説明

反応性シリル基を有する2,2’−ビピリジン誘導体、その製造方法及び遷移金属錯体

【解決手段】一般式(1)で表される2,2’−ビピリジン誘導体。


(R1、R2は1価炭化水素基、オルガノキシ基、アシロキシ基、水酸基、ハロゲン原子、水素原子、メルカプト基、アミノ基、シアノ基、シアナート基、イソシアナート基、チオシアナート基、イソチオシアナート基から選択される置換基、R3は1価脂肪族不飽和炭化水素基、オルガノキシ基、アルコキシ基、アシロキシ基、水酸基、ハロゲン原子、水素原子、メルカプト基、アミノ基、シアノ基、シアナート基、イソシアナート基、チオシアナート基、イソチオシアナート基から選択される置換基、R4はR123Siで表される反応性シリル基、1価炭化水素基、又は水素原子、R5、R6、R7、R8は1価炭化水素基又は水素原子。)
【効果】本発明の2,2’−ビピリジン誘導体は、担持型の遷移金属錯体配位子として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属錯体配位子として有用な新規な反応性シリル基を有する2,2’−ビピリジン誘導体、その製造方法及び遷移金属錯体に関する。
【背景技術】
【0002】
2,2’−ビピリジン誘導体は種々の金属に対しキレート性配位子として働き、容易に多種多様な金属錯体を形成することができる。このような金属錯体は、ビピリジン環上に適当な置換基を導入することによりその酸化還元電位や分子軌道等を調整することが可能であり、工業的に有用な化合物である。中でも2,2’−ビピリジン誘導体を配位子とする遷移金属錯体は様々な応用がなされている。例えば、特許文献1(特開2007−304091号公報)には、ルテニウム錯体やオスミウム錯体の電気化学活性を利用した遺伝子検出方法が開示されている。特許文献2(特許第3731752号公報)には、ルテニウム錯体が色素増感太陽電池に使用できることが示されており、末端に位置するカルボキシル基が酸化チタン粒子と化学結合することで、多孔質膜に固定され、可視光のほぼ全域に吸収を有し、高い変換効率を示すことが記載されている。また、特許文献3(特開2001−64641号公報)には、発光材料としてルテニウム錯体が開示されている。更に、特許文献4(特開平9−234374号公報)には、ルテニウム錯体及びマンガン錯体が酸化触媒として使用できることが示されており、特許文献5(特開平6−247880号公報)には、鉄、コバルト、ルテニウム等の錯体を共役ジオレフィンの環化二量化触媒として使用する方法が開示されている。
【0003】
ここで、例えば上記特許文献5の実施例においては、遷移金属錯体触媒を反応基質に対して0.5モル%使用して均一系で反応を行っている。遷移金属錯体は一般的に高価であるので、反応終了後に回収し、再利用できることが工業的な観点からは好ましい。シリカゲルやアルミナ等の無機固体又は有機高分子に予め固定化した遷移金属錯体を反応に用いれば、反応終了後に遷移金属錯体を簡単に分離し再利用することができる。これら固体担体に遷移金属錯体を担持するには、担体と強固に結合することができる反応性基を有する配位子を用いればよい。そのような反応性基の例としてシリル基があり、水酸基等担体上の種々の置換基と反応させることができる。例えば非特許文献1(Tetrahedron Letters 1998年,39巻4359−4362頁)には、モンモリロナイトにルテニウムビピリジン錯体を、シリル基を用いて固定し、酸化触媒として用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−304091号公報
【特許文献2】特許第3731752号公報
【特許文献3】特開2001−64641号公報
【特許文献4】特開平9−234374号公報
【特許文献5】特開平6−247880号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Tetrahedron Letters 1998年,39巻4359−4362頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記非特許文献1で使用されている配位子は6位がシリル基で置換されたビピリジンであるが、このような配位子を用いると特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載されたようなビス(ビピリジン)錯体やトリス(ビピリジン)錯体を形成させることは6位の置換基の立体障害のため困難であった。そのため、多様な遷移金属錯体を固体に担持することができる新規な配位子の開発が望まれていた。また、前記特許文献2では遷移金属錯体と固体担体の電子的相互作用を利用しており、担体から近い位置に遷移金属錯体を固定できる配位子が望まれていた。
【0007】
本発明は、上記要望に応えたもので、担持金属錯体用の配位子として有用な2,2’−ビピリジン誘導体とその製造方法、及びこれらを用いた遷移金属錯体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を達成するため鋭意検討を行った結果、5−位に反応性シリル基を有する新規な2,2’−ビピリジン誘導体、その製造方法及びこれらを用いた遷移金属錯体等を見出し、本発明をなすに至った。
【0009】
即ち、本発明は、下記の2,2’−ビピリジン誘導体、その製造方法及びこれらを配位子として有する遷移金属錯体を提供する。
[1]
下記一般式(1)で表される反応性シリル基を有する2,2’−ビピリジン誘導体。
【化1】


(式中、R1、R2はそれぞれ独立に置換又は非置換の炭素数1〜10の1価炭化水素基、置換又は非置換の炭素数1〜10のオルガノキシ基、置換又は非置換の炭素数1〜10のアシロキシ基、水酸基、ハロゲン原子、水素原子、メルカプト基、置換又は非置換のアミノ基、シアノ基、シアナート基、イソシアナート基、チオシアナート基、イソチオシアナート基から選択される置換基を表す。R3は置換又は非置換の炭素数2〜10の1価脂肪族不飽和炭化水素基、置換又は非置換の炭素数1〜10のオルガノキシ基、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数1〜10のアシロキシ基、水酸基、ハロゲン原子、水素原子、メルカプト基、置換又は非置換のアミノ基、シアノ基、シアナート基、イソシアナート基、チオシアナート基、イソチオシアナート基から選択される置換基を表す。R4はR123Siで表される反応性シリル基、置換又は非置換の炭素数1〜10の1価炭化水素基、又は水素原子を表し、R5、R6、R7、R8は同一でも異なってもよく、それぞれ置換又は非置換の炭素数1〜10の1価炭化水素基又は水素原子を表す。)
[2]
上記一般式(1)において、R1及びR2がメチル基又はイソプロピル基である[1]記載の反応性シリル基を有する2,2’−ビピリジン誘導体。
[3]
下記一般式(2)で表される5−ハロ−2,2’−ビピリジン誘導体から生成させた5−メタロ−2,2’−ビピリジン誘導体と、下記一般式(3)で表されるケイ素化合物を反応させることによる[1]記載の一般式(1)において、R4が置換又は非置換の炭素数1〜10の1価炭化水素基、又は水素原子である反応性シリル基を有する2,2’−ビピリジン誘導体の製造方法。
【化2】


(式中、Halは塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表し、R4aは置換又は非置換の炭素数1〜10の1価炭化水素基、又は水素原子、R5、R6、R7、R8は[1]記載の式(1)で定義したものと同じ置換基を表す。)
XSiR123 (3)
(式中、Xはハロゲン原子、又は炭素数1〜10のオルガノキシ基を表し、R1、R2、R3は式(1)で定義したものと同じ置換基を表す。)
[4]
下記一般式(4)で表される5,5’−ジハロ−2,2’−ビピリジン誘導体から生成させた5,5’−ジメタロ−2,2’−ビピリジン誘導体と、[3]記載の一般式(3)で表されるケイ素化合物を反応させることによる[1]記載の一般式(1)において、R4がSiR123である反応性シリル基を有する2,2’−ビピリジン誘導体の製造方法。
【化3】


