出位置まで走行させ、その位置で停止させる、
(8)搬出位置において、第2の昇降装置及び第2の把持装置を作動させ、把持している炊飯釜を炊飯釜搬出部に載置させる。
【0011】
本発明の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置は、その好ましい一態様において、制御装置が、炊飯機列中に炊飯釜がセットされていない空の炊飯機が存在するときには、搬送台車、第1、第2の把持装置、及び、第1、第2の昇降装置に、下記、(1)、(2)、(9)、(6)の動作を行わせるようにプログラムされている;
(1)第1の把持装置が炊飯釜受入部に位置する炊飯釜を把持することができる受入位置まで搬送台車を走行させ、その位置で停止させる、
(2)受入位置において、第1の昇降装置及び第1の把持装置を作動させ、第1の把持装置に炊飯釜受入部に位置する炊飯釜を把持させる、
(9)第1の把持装置が炊飯釜を把持した状態にある搬送台車を、第1の把持装置が、把持している炊飯釜を、空の炊飯機にセットすることができるセット位置まで走行させ、その位置で停止させる、
(6)セット位置において、第1の昇降装置及び第1の把持装置を作動させ、空の炊飯機に炊飯釜をセットさせる。
【0012】
また、本発明の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置は、その好ましい他の一態様において、制御装置が、炊飯釜受入部に炊飯釜が存在せず、炊飯機列中に炊飯が終了した炊飯機が存在するときには、搬送台車、第1、第2の把持装置、及び、第1、第2の昇降装置に、下記(10)、(4)、(7)、(8)の動作を行わせるようにプログラムされている;
(10)搬送台車を、第2の把持装置が、炊飯が終了した炊飯機にセットされている炊飯釜を把持して取り出すことができる取出位置まで走行させ、その位置で停止させる、
(4)取出位置において、第2の昇降装置及び第2の把持装置を作動させ、第2の把持装置に炊飯が終了した炊飯機にセットされている炊飯釜を把持し、取り出させる、
(7)第1の把持装置が炊飯釜を把持せず、第2の把持装置が炊飯釜を把持した状態にある搬送台車を、第2の把持装置が、把持している炊飯釜を、炊飯釜搬出部に載置することができる搬出位置まで走行させ、その位置で停止させる、
(8)搬出位置において、第2の昇降装置及び第2の把持装置を作動させ、炊飯釜を炊飯釜搬出部に載置させる。
【0013】
本発明の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置において、搬送台車は、炊飯機列に沿って走行するものであれば良く、その走行位置は、炊飯機列の上部の空間であっても、側部の空間であっても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置によれば、炊飯釜の搬送効率が高まり、複数台の炊飯機と、複数の炊飯釜を用いて、効率の良い炊飯を行うことができるという利点が得られる。また、本発明の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置は、炊飯釜受入部及び炊飯釜搬出部のいずれにおいても、炊飯釜1個分の場所を確保するたけで良いので、設置に余分なスペースを必要としないという利点を備えている。また、本発明のプログラムによれば、本発明の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置を構成する、搬送台車、第1、第2の把持装置、及び、第1、第2の昇降装置に、所定の動作を行わせ、上記種々の利点を実現することができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置の一例を示す正面図である。
【図2】搬送台車の前半分の拡大図である。
【図3】搬送台車の左側面図である。
【図4】把持装置が把持・解放位置まで下降した状態の搬送台車の側面図である。
【図5】本発明の炊飯装置の動作を説明する図である。
【図6】本発明の炊飯装置の動作を説明する図である。
【図7】本発明の炊飯装置の動作を説明する図である。
【図8】本発明の炊飯装置の動作を説明する図である。
【図9】本発明の炊飯装置の動作を説明する図である。
【図10】本発明の炊飯装置の動作を説明する図である。
【図11】本発明の炊飯装置の動作を説明する図である。
【図12】本発明の炊飯装置の動作を説明する図である。
【図13】本発明の炊飯装置における搬送台車の走行経路と従来の炊飯装置における搬送台車の走行経路とを比較する図である。
【図14】本発明の炊飯装置における搬送台車の走行経路と従来の炊飯装置における搬送台車の走行経路とを比較する図である。
【図15】把持装置の他の例を示す平面図であり、把持爪が解放位置にある状態を表す図である。
【図16】把持装置の他の例を示す平面図であり、把持爪が把持位置にある状態を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明が図示のものに限られないことは勿論である。
【0017】
図1は本発明の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置の一例を示す正面図である。図1において、1は本発明の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置、2は炊飯機列であり、炊飯機列2は、列状に配置された複数の炊飯機21、22、23、24、25から構成されている。炊飯機21〜25は、図中破線で示すように、内部に上部が開口した空間部Vを有しており、この空間部Vに炊飯釜の底部を受け入れ、図示しない加熱手段で加熱して、炊飯を行うものである。なお、図示の例においては、炊飯機21〜25は直線状に配置されているが、曲線状に配置されていても良く、さらには、直線と曲線を組み合わせた線状に配置されていても良い。また、図示の例においては、炊飯機列2は5台の炊飯機21〜25から構成されているが、炊飯機列2を形成する炊飯機の数は5台に限られず、4台以下であっても良いし、6台以上であっても良い。
【0018】
3は搬送台車、4、4、4はその走行車輪、5は、走行車輪4、4、4の走行路である。走行路5は、図に示すとおり、炊飯機列2に沿って、炊飯機列2の上部空間に設置されているので、搬送台車3は、炊飯機列2の上部空間を、炊飯機列2に沿って走行することになる。なお、搬送台車3が、例えば、特許文献1又は特許文献3に開示されている搬送台車のように、搬送台車から側方に伸びる腕に把持装置を備えるものである場合には、把持装置搬送台車3の走行路5を、炊飯機列2の上部空間ではなく、炊飯機列2の側部に炊飯機列2と同じ高さか、それよりも低い位置に設け、搬送台車3が炊飯機列2の側部の空間を炊飯機列2に沿って走行するようにしても良い。ただ、炊飯装置全体の設置スペースを小さくするという観点からは、搬送台車3は、図1に示すように、炊飯機列2の上部空間を走行するのが望ましい。
【0019】
61、62は、それぞれ第1、第2の把持装置であり、搬送台車3の走行方向に沿って、搬送台車3の前後に配置されている。第1の把持装置61は、後述する炊飯釜受入部側(図1において右側)に位置しており、第2の把持装置62は、後述する炊飯釜搬出部側(図1において左側)に位置している。
【0020】
71、72は、それぞれ、第1、第2の把持装置61及62を昇降させる第1、第2の昇降装置、71c、72cは、それぞれ、第1、第2の昇降装置71、72の駆動源であるシリンダである。シリンダ71c、72cとしては、第1、第2の把持装置61及62を昇降させることができる限り、油圧、空気圧、ガス圧、水圧等、いずれの流体圧を利用するシリンダを用いても良いが、取り扱いの簡便さと衛生面からは、空気圧シリンダを用いるのが望ましい。第1、第2の昇降装置71、72には、シリンダ71c、72cに加えて、シリンダ71c、72cへの作動流体の供給を制御する、図示しない電磁弁が設けられており、後述する制御装置が、この電磁弁を介して、シリンダ71c、72cへの流体の供給を制御することによって、シリンダ71c、72cは作動し、第1、第2の把持装置61、62を、上方にある搬送位置と、下方にある把持・解放位置(図1においては、便宜上、第1の把持装置61についてのみ破線で示してある)との間で昇降させる。8は電動機であり、走行車輪4、4、4の少なくとも一つを回転させ、搬送台車3を走行させる駆動源である。
【0021】
Pは炊飯釜であり、炊飯釜Pは上下に二重の鍔部PU、PLを備えている。炊飯機24は、炊飯釜Pが炊飯位置にセットされた状態を示しているが、図に示すとおり、炊飯釜Pは、下部鍔部PLの下面を炊飯機24の側壁上面に当接させることによって、所定の炊飯位置にセットされる。「H」は、基準面(図示の場合には炊飯機列2の床面α)から、炊飯機24にセットされたときの炊飯釜Pの上部鍔部PUの下面までの高さを表している。なお、炊飯機21、22、23、24、25は、いずれも同形、同大であり、炊飯釜Pも一定の大きさのものが使用されるので、上記高さ「H」は、炊飯機21、22、23、24、25のいずれにおいても同じである。
【0022】
9は、未炊飯の米と水を収容した炊飯釜Pを受け入れる炊飯釜受入部であり、炊飯機列2の一方端の延長線上に位置している。炊飯釜受入部9には、炊飯釜Pを搬送する回転ローラ9aが設けられており、図中紙面の手前側から回転ローラ9aによって搬送されてきた未炊飯の米と水を収容した炊飯釜Pは、ストッパと当接し、炊飯釜受入部9上の所定位置で停止、保持される。このとき、基準面となる炊飯機列2の床面αから、炊飯釜受入部9上の炊飯釜Pにおける上部鍔部PUの下面までの高さ「Hin」は、前述した、炊飯機上にセットされた炊飯釜Pにおける、炊飯機列2の床面αから上部鍔部PUの下面までの高さ「H」と同じである。つまり、炊飯釜受入部9における回転ローラ9aの上面が、炊飯機21、22、23、24、25にセットされた炊飯釜Pと同じ高さで、炊飯釜Pの底面を支えるように、回転ローラ9aの径や、その取り付け高さが選択されている。
【0023】
なお、炊飯釜受入部9への炊飯釜Pの搬送方向は図示のものに限られない。図示の例とは反対に、図中紙面の奥側から図中の位置に向かって搬送するようにしても良いし、図中右方向から図示の位置へと搬送するようにしても良い。ただし、図中右方向から図示の位置へと搬送する場合には、回転ローラ9aの方向を水平面上で90度変更しなければならないことは勿論である。
【0024】
10は、炊飯が終了した炊飯釜Pが載置され、外部に搬出される炊飯釜搬出部であり、炊飯機列2の、炊飯釜受入部9とは反対側の延長線上に位置している。炊飯釜搬出部10には、炊飯釜Pを搬送する回転ローラ10aが設けられており、回転ローラ10a上に載置された炊飯済みの炊飯釜Pは、回転ローラ10aによって、図中紙面奥の方向へと搬出され、後続するラインへと搬送される。炊飯釜搬出部10においても、基準面となる炊飯機列2の床面αから、炊飯釜搬出部10上の炊飯釜Pにおける上部鍔部PUの下面までの高さ「Hout」は、前述した、炊飯機上にセットされたときの、炊飯機列2の床面αから炊飯釜Pの上部鍔部PUの下面までの高さ「H」と同じである。つまり、炊飯釜搬出部10における回転ローラ10aの上面が、炊飯機21、22、23、24、25にセットされた炊飯釜Pと同じ高さで、炊飯釜Pの底面を支えるように、回転ローラ10aの径や、その取り付け高さが選択されている。
【0025】
なお、炊飯釜搬出部10からの炊飯釜Pの搬出方向は図示のものに限られない。図示の例とは反対に、図中の位置から紙面の手前側に向かって炊飯釜Pを搬出するようにしても良いし、図示の位置から図中左方向へと搬出するようにしても良い。ただし、図示の位置から図中左方向へと搬出する場合には、回転ローラ10aの方向を水平面上で90度変更しなければならないことは勿論である。
【0026】
以上のとおり、図1に示す炊飯装置1においては、炊飯釜受入部9における炊飯釜Pの高さ「Hin」、炊飯機列2を構成する炊飯機21、22、23、24、25にセットされたときの炊飯釜Pの高さ「H」、及び、炊飯釜搬出部10における炊飯釜Pの高さ「Hout」は、いずれも同じである。このため、搬送台車3に設けられた第1の把持装置61は、炊飯釜受入部9及び炊飯機21、22、23、24、25のいずれの位置においても、また、第2の把持装置62は、炊飯機21、22、23、24、25及び炊飯釜搬出部10のいずれの位置においても、同じ高さまで下降して、炊飯釜Pの把持又は解放を行うことができる。したがって、本例の炊飯装置1においては、第1、第2の昇降装置71、72は、それぞれ、第1、第2の把持装置61、62を、上方にある単一の搬送位置と、下方にある単一の把持・解放位置との2位置間で昇降させれば良い。このため、第1、第2の昇降装置71、72の駆動源であるシリンダ71c、72cとしては、ピストンを突出位置と引き込み位置の2位置間で移動させる流体圧シリンダを用いることができ、第1、第2の昇降装置71、72の構造を簡単にすることができるという利点が得られる。
【0027】
なお、第1、第2の昇降装置71、72の駆動源は、上述した流体圧シリンダに限られない。シリンダ71c、72cとして、例えば電動シリンダを用いる場合には、搬送位置及び/又は把持・解放位置を、電動シリンダの内筒の移動ストロークの任意の位置に設定できるので、炊飯釜受入部9及び炊飯釜搬出部10における炊飯釜Pの高さ「Hin」「Hout」を、炊飯機21〜25における炊飯釜Pの高さ「H」と同じにする必要はない。また、例えば、ラックとピニオンを用いた駆動機構や、リニアモータなどの駆動機構を、第1、第2の昇降装置71、72の駆動源として採用することも可能である。
【0028】
11は制御装置、12は電源、13は流体源であり、14は、これら制御装置11、電源12、流体源13と、搬送台車3とを接続する信号線、電力線、管路などを収容したケーブルベアである。
【0029】
図2は、説明の便宜上、搬送台車3の前半分だけを取り出して示す拡大図である。なお、以下、第2の昇降装置72及び第2の把持装置62の構造についてのみ説明するが、第1の昇降装置71及び第1の把持装置61の構造は、それぞれ、第2の昇降装置72及び第2の把持装置62の構造と同じである。
【0030】
