説明

双方向コンバータ及び双方向コンバータの制御方法

【課題】安価に構成でき、且つ、電流の逆流を防止できる双方向コンバータを提供する。
【解決手段】双方向コンバータは、磁性部品Mと、第1の入出力端子T1と磁性部品の一端の間に接続された第1のスイッチ素子S1と、磁性部品の一端と基準電位の間に接続された第2のスイッチ素子S2と、磁性部品の他端と基準電位の間に接続された第3のスイッチ素子S3と、磁性部品の他端と第2の入出力端子T2の間に接続された第4のスイッチ素子S4と、スイッチング制御部20とを備える。第1から第4のスイッチ素子はオフ時に一方向のみに電流を流す。スイッチング制御部は、第2の入出力端子から出力電圧を出力する場合、第2および第4のスイッチ素子をオフして、降圧動作時に第1のスイッチ素子のスイッチングを制御すると共に第3のスイッチ素子をオフして、昇圧動作時に第1のスイッチ素子をオンすると共に第3のスイッチ素子のスイッチングを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双方向コンバータ及び双方向コンバータの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図7に示す双方向コンバータが知られている。双方向コンバータは、昇降圧部10とマイコン(スイッチング制御部)200とを備える。昇降圧部10は、電圧源A、Bが接続されており、マイコン200の制御に基づいて、電流の向き1または電流の向き2のそれぞれで、降圧動作または昇圧動作を行う。即ち、この双方向コンバータは、4つの動作モード(I:電流の向き1で降圧動作、II:電流の向き1で昇圧動作、III:電流の向き2で降圧動作、IV:電流の向き2で昇圧動作)で動作できる。図示したマイコン200の各ブロックの接続は、電流の向き1で定電圧制御を行う場合におけるものである。電圧源Aと電圧源Bの少なくとも負荷側のものとして、蓄電池が用いられる。
【0003】
マイコン200は、電流の向き1であって、設定された目標電圧が電圧源Aの電圧A(入力電圧)より低い時(動作モードI)、降圧動作を行うために第1および第2のスイッチ素子S1,S2を排他的にPWM制御する。つまり、マイコン200において、比較部201は、目標電圧と電圧Aを比較する。比較部201は、目標電圧が電圧Aより低いため、降圧制御部202を動作させる。降圧制御部202は、電圧源Bの電圧B(出力電圧)が目標電圧より高いか低いかに応じた降圧用制御信号を生成する。排他制御部204は、降圧用制御信号に基づいて、降圧用PWM信号PWM1と、降圧用PWM信号PWM1とは排他的な降圧用PWM信号PWM2とを生成する。第1のスイッチ素子S1は、降圧用PWM信号PWM1が供給されてスイッチング動作する。第2のスイッチ素子S2は、降圧用PWM信号PWM2が供給されて、第1のスイッチ素子S1とは排他的にスイッチング動作する。第3のスイッチ素子S3は、排他制御部204からローレベルの昇圧用PWM信号PWM3が供給されてオフ状態となり、ダイオードとして機能する。第4のスイッチ素子S4は、排他制御部204からハイレベルの昇圧用PWM信号PWM4が供給されてオン状態となる。これにより、第1のスイッチ素子S1、第2のスイッチ素子S2、インダクタ(磁性部品)Mおよび第2の容量C2は、同期整流方式の降圧コンバータとして機能する。
【0004】
また、マイコン200は、電流の向き1であって、設定された目標電圧が電圧源Aの電圧A(入力電圧)より高い時(動作モードII)、昇圧動作を行うために第3および第4のスイッチ素子S3,S4を排他的にPWM制御する。つまり、マイコン200において、比較部201は、目標電圧が電圧Aより高いため、昇圧制御部203を動作させる。昇圧制御部203は、電圧源Bの電圧B(出力電圧)が目標電圧より高いか低いかに応じた昇圧用制御信号を生成する。排他制御部204は、昇圧用制御信号に基づいて、昇圧用PWM信号PWM3と、昇圧用PWM信号PWM3とは排他的な昇圧用PWM信号PWM4とを生成する。第3のスイッチ素子S3は、昇圧用PWM信号PWM3が供給されてスイッチング動作する。第4のスイッチ素子S4は、昇圧用PWM信号PWM4が供給されて、第3のスイッチ素子S3とは排他的にスイッチング動作する。第1のスイッチ素子S1は、排他制御部204からハイレベルの降圧用PWM信号PWM1が供給されてオン状態となる。第2のスイッチ素子S2は、排他制御部204からローレベルの降圧用PWM信号PWM4が供給されてオフ状態となる。これにより、第3のスイッチ素子S3、第4のスイッチ素子S4、インダクタMおよび第2の容量C2は、同期整流方式の昇圧コンバータとして機能する。他の動作モードに関しても同様に動作する。
【0005】
なお、上記双方向コンバータに関連して、例えば、特許文献1に記載されている双方向コンバータも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−88247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記双方向コンバータの第1から第4のスイッチ素子S1〜S4を駆動するために、4種類のPWM信号(PWM1〜PWM4)が必要である。そのため、マイコン200には、それらの信号を出力する4つのPWM出力端子が必要である。また、4種類のPWM信号は同期している必要があると共に、それらのPWM信号を排他制御する必要もある。よって、制御が複雑になるため、高機能で、大型且つ高価なマイコン200が必要になるという問題がある。
【0008】
さらに、例えば、電流の向き1で降圧動作時に、電圧源Bの電圧Bが上昇して「電圧源Aの電圧A<電圧源Bの電圧B」になった場合、第4のスイッチ素子S4とインダクタMと第1のスイッチ素子S1とを介して電流が逆流する。このような電圧条件は、例えば、電圧源Bとして蓄電池と太陽電池が並列接続されていて、太陽電池の出力電圧が上昇した場合に起こり得る。同様に、他の動作モードにおいても、電圧源A,Bの電圧が変動すると電流が逆流する場合がある。これにより、電圧源A,B又は双方向コンバータを破壊する恐れがある。
【0009】
そこで、本発明に係る実施例では、安価に構成でき、且つ、電流の逆流を防止できる双方向コンバータ及び双方向コンバータの制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る実施例に従った双方向コンバータは、
第1の入出力端子および第2の入出力端子のうちの一方の入出力端子から入力される入力電圧に基づいて、他方の入出力端子から出力電圧を出力する双方向コンバータであって、
