説明

反射フィルム及びそれからなるバックライト用反射シート

【課題】本発明は、ポリオレフィン成分(A)とポリエステル成分(B)とを含む樹脂組成物を用いて得られるフィルムに反射性などの光学特性を付与するにあたり、原料樹脂組成物にフィラーを混合したり、得られるフィルムの表面に反射のための塗布層を設けることなく、高反射性能を有するポリオレフィン−ポリエステル系の反射フィルム及び該反射フィルムからなるバックライト用反射シートを提供することを目的とする。
【解決手段】立体規則性を有するポリオレフィンと変性ポリオレフィンとからなるポリオレフィン成分(A)100質量部に対して、生分解性ポリエステル成分(B)40〜240質量部を含む樹脂組成物を製膜、延伸して反射フィルムとし、該反射シートからなるバックライト用反射シートを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ポリオレフィン成分とポリエステル成分を含む反射フィルムに関し、特に、液晶表示装置、照明器具、照明用看板などに用いることができる反射フィルム及びそれからなるバックライト用反射シートに関する。
【背景技術】
【0002】
ワードプロセッサー、パーソナルコンピュータ、テレビジョンセット等の液晶表示装置のバックライトユニットを形成する光反射体として、ポリプロピレン樹脂25〜40重量%及び酸化チタン等の無機充填剤75〜60重量%を含む樹脂組成物100重量部に対して、特定量の延伸助剤を含むシートを少なくとも一軸方向に延伸して得た多孔性樹脂シートからなる光反射体が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、樹脂として、脂肪族ポリエステルを用いた、液晶表示装置、照明器具、照明用看板などに用いられ、酸化チタン等の微粉状充填剤を含有し、かつ、内部に空隙率が50%以下となるように空隙を有する脂肪族系ポリエステル系樹脂反射フィルムは知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
ポリオレフィン−ポリエステル系樹脂組成物を用いた延伸フィルムとしては、該樹脂組成物を製膜、延伸することにより、フィルム中に微細な空洞を含有し、白色度が向上したポリ乳酸フィルムが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載されている反射フィルムにおいては、所望する反射性を十分に発現し得るだけの酸化チタンなどの微粉状充填剤を混合する必要があった。また、特許文献3に記載されている反射フィルムにおいては、フィルム中に多数の空洞を含有しているため、これらのフィルムは、材料となる樹脂が持つ強度特性を発現できず、フィルムとしての強度が低下する傾向があった。
【0005】
【特許文献1】特開平11−174213号公報
【特許文献2】再公表2004/104077号公報
【特許文献3】特開2002−146071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ポリオレフィン成分とポリエステル成分とを含む樹脂組成物を用いて得られるフィルムに反射性などの光学特性を付与するにあたり、原料樹脂組成物にフィラーを添加したり、得られるフィルムの表面に反射のための塗布層を設けることなく、高反射性能を有するポリオレフィン−ポリエステル系の反射フィルム及び該反射フィルムからなるバックライト用反射シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記の好ましい性質を有するポリオレフィン−ポリエステル系の高反射性能を有するフィルムを開発すべく鋭意研究を重ねた。その結果、ポリオレフィンと、好ましくは特定の分子量分布を有するポリオレフィンと、変性ポリプロピレンとからなるポリオレフィン成分(A)に対して、生分解性ポリエステル成分(B)の特定量を含む樹脂組成物を製膜、延伸してなるフィルムがその目的を達成し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)ポリオレフィンと、変性ポリプロピレンとからなるポリオレフィン成分(A)100質量部に対して、生分解性ポリエステル成分(B)40〜240質量部を含む樹脂組成物を製膜、延伸してなる反射フィルム、
(2)ポリオレフィンが、プロピレン単独重合体又はプロピレンとエチレンもしくは炭素原子数4〜20のオレフィンとの共重合体である上記(1)に記載の反射フィルム、
(3)ポリオレフィンが、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で表される分子量分布1.5〜5.5を有するものである上記(1)又は(2)に記載の反射フィルム、
(4)変性ポリプロピレンが、アクリル酸変性ポリプロピレン、メタクリル酸変性ポリプロピレン及びマレイン酸変性ポリプロピレンの中から選ばれる1種以上を含む変性ポリプロピレンである上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の反射フィルム、
(5)生分解性ポリエステル成分(B)が、D体又はL体のいずれか1つの光学異性体を95質量%以上含有するポリ乳酸である上記(1)に記載の反射フィルム、
(6)樹脂組成物が、ポリオレフィン成分(A)と生分解性ポリエステル成分(B)の合計100質量部に対して、さらに、ポリカルボジイミド化合物を0.1〜5質量部含むものである上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の反射フィルム、