図2において、3aは搬送台車3の枠体、3bは底板である。底板3bは、搬送台車3の底面において枠体3aが存在しない部分をカバーするものであり、この底板3bによって、搬送台車3は有底のものとされている。このように、搬送台車3が底板3bによって有底のものとされているので、搬送台車3に取り付けられている、例えば、シリンダ71c、72cや、電動機8、図示しない電磁弁などの可動部を備えた機械部品から、油やホコリ、ネジなどが落下しても、それらは底板3bによって受け止められ、搬送台車3よりも下方に落下するのが防止される。したがって、図示の搬送台車3によれば、炊飯機列2の上部空間を走行しながらも、極めて安全かつ衛生的に炊飯釜Pを搬送することができるという利点が得られる。
【0031】
8aは電動機8の回転動力を走行車輪4に伝達するタイミングベルト、15はスプロケット、16はスプロケット15の回転が伝達されるロータリエンコーダ、15aはスプロケットの回転をロータリエンコーダ16に伝達するタイミングベルト、17は把持装置61の昇降時のガイドバーである。なお、図示されていない搬送台車3の後半分には、電動機8、タイミングベルト8a、15a、スプロケット15、ロータリエンコーダ16は存在しない。
【0032】
上記のように構成されてなる搬送台車3は、図1に示した制御装置11からの制御信号に基づいて、電動機8が駆動され、走行車輪4が回転することによって、走行路5上を図中左右のいずれの方向にも走行する。スプロケット15の歯は、走行路5と平行に設置されたチェーンと係合しており、搬送台車3が走行路5上を走行すると、それに応じてスプロケット15は回転する。その回転がロータリエンコーダ16に伝達され、ロータリエンコーダ16は、搬送台車3の走行路5上の位置に対応した信号を発信する。この信号は、搬送台車3の走行路5上の位置を表す信号として制御装置11に送信され、制御装置11は、この信号に基づいて、電動機8の動作を制御し、搬送台車3を走行路5上の任意の場所まで走行させ、その位置で停止させることができる。
【0033】
18は第2の把持装置62に取り付けられている把持爪、18aは把持爪18の支持板、18b、18bは、把持爪18と支持板18aとを連結する連結体、19はカバー部材である。図2では把持爪18は手前側のものしか示されていないが、紙面の向こう側にも対となる把持爪18が存在し、把持爪18、18は一対となって炊飯釜を把持する機能を有している。
【0034】
図3は、図2に示した搬送台車3の左側面図であり、図2におけると同じ部材には同じ符号を付してある。また、参考までに第2の把持装置62に把持された状態にある炊飯釜Pを破線で示してある。
【0035】
図3において、15cは、走行路5と平行に設置されたチェーンを示し、スプロケット15の歯は、このチェーン15cと係合している。20は第2の把持装置62の天板であり、天板20にはシリンダ72cのピストンの先端が連結されている。図示の状態は、シリンダ72cのピストンがシリンダ内に最も引き込まれた位置、すなわち、第2の把持装置62が搬送台車3に対して最も上昇した搬送位置にあるときを示しており、図示の状態からシリンダ72cのピストンが下方に突出すると、第2の把持装置62は、2本のガイドバー17、17に案内されながら、把持・解放位置へと下降することになる。
【0036】
62c、62cは、一対の把持爪18、18を、把持位置と解放位置との間で移動させる駆動源としてシリンダであり、そのピストンの先端は、それぞれ、一対の把持爪18、18の支持板18a、18aと連結されている。第2の把持装置62には、シリンダ62c、62cに加えて、シリンダ62c、62cへの作動流体の供給を制御する図示しない電磁弁が設けられており、制御装置11が、この電磁弁を介して、シリンダ62c、62cへの流体の供給を制御することによって、シリンダ62c、62cは作動し、一対の把持爪18、18を、互いに最も接近した把持位置と、互いに最も離れた解放位置との間で移動させる。21、21は、把持爪18、18の移動時にその支持板18a、18aの移動を案内するガイドバーである。なお、図示しない第2の把持装置61には、シリンダ61c、61cが備えられており、第2の把持装置61における一対の把持爪18、18を、互いに最も接近した把持位置と、互いに最も離れた解放位置との間で移動させる機能を有している。
【0037】
図3は、一対のシリンダ62c、62cが、そのピストンを最もシリンダ内に引き込んだ状態にあり、把持爪18、18は、互いに最も接近した把持位置にある状態を示している。図に示す状態で、把持爪18、18の上面は、炊飯釜Pの上部鍔部PUの下面と当接しており、炊飯釜Pは、把持爪18、18によって把持された状態にある。一対のシリンダ62c、62cが、制御装置11からの信号によって、そのピストンをシリンダから最も突出させると、把持爪18、18は互いに最も離れた解放位置へと移動することになる。
【0038】
シリンダ62c、62cとしては、一対の把持爪18、18を把持位置と解放位置との間で移動させることができる限り、油圧、空気圧、ガス圧、水圧等、いずれの流体圧を利用するシリンダを用いても良いが、取り扱いの簡便さと衛生面からは、空気圧シリンダを用いるのが望ましい。また、場合によっては、流体圧シリンダに代えて、例えば、電動シリンダ、ラックとピニオンを用いた駆動機構、リニアモータなどの適宜の駆動機構を採用することも可能である。
【0039】
なお、図に示すとおり、カバー部材19は、第2の把持装置62が把持する炊飯釜Pの上部開口面をすっぽりと覆う大きさ、形状とされており、シリンダ62c、62c、電磁弁などの第2の把持装置62を構成する可動部分を有する機械部品は、カバー部材19よりも上方で、カバー部材19の外周よりも内側に位置している。したがって、仮に、シリンダ62c、62cや電磁弁などの機械部品から、油やホコリ、ネジなどの落下物があった場合でも、それらの落下物が炊飯釜Pの上部開口面上に落下する恐れはない。このため、炊飯釜Pを衛生的に搬送することができるという利点が得られる。
【0040】
図4は、図3に示す状態から、シリンダ72cがそのピストン72pを突出させ、第2の把持装置62が把持・解放位置まで下降して、例えば、炊飯機24の上に炊飯釜Pをセットした状態を示している。図に示すとおり、第2の把持装置62が把持・解放位置まで下降した時点で、炊飯釜Pの下部鍔部PLの下面は既に炊飯機24の側壁の上面と当接しており、把持爪18、18の上面と、炊飯釜Pの上部鍔部PUの下面は既に離れた状態にある。つまり、第2の把持装置62の把持・解放位置とは、炊飯釜Pの下部鍔部PLの下面が炊飯機24の側壁の上面と当接し、炊飯釜Pが下降を停止する位置よりも下方に下がった位置であり、把持爪18、18の上面が炊飯釜Pの上部鍔部PUの下面よりも下方になる位置である。この把持・解放位置における把持爪18、18と炊飯釜Pの上部鍔部PUの位置関係は、第2の把持装置62が他の炊飯機21〜23、25及び炊飯釜搬出部10上で把持・解放位置にあるときにも同様であり、また、第1の把持装置61が炊飯機21〜25及び炊飯釜受入部9上で把持・解放位置にあるときにも同様である。
【0041】
把持・解放位置においては、把持爪18、18の上面と、炊飯釜Pの上部鍔部PUの下面は離れた状態にあるので、第2の把持装置62は、シリンダ62c、62cを作動させて、把持爪18、18を図に示す互いに最も接近した把持位置から、それぞれ外側に移動させ、互いに最も離れた解放位置へと移動させることができる。解放位置において、把持爪18、18は、もはや炊飯釜Pの上部鍔部PUの直下には位置しない。したがって、その状態で第2の把持装置62を上昇させても、把持爪18、18の上面が炊飯釜Pの上部鍔部PUの下面と当接することはなく、第2の把持装置62は炊飯釜Pを把持することなく上昇することになる。
【0042】
以下、図5〜図12を用いて、本発明の炊飯装置1の動作を説明する。
【0043】
図5に示すように、炊飯機列2を構成する炊飯機21〜25のすべてに炊飯釜Pがセットされ、各炊飯機21〜25において炊飯が進行している状態で、未炊飯の米と水を収容した新たな炊飯釜Pが炊飯釜受入部9に搬送されてくると、炊飯釜受入部9は、搬送されてきた炊飯釜Pを炊飯釜受入部9上の所定の位置に停止させるとともに、炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号を制御装置11に送信する。
【0044】
制御装置11は、炊飯釜受入部9から炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号を受信すると、搬送台車3の電動機8を駆動して、第1の把持装置61が炊飯釜受入部9に位置する炊飯釜Pを把持することができる受入位置まで搬送台車3を走行させ、その位置で停止させる。図5は、搬送台車3が、受入位置に停止した状態を示している。
【0045】
制御装置11は、第1の把持装置61が炊飯釜受入部9に位置する炊飯釜Pを把持することができる受入位置を搬送台車3の初期位置として記憶しておくこともできる。制御装置11が受入位置を搬送台車3の初期位置として記憶している場合には、制御装置11は、先行する一連の動作が終了すると、炊飯釜受入部9から炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号を受信するのを待つことなく、搬送台車3を、初期位置である受入位置まで走行させ、その位置に停止させて、新たな炊飯釜Pが炊飯釜受入部9に搬送されてくるのを待つことができる。或いは、制御装置11は、炊飯釜受入部9からの炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号と、炊飯機21〜25のいずれかからの炊飯終了を知らせる信号の双方を受信するのを待って、搬送台車3を、第1の把持装置61が炊飯釜受入部9に位置する炊飯釜Pを把持することができる受入位置まで走行させ、その位置に停止させるようにしても良い。
【0046】
搬送台車3が受入位置に停止すると、制御装置11は、第1の昇降装置71を構成する電磁弁を制御して、シリンダ71cを作動させ、搬送位置にある第1の把持装置61を把持・解放位置まで下降させる。図6は、第1の把持装置61が把持・解放位置まで下降した状態を示している。なお、第1の把持装置61が搬送位置から把持・解放位置まで下降するとき、第1の把持装置61の一対の把持爪18、18が互いに最も離れた解放位置にあることはいうまでもない。
【0047】
第1の把持装置61が把持・解放位置まで下降すると、制御装置11は、第1の把持装置61を構成する電磁弁を制御して、シリンダ61c、61cを作動させ、解放位置にある一対の把持爪18、18を、互いに最も接近した把持位置まで移動させる。一対の把持爪18、18が把持位置まで移動すると、制御装置11は、第1の昇降装置71を構成する電磁弁を制御して、シリンダ71cを作動させ、把持・解放位置にある第1の把持装置61を搬送位置まで上昇させる。把持位置において、把持爪18、18は、炊飯釜Pの上部鍔部PUの直下に位置しているので、第1の把持装置61が搬送位置まで上昇すると、その途中で、把持爪18、18の上面が炊飯釜Pの上部鍔部PUの下面と当接し、炊飯釜Pは、把持爪18、18に把持され、第1の把持装置61とともに上昇することになる。
【0048】
このように、本発明の炊飯装置1においては、搬送台車3に第1、第2の把持装置61、62が設けられているものの、炊飯釜受入部9に位置する炊飯釜Pを把持するのは、炊飯釜受入部9側に位置する第1の把持装置61だけであるので、炊飯釜受入部9に保持される未炊飯の炊飯釜Pは1個だけで良い。このため、炊飯釜受入部9が必要とする搬送台車3の走行方向のスペースは炊飯釜1個分で足り、炊飯装置1をコンパクトで省スペースなものとすることができる。
【0049】
なお、制御装置11が、炊飯釜受入部9から炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号を受信するのを待つことなく、搬送台車3を受入位置まで走行させ、停止させた場合には、制御装置11は、炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号を受信するか、或いは、炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号と、炊飯機21〜25のいずれかからの炊飯終了を知らせる信号の双方を受信するのを待って、第1の昇降装置71及び第1の把持装置61に炊飯釜受入部9上の炊飯釜Pを把持させる上述した動作を行わせるせることになる。
【0050】
第1の把持装置61が、上述のように、炊飯釜受入部9において新たな炊飯釜Pを把持し、搬送位置まで上昇すると、制御装置11は、炊飯機列2を構成する炊飯機21〜25のいずれかから炊飯終了の信号を受信するのを待って、搬送台車3を、第2の把持装置62が、炊飯が終了した炊飯機にセットされている炊飯釜Pを把持して取り出すことができる取出位置まで走行させ、その位置で停止させる。このとき、第1の把持装置61は炊飯釜Pを把持した状態にある。
【0051】
図7は、制御装置11が、例えば炊飯機24から炊飯終了の信号を受信し、搬送台車3を、第2の把持装置62が、炊飯が終了した炊飯機24にセットされている炊飯釜Pを把持して取り出すことができる取出位置まで走行させ、その位置に停止させた状態を示している。
【0052】
なお、制御装置11が、炊飯釜受入部9からの炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号と、炊飯機21〜25のいずれかからの炊飯終了を知らせる信号の双方を受信して、搬送台車3を受入位置まで走行させ、その位置に停止させた場合には、制御装置11は、搬送台車3を取出位置まで走行させるに際し、改めて、炊飯機21〜25のいずれかからの炊飯終了の信号を受信するのを待つ必要はない。また、制御装置11が、炊飯釜受入部9からの炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号と、炊飯機21〜25のいずれかからの炊飯終了を知らせる信号の双方を受信するのを待って、第1の昇降装置71及び第1の把持装置61に炊飯釜受入部9上の炊飯釜Pを把持させる上述した動作を行わせた場合にも、制御装置11は、搬送台車3を取出位置まで走行させるに際し、改めて、炊飯機21〜25のいずれかからの炊飯終了の信号を受信するのを待つ必要はない。
【0053】
また、当然のことながら、炊飯が終了した炊飯機が、炊飯釜受入部9に隣接する炊飯機21であって、受入位置において、既に搬送台車3が、第2の把持装置62が、炊飯機21にセットされている炊飯釜Pを把持して取り出すことができる取出位置にある場合には、搬送台車3を取出位置まで走行させ、その位置に停止させる動作は省略される。
【0054】
