説明

反応性複素環置換7−ヒドロキシクマリンおよびその複合体

【解決手段】化学反応性の水溶性複素環置換7−ヒドロキシクマリン色素、その生体複合体、およびその使用方法を提供する。
【効果】反応性複素環置換7−ヒドロキシクマリン色素から得られた複合体は、405nmでのその強力な吸収と高い蛍光量子収率とに起因して、励起源として紫色レーザーを備えたフローサイトメーターを用いた生物学的化合物を分析に使用され、抗体や核酸プローブなどのバイオポリマー検出試薬用蛍光標識として特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応性色素および色素複合体を含む蛍光化学物質とその使用とに関する。
【背景技術】
【0002】
分析物特異的蛍光プローブは、サンプル中の分析物の分析に有用な試薬である。分析物は、プローブへの特異的結合を介して標識されるようになり、その標識は、分析物の検出を促進させる。サンプル中の分析物を分析するための蛍光プローブの適用例には、フローサイトメトリーによる細胞の混合物中の細胞の部分母集団の同定および/または分離を含む蛍光免疫測定法、蛍光顕微鏡法、および蛍光染色によるゲル分離された分析物の可視化が含まれる。これらの技法については、参照によりそのそれぞれが本明細書に組み込まれている文献に記述されている(例えば、非特許文献1、2、および3参照)。
【0003】
上記目的のために蛍光色素を用いる場合、その蛍光色素の選択に影響を及ぼす多くの問題点がある。1つの問題点は、蛍光色素の吸収特性および放出特性であるが、それは、試験中のサンプル、例えば血液、尿、脳脊髄液中の多くのリガンド、受容体、および材料が蛍光を発し、蛍光標識の蛍光の正確な決定を妨げることになるからである。この現象を、自己蛍光またはバックグラウンド蛍光と呼ぶ。第2の問題点は、蛍光色素をリガンド、受容体、およびその他の生体材料および非生体材料に複合させる能力と、そのような複合が蛍光色素に及ぼす影響である。多くの状況では、別の分子との複合は、蛍光色素の蛍光特性にかなりの変化をもたらす可能性があり、場合によっては、蛍光色素の量子効率を実質的に破壊しまたは低下させる可能性がある。蛍光色素との複合は、標識される分子の機能を不活性化することになる可能性もある。第3の問題点は、蛍光色素の量子効率であり、これは高感度検出の場合に高いことが好ましい。第4の問題点は、蛍光色素の光吸収能力または吸光係数であり、これは可能な限り大きいことが好ましい。他の問題点は、蛍光分子が非常に近接したときに互いに相互に作用して、自己消光をもたらすことになるか否かである。別の問題点は、蛍光色素が単独でまたはこの蛍光色素が複合している化合物と複合した状態で、その他の化合物または容器壁面と非特異的に結合するか否かである。
【0004】
上記方法の適用可能性および価値は、適切な蛍光化合物の利用可能性と密接な関係がある。特に、紫色レーザー(405nm)、アルゴンレーザー(488nm)、およびHe−Neレーザー(633nm)など、商業的に実用可能なレーザー源によって励起される蛍光物質が求められている。アルゴンレーザー(488nm励起)およびHe−Neレーザー(633nm励起)用に開発された多くの蛍光色素がある。例えば、488nmアルゴンレーザーによって十分励起されるフルオレセインは、緑色領域で有用な発光体である。しかし、405nm紫色レーザーで利用可能な蛍光色素はほとんどない。
【0005】
あるクマリン色素は、様々な生物学的検出の適用例に対する有用性が実証されている。例えば、文献を参照されたい(例えば、Millerらの特許文献1;Geeらの特許文献2;およびRobinsonの特許文献3参照)。フルオレセイン、ローダミン、およびシアニンなどのその他の蛍光色素と比較すると、多くのクマリン色素は、ある有利な性質を有する。より小さいサイズのクマリン色素は、色素標識抗原特異的試薬の親和性および特異性に対する色素の影響を、最小限に抑える。さらに、より小さいクマリンは、フルオレセイン、ローダミン、およびシアニンよりも高い標識効率を有する。それにも関わらず、多くのクマリン色素は、それらの強力な疎水性および高いpKaに起因する、タンパク質と複合したヒドロキシルクマリン色素の蛍光の極度の消光など、ある欠点を共有することが知られている。クマリン蛍光消光は、自己消光(クマリンタグ間の距離が近い。)および/または電子に富むアミノ酸残基(ヒスチジン、トリプトファン、およびチロシン)による消光から生ずる。さらにクマリンの、405nmでの典型的に弱い吸収は、一部のフローサイトメーターで使用されるような紫色励起レーザーを使用した、細胞を分析するためのその用途を大幅に制限する。
【0006】
塩素化クマリンは、小さい有機分子を標識するのに使用されてきた(例えば、非特許文献4および特許文献4参照)。小さい有機分子の標識では、単一のクマリン分子しか各複合体中に存在しないので、自己消光も基質による消光も重大な問題ではない。対照的に、抗体の標識では、多数の色素分子を各抗体に複合させることが望ましいので、自己消光および基質による消光は共に重大な関心事である。一般に、クマリンまたはフルオレセインの塩素化は、いわゆる「重原子効果」および高い疎水性に起因して、不十分な抗体標識をもたらす可能性があると見なされる(例えば、Parkらの特許文献5;Geeらの特許文献2;TsienおよびZlokarnikの特許文献6:および非特許文献5参照)。
【0007】
ある文献は(例えば、参照により本明細書に組み込まれている、2008年7月29日出願の同時係属の特許文献7参照)、複数のモノ塩素化7−ヒドロキシクマリン色素に複合した抗体と、生物学的アッセイでのその使用について記述している。これらのモノ塩素化ヒドロキシクマリン色素は、抗体当たり多数の色素を有する抗体標識として使用したときに、思いがけなく低下した自己消光を示す。これらの色素標識抗体は、典型的には、405nm近くで吸光度の最大値を示し、青色の最大放出を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6207404号明細書
【特許文献2】米国特許第5830912号明細書
【特許文献3】米国特許第4956480号明細書
【特許文献4】米国特許第5955604号明細書
【特許文献5】米国特許第5516629号明細書
【特許文献6】米国特許第6472205号明細書
【特許文献7】米国特許出願第12/220939号明細書
【特許文献8】米国特許第5539082号明細書
【特許文献9】米国特許第5580990号明細書
【特許文献10】米国特許第5714327号明細書
【特許文献11】米国特許第5985566号明細書
【特許文献12】米国特許第6566508号明細書
【特許文献13】米国特許第5047519号明細書
【特許文献14】米国特許第4711955号明細書
【特許文献15】米国特許第5684142号明細書
【特許文献16】米国特許第5659025号明細書
【特許文献17】米国特許第5668268号明細書
【特許文献18】米国特許第5679785号明細書
【特許文献19】米国特許第6150510号明細書
【特許文献20】米国特許第5208148号明細書
【特許文献21】米国特許第5405975号明細書
【特許文献22】米国特許第5453517号明細書
【特許文献23】米国特許第5516911号明細書
【特許文献24】米国特許第5049673号明細書
【特許文献25】米国特許第5648270号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Herzenberg et al., "CELLULAR IMMUNOLOGY" 3rd ed., Chapter 22; Blackwell Scientific Publications (1978)
【非特許文献2】Goldman, "FLUORESCENCE ANTIBODY METHODS" Academic Press, New York, (1968)
【非特許文献3】Taylor et al., APPLICATIONS OF FLUORESCENCE IN THE BIOMEDICAL SCIENCES, Alan Liss Inc., (1986)
【非特許文献4】Zlokarnil et al., 1998, Science 279:84
【非特許文献5】Haugland, Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals, Molecular Probes, 9th ed., pp 7-74, 2002
【非特許文献6】Katritzky,Alan R., Charles W.Ress,およびColin J.Drayton. 1984. Comprehensive heterocyclic chemistry: the structure, reactions, synthesis, and use of heterocyclic compounds. Volume 8, Part 6. Indexes. Oxford [Oxfordshire]: Pergamon Press.
【非特許文献7】Dittmer et al. 2005, J.Org.Chem. 70: 4682
【非特許文献8】Shi et al., 2005, Fen Xi Hua Xue 33: 1452
【非特許文献9】Sivakumar et al., 2004, Org.Lett 6: 4603
【非特許文献10】Zhao et al., 2004, J.Am.Chem.Soc. 126: 4653
【非特許文献11】Huang et al., 1994, J.Chem.Soc.Perkin Trans. 1:102
【非特許文献12】KuznetsovaおよびKaliya, 1992, Russ.Chem.Rev. 61: 1243
【非特許文献13】"A method for detecting abasic sites in living cells: age-dependent changes in base excision repair." Atamna et al., 2000, Proc Natl Acad Sci 97:686-691
【非特許文献14】Am.J.Physiol. 256, C540 (1989)
【非特許文献15】"Single-step synthesis and characterization of biotinylated nitrilotriacetic acid, a unique reagent for the detection of histidine-tagged proteins immobilized on nitrocellulose", McMahan et al., 1996, Anal Biochem 236: 101-106
【非特許文献16】Hermanson, 1996, Bioconjugate Techniques (Academic Press, New York, NY)
【非特許文献17】Haugland, 1995, Method Mol.Biol. 45: 205-21
【非特許文献18】Brinkley, 1992, Bioconjugate Chemistry 3:2
【非特許文献19】Landy et al.,(eds.), Clinical Flow Cytometry, Annals of the New York Academy of Sciences Volume 677 (1993)
【非特許文献20】Bauer et al.(eds.), Clinical Flow Cytometry: Principles and Applications, Williams & Wilkins (1993)
【非特許文献21】Ormerod(ed.), Flow Cytometry: A Practical Approach, Oxford Univ. Press (1997)
【非特許文献22】Jaroszeski et al.(eds.), Flow Cytometry Protocols, Methods in Molecular Biology No.91, Humana Press (1997)
【非特許文献23】Practical Shapiro, Flow Cytometry, 4th ed., Wiley-Liss (2003)
【非特許文献24】Pawley(ed), Handbook of Biological Confocal Microscopy, 2nd Edition, Plenum Press (1989)
【非特許文献25】Haugland et al. 1995, Meth.Mol.Biol. 45:205
【非特許文献26】Haugland, 1995, Meth.Mol.Biol. 45:223
【非特許文献27】Haugland, 1995, Meth.Mol.Biol. 45:235
【非特許文献28】Haugland, 2000, Current Protocols In Cell Biology 16.5.1-16.5.22
【非特許文献29】EstepおよびMiller, 1986, Anal.Biochem. 157: 100-105
【非特許文献30】M.Nimmakayalu et al., 2000, Biotechniques 28, 518-522
【非特許文献31】Muhlegger et al., 1990. Biol Chem Hoppe Seyler 371, 953-965
【非特許文献32】Giaid et al., 1989, Histochemistry 93, 191-196
【非特許文献33】Maecker et al, 2004, Cytometry Part A 62A: 169-173
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、水溶性複素環置換7−ヒドロキシクマリン色素、および水溶性複素環置換7−ヒドロキシクマリン色素の誘導体であって、反応性色素および色素複合体を含むものを提供する。
【0011】
本発明の水溶性複素環置換7−ヒドロキシクマリン色素は、これら蛍光色素を、バイオポリマーの標識としての使用を含めた生物学的アッセイでの使用に特に適したものにする性質の新規な組合せを示す。本発明者らは、7−ヒドロキシクマリンの複素環置換と水溶性基の付加は、意外にも、生物学的アッセイに有用でありかつ405nmで強力な吸収を有すると共に高い蛍光性を示す生物学的複合体を調製するのに有用な、新しい種類の蛍光クマリンをもたらすことを発見した。さらに、複素環置換7−ヒドロキシクマリンのハロゲン化は、クマリン色素のpKaを著しく低下させ、その結果、得られたクマリン複合体は生理学的pH範囲でその最大蛍光を有するようになる。これらの複素環置換7−ヒドロキシクマリン色素は強力に蛍光を発し、本発明の複素環置換7−ヒドロキシクマリン色素複合体の高い蛍光強度はより大きなアッセイ感度をもたらす。
【0012】
本発明の複素環置換7−ヒドロキシクマリン色素は、典型的には405nmの近くで吸光度の最大値を示し、本発明の色素は、例えば多くのフローサイトメーターで存在するように、紫色レーザーの主要輝線と一致するように選択することができる。本発明の反応性色素および色素複合体の特定の利点は、この種類の色素が典型的には、緑色(約500〜540nm)で最大放出を示すことである。本発明者の知る限りでは、本発明は、緑色で放出する種類の小分子蛍光色素に関して初めて記述しており、典型的な生物学的アッセイの反応条件化で生体分子を標識するのに有用である。
【0013】
一態様では、本発明は、蛍光色素として有用な、化学的反応性がある水溶性の複素環置換7−ヒドロキシクマリン化合物を提供する。本発明の、反応性がある水溶性の複素環置換7−ヒドロキシクマリン色素は、適切な反応性を有する官能基を含有しまたは含有するように変性させた、広く様々な有機物質または無機物質(「基質」)と反応することができ、その結果色素と物質との複合が行われる。本発明の一態様では、本発明の反応性色素を使用して、サンプルを直接蛍光染色しまたは蛍光標識し、それによって、サンプルを検出し、同定し、または定量することができるようにする。
【0014】
別の態様では、本発明は、基質と複合した本発明の1種または複数の水溶性複素環置換7−ヒドロキシクマリンを含む、色素複合体を提供する。好ましい実施形態では、色素複合体を蛍光検出試薬として使用して、サンプル中の分析物を検出し、同定し、位置付け、または定量する。
【0015】
本発明の好ましい実施形態では、色素複合体基質がバイオポリマーであり、このバイオポリマーは、本発明の1種または複数の水溶性複素環置換7−ヒドロキシクマリンと複合して、蛍光バイオポリマーを得る。本発明の蛍光バイオポリマー色素複合体は、分析物特異的検出試薬を含めた検出試薬として、またはそのような検出試薬の一部として、有用性がある。有用なバイオポリマーには、例えば、アミノ酸ポリマー、核酸ポリマー、多糖、炭水化物、および脂質が含まれる。好ましい実施形態では、色素バイオポリマー複合体のバイオポリマー成分は、本明細書で広く定義されるように、アミノ酸ポリマーである。好ましい実施形態では、バイオポリマーはモノクローナル抗体である。
【0016】
別の態様では、本発明は、本発明の反応性色素または色素複合体を含有するキットを提供する。本発明のキットは、その他の試薬や緩衝液など、意図される適用例を実施するのに有用な追加の構成要素を含有することができる。
【0017】
本発明の、反応性の水溶性複素環置換7−ヒドロキシクマリン色素は、式1の構造を有し:
【0018】
【化1】