(式中、Halは塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表し、R5、R6、R7、R8は[1]記載の式(1)で定義したものと同じ置換基を表す。)
[5]
[1]又は[2]記載の反応性シリル基を有する2,2’−ビピリジン誘導体を少なくとも一つ配位子として有する遷移金属錯体。
[6]
遷移金属が、マンガン、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅の中から選ばれる[5]記載の遷移金属錯体。
[7]
下記一般式(5)で表される[5]記載の遷移金属錯体。
(X)mM(L1n(L2p (5)
[式中、Mはマンガン、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅から選ばれる遷移金属である。mは0〜3の整数であり、Xはハロゲン原子、チオシアナート基、チオイソシアナート基、水酸基、シアノ基、シアナート基、イソシアナート基、カルボニル基の中から独立して選択される。nは1〜3の整数であり、L1は[1]記載の一般式(1)で表される反応性シリル基を有する2,2’−ビピリジン誘導体を表す。pは0〜2の整数であり、L2は下記一般式(6)
【化4】


(式中、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16は同一でも異なってもよく、それぞれ置換又は非置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基又は水素原子を表す。但し、n+pは1〜3の整数である。)
で表される2,2’−ビピリジン誘導体を示す。]
[8]
[5]〜[7]のいずれかに記載の遷移金属錯体を使用した担持型遷移金属触媒。
[9]
[5]〜[7]のいずれかに記載の遷移金属錯体を使用した色素増感型光電変換素子。
[10]
[5]〜[7]のいずれかに記載の遷移金属錯体を使用した電気化学素子。
[11]
[5]〜[7]のいずれかに記載の遷移金属錯体を使用した発光材料。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、新規な反応性シリル基を有する2,2’−ビピリジン誘導体とその製造法及びこれらを用いた遷移金属錯体が提供される。本発明の2,2’−ビピリジン誘導体は、担持型の遷移金属錯体配位子として有用である。
【0011】
また、本発明の2,2’−ビピリジン誘導体を配位子とする遷移金属錯体は、触媒や電気化学デバイス等に使用することが可能な担持型の遷移金属錯体としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例5で得られた化合物のIRスペクトルである。
【図2】実施例6で得られた化合物のIRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の反応性シリル基を有する2,2’−ビピリジン誘導体は、下記一般式(1)で表される。
【化5】

【0014】
上記一般式(1)において、R1及びR2はそれぞれ独立に置換又は非置換の炭素数1〜10の1価炭化水素基、置換又は非置換の炭素数1〜10のオルガノキシ基、置換又は非置換の炭素数1〜10のアシロキシ基、水酸基、ハロゲン原子、水素原子、メルカプト基、置換又は非置換のアミノ基、シアノ基、シアナート基、イソシアナート基、チオシアナート基、イソチオシアナート基から選択される置換基を表す。R3は置換又は非置換の炭素数2〜10の1価脂肪族不飽和炭化水素基、置換又は非置換の炭素数1〜10のオルガノキシ基、置換又は非置換の炭素数1〜10のアシロキシ基、水酸基、ハロゲン原子、水素原子、メルカプト基、置換又は非置換のアミノ基、シアノ基、シアナート基、イソシアナート基、チオシアナート基、イソチオシアナート基から選択される置換基を表す。
【0015】
ここで、R1及びR2の1価炭化水素基としては、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられ、R3の1価脂肪族不飽和炭化水素基としてはアルケニル基等が挙げられ、オルガノキシ基としてはアルコキシ基、アルケニロキシ基、アリーロキシ基、アラルキルオキシ基等が挙げられ、またこれらの基の水素原子の1個又はそれ以上がハロゲン原子等によって置換したものも挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。置換アミノ基としてはアミノ基の水素原子の1個又は2個を上記1価炭化水素基で置換したものが挙げられる。
【0016】
1及びR2の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、へキシル基、シクロへキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ビニル基、アリル基、メタリル基、ブテニル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、フェニルオキシ基、アセトキシ基、トリフルオロアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基、水酸基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、水素原子、メルカプト基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、シアノ基、シアナート基、イソシアナート基、チオシアナート基、イソチオシアナート基等が挙げられる。R3の例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、アセトキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、水素原子、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、イソシアナート基、チオシアナート基、イソチオシアナート基、水酸基、アリル基、ビニル基、ベンジルオキシ基、2−フェニルエトキシ基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。
【0017】
上記一般式(1)において、R123Siで表されるシリル基は、ケイ素置換基のうち少なくとも一つが反応性を有している反応性のシリル基である。R123Si基の具体例としては、トリエトキシシリル基、トリメトキシシリル基、ジメチルシリル基、ジイソプロピルシリル基、ジエチルシリル基、ジメチルシラノール基、ジエチルシラノール基、ジイソプロピルシラノール基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基、ジメチルクロロシリル基、ジエチルクロロシリル基、ジヘキシルクロロシリル基、ジイソプロピルクロロシリル基、メチルジクロロシリル基、シクロヘキシルジクロロシリル基、シクロペンチルジクロロシリル基、トリビニルシリル基、トリアリルシリル基等が挙げられる。
【0018】
上記一般式(1)において、R4は、上記と同じR123Siで表される反応性シリル基、置換又は非置換の炭素数1〜10の1価炭化水素基、又は水素原子を表し、R5、R6、R7、R8は同一でも異なってもよく、それぞれ置換又は非置換の炭素数1〜10の1価炭化水素基又は水素原子を表す。この1価炭化水素基としては、上記R1と同様に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等や、これらの水素原子の1個又はそれ以上をハロゲン原子等で置換したものが挙げられる。R4、R5、R6、R7、R8の例としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、フェニル基、トリル基、ビニル基、アリル基、トリエトキシシリル基、トリメトキシシリル基、ジメチルシリル基、ジイソプロピルシリル基、ジエチルシリル基、ジメチルシラノール基、ジエチルシラノール基、ジイソプロピルシラノール基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基、ジメチルクロロシリル基、ジエチルクロロシリル基、ジヘキシルクロロシリル基、ジイソプロピルクロロシリル基、メチルジクロロシリル基、シクロヘキシルジクロロシリル基、シクロペンチルジクロロシリル基、トリビニルシリル基、トリアリルシリル基等が挙げられる。
【0019】
上記一般式(1)で表される化合物の具体例としては、5−ジメチルシリルビピリジン、5−ジメチルビニルシリル−2,2’−ビピリジン、5−ジメチルエトキシシリル−2,2’−ビピリジン、5−ジメチルイソプロポキシ−2,2’−ビピリジン、5−ジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン、5−ジフェニルシリル−2,2’−ビピリジン、5−ジエチルシリル−2,2’−ビピリジン、5−トリエトキシシリル−2,2’−ビピリジン、5−ジへキシルシリル−2,2’−ビピリジン、5−ブロモジブチル−2,2’−ビピリジン、5−ジメチルメルカプトシリル−2,2’−ビピリジン、5−メチルエトキシエチルシリル−2,2’−ビピリジン、5−ジプロピルイソブトキシシリル−2,2’−ビピリジン、5−ジメチルプロポキシ−2,2’−ビピリジン、5−アリルジメチルシリル−2,2’−ビピリジン、5−ヒドロキシジメチルシリル−2,2’−ビピリジン、5−(ヒドロキシジイソプロピルシリル)−2,2’−ビピリジン、5−(ヒドロキシジエチルシリル)−2,2’−ビピリジン、5−(ヒドロキシジヘキシルシリル)−2,2’−ビピリジン、5,5’−ビス(ジメチルシリル)−2,2’−ビピリジン、5,5’−ビス(ジメチルビニルシリル)−2,2’−ビピリジン、5,5’−ビス(ジメチルエトキシシリル)−2,2’−ビピリジン、5,5’−ビス(ジメチルイソプロポキシシリル)−2,2’−ビピリジン、5,5’−ビス(ジイソプロピルシリル)−2,2’−ビピリジン、5,5’−ビス(ジフェニルシリル)−2,2’−ビピリジン、5,5’−ビス(ジエチルシリル)−2,2’−ビピリジン、5,5’−ビス(トリエトキシシリル)−2,2’−ビピリジン、5,5’−ビス(ジへキシルシリル)−2,2’−ビピリジン、5,5’−ビス(ブロモジブチルシリル)−2,2’−ビピリジン、5,5’−ビス(ジメチルメルカプトシリル)−2,2’−ビピリジン、5,5’−ビス(メチルエトキシエチルシリル)−2,2’−ビピリジン、5,5’−ビス(ジプロピルイソブトキシシリル)−2,2’−ビピリジン、5,5’−ビス(ジメチルプロポキシ)−2,2’−ビピリジン、5,5’−ビス(アリルジメチルシリル)−2,2’−ビピリジン、5,5’−ビス−(ヒドロキシジメチルシリル)−2,2’−ビピリジン、5,5’−ビス(ヒドロキシジイソプロピルシリル)−2,2’−ビピリジン、5,5’−ビス(ヒドロキシジエチルシリル)−2,2’−ビピリジン、5,5’−ビス(ヒドロキシジヘキシルシリル)−2,2’−ビピリジン、5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−5’−ジメチルビニルシリル−2,2’−ビピリジン、5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−5’−ジメチルアリルシリル−2,2’−ビピリジン等が挙げられる。
【0020】
本発明の一般式(1)で表される化合物の製造方法は、特に制限されないが、式(1)において、R4が1価炭化水素基又は水素原子の場合、例えば一般式(2)で表される5−ハロ−2,2’−ビピリジン誘導体と金属又は有機金属を反応させ、5−メタロ−2,2’−ビピリジンを調製し、これを一般式(3)で表されるケイ素化合物と反応させるものである。
【化6】