搬送台車3が取出位置に停止すると、制御装置11は、第2の昇降装置72を構成する電磁弁を制御して、シリンダ72cを作動させ、搬送位置にある第2の把持装置62を把持・解放位置まで下降させる。図8は、第2の把持装置62が把持・解放位置まで下降した状態を示している。なお、第2の把持装置62が搬送位置から把持・解放位置まで下降するとき、第2の把持装置62の一対の把持爪18、18が互いに最も離れた解放位置にあることはいうまでもない。
【0055】
第2の把持装置62が把持・解放位置まで下降すると、制御装置11は、第2の把持装置62を構成する電磁弁を制御して、シリンダ62c、62cを作動させ、解放位置にある一対の把持爪18、18を、互いに最も接近した把持位置まで移動させる。一対の把持爪18、18が把持位置まで移動すると、制御装置11は、第2の昇降装置72を構成する電磁弁を制御して、シリンダ72cを作動させ、把持・解放位置にある第2の把持装置62を搬送位置まで上昇させる。把持位置において、把持爪18、18は、炊飯機24にセットされている炊飯済みの炊飯釜Pの上部鍔部PUの直下に位置しているので、第2の把持装置62が搬送位置まで上昇すると、その途中で、把持爪18、18の上面が炊飯釜Pの上部鍔部PUの下面と当接し、炊飯済みの炊飯釜Pは、把持爪18、18に把持され、炊飯機24から取り出されて第2の把持装置62とともに上昇することになる。
【0056】
炊飯済みの炊飯釜Pを把持している第2の把持装置62が搬送位置まで上昇すると、制御装置11は、第1、第2の把持装置61、62が共に炊飯釜を把持した状態にある搬送台車3を、第1の把持装置61が、把持している炊飯釜Pを、先の動作で炊飯済みの炊飯釜Pが取り出され空となった炊飯機24にセットすることができるセット位置まで走行させ、その位置に停止させる。図9は、第1、第2の把持装置61、62が共に炊飯釜を把持した状態にある搬送台車3が、セット位置に停止した状態を示している。
【0057】
搬送台車3がセット位置に停止すると、制御装置11は、第1の昇降装置71及び第1の把持装置61を作動させ、空の炊飯機24に、把持している炊飯釜Pをセットさせる。すなわち、制御装置11は、第1の昇降装置71を構成する電磁弁を制御して、シリンダ71cを作動させ、搬送位置にある第1の把持装置61を把持・解放位置まで下降させる。図10は、第1の把持装置61が把持・解放位置まで下降し、把持されていた炊飯釜Pが炊飯機24にセットされた状態を示している。
【0058】
第1の把持装置61が把持・解放位置まで下降し、把持されていた炊飯釜Pが炊飯機24にセットされると、制御装置11は、第1の把持装置61を構成する電磁弁を制御して、シリンダ61c、61cを作動させ、把持位置にある一対の把持爪18、18を、互いに最も離れた解放位置まで移動させる。一対の把持爪18、18が解放位置まで移動すると、制御装置11は、第1の昇降装置71を構成する電磁弁を制御して、シリンダ71cを作動させ、把持・解放位置にある第1の把持装置61を搬送位置まで上昇させる。解放位置において、把持爪18、18は、最早、炊飯釜Pの上部鍔部PUの直下には位置しないので、第1の把持装置61が搬送位置まで上昇しても、その途中で、把持爪18、18の上面が炊飯釜Pの上部鍔部PUの下面と当接することはなく、炊飯釜Pは、把持爪18、18に把持されず、炊飯機24にセットされたまま、その位置にとどまることになる。
【0059】
なお、炊飯釜Pが炊飯機24にセットされると、そのセット信号は、制御装置11に送信され、制御装置11は、炊飯機24の図示しない加熱手段を作動させて炊飯が開始されることになる。
【0060】
第1の把持装置61が搬送位置まで上昇すると、制御装置11は、第1の把持装置61が炊飯釜Pを把持せず、第2の把持装置62が炊飯釜Pを把持した状態にある搬送台車3を、第2の把持装置62が、把持している炊飯釜Pを、炊飯釜搬出部10に載置することができる搬出位置まで走行させ、その位置で停止させる。図11は、搬送台車3が搬出位置に停止した状態を示している。
【0061】
なお、当然のことながら、炊飯が終了した炊飯機が、炊飯釜搬出部10に隣接する炊飯機25であって、セット位置において、既に搬送台車3が、第2の把持装置62が、炊飯釜搬出部10に把持している炊飯釜Pを載置することができる搬出位置にある場合には、搬送台車3を搬出位置まで走行させ、その位置に停止させる動作は省略される。
【0062】
搬送台車3が搬出位置に停止すると、制御装置11は、第2の昇降装置72及び第2の把持装置62を作動させ、把持している炊飯釜Pを炊飯釜搬出部10に載置させる。すなわち、制御装置11は、第2の昇降装置72を構成する電磁弁を制御して、シリンダ72cを作動させ、搬送位置にある第2の把持装置62を把持・解放位置まで下降させる。図12は、第2の把持装置62が把持・解放位置まで下降し、把持されていた炊飯釜Pが炊飯釜搬出部10に載置された状態を示している。
【0063】
第2の把持装置62が把持・解放位置まで下降し、把持されていた炊飯釜Pが炊飯釜搬出部10上に載置されると、制御装置11は、第2の把持装置62を構成する電磁弁を制御して、シリンダ62c、62cを作動させ、把持位置にある一対の把持爪18、18を、互いに最も離れた解放位置まで移動させる。一対の把持爪18、18が解放位置まで移動すると、制御装置11は、第2の昇降装置72を構成する電磁弁を制御して、シリンダ72cを作動させ、把持・解放位置にある第2の把持装置62を搬送位置まで上昇させる。解放位置において、把持爪18、18は、最早、炊飯釜Pの上部鍔部PUの直下には位置しないので、第2の把持装置62が搬送位置まで上昇しても、その途中で、把持爪18、18の上面が炊飯釜Pの上部鍔部PUの下面と当接することはなく、炊飯釜Pは、把持爪18、18に把持されず、炊飯釜搬出部10上に載置されたまま、その位置にとどまることになる。
【0064】
このように、本発明の炊飯装置1においては、搬送台車3に第1、第2の把持装置61、62が設けられているものの、炊飯釜搬出部10に炊飯釜Pを載置するのは、炊飯釜搬出部10側に位置する第2の把持装置62だけであるので、炊飯釜搬出部10が受け取る炊飯済みの炊飯釜Pは1個だけで良い。このため、炊飯釜搬出部10が搬送台車3の走行方向に必要とするスペースは炊飯釜1個分で足り、炊飯装置1をコンパクトで省スペースなものとすることができる。
【0065】
第2の把持装置62が搬送位置まで上昇すると、制御装置11は、その状態で、搬送台車3の動作を停止させ、新たに、炊飯釜受入部9から炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号を受信するか、炊飯機21〜25のいずれかから炊飯終了の信号を受信するか、或いは、その双方の信号を受信するまで待つようにしても良い。又は、制御装置11が、第1の把持装置61が炊飯釜受入部9に位置する炊飯釜Pを把持することができる受入位置を搬送台車3の初期位置として記憶している場合には、炊飯釜受入部9からの炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号、及び、炊飯機21〜25のいずれかからの炊飯終了の信号の受信のいずれをも待つことなく、搬送台車3を、受入位置まで走行させ、その位置に停止させて、初期位置に復帰させるようにしても良い。
【0066】
なお、搬送台車3の初期位置は、上述した受入位置に限られない。第2の把持装置62が、把持している炊飯釜Pを、炊飯釜搬出部10に載置することができる搬出位置を搬送台車3の初期位置としても良いし、他の任意の位置を初期位置としても良い。初期位置が設定されている場合、制御装置11は、一連の動作が終了すると、搬送台車3をその初期位置に復帰させる。
【0067】
図13は、本発明の炊飯装置1における搬送台車3の走行経路と従来の炊飯装置における搬送台車の走行経路とを比較する図である。
【0068】
図13(a)は、本発明の炊飯装置1における双把持装置付き搬送台車3が、第1の把持装置61が炊飯釜受入部9に位置する未炊飯の炊飯釜Pを把持することができる受入位置から、第2の把持装置62が、炊飯が終了した炊飯機24から炊飯釜Pを取り出すことができる取出位置、第1の把持装置61が空になった炊飯機24に把持している炊飯釜Pをセットすることができるセット位置、第2の把持装置62が炊飯釜搬出部10に把持している炊飯済みの炊飯釜Pを載置することができる搬出位置へと順に移動し、最後に、初期位置である受入位置まで復帰するのに要する走行経路を示している。
【0069】
図13(a)に矢印を付した直線で示すとおり、本発明の搬送台車3は、受入位置を搬送台車3の初期位置とする場合、受入位置から搬出位置までの間を一往復するだけで、炊飯済みの炊飯機24からの炊飯釜Pの取り出しと、炊飯釜搬出部10への搬出、及び、未炊飯の炊飯釜Pの炊飯釜受入部9から空の炊飯機24への搬送とセットとを行うことができる。
【0070】
図13(b)は、従来の炊飯装置における把持装置を1つだけ備える搬送台車3’に、上記と同様に、炊飯済みの炊飯機24からの炊飯釜Pの取り出しと、炊飯釜搬出部10への搬出、及び、未炊飯の炊飯釜Pの炊飯釜受入部9から空の炊飯機24への搬送とセットとを行わせた場合の搬送台車3’の走行経路を示している。図13(b)に図中矢印を付した直線で示すとおり、当初受入位置にある搬送台車3’は、一旦、炊飯機24上まで走行し、そこで炊飯が終了した炊飯釜Pを取り出し、炊飯釜搬出部10へと搬送した後、未炊飯の炊飯釜Pが待機している炊飯釜受入部9へと戻り、再度、炊飯機24上まで走行して、空になっている炊飯機24に炊飯釜Pをセットし、さらに、当初の受入位置まで戻る必要がある。
【0071】
図13(a)と図13(b)とを比較すれば明らかなように、同様の動作を行うに際し、従来の炊飯装置における搬送台車3’は、図13(b)に破線で示す距離だけ余分に走行しなければならず、その分、搬送に時間が掛かり、搬送効率が悪い。
【0072】
図14は、炊飯機列2の中央の位置を初期位置とした場合の、本発明の炊飯装置1における搬送台車3の走行経路と従来の炊飯装置における搬送台車の走行経路とを比較する図である。図14(a)に示す本発明の炊飯装置1における双把持装置付き搬送台車3の走行経路と、図14(b)に示す従来の炊飯装置1における搬送台車3’の走行経路を比較すれば明らかなとおり、炊飯機列2の中央の位置を初期位置とした場合であっても、従来の搬送台車3’は、図中破線で示す走行経路の分だけ余分に走行しなければならず、搬送効率が悪い。
【0073】
図13(a)及び図14(a)に示すとおり、本発明の炊飯装置1における双把持装置付き搬送台車3は、初期位置をどこに選んでも、受入位置から搬出位置までの間を一往復するだけで、炊飯済みの炊飯機24からの炊飯釜Pの取り出しと、炊飯釜搬出部10への搬出、及び、未炊飯の炊飯釜Pの炊飯釜受入部9から空の炊飯機24への搬送とセットとを行うことができ、本発明の炊飯装置1は、効率良く炊飯釜Pを搬送することができる。
【0074】
なお、以上の説明では、炊飯機列2を構成する炊飯機21〜25のすべてに炊飯釜Pがセットされている状態からスタートしたが、仮に、炊飯機列2中に炊飯釜Pがセットされていない空の炊飯機が存在するときには、制御装置11は、搬送台車3、第1、第2の把持装置61、62、及び、第1、第2の昇降装置71、72に、以下の動作を行わせるようにプログラムされている。
【0075】
すなわち、炊飯機列2を構成する炊飯機21〜25のいずれか又はすべてに炊飯釜Pがセットされておらず、空の炊飯機が存在している状態で、制御装置11が、炊飯釜受入部9から炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号を受信した場合には、制御装置11は、搬送台車3の電動機8を駆動して、第1の把持装置61が炊飯釜受入部9に位置する炊飯釜Pを把持することができる受入位置まで搬送台車3を走行させ、その位置で停止させる。搬送台車3のこの動作は、先に説明したものと同じである。
【0076】
制御装置11が受入位置を搬送台車3の初期位置として記憶している場合には、制御装置11は、先行する一連の動作が終了すると、炊飯釜受入部9から炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号を受信するのを待つことなく、搬送台車3を、初期位置である受入位置まで走行させ、その位置に停止させて、新たな炊飯釜Pが炊飯釜受入部9に搬送されてくるのを待つことができる。
【0077】
搬送台車3が受入位置に停止すると、制御装置11は、先に説明したと同様に、第1の昇降装置71及び第1の把持装置61を作動させ、第1の把持装置61に炊飯釜受入部9に位置していた炊飯待ちの炊飯釜Pを把持させる。
【0078】
次に、制御装置11は、第1の把持装置61が炊飯釜Pを把持した状態にある搬送台車3を、第1の把持装置61が、把持している炊飯釜Pを、空の炊飯機にセットすることができるセット位置まで走行させ、その位置で停止させる。なお、炊飯機列2を構成する炊飯機21〜25には、それぞれ、炊飯釜Pの有無を検知するセンサが設けられており、制御装置11は、そのセンサからの信号に基づいて、個々の炊飯機について、それが空であるか否かの情報を得ることができる。
【0079】
搬送台車3がセット位置に停止すると、制御装置11は、先に説明した炊飯機24に炊飯釜Pをセットするときと同様に、第1の昇降装置71及び第1の把持装置61を作動させ、空の炊飯機に炊飯釜Pをセットさせ、セットが終了すると、第1の昇降装置71を作動させ、第1の把持装置61を搬送位置まで上昇させる。
【0080】
制御装置11は、この状態で、搬送台車3の動作を停止させ、新たに、炊飯釜受入部9から炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号を受信するか、或いは、炊飯機21〜25のいずれかから炊飯終了の信号を受信するか、或いは、その双方の信号を受信するまで待つようにしても良い。又は、制御装置11が、受入位置を搬送台車3の初期位置として記憶している場合には、炊飯釜受入部9からの炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号、及び、炊飯機21〜25のいずれかからの炊飯終了の信号のいずれをも待つことなく、搬送台車3を、受入位置まで走行させ、その位置に停止させて、初期位置に復帰させるようにしても良い。
【0081】
また、仮に、炊飯釜受入部9に炊飯待ちの炊飯釜Pが存在せず、炊飯機列2中に炊飯が終了した炊飯機が存在するときには、制御装置11は、搬送台車3、第1、第2の把持装置61、62、及び、第1、第2の昇降装置71、72に、以下の動作を行わせるようにプログラムされている。