【0019】
上式で、
HCは複素環であり;
1、R2、R3、R4、R5、およびR6は独立して、H、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオール、アリールチオール、アジド、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、ボロン酸、L−RG、WSG、または、それ自体がハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、カルボニル、ボロン酸、L−RG、もしくはWSGにより1回もしくは複数回置換されているアルキルもしくはアルコキシであり;
RGは、化学反応性基であり;
Lは、任意選択のリンカーであり;
WSGは、水溶性基であり;
1、R2、R3、R4、R5、およびR6の少なくとも1つはL−RGを含有し;
1、R2、R3、R4、R5、およびR6の少なくとも1つはWSGである。
【0020】
好ましくは、複素環部分、HCは、下式から選択される。
【0021】
【化2】

【0022】
好ましくは、反応性基、RGは、アクリルアミド、アミン、カルボン酸、カルボン酸の活性化エステル、アシルアジド、アシルニトリル、アルデヒド、ハロゲン化アルキル、無水物、ハロゲン化アリール、アジド、アジリジン、ボロネート、ジアゾアルカン、ハロアセトアミド、ハロトリアジン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、イミドエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、反応性白金錯体、ハロゲン化スルホニル、またはソラレン誘導体である。
【0023】
好ましくは、任意選択のリンカー、Lは、存在せず、またはアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アミノ酸、スルホアミノ酸、ポリアミン、ポリエチレングリコール、アリール、もしくはヘテロアリールである。
【0024】
好ましくは、水溶性基、WSGは、スルホネート、チオスルホネート、ホスホネート、ボロネート、アンモニウム、ピリジウム、キノリウム、またはアクリジニウム基である。
【0025】
好ましい実施形態では、本発明の、反応性の水溶性複素環置換7−ヒドロキシクマリン色素は、式2の構造を有し:
【0026】
【化3】

【0027】
上式で、
Xは、O、S、NH、またはNR10であり;
Yは、NH、NR11、CH、またはCR12であり;
1、R2、R3、R4、R5、R6、R10、R11、およびR12は独立して、H、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオール、アリールチオール、アジド、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、ボロン酸、L−RG、WSG、または、それ自体が任意選択で、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、カルボニル、ボロン酸、L−RG、もしくはWSGによって1回もしくは複数回置換されているアルキルもしくはアルコキシであり;
RGは、化学反応性基であり;
Lは、任意選択のリンカーであり;
WSGは、水溶性基であり;
1、R2、R3、R4、R5、R6、R10、R11、およびR12の少なくとも1つはL−RGを含有し;
1、R2、R3、R4、R5、R6、R10、R11、およびR12の少なくとも1つはWSGである。
【0028】
別の好ましい実施形態では、反応性の水溶性複素環置換7−ヒドロキシクマリン色素は、式3の構造を有し:
【0029】
【化4】

【0030】
式中、
Xは、OまたはSであり;
1、R2、R3、R4、R10、R11、およびR12は独立して、H、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオール、アリールチオール、アジド、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、ボロン酸、L−RG、WSG、または、それ自体が任意選択で、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、カルボニル、ボロン酸、L−RG、もしくはWSGによって1回もしくは複数回置換されているアルキルもしくはアルコキシであり;
RGは、化学反応性基であり;
Lは、任意選択のリンカーであり;
WSGは、水溶性基であり;
1、R2、R3、R4、R10、R11、およびR12の少なくとも1つはL−RGを含有し;
1、R2、R3、R4、R10、R11、およびR12の少なくとも1つはWSGである。
【0031】
別の好ましい実施形態では、本発明の、反応性の水溶性複素環置換7−ヒドロキシクマリン色素は、式4の構造を有し:
【0032】
【化5】

【0033】
上式で、
Xは、OまたはSであり;
1、R2、R3、R4、R10、およびR11は独立して、H、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオール、アリールチオール、アジド、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、ボロン酸、L−RG、WSG、または、それ自体が任意選択で、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、カルボニル、ボロン酸、L−RG、もしくはWSGによって1回もしくは複数回置換されているアルキルもしくはアルコキシであり;
RGは、化学反応性基であり;
Lは、任意選択のリンカーであり;
WSGは、水溶性基であり;
1、R2、R3、R4、R10、およびR11の少なくとも1つは、L−RGを含有し;
1、R2、R3、R4、R10、およびR11の少なくとも1つは、WSGであり;
10およびR11の少なくとも1つはスルホネートを含有する。
【0034】
別の好ましい実施形態では、本発明の、反応性の水溶性複素環置換7−ヒドロキシクマリン色素は、式5の構造を有し:
【0035】
【化6】

【0036】
式中、
Xは、OまたはSであり;
1、R2、R3、R4、R10、およびR11は独立して、水素、クロロ、フルオロ、シアノ、またはスルホネートであり;
RGは、化学反応性基であり;
Lは、任意選択のリンカーであり;
ただしR10およびR11の少なくとも1つはスルホネートである。
【0037】
別の好ましい実施形態では、本発明の、反応性の水溶性複素環置換7−ヒドロキシクマリン色素は、式6の構造を有し:
【0038】
【化7】

【0039】
式中、
1、R2、R3、R4、R10、およびR11は独立して、水素、クロロ、フルオロ、シアノ、またはスルホネートであり;
RGは、化学反応性基であり;
Lは、存在せず、またはアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アミノ酸、スルホアミノ酸、ポリアミン、ポリエチレングリコール、アリール、アリールアルキル、もしくはヘテロアリールである、任意選択のリンカーであり;
10およびR11の少なくとも1つはスルホネートである。
【0040】
別の好ましい実施形態では、本発明の、反応性の水溶性複素環置換7−ヒドロキシクマリン色素は、式7の構造を有し:
【0041】
【化8】

【0042】
式中、
3、R4、R10、およびR11は独立して、水素、クロロ、フルオロ、シアノ、またはスルホネートであり;
nは、1〜10の整数であり;
10およびR11の少なくとも1つはスルホネートである。
【0043】
別の好ましい実施形態では、本発明の、反応性の水溶性複素環置換7−ヒドロキシクマリン色素は、式8の構造を有し:
【0044】
【化9】

【0045】
式中、
3およびR4は、独立して、水素、クロロ、フルオロ、またはスルホネートであり;
10およびR11の少なくとも1つはスルホネートである。
【0046】
本発明の反応性色素の、選択された実施形態を、以下の表1に示す。表1中の反応性色素の番号は、実施例で記述される化合物に付与された番号に相当する。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
【表3】

【0050】
【表4】

【0051】
【表5】

【0052】
【表6】

【0053】
本発明の色素複合体は、本発明の複数の色素の1つが複合する基質を含む。典型的には、色素複合体は、本発明の反応性色素と、適切な反応性を有する官能基を含有しまたは含有するように変性させた基質との間の反応によって生成され、その結果、色素と基質との化学結合が生じる。反応性色素と、基質上の官能基との間の複合反応の結果、色素反応性基の1個または複数の原子が、典型的には、色素を基質に結合させる新しい結合に組み込まれる。
【0054】
一般に、本発明の色素複合体は、式9の構造を有し:
【0055】
【化10】

【0056】
式中、
HCは複素環であり;
1、R2、R3、R4、R5、およびR6は独立して、H、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオール、アリールチオール、アジド、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、ボロン酸、WSG、またはそれ自体がハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、カルボニル、ボロン酸、もしくはWSGによって1回もしくは複数回置換されているアルキルもしくはアルコキシであり;
WSGは、水溶性基であり;
nは、1〜35の整数であり;
SUBは基質であり;
1、R2、R3、R4、R5、およびR6の少なくとも1つは、任意選択のリンカーLを介してSに共有結合されており;
1、R2、R3、R4、R5、およびR6の少なくとも1つは、WSGである。
【0057】
好ましい実施形態では、本発明の色素複合体は、式10の構造を有し:
【0058】
【化11】

【0059】
式中、
Xは、O、S、NH、またはNR10であり;
Yは、NH、NR11、CH、またはCR12であり;
1、R2、R3、R4、R5、R6、R10、R11、およびR12は独立して、H、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオール、アリールチオール、アジド、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、ボロン酸、WSG、またはそれ自体が任意選択でハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、カルボニル、ボロン酸、もしくはWSGによって1回もしくは複数回置換されているアルキルもしくはアルコキシであり;
WSGは、水溶性基であり;
nは、1〜35の整数であり;
SUBは、基質であり;
1、R2、R3、R4、R5、R6、R10、R11、およびR12の少なくとも1つは、任意選択のリンカーLを介してSに共有結合されており;
1、R2、R3、R4、R5、R6、R10、R11、およびR12の少なくとも1つはWSGである。
【0060】
別の好ましい実施形態では、本発明の色素複合体は、式11の構造を有し:
【0061】
【化12】

【0062】
式中、
Xは、OまたはSであり;
1、R2、R3、R4、R10、R11、およびR12は独立して、H、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオール、アリールチオール、アジド、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、ボロン酸、WSG、またはそれ自体が任意選択でハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、カルボニル、ボロン酸、もしくはWSGによって1回もしくは複数回置換されているアルキルもしくはアルコキシであり;
WSGは、水溶性基であり;
nは、1〜35の整数であり;
SUBは、基質であり;
1、R2、R3、R4、R10、R11、およびR12の少なくとも1つは、任意選択のリンカーLを介してSに共有結合されており;
1、R2、R3、R4、R10、R11、およびR12の少なくとも1つはWSGである。
【0063】
別の好ましい実施形態では、本発明の色素複合体は、式12の構造を有し:
【0064】
【化13】

【0065】
式中、
Xは、OまたはSであり;
1、R2、R3、R4、R10、およびR11は独立して、H、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオール、アリールチオール、アジド、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、ボロン酸、WSG、またはそれ自体が任意選択でハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、カルボニル、ボロン酸、もしくはWSGによって1回もしくは複数回置換されているアルキルもしくはアルコキシであり;
WSGは、水溶性基であり;
nは、1〜35の整数であり;
SUBは、基質であり;
1、R2、R3、R4、R10、およびR11の少なくとも1つは、任意選択のリンカーLを介してSに共有結合されており;
1、R2、R3、R4、R10、およびR11の少なくとも1つはWSGであり;
10およびR11の少なくとも1つはスルホネートを含有する。
【0066】
別の好ましい実施形態では、本発明の色素複合体は、式13の構造を有し:
【0067】
【化14】

【0068】
式中、
Xは、OまたはSであり;
1、R2、R3、R4、R10、およびR11は独立して、水素、クロロ、フルオロ、シアノ、またはスルホネートであり;
Lは任意選択のリンカーであり;
SUBは基質であり;
10およびR11の少なくとも1つは、スルホネートである。
【0069】
複素環部分、リンカー、および水溶性基の好ましい実施形態は、上記にて反応性色素に関して述べた通りである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1A】4−カルボニルレゾルシノールと複素環酢酸化合物との塩基触媒縮合(方法A)による反応性クマリンの合成の概略を示す図である。
【図1B】4−カルボニルレゾルシノールと複素環酢酸化合物との無水酢酸ベースの縮合(方法B)による反応性クマリンの合成の概略を示す図である。
【図2】pH=9.0緩衝液中の、化合物7の吸収スペクトルおよび放出スペクトルを示す図である。化合物7は、414nm付近でその最大吸収を有し、これは、典型的なフローサイトメーターの405nm紫色レーザー励起に非常によく一致している。
【図3】リンパ球を標識するための、色素対タンパク質比の範囲にわたる、化合物7と複合したCD3抗体の色素複合体を使用して得られたデータのプロットを示す図である。
【図4】リンパ球を標識するための、色素対タンパク質比の範囲にわたる、化合物7と複合したCD4抗体の色素複合体を使用して得られたデータのプロットを示す図である。
【図5】リンパ球を標識するための、色素対タンパク質比の範囲にわたる、化合物7と複合したCD8抗体の色素複合体を使用して得られたデータのプロットを示す図である。
【図6】リンパ球を標識するための、色素対タンパク質比の範囲にわたる、化合物7と複合したCD45抗体の色素複合体を使用して得られたデータのプロットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
本明細書の本発明を完全に理解できるようにするために、いくつかの用語を以下に明示的に定義する。明示的に定義されない用語は、化学および生物学の分野での通常の意味を有するものとする。上記および下記の両方において本明細書に引用される全ての参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0072】
本明細書で使用される、「7−ヒドロキシクマリン」または「7−ヒドロキシクマリン誘導体」という用語は、それ自体でまたは別の基の一部として、下記の縮合環構造またはその誘導体の1つまたは複数を含有する任意の化合物または置換基を意味する。
【0073】
【化15】