(7)上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の反射フィルムからなるバックライト用反射シート、
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ポリオレフィン成分とポリエステル成分とを含む樹脂組成物を用いて得られるフィルムに反射性能などの光学特性を付与するにあたり、原料樹脂組成物にフィラーを添加したり、得られるフィルムの表面に反射のための塗布層を設けることなく、高反射性能を有するポリオレフィン−ポリエステル系の反射フィルム及び該反射フィルムからなるバックライト用反射シートを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係る反射フィルムは、ポリオレフィンと、変性ポリプロピレンとからなるポリオレフィン成分(A)と、生分解性ポリエステル成分(B)とを含み、これらの成分樹脂が相溶化した樹脂組成物を製膜、延伸することにより得られるものである。
【0011】
該ポリオレフィンとしては、炭素原子数が2〜20のオレフィンからなるオレフィンの単独重合体又はこれらのオレフィンの2種以上からなる共重合体であって、これらの単独重合体又は共重合体は、例えば、メタロセン触媒、チーグラ・ナッタ触媒などを用いて、定法により、オレフィンを単独重合又は共重合することにより製造することができる。
本発明における該ポリオレフィンは、これらの単独重合体又は共重合体をそれぞれ単独で含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。また、アイソタクティックポリオレフィン又はシンジオタクティックポリオレフィンのいずれであってもよい。
該ポリオレフィンは、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で表される分子量分布が1.5〜5.5のものが好ましく、1.8〜3.7のものがより好ましい。
ポリオレフィンの該分子量分布が1.5〜5.5の範囲であると、かかるポリオレフィンを含むポリオレフィン成分(A)と生分解性ポリエステル成分(B)を含む樹脂組成物を製膜、延伸してなるフィルムが強度物性に優れ、光線反射性能も優れたものになる。
ここで、該Mw及びMnは、標準物質として単分散ポリスチレンを用いてゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定される。測定に使用する装置、条件などは以下の通りである。
装置:ALC/GPC 150C(Waters(ウォーターズ)社製高温GPC)
検出器:MIRAN−1A(FOXBORO(フォックスボロ)社製IR検出器)
カラム:AD806M/S(昭和電工(株)製、3本)
移動相溶媒:o−クロロベンゼン
流速:1.0ml/分
測定温度:140℃
標準単分散ポリスチレン:F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000(各々東ソー(株)製)
校正曲線:最小二乗法による
分子量換算粘度式および換算値:[η]=K・Mα、ポリスチレン(K=1.38×10-4、α=0.7)、ポリプロピレン(K=1.03×10-4、α=0.78)
【0012】
炭素原子数が2〜20のオレフィンとしては、例えば、直鎖状又は分岐状のα-オレフィン、環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、非共役ジエンなどが挙げられる。直鎖状又は分岐状のα−オレフィンとしては、具体的には、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素原子数2〜20、好ましくは2〜10のものが挙げられる。
【0013】
環状オレフィンとしては、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、ビニルシクロヘキサンなどの炭素原子数が3〜20、好ましくは5〜15の環状オレフィンが挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレンなどのモノ又はポリアルキルスチレンが挙げられる。
【0014】
共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエンなどの炭素原子数が4〜20、好ましくは4〜10のものが挙げられる。
【0015】
非共役ジエンとしては、例えば1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン(DMDT)、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペンル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエンなどの炭素原子数5〜20、好ましくは5〜10のものが挙げられる。
【0016】