【0082】
すなわち、制御装置11は、搬送台車3の電動機8を駆動して、第2の把持装置62が炊飯終了の炊飯機、例えば炊飯機24にセットされている炊飯釜Pを把持して、取り出すことができる取出位置まで搬送台車3を走行させ、その位置で停止させる。搬送台車3のこの動作は、先に説明したものと同じである。
【0083】
続いて、制御装置11は、取出位置において、先に説明したのと同様の手順で、第2の昇降装置72及び第2の把持装置62を作動させ、第2の把持装置62に炊飯が終了した炊飯機24にセットされている炊飯釜Pを把持し、取り出させる。
【0084】
続いて、制御装置11は、先に説明したのと同様の手順で、第1の把持装置61が炊飯釜Pを把持せず、第2の把持装置62が炊飯釜Pを把持した状態にある搬送台車3を、第2の把持装置62が、把持している炊飯釜Pを、炊飯釜搬出部10に載置することができる搬出位置まで走行させ、その位置で停止させる。
【0085】
さらに、制御装置11は、搬出位置において、第2の昇降装置72及び第2の把持装置62を作動させ、把持している炊飯釜Pを炊飯釜搬出部10に載置させる。
【0086】
搬送台車3、第1、第2の把持装置61、62、及び、第1、第2の昇降装置71、72に、以上説明した動作を行わせる手順は、すべて制御装置11に備えられているプログラムに記載されており、当該プログラムによって実現される。
【0087】
なお、以上の説明では、第1、第2の把持装置61、62として、一対の把持爪18、18の上面を炊飯釜Pの上部鍔部PUの下面と当接させることによって炊飯釜Pを把持するものを示したが、第1、第2の把持装置61、62における炊飯釜Pの把持機構は上述したものに限られない。炊飯釜Pを把持、解放自在な把持機構であれば、どのような機構のものであっても良く、炊飯釜Pの側部に設けられた凹部に係合させて炊飯釜Pを把持するものであっても良いし、例えば、図15、図16に示すように、一対の把持爪18、18を炊飯釜Pの側部に押圧させて炊飯釜Pを把持する把持機構を備えたものであっても良い。
【0088】
すなわち、図15、図16は、把持爪18、18だけを取り出して、炊飯釜Pとの関係を示す平面図であり、図15は把持爪18、18が解放位置にある状態を、図16は把持爪18、18が把持位置にある状態を示している。図に示されるとおり、把持爪18、18の先端部には、炊飯釜Pの側部の膨らみに対応した凹みが形成されており、このような把持爪18、18を図16に示すように把持位置まで移動させ、炊飯釜Pの側部に押圧させると、炊飯釜Pはその側部の膨らみが把持爪18、18の先端部の凹みにはまり込み、把持されることになる。
【0089】
第1、第2の把持装置61、62における炊飯釜Pの把持機構がこのようなものである場合には、把持される炊飯釜Pの位置が仮に正規の位置からずれていたとしても、把持爪18、18が炊飯釜Pの側部に押圧され、炊飯釜Pの側部の膨らみが把持爪18、18の先端部の凹みにはまり込むので、炊飯釜Pと把持爪18、18との位置関係は一義的に定まり、炊飯釜Pを正規の位置に位置決めすることができるという利点が得られる。
【0090】
なお、本発明の炊飯装置1が対象とする炊飯釜Pは、水平断面が円形であっても、正方形であっても、長方形であっても良い。また、その上部鍔部PUは、少なくとも把持爪18、18と当接するか、係合する部分に存在すれば良く、炊飯釜Pの全周にわたって存在しなくても良い。また、第1、第2の把持装置61、62による把持機構が、把持爪18、18の上面を上部鍔部PUの下面と当接させることによって炊飯釜Pを把持、解放するものでない場合には、上部鍔部PUは存在しなくても良い。
【0091】
本発明の炊飯装置1は、典型的には、一列の炊飯機列2と、その上部又は側部を走行する1台の双把持装置付き搬送台車3とから構成されるが、炊飯機列2を2列若しくはそれ以上並列に配置し、そのそれぞれに、その上部又は側部を走行する1台の双把持装置付き搬送台車3を備えさせても良い。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上説明したように、本発明の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置及びその制御プログラムによれば、炊飯釜の搬送効率が良く、且つ、省スペースな炊飯装置を実現できるという優れた産業上の利用可能性が得られる。
【符号の説明】
【0093】
1 炊飯装置
2 炊飯機列
3 搬送台車
4 走行車輪
5 走行路
61、62 把持装置
71、72 昇降装置
8 電動機
9 炊飯釜受入部
10 炊飯釜搬出部
11 制御装置
12 電源
13 流体源
14 ケーブルベア
15 スプロケット
16 ロータリエンコーダ
17 ガイドバー
18、18 把持爪
P 炊飯釜
【技術分野】
【0001】
本発明は、双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置とその制御プログラムに関し、詳細には、炊飯釜を把持、解放自在な把持装置を2つ有する双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置と、その炊飯装置の動作を制御するプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、列状に配置された複数台の炊飯機で、炊飯釜ごとに炊飯を行う炊飯装置は種々提案されている。例えば特許文献1には、誘導加熱式大量炊飯装置として、2列に配置された複数の炊飯機の列の間を内釜搬送装置が移動して、個々の炊飯機への内釜のセットと、炊き上がった炊飯機からの内釜の取り出しを行う炊飯装置が開示されている。また、特許文献2には、炊飯機列を上段に、蒸らし部を下段に配置することにより、設置に大きなスペースを必要としないようにした自動炊飯装置が提案されており、この自動炊飯装置においても、炊飯部の上部の空間を昇降機構を備えた走行機構が走行し、個々の炊飯機への炊飯釜のセットと、炊き上がった炊飯機からの炊飯釜の取り出しが行われている。
【0003】
しかし、これら従来の炊飯装置においては、1つの炊飯機列について、炊飯機への炊飯釜のセットと、炊き上がった炊飯機からの炊飯釜の取り出しは、炊飯機列に沿って走行する、1台の把持装置を備えた搬送装置が行うように為されており、本発明者らが研究したところによれば、搬送装置の走行距離が長く、搬送効率が悪いという欠点がある。
【0004】
また、特許文献3においては、1台の搬送台車に炊飯釜を把持する腕を2つ設け、同時に2個の炊飯釜を搬送できるようにした搬送台車が開示されている。しかし、この特許文献3に開示された搬送台車における搬送効率の向上は、単に、同時に2個の炊飯釜を搬送できるということによってもたらされるものであり、到底満足のできるものではない。すなわち、特許文献3に開示された搬送台車によれば、炊飯機への炊飯釜のセットや、炊飯機からの炊飯釜の取り出しを、炊飯釜2個単位で行うことができるので、例えば、炊飯機列を構成する複数の炊飯機の内、隣接する2台の炊飯機が共に空であるか、共に炊飯が終了した場合には、それなりに搬送効率が高まることが期待できるものの、そうでない場合には、隣接する炊飯機が共に空になるか、共に炊飯が終了するのを待つ必要があり、その搬送効率は、1個単位で炊飯釜を搬送する従来の搬送装置と変わらないか、却って悪くなるという欠点がある。
【0005】
また、特許文献3に開示された搬送台車で同時に2個の炊飯釜を搬送する場合には、未炊飯の炊飯釜の受け入れと、炊き上がった炊飯釜の搬出も、それぞれ、炊飯釜2個単位で行われることになるので、受入部及び搬出部の双方において、2個の炊飯釜を炊飯機列に沿った方向に並べておく場所が必要となり、炊飯装置全体としての設置スペースが大きくなるという不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−57234号公報
【特許文献2】特開2001−128850号公報
【特許文献3】特開2002−104646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような従来の炊飯装置が有する問題点を解決するために為されたもので、炊飯釜の搬送効率が良く、設置に大きなスペースを必要としない炊飯装置と、その制御プログラムを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、鋭意、研究開発を進めた結果、炊飯機列に沿って走行する炊飯釜の搬送台車を、その走行方向の前後に2つの把持装置を配置したものとし、2つの把持装置のうち、炊飯機列の受入部側に位置する第1の把持装置には、受入部における未炊飯の炊飯釜の把持と、空の炊飯機への炊飯釜のセットを分担させ、炊飯機列の搬出部側に位置する第2の把持装置には、炊飯が終了した炊飯機からの炊飯釜の取り出しと、搬出部への搬送を分担させることにより、搬送台車の走行距離を短くし、炊飯釜の搬送効率を高めることができることを見出した。
【0009】
また、本発明者らは、上記のような搬送台車によれば、受入部において搬送台車に把持される炊飯釜は1個であり、また、搬出部において搬送台車から解放される炊飯釜も1個であるので、受入部及び搬出部に確保しておくべき場所は、炊飯釜1個分で良く、搬送台車に2つの把持装置を装備しても、炊飯装置としては余分なスペースを必要としないことを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、複数台の炊飯機を列状に配置してなる炊飯機列;炊飯機列の入口側に位置する炊飯釜受入部;炊飯機列の出口側に位置する炊飯釜搬出部;炊飯機列に沿って走行する搬送台車;炊飯釜の把持、解放が自在な把持装置であって、搬送台車の走行方向に沿って搬送台車の前後に配置され、炊飯釜受入部側に位置する第1の把持装置、及び、炊飯釜搬出部側に位置する第2の把持装置;第1、第2の把持装置のそれぞれを、上方にある搬送位置と、下方にある把持・解放位置との間で搬送台車に対して昇降させる第1、第2の昇降装置;及び制御装置を備え、当該制御装置が、搬送台車、第1、第2の把持装置、及び、第1、第2の昇降装置に、少なくとも下記(1)〜(8)の動作を行わせるようにプログラムされている、双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置、及び、その制御プログラムを提供することによって、上記の課題を解決するものである;
(1)第1の把持装置が炊飯釜受入部に位置する炊飯釜を把持することができる受入位置まで搬送台車を走行させ、その位置で停止させる、
(2)受入位置において、第1の昇降装置及び第1の把持装置を作動させ、第1の把持装置に炊飯釜受入部に位置する炊飯釜を把持させる、
(3)第1の把持装置が炊飯釜を把持した状態にある搬送台車を、第2の把持装置が、炊飯が終了した炊飯機にセットされている炊飯釜を把持して取り出すことができる取出位置まで走行させ、その位置で停止させる、
(4)取出位置において、第2の昇降装置及び第2の把持装置を作動させ、第2の把持装置に炊飯が終了した炊飯機にセットされている炊飯釜を把持し、取り出させる、
(5)第1、第2の把持装置が炊飯釜を把持した状態にある搬送台車を、第1の把持装置が、把持している炊飯釜を、前記(4)の動作で炊飯釜が取り出され空となった炊飯機にセットすることができるセット位置まで走行させ、その位置で停止させる、
(6)セット位置において、第1の昇降装置及び第1の把持装置を作動させ、空の炊飯機に炊飯釜をセットさせる、
(7)第1の把持装置が炊飯釜を把持せず、第2の把持装置が炊飯釜を把持した状態にある搬送台車を、第2の把持装置が、把持している炊飯釜を、炊飯釜搬出部に載置することができる搬出位置まで走行させ、その位置で停止させる、
(8)搬出位置において、第2の昇降装置及び第2の把持装置を作動させ、把持している炊飯釜を炊飯釜搬出部に載置させる。
【0011】
本発明の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置は、その好ましい一態様において、制御装置が、炊飯機列中に炊飯釜がセットされていない空の炊飯機が存在するときには、搬送台車、第1、第2の把持装置、及び、第1、第2の昇降装置に、下記、(1)、(2)、(9)、(6)の動作を行わせるようにプログラムされている;
(1)第1の把持装置が炊飯釜受入部に位置する炊飯釜を把持することができる受入位置まで搬送台車を走行させ、その位置で停止させる、
(2)受入位置において、第1の昇降装置及び第1の把持装置を作動させ、第1の把持装置に炊飯釜受入部に位置する炊飯釜を把持させる、
(9)第1の把持装置が炊飯釜を把持した状態にある搬送台車を、第1の把持装置が、把持している炊飯釜を、空の炊飯機にセットすることができるセット位置まで走行させ、その位置で停止させる、
(6)セット位置において、第1の昇降装置及び第1の把持装置を作動させ、空の炊飯機に炊飯釜をセットさせる。
【0012】
また、本発明の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置は、その好ましい他の一態様において、制御装置が、炊飯釜受入部に炊飯釜が存在せず、炊飯機列中に炊飯が終了した炊飯機が存在するときには、搬送台車、第1、第2の把持装置、及び、第1、第2の昇降装置に、下記(10)、(4)、(7)、(8)の動作を行わせるようにプログラムされている;
(10)搬送台車を、第2の把持装置が、炊飯が終了した炊飯機にセットされている炊飯釜を把持して取り出すことができる取出位置まで走行させ、その位置で停止させる、
(4)取出位置において、第2の昇降装置及び第2の把持装置を作動させ、第2の把持装置に炊飯が終了した炊飯機にセットされている炊飯釜を把持し、取り出させる、
(7)第1の把持装置が炊飯釜を把持せず、第2の把持装置が炊飯釜を把持した状態にある搬送台車を、第2の把持装置が、把持している炊飯釜を、炊飯釜搬出部に載置することができる搬出位置まで走行させ、その位置で停止させる、
(8)搬出位置において、第2の昇降装置及び第2の把持装置を作動させ、炊飯釜を炊飯釜搬出部に載置させる。
【0013】