【0074】
本発明のクマリン色素は、1つのまたは別の、特定の電子共鳴構造に描かれたことを理解すべきである。対象色素上の電子電荷は、色素そのもの全体にわたって非局在化しているので、本発明の全ての態様は、その他の認められた共鳴構造に正式に描かれた色素に等しく適用される。
【0075】
本明細書で使用される「ヘテロ原子」という用語は、それ自体でまたは別の基の一部として、酸素原子(「O」)、硫黄原子(「S」)、または窒素原子(「N」)を意味する。ヘテロ原子が窒素の場合、NR12部分を形成することができ、ただしR1およびR2は、互いに独立して、水素またはアルキルであり、またはこれらが結合する窒素と一緒になって、飽和または不飽和の5員環、6員環、または7員環を形成することが理解されよう。
【0076】
本明細書で使用される「複素環」または「ヘテロアリール」という用語は、それ自体でまたは別の基の一部として、5から14個の環原子を有しかつ炭素原子と1個、2個、3個、または4個の酸素ヘテロ原子、窒素ヘテロ原子、または硫黄ヘテロ原子を含有する基を指す。複素環基の例には、チエニル、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3−b]チエニル、チアントレニル、フリル、ピラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾキサゾリル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチイニル、2H−ピロリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソキサゾリル、フラザニル、フェノキサジニル、およびテトラゾリル基が含まれる。複素環基は、文献に広く記述されている(例えば、参照により本明細書に組み込まれる非特許文献6参照)。
【0077】
任意のアリールまたはヘテロアリール環系は、置換されていなくてもよく、または任意選択でおよび独立して、H、ハロゲン、シアノ、スルホ、スルホのアルカリもしくはアンモニウム塩、ニトロ、カルボキシ、アルキル、パーフルオロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、またはアルキルアミドなどの任意の合成により入手可能なおよび化学的に安定な置換基の組合せであって、このアルキル部分が18個以下の炭素を有する置換基の組合せによって置換されていてもよい。
【0078】
本明細書で使用される「置換され」という用語は、化学部分または官能基の水素の、代替的な基との形式的な置換を指す。化合物、化学部分、または官能基が、置換されたと記述される場合、代替的な基の置換部分は一般に、ヒドロキシ、オキソ、ニトロ、トリフルオロメチル、ハロゲン、アルコキシ、アルキレンジオキシ、アミノアルキル、アミノアルコキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニル、カルボキシ、ヒドロキシアルコキシ、アルコキシアルコキシ、モノアルキルアミノアルコキシ、ジアルキルアミノアルコキシモノ(カルボキシアルキル)アミノ、ビス(カルボキシアルキル)アミノ、アルコキシカルボニル、アルキニルカルボニル、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、アルキニルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホンアミド、アリールスルホンアミド、アルキルスルホンアミド、カルボキシアルコキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアルキルアミノ、シアノ、トリフルオロメトキシ、パーフルオロエトキシ、グアニジン、アミジノ、オキシグアニジノ、アルキルイミノ、ホルミルイミノ、アシルニトリル、アシルアジド、アセチルアジド、ジクロロトリアゼン、イソチオシアンテ(isothiocyante)、ハロゲン化スルホニル、スルホスクシニミジルエステル、イソシアンテ(isocyante)、ハロゲン化アシル、アルデヒド、ハロアセトアミド、マレイミド、アジリジニル、アルキルチオ(ジスルフィド)、アクリロ、ハロアルキルカルボニル、ボロネート、ヒドラジド、セミカルバジド、カルボヒドラジド、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニルアルキル、シクロヘテロアルキルアルキル、およびシクロヘテロアルケニルアルキルからなる群から選択される。
【0079】
本明細書で使用される、「RG」で示される「反応性基」は、共有結合が形成されるように、別の化合物の官能基と化学的に反応することが可能な化合物上の部分を指す。
【0080】
本明細書で使用される、2つの部分の間の「L」で示される「リンカー」は、これら2つの部分が互いに直接結合することができまたは中間体としてのリンカーを介して結合することができる場合、「任意選択」と見なされる。この言語は、リンカーが存在するかしないかのみが異なる代替的構造の記述を単純化するのに使用される。本発明では、例えば、クマリン色素分子を直接バイオポリマーに複合させることができ、あるいは、リンカーLを介して間接的にバイオポリマーに複合させることができる。表記を簡略にするために、両方の代替例を、本明細書では、任意選択のリンカーを有する単一構造によって記述する。リンカーが存在しない、任意選択のリンカーLを有する構造の実施形態は、「L」が「無い」構造として記述される。
【0081】
本明細書で使用される「水溶性基」または「WSG」という用語は、任意の置換基が結合される化合物の水溶性を高める、その任意の置換基を指す。好ましくは、水溶性基、WSGは、スルホネート、チオスルホネート、ホスホネート、ボロネート、アンモニウム、ピリジニウム、キノリウム、アクリジニウム、またはポリヒドロキシ(例えば、グルコースなどの糖)基である。
【0082】
「スルホネート」という用語は、それ自体でまたは別の基の一部として、下記の構造を有する1つまたは複数の部分を含有する任意の化合物または置換基を指し:
【0083】
【化16】

【0084】
式中、Rは、水素、または金属イオンやアンモニウムイオンなどのその他の対イオンである。
【0085】
本明細書で使用される「色素複合体」という用語は、色素と「基質」または「物質」との間の複合体を指す。
【0086】
本明細書で使用される「分析物」という用語は、分析され、検出され、測定され、または標識されることになる任意の物質を広く指す。分析物の例には、限定するものではないがタンパク質、ペプチド、ホルモン、ハプテン、抗原、抗体、受容体、酵素、核酸、多糖、化学物質、ポリマー、病原体、毒素、有機薬物、無機薬物、細胞、組織、微生物、ウイルス、細菌、真菌、藻類、寄生虫、アレルゲン、汚染物質、およびこれらの組合せが含まれる。慣例により、所与の細胞型の細胞が検出される場合、両方の細胞成分分子または細胞自体を分析物と見なすことができる。
【0087】
「分析物特異的試薬」または「標的特異的試薬」という用語は、サンプル中に潜在的に存在するその他の分析物に比べ、問題の分析物または標的に優先的に結合する任意の試薬を指すのに広く本明細書では使用される。標的(分析物)および標的特異的(分析物特異的)試薬は、結合対のメンバーであり、この対のどちらのメンバーも、この対の他方のメンバーに選択的に結合するために標的特異的試薬として使用することができる。標的および標的特異的試薬対の例には、限定するものではないが下記の表2に示されるものが含まれる。好ましい標的特異的試薬は、抗原に特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含む抗体である。
【0088】
【表7】

【0089】
本明細書で使用される「検出試薬」は、分析物の光学的検出を促進させるのに使用される任意の化合物を指す。検出試薬は、典型的には、蛍光標識と複合した分析物特異的試薬を含み、基質成分、典型的にはバイオポリマーそのものが分析物特異的試薬である色素複合体と、蛍光標識として機能する色素複合体に結合した分析物特異的試薬との両方を含む。
【0090】
本明細書で使用される「バイオポリマー」という用語は、それぞれ本明細書で広く定義されるように、一般に、アミノ酸ポリマー、核酸ポリマー、炭水化物、多糖、および脂質を指すのに使用される。
【0091】
本明細書で使用される「アミノ酸ポリマー」という用語は、一般に、ペプチド、ポリペプチド、および糖タンパク質などの同時翻訳または翻訳後修飾にかけられたタンパク質を含めたタンパク質を含む、アミノ酸の任意のポリマーを指すのに使用される。アミノ酸ポリマーは、標準的な(即ち、タンパク質原性とも呼ばれる、標準的な遺伝コードによってコード化された20アミノ酸の1つ)および非標準的なアミノ酸を共に含んでもよく、例えばホスフェート、炭水化物、またはC1からC25カルボン酸によって、誘導体化し、保護し、または置換してもよい。「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」という用語は、本明細書では、ポリマーの長さに関して区別することなく同義に使用されるが、アミノ酸の短いポリマーは、典型的にはペプチドまたはポリペプチドと呼ばれ、アミノ酸のより長いポリマー、特に天然に生じかつ/または生物学的機能を有するものを、タンパク質と呼ぶ。
【0092】
本明細書で使用される「抗体」という用語には、標的特異的結合試薬として有用な、抗体からまたは抗体遺伝子から誘導されまたは誘導可能な全ての生成物が含まれる。したがって「抗体」には、とりわけ天然の抗体、抗体断片、抗体誘導体と、遺伝子組換え抗体、抗体断片、および抗体誘導体とが含まれる。
【0093】
本明細書で使用される「核酸ポリマー」、「核酸」、および「オリゴヌクレオチド」という用語は、ポリデオキシリボヌクレオチド(2−デオキシ−D−リボースを含有する。)、ポリリボヌクレオチド(D−リボースを含有する。)、およびプリンもしくはピリミジン塩基のNグルコシドでありまたは修飾プリンもしくはピリミジン塩基である任意のその他のタイプのポリヌクレオチドを指す。「核酸」と「オリゴヌクレオチド」という用語の間には、長さに関して意図された区別はなく、これら用語は同義に使用されることになる。これらの用語は、分子の主要構造のみ指す。したがってこれらの用語には、2本鎖および1本鎖DNA、ならびに2本鎖および1本鎖RNAが含まれる。核酸ポリマーは、N−(2−アミノエチル)グリシン単位などのペプチド核酸を含むものとする(例えば、参照により本明細書に組み込まれるNielsenらの特許文献8参照)。
【0094】
反応性色素
本発明の、反応性の水溶性複素環置換7−ヒドロキシルクマリンは、式1〜8のいずれかに示される一般構造を有する。特定の例について表1に示し、実施例で記述する。
【0095】
反応性の水溶性複素環置換7−ヒドロキシルクマリン色素は、任意選択のリンカーによってこの色素に共有結合された、1つの反応性基、RGを含有する。ある実施形態では、色素をRGに結合させる共有結合は、スペーサとして働く多数の介在原子を含有する。
【0096】
本発明の、反応性の水溶性複素環置換7−ヒドロキシルクマリン色素は、適切な反応性を有する官能基を含有しまたは含有するように変性させた広く様々な有機または無機物質と反応することができ、その結果、色素と物質との化学結合が行われる。典型的には、物質上での反応性色素と官能基との間の複合反応では、反応性基RGの1個または複数の原子が、この物質に色素を結合させる新たな結合に組み込まれることになる。
【0097】
典型的には、反応性基は、それぞれ求核物質または求電子物質である対応する官能基に曝すことによって共有結合を形成することができる、求電子物質または求核物質である。求電子性および求核性基の反応性対の、選択された実施例を、それらの反応から得られた共有結合と共に、以下の表3に示す。
【0098】
【表8−1】