XSiR123 (3)
【0021】
上記一般式(2)において、Halは塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表す。R4aは置換又は非置換の炭素数1〜10の1価炭化水素基、又は水素原子、R5、R6、R7、R8は上記の通り、置換又は非置換の炭素数1〜10の1価炭化水素基、又は水素原子を表す。R4a、R5、R6、R7、R8の例としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、フェニル基、トリル基、ビニル基、アリル基等が挙げられる。
【0022】
上記一般式(2)で表される化合物の具体例としては、5−クロロビピリジン、5−ブロモ−2,2’−ビピリジン、5−ヨード−2,2’−ビピリジン、3−メチル−5−ブロモ−2,2’−ビピリジン、4−メチル−5−ブロモ−2,2’−ビピリジン、3−エチル−5−ブロモ−2,2’−ビピリジン、4−エチル−5−ブロモ−2,2’−ビピリジン、3−メチル−5−クロロ−2,2’−ビピリジン、3−メチル−5−ヨード−2,2’−ビピリジン、3−アリル−5−ブロモ−2,2’−ビピリジン、3−ビニル−5−ブロモ−2,2’−ビピリジン、3−フェニル−5−ブロモ−2,2’−ビピリジン等が挙げられる。
【0023】
上記一般式(3)において、Xはハロゲン原子、又は炭素数1〜10のオルガノキシ基を表し、R1、R2、R3は上記式(1)で定義したものと同様の基を表す。Xの例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、フェノキシ基等が挙げられる。
【0024】
上記一般式(3)で表される化合物の具体例としては、クロロトリメトキシシラン、クロロトリエトキシシラン、クロロジメチルシラン、クロロジエチルシラン、クロロジメチルフェニルシラン、メチルエチルクロロシラン、クロロジイソプロピルシラン、ジメトキシクロロシラン、メチルフェニルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、ベンジルメチルクロロシラン、ジフェニルビニルクロロシラン、ジエトキシクロロシラン、ジフェニルクロロシラン、tert−ブチルメチルクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジイソプロピルジクロロシラン、tert−ブチルジクロロシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0025】
ここで、5−メタロ−2,2’−ビピリジン誘導体の製造方法としては、上記一般式(2)で表される5−ハロ−2,2’−ビピリジン誘導体を金属や有機金属と反応させることにより得られる。金属又は有機金属の具体例としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、メチルリチウム、フェニルリチウム、金属リチウム、金属マグネシウム、メチルマグネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド等が挙げられる。この場合、金属又は有機金属の使用量は式(2)の化合物1モルに対して1〜10モル、特に1〜1.5モルが好ましい。上記反応の反応温度は、−100〜100℃、特に−80〜−30℃が好ましく、反応時間は30分〜10時間、特に30分〜1時間が好ましい。溶媒はエーテル系溶媒や炭化水素系溶媒が好ましく、具体例として、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ペンタン又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。
【0026】
次に、調製した5−メタロ−2,2’−ビピリジン誘導体を上記一般式(3)で表される化合物と反応させることで、上記一般式(1)において、R4が1価炭化水素基である化合物を調製する。この場合、一般式(3)の化合物の使用量は、一般式(2)の化合物1モルに対して1〜10モル、特に1.5〜3モルが好ましい。上記反応の反応温度は、−100〜100℃、特に0〜20℃が好ましく、反応時間は1〜20時間、特に1〜3時間が好ましい。溶媒はエーテル系溶媒や炭化水素系溶媒が好ましく、具体例として、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ペンタン又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。
【0027】
更に、R4がR123Siで表される場合、本発明の一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(4)で表される5,5’−ジハロ−2,2’−ビピリジン誘導体と金属又は有機金属を反応させ、5,5’−ジメタロ−2,2’−ビピリジンを調製し、これを一般式(3)で表されるケイ素化合物と反応させることによって製造することもできる。
【化7】