本発明の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置において、搬送台車は、炊飯機列に沿って走行するものであれば良く、その走行位置は、炊飯機列の上部の空間であっても、側部の空間であっても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置によれば、炊飯釜の搬送効率が高まり、複数台の炊飯機と、複数の炊飯釜を用いて、効率の良い炊飯を行うことができるという利点が得られる。また、本発明の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置は、炊飯釜受入部及び炊飯釜搬出部のいずれにおいても、炊飯釜1個分の場所を確保するたけで良いので、設置に余分なスペースを必要としないという利点を備えている。また、本発明のプログラムによれば、本発明の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置を構成する、搬送台車、第1、第2の把持装置、及び、第1、第2の昇降装置に、所定の動作を行わせ、上記種々の利点を実現することができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置の一例を示す正面図である。
【図2】搬送台車の前半分の拡大図である。
【図3】搬送台車の左側面図である。
【図4】把持装置が把持・解放位置まで下降した状態の搬送台車の側面図である。
【図5】本発明の炊飯装置の動作を説明する図である。
【図6】本発明の炊飯装置の動作を説明する図である。
【図7】本発明の炊飯装置の動作を説明する図である。
【図8】本発明の炊飯装置の動作を説明する図である。
【図9】本発明の炊飯装置の動作を説明する図である。
【図10】本発明の炊飯装置の動作を説明する図である。
【図11】本発明の炊飯装置の動作を説明する図である。
【図12】本発明の炊飯装置の動作を説明する図である。
【図13】本発明の炊飯装置における搬送台車の走行経路と従来の炊飯装置における搬送台車の走行経路とを比較する図である。
【図14】本発明の炊飯装置における搬送台車の走行経路と従来の炊飯装置における搬送台車の走行経路とを比較する図である。
【図15】把持装置の他の例を示す平面図であり、把持爪が解放位置にある状態を表す図である。
【図16】把持装置の他の例を示す平面図であり、把持爪が把持位置にある状態を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明が図示のものに限られないことは勿論である。
【0017】
図1は本発明の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置の一例を示す正面図である。図1において、1は本発明の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置、2は炊飯機列であり、炊飯機列2は、列状に配置された複数の炊飯機21、22、23、24、25から構成されている。炊飯機21〜25は、図中破線で示すように、内部に上部が開口した空間部Vを有しており、この空間部Vに炊飯釜の底部を受け入れ、図示しない加熱手段で加熱して、炊飯を行うものである。なお、図示の例においては、炊飯機21〜25は直線状に配置されているが、曲線状に配置されていても良く、さらには、直線と曲線を組み合わせた線状に配置されていても良い。また、図示の例においては、炊飯機列2は5台の炊飯機21〜25から構成されているが、炊飯機列2を形成する炊飯機の数は5台に限られず、4台以下であっても良いし、6台以上であっても良い。
【0018】
3は搬送台車、4、4、4はその走行車輪、5は、走行車輪4、4、4の走行路である。走行路5は、図に示すとおり、炊飯機列2に沿って、炊飯機列2の上部空間に設置されているので、搬送台車3は、炊飯機列2の上部空間を、炊飯機列2に沿って走行することになる。なお、搬送台車3が、例えば、特許文献1又は特許文献3に開示されている搬送台車のように、搬送台車から側方に伸びる腕に把持装置を備えるものである場合には、把持装置搬送台車3の走行路5を、炊飯機列2の上部空間ではなく、炊飯機列2の側部に炊飯機列2と同じ高さか、それよりも低い位置に設け、搬送台車3が炊飯機列2の側部の空間を炊飯機列2に沿って走行するようにしても良い。ただ、炊飯装置全体の設置スペースを小さくするという観点からは、搬送台車3は、図1に示すように、炊飯機列2の上部空間を走行するのが望ましい。
【0019】
61、62は、それぞれ第1、第2の把持装置であり、搬送台車3の走行方向に沿って、搬送台車3の前後に配置されている。第1の把持装置61は、後述する炊飯釜受入部側(図1において右側)に位置しており、第2の把持装置62は、後述する炊飯釜搬出部側(図1において左側)に位置している。
【0020】
71、72は、それぞれ、第1、第2の把持装置61及62を昇降させる第1、第2の昇降装置、71c、72cは、それぞれ、第1、第2の昇降装置71、72の駆動源であるシリンダである。シリンダ71c、72cとしては、第1、第2の把持装置61及62を昇降させることができる限り、油圧、空気圧、ガス圧、水圧等、いずれの流体圧を利用するシリンダを用いても良いが、取り扱いの簡便さと衛生面からは、空気圧シリンダを用いるのが望ましい。第1、第2の昇降装置71、72には、シリンダ71c、72cに加えて、シリンダ71c、72cへの作動流体の供給を制御する、図示しない電磁弁が設けられており、後述する制御装置が、この電磁弁を介して、シリンダ71c、72cへの流体の供給を制御することによって、シリンダ71c、72cは作動し、第1、第2の把持装置61、62を、上方にある搬送位置と、下方にある把持・解放位置(図1においては、便宜上、第1の把持装置61についてのみ破線で示してある)との間で昇降させる。8は電動機であり、走行車輪4、4、4の少なくとも一つを回転させ、搬送台車3を走行させる駆動源である。
【0021】
Pは炊飯釜であり、炊飯釜Pは上下に二重の鍔部PU、PLを備えている。炊飯機24は、炊飯釜Pが炊飯位置にセットされた状態を示しているが、図に示すとおり、炊飯釜Pは、下部鍔部PLの下面を炊飯機24の側壁上面に当接させることによって、所定の炊飯位置にセットされる。「H」は、基準面(図示の場合には炊飯機列2の床面α)から、炊飯機24にセットされたときの炊飯釜Pの上部鍔部PUの下面までの高さを表している。なお、炊飯機21、22、23、24、25は、いずれも同形、同大であり、炊飯釜Pも一定の大きさのものが使用されるので、上記高さ「H」は、炊飯機21、22、23、24、25のいずれにおいても同じである。
【0022】
9は、未炊飯の米と水を収容した炊飯釜Pを受け入れる炊飯釜受入部であり、炊飯機列2の一方端の延長線上に位置している。炊飯釜受入部9には、炊飯釜Pを搬送する回転ローラ9aが設けられており、図中紙面の手前側から回転ローラ9aによって搬送されてきた未炊飯の米と水を収容した炊飯釜Pは、ストッパと当接し、炊飯釜受入部9上の所定位置で停止、保持される。このとき、基準面となる炊飯機列2の床面αから、炊飯釜受入部9上の炊飯釜Pにおける上部鍔部PUの下面までの高さ「Hin」は、前述した、炊飯機上にセットされた炊飯釜Pにおける、炊飯機列2の床面αから上部鍔部PUの下面までの高さ「H」と同じである。つまり、炊飯釜受入部9における回転ローラ9aの上面が、炊飯機21、22、23、24、25にセットされた炊飯釜Pと同じ高さで、炊飯釜Pの底面を支えるように、回転ローラ9aの径や、その取り付け高さが選択されている。
【0023】
なお、炊飯釜受入部9への炊飯釜Pの搬送方向は図示のものに限られない。図示の例とは反対に、図中紙面の奥側から図中の位置に向かって搬送するようにしても良いし、図中右方向から図示の位置へと搬送するようにしても良い。ただし、図中右方向から図示の位置へと搬送する場合には、回転ローラ9aの方向を水平面上で90度変更しなければならないことは勿論である。
【0024】
10は、炊飯が終了した炊飯釜Pが載置され、外部に搬出される炊飯釜搬出部であり、炊飯機列2の、炊飯釜受入部9とは反対側の延長線上に位置している。炊飯釜搬出部10には、炊飯釜Pを搬送する回転ローラ10aが設けられており、回転ローラ10a上に載置された炊飯済みの炊飯釜Pは、回転ローラ10aによって、図中紙面奥の方向へと搬出され、後続するラインへと搬送される。炊飯釜搬出部10においても、基準面となる炊飯機列2の床面αから、炊飯釜搬出部10上の炊飯釜Pにおける上部鍔部PUの下面までの高さ「Hout」は、前述した、炊飯機上にセットされたときの、炊飯機列2の床面αから炊飯釜Pの上部鍔部PUの下面までの高さ「H」と同じである。つまり、炊飯釜搬出部10における回転ローラ10aの上面が、炊飯機21、22、23、24、25にセットされた炊飯釜Pと同じ高さで、炊飯釜Pの底面を支えるように、回転ローラ10aの径や、その取り付け高さが選択されている。
【0025】
なお、炊飯釜搬出部10からの炊飯釜Pの搬出方向は図示のものに限られない。図示の例とは反対に、図中の位置から紙面の手前側に向かって炊飯釜Pを搬出するようにしても良いし、図示の位置から図中左方向へと搬出するようにしても良い。ただし、図示の位置から図中左方向へと搬出する場合には、回転ローラ10aの方向を水平面上で90度変更しなければならないことは勿論である。
【0026】
以上のとおり、図1に示す炊飯装置1においては、炊飯釜受入部9における炊飯釜Pの高さ「Hin」、炊飯機列2を構成する炊飯機21、22、23、24、25にセットされたときの炊飯釜Pの高さ「H」、及び、炊飯釜搬出部10における炊飯釜Pの高さ「Hout」は、いずれも同じである。このため、搬送台車3に設けられた第1の把持装置61は、炊飯釜受入部9及び炊飯機21、22、23、24、25のいずれの位置においても、また、第2の把持装置62は、炊飯機21、22、23、24、25及び炊飯釜搬出部10のいずれの位置においても、同じ高さまで下降して、炊飯釜Pの把持又は解放を行うことができる。したがって、本例の炊飯装置1においては、第1、第2の昇降装置71、72は、それぞれ、第1、第2の把持装置61、62を、上方にある単一の搬送位置と、下方にある単一の把持・解放位置との2位置間で昇降させれば良い。このため、第1、第2の昇降装置71、72の駆動源であるシリンダ71c、72cとしては、ピストンを突出位置と引き込み位置の2位置間で移動させる流体圧シリンダを用いることができ、第1、第2の昇降装置71、72の構造を簡単にすることができるという利点が得られる。
【0027】
なお、第1、第2の昇降装置71、72の駆動源は、上述した流体圧シリンダに限られない。シリンダ71c、72cとして、例えば電動シリンダを用いる場合には、搬送位置及び/又は把持・解放位置を、電動シリンダの内筒の移動ストロークの任意の位置に設定できるので、炊飯釜受入部9及び炊飯釜搬出部10における炊飯釜Pの高さ「Hin」「Hout」を、炊飯機21〜25における炊飯釜Pの高さ「H」と同じにする必要はない。また、例えば、ラックとピニオンを用いた駆動機構や、リニアモータなどの駆動機構を、第1、第2の昇降装置71、72の駆動源として採用することも可能である。
【0028】
11は制御装置、12は電源、13は流体源であり、14は、これら制御装置11、電源12、流体源13と、搬送台車3とを接続する信号線、電力線、管路などを収容したケーブルベアである。
【0029】
図2は、説明の便宜上、搬送台車3の前半分だけを取り出して示す拡大図である。なお、以下、第2の昇降装置72及び第2の把持装置62の構造についてのみ説明するが、第1の昇降装置71及び第1の把持装置61の構造は、それぞれ、第2の昇降装置72及び第2の把持装置62の構造と同じである。
【0030】
図2において、3aは搬送台車3の枠体、3bは底板である。底板3bは、搬送台車3の底面において枠体3aが存在しない部分をカバーするものであり、この底板3bによって、搬送台車3は有底のものとされている。このように、搬送台車3が底板3bによって有底のものとされているので、搬送台車3に取り付けられている、例えば、シリンダ71c、72cや、電動機8、図示しない電磁弁などの可動部を備えた機械部品から、油やホコリ、ネジなどが落下しても、それらは底板3bによって受け止められ、搬送台車3よりも下方に落下するのが防止される。したがって、図示の搬送台車3によれば、炊飯機列2の上部空間を走行しながらも、極めて安全かつ衛生的に炊飯釜Pを搬送することができるという利点が得られる。
【0031】
8aは電動機8の回転動力を走行車輪4に伝達するタイミングベルト、15はスプロケット、16はスプロケット15の回転が伝達されるロータリエンコーダ、15aはスプロケットの回転をロータリエンコーダ16に伝達するタイミングベルト、17は把持装置61の昇降時のガイドバーである。なお、図示されていない搬送台車3の後半分には、電動機8、タイミングベルト8a、15a、スプロケット15、ロータリエンコーダ16は存在しない。
【0032】
上記のように構成されてなる搬送台車3は、図1に示した制御装置11からの制御信号に基づいて、電動機8が駆動され、走行車輪4が回転することによって、走行路5上を図中左右のいずれの方向にも走行する。スプロケット15の歯は、走行路5と平行に設置されたチェーンと係合しており、搬送台車3が走行路5上を走行すると、それに応じてスプロケット15は回転する。その回転がロータリエンコーダ16に伝達され、ロータリエンコーダ16は、搬送台車3の走行路5上の位置に対応した信号を発信する。この信号は、搬送台車3の走行路5上の位置を表す信号として制御装置11に送信され、制御装置11は、この信号に基づいて、電動機8の動作を制御し、搬送台車3を走行路5上の任意の場所まで走行させ、その位置で停止させることができる。
【0033】
18は第2の把持装置62に取り付けられている把持爪、18aは把持爪18の支持板、18b、18bは、把持爪18と支持板18aとを連結する連結体、19はカバー部材である。図2では把持爪18は手前側のものしか示されていないが、紙面の向こう側にも対となる把持爪18が存在し、把持爪18、18は一対となって炊飯釜を把持する機能を有している。
【0034】
図3は、図2に示した搬送台車3の左側面図であり、図2におけると同じ部材には同じ符号を付してある。また、参考までに第2の把持装置62に把持された状態にある炊飯釜Pを破線で示してある。
【0035】
図3において、15cは、走行路5と平行に設置されたチェーンを示し、スプロケット15の歯は、このチェーン15cと係合している。20は第2の把持装置62の天板であり、天板20にはシリンダ72cのピストンの先端が連結されている。図示の状態は、シリンダ72cのピストンがシリンダ内に最も引き込まれた位置、すなわち、第2の把持装置62が搬送台車3に対して最も上昇した搬送位置にあるときを示しており、図示の状態からシリンダ72cのピストンが下方に突出すると、第2の把持装置62は、2本のガイドバー17、17に案内されながら、把持・解放位置へと下降することになる。