【0099】
【表8−2】

【0100】
色素と、複合される物質とを結合するのに使用される反応性基に何を選択するかは、典型的には、複合される物質上の官能基と、所望の共有結合のタイプまたは長さに依存する。有機または無機物質上に典型的に存在する官能基のタイプには、限定するものではないがアミン、アミド、チオール、アルコール、フェノール、アルデヒド、ケトン、ホスフェート、イミダゾール、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、二置換アミン、ハロゲン化物、エポキシド、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、プリン、ピリミジン、カルボン酸、オレフィン結合、またはこれらの基の組合せが含まれる。単一タイプの反応性部位が物質上で利用可能であってもよく(多糖で典型的)、またはタンパク質で典型的であるように、様々な部位が生じてもよい(例えば、アミン、チオール、アルコール、フェノール)。複合物質は、同じでも異なっていてもよい複数の色素と、またはビオチンなどハプテンによってさらに修飾された物質と、複合してもよい。一部の選択性は、反応条件の慎重な制御によって得ることができるが、標識の選択性は、適切な反応性色素を選択することによって最も良く得られる。
【0101】
典型的には、反応性基RGは、アミン、チオール、アルコール、アルデヒド、またはケトンと反応することになる。好ましくはRGは、アミンまたはチオール官能基と反応する。ある実施形態では、RGは、アクリルアミド、反応性アミン(カダベリンまたはエチレンジアミンを含む。)、カルボン酸の活性化エステル(典型的にはカルボン酸のスクシニミジルエステル)、アシルアジド、アシルニトリル、アルデヒド、ハロゲン化アルキル、無水物、アニリン、ハロゲン化アリール、アジド、アジリジン、ボロネート、カルボン酸、ジアゾアルカン、ハロアセトアミド、ハロトリアジン、ヒドラジン(ヒドラジドを含む。)、イミドエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、ホスホラミダイト、反応性白金錯体、ハロゲン化スルホニル、またはチオール基である。「反応性白金錯体」とは、参照により本明細書に組み込まれている文献(例えば、特許文献9、10、および11参照)に記述されるような、化学反応性白金錯体を特に意味する。
【0102】
RGがカルボン酸の活性化エステルである場合、反応性色素は、タンパク質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、またはハプテンの色素複合体を調製するのに特に有用である。RGがマレイミドまたはハロアセトアミドである場合、反応性色素は、チオール含有物質と複合するのに特に有用である。RGがヒドラジドである場合、反応性基は、過ヨウ素酸酸化炭水化物および糖タンパク質との複合に特に有用であり、さらに、細胞微量注入用のアルデヒド固定化極性トレーサである。好ましくはRGは、カルボン酸、カルボン酸のスクシニミジルエステル、ハロアセトアミド、ヒドラジン、イソチオシアネート、マレイミド基、脂肪族アミン、パーフルオロベンズアミド、アジドパーフルオロベンズアミド基、またはソラレンである。より好ましくは、RGは、カルボン酸のスクシニミジルエステル、マレイミド、ヨードアセトアミド、または反応性白金錯体である。
【0103】
あるいは、反応性基RGは、アジド、ジアジリニル、アジドアリール、またはソラレン誘導体などの光活性化可能な基であり、その場合、色素は、適切な波長の光で照射した後に初めて化学的に反応性になる。
【0104】
反応性色素の合成
本発明の水溶性複素環置換7−ヒドロキシルクマリンは、4−カルボニルレゾルシノールと複素環酢酸との無水酢酸ベースの縮合から、または4−カルボニルレゾルシノールと活性メチレン化合物との塩基触媒縮合から調製される。これらの基本構造は、上記にて定義された対応するクマリン色素置換基が得られるように、合成中または合成後に、任意選択でさらに置換される。均等な結果をもたらすことができる、多くの可能な変形例があることが理解される。本発明の、反応性クマリン色素の典型的な合成を、図1に示す。文献におけるクマリンのその他の知られている合成方法は、当業者に知られているある修正によって、本発明の化学反応性クマリンを調製するのに適合させることができる(例えば、参照によりそのそれぞれが本明細書に組み込まれている、Bentsenらの特許文献12と、非特許文献7、8、9、10、11、および12参照)。
【0105】
反応性基を含有する色素の合成方法は、当技術分野において文書で十分証明されている。カルボン酸の「活性化エステル」などのアミン反応性色素は、典型的にはカルボン酸と比較的酸性の「離脱基」とをカップリングすることによって合成される。その他の好ましいアミン反応性基には、PCl5やPOCl3などのハロゲン化剤を使用してスルホン酸から調製されるハロゲン化スルホニル;ハロゲン化シアヌルとアミンとの反応によって調製されるハロトリアジン;アミンおよびホスゲンまたはチオホスゲンからそれぞれ調製されるイソシアネートまたはイソチオシアネートが含まれる。
【0106】
カルボン酸、アルデヒド、およびケトンとの複合に特に有用なアミンおよびヒドラジドを含有する色素は、カルボン酸またはハロゲン化スルホニルの活性化エステルと、カダベリンなどのジアミンまたはヒドラジンとの反応によって、最も頻繁に合成される。あるいは、芳香族アミンは、ニトロ芳香族化合物の化学的還元によって一般に合成される。アミンおよびヒドラジンは、標準的な方法によってチオール反応性ハロアセトアミドまたはマレイミドを合成するための、特に有用な前駆体である。
【0107】
色素複合体
本発明の、反応性の水溶性複素環置換7−ヒドロキシルクマリン色素は、適切な反応性を有する官能基を含有しまたは含有するように変性された広く様々な有機または無機物質(本明細書では、「基質」と呼ぶ。)と反応することができ、その結果、色素と物質との複合が行われる。有用な色素複合体には、とりわけ、基質がアミノ酸、ヌクレオチド、バイオポリマー(例えば、アミノ酸ポリマー、核酸ポリマー、多糖、炭水化物、または脂質)、抗原、ステロイド、ビタミン、薬物、ハプテン、代謝産物、毒素、環境汚染物質、イオン錯体形成部分、もしくはガラス、プラスチック、またはその他の非生物学的ポリマーである複合体が含まれる。いくつかの実施形態では、基質は、細胞、細胞系、細胞断片もしくは成分、または細胞下粒子(例えば、ウイルス粒子、細菌粒子、またはこれらの成分)である。反応性色素は、典型的には、細胞表面で、細胞膜、オルガネラ、または細胞質において、官能基を標識する。
【0108】
生物学的アッセイで使用する場合、基質は、典型的にはアミノ酸、ヌクレオチド、または、アミノ酸ポリマーや核酸ポリマー、炭水化物、多糖などのバイオポリマーである。色素ポリマー複合体は、色素複合体からの蛍光シグナルを増大させるために、基質と複合した複数の色素分子が組み込まれたものを調製することができる。
【0109】
一実施形態では、基質は、ペプチドやタンパク質などのアミノ酸またはアミノ酸ポリマーである。本発明で使用可能なアミノ酸ポリマーの例には、限定するものではないが抗体(上記にて広く定義された通り)、IgG結合タンパク質(例えば、タンパク質A、タンパク質G、タンパク質A/Gなど)、酵素、レクチン、糖タンパク質、ヒストン、アルブミン、リポタンパク質、アビジン、ストレプトアビジン、タンパク質A、タンパク質G、フィコビリタンパク質、およびその他の蛍光タンパク質、ホルモン、毒素、ケモカイン、成長因子、神経ペプチド、サイトカイン、毒素、プロテアーゼ基質、およびタンパク質キナーゼ基質が含まれる。好ましい実施形態では、バイオポリマー基質がモノクローナル抗体である。
【0110】
別の実施形態では、基質は、核酸塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド、または核酸ポリマーである。核酸ポリマーには、アルキニル結合(例えば、特許文献13参照)、アミノアリル結合(例えば、特許文献14参照)、ヘテロ原子置換リンカー(例えば、特許文献15参照)、またはその他の結合など、本発明の色素と結合させるために追加のリンカーまたはスペーサを有するよう修飾したものが含まれる。別の実施形態では、複合物質は、非環状スペーサを介してプリンまたはピリミジン塩基をホスフェートまたはポリホスフェート部分に結合するヌクレオシドまたはヌクレオチド類似体である。別の実施形態では、色素は、典型的にはヒドロキシル基を介して、あるいはチオールまたはアミノ基を介して、ヌクレオチドまたはヌクレオシドの炭水化物部分と複合する(例えば、特許文献16、17、18に記載されるように)。典型的には、複合ヌクレオチドは、ヌクレオシド三リン酸またはデオキシヌクレオシド三リン酸またはジデオキシヌクレオシド三リン酸である。ホスフェートまたはポリホスフェート部分へのメチレン部分または窒素もしくは硫黄ヘテロ原子の組込みも、有用である。7−デアザプリン(例えば、特許文献19参照)などの非プリンおよび非ピリミジン塩基と、そのような塩基を含有する核酸も、本発明の色素に結合することができる。脱プリン化核酸とアミン、ヒドラジド、またはヒドロキシルアミン誘導体との反応によって調製された核酸付加物は、核酸を標識し検出する追加の手段を提供し、例えば、文献を参照されたい(例えば、非特許文献13参照)。
【0111】
好ましい核酸ポリマー複合体は、標識された、1本鎖または2本鎖の天然または合成DNAまたはRNA、DNAまたはRNAオリゴヌクレオチド、またはDNA/RNAハイブリッドであり、または、モルホリン誘導体化ホスフェートなどの通常とは異なるリンカーもしくはN−(2−アミノエチル)グリシン単位などのペプチド核酸を組み込む。核酸が合成オリゴヌクレオチドの場合、典型的には、50よりも少ないヌクレオチド、より典型的には25よりも少ないヌクレオチドを含有する。ペプチド核酸(PNA)の複合体(例えば、Nielsenらの特許文献8参照)は、一般にそのハイブリダイゼーション速度がより速いので、いくつかの適用例に好ましいことがある。
【0112】
別の実施形態では、基質は、典型的にはデキストランやヘパリン、グリコーゲン、アミロペクチン、マンナン、インスリン、デンプン、アガロース、セルロースなどの多糖である炭水化物である。あるいは、炭水化物は、リポ多糖である多糖である。好ましい多糖複合体は、デキストラン、またはリポ多糖複合体である。
【0113】
別の実施形態では、基質は、糖脂質、リン脂質、スフィンゴ脂質、およびステロイドを含めた脂質(典型的には6〜60炭素を有する。)である。あるいは複合物質は、リポソームなどの脂質アセンブリである。親油性部分は、文献(例えば、特許文献20参照)に記載されるように、複合物質を細胞内に保持するのに使用してもよい。本発明の、ある極性色素も、脂質アセンブリ内に捕捉してもよい。
【0114】
基質がイオン錯体形成部分である複合体は、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、亜鉛、カリウム、またはその他の生物学的に重要な金属イオンの指標として働く。好ましいイオン錯体形成部分は、クラウンエーテル(例えば、特許文献21参照);1,2−ビス−(2−アミノフェノキシエタン)−N,N,N’,N’−4酢酸の誘導体(BAPTAキレート剤;例えば、特許文献22、23、および24参照);2−カルボキシメトキシアニリン−N,N−ジ−酢酸の誘導体(APTRAキレート剤;例えば、非特許文献14参照);またはピリジンおよびフェナントロリンをベースにした金属イオンキレート剤(例えば、特許文献25参照);またはニトリロ3酢酸の誘導体であり、例えば、文献を参照されたい(例えば、非特許文献15参照)。好ましくは、イオン錯体形成部分は、クラウンエーテルキレート剤、BAPTAキレート剤、APTRAキレート剤、またはニトリロ3酢酸の誘導体である。
【0115】
非生体材料のその他の複合体には、有機または無機ポリマー、ポリマー被膜、ポリマーウェーハ、ポリマー膜、ポリマー粒子、またはポリマー微粒子の色素複合体が含まれ;磁性および非磁性微小球を含み;鉄、金、または銀粒子;伝導性および非伝導性金属および非金属;ガラスおよびプラスチックの表面および粒子が含まれる。複合体は、ポリマーを調製しながら適切な官能基を含有する色素の共重合によって、または適切な化学反応性を有する官能基を含有するポリマーの化学的修飾によって、任意選択で調製される。ポリマーの色素複合体を調製するのに有用なその他のタイプの反応には、アルケンの触媒重合または共重合と、ジエンおよびジエノフィルの反応、エステル交換、またはアミノ基転移が含まれる。
【0116】
いくつかの実施形態では、色素複合体は、エネルギー転移対を形成するために、任意選択で本発明の追加の色素である少なくとも1種の第2のルミネセンス色素でさらに標識される。本発明のいくつかの態様では、標識された複合体が酵素基質として機能し、酵素的加水分解がエネルギー転移を妨げる。
【0117】
蛍光色素複合体は、特に基質がバイオポリマーの場合、基質分子当たり多数の色素を組み込んで蛍光シグナルを増大させることができる。好ましくは、色素の少なくとも3分子が、色素−バイオポリマー複合体に組み込まれる。バイオポリマーが抗体である実施形態では、少なくとも3個、より好ましくは少なくとも6個の色素分子が抗体と複合する。いくつかの実施形態では、著しい自己消光を伴わずに約35個も多くの色素分子を抗体と複合させることができるが、より典型的には約15〜20個もの分子である。記述された複合基質当たりの色素の範囲のそれぞれは、その範囲内の全ての値について述べるものとすることが、当業者に理解されよう。したがって例えば、意図される蛍光バイオポリマーが6〜15個の色素分子を含有すると言う場合、6、7、8、...、または15個の色素分子を含有するバイオポリマーも本発明の一部である。
【0118】
色素複合体の調製
本発明の蛍光色素複合体は、典型的には基質と反応性の水溶性複素環置換7−ヒドロキシクマリン色素との間の反応の生成物として合成される。反応性色素を使用する色素複合体の調製は、十分に文書で証明されており、例えば、参照により本明細書にそれぞれ組み込まれている文献を参照されたい(例えば、非特許文献16、17、および18参照)。複合体は、典型的には、適切な反応性色素と、複合される物質とを、これらが共に可溶性である適切な溶媒中で混合することから得られる。本明細書に記述される反応性の水溶性複素環置換7−ヒドロキシクメリン色素の水溶液は、容易に生成され、ほとんどの生体材料との複合反応を促進させる。光活性化されたこれら反応性色素の場合、複合は、この反応性色素を活性化するために反応混合物を照射することを必要とする。
【0119】
本発明の蛍光バイオポリマーは、典型的には、バイオポリマーと反応性の水溶性複素環置換7−ヒドロキシルクマリンとの間の反応の生成物として合成され、このときの反応条件は、多数の色素分子と各バイオポリマーとの複合をもたらすものである。あるいは、蛍光バイオポリマーは、サブユニット分子の重合反応として合成することができ、このサブユニット分子の1つまたは複数は、バイオポリマーの重合前に、反応性の水溶性複素環置換7−ヒドロキシルクマリンと複合しているものである。後者の方法の例は、標準的なホスホラミダイトの化学的性質を使用したオリゴヌクレオチドの合成であり、少なくとも1つのホスホラミダイトが色素標識される。
【0120】
適用および使用方法
本発明の一態様では、本発明の反応性色素は、サンプルまたはサンプルの成分を直接染色しまたは標識するのに使用され、したがってサンプルを特定しまたは定量することができるようになる。化学的反応性色素化合物は、広く様々な材料上で対応する官能基に共有結合することになり、上述のように色素複合体を形成する。
【0121】
好ましい実施形態では、本発明の反応性色素化合物は、生物学的成分でサンプルを直接染色しまたは標識するのに使用される。サンプルは、成分の不均質な混合物(無傷の細胞、細胞抽出物、細菌、ウイルス、オルガネラ、およびこれらの混合物を含む。)、または単一成分、または成分の均質な群(例えば、天然または合成のアミノ酸、核酸、または炭水化物ポリマー、または脂質膜錯体)を含んでもよい。これらの色素は、一般に、典型的な使用濃度内では、生細胞およびその他の生物学的成分に対して無毒性である。
【0122】
直接染色の場合、色素化合物と問題のサンプル成分との間の接触が促進されるような任意の方法で、色素化合物をサンプルと組み合わせる。典型的には、色素化合物または色素化合物を含有する溶液を、単にサンプルに添加する。本発明のある色素、特に1つまたは複数のスルホン酸部分によって置換される色素は、生体細胞の膜を透過しない傾向があり、一旦内部に入ると、生存可能な細胞は典型的には十分に保持される。エレクトロポレーションなど、原形質膜を透過性にする処理、衝撃処理、または高細胞外ATPを使用して、選択された色素化合物を細胞内に導入することができる。あるいは、選択された色素化合物を、例えば圧力微量注入、スクレープローディング、パッチクランプ法、または食作用によって、細胞内に物理的に挿入することができる。
【0123】
脂肪族アミンまたはヒドラジン残基を組み込んだ色素を、細胞内に微量注入することができ、この色素を、ホルムアルデヒドやグルタルアルデヒドなどのアルデヒド固定液によって所定位置に固定することができる。このように固定することができるので、そのような色素は、神経トレーシングなどの細胞内適用例に役立つようになる。
【0124】
リン脂質などの親油性置換基を有する色素化合物は、例えば膜構造のプローブとして使用するために、またはリポソーム、リポタンパク質、被膜、プラスチック、親油性微小球、もしくは同様の材料に組み込むために、またはトレーシングのために、非共有結合によって脂質アセンブリ内に組み込まれることになる。親油性色素は、膜構造の蛍光プローブとして有用である。
【0125】
生物学的適用例における分析物の直接染色では、本発明の色素化合物を、典型的には当技術分野で一般に知られている方法により調製された水性の、ほぼ水性の、または水性混和溶液で使用する。色素化合物の正確な濃度は、実験条件および所望の結果に依存するが、典型的には約1ナノモルから1ミリモル以上に及ぶ。最適な濃度は、バックグラウンド蛍光が最小限に抑えられた満足のいく結果が実現されるまで、系統的な変更によって決定される。
【0126】
本発明の別の態様では、本発明の蛍光色素複合体は、分析物の光学的検出および分析を促進させるための、検出試薬、典型的には分析物特異的検出試薬として、またはそのような検出試薬の一部として有用である。一実施形態では、色素複合体基質そのものが分析物特異的試薬であり、蛍光色素複合体は、問題の分析物を標識する検出試薬として使用される。代替的実施形態では、蛍光色素複合体が分析物特異的試薬に結合され、組み合わせた部分を検出試薬として使用して、問題の分析物を標識する。この代替的実施形態では、色素複合体が、分析物特異的試薬に結合した蛍光標識として作用する。
【0127】
問題の1種または複数の分析物を、分析物特異的検出試薬を使用して標識し、その後、光学的に分析するアッセイは、当技術分野で周知であり、本発明の蛍光色素複合体は、一般に、そのようなアッセイでの検出試薬として有用である。例えばサンプル中のタンパク質は、分析物タンパク質に特異的に結合する、標識されたタンパク質、典型的には抗体からなる検出試薬を使用して、標識することができる。得られた標識済み分析物タンパク質の検出は、フローサイトメトリー、走査型サイトメトリー、撮像、およびゲル分析を含めたいくつかの周知のアッセイフォーマットおよび機器を使用して実施することができる。フローサイトメトリーは、例えば、参照により本明細書に全て組み込まれている文献(例えば、非特許文献19、20、21、22、および23参照)を含めた、この分野での広範な文献に十分に記載されている。蛍光撮像顕微鏡法は、例えば、参照により本明細書に組み込まれた文献(例えば、非特許文献24参照)に記載されている。
【0128】
本発明の蛍光ポリマーを励起するのに有用な光源には、限定するものではないが手持ち式紫外線ランプ、水銀アークランプ、キセノンランプ、レーザー、およびレーザーダイオードが含まれる。これらの光源は、任意選択で、レーザースキャナ、蛍光マイクロプレートリーダ、標準のもしくは小型フルオロメーター、またはクロマトグラフィー検出器に一体化される。本発明の好ましい蛍光ポリマーは、405nmでまたはその付近で励起可能であり、比較的安価な紫色レーザー励起源を使用して励起することができる。
【0129】
キット
本発明の一態様は、上述の本発明の色素のいずれかを使用した、様々なアッセイの実施を促進させるキットの作製である。本発明のキットは、典型的には本発明の着色または蛍光色素を含み、これらはどちらも、色素複合体を調製するのに有用な化学的反応性標識として存在するものであり、または、複合物質が特異的結合対メンバー、もしくはヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、核酸ポリマー、ペプチド、もしくはタンパク質である色素複合体として存在するものである。キットは、任意選択でさらに、典型的には水溶液として存在する1種または複数の緩衝剤を含む。本発明のキットは、任意選択でさらに、追加の検出試薬、得られる標識済み物質を精製するための精製媒体、ルミネセンス標準、酵素、酵素阻害剤、有機溶媒、または本発明のアッセイを実施するための取扱い説明書を含む。
【0130】
実施例
選択された色素の合成戦略、選択された蛍光バイオポリマーの合成、それらの特徴付け、および使用方法の例を、以下の実施例に示す。他の修正例および置換例は、当業者には明らかであろう。以下の実施例は、本発明の実施が例示されるように示すものであり、本発明の範囲全体を限定しまたは画定しようとするものではない。
【実施例1】
【0131】
化合物1の調製
【0132】
【化17】