磁性部品と、前記第1の入出力端子と前記磁性部品の一端との間に接続された第1のスイッチ素子と、前記磁性部品の前記一端と基準電位との間に接続された第2のスイッチ素子と、前記磁性部品の他端と前記基準電位との間に接続された第3のスイッチ素子と、前記磁性部品の前記他端と前記第2の入出力端子との間に接続された第4のスイッチ素子と、を有し、前記第1から第4のスイッチ素子はオフ時に一方向のみに電流を流す、昇降圧部と、
前記第2の入出力端子から前記出力電圧を出力する場合、前記第2のスイッチ素子および前記第4のスイッチ素子をオフして、降圧動作時に前記第1のスイッチ素子のスイッチングを制御すると共に前記第3のスイッチ素子をオフして、昇圧動作時に前記第1のスイッチ素子をオンすると共に前記第3のスイッチ素子のスイッチングを制御して、前記第1の入出力端子から前記出力電圧を出力する場合、前記第1のスイッチ素子及び前記第3のスイッチ素子をオフして、前記降圧動作時に前記第4のスイッチ素子のスイッチングを制御すると共に前記第2のスイッチ素子をオフして、前記昇圧動作時に前記第4のスイッチ素子をオンすると共に前記第2のスイッチ素子のスイッチングを制御するスイッチング制御部と、を備える
ことを特徴とする。
【0011】
また、前記スイッチング制御部は、
前記出力電圧が目標電圧より低い場合に制御信号を増加させて、前記出力電圧が前記目標電圧より高い場合に前記制御信号を減少させる制御部と、
前記制御信号が昇圧基準値より小さい場合、前記制御信号の値に応じた降圧PWM信号と、第1の値の昇圧PWM信号とを出力し、前記制御信号が前記昇圧基準値以上の場合、第2の値の前記降圧PWM信号と、前記制御信号の値に応じた前記昇圧PWM信号とを出力するPWM信号分配部と、
前記第2の入出力端子から前記出力電圧を出力する場合、前記降圧PWM信号を前記第1のスイッチ素子に供給すると共に前記昇圧PWM信号を前記第3のスイッチ素子に供給し、前記第1の入出力端子から前記出力電圧を出力する場合、前記降圧PWM信号を前記第4のスイッチ素子に供給すると共に前記昇圧PWM信号を前記第2のスイッチ素子に供給する信号切り替え部と、を有してもよい。
【0012】
また、前記PWM信号分配部は、前記制御信号の値に応じたデューティ比の前記降圧PWM信号または前記昇圧PWM信号を出力してもよい。
【0013】
さらに、前記PWM信号分配部は、前記制御信号が前記昇圧基準値以上の場合、前記制御信号から前記昇圧基準値を減算した値に応じたデューティ比の前記昇圧PWM信号を出力してもよい。
【0014】
また、前記第1のスイッチ素子は、並列接続された第1のトランジスタと第1のダイオードとを含み、
前記第2のスイッチ素子は、並列接続された第2のトランジスタと第2のダイオードとを含み、
前記第3のスイッチ素子は、並列接続された第3のトランジスタと第3のダイオードとを含み、
前記第4のスイッチ素子は、並列接続された第4のトランジスタと第4のダイオードとを含み、
前記第1のダイオードは、カソードが前記第1の入出力端子に接続され、アノードが前記磁性部品の前記一端に接続され、
前記第2のダイオードは、カソードが前記磁性部品の前記一端に接続され、アノードが前記基準電位に接続され、
前記第3のダイオードは、カソードが前記磁性部品の前記他端に接続され、アノードが前記基準電位に接続され、
前記第4のダイオードは、カソードが前記第2の入出力端子に接続され、アノードが前記磁性部品の前記他端に接続されていてもよい。
【0015】
また、前記第1から第4のトランジスタは、N型MOSトランジスタであり、
前記第1から第4のダイオードは、前記N型MOSトランジスタのソースとドレインとの間に接続された寄生ダイオードであってもよい。
【0016】
さらに、前記昇降圧部は、
前記第1の入出力端子と前記基準電位との間に接続された第1の容量と、
前記第2の入出力端子と前記基準電位との間に接続された第2の容量と、をさらに有してもよい。
【0017】
また、前記第1の値はローレベルであり、前記第2の値はハイレベルであってもよい。
【0018】
また、前記磁性部品はインダクタであってもよい。
【0019】
本発明の一態様に係る実施例に従った双方向コンバータの制御方法は、
磁性部品と、
第1の入出力端子と前記磁性部品の一端との間に接続された第1のスイッチ素子と、
前記磁性部品の前記一端と基準電位との間に接続された第2のスイッチ素子と、
前記磁性部品の他端と前記基準電位との間に接続された第3のスイッチ素子と、
前記磁性部品の前記他端と第2の入出力端子との間に接続された第4のスイッチ素子と、を備え、
前記第1から第4のスイッチ素子はオフ時に一方向のみに電流を流し、
前記第1の入出力端子および前記第2の入出力端子のうちの一方の入出力端子から入力される入力電圧に基づいて、他方の入出力端子から出力電圧を出力する双方向コンバータの制御方法であって、
前記第2の入出力端子から前記出力電圧を出力する場合、前記第2のスイッチ素子および前記第4のスイッチ素子をオフして、降圧動作時に前記第1のスイッチ素子のスイッチングを制御すると共に前記第3のスイッチ素子をオフして、昇圧動作時に前記第1のスイッチ素子をオンすると共に前記第3のスイッチ素子のスイッチングを制御して、
前記第1の入出力端子から前記出力電圧を出力する場合、前記第1のスイッチ素子及び前記第3のスイッチ素子をオフして、前記降圧動作時に前記第4のスイッチ素子のスイッチングを制御すると共に前記第2のスイッチ素子をオフして、前記昇圧動作時に前記第4のスイッチ素子をオンすると共に前記第2のスイッチ素子のスイッチングを制御する
ことを特徴とする。
【0020】
また、前記出力電圧が目標電圧より低い場合に制御信号を増加させて、
前記出力電圧が前記目標電圧より高い場合に前記制御信号を減少させて、
前記制御信号が昇圧基準値より小さい場合、前記制御信号の値に応じた降圧PWM信号と、第1の値の昇圧PWM信号とを生成し、
前記制御信号が前記昇圧基準値以上の場合、第2の値の前記降圧PWM信号と、前記制御信号の値に応じた前記昇圧PWM信号とを生成し、
前記第2の入出力端子から前記出力電圧を出力する場合、前記降圧PWM信号を前記第1のスイッチ素子に供給すると共に前記昇圧PWM信号を前記第3のスイッチ素子に供給し、
前記第1の入出力端子から前記出力電圧を出力する場合、前記降圧PWM信号を前記第4のスイッチ素子に供給すると共に前記昇圧PWM信号を前記第2のスイッチ素子に供給してもよい。
【0021】
また、前記制御信号の値に応じたデューティ比の前記降圧PWM信号または前記昇圧PWM信号を生成してもよい。