XSiR123 (3)
【0028】
上記一般式(4)において、Halは塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表す。R5、R6、R7、R8は上記の通り、置換又は非置換の炭素数1〜10の1価炭化水素基、又は水素原子を表す。R5、R6、R7、R8の例としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、フェニル基、トリル基、ビニル基、アリル基等が挙げられる。上記一般式(4)で表される化合物の具体例としては、5,5’−ジクロロ−2,2’−ビピリジン、5,5’−ジブロモ−2,2’−ビピリジン、5,5’−ジヨード−2,2’−ビピリジン、3−メチル−5,5’−ジブロモ−2,2’−ビピリジン、4−メチル−5,5’−ジブロモ−2,2’−ビピリジン、3−エチル−5,5’−ジブロモ−2,2’−ビピリジン、4−エチル−5,5’−ジブロモ−2,2’−ビピリジン、3−メチル−5,5’−ジクロロ−2,2’−ビピリジン、3−メチル−5,5’−ジヨード−2,2’−ビピリジン、3−アリル−5,5’−ジブロモ−2,2’−ビピリジン、3−ビニル−5,5’−ジブロモ−2,2’−ビピリジン、3−フェニル−5,5’−ジブロモ−2,2’−ビピリジン等が挙げられる。
【0029】
この場合の製造法においては、まず上記一般式(4)で表される化合物を金属や有機金属と反応させることにより、5,5’−ジメタロ−2,2’−ビピリジン誘導体を生成させる。金属又は有機金属の使用量は式(4)の化合物1モルに対して2〜10モル、特に2〜3モルが好ましく、それ以外は一般式(2)で5−ハロ−2,2’−ビピリジン誘導体を用いて製造する方法と同じである。
【0030】
ここで、調製した5,5’−ジメタロ−2,2’−ビピリジン誘導体を上記一般式(3)で表される化合物と反応させることで、上記一般式(1)において、R4がSiR123である化合物を調製する。この場合、一般式(3)の化合物の使用量は式(2)の化合物1モルに対して1.5〜10モル、特に2〜3モルが好ましく、それ以外は5−メタロ−2,2’−ビピリジン誘導体を用いて製造する方法と同じである。
【0031】
上記一般式(1)で表される反応性シリル基を有する2,2’−ビピリジン誘導体は、これを少なくとも一つ有する遷移金属錯体の配位子としても有用であり、具体的には下記一般式(5)で表される。
(X)mM(L1n(L2p (5)
【0032】
上記一般式(5)において、Mはマンガン、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅等の遷移金属を表し、特にルテニウムが好ましい。Xはハロゲン原子、チオシアナート基、チオイソシアナート基、水酸基、シアノ基、シアナート基、イソシアナート基、カルボニル基の中からそれぞれ選択される。nは1〜3の整数であり、L1は上記一般式(1)で表される反応性シリル基を有する2,2’−ビピリジン誘導体を表し、L2は下記一般式(6)で表される2,2’−ビピリジン誘導体を表す。mは0〜3の整数であり、pは0〜2の整数であり、n+pは1〜3の整数である。
【0033】
【化8】


(式中、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16は同一でも異なってもよく、それぞれ置換又は非置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基又は水素原子を表す。但し、n+pは1〜3の整数である。)
【0034】
上記一般式(6)で表される化合物の具体例としては、2,2’−ビピリジン、4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン、4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジン、4,4’−ジエチル−2,2’−ビピリジン、4,4’−ジブロモ−2,2’−ビピリジン、4−ブロモ−2,2’−ビピリジン、4−メチル−2,2’−ビピリジン、5,5’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン、5,5’−ジメチル−2,2’−ビピリジン、5,5’−ジブロモ−2,2’−ビピリジン、5−カルボキシ−2,2’−ビピリジン、5−メチル−2,2’−ビピリジン、4,4’−ジノナニル−2,2’−ビピリジン、4,4’−ビス(2−(4−ヘキシロキシ)−スチリル)−2,2’−ビピリジン、4,4’−ビス(2−(4−メトキシ)−スチリル)−2,2’−ビピリジン、4,4’−ビス(2−(4−tert−ブトキシ)−スチリル)−2,2’−ビピリジン、4,4’−ビス(5−へキシルチオフェン−2−イル−スチリル)−2,2’−ビピリジン等が挙げられる。
【0035】
上記一般式(5)で表される化合物の具体例としては、クロロビス(5−トリエトキシシリル−2,2’−ビピリジン)マンガン、クロロビス(5−クロロジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)マンガン、クロロビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)マンガン、ジクロロビス(5−トリエトキシシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジクロロビス(5−ジメチルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジクロロビス(5−ジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジクロロビス(5−ジイソブチルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジクロロビス(5−クロロジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジクロロビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジクロロビス(5−ヒドロキシジエチルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジブロモビス(5−トリエトキシシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジブロモビス(5−ジメチルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジブロモビス(5−ジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジブロモビス(5−ジイソブチルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジブロモビス(5−クロロジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジブロモビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジブロモビス(5−ヒドロキシジエチルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジシアノビス(5−トリエトキシシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジシアノビス(5−ジメチルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジシアノビス(5−ジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジシアノビス(5−ジイソブチルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジシアノビス(5−クロロジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジシアノビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジシアノビス(5−ヒドロキシジエチルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジシアナトビス(5−トリエトキシシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジシアナトビス(5−ジメチルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジシアナトビス(5−ジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジシアナトビス(5−ジイソブチルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジシアナトビス(5−クロロジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジシアナトビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジシアナトビス(5−ヒドロキシジエチルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジチオシアナトビス(5−トリエトキシシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジチオシアナトビス(5−ジメチルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジチオシアナトビス(5−ジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジチオシアナトビス(5−ジイソブチルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジチオシアナトビス(5−クロロジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジチオシアナトビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジチオシアナトビス(5−ヒドロキシジエチルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジチオイソシアナトビス(5−トリエトキシシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジチオイソシアナトビス(5−ジメチルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジチオイソシアナトビス(5−ジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジチオイソシアナトビス(5−ジイソブチルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジチオイソシアナトビス(5−クロロジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジチオイソシアナトビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジチオイソシアナトビス(5−ヒドロキシジエチルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジヒドロキシビス(5−トリエトキシシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジヒドロキシビス(5−ジメチルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジヒドロキシビス(5−ジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジヒドロキシビス(5−ジイソブチルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジヒドロキシビス(5−クロロジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジヒドロキシビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジヒドロキシビス(5−ヒドロキシジエチルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジクロロビス(5,5’−ビス(トリエトキシシリル)−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジクロロビス(5,5’−ビス(クロロジイソプロピルシリル)−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジクロロビス(5,5’−ビス(ヒドロキシジイソプロピルシリル)−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジクロロビス(5,5’−ビス(ヒドロキシジエチルシリル)−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジクロロビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−5’−ジメチルビニルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジクロロビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−5’−アリルジメチルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジクロロトリス(5−トリエトキシシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジクロロトリス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジクロロビス(5−トリエトキシシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジクロロビス(5−クロロジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジクロロビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジクロロビス(5−ヒドロキシジエチルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジクロロビス(5,5’−トリエトキシシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジクロロビス(5,5’−クロロジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジクロロビス(5,5’−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジクロロビス(5,5’−ヒドロキシジエチルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジブロモビス(5−トリエトキシシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジブロモビス(5−ジメチルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジブロモビス(5−ジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジブロモビス(5−ジイソブチルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジブロモビス(5−クロロジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジブロモビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジブロモビス(5−ヒドロキシジエチルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジシアノビス(5−トリエトキシシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジシアノビス(5−ジメチルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジシアノビス(5−ジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジシアノビス(5−ジイソブチルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジシアノビス(5−クロロジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジシアノビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジシアノビス(5−ヒドロキシジエチルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジシアナトビス(5−トリエトキシシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジシアナトビス(5−ジメチルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジシアナトビス(5−ジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジシアナトビス(5−ジイソブチルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジシアナトビス(5−クロロジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジシアナトビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジシアナトビス(5−ヒドロキシジエチルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジチオシアナトビス(5−トリエトキシシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジチオシアナトビス(5−ジメチルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジチオシアナトビス(5−ジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジチオシアナトビス(5−ジイソブチルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジチオシアナトビス(5−クロロジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジチオシアナトビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジチオシアナトビス(5−ヒドロキシジエチルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジチオイソシアナトビス(5−トリエトキシシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジチオイソシアナトビス(5−ジメチルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジチオイソシアナトビス(5−ジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジチオイソシアナトビス(5−ジイソブチルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジチオイソシアナトビス(5−クロロジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジチオイソシアナトビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジチオイソシアナトビス(5−ヒドロキシジエチルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、
ジヒドロキシビス(5−トリエトキシシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジヒドロキシビス(5−ジメチルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジヒドロキシビス(5−ジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジヒドロキシビス(5−ジイソブチルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジヒドロキシビス(5−クロロジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジヒドロキシビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジヒドロキシビス(5−ヒドロキシジエチルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジクロロビス(5,5’−ビス(トリエトキシシリル)−2,2’−ビピリジン)鉄、ジクロロビス(5,5’−ビス(クロロジイソプロピルシリル)−2,2’−ビピリジン)鉄、ジクロロビス(5,5’−ビス(ヒドロキシジイソプロピルシリル)−2,2’−ビピリジン)鉄、ジクロロビス(5,5’−ビス(ヒドロキシジエチルシリル)−2,2’−ビピリジン)鉄、ジクロロビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−5’−ジメチルビニルシリル−2,2’−ビピリジン)鉄、ジクロロビス(5−トリエトキシシリル−2,2’−ビピリジン)オスミウム、ジクロロビス(5−クロロジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)オスミウム、ジクロロビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)オスミウム、ジクロロビス(5−ヒドロキシジエチルシリル−2,2’−ビピリジン)オスミウム、ジクロロビス(5,5’−トリエトキシシリル−2,2’−ビピリジン)オスミウム、ジクロロビス(5,5’−クロロジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)オスミウム、ジクロロビス(5,5’−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)オスミウム、ジクロロビス(5,5’−ヒドロキシジエチルシリル−2,2’−ビピリジン)オスミウム、ジクロロビス(5−トリエトキシシリル−2,2’−ビピリジン)コバルト、ジクロロビス(5−クロロジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)コバルト、ジクロロビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)コバルト、ジクロロビス(5−ヒドロキシジエチルシリル−2,2’−ビピリジン)コバルト、ジクロロビス(5,5’−ビス(トリエトキシシリル)−2,2’−ビピリジン)コバルト、(5,5’−ビス(クロロジイソプロピルシリル)−2,2’−ビピリジン)コバルト、ジクロロビス(5,5’−ビス(ヒドロキシジイソプロピルシリル)−2,2’−ビピリジン)コバルト、ジクロロビス(5,5’−ビス(ヒドロキシジエチルシリル)−2,2’−ビピリジン)コバルト、クロロビス(5−トリエトキシシリル−2,2’−ビピリジン)イリジウム、クロロビス(5−クロロジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)イリジウム、クロロビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)イリジウム、ジクロロ(5−トリエトキシシリル−2,2’−ビピリジン)パラジウム、ジクロロ(5−クロロジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)パラジウム、ジクロロ(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)パラジウム、クロロビス(5−トリエトキシシリル−2,2’−ビピリジン)ロジウム、クロロビス(5−クロロジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)ロジウム、クロロビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)ロジウム、ジクロロ(5−トリエトキシシリル−2,2’−ビピリジン)ニッケル、ジクロロ(5−クロロジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)ニッケル、ジクロロ(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)ニッケル、ジクロロ(5−トリエトキシシリル−2,2’−ビピリジン)銅、ジクロロ(5−クロロジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)銅、ジクロロ(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)銅、ジクロロ(5−トリエトキシシリル−2,2’−ビピリジン)白金、ジクロロ(5−クロロジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)白金、ジクロロ(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)白金、ジクロロビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)(4,4’−ジノナニル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジクロロビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)(2−(4−ヘキシロキシ)−スチリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジクロロビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)((4−メトキシ)−スチリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジクロロビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)(2−(4−tert−ブトキシ)−スチリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジクロロビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)(5−へキシルチオフェン−2−イル−スチリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジチオシアナトビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)(4,4’−ジノナニル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジチオシアナトビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)(2−(4−ヘキシロキシ)−スチリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジチオシアナトビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)((4−メトキシ)−スチリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジチオシアナトビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)(2−(4−tert−ブトキシ)−スチリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジチオシアナトビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)(5−へキシルチオフェン−2−イル−スチリル−2,2’−ビピリジン)ルテニウム等が挙げられる。
【0036】
本発明の一般式(5)で表される遷移金属錯体は、様々な方法で得ることが可能であるが、例えば以下のようにして製造される。
一般式(5)中p=0の場合、下記反応式で示すように一般式(1)で表される2,2’−ビピリジン誘導体と(X)mMで表される金属塩を反応させることにより得られる。(X)mMで表される金属塩の例としては、塩化マンガン・四水和物、塩化鉄(III)、塩化ルテニウム・三水和物、塩化オスミウム・三水和物、塩化コバルト(III)、塩化ロジウム・三水和物、三塩化イリジウム、塩化パラジウム(II)、塩化ニッケル・六水和物、塩化白金(IV)、塩化銅(II)等が挙げられる。
【0037】
【化9】