【0133】
4−クロロレゾルシノール(50g)を乾燥エーテル(200ml)に溶解する。溶液に、微粉化したシアン化亜鉛(60g)および塩化カリウム(12g)を撹拌しながら添加する。懸濁液を0℃に冷却する。強力な塩化水素ガスの流れを、激しく撹拌しながら溶液に吹き込む。約30〜60分後、反応物が溶解する。塩化水素ガスの添加は、エーテル溶液への吸収が停止するまで継続する。懸濁液をさらに1時間、氷上で撹拌する。エーテル溶液を、氷で処理した固体から注ぎ、水浴中で100℃に加熱する。溶液から光沢あるプレート内で結晶化した生成物を冷却したら、濾過によって除去し、空気乾燥することによって、所望のアルデヒドが得られる。
【実施例2】
【0134】
化合物2の調製
【0135】
【化18】

【0136】
2−チオフェネン酢酸エチル(10g)および6−ブロモヘキサン酸エチル(12g)をジクロロメタン(200ml)中に溶解する。溶液に、無水AlCl3(24g)を乾燥窒素保護下で激しく撹拌しながら、0℃で添加する。反応混合物を、0℃で乾燥窒素保護下で撹拌し、TLCによって示されるように反応が終了したときに室温に温める。反応混合物を氷水に注ぎ、クロロホルム(3×200ml)で抽出する。クロロホルム層を合わせ、無水Na2SO4で乾燥し、溶媒を真空中で除去することにより、未精製の固体が得られる。未精製の固体を、溶離剤としてクロロホルム/酢酸エチルの勾配を用いてシリカゲルカラムでさらに精製することにより、所望の化合物2が得られる。
【実施例3】
【0137】
化合物3の調製
【0138】
【化19】

【0139】
化合物2(10g)をエタノール(100ml)に溶解する。溶液に、5M NaOH(65ml)を添加する。反応混合物を室温で撹拌し、TLCによって示されるように反応が終了したときに濃HClで中和する。得られた混合物を酢酸エチル(3×200ml)で抽出する。酢酸エチル層を合わせ、無水Na2SO4で乾燥し、溶媒を真空中で除去することにより、所望の化合物3が得られる。
【実施例4】
【0140】
化合物4の調製
【0141】
【化20】

【0142】
化合物1(6g)および化合物3(5.8g)を無水酢酸(100ml)中に懸濁する。懸濁液に、トリエチルアミン(6ml)を室温で添加する。反応混合物を、TLCによって示されるように反応が終了するまで120〜140℃で加熱する。室温に冷却した後、混合物を氷水に注ぎ、得られた沈殿物を吸引により濾別することにより、固体を収集し空気乾燥する。未精製生成物を再結晶することによって、所望の化合物4が得られる。
【実施例5】
【0143】
化合物5の調製
【0144】
【化21】

【0145】
化合物4(5g)を20%HCl(300ml)に懸濁する。反応混合物を、TLCによって示されるように反応が終了するまで、60〜70℃に加熱する。反応混合物を水(200ml)で希釈し、酢酸エチル(3×300ml)で抽出する。酢酸エチル層を合わせ、無水Na2SO4で乾燥し、溶媒を真空中で除去することにより、未精製化合物5が得られる。未精製物質を、溶離剤としてクロロホルム/メタノールの勾配を用いてシリカゲルカラムでさらに精製することにより、所望の化合物5が得られる。
【実施例6】
【0146】
化合物6の調製
【0147】
【化22】

【0148】
化合物5(1g)を濃H2SO4(5ml)中に懸濁する。懸濁液に、20%発煙H2SO4(5ml)を添加する。反応混合物を、TLCによって示されるように反応が終了するまで0℃で撹拌する。冷エーテル(200ml)に、反応混合物を1滴ずつ、激しく撹拌しながら添加することにより、未精製化合物6が黄色の沈殿物として得られる。未精製物質を、水に溶かした0.1%TFA−MeCNに溶かした0.1%TFAの緩衝液系を使用して、さらに分取HPLCで精製することにより、所望の化合物6が得られる。
【実施例7】
【0149】
化合物7の調製
【0150】
【化23】

【0151】
化合物6(100mg)およびN,N’−ジスクシニミジルカーボネート(85mg)をDMF(5ml)に溶解する。溶液に、4−ジメチルアミノピリジン(5mg)および無水トリエチルアミン(0.1ml)を、乾燥窒素保護下で、室温で激しく撹拌しながら添加する。反応混合物を、TLCによって示されるように反応が終了するまで室温で、乾燥窒素保護下で撹拌する。反応混合物をエーテルに注ぎ、得られた沈殿物を濾過によって収集する。固体をエーテルで洗浄することにより、所望の化合物7が得られる。
【実施例8】
【0152】
化合物8の調製
【0153】
【化24】

【0154】
無水ヒドラジン(100μl)をDMF(0.5ml)に溶かしたものに、化合物7(100mg)をDMF(0.5ml)に溶かしたものを添加する。混合物を周囲温度で15分間撹拌する。反応溶液を水に注ぎ、得られた沈殿物を遠心分離にかけて固体を収集し、水で洗浄し、空気乾燥する。未精製生成物を、HPLCによってさらに精製する。
【実施例9】
【0155】
化合物9の調製
【0156】
【化25】

【0157】
化合物7(10mg)をDMF(0.2ml)に溶かしたものに、室温で、4当量のトリエチルアミンおよび1.2当量のN−(2−アミノエチル)マレイミド、トリフルオロ酢酸塩(Sigma−Aldrich)を添加する。混合物を周囲温度で60分間撹拌する。DMF溶液を水に注ぎ、得られた懸濁液を遠心分離にかけて固体を収集し、空気乾燥する。未精製生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーでさらに精製することにより、所望の化合物9が得られる。
【実施例10】
【0158】
化合物10の調製
【0159】
【化26】

【0160】
化合物10は、4−クロロ−2−フルオロレゾルシノール(Fanbo Biochemicals,Ltd.,北京、中国)から、化合物1を調製するための手順と同様に調製する。
【実施例11】
【0161】
化合物11の調製
【0162】
【化27】

【0163】
化合物11は、化合物10と化合物3との縮合から、化合物4を調製するための手順と同様に調製する。
【実施例12】
【0164】
化合物12の調製
【0165】
【化28】