【0022】
さらに、前記制御信号が前記昇圧基準値以上の場合、前記制御信号から前記昇圧基準値を減算した値に応じたデューティ比の前記昇圧PWM信号を生成してもよい。
【0023】
また、前記第1のスイッチ素子は、並列接続された第1のトランジスタと第1のダイオードとを含み、
前記第2のスイッチ素子は、並列接続された第2のトランジスタと第2のダイオードとを含み、
前記第3のスイッチ素子は、並列接続された第3のトランジスタと第3のダイオードとを含み、
前記第4のスイッチ素子は、並列接続された第4のトランジスタと第4のダイオードとを含み、
前記第1のダイオードは、カソードが前記第1の入出力端子に接続され、アノードが前記磁性部品の前記一端に接続され、
前記第2のダイオードは、カソードが前記磁性部品の前記一端に接続され、アノードが前記基準電位に接続され、
前記第3のダイオードは、カソードが前記磁性部品の前記他端に接続され、アノードが前記基準電位に接続され、
前記第4のダイオードは、カソードが前記第2の入出力端子に接続され、アノードが前記磁性部品の前記他端に接続されていてもよい。
【0024】
前記第1から第4のトランジスタは、N型MOSトランジスタであり、
前記第1から第4のダイオードは、前記N型MOSトランジスタのソースとドレインとの間に接続された寄生ダイオードであってもよい。
【0025】
前記第1の入出力端子と前記基準電位との間に接続された第1の容量と、
前記第2の入出力端子と前記基準電位との間に接続された第2の容量と、をさらに有してもよい。
【0026】
前記第1の値はローレベルであり、前記第2の値はハイレベルであってもよい。
【0027】
前記磁性部品はインダクタであってもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一態様に係る双方向コンバータ及び双方向コンバータの制御方法によれば、スイッチング制御部が、第2の入出力端子から出力電圧を出力する場合、第2及び第4のスイッチ素子をオフして、降圧動作時に第1のスイッチ素子のスイッチングを制御すると共に第3のスイッチ素子をオフして、昇圧動作時に第1のスイッチ素子をオンすると共に第3のスイッチ素子のスイッチングを制御するようにしている。また、第1の入出力端子から出力電圧を出力する場合、第1及び第3のスイッチ素子をオフして、降圧動作時に第4のスイッチ素子のスイッチングを制御すると共に第2のスイッチ素子をオフして、昇圧動作時に第4のスイッチ素子をオンすると共に第2のスイッチ素子のスイッチングを制御するようにしている。このように、同期整流しないようにしているので、2種類の降圧用PWM信号と昇圧用PWM信号を用いて、双方向で昇圧または降圧動作が行える。従って、制御が簡単になるので、スイッチング制御部を構成するマイコンとして、安価なものを用いることができる。
さらに、第2の入出力端子から出力電圧を出力する場合には、第4のスイッチ素子をオフに制御して電流を一方向のみに流すようにしていると共に、第1の入出力端子から出力電圧を出力する場合には、第1のスイッチ素子をオフに制御して電流を一方向のみに流すようにしているので、電流の逆流を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係る双方向コンバータのブロック図である。
【図2】図2は、本発明の実施例1に係る双方向コンバータの各動作モードにおける第1から第4のスイッチ素子の状態を示す表である。
【図3】図3は、本発明の実施例1に係る双方向コンバータの動作モードIにおける昇降圧部の等価回路図である。
【図4】図4は、本発明の実施例1に係る双方向コンバータの動作モードIIにおける昇降圧部の等価回路図である。
【図5】図5は、本発明の実施例1に係る双方向コンバータの動作モードIIIにおける昇降圧部の等価回路図である。
【図6】図6は、本発明の実施例1に係る双方向コンバータの動作モードIVにおける昇降圧部の等価回路図である。
【図7】図7は、従来の双方向コンバータのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る一実施例について図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0031】
図1は、本発明の実施例1に係る双方向コンバータのブロック図である。図1に示すように、双方向コンバータは、昇降圧部10と、スイッチング制御部20と、を備える。
【0032】
昇降圧部10は、第1の入出力端子T1と、第1の基準端子RT1と、第2の入出力端子T2と、第2の基準端子RT2と、インダクタ(磁性部品)Mと、第1のスイッチ素子S1と、第2のスイッチ素子S2と、第3のスイッチ素子S3と、第4のスイッチ素子S4と、第1の容量C1と、第2の容量C2と、を有する。
【0033】
第1の入出力端子T1と第1の基準端子RT1には、電圧源Aが接続される。第1の入出力端子T1と第1の基準端子RT1との間の電圧は、電圧Aである。
【0034】
第2の入出力端子T2と第2の基準端子RT2には、電圧源Bが接続される。第2の入出力端子T2と第2の基準端子RT2との間の電圧は、電圧Bである。
【0035】
第1の基準端子RT1と第2の基準端子RT2には、基準電位(例えば接地電位)が供給される。電圧源Aと電圧源Bの少なくとも負荷側のものとして、蓄電池が用いられる。
【0036】
第1のスイッチ素子S1は、第1の入出力端子T1とインダクタMの一端との間に接続されている。第2のスイッチ素子S2は、インダクタMの一端と基準電位との間に接続されている。第3のスイッチ素子S3は、インダクタMの他端と基準電位との間に接続されている。第4のスイッチ素子S4は、インダクタMの他端と第2の入出力端子T2との間に接続されている。
【0037】
第1の容量C1は、第1の入出力端子T1と基準電位との間に接続されている。第2の容量C2は、第2の入出力端子T2と基準電位との間に接続されている。
【0038】
第1のスイッチ素子S1は、並列接続された第1のN型MOSトランジスタ(第1のトランジスタ)TR1と第1のダイオードD1とを含む。
第2のスイッチ素子S2は、並列接続された第2のN型MOSトランジスタ(第2のトランジスタ)TR2と第2のダイオードD2とを含む。
【0039】
第3のスイッチ素子S3は、並列接続された第3のN型MOSトランジスタ(第3のトランジスタ)TR3と第3のダイオードD3とを含む。
第4のスイッチ素子S4は、並列接続された第4のN型MOSトランジスタ(第4のトランジスタ)TR4と第4のダイオードD4とを含む。
【0040】