前記これらのオレフィンから選ばれるオレフィン単独重合体又は共重合体としては、具体的に、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリブタジエン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−エチレン・ブチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体、エチレン−エチレン・ブチレン−エチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、水添スチレン−イソプロピレン−スチレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエンランダム共重合体などを挙げることができる。これらの中でもプロピレンの単独重合体又はプロピレンとエチレン又は炭素原子数が4〜20のオレフィン共重合体が好ましく、さらにはエチレン−プロピレン共重合体がより好ましい。
【0017】
また、本発明における、ポリオレフィンは、そのメルトフローレートが3〜15g/10分の範囲であることが好ましく、3〜10g/10分の範囲であることがより好ましく、6〜8g/10分の範囲であることが特に好ましい。ここで、メルトフローレートはJIS K 7210(プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト及びメルトボリュームフローレイトの試験方法)に準拠して、測定温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定した値である。
該ポリオレフィンのメルトフローレートが3g/10分以上であると、ポリオレフィン成分(A)と生分解性ポリエステル成分(B)を含む樹脂組成物を製膜、延伸してなるフィルムが光線反射性能に優れたものになる。また、メルトフローレートが15g/10分以下であると、前記フィルムの延伸においてフィルムを構成する高分子の配向度を高めて、強度物性の優れたフィルムにすることができる。
【0018】
本発明における変性ポリプロピレンは、カルボン酸基を1以上有する不飽和化合物、無水カルボン酸基を1以上有する不飽和化合物及びそれらの誘導体を、グラフト共重合又はラジカル共重合によって、プロピレン単独重合体、プロピレンとα−オレフィンとの共重合体又はこれらの混合物である、いわゆるポリプロピレン系樹脂に導入することによって得られるものである。
ここで、導入される該不飽和化合物の割合を表す変性率は、1〜30質量%程度が好ましく、3〜15質量%がより好ましい。
変性率が1%未満の場合、得られる樹脂組成物の相溶性が十分でなく、反射フィルムの引張伸びが低下する恐れがある。
【0019】
該変性ポリプロピレンの原料樹脂の1つであるプロピレンとα−オレフィンとの共重合体は、プロピレン由来の構成単位の含有量がα−オレフィン由来の構成単位の含有量に比べて多いプロピレンを主成分とする共重合体であり、該共重合体の調製に用いられるα−オレフィンとしては、プロピレンを除く炭素原子数が2〜20のα−オレフィンであって、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン等を挙げることができる。プロピレンとα−オレフィンとの共重合体は、ブロック共重合体であってもランダム共重合体であってもよく、プロピレンと複数のα−オレフィンを共重合したものであってもよい。共重合体のα−オレフィンとしてはエチレンが最も好ましい。
【0020】
前記不飽和化合物は、ビニル基、ビニレン基、不飽和環状炭化水素基などの不飽和基を持つ化合物であって、不飽和カルボン酸、又はこれらの酸無水物もしくはこれらの誘導体(例えば、酸ハライド、アミド、イミド、エステルなど)を挙げることができる。
【0021】
不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸などを挙げることができる。
これらの酸無水物もしくはこれらの誘導体の例としては、塩化マレニル、マレニルイミド、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸無水物、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸ジメチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メタクリル酸アミノエチル及びメタクリル酸アミノプロピルなどを挙げることができる。
【0022】
ポリプロピレン系樹脂にグラフト共重合又はラジカル共重合させることによって得られる変性ポリプロピレンは、これらの変性ポリプロピレンを1種又は2種以上を含んでいてもよい。
これら変性ポリプロピレンの中でも、不飽和カルボン酸として、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸を導入した、アクリル酸変性ポリプロピレン、メタクリル酸変性ポリプロピレン、マレイン酸変性ポリプロピレンが好ましい。中でもアクリル酸変性ポリプロピレンが特に好ましい。
【0023】
本発明のポリオレフィン成分(A)は、上記重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で表される分子量分布が1.5〜5.5であるポリオレフィンと上記変性ポリプロピレンとを任意の割合で混合して得ることができる。特にフィルムの延伸多孔化を均等に行うためには、該ポリオレフィン100質量部に対して変性ポリプロピレン1〜100質量部の範囲で配合したものが好ましく、5〜70質量部の範囲で配合したものがより好ましく、10〜50質量部の範囲で配合したものがさらに好ましい。 該変性ポリプロピレンの配合割合が、ポリオレフィン100質量部に対して1〜100質量部の範囲であると、樹脂組成物が適度に相溶して、得られたフィルムを延伸した際に優れた光沢度(反射性能)を発現する。