【0166】
化合物12は、20%HClによる化合物11の酸加水分解から、化合物5を調製するための手順と同様に調製する。
【実施例13】
【0167】
化合物13の調製
【0168】
【化29】

【0169】
化合物13は、化合物12のスルホン化から、化合物6を調製するための手順と同様に調製する。
【実施例14】
【0170】
化合物14の調製
【0171】
【化30】

【0172】
化合物14は、化合物13とN,N’−ジスクシニミジルカーボネートとの縮合から、化合物7を調製するための手順と同様に調製する。
【実施例15】
【0173】
化合物15の調製
【0174】
【化31】

【0175】
化合物15は、2,4−ジクロロレゾルシノール(Fanbo Biochemicals,Ltd.)から、化合物1を調製するための手順と同様に調製する。
【実施例16】
【0176】
化合物16の調製
【0177】
【化32】

【0178】
化合物16は、化合物15と化合物3との縮合から、化合物4を調製するための手順と同様に調製する。
【実施例17】
【0179】
化合物17の調製
【0180】
【化33】

【0181】
化合物17は、20%HClによる化合物16の酸加水分解から、化合物5を調製するための手順と同様に調製する。
【実施例18】
【0182】
化合物18の調製
【0183】
【化34】

【0184】
化合物18は、化合物17のスルホン化から、化合物6を調製するための手順と同様に調製する。
【実施例19】
【0185】
化合物19の調製
【0186】
【化35】

【0187】
化合物19は、化合物18とN,N’−ジスクシニミジルカーボネートとの縮合から、化合物7を調製するための手順と同様に調製する。
【実施例20】
【0188】
化合物20の調製
【0189】
【化36】

【0190】
2−チオフェネン酢酸エチル(5g)および4−ブロモメチル安息香酸メチル(6.2g)を、ジクロロメタン(200ml)に溶解する。溶液に、無水AlCl3(12g)を乾燥窒素保護下で、0℃で激しく撹拌しながら添加する。反応混合物を、0℃で乾燥窒素保護下で撹拌し、TLCによって示されるように反応が終了したときに室温に温める。反応混合物を氷水に注ぎ、クロロホルム(3×200ml)で抽出する。クロロホルム層を合わせ、無水Na2SO4で乾燥し、溶媒を真空中で除去することにより、未精製固体が得られる。未精製固体を、溶離剤としてヘキサン/酢酸エチルの勾配を用いたシリカゲルカラムでさらに精製することにより、所望の化合物20が得られる。
【実施例21】
【0191】
化合物21の調製
【0192】
【化37】

【0193】
化合物20(5g)をエタノール(50ml)に溶解する。溶液に、5M NaOH(65ml)を添加する。反応混合物を室温で撹拌し、TLCによって示されるように反応が終了したときに、濃HClで中和する。反応混合物を酢酸エチル(3×200ml)で抽出する。酢酸エチル層を合わせ、無水Na2SO4で乾燥し、溶媒を真空中で除去することにより、所望の化合物21が得られる。
【実施例22】
【0194】
化合物22の調製
【0195】
【化38】

【0196】
化合物22は、化合物21と化合物1との縮合から、化合物4を調製するための手順と同様に調製する。
【実施例23】
【0197】
化合物23の調製
【0198】
【化39】

【0199】
化合物23は、20%HClによる化合物22の酸加水分解から、化合物5を調製するための手順と同様に調製する。
【実施例24】
【0200】
化合物24の調製
【0201】
【化40】

【0202】
化合物24は、化合物23のスルホン化から、化合物6を調製するための手順と同様に調製する。
【実施例25】
【0203】
化合物25の調製
【0204】
【化41】

【0205】
化合物25は、化合物24とN,N’−ジスクシニミジルカーボネートとの縮合から、化合物7を調製するための手順と同様に調製する。
【実施例26】
【0206】
化合物26の調製
【0207】
【化42】

【0208】
化合物1(1g)および2,5−ジカルボキシメチルチオフェン(6g、Sigma−Aldrich)を、無水酢酸(100ml)に懸濁する。懸濁液に、トリエチルアミン(6ml)を室温で添加する。得られた反応混合物を、TLCによって示されるように反応が終了するまで、120〜140℃で加熱する。室温に冷却した後、混合物を氷水に注ぎ、得られた沈殿物を吸引により濾別して、固体を収集し、空気乾燥する。未精製固体を、溶離剤としてクロロホルム/メタノールの勾配を有するシリカゲルカラムでさらに精製することにより、所望の化合物26が得られる。
【実施例27】
【0209】
化合物27の調製
【0210】
【化43】

【0211】
化合物27は、20%HClによる化合物26の酸加水分解から、化合物5を調製するための手順と同様に調製する。
【実施例28】
【0212】
化合物28の調製
【0213】
【化44】

【0214】
化合物28は、化合物27のスルホン化から、化合物6を調製するための手順と同様に調製する。
【実施例29】
【0215】
化合物29の調製
【0216】
【化45】

【0217】
化合物29は、化合物24とN,N’−ジスクシニミジルカーボネートとの縮合から、化合物7を調製するための手順と同様に調製する。
【実施例30】
【0218】
化合物30の調製
【0219】
【化46】

【0220】
化合物30は、2,4−ジヒドロキシ−5−ホルミル安息香酸(Fanbo Biochemicals,Ltd.)と2−チオフェン酢酸との縮合から、化合物4を調製するための手順と同様に調製する。
【実施例31】
【0221】
化合物31の調製
【0222】
【化47】

【0223】
化合物31は、20%HClによる化合物30の酸加水分解から、化合物5を調製するための手順と同様に調製する。
【実施例32】
【0224】
化合物32の調製
【0225】
【化48】

【0226】
化合物32は、化合物31のスルホン化から、化合物6を調製するための手順と同様に調製する。
【実施例33】
【0227】
化合物33の調製
【0228】
【化49】

【0229】
化合物33は、化合物32とN,N’−ジスクシニミジルカーボネートとの縮合から、化合物7を調製するための手順と同様に調製する。
【実施例34】
【0230】
化合物34の調製
【0231】
【化50】

【0232】
2−ベンゾチアゾール酢酸エチル(5g、Sigma−Aldrich)、2,4−ジヒドロキシ−5−ホルミル安息香酸(2g、Fanbo Biochemicals,Ltd.)、ピペリジン0.5ml、および酢酸0.3mlを、TLCによって示されるように反応が終了するまで、メタノール100ml中で還流下で加熱する。室温に冷却した後、混合物を濾過し、濾液を濃縮する。濃縮した濾液を水に注ぎ、得られた沈殿物を吸引により濾別して固体を収集し、空気乾燥する。未精製生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーでさらに精製することにより、所望の化合物34が得られる。
【実施例35】
【0233】
化合物35の調製
【0234】
【化51】

【0235】
化合物35は、化合物34のスルホン化から、化合物6を調製するための手順と同様に調製する。
【実施例36】
【0236】
化合物36の調製
【0237】
【化52】

【0238】
化合物36は、化合物35とN,N’−ジスクシニミジルカーボネートとの縮合から、化合物7を調製するための手順と同様に調製する。
【実施例37】
【0239】
化合物37の調製
【0240】
【化53】

【0241】
メチル4−カルボキシメチルピリジン(5g)および6−ブロモヘキサン酸メチル(8g)を、TLCによって示されるように反応が終了するまで、1,2−ジクロロベンゼン(50ml)中で加熱する。室温に冷却した後、混合物を濾過して固体を収集し、エーテルで洗浄し、空気乾燥する。未精製生成物を、さらに精製することなく次のステップの反応で直接使用する。
【実施例38】
【0242】
化合物38の調製
【0243】
【化54】

【0244】
化合物38は、化合物37とレゾルシノールとのピペリジン触媒縮合から、化合物34を調製するため手順と同様に調製する。
【実施例39】
【0245】
化合物39の調製
【0246】
【化55】

【0247】
化合物39は、化合物38の加水分解から、化合物5を調製するための手順と同様に調製する。
【実施例40】
【0248】
化合物40の調製
【0249】
【化56】