第1のN型MOSトランジスタTR1のドレインと第1のダイオードD1のカソードは、第1の入出力端子T1に接続されている。第1のN型MOSトランジスタTR1のソースと第1のダイオードD1のアノードは、インダクタMの一端に接続されている。
【0041】
第2のN型MOSトランジスタTR2のドレインと第2のダイオードD2のカソードは、インダクタMの一端に接続されている。第2のN型MOSトランジスタTR2のソースと第2のダイオードD2のアノードは、基準電位に接続されている。
【0042】
第3のN型MOSトランジスタTR3のドレインと第3のダイオードD3のカソードは、インダクタMの他端に接続されている。第3のN型MOSトランジスタTR3のソースと第3のダイオードD3のアノードは、基準電位に接続されている。
【0043】
第4のN型MOSトランジスタTR4のドレインと第4のダイオードD4のカソードは、第2の入出力端子T2に接続されている。第4のN型MOSトランジスタTR4のソースと第4のダイオードD4のアノードは、インダクタMの他端に接続されている。
【0044】
第1から第4のダイオードD1〜D4は、対応するN型MOSトランジスタTR1〜TR4のソースとドレインとの間に接続された寄生ダイオードである。
【0045】
第1から第4のスイッチ素子S1〜S4は、オフ時に、第1から第4のダイオードD1〜D4により一方向のみに電流を流すように構成されている。
【0046】
スイッチング制御部20は、第2の入出力端子T2から出力電圧(電圧B)を出力する場合、第2のスイッチ素子S2および第4のスイッチ素子S4をオフして、降圧動作時に第1のスイッチ素子S1のスイッチングを制御すると共に第3のスイッチ素子S3をオフして、昇圧動作時に第1のスイッチ素子S1をオンすると共に第3のスイッチ素子S3のスイッチングを制御する。
【0047】
また、スイッチング制御部20は、第1の入出力端子T1から出力電圧(電圧A)を出力する場合、第1のスイッチ素子S1及び第3のスイッチ素子S3をオフして、降圧動作時に第4のスイッチ素子S4のスイッチングを制御すると共に第2のスイッチ素子S2をオフして、昇圧動作時に第4のスイッチ素子S4をオンすると共に第2のスイッチ素子S2のスイッチングを制御する。
【0048】
スイッチング制御部20の詳細な動作について以下に説明する。
本実施例において、スイッチング制御部20は、セレクタSELと、制御部21と、PWM信号分配部22と、信号切り替え部23と、インバータINVと、を有する。例えば、制御部21とPWM信号分配部22はマイコンで構成されている。スイッチング制御部20の全体がマイコンで構成されていても良い。
【0049】
セレクタSELは、方向切り替え信号に従って、昇降圧部10から供給された電圧Aと電圧Bの何れか一方(出力電圧)を制御部21に出力する。
【0050】
この方向切り替え信号は、昇降圧部10における第1のスイッチ素子S1や第4のスイッチ素子S4を流れる電流Iの向きを切り替える信号である。本実施例では、方向切り替え信号がローレベルの時に電流の向き1(電圧源Aから電圧源Bの向き)となり、ハイレベルの時に電流の向き2(電圧源Bから電圧源Aの向き)となる一例について説明する。即ち、セレクタSELは、昇降圧部10からの出力電圧として、方向切り替え信号がローレベルの時に電圧Bを選択して出力し、方向切り替え信号がハイレベルの時に電圧Aを選択して出力する。
【0051】
双方向コンバータは、電流の向き1の場合、電圧源Aから第1の入出力端子T1に入力される入力電圧(電圧A)に基づいて、他方の第2の入出力端子T2から出力電圧(電圧B)を出力する。
【0052】
双方向コンバータは、電流の向き2の場合、電圧源Bから第2の入出力端子T2に入力される入力電圧(電圧B)に基づいて、他方の第1の入出力端子T1から出力電圧(電圧A)を出力する。
【0053】
即ち、双方向コンバータは、第1の入出力端子T1および第2の入出力端子T2のうちの一方の入出力端子から入力される入力電圧に基づいて、他方の入出力端子から出力電圧を出力する。
【0054】
制御部21は、セレクタSELから供給された出力電圧(電圧A又は電圧B)が目標電圧より低い場合に制御信号を増加させて、出力電圧(電圧A又は電圧B)が目標電圧より高い場合に制御信号を減少させる(定電圧制御)。また、制御部21は、電流Iが目標電流より小さい場合に制御信号を減少させて、電流Iが目標電流より大きい場合に制御信号を増加させる(定電流制御)。目標電圧と目標電流は、外部から設定される。制御部21は、外部からの設定に応じて、出力電圧(電圧A又は電圧B)と電流Iの少なくとも何れかに基づいて制御信号を変化させる。つまり、制御部21は、定電圧制御を行う場合と、定電流制御を行う場合と、定電圧制御および定電流制御を行う場合とがある。
【0055】
本実施例では、この制御信号は0%から200%の範囲で変化する信号(例えばデジタル信号)であるとする。制御信号がデューティ比0%から200%のPWM信号に対応すると考えて、PWM信号分配部22は、0%以上、100%未満の範囲の制御信号を降圧PWM信号として分配して、100%以上、200%以下の範囲の制御信号を昇圧PWM信号として分配する。
【0056】
具体的には、PWM信号分配部22は、制御信号が昇圧基準値(100%)より小さい場合、制御信号の値に応じたデューティ比の降圧PWM信号と、ローレベル(第1の値)の昇圧PWM信号とを出力する。
【0057】
例えば、PWM信号分配部22は、制御信号が60%の場合、この値(60%)に応じたデューティ比60%の降圧PWM信号と、ローレベル(即ちデューティ比0%)の昇圧PWM信号とを出力する。
【0058】
また、PWM信号分配部22は、制御信号が昇圧基準値(100%)以上の場合、ハイレベル(第2の値)の降圧PWM信号と、制御信号の値に応じたデューティ比の昇圧PWM信号とを出力する。
【0059】
より詳細には、PWM信号分配部22は、制御信号が昇圧基準値以上の場合、制御信号から昇圧基準値を減算した値に応じたデューティ比の昇圧PWM信号を出力する。
【0060】
例えば、PWM信号分配部22は、制御信号が130%の場合、ハイレベル(即ちデューティ比100%)の降圧PWM信号と、130%から昇圧基準値(100%)を減算した値(30%)に応じたデューティ比30%の昇圧PWM信号を出力する。
【0061】
信号切り替え部23は、電流の向き1であって第2の入出力端子T2から出力電圧(電圧B)を出力する場合、降圧PWM信号を第1のスイッチ素子S1に供給すると共に昇圧PWM信号を第3のスイッチ素子S3に供給する。また、ローレベルの信号を第2のスイッチ素子S2と第4のスイッチ素子S4に供給する。