【0036】
62c、62cは、一対の把持爪18、18を、把持位置と解放位置との間で移動させる駆動源としてシリンダであり、そのピストンの先端は、それぞれ、一対の把持爪18、18の支持板18a、18aと連結されている。第2の把持装置62には、シリンダ62c、62cに加えて、シリンダ62c、62cへの作動流体の供給を制御する図示しない電磁弁が設けられており、制御装置11が、この電磁弁を介して、シリンダ62c、62cへの流体の供給を制御することによって、シリンダ62c、62cは作動し、一対の把持爪18、18を、互いに最も接近した把持位置と、互いに最も離れた解放位置との間で移動させる。21、21は、把持爪18、18の移動時にその支持板18a、18aの移動を案内するガイドバーである。なお、図示しない第2の把持装置61には、シリンダ61c、61cが備えられており、第2の把持装置61における一対の把持爪18、18を、互いに最も接近した把持位置と、互いに最も離れた解放位置との間で移動させる機能を有している。
【0037】
図3は、一対のシリンダ62c、62cが、そのピストンを最もシリンダ内に引き込んだ状態にあり、把持爪18、18は、互いに最も接近した把持位置にある状態を示している。図に示す状態で、把持爪18、18の上面は、炊飯釜Pの上部鍔部PUの下面と当接しており、炊飯釜Pは、把持爪18、18によって把持された状態にある。一対のシリンダ62c、62cが、制御装置11からの信号によって、そのピストンをシリンダから最も突出させると、把持爪18、18は互いに最も離れた解放位置へと移動することになる。
【0038】
シリンダ62c、62cとしては、一対の把持爪18、18を把持位置と解放位置との間で移動させることができる限り、油圧、空気圧、ガス圧、水圧等、いずれの流体圧を利用するシリンダを用いても良いが、取り扱いの簡便さと衛生面からは、空気圧シリンダを用いるのが望ましい。また、場合によっては、流体圧シリンダに代えて、例えば、電動シリンダ、ラックとピニオンを用いた駆動機構、リニアモータなどの適宜の駆動機構を採用することも可能である。
【0039】
なお、図に示すとおり、カバー部材19は、第2の把持装置62が把持する炊飯釜Pの上部開口面をすっぽりと覆う大きさ、形状とされており、シリンダ62c、62c、電磁弁などの第2の把持装置62を構成する可動部分を有する機械部品は、カバー部材19よりも上方で、カバー部材19の外周よりも内側に位置している。したがって、仮に、シリンダ62c、62cや電磁弁などの機械部品から、油やホコリ、ネジなどの落下物があった場合でも、それらの落下物が炊飯釜Pの上部開口面上に落下する恐れはない。このため、炊飯釜Pを衛生的に搬送することができるという利点が得られる。
【0040】
図4は、図3に示す状態から、シリンダ72cがそのピストン72pを突出させ、第2の把持装置62が把持・解放位置まで下降して、例えば、炊飯機24の上に炊飯釜Pをセットした状態を示している。図に示すとおり、第2の把持装置62が把持・解放位置まで下降した時点で、炊飯釜Pの下部鍔部PLの下面は既に炊飯機24の側壁の上面と当接しており、把持爪18、18の上面と、炊飯釜Pの上部鍔部PUの下面は既に離れた状態にある。つまり、第2の把持装置62の把持・解放位置とは、炊飯釜Pの下部鍔部PLの下面が炊飯機24の側壁の上面と当接し、炊飯釜Pが下降を停止する位置よりも下方に下がった位置であり、把持爪18、18の上面が炊飯釜Pの上部鍔部PUの下面よりも下方になる位置である。この把持・解放位置における把持爪18、18と炊飯釜Pの上部鍔部PUの位置関係は、第2の把持装置62が他の炊飯機21〜23、25及び炊飯釜搬出部10上で把持・解放位置にあるときにも同様であり、また、第1の把持装置61が炊飯機21〜25及び炊飯釜受入部9上で把持・解放位置にあるときにも同様である。
【0041】
把持・解放位置においては、把持爪18、18の上面と、炊飯釜Pの上部鍔部PUの下面は離れた状態にあるので、第2の把持装置62は、シリンダ62c、62cを作動させて、把持爪18、18を図に示す互いに最も接近した把持位置から、それぞれ外側に移動させ、互いに最も離れた解放位置へと移動させることができる。解放位置において、把持爪18、18は、もはや炊飯釜Pの上部鍔部PUの直下には位置しない。したがって、その状態で第2の把持装置62を上昇させても、把持爪18、18の上面が炊飯釜Pの上部鍔部PUの下面と当接することはなく、第2の把持装置62は炊飯釜Pを把持することなく上昇することになる。
【0042】
以下、図5〜図12を用いて、本発明の炊飯装置1の動作を説明する。
【0043】
図5に示すように、炊飯機列2を構成する炊飯機21〜25のすべてに炊飯釜Pがセットされ、各炊飯機21〜25において炊飯が進行している状態で、未炊飯の米と水を収容した新たな炊飯釜Pが炊飯釜受入部9に搬送されてくると、炊飯釜受入部9は、搬送されてきた炊飯釜Pを炊飯釜受入部9上の所定の位置に停止させるとともに、炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号を制御装置11に送信する。
【0044】
制御装置11は、炊飯釜受入部9から炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号を受信すると、搬送台車3の電動機8を駆動して、第1の把持装置61が炊飯釜受入部9に位置する炊飯釜Pを把持することができる受入位置まで搬送台車3を走行させ、その位置で停止させる。図5は、搬送台車3が、受入位置に停止した状態を示している。
【0045】
制御装置11は、第1の把持装置61が炊飯釜受入部9に位置する炊飯釜Pを把持することができる受入位置を搬送台車3の初期位置として記憶しておくこともできる。制御装置11が受入位置を搬送台車3の初期位置として記憶している場合には、制御装置11は、先行する一連の動作が終了すると、炊飯釜受入部9から炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号を受信するのを待つことなく、搬送台車3を、初期位置である受入位置まで走行させ、その位置に停止させて、新たな炊飯釜Pが炊飯釜受入部9に搬送されてくるのを待つことができる。或いは、制御装置11は、炊飯釜受入部9からの炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号と、炊飯機21〜25のいずれかからの炊飯終了を知らせる信号の双方を受信するのを待って、搬送台車3を、第1の把持装置61が炊飯釜受入部9に位置する炊飯釜Pを把持することができる受入位置まで走行させ、その位置に停止させるようにしても良い。
【0046】
搬送台車3が受入位置に停止すると、制御装置11は、第1の昇降装置71を構成する電磁弁を制御して、シリンダ71cを作動させ、搬送位置にある第1の把持装置61を把持・解放位置まで下降させる。図6は、第1の把持装置61が把持・解放位置まで下降した状態を示している。なお、第1の把持装置61が搬送位置から把持・解放位置まで下降するとき、第1の把持装置61の一対の把持爪18、18が互いに最も離れた解放位置にあることはいうまでもない。
【0047】
第1の把持装置61が把持・解放位置まで下降すると、制御装置11は、第1の把持装置61を構成する電磁弁を制御して、シリンダ61c、61cを作動させ、解放位置にある一対の把持爪18、18を、互いに最も接近した把持位置まで移動させる。一対の把持爪18、18が把持位置まで移動すると、制御装置11は、第1の昇降装置71を構成する電磁弁を制御して、シリンダ71cを作動させ、把持・解放位置にある第1の把持装置61を搬送位置まで上昇させる。把持位置において、把持爪18、18は、炊飯釜Pの上部鍔部PUの直下に位置しているので、第1の把持装置61が搬送位置まで上昇すると、その途中で、把持爪18、18の上面が炊飯釜Pの上部鍔部PUの下面と当接し、炊飯釜Pは、把持爪18、18に把持され、第1の把持装置61とともに上昇することになる。
【0048】
このように、本発明の炊飯装置1においては、搬送台車3に第1、第2の把持装置61、62が設けられているものの、炊飯釜受入部9に位置する炊飯釜Pを把持するのは、炊飯釜受入部9側に位置する第1の把持装置61だけであるので、炊飯釜受入部9に保持される未炊飯の炊飯釜Pは1個だけで良い。このため、炊飯釜受入部9が必要とする搬送台車3の走行方向のスペースは炊飯釜1個分で足り、炊飯装置1をコンパクトで省スペースなものとすることができる。
【0049】
なお、制御装置11が、炊飯釜受入部9から炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号を受信するのを待つことなく、搬送台車3を受入位置まで走行させ、停止させた場合には、制御装置11は、炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号を受信するか、或いは、炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号と、炊飯機21〜25のいずれかからの炊飯終了を知らせる信号の双方を受信するのを待って、第1の昇降装置71及び第1の把持装置61に炊飯釜受入部9上の炊飯釜Pを把持させる上述した動作を行わせるせることになる。
【0050】
第1の把持装置61が、上述のように、炊飯釜受入部9において新たな炊飯釜Pを把持し、搬送位置まで上昇すると、制御装置11は、炊飯機列2を構成する炊飯機21〜25のいずれかから炊飯終了の信号を受信するのを待って、搬送台車3を、第2の把持装置62が、炊飯が終了した炊飯機にセットされている炊飯釜Pを把持して取り出すことができる取出位置まで走行させ、その位置で停止させる。このとき、第1の把持装置61は炊飯釜Pを把持した状態にある。
【0051】
図7は、制御装置11が、例えば炊飯機24から炊飯終了の信号を受信し、搬送台車3を、第2の把持装置62が、炊飯が終了した炊飯機24にセットされている炊飯釜Pを把持して取り出すことができる取出位置まで走行させ、その位置に停止させた状態を示している。
【0052】
なお、制御装置11が、炊飯釜受入部9からの炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号と、炊飯機21〜25のいずれかからの炊飯終了を知らせる信号の双方を受信して、搬送台車3を受入位置まで走行させ、その位置に停止させた場合には、制御装置11は、搬送台車3を取出位置まで走行させるに際し、改めて、炊飯機21〜25のいずれかからの炊飯終了の信号を受信するのを待つ必要はない。また、制御装置11が、炊飯釜受入部9からの炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号と、炊飯機21〜25のいずれかからの炊飯終了を知らせる信号の双方を受信するのを待って、第1の昇降装置71及び第1の把持装置61に炊飯釜受入部9上の炊飯釜Pを把持させる上述した動作を行わせた場合にも、制御装置11は、搬送台車3を取出位置まで走行させるに際し、改めて、炊飯機21〜25のいずれかからの炊飯終了の信号を受信するのを待つ必要はない。
【0053】
また、当然のことながら、炊飯が終了した炊飯機が、炊飯釜受入部9に隣接する炊飯機21であって、受入位置において、既に搬送台車3が、第2の把持装置62が、炊飯機21にセットされている炊飯釜Pを把持して取り出すことができる取出位置にある場合には、搬送台車3を取出位置まで走行させ、その位置に停止させる動作は省略される。
【0054】
搬送台車3が取出位置に停止すると、制御装置11は、第2の昇降装置72を構成する電磁弁を制御して、シリンダ72cを作動させ、搬送位置にある第2の把持装置62を把持・解放位置まで下降させる。図8は、第2の把持装置62が把持・解放位置まで下降した状態を示している。なお、第2の把持装置62が搬送位置から把持・解放位置まで下降するとき、第2の把持装置62の一対の把持爪18、18が互いに最も離れた解放位置にあることはいうまでもない。
【0055】
第2の把持装置62が把持・解放位置まで下降すると、制御装置11は、第2の把持装置62を構成する電磁弁を制御して、シリンダ62c、62cを作動させ、解放位置にある一対の把持爪18、18を、互いに最も接近した把持位置まで移動させる。一対の把持爪18、18が把持位置まで移動すると、制御装置11は、第2の昇降装置72を構成する電磁弁を制御して、シリンダ72cを作動させ、把持・解放位置にある第2の把持装置62を搬送位置まで上昇させる。把持位置において、把持爪18、18は、炊飯機24にセットされている炊飯済みの炊飯釜Pの上部鍔部PUの直下に位置しているので、第2の把持装置62が搬送位置まで上昇すると、その途中で、把持爪18、18の上面が炊飯釜Pの上部鍔部PUの下面と当接し、炊飯済みの炊飯釜Pは、把持爪18、18に把持され、炊飯機24から取り出されて第2の把持装置62とともに上昇することになる。
【0056】
炊飯済みの炊飯釜Pを把持している第2の把持装置62が搬送位置まで上昇すると、制御装置11は、第1、第2の把持装置61、62が共に炊飯釜を把持した状態にある搬送台車3を、第1の把持装置61が、把持している炊飯釜Pを、先の動作で炊飯済みの炊飯釜Pが取り出され空となった炊飯機24にセットすることができるセット位置まで走行させ、その位置に停止させる。図9は、第1、第2の把持装置61、62が共に炊飯釜を把持した状態にある搬送台車3が、セット位置に停止した状態を示している。
【0057】
搬送台車3がセット位置に停止すると、制御装置11は、第1の昇降装置71及び第1の把持装置61を作動させ、空の炊飯機24に、把持している炊飯釜Pをセットさせる。すなわち、制御装置11は、第1の昇降装置71を構成する電磁弁を制御して、シリンダ71cを作動させ、搬送位置にある第1の把持装置61を把持・解放位置まで下降させる。図10は、第1の把持装置61が把持・解放位置まで下降し、把持されていた炊飯釜Pが炊飯機24にセットされた状態を示している。
【0058】
第1の把持装置61が把持・解放位置まで下降し、把持されていた炊飯釜Pが炊飯機24にセットされると、制御装置11は、第1の把持装置61を構成する電磁弁を制御して、シリンダ61c、61cを作動させ、把持位置にある一対の把持爪18、18を、互いに最も離れた解放位置まで移動させる。一対の把持爪18、18が解放位置まで移動すると、制御装置11は、第1の昇降装置71を構成する電磁弁を制御して、シリンダ71cを作動させ、把持・解放位置にある第1の把持装置61を搬送位置まで上昇させる。解放位置において、把持爪18、18は、最早、炊飯釜Pの上部鍔部PUの直下には位置しないので、第1の把持装置61が搬送位置まで上昇しても、その途中で、把持爪18、18の上面が炊飯釜Pの上部鍔部PUの下面と当接することはなく、炊飯釜Pは、把持爪18、18に把持されず、炊飯機24にセットされたまま、その位置にとどまることになる。