【0250】
化合物40は、化合物39とN,N’−ジスクシニミジルカーボネートとの縮合から、化合物7を調製するための手順と同様に調製する。
【実施例41】
【0251】
タンパク質−色素複合体の調製
タンパク質−色素複合体は、例えば、参照によりそのそれぞれが本明細書に組み込まれている文献(例えば、非特許文献25、26、27、28参照)に記載されているような、標準的な手段によって調製することができる。例えばタンパク質−色素複合体は、下記のように本発明のスクシニミジルエステルを使用して調製することができる。
【0252】
タンパク質の溶液は、0.1M重炭酸ナトリウム中に約10mg/mLで調製する。標識試薬を、水またはDMFもしくはDMSOなどの適切な溶媒に、約10mg/mLで溶解する。所定量の標識試薬を、撹拌しながらタンパク質溶液に添加する。反応混合物を、室温で1時間または氷上で数時間インキュベートする。色素−タンパク質複合体は、典型的には、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)で平衡にしたAmersham PD−10樹脂(GE Healthcare Bio−Sciences Corp.,Piscataway,NJ)などのサイズ排除クロマトグラフィーによって、遊離未反応試薬から分離される。初期のタンパク質含有着色バンドを収集し、置換度を、遊離蛍光団の吸光係数を使用して各蛍光団の吸収最大値での吸光度から決定する。このように得られた色素−タンパク質複合体を細画分することにより、より高い、より低い、またはより均一なDOSを得ることができる。
【0253】
色素標識抗体を生成するような多くの適用例では、色素が10から50当量とタンパク質が1当量のモル比を使用する。最適な反応条件および反応物濃度は、典型的には実験によって決定されることが理解されよう。色素−タンパク質複合体の最適化は、当技術分野で周知であり、例えば本明細書に引用される参考文献に記載されている。
【実施例42】
【0254】
抗体−色素複合体の調製
IgGモノクローナル抗体の色素複合体を調製するための好ましいプロトコルについて、以下に記述する。化合物7、13、14、19、25、および60の色素複合体を、以下に述べるように多少変更を加えた状態で、本質的に同じプロトコルを使用して調製した。
【0255】
ステップ1.抗体溶液の調製:抗体を標識緩衝液(0.05M NaPi、pH8.0+0.15M NaCl+20%グリセロール)に溶かした溶液を、約2〜20mg/mlの濃度で調製する。
【0256】
溶液中の色素の濃度は、Beer−Lambert法、A280=εp・C・Lから計算することができ、ただしA280は280nm(タンパク質の最大吸収波長である。)で測定された吸光度であり、εpは抗体タンパク質のモル吸光係数であり、Cは濃度であり、Lは溶液を通過する光路の長さである。典型的なIgG抗体は、224000cm-1-1のεp値を有する。
【0257】
ステップ2.色素溶液の調製:色素溶液を、色素をDMSOに溶解することによって調製する。色素溶液の濃度は、以下に記述するように決定する。色素濃度の測定精度は、最初にpH9.6の1Mグリシン中で色素を1/100に希釈することによって改善してもよい。
【0258】
溶液中の色素の濃度は、Beer−Lambert法、Amax=ε色素・C・Lから計算することができ、ただしAmaxは、色素の最大吸収波長で測定された吸光度であり、ε色素は色素のモル吸光係数であり、Cは濃度であり、Lは溶液を通過する光路の長さである。例として、化合物7アミドの最大吸収波長は約415nmである。その他の色素化合物の場合、反応性色素の最大吸収波長は、複合前に測定すべきである。
【0259】
ステップ3.複合反応の実施:反応で所望のモル過剰の色素を得るために、抗体および色素溶液の量を計算する。最適化の研究では、反応を、過剰なモル数範囲の色素を使用して、典型的には2×から60×の間のモル過剰の色素を使用して実施する。抗体溶液を、効果的に撹拌しながらまたは振盪させながら色素溶液に添加し、反応混合物を1〜2時間撹拌または振盪させたままにして、抗体−色素複合体を得る。
【0260】
ステップ4.複合体の精製:抗体−色素複合体は、Bio−Spinカラムを使用して精製することができる。抗体−色素複合体溶液50μlおよび追跡緩衝液(PBS+20%グリセロール+0.1%NaN3)50μlをBio−Spinカラムに投入し、追跡緩衝液1mlをスピンカラムの受容管に入れ、分離する。分離後、撹拌する。
【0261】
あるいは、抗体−色素複合体は、製造業者のプロトコルに従って、PD−10カラム(Amersham Biosciences、Piscataway、NJ)を使用して精製することができる。
【0262】
ステップ5.抗体−色素複合体の置換度の決定:置換度(DOS)は、下記の方程式を使用して計算し:
DOS=[色素]/[抗体]=Amax・εp/(ε色素・(A280−0.55・Amax))、
ただし[色素]は色素濃度であり、[抗体]は抗体濃度であり、Amaxは色素の最大吸収波長で測定された吸光度であり、A280は280nmで測定された吸光度であり、εpは抗体タンパク質のモル吸光係数であり、ε色素は色素のモル吸光係数である。正確なDOSを得るには、複合体が非複合色素を含むべきではないことに留意すべきである。
【0263】
効果的な標識のため、置換度は、典型的には抗体1モルに対して色素が3〜20モルの間に含まれるべきである。当技術分野で周知のように、最適な標識をもたらすDOSは、抗体に依存することになり、場合によっては、より高いDOSが改善された標識をもたらすことができる。最適な標識は、DOSの範囲全体にわたって色素複合体を調製し、測定された蛍光強度を比較することにより、実験で決定される。例を、図に示す。
【実施例43】
【0264】
過ヨウ素酸酸化糖タンパク質の色素複合体の調製
ヤギIgG抗体(タンパク質に結合した多糖鎖を有する。)5mgを1mLの0.1M酢酸、0.135M NaCl、pH5.5に溶かしたサンプルを、メタ過ヨウ素酸ナトリウム2.1mgを用い、氷上で、糖タンパク質上に所望量のアルデヒド基を得るのに十分であることが実験により決定された時間にわたって処理し、次いで化合物5と反応させる。反応を、30μLのエチレングリコールを添加することによって停止させる。抗体を、pH7.2のPBSに充填されたSephadex G25カラムで精製する。1M重炭酸ナトリウムの10分の1体積を添加して、pHを上昇させ、化合物5を、色素とタンパク質とのモル比50:1で添加する。反応を、室温で、所望の色素/タンパク質の比を得るのに十分であることが実験により決定された時間にわたって撹拌する。シアノ水素化ホウ素ナトリウムを、10mMの最終濃度まで添加し、反応を室温で4時間撹拌する。抗体複合体を、透析によりまた上述のようにSephadex G25カラムで精製する。ゲル中およびブロット上の過ヨウ素酸酸化糖タンパク質も、本質的には参照により本明細書に組み込まれた文献(例えば、非特許文献29参照)に記載されているように、標識することができる。
【実施例44】
【0265】
チオール反応性色素を使用したタンパク質−色素複合体の調製
β−ガラクトシダーゼ、遊離チオール基に富むタンパク質の溶液を、PBS中に調製する(400μL中2.0mg)。次いでタンパク質溶液を、DMFに溶かしたマレイミド誘導体化合物9の10mg/L溶液で処理する。未反応の色素をスピンカラムで除去する。色素による置換度を、実施例42に記載されるように、遊離色素の吸光係数を使用して推測する。タンパク質濃度は、280nmでの吸光度から推測し、その波長での化合物9の吸光度に合わせて補正される。
【実施例45】
【0266】
アミノデキストラン−色素複合体の調製
アミノデキストラン−色素複合体を、例として平均で13アミノ基により誘導体化された70000MWアミノデキストラン(50mg)を使用して、以下に記述されるように調製する。アミノデキストラン(50mg)を、0.1M NaHCO3中に10mg/mLで溶解する。化合物7、13、14、19、25、または60を、約10〜15の色素/デキストラン比が得られるように添加する。6〜12時間後、得られた複合体をSEPHADEX G−50で精製し、水で溶離する。典型的には6〜10モルの色素が70000MWデキストランと複合する。
【実施例46】
【0267】
色素標識微小球の調製
微小球を、いくつかの周知のプロトコルのいずれかを使用して、本発明の色素で標識することができる。例を以下に示す。
【0268】
表面にアミノ、カルボキシル、またはアルデヒドなどの官能基を有するように化学修飾された微小球は、表面の基および表1に列挙した対応する反応性色素とを共有結合によって複合させることにより、表面標識することができる。例えば、アミン修飾微小球は、化合物7、13、14、19、25、または60などのスクシニミジルエステルを介して、本発明の色素と容易に複合する。
【0269】
上述のように調製された色素標識タンパク質は、そのアミン残基を介して、エチル3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC)を使用して微小球上のカルボキシレート基に共有結合することができる。あるいは、色素標識タンパク質は、微小球に受動的に吸着させることができる。例えば、カルボキシレート修飾微小球を、溶液色素標識タンパク質に懸濁し、タンパク質を微小球に受動的に吸着させ、過剰なタンパク質を遠心分離および洗浄によって除去する。遠心分離できないサイズの微粒子を、高MWカットオフを有する半透膜を通した透析によって、またはゲル濾過クロマトグラフィーによって、過剰なタンパク質から分離する。
【0270】
ビオチニル化微小球は、上述のように、本発明の色素に複合したストレプトアビジン、アビジン、または抗ビオチンで処理することができる。
【実施例47】
【0271】
ヌクレオチド−色素複合体の調製
本発明の色素と複合したヌクレオチドは、参照によりそれぞれが本明細書に組み込まれている文献(例えば、非特許文献30、31、および32参照)に記載されているような、周知の公開されている手順に従って、当業者が容易に調製することができる。特定の複合の例を、以下に記述する。
【0272】
5−(3−アミノアリル)−2’−デオキシウリジン5’−三リン酸(Sigma−Aldrich)2mgを100μlの水に溶かした溶液に、化合物7、13、14、19、25、または60を100μL DMFおよび5μLトリエチルアミンに溶かした溶液を添加する。3時間後、溶液を蒸発させ、残留物をHPLCによって精製する。生成物の画分を凍結乾燥することにより、蛍光ヌクレオチド複合体が得られる。
【0273】
あるいは、デオキシウリジン5’−三リン酸の蛍光色素複合体を、5−(3−アミノ−1−プロピニル)−2’−デオキシウリジン5’−三リン酸から調製し、またはチオール化ヌクレオチドもしくはチオリン酸ヌクレオチドを本発明のチオール反応性色素(マレイミド化合物9など)で処理することによって、調製する。
【0274】
あるいは、2’−(または3’)−2−アミノエチルアミノカルボニルアデノシン5’−三リン酸を、僅かに過剰な化合物7、13、14、19、25、または60と反応させ、その後、エタノールで沈殿させ、リボース修飾生成物を分取HPLCにより精製する。
【実施例48】
【0275】
オリゴヌクレオチド−色素複合体の調製
5’−アミン修飾、18塩基M13プライマー配列(約100μg)を、4μlの水に溶解する。ここに、化合物7、13、14、19、25、または60を100μlの0.1Mホウ酸ナトリウム、pH8.5に溶かした溶液250μgを添加する。16時間後、5M NaCl 10μlおよび冷エタノール3体積を添加する。混合物を−20℃に冷却し、遠心分離し、上澄みをデカンテーションし、ペレットをエタノールで濯ぎ、次いでペレットを100μLの水に溶解する。標識オリゴヌクレオチドをHPLCにより精製する。所望のピークを収集し、蒸発させることにより、蛍光オリゴヌクレオチチド−色素複合体が得られる。
【実施例49】
【0276】
色素−抗体複合体を使用したフローサイトメトリーによる細胞分析
本発明の色素化合物に複合した分析物特異的抗体(即ち、標識抗体)は、フローサイトメトリーによる血液細胞(例えば、全血サンプル)の分析に有用である。標識抗体は、細胞タンパク質を標識(染色)するのに使用され、標識細胞は、フローサイトメトリーによって検出する。
【0277】
全血サンプル(100μL)(好ましくはEDTAで収集)は、典型的には抗体−色素複合体で30〜60分間、暗所で、血液0.1ml当たり色素複合体濃度が1μg以下で染色される。染色後、1X FACS(商標)Lysing Solution(BD Bioscience、San Jose、CA)2mLをサンプルに添加し、サンプルを中程度の速度でボルテックスミキサで混合し、次いで室温で10分間インキュベートする。サンプルを2〜500g(好ましくは2〜300)で5分間遠心分離し、上澄みをデカンテーションする。サンプルを2回洗浄し(0.5%BSA/PBS洗浄緩衝液2mLに再懸濁し、混合し、遠心分離する。)、洗浄緩衝液0.5mLまたは固定安定化緩衝液150μlに再懸濁し、フローサイトメトリー分析まで4℃で保持する。
【0278】
染色細胞の分析は、好ましくは、青(488nm)、赤(約633nm)、および紫(405nm)レーザーを備えたBD LSR IIフローサイトメーター(BD Biosciences、San Jose、CA)を使用して実施される。検出光学部品は、525/50nm蛍光検出チャネルでの検出を含む。化合物7、13、および25などの色素化合物を組み込む蛍光バイオポリマーは、紫色レーザー405nm放出と厳密に一致する励起最大値を示し、バイオポリマーからの放出は、525/50nm検出チャネルで測定される。フローサイトメーターは、製造業者の取扱い説明書に従って設定される。染色細胞のサンプルのフローサイトメトリー分析は、製造業者のプロトコルに従って実施され、データは、問題の細胞集団に関するメジアン蛍光強度を得るための、当技術分野で周知の標準的な技法を使用して分析される。
【0279】
使用される特定の抗体複合体および特定の反応成分および使用される特定の反応条件は、得られる結果に影響を及ぼす可能性があることが理解されよう。通常の実験は、緩衝液や溶解溶液などの好ましい反応成分と、染色時間および温度を含めた反応条件を決定するのに実施されるべきである。アッセイ条件の、そのような通常の最適化は、免疫染色ベースのアッセイの分野で標準的に実施される。
【実施例50】
【0280】
抗CD4、CD8、およびCD45抗体の色素複合体
色素複合体を、色素とタンパク質との比のある範囲にわたり、化合物7、13、および25に個別の調製物としてそれぞれ複合されたCD4およびCD45に特異的な抗体(それぞれ、BD Biosciences、San Jose、CAからのクローンSK3および2DD1)を使用して調製した。抗体−色素複合体は、本質的に上記実施例42で述べたように調製した。CD4およびCD45抗体の抗体複合体を使用して、本質的に上記実施例49で述べたように、全血サンプル中のリンパ球を分析した。
【0281】
データは、各抗体−色素対に関し、最適な色素とタンパク質との比を示した。各抗体ごとに、3つの色素のそれぞれに関して最適な色素とタンパク質との比が、同様の比で生じた。同じ色素と複合した種々の抗体を比較すると、最適な色素とタンパク質との比は著しく異なっており、CD4に関しては、より高い比で最適な蛍光が観察された。これらの実験において、色素とタンパク質との比が最適な比よりも高い(試験範囲全体にわたって)CD4色素複合体では、目に見える自己消光が観察されず、蛍光は最適なレベルで維持された。対照的に、色素とタンパク質との比が最適な比よりも高いCD45色素複合体では、著しい自己消光が観察された。各色素化合物を使用して得られた最大蛍光染色を比較すると、化合物7は、化合物13で行われたよりも良好な蛍光染色をもたらし、この化合物13は、化合物25で行われたよりも良好な蛍光染色をもたらした。
【0282】
結果は、3種の色素複合体の全てが、フローサイトメトリーによって分析される免疫蛍光アッセイ用の抗原特異的検出試薬を調製するのに有用であることを示す。一般に、色素とタンパク質との最適な比のそれぞれは、標識がなされる特定の抗体それぞれに関して実験により決定される(通常の最適化による)。
【実施例51】
【0283】
抗CD3、CD4、CD8、およびCD45抗体の色素複合体
色素複合体を、色素/タンパク質の比のある範囲にわたり、化合物7に対して個別の調製物としてそれぞれ複合された4種の異なる抗体、CD3、CD4、CD8、およびCD45抗体(それぞれ、BD Biosciences、San Jose、CAからのクローンSK7、SK3、SK1、および2D1)を使用して調製した。抗体−色素複合体を、本質的に上記実施例42で述べたように調製した。CD3、CD4、CD8、およびCD45抗体の色素複合体を使用して、本質的に上記実施例49で述べたように、全血サンプル中のリンパ球を分析した。
【0284】
分析の結果を図3〜6にまとめるが、これらは、色素複合体により標識されたリンパ球集団の蛍光強度を、各色素複合体に関する色素とタンパク質との比に対してプロットしたものを示す。図3〜5では、蛍光強度を、非染色集団から測定された蛍光分布の幅に対する、非染色「陰性」集団(即ち、バックグラウンド)から測定されたシグナル全体にわたる染色細胞集団の蛍光強度の尺度をもたらす「染色インデックス」として報告する(例えば、参照により本明細書に組み込まれる文献参照(例えば、非特許文献33参照))。染色インデックスは、下記の通り定義され:
染色インデックス=(S−U)/(2×SD_陰性)、
ただし、Sは染色細胞集団から測定されたメジアン蛍光強度(MFI)であり、Uは非染色細胞集団のMFIであり、SD_陰性は非染色細胞集団の蛍光強度の標準偏差である。図6で、蛍光強度は、メジアン蛍光強度(MFI)として報告される。CD45抗体は全てのリンパ球に結合するので、これらの実験ではバックグラウンドを測定するのに使用される非染色リンパ球集団がなく、染色インデックスを計算することができない。
【0285】
色素複合抗体のそれぞれに関する最適な色素とタンパク質との比を、以下の表4に示す。
【0286】
【表9】