【0062】
また、信号切り替え部23は、電流の向き2であって第1の入出力端子T1から出力電圧(電圧A)を出力する場合、降圧PWM信号を第4のスイッチ素子S4に供給すると共に昇圧PWM信号を第2のスイッチ素子S2に供給する。また、ローレベルの信号を第1のスイッチ素子S1と第3のスイッチ素子S3に供給する。
【0063】
本実施例において、信号切り替え部23は、AND回路A1,A2,A3,A4と、バッファB1,B2,B3,B4と、を有する。
【0064】
AND回路A1は、一方の入力端子にバッファB1を介して降圧PWM信号が入力され、他方の入力端子にバッファB3を介して信号LtoRが入力され、出力端子が第1のN型MOSトランジスタTR1のゲートに接続されている。信号LtoRは、方向切り替え信号をインバータINVで反転させた信号である。
【0065】
AND回路A2は、一方の入力端子にバッファB2を介して昇圧PWM信号が入力され、他方の入力端子にバッファB4を介して信号RtoLが入力され、出力端子が第2のN型MOSトランジスタTR2のゲートに接続されている。信号RtoLは、方向切り替え信号と同一の信号である。
【0066】
AND回路A3は、一方の入力端子にバッファB2を介して昇圧PWM信号が入力され、他方の入力端子にバッファB3を介して信号LtoRが入力され、出力端子が第3のN型MOSトランジスタTR3のゲートに接続されている。
【0067】
AND回路A4は、一方の入力端子にバッファB1を介して降圧PWM信号が入力され、他方の入力端子にバッファB4を介して信号RtoLが入力され、出力端子が第4のN型MOSトランジスタTR4のゲートに接続されている。
【0068】
(双方向コンバータの動作)
次に、図2から図5を参照して双方向コンバータの具体的な動作を説明する。双方向コンバータは、4つの動作モードI〜IV(I:電流の向き1で降圧動作、II:電流の向き1で昇圧動作、III:電流の向き2で降圧動作、IV:電流の向き2で昇圧動作)の何れかで動作できる。
【0069】
図2は、本発明の実施例1に係る双方向コンバータの各動作モードにおける第1から第4のスイッチ素子S1〜S4の状態を示す表である。以下、この表も参照して、各動作モードについて説明する。なお、説明を明確化するため、ここでは定電圧制御を行う場合について説明する。定電流制御を行う場合についても同様に動作するため、説明は省略する。
【0070】
(動作モードI:電流の向き1で降圧動作)
図3は、本発明の実施例1に係る双方向コンバータの動作モードIにおける昇降圧部10の等価回路図である。
【0071】
電流の向き1であるため、方向切り替え信号はローレベルに設定される。また、降圧動作であるため、目標電圧は、入力電圧(電圧A)より低く設定される。初期状態において、入力電圧(電圧A)>目標電圧>出力電圧(電圧B)であるとする。
【0072】
方向切り替え信号がローレベルであるため、信号切り替え部23は、ローレベルの信号を第2のスイッチ素子S2と第4のスイッチ素子S4に供給する。また、信号切り替え部23は、降圧PWM信号を第1のスイッチ素子S1に供給すると共に昇圧PWM信号を第3のスイッチ素子S3に供給する。
【0073】
制御部21は、初期状態では出力電圧(電圧B)が目標電圧より低いので、制御信号を0から増加させていく。
【0074】
PWM信号分配部22は、制御信号が昇圧基準値(100%)より小さい場合、制御信号の値に応じたデューティ比の降圧PWM信号と、ローレベル(デューティ比0%)の昇圧PWM信号とを出力する。
【0075】
従って、図2の動作モードIの欄に示すように、スイッチング制御部20は、降圧PWM信号により第1のスイッチ素子S1のスイッチングを制御すると共に、第2のスイッチ素子S2、第3のスイッチ素子S3および第4のスイッチ素子S4をオフする。これにより、図3に示すように、第2のスイッチ素子S2、第3のスイッチ素子S3および第4のスイッチ素子S4は、それぞれ第2のダイオードD2、第3のダイオードD3および第4のダイオードD4として機能する。
【0076】
よって、第1のスイッチ素子S1と、第2のダイオードD2と、インダクタMと、容量C2とは、降圧コンバータを構成する。第3のダイオードD3のカソードの電圧は基準電位より高いので、第3のダイオードD3は導通しない。第4のダイオードD4は順方向に電流Iを流すので、電圧Aが降圧された電圧Bにより、電圧源B(蓄電池)は充電される。
【0077】
制御信号が昇圧基準値(100%)より小さい範囲で制御され、これによる降圧PWM信号のデューティ比に応じて電圧Aが降圧されることにより、電圧Bは目標電圧と等しくなるように制御される。従って、電圧A>目標電圧である条件では、常に降圧動作を行う。
【0078】
ここで、電圧源Bとして蓄電池と太陽電池が並列接続されている場合について考える。この場合、太陽電池の出力電圧が上昇することで電圧源Bの電圧Bが電圧源Aの電圧Aより上昇しても、第4のダイオードD4に逆方向バイアスが加わるので、電流は電圧源Bから電圧源Aの方向に逆流することはない。
【0079】
(動作モードII:電流の向き1で昇圧動作)
図4は、本発明の実施例1に係る双方向コンバータの動作モードIIにおける昇降圧部10の等価回路図である。
【0080】
電流の向き1であるため、方向切り替え信号はローレベルに設定される。また、昇圧動作であるため、目標電圧は、入力電圧(電圧A)より高く設定される。初期状態において、電圧B<電圧A<目標電圧であるとする。
【0081】
方向切り替え信号がローレベルであるため、信号切り替え部23は、ローレベルの信号を第2のスイッチ素子S2と第4のスイッチ素子S4に供給する。また、信号切り替え部23は、降圧PWM信号を第1のスイッチ素子S1に供給すると共に昇圧PWM信号を第3のスイッチ素子S3に供給する。
【0082】
制御部21は、初期状態では出力電圧(電圧B)が目標電圧より低いので、制御信号を0から増加させる。
【0083】
このとき、PWM信号分配部22は、制御信号が昇圧基準値(100%)より小さいので、制御信号の値に応じたデューティ比の降圧PWM信号と、ローレベル(デューティ比0%)の昇圧PWM信号とを出力する。
【0084】
よって、初期状態では、動作モードIと同様に、昇降圧部10は降圧コンバータとして動作する。しかし、制御信号が100%に増加しても出力電圧(電圧B)が目標電圧より低いので、制御部21は制御信号を100%以上に増加させる。
【0085】