【0059】
なお、炊飯釜Pが炊飯機24にセットされると、そのセット信号は、制御装置11に送信され、制御装置11は、炊飯機24の図示しない加熱手段を作動させて炊飯が開始されることになる。
【0060】
第1の把持装置61が搬送位置まで上昇すると、制御装置11は、第1の把持装置61が炊飯釜Pを把持せず、第2の把持装置62が炊飯釜Pを把持した状態にある搬送台車3を、第2の把持装置62が、把持している炊飯釜Pを、炊飯釜搬出部10に載置することができる搬出位置まで走行させ、その位置で停止させる。図11は、搬送台車3が搬出位置に停止した状態を示している。
【0061】
なお、当然のことながら、炊飯が終了した炊飯機が、炊飯釜搬出部10に隣接する炊飯機25であって、セット位置において、既に搬送台車3が、第2の把持装置62が、炊飯釜搬出部10に把持している炊飯釜Pを載置することができる搬出位置にある場合には、搬送台車3を搬出位置まで走行させ、その位置に停止させる動作は省略される。
【0062】
搬送台車3が搬出位置に停止すると、制御装置11は、第2の昇降装置72及び第2の把持装置62を作動させ、把持している炊飯釜Pを炊飯釜搬出部10に載置させる。すなわち、制御装置11は、第2の昇降装置72を構成する電磁弁を制御して、シリンダ72cを作動させ、搬送位置にある第2の把持装置62を把持・解放位置まで下降させる。図12は、第2の把持装置62が把持・解放位置まで下降し、把持されていた炊飯釜Pが炊飯釜搬出部10に載置された状態を示している。
【0063】
第2の把持装置62が把持・解放位置まで下降し、把持されていた炊飯釜Pが炊飯釜搬出部10上に載置されると、制御装置11は、第2の把持装置62を構成する電磁弁を制御して、シリンダ62c、62cを作動させ、把持位置にある一対の把持爪18、18を、互いに最も離れた解放位置まで移動させる。一対の把持爪18、18が解放位置まで移動すると、制御装置11は、第2の昇降装置72を構成する電磁弁を制御して、シリンダ72cを作動させ、把持・解放位置にある第2の把持装置62を搬送位置まで上昇させる。解放位置において、把持爪18、18は、最早、炊飯釜Pの上部鍔部PUの直下には位置しないので、第2の把持装置62が搬送位置まで上昇しても、その途中で、把持爪18、18の上面が炊飯釜Pの上部鍔部PUの下面と当接することはなく、炊飯釜Pは、把持爪18、18に把持されず、炊飯釜搬出部10上に載置されたまま、その位置にとどまることになる。
【0064】
このように、本発明の炊飯装置1においては、搬送台車3に第1、第2の把持装置61、62が設けられているものの、炊飯釜搬出部10に炊飯釜Pを載置するのは、炊飯釜搬出部10側に位置する第2の把持装置62だけであるので、炊飯釜搬出部10が受け取る炊飯済みの炊飯釜Pは1個だけで良い。このため、炊飯釜搬出部10が搬送台車3の走行方向に必要とするスペースは炊飯釜1個分で足り、炊飯装置1をコンパクトで省スペースなものとすることができる。
【0065】
第2の把持装置62が搬送位置まで上昇すると、制御装置11は、その状態で、搬送台車3の動作を停止させ、新たに、炊飯釜受入部9から炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号を受信するか、炊飯機21〜25のいずれかから炊飯終了の信号を受信するか、或いは、その双方の信号を受信するまで待つようにしても良い。又は、制御装置11が、第1の把持装置61が炊飯釜受入部9に位置する炊飯釜Pを把持することができる受入位置を搬送台車3の初期位置として記憶している場合には、炊飯釜受入部9からの炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号、及び、炊飯機21〜25のいずれかからの炊飯終了の信号の受信のいずれをも待つことなく、搬送台車3を、受入位置まで走行させ、その位置に停止させて、初期位置に復帰させるようにしても良い。
【0066】
なお、搬送台車3の初期位置は、上述した受入位置に限られない。第2の把持装置62が、把持している炊飯釜Pを、炊飯釜搬出部10に載置することができる搬出位置を搬送台車3の初期位置としても良いし、他の任意の位置を初期位置としても良い。初期位置が設定されている場合、制御装置11は、一連の動作が終了すると、搬送台車3をその初期位置に復帰させる。
【0067】
図13は、本発明の炊飯装置1における搬送台車3の走行経路と従来の炊飯装置における搬送台車の走行経路とを比較する図である。
【0068】
図13(a)は、本発明の炊飯装置1における双把持装置付き搬送台車3が、第1の把持装置61が炊飯釜受入部9に位置する未炊飯の炊飯釜Pを把持することができる受入位置から、第2の把持装置62が、炊飯が終了した炊飯機24から炊飯釜Pを取り出すことができる取出位置、第1の把持装置61が空になった炊飯機24に把持している炊飯釜Pをセットすることができるセット位置、第2の把持装置62が炊飯釜搬出部10に把持している炊飯済みの炊飯釜Pを載置することができる搬出位置へと順に移動し、最後に、初期位置である受入位置まで復帰するのに要する走行経路を示している。
【0069】
図13(a)に矢印を付した直線で示すとおり、本発明の搬送台車3は、受入位置を搬送台車3の初期位置とする場合、受入位置から搬出位置までの間を一往復するだけで、炊飯済みの炊飯機24からの炊飯釜Pの取り出しと、炊飯釜搬出部10への搬出、及び、未炊飯の炊飯釜Pの炊飯釜受入部9から空の炊飯機24への搬送とセットとを行うことができる。
【0070】
図13(b)は、従来の炊飯装置における把持装置を1つだけ備える搬送台車3’に、上記と同様に、炊飯済みの炊飯機24からの炊飯釜Pの取り出しと、炊飯釜搬出部10への搬出、及び、未炊飯の炊飯釜Pの炊飯釜受入部9から空の炊飯機24への搬送とセットとを行わせた場合の搬送台車3’の走行経路を示している。図13(b)に図中矢印を付した直線で示すとおり、当初受入位置にある搬送台車3’は、一旦、炊飯機24上まで走行し、そこで炊飯が終了した炊飯釜Pを取り出し、炊飯釜搬出部10へと搬送した後、未炊飯の炊飯釜Pが待機している炊飯釜受入部9へと戻り、再度、炊飯機24上まで走行して、空になっている炊飯機24に炊飯釜Pをセットし、さらに、当初の受入位置まで戻る必要がある。
【0071】
図13(a)と図13(b)とを比較すれば明らかなように、同様の動作を行うに際し、従来の炊飯装置における搬送台車3’は、図13(b)に破線で示す距離だけ余分に走行しなければならず、その分、搬送に時間が掛かり、搬送効率が悪い。
【0072】
図14は、炊飯機列2の中央の位置を初期位置とした場合の、本発明の炊飯装置1における搬送台車3の走行経路と従来の炊飯装置における搬送台車の走行経路とを比較する図である。図14(a)に示す本発明の炊飯装置1における双把持装置付き搬送台車3の走行経路と、図14(b)に示す従来の炊飯装置1における搬送台車3’の走行経路を比較すれば明らかなとおり、炊飯機列2の中央の位置を初期位置とした場合であっても、従来の搬送台車3’は、図中破線で示す走行経路の分だけ余分に走行しなければならず、搬送効率が悪い。
【0073】
図13(a)及び図14(a)に示すとおり、本発明の炊飯装置1における双把持装置付き搬送台車3は、初期位置をどこに選んでも、受入位置から搬出位置までの間を一往復するだけで、炊飯済みの炊飯機24からの炊飯釜Pの取り出しと、炊飯釜搬出部10への搬出、及び、未炊飯の炊飯釜Pの炊飯釜受入部9から空の炊飯機24への搬送とセットとを行うことができ、本発明の炊飯装置1は、効率良く炊飯釜Pを搬送することができる。
【0074】
なお、以上の説明では、炊飯機列2を構成する炊飯機21〜25のすべてに炊飯釜Pがセットされている状態からスタートしたが、仮に、炊飯機列2中に炊飯釜Pがセットされていない空の炊飯機が存在するときには、制御装置11は、搬送台車3、第1、第2の把持装置61、62、及び、第1、第2の昇降装置71、72に、以下の動作を行わせるようにプログラムされている。
【0075】
すなわち、炊飯機列2を構成する炊飯機21〜25のいずれか又はすべてに炊飯釜Pがセットされておらず、空の炊飯機が存在している状態で、制御装置11が、炊飯釜受入部9から炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号を受信した場合には、制御装置11は、搬送台車3の電動機8を駆動して、第1の把持装置61が炊飯釜受入部9に位置する炊飯釜Pを把持することができる受入位置まで搬送台車3を走行させ、その位置で停止させる。搬送台車3のこの動作は、先に説明したものと同じである。
【0076】
制御装置11が受入位置を搬送台車3の初期位置として記憶している場合には、制御装置11は、先行する一連の動作が終了すると、炊飯釜受入部9から炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号を受信するのを待つことなく、搬送台車3を、初期位置である受入位置まで走行させ、その位置に停止させて、新たな炊飯釜Pが炊飯釜受入部9に搬送されてくるのを待つことができる。
【0077】
搬送台車3が受入位置に停止すると、制御装置11は、先に説明したと同様に、第1の昇降装置71及び第1の把持装置61を作動させ、第1の把持装置61に炊飯釜受入部9に位置していた炊飯待ちの炊飯釜Pを把持させる。
【0078】
次に、制御装置11は、第1の把持装置61が炊飯釜Pを把持した状態にある搬送台車3を、第1の把持装置61が、把持している炊飯釜Pを、空の炊飯機にセットすることができるセット位置まで走行させ、その位置で停止させる。なお、炊飯機列2を構成する炊飯機21〜25には、それぞれ、炊飯釜Pの有無を検知するセンサが設けられており、制御装置11は、そのセンサからの信号に基づいて、個々の炊飯機について、それが空であるか否かの情報を得ることができる。
【0079】
搬送台車3がセット位置に停止すると、制御装置11は、先に説明した炊飯機24に炊飯釜Pをセットするときと同様に、第1の昇降装置71及び第1の把持装置61を作動させ、空の炊飯機に炊飯釜Pをセットさせ、セットが終了すると、第1の昇降装置71を作動させ、第1の把持装置61を搬送位置まで上昇させる。
【0080】
制御装置11は、この状態で、搬送台車3の動作を停止させ、新たに、炊飯釜受入部9から炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号を受信するか、或いは、炊飯機21〜25のいずれかから炊飯終了の信号を受信するか、或いは、その双方の信号を受信するまで待つようにしても良い。又は、制御装置11が、受入位置を搬送台車3の初期位置として記憶している場合には、炊飯釜受入部9からの炊飯待ちの炊飯釜Pが存在することを知らせる信号、及び、炊飯機21〜25のいずれかからの炊飯終了の信号のいずれをも待つことなく、搬送台車3を、受入位置まで走行させ、その位置に停止させて、初期位置に復帰させるようにしても良い。
【0081】
また、仮に、炊飯釜受入部9に炊飯待ちの炊飯釜Pが存在せず、炊飯機列2中に炊飯が終了した炊飯機が存在するときには、制御装置11は、搬送台車3、第1、第2の把持装置61、62、及び、第1、第2の昇降装置71、72に、以下の動作を行わせるようにプログラムされている。
【0082】
すなわち、制御装置11は、搬送台車3の電動機8を駆動して、第2の把持装置62が炊飯終了の炊飯機、例えば炊飯機24にセットされている炊飯釜Pを把持して、取り出すことができる取出位置まで搬送台車3を走行させ、その位置で停止させる。搬送台車3のこの動作は、先に説明したものと同じである。
【0083】
続いて、制御装置11は、取出位置において、先に説明したのと同様の手順で、第2の昇降装置72及び第2の把持装置62を作動させ、第2の把持装置62に炊飯が終了した炊飯機24にセットされている炊飯釜Pを把持し、取り出させる。
【0084】
続いて、制御装置11は、先に説明したのと同様の手順で、第1の把持装置61が炊飯釜Pを把持せず、第2の把持装置62が炊飯釜Pを把持した状態にある搬送台車3を、第2の把持装置62が、把持している炊飯釜Pを、炊飯釜搬出部10に載置することができる搬出位置まで走行させ、その位置で停止させる。
【0085】
さらに、制御装置11は、搬出位置において、第2の昇降装置72及び第2の把持装置62を作動させ、把持している炊飯釜Pを炊飯釜搬出部10に載置させる。
【0086】
搬送台車3、第1、第2の把持装置61、62、及び、第1、第2の昇降装置71、72に、以上説明した動作を行わせる手順は、すべて制御装置11に備えられているプログラムに記載されており、当該プログラムによって実現される。
【0087】
なお、以上の説明では、第1、第2の把持装置61、62として、一対の把持爪18、18の上面を炊飯釜Pの上部鍔部PUの下面と当接させることによって炊飯釜Pを把持するものを示したが、第1、第2の把持装置61、62における炊飯釜Pの把持機構は上述したものに限られない。炊飯釜Pを把持、解放自在な把持機構であれば、どのような機構のものであっても良く、炊飯釜Pの側部に設けられた凹部に係合させて炊飯釜Pを把持するものであっても良いし、例えば、図15、図16に示すように、一対の把持爪18、18を炊飯釜Pの側部に押圧させて炊飯釜Pを把持する把持機構を備えたものであっても良い。
【0088】
すなわち、図15、図16は、把持爪18、18だけを取り出して、炊飯釜Pとの関係を示す平面図であり、図15は把持爪18、18が解放位置にある状態を、図16は把持爪18、18が把持位置にある状態を示している。図に示されるとおり、把持爪18、18の先端部には、炊飯釜Pの側部の膨らみに対応した凹みが形成されており、このような把持爪18、18を図16に示すように把持位置まで移動させ、炊飯釜Pの側部に押圧させると、炊飯釜Pはその側部の膨らみが把持爪18、18の先端部の凹みにはまり込み、把持されることになる。
【0089】
第1、第2の把持装置61、62における炊飯釜Pの把持機構がこのようなものである場合には、把持される炊飯釜Pの位置が仮に正規の位置からずれていたとしても、把持爪18、18が炊飯釜Pの側部に押圧され、炊飯釜Pの側部の膨らみが把持爪18、18の先端部の凹みにはまり込むので、炊飯釜Pと把持爪18、18との位置関係は一義的に定まり、炊飯釜Pを正規の位置に位置決めすることができるという利点が得られる。