上記反応式においてM、X、L1、m、nは、上記一般式(5)において説明したとおりである。
【0038】
一般式(5)中p=1又は2の場合は、下記反応式で示すように一般式(1)で表される2,2’−ビピリジン誘導体と一般式(6)で表される2,2’−ビピリジン誘導体を(X)mMで表される金属塩と反応させることにより得られる。(X)mMで表される金属塩の例は、上記と同じである。
【化10】

上記反応式においてM、X、L1、L2、m、n、pは、上記一般式(5)と同じである。なお、(X)mMで表される金属塩にL1、L2を順不同で順次加えてもよいし、(X)mM、L1及びL2を一括で反応させてもよい。
【0039】
更に、一般式(5)で表される化合物は、遷移金属錯体を用いた配位子交換によっても合成することができる。即ち、下記反応式で示すように一般式(1)で表される2,2’−ビピリジン誘導体と(X)mM(L)qで表される遷移金属錯体を反応させることにより得られる。
【化11】

【0040】
(X)mM(L)qで表される遷移金属錯体の例として、ジクロロテトラキス(ジメチルスルホキシド)ルテニウム(II)、ジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマー、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、クロロシクロオクタジエンロジウム(I)ダイマー、ジブロモテトラキス(ジメチルスルホキシド)オスミウム(II)、ジクロロビス(エチレンジアミン)ニッケル(II)等が挙げられる。
上記反応式中、M、X、L1、L2、m、n、p及びqは、上記一般式(5)において説明したとおりである。qは1〜6の整数であり、Lは中性配位子を表し、例えばジメチルスルホキシド、p−シメン、トリフェニルホスフィン、シクロオクタジエン、エチレンジアミン等が挙げられる。なお、(X)mM(L)qで表される遷移金属錯体にL1、L2を順不同で順次加えてもよく、(X)mM(L)q、L1及びL2を一括で反応させてもよい。
【0041】
また、上記方法で得られた一般式(5)で表される金属錯体のうち、Xの一部又は全部を異なる基に変換することができる。例えばハロゲン化金属塩との反応で合成した(X)mM(L1n(L2pの化合物に金属塩、又はアンモニウム塩を加えることによりXを変換することが可能である。そのような金属塩の例として、チオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸ナトリウム、シアン酸ナトリウム、シアン酸アンモニウム、シアン酸カリウム、シアン化ナトリウム、シアン化アンモニウム、シアン化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
【0042】
本発明の遷移金属錯体は、担体に共有結合できる反応性シリル基を有しており、担体上に固定化することにより担持型遷移金属触媒として使用することができる。ここで担体とは、本発明の遷移金属錯体がシリル基を介して共有結合できる固体をいい、例えばシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、モンモリロナイト、クレイ、ゼオライト等の無機材料、有機官能基を持ったシリカやポリシロキサン等の有機無機ハイブリッド材料、水酸基やカルボキシル基を有する変性ポリスチレンや変性ゴム、デンドリマー等の有機高分子材料が挙げられる。
【0043】
上記担体に本発明の遷移金属錯体を固定化する方法としては、上記材料に対して、本発明の遷移金属錯体を接触させ化学反応させることにより、担持させることができる。担持量を増やすために担体をUVオゾン処理、プラズマ処理やコロナ放電処理等により予め親水化しておくこともでき、水酸基やカルボキシル基のない担体にも反応性を与えることができる。
【0044】
また、別な固定化方法としては、本発明の反応性シリル基を有する2,2’−ビピリジン誘導体をまず担体に結合させた後に、遷移金属塩や遷移金属錯体を2,2’−ビピリジン誘導体担持担体と反応させる方法も採用し得る。この方法によれば、遷移金属錯体を単離せずに担持型の遷移金属触媒を得ることができる。
【0045】
このようにして得られた担持型の遷移金属触媒により、酸化反応、還元反応、カップリング反応、重合反応等の様々な化学反応を行うことができ、遷移金属触媒が担体上に固定されているため、生成物の単離及び触媒の回収や再使用が容易に行える。
【0046】
また、本発明の遷移金属錯体は、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等のワイドギャップ酸化物半導体と結合することができ、また可視光を吸収することができるので、色素増感型光電変換素子の色素として使用される。
【0047】
色素増感型光電変換素子については、例えば前記特許文献2に述べられているが、具体的には、インジウム錫酸化物やフッ素ドープ酸化錫に代表される透明導電性薄膜を表面に有するガラスやプラスチック基板上に、前記ワイドギャップ酸化物半導体の微粒子を塗布して厚さ1〜50μmに製膜する。この微粒子上に本発明の遷移金属錯体を接触させることにより結合させて、作用電極を作製する。この作用電極と対向電極とを、封止材により貼り合わせた後、電解液を注入して注入口を封止することにより、色素増感型光電変換素子を組み立てることができる。
【0048】
対向電極としては電気化学的に触媒作用のある白金やカーボンを表面に有する基板を使用することが好ましく、具体的には白金板、表面に白金薄膜を有するチタン板、表面に白金薄膜を有する透明導電性薄膜付きのガラスもしくはプラスチック基板、あるいはグラファイト等が使用できる。
【0049】
封止材の例としてはエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、アイオノマー樹脂等の熱融着性樹脂等が挙げられる。作用電極と対向電極間の封止材の厚みは、前記ワイドギャップ半導体薄膜の厚み以上であれば任意であるが、通常1〜100μmである。
【0050】
電解液としては、通常ヨウ素を溶解させた有機溶媒やイオン液体が使用されるが、使用する遷移金属錯体やワイドギャップ半導体の種類によってはヨウ素の代わりに臭素や他の酸化還元系を使用することができる。有機溶媒の例としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、バレロニトリル、メトキシプロピオニトリル、ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等が挙げられ、イオン液体の例としては、1,3−ジメチルイミダゾリウムアイオダイド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェ−ト、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロアンチモネート、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムジシアンアミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムジシアンアミド、3−メチル−1−ブチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド等が挙げられる。また、これらに加えて性能を向上させるためにヨウ化リチウム等の無機塩、グアニジウムチオシアネート、2,3−ジメチル−1−プロピルイミダゾリウムアイオダイド等の有機塩、4−tert−ブチルピリジン、N−メチルベンズイミダゾール等の塩基性化合物を電解液に添加することもできる。
【0051】
本発明の遷移金属錯体は、例えばDNAやタンパク質等を検出する電気化学センサー等の電気化学素子に使用することができる。このような電気化学素子の製造方法を以下に例示する。
【0052】
まず、プローブとなる一本鎖DNAやタンパク質、ペプチド分子、酵素等を導電性部位に結合させた導電性基板を用意する。ここで、導電性基板としては金、銀、銅、アルミニウム、白金、チタン等の金属、シリコン、ゲルマニウム等の半導体、インジウム錫酸化物やフッ素ドープ酸化錫、アルミニウム亜鉛酸化物、インジウム亜鉛酸化物等の透明導電性酸化物等の材料を使用することができるが、ガラス、石英、セラミックス、プラスチック等の絶縁性材料の表面に上記導電性材料やペンタセン、ポリ−2−ヘキシルチオフェン等の有機導電性材料の薄膜を形成させたものを使用してもよい。
【0053】
プローブと導電性基板との結合は、例えばエーテル結合、チオエーテル結合、アミド結合、ウレイド結合、エステル結合といった共有結合により、また必要に応じて適切なスペーサー分子を介して行われる。プローブと反応して結合を生成することができるスペーサー分子を導電性基板に結合させ、その後プローブとの反応を行うこともできるし、導電性基板と反応して結合を生成することができるスペーサー分子をプローブに結合させ、その後導電性基板と反応させてもよい。
【0054】
一方、検体となる一本鎖DNAやタンパク質、ペプチド分子等には本発明の反応性シリル基を有する遷移金属錯体を化学結合させて標識化する。検体と本発明の遷移金属錯体とを直接反応させてもよいし、適切なスペーサー分子を挟んでもよい。こうして得られた標識化検体分子を、プローブを結合させた前記導電性基板に接触させると、相補配列を有する一本鎖DNAや抗原分子に対する抗体等、特異的に相互作用しうるプローブが存在する部分に標識化検体分子が選択的に水素結合等によって固定化される。
【0055】
このようにして製造した電気化学センサーの動作原理は、例えば以下に述べる通りである。基板の特定部位にあるプローブに特異的な標識化検体分子が固定化されている場合、検体分子に結合している本発明の遷移金属錯体を光励起すると、遷移金属錯体から前記導電性基板へ電子移動が起こり、これを電流として検知することができる。検体が結合している部位では電流が流れ、結合していない部位では電流が流れない。即ち、導電性基板に結合したプローブに特異的な検体の存在を検知することができる光電気化学センサーとして動作させることができる。
【0056】
本発明の遷移金属錯体は、励起状態から蛍光やリン光を発光することができるため、発光材料として使用することができる。この発光材料は、有機電界発光素子の発光層や光化学センサー用の発光材料等に用いられる。例えば、前記電気化学素子の製造において、導電性基板の代わりにガラス、石英、セラミックス、プラスチック等の絶縁性基板を使用すると、光化学センサーを製造することができる。絶縁性基板を用いる他は前記電気化学センサーの場合と同様に製造したプローブ固定基板と、本発明の遷移金属錯体によって標識化した検体とを接触させる。しかる後に光照射し、検体分子に結合している本発明の遷移金属錯体を光励起すると、基板が絶縁性であるため基板への電子移動は起こらず、遷移金属錯体からの発光が観察できる。光電子増倍管を用いて発光強度を測定することにより、基板の特定の場所に結合した検体分子の量を定量できる。
【実施例】
【0057】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0058】
[実施例1] <5−ジメチルビニルシリル−2,2’−ビピリジンの調製>