PWM信号分配部22は、制御信号が昇圧基準値(100%)以上になるので、ハイレベル(デューティ比100%)の降圧PWM信号と、制御信号の値に応じたデューティ比の昇圧PWM信号とを出力する。
【0086】
従って、図2の動作モードIIの欄に示すように、スイッチング制御部20は、昇圧PWM信号により第3のスイッチ素子S3のスイッチングを制御すると共に、第1のスイッチ素子S1をオンして、第2のスイッチ素子S2および第4のスイッチ素子S4をオフする。これにより、図4に示すように、第2のスイッチ素子S2および第4のスイッチ素子S4は、それぞれ第2のダイオードD2および第4のダイオードD4として機能する。第1のスイッチ素子S1はオンしているので第1のダイオードD1は機能しない。
【0087】
よって、インダクタMと、第3のスイッチ素子S3と、第4のダイオードD4と、容量C2とは、昇圧コンバータを構成する。第2のダイオードD2のカソードの電圧は基準電位より高いので、第2のダイオードD2は導通しない。第4のダイオードD4は順方向に電流Iを流すので、電圧Aが昇圧された電圧Bにより、電圧源B(蓄電池)は充電される。
【0088】
制御信号が昇圧基準値(100%)以上の範囲で制御され、これによる昇圧PWM信号のデューティ比に応じて電圧Aが昇圧されることにより、電圧Bは目標電圧と等しくなるように制御される。
【0089】
ここで、電圧源Bとして蓄電池と太陽電池が並列接続されている場合について考える。この場合、太陽電池の出力電圧が上昇することで電圧源Bの電圧Bが更に上昇しても、第4のダイオードD4に逆方向バイアスが加わるので、電流は電圧源Bから電圧源Aの方向に逆流することはない。
【0090】
(動作モードIII:電流の向き2で降圧動作)
図5は、本発明の実施例1に係る双方向コンバータの動作モードIIIにおける昇降圧部10の等価回路図である。
【0091】
電流の向き2であるため、方向切り替え信号はハイレベルに設定される。また、降圧動作であるため、目標電圧は、入力電圧(電圧B)より低く設定される。初期状態において、入力電圧(電圧B)>目標電圧>出力電圧(電圧A)であるとする。
【0092】
方向切り替え信号がハイレベルであるため、信号切り替え部23は、ローレベルの信号を第1のスイッチ素子S1と第3のスイッチ素子S3に供給する。また、信号切り替え部23は、降圧PWM信号を第4のスイッチ素子S4に供給すると共に昇圧PWM信号を第2のスイッチ素子S2に供給する。
【0093】
制御部21とPWM信号分配部22の動作は、動作モードIと同様である。つまり、昇圧PWM信号はローレベル(デューティ比0%)である。
【0094】
従って、図2の動作モードIIIの欄に示すように、スイッチング制御部20は、降圧PWM信号により第4のスイッチ素子S4のスイッチングを制御すると共に、第1のスイッチ素子S1、第2のスイッチ素子S2および第3のスイッチ素子S3をオフする。これにより、図5に示すように、第1のスイッチ素子S1、第2のスイッチ素子S2および第3のスイッチ素子S3は、それぞれ第1のダイオードD1、第2のダイオードD2および第3のダイオードD3として機能する。
【0095】
よって、第4のスイッチ素子S4と、第3のダイオードD3と、インダクタMと、容量C1とは、降圧コンバータを構成する。第2のダイオードD2のカソードの電圧は基準電位より高いので、第2のダイオードD2は導通しない。第1のダイオードD1は順方向に電流Iを流すので、電圧Bが降圧された電圧Aにより、電圧源A(蓄電池)は充電される。
【0096】
電圧源Aとして蓄電池と太陽電池が並列接続されている場合についても、動作モードIと同様に動作する。即ち、電圧源Aの電圧Aが電圧源Bの電圧Bより上昇しても、第1のダイオードD1に逆方向バイアスが加わるので、電流は電圧源Aから電圧源Bの方向に逆流することはない。
【0097】
(動作モードIV:電流の向き2で昇圧動作)
図6は、本発明の実施例1に係る双方向コンバータの動作モードIVにおける昇降圧部10の等価回路図である。
【0098】
電流の向き2であるため、方向切り替え信号はハイレベルに設定される。また、昇圧動作であるため、目標電圧は、入力電圧(電圧B)より高く設定される。初期状態において、電圧A<電圧B<目標電圧であるとする。
【0099】
方向切り替え信号がハイレベルであるため、信号切り替え部23は、ローレベルの信号を第1のスイッチ素子S1と第3のスイッチ素子S3に供給する。また、信号切り替え部23は、降圧PWM信号を第4のスイッチ素子S4に供給すると共に昇圧PWM信号を第2のスイッチ素子S2に供給する。
【0100】
制御部21とPWM信号分配部22の動作は、動作モードIIと同様である。つまり、PWM信号分配部22は、制御信号が昇圧基準値(100%)以上になるので、ハイレベルの降圧PWM信号(デューティ比100%)と、制御信号の値に応じたデューティ比の昇圧PWM信号とを出力する。
【0101】
従って、図2の動作モードIVの欄に示すように、スイッチング制御部20は、昇圧PWM信号により第2のスイッチ素子S2のスイッチングを制御すると共に、第4のスイッチ素子S4をオンして、第1のスイッチ素子S1および第3のスイッチ素子S3をオフする。これにより、図6に示すように、第1のスイッチ素子S1および第3のスイッチ素子S3は、それぞれ第1のダイオードD1および第3のダイオードD3として機能する。第4のスイッチ素子S4はオンしているので第4のダイオードD4は機能しない。
【0102】
よって、インダクタMと、第2のスイッチ素子S2と、第1のダイオードD1と、容量C1とは、昇圧コンバータを構成する。第3のダイオードD3のカソードの電圧は基準電位より高いので、第3のダイオードD3は導通しない。第1のダイオードD1は順方向に電流Iを流すので、電圧Bが昇圧された電圧Aにより、電圧源A(蓄電池)は充電される。
【0103】
電圧源Aとして蓄電池と太陽電池が並列接続されている場合についても、動作モードIIと同様に動作する。即ち、電流は電圧源Aから電圧源Bの方向に逆流することはない。
【0104】
以上で説明した様に、本実施例によれば、スイッチング制御部20が、第2の入出力端子T2から出力電圧を出力する場合、第2及び第4のスイッチ素子S2,S4をオフして、降圧動作時に第1のスイッチ素子S1のスイッチングを制御すると共に第3のスイッチ素子S3をオフして、昇圧動作時に第1のスイッチ素子S1をオンすると共に第3のスイッチ素子S3のスイッチングを制御するようにしている。また、第1の入出力端子T1から出力電圧を出力する場合、第1及び第3のスイッチ素子S1,S3をオフして、降圧動作時に第4のスイッチ素子S4のスイッチングを制御すると共に第2のスイッチ素子S2をオフして、昇圧動作時に第4のスイッチ素子S4をオンすると共に第2のスイッチ素子S2のスイッチングを制御するようにしている。このように、同期整流しないようにしているので、2種類の降圧用PWM信号と昇圧用PWM信号を用いて、双方向で昇圧または降圧動作が行える。即ち、PWM信号を排他制御する必要が無い。従って、制御が簡単になるので、スイッチング制御部20を構成するマイコンとして、安価なものを用いることができる。