【0090】
なお、本発明の炊飯装置1が対象とする炊飯釜Pは、水平断面が円形であっても、正方形であっても、長方形であっても良い。また、その上部鍔部PUは、少なくとも把持爪18、18と当接するか、係合する部分に存在すれば良く、炊飯釜Pの全周にわたって存在しなくても良い。また、第1、第2の把持装置61、62による把持機構が、把持爪18、18の上面を上部鍔部PUの下面と当接させることによって炊飯釜Pを把持、解放するものでない場合には、上部鍔部PUは存在しなくても良い。
【0091】
本発明の炊飯装置1は、典型的には、一列の炊飯機列2と、その上部又は側部を走行する1台の双把持装置付き搬送台車3とから構成されるが、炊飯機列2を2列若しくはそれ以上並列に配置し、そのそれぞれに、その上部又は側部を走行する1台の双把持装置付き搬送台車3を備えさせても良い。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上説明したように、本発明の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置及びその制御プログラムによれば、炊飯釜の搬送効率が良く、且つ、省スペースな炊飯装置を実現できるという優れた産業上の利用可能性が得られる。
【符号の説明】
【0093】
1 炊飯装置
2 炊飯機列
3 搬送台車
4 走行車輪
5 走行路
61、62 把持装置
71、72 昇降装置
8 電動機
9 炊飯釜受入部
10 炊飯釜搬出部
11 制御装置
12 電源
13 流体源
14 ケーブルベア
15 スプロケット
16 ロータリエンコーダ
17 ガイドバー
18、18 把持爪
P 炊飯釜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台の炊飯機を列状に配置してなる炊飯機列;炊飯機列の入口側に位置する炊飯釜受入部;炊飯機列の出口側に位置する炊飯釜搬出部;炊飯機列に沿って走行する搬送台車;炊飯釜の把持、解放が自在な把持装置であって、搬送台車の走行方向に沿って搬送台車の前後に配置され、炊飯釜受入部側に位置する第1の把持装置、及び、炊飯釜搬出部側に位置する第2の把持装置;第1、第2の把持装置のそれぞれを、上方にある搬送位置と、下方にある把持・解放位置との間で搬送台車に対して昇降させる第1、第2の昇降装置;及び制御装置を備え、当該制御装置が、搬送台車、第1、第2の把持装置、及び、第1、第2の昇降装置に、少なくとも下記(1)〜(8)の動作を行わせるようにプログラムされている、双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置;
(1)第1の把持装置が炊飯釜受入部に位置する炊飯釜を把持することができる受入位置まで搬送台車を走行させ、その位置で停止させる、
(2)受入位置において、第1の昇降装置及び第1の把持装置を作動させ、第1の把持装置に炊飯釜受入部に位置する炊飯釜を把持させる、
(3)第1の把持装置が炊飯釜を把持した状態にある搬送台車を、第2の把持装置が、炊飯が終了した炊飯機にセットされている炊飯釜を把持して取り出すことができる取出位置まで走行させ、その位置で停止させる、
(4)取出位置において、第2の昇降装置及び第2の把持装置を作動させ、第2の把持装置に炊飯が終了した炊飯機にセットされている炊飯釜を把持し、取り出させる、
(5)第1、第2の把持装置が炊飯釜を把持した状態にある搬送台車を、第1の把持装置が、把持している炊飯釜を、前記(4)の動作で炊飯釜が取り出され空となった炊飯機にセットすることができるセット位置まで走行させ、その位置で停止させる、
(6)セット位置において、第1の昇降装置及び第1の把持装置を作動させ、空の炊飯機に炊飯釜をセットさせる、
(7)第1の把持装置が炊飯釜を把持せず、第2の把持装置が炊飯釜を把持した状態にある搬送台車を、第2の把持装置が、把持している炊飯釜を、炊飯釜搬出部に載置することができる搬出位置まで走行させ、その位置で停止させる、
(8)搬出位置において、第2の昇降装置及び第2の把持装置を作動させ、把持している炊飯釜を炊飯釜搬出部に載置させる。
【請求項2】
制御装置が、さらに、炊飯機列中に炊飯釜がセットされていない空の炊飯機が存在するときには、搬送台車、第1、第2の把持装置、及び、第1、第2の昇降装置に、下記、(1)、(2)、(9)、(6)の動作を行わせるようにプログラムされている、請求項1記載の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置;
(1)第1の把持装置が炊飯釜受入部に位置する炊飯釜を把持することができる受入位置まで搬送台車を走行させ、その位置で停止させる、
(2)受入位置において、第1の昇降装置及び第1の把持装置を作動させ、第1の把持装置に炊飯釜受入部に位置する炊飯釜を把持させる、
(9)第1の把持装置が炊飯釜を把持した状態にある搬送台車を、第1の把持装置が、把持している炊飯釜を、空の炊飯機にセットすることができるセット位置まで走行させ、その位置で停止させる、
(6)セット位置において、第1の昇降装置及び第1の把持装置を作動させ、空の炊飯機に炊飯釜をセットさせる。
【請求項3】
制御装置が、さらに、炊飯釜受入部に炊飯釜が存在せず、炊飯機列中に炊飯が終了した炊飯機が存在するときには、搬送台車、第1、第2の把持装置、及び、第1、第2の昇降装置に、下記(10)、(4)、(7)、(8)の動作を行わせるようにプログラムされている、請求項1又は2記載の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置;
(10)搬送台車を、第2の把持装置が、炊飯が終了した炊飯機にセットされている炊飯釜を把持して取り出すことができる取出位置まで走行させ、その位置で停止させる、
(4)取出位置において、第2の昇降装置及び第2の把持装置を作動させ、第2の把持装置に炊飯が終了した炊飯機にセットされている炊飯釜を把持し、取り出させる、
(7)第1の把持装置が炊飯釜を把持せず、第2の把持装置が炊飯釜を把持した状態にある搬送台車を、第2の把持装置が、把持している炊飯釜を、炊飯釜搬出部に載置することができる搬出位置まで走行させ、その位置で停止させる、
(8)搬出位置において、第2の昇降装置及び第2の把持装置を作動させ、把持している炊飯釜を炊飯釜搬出部に載置させる。
【請求項4】
搬送台車が炊飯機列の上部の空間を走行する請求項1〜3のいずれかに記載の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置。
【請求項5】
搬送台車が炊飯機列の側部の空間を走行する請求項1〜3のいずれかに記載の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置。
【請求項6】
請求項1記載の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置における搬送台車、第1、第2の把持装置、及び、第1、第2の昇降装置に、請求項1記載の(1)〜(8)の動作を行わせる命令を定めたプログラム。
【請求項7】
請求項2記載の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置における搬送台車、第1、第2の把持装置、及び、第1、第2の昇降装置に、請求項2記載の(1)、(2)、(9)、(6)の動作を行わせる命令を定めたプログラム。
【請求項8】
請求項3記載の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置における搬送台車、第1、第2の把持装置、及び、第1、第2の昇降装置に、請求項3記載の(10)、(4)、(7)、(8)の動作を行わせる命令を定めたプログラム。
【請求項1】
複数台の炊飯機を列状に配置してなる炊飯機列;炊飯機列の入口側に位置する炊飯釜受入部;炊飯機列の出口側に位置する炊飯釜搬出部;炊飯機列に沿って走行する搬送台車;炊飯釜の把持、解放が自在な把持装置であって、搬送台車の走行方向に沿って搬送台車の前後に配置され、炊飯釜受入部側に位置する第1の把持装置、及び、炊飯釜搬出部側に位置する第2の把持装置;第1、第2の把持装置のそれぞれを、上方にある搬送位置と、下方にある把持・解放位置との間で搬送台車に対して昇降させる第1、第2の昇降装置;及び制御装置を備え、当該制御装置が、搬送台車、第1、第2の把持装置、及び、第1、第2の昇降装置に、少なくとも下記(1)〜(8)の動作を行わせるようにプログラムされている、双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置;
(1)第1の把持装置が炊飯釜受入部に位置する炊飯釜を把持することができる受入位置まで搬送台車を走行させ、その位置で停止させる、
(2)受入位置において、第1の昇降装置及び第1の把持装置を作動させ、第1の把持装置に炊飯釜受入部に位置する炊飯釜を把持させる、
(3)第1の把持装置が炊飯釜を把持した状態にある搬送台車を、第2の把持装置が、炊飯が終了した炊飯機にセットされている炊飯釜を把持して取り出すことができる取出位置まで走行させ、その位置で停止させる、
(4)取出位置において、第2の昇降装置及び第2の把持装置を作動させ、第2の把持装置に炊飯が終了した炊飯機にセットされている炊飯釜を把持し、取り出させる、
(5)第1、第2の把持装置が炊飯釜を把持した状態にある搬送台車を、第1の把持装置が、把持している炊飯釜を、前記(4)の動作で炊飯釜が取り出され空となった炊飯機にセットすることができるセット位置まで走行させ、その位置で停止させる、
(6)セット位置において、第1の昇降装置及び第1の把持装置を作動させ、空の炊飯機に炊飯釜をセットさせる、
(7)第1の把持装置が炊飯釜を把持せず、第2の把持装置が炊飯釜を把持した状態にある搬送台車を、第2の把持装置が、把持している炊飯釜を、炊飯釜搬出部に載置することができる搬出位置まで走行させ、その位置で停止させる、
(8)搬出位置において、第2の昇降装置及び第2の把持装置を作動させ、把持している炊飯釜を炊飯釜搬出部に載置させる。
【請求項2】
制御装置が、さらに、炊飯機列中に炊飯釜がセットされていない空の炊飯機が存在するときには、搬送台車、第1、第2の把持装置、及び、第1、第2の昇降装置に、下記、(1)、(2)、(9)、(6)の動作を行わせるようにプログラムされている、請求項1記載の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置;
(1)第1の把持装置が炊飯釜受入部に位置する炊飯釜を把持することができる受入位置まで搬送台車を走行させ、その位置で停止させる、
(2)受入位置において、第1の昇降装置及び第1の把持装置を作動させ、第1の把持装置に炊飯釜受入部に位置する炊飯釜を把持させる、
(9)第1の把持装置が炊飯釜を把持した状態にある搬送台車を、第1の把持装置が、把持している炊飯釜を、空の炊飯機にセットすることができるセット位置まで走行させ、その位置で停止させる、
(6)セット位置において、第1の昇降装置及び第1の把持装置を作動させ、空の炊飯機に炊飯釜をセットさせる。
【請求項3】
制御装置が、さらに、炊飯釜受入部に炊飯釜が存在せず、炊飯機列中に炊飯が終了した炊飯機が存在するときには、搬送台車、第1、第2の把持装置、及び、第1、第2の昇降装置に、下記(10)、(4)、(7)、(8)の動作を行わせるようにプログラムされている、請求項1又は2記載の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置;
(10)搬送台車を、第2の把持装置が、炊飯が終了した炊飯機にセットされている炊飯釜を把持して取り出すことができる取出位置まで走行させ、その位置で停止させる、
(4)取出位置において、第2の昇降装置及び第2の把持装置を作動させ、第2の把持装置に炊飯が終了した炊飯機にセットされている炊飯釜を把持し、取り出させる、
(7)第1の把持装置が炊飯釜を把持せず、第2の把持装置が炊飯釜を把持した状態にある搬送台車を、第2の把持装置が、把持している炊飯釜を、炊飯釜搬出部に載置することができる搬出位置まで走行させ、その位置で停止させる、
(8)搬出位置において、第2の昇降装置及び第2の把持装置を作動させ、把持している炊飯釜を炊飯釜搬出部に載置させる。
【請求項4】
搬送台車が炊飯機列の上部の空間を走行する請求項1〜3のいずれかに記載の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置。
【請求項5】
搬送台車が炊飯機列の側部の空間を走行する請求項1〜3のいずれかに記載の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置。
【請求項6】
請求項1記載の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置における搬送台車、第1、第2の把持装置、及び、第1、第2の昇降装置に、請求項1記載の(1)〜(8)の動作を行わせる命令を定めたプログラム。
【請求項7】
請求項2記載の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置における搬送台車、第1、第2の把持装置、及び、第1、第2の昇降装置に、請求項2記載の(1)、(2)、(9)、(6)の動作を行わせる命令を定めたプログラム。
【請求項8】
請求項3記載の双把持装置付き搬送台車を備えた炊飯装置における搬送台車、第1、第2の把持装置、及び、第1、第2の昇降装置に、請求項3記載の(10)、(4)、(7)、(8)の動作を行わせる命令を定めたプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−269033(P2010−269033A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124622(P2009−124622)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケーブルベア
【出願人】(599103122)精宏機械株式会社 (26)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケーブルベア
【出願人】(599103122)精宏機械株式会社 (26)
【Fターム(参考)】
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