【0287】
図3は、色素とタンパク質との比のある範囲にわたる、化合物7に複合したCD3抗体の色素複合体を使用して得られたデータのプロットを示す。得られた最大染色インデックスは、化合物7で標識されたこのCD3抗体の色素複合体によって、フローサイトメトリー免疫蛍光アッセイでのバックグラウンド蛍光全体にわたり、染色されたリンパ球集団が区別可能であることを実証する。この抗体と色素との組合せでは、色素とタンパク質との比が最適な値よりも高い値のときに自己消光が観察された。
【0288】
図4は、色素とタンパク質との比の範囲全体にわたる、化合物7に複合したCD4抗体の色素複合体を使用して得られたデータのプロットを示す。得られた最大染色インデックスは、化合物7で標識されたこのCD4抗体の色素複合体によって、フローサイトメトリー免疫蛍光アッセイでのバックグラウンド蛍光全体を通して染色リンパ球集団が区別可能であることを実証する。この抗体と色素との組合せでは、色素とタンパク質との比が最適な値よりも高い値のときにごく僅かな自己消光しか観察されず、広範にわたる使用可能な比が得られた。
【0289】
図5は、色素とタンパク質との比の範囲全体にわたり、化合物7に複合したCD8抗体の色素複合体を使用して得られたデータのプロットを示す。得られた最大染色インデックスは、化合物7で標識されたこのCD8抗体の色素複合体によって、フローサイトメトリー免疫蛍光アッセイでのバックグラウンド蛍光全体にわたり、染色されたリンパ球集団が区別可能であることを実証する。この抗体と色素との組合せでは、色素とタンパク質との比が最適な値よりも高い値のときにごく僅かの自己消光しか観察されず、広範にわたる使用可能な比が得られた。
【0290】
図6は、色素とタンパク質との比の範囲全体にわたり、化合物7に複合したCD45抗体の色素複合体を使用して得られたデータのプロットを示す。MFIは、例えば光検出器利得に依存するので、得られた最大MFIは、細胞集団を区別するための色素複合体の有用性を直接示さない。しかし、化合物7で標識されたこのCD45抗体の色素複合体は、フローサイトメトリー免疫蛍光アッセイで使用されるリンパ球集団の適切な標識をもたらすことが観察された。この抗体と色素との組合せでは、色素とタンパク質との比が最適な値よりも高い値のときに自己消光が観察され、使用可能な比がより狭い範囲であることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式の構造を有することを特徴とする化合物。
【化1】

[式中、
HCは複素環であり;
1、R2、R3、R4、R5、およびR6は独立して、H、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオール、アリールチオール、アジド、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、ボロン酸、L−RG、WSG、または、それ自体がハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、カルボニル、ボロン酸、L−RG、もしくはWSGにより1回もしくは複数回置換されているアルキルもしくはアルコキシであり;
RGは、化学反応性基であり;
Lは、任意選択のリンカーであり;
WSGは、水溶性基であり;
1、R2、R3、R4、R5、およびR6の少なくとも1つはL−RGを含有し;
1、R2、R3、R4、R5、およびR6の少なくとも1つはWSGである]
【請求項2】
HCは、下式からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【化2】

【請求項3】
下式の構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【化3】

[式中、
Xは、O、S、NH、またはNR10であり;
Yは、NH、NR11、CH、またはCR12であり;
1、R2、R3、R4、R5、R6、R10、R11、およびR12は独立して、H、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオール、アリールチオール、アジド、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、ボロン酸、L−RG、WSG、または、それ自体が任意選択で、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、カルボニル、ボロン酸、L−RG、もしくはWSGによって1回もしくは複数回置換されているアルキルもしくはアルコキシであり;
RGは、化学反応性基であり;
Lは、任意選択のリンカーであり;
WSGは、水溶性基であり;
1、R2、R3、R4、R5、R6、R10、R11、およびR12の少なくとも1つはL−RGを含有し;
1、R2、R3、R4、R5、R6、R10、R11、およびR12の少なくとも1つはWSGである]
【請求項4】
下記の構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【化4】

[式中、
Xは、OまたはSであり;
1、R2、R3、R4、R10、R11、およびR12は独立して、H、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオール、アリールチオール、アジド、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、ボロン酸、L−RG、WSG、または、それ自体が任意選択で、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、カルボニル、ボロン酸、L−RG、もしくはWSGによって1回もしくは複数回置換されているアルキルもしくはアルコキシであり;
RGは、化学反応性基であり;
Lは、任意選択のリンカーであり;
WSGは、水溶性基であり;
1、R2、R3、R4、R10、R11、およびR12の少なくとも1つはL−RGを含有し;
1、R2、R3、R4、R10、R11、およびR12の少なくとも1つはWSGである]
【請求項5】
下式の構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【化5】

[式中、
Xは、OまたはSであり;
1、R2、R3、R4、R10、およびR11は独立して、H、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオール、アリールチオール、アジド、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、ボロン酸、L−RG、WSG、または、それ自体が任意選択で、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、カルボニル、ボロン酸、L−RG、もしくはWSGによって1回もしくは複数回置換されているアルキルもしくはアルコキシであり;
RGは、化学反応性基であり;
Lは、任意選択のリンカーであり;
WSGは、水溶性基であり;
1、R2、R3、R4、R10、およびR11の少なくとも1つは、L−RGを含有し;
1、R2、R3、R4、R10、およびR11の少なくとも1つは、WSGであり;
10およびR11の少なくとも1つはスルホネートを含有する]
【請求項6】
RGは、アクリルアミド、アミン、カルボン酸、カルボン酸の活性化エステル、アシルアジド、アシルニトリル、アルデヒド、ハロゲン化アルキル、無水物、ハロゲン化アリール、アジド、アジリジン、ボロネート、ジアゾアルカン、ハロアセトアミド、ハロトリアジン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、イミドエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、反応性白金錯体、ハロゲン化スルホニル、またはソラレン誘導体であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
Lは存在せず、またはアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アミノ酸、スルホアミノ酸、ポリアミド、ポリエチレングリコール、アリール、もしくはヘテロアリールであることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
WSGは、スルホネート、チオスルフェート、ホスホネート、ボロネート、アンモニウム、ピリジウム、キノリウム、またはアクリジウムであることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
下式の構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【化6】

[式中、
Xは、OまたはSであり;
1、R2、R3、R4、R10、およびR11は独立して、水素、クロロ、フルオロ、シアノ、またはスルホネートであり;
RGは、化学反応性基であり;
Lは、任意選択のリンカーであり;
ただしR10およびR11の少なくとも1つはスルホネートである]
【請求項10】
RGは、カルボン酸の活性化エステル、アシルアジド、アシルニトリル、アルデヒド、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール、アジド、アジリジン、ハロアセトアミド、ハロトリアジン、アミン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、イミドエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、またはマレイミドであることを特徴とする、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
Lは、存在せず、または3〜20個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アミノ酸、スルホアミノ酸、ポリアミン、もしくはポリエチレングリコールであることを特徴とする、請求項10または11に記載の化合物。
【請求項12】
下式の構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【化7】

[式中、
1、R2、R3、R4、R10、およびR11は独立して、水素、クロロ、フルオロ、シアノ、またはスルホネートであり;
RGは、化学反応性基であり;
Lは、存在せず、またはアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アミノ酸、スルホアミノ酸、ポリアミン、ポリエチレングリコール、アリール、アリールアルキル、もしくはヘテロアリールである任意選択のリンカーであり;
ただしR10およびR11の少なくとも1つはスルホネートである]
【請求項13】
RGは、カルボン酸の活性化エステル、アシルアジド、アシルニトリル、アルデヒド、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール、アジド、アジリジン、ハロアセトアミド、ハロトリアジン、アミン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、イミドエステル、イソシアネート、イソチオシアネート、またはマレイミドであることを特徴とする、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
下式の構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【化8】

[式中、
3、R4、R10、およびR11は独立して、水素、クロロ、フルオロ、シアノ、またはスルホネートであり;
nは、1〜10の整数であり;
ただしR10およびR11の少なくとも1つはスルホネートである]
【請求項15】
下式を有することを特徴とする色素複合体。
【化9】

[式中、
HCは複素環であり;
1、R2、R3、R4、R5、およびR6は独立して、H、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオール、アリールチオール、アジド、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、ボロン酸、WSG、またはそれ自体がハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、カルボニル、ボロン酸、もしくはWSGによって1回もしくは複数回置換されているアルキルもしくはアルコキシであり;
WSGは、水溶性基であり;
nは、1〜35の整数であり;
SUBは基質であり;
1、R2、R3、R4、R5、およびR6の少なくとも1つは、任意選択のリンカーLを介してSに共有結合されており;
1、R2、R3、R4、R5、およびR6の少なくとも1つは、WSGである]
【請求項16】
HCは、下式からなる群から選択されることを特徴とする、請求項15に記載の色素複合体。
【化10】

【請求項17】
下式の構造を有することを特徴とする、請求項15に記載の色素複合体。
【化11】

[式中、
Xは、O、S、NH、またはNR10であり;
Yは、NH、NR11、CH、またはCR12であり;
1、R2、R3、R4、R5、R6、R10、R11、およびR12は独立して、H、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオール、アリールチオール、アジド、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、ボロン酸、WSG、またはそれ自体が任意選択で、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、カルボニル、ボロン酸、もしくはWSGによって1回もしくは複数回置換されているアルキルもしくはアルコキシであり;
WSGは、水溶性基であり;
nは、1〜35の整数であり;
SUBは、基質であり;
1、R2、R3、R4、R5、R6、R10、R11、およびR12の少なくとも1つは、任意選択のリンカーLを介してSUBに共有結合されており;
1、R2、R3、R4、R5、R6、R10、R11、およびR12の少なくとも1つはWSGである]
【請求項18】
下式の構造を有することを特徴とする、請求項15に記載の色素複合体。
【化12】

[式中、
Xは、OまたはSであり;
1、R2、R3、R4、R10、R11、およびR12は独立して、H、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオール、アリールチオール、アジド、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、ボロン酸、WSG、またはそれ自体が任意選択で、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、カルボニル、ボロン酸、もしくはWSGによって1回もしくは複数回置換されているアルキルもしくはアルコキシであり;
WSGは、水溶性基であり;
nは、1〜35の整数であり;
SUBは、基質であり;
1、R2、R3、R4、R10、R11、およびR12の少なくとも1つは、任意選択のリンカーLを介してSに共有結合されており;
1、R2、R3、R4、R10、R11、およびR12の少なくとも1つはWSGである]
【請求項19】
下式を有することを特徴とする、請求項15に記載の色素複合体。
【化13】

[式中、
Xは、OまたはSであり;
1、R2、R3、R4、R10、およびR11は独立して、H、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、チオール、アルキルチオール、アリールチオール、アジド、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、ボロン酸、WSG、またはそれ自体が任意選択でハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、スルホニル、ホスホニル、カルボニル、ボロン酸、もしくはWSGによって1回もしくは複数回置換されているアルキルもしくはアルコキシであり;
WSGは、水溶性基であり;
nは、1〜35の整数であり;
SUBは、基質であり;
1、R2、R3、R4、R10、およびR11の少なくとも1つは、任意選択のリンカーLを介してSに共有結合されており;
1、R2、R3、R4、R10、およびR11の少なくとも1つはWSGであり;
10およびR11の少なくとも1つはスルホネートを含有する]
【請求項20】
Lは存在せず、またはアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アミノ酸、スルホアミノ酸、ポリアミン、ポリエチレングリコール、アリール、もしくはヘテロアリールであることを特徴とする、請求項15から19のいずれか一項に記載の色素複合体。
【請求項21】
WSGは、スルホネート、チオスルフェート、ホスホネート、ボロネート、アンモニウム、ピリジニウム、キノリウム、またはアクリジウムであることを特徴とする、請求項15から20のいずれか一項に記載の色素複合体。
【請求項22】
SUBはバイオポリマーであることを特徴とする、請求項15から21のいずれか一項に記載の色素複合体。
【請求項23】
SUBは抗体であることを特徴とする、請求項15から21のいずれか一項に記載の色素複合体。
【請求項24】
下式を有することを特徴とする、請求項15に記載の色素複合体。
【化14】

[式中、
Xは、OまたはSであり;
1、R2、R3、R4、R10、およびR11は独立して、水素、クロロ、フルオロ、シアノ、またはスルホネートであり;
Lは任意選択のリンカーであり;
SUBは基質であり;
ただしR10およびR11の少なくとも1つはスルホネートである]
【請求項25】
Lは、存在せず、または3〜20個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、チオアルキル、アミノ酸、スルホアミノ酸、ポリアミン、もしくはポリエチレングリコールであることを特徴とする、請求項24に記載の色素複合体。
【請求項26】
SUBはバイオポリマーであることを特徴とする、請求項24に記載の色素複合体。
【請求項27】
SUBは抗体であることを特徴とする、請求項24に記載の色素複合体。
【請求項28】
サンプル中の分析物を検出する方法であって、
a)前記サンプルと、請求項15から27のいずれか一項に記載の色素複合体を含む検出試薬とを、前記検出試薬が前記分析物と錯体を形成する条件下で組み合わせるステップと、
b)前記錯体を検出するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
式1、式2、式3、式4、式5、式6、式7、または式8の構造を有する少なくとも反応性色素化合物を含むことを特徴とするキット。
【請求項30】
式9、式10、式11、式12、または式13の構造を有する少なくとも色素複合体を含むことを特徴とするキット。
【請求項31】
下式の構造を有することを特徴とする化合物。
【化15】


【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−254993(P2010−254993A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−85260(P2010−85260)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】