【0105】
また、制御部21が、出力電圧が目標電圧より低い場合に制御信号を増加させて、出力電圧が目標電圧より高い場合に制御信号を減少させるようにしている。その上で、PWM信号分配部22が、制御信号が昇圧基準値(100%)より小さい場合、昇降圧部10を降圧動作させて、制御信号が昇圧基準値以上の場合、昇降圧部10を昇圧動作させるようにしている。これにより、目標電圧が入力電圧より高いか否かを比較して昇圧動作または降圧動作の判断をする必要がなく、目標電圧と出力電圧との比較のみで、昇圧動作と降圧動作を連続的(シームレス)に切り替えできると共に、出力電圧を目標電圧に制御できる。従って、1つの制御部21によって、双方向で昇圧または降圧動作が簡単に行えるので、安価なマイコンを用いることができる。
【0106】
さらに、第2の入出力端子T2から出力電圧(電圧B)を出力する場合には、第4のスイッチ素子S4をオフに制御して、第4のダイオードD4により電流を一方向のみに流すようにしている。また、第1の入出力端子T1から出力電圧(電圧A)を出力する場合には、第1のスイッチ素子S1をオフに制御して、第1のダイオードD1により電流を一方向のみに流すようにしている。これにより、電圧源A,Bの電圧が変動した場合に、電流の逆流を防止できるので、電圧源A,B又は双方向コンバータを破壊する恐れが無い。
【0107】
以上、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変形して実施することができる。
【0108】
例えば、第1から第4のN型MOSトランジスタTR1〜TR4の代わりに、P型MOSトランジスタを用いても良い。また、他のスイッチング素子を用いても良い。
【符号の説明】
【0109】
T1 第1の入出力端子
T2 第2の入出力端子
RT1 第1の基準端子
RT2 第2の基準端子
M インダクタ(磁性部品)
S1 第1のスイッチ素子
S2 第2のスイッチ素子
S3 第3のスイッチ素子
S4 第4のスイッチ素子
C1 第1の容量
C2 第2の容量
10 昇降圧部
20 スイッチング制御部
21 制御部
22 PWM信号分配部
23 信号切り替え部
TR1 第1のN型MOSトランジスタ(第1のトランジスタ)
TR2 第2のN型MOSトランジスタ(第2のトランジスタ)
TR3 第3のN型MOSトランジスタ(第3のトランジスタ)
TR4 第4のN型MOSトランジスタ(第4のトランジスタ)
D1 第1のダイオード
D2 第2のダイオード
D3 第3のダイオード
D4 第4のダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の入出力端子および第2の入出力端子のうちの一方の入出力端子から入力される入力電圧に基づいて、他方の入出力端子から出力電圧を出力する双方向コンバータであって、
磁性部品と、前記第1の入出力端子と前記磁性部品の一端との間に接続された第1のスイッチ素子と、前記磁性部品の前記一端と基準電位との間に接続された第2のスイッチ素子と、前記磁性部品の他端と前記基準電位との間に接続された第3のスイッチ素子と、前記磁性部品の前記他端と前記第2の入出力端子との間に接続された第4のスイッチ素子と、を有し、前記第1から第4のスイッチ素子はオフ時に一方向のみに電流を流す、昇降圧部と、
前記第2の入出力端子から前記出力電圧を出力する場合、前記第2のスイッチ素子および前記第4のスイッチ素子をオフして、降圧動作時に前記第1のスイッチ素子のスイッチングを制御すると共に前記第3のスイッチ素子をオフして、昇圧動作時に前記第1のスイッチ素子をオンすると共に前記第3のスイッチ素子のスイッチングを制御して、前記第1の入出力端子から前記出力電圧を出力する場合、前記第1のスイッチ素子及び前記第3のスイッチ素子をオフして、前記降圧動作時に前記第4のスイッチ素子のスイッチングを制御すると共に前記第2のスイッチ素子をオフして、前記昇圧動作時に前記第4のスイッチ素子をオンすると共に前記第2のスイッチ素子のスイッチングを制御するスイッチング制御部と、を備える
ことを特徴とする双方向コンバータ。
【請求項2】
前記スイッチング制御部は、
前記出力電圧が目標電圧より低い場合に制御信号を増加させて、前記出力電圧が前記目標電圧より高い場合に前記制御信号を減少させる制御部と、
前記制御信号が昇圧基準値より小さい場合、前記制御信号の値に応じた降圧PWM信号と、第1の値の昇圧PWM信号とを出力し、前記制御信号が前記昇圧基準値以上の場合、第2の値の前記降圧PWM信号と、前記制御信号の値に応じた前記昇圧PWM信号とを出力するPWM信号分配部と、
前記第2の入出力端子から前記出力電圧を出力する場合、前記降圧PWM信号を前記第1のスイッチ素子に供給すると共に前記昇圧PWM信号を前記第3のスイッチ素子に供給し、前記第1の入出力端子から前記出力電圧を出力する場合、前記降圧PWM信号を前記第4のスイッチ素子に供給すると共に前記昇圧PWM信号を前記第2のスイッチ素子に供給する信号切り替え部と、を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の双方向コンバータ。
【請求項3】
前記PWM信号分配部は、前記制御信号の値に応じたデューティ比の前記降圧PWM信号または前記昇圧PWM信号を出力する
ことを特徴とする請求項2に記載の双方向コンバータ。
【請求項4】
前記PWM信号分配部は、前記制御信号が前記昇圧基準値以上の場合、前記制御信号から前記昇圧基準値を減算した値に応じたデューティ比の前記昇圧PWM信号を出力する
ことを特徴とする請求項3に記載の双方向コンバータ。
【請求項5】
前記第1のスイッチ素子は、並列接続された第1のトランジスタと第1のダイオードとを含み、
前記第2のスイッチ素子は、並列接続された第2のトランジスタと第2のダイオードとを含み、
前記第3のスイッチ素子は、並列接続された第3のトランジスタと第3のダイオードとを含み、
前記第4のスイッチ素子は、並列接続された第4のトランジスタと第4のダイオードとを含み、
前記第1のダイオードは、カソードが前記第1の入出力端子に接続され、アノードが前記磁性部品の前記一端に接続され、