100mlの3つ口フラスコに還流冷却器、撹拌機を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに5−ブロモビピリジン718.8mg(3.07mmol)と脱水ジエチルエーテル20mlを仕込んだ。その後、ドライアイスバスで−70℃まで冷やし、2.73Mのn−ブチルリチウム2.0ml(5.46mmol)を約10分かけて滴下した。そのままの温度で30分撹拌した後、ジメチルビニルクロロシラン750.0mg(6.21mmol)を加え、徐々に室温まで昇温させ、終夜で撹拌を行った。水を加えて反応を終了した後、分液操作により有機層を抽出した。得られた溶液を硫酸マグネシウムにより乾燥し、ロータリーエバポレーターにて減圧濃縮した後、HPLCにより精製して黄色液体552.2mgを得た。この液体のNMRスペクトル及びGC−MSスペクトルを測定した結果、5−ジメチルビニルシリル−2,2’−ビピリジンであることが確認された。収率は74.9%であった。以下にその結果を示す。
1H−NMR(300MHz,δ in CDCl3):0.41(s,6H),5.81(dd,J=20.0Hz,3.8Hz,1H),6.12(dd,J=14.7Hz,J=3.8Hz,1H),6.30(dd,J=20.0Hz,14.7Hz,1H),7.30(ddd,J=7.5Hz,J=4.8Hz,J=1.2Hz,1H),7.81(dd,J=7.7Hz,J=1.9Hz,1H),7.93(dd,J=7.8Hz,J=1.8Hz,1H),8.36(dd,J=7.8Hz,J=0.9Hz,1H),8.41(dt,J=7.9Hz,J=1.0Hz,1H),8.69(ddd,J=4.8Hz,J=1.8Hz,J=0.9Hz,1H),8.76(dd,J=1.7Hz,J=1.0Hz,1H)
13C−NMR(75MHz,δ in CDCl3):−3.06,120.28,121.11,123.77,133.41,133.81,136.75,136.90,142.62,149.22,153.82,156.25,156.32
GC−MS(EI)m/z:240(M+),225(M+−Me),213,199
【0059】
[実施例2] <5−ジメチルシリル−2,2’−ビピリジンの調製>
100mlの3つ口フラスコに還流冷却器、撹拌機を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに5−ブロモビピリジン234.0mg(1.0mmol)と脱水ジエチルエーテル7mlを仕込んだ。その後、ドライアイスバスで−70℃まで冷やし、1.58Mのn−ブチルリチウム0.7ml(1.1mmol)を約10分かけて滴下した。そのままの温度で30分撹拌した後、ジメチルクロロシラン0.16ml(1.47mmol)を加え、徐々に室温まで昇温させ、終夜で撹拌を行った。水を加えて反応を終了した後、分液操作により有機層を抽出した。得られた溶液を硫酸マグネシウムにより乾燥し、ロータリーエバポレーターにて減圧濃縮し、HPLCにより精製して無色液体163.4mgを得た。この液体のNMRスペクトル及びGC−MSスペクトルを測定した結果、5−ジメチルシリル−2,2’−ビピリジンであることが確認された。収率は76.4%であった。以下にその結果を示す。
1H−NMR(300MHz,δ in CDCl3):0.41(d,J=3.8Hz,6H),4.51(sept,J=7.6Hz,J=4.9Hz,J=1.2Hz,1H),7.31(ddd,J=7.5Hz,J=4.8Hz,J=1.2Hz,1H),7.81(ddd,J=8.0Hz,J=7.6Hz,J=1.7Hz,1H),7.95(dd,J=7.8Hz,J=1.8Hz,1H),8.37(dd,J=7.8Hz,J=1.0Hz,1H),8.42(dt,J=7.8Hz,J=1.2Hz,1.0Hz,1H),8.69(ddd,J=4.8Hz,J=1.8Hz,J=0.9Hz,1H),8.76(dd,J=1.7Hz,J=1.0Hz,1H)
13C−NMR(75MHz,δ in CDCl3):−4.03,120.34,121.14,123.82,132.46,136.90,142.76,149.22,153.88,156.17,156.54
GC−MS(EI)m/z:214(M+),199(M+−Me),184(M+−Me−Me)
【0060】
[実施例3] <5−エトキシジメチルシリル−2,2’−ビピリジンの調製>
100mlの3つ口フラスコに還流冷却器、撹拌機を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに5−ブロモビピリジン711.1mg(3.04mmol)と脱水ジエチルエーテル15mlを仕込み実施例2と同様の操作で、5−ジメチルシリル−2,2’−ビピリジンを調製した。その後、還流冷却器、温度計、及び撹拌機を取り付け、内部を窒素置換した100mlの3つ口フラスコに上記で得られた5−ジメチルシリル−2,2’−ビピリジン、5%パラジウム炭素触媒30mg及びエタノール15mlを仕込んだ。その後、内温20〜30℃で20時間撹拌した。触媒をろ過により除去後、得られたろ液をロータリーエバポレーターにて減圧濃縮した後、HPLCにより精製して黄色液体560mgを得た。この液体のNMRスペクトル及びGC−MSスペクトルを測定した結果、5−ジメチルトリエトキシシリル−2,2’−ビピリジンであることが確認された。収率は71.4%であった。以下にその結果を示す。
1H−NMR(300MHz,δ in CDCl3):0.45(s,6H),1.21(t,J=7.0Hz,6H),3.72(q,J=7.0Hz,2H),7.32(ddd,J=7.6Hz,J=4.7Hz,J=1.1Hz,1H),7.82(ddd,J=8.0Hz,J=7.6Hz,J=1.8Hz,1H),7.99(dd,J=7.8Hz,J=1.8Hz,1H),8.39(dd,7.84,J=1.8Hz),8.42(dt,J=8.0Hz,J=1.1Hz),8.69(ddd,J=4.8Hz,J=1.8Hz,J=0.8Hz,1H),8.83(dd,J=1.8Hz,J=1.0Hz,1H)
13C−NMR(75MHz,δ in CDCl3):−1.67,18.42,58.88,120.39,121.19,123.86,132.99,136.93,142.31,149.26,153.54,156.18,156.79
GC−MS(EI)m/z:258(M+),243(M+−Me),215,199,183
【0061】
[実施例4] <5−ジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジンの調製>
100mlの3つ口フラスコに還流冷却器、撹拌機を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに5−ブロモビピリジン702.4mg(3.0mmol)と脱水ジエチルエーテル20mlを仕込んだ。その後、ドライアイスバスで−70℃まで冷やし、2.6Mのn−ブチルリチウム1.3ml(3.2mmol)を約10分かけて滴下した。そのままの温度で30分撹拌した後、ジイソプロピルクロロシラン1.0g(6.6mmol)を加え、徐々に室温まで昇温させ、終夜で撹拌を行った。水を加えて反応を終了した後、分液操作により有機層を抽出した。得られた溶液を硫酸マグネシウムにより乾燥し、ロータリーエバポレーターにて減圧濃縮し、HPLCにより精製して無色液体640mgを得た。この液体のNMRスペクトル及びGC−MSスペクトルを測定した結果、5−ジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジンであることが確認された。収率は79.0%であった。以下にその結果を示す。
1H−NMR(300MHz,δ in CDCl3):1.02(m,7H),1.09(m,7H),4.02(t,J=3.2Hz,1H),7.31(ddd,J=7.5Hz,J=4.7Hz,J=1.1Hz,1H),7.82(ddd,J=8.0Hz,J=7.6Hz,J=1.7Hz,1H),7.96(dd,J=7.8Hz,J=1.8Hz,1H),8.37(dd,J=7.8Hz,J=1.0Hz,1H),8.42(dt,J=7.8Hz,J=1.2Hz,J=1.0Hz,1H),8.69(ddd,J=4.8Hz,J=1.8Hz,J=0.9Hz,1H),8.77(dd,J=1.7Hz,J=1.0Hz,1H)
13C−NMR(75MHz,δ in CDCl3):10.50,18.36,18.57,120.29,121.11,123.83,129.57,136.93,144.24,149.26,154.91,156.21,156.51
GC−MS(EI)m/z:270(M+),227(M+−CH(CH32
【0062】
[実施例5] <ジクロロビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)−ルテニウム(II)>
100mlの3つ口フラスコに還流冷却器、撹拌機を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに5−ジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン130.9mg、塩化ルテニウム・三水和物63.3mgとDMF8mlを仕込んだ。130℃で6時間還流した後、ロータリーエバポレーターにて減圧濃縮し得られた結晶をジエチルエーテルでろ過し、黒色の固体151.7mgを得た。この固体のMALDI−TOFMSを測定した結果Ru−ビス(5−ジイソプロピル−2,2’−ビピリジン)−ジクロライドシラノールであることが確認された。収率は84.3%であった。なお、本実施例では、錯体形成時に塩化ルテニウム・三水和物が触媒としても働き、ジイソプロピルシリル基が脱水素反応によってヒドロキシジイソプロピルシリル基に変換された。
MALDI−TOFMS m/z:744(M+
図1にはIRスペクトルのチャートを示した。
【0063】
[実施例6] <ジチオシアナト−ビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)−ルテニウム(II)>
100mlの光を遮光した3つ口フラスコに還流冷却器、撹拌機を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコにビス(ジクロロビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)−ルテニウム(II)117.3mgとDMF20mlを仕込んだ。これと別にチオシアン酸ナトリウム418.3mgを2mlの蒸留水に溶かし、上記の溶液に加え、6時間還流した。この操作の後、反応混合物を放冷しロータリーエバポレーターにて減圧濃縮し、水を加えて析出した固体をろ過した後、シリカゲルクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=9:1)による精製を行い、紫色の固体50.4mgを得た。この固体のMALDI−TOFMSを測定した結果ジチオシアナト−ビス(5−ヒドロキシジイソプロピルシリル−2,2’−ビピリジン)−ルテニウム(II)であることが確認された。収率は40.5%であった。
MALDI−TOFMS m/z:790(M+
図2にはIRスペクトルのチャートを示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される反応性シリル基を有する2,2’−ビピリジン誘導体。
【化1】