【0024】
本発明における生分解性ポリエステル成分(B)としては、ポリ乳酸系脂肪族ポリエステル、ポリカプロラクトン系脂肪族ポリエステル、微生物産生脂肪族系ポリエステル、ポリヒドロキシアルカノエイト、ポリブチレンサクシネートなどの脂肪族系ポリエステルといったいわゆる生分解性プラスチックと一般に呼ばれるもの、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの芳香族系ポリエステルや、これらの混合物を挙げることができる。
ここで、ポリヒドロキシアルカノエイトとは、ポリヒドロキシアルカン酸ともいい、ヒドロキシル基が結合したアルカン酸を構成モノマーとして、それらがエステル結合した重合体又は共重合体のことである。構成モノマーの代表的なものとしては、3−ヒドロキシ酪酸(3HB)、3−ヒドロキシ吉草酸(3HV)、4−ヒドロキシ酪酸(4HB)などが挙げられる。
【0025】
ポリ乳酸系脂肪族ポリエステルとしては、ポリラクチド類が挙げられ、具体的には、乳酸、リンゴ酸、グリコール酸等のオキシ酸の重合体又はこれらの共重合体、例えば、ポリ乳酸、ポリ(α−リンゴ酸)、ポリグリコール酸、グリコール酸−乳酸共重合体などであり、特にポリ乳酸に代表されるヒドロキシカルボン酸系脂肪族ポリエステルを挙げることができる。
【0026】
ポリカプロラクトン系脂肪族ポリエステルは、ε−カプロラクトンの開環重合により得ることができ、水不溶性高分子でありながら、多くの菌により分解されものであって、一般式:−(O(CH25CO)−で表される繰り返し単位を有する脂肪族ポリエステルである。このようなポリカプロラクトン系脂肪族ポリエステルの市販品としては、例えば、日本ユニカー株式会社販売の「トーン」(商品名)、ダイセル化学工業株式会社販売の「セルグリーン」(商品名)のPHシリーズ、CBSシリーズなどがある。
【0027】
微生物産生脂肪族系ポリエステルは、生体由来の融点をもつ熱可塑性ポリマーである。具体的には、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリ(ヒドロキシ酪酸−ヒドロキシプロピオン酸)共重合体、ポリ(ヒドロキシ酪酸−ヒドロキシ吉草酸)共重合体などが挙げられる。
【0028】
これらのポリエステルは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
本発明の反射フィルムにおいては、これら生分解性ポリエステル成分(B)のなかでもポリ乳酸を用いることが好ましく、特に、ポリ乳酸がD体又はL体のいずれか1の光学異性体を95質量%以上含む高結晶性のポリ乳酸がより好ましい。高結晶性のポリ乳酸を用いると、得られる反射フィルムの光線反射性能を向上させることができる。
【0030】
本発明のポリオレフィン成分(A)と、生分解性ポリエステル成分(B)とを含む樹脂組成物には、さらに、カルボジイミド化合物を添加することができる。このカルボジイミド化合物を添加することにより、上記ポリオレフィン成分(A)と上記生分解性ポリエステル成分(B)との相溶化を調整し、さらには、フィルムに耐加水分解性や耐湿熱安定性を付与することができる。カルボジイミド化合物はその分子中にカルボジイミド基を1個以上有する化合物であって、例えば、N,N’−フェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドなどを挙げることができる。
これらのカルボジイミド化合物は、例えば、触媒として有機リン系化合物又は有機金属化合物を用い、各種ポリイソシアネートを約70℃以上の温度で、無溶媒又は不活性溶媒中で脱炭酸縮合反応を行うことより合成することができる。
【0031】
カルボジイミド基を2個以上有するポリカルボジイミド化合物としては、基本的には、従来のポリカルボジイミド化合物の製造方法[例えば、米国特許第2941956号明細書、特公昭47−33279号公報、J.0rg.Chem.28,2069−2075(1963)、Chemical Review l981,Vol.81 No.4、p619−621]により、製造されたものを用いることができる。
【0032】
本発明において用いられるポリカルボジイミド化合物の製造における合成原料である有機ジイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートやこれらの混合物を使用することができる。芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタ
ンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−イソプロピルフェニルジイソシアネート、1,3,5−トリイソプロヒルベンゼン−2,4−ジイソシアネート等を挙げることができる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、へキサメチレンジイソシアネート等を例示することができる。脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0033】