前記第2のダイオードは、カソードが前記磁性部品の前記一端に接続され、アノードが前記基準電位に接続され、
前記第3のダイオードは、カソードが前記磁性部品の前記他端に接続され、アノードが前記基準電位に接続され、
前記第4のダイオードは、カソードが前記第2の入出力端子に接続され、アノードが前記磁性部品の前記他端に接続されている
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の双方向コンバータ。
【請求項6】
前記第1から第4のトランジスタは、N型MOSトランジスタであり、
前記第1から第4のダイオードは、前記N型MOSトランジスタのソースとドレインとの間に接続された寄生ダイオードである
ことを特徴とする請求項5に記載の双方向コンバータ。
【請求項7】
前記昇降圧部は、
前記第1の入出力端子と前記基準電位との間に接続された第1の容量と、
前記第2の入出力端子と前記基準電位との間に接続された第2の容量と、をさらに有する
ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の双方向コンバータ。
【請求項8】
前記第1の値はローレベルであり、前記第2の値はハイレベルであることを特徴とする請求項6に記載の双方向コンバータ。
【請求項9】
前記磁性部品はインダクタであることを特徴とする請求項1から請求項8の何れかに記載の双方向コンバータ。
【請求項10】
磁性部品と、
第1の入出力端子と前記磁性部品の一端との間に接続された第1のスイッチ素子と、
前記磁性部品の前記一端と基準電位との間に接続された第2のスイッチ素子と、
前記磁性部品の他端と前記基準電位との間に接続された第3のスイッチ素子と、
前記磁性部品の前記他端と第2の入出力端子との間に接続された第4のスイッチ素子と、を備え、
前記第1から第4のスイッチ素子はオフ時に一方向のみに電流を流し、
前記第1の入出力端子および前記第2の入出力端子のうちの一方の入出力端子から入力される入力電圧に基づいて、他方の入出力端子から出力電圧を出力する双方向コンバータの制御方法であって、
前記第2の入出力端子から前記出力電圧を出力する場合、前記第2のスイッチ素子および前記第4のスイッチ素子をオフして、降圧動作時に前記第1のスイッチ素子のスイッチングを制御すると共に前記第3のスイッチ素子をオフして、昇圧動作時に前記第1のスイッチ素子をオンすると共に前記第3のスイッチ素子のスイッチングを制御して、
前記第1の入出力端子から前記出力電圧を出力する場合、前記第1のスイッチ素子及び前記第3のスイッチ素子をオフして、前記降圧動作時に前記第4のスイッチ素子のスイッチングを制御すると共に前記第2のスイッチ素子をオフして、前記昇圧動作時に前記第4のスイッチ素子をオンすると共に前記第2のスイッチ素子のスイッチングを制御する
ことを特徴とする双方向コンバータの制御方法。
【請求項11】
前記出力電圧が目標電圧より低い場合に制御信号を増加させて、
前記出力電圧が前記目標電圧より高い場合に前記制御信号を減少させて、
前記制御信号が昇圧基準値より小さい場合、前記制御信号の値に応じた降圧PWM信号と、第1の値の昇圧PWM信号とを生成し、
前記制御信号が前記昇圧基準値以上の場合、第2の値の前記降圧PWM信号と、前記制御信号の値に応じた前記昇圧PWM信号とを生成し、
前記第2の入出力端子から前記出力電圧を出力する場合、前記降圧PWM信号を前記第1のスイッチ素子に供給すると共に前記昇圧PWM信号を前記第3のスイッチ素子に供給し、
前記第1の入出力端子から前記出力電圧を出力する場合、前記降圧PWM信号を前記第4のスイッチ素子に供給すると共に前記昇圧PWM信号を前記第2のスイッチ素子に供給する
ことを特徴とする請求項10に記載の双方向コンバータの制御方法。
【請求項12】
前記制御信号の値に応じたデューティ比の前記降圧PWM信号または前記昇圧PWM信号を生成する
ことを特徴とする請求項11に記載の双方向コンバータの制御方法。
【請求項13】
前記制御信号が前記昇圧基準値以上の場合、前記制御信号から前記昇圧基準値を減算した値に応じたデューティ比の前記昇圧PWM信号を生成する
ことを特徴とする請求項12に記載の双方向コンバータの制御方法。
【請求項14】
前記第1のスイッチ素子は、並列接続された第1のトランジスタと第1のダイオードとを含み、
前記第2のスイッチ素子は、並列接続された第2のトランジスタと第2のダイオードとを含み、
前記第3のスイッチ素子は、並列接続された第3のトランジスタと第3のダイオードとを含み、
前記第4のスイッチ素子は、並列接続された第4のトランジスタと第4のダイオードとを含み、
前記第1のダイオードは、カソードが前記第1の入出力端子に接続され、アノードが前記磁性部品の前記一端に接続され、
前記第2のダイオードは、カソードが前記磁性部品の前記一端に接続され、アノードが前記基準電位に接続され、
前記第3のダイオードは、カソードが前記磁性部品の前記他端に接続され、アノードが前記基準電位に接続され、
前記第4のダイオードは、カソードが前記第2の入出力端子に接続され、アノードが前記磁性部品の前記他端に接続されている
ことを特徴とする請求項10から請求項13の何れかに記載の双方向コンバータの制御方法。
【請求項15】
前記第1から第4のトランジスタは、N型MOSトランジスタであり、
前記第1から第4のダイオードは、前記N型MOSトランジスタのソースとドレインとの間に接続された寄生ダイオードである
ことを特徴とする請求項14に記載の双方向コンバータの制御方法。
【請求項16】
前記第1の入出力端子と前記基準電位との間に接続された第1の容量と、
前記第2の入出力端子と前記基準電位との間に接続された第2の容量と、をさらに有する
ことを特徴とする請求項10から請求項15の何れかに記載の双方向コンバータの制御方法。
【請求項17】
前記第1の値はローレベルであり、前記第2の値はハイレベルであることを特徴とする請求項15に記載の双方向コンバータの制御方法。
【請求項18】
前記磁性部品はインダクタであることを特徴とする請求項10から請求項17の何れかに記載の双方向コンバータの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−205427(P2012−205427A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68684(P2011−68684)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】