(式中、R1、R2はそれぞれ独立に置換又は非置換の炭素数1〜10の1価炭化水素基、置換又は非置換の炭素数1〜10のオルガノキシ基、置換又は非置換の炭素数1〜10のアシロキシ基、水酸基、ハロゲン原子、水素原子、メルカプト基、置換又は非置換のアミノ基、シアノ基、シアナート基、イソシアナート基、チオシアナート基、イソチオシアナート基から選択される置換基を表す。R3は置換又は非置換の炭素数2〜10の1価脂肪族不飽和炭化水素基、置換又は非置換の炭素数1〜10のオルガノキシ基、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数1〜10のアシロキシ基、水酸基、ハロゲン原子、水素原子、メルカプト基、置換又は非置換のアミノ基、シアノ基、シアナート基、イソシアナート基、チオシアナート基、イソチオシアナート基から選択される置換基を表す。R4はR123Siで表される反応性シリル基、置換又は非置換の炭素数1〜10の1価炭化水素基、又は水素原子を表し、R5、R6、R7、R8は同一でも異なってもよく、それぞれ置換又は非置換の炭素数1〜10の1価炭化水素基又は水素原子を表す。)
【請求項2】
上記一般式(1)において、R1及びR2がメチル基又はイソプロピル基である請求項1記載の反応性シリル基を有する2,2’−ビピリジン誘導体。
【請求項3】
下記一般式(2)で表される5−ハロ−2,2’−ビピリジン誘導体から生成させた5−メタロ−2,2’−ビピリジン誘導体と、下記一般式(3)で表されるケイ素化合物を反応させることによる請求項1記載の一般式(1)において、R4が置換又は非置換の炭素数1〜10の1価炭化水素基、又は水素原子である反応性シリル基を有する2,2’−ビピリジン誘導体の製造方法。
【化2】