本発明におけるポリカルボジイミド化合物として、上記ジイソシアネートを原料としたポリカルボジイミド化合物のうち、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートやこれらの混合物を使用した脂肪族ポリカルボジイミド化合物を用いると、耐加水分解性や耐湿熱安定性に加えて、耐光性の点でも優れた反射フィルムを得ることができる。
【0034】
また、上記ポリカルボジイミド化合物の場合は、重合反応を冷却等により、途中で停止させ、適当な重合度に制御することができる。この場合、末端はイソシアネートとなる。
更に、適当な重合度に制御するには、モノイソシアネート等の、ポリカルボジイミド化合物の末端イソシアネートと反応する化合物を用いて、残存する末端イソシアネートの全て、又は、一部を封止する方法もある。重合度を制御することにより、ポリマーへの相溶性向上や保存安定性を高めたりすることなどができ、品質向上の点で好ましい。このようなポリカルボジイミド化合物の末端を封止してその重合度を制御するためのモノイソシアネートとしては、例えば、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート等を挙げることができる。
【0035】
このポリカルボジイミド化合物の末端を封止してその重合度を制御する末端封止剤としては、上記モノイソシアネートに限定されることはなく、イソシアネートと反応し得る活性水素化合物、例えば、(i)脂肪族、芳香族又は脂環族化合物であって、−OH基を有するメタノール、エタノール、フェノール、シクロヘキサノール、N−メチルエタノールアミン、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル;(ii)=NH基を有するジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン;(iii)−NH2基を有するブチルアミン、シクロヘキシルアミン;(iv)−COOH基を有するコハク酸、安息香酸、シクロヘキサン酸;(v)−SH基を有するエチルメルカプタン、アリルメルカプタン、チオフェノール;(vi)エポキシ基を有する化合物;(vii)無水酢酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等を例示することができるが、黄変が少ない構造のものとしては、−OH基を有するものが望ましい。
【0036】
上記有機ジイソシアネートの脱炭酸縮合反応は、適当なカルボジイミド化触媒の存在下で行うものであり、使用し得るカルボジイミド化触媒としては、有機リン系化合物、有機金属化合物(一般式M−(OR)4[Mは、チタン(Ti)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、鉛(Pb)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、カルシウム(Ca)やバリウム(Ba)等を、Rは、炭素原子数1〜20までのアルキル基又はアリール基を示す]で表されるもの)、有機カルボン酸金属等を挙げることができる。中でも活性の面から、有機リン系化合物ではフォスフォレンオキシド類が、有機金属化合物ではチタン、ハフニウム、ジルコニウムのアルコキシド類が、有機カルボン酸金属ではオクチル酸スズなどの有機カルボン酸スズ類が好適である。
【0037】
上記フォスフォレンオキシド類としては、具体的には、3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシド、3−メチル−1−エチル−2−フォスフォレン−1−オキシド、1,3−ジメチル−2−フォスフォレン−1−オキシド、1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシド、1−エチル−2−フォスフォレン−1−オキシド、1−メチル−2−フォスフォレン−1−オキシド又はこれらの二重結合異性体を例示することができ、中でも工業的に入手の容易な3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシドが特に好ましい。
【0038】
本発明にあっては、上記カルボジイミド化合物に加えて、さらに、カルボジイミド化合物以外の相溶化剤を加えてもよい。係る相溶化剤としては、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、グラフトコポリマーに限らず、分子中にポリオレフィンに本質的に溶解できるか、又は親和性を有する部分と、ポリエステルに本質的に溶解できるか、又は親和性を有する部分とを有するポリマーを挙げることができる。具体的には、例えば、スチレン−エチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、水添スチレン−プロピレン−スチレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエンランダム共重合体等が挙げられる。