(式中、Halは塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表し、R4aは置換又は非置換の炭素数1〜10の1価炭化水素基、又は水素原子、R5、R6、R7、R8は請求項1記載の式(1)で定義したものと同じ置換基を表す。)
XSiR123 (3)
(式中、Xはハロゲン原子、又は炭素数1〜10のオルガノキシ基を表し、R1、R2、R3は式(1)で定義したものと同じ置換基を表す。)
【請求項4】
下記一般式(4)で表される5,5’−ジハロ−2,2’−ビピリジン誘導体から生成させた5,5’−ジメタロ−2,2’−ビピリジン誘導体と、請求項3記載の一般式(3)で表されるケイ素化合物を反応させることによる請求項1記載の一般式(1)において、R4がSiR123である反応性シリル基を有する2,2’−ビピリジン誘導体の製造方法。
【化3】


(式中、Halは塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表し、R5、R6、R7、R8は請求項1記載の式(1)で定義したものと同じ置換基を表す。)
【請求項5】
請求項1又は2記載の反応性シリル基を有する2,2’−ビピリジン誘導体を少なくとも一つ配位子として有する遷移金属錯体。
【請求項6】
遷移金属が、マンガン、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅の中から選ばれる請求項5記載の遷移金属錯体。
【請求項7】
下記一般式(5)で表される請求項5記載の遷移金属錯体。
(X)mM(L1n(L2p (5)
[式中、Mはマンガン、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅から選ばれる遷移金属である。mは0〜3の整数であり、Xはハロゲン原子、チオシアナート基、チオイソシアナート基、水酸基、シアノ基、シアナート基、イソシアナート基、カルボニル基の中から独立して選択される。nは1〜3の整数であり、L1は請求項1記載の一般式(1)で表される反応性シリル基を有する2,2’−ビピリジン誘導体を表す。pは0〜2の整数であり、L2は下記一般式(6)
【化4】


(式中、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16は同一でも異なってもよく、それぞれ置換又は非置換の炭素数1〜20の1価炭化水素基又は水素原子を表す。但し、n+pは1〜3の整数である。)
で表される2,2’−ビピリジン誘導体を示す。]
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1項記載の遷移金属錯体を使用した担持型遷移金属触媒。
【請求項9】
請求項5〜7のいずれか1項記載の遷移金属錯体を使用した色素増感型光電変換素子。
【請求項10】
請求項5〜7のいずれか1項記載の遷移金属錯体を使用した電気化学素子。
【請求項11】
請求項5〜7のいずれか1項記載の遷移金属錯体を使用した発光材料。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−6797(P2010−6797A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−120138(P2009−120138)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】