そのほかの相溶化剤となるポリマーとしては、二重結合、カルボキシル基、エポキシ基などを有する反応性の相溶化剤であってもよい。具体的には、エチレングリシジルメタクリレート共重合体、エチレングリシジルメタクリレート−ビニルアルコール共重合体、エチレングリシジルメタクリレート共重合体、エチレン無水マレイン酸エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、マレイン酸グラフトポリエチレン、エチレングリシジルメタクリレート−アクリロニトリルスチレン、エチレングリシジルメタクリレート−ポリスチレン、エチレングリシジルメタクリレート−ポリメチルメタクリレート、酸変性型ポリエチレンワックス、COOH化ポリエチレングラフトポリマー、COOH化ポリプロピレングラフトポリマーなどが挙げられる。
【0039】
本発明の反射フィルムを得るための樹脂組成物を構成する各成分の配合割合としては、まず、上記ポリオレフィン成分(A)と上記生分解性ポリエステル成分(B)との配合割合は、ポリオレフィン成分(A)100質量部に対して、生分解性ポリエステル成分(B)は40〜240質量部であり、好ましくは80〜150質量部、より好ましくは90〜110質量部である。ポリオレフィン成分(A)100質量部に対して、生分解性ポリエステル成分(B)が40質量部以上であると、フィルムの光線を反射する性能が向上する。生分解性ポリエステル成分(B)が240質量部以下であると、フィルムの機械物性が向上する。
また、上記カルボジイミド化合物は前記ポリオレフィン成分(A)と生分解性ポリエステル成分(B)を合わせた樹脂成分100質量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましい。
【0040】
本発明のポリオレフィン成分(A)と、生分解性ポリエステル成分(B)とを含む樹脂組成物には、必要に応じて補助的に、光線を反射するためのフィラーを添加することもできる。このフィラーとしては有機質フィラー、無機質フィラー等が挙げられる。有機質フィラーとしては、木粉、パルプ粉等のセルロース系粉末や、ポリマービーズ、ポリマー中空ビーズ等から選ばれた少なくとも1種を用いることができる。
無機質フィラーとしては、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、マイカ、タルク、カオリン、クレー、ガラス粉、アスベスト粉、ゼオライト、珪酸白土等から選ばれた少なくとも1種を用いることができる。これらフィラーのうち酸化チタンを用いると、酸化チタンの屈折率が高いので樹脂組成物中で樹脂との屈折率の差が大きくなり、得られる反射フィルムの光線反射性能をより高めることができる。フィラーとして硫酸バリウムを用いると、硫酸バリウムはアルカリや酸に対して安定なので、反射フィルムの光線反射性能をより高めるとともにフィルムの長期安定性を向上させることができる。
【0041】
これらフィラーの平均粒径は、0.1〜5μmの範囲が好ましく、0.1〜2μmの範囲がより好ましい。
これらフィラーの配合量は、本発明のフィルム自体がフィラーを添加しなくとも光線反射性能が高いことから、フィラーの添加でフィルムの表面性状や機械的物性に影響がない程度の量にとどめておくことが好ましい。フィラーの配合は、ポリオレフィン成分(A)と生分解性ポリエステル成分(B)とからなる樹脂組成物を調製する際に添加すればよい。
さらに、本発明の反射フィルムにあっては、光線反射性能をより高めるために、該フィルム表面に、光線を反射するための塗布層を補助的に設けてもよい。
【0042】
本発明の反射フィルムの製造において、ポリオレフィン成分(A)、生分解性ポリエステル成分(B)及びカルボジイミド化合物を加えて混合する方法は、特に限定はない。一般的な方法としては、例えば、ポリオレフィン成分(A)と生分解性ポリエステル成分(B)とカルボジイミド化合物のチップのそれぞれ所定量をリボンブレンダー、タンブラーミキサー、ヘンシェルミキサー(商品名)等で混合し、次いでバンバリーミキサー、1軸又は2軸押出機を用いて、例えば、150〜300℃の温度で混練し、ダイス温度150〜300℃のTダイから押し出してフィルム状の樹脂組成物を得ればよい。
【0043】
前記フィルム状樹脂組成物を延伸する方法にも、特に限定はない。例えば2軸延伸法としては、ロール延伸により縦方向に延伸し、次いでテンターで幅方向(横方向)に延伸する方法、テンターで同時に2軸延伸する方法などが挙げられる。この延伸操作においては、フィルム状樹脂組成物、例えばポリオレフィンにポリプロピレンを用い、生分解性ポリエステル成分(B)にポリ乳酸を用いた場合には、樹脂組成物のガラス転移点付近の温度でフィルム状樹脂組成物を予熱し、保温もしくは加温した状態で延伸するとよい。予熱及び保温・加温の温度範囲は60〜120℃程度であり、好ましくは90〜110℃、より好ましくは95〜105℃である。
延伸倍率は縦横ともに1.5〜5倍程度、好ましくは1.8〜3倍である。縦横の延伸倍率は、それぞれ異なっていてもよい。さらに延伸後のフィルムは、定法により、冷却して収縮応力を調整するとよい。
本発明の反射フィルムの厚みは、延伸倍率を考慮して上記フィルム状樹脂組成物の厚みを設定することで、所望の厚みに調整することができる。本発明の反射フィルムは30〜200μmの厚みに調整することができる。
【0044】
上記のようにして、樹脂成分のみからなるフィルムであっても光線反射性能に優れ、強度物性にも優れた本発明の高い反射性能を有する反射フィルムを得ることができる。さらに、本発明の反射フィルムは、単独で、もしくは他のフィルムや支持体に積層、複合化するなどして、液晶表示装置のバックライトユニットを形成する反射シートや照明器具、照明用看板などの反射シートとして用いることができる。本発明の反射フィルムは機械的物性に優れているので、加工や取り回しが容易であり、本発明の反射フィルム単独で反射シートとして用いることができる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
なお、得られた反射フィルムの光線反射性能はJIS Z 8741に準じて鏡面光沢度を測定することにより評価した。耐候(光)性はウェザーメーターによる耐候(光)性試験前後でのフィルムの強度から、強度保持率を求めることにより評価した。
(1)鏡面光沢度(反射性能)
日本電色工業(株)製ハンディ光沢計「PG−1M」を用いて、フィルム表面の任意の5箇所の60度鏡面光沢を測定し、それらの値の平均値をフィルムの光沢度(単位:%)とした。
(2)引張強度の測定
JIS K 7127「プラスチックフィルム及びシートの引張試験方法」に準拠して、試験速度が5mm/分の条件で、得られたフィルムの引張強度(単位:MPa)を測定した。
(3)耐光性試験
スガ試験機(株)製の耐候(光)試験機「スーパーウェザーメーターSC750−WN」を用い、以下の条件でフィルムにキセノン光を照射した。
B.P.T.(ブラックパネル温度):63℃
湿度:50%
照度:150W/m2
照射時間:500時間
上記照射前と後のフィルムの引張破断点強度を測定し、以下の式から強度保持率を算出して、フィルムの耐光性を判断した。
強度保持率(%)=500時間照射後の引張破断点強度/照射前の引張破断点強度×100
強度保持率80%以上 :耐光性 A
50%以上80%未満 : B
50%未満 : C
【0046】
実施例1
ポリオレフィン成分(A)として、アイソタクティックエチレンプロピレン共重合体ペレット(分子量分布:2.8、MFR:7.0g/10分、日本ポリプロ(株)製「ウィンテック(登録商標)WFX4」)80質量部、アクリル酸変性ポリプロピレン(クロンプトン社製「ポリボンド1002」)20質量部、生分解性ポリエステル成分(B)としてポリ乳酸ペレット(三井化学(株)製「レイシア(登録商標)H−400」、L体98質量%以上)90質量部、ポリカルボジイミド化合物として脂肪族ポリカルボジイミド(日清紡績(株)製「カルボジライト(登録商標)LA−1」)4質量部をヘンシェルミキサー(商品名)で混合し、2軸押出機を用いて210℃で押し出して樹脂組成物ペレットを得た。得られた樹脂組成物ペレットを、押出機を用いて200℃でTダイから押し出して厚み200μmのフィルム状の樹脂組成物を得た。
得られたフィルム状の樹脂組成物を100℃に予熱後、加熱したロールで流れ方向(縦方向)に同温度で3倍に延伸し、次いでテンターで幅方向(横方向)に3倍に延伸して厚み100μmの高反射フィルムを得た。得られた高反射フィルムの鏡面光沢度、引張強度及び耐光性を評価し、その結果を表1に示した。
【0047】
実施例2
ポリ乳酸ペレットを96質量部とした以外は実施例1に準拠して、フィルム状の樹脂組成物を得、そのフィルム状の樹脂組成物を延伸して高反射フィルムを得た。得られた高反射フィルムの鏡面光沢度、引張強度及び耐光性を評価し、その結果を表1に示した。
【0048】
実施例3
ポリ乳酸ペレットを110質量部とした以外は実施例1に準拠して、フィルム状の樹脂組成物を得、そのフィルム状の樹脂組成物を延伸して高反射フィルムを得た。得られた高反射フィルムの鏡面光沢度、引張強度及び耐光性を評価し、その結果を表1に示した。
【0049】
実施例4
アイソタクティックエチレンプロピレン共重合体ペレットを60質量部、アクリル酸変性ポリプロピレンを40質量部とした以外は実施例2に準拠して、フィルム状の樹脂組成物を得、そのフィルム状の樹脂組成物を延伸して高反射フィルムを得た。得られた高反射フィルムの鏡面光沢度、引張強度及び耐光性を評価し、その結果を表1に示した。
【0050】
実施例5
ポリカルボジイミド化合物を2質量部とした以外は実施例2に準拠して、フィルム状の樹脂組成物を得、そのフィルム状の樹脂組成物を延伸して高反射フィルムを得た。得られた高反射フィルムの鏡面光沢度、引張強度及び耐光性を評価し、その結果を表1に示した。
【0051】
実施例6
アクリル酸変性ポリプロピレン20質量部を無水マレイン酸変性ポリプロピレン(クロンプトン社製「ポリボンド3200」)20質量部とした以外は実施例2に準拠して、フィルム状の樹脂組成物を得、そのフィルム状の樹脂組成物を延伸して高反射フィルムを得た。得られた高反射フィルムの鏡面光沢度、引張強度及び耐光性を評価し、その結果を表1に示した。
【0052】
実施例7
アイソタクティックエチレンプロピレン共重合体ペレット(分子量分布:2.8、MFR:7.0g/10分、日本ポリプロ(株)製「ウィンテック(登録商標)WFX4」)を60質量部、アクリル酸変性ポリプロピレン20質量部を無水マレイン酸変性ポリプロピレン40質量部とした以外は実施例2に準拠して、フィルム状の樹脂組成物を得、そのフィルム状の樹脂組成物を延伸して高反射フィルムを得た。得られた高反射フィルムの鏡面光沢度、引張強度及び耐光性を評価し、その結果を表1に示した。
【0053】
実施例8
ポリカルボジイミド化合物を使用しない以外は実施例2に準拠して、フィルム状の樹脂組成物を得、そのフィルム状の樹脂組成物を延伸して高反射フィルムを得た。得られた高反射フィルムの鏡面光沢度、引張強度及び耐光性を評価し、その結果を表1に示した。
【0054】
実施例9
分子量分布が3.7のプロピレン・エチレンランダム共重合体ペレット(MFR:9.0g/10分、日本ポリプロ(株)製「ノバテック(登録商標)F409ET」)を用いた以外は実施例2に準拠して、フィルム状の樹脂組成物を得、そのフィルム状の樹脂組成物を延伸して高反射フィルムを得た。得られた高反射フィルムの鏡面光沢度、引張強度及び耐光性を評価し、その結果を表1に示した。
【0055】
実施例10
分子量分布が5.5のプロピレンホモポリマーペレット(MFR:2.5g/10分、日本ポリプロ(株)製「ノバテック(登録商標)F203T」)を用いた以外は実施例2に準拠して、フィルム状の樹脂組成物を得、そのフィルム状の樹脂組成物を延伸して高反射フィルムを得た。得られた高反射フィルムの鏡面光沢度、引張強度及び耐光性を評価し、その結果を表1に示した。
【0056】
比較例1
アクリル酸変性ポリプロピレン20質量部をエポキシ変性ポリエチレン(住友化学(株)製「ボンドファースト(登録商標)7B」)20質量部とした以外は実施例5に準拠して、フィルム状の樹脂組成物を得、そのフィルム状の樹脂組成物を延伸してフィルムを得た。得られたフィルムの鏡面光沢度、引張強度及び耐光性を評価し、その結果を表1に示した。
【0057】
比較例2
アクリル酸変性ポリプロピレン20質量部をアクリル酸変性ポリエチレン(住友化学(株)製「アクリフト(登録商標)WD301」)20質量部とした以外は実施例2に準拠して、フィルム状の樹脂組成物を得、そのフィルム状の樹脂組成物を延伸してフィルムを得た。得られたフィルムの鏡面光沢度、引張強度及び耐光性を評価し、その結果を表1に示した。
【0058】
比較例3
ポリオレフィン成分(A)をアイソタクティックエチレンプロピレン共重合体ペレット(分子量分布:2.8、MFR:7.0g/10分、日本ポリプロ(株)製「ウィンテック(登録商標)WFX4」)100質量部のみとした以外は実施例2に準拠して、フィルム状の組成物を得、そのフィルム状の組成物を延伸してフィルムを得た。得られたフィルムの鏡面光沢度、引張強度及び耐光性を評価し、その結果を表1に示した。
【0059】
比較例4
さらにポリカルボジイミド化合物を使用しない以外は比較例3に準拠して、フィルム状の樹脂組成物を得、そのフィルム状の樹脂組成物を延伸してフィルムを得た。得られたフィルムの鏡面光沢度、引張強度及び耐光性を評価し、その結果を表1に示した。
【0060】
比較例5
「トヨパール」(登録商標)−SSフィルムP4256(東洋紡績株式会社製、厚み50μm)の鏡面光沢度及び引張強度を測定した。その結果、鏡面光沢度は30%、引張強度は49MPaであった。
ここで、「トヨパール」(登録商標)−SSは、東洋紡績株式会社が独自で開発した真珠光沢を有し、内部が微小の空洞状のポリプロピレン系二軸延伸フィルムであって、パールフィルムとして知られているものである。
【0061】
【表1】

【0062】
表1から明らかなように、樹脂組成が、ポリオレフィン成分(A)100質量部に対して、生分解性ポリエステル成分(B)が40〜240質量部の範囲であると、得られたフィルムの光沢度が40以上となり、フィラーを混合しなくとも光線反射性能が非常に優れていることが分かる。また、脂肪族ポリカルボジイミド化合物を含むフィルムは耐光性に優れ、中でもさらにマレイン酸変性ポリプロピレンを含むフィルムが特に耐光性が優れていることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィンと、変性ポリプロピレンとからなるポリオレフィン成分(A)100質量部に対して、生分解性ポリエステル成分(B)40〜240質量部を含む樹脂組成物を製膜、延伸してなる反射フィルム。
【請求項2】
ポリオレフィンが、プロピレン単独重合体又はプロピレンとエチレンもしくは炭素原子数4〜20のオレフィンとの共重合体である請求項1に記載の反射フィルム。
【請求項3】
ポリオレフィンが、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で表される分子量分布1.5〜5.5を有するものである請求項1又は2に記載の反射フィルム。
【請求項4】
変性ポリプロピレンが、アクリル酸変性ポリプロピレン、メタクリル酸変性ポリプロピレン及びマレイン酸変性ポリプロピレンの中から選ばれる1種以上を含む変性ポリプロピレンである請求項1〜3のいずれか1項に記載の反射フィルム。
【請求項5】
生分解性ポリエステル成分(B)が、D体又はL体のいずれか1つの光学異性体を95質量%以上含有するポリ乳酸である請求項1に記載の反射フィルム。
【請求項6】
前記組成物が、ポリオレフィン成分(A)と生分解性ポリエステル成分(B)の合計100質量部に対して、さらに、ポリカルボジイミド化合物を0.1〜5質量部含むものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の反射フィルム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の反射フィルムからなるバックライト用反射シート。

【公開番号】特開2008−242038(P2008−242038A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−81863(P2007−81863)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000004374)日清紡績株式会社 (370)
【Fターム(参考)】